伝送網及び伝送網管理方式
【課題】伝送網において大規模な障害が発生した場合にも、確実かつ迅速に、網全体として適切な構成への変更を実現する方式を提供すること。
【解決手段】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置および伝送網の統括的な管理・制御を行う網管理システムにより伝送網を構成する。網管理システムは伝送網内の伝送経路(パス)の集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、前記面管理テーブルは正常時に適用される伝送面(現用面)に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の伝送面(予備面)を設定・管理する機能を備える。そして伝送網内の障害発生時には、網管理システムは適用面を適切な伝送面に変更する。
【解決手段】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置および伝送網の統括的な管理・制御を行う網管理システムにより伝送網を構成する。網管理システムは伝送網内の伝送経路(パス)の集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、前記面管理テーブルは正常時に適用される伝送面(現用面)に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の伝送面(予備面)を設定・管理する機能を備える。そして伝送網内の障害発生時には、網管理システムは適用面を適切な伝送面に変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送網及び伝送網管理方式に係り、特に、伝送網内の伝送装置または伝送路の障害発生時に、経路の切替処理を行う伝送網及び伝送網管理方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットや専用線などの伝送網は、伝送されるデータ量の増大と網を用いる情報サービスの多様化に伴い、更なる大容量化と信頼性確保の両立が求められている。伝送網の信頼性を示す要素の一つに、伝送網内の伝送装置または伝送路での障害発生時にサービスへの影響を最小限に抑えることがある。このため、多くの伝送網においては、障害発生時には障害箇所を迂回する経路を用いて伝送を行うような経路制御方式が実装されている。
【0003】
従来技術において、伝送網内の信号の伝送経路(パス)を制御する代表的な方式として静的パス制御方式と動的パス制御方式がある。
静的パス制御方式は、網管理者により予め定められたパス上で信号を伝送する方式であり、従来の同期伝送網で広く用いられている。静的パス制御方式において障害時の影響を低減する技術としてパスプロテクション切替機能がある。本機能は、通常使用するパス(現用パス)以外に現用パスの障害時に迂回路として使用されるパス(予備パス)を予め設定し、障害発生時には高速に予備パスに切り替える機能である。なお、現用パスの障害発生時に予備パスに切り替えるためには、パスの障害発生を検知する必要があるが、これは従来技術のOAM(operation administration and maintenance)機能によるパスの定常的な障害監視により実現される。
【0004】
動的パス制御方式は、各伝送装置が自律的に疎通可能な経路を探索・選択する方式であり、主にIP(Internet Protocol)網などの非同期パケット伝送網において用いられている。動的パス制御方式では、従来使用していたパスが障害で不通となった場合、伝送装置が自律的に疎通可能な経路を探索することにより、迂回路が選択される。
さらに、動的パス制御を行うパケット伝送網において障害時の迅速な切替を実現する技術として、特開昭63−138848号公報(特許文献1)がある。本技術は、「網構成が複雑化したりあるいは拡張等の構成変更があったとしても、小型の計算機の制御下で障害回復を適切に、かつ、迅速に行うこと」を目的とし、「1、網の局部的管理局と統括管理局をもつ網構成において、統括管理局に網構成を定義した網構成テーブルを設け、網構成テーブルを使用して局部的管理局の状態のチェックを行うことで、障害の検知を行う網障害管理方式。2、上記の障害検知の結果、障害発生時は統括管理局が局部的管理局に対して、時刻を指定して障害発生箇所およびその周辺にある構成上関係をもつ箇所に回線、装置の切替え要求を出し、指定時刻に同時の切替えを行う第1項記載の網障害管理方式。」により実現される。
【0005】
これらの従来技術はパス単位で制御・切替を実施する技術であるが、網構成単位での制御・切替を実施する技術として特開2003−224587号公報(特許文献2)がある。本技術は、「メッシュ形式のネットワークにおいて障害が発生した回線を救済する際に回線の重要性を考慮することによって救済効果を高めた回線の救済方法及びそのような方法を採用した高信頼度のネットワークを提供すること。」を目的とし、「回線に重要度に応じたパラメータを付与しておき、あらゆる故障ケースでその重要度を判断して救済を行なう。重要度の高い回線で故障が発生したが空きがない場合、故障の発生がない重要度の低い回線を削除し、そこに重要度の高い回線を充てて救済する。」ことにより実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−138848号公報
【特許文献2】特開2003−224587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の多くは、パス単位の制御・切替を行う方式である。この方式を用いる場合、障害発生時のパス切替過程及び切替後の状態は、障害が生じたそれぞれのパスにとっての最適な状態(部分最適)であり、網全体にとっての最適な状態(全体最適)とは限らない。この点は、特に災害の影響などで大規模な障害が発生した場合に顕著となる。
【0008】
例えば、静的パス制御の場合、全ての切替パターンに対して切替後に経路毎の使用帯域の偏りや輻輳が生じないようにするためには、予め予測し得る中で最も厳しいケースを想定した網運用が必要となり、網の帯域利用率が著しく低下するおそれがある。また、予め設定された現用パスと予備パスが何れも障害状態となったパスは、他に疎通可能な迂回路が存在する場合でも不通となってしまう。
動的パス制御の場合、接続性の確保という面では障害に強いと言えるが、障害発生後に迂回路を探索するため、選択する迂回路の輻輳状態や通信効率が未知である点が課題となる。このため、障害発生時にそれぞれの伝送装置が疎通可能な経路を探索・選択する過程で、正常な経路にも輻輳が生じて広範囲で切替が発生し、切替完了までに時間がかかったり、最終的に選択されるパスに偏りが生じたりするおそれがある。特許文献1に記載の技術を用いる場合でも、障害時には随時適切な網構成を計算する必要があり、大規模障害時には特に計算に時間を要すると考えられる。また、網構成を変更した結果のパスの偏りや輻輳の有無については保証されない。
【0009】
特許文献2に記載の技術を用いる場合は、障害状況を踏まえて適切な網構成の計算を実施することにより、最適な網構成への切替が実現可能である。しかし、網構成が複雑になると、最適な網構成の計算にかかる時間が増大し、その結果、切替にかかる時間が大きくなる点が課題となる。また、切替後に使用するパスの正常性保証については言及されておらず、切替前に未使用だった経路を切替後に使用することとした場合に、その経路が正常であるという保証がない。
【0010】
以上を鑑み、本発明は、伝送網において大規模な障害が発生した場合にも、確実かつ迅速に、網全体として適切な構成への変更を実現する方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置および伝送網の統括的な管理・制御を行う網管理システムにより伝送網を構成する。網管理システムは伝送網内の伝送経路(パス)の集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、前記面管理テーブルは正常時に適用される伝送面(現用面)に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の伝送面(予備面)を設定・管理する機能を備える。そして伝送網内の障害発生時には、網管理システムは適用面を適切な伝送面に変更し、変更した面のパス設定となるようパスの経路の切替を各伝送装置に指示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、伝送網において障害が発生した場合に、確実かつ迅速に、網全体として適切な構成への変更(面切替)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1で記載される伝送網の構成例を示す図である。
【図2】図1の伝送網10における現用面のパス構成例を示す図である。
【図3】図1の伝送網10における第一の予備面のパス構成例を示す図である。
【図4】図1の伝送網10における第二の予備面のパス構成例を示す図である。
【図5】図1の伝送網10における障害発生時の切替動作の例を示す図である。
【図6】伝送装置110の機能ブロック図の一例である。
【図7】網管理システム100の機能ブロック図の一例である。
【図8】網管理システム100の面管理テーブル1001の構成例を示す図である。
【図9】障害発生後の面管理テーブル1001の状態の例を示す図である。
【図10】面切替完了後の面管理テーブル1001の状態の例を示す図である。
【図11】網管理システム100の網情報管理制御部1000の処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2で記載される伝送網の障害発生時の切替動作の例を示す図である。
【図13】網管理システム101の機能ブロック図の一例である。
【図14】網管理システム101の網情報管理制御部1010の処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図10の伝送網11における現用面のパス構成例を示す図である。
【図16】図10の伝送網11における第一の予備面のパス構成例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3で記載される伝送網の現用面のパス構成例を示す図である。
【図18】図17の伝送網12の障害発生時の切替動作の例を示す図である。
【図19】網管理システム102の機能ブロック図の一例である。
【図20】網管理システム102の面管理テーブル1021の構成例を示す図である。
【図21】網管理システム102の網情報管理制御部1010の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を用いて説明する。
1.実施の形態1
本実施の形態では、網管理システムにより伝送網内の複数の伝送経路(パス)の集合を面として管理し、通常使用する現用面の障害発生時には、予め用意された一つ又は複数の予備面の中で最適な面に切り替える伝送網の例を説明する。本実施の形態の伝送網を適用することにより、伝送網内のある範囲内の複数の伝送装置や伝送経路に障害が発生し、従来技術の静的パス制御では高優先パスの現用パス、予備パスが何れも不通となり、そのため高優先パスが不通となったり、複数のパス切替発生により伝送網内で輻輳やパスの偏りが発生したりするような場合において、そのような複数障害を想定して予め設計された予備面に素早く切り替えることにより、高優先パスの伝送経路が最大限確保され、かつ、輻輳やパスの偏りが生じない網構成への変更が実現可能となる。また、本実施の形態は現用面で運用している時も全ての予備面の状態を常に監視しており、障害発生時は全ての面の監視結果に基づき面の選択を行うため、面切替前は未使用であった伝送路を面切替後に使用する場合でも、切替後の正常性が保証されているという特徴を持つ。
【0015】
図1は、本実施の形態に記載される伝送網10の構成例を示す図である。伝送網10は複数の伝送装置110−1〜11が伝送路を介して相互に接続されることで構成されている。伝送網10は、アクセス網20−1〜4を介してデータセンタ120−1、2やクライアント端末130−1、2と接続され、データセンタとクライアント端末間のデータを伝送装置110により伝送する伝送網である。
なお、クライアント端末131−1、2と接続されるのはデータセンタに限られず、Webコンテンツを配信するコンテンツサーバや各種アプリケーションやサービスを提供するサーバ等何でも良い。また、伝送網10を介してクライアント端末130−1,2が互いに通信することもできる。
また、点線で図示する隣接地域30−1〜3は、それぞれ隣接地域内の伝送装置110が地理的に近い位置(例えば、日本の一つの県内など)に配置されていることを示すものである。
【0016】
伝送装置110−1、5、7、11はそれぞれアクセス網20と接続される伝送装置であり、伝送網10の端点(エッジ)となる伝送装置として、端点伝送装置と称することとする。
また本実施例では、前述のように隣接する2つの伝送装置110を相互に接続する経路を伝送路と呼ぶ。本実施の形態においては、伝送路として例えば10ギガビット・イーサネット(登録商標)の光ファイバを使用することができる。
そして端点伝送装置から別の端点伝送装置までの経路をパスと呼ぶ。端点伝送装置が隣接していればパスは1つの伝送路で形成されても良い。また、端点伝送装置が離れた距離にあって間に1台以上の伝送装置110が介在すれば、パスは複数の伝送路から構成される。
【0017】
本実施の形態においては、伝送網10の伝送方式として例えば、網の伝送効率と高信頼性を兼ね備えた非同期パケット伝送方式として注目されるMPLS−TP(Multi Protocol Label Switching - Transport Profile)を使用することができる。本方式は、可変長パケット伝送技術の拡張性や伝送効率に、従来の同期伝送技術の特徴であるコネクションオリエンテッドな静的パス制御方式、OAMによる障害検出機能と、帯域制御・優先制御などのQoS(Quality of Service)機能を付加し、可変長パケット伝送網において同期伝送網と同等の保守運用管理を可能とする方式として標準化されている伝送方式である。
また、本実施の形態においては、アクセス網20の伝送方式として例えば、イーサネット(Ethernet、登録商標で以下同様)網及びATM(Asynchronous Transfer Mode)網を使用することができる。
【0018】
さらに、伝送装置110−1〜11は、管理網15を介して網管理システム100と接続され、伝送網10内の障害検出状態などの管理情報を網管理システム100に通知するとともに、網管理システム100からパス設定指示などの管理情報を受信する。
【0019】
伝送網10においては、伝送装置、伝送路(隣接する2つの伝送装置の間の経路)、パス(端点伝送装置から端点伝送装置までの経路)の単位で障害の監視が行われ、その情報は網管理システム100に集約される。
これらの障害監視はそれぞれ例えば、伝送装置のCPU(Central Processing Unit)による装置内デバイスの故障監視、伝送路と接続される伝送装置の光インタフェースの入力断やリンクレイヤのリンクダウン監視、IETF(Internet Engineering Task Force)とITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)とが合同で標準化を進めているMPLT−TP OAMでの定常的なパス接続性監視の公知の技術によって実現しても良い。パス単位の障害監視については、ITU−T Y.1731とIEEE802.1agの2つの枠組みで標準化されているEthernet OAMを用いても良いし、あるいは、ITU−T Y.1711で標準化されているMPLS OAMを用いても良い。
【0020】
伝送網10内のパスは、静的パス制御方式により管理され、網管理システム100から各伝送装置110に設定される。本実施の形態では、伝送網10内で同時に設定しうるパスの集合、パスの組み合わせパターンを面という概念で管理する。そして網管理システム100は、障害の発生した個所に応じて異なるパスの組み合わせパターンとして想定された複数の面を面管理テーブル1001により管理する。伝送網10では、通常時に伝送に使用する面(現用面)以外に、現用面の障害時に使用する面(予備面)を予め設定し、現用面及び予備面について定常的に状態の監視を行う。障害発生時には面ごとの障害検出状態に基づき、面単位でのパス構成変更(面切替)を実施する。
【0021】
以下、図2〜図11を用いて面ごとのパス構成例及び切替動作について詳細を説明する。
【0022】
図2は、図1の伝送網10における現用面のパス構成例を示す図である。
実線で示すパス40−0は、伝送装置110−1、11を端点伝送装置とし、伝送装置110−3、6、5、8を中継点とする高優先パスであり、9Gbps(ギガビット/秒)の利用帯域を保証するものとする。破線で示すパス41−0は、伝送装置110−7、11を端点伝送装置とし、伝送装置110−9を中継点とする中優先パスであり、5Gbpsの利用帯域を保証するものとする。点線で示すパス42−0は、伝送装置110−1、5を端点伝送装置とし、伝送装置110−2を中継点とする低優先パスであり、2Gbpsの利用帯域を保証するものとする。
パスの優先度とは、障害発生時に経路及び帯域を確保する優先度を指し、予めパス毎に設定するものとする。本図面においては便宜上、片方向矢印の集合でパスを表現するが、実際のデータは片方向あるいは双方向のどちらで伝送するものとしても良い(以下の図面においても同様)。
【0023】
図3は、図1の伝送網10における第一の予備面のパス構成例を示す図である。本実施の形態において、地震などの自然災害の場合にはある地域内の伝送網を構成する伝送装置や伝送路で同時障害が起こりやすい事を踏まえ、予備面は伝送網内の隣接地域30−1〜3の1つあるいは複数の地域内の伝送装置または伝送経路で障害が発生した場合を想定し、障害発生範囲を除く伝送網での最適なパス構成として設計するものとする。最適なパス構成とは、障害発生範囲を除く伝送網において疎通可能な、高優先パス40の迂回経路及び伝送帯域を優先的に確保し、ついで、中優先パス41の迂回経路及び伝送帯域、その後、低優先パス42の迂回経路及び伝送帯域を、それぞれその時点での空いている伝送経路を用いて可能な限り伝送するパス構成を指す。
【0024】
図3に記載した第一の予備面は、隣接地域30−1を想定障害範囲として設計したものである。パス40−1は高優先パス40−0の予備系パスであり、伝送装置110−3、6、9を中継点とする。パス41−1は中優先パス41−0の予備系パスであり、伝送装置110−10を中継点とする。パス42−1は低優先パス42−0の予備系パスであるが、パスの端点伝送装置110−5が想定障害範囲に含まれるため、本パスは迂回路を使用しても伝送が不可能である。図3ではこのような場合の処理の例として、42−0と同様の経路を設定するものとする。
【0025】
図4は、図1の伝送網10における第二の予備面のパス構成例を示す図である。第二の予備面は、隣接地域30−2を想定障害範囲として設計したものである。パス40−2は高優先パス40−0の予備系、パス41−2は中優先パス41−0の予備系、パス42−2は低優先パス42−0の予備系として設計したものである。なお、高優先パス40、低優先パス42は何れも伝送装置110−1、2、5を経由せざるを得ないが、本実施の形態において、1伝送路あたりの使用可能な伝送帯域は10Gbpsであるため、優先度に従い、高優先パス40−2で9Gbps、低優先パス42−2で1Gbpsをそれぞれ保証帯域として設定する。
【0026】
本実施の形態においては、予備面の設計例として想定障害範囲の異なる図3及び図4の2例を示した。同様の設計方針に基づき、より多くの予備面を予め設定することにより、伝送網内の様々な範囲での障害発生に対応した網構成の変更が実現可能である。また、本実施の形態においては予備面の設計は網構成の設計時に予め実施するものとしたが、伝送網の運用開始後にも予備面の設計を実施し、設定を網管理システム100及び各伝送装置110に随時追加する事により、より多くの障害パターンに対応可能とし、継続的に網の信頼性向上を図る事としても良い。
【0027】
図5は、図1の伝送網10における障害発生時の切替動作の例を示す図である。この例では、隣接地域30−1で障害が発生し、選択面が図2の現用面から図3の第一の予備面に変更される動作について説明する。本実施の形態においては、障害の監視は現用面のパスだけでなく、予備面のパスについても常に実施するものとし、パス単位の障害検出情報を元に面ごとに算出される障害影響度を用いて、適切な面を選択するものとする。
【0028】
隣接地域30−1で障害が発生すると、現用面の高優先パス40−0と低優先パス42−0が不通となり、これらのパスが経由する伝送装置においてMPLS−TPやイーサネット等の公知のOAM技術によりパスの障害を検出し、網管理システム100に通知する(S−110)。網管理システム100は、面管理テーブル1001に障害情報を反映し、面ごとの障害影響度を算出・比較した結果に基づき、この場合は適切な面として第一の予備面を選択する(S−120)。
網管理システム100は面の選択結果に基づき、各伝送装置110に対して面の変更を指示する(S−130)。この例の場合においては、現用面から第一の予備面に切り替える指示を行う。面変更指示を受けた各伝送装置110は、指示に基づき選択面の変更を実施する(S−140)。本動作を実現するための伝送装置110と網管理システム100の機能ブロックについては、以下、図6、7を用いてより詳細に説明する。
【0029】
なお、本実施の形態においては、網管理システム100及び伝送装置110の間で各面の設定情報が共有され、切替は面の変更指示に基づき行う事とした。ここで、伝送装置110が保持する各面の設定情報とは、例えば受信するフレームやパケットの識別子に対して、現在選択されている面ではどの伝送路にそれらフレームやパケットを転送するかを表わす情報であり、後述する転送テーブル11302がこれに該当する。
この他、面としての設定情報は網管理システム100によってのみ管理され、切替指示は面変更に伴うパス設定変更を網管理システム100から各伝送装置に指示するものとしても良い。この場合は網管理システム100が、選択した面のパス設定から、伝送装置110に指示すべきパス設定に関する指令を作成する。この場合、伝送装置110は既存の装置を使用することができる。
【0030】
図6は、端点伝送装置110の機能ブロック図である。伝送装置110は、伝送網10に属する伝送路10a−1〜10a−m及びアクセス網20に属する伝送路20a−1〜20a−nとパケットの送受信を行うためのインタフェース(以下IF)1110−1〜1110−m及びIF1120−1〜1120−nを備え、フレーム処理ブロック1111−1〜1111−m、1121−1〜1121−nにより各IFから受信したフレーム及び各IFへ送信するフレームに対する後述の処理を行い、転送処理ブロック1130により受信フレームの宛先IFに接続されるフレーム処理ブロックへの転送を行う。また、管理網15と接続される監視制御ブロック1140により、障害検出情報やパス設定情報の通信を行う。なお、本実施の形態では各IFに対し、各フレーム処理ブロックを1対1で接続しているが、複数のIFとのフレーム送受信処理を一つのフレーム処理ブロックで行う構成としても良い。
【0031】
フレーム処理ブロック1121−1〜1121−nは、各々が同様の処理を行うブロックであるため、そのうちの1つであるフレーム処理ブロック1121−1の構成を例に、動作の説明を行う。フレーム処理ブロック1121−1は、受信フレーム処理部11210及び送信フレーム処理部11211を備える。受信フレーム処理部11210は、アクセス網20より伝送されるイーサネットフレームやATMセルの識別及びMPLSフレームへのカプセル化を行い、転送処理ブロック1130に転送する。送信フレーム処理部11211は、転送処理ブロック1130からのフレームを受けて、MPLSヘッダを取り除き、アクセス網へ伝送する。
【0032】
フレーム処理ブロック1111−1〜1111−mは、各々が同様の処理を行うブロックであるため、そのうちの1つであるフレーム処理ブロック1111−1の構成を例に、動作の説明を行う。フレーム処理ブロック1111−1は、受信フレーム処理部11110及び送信フレーム処理部11111、OAM終端部11112、障害検出部11113、OAM挿入部11114を備える。受信フレーム処理部11110は、伝送網10より伝送されるMPLSフレームの識別を行い、OAMフレームはOAM終端部11112に転送するとともに、ユーザデータは必要に応じてMPLSラベルの変換を行い、転送処理ブロック1130に転送する。OAM終端部11112は、受信したOAMフレームを元に公知の手法によりパス単位の障害有無の判定を行い、障害検出部11113に通知する。障害検出部11113は、OAM終端部11112からのパス単位の障害を示す情報及びIF1110−1の物理リンク断情報を受けて、監視制御ブロック1140に通知するとともに、必要に応じてOAM挿入部11114にOAMフレームによる障害情報の転送を指示する。OAM挿入部11114は定常的に接続性監視用のOAMフレームの挿入を行うとともに、必要に応じて障害情報の転送用や試験用のOAMフレームの挿入を行う。送信フレーム処理部11111は、転送処理ブロック1130からのユーザデータ及びOAM挿入部11114からのOAMフレームのスケジューリング及びIF1110−1への伝送を行う。
【0033】
転送処理ブロック1130は、転送処理部11300、テーブル選択部11301、転送テーブル11302−1〜x、転送テーブル管理部11303を備える。転送処理部11300は各フレーム処理ブロックから受信したMPLSフレームのラベル情報を元にテーブル選択部11301で選択されている転送テーブル11302を参照し、ラベル情報に対応する宛先IFと接続されるフレーム処理ブロックへの転送を行う。
転送テーブル11302−1〜xは、例えば受信フレームのMPLSラベル等フレームの識別情報と宛先IF情報をパスと対応付けて管理するテーブルであり、それぞれの転送テーブルは網管理システム100で管理する各面の情報と対応する。つまり、伝送装置110は、網管理システム100が設定した面ごとにそれぞれの面のパス設定に応じた転送テーブル11302を保持する。そしてテーブル選択部11301は、網管理システム100からの指示に応じて、現在選択されている面に対応する転送テーブルを参照して転送処理部11300の設定を行う。
転送テーブル管理部11303は、テーブル選択部11301及び転送テーブル11302−1〜xを管理するブロックであり、管理網15及び監視制御ブロック1140を介して通知される管理情報を受けて、テーブル選択部11301の選択変更や転送テーブル11302の追加・編集を行う。
【0034】
監視制御ブロック1140は、障害情報管理部11400、管理情報制御部11401及び、管理網15と接続されるIF11402を備える。障害情報管理部11400は、フレーム処理ブロックから通知されるパス単位、物理ポート単位の障害検出情報及び、装置内の障害検出情報を集約し、管理情報制御部11401に通知するとともに、必要に応じて、フレーム処理ブロックの障害検出部に障害情報の転送を指示する。管理情報制御部11401は、障害情報管理部11400から通知される障害検出情報をIF11402を介して管理網15に転送するとともに、管理網15からの面切替指示や面設定変更の管理情報を転送処理ブロック1130に通知する。
【0035】
なお、図6では伝送装置110の機能ブロック図として、端点伝送装置の構成を例に説明したが、伝送装置110−2などの伝送網10とのみ接続される中継伝送装置の場合は、アクセス網20と接続されるIF1120及びフレーム処理ブロック1121は不要となる。
【0036】
図7は、網管理システム100の機能ブロック図である。網管理システム100は、網情報管理制御部1000、通信処理部1002、保守インタフェース(以下IF)1003及び、管理網15と接続されるIF1004を備える。
【0037】
通信処理部1002は、伝送装置110からの受信フレームを解析し、障害検出情報や面切替完了応答の管理情報を網情報管理制御部1000に転送する受信フレーム解析部10020と、網情報管理制御部1000からの通知を受けて伝送装置110への面切替指示や面設定変更の管理情報を生成・送信する送信フレーム生成部10021を備える。
【0038】
網情報管理制御部1000は、面管理テーブル1001、テーブル更新処理部10001、障害影響度計算処理部10002、網状態判定処理部10003、網構成設定制御部10004を備える。面管理テーブル1001は、各面に属するパスの情報及び障害検出状態の情報を格納するテーブルであり、網情報管理制御部1000は面管理テーブル1001の情報を用いて、伝送網10の障害の状況に応じた適切な面の選択を行う。テーブル更新処理部10001は、伝送装置110からの障害検出情報や面切替完了応答および、保守IF1003からの面設定追加・変更指示を受けて面管理テーブル1001の更新を行うブロックである。
障害影響度計算処理部10002は、面管理テーブル1001の各面に属するパスの障害検出情報、つまりそのパスが障害によってデータを伝送できなくなっているか否かという情報と、そのパスの優先度を表す情報等を元に、面ごとの障害影響度を計算するブロックである。網状態判定処理部10003は、面管理テーブルの各面の障害影響度を参照し、最適な面を決定するブロックである。障害により、最適な面が変わった場合、網構成設定制御部10004に面切替を指示する。網構成設定制御部10004は網状態判定処理部10003からの面切替の指示及び、保守IF1003からの面設定追加・変更指示を通信処理部1002に通知するブロックである。
【0039】
保守IF1003は、網の管理情報を保守者に通知するとともに、保守者からの面設定追加・変更指示を網の管理情報に反映するためのインタフェースであり、ディスプレイやキーボード等で構成されるものとする。もしくは、より上位の管理網と接続され、遠隔で制御するための通信IFとしても良い。なお、本実施の形態においては、面の設定追加は保守IF1003を介して行われるものとしたが、網管理システム100の内部に適切な面の計算を実施する処理部を格納し、本処理部からの情報を元に、面の設定追加を実施するものとしても良い。
【0040】
本実施の形態に記載の動作を実現する、面管理テーブル1001の内容及び、網情報管理制御部1000の処理について、以下、図8〜図11を用いてより詳細に説明する。
【0041】
図8は、網管理システム100の面管理テーブル1001の構成例を示す図である。面1001−1は現用面及び複数の予備面を識別するための識別情報を表わし、本実施の形態においては、現用面を面0、第一の予備面を面1、第二の予備面を面2とする。選択状態1001−2は、伝送網10が現在どの面のパス構成を選択しているかを示すものである。パス1001−3は、各面に含まれるパスの集合を示すものであり、各面に含まれるパスの識別情報を表わす。経路情報1001−4は、各パスの詳細を示すものであり、各パスの端点となる伝送装置の識別情報と中継点となる伝送装置の識別情報により伝送経路を表わし、そしてそのパスが保証すべき伝送帯域である保証帯域を含む。優先度1001−5は先述のパスごとの優先度を数値で表すものであり、本実施の形態においては、高優先パスを3、中優先パスを2、低優先パスを1とする。現在状態1001−6はパスごとの障害有無に基づきOK(障害無し)またはNG(障害有り)を設定するものである。
障害影響度1001−7は、各面の障害の程度を定量的に示すものであり、面に含まれる障害発生パスの数を優先度で重み付けして算出する。本実施の形態においては、障害影響度の算出方法の一例として、NGとなっているパスの優先度の総和を障害影響度とするものとする。伝送網10において障害が発生していない場合、図8の10010−040に示すように、面0〜面2におけるパスの現在状態は全てOKであり、10011−0に示すように、面0〜面2の障害影響度は何れも0である。
【0042】
図9は、図5で示した隣接地域30−1の障害発生後の面管理テーブル1001の状態を表わす。隣接地域30−1の障害発生後、現在状態1001−6はパス40、42がNGとなる。そして面0の障害影響度1001−7は、パス40の優先度3とパス42の優先度1の和で4となる。面1はパス42がNGとなり、パス42の優先度1から障害影響度1となる。面2はパス40、41、42がNGとなり、パス40の優先度3とパス41の優先度2とパス42の優先度1の和で障害影響度6となる。この結果、最も障害影響度の小さい面1が最適な面と判定され、面の切替指示が実施される。
なお、上記障害影響度1001−7の算出方法は一例であり、最適な面の判定基準は他にも考えられる。例えば、より多くの高優先パスが疎通可能であることを面の選択において最も重視するのであれば、高優先パスの優先度を10000、中優先パスの優先度を100、低優先パスの優先度を1とするように、極端に重み付けを行えば良い。また、優先度を問わずより多くのパスが疎通可能であることを面の選択において最も重視するのであれば、高優先パスの優先度を1、中優先パスの優先度を1、低優先パスの優先度を1とするように、優先度を均一にすればよい。
【0043】
網管理システム100の網状態判定処理部10003により面1が最適な面と判定され、面の切替指示が実施される。その後、各伝送装置110において面切替(選択する転送テーブルの変更)が完了し、網管理システム100に完了が通知されると、図10の選択状態1001−2に示すように面0の選択状態が非選択となり、面1が選択状態となる。
【0044】
図11は、網管理システム100の網情報管理制御部1000の処理を示すフローチャートである。面管理テーブル1001に基づく伝送網10の運用管理が開始されると、網情報管理制御部1000は、定常的に網の障害情報を面管理テーブル1001に反映、面ごとの障害影響度の算出・比較を行い、必要に応じて面の切替を実施する。
具体的には、まずテーブル更新処理部10001によりパスごとの障害検出情報を面管理テーブル1001の現在状態に反映する(S−1001)。既存のOAM技術により、パスごとの障害の有無は判別できるため、テーブル更新処理部は各伝送装置110が通知してくる情報をもとに、選択されている面および非選択の面の各パスについて、面管理テーブル1001の現在状態1001−6を更新する。
次に障害影響度計算処理部10002が、面管理テーブル1001の現在状態1001−6に基づき、面ごとの障害影響度を算出する(S−1002)。その後、網状態判定処理部10003により選択面及び全ての非選択面の障害影響度を比較し(S−1003)、障害影響度が最も小さい面が非選択面であったかを判定する(S−1004)。
【0045】
障害影響度が最も小さい面が選択面であった場合は、現在の選択面が最適な面であるということであり、面の切替は実施せず、再度、S−1001による面管理テーブル1001の更新を実施する。障害影響度が最も小さい面が非選択面であった場合は、その非選択面が網の現在状態において最適な面と判定し、その面を選択する(S−1005)。この選択面を伝送網に反映するため、網構成設定制御部10004により各伝送装置110に面切替を指示する(S−1006)。
【0046】
ここで各伝送装置110における面切替の処理の具体例について説明する。
仮に伝送装置110−1がパス40として収容するアクセス網20−1のイーサフレームに付されるVLAN IDが40であり、このパス40の伝送網10内におけるMPLSラベルが400とする。図8の面0を現用面としている場合、伝送装置110−1のテーブル選択部11301は面0に対応する転送テーブル11302を選択しており、伝送装置110−1はアクセス網20−1からVLAN IDが40のフレームを受信すると、これにMPLSラベル400を付与して伝送装置111−3に向けて転送する。
その後、例えば網管理システム100から図8の面0を面2に面切替する指示を受けた場合、伝送装置110−1の転送テーブル管理部11303は面が面0から面2に変更されたことをテーブル選択部11301に伝える。するとテーブル選択部11301は面2に対応する転送テーブル11302を選択する。また、伝送装置110−1は面切替を終了すると、完了の通知を網管理システム100に送信する。この後伝送装置110−1がアクセス網20−1からVLAN IDが40のフレームを受信すると、これにMPLSラベル400を付与して今度は伝送装置111−2に向けて転送する。
【0047】
図11の説明に戻る。その後、テーブル更新処理部10001は指示をした全ての伝送装置110からの面切替完了の通知を受けたかにより、面切替が完了したかを判定する(S−1007)。但し、障害により面切替の対象となる伝送装置自体が装置の故障を検出している場合や応答なしとなっているような場合は、S−1007の面切替完了の判定において、該伝送装置からの面切替完了の通知の有無は判定条件から除外する。S−1007において面切替が完了したと判定されると、テーブル更新処理部10001は切替後の面の選択状態を、面管理テーブル1001の選択状態1001−2に反映し、S−1001の処理に戻る(S−1008)。
2.実施の形態2
本実施の形態では、実施の形態1に記載の面切替の動作を実施後に、不通となっているパスについて、他の正常なパスの伝送に影響を与えない迂回路が存在している場合には、その迂回路を使用して疎通させるようパスの変更を実施する伝送網の例を説明する。実施の形態1においては面切替後に不通となるパスについて、迂回路が存在するにもかかわらず使用しないパス構成が選択されている状態となることがある。これは、予め定めた障害想定範囲よりも、実際に障害が生じた範囲が小さい場合等に生じうる。しかし、本実施の形態を適用すれば、面切替により高優先パスの経路を素早く確保した後、不通となっている低優先パスについても可能な限り迂回路を確保し、より適切な面とすることが可能となるのである。
【0048】
図12は、本実施の形態における伝送網11の障害発生時の切替動作の例を示す図である。この例では、一点鎖線で囲んだ領域31−1Bにおいて障害が発生し通信が不通となっている。しかし、予備面を作成するときに想定した障害発生範囲は点線で囲んだ領域31−1Aであり、実際の障害発生範囲である31−1Bよりも広い。このため実施の形態1の動作に従えば、網管理システム101は選択面を図15に記載の現用面から図16に記載の第一の予備面に変更する。この結果、想定障害範囲31−1Aに含まれる伝送装置111−5や伝送装置111−8は機能するにもかかわらず、それらの装置を経由するパスが使用されない場合がある。これにより細い点線で示される低優先パス52−0は図16では不通となっている。
図12に示す実施の形態2では、不通となったパス52−0が太い点線で示される迂回パス52−0Aに切り替えられる。以下、この動作について説明する。
【0049】
隣接地域31−1Aで障害が発生すると、現用面の細い実線で示されるパス50−0と細い点線で示されるパス52−0が不通となり、これらのパスが経由する伝送装置111においてパスの障害を検出、網管理システム101に通知する(S−111)。網管理システム101は、面管理テーブル1011に障害情報を反映し、面ごとの障害影響度を算出・比較した結果に基づき、適切な面(第一の予備面)を選択する(S−121)。網管理システム101は面の選択結果に基づき、各伝送装置111に対して面の変更を指示する(S−131)。この例の場合においては、現用面から第一の予備面に切り替える指示を行う。ここで、選択された第一の予備面ではパス52−0を救済する別のパスが設定されていない。
【0050】
面切替指示を受けた各伝送装置110は、指示に基づき選択面変更を実施する(S−141)。その後、網管理システム101は不通となったパス52−0の迂回路を探索し、伝送装置111−4、7、9、8を順に中継する、太い点線で示されるパス52−0Aを得る(S−151)。網管理システム101は、新たに得た迂回路を含む新たな面の情報を各伝送装置111に配信する。そして網管理システム101はパス52−0をパス52−0Aに変更した面への切替指示を行い(S−161)、指示を受けた伝送装置111において切替処理が行われる(S−171)。本動作を実現するための網管理システム101の機能ブロック及び処理については、図13、図14を用いてより詳細に説明する。なお、伝送装置111及び網管理テーブル1011は、それぞれ図6に示した伝送装置110及び図8に示した網管理テーブル1001と同様の構成とすることにより、本実施の形態は実現可能である。
【0051】
図13は、網管理システム101の機能ブロック図である。網管理システム101は、網情報管理制御部1010、通信処理部1012、保守IF1013及び、管理網16と接続されるIF1014を備える。通信処理部1012、保守IF1013及び、管理網16と接続されるIF1014については、図7に図示した網管理システム100の通信処理部1002、保守IF1003及び、管理網15と接続されるIF1004とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。また、網情報管理制御部1010に含まれる面管理テーブル1011、障害影響度計算処理部10102、網状態判定処理部10103についても、図7に図示した網管理システム100の面管理テーブル1001、障害影響度計算処理部10002、網状態判定処理部10003とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。
【0052】
網情報管理制御部1010の迂回路計算処理部10105は、面管理テーブル1011を参照し、現在状態がNGとなっているパスの迂回路を探索する処理部である。各伝送路について伝送帯域10Gbpsからその伝送路を使用するパスの保証帯域の総和を減算した数値を残帯域として管理し、NGパスの端点伝送装置間の伝送経路として存在する経路の中で、最も残帯域の大きい経路を迂回路として選択する。NGパスの端点伝送装置間の伝送経路として存在する経路の抽出は、伝送網内のすべての伝送路の中で、NGパスで使用されOKパスでは使用されていない伝送路を異常な伝送路と判定し、それらを除く正常な伝送路の集合により構成可能なNGパスの端点伝送装置間の伝送経路を計算することにより行う。
なお、パスの本来の保証帯域に対し、迂回路の残帯域が不十分である場合も、迂回路の残帯域をパスの保証帯域として設定を行う。これは、既存のパスの伝送帯域に影響を与えないようにするためである。また、迂回路を設定するパスにしても、迂回路の残帯域まで伝送帯域を縮退すればパスを設定できるため、保証帯域を確保できなかったとしてもそれを理由に全く不通となるよりは良い。
また、複数のパスがNGとなっている場合、優先度の高いパスから迂回路の探索を行い、その後、残りのパスの迂回路を探索することで、より優先度の高いパスから迂回路の確保を行う。迂回路計算処理部10105はNGパスの迂回路を可能な限り確保した網構成を新たな面として、網構成設定制御部10104に面の追加・選択を指示する。
【0053】
網構成設定制御部10104は、図7に図示した網管理システム100の網構成設定制御部10004の処理に加えて、迂回路計算処理部10105から新たな面を追加、選択する指示を受けると、テーブル更新処理部10101に面管理テーブル1011への面の追加を指示するとともに、各伝送装置111に新たな面を追加、選択する指示を行う。
テーブル更新処理部10101は図7に図示した網管理システム100のテーブル更新処理部10001の処理に加えて、網構成設定制御部10104からの新たな面を追加する指示を受けると、面管理テーブルに新たな面を追加する。
【0054】
図14は、網管理システム101の網情報管理制御部1010の処理を示すフローチャートである。面管理テーブル1011に基づく伝送網11の運用管理が開始されると、網情報管理制御部1010は、定常的に網の障害情報を面管理テーブル1011に反映、面ごとの障害影響度の算出・比較を行い、必要に応じて面の切替を実施する(S−1101〜S−1104)。これらの処理の詳細は図11に記載の実施の形態1の網情報管理制御部1000の処理S−1001〜S−1008と同様である。
その後、迂回路計算処理部10105は面管理テーブル1011を参照し、現在選択している面に不通となっているパスがあるかどうかを確認し、その不通パスについて他の正常パスに影響を与えない迂回路が存在するか否かを探索する(S−1105)。迂回路が存在しない場合は、面切替実施後の面を最適な面と判定し、S−1101の処理に戻る。迂回路が存在した場合は、その迂回路を使用する面構成を新たに追加・選択する指示を網構成設定制御部10104に通知し、網構成設定制御部10104はテーブル更新処理部10101にその面を新たに追加する指示を行うことにより面管理テーブル1011に面を追加するとともに、各伝送装置111に対してその面を新たに追加・選択する指示を行う(S−1106)。
【0055】
網管理システム101から新たな面の追加・選択を指示された伝送装置111の転送テーブル管理部11303は、この新たな面に対応する転送テーブル11302を追加して、テーブル選択部11302に、この新たな転送テーブル11302を選択するよう指示する。新たな面を選択すると、転送テーブル管理部11303は、網管理システム101に完了通知を送信する。
【0056】
その後、テーブル更新処理部10101は指示をした全ての伝送装置からの面追加・選択完了の通知を受けたかにより、迂回路切替が完了したかを判定する(S−1107)。テーブル更新処理部10101はS−1107において迂回路切替が完了したと判定されると、面管理テーブル1101において追加した迂回路切替の面の選択状態を選択とする。(S−1108)。
【0057】
このように実施の形態2では、面切替を実施した後に、不通となっているパスに対して他の正常なパスの疎通及び保証帯域に影響を与えない迂回路が存在する場合には、改めて迂回路を使用する面への切替を実施し、より適切な網構成への変更を行うことが可能となる。
3.実施の形態3
本実施の形態では、伝送網における障害の発生時に、従来の高速なパスプロテクション切替機能によるパス切替を即座に実施し、その結果網構成全体として不適切な状態である場合には、実施の形態1に記載した面切替を実施することにより網構成の最適化を図る伝送網の例を説明する。
【0058】
従来の静的パス制御におけるパスプロテクション切替機能において、単一箇所の障害発生の場合は、現用パス、予備パスが何れも不通となるようなパスが生じないパス構成が一般的であり、また、障害によるパス切替後も輻輳やパスの偏りが最小限となるように設計することは比較的容易である。一方、実施の形態1または実施の形態2に記載の面切替は、網管理システムで障害情報を集約した上であらかじめ定めてある面の中から最適なものを選択して切替を行う方式であり、例えば複数のパスを同時に切り替える必要があるような大きな障害が発生した場合により好適である。このように本実施の形態では障害情報を集約した網管理システム主導による比較的規模の大きいパスの切替を想定しているため、伝送装置が障害検出時に自律でパス切替を行うパスプロテクション切替機能と比較すると、切替時間が長くなるという欠点がある。
【0059】
上記2点を踏まえると単一箇所での障害の場合などは、面切替を実施するのではなく、従来のパスプロテクション切替機能による高速な切替を実施する方が適切であると言える。第3の実施形態を適用することにより、伝送網内の障害発生時に、即座にパスプロテクション切替機能によるパス切替を実施し、その結果が網構成全体として不適切な状態である場合には、面切替により適切な網構成への変更を行うことが可能となる。
【0060】
図17は、本実施の形態で記載される伝送網の現用面のパス構成例を示す図である。本実施の形態は、実施の形態1と異なり、現用面のそれぞれの現用パスに対して予め予備パスを設定する。この予備パスは、従来の静的パス制御におけるパスプロテクション切替機能で用いられるものであり、伝送装置112により自立的に系の切替が行なわれる。図17においては、太い実線で示されるパス60−0に対しては細い実線で示されるパス60−0Bが、太い破線で示されるパス61−0に対しては細い破線で示されるパス61−0Bが、太い点線で示されるパス62−0に対しては細い点線で示されるパス62−0Bが、それぞれ予備パスとして対応する。
【0061】
図18は、本実施の形態の伝送網12の障害発生時の切替動作の例を示す図である。この例では、伝送網12の伝送装置112−5、8間の伝送路での障害発生時に、細い実線で示されるパス60−0が予備パスであり太い実線で示されるパス60−0Bに切り替えられる動作について説明する。この切替動作は従来技術であるパスプロテクション切替機能により実現される。
OAM機能によりパス60−0の障害を検出した端点伝送装置112−1、11は自律的にパス60−0Bへの高速なパス切替を行う(S−102)。これらの障害検出状態及びパス切替結果は網管理システム102に集約され(S−112)、面管理テーブル102に反映される(S−122)。このように、本実施の形態の伝送網12は障害の発生時には高速なパス切替による網の救済を試みる。しかし、大規模な障害などにより何れかのパスの現用パスと予備パスが何れも不通となってしまう場合や、複数のパス切替が発生し、何れかの伝送路で輻輳が生じている場合など、パス切替だけでは適切な網構成が取れない場合には、実施の形態1や実施の形態2に示したような、面切替による網構成の変更を実施する。本動作を実現する面管理テーブル1201の内容及び網管理システム102の機能ブロック、処理については、以下、図19〜21を用いてより詳細に説明する。なお、伝送装置112は図6に示した伝送装置110と同様の構成とすることにより、本実施の形態は実現可能である。
【0062】
図19は、網管理システム102の機能ブロック図である。網管理システム102は、網情報管理制御部1020、通信処理部1022、保守IF1023及び、管理網17と接続されるIF1024を備える。通信処理部1022、保守IF1023及び、管理網16と接続されるIF1014については、図7に図示した網管理システム100の通信処理部1002、保守IF1003及び、管理網16と接続されるIF1004とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。また、網情報管理制御部1020に含まれるテーブル更新処理部10201、障害影響度計算処理部10202、網状態判定処理部10203、網構成設定制御部10204についても、図7に図示した網管理システム100のテーブル更新処理部10001、障害影響度計算処理部10002、網状態判定処理部10003、網構成設定制御部10004とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。
【0063】
網情報管理制御部1020の障害影響判定処理部10205は、面切替の要否を判定するブロックであり、面管理テーブル1021を参照し「現用パスと予備パスが共に不通となっているパスが存在する」または、「収容するパスの保証帯域の合計が伝送帯域10Gbpsを上回っている伝送路が存在する」状態にあるかを判定する。何れかの条件が満たされた場合、伝送網12において大規模な障害などによりパス切替だけでは適切な網構成が取れない、面切替が必要な状態になっていると判定する。
【0064】
図20は、網管理システム102の面管理テーブル1021の構成例を示す図である。面管理テーブル1021は図6に示した面管理テーブル1001の構成との主な違いは、選択されている面0の経路情報1021−1について中継点1021−2およびパス選択状態1021−3がそれぞれ現用パスと予備パスの情報を含んでいること、そして現在状態1021−4も現用パスと予備パスの情報をそれぞれ含んでいることである。
本図の現在状態1021−4及びパス選択状態1021−3は、図18で示した障害の発生時にパス切替が発生した後の状態を示している。図20の面管理テーブル1021は、障害により0面のパス60の現用パス60−0の現在状態10211−060がNGとなり、伝送装置の自律的なパス切替の発生後、パス60のパス選択状態10210−060が予備パス60−0Bを選択している状態を反映している。
なお、本実施の形態では最も基本的な構成として現用面である面0についてのみ予め各パスの予備パスを設定する構成としたが、予備面への切替後も高速なパスプロテクション切替機能による切替を実現可能とするために、予備面である面1や面2のパスについても予め予備パスを設定しておくこととしても良いし、現用面から予備面へ切り替えた場合に各パスの予備パスを追加で設定することとしても良い。
【0065】
図21は、網管理システム102の網情報管理制御部1020の処理を示すフローチャートである。本実施の形態においては、従来のパス切替だけでは適切な網構成が取れない場合には面切替を実施するが、面切替を行う具体的な条件として、「現用パスと予備パスが共に不通となっているパスが存在する」または、「収容するパスの保証帯域の合計が上限帯域を上回っている伝送路が存在する」を使用することとする。前者は不通パスの存在を示すものであり、後者は輻輳の可能性を示すものである。なお、上限帯域はある伝送路において伝送可能な帯域の上限であり、本実施の形態においては、10Gbpsである。面管理テーブル1021に基づく伝送網12の運用管理が開始されると、網情報管理制御部1020はテーブル更新処理部10201により定常的に網の障害情報を面管理テーブル1021に反映する(S−1201)。障害影響判定処理部10205は面管理テーブル1021を参照し、現用パスと予備パスが共に不通となっているパスが存在するかを判定する(S−1202)。また、収容するパスの保証帯域の合計が上限帯域を上回っている伝送路が存在するかを判定する(S−1203)。S−1202とS−1203の判定において、何れも満たされなかった場合は、再度、S−1201による面管理テーブルの更新を実施し、何れかが満たされた場合は、面切替が必要な状態と判断し(S−1204)、以後のS−1205〜S−1211の処理により面切替を試みる。これらの処理は図11に記載のS−1002〜S−1008と同様の処理により実現される。
【0066】
このように、実施の形態3では、伝送網内の障害発生時に、即座にパスプロテクション切替機能によるパス切替を実施し、その結果が網構成全体として不適切な状態である場合には、面切替により適切な網構成への変更を行うことが可能となる。
【0067】
上記複数の実施の形態では、パスを端点伝送装置間の伝送経路として説明したが、伝送網10、11、12内の任意の伝送装置間における伝送経路をパスと考えてもこれら実施例は同様に実施可能である。
【0068】
これら実施例では、網内の伝送装置間のパスの張り方について、網内における障害の発生個所を想定して、当該障害の発生個所を回避する形でパスの組み合わせパターンを複数用意しておき、障害が発生したときにそれら用意しておいた複数のパスの組み合わせパターンのうちの1つを選択して、一斉にパスの切替を行なう。例えば大地震などで特定の地域に大規模な障害が発生したような場合、従来のパス単位の切替では復旧に時間を要したり重要な通信経路(パス)が断絶するなどのおそれがあった。これに対し本実施例では、短時間で重要なパスを救済することができる。
なお、図10で説明したように、選択した面によっては、比較的重要度が低いパスについては必ずしも救済されるとは限らない。しかし、そのように重要度や緊急度が低い、つまり優先度の低いパスを断ってでも、重要度の高いパスの短時間での復旧が必要な場合もある。例えば、大規模な災害時は政府の指示系統のための通信経路(パス)が断絶してはならない。このような場合に、本実施例を適用すれば少なくとも重要なパスについては通信を継続することが可能となる。
なお、実施の形態2に記載された手法にて重要度のそれほど高く無いパスについても事後的に救済することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
10、11、12 伝送網
100、101、102 網管理システム
1001、1011、1021 面管理テーブル
110、111、112 伝送装置
30 隣接地域
40、41、42 パス
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送網及び伝送網管理方式に係り、特に、伝送網内の伝送装置または伝送路の障害発生時に、経路の切替処理を行う伝送網及び伝送網管理方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットや専用線などの伝送網は、伝送されるデータ量の増大と網を用いる情報サービスの多様化に伴い、更なる大容量化と信頼性確保の両立が求められている。伝送網の信頼性を示す要素の一つに、伝送網内の伝送装置または伝送路での障害発生時にサービスへの影響を最小限に抑えることがある。このため、多くの伝送網においては、障害発生時には障害箇所を迂回する経路を用いて伝送を行うような経路制御方式が実装されている。
【0003】
従来技術において、伝送網内の信号の伝送経路(パス)を制御する代表的な方式として静的パス制御方式と動的パス制御方式がある。
静的パス制御方式は、網管理者により予め定められたパス上で信号を伝送する方式であり、従来の同期伝送網で広く用いられている。静的パス制御方式において障害時の影響を低減する技術としてパスプロテクション切替機能がある。本機能は、通常使用するパス(現用パス)以外に現用パスの障害時に迂回路として使用されるパス(予備パス)を予め設定し、障害発生時には高速に予備パスに切り替える機能である。なお、現用パスの障害発生時に予備パスに切り替えるためには、パスの障害発生を検知する必要があるが、これは従来技術のOAM(operation administration and maintenance)機能によるパスの定常的な障害監視により実現される。
【0004】
動的パス制御方式は、各伝送装置が自律的に疎通可能な経路を探索・選択する方式であり、主にIP(Internet Protocol)網などの非同期パケット伝送網において用いられている。動的パス制御方式では、従来使用していたパスが障害で不通となった場合、伝送装置が自律的に疎通可能な経路を探索することにより、迂回路が選択される。
さらに、動的パス制御を行うパケット伝送網において障害時の迅速な切替を実現する技術として、特開昭63−138848号公報(特許文献1)がある。本技術は、「網構成が複雑化したりあるいは拡張等の構成変更があったとしても、小型の計算機の制御下で障害回復を適切に、かつ、迅速に行うこと」を目的とし、「1、網の局部的管理局と統括管理局をもつ網構成において、統括管理局に網構成を定義した網構成テーブルを設け、網構成テーブルを使用して局部的管理局の状態のチェックを行うことで、障害の検知を行う網障害管理方式。2、上記の障害検知の結果、障害発生時は統括管理局が局部的管理局に対して、時刻を指定して障害発生箇所およびその周辺にある構成上関係をもつ箇所に回線、装置の切替え要求を出し、指定時刻に同時の切替えを行う第1項記載の網障害管理方式。」により実現される。
【0005】
これらの従来技術はパス単位で制御・切替を実施する技術であるが、網構成単位での制御・切替を実施する技術として特開2003−224587号公報(特許文献2)がある。本技術は、「メッシュ形式のネットワークにおいて障害が発生した回線を救済する際に回線の重要性を考慮することによって救済効果を高めた回線の救済方法及びそのような方法を採用した高信頼度のネットワークを提供すること。」を目的とし、「回線に重要度に応じたパラメータを付与しておき、あらゆる故障ケースでその重要度を判断して救済を行なう。重要度の高い回線で故障が発生したが空きがない場合、故障の発生がない重要度の低い回線を削除し、そこに重要度の高い回線を充てて救済する。」ことにより実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−138848号公報
【特許文献2】特開2003−224587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の多くは、パス単位の制御・切替を行う方式である。この方式を用いる場合、障害発生時のパス切替過程及び切替後の状態は、障害が生じたそれぞれのパスにとっての最適な状態(部分最適)であり、網全体にとっての最適な状態(全体最適)とは限らない。この点は、特に災害の影響などで大規模な障害が発生した場合に顕著となる。
【0008】
例えば、静的パス制御の場合、全ての切替パターンに対して切替後に経路毎の使用帯域の偏りや輻輳が生じないようにするためには、予め予測し得る中で最も厳しいケースを想定した網運用が必要となり、網の帯域利用率が著しく低下するおそれがある。また、予め設定された現用パスと予備パスが何れも障害状態となったパスは、他に疎通可能な迂回路が存在する場合でも不通となってしまう。
動的パス制御の場合、接続性の確保という面では障害に強いと言えるが、障害発生後に迂回路を探索するため、選択する迂回路の輻輳状態や通信効率が未知である点が課題となる。このため、障害発生時にそれぞれの伝送装置が疎通可能な経路を探索・選択する過程で、正常な経路にも輻輳が生じて広範囲で切替が発生し、切替完了までに時間がかかったり、最終的に選択されるパスに偏りが生じたりするおそれがある。特許文献1に記載の技術を用いる場合でも、障害時には随時適切な網構成を計算する必要があり、大規模障害時には特に計算に時間を要すると考えられる。また、網構成を変更した結果のパスの偏りや輻輳の有無については保証されない。
【0009】
特許文献2に記載の技術を用いる場合は、障害状況を踏まえて適切な網構成の計算を実施することにより、最適な網構成への切替が実現可能である。しかし、網構成が複雑になると、最適な網構成の計算にかかる時間が増大し、その結果、切替にかかる時間が大きくなる点が課題となる。また、切替後に使用するパスの正常性保証については言及されておらず、切替前に未使用だった経路を切替後に使用することとした場合に、その経路が正常であるという保証がない。
【0010】
以上を鑑み、本発明は、伝送網において大規模な障害が発生した場合にも、確実かつ迅速に、網全体として適切な構成への変更を実現する方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置および伝送網の統括的な管理・制御を行う網管理システムにより伝送網を構成する。網管理システムは伝送網内の伝送経路(パス)の集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、前記面管理テーブルは正常時に適用される伝送面(現用面)に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の伝送面(予備面)を設定・管理する機能を備える。そして伝送網内の障害発生時には、網管理システムは適用面を適切な伝送面に変更し、変更した面のパス設定となるようパスの経路の切替を各伝送装置に指示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、伝送網において障害が発生した場合に、確実かつ迅速に、網全体として適切な構成への変更(面切替)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1で記載される伝送網の構成例を示す図である。
【図2】図1の伝送網10における現用面のパス構成例を示す図である。
【図3】図1の伝送網10における第一の予備面のパス構成例を示す図である。
【図4】図1の伝送網10における第二の予備面のパス構成例を示す図である。
【図5】図1の伝送網10における障害発生時の切替動作の例を示す図である。
【図6】伝送装置110の機能ブロック図の一例である。
【図7】網管理システム100の機能ブロック図の一例である。
【図8】網管理システム100の面管理テーブル1001の構成例を示す図である。
【図9】障害発生後の面管理テーブル1001の状態の例を示す図である。
【図10】面切替完了後の面管理テーブル1001の状態の例を示す図である。
【図11】網管理システム100の網情報管理制御部1000の処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2で記載される伝送網の障害発生時の切替動作の例を示す図である。
【図13】網管理システム101の機能ブロック図の一例である。
【図14】網管理システム101の網情報管理制御部1010の処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図10の伝送網11における現用面のパス構成例を示す図である。
【図16】図10の伝送網11における第一の予備面のパス構成例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3で記載される伝送網の現用面のパス構成例を示す図である。
【図18】図17の伝送網12の障害発生時の切替動作の例を示す図である。
【図19】網管理システム102の機能ブロック図の一例である。
【図20】網管理システム102の面管理テーブル1021の構成例を示す図である。
【図21】網管理システム102の網情報管理制御部1010の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を用いて説明する。
1.実施の形態1
本実施の形態では、網管理システムにより伝送網内の複数の伝送経路(パス)の集合を面として管理し、通常使用する現用面の障害発生時には、予め用意された一つ又は複数の予備面の中で最適な面に切り替える伝送網の例を説明する。本実施の形態の伝送網を適用することにより、伝送網内のある範囲内の複数の伝送装置や伝送経路に障害が発生し、従来技術の静的パス制御では高優先パスの現用パス、予備パスが何れも不通となり、そのため高優先パスが不通となったり、複数のパス切替発生により伝送網内で輻輳やパスの偏りが発生したりするような場合において、そのような複数障害を想定して予め設計された予備面に素早く切り替えることにより、高優先パスの伝送経路が最大限確保され、かつ、輻輳やパスの偏りが生じない網構成への変更が実現可能となる。また、本実施の形態は現用面で運用している時も全ての予備面の状態を常に監視しており、障害発生時は全ての面の監視結果に基づき面の選択を行うため、面切替前は未使用であった伝送路を面切替後に使用する場合でも、切替後の正常性が保証されているという特徴を持つ。
【0015】
図1は、本実施の形態に記載される伝送網10の構成例を示す図である。伝送網10は複数の伝送装置110−1〜11が伝送路を介して相互に接続されることで構成されている。伝送網10は、アクセス網20−1〜4を介してデータセンタ120−1、2やクライアント端末130−1、2と接続され、データセンタとクライアント端末間のデータを伝送装置110により伝送する伝送網である。
なお、クライアント端末131−1、2と接続されるのはデータセンタに限られず、Webコンテンツを配信するコンテンツサーバや各種アプリケーションやサービスを提供するサーバ等何でも良い。また、伝送網10を介してクライアント端末130−1,2が互いに通信することもできる。
また、点線で図示する隣接地域30−1〜3は、それぞれ隣接地域内の伝送装置110が地理的に近い位置(例えば、日本の一つの県内など)に配置されていることを示すものである。
【0016】
伝送装置110−1、5、7、11はそれぞれアクセス網20と接続される伝送装置であり、伝送網10の端点(エッジ)となる伝送装置として、端点伝送装置と称することとする。
また本実施例では、前述のように隣接する2つの伝送装置110を相互に接続する経路を伝送路と呼ぶ。本実施の形態においては、伝送路として例えば10ギガビット・イーサネット(登録商標)の光ファイバを使用することができる。
そして端点伝送装置から別の端点伝送装置までの経路をパスと呼ぶ。端点伝送装置が隣接していればパスは1つの伝送路で形成されても良い。また、端点伝送装置が離れた距離にあって間に1台以上の伝送装置110が介在すれば、パスは複数の伝送路から構成される。
【0017】
本実施の形態においては、伝送網10の伝送方式として例えば、網の伝送効率と高信頼性を兼ね備えた非同期パケット伝送方式として注目されるMPLS−TP(Multi Protocol Label Switching - Transport Profile)を使用することができる。本方式は、可変長パケット伝送技術の拡張性や伝送効率に、従来の同期伝送技術の特徴であるコネクションオリエンテッドな静的パス制御方式、OAMによる障害検出機能と、帯域制御・優先制御などのQoS(Quality of Service)機能を付加し、可変長パケット伝送網において同期伝送網と同等の保守運用管理を可能とする方式として標準化されている伝送方式である。
また、本実施の形態においては、アクセス網20の伝送方式として例えば、イーサネット(Ethernet、登録商標で以下同様)網及びATM(Asynchronous Transfer Mode)網を使用することができる。
【0018】
さらに、伝送装置110−1〜11は、管理網15を介して網管理システム100と接続され、伝送網10内の障害検出状態などの管理情報を網管理システム100に通知するとともに、網管理システム100からパス設定指示などの管理情報を受信する。
【0019】
伝送網10においては、伝送装置、伝送路(隣接する2つの伝送装置の間の経路)、パス(端点伝送装置から端点伝送装置までの経路)の単位で障害の監視が行われ、その情報は網管理システム100に集約される。
これらの障害監視はそれぞれ例えば、伝送装置のCPU(Central Processing Unit)による装置内デバイスの故障監視、伝送路と接続される伝送装置の光インタフェースの入力断やリンクレイヤのリンクダウン監視、IETF(Internet Engineering Task Force)とITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)とが合同で標準化を進めているMPLT−TP OAMでの定常的なパス接続性監視の公知の技術によって実現しても良い。パス単位の障害監視については、ITU−T Y.1731とIEEE802.1agの2つの枠組みで標準化されているEthernet OAMを用いても良いし、あるいは、ITU−T Y.1711で標準化されているMPLS OAMを用いても良い。
【0020】
伝送網10内のパスは、静的パス制御方式により管理され、網管理システム100から各伝送装置110に設定される。本実施の形態では、伝送網10内で同時に設定しうるパスの集合、パスの組み合わせパターンを面という概念で管理する。そして網管理システム100は、障害の発生した個所に応じて異なるパスの組み合わせパターンとして想定された複数の面を面管理テーブル1001により管理する。伝送網10では、通常時に伝送に使用する面(現用面)以外に、現用面の障害時に使用する面(予備面)を予め設定し、現用面及び予備面について定常的に状態の監視を行う。障害発生時には面ごとの障害検出状態に基づき、面単位でのパス構成変更(面切替)を実施する。
【0021】
以下、図2〜図11を用いて面ごとのパス構成例及び切替動作について詳細を説明する。
【0022】
図2は、図1の伝送網10における現用面のパス構成例を示す図である。
実線で示すパス40−0は、伝送装置110−1、11を端点伝送装置とし、伝送装置110−3、6、5、8を中継点とする高優先パスであり、9Gbps(ギガビット/秒)の利用帯域を保証するものとする。破線で示すパス41−0は、伝送装置110−7、11を端点伝送装置とし、伝送装置110−9を中継点とする中優先パスであり、5Gbpsの利用帯域を保証するものとする。点線で示すパス42−0は、伝送装置110−1、5を端点伝送装置とし、伝送装置110−2を中継点とする低優先パスであり、2Gbpsの利用帯域を保証するものとする。
パスの優先度とは、障害発生時に経路及び帯域を確保する優先度を指し、予めパス毎に設定するものとする。本図面においては便宜上、片方向矢印の集合でパスを表現するが、実際のデータは片方向あるいは双方向のどちらで伝送するものとしても良い(以下の図面においても同様)。
【0023】
図3は、図1の伝送網10における第一の予備面のパス構成例を示す図である。本実施の形態において、地震などの自然災害の場合にはある地域内の伝送網を構成する伝送装置や伝送路で同時障害が起こりやすい事を踏まえ、予備面は伝送網内の隣接地域30−1〜3の1つあるいは複数の地域内の伝送装置または伝送経路で障害が発生した場合を想定し、障害発生範囲を除く伝送網での最適なパス構成として設計するものとする。最適なパス構成とは、障害発生範囲を除く伝送網において疎通可能な、高優先パス40の迂回経路及び伝送帯域を優先的に確保し、ついで、中優先パス41の迂回経路及び伝送帯域、その後、低優先パス42の迂回経路及び伝送帯域を、それぞれその時点での空いている伝送経路を用いて可能な限り伝送するパス構成を指す。
【0024】
図3に記載した第一の予備面は、隣接地域30−1を想定障害範囲として設計したものである。パス40−1は高優先パス40−0の予備系パスであり、伝送装置110−3、6、9を中継点とする。パス41−1は中優先パス41−0の予備系パスであり、伝送装置110−10を中継点とする。パス42−1は低優先パス42−0の予備系パスであるが、パスの端点伝送装置110−5が想定障害範囲に含まれるため、本パスは迂回路を使用しても伝送が不可能である。図3ではこのような場合の処理の例として、42−0と同様の経路を設定するものとする。
【0025】
図4は、図1の伝送網10における第二の予備面のパス構成例を示す図である。第二の予備面は、隣接地域30−2を想定障害範囲として設計したものである。パス40−2は高優先パス40−0の予備系、パス41−2は中優先パス41−0の予備系、パス42−2は低優先パス42−0の予備系として設計したものである。なお、高優先パス40、低優先パス42は何れも伝送装置110−1、2、5を経由せざるを得ないが、本実施の形態において、1伝送路あたりの使用可能な伝送帯域は10Gbpsであるため、優先度に従い、高優先パス40−2で9Gbps、低優先パス42−2で1Gbpsをそれぞれ保証帯域として設定する。
【0026】
本実施の形態においては、予備面の設計例として想定障害範囲の異なる図3及び図4の2例を示した。同様の設計方針に基づき、より多くの予備面を予め設定することにより、伝送網内の様々な範囲での障害発生に対応した網構成の変更が実現可能である。また、本実施の形態においては予備面の設計は網構成の設計時に予め実施するものとしたが、伝送網の運用開始後にも予備面の設計を実施し、設定を網管理システム100及び各伝送装置110に随時追加する事により、より多くの障害パターンに対応可能とし、継続的に網の信頼性向上を図る事としても良い。
【0027】
図5は、図1の伝送網10における障害発生時の切替動作の例を示す図である。この例では、隣接地域30−1で障害が発生し、選択面が図2の現用面から図3の第一の予備面に変更される動作について説明する。本実施の形態においては、障害の監視は現用面のパスだけでなく、予備面のパスについても常に実施するものとし、パス単位の障害検出情報を元に面ごとに算出される障害影響度を用いて、適切な面を選択するものとする。
【0028】
隣接地域30−1で障害が発生すると、現用面の高優先パス40−0と低優先パス42−0が不通となり、これらのパスが経由する伝送装置においてMPLS−TPやイーサネット等の公知のOAM技術によりパスの障害を検出し、網管理システム100に通知する(S−110)。網管理システム100は、面管理テーブル1001に障害情報を反映し、面ごとの障害影響度を算出・比較した結果に基づき、この場合は適切な面として第一の予備面を選択する(S−120)。
網管理システム100は面の選択結果に基づき、各伝送装置110に対して面の変更を指示する(S−130)。この例の場合においては、現用面から第一の予備面に切り替える指示を行う。面変更指示を受けた各伝送装置110は、指示に基づき選択面の変更を実施する(S−140)。本動作を実現するための伝送装置110と網管理システム100の機能ブロックについては、以下、図6、7を用いてより詳細に説明する。
【0029】
なお、本実施の形態においては、網管理システム100及び伝送装置110の間で各面の設定情報が共有され、切替は面の変更指示に基づき行う事とした。ここで、伝送装置110が保持する各面の設定情報とは、例えば受信するフレームやパケットの識別子に対して、現在選択されている面ではどの伝送路にそれらフレームやパケットを転送するかを表わす情報であり、後述する転送テーブル11302がこれに該当する。
この他、面としての設定情報は網管理システム100によってのみ管理され、切替指示は面変更に伴うパス設定変更を網管理システム100から各伝送装置に指示するものとしても良い。この場合は網管理システム100が、選択した面のパス設定から、伝送装置110に指示すべきパス設定に関する指令を作成する。この場合、伝送装置110は既存の装置を使用することができる。
【0030】
図6は、端点伝送装置110の機能ブロック図である。伝送装置110は、伝送網10に属する伝送路10a−1〜10a−m及びアクセス網20に属する伝送路20a−1〜20a−nとパケットの送受信を行うためのインタフェース(以下IF)1110−1〜1110−m及びIF1120−1〜1120−nを備え、フレーム処理ブロック1111−1〜1111−m、1121−1〜1121−nにより各IFから受信したフレーム及び各IFへ送信するフレームに対する後述の処理を行い、転送処理ブロック1130により受信フレームの宛先IFに接続されるフレーム処理ブロックへの転送を行う。また、管理網15と接続される監視制御ブロック1140により、障害検出情報やパス設定情報の通信を行う。なお、本実施の形態では各IFに対し、各フレーム処理ブロックを1対1で接続しているが、複数のIFとのフレーム送受信処理を一つのフレーム処理ブロックで行う構成としても良い。
【0031】
フレーム処理ブロック1121−1〜1121−nは、各々が同様の処理を行うブロックであるため、そのうちの1つであるフレーム処理ブロック1121−1の構成を例に、動作の説明を行う。フレーム処理ブロック1121−1は、受信フレーム処理部11210及び送信フレーム処理部11211を備える。受信フレーム処理部11210は、アクセス網20より伝送されるイーサネットフレームやATMセルの識別及びMPLSフレームへのカプセル化を行い、転送処理ブロック1130に転送する。送信フレーム処理部11211は、転送処理ブロック1130からのフレームを受けて、MPLSヘッダを取り除き、アクセス網へ伝送する。
【0032】
フレーム処理ブロック1111−1〜1111−mは、各々が同様の処理を行うブロックであるため、そのうちの1つであるフレーム処理ブロック1111−1の構成を例に、動作の説明を行う。フレーム処理ブロック1111−1は、受信フレーム処理部11110及び送信フレーム処理部11111、OAM終端部11112、障害検出部11113、OAM挿入部11114を備える。受信フレーム処理部11110は、伝送網10より伝送されるMPLSフレームの識別を行い、OAMフレームはOAM終端部11112に転送するとともに、ユーザデータは必要に応じてMPLSラベルの変換を行い、転送処理ブロック1130に転送する。OAM終端部11112は、受信したOAMフレームを元に公知の手法によりパス単位の障害有無の判定を行い、障害検出部11113に通知する。障害検出部11113は、OAM終端部11112からのパス単位の障害を示す情報及びIF1110−1の物理リンク断情報を受けて、監視制御ブロック1140に通知するとともに、必要に応じてOAM挿入部11114にOAMフレームによる障害情報の転送を指示する。OAM挿入部11114は定常的に接続性監視用のOAMフレームの挿入を行うとともに、必要に応じて障害情報の転送用や試験用のOAMフレームの挿入を行う。送信フレーム処理部11111は、転送処理ブロック1130からのユーザデータ及びOAM挿入部11114からのOAMフレームのスケジューリング及びIF1110−1への伝送を行う。
【0033】
転送処理ブロック1130は、転送処理部11300、テーブル選択部11301、転送テーブル11302−1〜x、転送テーブル管理部11303を備える。転送処理部11300は各フレーム処理ブロックから受信したMPLSフレームのラベル情報を元にテーブル選択部11301で選択されている転送テーブル11302を参照し、ラベル情報に対応する宛先IFと接続されるフレーム処理ブロックへの転送を行う。
転送テーブル11302−1〜xは、例えば受信フレームのMPLSラベル等フレームの識別情報と宛先IF情報をパスと対応付けて管理するテーブルであり、それぞれの転送テーブルは網管理システム100で管理する各面の情報と対応する。つまり、伝送装置110は、網管理システム100が設定した面ごとにそれぞれの面のパス設定に応じた転送テーブル11302を保持する。そしてテーブル選択部11301は、網管理システム100からの指示に応じて、現在選択されている面に対応する転送テーブルを参照して転送処理部11300の設定を行う。
転送テーブル管理部11303は、テーブル選択部11301及び転送テーブル11302−1〜xを管理するブロックであり、管理網15及び監視制御ブロック1140を介して通知される管理情報を受けて、テーブル選択部11301の選択変更や転送テーブル11302の追加・編集を行う。
【0034】
監視制御ブロック1140は、障害情報管理部11400、管理情報制御部11401及び、管理網15と接続されるIF11402を備える。障害情報管理部11400は、フレーム処理ブロックから通知されるパス単位、物理ポート単位の障害検出情報及び、装置内の障害検出情報を集約し、管理情報制御部11401に通知するとともに、必要に応じて、フレーム処理ブロックの障害検出部に障害情報の転送を指示する。管理情報制御部11401は、障害情報管理部11400から通知される障害検出情報をIF11402を介して管理網15に転送するとともに、管理網15からの面切替指示や面設定変更の管理情報を転送処理ブロック1130に通知する。
【0035】
なお、図6では伝送装置110の機能ブロック図として、端点伝送装置の構成を例に説明したが、伝送装置110−2などの伝送網10とのみ接続される中継伝送装置の場合は、アクセス網20と接続されるIF1120及びフレーム処理ブロック1121は不要となる。
【0036】
図7は、網管理システム100の機能ブロック図である。網管理システム100は、網情報管理制御部1000、通信処理部1002、保守インタフェース(以下IF)1003及び、管理網15と接続されるIF1004を備える。
【0037】
通信処理部1002は、伝送装置110からの受信フレームを解析し、障害検出情報や面切替完了応答の管理情報を網情報管理制御部1000に転送する受信フレーム解析部10020と、網情報管理制御部1000からの通知を受けて伝送装置110への面切替指示や面設定変更の管理情報を生成・送信する送信フレーム生成部10021を備える。
【0038】
網情報管理制御部1000は、面管理テーブル1001、テーブル更新処理部10001、障害影響度計算処理部10002、網状態判定処理部10003、網構成設定制御部10004を備える。面管理テーブル1001は、各面に属するパスの情報及び障害検出状態の情報を格納するテーブルであり、網情報管理制御部1000は面管理テーブル1001の情報を用いて、伝送網10の障害の状況に応じた適切な面の選択を行う。テーブル更新処理部10001は、伝送装置110からの障害検出情報や面切替完了応答および、保守IF1003からの面設定追加・変更指示を受けて面管理テーブル1001の更新を行うブロックである。
障害影響度計算処理部10002は、面管理テーブル1001の各面に属するパスの障害検出情報、つまりそのパスが障害によってデータを伝送できなくなっているか否かという情報と、そのパスの優先度を表す情報等を元に、面ごとの障害影響度を計算するブロックである。網状態判定処理部10003は、面管理テーブルの各面の障害影響度を参照し、最適な面を決定するブロックである。障害により、最適な面が変わった場合、網構成設定制御部10004に面切替を指示する。網構成設定制御部10004は網状態判定処理部10003からの面切替の指示及び、保守IF1003からの面設定追加・変更指示を通信処理部1002に通知するブロックである。
【0039】
保守IF1003は、網の管理情報を保守者に通知するとともに、保守者からの面設定追加・変更指示を網の管理情報に反映するためのインタフェースであり、ディスプレイやキーボード等で構成されるものとする。もしくは、より上位の管理網と接続され、遠隔で制御するための通信IFとしても良い。なお、本実施の形態においては、面の設定追加は保守IF1003を介して行われるものとしたが、網管理システム100の内部に適切な面の計算を実施する処理部を格納し、本処理部からの情報を元に、面の設定追加を実施するものとしても良い。
【0040】
本実施の形態に記載の動作を実現する、面管理テーブル1001の内容及び、網情報管理制御部1000の処理について、以下、図8〜図11を用いてより詳細に説明する。
【0041】
図8は、網管理システム100の面管理テーブル1001の構成例を示す図である。面1001−1は現用面及び複数の予備面を識別するための識別情報を表わし、本実施の形態においては、現用面を面0、第一の予備面を面1、第二の予備面を面2とする。選択状態1001−2は、伝送網10が現在どの面のパス構成を選択しているかを示すものである。パス1001−3は、各面に含まれるパスの集合を示すものであり、各面に含まれるパスの識別情報を表わす。経路情報1001−4は、各パスの詳細を示すものであり、各パスの端点となる伝送装置の識別情報と中継点となる伝送装置の識別情報により伝送経路を表わし、そしてそのパスが保証すべき伝送帯域である保証帯域を含む。優先度1001−5は先述のパスごとの優先度を数値で表すものであり、本実施の形態においては、高優先パスを3、中優先パスを2、低優先パスを1とする。現在状態1001−6はパスごとの障害有無に基づきOK(障害無し)またはNG(障害有り)を設定するものである。
障害影響度1001−7は、各面の障害の程度を定量的に示すものであり、面に含まれる障害発生パスの数を優先度で重み付けして算出する。本実施の形態においては、障害影響度の算出方法の一例として、NGとなっているパスの優先度の総和を障害影響度とするものとする。伝送網10において障害が発生していない場合、図8の10010−040に示すように、面0〜面2におけるパスの現在状態は全てOKであり、10011−0に示すように、面0〜面2の障害影響度は何れも0である。
【0042】
図9は、図5で示した隣接地域30−1の障害発生後の面管理テーブル1001の状態を表わす。隣接地域30−1の障害発生後、現在状態1001−6はパス40、42がNGとなる。そして面0の障害影響度1001−7は、パス40の優先度3とパス42の優先度1の和で4となる。面1はパス42がNGとなり、パス42の優先度1から障害影響度1となる。面2はパス40、41、42がNGとなり、パス40の優先度3とパス41の優先度2とパス42の優先度1の和で障害影響度6となる。この結果、最も障害影響度の小さい面1が最適な面と判定され、面の切替指示が実施される。
なお、上記障害影響度1001−7の算出方法は一例であり、最適な面の判定基準は他にも考えられる。例えば、より多くの高優先パスが疎通可能であることを面の選択において最も重視するのであれば、高優先パスの優先度を10000、中優先パスの優先度を100、低優先パスの優先度を1とするように、極端に重み付けを行えば良い。また、優先度を問わずより多くのパスが疎通可能であることを面の選択において最も重視するのであれば、高優先パスの優先度を1、中優先パスの優先度を1、低優先パスの優先度を1とするように、優先度を均一にすればよい。
【0043】
網管理システム100の網状態判定処理部10003により面1が最適な面と判定され、面の切替指示が実施される。その後、各伝送装置110において面切替(選択する転送テーブルの変更)が完了し、網管理システム100に完了が通知されると、図10の選択状態1001−2に示すように面0の選択状態が非選択となり、面1が選択状態となる。
【0044】
図11は、網管理システム100の網情報管理制御部1000の処理を示すフローチャートである。面管理テーブル1001に基づく伝送網10の運用管理が開始されると、網情報管理制御部1000は、定常的に網の障害情報を面管理テーブル1001に反映、面ごとの障害影響度の算出・比較を行い、必要に応じて面の切替を実施する。
具体的には、まずテーブル更新処理部10001によりパスごとの障害検出情報を面管理テーブル1001の現在状態に反映する(S−1001)。既存のOAM技術により、パスごとの障害の有無は判別できるため、テーブル更新処理部は各伝送装置110が通知してくる情報をもとに、選択されている面および非選択の面の各パスについて、面管理テーブル1001の現在状態1001−6を更新する。
次に障害影響度計算処理部10002が、面管理テーブル1001の現在状態1001−6に基づき、面ごとの障害影響度を算出する(S−1002)。その後、網状態判定処理部10003により選択面及び全ての非選択面の障害影響度を比較し(S−1003)、障害影響度が最も小さい面が非選択面であったかを判定する(S−1004)。
【0045】
障害影響度が最も小さい面が選択面であった場合は、現在の選択面が最適な面であるということであり、面の切替は実施せず、再度、S−1001による面管理テーブル1001の更新を実施する。障害影響度が最も小さい面が非選択面であった場合は、その非選択面が網の現在状態において最適な面と判定し、その面を選択する(S−1005)。この選択面を伝送網に反映するため、網構成設定制御部10004により各伝送装置110に面切替を指示する(S−1006)。
【0046】
ここで各伝送装置110における面切替の処理の具体例について説明する。
仮に伝送装置110−1がパス40として収容するアクセス網20−1のイーサフレームに付されるVLAN IDが40であり、このパス40の伝送網10内におけるMPLSラベルが400とする。図8の面0を現用面としている場合、伝送装置110−1のテーブル選択部11301は面0に対応する転送テーブル11302を選択しており、伝送装置110−1はアクセス網20−1からVLAN IDが40のフレームを受信すると、これにMPLSラベル400を付与して伝送装置111−3に向けて転送する。
その後、例えば網管理システム100から図8の面0を面2に面切替する指示を受けた場合、伝送装置110−1の転送テーブル管理部11303は面が面0から面2に変更されたことをテーブル選択部11301に伝える。するとテーブル選択部11301は面2に対応する転送テーブル11302を選択する。また、伝送装置110−1は面切替を終了すると、完了の通知を網管理システム100に送信する。この後伝送装置110−1がアクセス網20−1からVLAN IDが40のフレームを受信すると、これにMPLSラベル400を付与して今度は伝送装置111−2に向けて転送する。
【0047】
図11の説明に戻る。その後、テーブル更新処理部10001は指示をした全ての伝送装置110からの面切替完了の通知を受けたかにより、面切替が完了したかを判定する(S−1007)。但し、障害により面切替の対象となる伝送装置自体が装置の故障を検出している場合や応答なしとなっているような場合は、S−1007の面切替完了の判定において、該伝送装置からの面切替完了の通知の有無は判定条件から除外する。S−1007において面切替が完了したと判定されると、テーブル更新処理部10001は切替後の面の選択状態を、面管理テーブル1001の選択状態1001−2に反映し、S−1001の処理に戻る(S−1008)。
2.実施の形態2
本実施の形態では、実施の形態1に記載の面切替の動作を実施後に、不通となっているパスについて、他の正常なパスの伝送に影響を与えない迂回路が存在している場合には、その迂回路を使用して疎通させるようパスの変更を実施する伝送網の例を説明する。実施の形態1においては面切替後に不通となるパスについて、迂回路が存在するにもかかわらず使用しないパス構成が選択されている状態となることがある。これは、予め定めた障害想定範囲よりも、実際に障害が生じた範囲が小さい場合等に生じうる。しかし、本実施の形態を適用すれば、面切替により高優先パスの経路を素早く確保した後、不通となっている低優先パスについても可能な限り迂回路を確保し、より適切な面とすることが可能となるのである。
【0048】
図12は、本実施の形態における伝送網11の障害発生時の切替動作の例を示す図である。この例では、一点鎖線で囲んだ領域31−1Bにおいて障害が発生し通信が不通となっている。しかし、予備面を作成するときに想定した障害発生範囲は点線で囲んだ領域31−1Aであり、実際の障害発生範囲である31−1Bよりも広い。このため実施の形態1の動作に従えば、網管理システム101は選択面を図15に記載の現用面から図16に記載の第一の予備面に変更する。この結果、想定障害範囲31−1Aに含まれる伝送装置111−5や伝送装置111−8は機能するにもかかわらず、それらの装置を経由するパスが使用されない場合がある。これにより細い点線で示される低優先パス52−0は図16では不通となっている。
図12に示す実施の形態2では、不通となったパス52−0が太い点線で示される迂回パス52−0Aに切り替えられる。以下、この動作について説明する。
【0049】
隣接地域31−1Aで障害が発生すると、現用面の細い実線で示されるパス50−0と細い点線で示されるパス52−0が不通となり、これらのパスが経由する伝送装置111においてパスの障害を検出、網管理システム101に通知する(S−111)。網管理システム101は、面管理テーブル1011に障害情報を反映し、面ごとの障害影響度を算出・比較した結果に基づき、適切な面(第一の予備面)を選択する(S−121)。網管理システム101は面の選択結果に基づき、各伝送装置111に対して面の変更を指示する(S−131)。この例の場合においては、現用面から第一の予備面に切り替える指示を行う。ここで、選択された第一の予備面ではパス52−0を救済する別のパスが設定されていない。
【0050】
面切替指示を受けた各伝送装置110は、指示に基づき選択面変更を実施する(S−141)。その後、網管理システム101は不通となったパス52−0の迂回路を探索し、伝送装置111−4、7、9、8を順に中継する、太い点線で示されるパス52−0Aを得る(S−151)。網管理システム101は、新たに得た迂回路を含む新たな面の情報を各伝送装置111に配信する。そして網管理システム101はパス52−0をパス52−0Aに変更した面への切替指示を行い(S−161)、指示を受けた伝送装置111において切替処理が行われる(S−171)。本動作を実現するための網管理システム101の機能ブロック及び処理については、図13、図14を用いてより詳細に説明する。なお、伝送装置111及び網管理テーブル1011は、それぞれ図6に示した伝送装置110及び図8に示した網管理テーブル1001と同様の構成とすることにより、本実施の形態は実現可能である。
【0051】
図13は、網管理システム101の機能ブロック図である。網管理システム101は、網情報管理制御部1010、通信処理部1012、保守IF1013及び、管理網16と接続されるIF1014を備える。通信処理部1012、保守IF1013及び、管理網16と接続されるIF1014については、図7に図示した網管理システム100の通信処理部1002、保守IF1003及び、管理網15と接続されるIF1004とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。また、網情報管理制御部1010に含まれる面管理テーブル1011、障害影響度計算処理部10102、網状態判定処理部10103についても、図7に図示した網管理システム100の面管理テーブル1001、障害影響度計算処理部10002、網状態判定処理部10003とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。
【0052】
網情報管理制御部1010の迂回路計算処理部10105は、面管理テーブル1011を参照し、現在状態がNGとなっているパスの迂回路を探索する処理部である。各伝送路について伝送帯域10Gbpsからその伝送路を使用するパスの保証帯域の総和を減算した数値を残帯域として管理し、NGパスの端点伝送装置間の伝送経路として存在する経路の中で、最も残帯域の大きい経路を迂回路として選択する。NGパスの端点伝送装置間の伝送経路として存在する経路の抽出は、伝送網内のすべての伝送路の中で、NGパスで使用されOKパスでは使用されていない伝送路を異常な伝送路と判定し、それらを除く正常な伝送路の集合により構成可能なNGパスの端点伝送装置間の伝送経路を計算することにより行う。
なお、パスの本来の保証帯域に対し、迂回路の残帯域が不十分である場合も、迂回路の残帯域をパスの保証帯域として設定を行う。これは、既存のパスの伝送帯域に影響を与えないようにするためである。また、迂回路を設定するパスにしても、迂回路の残帯域まで伝送帯域を縮退すればパスを設定できるため、保証帯域を確保できなかったとしてもそれを理由に全く不通となるよりは良い。
また、複数のパスがNGとなっている場合、優先度の高いパスから迂回路の探索を行い、その後、残りのパスの迂回路を探索することで、より優先度の高いパスから迂回路の確保を行う。迂回路計算処理部10105はNGパスの迂回路を可能な限り確保した網構成を新たな面として、網構成設定制御部10104に面の追加・選択を指示する。
【0053】
網構成設定制御部10104は、図7に図示した網管理システム100の網構成設定制御部10004の処理に加えて、迂回路計算処理部10105から新たな面を追加、選択する指示を受けると、テーブル更新処理部10101に面管理テーブル1011への面の追加を指示するとともに、各伝送装置111に新たな面を追加、選択する指示を行う。
テーブル更新処理部10101は図7に図示した網管理システム100のテーブル更新処理部10001の処理に加えて、網構成設定制御部10104からの新たな面を追加する指示を受けると、面管理テーブルに新たな面を追加する。
【0054】
図14は、網管理システム101の網情報管理制御部1010の処理を示すフローチャートである。面管理テーブル1011に基づく伝送網11の運用管理が開始されると、網情報管理制御部1010は、定常的に網の障害情報を面管理テーブル1011に反映、面ごとの障害影響度の算出・比較を行い、必要に応じて面の切替を実施する(S−1101〜S−1104)。これらの処理の詳細は図11に記載の実施の形態1の網情報管理制御部1000の処理S−1001〜S−1008と同様である。
その後、迂回路計算処理部10105は面管理テーブル1011を参照し、現在選択している面に不通となっているパスがあるかどうかを確認し、その不通パスについて他の正常パスに影響を与えない迂回路が存在するか否かを探索する(S−1105)。迂回路が存在しない場合は、面切替実施後の面を最適な面と判定し、S−1101の処理に戻る。迂回路が存在した場合は、その迂回路を使用する面構成を新たに追加・選択する指示を網構成設定制御部10104に通知し、網構成設定制御部10104はテーブル更新処理部10101にその面を新たに追加する指示を行うことにより面管理テーブル1011に面を追加するとともに、各伝送装置111に対してその面を新たに追加・選択する指示を行う(S−1106)。
【0055】
網管理システム101から新たな面の追加・選択を指示された伝送装置111の転送テーブル管理部11303は、この新たな面に対応する転送テーブル11302を追加して、テーブル選択部11302に、この新たな転送テーブル11302を選択するよう指示する。新たな面を選択すると、転送テーブル管理部11303は、網管理システム101に完了通知を送信する。
【0056】
その後、テーブル更新処理部10101は指示をした全ての伝送装置からの面追加・選択完了の通知を受けたかにより、迂回路切替が完了したかを判定する(S−1107)。テーブル更新処理部10101はS−1107において迂回路切替が完了したと判定されると、面管理テーブル1101において追加した迂回路切替の面の選択状態を選択とする。(S−1108)。
【0057】
このように実施の形態2では、面切替を実施した後に、不通となっているパスに対して他の正常なパスの疎通及び保証帯域に影響を与えない迂回路が存在する場合には、改めて迂回路を使用する面への切替を実施し、より適切な網構成への変更を行うことが可能となる。
3.実施の形態3
本実施の形態では、伝送網における障害の発生時に、従来の高速なパスプロテクション切替機能によるパス切替を即座に実施し、その結果網構成全体として不適切な状態である場合には、実施の形態1に記載した面切替を実施することにより網構成の最適化を図る伝送網の例を説明する。
【0058】
従来の静的パス制御におけるパスプロテクション切替機能において、単一箇所の障害発生の場合は、現用パス、予備パスが何れも不通となるようなパスが生じないパス構成が一般的であり、また、障害によるパス切替後も輻輳やパスの偏りが最小限となるように設計することは比較的容易である。一方、実施の形態1または実施の形態2に記載の面切替は、網管理システムで障害情報を集約した上であらかじめ定めてある面の中から最適なものを選択して切替を行う方式であり、例えば複数のパスを同時に切り替える必要があるような大きな障害が発生した場合により好適である。このように本実施の形態では障害情報を集約した網管理システム主導による比較的規模の大きいパスの切替を想定しているため、伝送装置が障害検出時に自律でパス切替を行うパスプロテクション切替機能と比較すると、切替時間が長くなるという欠点がある。
【0059】
上記2点を踏まえると単一箇所での障害の場合などは、面切替を実施するのではなく、従来のパスプロテクション切替機能による高速な切替を実施する方が適切であると言える。第3の実施形態を適用することにより、伝送網内の障害発生時に、即座にパスプロテクション切替機能によるパス切替を実施し、その結果が網構成全体として不適切な状態である場合には、面切替により適切な網構成への変更を行うことが可能となる。
【0060】
図17は、本実施の形態で記載される伝送網の現用面のパス構成例を示す図である。本実施の形態は、実施の形態1と異なり、現用面のそれぞれの現用パスに対して予め予備パスを設定する。この予備パスは、従来の静的パス制御におけるパスプロテクション切替機能で用いられるものであり、伝送装置112により自立的に系の切替が行なわれる。図17においては、太い実線で示されるパス60−0に対しては細い実線で示されるパス60−0Bが、太い破線で示されるパス61−0に対しては細い破線で示されるパス61−0Bが、太い点線で示されるパス62−0に対しては細い点線で示されるパス62−0Bが、それぞれ予備パスとして対応する。
【0061】
図18は、本実施の形態の伝送網12の障害発生時の切替動作の例を示す図である。この例では、伝送網12の伝送装置112−5、8間の伝送路での障害発生時に、細い実線で示されるパス60−0が予備パスであり太い実線で示されるパス60−0Bに切り替えられる動作について説明する。この切替動作は従来技術であるパスプロテクション切替機能により実現される。
OAM機能によりパス60−0の障害を検出した端点伝送装置112−1、11は自律的にパス60−0Bへの高速なパス切替を行う(S−102)。これらの障害検出状態及びパス切替結果は網管理システム102に集約され(S−112)、面管理テーブル102に反映される(S−122)。このように、本実施の形態の伝送網12は障害の発生時には高速なパス切替による網の救済を試みる。しかし、大規模な障害などにより何れかのパスの現用パスと予備パスが何れも不通となってしまう場合や、複数のパス切替が発生し、何れかの伝送路で輻輳が生じている場合など、パス切替だけでは適切な網構成が取れない場合には、実施の形態1や実施の形態2に示したような、面切替による網構成の変更を実施する。本動作を実現する面管理テーブル1201の内容及び網管理システム102の機能ブロック、処理については、以下、図19〜21を用いてより詳細に説明する。なお、伝送装置112は図6に示した伝送装置110と同様の構成とすることにより、本実施の形態は実現可能である。
【0062】
図19は、網管理システム102の機能ブロック図である。網管理システム102は、網情報管理制御部1020、通信処理部1022、保守IF1023及び、管理網17と接続されるIF1024を備える。通信処理部1022、保守IF1023及び、管理網16と接続されるIF1014については、図7に図示した網管理システム100の通信処理部1002、保守IF1003及び、管理網16と接続されるIF1004とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。また、網情報管理制御部1020に含まれるテーブル更新処理部10201、障害影響度計算処理部10202、網状態判定処理部10203、網構成設定制御部10204についても、図7に図示した網管理システム100のテーブル更新処理部10001、障害影響度計算処理部10002、網状態判定処理部10003、網構成設定制御部10004とそれぞれ同様の処理を行う機能ブロックである。
【0063】
網情報管理制御部1020の障害影響判定処理部10205は、面切替の要否を判定するブロックであり、面管理テーブル1021を参照し「現用パスと予備パスが共に不通となっているパスが存在する」または、「収容するパスの保証帯域の合計が伝送帯域10Gbpsを上回っている伝送路が存在する」状態にあるかを判定する。何れかの条件が満たされた場合、伝送網12において大規模な障害などによりパス切替だけでは適切な網構成が取れない、面切替が必要な状態になっていると判定する。
【0064】
図20は、網管理システム102の面管理テーブル1021の構成例を示す図である。面管理テーブル1021は図6に示した面管理テーブル1001の構成との主な違いは、選択されている面0の経路情報1021−1について中継点1021−2およびパス選択状態1021−3がそれぞれ現用パスと予備パスの情報を含んでいること、そして現在状態1021−4も現用パスと予備パスの情報をそれぞれ含んでいることである。
本図の現在状態1021−4及びパス選択状態1021−3は、図18で示した障害の発生時にパス切替が発生した後の状態を示している。図20の面管理テーブル1021は、障害により0面のパス60の現用パス60−0の現在状態10211−060がNGとなり、伝送装置の自律的なパス切替の発生後、パス60のパス選択状態10210−060が予備パス60−0Bを選択している状態を反映している。
なお、本実施の形態では最も基本的な構成として現用面である面0についてのみ予め各パスの予備パスを設定する構成としたが、予備面への切替後も高速なパスプロテクション切替機能による切替を実現可能とするために、予備面である面1や面2のパスについても予め予備パスを設定しておくこととしても良いし、現用面から予備面へ切り替えた場合に各パスの予備パスを追加で設定することとしても良い。
【0065】
図21は、網管理システム102の網情報管理制御部1020の処理を示すフローチャートである。本実施の形態においては、従来のパス切替だけでは適切な網構成が取れない場合には面切替を実施するが、面切替を行う具体的な条件として、「現用パスと予備パスが共に不通となっているパスが存在する」または、「収容するパスの保証帯域の合計が上限帯域を上回っている伝送路が存在する」を使用することとする。前者は不通パスの存在を示すものであり、後者は輻輳の可能性を示すものである。なお、上限帯域はある伝送路において伝送可能な帯域の上限であり、本実施の形態においては、10Gbpsである。面管理テーブル1021に基づく伝送網12の運用管理が開始されると、網情報管理制御部1020はテーブル更新処理部10201により定常的に網の障害情報を面管理テーブル1021に反映する(S−1201)。障害影響判定処理部10205は面管理テーブル1021を参照し、現用パスと予備パスが共に不通となっているパスが存在するかを判定する(S−1202)。また、収容するパスの保証帯域の合計が上限帯域を上回っている伝送路が存在するかを判定する(S−1203)。S−1202とS−1203の判定において、何れも満たされなかった場合は、再度、S−1201による面管理テーブルの更新を実施し、何れかが満たされた場合は、面切替が必要な状態と判断し(S−1204)、以後のS−1205〜S−1211の処理により面切替を試みる。これらの処理は図11に記載のS−1002〜S−1008と同様の処理により実現される。
【0066】
このように、実施の形態3では、伝送網内の障害発生時に、即座にパスプロテクション切替機能によるパス切替を実施し、その結果が網構成全体として不適切な状態である場合には、面切替により適切な網構成への変更を行うことが可能となる。
【0067】
上記複数の実施の形態では、パスを端点伝送装置間の伝送経路として説明したが、伝送網10、11、12内の任意の伝送装置間における伝送経路をパスと考えてもこれら実施例は同様に実施可能である。
【0068】
これら実施例では、網内の伝送装置間のパスの張り方について、網内における障害の発生個所を想定して、当該障害の発生個所を回避する形でパスの組み合わせパターンを複数用意しておき、障害が発生したときにそれら用意しておいた複数のパスの組み合わせパターンのうちの1つを選択して、一斉にパスの切替を行なう。例えば大地震などで特定の地域に大規模な障害が発生したような場合、従来のパス単位の切替では復旧に時間を要したり重要な通信経路(パス)が断絶するなどのおそれがあった。これに対し本実施例では、短時間で重要なパスを救済することができる。
なお、図10で説明したように、選択した面によっては、比較的重要度が低いパスについては必ずしも救済されるとは限らない。しかし、そのように重要度や緊急度が低い、つまり優先度の低いパスを断ってでも、重要度の高いパスの短時間での復旧が必要な場合もある。例えば、大規模な災害時は政府の指示系統のための通信経路(パス)が断絶してはならない。このような場合に、本実施例を適用すれば少なくとも重要なパスについては通信を継続することが可能となる。
なお、実施の形態2に記載された手法にて重要度のそれほど高く無いパスについても事後的に救済することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
10、11、12 伝送網
100、101、102 網管理システム
1001、1011、1021 面管理テーブル
110、111、112 伝送装置
30 隣接地域
40、41、42 パス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置を含む伝送網の管理・制御を行う網管理システムにより構成される伝送網であって、
前記網管理システムは伝送網内のパスの集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、
前記面管理テーブルは正常時に適用される現用面に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の予備面を設定・管理する機能を備え、
伝送網内の障害発生時には、適用面を適切な伝送面に変更する動作を特徴とする伝送網。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送網であって、
伝送網内のある地理的区域に属する前記伝送装置および前記伝送路における同時障害が発生した場合に最適となる面を、前記予備面として前記面管理テーブルに設定する動作を特徴とする伝送網。
【請求項3】
請求項1に記載の伝送網であって、
前記現用面に属するパスに加えて、前記予備面に属するパスについても定常的に状態を監視し、前記面管理テーブルに反映する動作を特徴とする伝送網。
【請求項4】
請求項1に記載の伝送網であって、
前記面管理テーブルは、
前記現用面及び前記予備面の識別番号と
それぞれの面に属する全てのパスの情報と
その時点での障害の影響の度合いを示す障害影響度と
を対応して記憶することを特徴とする伝送網。
【請求項5】
請求項4に記載の伝送網であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数により算出される動作を特徴とする伝送網。
【請求項6】
請求項4に記載の伝送網であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数に該パスの重要度に応じた重み付けをすることにより算出される動作を特徴とする伝送網。
【請求項7】
請求項4に記載の伝送網であって、
前記網管理システムは、
定常的に前記現用面および前記予備面の障害影響度を比較し、最も障害影響度が小さい面が現在適用している面と異なる場合に、最も障害影響度が小さい面を適用面として選択する動作を特徴とする伝送網。
【請求項8】
請求項1に記載の伝送網であって、
伝送網内の障害発生時に、適用面を適切な面に変更した後、
不通となっているパスに対し、正常に疎通しているパスに悪影響を与えない迂回路が存在する場合には、
該迂回路を使用して不通となっているパスの救済を行うことを特徴とする伝送網。
【請求項9】
請求項1に記載の伝送網であって、
前記現用面に属するパスに対し、通常使用する現用パスの障害時に使用する予備パスを予め設定し、
障害発生時にはパス単位の切替を実施し、
その結果が網構成全体として適切な状態でない場合には、
面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網。
【請求項10】
請求項9に記載の伝送網であって、
適用している面において、前記現用パス及び前記予備パスが何れも不通となっているパスが存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網。
【請求項11】
請求項9に記載の伝送網であって、
適用している面において、輻輳が生じている伝送路が存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網。
【請求項12】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置および伝送網の統括的な管理・制御を行う網管理システムにより構成される伝送網を管理する伝送網管理方式であって、
前記網管理システムは伝送網内のパスの集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、
前記面管理テーブルは正常時に適用される現用面に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の予備面を設定・管理する機能を備え、
伝送網内の障害発生時には、適用面を適切な伝送面に変更する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項13】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
伝送網内のある地理的区域に属する前記伝送装置および前記伝送路における同時障害が発生した場合に最適となる面を、前記予備面として前記面管理テーブルに設定する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項14】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
前記現用面に属するパスに加えて、前記予備面に属するパスについても定常的に状態を監視し、前記面管理テーブルに反映する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項15】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
前記面管理テーブルは、
前記現用面及び前記予備面の識別番号と
それぞれの面に属する全てのパスの情報と
その時点での障害の影響の度合いを示す障害影響度と
を対応して記憶することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項16】
請求項15に記載の伝送網管理方式であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数により算出される動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項17】
請求項15に記載の伝送網管理方式であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数に該パスの重要度に応じた重み付けをすることにより算出される動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項18】
請求項15に記載の伝送網管理方式であって、
前記網管理システムは、
定常的に前記現用面および前記予備面の障害影響度を比較し、最も障害影響度が小さい面が現在適用している面と異なる場合に、最も障害影響度が小さい面を適用面として選択する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項19】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
伝送網内の障害発生時に、適用面を適切な面に変更した後、
不通となっているパスに対し、正常に疎通しているパスに悪影響を与えない迂回路が存在する場合には、
該迂回路を使用して不通となっているパスの救済を行うことを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項20】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
前記現用面に属するパスに対し、通常使用する現用パスの障害時に使用する予備パスを予め設定し、
障害発生時にはパス単位の切替を実施し、
その結果が網構成全体として適切な状態でない場合には、
面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項21】
請求項20に記載の伝送網管理方式であって、
適用している面において、前記現用パス及び前記予備パスが何れも不通となっているパスが存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項22】
請求項20に記載の伝送網管理方式であって、
適用している面において、輻輳が生じている伝送路が存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項1】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置を含む伝送網の管理・制御を行う網管理システムにより構成される伝送網であって、
前記網管理システムは伝送網内のパスの集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、
前記面管理テーブルは正常時に適用される現用面に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の予備面を設定・管理する機能を備え、
伝送網内の障害発生時には、適用面を適切な伝送面に変更する動作を特徴とする伝送網。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送網であって、
伝送網内のある地理的区域に属する前記伝送装置および前記伝送路における同時障害が発生した場合に最適となる面を、前記予備面として前記面管理テーブルに設定する動作を特徴とする伝送網。
【請求項3】
請求項1に記載の伝送網であって、
前記現用面に属するパスに加えて、前記予備面に属するパスについても定常的に状態を監視し、前記面管理テーブルに反映する動作を特徴とする伝送網。
【請求項4】
請求項1に記載の伝送網であって、
前記面管理テーブルは、
前記現用面及び前記予備面の識別番号と
それぞれの面に属する全てのパスの情報と
その時点での障害の影響の度合いを示す障害影響度と
を対応して記憶することを特徴とする伝送網。
【請求項5】
請求項4に記載の伝送網であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数により算出される動作を特徴とする伝送網。
【請求項6】
請求項4に記載の伝送網であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数に該パスの重要度に応じた重み付けをすることにより算出される動作を特徴とする伝送網。
【請求項7】
請求項4に記載の伝送網であって、
前記網管理システムは、
定常的に前記現用面および前記予備面の障害影響度を比較し、最も障害影響度が小さい面が現在適用している面と異なる場合に、最も障害影響度が小さい面を適用面として選択する動作を特徴とする伝送網。
【請求項8】
請求項1に記載の伝送網であって、
伝送網内の障害発生時に、適用面を適切な面に変更した後、
不通となっているパスに対し、正常に疎通しているパスに悪影響を与えない迂回路が存在する場合には、
該迂回路を使用して不通となっているパスの救済を行うことを特徴とする伝送網。
【請求項9】
請求項1に記載の伝送網であって、
前記現用面に属するパスに対し、通常使用する現用パスの障害時に使用する予備パスを予め設定し、
障害発生時にはパス単位の切替を実施し、
その結果が網構成全体として適切な状態でない場合には、
面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網。
【請求項10】
請求項9に記載の伝送網であって、
適用している面において、前記現用パス及び前記予備パスが何れも不通となっているパスが存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網。
【請求項11】
請求項9に記載の伝送網であって、
適用している面において、輻輳が生じている伝送路が存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網。
【請求項12】
伝送路により互いに接続される複数の伝送装置および伝送網の統括的な管理・制御を行う網管理システムにより構成される伝送網を管理する伝送網管理方式であって、
前記網管理システムは伝送網内のパスの集合として定義される伝送面を管理する面管理テーブルを備え、
前記面管理テーブルは正常時に適用される現用面に加えて、伝送網内の障害発生時に適用可能な1または複数の予備面を設定・管理する機能を備え、
伝送網内の障害発生時には、適用面を適切な伝送面に変更する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項13】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
伝送網内のある地理的区域に属する前記伝送装置および前記伝送路における同時障害が発生した場合に最適となる面を、前記予備面として前記面管理テーブルに設定する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項14】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
前記現用面に属するパスに加えて、前記予備面に属するパスについても定常的に状態を監視し、前記面管理テーブルに反映する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項15】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
前記面管理テーブルは、
前記現用面及び前記予備面の識別番号と
それぞれの面に属する全てのパスの情報と
その時点での障害の影響の度合いを示す障害影響度と
を対応して記憶することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項16】
請求項15に記載の伝送網管理方式であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数により算出される動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項17】
請求項15に記載の伝送網管理方式であって、
前記障害影響度が、
不通となっているパスの数に該パスの重要度に応じた重み付けをすることにより算出される動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項18】
請求項15に記載の伝送網管理方式であって、
前記網管理システムは、
定常的に前記現用面および前記予備面の障害影響度を比較し、最も障害影響度が小さい面が現在適用している面と異なる場合に、最も障害影響度が小さい面を適用面として選択する動作を特徴とする伝送網管理方式。
【請求項19】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
伝送網内の障害発生時に、適用面を適切な面に変更した後、
不通となっているパスに対し、正常に疎通しているパスに悪影響を与えない迂回路が存在する場合には、
該迂回路を使用して不通となっているパスの救済を行うことを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項20】
請求項12に記載の伝送網管理方式であって、
前記現用面に属するパスに対し、通常使用する現用パスの障害時に使用する予備パスを予め設定し、
障害発生時にはパス単位の切替を実施し、
その結果が網構成全体として適切な状態でない場合には、
面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項21】
請求項20に記載の伝送網管理方式であって、
適用している面において、前記現用パス及び前記予備パスが何れも不通となっているパスが存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網管理方式。
【請求項22】
請求項20に記載の伝送網管理方式であって、
適用している面において、輻輳が生じている伝送路が存在する場合に、
網構成全体として適切な状態でないと判断し、面単位の切替を実施することを特徴とする伝送網管理方式。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−46322(P2013−46322A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184265(P2011−184265)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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