説明

伝送状態表示方法および装置

【課題】
情報伝送システムの運用に係わる情報を記録することで、その運用作業をより簡単にするための支援を行うことが可能な伝送状態表示方法を提供する。
【解決手段】
往路と復路の伝送状態が相違するコースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値を取得し、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成し、前記コースに前記移動体の現在位置を示す位置マーカを表示するとともに、前記移動体が複数ある場合その間の相対距離1144と、前記移動体の現在位置から所定位置までの距離1143と、前記移動体の現在位置から所定位置までの推定到達時間のうち少なくともいずれか一つを表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体例えば中継車と、その移動体から無線伝送された情報である伝送情報を受信する他の装置例えば基地局を少なくとも備えた情報伝送システムに関し、移動体からの伝送情報の伝送状況を確認し、その伝送手順の事前確認試験や計画ならびに本番運用時の支援を行うための伝送状態表示方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にマラソン中継や駅伝中継のために映像信号等の情報の伝送を行う情報伝送システムとしては、従来から映像信号伝送用のFPU(フィールド・ピックアップ・ユニット)装置を搭載した中継車から、撮像カメラで撮像した映像信号をFPU装置によって、中継車から例えば山の頂に設置した基地局へ、800MHzOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)変調方式の無線電波でもって、その映像信号等の伝送信号を伝送している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−94481号公報(第6から7頁、図20)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の技術では、無線電波を用いた伝送方式であるため、移動中の中継車の位置に応じて、最適な伝送状況でもって無線伝送が可能となるようにしなければならない。さらに、移動中の中継車の移動状況、例えば、中継車の移動速度や移動方向に応じて、最適な伝送状況でもって無線伝送が可能となるようにしなければならない。
【0005】
そのため、例えば、複数ある基地局のうち、中継車や移動状況の位置に応じて伝送状況が最適な基地局を予め確認し選択しておき、その選択された基地局へ効率よく無線電波の伝送情報を伝送するようにする。あるいは、中継車や移動状況の位置に応じて、伝送を行わないとするコース範囲を予め確認しておき、その確認された範囲に中継車があるときは無線電波の伝送情報の伝送を行わないようにする。あるいは、中継車や移動状況の位置に応じて移動体の移動路上の特徴を予め確認しておき、その確認された特徴を、例えば、紙媒体上に記録しておく必要がある。しかしながら、従来は、それら確認作業が人手に頼むことが多く、煩雑を究める作業であった。
【0006】
本発明の目的は、情報伝送システムの運用に係わる情報を記録することで、その運用作業をより簡単にするための支援を行うことが可能な伝送状態表示方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するために、移動体が有する撮像装置で撮像して得られた映像信号を前記移動体から無線伝送し、前記無線伝送された映像信号を受信すると共に、前記移動体の位置を表す位置情報および前記移動体の移動状況を表す移動状況情報を生成し、前記受信された映像信号に関わる受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),遅延波レベルおよび伝送フォーマット・エラーのうち少なくとも一つの伝送状態情報を生成し、前記生成された伝送状態情報と前記位置情報および移動状況情報とを関連付けて記録することを特徴とする伝送状態表示方法である。そうすることで、前記記録された情報に基づいて、伝送状態が良好か否かを区別したプロット線を、前記移動体の移動位置を含む地図表示上に表示することができる。
【0008】
また、本発明は、コースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),伝送フォーマット・エラーおよび遅延波レベルのうち少なくとも一つの伝送状態情報を、所定時間毎に取得し、取得した前記所定時間毎に、取得した前記伝送状態情報の値に応じて、前記伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線を、地図上の前記コースに沿って前記地図上の前記移動体の位置に関連づけて表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0009】
本発明は、コースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値、および受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),伝送フォーマット・エラーおよび遅延波レベルのうち少なくとも一つの伝送状態情報を所定時間毎に取得し、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成し、且つ取得した前記所定時間毎の前記伝送状態情報の値に応じて、前記伝送情報の伝送状態が良好か否かを判定して前記良好か否かを区別したプロット線を生成し、前記移動体の位置情報を地図上の前記コースに沿って移動させながら、前記良好か否かを区別したプロット線を所定間隔毎に表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0010】
本発明において、前記取得した伝送状態情報は、設定されたしきい値との比較により前記伝送状態が良好か否かを区別したプロット線で、表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0011】
本発明において、前記取得した伝送状態情報は、前記プロット線を表示する表示画面上での操作入力により設定されたしきい値との比較により前記伝送状態が良好か否かを区別したプロット線で、表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0012】
本発明は、前記伝送状態情報を、複数のデータを取得して前記伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線で表示する際には、そのうちのいずれかのデータが否の場合に、前記伝送情報の伝送状態が否を表したプロット線を表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0013】
本発明は、前記伝送状態情報の前記所定時間毎に取得したデータを示すデータリストを表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0014】
本発明において、前記プロット線は、前記取得した伝送状態情報の取得数に応じて複数本並べて表示可能であることを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0015】
本発明は、前記地図上をクリックしてマーカ設定した場所の場所情報を示すクリック点情報を表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0016】
本発明は、前記地図上をクリックしてマーカ設定した場所と基地局との間を結ぶ直線を表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0017】
本発明において、前記取得した伝送状態情報は、前記コースを移動する移動体の移動方向に応じて、往路か復路かを設定登録可能で、該設定登録に応じて前記プロット線を表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0018】
本発明は、前記移動体の移動距離に応じてあるいは所定時間内に移動方向を反対の方向に変えた場合に、往路か前記復路かの設定を切り換えて登録することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0019】
本発明は、コースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値を取得し、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成し、前記コースに前記移動体の現在位置を示す位置マーカを表示するとともに、前記移動体が複数ある場合その間の相対距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの推定到達時間のうち少なくともいずれか一つを表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0020】
本発明は、前記コース上にマーク表示位置を指定することで、その地点をランドマークとしてリスト・アップすることを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0021】
本発明は、前記移動体が複数の場合、前記位置情報に応じて前記地図の表示を切り換えることを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0022】
本発明は、前記移動体の現在位置と該移動体の運行状況とから、所定時間後の前記移動体の推定位置を示す位置マークを表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0023】
本発明は、前記移動体が複数あり且つその位置マーカどうしが重なる場合に、それらを交互に上書き表示することを特徴とする伝送状態表示方法である。
【0024】
本発明は、移動体が有する撮像装置で撮像して得られた映像信号を前記移動体から無線伝送し、前記伝送された映像信号を受信すると共に、前記移動体の位置を表す位置情報および前記移動体の移動状況を表す移動状況情報を生成し、前記受信された映像信号に関わる受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),遅延波レベルおよび伝送フォーマット・エラーのうち少なくとも一つの伝送状態情報を生成する手段と、前記生成された伝送状態情報と前記位置情報および移動状況情報とを関連付けて記録する手段を備えたことを特徴とする伝送状態表示装置である。そうすることで、前記記録された情報に基づいて、伝送状態が良好か否かを区別したプロット線を、前記移動体の移動位置を含む地図表示上に表示する手段をさらに備えることで、伝送状態をより認識しやすく表示できる。
【0025】
本発明は、コースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),伝送フォーマット・エラーおよび遅延波レベルのうち少なくとも一つの伝送状態情報を、所定時間毎に取得する取得手段と、取得した前記所定時間毎に、取得した前記伝送状態情報の値に応じて、前記伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線を生成する生成手段と、地図上の前記コースに沿って前記地図上の前記移動体の位置に関連づけて表示する表示手段とを備えたことを特徴とする伝送状態表示装置である。
【0026】
本発明は、コースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値、および受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),伝送フォーマット・エラーおよび遅延波レベルのうち少なくとも一つの伝送状態情報を所定時間毎に取得する取得手段と、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成し、且つ取得した前記所定時間毎の前記伝送状態情報の値に応じて、前記伝送情報の伝送状態が良好か否かを判定して前記伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線を生成する生成手段と、前記移動体の位置情報を地図上の前記コースに沿って移動させながら、前記良好か否かを区別したプロット線を所定間隔毎に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする伝送状態表示装置である。
【0027】
本発明は、しきい値入力手段を備え、前記取得した伝送状態情報は、前記しきい値入力手段で入力して設定されたしきい値との比較により、前記伝送状態が良好か否かを区別したプロット線で、表示することを特徴とする伝送状態表示装置である。
【0028】
本発明は、前記プロット線を表示する前記表示手段の表示画面上での操作入力が可能なしきい値入力手段を備え、前記取得した伝送状態情報は、前記プロット線を表示する前記表示手段での操作入力により設定されたしきい値との比較により前記伝送状態が良好か否かを区別したプロット線で、表示することを特徴とする伝送状態表示装置である。
【0029】
本発明は、コースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値を取得する取得手段と、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成する生成手段と、前記コースに前記移動体の現在位置を示す位置マーカを表示するとともに、前記移動体が複数ある場合その間の相対距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの推定到達時間のうち少なくともいずれか一つを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする伝送状態表示装置である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、情報伝送システムの運用に係わる情報を記録することで、その運用作業をより簡単にするための支援を行うことが可能な伝送状態表示方法および装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による伝送状態表示方法および装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による情報表示の第1の例を示す図である。
【図3】本発明による情報表示の第2の例を示す図である。
【図4】本発明による情報表示の第3の例を示す図である。
【図5】本発明による情報表示の第4の例を示す図である。
【図6】本発明による情報表示の第5の例を示す図である。
【図7】本発明による情報表示の第6の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明による伝送状態表示方法および装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0033】
図1は、本発明による伝送状態表示方法および装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。図1においては、情報伝送システムとして、移動体10と基地局20が示されている。移動体10は例えば中継車であり、道路のコースに沿って移動(走行)する。基地局20は固定局であり、例えば山の上に設置される。
【0034】
移動体10は、移動体の移動距離を計測する距離計11と、移動体の位置や移動速度等の移動状況を計測するGPS受信機12と、映像信号を出力する撮像カメラ13とを有する。距離計11が計測した距離情報や、GPS受信機12が計測した位置情報および移動状況情報は、送信部14へ入力されて、伝送信号となって送信アンテナ15を介して基地局20へ送信される。
【0035】
送信部14は送信信号を800MHzOFDM(直交周波数分割多重)変調方式で変調し、伝送信号を生成するとしてもよい。
【0036】
基地局20は、この無線電波の伝送信号を受信する受信アンテナ21と、受信した伝送信号を映像信号、距離情報、位置情報、移動状況情報に復調するとともに、受信した伝送信号の受信状態から伝送状態情報を示す受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),伝送フォーマット・エラーおよび遅延波レベルを所定時間毎に取得する受信部22と、パソコン23を備える。
【0037】
パソコン23は、移動状態出力部24と、状態判定部25と、状態表示制御部26と、表示部27とを有する。移動状態出力部24は、上記復調された上記距離情報を入力し、その距離情報を緯度経度情報からなる位置情報であって、地図上の上記移動体の位置情報を生成する。状態判定部25は、上記所定時間毎の伝送状態情報に応じて、伝送信号の伝送状態が良好か否かを判定して良好か否かを区別した判定情報を生成する。状態表示制御部26は、移動状態出力部24で生成された位置情報を記録しあるいは上記復調された位置情報および移動状況情報を記録し、さらに、状態判定部25で生成された判定情報を記録して、記録した上記位置情報あるいは位置情報および移動状況情報さらに判定情報に応じて、移動体の位置情報を地図上のコース101に沿って移動させながら、上記伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線102,103を表示するためのデータを生成する。その生成されたデータによって、表示部27で上記伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線102,103が表示される。
【0038】
また、表示部27には、伝送状態が良好か否かを区別するためのしきい値入力部104が備えられ、このしきい値入力部104で操作入力した設定値は状態判定部25に入力され、上記伝送情報の伝送状態が良好か否かを判定する際の比較するしきい値として利用される。
【0039】
次に、図2を用いて、図1の表示部27における情報表示の第1の例について説明する。図2においては、白線で示すコース101上に、否(NG)の場合は実線部分で表したプロット線102を、良好(OK)の場合は白抜き線部分で表したプロット線103を示す。
【0040】
ここで、具体例を説明する。
(1)取得する伝送状態情報
No.1:受信電界レベル(BL)
No.2:ビット・エラー・レート(BER)
No.3:伝送フォーマットエラー(伝送NG)
No.4:遅延波レベル(DPF)
(2)取得するサンプリング仕様
下記仕様にてサンプリングを行ない、1秒周期で検出する。
No.1:受信電界レベル(BL)
62.5mS毎にA/D変換を行ない、1秒間での最悪値をサンプリングデータとする。
No.2:ビット・エラー・レート(BER)
62.5mS間隔で各ビットエラーレートの入力を取り込み、1秒間での最悪値をサンプリングデータとする。
No.3:伝送フォーマットエラー(伝送NG)
62.5mS間隔で伝送フォーマットエラーの入力をカウントし、1秒間のエラー合計値をサンプリングデータとする。
No.4:遅延波レベル(DPF)
反射波を、レベルに応じて、4段階のレベルのうちのいずれかのレベルとして取り込み、1秒間での最悪値をサンプリングデータとする。
(3)伝送状態情報の取得データに対する設定値すなわちしきい値は、表示地図の上方に表示したしきい値入力部104で、しきい値をいれて設定する。
このしきい値入力部104における各符号につき、説明する。
符号1041:ここに黒丸がある項目により判定を行なっていることを示す。
符号1042:BL(受信電界レベル)
サンプリングデータがこの設定値以下の場合にNGとする。
符号1043:BER(ビット・エラー・レート)
サンプリングデータがこの設定値以上の場合にNGとする。
符号1044:伝送NG
サンプリングデータがこの設定値以上の場合にNGとする。
符号1045:DPF(遅延レベル):
サンプリングデータがこの設定値以上の場合にNGとする。
符号1046:数式で指定
数式で指定する場合、黒丸をつける。
符号1047:使い方
簡単な、式の書き方の説明を表示する。
符号1048:登録(入力設定)した式の名前を表示
複数の式が登録(入力設定)可能である。
符号1049:式登録
表示中の式を登録(設定)する。
符号1050:式削除
表示中の式を削除する。
符号1051:登録(入力設定)した式を表示
サンプリングデータがこの欄の数式を成立した場合に否(NG)とする。
【0041】
このしきい値入力部104で操作入力され設定されたしきい値に応じて、図1の状態判定部25で、伝送情報の伝送状態が良好(OK)か否(NG)かが所定間隔この場合1秒毎に判定され、判定結果に基づき、否(NG)の場合は実線部分で表したプロット線102を、良好(OK)の場合は白抜き線部分で表したプロット線103を出力し、表示部27に入力することで、伝送情報の伝送状態が良好か否かを区別したプロット線102,103を所定間隔毎に表示する。
【0042】
ここで、伝送状態情報を示す受信電界レベル,ビット・エラー・レート(BER),伝送フォーマット・エラーおよび遅延波レベルのデータのうち、複数のデータに黒丸があり、複数のデータで判定する場合は、そのうちの少なくともいずれか一つのデータについて否(NG)の場合に、実線部分で表したプロット線102を出力するようにし、否(NG)を優先して表示させる。
(4)データリストウインドウ105も地図の表示画面に表示される。
このデータリストウインドウ105には、データとして、時刻、区間番号、移動距離、移動速度、移動方向、受信電界レベル値、ビット・エラー・レート(BER)値、伝送フォーマット・エラー値および遅延波レベル値が1秒毎に表示される。
【0043】
このデータリストウインドウ105における各符号につき、説明する。
符号1051:○と色
判定結果がOKの場合の、地図上に表示される色を示す。
符号1052:×と色
判定結果がNGの場合の、地図上に表示される色を示す。
符号1053:色・幅変更
環境設定で、色・幅を変更できる。
符号1054:ファイル名表示
ファイルに保存または読み出したい場合のみ表示。
符号1055:受信時メモ等表示・修正
取得情報を表示したい時や修正したい時に開く。
符号1056:基地検索
基地局を地図中央に表示する。
符号1057:記録中
受信伝送情報を取得中であることを表す。
符号1058:1秒ごとに取得されたデータを示す。
ダブルクリックすると、そのデータが地図中央に表示される。
符号1059:地図をクリックすると基地局からクリック点までの距離が表示される。
取得情報で基地局までの位置が指定してある場合のみ。
【0044】
次に、図3を用いて、図1の表示部27における情報表示の第2の例について説明する。図3において、プロット線は、複数の取得情報に応じて、複数本並べて表示可能とする。この図3ではプロット線107とプロット線108の2本並べて表示した例を示している。各プロット線107,108は、図示していないが、図2と同様、白線で示すコース101上に表した、否(NG)の場合の実線部分で表したプロット線102と、良好(OK)の場合の白抜き線部分で表したプロット線103とからなる。なお、この2本を並べるときの間隔(オフセット)や、それぞれの表示色を設定できる。この場合、データリストウインドウ105は2つの取得情報を別々のウインドウ105A,105Bで表示する。
【0045】
クリック点情報ウインドウ106も地図の表示画面に表示される。このクリック点情報ウインドウ106は、地図上をクリックしてマーカ設定した場所の大まかな住所、緯度経度、基地局からマーカ設定場所までの直線距離を表示する。
【0046】
また、マーカ設定場所と基地局との間を結ぶ直線109を表示する。この図3では基地局の位置は表示されていないが、直線109によりその方向を即座に確認することができる。また、その表示色をプロット線表示色に応じた色とすることができる。また、コース表示の表示幅、表示色も、それぞれ設定することができる。
【0047】
次に、図4を用いて、図1の表示部27における情報表示の第3の例について説明する。図4においては、取得情報を、コースに応じて移動する移動体の移動方向に応じて、往路かあるいは復路かを設定登録する場合の、設定画像表示である。この図4においては、表示ウインドウ110が表示された様子を示しており、表示ウインドウ110中の往路項目111あるいは復路項目112のいずれか一方を選択することで、往路か復路のどちらかに設定することができる。
【0048】
なお、図示していないが、移動体の移動距離に応じて、あるいは、移動体が所定時間内に移動方向を反対の方向に変えた場合に、往路かあるいは復路かの設定を切り換えて登録するようにしてもよい。
【0049】
次に、図5を用いて、図1の表示部27における情報表示の第4の例について説明する。図5において、移動体の位置および位置に関する距離情報を表示する様子について、説明する。図5では、地図表示上の移動体が存在する区間である5区を示すコース101に沿って移動する移動体の1号車から3号車までの3台の移動体の位置を示す位置マーカ113として、それぞれ1号車の位置マーカ113−1,2号車の位置マーカ113―2,3号車の位置マーカ113−3が表示される。そして、それぞれの位置マーカに合わせて、それぞれの移動体の位置として、区間番号とその区間における走行距離とを表示している。
【0050】
次に、図6を用いて、図1の表示部27における情報表示の第5の例について説明する。図6においては移動体距離情報114を示す。この移動体距離情報114は、図4の表示ウインドウ110中の移動体距離表示項目を選択することにより表示される。3台の移動体の距離と移動体間の相対距離を表示する。また、区間または折り返し地点までの残りの距離を表示する(残り距離の表示開始距離は設定可能)。
表示順序は上が先頭(距離が遠いほう)である。また、号車番号と順位が入れ替わった場合でも表示順位は先頭から順になる。実行開始後、実際に受信があった台数(チャンネル)分だけ表示する。
【0051】
図6における各符号につき、説明する。
符号1141:移動体の号車番号を示す。
符号1142(1142−1,1142−2,1142−3):移動体の距離表示を示す。
符号1143(1143−1,1143−2,1143−3):次の中継所または折り返しまでの距離表示を示す。
符号1144(1144−1,1144−2,1144−3):それぞれの,移動体間の相対距離表示を示す(区間のまたがりを考慮した距離計算を行なう)。
符号1145:(?表示):一定時間停車中または情報が途絶えたことを示し、且つ移動体の追尾を継続することを示す。
符号1146:(×表示):一定時間停車中または情報が途絶えたことを示し、且つ移動体の追尾を行なわないことを示す。
【0052】
この図6においては、距離表示1144−1でもって1号車と2号車の間の距離が401mであることを示している。また、距離表示1144−2でもって2号車と3号車の間の距離が240mであることを示している。また、距離表示1144−3でもって1号車と3号車の間の距離が641mであることを示している。
【0053】
また、距離表示1143−1でもって1号車から5区終点までの距離が165mであることを示し、同様に距離表示1143−2でもって2号車から5区終点までの距離が566mであり、距離表示1143−3でもって3号車から5区終点までの距離が806mであることを示している。
【0054】
なお、図示してはいないが、移動体の現在位置から所定位置、例えば、5区終点までの推定到達時間を表示するとしても良い。
【0055】
次に、図7を用いて、図1の表示部27における情報表示の第6の例について説明する。図7においては、地図上にマーク表示位置を指定し、その地点をランドマークとしてリスト・アップする様子を示す。地図上のさまざまなランドマークを配置することができる。ランドマークは、マウスを地図上の特徴のある位置例えば115をクリックすることで登録される。また各ランドマークには文字を表示させることができる。
【0056】
図4の表示ウインドウ110中のランドマークレイヤを選択することで、図7のランドマークウインドウ116が表示される。ただし「表示される文字」および「向き」は空欄であり、ランドマークウインドウ116中の「追加」を選択することにより、「表示される文字」および「向き」を記入し、登録することができる。
【0057】
例えば図7において上記位置115に対応した項目117を選択し、「表示される文字」の個所に、上記位置115に対応する名称ラベル118例えば「第1宮ノ下桟道」を記入して登録し、「向き」の個所に、文字の向き例えば縦と記入して登録することで、上記位置115のすぐ下に「第1宮ノ下桟道」の名称ラベル118が縦書きで表示される。
【0058】
また、移動体の位置情報に応じて地図表示を切り換えるようにしてもよく、その場合、例えば、3台の移動体の位置表示が皆表示されるような縮尺および地図表示位置が自動的に選択され表示されるようにしてもよい。
【0059】
また、移動体である中継車の現在位置と、その運行状況とから、所定時間後の前記移動体の推定位置を示す位置マークを表示するとしてもよい。
【0060】
また、移動体である中継車の位置マーカどうしが重なる場合は、それらを交互に上書き表示するようにしてもよい。
【0061】
以上の本発明の実施の形態によれば、例えばマラソン中継や駅伝中継を行う前に、試験的に移動体である中継車をコースに沿って移動させることで、該コースの各地点での伝送情報の伝送状況を予め把握することができ、したがって実況中継の際に、伝送情報の伝送状況が悪くなる直前に、伝送情報の伝送状況が良い別の移動体である中継車に切替えることにより、実況中継をスムースにすることができる。
【0062】
また本発明の実施の形態によれば、移動体である中継車をコースに沿って移動させる際の、移動体の位置マーカおよび移動体の移動および/または移動推定情報を表示するので、移動体の移動を実況中継中に把握することができる。
【0063】
また本発明の実施の形態によれば、映像信号伝送に関わる受信側の移動体の位置や、移動状況、例えば、移動体の速度や移動方向等に関連して、その映像信号受信状態の品質を表す伝送状態を確認することができる。そのため、従来移動体の位置のみでもって確認していた場合では、移動体の移動方向および速度に応じて生じる伝送不良等の現象をそれら速度や移動方向等に関連して確認できなかったものを可能にすることができる。
【0064】
例えば、送受信方向に対して移動体が高速で移動している場合は、その速度に応じて移動体の受信信号におけるフェージングの位相差の量がより増大して、より伝送品質が低下する事になり、移動体が低速の場合と比べてエラー量が増す状況にあることが確認できる。
【0065】
また、スポット的に電界強度の微弱となる地点を移動体が通過するとき、移動体が高速で移動している場合は、ガードインターバルによって伝送状態が安定してエラーとならないことがあり得るが、一方、移動体が低速でその地点を通過すると、ガードされきれずにエラーとなり易くなる状況にあることが確認できる。
【0066】
従って、移動体の位置のみならず、移動状況にも関連して、伝送状態の把握が可能となるので、より効率よく高品質な伝送システムを構築することができる。
【符号の説明】
【0067】
10…移動体、11…距離計、12…GPS受信機、13…撮像カメラ、14…送信部、15…送信アンテナ、20…基地局、21…受信アンテナ、22…受信部、23…パソコン、24…移動状態出力部、25…状態判定部、26…状態表示制御部、27…表示部、101…白線で示すコース、102…実線部分で表したプロット線、103…白抜き線部分で表したプロット線、104…しきい値入力部、105,105A,105B…データリストウインドウ、106…クリック点情報ウインドウ、107,108…並べて表示したプロット線、109…クリック点と基地局との間を結ぶ直線、110…表示ウインドウ、111…往路項目、112…復路項目、113…移動体の位置マーカ、114…移動体距離情報、115…地図上の特徴のある位置、116…ランドマークウインドウ、117…位置115に対応した項目、118…名称ラベル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往路と復路の伝送状態が相違するコースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値を取得し、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成し、前記コースに前記移動体の現在位置を示す位置マーカを表示するとともに、前記移動体が複数ある場合その間の相対距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの推定到達時間のうち少なくともいずれか一つを表示することを特徴とする伝送状態表示方法。
【請求項2】
往路と復路の伝送状態が相違するコースを移動する移動体から無線伝送された伝送情報を受信し、受信した該伝送情報より、前記移動体が移動した距離値を取得する取得手段と、取得した前記距離値を緯度経度情報に変換して地図上の前記移動体の位置情報を生成する生成手段と、前記コースに前記移動体の現在位置を示す位置マーカを表示するとともに、前記移動体が複数ある場合その間の相対距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの距離と、前記移動体の現在位置から所定位置までの推定到達時間のうち少なくともいずれか一つを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする伝送状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−232479(P2009−232479A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159512(P2009−159512)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【分割の表示】特願2003−90952(P2003−90952)の分割
【原出願日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【出願人】(000229276)日本テレビ放送網株式会社 (53)
【Fターム(参考)】