説明

位相制御型交流電圧安定化回路

【課題】位相制御型交流電圧安定化回路の提供。
【解決手段】本発明の位相制御型交流電圧安定化回路は、バッファ装置が変圧器の入力電源側と変圧器の励磁側に接続され、入力電源の正の半周期及び負の半周期の励磁電流のフライホイール経路に供され、並びにパルス幅変調制御装置が変圧器の励磁側のバッファ装置と電力供給システムの中性点の間に接続され、入力電源が各半周期内に数回、導通と切断が切換えられ、可変電圧が平滑用コイルにより調節されて変圧器の励磁電流波形がさらにスムーズとされ、さらに変圧器により出力側電圧の電圧安定化反応時間の短縮と、波形ひずみ低減が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の位相制御型交流電圧安定化回路に係り、特に、入力電源の半周内に急速多段パルス幅調整を行える交流電圧出力の回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テクノロジーの急速な発展により、各種の電子測定機器及び精密設備の使用が普及してきた。これらの設備が許容する入力電源の変動には制限があり、たとえば電源電圧が過高であると電気使用設備の損壊がもたらされ、電圧過低等により使用電力不安定の問題がもたらされる。配電システム中の各フィード線はいずれも多くの顧客を有し、フィード線がヘビーデューティーとなるか或いは切り離されると、回路の電圧降下により近隣の使用電力の電圧が不安定となる。ゆえに交流電圧安定化器が重要な電源品質改善設備となる。
【0003】
図1を参照されたい。周知の位相制御型電圧安定化器の切換えスイッチ93は、変圧器9の励磁側91に設けられている。該切換えスイッチ93はサイリスタ(SCR或いはTRIAC)で構成され、その切換え導通方式は僅かに各半周内に一回電圧の大きさを調整できるだけであり、急速な電圧安定化と低調波電流汚染減少の目的を達成することはできず、且つ、設計体積が大きく比較的重いろ波設備を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は一種の位相制御型交流電圧安定化回路を提供することを目的とし、それは、既存の電源電圧安定化器が、その電圧安定化過程中に、連帯発生する調波電流を電力供給システムにフィードバックすることが、電源側入力パワー因数の低減をもたらし、且つ出力電圧の供給品質を改善するために、低レベルの調波ろ波器の設計が必要であることから、ろ波設備の体積が大きく重い問題が形成される点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、位相制御型交流電圧安定化回路において、
入力電源を受け取る変圧器(1)と、
該変圧器(1)の出力電源を受け取り、調波を濾過除去する少なくとも一つのローパスフィルタ装置(2)と、
バッファ装置(3)であって、該変圧器(1)の電源入力側(13)と該変圧器(1)の励磁側(14)に接続され、二つの一方向導通経路(31)を包含し、二つの該一方向導通経路(31)の導通方向は互いに反対で、該一方向導通経路(31)は少なくとも一つのコントローラブルスイッチ(311)及び少なくとも一つの一方向導通器(312)が直列接続されて構成された、上記バッファ装置(3)と、
パルス幅変調制御装置(4)であって、該変圧器(1)の励磁側(14)の該バッファ装置(3)と電力供給システムの中性点の間に接続され、入力電源の各半周内にオンとオフを数回切り換える半導体双方向切換え導通スイッチとされる、パルス幅変調制御装置(4)と、
を包含したことを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、平滑用コイル(5)が該変圧器(1)の励磁側(14)と該バッファ装置(3)の間に接続されて、該変圧器(1)の入力電源の電流調波及び出力電源の電圧調波を低減することを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該変圧器(1)はセルフカップリング変圧器とされることを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該ローパスフィルタ装置(2)はインダクタ(21)とコンデンサ(22)を包含し、該インダクタ(21)は出力電源を受け取り並びに該コンデンサ(22)により調波を除去することを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該パルス幅変調制御装置(4)は四つの一方向導通素子(41)と一つのコントローラブルスイッチ素子(42)が接続されて構成する半導体二方向切換え導通スイッチとされることを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
請求項6の発明は、請求項5記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該一方向導通素子(41)はダイオードとされることを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該一方向導通器(312)は複数のパワーダイオードが接続されて構成されたことを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の位相制御型交流電圧安定化回路は、パルス幅変調制御方式を採用し、以下の長所を有する。
1.全体の電圧安定化設備の体積が小さく且つ重量が軽い。
2.出力電圧の過渡調節速度反応が速い。
3.出力電圧の波形歪み度が小さい。
4.電力供給システムにフィードバックされる調波電流汚染を減らす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】周知の位相制御型電圧安定化器の電気回路図である。
【図2】本発明の位相制御型交流電圧安定化回路図である。
【図3】本発明の入力電源電圧の正の半周期の電流流動方向図である。
【図4】本発明の入力電源電圧の負の半周期の電流流動方向図である。
【図5】本発明のパルス幅変調制御装置と一方向導通経路のトリガ信号表示図である。
【図6】本発明の変圧器励磁電圧及び電流波形図である。
【図7】本発明のローパスフィルタ装置の別の設置構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によると、バッファ装置が変圧器の入力電源側と変圧器の励磁側に接続され、該バッファ装置は二つの一方向導通経路を具備し、該一方向導通経路の導通方向は互いに反対であり且つ一方が導通し、もう一方が切断状態とされ、変圧器の正の半周期及び負の半周期の励磁電流のフライホイール経路を提供し、該一方向導通経路は、少なくとも一つのコントローラブルスイッチと少なくとも一つの一方向導通器が直列に接続されて構成される。
【0009】
パルス幅変調制御装置が該変圧器の励磁側のバッファ装置と電力供給システムの中性点の間に接続され、該パルス幅変調制御装置は半導体二方向切換え導通スイッチとされて、入力電源を各半周期内に切り換えて複数回導通及び切断する機能を提供する。
【0010】
動作時に入力電源はバッファ装置の一方向導通経路をとおり、並びにパルス幅変調制御装置の二方向切換えスイッチにより、各半周期内に導通と切断が数回切り換えられ、変圧器の励磁側の電圧が調整されて数段の可変の電圧とされ、並びに平滑用コイルのろ波作用により、変圧器の励磁電流波形がさらにスムーズとなり、さらに変圧器により出力側の電圧が調節され、並びにローパスフィルタ装置により出力電圧波形の歪み度が改善される。
【0011】
本発明は既存の交流電圧安定化設備の、電圧安定化調整反応時間が十分に迅速でなく、調波電流が電源入力側パワー因数の低減を招きうる欠点を改良する。
【0012】
本発明は一種の位相制御型交流電圧安定化回路であり、バッファ装置及びパルス幅変調制御装置が入力電源に対して制御を行ない、急速電圧安定化の効果を達成し、及び出力電圧波形の歪み度を小さくし、並びにろ波設備の体積が大きく重い欠点を改善する。
【0013】
本発明はバッファ装置を利用して変圧器の正の半周期と負の半周期の励磁電流のフライホイール経路を提供し、並びにパルス幅変調制御装置により励磁電流を調整して複数段の可変の電圧となし、出力電圧波形の歪み度を小さくし、且つ急速電圧安定化の目的を達成し、並びにこの目的を達成するために必要なろ波設備の体積が大きく重いという問題を改善する。
【0014】
図2を参照されたい。本発明の位相制御型交流電圧安定化回路は、変圧器(1)、ローパスフィルタ装置(2)、バッファ装置(3)、パルス幅変調制御装置(4)及び平滑用コイル(5)を包含する。
【0015】
該変圧器(1)は入力電源を受け取り、該変圧器(1)は負荷側コイル(11)と電源側コイル(12)を具えた共鉄心のセルフカップリング変圧器とされる。
【0016】
該ローパスフィルタ装置(2)は、変圧器(1)の出力電源を受け取り、該ローパスフィルタ装置(2)は、インダクタ(21)とコンデンサ(22)を包含し、該インダクタ(21)は出力電源を受け取り並びにコンデンサ(22)により高周波調波を除去して出力する。
【0017】
図2及び図5に示されるように、バッファ装置(3)は、変圧器(1)の入力電源側(13)と変圧器(1)の励磁側(14)に接続され、該バッファ装置(3)は二つの一方向導通経路(31)を包含し、該二つの一方向導通経路(31)の導通方向は互いに反対であり、且つ一方が導通するともう一方は切断状態となり、変圧器(1)の正の半周期(6)と負の半周期(7)の励磁電流のフライホイール経路を提供する。該一方向導通経路(31)は少なくとも一つのコントローラブルスイッチ(311)及び少なくとも一つの一方向導通器(312)が直列に接続されてなる。該一方向導通器(312)は複数のパワーダイオードが接続されて構成される(図示される)。
【0018】
パルス幅変調制御装置(4)は、変圧器(1)の励磁側(14)のバッファ装置(3)と電力供給システムの中性点(Neutral point)の間に接続される。該パルス幅変調制御装置(4)は四つの一方向導通素子(41)及び一つのコントローラブルスイッチ素子(42)が接続されてなる半導体二方向切換え導通スイッチとされ、入力電源に、各半周期内において複数回導通と切断を切り換える機能を提供する。該一方向導通素子(41)はダイオードとされる。
【0019】
平滑用コイル(5)は、変圧器(1)の励磁側(14)とバッファ装置(3)の間に接続され、変圧器(1)の励磁電流波形をさらにスムーズとし、並びに変圧器(1)の入力電源の電流調波及び出力電源の電圧調波を低減する。
【0020】
図2に示されるように、本発明の動作時には、入力電源はバッファ装置(3)の一方向導通経路(31)をとおり、パルス幅変調制御装置(4)の半導体二方向切換え導通スイッチの機能により半周期ごとに数回導通と切断が切換えられ、変圧器(1)の励磁側(14)の電圧が調整されて複数段の可変の電圧とされ、可変電圧が平滑用コイル(5)のろ波作用を受け、変圧器(1)の励磁電流波形がさらにスムーズとされ、さらに変圧器(1)の電源側コイル(12)と負荷側コイル(11)の結合により、変圧器(1)の出力電圧が調節され、並びにローパスフィルタ装置(2)のインダクタ(21)及びコンデンサ(22)により高周波調波が除去されて後、出力される。
【0021】
上述のパルス幅変調制御装置(4)は高周波制御方式を採用し、電圧安定化調節反応時間をスピードアップし、且つ出力する電圧波形の歪み度を小さくし、並びにローパスフィルタ装置(2)の体積及び重量を減らす。
【0022】
図3、図5及び図6に示されるように、入力電源電圧は正の半周期(6)の時、一方向導通経路(31)が提供するフライホイール経路動作シーケンスはS2で、並びにパルス幅変調制御装置(4)が連続して導通及び切断を数回行ない、変圧器(1)の励磁側(14)の電圧が調整されて数段の可変の電圧とされ、こうして変圧器(1)の励磁電流を連続したスムーズなものとし、及び出力する電圧波形の歪み度を小さくする目的を達成する。該パルス幅変調制御装置(4)の電源入力の動作時のシーケンスはS1である。
【0023】
図4、図5及び図6に示されるように、負の半周期(7)の時、一方向導通経路(31)が提供するフライホイール経路動作シーケンスはS3とされ、並びに動作シーケンスがS1のパルス幅変調制御装置(4)の連続する数回の、導通と切断の切換えにより、変圧器(1)の励磁側(14)の電圧が調整されて数段の可変の電圧とされ、急速調節電圧安定化の目的を達成する。
【0024】
図7には本発明のローパスフィルタ装置(2)の別の設置構造であり、該ローパスフィルタ装置(2)は変圧器(1)の負荷側コイル(11)にのみ接続されている。
【符号の説明】
【0025】
1 変圧器
13 電源入力側
14 励磁側
2 ローパスフィルタ装置
21 インダク
22 コンデンサ
3 バッファ装置
31 一方向導通経路
311 コントローラブルスイッチ
4 パルス幅変調制御装置
41 一方向導通素子
42 コントローラブルスイッチ素子
5 平滑用コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相制御型交流電圧安定化回路において、
入力電源を受け取る変圧器(1)と、
該変圧器(1)の出力電源を受け取り、調波を濾過除去する少なくとも一つのローパスフィルタ装置(2)と、
バッファ装置(3)であって、該変圧器(1)の電源入力側(13)と該変圧器(1)の励磁側(14)に接続され、二つの一方向導通経路(31)を包含し、二つの該一方向導通経路(31)の導通方向は互いに反対で、該一方向導通経路(31)は少なくとも一つのコントローラブルスイッチ(311)及び少なくとも一つの一方向導通器(312)が直列接続されて構成された、上記バッファ装置(3)と、
パルス幅変調制御装置(4)であって、該変圧器(1)の励磁側(14)の該バッファ装置(3)と電力供給システムの中性点の間に接続され、入力電源の各半周内にオンとオフを数回切り換える半導体双方向切換え導通スイッチとされる、パルス幅変調制御装置(4)と、
を包含したことを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。
【請求項2】
請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、平滑用コイル(5)が該変圧器(1)の励磁側(14)と該バッファ装置(3)の間に接続されて、該変圧器(1)の入力電源の電流調波及び出力電源の電圧調波を低減することを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。
【請求項3】
請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該変圧器(1)はセルフカップリング変圧器とされることを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。
【請求項4】
請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該ローパスフィルタ装置(2)はインダクタ(21)とコンデンサ(22)を包含し、該インダクタ(21)は出力電源を受け取り並びに該コンデンサ(22)により調波を除去することを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。
【請求項5】
請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該パルス幅変調制御装置(4)は四つの一方向導通素子(41)と一つのコントローラブルスイッチ素子(42)が接続されて構成する半導体二方向切換え導通スイッチとされることを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。
【請求項6】
請求項5記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該一方向導通素子(41)はダイオードとされることを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。
【請求項7】
請求項1記載の位相制御型交流電圧安定化回路において、該一方向導通器(312)は複数のパワーダイオードが接続されて構成されたことを特徴とする、位相制御型交流電圧安定化回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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