伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋
【課題】 酸素との反応により発熱組成物が硬化しても伸縮性を失わず、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができ、しかも効率よく容易に製造することが可能な伸縮性発熱シート及びそれを密封した発熱シート袋を提供する。
【解決手段】 (1)平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる伸縮性発熱シート、(2)平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる伸縮性発熱シート、(3)平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる伸縮性発熱シートとする。
【解決手段】 (1)平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる伸縮性発熱シート、(2)平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる伸縮性発熱シート、(3)平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる伸縮性発熱シートとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋に関し、さらに詳しくは、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができ、低コストで効率よく製造することが可能な伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被酸化性金属、活性炭、無機電解質、水、保水剤等が混合され、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物が通気性の偏平状袋に収納され、さらに使用されるまでの期間中、外部の空気と遮断し、かつ水が蒸発して外部へ拡散することを防ぐために、前記の通気性の偏平状袋が非通気性の外袋に密封されたものが使い捨てカイロ等として用いられている。これらのカイロは、使用される部位等に応じて発熱特性が設定され、身体用、ポケット用、履物用等として各種のものが市販されている。これらのカイロには使用時の装着を容易にするために粘着剤層を設けたものもある。
【0003】
また、発熱組成物を不織布の空隙内に保持させて、使用中に片寄りが生じることを防ぐようにしたシート状の使い捨てカイロも用いられている。
このような使い捨てカイロの製造方法としては、例えば図13に示すように、各回転ロールを介して連続して供給されるシート状の不織布の上に、発熱組成物と熱融着性樹脂粉末を散布した後、さらにその上に連続して供給される他のシート状の不織布を重ね合せ、型圧縮機で加熱圧着して一体化し、所望の大きさに切断して、非通気性の外袋に密封する方法を挙げることができる。
【0004】
また、前記以外の使い捨てカイロとして、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することを目標として開発されたカイロがある。例えば、発熱剤(発熱組成物)を充填した発熱部が、シール部により複数個に区画されている使い捨てカイロ(実開平6−26829)、伸縮性を有する材料の所要の面に、使い捨てカイロを設けて、身体にフィットするようになした伸縮自在の使い捨てカイロ(実開平6−61222)等を挙げることができる。
【特許文献1】実開平6−26829号公報
【特許文献2】実開平6−61222号公報
【特許文献3】特表2001−513394号公報
【特許文献4】特表2003−509120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発熱組成物を充填した発熱部が、複数個に区画されている使い捨てカイロは、酸素との反応により発熱組成物が硬化しても、シール部で容易に折れ曲げることができるが、シール部では伸縮性がないためにカイロ全体としては伸縮性が得られなかった。また、伸縮性を有する材料の所要の面に、使い捨てカイロを設けたものは、酸素と発熱組成物が反応するにつれて、使い捨てカイロの取付け部分が硬化し、この部分では硬くて伸縮性がなかった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、酸素との反応により発熱組成物が硬化しても伸縮性を失わず、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができ、しかも効率よく容易に製造することが可能な伸縮性発熱シート及びそれを密封した発熱シート袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体の両面に、熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材を、熱融着面が内側となるように重ね合せ、加熱圧着することにより一体化してなる発熱シートにおいて、前記熱融着性シール材として、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材、あるいは複数の貫通部を有する熱融着性シール材を用いることにより、容易に伸縮性が得られることを見出し、本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
また、本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
また、本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
【0008】
また、本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及び、その両面に加熱圧着された、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる2枚の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
また、本発明は、記載のいずれかの伸縮性発熱シートが、非通気性の偏平状袋に密封されてなることを特徴とする発熱シート袋である。
【0009】
また、本発明は、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材の熱融着面側表面に、複数の偏平状の発熱体を配置し、さらに該発熱体の他の片方の表面に、熱融着面が発熱体側となるように前記3種類の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材を重ね合せ、加熱圧着することにより一体化する工程を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の伸縮性発熱シートは、熱をかけると延伸性あるいは伸縮性が小さくなる熱融着性シール材を、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材、あるいは複数の貫通部を有する熱融着性シール材とするので、各々波形のシール部、凹のシール部(厚みが薄い部分)、あるいは貫通部において伸縮性が生じ、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができる。また、本発明の伸縮性発熱シートの製造方法は、伸縮性を有しない方向を供給方向(引っ張り力がかかる方向)とすることにより、あるいは離型紙等を下に敷いて一時的に伸縮性を喪失させることにより、特別な製造装置を使用することなく、従来から使用されている製造装置を用いて、効率よく容易に製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋は、主にひじ、ひざ等の屈伸部を暖めるための使い捨てカイロ及びその製造方法に適用される。
以下、本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋を、図1〜図14に基づいて詳細に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。尚、図1〜図3は、各々本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図、図4は、本発明の伸縮性発熱シートの構成の一例を示す断面図、図5〜図7は、各々本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材(一方向に伸縮性有)の一例を示す斜視図、図8〜図10は、各々本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材(縦横の二方向に伸縮性有)の一例を示す斜視図、図11は、本発明において、貼り合せ包装材に発熱体を配置させた際の状態の一例を示す斜視図、図12は、本発明において、発熱体の両面に貼り合せ包装材を、熱融着面が内側となるように重ね合せる際の状態の一例を示す斜視図、図13は、本発明の伸縮性発熱シートの製造装置の一例を示す構成図、図14は、本発明の発熱シート袋の一例を示す斜視図(一部切欠斜視図)である。
【0012】
本発明の第1の形態の伸縮性発熱シートは、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体1、及び波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材(例えば、図5、図8のような包装材)2枚を、図1に示すように、熱融着性シール材2が内側となるように重ね合せ、加熱圧着してなる構成を有する伸縮性発熱シートである。
本発明の第2の形態の伸縮性発熱シートは、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体1、及び凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材3と延伸性基材6の貼り合せ包装材(例えば、図6、図9のような包装材)2枚を、図2に示すように、熱融着性シール材3が内側となるように重ね合せ、加熱圧着してなる構成を有する伸縮性発熱シートである。
【0013】
本発明の第3の形態の伸縮性発熱シートは、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体1、及び複数の貫通部4を有する熱融着性シール材5と延伸性基材6の貼り合せ包装材(例えば、図7、図10のような包装材)2枚を、図3に示すように、熱融着性シール材5が内側となるように重ね合せ、加熱圧着してなる構成を有する伸縮性発熱シートである。
本発明の第4の形態の伸縮性発熱シートは、前記の第1〜第3の形態の伸縮性発熱シートにおいて、発熱体1の両面に加熱圧着される貼り合せ包装材を、互いに異なる種類のものに替えた伸縮性発熱シートである。
尚、本発明の伸縮性発熱シートは、例えば第1の形態の伸縮性発熱シートの場合、最終的に図4に示すようなものに形成される。図4の伸縮性発熱シートにおいては、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材部分2(発熱体1の部分を除く)で伸縮性を有する。第2〜第4の形態の伸縮性発熱シートの場合も同様である。
【0014】
本発明の伸縮性発熱シートにおいて使用される貼り合せ包装材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱融着性成分を含む熱融着性シール材と、延伸性基材を重ね合せ、加圧面が各々波形、凹凸の形状を有するロール、金型、型圧縮機等で加熱融着させて、あるいは複数の貫通部を有する熱融着性シール材と、延伸性基材を重ね合せ、加圧面が平面となるようなロール、金型、型圧縮機等で加熱融着させて、各々図5〜図10に示すような形態に加工された包装材である。また、貼り合せ包装材として、一方向に伸縮性を有するもの(図5〜図7)を使用する場合は、発熱体の両面に重ね合せる際に、2枚の貼り合せ包装材の伸縮方向が一致するようにされる。
【0015】
尚、本発明において使用される熱融着性シール材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱融着性成分のほか、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ウレタン等のゴム成分が含まれていることが好ましい。このような熱融着性シール材としては、例えば、ゴム成分が含まれているシートと熱融着性成分が含まれているシートの貼り合せからなる熱融着性シート、ゴム成分が含まれているシートの表面に熱融着性樹脂粉末が添着された熱融着性シート、あるいはゴム成分と熱融着性成分を混合した後、溶融、延伸をした熱融着性シート等を挙げることができる。
また、本発明において使用される延伸性基材は、一旦延伸すると縮まないものであっても、伸縮自在のものであってもよく、特に制限されることはないが、例えば、各種の織布、不織布を用いることができる。これらの中でも適度に延伸するとともに感触がよい不織布が好ましい。
【0016】
本発明において、第1の形態の貼り合せ包装材(図5、図8)は熱融着性シール材2の波形の部分で伸縮することにより、第2の形態の貼り合せ包装材(図6、図9)は熱融着性シール材3の凹の部分(厚みが薄い部分)で伸縮することにより、第3の形態の貼り合せ包装材(図7、図10)は熱融着性シール材5の貫通部4の部分で伸縮することにより伸縮性が得られる。貼り合せ包装材の伸縮性を有する方向の最大伸び率((L−L0)/L0)は、通常は常温(25℃)で30〜200%であり、貼り合せ包装材の伸縮性を有しない方向の最大伸び率は、通常は常温(25℃)で30%未満である。本発明の伸縮性発熱シートは、このような貼り合せ包装材を使用するので、発熱体が設けられていない前記の部分で伸縮性を有する。
【0017】
本発明の第1の形態の貼り合せ包装材(図5、図8)において、熱融着性シール材2の波形の断面形状としては、例えば、半円、楕半円、弓形、山形(富士山形)、「コ」の文字、「ヘ」の文字、またはこれらに類似する形の端部を中心に180度回転させながら繰返し結合させて得られる形状を挙げることができる。また、波形の高さ(最上部と最下部の距離)は、通常は0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mmであり、波形の幅(波長)は、通常は0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmである。
【0018】
本発明の第2の形態の貼り合せ包装材において、図6のような熱融着性シール材3の凸部の断面形状としては、例えば、半円、楕半円、正方形、長方形、台形、三角形、またはこれらに類似する形状、図9のような熱融着性シール材3の凸部の形状としては、例えば、円柱、半球、楕半球、立方体、直方体、円錐台、角錐台、円錐、角錐、またはこれらに類似する形状を挙げることができる。また、凸部の凹部に対する高さは、通常は0.02〜2mm、好ましくは0.05〜1mmであり、凸部、凹部の幅は、通常は0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmである。尚、熱融着性シール材を、凸部、凹部を設けず平坦なシートとし、熱融着性シール材の厚みを薄くすれば伸縮性は得られるが、加熱圧着の際にシール材が破れやすくなるという不都合、発熱体との接着強度が弱くなり剥がれやすくなるという不都合がある。本発明においては、熱融着性シール材の凸部の頂上が発熱体と加熱圧着されるので、このような不都合がない。
【0019】
本発明の第3の形態の貼り合せ包装材において、図7のような縦長形状の貫通部4の平面形状としては、例えば、楕円、半円、長方形、台形、三角形、またはこれらに類似する形状、図10のような貫通部4の平面形状としては、前記のほか、円形、正方形等を挙げることができる。図7のような縦長形状の貫通部の幅は、通常は20mm以下(単に切れ目を設けた場合を含む)、好ましくは1〜10mmである。また、図10のような貫通部の大きさは、正方形に換算して通常は1〜30mm、好ましくは3〜15mmである。尚、第3の形態の貼り合せ包装材(図7、図10)においては、周辺部にも貫通部(切欠部)を設けて全体にわたり伸縮性を有するようにすることが好ましい。
【0020】
本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法においては、図11に示すように、貼り合せ包装材の熱融着面(熱融着性シール材)側表面に、複数の偏平状の発熱体1が配置される。発熱体の形状としては、特に制限されることはなく、円、楕円、半円、正方形、長方形、多角形、台形、菱形、並行四辺形、三角形、またはこれらに類似する形状を挙げることができるが、発熱体には伸縮性がないので、伸縮性発熱シートの伸縮性をなるべく妨げないように配置する必要がある。例えば、一方向の伸縮性による最大伸び率((L−L0)/L0)は、伸縮性を有する部分の長さから発熱体の部分の長さを減じた値にほぼ比例する傾向がある。
【0021】
本発明においては、発熱体の構成材料として、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物、例えば、鉄等の被酸化性金属、活性炭、塩化ナトリウム等の無機電解質、水、及び保水剤を含むものが使用される。しかし、複数の偏平状の発熱体は、図11に示すように、貼り合せ包装材の表面に固定する必要があるので、好ましくは塗布または印刷により貼り合せ包装材の表面に固着できるように、前記の構成成分のほか増粘剤を含むものが好ましい。これらの通常の構成成分の割合としては、被酸化性金属が20〜80wt%、活性炭が1〜10wt%、無機電解質が1〜10wt%、水が5〜50wt%、保水剤が1〜10wt%、増粘剤が0.1〜10wt%である。
【0022】
本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法においては、貼り合せ包装材の表面に、複数の偏平状の発熱体が配置された後、図12に示すように、さらに発熱体の他の片方の表面に、熱融着面が発熱体側となるように、貼り合せ包装材が重ね合され、加熱圧着することにより一体化される。この際、2枚の貼り合せ包装材は異なった種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることが好ましい。また、一方向に伸縮性を有する包装材を用いた場合、2枚の貼り合せ包装材の伸縮方向が一致するように配置される。
尚、本発明においては、前記2枚の貼り合せ包装材のうち少なくとも1枚の貼り合せ包装材は、通気性包装材とされる。また、伸縮性発熱シートを、ひじ、ひざ等の屈伸部に貼って使用するために、1枚の貼り合せ包装材、好ましくは通気性を有さない貼り合せ包装材の熱融着面と反対側の面に、接着剤層を設けることができる。接着剤層は、使用されるまでの期間中、剥離紙等により被覆される。
【0023】
本発明の伸縮性発熱シートは、例えば、発熱体の配置(塗布、印刷)部7、加熱圧着部8、切断部9を有する図13に示すような製造装置に、貼り合せ包装材が巻かれたロール10をセットし、製造装置を起動して連続的に製造することができる。この際、貼り合せ包装材の伸縮性を有する方向を供給方向(引っ張り力がかかる方向)とすると、その伸縮性のために一定の供給速度を維持することが困難となるが、貼り合せ包装材の伸縮性を有しない方向を供給方向とすることにより、効率よく容易に伸縮性発熱シートを製造することが可能である。また、縦横の二方向に伸縮性を有する場合は、離型紙等を下に敷いて一時的に伸縮性を喪失させることにより、効率よく容易に伸縮性発熱シートを製造することが可能である。
【0024】
本発明の発熱シート袋は、図14に示すように、前述のような伸縮性発熱シート11を、非通気性の偏平状袋12に密封されてなるものである。発熱シート袋を製造する際は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非通気性包装材13を、2枚重ね合せ、1辺を除く周辺部を加熱融着して袋状にした後、伸縮性発熱シート11を挿入し、残る1辺を加熱融着することにより製造することができる。
【0025】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
(貼り合せ包装材の製作)
熱融着性シール材として、市販の熱融着性成分シート(低温融着)/ゴム成分シート/熱融着性成分シート(高温融着)からなる熱融着性シート(厚さ:70μm)を用い、延伸性基材として、市販の不織布(ポリエステルスパンレース)(厚さ:200μm)を用いて、これらを熱融着性成分(低温融着)の表面が内側となるように重ね合せ、その両面を、一方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型で挟み、加熱融着することにより、図5に示すような波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材を得た。尚、加熱融着の際は、金型の温度を、熱融着性成分シート(低温融着)が溶融し、熱融着性成分シート(高温融着)が溶融しない温度に設定した。この貼り合せ包装材の波形の高さ(最上部と最下部の距離)は0.2mm、波形の幅(波長)は6mmであった。さらに、この貼り合せ包装材を100mm×150mmに切断した。このような貼り合せ包装材を2枚製作し、そのうち1枚の表面に針穴を設けて通気性にした。
【0027】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
窒素ガス雰囲気下で、鉄粉が63.1wt%、活性炭が3.2wt%、食塩(無機電解質)が1.9wt%、水が26.5wt%、保水剤が0.6wt%、増粘剤が4.7wt%となるように混合した塗液30gを、前記の貼り合せ包装材(非通気性)の熱融着面側表面に6箇所に分けて塗布することにより、図11に示すような発熱体が配置された貼り合せ包装材を得た。尚、この発熱体の形状は、長径80mm、短径15mmの楕円であり、厚みは1.0mmであった。
【0028】
次に、図12に示すように、発熱体の表面に、熱融着面が発熱体側となるように、貼り合せ包装材の伸縮方向が一致するように、前記の貼り合せ包装材(通気性)を重ね合せ、加熱圧着することにより一体化して図4(1)に示すような発熱シートを得た。また、伸縮性発熱シートを、ひじ、ひざ等の屈伸部に貼って使用するために、非通気性の貼り合せ包装材の表面に、接着剤層を設けさらに剥離紙によりこれを被覆した。
前記の伸縮性発熱シートを、130mm×180mmの非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を製作した。
【0029】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々50%、3%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は6時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々48%、2%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例2】
【0030】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、一方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、一方向に凹凸の繰返し形状を有する金型と平板の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、図6に示すような凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材3と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作した。尚、この貼り合せ包装材の凸部の厚みは0.25mm、凹部の厚みは0.15mmであり、凸部、凹部の幅は、各々3mmであった。さらに、この貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0031】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々40%、3%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は48℃、40℃以上の維持時間は7時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々38%、2%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例3】
【0032】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、熱融着性シートに幅1.0mmのスリットを5mm間隔で設け、波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、平板の2個の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、図7に示すような複数の縦長形状の貫通部4を有する熱融着性シール材5と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作した。さらに、この貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0033】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々42%、2%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は52℃、40℃以上の維持時間は5時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々40%、1%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例4】
【0034】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1と同様にして、図5に示すような波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材を得た。また、実施例2と同様にして、図6に示すような凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材3と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作し、表面に針穴を設けて通気性にした。これらの2種類の貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0035】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々50%、2%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は8時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々49%、1%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例5】
【0036】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、一方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、二方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、図8に示すような波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作した。尚、この貼り合せ包装材の波形の高さ、波形の幅は実施例1と同じであった。さらに、この貼り合せ包装材を用い、直径30mm、厚み1.0mmの6個の発熱体を配置したほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0037】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々30%、24%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は6時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々27%、21%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【0038】
[比較例1]
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、平板の2個の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、平坦な熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材を製作した。さらに、この貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0039】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々8%、2%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は6時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々4%、1%であり、使用前と較べてさらに低下していることが確認された。
【0040】
以上のように、本発明の実施例の伸縮性発熱シートは、熱融着性シール材を、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材、あるいは複数の縦長形状の貫通部を有する熱融着性シール材としたので、各々波形のシール部、凹のシール部(厚みが薄い部分)、あるいは貫通部において伸縮性が生じ、使用中あるいは使用後であっても伸縮性を維持できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図(第1の形態)
【図2】本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図(第2の形態)
【図3】本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図(第3の形態)
【図4】本発明の伸縮性発熱シートの構成の一例を示す断面図
【図5】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第1の形態、一方向に伸縮性有)
【図6】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第2の形態、一方向に伸縮性有)
【図7】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第3の形態、一方向に伸縮性有)
【図8】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第1の形態、縦横の二方向に伸縮性有)
【図9】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第2の形態、縦横の二方向に伸縮性有)
【図10】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第3の形態、縦横の二方向に伸縮性有)
【図11】本発明において、貼り合せ包装材に発熱体を配置させた際の状態の一例を示す斜視図
【図12】本発明において、発熱体の両面に貼り合せ包装材を、熱融着面が内側となるように重ね合せる際の状態の一例を示す斜視図
【図13】本発明の伸縮性発熱シートの製造装置の一例を示す構成図
【図14】本発明の発熱シート袋の一例を示す斜視図(一部切欠斜視図)
【符号の説明】
【0042】
1 発熱体
2 波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材
3 凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材
4 貫通部
5 貫通部を有する熱融着性シール材
6 延伸性基材
7 発熱体の配置(塗布、印刷)部
8 加熱圧着部
9 切断部
10 貼り合せ包装材が巻かれたロール
11 伸縮性発熱シート
12 非通気性の偏平状袋
13 非通気性包装材
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋に関し、さらに詳しくは、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができ、低コストで効率よく製造することが可能な伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被酸化性金属、活性炭、無機電解質、水、保水剤等が混合され、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物が通気性の偏平状袋に収納され、さらに使用されるまでの期間中、外部の空気と遮断し、かつ水が蒸発して外部へ拡散することを防ぐために、前記の通気性の偏平状袋が非通気性の外袋に密封されたものが使い捨てカイロ等として用いられている。これらのカイロは、使用される部位等に応じて発熱特性が設定され、身体用、ポケット用、履物用等として各種のものが市販されている。これらのカイロには使用時の装着を容易にするために粘着剤層を設けたものもある。
【0003】
また、発熱組成物を不織布の空隙内に保持させて、使用中に片寄りが生じることを防ぐようにしたシート状の使い捨てカイロも用いられている。
このような使い捨てカイロの製造方法としては、例えば図13に示すように、各回転ロールを介して連続して供給されるシート状の不織布の上に、発熱組成物と熱融着性樹脂粉末を散布した後、さらにその上に連続して供給される他のシート状の不織布を重ね合せ、型圧縮機で加熱圧着して一体化し、所望の大きさに切断して、非通気性の外袋に密封する方法を挙げることができる。
【0004】
また、前記以外の使い捨てカイロとして、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することを目標として開発されたカイロがある。例えば、発熱剤(発熱組成物)を充填した発熱部が、シール部により複数個に区画されている使い捨てカイロ(実開平6−26829)、伸縮性を有する材料の所要の面に、使い捨てカイロを設けて、身体にフィットするようになした伸縮自在の使い捨てカイロ(実開平6−61222)等を挙げることができる。
【特許文献1】実開平6−26829号公報
【特許文献2】実開平6−61222号公報
【特許文献3】特表2001−513394号公報
【特許文献4】特表2003−509120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発熱組成物を充填した発熱部が、複数個に区画されている使い捨てカイロは、酸素との反応により発熱組成物が硬化しても、シール部で容易に折れ曲げることができるが、シール部では伸縮性がないためにカイロ全体としては伸縮性が得られなかった。また、伸縮性を有する材料の所要の面に、使い捨てカイロを設けたものは、酸素と発熱組成物が反応するにつれて、使い捨てカイロの取付け部分が硬化し、この部分では硬くて伸縮性がなかった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、酸素との反応により発熱組成物が硬化しても伸縮性を失わず、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができ、しかも効率よく容易に製造することが可能な伸縮性発熱シート及びそれを密封した発熱シート袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体の両面に、熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材を、熱融着面が内側となるように重ね合せ、加熱圧着することにより一体化してなる発熱シートにおいて、前記熱融着性シール材として、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材、あるいは複数の貫通部を有する熱融着性シール材を用いることにより、容易に伸縮性が得られることを見出し、本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
また、本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
また、本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
【0008】
また、本発明は、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及び、その両面に加熱圧着された、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる2枚の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートである。
また、本発明は、記載のいずれかの伸縮性発熱シートが、非通気性の偏平状袋に密封されてなることを特徴とする発熱シート袋である。
【0009】
また、本発明は、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材の熱融着面側表面に、複数の偏平状の発熱体を配置し、さらに該発熱体の他の片方の表面に、熱融着面が発熱体側となるように前記3種類の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材を重ね合せ、加熱圧着することにより一体化する工程を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の伸縮性発熱シートは、熱をかけると延伸性あるいは伸縮性が小さくなる熱融着性シール材を、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材、あるいは複数の貫通部を有する熱融着性シール材とするので、各々波形のシール部、凹のシール部(厚みが薄い部分)、あるいは貫通部において伸縮性が生じ、ひじ、ひざ等の屈伸部にフィットして使用することができる。また、本発明の伸縮性発熱シートの製造方法は、伸縮性を有しない方向を供給方向(引っ張り力がかかる方向)とすることにより、あるいは離型紙等を下に敷いて一時的に伸縮性を喪失させることにより、特別な製造装置を使用することなく、従来から使用されている製造装置を用いて、効率よく容易に製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋は、主にひじ、ひざ等の屈伸部を暖めるための使い捨てカイロ及びその製造方法に適用される。
以下、本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法、並びに発熱シート袋を、図1〜図14に基づいて詳細に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。尚、図1〜図3は、各々本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図、図4は、本発明の伸縮性発熱シートの構成の一例を示す断面図、図5〜図7は、各々本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材(一方向に伸縮性有)の一例を示す斜視図、図8〜図10は、各々本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材(縦横の二方向に伸縮性有)の一例を示す斜視図、図11は、本発明において、貼り合せ包装材に発熱体を配置させた際の状態の一例を示す斜視図、図12は、本発明において、発熱体の両面に貼り合せ包装材を、熱融着面が内側となるように重ね合せる際の状態の一例を示す斜視図、図13は、本発明の伸縮性発熱シートの製造装置の一例を示す構成図、図14は、本発明の発熱シート袋の一例を示す斜視図(一部切欠斜視図)である。
【0012】
本発明の第1の形態の伸縮性発熱シートは、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体1、及び波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材(例えば、図5、図8のような包装材)2枚を、図1に示すように、熱融着性シール材2が内側となるように重ね合せ、加熱圧着してなる構成を有する伸縮性発熱シートである。
本発明の第2の形態の伸縮性発熱シートは、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体1、及び凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材3と延伸性基材6の貼り合せ包装材(例えば、図6、図9のような包装材)2枚を、図2に示すように、熱融着性シール材3が内側となるように重ね合せ、加熱圧着してなる構成を有する伸縮性発熱シートである。
【0013】
本発明の第3の形態の伸縮性発熱シートは、平面上に配置された複数の偏平状の発熱体1、及び複数の貫通部4を有する熱融着性シール材5と延伸性基材6の貼り合せ包装材(例えば、図7、図10のような包装材)2枚を、図3に示すように、熱融着性シール材5が内側となるように重ね合せ、加熱圧着してなる構成を有する伸縮性発熱シートである。
本発明の第4の形態の伸縮性発熱シートは、前記の第1〜第3の形態の伸縮性発熱シートにおいて、発熱体1の両面に加熱圧着される貼り合せ包装材を、互いに異なる種類のものに替えた伸縮性発熱シートである。
尚、本発明の伸縮性発熱シートは、例えば第1の形態の伸縮性発熱シートの場合、最終的に図4に示すようなものに形成される。図4の伸縮性発熱シートにおいては、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材部分2(発熱体1の部分を除く)で伸縮性を有する。第2〜第4の形態の伸縮性発熱シートの場合も同様である。
【0014】
本発明の伸縮性発熱シートにおいて使用される貼り合せ包装材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱融着性成分を含む熱融着性シール材と、延伸性基材を重ね合せ、加圧面が各々波形、凹凸の形状を有するロール、金型、型圧縮機等で加熱融着させて、あるいは複数の貫通部を有する熱融着性シール材と、延伸性基材を重ね合せ、加圧面が平面となるようなロール、金型、型圧縮機等で加熱融着させて、各々図5〜図10に示すような形態に加工された包装材である。また、貼り合せ包装材として、一方向に伸縮性を有するもの(図5〜図7)を使用する場合は、発熱体の両面に重ね合せる際に、2枚の貼り合せ包装材の伸縮方向が一致するようにされる。
【0015】
尚、本発明において使用される熱融着性シール材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱融着性成分のほか、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ウレタン等のゴム成分が含まれていることが好ましい。このような熱融着性シール材としては、例えば、ゴム成分が含まれているシートと熱融着性成分が含まれているシートの貼り合せからなる熱融着性シート、ゴム成分が含まれているシートの表面に熱融着性樹脂粉末が添着された熱融着性シート、あるいはゴム成分と熱融着性成分を混合した後、溶融、延伸をした熱融着性シート等を挙げることができる。
また、本発明において使用される延伸性基材は、一旦延伸すると縮まないものであっても、伸縮自在のものであってもよく、特に制限されることはないが、例えば、各種の織布、不織布を用いることができる。これらの中でも適度に延伸するとともに感触がよい不織布が好ましい。
【0016】
本発明において、第1の形態の貼り合せ包装材(図5、図8)は熱融着性シール材2の波形の部分で伸縮することにより、第2の形態の貼り合せ包装材(図6、図9)は熱融着性シール材3の凹の部分(厚みが薄い部分)で伸縮することにより、第3の形態の貼り合せ包装材(図7、図10)は熱融着性シール材5の貫通部4の部分で伸縮することにより伸縮性が得られる。貼り合せ包装材の伸縮性を有する方向の最大伸び率((L−L0)/L0)は、通常は常温(25℃)で30〜200%であり、貼り合せ包装材の伸縮性を有しない方向の最大伸び率は、通常は常温(25℃)で30%未満である。本発明の伸縮性発熱シートは、このような貼り合せ包装材を使用するので、発熱体が設けられていない前記の部分で伸縮性を有する。
【0017】
本発明の第1の形態の貼り合せ包装材(図5、図8)において、熱融着性シール材2の波形の断面形状としては、例えば、半円、楕半円、弓形、山形(富士山形)、「コ」の文字、「ヘ」の文字、またはこれらに類似する形の端部を中心に180度回転させながら繰返し結合させて得られる形状を挙げることができる。また、波形の高さ(最上部と最下部の距離)は、通常は0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mmであり、波形の幅(波長)は、通常は0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmである。
【0018】
本発明の第2の形態の貼り合せ包装材において、図6のような熱融着性シール材3の凸部の断面形状としては、例えば、半円、楕半円、正方形、長方形、台形、三角形、またはこれらに類似する形状、図9のような熱融着性シール材3の凸部の形状としては、例えば、円柱、半球、楕半球、立方体、直方体、円錐台、角錐台、円錐、角錐、またはこれらに類似する形状を挙げることができる。また、凸部の凹部に対する高さは、通常は0.02〜2mm、好ましくは0.05〜1mmであり、凸部、凹部の幅は、通常は0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmである。尚、熱融着性シール材を、凸部、凹部を設けず平坦なシートとし、熱融着性シール材の厚みを薄くすれば伸縮性は得られるが、加熱圧着の際にシール材が破れやすくなるという不都合、発熱体との接着強度が弱くなり剥がれやすくなるという不都合がある。本発明においては、熱融着性シール材の凸部の頂上が発熱体と加熱圧着されるので、このような不都合がない。
【0019】
本発明の第3の形態の貼り合せ包装材において、図7のような縦長形状の貫通部4の平面形状としては、例えば、楕円、半円、長方形、台形、三角形、またはこれらに類似する形状、図10のような貫通部4の平面形状としては、前記のほか、円形、正方形等を挙げることができる。図7のような縦長形状の貫通部の幅は、通常は20mm以下(単に切れ目を設けた場合を含む)、好ましくは1〜10mmである。また、図10のような貫通部の大きさは、正方形に換算して通常は1〜30mm、好ましくは3〜15mmである。尚、第3の形態の貼り合せ包装材(図7、図10)においては、周辺部にも貫通部(切欠部)を設けて全体にわたり伸縮性を有するようにすることが好ましい。
【0020】
本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法においては、図11に示すように、貼り合せ包装材の熱融着面(熱融着性シール材)側表面に、複数の偏平状の発熱体1が配置される。発熱体の形状としては、特に制限されることはなく、円、楕円、半円、正方形、長方形、多角形、台形、菱形、並行四辺形、三角形、またはこれらに類似する形状を挙げることができるが、発熱体には伸縮性がないので、伸縮性発熱シートの伸縮性をなるべく妨げないように配置する必要がある。例えば、一方向の伸縮性による最大伸び率((L−L0)/L0)は、伸縮性を有する部分の長さから発熱体の部分の長さを減じた値にほぼ比例する傾向がある。
【0021】
本発明においては、発熱体の構成材料として、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物、例えば、鉄等の被酸化性金属、活性炭、塩化ナトリウム等の無機電解質、水、及び保水剤を含むものが使用される。しかし、複数の偏平状の発熱体は、図11に示すように、貼り合せ包装材の表面に固定する必要があるので、好ましくは塗布または印刷により貼り合せ包装材の表面に固着できるように、前記の構成成分のほか増粘剤を含むものが好ましい。これらの通常の構成成分の割合としては、被酸化性金属が20〜80wt%、活性炭が1〜10wt%、無機電解質が1〜10wt%、水が5〜50wt%、保水剤が1〜10wt%、増粘剤が0.1〜10wt%である。
【0022】
本発明の伸縮性発熱シート及びその製造方法においては、貼り合せ包装材の表面に、複数の偏平状の発熱体が配置された後、図12に示すように、さらに発熱体の他の片方の表面に、熱融着面が発熱体側となるように、貼り合せ包装材が重ね合され、加熱圧着することにより一体化される。この際、2枚の貼り合せ包装材は異なった種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることが好ましい。また、一方向に伸縮性を有する包装材を用いた場合、2枚の貼り合せ包装材の伸縮方向が一致するように配置される。
尚、本発明においては、前記2枚の貼り合せ包装材のうち少なくとも1枚の貼り合せ包装材は、通気性包装材とされる。また、伸縮性発熱シートを、ひじ、ひざ等の屈伸部に貼って使用するために、1枚の貼り合せ包装材、好ましくは通気性を有さない貼り合せ包装材の熱融着面と反対側の面に、接着剤層を設けることができる。接着剤層は、使用されるまでの期間中、剥離紙等により被覆される。
【0023】
本発明の伸縮性発熱シートは、例えば、発熱体の配置(塗布、印刷)部7、加熱圧着部8、切断部9を有する図13に示すような製造装置に、貼り合せ包装材が巻かれたロール10をセットし、製造装置を起動して連続的に製造することができる。この際、貼り合せ包装材の伸縮性を有する方向を供給方向(引っ張り力がかかる方向)とすると、その伸縮性のために一定の供給速度を維持することが困難となるが、貼り合せ包装材の伸縮性を有しない方向を供給方向とすることにより、効率よく容易に伸縮性発熱シートを製造することが可能である。また、縦横の二方向に伸縮性を有する場合は、離型紙等を下に敷いて一時的に伸縮性を喪失させることにより、効率よく容易に伸縮性発熱シートを製造することが可能である。
【0024】
本発明の発熱シート袋は、図14に示すように、前述のような伸縮性発熱シート11を、非通気性の偏平状袋12に密封されてなるものである。発熱シート袋を製造する際は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非通気性包装材13を、2枚重ね合せ、1辺を除く周辺部を加熱融着して袋状にした後、伸縮性発熱シート11を挿入し、残る1辺を加熱融着することにより製造することができる。
【0025】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
(貼り合せ包装材の製作)
熱融着性シール材として、市販の熱融着性成分シート(低温融着)/ゴム成分シート/熱融着性成分シート(高温融着)からなる熱融着性シート(厚さ:70μm)を用い、延伸性基材として、市販の不織布(ポリエステルスパンレース)(厚さ:200μm)を用いて、これらを熱融着性成分(低温融着)の表面が内側となるように重ね合せ、その両面を、一方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型で挟み、加熱融着することにより、図5に示すような波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材を得た。尚、加熱融着の際は、金型の温度を、熱融着性成分シート(低温融着)が溶融し、熱融着性成分シート(高温融着)が溶融しない温度に設定した。この貼り合せ包装材の波形の高さ(最上部と最下部の距離)は0.2mm、波形の幅(波長)は6mmであった。さらに、この貼り合せ包装材を100mm×150mmに切断した。このような貼り合せ包装材を2枚製作し、そのうち1枚の表面に針穴を設けて通気性にした。
【0027】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
窒素ガス雰囲気下で、鉄粉が63.1wt%、活性炭が3.2wt%、食塩(無機電解質)が1.9wt%、水が26.5wt%、保水剤が0.6wt%、増粘剤が4.7wt%となるように混合した塗液30gを、前記の貼り合せ包装材(非通気性)の熱融着面側表面に6箇所に分けて塗布することにより、図11に示すような発熱体が配置された貼り合せ包装材を得た。尚、この発熱体の形状は、長径80mm、短径15mmの楕円であり、厚みは1.0mmであった。
【0028】
次に、図12に示すように、発熱体の表面に、熱融着面が発熱体側となるように、貼り合せ包装材の伸縮方向が一致するように、前記の貼り合せ包装材(通気性)を重ね合せ、加熱圧着することにより一体化して図4(1)に示すような発熱シートを得た。また、伸縮性発熱シートを、ひじ、ひざ等の屈伸部に貼って使用するために、非通気性の貼り合せ包装材の表面に、接着剤層を設けさらに剥離紙によりこれを被覆した。
前記の伸縮性発熱シートを、130mm×180mmの非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を製作した。
【0029】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々50%、3%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は6時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々48%、2%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例2】
【0030】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、一方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、一方向に凹凸の繰返し形状を有する金型と平板の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、図6に示すような凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材3と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作した。尚、この貼り合せ包装材の凸部の厚みは0.25mm、凹部の厚みは0.15mmであり、凸部、凹部の幅は、各々3mmであった。さらに、この貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0031】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々40%、3%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は48℃、40℃以上の維持時間は7時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々38%、2%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例3】
【0032】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、熱融着性シートに幅1.0mmのスリットを5mm間隔で設け、波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、平板の2個の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、図7に示すような複数の縦長形状の貫通部4を有する熱融着性シール材5と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作した。さらに、この貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0033】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々42%、2%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は52℃、40℃以上の維持時間は5時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々40%、1%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例4】
【0034】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1と同様にして、図5に示すような波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材を得た。また、実施例2と同様にして、図6に示すような凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材3と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作し、表面に針穴を設けて通気性にした。これらの2種類の貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0035】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々50%、2%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は8時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する方向の最大伸び率及び伸縮性を有しない方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々49%、1%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【実施例5】
【0036】
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、一方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、二方向に波形の繰返し形状を有する2個の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、図8に示すような波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材2と延伸性基材6の貼り合せ包装材を製作した。尚、この貼り合せ包装材の波形の高さ、波形の幅は実施例1と同じであった。さらに、この貼り合せ包装材を用い、直径30mm、厚み1.0mmの6個の発熱体を配置したほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0037】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに伸縮性を有する縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々30%、24%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は6時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、伸縮性を有する縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々27%、21%であり、使用前とほとんど同じであることが確認された。
【0038】
[比較例1]
(伸縮性発熱シート、発熱シート袋の製作)
実施例1の貼り合せ包装材の製作において、波形の繰返し形状を有する2個の金型の代わりに、平板の2個の金型を用いたほかは実施例1と同様にして、平坦な熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材を製作した。さらに、この貼り合せ包装材を用いたほかは実施例1と同様にして伸縮性発熱シートを製作し、これを非通気性の偏平状袋に密封して発熱シート袋を得た。
【0039】
(伸縮性発熱シートの伸縮性及び発熱特性の調査)
前記のような発熱シート袋を2袋製作し、25℃の室内に1昼夜放置した。1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、すぐに縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々8%、2%であった。
次に、他の1袋の発熱シート袋から伸縮性発熱シートを取り出し、25℃の室内の座布団の上に放置したときの発熱特性を調査した。その結果、最高温度は50℃、40℃以上の維持時間は6時間であり、良好な発熱特性を有していることが確認された。
さらに、使用後(温度低下後)の伸縮性発熱シートについて、縦横二方向の最大伸び率を測定した。その結果、最大伸び率は、各々4%、1%であり、使用前と較べてさらに低下していることが確認された。
【0040】
以上のように、本発明の実施例の伸縮性発熱シートは、熱融着性シール材を、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材、あるいは複数の縦長形状の貫通部を有する熱融着性シール材としたので、各々波形のシール部、凹のシール部(厚みが薄い部分)、あるいは貫通部において伸縮性が生じ、使用中あるいは使用後であっても伸縮性を維持できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図(第1の形態)
【図2】本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図(第2の形態)
【図3】本発明の伸縮性発熱シートの加熱圧着前の構成の例を示す断面図(第3の形態)
【図4】本発明の伸縮性発熱シートの構成の一例を示す断面図
【図5】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第1の形態、一方向に伸縮性有)
【図6】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第2の形態、一方向に伸縮性有)
【図7】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第3の形態、一方向に伸縮性有)
【図8】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第1の形態、縦横の二方向に伸縮性有)
【図9】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第2の形態、縦横の二方向に伸縮性有)
【図10】本発明の伸縮性発熱シートに用いる貼り合せ包装材の一例を示す斜視図(第3の形態、縦横の二方向に伸縮性有)
【図11】本発明において、貼り合せ包装材に発熱体を配置させた際の状態の一例を示す斜視図
【図12】本発明において、発熱体の両面に貼り合せ包装材を、熱融着面が内側となるように重ね合せる際の状態の一例を示す斜視図
【図13】本発明の伸縮性発熱シートの製造装置の一例を示す構成図
【図14】本発明の発熱シート袋の一例を示す斜視図(一部切欠斜視図)
【符号の説明】
【0042】
1 発熱体
2 波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材
3 凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材
4 貫通部
5 貫通部を有する熱融着性シール材
6 延伸性基材
7 発熱体の配置(塗布、印刷)部
8 加熱圧着部
9 切断部
10 貼り合せ包装材が巻かれたロール
11 伸縮性発熱シート
12 非通気性の偏平状袋
13 非通気性包装材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項2】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項3】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項4】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及び、その両面に加熱圧着された、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる2枚の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項5】
延伸性基材が不織布である請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項6】
発熱体が、被酸化性金属、活性炭、無機電解質、水、増粘剤、及び高分子保水剤を含むものである請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項7】
少なくとも1枚の貼り合せ包装材が通気性包装材である請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項8】
さらに、1枚の貼り合せ包装材の熱融着面と反対側の面に、接着剤層が設けられた請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シートが、非通気性の偏平状袋に密封されてなることを特徴とする発熱シート袋。
【請求項10】
波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材の熱融着面側表面に、複数の偏平状の発熱体を配置し、さらに該発熱体の他の片方の表面に、熱融着面が発熱体側となるように前記3種類の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材を重ね合せ、加熱圧着することにより一体化する工程を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項11】
発熱体の配置方法が、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物を含む塗液を、塗布または印刷により、貼り合せ包装材の熱融着面側表面に固着する方法である請求項10に記載の伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項12】
発熱体の配置方法が、非伸縮性方向に向かって発熱体が縦長形状となるように配置する方法である請求項10に記載の伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項13】
さらに、1枚の貼り合せ包装材の熱融着面と反対側の面に、接着剤層を設ける工程を含ませた請求項10に記載の伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項1】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項2】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項3】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及びその両面に加熱圧着された複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項4】
平面上に配置された複数の偏平状の発熱体、及び、その両面に加熱圧着された、波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる2枚の貼り合せ包装材からなる構成を含むことを特徴とする伸縮性発熱シート。
【請求項5】
延伸性基材が不織布である請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項6】
発熱体が、被酸化性金属、活性炭、無機電解質、水、増粘剤、及び高分子保水剤を含むものである請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項7】
少なくとも1枚の貼り合せ包装材が通気性包装材である請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項8】
さらに、1枚の貼り合せ包装材の熱融着面と反対側の面に、接着剤層が設けられた請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シート。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の伸縮性発熱シートが、非通気性の偏平状袋に密封されてなることを特徴とする発熱シート袋。
【請求項10】
波形の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、凹凸の繰返し形状を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材、及び複数の貫通部を有する熱融着性シール材と延伸性基材の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材の熱融着面側表面に、複数の偏平状の発熱体を配置し、さらに該発熱体の他の片方の表面に、熱融着面が発熱体側となるように前記3種類の貼り合せ包装材から選ばれる1枚の貼り合せ包装材を重ね合せ、加熱圧着することにより一体化する工程を含むことを特徴とする伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項11】
発熱体の配置方法が、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物を含む塗液を、塗布または印刷により、貼り合せ包装材の熱融着面側表面に固着する方法である請求項10に記載の伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項12】
発熱体の配置方法が、非伸縮性方向に向かって発熱体が縦長形状となるように配置する方法である請求項10に記載の伸縮性発熱シートの製造方法。
【請求項13】
さらに、1枚の貼り合せ包装材の熱融着面と反対側の面に、接着剤層を設ける工程を含ませた請求項10に記載の伸縮性発熱シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−110190(P2008−110190A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339815(P2006−339815)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000229601)日本パイオニクス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000229601)日本パイオニクス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
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