説明

位置合せされた両面パターン化ウェブを製造する装置および方法

パターン化表面をウェブの両側にキャスティングする装置。この装置は第1のパターン化ロールと、第2のパターン化ロールと、第1および第2のパターン化ロールを回転する手段とを含み、これらのパターンは連続する動作において、ウェブの互いに反対側に転写される。このプロセス中、これらのパターンは、少なくとも100ミクロン以内、好ましくは少なくとも20ミクロン以内まで連続位置合せで維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ウェブへの材料の連続キャスティングに関し、特に、ウェブの互いに反対側にキャスティングされたパターン間で高度に位置合せされた物品のキャスティングに関する。
【背景技術】
【0002】
新聞の印刷から高度な電子光学装置の製造まで多くの物品の製造において、少なくとも一時的に液体の形態にある材料を基材の互いに反対側に適用する必要がある。基材に適用される材料を所定のパターンで適用する場合がよくあり、例えば、印刷の場合には、インクは文字と絵のパターンで適用される。かかる場合には、基材の互いに反対側のパターン間の位置合せは少なくとも最低の要件であるのが一般的である。
【0003】
基材が回路基板のような不連続な物品のときは、パターンの適用者は位置合せをする補助として通常は端部に頼る。しかしながら、基材がウェブで、位置合せを周期的に維持する際に基材の端部に頼るのが不可能なときは、問題は少しばかり難しくなる。更に、ウェブの場合でも、位置合せの要求が厳しくない、例えば、完璧な位置合せから100ミクロンを超えてずれていても許容されるときは、当業者はその範囲まで材料の適用を制御することが分かっている。印刷業界には、かかる基準に適合可能な装置が豊富にある。
【0004】
しかしながら、基材の互いに反対側にパターンを有する製品においては、パターン間のより正確な位置合せが必要とされるものがある。かかる場合、ウェブが連続動作していない場合は、材料をかかる基準に適用可能な装置が知られている。ウェブが連続動作している場合には、例えば、あるタイプのフレキシブル回路のように、パターニングロール1回転当たり完璧な位置合せの100ミクロン、更に5ミクロン未満以内までパターニングロールをリセットすることが許容されるのであれば、いかに進めるかについてのガイドラインとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、輝度向上フィルムのような光学物品においては、基材の互いに反対側に適用された光学的に透明なポリマーのパターンは、ツール回転において任意の点で非常に小さな許容度を超えないほど、位置合せから外れない必要がある。これまで、パターンを、断続的ではなく、100ミクロン以内の位置合せで連続的に保持するように、連続動作中のウェブの対向する側にいかにパターン化表面をキャスティングするかについて業界では着目されずにきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示内容の一態様は、以前可能だったパターン間のより精細な位置合せを保持しながら、ウェブの両側にパターン化表面をキャスティングする装置に関する。本装置は、ウェブにパターンを適用する第1のパターン化ロールと、第2のパターン化ロールとを含む。連続動作のまま、パターンがウェブの互いに反対側に転写されるような第1および第2のパターン化ロールを回転する手段も含み、これらのパターンは、約100ミクロン以内の精度の連続位置合せで保持される。他の実施形態においては、50ミクロン以内の位置合せ精度が達成可能であり、更に他の実施形態においては、10ミクロン以内の位置合せ精度が可能である。
【0007】
定義
本開示内容において、「位置合せ」とは、ウェブの端部および同じウェブの互いに反対側の他の構造に関して位置が設定された構造の配置のことを意味する。
【0008】
本開示内容において、「ウェブ」とは、一方向の固定した寸法と、その方向に直交する方向の所定か不定の長さとを有するシートの材料のことを意味する。
【0009】
本開示内容において、「連続位置合せ」とは、第1および第2のパターン化ロールの回転中常に、ロール上の構造体間の位置合せの程度が指定された限界値よりも小さいことを意味する。
【0010】
本開示内容において、「微細複製化」または「微細複製」とは、構造化表面特徴部の個々の特徴部が製品毎に約100マイクロメートル以下の変動で忠実に製造されるプロセスによる、微細構造表面の製造のことを意味する。
【0011】
添付の図面のいくつかにおいては、同じ部品には同じ参照番号が付与されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
一般に、本開示内容の本発明は、側部同士の位置合せ精度が約100ミクロン未満、好ましくは50ミクロン未満、より好ましくは25ミクロン未満、最も好ましくは5ミクロン未満で両側に微細複製化構造を製造するシステムおよび方法である。本システムは、概して、第1のパターニングアセンブリと第2のパターニングアセンブリとを含む。それぞれのアセンブリは、第1および第2の表面を有するウェブの各表面に微細複製化パターンを形成する。第1のパターンは、ウェブの第1の側に作成され、第2のパターンはウェブの第2の表面に形成される。
【0013】
各パターニングアセンブリは、コーティングを適用する手段、パターニング部材および硬化部材を含む。一般的に、パターニングアセンブリは、パターン化ロールと、各ロールを保持し駆動する支持構造を含んでいる。第1のパターニングアセンブリのコーティング手段は、第1の硬化性コーティング材料をウェブの第1の表面に分配する。第2のパターニングアセンブリのコーティング手段は、第2の硬化性コーティング材料をウェブの第2の表面に分配する。第2の表面は第1の表面の反対側の面である。一般的に、第1および第2のコーティング材料は同じ組成である。
【0014】
第1のコーティング材料をウェブに配置した後、ウェブを第1のパターン化部材に通し、パターンを第1のコーティング材料に作成する。次いで第1のコーティング材料を硬化または冷却して、第1のパターンを形成する。次に、第2のコーティング材料をウェブに配置した後、ウェブを第2のパターン化部材に通し、パターンを第2のコーティング材料に作成する。次いで第2のコーティング材料を硬化して、第2のパターンを形成する。一般的に、各パターン化部材は微細複製化ツールであり、各ツールは、一般的に、材料を硬化する専用の硬化部材を有している。しかしながら、第1と第2のパターン化材料の両方を硬化する単一の硬化部材を有するのも可能である。同様に、コーティングをパターン化ツールに配置するのも可能である。
【0015】
システムはまた、連続動作のまま、パターンがウェブの互いに反対側に転写されるような第1および第2のパターン化ロールを回転する手段も含み、該パターンは、ウェブの対向する側に約100ミクロンより小さい連続位置合せで保持される。
【0016】
本発明の利点は、微細複製化構造を、互いに100ミクロン以内、一般的に50ミクロン以内、より一般的には20ミクロン以内、最も一般的には5ミクロン以内に位置合せされた各側に微細複製化構造を保持しながら、ウェブの各側に連続的に形成された微細複製化構造を与えることにより、ウェブの各面に微細複製化構造を有するウェブを製造できるということである。
【0017】
図1および図2に、本開示内容によるキャスティング装置120を含むシステム110の例示的実施形態を示す。図示したキャスティング装置120において、ウェブ122を主巻戻しスプール(図示せず)からキャスティング装置120に与える。ウェブ122の厳密な性質は、製造される製品に応じて広く変えることができる。しかしながら、キャスティング装置120を光学物品の製造に用いるときは、ウェブ122を通して硬化できるよう、通常、ウェブを半透明または透明とするのが便利である。ウェブ122を、様々なローラ126周囲からキャスティング装置120へ誘導する。
【0018】
本発明にて可能な最良の結果を得るためには、ウェブ122の正確な張力制御が必要であり、そのためウェブ122を感知デバイス(図示せず)に誘導する。ライナウェブを用いてウェブ122を保護するのが望ましい場合には、一般的に、ライナウェブを巻戻しスプールで分離して、ライナウェブ巻上げスプール(図示せず)に誘導する。ウェブ122は、一般的に、アイドラロールを介して、精密な張力制御のためにダンサローラに誘導される。アイドラローラは、ウェブ122を、ニップローラ154と第1のコーティングヘッド156の間の位置に向ける。
【0019】
図示した実施形態において、第1のコーティングヘッド156はダイコーティングヘッドである。しかしながら、他のコーティング方法を装置に適用することもでき、当業者であれば分かるであろう。次にウェブ122をニップロール154と第1のパターン化ロール160の間に通す。第1のパターン化ロール160は、パターン化表面162を有しており、ウェブ122をニップローラ154と第1のパターン化ロール160の間に通すときは、第1のコーティングヘッド156によりウェブ122に分配された材料がパターン化表面162のネガへと成形される。
【0020】
ウェブ122を第1のパターン化ロール160と接触させながら、材料を第2のコーティングヘッド164からウェブ122の他の表面へ分配する。第1のコーティングヘッド156に関して上述したことに加えて、第2のコーティングヘッド164はまた、第2の押出し機(図示せず)と第2のコーティングダイ(図示せず)を含むダイコーティング配列でもある。ある実施形態において、第1のコーティングヘッド156により分配された材料は、ポリマー前駆体を含み、紫外線の適用により固体ポリマーへと硬化されることを意図された組成物である。
【0021】
第2のコーティングヘッド164によりウェブ122に分配された材料は、第2のパターン化表面176を備えた第2のパターン化ロール174と接触させられる。上述したことに加えて、ある実施形態において、第2のコーティングヘッド164により分配された材料は、ポリマー前駆体を含み、紫外線の適用により固体ポリマーへと硬化されることを意図された組成物である。
【0022】
この時点で、ウェブ122は両側に適用されたパターンを有している。剥離ロール182を存在させて、ウェブ122を第2のパターン化ロール174から取り外す補助としてもよい。一般的に、キャスティング装置に出し入れされるウェブ張力は略一定である。
【0023】
次に両側に微細パターンを有するウェブ122を、様々なアイドラローラを介して巻上げスプール(図示せず)に誘導する。ウェブ122を保護するために介在フィルムが望ましい場合には、第2の巻戻しスプール(図示せず)から提供され、ウェブと介在フィルムは適切な張力で巻上げスプールで併せて巻かれる。
【0024】
図1〜図3を参照すると、第1および第2のパターン化ロールが、それぞれ、第1および第2のモータアセンブリ210、220と結合されている。モータアセンブリ210、220は、フレーム230に直接か間接的に装着することにより支持される。モータアセンブリ210、220は、精密な装着配列を用いてフレームに結合される。図示した例証の実施形態において、第1のモータアセンブリ210はフレーム230に固定装着されている。ウェブ122をキャスティング装置120に通すときに定位置に配置される第2のモータアセンブリ220は、繰り返し位置付ける必要があるため、交差および機械方向の両方において可動である。可動のモータ配列220は、例えば、ロールのパターン間での切り替え時、繰り返しの正確な位置付けを補助するために、ライナスライド222に結合されているのが好ましい。第2のモータ配列220はまた、第2のパターン化ロール174の側部同士を第1のパターン化ロール160に配置するフレーム230の裏側に第2の装着配列225も含んでいる。第2の装着配列225は、交差機械方向に正確な配置ができるようライナスライド223を含んでいるのが好ましい。
【0025】
図6に、モータ装着配置が図示されている。ツールまたはパターン化ロール662を駆動するモータ633は、機械フレーム650に装着され、継手640によりパターン化ローラ662の回転シャフト601に結合されている。モータ663は、一次エンコーダ630に結合されている。二次エンコーダ651は、ツールに結合されて、パターン化ロール662の正確な角度位置合せ制御を行う。一次630および二次651エンコーダは協働して、パターン化ロール662の制御を行って、第2のパターン化ロールとの位置合せを保つ。これについては後述する。
【0026】
図示した例示的実施形態において、ツールローラ662の直径は、モータ633の直径よりも一般的に小さい。この配列に対応するために、2本のツールローラ662、762を図7に示すように併せることができるよう、2つのツールローラアセンブリ610、710を鏡像として据え付ける。図1を参照するとまた、第1のモータ配列が、フレームに固定して取り付けられており、第2のモータ配列は、可動の光学品質のライナスライドを用いて配置される。
【0027】
シャフト共振は位置合せエラーの原因であるので、その減少または排除は、指定した限界内でのパターン位置の制御を可能とするため、重要である。通常のサイジングスケジュールが指定するより大きいモータ633とシャフト650の間の継手640を用いると、より可撓性の継手により生じるシャフト共振も減じる。ベアリングアセンブリ660は、様々な位置に配置されて、モータ配列の回転を支持する。
【0028】
図4に、互いに反対側の表面に位置合せされた微細複製化構造を備えた両側ウェブ422を製造するキャスティング装置420の例示的実施形態を示す。アセンブリは、第1および第2のコーティング手段456、464と、ニップローラ454と、第1および第2のパターン化ロール460、474とを含む。ウェブ422を、第1のコーティング手段456、この例では第1の押出しダイ456に入れる。第1のダイ456は、第1の硬化性液体層コーティング470をウェブ422に分配する。第1のコーティング470を、ニップローラ454、一般的にはゴムカバーローラにより、第1のパターン化ローラ460に押し付ける。第1のパターン化ロール460上のままで、好適な波長光、一般的には紫外線の外部硬化源480、例えば、ランプを用いてコーティングを硬化する。
【0029】
第2の硬化性液体層481を、第2の側部押出しダイ464を用いて、ウェブ422の対向する側にコーティングする。第2の層481を、第2のパターン化ツールローラ474に押し付けて、コーティングプロセスを第2のコーティング層481について繰り返す。2つのコーティングパターンの位置合せは、ツールローラ460、474を互いに正確な角度の関係に保つことにより行う。これについては後述する。
【0030】
図5に、第1および第2のパターン化ロール560、574の一部の拡大図を示す。第1のパターン化ロール560は、微細複製化表面を形成する第1のパターン562を有する。第2のパターンロール574は、第2の微細複製化パターン576を有する。
【0031】
図示した例示的実施形態において、第1および第2のパターン562、576は同じパターンであるが、パターンは異なっていてもよい。ウェブ522が第1のロール560を通るにつれて、第1の表面524の第1の硬化性液体(図示せず)が、第1のパターン化ロール560の第1の領域526に近い硬化光源525により硬化される。第1の微細複製化パターン化構造590は、液体が硬化した後、ウェブ522の第1の側524に形成される。第1のパターン化構造590は、第1のパターン化ロール560のパターン562のネガである。第1のパターン化構造590が形成された後、第2の硬化性液体581がウェブ522の第2の表面527に分配される。第2の液体581が早期に硬化されないことを確実にするために、第2の液体581は、一般的に、第2の液体581に当たらないよう第1の硬化光525を配置することにより、第1の硬化光525から隔離しておく。あるいは、遮蔽手段592を、第1の硬化光525と第2の液体581の間に配置することができる。同様に、硬化源は、ウェブを通して硬化するのが実際的ではない、または困難な場合には、各パターン化ロールの内側に配置することができる。
【0032】
第1のパターン化構造590が形成された後、第1および第2のパターン化ロール560、574間のギャップ領域575に入るまでウェブ522を第1のロール560に沿って進める。第2の液体581は、第2のパターン化ロールの第2のパターン576と組み合わせられ、第2の微細複製化構造に成形され、第2の硬化光535により硬化される。ウェブ522が、第1と第2のパターン化ロール560、574の間にギャップ575を通過するにつれて、このときまでに実質的に硬化されウェブ522にボンドされた第1のパターン化構造590は、ギャップ575および第2のパターン化ローラ574周囲に移動し始めたウェブ522のずれを抑える。これが、ウェブに形成された第1と第2のパターン化構造間の位置合せエラーの原因としてのウェブの伸張およびずれを取り除く。
【0033】
第2の液体581を第2のパターン化ロール574と接触させながら、第1のパターン化ロール560のウェブ522を支持することにより、ウェブ522の互いに反対側524、527に形成された第1と第2の微細複製化構造590、593の間の位置合せの程度は、第1および第2のパターン化ロール560、574の表面間の位置の関係を制御する関数となる。第1および第2のパターン化ロール560、574周囲と、ロールにより形成されたギャップ575間のウェブのS−ラップは、張力の影響、ウェブ歪み変化、温度、ウェブのニップする機構により生じる微細スリップおよび側部位置制御を最小にする。一般的に、S−ラップは、180度のラップ角度について、ウェブ522の各ロールとの接触を維持する。ただし、ラップ角度は、特定の要件に応じてこれより大きくしたり小さくすることができる。
【0034】
ウェブの対向する表面に形成されたパターン間の位置合せの程度を向上させるためには、各ロールの平均直径でのピッチの変化の度数を低くするのが好ましい。一般的に、パターン化ロールは同じ平均直径であるが、これは必要とはされない。当業者であれば、特定の用途に適切なロールを選択できる。
【0035】
実施例1−両側微細複製化物品を製造する装置
ウェブの両面の微細複製化構造の特徴部サイズは互いの精密な位置合せが望ましいため、パターン化ロールは高度の精度で制御される必要がある。本明細書に記載した制限内の交差ウェブ位置合せは、後述するように、機械方向の位置合せを制御するのに用いる技術を適用することにより行うことができる。機械方向の位置合せの制御が必要であるため、両側微細複製化ウェブではこれまで実現されていなかった。例えば、約10ミクロンの端部同士の特徴部の25.4cm(10インチ)周囲のパターン化ローラに配置するには、各ローラは、1回転当たり±32アーク秒の回転制度内に維持しなければならない。ウェブがシステムを移動する速度が増大するにつれて、位置合せの制御はより難しくなる。
【0036】
本出願人は、2.5ミクロン以内に位置合せされるウェブの互いに反対側の表面にパターン化特徴部を有するウェブを作成可能な25.4cm(10インチ)の円形パターン化ロールを有するシステムを構築し実証した。この開示内容を読み、ここに教示されている原理を適用すると、当業者であれば、他の微細複製化表面についても、この位置合せの程度が得られるかわかるであろう。
【0037】
図8に、本出願人のシステムに用いるモータ配列800の概略を示す。モータ配列には、一次エンコーダ830と駆動シャフト820を含むモータ810が含まれる。駆動シャフト820は、継手825によりパターン化ロール860の駆動シャフト840に結合されている。二次またはロードエンコーダ850は駆動シャフト840に結合されている。記載したモータ配列の2つのエンコーダを用いると、パターン化ロール860近くに測定装置(エンコーダ)850を配置することにより、パターン化ロールの位置をより正確に測定することができ、モータ配列800が操作されるとき、トルク妨害の影響が減少または排除される。
【0038】
図9に、図8のモータ配列の概略を制御コンポーネントに取り付けて示してある。図1〜図3に示す例示の装置において、同様のセットアップにより各モータ配列210および220を制御する。
【0039】
モータ配列900が、制御配列965と連通すると、パターン化ロール960の正確な制御が可能となる。制御配列965には、駆動モジュール966とプログラムモジュール975が含まれる。プログラムモジュール975は、ライン977、例えば、SERCOSファイバーネットワークを介して駆動モジュール966と連通する。プログラムモジュール975を用いて、設定点のようなパラメータを駆動モジュール966に入力する。駆動モジュール966は、入力480ボルト、3相出力915を受信してDCに整流して、出力接続部973を介して分配して、モータ910を制御する。モータエンコーダ912は位置信号を制御モジュール966に供給する。パターン化ロール960の二次エンコーダ950はまた、ライン971を介して駆動モジュール966に位置信号を戻す。駆動モジュール966は、エンコーダ信号を用いて、パターン化ロール960を正確に位置付ける。位置合せの程度を得るための制御設計の詳細については後述してある。
【0040】
図示した例示的実施形態において、各パターン化ロールは、精密な制御配列により制御される。精密な制御配列は協働して、第1と第2のパターン化ロール間の位置合せを制御する。各駆動モジュールは、各モータアセンブリと連通して制御する。
【0041】
本出願人のシステムで用いた、マスター/スレーブタイプおよび平行構成のような2軸を連係させるのに様々なオプションが利用可能である。
【0042】
本出願人により構築され実証されたシステムの制御配列は以下のものを含む。各パターン化ロールを駆動するために、高性能の、高解像度サインエンコーダフィードバック(512サインサイクル×4096駆動補間>>1回転当たり2百万部)の低コギングトルクモータ、ボッシュ・レックスロス(Bosch−Rexroth)(インドラマート(Indramat))製型番MDH090B−035−NG0−UNを用いた。同じく、システムは、ボッシュ・レックスロス(Bosch−Rexroth)(インドラマート(Indramat))製型番MDH090B−035−NG0−UNを含んでいた。ただし、誘導モータのような他のタイプも用いることができる。各モータを、非常に剛性のベローズ継手、R/Wコーポレーションより入手可能な型番BK5−300、により直接(歯車箱や減速装置なしで)結合した。他の継手設計を用いることもできるが、ベローズスタイルは、高回転精度を与えながら剛性を兼ね備えている。各継手は、代表的なメーカーの仕様により推奨されるものよりも実質的に大きな継手を選択するようなサイズとした。更に、継手とシャフトの間はゼロバックラッシュコレットまたは圧縮スタイルロッキングハブが好ましい。各ローラシャフトは、中空シャフトロードサイドエンコーダ、イリノイ州シャンバーグ(Schaumburg,IL)のハイデンハイン社(Heidenhain Corp.)より入手可能な型番RON225Cに取り付けた。エンコーダの選択は、一般的に32アーク−秒の精度を超える、最高の精度および可能な解像度のものとする。本出願人の設計、1回転当たり18000サインサイクルを用いた。4096ビット解像駆動補間と組み合わせると、1回転当たり5千万部を超える解像度が得られ、精度より実質的に高い解像度を与えた。ロードサイドエンコーダの精度は+/−2アーク−秒、分配単位の最大偏差は+/−1アーク−秒であった。
【0043】
各シャフトは、剛性を最大にして、最高の共鳴振動数が得られるよう、できる限り大きな直径とし、できる限り短く設計するのが好ましい。このことによる位置合せエラーを確実に最小にするために、各回転コンポーネントの正確な配列が望ましい。当業者であれば、回転コンポーネントの配列による位置合せエラーを減じるための様々なやり方が分かるであろう。
【0044】
各軸の制御手順は次のようにして実現される。
【0045】
図11を参照すると、本出願人のシステムにおいて、同一の位置参照コマンドは、2msの更新速度でSERCOSファイバーネットワークを通して各軸について同時に示されていた。各軸は、250マイクロ秒の間隔の位置ループ更新速度で、3次スプラインにより位置参照を補間している。一定速度によって、単純な一定の時間の時間間隔パスが得られるため、補間方法は重要ではない。四捨五入や数字表記エラーを排除するために、解像度は重要である。軸ロールオーバーにもまた対処しなければならない。現在のループ実行速度(62マイクロ秒の間隔)で各軸の制御サイクルを同調させることが重要である。
【0046】
上部パス1151は、コントロールのフィードフォワード部である。制御手順には、位置ループ1110、速度ループ1120および電流ループ1130が含まれる。位置参照1111は微分され、1回目は速度フィードフォワードターム1152を生成し、2回目は加速フィードフォワードターム1155を生成する。フィードフォワードパス1151は、ラインスピード変化およびダイナミック補正中の性能を補助する。
【0047】
位置コマンド1111は、現在の位置1114から減算されて、エラー信号1116を生成する。エラー1116をプロポーショナルコントローラ1115に入れると、速度コマンド参照1117を生成する。速度フィードバック1167をコマンド1117から減算し、速度エラー信号1123を生成し、これをPIDコントローラに入れる。速度フィードバック1167は、モータエンコーダ位置信号1126を微分することにより生成される。微分および数字解像限界のために、ローパスバッタワースフィルタ1124を入れて高周波数ノイズ成分をエラー信号1123から除去する。ナローストップバンド(ノッチ)フィルタ1129を、モータ−ローラ共鳴振動数の中心に入れる。これによって、実質的により高いゲインが速度コントローラ1120に入れられる。モータエンコーダの解像度が増大すると性能も改善される。コントロールダイヤグラムにおけるフィルタの正確な位置は重要でなく、フォワードまたはリバースパスのいずれかが許容される。ただし、同調パラメータは位置に応じて異なる。
【0048】
PIDコントローラはまた位置ループにおいても使えるが、インテグレータの追加フェーズラグが安定化をより難しくさせている。電流ループは典型的なPIコントローラであり、ゲインはモータパラメータにより構築される。最高の帯域幅電流ループによって、最高の性能が得られる。また、最小のトルクリップルが望ましい。
【0049】
外乱を最小にすることが、最高の位置合せ精度を得るために重要である。これには、前述した通り、モータ構造および電流ループ転流が含まれるが、機械的な外乱を最小にすることも重要である。ウェブスパンの出入りの際の非常に平滑な張力制御、均一なベアリングおよびシールドラッグ、ローラから剥離されるウェブからの最小の張力アップセット、均一なゴムニップローラが例示される。現在の構造では、硬化した構造体をツールから取り出すのを補助するツールロールに噛み合わされた第3の軸がプルロールとして提供される。
【0050】
ウェブ材料は、微細複製化パターン化構造を作成することのできる任意の好適な材料とすることができる。ウェブ材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートまたはポリカーボネートが例示される。ウェブはまた多層とすることもできる。液体は、パターン化構造が形成された側と反対の側で硬化源により硬化されるため、ウェブ材料は用いる硬化源に対して少なくとも部分的に半透明でなければならない。硬化エネルギー源としては、赤外線、紫外線、可視光線、マイクロ波またはe−ビームが例示される。当業者であれば、その他の硬化源を用いることができ、特定のウェブ材料/硬化源の組み合わせの選択は作成される特定の物品(位置合せされる微細複製化構造を有する)に応じて異なることが分かるであろう。
【0051】
ウェブを通した液体の硬化の代わりに、金属ウェブまたは金属層を有するウェブ等硬化し難いウェブに有用な2成分反応硬化、例えば、エポキシを用いてもよい。硬化は、成分のインライン混合、またはパターン化ロールの一部に触媒をスプレーすることにより行うことができ、コーティングおよび触媒の接触時に液体を硬化して、微細複製化構造を形成する。
【0052】
微細複製化構造が形成される液体は、一般的に、UV光により硬化可能なアクリレートのような光重合可能な材料である。当業者であれば、その他のコーティング材料、例えば重合可能な材料、を用いることができ、材料の選択は微細複製化構造に望ましい特定の特徴に応じて異なることが分かるであろう。同様に、用いられる特定の硬化方法は、当業者の技能と知識の範囲内である。硬化方法としては、反応性硬化、熱硬化または放射線硬化が例示される。
【0053】
液体をウェブに分配および制御するのに有用なコーティング手段としては、例えば、シリンジやぜん動ポンプのような好適なポンプと結合させたダイまたはナイフコーティングが例示される。当業者であれば、その他のコーティング材料を用いることができ、特定の手段の選択は液体をウェブに分配する特定の特徴に応じて異なることが分かるであろう。
【0054】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に限定されないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるシステムを含むシステムの例証の実施形態の斜視図である。
【図2】本開示内容に従った図1のシステムの一部の拡大図である。
【図3】本開示内容に従った図1のシステムの他の斜視図である。
【図4】本開示内容によるキャスティング装置の例証の実施形態の概略図である。
【図5】本開示内容に従った図4のキャスティング装置の断面の拡大図である。
【図6】本開示内容によるロール装着配置の例証の実施形態の概略図である。
【図7】本開示内容による一対のパターン化ロールの装着配置の例証の実施形態の概略図である。
【図8】本開示内容によるモータとロール配置の一例の概略図である。
【図9】本開示内容によるロールの間の位置合せを制御する手段の一実施形態の概略図である。
【図10】本開示内容によるロール制御配置の例証の実施形態の概略図である。
【図11】本開示内容による位置合せを制御する方法および装置の例証の実施形態のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブの両側にパターン化された表面をキャスティングする装置であって、
第1のパターン化ロールと、
第2のパターン化ロールと、
前記第1および第2のパターン化ロールを回転する手段と、を含み、該手段は、前記第1および第2のパターン化ロールを連続動作させながら、前記第1および第2のパターン化ロールのパターンを前記ウェブの互いに反対側に転写させ、それにより前記パターンが前記ウェブの互いに反対側で100ミクロン以内の精度で連続位置合せを維持される、装置。
【請求項2】
前記パターンが50ミクロン以内の位置合せ精度で前記ウェブの互いに反対側に転写される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パターンが20ミクロン以内の位置合せ精度で前記ウェブの互いに反対側に転写される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記パターンが5ミクロン以内の位置合せ精度で前記ウェブの互いに反対側に転写される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ウェブが前記第1のパターン化ロールに当接する前に前記ウェブ上にパターン化可能な材料を導入する第1のディスペンサを更に含み、前記ウェブが前記第2のパターン化ロールに当接する前に前記ウェブ上にパターン化可能な材料を導入する第2のディスペンサを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のパターン化ロール上にパターン化可能な材料を導入する第1のディスペンサを更に含み、前記第2のパターン化ロール上にパターン化可能な材料を導入する第2のディスペンサを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および第2のディスペンサが、固体ポリマーへと硬化可能なキャスティング可能なポリマー前駆体を分配するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2のパターン化ロールに近接する材料を熱に露出する手段を更に含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2のパターン化ロールに近接する材料を放射エネルギーに露出する手段を更に含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のパターン化ロールに近接する材料を放射エネルギーに露出する前記手段が、第1のパターン化ロール内に配置されており、前記第1のパターン化ロールが前記放射エネルギーを実質的に透過する部分を少なくとも有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記放射エネルギーが、赤外線、可視線および紫外線からなる群より選択される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各々がパターンを有する第1および第2のパターン化ロール間のウェブをパターニングして、前記第1および第2のパターン化ロールを連続動作させながら、前記第1および第2のパターン化ロールのパターンを前記ウェブの互いに反対側に転写し、それにより前記パターンが前記ウェブの互いに反対側で100ミクロン以内の精度で連続位置合せを維持される、ウェブの両側にパターンを形成する方法。
【請求項13】
前記パターンが50ミクロン以内の位置合せ精度で前記ウェブの互いに反対側に転写される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンが20ミクロン以内の位置合せ精度で前記ウェブの互いに反対側に転写される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パターンが5ミクロン以内の位置合せ精度で前記ウェブの互いに反対側に転写される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ウェブが前記第1のパターン化ロールに当接する前に前記ウェブの片側にパターン化可能な材料を導入する工程、および、
前記ウェブが前記第2のパターン化ロールに当接する前に前記ウェブの対向する側にパターン化可能な材料を導入する工程、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のパターン化ロール上にパターン化可能な材料を導入する工程、および、前記第2のパターン化ロール上にパターン化可能な材料を導入する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記材料の少なくとも1つが、固体ポリマーへと硬化可能なキャスティング可能なポリマー前駆体である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記材料の少なくとも1つを、前記第1および第2のパターン化ロールの少なくとも1つに接触させながら熱に露出する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記材料の少なくとも1つを、前記第1および第2のパターン化ロールの少なくとも1つに接触させながら放射エネルギーに露出する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記露出が、前記第1および第2のパターン化ロールのうち少なくとも1つの中に配置された源を用いて実行され、前記第1および第2のパターン化ロールの少なくとも1つが前記放射エネルギーを実質的に透過する部分を少なくとも有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記放射エネルギーが、赤外線、可視線および紫外線からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−504973(P2007−504973A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526070(P2006−526070)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/023415
【国際公開番号】WO2005/025837
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】