説明

位置決め付きクランプ

【課題】本発明は、一方の固定部材とクランプの間において、スラスト方向および回転方向に移動することがない位置決め付きクランプに関するものである。
【解決手段】本発明の位置決め付きクランプは、第1弾性挟持部材と、第2弾性挟持部材と、前記第2弾性挟持部材に設けられたボス部材とから少なくとも構成されている。前記第1弾性挟持部材は、第1の被固定部材を開口部から挿入し、周囲を弾性的に抱持するものである。前記第2弾性挟持部材は、前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を弾性的に抱持するものである。前記ボス部材は、前記第2弾性挟持部のほぼ中央部から一体的に突出している。前記第2の被固定部材は、前記第2弾性挟持部材に挟持されるとともに、前記ボス部材によって、スラスト方向および回転方向に移動することがなく、第1の被固定部材に対して、位置決めされた状態で取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の被固定部材とクランプとの間において、スラスト方向および回転方向に移動することができない位置決め付きクランプに関するものである。本発明は、たとえば、C字型またはコ字型、あるいはこれらに近似した形状の弾性部材が互いに連結されている位置決め付きクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5(イ)および(ロ)は従来のC字型クランプを説明するための斜視図である。図5(イ)において、クランプ51は、C字型からなる第1弾性挟持部材52と、前記第1弾性挟持部材52に一体に連結されたC字型からなる第2弾性挟持部材53とから構成されている。前記第1弾性挟持部材52は、たとえば、パイプ状部材58を抱持するように固定している。図5(ロ)において、前記クランプ51は、前記第1弾性挟持部材52に取り付けられたパイプ状部材58がスラスト方向および回転方向に自在に動く状態で取り付けられている。
【0003】
図6は従来の他のC字型クランプを説明するための斜視図である。図6において、クランプ61は、C字型からなる第1弾性挟持部材62と、前記第1弾性挟持部材62に一体に連結されたC字型からなる第2弾性挟持部材63が互いに90度異なる方向を向くように取り付けられている。また、前記第1弾性挟持部材62および第2弾性挟持部材63は、内部方向に突出した周辺突起621、622、631、632が設けられている。前記周辺突起621、622、631、632は、被固定部材のスラスト方向および回転方向の動きを止めることがある程度できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】公開実用新案公報昭61−99708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5に記載されたクランプ51は、パイプ状部材58の組み付け状態がスラスト方向、および回転方向に容易に移動し、予め決められた位置に取り付け、この状態を維持することが困難である。また、図6に記載されたクランプ61は、突起621、622、631、632によって被固定部材(図示されていない)をある程度固定することができる。しかし、前記被固定部材は、前記突起によっても、スラスト方向および回転方向にある程度移動が可能である。すなわち、従来のC字型クランプは、クランプと被固定部材との間における位置決めが困難であった。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、C字型クランプに取り付けられた被固定部材の位置がスラスト方向および回転方向にずれない位置決め付きクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明の位置決め付きクランプは、第1の被固定部材を弾性的に抱持する第1弾性挟持部材と、前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を弾性的に抱持する第2弾性挟持部材と、前記第2弾性挟持部から一体的に突出しているボス部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
第2発明の位置決め付きクランプは、第1の被固定部材を弾性的に抱持する第1弾性挟持部材と、前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を弾性的に抱持する第1抱持部、前記第1抱持部から所定の間隔をおいて設けられ、前記第1抱持部と逆方向から前記第2の被固定部材を抱持する第2抱持部からなる第2弾性挟持部材と、前記第2弾性挟持部の第1抱持部と第2抱持部の間に一体的に成形されたボス部材から少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明の位置決め付きクランプは、前記第2弾性挟持部におけるボス部の基部近傍において、水密性を確保するためのパッキング部材が形成されていることを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明の位置決め付きクランプは、前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材の開口部が90度異なる方向を向いていることを特徴とする。
【0011】
(第5発明)
第5発明の位置決め付きクランプにおいて、前記第2弾性挟持部材の形状は、第1弾性挟持部材と同方向の第2の被固定部材におけるボス孔に前記ボス部材を挿入し、90度回転した際に第1抱持部材と第2抱持部材に嵌合することを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明の位置決め付きクランプにおいて、前記第2の被固定部材は、筒体から構成されており、前記筒体の一方のみが貫通しているとともに、前記ボス部材が挿入されるボス孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2弾性挟持部材のほぼ中央部に一体的に突出して設けられたボス部材によって、前記第2弾性挟持部材と第2の被固定部材がスラスト方向および回転方向に移動することがない位置決め付きクランプとなった。
【0014】
本発明によれば、第1の被固定部材および第2の被固定部材の方向を90度変えた位置決め付きクランプとすることができる。
【0015】
本発明によれば、第1の被固定部材と前記第2の被固定部材とを同方向にセットし、前記第2の被固定部材の開口部にボス部材を挿入した後、前記第2の被固定部材を、前記ボス部材を軸にして90度回転させるだけで、簡単に取り付けができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(イ)から(ハ)は本発明の位置決め付きクランプを説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ハ)は本発明の他の実施例である位置決め付きクランプを説明するための斜視図である。
【図3】本発明の実施例を説明するめの図で、ボス部材の基部近傍にパッキングを形成した例を説明するための断面図である。
【図4】(イ)から(ニ)は本発明の他の実施例である位置決め付きクランプを説明するための斜視図である。(実施例2)
【図5】(イ)および(ロ)は従来のC字型クランプを説明するための斜視図である。
【図6】従来の他のC字型クランプを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1発明)
第1発明の位置決め付きクランプは、たとえば、ほぼC字型からなる第1弾性挟持部材と、前記第1弾性挟持部材とほぼ同じ、C字型からなる第2弾性挟持部材と、前記第2弾性挟持部材に設けられたボス部材とから少なくとも構成されている。前記第1弾性挟持部材は、第1の被固定部材を開口部から挿入し、周囲を弾性的に抱持するものである。また、前記C字型からなる第1弾性挟持部材は、前記第1の被固定部材を挿入する開口部を一方に有するものであり、左右対称(または上下対称)になっている。さらに、前記C字型からなる第1弾性挟持部材は、C字型に近いコ字型、一方に抜け止め部を有する非対称型等変形のものからなる。
【0018】
前記第2弾性挟持部材は、前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を開口部から挿入し、その周囲を弾性的に抱持する、たとえば、ほぼC字型から構成されている。前記C字型からなる第2弾性挟持部材は、前記第1弾性挟持部材と同様に、変形したものとすることができる。さらに、第1弾性挟持部材と第2弾性挟持部材とは、向きを同じにして一体に成形されている。
【0019】
前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材は、抱持する第1の被固定部材および第2の被固定部材との関係によって、弾性強度を変えることができる。前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材は、一方に開口部を有し、被固定部材を抱持できる形状であれば、形状そのものに限定されない。さらに、前記開口部は、被固定部材の形状により、出し入れ、あるいは抱持に都合の良いような形状を備えている。
【0020】
前記ボス部材は、前記第2弾性挟持部のほぼ中央部から一体的に突出している。前記ボス部材は、たとえば、前記第2弾性挟持部のほぼ中央部から一体的に、前記第2の被固定部材の内部に向かって垂下し、第2の被固定部材の内部に奥深く挿入されるような形状になっている。前記ボス部材の長さは、第2の被固定部材の内部に浅く挿入するようにすることもできる。前記ボス部材は、前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材の両方に設けることもできる。前記第2の被固定部材は、前記第2弾性挟持部材に挟持されるとともに、前記ボス部材によって、スラスト方向および回転方向に移動することがなく、第1の被固定部材に対して、位置決めされた状態で取り付けられる。
【0021】
(第2発明)
第2発明の位置決め付きクランプは、たとえば、C字型からなる第1弾性挟持部材と、前記第1弾性挟持部材に連設された第1抱持部および第2抱持部からなる第2弾性挟持部材と、前記第1抱持部および第2抱持部の間に成形されたボス部材とから構成されている。前記第1弾性挟持部材は、第1の被固定部材を弾性的に抱持する、たとえば、ほぼC字型からなる。前記第1弾性挟持部材は、たとえば、ほぼC字型以外に、一方に第1の被固定部材を出し入れできる開口部を有するものであり、C字型に近いコ字型、ほぼ矩形型等変形のものからなる。
【0022】
第2弾性挟持部材は、前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を弾性的に抱持する第1抱持部と、前記第1抱持部から所定の間隔を置いて設けられ、前記第1抱持部と逆方向から前記第2の被固定部材を抱持する第2抱持部から構成されている。前記ボス部材は、前記第2弾性挟持部材における第1抱持部および第2抱持部の間に一体的に成形されている。
【0023】
前記第2の被固定部材は、たとえば、下方から上方に向いた前記第1抱持部および上方から下方に向いた第2抱持部によって抱持されている。前記第1抱持部および第2抱持部は、前記第2の被固定部材を抱持する部分がC字型以外に円形とすることができる。前記第2の被固定部材は、前記ボス部材と第2の被固定部材に設けられた開口部との係合によって、スラスト方向および回転方向に移動できないようになっている。
【0024】
(第3発明)
第3発明の位置決め付きクランプは、前記第2弾性挟持部におけるボス部の基部近傍の表面において、水密性を確保するためのパッキング部材が形成されている。前記第2の被固定部材は、前記ボス部材によって、スラスト方向および回転方向に移動しないような構成としているだけでなく、前記ボス部材を挿入する開口部から内部に水等が侵入するのを防止している。前記水等の侵入を防止するために、前記パッキング部材は、前記ボス部材の基部近傍に形成されている。前記パッキング部材は、水等の侵入を防止するものであれば、材質を特に限定するものではない。さらに、前記パッキング部材は、防水性部材を塗布することもできる。
【0025】
(第4発明)
第4発明の位置決め付きクランプは、前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材の開口部が90度異なる方向を向いている。すなわち、前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材の開口部は、直角方向に異なるように、第1の被固定部材および第2の被固定部材を固定することができる。
【0026】
(第5発明)
第5発明の位置決め付きクランプは、第2の被固定部材を前記第1の被固定部材とを同方向となるようにして、前記第2の被固定部材の開口部に前記ボス部材を挿入する。前記第2の被固定部材は、前記ボス部材を軸にして90度回転させ、第1抱持部材と第2抱持部材によって抱持されるようにする。
【0027】
(第6発明)
第6発明の位置決め付きクランプは、前記第2の被固定部材が筒体から構成されている。前記第2の被固定部材は、前記筒体の一方のみが貫通している。前記貫通しているボス孔は、前記ボス部材が挿入され、スラスト方向および回転方向に移動できないようになっている。
【実施例1】
【0028】
図1(イ)から(ハ)は本発明の位置決め付きクランプを説明するための斜視図である。図1(イ)において、位置決め付きクランプ11は、ほぼC字型からなる第1弾性挟持部材12と、前記第1弾性挟持部材12とほぼ同じC字型からなる第2弾性挟持部材13と、前記第2弾性挟持部材13において、内部方向に突出するように設けられたボス部材134とから少なくとも構成されている。前記第1弾性挟持部材12および第2弾性挟持部材13は、連結部14により互いに一体的に連結されている。
【0029】
前記第1弾性挟持部材12は、図示されていない第1の被固定部材を第1開口部121から挿入され、周囲を弾性的に抱持することにより、保持するものである。また、前記C字型からなる第1弾性挟持部材12は、前記第1の被固定部材を挿入する第1開口部121を一方に有するものであり、左右対称(または上下対称)になっている。さらに、前記第1弾性挟持部材12は、C字型に近いコ字型、矩形型、あるいは前記第1の被固定部材の断面形状に沿った形状のものでも良い。
【0030】
第2弾性挟持部材13は、前記第1弾性挟持部材12に、連結部14によって一体に連結されているとともに、第2の被固定部材15を弾性的に抱持するほぼC字型から構成されている。前記C字型からなる第2弾性挟持部材13は、前記第1弾性挟持部材12と同様に、変形したものとすることができる。さらに、第1弾性挟持部材12と第2弾性挟持部材13とは、図示されていないが、90度向きを変えて一体に成形することができる。図1において、第1の被固定部材(図示されていない)と第2の被固定部材15は、向きが同じになるように構成されている。前記第1弾性挟持部材12および第2弾性挟持部材13は、第1の被固定部材および第2の被固定部材15との関係によって、弾性強度を変えることができる。
【0031】
前記ボス部材134は、前記第2弾性挟持部13のほぼ中央部から一体的に突出している。前記ボス部材134は、たとえば、前記第2弾性挟持部13のほぼ中央部から一体的に垂下し、第2の被固定部材15の内部に奥深く挿入される。前記ボス部材134は、第1弾性挟持部材12および第2弾性挟持部材13の両方に設けることもできる。前記第2の被固定部材15は、前記第2弾性挟持部材13に挟持されるとともに、前記ボス部材134によって、スラスト方向および回転方向に移動することがなく、図示されていない第1の被固定部材に対して、位置決めされた状態で取り付けられる。
【0032】
図1(ロ)に示された位置決め付きクランプ11は、開口部151が形成された筒体15を第2弾性挟持部材13に嵌合させる。図1(ハ)に示された状態は、位置決め付きクランプ11の第2弾性挟持部材13によって抱持された状態が示されている。前記位置決め付きクランプ11は、第2弾性挟持部材13に一体に成形されているボス部材134が前記開口部151に嵌合されているため、スラスト方向および回転方向に移動することがない。
【0033】
図2(イ)から(ハ)は、本発明の他の実施例である位置決め付きクランプを説明するための斜視図である。図2に示す位置決め付きクランプ21は、コ字状に近い形状からなる第1弾性挟持部材22と、図1に示された例とほぼ同じ形状の第2弾性挟持部材23と、前記第2弾性挟持部材23に設けられた図1より短めのボス部材234とから少なくとも構成されている。前記第1弾性挟持部材22および第2弾性挟持部材23は、連結部24により互いに一体的に連結されている。
【0034】
前記第1弾性挟持部材22は、図示されていない第1の被固定部材を外に広がる入口部222および脱落防止部223を有する第1開口部221から挿入され、前記第1の被固定部材の周囲を弾性的に抱持することにより、保持するものである。また、前記第2弾性挟持部材23は、C字型部の開口部231に、第2の被固定部材(図示されていない)を挿入し易くする折り曲げ部232が成形されている。本実施例における前記第1弾性挟持部材22および第2弾性挟持部材23は、左右対称(または上下対称)になっていない。すなわち、前記第1弾性挟持部材22および第2弾性挟持部材23は、C字型に近いコ字型、矩形型、あるいは前記第1の被固定部材の断面形状に沿った形状のをそれぞれ組み合わせることができる。
【0035】
図示されていない第1の被固定部材および第2の被固定部材は、前記第1弾性挟持部材22および第2弾性挟持部材23に挟持されるとともに、前記ボス部材234(および図示されていないボス部材)によって、スラスト方向および回転方向に移動することがなく、所定位置に固定される。前記位置決め付きクランプ21と第2の被固定部材15との取り付けは、図1(ロ)および(ハ)とほぼ同じである。
【0036】
図3は本発明の実施例を説明するめの図で、ボス部材の基部近傍にパッキングを形成した例を説明するための断面図である。図3に示された位置決め付きクランプ31は、図2に示された実施例におけるボス部材234の長さが長い点、および第2弾性挟持部33におけるボス部材334の基部近傍において、水密性を確保するためのパッキング部材36が形成されている点で、図2に示す位置決め付きクランプ21と異なっている。また、前記パッキング部材36は、貼り付け、塗布等公知の手段によって設けられる。
【0037】
前記位置決め付きクランプ31は、前記ボス部材334によって、図示されていない被固定部材がスラスト方向および回転方向に移動しないような構成としているだけでなく、前記ボス部材334を挿入する開口部(図示されていない)から前記被固定部材の内部に水等が侵入するのを防止している。前記水等の侵入を防止するために、前記パッキング部材36は、前記ボス部材334の基部近傍に形成されている。前記パッキング部材36は、水等の侵入を防止するものであれば、材質を特に限定するものではない。また、前記ボス部材およびパッキング部材は、第1弾性挟持部材にも同様に設けることができる。
【実施例2】
【0038】
図4(イ)から(ニ)は本発明の他の実施例である位置決め付きクランプを説明するための斜視図である。位置決め付きクランプ41は、たとえば、ほぼ長方形からなる第1弾性挟持部材42と、第1抱持部44および第2抱持部45からなる第2弾性挟持部材と、前記第1抱持部44および第2抱持部45の間に成形されたボス部材46とから少なくとも構成されている。前記第1抱持部44および第2抱持部45は、図示のごとく、一方が上方から下方に向けて、他方が下方から上方に向けて弾性的に第2の被固定部材49を抱持して固定する。前記第1抱持部44と第2抱持部45の大きさ、および前記両者の距離、また、前記ボス部材46の長さおよび大きさは、被固定部材によって任意に設けることができる。
【0039】
前記第1弾性挟持部材42は、図4(ニ)に記載されているように、たとえば、縦方向のケーブル類49を複数挟持している。前記ケーブル類49は、挿入部421(図4(ロ)参照)から弾性に抗して内部に一本ずつまたは同時に挿入される。第1弾性挟持部材42および第2弾性挟持部材44、45は、被固定部材を弾性的に抱持するほぼC字型および/またはほぼ矩形型からなる。前記第1弾性挟持部材42および第弾性挟持部材44、45は、前記形状以外に、変形のものとすることができる。
【0040】
前記第2の被固定部材48を弾性的に抱持する第1抱持部44と、前記第1抱持部44から所定の間隔をおいて設けられ、前記第1抱持部44と逆方向から前記第2の被固定部材48を抱持する第2抱持部45から構成されている。前記ボス部材46は、第1抱持部44および第2抱持部45の間に一体的に成形されている。第2の被固定部材48は、互いに方向の異なる第1抱持部44および第2抱持部45によって抱持されている。前記第2の被固定部材48は、前記ボス部材46と第2の被固定部材48に設けられた開口部481との係合によって、スラスト方向および回転方向に移動できないようになっている。
【0041】
前記第2の被固定部材48は、最初、前記開口部481と前記ボス部材46とを一致させて(図4(ハ)において、前記第1抱持部44と前記第2抱持部45の間に垂直状態にしてa方向に)、互いに嵌合させられる。前記第2の被固定部材48は、前記ボス部材46を軸にして90度回転(図4(ハ)において、b、c方向に回転)させ、第1抱持部材44と第2抱持部材45によって抱持された状態で嵌合される。前記第2の被固定部材48は、たとえば、筒体から構成されている。前記管体からなる第2の被固定部材48は、前記筒体の一方のみに貫通口481があり、前記貫通口481と前記ボス部材46の嵌合により、両者がスラスト方向および回転方向に移動できないようになっている。
【0042】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、位置決め付きクランプの材質および細部の形状は、被固定部材の使用目的により任意に選択することができる。
【符号の説明】
【0043】
11、21、31・・・位置決め付きクランプ
12、22、32・・・第1弾性挟持部材
121、221、321・・・第1開口部
122、222、322・・・第1の被固定部材貫通部
13、23、33・・・第2弾性挟持部材
131、231、331・・・第2開口部
132、232、332・・・先端開口部
133・・・広がり部
134、234、334・・・ボス部材
14、24、34・・・連結部
15・・・第2の被固定部材
41・・・位置決め付きクランプ
42・・・第1弾性挟持部材
43・・・第1開口部
44・・・第1抱持部
45・・・第2抱持部
46・・・ボス部材
48・・・第2の被固定部材
49・・・第1の被固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被固定部材を弾性的に抱持する第1弾性挟持部材と、
前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を弾性的に抱持する第2弾性挟持部材と、
前記第2弾性挟持部から一体的に突出しているボス部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする位置決め付きクランプ。
【請求項2】
第1の被固定部材を弾性的に抱持する第1弾性挟持部材と、
前記第1弾性挟持部材に一体に連結されているとともに、第2の被固定部材を弾性的に抱持する第1抱持部、前記第1抱持部から所定の間隔を置いて設けられ、前記第1抱持部と逆方向から前記第2の被固定部材を抱持する第2抱持部からなる第2弾性挟持部材と、
前記第2弾性挟持部の第1抱持部と第2抱持部の間に一体的に成形されたボス部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする位置決め付きクランプ。
【請求項3】
前記第2弾性挟持部におけるボス部の基部近傍において、水密性を確保するためのパッキング部材が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された位置決め付きクランプ。
【請求項4】
前記第1弾性挟持部材および第2弾性挟持部材の開口部は、90度異なる方向を向いていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された位置決め付きクランプ。
【請求項5】
前記第2弾性挟持部材の形状は、第1弾性挟持部材と同方向の第2の被固定部材におけるボス孔に前記ボス部材を挿入し、90度回転した際に第1抱持部材と第2抱持部材に嵌合することを特徴とする請求項2に記載された位置決め付きクランプ。
【請求項6】
前記第2の被固定部材は、筒体から構成されており、前記筒体の一方のみが貫通しているとともに、前記ボス部材が挿入されるボス孔を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された位置決め付きクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−169346(P2011−169346A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31422(P2010−31422)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】