説明

伝言/掲示システム、伝言/掲示装置および伝言/掲示方法

【課題】電子メールアカウント取得のための手間が不要な伝言/掲示システム、伝言/掲示装置および伝言/掲示方法を提供する。
【解決手段】複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバと、少なくともメール受信サーバと通信するための通信手段、通信手段を介してメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する抽出手段、および抽出手段が抽出した電子メールの内容を表示する表示手段を有する伝言/掲示装置と、を備える伝言/掲示システム

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールに記載された内容を表示可能な伝言/掲示システム伝言/掲示装置および伝言/掲示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば会社内等で、社員に行事の予定や各社員のスケジュール等を知らせるために、掲示板が使用されている。掲示板には、掲示内容が記載された紙が、ピン等により留められ、社内の社員に参照可能とされる。
【0003】
近年、上記のような紙を掲示する掲示板に替わって、電気的な手段で文字等を表示可能なディスプレイを備えた電子掲示板システムが提案されている。このような電子掲示板システムとしては、電子メールを受けて、その電子メールの内容を、職場等に設置された電子掲示板としての画面(大画面ディスプレイ)に表示させることができる電子掲示板システム(特許文献1 第2図、段落0010、0060参照)が挙げられる。
【0004】
例えば、社員(構成員)のそれぞれに電子メールアドレスが与えられ、社員が、端末機器から、メール受信サーバの、各社員の電子メールアドレスに対応した電子メールボックスにアクセスして、受信メールを参照可能な電子メールシステムが構築されている会社(組織)において、従来の電子掲示板システムを導入する際には、メール受信サーバに、電子掲示板に対応する新たな電子メールボックス(電子メールアカウント)を設ける。
社員等のユーザーは、電子掲示板の電子メールボックスに対応する電子メールアドレスに電子メールを送信することで、電子掲示板に伝言や掲示内容を表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−229918号公報(第2図、段落0010、0060)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電子掲示板システムを導入する際には、前述の通り、メール受信サーバに、電子掲示板に対応する新たな電子メールボックス(電子メールアカウント)を追加する作業が必要であり、電子掲示板システムの導入に手間が掛かるという課題がある。特に、多くの社員を抱える大企業等の組織においては、新たな電子メールアカウントを取得するには、電子メールアカウント取得のための申請書類の作成や、関係者の承認処理等が必要で、労力が掛かる場合が多い。
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、導入する際に、電子メールアカウント取得のための手間が不要な伝言/掲示システム、伝言/掲示装置および伝言/掲示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る伝言/掲示システムは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバと、メール受信サーバと通信するための通信手段、通信手段を介してメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する抽出手段、および抽出手段が抽出した電子メールの内容を表示する表示手段を有する伝言/掲示装置と、を備えることを特徴とする。これによれば、伝言/掲示システムの導入の際、伝言/掲示装置に対応した専用の電子メールアカウントを新たに用意する必要がない。
【0009】
また、前記伝言/掲示装置は、前記複数の電子メールボックスの中から抽出対象のメールボックスを設定するための設定手段を備え、前記抽出手段は、設定されたメールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出することを特徴とする。
【0010】
さらに、前記抽出手段は、件名に前記伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールのみを抽出することを特徴とする。これによれば、伝言/掲示指定文字列は件名に含まれているため、電子メールを受信したユーザーは、伝言/掲示指定文字列の有無を容易に確認することができる。
【0011】
また、前記表示手段は、表示する電子メールの件名または本文に、表示方法を指定する所定の表示方法指定文字列が含まれている場合には、該表示方法指定文字列が指定する表示方法に基づいて該電子メールの内容を表示することを特徴とする。これによれば、電子メール毎に、伝言/掲示装置における表示方法を指定することができる。
【0012】
さらに、前記表示手段は、表示する電子メールの件名または本文に、表示方法として表示時間を指定する前記表示方法指定文字列が含まれている場合には、該表示方法指定文字列が指定する表示時間の間だけ、該電子メールの内容を表示することを特徴とする。これによれば、電子メール毎に、伝言/掲示装置における表示時間を指定することができる。
【0013】
また、前記表示手段は、電子メールの内容を、スクロールさせて表示可能であることを特徴とする。これによれば、限られた大きさの表示手段においても、多数の電子メールの内容を表示することができる。
また、本発明に係る伝言/掲示装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバを用いる伝言/掲示装置であって、前記メール受信サーバと通信するための通信手段と、通信手段を介してメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する抽出手段と、抽出手段が抽出した電子メールの内容を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。これによれば、電子メールを発信するユーザーは、その電子メールの件名または本文に伝言/掲示指定文字列を記述することにより、特定の電子メールの内容のみを伝言/掲示装置に表示させることができる。また、電子メールの件名の伝言/掲示指定文字列の有無を確認することにより、その電子メールが伝言/掲示装置に表示されるものであるか否かを容易に確認することができる。
【0014】
また、前記複数の電子メールボックスの中から抽出対象のメールボックスを設定するための設定手段を備え、前記抽出手段は、設定されたメールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出することを特徴とする。
また、本発明に係る伝言/掲示方法は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出するステップと、抽出された電子メールの内容を表示装置に表示するステップと、を備えることを特徴とする。これによれば、電子メールを受信したユーザーは、件名の伝言/掲示指定文字列の有無を容易に確認することができる。また、専用の電子メールアカウントを新たに用意する必要がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る伝言/掲示システム、伝言/掲示装置および伝言/掲示方法によれば、導入する際に、電子メールアカウント取得のための手間が不要となるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る伝言/掲示システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】本実施の形態に係る伝言/掲示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】電子メールの例を示す説明図であり、(a)は、件名に伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メール、(b)は、件名に伝言/掲示指定文字列が含まれない、通常の電子メールを示す。
【図4】本実施の形態に係る伝言/掲示装置の外観図であり、(a)は複数行の文字列を表示可能な表示手段を備えた伝言/掲示装置、(b)は、1行のみの文字列を表示可能な表示手段を備えた伝言/掲示装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る伝言/掲示システム、伝言/掲示装置および伝言/掲示方法の好適な実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本実施の形態に係る伝言/掲示システムの全体構成を示す説明図である。
図1の伝言/掲示システムは、組織としての会社の有する、建物としての社屋C内に、メール受信サーバ6と、メール送信サーバ8と、複数の端末装置10a,10b,・・と、複数の伝言/掲示装置12a,12bとを備える。
【0019】
メール受信サーバ6と、メール送信サーバ8と、端末装置10a,10b,・・と、伝言/掲示装置12a,12bとは、ネットワークとしての社内LAN4を介して、互いに通信可能に接続されている。また、メール受信サーバ6とメール送信サーバ8とは、さらに、ネットワークとしての、インターネット等のWAN2に接続され、WAN2を介して図示しない他のコンピュータ等と通信可能に設けられている。
【0020】
前記会社の構成員としての複数の社員Ua,Ub,・・のそれぞれには、電子メールアドレス(電子メールアカウント)が割り振られる。メール受信サーバ6は、各社員Ua,Ub,・・に割り振られた電子メールアドレスのそれぞれに対応した、複数の電子メールボックス6a,6b,・・を有する。メール受信サーバ6は、社内LAN4およびWAN2を介して受信した電子メールを、その電子メールの宛先に記述された電子メールアドレスに応じて、各電子メールボックス6a,6b,・・に振り分けて保存する。各社員Ua,Ub,・・は、パソコン等の端末機器10a,10b,・・にインストールされた電子メールソフト等を介して、各電子メールボックス6a,6b,・・に受信(保存)された電子メールをアクセス可能に設けられる。
【0021】
端末機器10aが電子メールボックス6aにアクセスする際には、POP3プロトコルを用いて、端末機器10aが、社員Uaに割り振られた電子メールアカウントと、その電子メールアカウントに対応したパスワードを、メール受信サーバ6に送信することで、メール受信サーバ6が、その電子メールアカウントに対応した電子メールボックス6aに受信(保存)された電子メールへのアクセスを、その端末機器10aに許可する(以下の端末機器10b,10c,・・が電子メールボックス6b,6c,・・にアクセスする方法も同様である)。
【0022】
また、各社員Ua,Ub,・・は、端末機器10a,10b,・・の前記電子メールソフト等を介して、メール送信サーバ8に電子メールを送信することができる。端末機器10a,10b,・・がメール送信サーバ8にアクセスする際には、SMTPプロトコルを用いる。メール送信サーバは、端末機器10a,10b,・・から送信されてきた電子メールを、社内LAN4またはWAN2を介して、その電子メールの宛先に記述された電子メールアドレスに対応するメール受信サーバ(本実施の形態のメール受信サーバ6、またはWAN2を介して通信可能な他のメール受信サーバ)へ送信する。
【0023】
伝言/掲示装置12a,12bは、社屋C内の、社員が目視可能な場所に設置される。伝言/掲示装置12a,12bは、社内LAN4を介してメール受信サーバ6にアクセスすることができる。伝言/掲示装置12aは、特定の社員Uc,Udの電子メールボックス6c,6dに受信された電子メールを参照可能に設けられ、伝言/掲示装置12bは、特定の社員Udの電子メールボックス6dに受信された電子メールを参照可能に設けられる。また、伝言/掲示装置12a,12bは、参照した電子メールの内容を表示する表示手段30(後述)を備える。
【0024】
本実施の形態に係る伝言/掲示装置12aの構成を示すブロック説明図を図2に示す。なお、伝言/掲示装置12bの構成は、伝言/掲示装置12aと同様であるため説明を省略する。
【0025】
伝言/掲示装置12aは、LANカード等により構成され、社内LAN4を介して、社内LAN4に接続された他の機器とデータ通信が可能な通信部14と、CPUやメモリを有しROM等に記憶されたファームウェアプログラムを実行可能な制御部16と、液晶ディスプレイ等の、画像や文字等を表示可能な表示部18とを備える。
【0026】
(メール参照手段28)
制御部16は、ファームウェアプログラムを実行することにより、通信部14を介してメール受信サーバ6の電子メールボックスにアクセスするメールボックスアクセス手段20と、メールボックスアクセス手段20がアクセスする、メール受信サーバのアドレス、電子メールボックスのアカウント名、およびそのアカウントに対応するパスワードを設定する接続設定手段19とを実現する。通信部14と接続設定手段19とメールボックスアクセス手段20とにより、メール受信サーバ6の電子メールボックスに受信された電子メールを参照するメール参照手段28が構成される。
【0027】
接続設定手段19は、社内LAN4に接続されたパソコン等の端末機器から、社内LAN4を介して伝言/掲示装置12aに所定の接続設定コマンドが送信されることで起動される。接続設定手段19は、接続設定コマンドのパラメータとして送信されてきた、メール受信サーバのアドレス、電子メールボックスのアカウント名、およびパスワードを、メールボックスアクセス手段20に渡して設定させる。なお、メール受信サーバのアドレス、電子メールボックスのアカウント名およびパスワードは、複数組設定可能となっている。なお、接続設定手段19にメール受信サーバのアドレス、電子メールボックスのアカウント名、およびパスワードを入力する手段は、前記接続設定コマンドに限定されない。例えば、伝言/掲示装置12aの外面に、ユーザーが操作可能な入力手段としての入力ボタンを設けて、入力ボタンにより入力するよう構成してもよい。
【0028】
メールボックスアクセス手段20は、接続設定手段19により設定されたメール受信サーバの、設定された各電子メールボックスにアクセスして、その各電子メールボックスに受信されている電子メールのデータを、伝言/掲示メール抽出手段22に渡す。メールボックスアクセス手段20は、この、各電子メールボックスへのアクセスを、定期的(例えば10分おき)に行う。
【0029】
本実施の形態においては、接続設定手段19により予め、伝言/掲示装置12aのメールボックスアクセス手段20がアクセスするメール受信サーバは、社屋C内のメール受信サーバ6に設定され、また、アクセスする電子メールボックスは、社員Uc,Udの各電子メールボックス6c,6dに設定されている。
【0030】
また、伝言/掲示装置12bのメールボックスアクセス手段20がアクセスするメール受信サーバは、社屋C内のメール受信サーバ6に設定され、また、アクセスする電子メールボックスは、社員Udの電子メールボックス6dに設定されている。
【0031】
なお、本実施の形態においては、伝言/掲示装置12a,12bがアクセスする電子メールボックスは、メール受信サーバ6内の電子メールボックスのみに設定されているが、社内LAN4やWAN2を介して、複数のメール受信サーバ内の電子メールボックスをアクセスするよう設定してもよい。
【0032】
(伝言/掲示メール抽出手段22)
制御部16は、ファームウェアプログラムを実行することにより、メール参照手段28に参照された電子メールのうち、件名内に、電子メールの内容を表示手段30(後述)に表示させることを指定する所定の伝言/掲示指定文字列(後述)が含まれる電子メールのみを抽出する伝言/掲示メール抽出手段22を実現する。
【0033】
伝言/掲示メール抽出手段22は、メール参照手段28から電子メールのデータを受けて起動され、電子メールの件名内に伝言/掲示指定文字列が含まれるか否かを検索する。本実施の形態においては、伝言/掲示指定文字列は、「***伝言***」と「***掲示***」に設定されている。すなわち、伝言/掲示メール抽出手段22は、メール参照手段28から受けた電子メールのうち、件名に「***伝言***」または「***掲示***」の文字列が含まれる電子メールのみを抽出する(なお、伝言/掲示指定文字列はこれに限定されず、任意の文字列に設定してよい)。さらに、伝言/掲示メール抽出手段22は、抽出した電子メールの本文データを表示データ生成手段24へ、抽出した電子メールの件名データを表示方法制御手段26へ、それぞれ渡す。
【0034】
社員Udに対応する電子メールボックス6dに受信され、メール参照手段28に参照される電子メールの例を、図3(a),(b)に示す。図3(a)に示す電子メールMaは、その件名に「***伝言***」の文字列が含まれている。従って、伝言/掲示メール抽出手段22は、電子メールMaの本文データおよび件名データを、表示データ生成手段24および表示方法制御手段26へ、それぞれ渡す。一方、図3(b)に示す電子メールMbの件名には、「***伝言***」または「***掲示***」の文字列が含まれていない。従って、伝言/掲示メール抽出手段22は、電子メールMbの本文データおよび件名データは、表示データ生成手段24および表示方法制御手段26へ渡さない。
【0035】
(表示手段30)
制御部16は、ファームウェアプログラムを実行することにより、伝言/掲示メール抽出手段22により抽出された電子メールの本文の内容を、表示部18が表示可能なイメージデータに変換する表示データ生成手段24と、表示する電子メールの件名に、表示方法を指定する所定の表示方法指定文字列(後述)が含まれている場合には、その表示方法指定文字列が指定する表示方法に基づいてその電子メールの内容を表示するよう、表示部18または表示データ生成手段24を制御する表示方法制御手段26とを実現する。表示データ生成手段24と、表示方法制御手段26と、表示部18とにより、表示手段30が構成される。
【0036】
表示方法制御手段26は、伝言/掲示メール抽出手段22から電子メールの件名データを受けて起動され、電子メールの件名内の表示方法指定文字列を検索する。本実施の形態においては、表示方法指定文字列としては、表示時間を指定する「[数値]:[数値]」の文字列、水平スクロール表示を指定する「xs」の文字列、垂直スクロール表示を指定する「ys」の文字列、および表示色を指定する「wh」,「ye」,「rd」の各文字列が設定されている。
【0037】
「[数値a]:[数値b]」で表される表示方法指定文字列は、電子メールの内容を表示手段30に表示させる時間(表示時間)を指定するものである。表示方法制御手段26は、件名に「[数値a]:[数値b]」の文字列が含まれている電子メールは、表示データ生成手段24および表示部18を制御して、数値aで表された時間(hour)と数値bで表された分(minute)だけ、その内容を表示部18に表示させる。
例として、図3(a)に示す電子メールMaは、その件名に「1:30」の文字列が含まれているため、表示方法制御手段26は、電子メールMaの内容を表示部18に1時間30分の間だけ表示させて、1時間30分経過後に消去させる。
【0038】
「xs」,「ys」で表される表示方法指定文字列は、電子メールの内容を水平スクロール,垂直スクロールさせて表示手段30に表示させることを指定するものである。表示方法制御手段26は、表示データ生成手段24および表示部18を制御することで、件名に文字列「xs」が含まれる電子メールの内容は水平スクロールさせて、件名に文字列「ys」が含まれる電子メールの内容は垂直スクロールさせて、それぞれ表示部18に表示させる。例として、図3(a)に示す電子メールMaは、その件名に「ys」の文字列が含まれているため、表示方法制御手段26は、電子メールMaの内容を垂直スクロールさせて表示部18に表示させる。
なお、複数の電子メールの内容を同時に表示部18に表示させる場合に、各電子メールに指定されたスクロール方向や、スクロール指定の有無が一致しない場合には、自動的にいずれかのスクロール方向や、スクロール有無を採用するよう構成するとよい。
【0039】
「wh」,「ye」,「rd」で表される表示方法指定文字列は、電子メールの内容の表示色を指定するものであり、「wh」は白色(White)、「ye」は黄色(Yellow),「rd」は赤色(Red)で表示させることを、それぞれ指定するものである。表示方法制御手段26は、表示データ生成手段24および表示部18を制御して、件名に文字列「wh」が含まれる電子メールの内容は白色で、件名に文字列「ye」が含まれる電子メールの内容は黄色で、件名に文字列「rd」が含まれる電子メールの内容は赤色で、それぞれ表示部18に表示させる。
【0040】
例として、図3(a)に示す電子メールMaは、その件名に「rd」の文字列が含まれているため、表示方法制御手段26は、電子メールMaの内容を表示部18に赤色で表示させる。
【0041】
図4に、伝言/掲示装置12aの外観図を示す(伝言/掲示装置12bも同様)。図4(a)の伝言/掲示装置12aは、複数行の文字列を表示可能な表示部18を備え、複数の伝言/掲示内容を垂直スクロールさせながら表示可能に設けられる。
また、表示部18の表示面積を小さくしてコスト減を図る場合には、例えば図4(b)に示すように、表示部18を1行のみ表示可能な高さに設定し、複数の伝言/掲示内容を水平スクロールさせて表示可能に設けることもできる。
【0042】
なお、本発明に係る伝言/掲示装置が表示する、電子メールの内容は、電子メールの本文に限定されるものではなく、例えば、電子メールの件名や、電子メールに添付された添付ファイルの内容(例えば、添付された文書ファイル、画像ファイルおよび動画ファイル等の内容)をも含む。
【0043】
なお、端末機器10a,10b,・・にインストールされる電子メールソフトは、一般的に、電子メールボックス内の電子メールにアクセスした際に、アクセス済みの電子メールを削除するよう設定できるが、本伝言/掲示システムにおいては、伝言/掲示装置12a,12bに参照される電子メールボックス6c,6dを参照する端末装置10c,10dの電子メールソフトは、アクセスした電子メールを削除せずに電子メールボックス6c,6d内に保持するよう、電子メールソフトを設定しておく。
【0044】
こうすることにより、電子メールボックス6c,6d内の電子メールが自動的に削除されてしまうことがなくなり、伝言/掲示装置12a,12bが電子メールボックス6c,6dに受信された電子メールの全てを参照することが可能となる。
【0045】
本実施の形態に係る伝言/掲示システムによれば、伝言/掲示装置12a(12b)は、メール受信サーバ6の、社員Uc,Ud(Ud)の電子メールボックス6c,6d(6d)に受信された電子メールを参照して表示するため、伝言/掲示システムの導入の際、伝言/掲示装置12a(12b)に対応した専用の電子メールアカウントを新たに用意する必要がなく、従来の電子掲示板システムに比較して、伝言/掲示システムの導入の手間が軽減される。
【0046】
さらに、電子メールを発信するユーザーは、その電子メールの件名に伝言/掲示指定文字列を記述することにより、特定の電子メールの内容のみを伝言/掲示装置12a(12b)に表示させることができる。すなわち、伝言/掲示装置12a(12b)に表示させたい内容の電子メールの件名には図3(a)のように伝言/掲示指定文字列を記述し、一方、伝言/掲示装置12a(12b)に表示させる必要のない、社員Uc,Ud(Ud)個人宛の電子メールには、図3(b)のように伝言/掲示指定文字列を記述しなければよい。従って、社内LAN4上に伝言/掲示装置12a(12b)を設けても、社員Uc,Ud(Ud)の従来の電子メールのやりとりに支障が生じることがない。
【0047】
さらに、伝言/掲示指定文字列は、電子メールの件名に記述されるため、電子メールを受信した社員Uc,Ud(Ud)は、電子メールソフトにまず表示される件名を見ることで、その電子メールが伝言/掲示装置12a(12b)に表示されるものであるか否かをすぐに判別することができる。
【0048】
さらに、伝言/掲示装置12a(12b)に表示される電子メールの内容の表示色を指定できることで、重要な伝言/掲示内容を注目させたりすることができる。
さらに、伝言/掲示装置12a(12b)に表示される電子メールの内容の表示時間を指定できることで、不要となった伝言/掲示内容までもが表示され続けることがなくなり、必要な伝言/掲示内容がより注目されやすくなる。
【0049】
さらに、スクロール表示が可能であることで、限られた大きさの表示部18においても、多数の電子メールの内容を表示させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、伝言/掲示装置12a(12b)が参照する電子メールボックスは、特定の二人(一人)の社員Uc,Ud(Ud)の電子メールボックス6c,6d(6d)とした。しかし、本発明でいうところの「特定のユーザーの電子メールアドレスに対応する電子メールボックス」の語は、必ずしもメール受信サーバ6が有する電子メールボックスの一部という意味に限定されず、メール受信サーバ6の、全てのユーザーの電子メールアドレスに対応する電子メールボックス(言い換えると、メール受信サーバ6が有する全ての電子メールボックス)の意味をも含む。つまり、メール受信サーバ6の、全ての社員Ua,Ub,・・の電子メールボックス6a,6b,・・を、伝言/掲示装置12a(12b)が参照する電子メールボックスとして設定してもよい。
【0051】
また、本発明に係る伝言/掲示システムを、工場に導入することで、より好適な効果を得ることができる。
伝言/掲示システムを工場に導入する場合には、伝言/掲示装置を、工場内の全ての作業者が見られるように、工場内の複数箇所に設置する。そして、伝言/掲示装置が参照する電子メールボックスを、各伝言/掲示装置間で共通のユーザーの電子メールボックスに設定しておく。
【0052】
こうすることで、例えば工場内の全作業者に対して作業指示を行いたい場合には、伝言/掲示装置が参照するよう設定された電子メールボックスに対応する電子メールアドレス宛に、作業指示を記述した電子メールを送信すれば、全ての伝言/掲示装置にその電子メールの内容を表示させて、工場内の全作業者に簡単に作業指示を与えることができる。
従って、従来、各作業員に対して口頭で行っていた、工場内での作業指示を、伝言/掲示装置に表示させることで、簡単に行うことができる。
【0053】
なお、同一工場内で複数工程を行う大きな工場等においては、各伝言/掲示装置が参照する電子メールボックスは、必ずしも全て共通なものにする必要はなく、工場内の、各工程が行われる領域ごとに、伝言/掲示装置が参照する電子メールボックスが異なるように設定してもよい。こうすることで、特定の工程が行われている領域に設置された伝言/掲示装置のみに、その工程に対する作業指示を与えることができ、その作業指示には関係のない工程を行う作業者に不要な作業指示を参照させてしまうことがなくなる。
【0054】
もちろん、本発明に係る伝言/掲示装置は、社屋内や工場内での使用に限定されない。
例えば、一般家庭の家の中に設置してもよい。この場合、電子メールによって外出中でも家の中の伝言/掲示装置に伝言を表示させることでき、例えば留守中に帰宅者に対する伝言を行ったり、一人暮らしのお年寄りとのコミュニケーションをとったりすることが、簡単に行える。特に、本発明に係る伝言/掲示装置によれば、従来のパソコンや携帯電話機で電子メールを読む場合に比較して、パソコンや携帯電話機等における煩雑な操作を行うことなく、自動的に表示部に伝言が表示されるため、パソコンや携帯電話機の操作になじめない老人や子供にも、簡単に伝言を参照させることができる。
【0055】
また、例えば、本発明に係る伝言/掲示装置を、店舗の前等に設置される電子広告灯として利用してもよい。従来の電子広告灯は、広告灯内のROMに記憶された画像データや動画データに基づいて画像や動画が表示されていたため、画像等を容易に変更することができず、専門の業者によってROMの交換や書き換えが必要であり、コストと手間が掛かっている。この点、本発明に係る伝言/掲示装置を広告灯に利用すれば、電子メールによって簡単に表示内容を変更することができ、例えば、各日のおすすめ商品の宣伝や、特売日の宣伝等、時々の必要に応じて表示内容を簡単かつ低コストに変更することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
2 WAN(ネットワーク)
4 社内LAN(ネットワーク)
6 メール受信サーバ
6a,6b,6c,6d 電子メールボックス
8 メール送信サーバ
10a,10b,10c,10d 端末機器
12a,12b 伝言/掲示装置
14 通信部
16 制御部
18 表示部
19 接続設定手段
20 メールボックスアクセス手段
22 伝言/掲示メール抽出手段
24 表示データ生成手段
26 表示方法制御手段
28 メール参照手段
30 表示手段
Ma,Mb 電子メール
C 社屋(組織としての会社の有する建物)
Ua,Ub,Uc,Ud 社員(組織としての会社の構成員)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバと、
メール受信サーバと通信するための通信手段、通信手段を介してメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する抽出手段、および抽出手段が抽出した電子メールの内容を表示する表示手段を有する伝言/掲示装置と、
を備えることを特徴とする伝言/掲示システム。
【請求項2】
前記伝言/掲示装置は、前記複数の電子メールボックスの中から抽出対象のメールボックスを設定するための設定手段を備え、前記抽出手段は、設定されたメールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する、請求項1記載の伝言/掲示システム。
【請求項3】
前記抽出手段は、件名に前記伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールのみを抽出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝言/掲示システム。
【請求項4】
前記表示手段は、表示する電子メールの件名または本文に、表示方法を指定する所定の表示方法指定文字列が含まれている場合には、該表示方法指定文字列が指定する表示方法に基づいて該電子メールの内容を表示することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の伝言/掲示システム。
【請求項5】
前記表示手段は、表示する電子メールの件名または本文に、表示方法として表示時間を指定する前記表示方法指定文字列が含まれている場合には、該表示方法指定文字列が指定する表示時間の間だけ、該電子メールの内容を表示することを特徴とする請求項4記載の伝言/掲示システム。
【請求項6】
前記表示手段は、電子メールの内容を、スクロールさせて表示可能であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項記載の伝言/掲示システム。
【請求項7】
複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバを用いる伝言/掲示装置であって、
メール受信サーバと通信するための通信手段と、
通信手段を介してメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する抽出手段と、
抽出手段が抽出した電子メールの内容を表示する表示手段と、を備えた伝言/掲示装置。
【請求項8】
前記複数の電子メールボックスの中から抽出対象のメールボックスを設定するための設定手段を備え、前記抽出手段は、設定されたメールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出する、請求項7記載の伝言/掲示装置。
【請求項9】
複数のユーザーの電子メールアドレスのそれぞれに対応した複数の電子メールボックスを有するメール受信サーバの各電子メールボックスに受信された電子メールのうち、件名または本文に所定の伝言/掲示指定文字列が含まれる電子メールを抽出するステップと、
抽出された電子メールの内容を表示装置に表示するステップと、を備えた電子メールによる伝言/掲示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−87377(P2009−87377A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6410(P2009−6410)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【分割の表示】特願2003−140018(P2003−140018)の分割
【原出願日】平成15年5月19日(2003.5.19)
【出願人】(502204931)シスメックスRA株式会社 (7)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】