説明

伝言通信システム

【課題】伝言通信システムにおいて、時間的、地域的に異なる状況下に置かれた端末間のコミュニケーションの円滑化を図る。
【解決手段】伝言通信システム(100)は、第1の端末(10)及び第2の端末(20)から電話回線を介してアクセス可能な通信制御システムである。第1の端末から入力された音声データを記憶する手段(114)と、音声データ記憶手段に記憶された音声データを再生する手段(115)と、第2の端末からの着信時に発信者電話番号データを記憶する手段(113)と、第2の端末が携帯電話であるか否かを判別する手段と、録音された音声データが更新された際に、第2の端末にショートメールを送信する手段(116、117)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばある特定の端末(以下、適宜「録音側端末」と称する)から録音された伝言音声を、電話回線を介して他の端末(以下、適宜「再生側端末」と称する)から再生可能な伝言通信システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の伝言通信システムとして、録音側端末から録音された伝言音声を再生側端末で再生することによって、異なる状況下にある端末間のコミュニケーションを図る伝言通信システムが考案されている。例えば、この種の伝言通信システムの一例である留守番電話装置では、あるユーザ(即ち、再生側端末のユーザ)の不在時に相手先(即ち、録音側端末のユーザ)からかけられた電話の音声を録音し、帰宅後に当該録音された音声を再生することによって相手先の伝言音声を聞くことができる伝言通信システムが利用されている。また、金融業界では、市場関係者のコメントを予め録音し、個人投資家などの一般ユーザが所定の電話番号に問い合わせることによって、当該録音されたコメントを聞くことができる伝言通信システムが利用されている。
【0003】
近年、このような伝言通信システムを特定の使用用途に特化させ、その用途に特有の高度なコミュニケーションに対応させる研究開発がなされている。例えば特許文献1には、被災者にとって利便性の高い安否情報システムから被災者情報を取得し、被災者の安否の確認を希望する他の地域に居住している関係者が、電話回線を介して当該被災者情報を迅速に取得可能な災害伝言登録システムが開示されている。また、特許文献2には、留守番電話装置に記録される着信履歴の重要度を判別し、不要な着信履歴の記録を停止することによって、重要な着信履歴を効率的に記憶する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−86767号公報
【特許文献2】特開2005−79772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の背景技術に係る伝言通信システムでは、録音側端末から音声データが録音された場合であっても、再生側端末には当該録音があった旨は何ら通知されない。そのため、再生側端末のユーザは、録音側端末から音声データの録音があったかどうかを所定の電話番号に自ら電話をかけることによって確認する必要がある。特に、再生側端末のユーザが録音側端末から入力された音声データを迅速に確認したい場合、又は録音側端末のユーザが再生側端末のユーザに音声データを録音したことを迅速に知らしめたい場合が考えられるが、上述の背景技術では、このようなニーズに対応することが困難であるという技術的問題点がある。
尚、この種の伝言通信システムでは、予め再生側端末に対応する電子メールアドレスを登録しておき、当該登録された再生側端末に対して、電子メールを用いて当該録音があった旨を通知する機能を有するものも存在する。しかしながら、このような伝言通信システムでは、録音が有った旨を伝え得る対象が登録済みの再生側端末に限定されてしまい、例えば録音側端末に対して関心を持ってアクセスしてきた再生側端末であっても、登録がされていないユーザに対しては、当該録音があった旨を通知することができないという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、異なる状況下に置かれた端末間のコミュニケーションを円滑に行うことが可能な伝言通信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の伝言通信システムは上記課題を解決するために、第1の端末及び第2の端末から電話回線を介してアクセス可能な通信制御システムであって、前記第1の端末から入力された音声データを記憶する音声データ記憶手段と、前記第2の端末からの着信時に、前記音声データ記憶手段に記憶された前記音声データを再生する再生手段と、前記第2の端末からの着信時に、当該第2の端末から送信された発信者電話番号データを記憶する発信者電話番号データ記憶手段と、前記記憶された発信者電話番号データに基づいて、前記第2の端末が携帯電話であるか否かを判別する判別手段と、前記第2の端末が携帯電話であると判別された場合に、前記音声データ記憶手段に録音された音声データが更新されるタイミングで、前記発信者電話番号データ記憶手段に記憶された発信者電話番号データに基づいて前記第2の端末にショートメールを送信するショートメール送信手段とを備える。
【0008】
本発明によれば、録音側端末たる第1の端末から音声データが音声データ記憶手段に記憶されると、発信者電話番号データ記憶手段に記憶された発信者電話番号データに基づいて、再生側端末たる第2の端末にショートメールが送信される。ここで「ショートメール」とは、携帯電話やPHS間で短文からなるショートメールを送受信するSMS(ショート・メッセージ・サービス)と称されるサービスによって提供される通信形態であって、携帯電話やPHSの電話番号を送信アドレスとして使用するものである。第2の端末のユーザは、ショートメール送信手段によって送信されたショートメールを受信することにより、第1の端末によって音声データ記憶手段における音声データが新たに記憶されたことを迅速に認識することができる。そして、第2の端末のユーザは、第1の端末に電話回線を介して問い合わせることによって、音声データ記憶手段に記憶された音声データを再生手段で再生することができる。このように本発明ではショートメールを用いて、異なる状況下に置かれた端末間のコミュニケーションを円滑に行うことが可能な伝言通信システムを実現することができる。
【0009】
また、本発明によれば、仮に第2の端末が複数存在する場合であっても、複数の第2の端末のうち発信者電話番号データ記憶手段に記憶された発信者電話番号データに対応する第2の端末に対してのみショートメールが送信される。つまり、複数の第2の端末の全てではなく、過去に着信のあった特定の第2の端末に対して限定的にショートメールが送信される。言い換えれば、特定多数又は特定少数の第2の端末に対してショートメールを送信するものである。SMSでは、ショートメールの送信回数に応じて第1の端末側(即ち、ショートメールの送信側)にコストが発生するため、複数の第2の端末全て(即ち、不特定多数)に対してショートメールを送信する場合に比べて、過去に着信のあった特定多数又は特定少数の第2の端末に送信することで、ショートメールの送信コストを効果的に削減することができる。同時に、過去に着信のあった第2の端末のユーザは第1の端末に対して何らかの関心があるものと推測されるため、このような関心の高い第2の端末に対して優先的にコミュニケーションを図ることができる点においても大変有利である。更に、第1の端末に対して何ら関心の少ない第2の端末のユーザにとっては、関心の少ない無駄なショートメールが送信されることによる煩わしさから解放される点においても大変有利である。
特に本発明では、携帯電話やPHSの電話番号を送信アドレスとして使用するショートメールを用いているため、例えば電子メールのように再生側端末である第2の端末に対応する電子メールアドレスを予め登録しておく必要も無い。そのため、例えば第1の端末に対して関心を持ってアクセスしてきた第2の端末に対して、当該録音があった旨を広く通知することができる。
【0010】
本発明の伝言通信システムの一の態様では、前記第2の端末からの着信履歴を記憶する着信履歴記憶手段を更に備え、前記ショートメール送信手段は、前記記憶された着信履歴を参照することにより、所定期間内における前記第2の端末からの着信回数に応じて前記第2の端末に前記ショートメールを送信する回数を設定することを特徴とする。
【0011】
この態様によれば、着信履歴から第2の端末からの着信回数を把握することにより、第2の端末のユーザが、第1の端末が入力した音声データに対してどの程度の関心を有しているのかを推測することができる。そして、当該関心の程度に応じてショートメールの送信回数を設定することにより、第1の端末及び第2の端末のそれぞれのユーザの意図に沿った、円滑なコミュニケーションを実現することができる。例えば、着信回数が少なく関心が低いと推定される第2の端末に対しては、ショートメールの送信回数を少なく設定することにより、第1の端末側のショートメールの送信に必要なコストを安価に抑えることができると共に、第2の端末は関心度の低い内容のショートメールを受信する煩わしさから解放されることができる。
【0012】
本発明の伝言通信システムの他の態様では、前記ショートメール送信手段は、前記所定期間内における前記第2の端末からの着信回数が所定の閾値より少ない場合に、前記第2端末に対するショートメールの送信を停止することを特徴とする。
【0013】
この態様によれば、着信回数が少なく関心度が低いと推定される第2の端末に対し、必要以上にショートメールが送信されることを効果的に防止することができる。ここで、「所定の閾値」は関心度が低いと推定される第2の端末が所定期間内に行う着信回数の最大値として規定され、理論的、統計的、実験的又はシミュレーション的な手法によって得られたデータに基づいて適宜設定するとよい。
【0014】
本発明の伝言通信システムの他の態様では、複数の前記第1の端末の各々を識別するための識別番号が前記第1の端末毎に設定されており、前記再生手段は、前記第2の端末から入力された前記識別番号に基づいて、当該識別番号に対応する前記第1の端末から入力されることによって前記音声データ記憶手段に記憶された前記音声データを再生することを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、第1の端末が複数存在する場合であっても、識別番号によって第1の端末の各々を識別することができる。従って、第2の端末のユーザは識別番号を入力することによって、複数の第1の端末から意図する特定の第1の端末によって入力された音声データを聞くことができる。このように本態様によれば、多数の端末間における円滑なコミュニケーションを実現可能にすることができ、より利便性が高い伝言通信システムを実現することができる。
【0016】
この場合、前記第2の端末からの着信時に、当該第2の端末から入力された前記識別番号を記憶する識別番号記憶手段と、前記記憶された識別番号を解析することにより、前記第1の端末の各々に対する前記第2の端末からのアクセス頻度を算出するアクセス頻度算出手段とを備え、前記ショートメール送信手段は、前記算出されたアクセス頻度に応じて、前記第2の端末毎に前記ショートメールを送信する回数を設定してもよい。
【0017】
この態様によれば、第1の端末毎に設定された識別番号に基づいて、第2の端末からの着信履歴を解析することにより、複数の第1の端末のユーザが複数の第1の端末のうちいずれに関して関心があるのか、そのニーズを解析することができる。具体的には、アクセス頻度算出手段によって、複数の第1の端末毎にアクセス頻度を算出し、当該アクセス頻度に対応するようにショートメールの送信回数を設定することにより、第1の端末及び第2の端末のそれぞれのユーザの意図に沿ったコミュニケーションを実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、録音側端末たる第1の端末から音声データが音声データ記憶手段に記憶されると、発信者電話番号データ記憶手段に記憶された発信者電話番号データに基づいて、再生側端末たる第2の端末にショートメールが送信されるので、第2の端末のユーザは、ショートメール送信手段によって送信されたショートメールを受信することにより、第1の端末によって音声データが音声データ記憶手段に新たに記憶されたことを迅速に認識することができ、異なる状況下に置かれた端末間のコミュニケーションの円滑化を図ることができる。
【0019】
また、本発明によれば、仮に第2の端末が複数存在する場合であっても、複数の第2の端末のうち発信者電話番号データ記憶手段に記憶された発信者電話番号データに対応する第2の端末に対してのみショートメールが送信される。つまり、複数の第2の端末の全てではなく、過去に着信のあった特定の第2の端末に対して限定的にショートメールが送信される。言い換えれば、特定多数又は特定少数の第2の端末に対してショートメールを送信するものである。SMSでは、ショートメールの送信回数に伴って第1の端末側(即ち、ショートメールの送信側)にコストが発生するため、複数の第2の端末全て(即ち、不特定多数)に対してショートメールを送信する場合に比べて、過去に着信のあった特定多数又は特定少数の第2の端末に送信することで、ショートメールの送信コストを効果的に削減することができる。同時に、過去に着信のあった第2の端末のユーザは第1の端末に対して何らかの関心があるものと推測されるため、このような関心の高い第2の端末に対して優先的にコミュニケーションを図ることができる点においても大変有利である。更に、第1の端末に対して何ら関心の少ない第2の端末のユーザにとっては、関心の少ない無駄なショートメールが送信されることによる煩わしさから解放される点においても大変有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例に係るサーバの機能ブロックを示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る伝言録音処理の動作を示すフローチャート図である。
【図3】本実施例に係る伝言再生処理の動作を示すフローチャート図である。
【図4】本実施例に係るショートメール送信処理の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例】
【0022】
本実施例では、本発明に係る「伝言通信システム」の一例であるサーバ100と、本発明に係る「第1の端末」の一例であるホスト端末10と、本発明に係る「第2の端末」の一例であるエンド端末20とが電話回線を介して互いに接続されている。
【0023】
サーバ100は主に制御装置及び記憶装置からなる。制御装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置及びRAM(Random Access Memory)等のバッファメモリを備え、サーバ100の動作全体を制御することが可能に構成された制御ユニットである。制御装置は、記憶装置に記憶されたアプリケーションを実行することにより、サーバ100が本発明に係る「伝言通信システム」の一例として機能するように構成されている。
【0024】
サーバ100は、記憶装置に記憶されたアプリケーションを実行することにより、ソフトウェア的に複数の機能ブロックとして機能する。ここで、図1を参照し、アプリケーションの実行時におけるサーバ100の機能ブロックについて説明する。ここに、図1は、アプリケーションの実行時におけるサーバ100の機能ブロックを示すブロック図である。
【0025】
図1において、サーバ100は、アプリ制御部111、受信部112、着信履歴記憶部113、音声記憶部114、音声再生部115、ショートメール作成部116及びショートメール送信部117を備える。アプリ制御部111は、アプリケーションに係る動作を統括するメインの機能ブロックであり、受信部112、着信履歴記憶部113、音声記憶部114、音声再生部115、ショートメール作成部116及びショートメール送信部117を夫々上位に制御することが可能である。
【0026】
受信部112は、エンド端末20から電話回線を介して送られてくる発信者電話番号データを受信することにより、エンド端末20からの着信を検出可能である。着信履歴記憶部113は、受信部112によって受信された発信者電話番号データを着信日時と共に記憶することにより、着信履歴として記録することが可能である。尚、着信履歴記憶部113は、本発明に係る「着信履歴記憶手段」の一例である。
【0027】
音声記憶部114は、電話回線を介してホスト端末10から入力された音声を記憶することが可能に構成された機能ブロックであり、本発明に係る「音声データ記憶手段」の一例として機能するように構成されている。また、音声再生部115は、音声記憶部114に記憶された音声(即ち、ホスト端末10から予め入力された伝言音声)を再生することが可能に構成された機能ブロックであり、本発明に係る「再生手段」の一例として機能するように構成されている。
【0028】
ショートメール作成部116はエンド端末20への通知用のショートメールを作成可能な機能ブロックであり、ショートメール送信部117は、ショートメール作成部116において作成されたショートメールをエンド端末20に送信することが可能に構成された機能ブロックである。尚、ショートメール作成部116及びショートメール送信部117は、共に、本発明に係る「ショートメール送信手段」の一例として機能するように構成されている。
<実施例の動作>
【0029】
次に図2から図4を参照して、本実施例に係るサーバ100及びその周辺機器の動作について詳細に説明する。
<伝言録音処理>
【0030】
まず、ホスト端末10から入力された伝言音声を記録する伝言録音処理について、図2を参照して説明する。図2は本実施例に係る伝言録音処理の動作を示すフローチャート図である。
【0031】
始めにアプリ制御部111は、ホスト端末10からの着信の有無を判断する(ステップS101)。本実施例では、伝言音声を入力する側の端末であるホスト端末10専用の電話番号が設けられており、当該電話番号に対してホスト端末10から電話をかけることにより、サーバ100が着信を受信できるように構成されている。ここで、ホスト端末10からの着信が無い場合(ステップS101:NO)、アプリ制御部111は再度ステップS101の実行を繰り返す。
【0032】
一方、ホスト端末10からの着信があった場合(ステップS101:YES)、アプリ制御部111は、ホスト端末10の利用者が本システムを利用する権限を有しているか否かを判断するために、認証を行う(ステップS102)。具体的には、ホスト端末10のユーザに予め設定された認証IDの入力を要求し、当該入力された内容が予め設定された認証IDと一致するか否かにより行うとよい。この場合、ホスト端末10側から入力されたIDが不正確な場合、アプリ制御部111は処理を戻した上で再びホスト端末10に認証IDの入力を要求してもよいし、認証IDの入力が所定の回数連続して失敗した場合には、伝言録音処理を強制的に終了してもよい。
【0033】
続いて、アプリ制御部111は、ホスト端末10に対して伝言音声の入力を要求し、ホスト端末10から入力された伝言音声を取得する(ステップS103)。そして取得した伝言音声を音声記憶部113に記憶する(ステップS104)。このように音声記憶部113に記憶された伝言音声は、次に説明する伝言再生処理を実行することによって、エンド端末20によって、適宜読み出し、再生することが可能である。
【0034】
尚、本実施例では主にホスト端末10が一つしか存在しない場合について説明しているが、ホスト端末10は複数存在してもよい。この場合、それぞれのホスト端末10には、例えば識別IDが付与されており、ステップS103において伝言音声を取得する際に、伝言音声の入力を行ったホスト端末10の識別IDを併せて取得し、ステップS104で当該識別IDを伝言音声と対応付けて音声記憶部113に記憶するとよい。この場合、音声記憶部113に記憶された伝言音声は、エンド端末20から識別IDを入力指定することによって、複数のホスト端末10の中からエンド端末20のユーザの意図する特定のホスト端末10によって録音された伝言音声を読み出し、再生することが可能となる。
<伝言再生処理>
【0035】
伝言再生処理では、上記の伝言録音処理によって録音された伝言音声をエンド端末20によって再生することができる。図3は本実施例に係る伝言再生処理の動作を示すフローチャート図である。
【0036】
まず、アプリ制御部111は、エンド端末20からの着信の有無を判断する(ステップS201)。本実施例では、予め録音された伝言音声を再生するためのエンド端末20専用の電話番号(即ち、上述のホスト端末10専用の電話番号とは別の電話番号)が設けられており、当該電話番号に対してエンド端末20から電話をかけることにより、サーバ100が着信を受信できるように構成されている。エンド端末20からの着信が無い場合(ステップS201:NO)、再度ステップS201の実行を繰り返す。
【0037】
一方、エンド端末20から着信があった場合には(ステップS201:YES)、アプリ制御部111は、受信部112から発信者電話番号データを取得し、着信履歴記憶部113に着信履歴として記憶する(ステップS202)。尚、着信履歴記憶部113は、本発明に係る「発信者電話番号データ記憶手段」及び「着信履歴記憶手段」の一例である。
【0038】
その後、アプリ制御部111は音声記憶部114にアクセスし、録音されている伝言音声の有無を判断する(ステップS203)。録音されている音声が無い場合(ステップS203:NO)、アプリ制御部111は再生できる音声が無いとして処理を終了する(RETURN)。尚、この場合、再生できる音声が無い旨のメッセージを代わりに再生した後に処理を終了してもよい。
【0039】
録音されている音声がある場合(ステップS203:YES)、アプリ制御部111は音声記憶部114から録音音声を読み込み、音声再生部115によって再生することにより、エンド端末20のユーザは電話回線を、当該録音音声を介して聴くことができる。
【0040】
尚、識別IDによって識別された複数のホスト端末10が存在する場合には、上述のように、エンド端末20に対して伝言音声を聴きたいホスト端末10の識別IDの入力を要求し、当該入力された識別IDに基づいて音声記憶部114から該当する伝言音声を読み出し、再生してもよい。
<ショートメール送信処理>
【0041】
次に、エンド端末20に対してショートメールを送信するショートメール送信処理について、図3を参照して説明する。図3は本実施例に係るショートメール送信処理の動作を示すフローチャート図である。
【0042】
まず、アプリ制御部111は上述の伝言録音処理によって音声記録部に伝言音声が新規に録音又は、過去に録音された録音音声が更新されたか否かを判断する(ステップS301)。伝言音声が新規に録音又は、過去に録音された録音音声が更新されていない場合(ステップS301:NO)、アプリ制御部111は処理を戻し、再度ステップS301の実行を繰り返す。
【0043】
一方、伝言音声が新規に録音又は、過去に録音された録音音声が更新された場合(ステップS301:YES)、アプリ制御部111は着信履歴記憶部113に記憶された着信履歴を参照する(ステップS302)。そして、着信履歴記憶部113に記憶された着信履歴に含まれる発信者電話番号データが携帯電話のものであるか否かを判断する(ステップS303)。例えば、携帯電話の発信者電話番号は、その冒頭の番号が「080」又は「090」で始まることから識別可能であるため、アプリ制御部111は、ステップS202において記憶された発信者電話番号データから容易に判断することができる。尚、ステップS301におけるアプリ制御部111は、本発明に係る「判別手段」の一例として機能する。
【0044】
そして、携帯電話に対応する発信者電話番号データの中から、更に所定の期間内に閾値以上の回数アクセスがあった携帯電話番号が有るか否かを判断する(ステップS304)。ここで、「所定の期間に閾値以上の回数」とは、ショートメールを送信する必要がある程度にアクセス頻度があるか否かを判断するのに有効な回数であって、実験的、理論的或いはシミュレーション的な手法により適宜設定するとよい。
【0045】
ここで、所定の期間内に閾値以上の回数アクセスがあった携帯電話番号が無い場合(ステップS304:NO)、アプリ制御部111は、ショートメールを送信する必要が無いとして処理を終了する(RETURN)。一方、所定の期間内に閾値以上の回数アクセスがあった携帯電話番号がある場合(ステップS304:YES)、アプリ制御部111は、ショートメール作成部116において、ホスト端末10によって伝言音声の新規録音又は更新が有った旨のショートメールを作成し(ステップS305)、当該発信者電話番号データに対応する携帯電話に対して送信する(ステップS306)。
【0046】
尚、ショートメールは送信する文字数が多くなるに従い料金が高額になるため、ここで送信するショートメールは極力短いことが好ましい。
【0047】
具体例を用いて説明すると、ステップS304における「所定の期間に閾値以上の回数」を設定する基準として、例えばエンド端末20のユーザがホスト端末10のユーザに対して顧客の関係にある場合、アクセス頻度の少ないエンド端末20のユーザは当該ホスト端末10への興味が少ないと推測される。そのため、このようなエンド端末20に対しては、ショートメールの送信回数を制限又は停止する。これにより、興味が少ない顧客に対して無駄なショートメールの送信を防止することによって、ショートメールの送信にかかる費用を削減することができると共に、興味の少ない顧客側にとっても不要なショートメールを受信する煩わしさから解放されることとなる。逆に、アクセス頻度の多いエンド端末20のユーザは当該ホスト端末10への興味が大きいと推測される。そのため、このようなエンド端末20に対しては、ショートメールの送信回数を制限しない又は増加させてもよい。これにより、興味が大きい顧客に対して積極的にショートメールを送信することができる。このようにエンド端末20側からのアクセス頻度に応じて、ショートメールの送信回数を設定するとよい。
【0048】
また、所定の期間内にアクセスが無いエンド端末20に対しては、ショートメールの送信を完全に停止してもよい。この場合、その後当該エンド端末20から再びアクセスが有った場合には、ショートメールの送信停止を解除し、送信を再開してもよい。
【0049】
尚、ショートメールサービスでは、ショートメールの送信回数に伴って送信側(即ちホスト端末10側)にコストが発生する。そのため、仮に不特定多数の顧客層に対してショートメールを送信してしまうと、送信側(即ち、ホスト端末側)のコストがかさんでしまうという問題がある。その点、本発明によれば、特に過去の着信履歴に含まれる携帯電話に対して限定的にショートメールを送信するため、不特定多数の顧客層に対して送信する場合に比べて、ショートメールを送信するホスト端末10側のコストを安価に抑えることができる。
【0050】
また、識別IDによって識別された複数のホスト端末10が存在する場合には、所定の期間内におけるアクセス頻度に加えて、識別ID毎にアクセス頻度の統計を取り、その結果に応じて、ショートメールの送信回数を決定してもよい。この場合、アプリ制御部111は、エンド端末20のユーザのアクセス先の傾向を、当該アクセス時に入力された識別IDの履歴から求めることができる。具体的には、アプリ制御部111は、本発明に係る「識別番号」の一例である識別IDが記憶された、本発明に係る「識別番号記憶手段」の一例である記憶装置(図不示)にアクセスすることにより、当該傾向を算出する。その結果、エンド端末20のユーザのニーズにより的確に応じたショートメールを必要な回数分だけ送信することができるため、ホスト端末10のユーザにとっては、効率的な宣伝が実現可能となると共に、無駄なショートメール送信によるコスト増加を防止することができる。一方、エンド端末20のユーザにとっては、不要なショートメールを送信される機会が減り、煩わしさを少なく抑えることができる。
【0051】
以上説明したように、ホスト端末10から伝言音声が更新されたタイミングで、過去の着信履歴に基づいてエンド端末20にショートメールが送信されるので、エンド端末20のユーザは、当該ショートメールを受信することにより、ホスト端末10による伝言音声の更新を迅速に認識することができる。その結果、異なる状況下に置かれたホスト端末10及びエンド端末20間のコミュニケーションの円滑化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば、伝言音声の更新がショートメールの送信によって携帯電話のユーザに迅速に知らしめることにより、時間的、地域的に異なる状況下に置かれた端末間のコミュニケーションを円滑に行うことが可能な伝言通信システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 ホスト端末
20 エンド端末
100 サーバ
111 アプリ制御部
112 受信部
113 着信履歴記憶部
114 音声記憶部
115 音声再生部
116 ショートメール作成部
117 ショートメール送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末及び第2の端末から電話回線を介してアクセス可能な通信制御システムであって、
前記第1の端末から入力された音声データを記憶する音声データ記憶手段と、
前記第2の端末からの着信時に、前記音声データ記憶手段に記憶された前記音声データを再生する再生手段と、
前記第2の端末からの着信時に、当該第2の端末から送信された発信者電話番号データを記憶する発信者電話番号データ記憶手段と、
前記記憶された発信者電話番号データに基づいて、前記第2の端末が携帯電話であるか否かを判別する判別手段と、
前記第2の端末が携帯電話であると判別された場合に、前記音声データ記憶手段に録音された音声データが更新されるタイミングで、前記発信者電話番号データ記憶手段に記憶された発信者電話番号データに基づいて前記第2の端末にショートメールを送信するショートメール送信手段と
を備えることを特徴とする伝言通信システム。
【請求項2】
前記第2の端末からの着信履歴を記憶する着信履歴記憶手段を更に備え、
前記ショートメール送信手段は、前記記憶された着信履歴を参照することにより、所定期間内における前記第2の端末からの着信回数に応じて前記第2の端末に前記ショートメールを送信する回数を設定することを特徴とする請求項1に記載の伝言通信システム。
【請求項3】
前記ショートメール送信手段は、前記所定期間内における前記第2の端末からの着信回数が所定の閾値より少ない場合に、前記第2端末に対するショートメールの送信を停止することを特徴とする請求項1に記載の伝言通信システム。
【請求項4】
複数の前記第1の端末の各々を識別するための識別番号が前記第1の端末毎に設定されており、
前記再生手段は、前記第2の端末から入力された前記識別番号に基づいて、当該識別番号に対応する前記第1の端末から入力されることによって前記音声データ記憶手段に記憶された前記音声データを再生することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の伝言通信システム。
【請求項5】
前記第2の端末からの着信時に、当該第2の端末から入力された前記識別番号を記憶する識別番号記憶手段と、
前記記憶された識別番号を解析することにより、前記第1の端末の各々に対する前記第2の端末からのアクセス頻度を算出するアクセス頻度算出手段と
を備え、
前記ショートメール送信手段は、前記算出されたアクセス頻度に応じて、前記第2の端末毎に前記ショートメールを送信する回数を設定することを特徴とする請求項4に記載の伝言通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−234287(P2011−234287A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105218(P2010−105218)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(510121813)
【出願人】(510121824)デンフォン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】