説明

伝送路の防護装置

【課題】げっ歯目の動物等による咬害対象となる伝送路への施工作業が容易で、かつ、施工作業にかかる費用を抑制することが可能な伝送路の防護装置を提供する。
【解決手段】本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置10は、伝送路50に連続的に配置された複数の回転体20と、複数の回転体20からなる集合体の伝送路50の長手方向の位置が略一定となるように、該集合体の両端の伝送路50に配置されたストッパ40と、を備えている。回転体20は、外形形状が略球形状で、伝送路50を通すための伝送路通過孔21が設けられている。伝送路通過孔21は、伝送路通過孔21の中心線が球形状の中心線となり、かつ、開口部22の径が伝送路50の径よりもわずかに大きく、かつ、伝送路通過孔21の内部空間の径が開口部22の径以上となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送路の防護装置に関する。特に、リス、鼠等のげっ歯目の動物等による咬害から伝送路を防護するための伝送路の防護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リス、鼠等のげっ歯目の動物等が、情報や電力等の伝送のために使用される電線、光ファイバ等の伝送路を伝って場所を移動する際、げっ歯目の動物等による咬害によって伝送路が破損し、漏電、断線等の不具合が発生するという深刻な問題があり、その咬害対策として、様々な伝送路や伝送路の布設方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、導体の外周に絶縁層を設けた導体心線の外側に、カプサイシンを含有する防鼠層とその上に形成された0.2〜0.5mmの防鼠剤を含有しない外傷保護層と、からなるプラスチックシースを設けた防鼠ケーブルが提案されている。また、特許文献2では、管壁が防鼠剤を含有する合成樹脂で構成されている防鼠性合成樹脂製ケーブル保護管を布設し、このケーブル保護管の中のケーブルを布設するケーブル布設方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−223058号公報
【特許文献2】特開2002−271934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案された防鼠ケーブルを使用する場合には、既に布設されているケーブルと防鼠ケーブルとを交換するために、全長にわたってケーブルの布設作業を再度実施しなければならない。また、特許文献2に提案された布設方法を使用する場合には、新たに防鼠性合成樹脂製ケーブル保護管を布設し、更にそのケーブル保護管の中にケーブルを布設する作業を、ケーブルの全長にわたって実施しなければならない。そのため、上述した従来の提案では、咬害対策の施工作業費用が膨大にかかってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、げっ歯目の動物等による咬害対象となる伝送路への施工作業が容易で、かつ、施工作業にかかる費用を抑制することが可能な伝送路の防護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかる伝送路の防護装置は、伝送路を通すための伝送路通過孔が設けられ、前記伝送路通過孔を介して、前記伝送路に連続的に配置された複数の回転体と、前記複数の回転体からなる集合体の前記伝送路における長手方向の位置が略一定となるように、前記集合体の両端の前記伝送路に設けられたストッパと、を備え、前記回転体は、前記伝送路と接触する前記伝送路通過孔の接触部が面取りされており、当該回転体の前記伝送路通過孔は、開口部の径が前記伝送路の径よりもわずかに大きく、かつ、当該伝送路通過孔の内部空間の径が前記開口部の径以上となるように形成され、更に、当該伝送路通過孔の中心線が前記回転体の略回転軸となるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、げっ歯目の動物等の移動対象物が伝送路を伝って移動しようとする際に、伝送路に設けられた回転体に移動対象物が体重をかけたとき、伝送路の周りを各回転体が独立に回転して移動対象物の移動を阻止することができる。従って、伝送路を伝って移動する際に発生していた移動対象物の咬害による伝送路の破損を防止することができる。また、開口部を小さくすることで伝送路通過孔への移動対象物の侵入を抑制することができる。
【0009】
本発明の第2の態様にかかる伝送路の防護装置は、上記の本発明の第1の態様にかかる伝送路の防護装置において、隣り合う前記回転体の間及び前記回転体と前記ストッパとの間の前記伝送路に、前記回転体の回転による隣り合う前記回転体の間及び/または前記回転体と前記ストッパとの間の摺動摩擦を低減させる摩擦緩和部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
これにより、伝送路に設けられた回転体に移動対象物が体重をかけたとき、回転体にかかる移動対象物が体重バランスのわずかなズレによって回転体が容易に回転し、移動対象物の移動阻止を向上させることができる。
【0011】
本発明の第3の態様にかかる伝送路の防護装置は、上記の本発明の第1または2の態様にかかる伝送路の防護装置において、前記回転体は、内部に広い空間を有した殻部材からなる殻構造で、前記広い空間が前記伝送路通過孔の内部空間になることを特徴とする。
【0012】
これにより、回転体が軽量になり、軽量な移動対象物であっても回転体が容易に回転するようになり、移動対象物の移動阻止を向上させることができる。また、伝送路にかかる負荷を軽減させることができる。
【0013】
本発明の第4の態様にかかる伝送路の防護装置は、上記の本発明の第4の態様にかかる伝送路の防護装置において、前記回転体は、前記伝送路通過孔の中心線方向の略中心に対応する位置の前記殻部材の内壁の内周上に、内周円の中心方向に凸の補強部材が、前記殻部材と一体に設けられていることを特徴とする。
これにより、殻構造の回転体を補強部材によって補強することができる。
【0014】
本発明の第5の態様にかかる伝送路の防護装置は、上記の本発明の第1乃至4のいずれか1つの態様にかかる伝送路の防護装置において、前記回転体は、凹部と凸部とからなる嵌合部が設けられた半割れ構造を有していることを特徴とする。
【0015】
これにより、容易に防護装置を伝送路に取り付ける施工作業を行うことができる。また、新しく伝送路を布設し直すことなく、既に布設されている伝送路のままで、防護装置を伝送路に取り付ける施工作業を行うことができる。従って、防護装置を伝送路に取り付ける施工作業にかかる費用を抑制することができる。
【0016】
本発明の第6の態様にかかる伝送路の防護装置は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかる伝送路の防護装置において、回転軸に対して垂直な当該回転体の最大外周円の直径が、当該回転体の回転軸方向の厚さ以上であることを特徴とする。
【0017】
これにより、回転体は、回転軸方向が扁平した形状(例えば、円盤状)となり、更に回転し易くなり、移動対象物の移動阻止を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、げっ歯目の動物等の移動対象物が伝送路を伝って移動しようとする際に、伝送路に設けられた回転体に移動対象物が体重をかけたとき、伝送路の周りを各回転体が独立に回転して移動対象物の移動を阻止することができる。従って、伝送路を伝って移動する際に発生していた移動対象物の咬害による伝送路の破損を防止することができる。また、開口部を小さくすることで伝送路通過孔への移動対象物の侵入を抑制することができる。
【0019】
また、緩和部材により、回転体に移動対象物の体重がかかったとき回転体の回転を回転し易くすることができる。また、回転体を殻構造にして軽量化することにより、回転体に軽量な移動対象物の体重がかかったときでも回転体の回転を回転し易くすることができる。
【0020】
また、回転体を凹部と凸部とからなる嵌合部が設けられた半割れ構造にすることにより、容易に防護装置を伝送路に取り付ける施工作業を行うことができる。また、新しく伝送路を布設し直すことなく、既に布設されている伝送路のままで、容易に防護装置を伝送路に取り付ける施工作業を行うことができる。従って、防護装置を伝送路に取り付ける施工作業にかかる費用を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置10の一例を模式的に示した斜視図である。
【図2】回転体20の一例を模式的に示した斜視図である。
【図3】凹部と凸部とからなる嵌合部が設けられた半割れ構造を有する回転体20の一例を説明するための図である。
【図4】(a)は、ストッパ40の本体部41の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、ストッパ40の本体部41の伝送路50の長手方向からの平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる伝送路の防護装置100の一例を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本実施の形態における記述は、本発明にかかる伝送路の防護装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における伝送路の防護装置の細部構成等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0023】
まず、本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置10の一例を模式的に示した斜視図である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置10は、伝送路50に連続的に配置された複数の回転体20と、複数の回転体20からなる集合体の伝送路50の長手方向の位置が略一定となるように、該集合体の両端の伝送路50に配置されたストッパ40と、を備えている。
【0024】
次に、伝送路の防護装置10を構成する回転体20について説明する。
回転体20は、げっ歯目の動物等の移動対象物が伝送路50に配置された回転体20に体重をかけたときに、回転体20が伝送路50の周りを回転して、移動対象物の移動を阻止するためのものである。図2は、回転体20の一例を模式的に示した斜視図である。
【0025】
図2に示すように、回転体20は、外形形状が略球形状で、伝送路50を通すための伝送路通過孔21が設けられている。回転体20は、伝送路通過孔21に伝送路50を通すことにより、伝送路50に連続的に配置され、更に、伝送路通過孔21の中心線が概ね回転軸となるように伝送路50の周りを回転する構造となっている。そのため、伝送路通過孔21は、伝送路通過孔21の中心線が球形状の中心線となり、かつ、開口部22の径が伝送路50の径よりもわずかに大きく、かつ、伝送路通過孔21の内部空間の径が開口部22の径以上となるように形成されている。また、開口部22を小さくすることで、伝送路通過孔21への移動対象物の侵入を抑制することができる。
【0026】
また、回転体20は、外形形状を球形状とすることで、回転体20の重心が回転体20の略中心部となるとともに、伝送路通過孔21の中心線方向(Z方向)に対して垂直な平面による断面の外形が円形で、かつ、伝送路通過孔21の中心線方向に平坦な表面部分が無い形状となり、移動対象物が伝送路50に配置された回転体20に体重をかけたときに、回転体20に加わるわずかな荷重で簡単に回転体20が伝送路50の周りを回転できる形状になっている。ここで、回転体20の中心部とは、伝送路通過孔21の中心線方向の回転体20の中心位置で、かつ、中心線方向に対して垂直な外周円の中心のことであり、回転体20が球形状の場合は、球中心である。
【0027】
尚、本実施例では、回転体20の外形形状は、略球形状であるが、これに限らず、伝送路通過孔21の中心線方向に対して垂直な平面による断面の外形が円形で、かつ、回転体20の重心が回転体20の略中心部となるような形状であって、回転体20が伝送路50の周りを回転し易い形状であれば良い。これにより、回転体20に加わるわずかな荷重で簡単に回転体20が伝送路50の周りを回転できる。例えば、図2に示した球形状や、そろばん球形状(図5参照)等が挙げられる。特に、回転体20の外形形状は、回転軸に対して垂直な回転体20の最大外周円の直径が、回転体20の回転軸方向(伝送路通過孔21の中心線方向)の厚さ以上であることが望ましい。これにより、回転体20は、回転軸方向が扁平した形状(例えば、円盤状)となり、更に回転し易くなる。
【0028】
回転体20において、回転体20が伝送路50の周りを回転する際に伝送路50に接触する部分となる伝送路通過孔21の接触部23は、面取り加工が施されている。これは、伝送路50と回転体20との摺動摩擦を小さく抑え、回転体20を回転し易くさせるためである。尚、接触部23は、伝送路通過孔21の開口部22の近傍だけでなく、伝送路50に接触する回転体20の内部の伝送路通過孔21の壁面も含む。また、回転体20が回転し易くなるように、伝送路通過孔21の接触部23の摩擦係数を、回転体20の外表面の摩擦係数よりも小さくすることが望ましい。具体的には、伝送路通過孔21の接触部23の表面に摩擦係数の小さいロウ等を塗布することにより実現することができる。
【0029】
回転体20の外径は、移動対象物によって回転体20に加わるわずかな荷重で簡単に回転体20が回転する大きさが好ましく、特に8cm程度が好ましい。また、図1に示したように、伝送路50の長手方向に連続的に配置された複数の回転体20からなる集合体の全長Wは、移動対象物の大きさ等を考慮した長さにすることが好ましく、少なくとも30cm以上となるようにすることが好ましい。
【0030】
また、移動対象物がリスや鼠等の体重の比較的軽い動物であることや、伝送路50に取り付けたとき伝送路50への負荷を軽減させることから、回転体20は、軽量でありことが望ましい。そのため、回転体20の材料は、軽量な材料であるプラスチック材等が望ましい。また、回転体20の伝送路通過孔21となる回転体20の内部の空間は広い方が望ましく、図2に示した回転体20は、ピンポン玉のように内部に広い空間を有した殻部材からなる殻構造になっている。このとき、この広い空間が送路通過孔21の内部空間となる。
【0031】
また、回転体20は、回転体20の伝送路50への取り付け作業(施工作業)が容易で、既に布設されている伝送路50を布設し直すことなく取り付け作業(施工作業)が実施できるような構造が望ましく、図2に示した回転体20は、凹部と凸部とからなる嵌合部が設けられた半割れ構造になっている。
【0032】
図3は、凹部と凸部とからなる嵌合部が設けられた半割れ構造を有する回転体20の一例を説明するための図である。図3に示すように、回転体20は、伝送路通過孔21の中心線を含む平面で2つに分割された略半球状の厚みが略一定の殻部材である分割部材24a及び24bを備え、分割部材24a及び24bの分割面同士を組み合わせると略球形状を形成する。
【0033】
また、回転体20は、分割部材24a及び24bの分割外周端近傍で、かつ、孔21の中心線方向(Z方向)の略中心に対応する位置にヒンジ25が設けられ、該ヒンジ25によって、分割部材24a及び24bが回動自在に支持されるとともに、分割部材24a及び24bの分割面を一致させて球形状の回転体20を形成するように連結された半割れ構造を有している。
【0034】
また、分割部材24aには、分割部材24aの分割外周端近傍で、かつ、伝送路通過孔21の中心線に対してヒンジ25と略線対称となる位置に、分割部材24aと一体となるように凸部26aが設けられ、分割部材24bには、分割部材24bの分割外周端近傍で、かつ、孔21の中心線に対してヒンジ25と略線対称となる位置に、分割部材24bと一体となるように凹部26bが設けられている。分割部材24aの凸部26aと分割部材24bの凹部26bとが嵌合されるスナップフィット構造(嵌合部)となっており、伝送路50を伝送路通過孔21に合わせて、分割部材24aの凸部26aを分割部材24bの凹部26bに嵌合させることによって、球形状の伝送路通過孔21に伝送路50が通った状態の回転体20を形成する。
【0035】
尚、図3(a)及び(b)に示した回転体20では、分割部材24a及び24bを1つのヒンジ25と1組のスナップフィット構造で、球形状に組み合わせているが、これに限らず、例えば、ヒンジ25の位置に別なもう1組のスナップフィット構造を設け、2組のスナップフィット構造で、分割部材24a及び24bを球形状に組み合わせる構成にしても良い。また、図3(a)及び(b)に示した回転体20では、半割れ構造で2つの分割部材を組み合わせる構成であったが、3つ以上の分割部材を組み合わせる構成であっても良い。
【0036】
また、分割部材24a及び24bには、伝送路通過孔21の中心線方向(Z方向)の略中心に対応する位置の内壁の内周上に、内周円の中心方向に凸の面取り加工が施された補強部材27a及び27bが、それぞれ分割部材24a及び24bと一体となるように設けられている。補強部材27a及び27bによって、内部に広い空間を有した殻構造の回転体20の強度を向上させることができる。
【0037】
上述したように、本実施形態の回転体20を、分割部材24aの凸部26aと分割部材24bの凹部26bとかなる嵌合部(スナップフィット構造)が設けられた半割れ構造とすることによって、簡単に伝送路50に取り付けることができる。また、新しく伝送路50を布設し直すこと無く、既に布設されている伝送路50に対して簡単に回転体20を取り付けることができる。従って、作業効率が向上するとともに材料費を抑制することができる。即ち、布設作業にかかる費用を安価に抑えることができる。また、回転体20を殻構造にすることによって、回転体20の軽量化を図ることができ、それによって、回転体20を回転し易くさせるとともに、伝送路50への負荷を軽減させることができる。
【0038】
次に、伝送路の防護装置10を構成するストッパ40について説明する。
ストッパ40は、伝送路50に連続的に配置された複数の回転体20からなる集合体の伝送路50の長手方向の位置を略一定に保つためのもの、即ち、各回転体20が伝送路50の長手方向に大きく移動しないようにするためのものである。
【0039】
図1に示したように、ストッパ40は、複数の回転体20からなる集合体の両端の伝送路50に配置されて集合体の位置(伝送路50の長手方向の位置)を略一定にするための本体部41と、本体部41を伝送路50に固定するための結束バンド部48と、から構成されている。
【0040】
図4は、ストッパ40の本体部41を説明するための図で、図4(a)は、ストッパ40の本体部41の一例を模式的に示した斜視図であり、図4(b)は、ストッパ40の本体部41の伝送路50の長手方向からの平面図である。図4(a)及び(b)に示すように、本体部41は、円柱状の胴体部42と円形板状の平面部43とから構成され、円柱状の胴体部42の一方の底面と平面部43の一方の面とが接するように一体化して形成されている。本体部41には、胴体部42の長手方向(Z方向)に貫通した円柱状の貫通孔44と、胴体部42の長手方向に垂直な一方向の表面が開口した貫通孔44に達する胴体部42の長手方向に平行なスリット45と、が設けられている。
【0041】
本体部41は、弾性を有する材料で形成されており、貫通孔44の径は伝送路50の外径と同じか、わずかに小さい径となるように形成されている。スリット幅方向(X方向)にスリット45を押し広げながら伝送路50を貫通孔44に嵌合させることにより本体部41を伝送路50に配置する。本体部41の材料は、上述したように弾性を有する材料であれば良いが、伝送路50への負荷を軽減するために軽量な材料(例えば、プラスチック材等)が望ましい。
【0042】
ストッパ40の結束バンド部48は、本体部41の胴体部42を周方向に結束して、本体部41を伝送路50に固定する結束バンド(ケーブルタイ)である。例えば、電子機器のケーブル等を結束する結束バンド(ケーブルタイ)等である。
【0043】
上述したように、本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置10では、ストッパ40は本体部41と結束バンド部48とから構成されているが、これに限らず、伝送路50に連続的に配置された複数の回転体20からなる集合体の伝送路50の長手方向の位置を略一定に保つことが可能な構成であれば良い。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる伝送路の防護装置について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態にかかる伝送路の防護装置100の一例を模式的に示した斜視図である。
【0045】
図1に示した本発明の第1の実施形態にかかる伝送路の防護装置10と、図5に示した本発明の第2の実施形態にかかる伝送路の防護装置100との相違点は、隣り合う回転体20の間の伝送路50、及び、回転体20とストッパ40との間の伝送路50に、回転体20の回転による隣り合う回転体20の間の摺動摩擦及び/または回転体20とストッパ40との間の摺動摩擦を低減させる摩擦緩和部材110が設けられている点である。摩擦緩和部材110は、例えば、ベアリングや、回転体20との摩擦係数が小さくなるような表面加工が施された軽量な円盤状の部材である。
【0046】
尚、図5に示した本発明の第2の実施形態にかかる伝送路の防護装置100の回転体20aの形状は、略そろばん球形状であるが、図1に示した略球形状の回転体20であっても良い。
【0047】
伝送路の防護装置100に摩擦緩和部材110を設けることにより、回転体20に加わるわずかな荷重で、より簡単に各回転体20が伝送路50の周りを回転できるようになり、伝送路50を伝って移動する移動対象物の移動阻止を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
10,100 : 防護装置
20,20a : 回転体
21 : 伝送路通過孔
22 : 開口部
23 : 接触部
24a、24b : 分割部材
25 : ヒンジ
26a : 凸部
26b : 凹部
27a、27b : 補強部材
40 : ストッパ
41 : 本体部
42 : 胴体部
43 : 平面部
44 : 貫通孔
45 : スリット
48 : 結束バンド部
50 : 伝送路
110 : 摩擦緩和部材




【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路を通すための伝送路通過孔が設けられ、前記伝送路通過孔を介して、前記伝送路に連続的に配置された複数の回転体と、
前記複数の回転体からなる集合体の前記伝送路における長手方向の位置が略一定となるように、前記集合体の両端の前記伝送路に設けられたストッパと、
を備え、
前記回転体は、前記伝送路と接触する前記伝送路通過孔の接触部が面取りされており、当該回転体の前記伝送路通過孔は、開口部の径が前記伝送路の径よりもわずかに大きく、かつ、当該伝送路通過孔の内部空間の径が前記開口部の径以上となるように形成され、更に、当該伝送路通過孔の中心線が前記回転体の略回転軸となるように形成されていることを特徴とする伝送路の防護装置。
【請求項2】
隣り合う前記回転体の間及び前記回転体と前記ストッパとの間の前記伝送路に、前記回転体の回転による隣り合う前記回転体の間及び/または前記回転体と前記ストッパとの間の摺動摩擦を低減させる摩擦緩和部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の伝送路の防護装置。
【請求項3】
前記回転体は、内部に広い空間を有した殻部材からなる殻構造で、前記広い空間が前記伝送路通過孔の内部空間になることを特徴とする請求項1または2に記載の伝送路の防護装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記伝送路通過孔の中心線方向の略中心に対応する位置の前記殻部材の内壁の内周上に、内周円の中心方向に凸の補強部材が、前記殻部材と一体に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の伝送路の防護装置。
【請求項5】
前記回転体は、凹部と凸部とからなる嵌合部が設けられた半割れ構造を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の伝送路の防護装置。
【請求項6】
前記回転体は、回転軸に対して垂直な当該回転体の最大外周円の直径が、当該回転体の回転軸方向の厚さ以上であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の伝送路の防護装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−120282(P2012−120282A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266100(P2010−266100)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】