説明

位相検出システム

位相検出システム(100)が、入力端子(101)、第1及び第2ピーク検出器(103,113)、平均化ユニット(107)、オフセットユニット(122)、及び比較器(126)を具えている。入力端子(101)は第1及び第2ピーク検出器(103,113)に結合され、入力信号を位相検出システム(100)に供給する。平均化ユニット(107)は、オフセットユニット(122)と、第1ピーク検出器及び第2ピーク検出器(103,113)の両方との間に結合され、中間信号を発生する。オフセットユニット(122)は入力端子(101)に結合され、信号強度の所定オフセット値を入力信号または中間信号に加えることによって2つの比較可能な信号を発生する。比較器(126)はオフセットユニット(122)に結合され、これら2つの比較可能な信号を比較することによって、入力信号の位相を示す出力信号を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の位相を検出する位相検出システム及び方法の分野に関するものである。特に、本発明は周期信号の初期位相を検出する位相検出システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周期信号の特徴は、各周期内に1つの大域的最大値及び1つの大域的最小値の存在である。こうした周期信号を、ピーク検出を採用した信号処理システムの入力に供給すると、信号をできる限り早く追跡するために、このシステムの起動時に、どちらの極値が最初に来るかをできる限り早く判定することが必要になり得る。即ち、最大ピークまたは最小ビークのどちらが最初に来るかを判定しなければならない。この問題は、入力信号が最初に上昇するか下降するかの問題と等価である。
【0003】
例えば、アンチロックブレーキ(滑走防止制動)システムまたはトラクションコントロール(牽引制御)システムにおける速度センサの応用では、車の始動後に、動いている車輪の情報をできる限り早く提供することが重要である、というのは、周期的なセンサ信号の位相が、動いている車輪が進んだ距離を表すからである。速度情報が出力パルスから成り、パルス間の時間が車輪の瞬間速度である場合には、センサ信号に関する最初の出力エッジ及び最初の出力デューティサイクルがキーとなる形である。
【0004】
効率的なセンサ応用のために、このことは最初の出力エッジと最初のデューティサイクルとの間の良好な妥協を必要とする、というのは、始動後に、最初の出力エッジは車輪が進んだ距離についての情報を提供し、最初のエッジと2番目のエッジとの間の時間は車輪の瞬間速度を表すからである。
【0005】
既知の速度センサの実現では、最初の出力エッジをできる限り早く与えることに非常な重きが置かれ、このことは正確には程遠い最初のデューティサイクルを生じさせている。
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0329403号明細書
【0007】
欧州特許第0329403号明細書より、アナログ信号を分析し再構成する装置が知られ、この装置は2つの比較器を有し、それぞれが信号の正の傾き及び負の傾きを、これらの傾きの位相外れ版と比較して、最大値及び最小値を検出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、代案の位相検出器の必要性が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好適例は、入力端子、第1ピーク検出ユニット、第2ピーク検出ユニット、及び平均化(アベレージング)ユニットを具えた位相検出システムを提供する。この位相検出システムはさらに、オフセットユニット及び比較ユニットを具え、入力端子は第1ピーク検出ユニット及び第2ピーク検出ユニットに結合され、入力端子は入力信号を位相検出システムに供給するように構成されている。さらに、システム内では、平均化ユニットは第1ピーク検出とオフセットユニットの間、及び第2ピーク検出ユニットとオフセットユニットとの間に結合され、この平均化ユニットは中間信号を発生するように構成され、オフセットユニットはさらに、入力端子に結合され、信号強度の所定オフセット値を、入力信号と中間信号から成るグループの少なくとも一方の信号に加えることによって2つの比較可能な信号を発生するように構成されている。さらに、システム内では、比較ユニットがオフセットユニットに結合され、上記2つの比較可能な信号を比較することによって出力信号を発生するように構成され、この出力信号は入力信号の位相を示す。
【0010】
他の好適例では、入力信号の位相を検出する方法が、入力信号を第1ピーク検出ユニットでサンプリングすることによって第1サンプル値信号を発生するステップと、入力信号を第2ピーク検出ユニットでサンプリングすることによって第2サンプル値信号を発生するステップとを具えている。さらに、この方法は、第1サンプル値信号及び第2サンプル値信号から中間信号を発生するステップと、中間信号と入力信号とを比較ユニットにおいて比較することによって出力信号を発生するステップとを具え、この比較の前に、中間信号と入力信号の少なくとも一方に所定オフセット値を加え、この出力信号は入力信号の位相を示す。
【0011】
本発明の好適例によるシステムは、最大ピーク及び最小ピークのどちらのピークを最初に探索すべきかを決定するシステムを提供する。どちらのピークが最初のピークであるかについての早期の情報を提供することによって、初期信号、例えば速度、出力における情報、例えば最初のエッジ及び最初のデューティサイクルを発生する瞬時を、信号処理システムの起動後の早期に決定することが可能になり、起動時には信号の位相及びオフセット値は一般に未知である。この位相検出システムは、入力信号の初期位相を検出することによって、最初のエッジと最初のデューティサイクルの精度との間の良好な妥協を提供することができる。
【0012】
実現の観点からは、この位相検出システムは、小さいチップ面積しか必要としないシステムを提供することができる、というのは、向きの判定、即ち信号が最初に増加しているか減少しているかの判定を、1つの比較器だけを用いて行うことができるからである。この判定自体は、選択可能な比較器のオフセット値の使用により相対測定の処理とすることができるので、比較器のオフセット値の絶対値は無関係にすることができる。このことは正確な整合の必要性をなくし、従ってチップ面積を節減することができる。
【0013】
システムの観点からは、本発明の好適例によるシステムは最初のエッジを提供することができ、エッジ信号の発生の瞬時は純粋に、起動時のセンサ信号の初期位相に関係する。このことは、起動時の正しいピーク検出と共に、大部分の信号処理システムにとって十分正確であり得る最初のデューティサイクルを提供することができる。
【0014】
【特許文献2】国際公開第2005/029706号パンフレット
【0015】
さらに、この位相検出システムは、トリミング法を用意しないICプロセスにとって非常に有用である。ピーク検出器については、電流源で充電されるキャパシタを用いる実現、または国際公開第2005/029706号パンフレットに記載の、バイナリ(2進)カウンタによってアドレス指定されるスイッチを有するラダー抵抗網に基づく実現、あるいは他のD/A変換器に基づく実現を選択することができ、上記国際公開は参考文献として本明細書に含める。これにより、ピーク検出器は、一旦測定した値を、これらのピーク検出器がリセットされるまで、あるいはより大きい値(最大ピークの場合)またはより小さい値(最小ピークの場合)を測定するまで保持する特徴を有することが好ましい。さらに、上記位相検出システムは、比較ユニットの出力信号から初期位相を決定するように構成された決定ユニットを具えることができる。
【0016】
本発明による特徴は、2つのピーク検出器を用いて、位相検出システムに供給される入力信号から2つの信号を発生することとすることができる。これら2つの信号から中間信号を発生することができる。この中間信号及び入力信号から、比較器によって比較されるこれら2つの信号の一方の信号強度を、この比較を行う前にシフトすると、比較器によって入力信号の位相についての情報を導出することができる。
【0017】
従属請求項には、以下に説明する本発明の他の好適例が記載されている。
【0018】
次に、本発明の位相検出システムの好適例を説明する。これらの好適例は、入力信号の位相を検出する方法にも応用することができる。
【0019】
請求項に記載の位相検出システムの他の好適例によれば、上記第1ピーク検出ユニットが最大ピーク検出器であり、かつ/あるいは上記第2ピーク検出ユニットが最小ピーク検出器である。
【0020】
1つの最大ピーク検出器及び1つの最小ピーク検出器を用いることは、修正及び比較した際に、入力信号の初期位相を示すことのできる信号を提供する有効な方法となり得る。これら2つのピーク検出器の信号から、入力信号と比較することのできる中間信号を計算することができる。これら2つの信号を比較する前に、これらの信号の一方または両方を、信号強度のオフセット値を加えることによって修正することができる。こうした方法で用意した信号を比較に用いることによって、最初のピークが最大であるか最小であるか、即ち、入力信号が増加するか減少するかを、比較ユニットの出力信号の符号を分析することによって判定することが可能になる。特に、この位相検出システムでは、一旦、どちらのピークを最初に探索すべきかの判定を行うと、一方のピーク検出器はピークを測定するために使用し、他方のピーク検出器はその初期値のままにして、この初期値を入力信号の初期値とすることができる。例えば、入力信号が増加中であることが判明すると、位相検出システムはまず、最大ピーク検出器を用いて最大ピークを検出し、最小ピーク検出器はその初期値を保持する。このようにして、一方のピークが見つかった際に、システムは入力信号の履歴を作成しており、このことは、最初の出力エッジが入力信号の初期位相と明らかな関係を有し、例えば入力信号のDCオフセット値はこの瞬時以降無関係になることを可能にする。
【0021】
位相検出システムのさらに他の好適例では、上記平均化ユニットが、上記第1ピーク検出ユニットの信号と上記第2ピーク検出ユニットの信号との算術平均値を生成するように構成されている。この算術平均値信号が上記中間信号を形成することができる。
【0022】
上記中間信号をこれら2つのピーク検出システムの2つの信号の算術平均値として発生することによって、現在の入力信号と比較することのできる信号を供給する有効な方法を提供することができる。さらに、任意の第1ゼロ交差を提供することができる。
【0023】
位相検出システムのさらに他の好適例によれば、この位相検出システムはさらに、エッジ信号を発生するように構成されている。位相検出システムは、現在の入力信号が上記中間信号に等しい際に、予備的な第1エッジ信号を発生するように構成することができることが好ましい。さらに、この検出システムは、上記中間信号が0に等しい際に第2エッジ信号を発生するように構成することができる。
【0024】
この予備的なエッジ信号を発生するために、入力信号が最大ピーク検出器の信号と最小ピーク検出器の信号との平均値信号に等しい時点が十分な推定値となり得る。こうして、十分正確な時点の発生を提供しつつ最初のエッジを早期にもたらす。従って、本発明の位相検出システムは、入力信号の初期位相を検出することによって、最初のエッジと最初のデューティサイクルの精度との間の良好な妥協を与えることができる。
【0025】
第2エッジは常に入力信号の真のゼロ交差を表す、というのは、第2エッジの出現の前には信号の両ピークの出現が見出されているからである。
【0026】
さらに他の好適例では、位相検出システムがさらに状態マシンを具えている。特に、この状態マシンは、上記第1ピーク検出ユニット、上記第2ピーク検出ユニット、上記平均化ユニット、及び上記オフセットユニットから成るグループの少なくとも1つのユニットに結合することができる。
【0027】
位相検出システムのさらに他の好適例では、上記状態マシンが、どの信号を上記比較ユニットに供給するか、及び/または、どちらのピーク検出ユニットを用いて入力信号のサンプルを取得するかを決定する状態信号を発生するように構成されている。
【0028】
位相検出システムの他の好適例では、上記状態マシンが、所定条件が満たされるまで異なる状態間の切り替えを行うように構成されている。特に、この所定条件は、比較器の出力信号が入力信号の位相を一意的に特徴付けることとすることができる。
【0029】
こうした所定条件は、入力信号が最初に増加しているか否か、あるいは入力信号が最初に減少しているか否かを一意的に判定する条件とすることができる。このことを達成するために、上記状態マシンは4つの異なる状態信号を供給するように構成することができる。第1段階では、即ち、状態マシンが状態信号S0を供給する際には、最大ピーク検出器でサンプルを取得することができる。第2段階では、即ち、状態マシンが状態信号S1を供給する際には、最小ピーク検出器でサンプルを取得することができる。ピーク検出器のサンプリング速度が入力信号の周波数に対して高い場合には、両方のピーク検出器で取得したサンプルはほぼ等しくなり得る。第3段階では、即ち、状態マシンが状態信号S2を供給する際には、両方のサンプルの平均値を、比較器において選択した正のオフセット値を伴う入力信号と比較することができる。比較器の出力が正である場合には、入力信号が増加中であることを知ることができ、従って最大ピークをまず見つけることができる。第4段階では、即ち、状態マシンが状態信号S3を供給する際には、両方の信号の平均値を、比較器において選択した負のオフセット値を伴う入力信号と比較することができる。比較器の出力が負である場合には、入力信号が減少中であることを知ることができ、従って最小ピークをまず見つけることができる。上記状態マシンは、上記条件の1つが満たされるまで状態信号S2とS3とを交互に供給することができ、即ち、状態信号S2とS3との切り替えを行うことができる。
【0030】
位相検出システムのさらに他の好適例では、上記所定オフセット値を、入力信号の振幅より小さく設定し、かつ/あるいは、入力信号のノイズより大きく設定することができる。上記オフセットユニットは、上記オフセット値を、上記ピーク検出ユニット、上記平均化ユニット、上記比較ユニット、及び上記オフセットユニットから成るグループのいずれかのユニットの固有変動及び/または固有差より大きく設定するように構成することができる。
【0031】
上述した制限を考えたオフセット信号を供給することによって、システムが起動時に第1ピーク検出器の「誤った選定」を行うことを防止するための有効な方法を提供することができ、即ち、(最大、最小の)どちらのピークが最初に検出されるかの判定がノイズによって誘発されないことを保証することができる。
【0032】
位相検出システムのさらに他の好適例では、上記オフセットユニットが電流源及び/または電圧源を具えている。
【0033】
次に、位相を検出する方法の好適例を説明する。これらの好適例は位相検出システムにも応用することができる。
【0034】
他の好適例では、この方法はさらに、第1サンプル信号の発生をトリガする第1状態信号を供給するステップを具えている。
【0035】
さらに他の好適例では、この方法はさらに、第2サンプル信号の発生をトリガする第2状態信号を供給するステップを具えている。
【0036】
さらに他の好適例では、この方法はさらに、上記所定オフセット値が正であることを生じさせる第3状態信号を供給するステップを具えている。
【0037】
さらに他の好適例では、この方法はさらに、上記所定オフセット値が負であることを生じさせる第4状態信号を供給するステップを具えている。
【0038】
さらに他の好適例では、この方法はさらに、所定条件が満たされるまで上記第3状態信号と上記第4状態信号とを交互に供給するステップを具えている。
【0039】
本発明の1つの態様は、位相検出システムが、入力信号が最初に最小ピークを与えるか最初に最大ピークを与えるか、即ち、入力信号が初期に上昇信号であるか減少信号であるかを判定する初期ピーク検出システムを具えている、ということとすることができる。この初期ピーク検出システムは、上述した位相検出システムの好適例と組み合わせて、あるいは組み合わせずに、位相検出システムを構築することができる。
【0040】
好適例によれば、上記初期ピーク検出システムが、入力端子、第1ピーク検出ユニット、オフセットユニット、及び比較ユニットを具え、この入力端子は第1ピーク検出ユニットに結合され、入力信号を初期ピーク検出システムに供給するように構成されている。さらに、上記第1ピーク検出ユニットは上記入力端子と上記オフセットユニットとの間に結合され、上記オフセットユニットは中間信号を受信するように構成されている。さらに、上記オフセットユニットは上記入力端子に結合され、入力信号及び上記中間信号から成るグループの少なくとも1つの信号に信号強度の所定オフセット値を加えることによって、2つの比較可能な信号を発生するように構成され、上記比較ユニットは上記オフセットユニットに結合され、これら2つの比較可能な信号を比較することによって、入力信号の位相を示す出力信号を発生するように構成されている。他の好適な実施例では、上記初期ピーク検出システムがさらに、上記入力端子に結合された第2ピーク検出ユニットを具えることができる。上記初期ピーク検出システムはさらに、第1ピーク検出ユニットと上記オフセットユニットとの間、及び上記第2ピーク検出ユニットと上記オフセットユニットとの間に結合され、上記中間信号を発生する構成された平均化ユニットを具えることができる。
【0041】
本発明は、例えばアンチロックブレーキシステム及びトラクションコントロールシステムの分野における、起動直後に信号位相情報を必要とするあらゆる信号プロセッサ、特にアナログ信号プロセッサにおける入力信号位相検出の分野に特に関係する。
【0042】
本発明による特徴は、位相関係、即ち最大、ゼロ交差、最小、ゼロ交差のシーケンスを、入力信号の全周期以内に測定することができることである。従って、本発明は、この位相関係を短時間で測定するように構成された位相検出システムを提供することができる。予備的な第1エッジ信号の出力は、最小ピーク検出器の信号と最大ピーク検出器の信号との平均値信号、及び現在の入力信号を用いることによって早期の段階で行うことができる。これら2つの信号が等しい際に第1エッジ信号を供給することができ、この第1エッジ信号は入力信号の真のゼロ交差時に供給することはできないが、信号処理システムの大部分の応用にとって十分正確な推定値とすることができる。上記平均値信号が2回目に現在の入力信号に等しくなる瞬時、即ち0=0に達する瞬時に供給することのできる第2エッジ信号は常に、入力信号の真のゼロ交差を表すことができる、というのは、この第2エッジの前には信号の両方のピークが判明しているからである。
【0043】
最初の出力エッジをできる限り早く取得するために、入力信号のゼロ交差と出力信号のエッジとの間の位相関係を逆転することを考えることができる。この逆転は、入力信号の最初の立下りエッジの時に出力信号の最初の立上りエッジを生じさせることができる。このことは、システムが常に低い出力信号で起動することが求められる際に有益であり得る。
【0044】
本発明の以上で規定した態様及び別な態様は、以下に記載の実施例より明らかになり、これらの実施例を参照して説明する。
【0045】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図面中の例示は概略的である。異なる図面中で、同様または同一の要素には同一または同様の参照符号を設ける。
【0047】
図1に、本発明による初期位相検出システム100の実施例を概略的に示す。初期位相検出システム100は入力端子101を具え、これにより入力信号が初期位相検出システム100に供給される。この入力信号は図1に示すような正弦波信号の形にすることができる。入力端子101は第1ノード102に結合され、第1ノード102は最小ピーク検出器103の入力端子104に結合されている。最小ピーク検出器103の出力端子105は、平均化ユニット107の第1入力端子106に結合されている。平均化ユニット107の第1入力端子は第2ノード108に結合されている。第2ノード108は第1スイッチング素子109の第1端子に結合されている。第1スイッチング素子109の第2端子は第3ノード110に結合されている。
【0048】
第1ノード102はさらに第4ノード111に結合され、第4ノード111は最大ピーク検出器113の入力端子112に結合されている。最大ピーク検出器113の出力端子114は平均化ユニット107の第2入力端子115に結合されている。平均化ユニット107の第2入力端子115は第5ノード116に結合され、第5ノード116は第2スイッチング素子117の第1端子に結合されている。第2スイッチング素子117の第2端子は第3ノード110に結合されている。
【0049】
第2ノード108、第1スイッチング素子109、及び第3ノード110が平均化ユニット107の第1分岐を形成し、第5ノード116、第2スイッチング素子117、及び第3ノード110が平均化ユニット107の第2分岐を形成する。
【0050】
平均化ユニット107の第3分岐は、第2ノード108、第5ノード116、及び第3ノード110の間に結合され、第3スイッチング素子118を具えている。さらに、この第3分岐は、最小ピーク検出ユニット103が供給する信号と最大検出ユニット113が供給する信号とを平均化した平均値信号を発生するように構成された構成要素を具えている。これらの構成要素は、図1に119及び120に示す抵抗器として形成することができる。
【0051】
第1、第2、及び第3スイッチング素子の状態に応じて、平均化ユニット107は、平均化ユニット107の出力端子を形成する第3ノード110に異なる信号を供給する。例えば、第1スイッチング素子109が閉じ、第2及び第3スイッチング素子が開いている場合には、第3ノード110上に最小ピーク検出ユニット103の信号が供給される。第3スイッチング素子が閉じ、第1及び第2スイッチング素子が開いている場合には、平均値信号が平均化ユニット107の出力端子110に供給される。
【0052】
第3ノード110はオフセットユニット122の第1入力端子121に結合され、第1入力端子121は第6ノード123に結合されている。第4スイッチング素子124の第2端子は第7ノード125に結合されている。第7ノード125はオフセットユニット122の第1出力端子を形成し、そして比較ユニット126の第1入力端子に結合されている。
【0053】
第6ノード123はさらに、第5スイッチング素子127の第1端子に結合されている。第5スイッチング素子127の第2端子は第8ノード128に結合されている。第8ノード128は、電圧源129の第1端子に結合されている。電圧源129の第2端子は第9ノード130に結合されている。第9ノード130は第6スイッチング素子131の第1端子に結合されている。電圧源の代わりに、電流源を規定のインピーダンス、例えば抵抗器と組み合わせて用いることができる。第6スイッチング素子131の第2端子は第7ノード125に結合されている。
【0054】
第4、第5、及び第6スイッチング素子は、1つの制御信号を供給してこれら3つのスイッチング素子を切り替えることができるように構成され、ここで第4スイッチング素子124は第5スイッチング素子127及び第6スイッチング素子131と逆の動作をし、即ち第4スイッチング素子124を閉じる制御信号は第5スイッチング素子127及び第6スイッチング素子131を開き、そしてその逆を行う。
【0055】
第8ノード128はさらに、第7スイッチング素子132の第1端子に結合されている。第7スイッチング素子132の第2端子は第10ノード133に結合され、第10ノード133はオフセットユニット122の第2入力端子を形成する。第10ノード133は第8スイッチング素子134の第1端子に結合されている。第8スイッチング素子134の第2端子は第11ノード135に結合されている。第11ノード135はオフセットユニット122の第2出力端子を形成し、そして比較器126の第2入力端子に結合されている。第11ノード135はさらに、第9スイッチング素子136の第1端子に結合されている。第9スイッチング素子136の第2端子は第9ノード130に結合されている。
【0056】
第7、第8、及び第9スイッチング素子は、1つの制御信号を供給してこれら3つのスイッチング素子を切り替えることができるように構成され、ここで第8スイッチング素子134は第7スイッチング素子132及び第9スイッチング素子136と逆の動作をし、即ち第8スイッチング素子134を閉じる制御信号は第7スイッチング素子132及び第9スイッチング素子136を開き、そしてその逆を行う。
【0057】
第2入力端子、即ちオフセットユニット122の第10ノード133はさらに第4ノード111に結合され、即ち、入力信号をオフセットユニット122の第2入力端子に供給することができる。
【0058】
比較器126の出力端子は状態マシン137の入力端子に結合されている。状態マシン137は出力信号を供給し、この出力信号が初期位相検出システム100の出力信号を形成する。この出力信号は、入力信号の最初のピークについての情報、即ち、入力信号がまず最大値に達するか最小値に達するかについての情報を提供することができ、かつ/あるいは、正弦波入力信号のゼロ交差に関係する出力エッジ信号を形成することができる。
【0059】
さらに、状態マシン137は複数の状態信号を供給するように構成され、これらの状態信号は上記ピーク検出ユニット及びスイッチング素子に供給される。第1状態信号138(S0)は、最大ピーク検出器113及び第2スイッチング素子117に供給される。この状態信号は第2スイッチング素子117を閉じ、即ち、スイッチング素子117は導電経路を提供し、そして最大ピーク検出ユニット113に入力信号をサンプリングさせ、従ってS0信号は”SampleMax(最大値サンプリング)”と称することができる。第2状態信号139(S1)は最小ピーク検出器103及び第1スイッチング素子109に供給される。この状態信号は第1スイッチング素子を閉じ、そして最小ピーク検出ユニット103に入力信号をサンプリングさせ、従ってS1信号は”SampleMin(最小値サンプリング)”と称することができる。
【0060】
第3状態信号140(S2)は、第3スイッチング素子118、及び第7スイッチング素子132、第8スイッチング素子134、第9スイッチング素子136に供給される。この状態信号は第3スイッチング素子118、第7スイッチング素子132、及び第9スイッチング素子136を閉じ、第8スイッチング素子134を開く。この状態信号S2は、比較器126において正のオフセット値が選択されるので”SelectPosVT(正の電圧しきい値選択)”と称することができる。このオフセット値は、しきい値、特に電圧しきい値(VT)として解釈することもできる。この状態信号は、両方のサンプルの平均値が、比較器において選択された正のオフセット値を伴う現在の入力信号と比較される、ということを生じさせる。比較器の出力が正であれば、入力信号は増加中であることが知られ、従って最大ピークをまず見つけなければならない。
【0061】
第4状態信号141(S3)は、第3スイッチング素子118、及び第4スイッチング素子124、第5スイッチング素子127、第6スイッチング素子131に供給される。この状態信号は第3スイッチング素子118、第5スイッチング素子127、及び第6スイッチング素子131を閉じ、第4スイッチング素子124を開く。この状態信号S3は、比較器126において負のオフセット値(VT)が選択されるので”SelectNegVT(負の電圧しきい値選択)”と称することができる。この状態信号は、両方のサンプルの平均値が、比較器において選択された負のオフセット値を伴う現在の入力信号と比較される、ということを生じさせる。比較器の出力が負であれば、入力信号は減少中であることが知られ、従って最小ピークをまず見つけなければならない。
【0062】
図1に概略的に示す実施例については、選択可能なオフセット値を伴うオフセットユニットまたは比較ユニットを使用することが有利であり、このオフセット値は−VT、”0”、または+VTに設定することができ、ここで、”0”は比較器の差動対の一般的なオフセット値である。従って、上記選択可能なオフセット値は、比較器の固有オフセット値付近±VTに設定することができる。ピーク検出器については、電流源で充電されるキャパシタを用いた実現、あるいはバイナリカウンタによってアドレス指定されるラダー抵抗網または他のD/A変換器に基づく実現を選択することができる。
【0063】
図2に、図1の実施例によるシステムの代表的な波形を示す。図2は、初期位相検出システムが動作する様子を示す。状態0では、入力信号のサンプルを最大ピーク検出器で取得する。状態1では、入力信号のサンプルを最小ピーク検出器で取得する。これらのピーク検出器のサンプリング速度が信号の周波数に対して高い際には、両方のピーク検出器で取得したサンプルはほぼ等しい。
【0064】
状態2及び3では、両方のサンプルの平均値を基準として取り、入力信号と比較する。状態2では、このことを、比較器において選択した正のオフセット値(+VT)で行い、状態3では、このことを、比較器において選択した負のオフセット値(−VT)で行う。状態2において比較器の出力が正である際には、信号は増加中であることが知られ、このことは、最大ピークをまず見つけなければならないことを意味する。状態3において比較器の出力が負である際には、信号は減少中であることが知られ、このことは、最小ピークをまず見つけなければならないことを意味する。これらの条件のいずれも満たされない限り、システムは状態2から状態3に変化し、及びその逆を行い、即ち、状態マシンは状態信号S2と状態信号S3とを交互に供給する。
【0065】
一旦、どちらのピークを最初に探索すべきかの判定を行うと、他方のピーク検出器はその初期値、即ち、システムがスイッチオンされた際の入力信号の初期値に留まることが、システムにとって有利であり得る。このようにして、一方のピークが見つかった際に、システムは入力信号の履歴を作成しており、最初の出力エッジが入力信号の初期位相と明らかな関係を有することを可能にする。即ち、この瞬時以降、入力信号のDCオフセット値はもはや影響を有しない。上述した本発明の実施例によれば、最初の出力エッジは、入力信号が上記平均化ユニットによって発生された上記中間信号に等しい際に発生される。この最初の出力エッジは予備的な出力エッジ信号である、というのは、このエッジが発生される時点は一般に入力信号の最初のゼロ交差ではないからである。しかし、この予備的な出力エッジは一般に、大部分の応用にとって十分正確な最初のデューティサイクルを提供することができる。第2エッジ信号は、上記中間信号、即ち平均値信号が0である際に発生される。この第2エッジ信号が入力信号の真のゼロ交差を表す、というのは、2番目のエッジの前に最小ピーク並びに最大ピークが見つかっているからである。
【0066】
特に、図2aには、初期の入力信号がまず減少し、従って最小ピークが最初に見つかった場合を示し、図2bには、初期の入力信号がまず増加する場合を示す。入力信号は図2に線201として示し、正弦波信号を表す。システムの起動時には、状態マシンが状態信号S0を供給し、これにより最大ピーク検出器が入力信号のサンプルを取得する。最大ピーク検出器によってサンプリングした信号を図2に202として示す。次のステップでは、状態マシンが状態信号S1を供給し、これにより最小ピーク検出器が入力信号のサンプルを取得する。最小ピーク検出器によってサンプリングした信号を図2に線203として示す。初期の入力信号、即ち供給された入力信号にVin(0)の記号を付ける。サンプリング周波数は入力信号の周波数よりずっと高いので、最大ピーク検出器によってサンプリングした信号は最小ピーク検出器によってサンプリングした信号とほぼ同じである。
【0067】
両方のピーク検出器によるサンプリングを1回実行した後に、2つのサンプル値信号の算術平均値を決定することができ、この算術平均値は実質的に各サンプル値信号の値である。この平均値信号を図2に線204として示す。その後に、状態マシンは状態信号S2を供給し、この状態信号は、入力信号が増加中であるか否かを位相検出システムが判定する段階に入ることを生じさせる。この段階では、平均値信号を現在の入力信号と比較し、これによりしきい値VTが上乗せされ、このことを図2aに+VTとして示し、図2bに−VTとして示す。この比較の出力が、入力信号が増加中であるか否かを示す一意的な符号を提供しない際には、状態マシンは状態信号S3を供給する。状態S2の場合には、比較器の出力が正であり、この間に比較器によって選択された正のオフセット値が上乗せされていることが、上記一意的な符号である。状態信号S3によって生じる段階では、上記平均値信号が、比較器によって選択された負のオフセット信号を伴う入力信号と比較され、入力信号が減少中であることを示す一意的な符号が探索される。状態S3の場合には、比較器の出力が負であり、この間に比較器によって選択された負のオフセット値が上乗せされていることが、上記一意的な符号である。状態マシンは、上記一意的な符号の一方の条件が満たされるまで、状態信号S2とS3とを交互に供給する。図2aでは、この時間間隔を、最大値202及び最小値203が一定である時間間隔によって示す。起動後に、異なる状態信号が供給される時間間隔を図2に、矢印205、206及び207で示し、ここで矢印205は状態信号S0が供給されている間隔を示し、矢印206は状態信号S1が供給されている間隔を示し、この間隔はS0の間隔とほぼ同じである、というのは、サンプリング周波数は入力信号の周波数よりずっと高いからであり、この周波数は図2の横座標軸の尺度を規定する。矢印207は、状態信号S2とS3とが交互に供給される時間間隔を示す。
【0068】
上記一意的な符号の一方の条件が満たされた際に、位相検出システムは入力信号が増加中であるか減少中であるかを判定している。そして状態マシンは、入力信号が増加中であるか(図2b参照)減少中であるか(図2a参照)に応じて、それぞれ状態信号S0及びS1を供給する。図2aに縦方向のジャンプで示すこの瞬時には、最小ピーク検出器が入力信号のサンプルを取得し始める。この瞬時より、最小ピーク検出器203のサンプル値信号が入力信号に追従し始めるのに対し、最大ピーク検出器113は線202として示す一定値を供給し、従って、線204で示す減少中の平均値信号をもたらす。
【0069】
図2bでは、入力信号の初期の挙動を判定した後に、入力信号が増加中である場合を表す状態信号S0が供給され、これにより、最大ピーク検出器のサンプル値信号202が変化し始めて入力信号201に追従するのに対し、最小ピーク検出器のサンプル値信号203は一定であり、このことは増加中の平均値信号204をもたらす。
【0070】
図2aにおける減少、及び図2bにおける増加は、最初の極値に達するまで生じる。この時点より、3つの信号、即ち最大ピーク検出器の信号、最小ピーク検出器の信号、及び結果的な平均値信号のすべてが、平均値信号が現在の入力信号に等しくなるまで一定である。この時点は、入力信号の最初のゼロ交差の推定値として用いることができ、そして、図2に線208として示す最初の出力エッジが発生される。大部分の信号処理システムの応用については、この瞬時には真のゼロ交差は発生しないが、この時点は適切な推定値であり得る。さらに、図2a及び図2bでは、値0の線を、符号209を付けた小さい線で示唆する。
【0071】
さらに、この瞬時に、状態マシンは位相検出システムを前とは他のサンプリング状態に切り替え、これにより位相検出システムは2番目の極値を探索する。即ち、図2aでは状態マシンが状態信号S1から状態信号S0に切り替えるのに対し、図2bでは状態マシンが状態信号S0からS1に切り替える。この切り替えは、2番目の極値の探索の開始に適した時刻である、というのは、この瞬時の前には2番目のピークに達することができないからである。図2a及び図2bには、この切り替えを、最大値信号(図2a)または最小値信号(図2b)、及び平均値信号204の縦方向のジャンプで示す。この縦方向のジャンプは、最大ピーク検出器(図2a)または最小ピーク検出器(図2b)のリセットによって発生される。このリセットは随意的であり、こうしたリセットのない実施例も可能である。リセットのない実施例では、対応するピーク検出器は、入力信号がこのピーク検出器の出力レベルと交差するまで待機し、即ち、図2aの場合には、入力信号が最大ピーク検出器の出力レベルと交差するまで待機する。より良好な提示のため、上記縦方向の線はいくらかの距離だけ右にシフト(移動)している。より良好な提示のため、図2a及び図2b中の他の線も縦方向または横方向にいくらかの距離だけシフトし、特に線202及び203は、線201の上にある場合にシフトしている。原則的に、状態マシンの切り替えは、最初の極値に達した時点と、上述した最初のゼロ交差の推定値の役目をする時点との間の任意時刻に実現することができる。
【0072】
この切り替え後には、他方のピーク検出器のサンプル値信号が入力信号に追従する。即ち、図2aでは、最大ピーク検出器の信号202が入力信号201に追従し始めるのに対し、最小ピーク検出器の信号203は一定のままであり、このことは平均値信号の増加をもたらす。図2bでは、最小ピーク検出器の信号203が入力信号201に追従し始めるのに対し、最大ピーク検出器の信号202は一定のままであり、このことは平均値信号の減少をもたらす。作動中のピーク検出器、即ち図2aでは最大ピーク検出器、図2bでは最小ピーク検出器のサンプル値信号が、それぞれの極値に達する瞬時まで入力信号に追従する。この時点以降、上記3つの信号、即ち最大ピーク検出器の信号、最小ピーク検出器の信号、及び結果的な平均値信号のすべてが一定である。現在の入力信号201が2回目に平均値信号204に等しくなる瞬時が、入力信号の真のゼロ交差を表す、というのは、この瞬時には最大値及び最小値を通っているからである。この瞬時後に、起動の過渡的効果が終了し、正しい位相関係、即ち、ゼロ交差についての正しい振幅及び正しい時点が特定される。
【0073】
次に、図3に、図1の実施例による初期位相検出システムの起動時の状態シーケンスを概略的に示す。システムが始動すると(パワーオンリセット)、状態信号S0が状態マシンによって供給され、これにより、最大値をサンプリングすることを示すパラメータ”SelectMax(最大値選択)”が1に設定されて最大ピーク検出器のサンプリングを可能にする。入力信号の最大値の最初の粗い推定値として、初期比較値を用いることができる。これらのことを概略的に図3に、”SampleMax(最大値サンプリング)”、”SelectMax=1”、及び”SamplewithMaxPeak=compvalue(最大ピークのサンプル=比較値)”によって示す。
【0074】
第2ステップでは、状態信号S1が状態マシンによって供給され、これにより、最小値をサンプリングすることを示すパラメータ”SelectMin(最小値選択)”が1に設定されて最小ピーク検出器のサンプリングを可能にする。入力信号の最小値の最初の粗い推定値として、初期比較値にマイナスを付けた値を用いることができる。これらのことを概略的に図3に、”SampleMin(最小値サンプリング)”、”SelectMin=1”、及び”SamplewithMaxPeak=NOT(compvalue)(最小ピークのサンプル=−(比較値))”によって示す。
【0075】
第3ステップでは、状態信号S2が状態マシンによって供給され、これにより入力信号が増加中であるか否かが判定される。このステップでは、パラメータ”SelectOffset”が1に設定され、変数”SetPosVT(正の電圧しきい値設定)”も1に設定される。これら2つの変数は、比較器においてオフセット値が設定され、このオフセット値が正の値に設定されることを示す。これらのことを概略的に図3に、”Signal Inc?(信号が増加中か)”、”SelectOffset=1(選択オフセット値=1)”、及び”SetPosVT=1(正の電圧しきい値=1に設定)”によって示す。第3ステップにおいて、信号の比較が正の値を与え、即ち”compvalue=1(比較値=1)”である場合には、入力信号が増加中であることが判定され、最大ピーク値がまず探索される。
【0076】
第3ステップにおいて、信号の比較が負の値を与え、即ち”compvalue=0(比較値=0)”である場合には、第4ステップにおいて、状態信号S3が状態マシンによって供給され、これにより入力信号が減少中であるか否かが判定される。このステップでは、変数”SelectOffset”が1に設定され、変数”SetNegVT(負の電圧しきい値)”も1に設定される。これら2つの変数は、比較器においてオフセット値が設定され、このオフセット値が負の値に設定されることを示す。これらのことを概略的に図3に、”Signal Dec?(信号が減少中か)”、”SelectOffset=1(選択オフセット値=1)”、及び”SetNegVT=1(負の電圧しきい値=1に設定)”によって示す。第4ステップにおいて、信号の比較が負の値を与え、即ち”compvalue=0(比較値=0)”である場合には、入力信号が減少中であることが判定され、最小ピーク値がまず探索される。この比較が正の値を与える場合には、状態マシンは第3ステップに戻って再び状態信号S2を供給する。こうした状態信号S2とS3との間の変化は、入力信号の挙動、即ち入力信号が増加するか減少するかが識別されるまで実行される。
【0077】
パラメータ”SelectMax”は、図1のスイッチ117を閉じること、即ち、最大ピーク検出器が入力信号をサンプリングすることに関係し、パラメータ”SelectMin”は、図1のスイッチ139を閉じること、即ち、最小ピーク検出器が入力信号をサンプリングすることに関係し、パラメータ”SelectOffset”は、図1のスイッチ118を閉じること、即ち、オフセット値または平均値がオフセットユニットに供給されることに関係する。信号またはパラメータ”compvalue”は状態遷移に用いられる。状態0では、即ち、状態マシンが状態0に対応する信号を供給する際には、”compvalue”は、最大ピーク検出器の最初のサンプルが見つかっているか否かを示す指標の役目をする。”compvalue=1”である限り、最大ピーク検出器の最初のサンプルは見つかっていない。”compvalue=0”になり次第、状態0から状態1への遷移が行われ、即ち、状態マシンは状態信号S1を供給する。状態1では、”compvalue”は、最小ピーク検出器の最初のサンプルがまだ見つかっていないことを示す指標の役目をする。”compvalue=0”である限り、最小ピーク検出器の最初のサンプルは見つかっていない。”compvalue=1”になり次第、最小ピーク検出器の最初のサンプルが見つかり、状態1から状態2へのさらなる遷移が行われる。
【0078】
なお、「具えている」等は、他の要素またはステップを排除するものではなく、各構成要素は複数存在し得る。また、異なる実施例に関連して述べた要素は組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】初期位相検出システムの好適な実施例の概略図である。
【図2】図一の実施例による初期位相検出システムの代表的な波形を概略的に示す図である。
【図3】図1の実施例による初期位相検出システムの状態シーケンスを概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と;
第1ピーク検出ユニットと;
第2ピーク検出ユニットと;
平均化ユニットと;
オフセットユニットと;
比較ユニットとを具えた位相検出システムにおいて、
前記入力端子が、前記第1ピーク検出ユニット及び前記第2ピーク検出ユニットに結合され、前記入力端子は、入力信号を前記位相検出システムに供給するように構成され、
前記平均化ユニットは、前記第1ピーク検出ユニットと前記オフセットユニットとの間、及び前記第2ピーク検出ユニットと前記オフセットユニットとの間に結合され、前記平均化ユニットは中間信号を発生するように構成され、
前記オフセットユニットはさらに、前記入力端子に結合され、信号強度の所定オフセット値を、前記入力信号及び前記中間信号から成るグループの少なくとも1つの信号に加えることによって2つの比較可能な信号を発生するように構成され、
前記比較ユニットは前記オフセットユニットに結合され、前記2つの比較可能な信号を比較することによって、前記入力信号の位相を示す出力信号を発生するように構成されている
ことを特徴とする位相検出システム。
【請求項2】
前記第1ピーク検出ユニットが最大ピーク検出器であることを特徴とする請求項1に記載の位相検出システム。
【請求項3】
前記第2ピーク検出ユニットが最小ピーク検出器であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相検出システム。
【請求項4】
前記位相検出システムがさらに、状態マシンを具えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相検出システム。
【請求項5】
前記状態マシンが、前記第1ピーク検出ユニット、前記第2ピーク検出ユニット、前記平均化ユニット、及び前記オフセットユニットから成るグループの少なくとも1つのユニットに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の位相検出システム。
【請求項6】
前記状態マシンは、どの信号を前記比較ユニットに供給するか、及び/または、前記第1ピーク検出ユニットまたは前記第2ピーク検出ユニットのどちらを用いて前記入力信号のサンプルを取得するかを決定する状態信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の位相検出システム。
【請求項7】
前記状態マシンが、所定条件が満たされるまで、異なる状態間の切り替えを行うように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の位相検出システム。
【請求項8】
前記所定条件は、前記比較ユニットの出力信号が前記入力信号の位相を一意的に特徴付けることであることを特徴とする請求項7に記載の位相検出システム。
【請求項9】
前記平均化ユニットが、前記第1ピーク検出ユニットの信号と前記第2ピーク検出ユニットの信号との算術平均値を生成するように構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の位相検出システム。
【請求項10】
前記所定オフセット値が、前記入力信号の振幅より小さく設定されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の位相検出システム。
【請求項11】
前記所定オフセット値が、前記入力信号のノイズより大きく設定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の位相検出システム。
【請求項12】
前記位相検出システムがさらに、エッジ信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の位相検出システム。
【請求項13】
前記位相検出システムが、前記入力信号が前記中間信号に等しい際に予備的な第1エッジ信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の位相検出システム。
【請求項14】
前記位相検出システムが、前記中間信号が0に等しい際に第2エッジ信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の位相検出システム。
【請求項15】
前記オフセットユニットが、電圧源、及び/または規定のインピーダンスと組み合わせた電流源を具えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の位相検出システム。
【請求項16】
入力信号の位相を検出する方法において、
前記入力信号を第1ピーク検出ユニットでサンプリングすることによって第1サンプル値信号を発生するステップと;
前記入力信号を第2ピーク検出ユニットでサンプリングすることによって第2サンプル値信号を発生するステップと;
前記第1サンプル値信号及び前記第2サンプリング信号から中間信号を発生するステップと;
前記中間信号と前記入力信号とを比較ユニットにおいて比較することによって出力信号を発生するステップであって、比較する前に、前記中間信号及び前記入力信号の少なくとも一方に所定オフセット値を加え、前記出力信号は、前記入力信号の位相を示すステップと
を具えていることを特徴とする位相検出方法。
【請求項17】
さらに、
前記第1サンプル値信号の発生をトリガする第1状態信号を供給するステップを具えていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、
前記第2サンプル値信号の発生をトリガする第2状態信号を供給するステップを具えていることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
さらに、
前記所定オフセット値が正であることを生じさせる第3状態信号を供給するステップを具えていることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
さらに、
前記所定オフセット値が負であることを生じさせる第4状態信号を供給するステップを具えていることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
さらに、
所定条件が満たされるまで、前記第3状態信号と前記第4状態信号とを交互に供給することを特徴とするステップを具えている請求項19または20に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508383(P2009−508383A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529731(P2008−529731)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053030
【国際公開番号】WO2007/029149
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】