位置決め制御装置、ディスク装置、及び位置決め制御方法
【課題】偏心のあるディスクを用いて仮想円制御を行う場合でもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできるディスク装置、制御装置、位置決め制御方法を提供すること。
【解決手段】各ディスク面の回転中心を基準にした真円を描く仮想円軌道を夫々求める。そして、その仮想円軌道を平均化した平均化軌道を求める。各仮想円軌道から平均化軌道を減算した軌道が各ディスク面に対する位置軌道となる。この軌道を描くようにMCU30はアクチュエータ14を制御する。
【解決手段】各ディスク面の回転中心を基準にした真円を描く仮想円軌道を夫々求める。そして、その仮想円軌道を平均化した平均化軌道を求める。各仮想円軌道から平均化軌道を減算した軌道が各ディスク面に対する位置軌道となる。この軌道を描くようにMCU30はアクチュエータ14を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置、ディスク装置のヘッドを目標位置に位置決めする位置決め制御装置、及び位置決め制御方法に関する。詳しくは、偏心のあるディスクでもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできるディスク装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクや磁気ディスクなどのディスク装置では、ヘッドを目標位置に正確に位置決めすることが極めて重要である。このような位置決めを阻害する要因として、ディスク上に同心円上に記録されたサーボ信号の中心とモータの回転中心とが異なることにより生じる偏心がある。
【0003】
メディアサーボトラックライト(STW)方式等により外部装置によりディスク上にサーボ信号を記録し、そのディスクをディスク装置に装填してサーボ信号を読み出すと、外部装置のディスクの回転中心とディスク装置の回転中心とが一致しない場合、偏心が発生する。
【0004】
このような偏心を回避する技術として、偏心を無視するように制御する、いわゆる仮想円制御と呼ばれるものがある(例えば、以下の特許文献1、2)。
【0005】
上記特許文献によれば、仮想円制御はディスクの回転中心を基準とした真円の軌道を描くようにヘッドを移動させるようにした制御方法である。
【特許文献1】特許第3683155号公報
【特許文献2】特開2004−39116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、仮想円制御による場合でも、偏心軌道と仮想円軌道(ヘッドの軌道)とで相対速度がある値以上になると正しく現在位置を復調することができない。従って、目標位置にヘッドを正確に位置決めすることができず、シーク動作に時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、偏心のあるディスクを用いて仮想円制御を行う場合でもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできる位置決め制御装置、ディスク装置、及び位置決め制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明は前記制御装置において、前記平均化軌道に対応する補正値を記憶した記憶部を更に備え、前記制御部は前記記憶部から前記補正値を読み出して前記復調位置から減算することで前記減算値を求めることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明は前記制御装置において、前記各ディスク面の前記位置軌道は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0012】
更に、本発明は前記制御装置において、前記補正値は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0013】
更に、上記目的を達成するために本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部と、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部とを備えることを特徴とする。
【0014】
更に、上記目的を達成するために本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする位置決め制御方法において、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれは、偏心のあるディスクを用いて仮想円制御を行う場合でもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできるディスク装置、制御装置、及び位置決め制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明が適用される磁気ディスク装置の一構成例である。ディスク装置の例としてハードディスクドライブを例にしている。
【0018】
図1に示すように、磁気ディスク装置1は、磁気ディスク10と、スピンドルモータ12と、磁気ヘッド13、及びアクチュエータ14を備える。
【0019】
磁気ディスク10は、スピンドルモータ12の回転軸11を中心に設けられている。スピンドルモータ12は、回転軸11を介して磁気ディスク10を回転させる。
【0020】
磁気ヘッド13は、リード素子とライト素子とを有し、磁気ディスク10に対するデータの読み出しや書き込みを行う。
【0021】
アクチュエータ14は、内部の回転軸を中心に回転するボイスコールメータ(VCM)で構成される。また、アクチュエータ14はその先端に磁気ヘッド13を備え、磁気ディスク10の半径方向に対して磁気ヘッド13を移動させることができる。
【0022】
尚、図1に示す例では、磁気ディスク装置1には2枚の磁気ディスク10が搭載され、4つの磁気ヘッド13が同一のアクチュエータ14で同時に駆動される。
【0023】
また、磁気ディスク装置1は、スピンドルモータ(SPM)駆動回路20と、ボイスコールメータ(VCM)駆動回路21と、位置検出回路22と、リードライド(R/W)回路23と、ハードディスクコントローラ(HDC)24と、第1及び第2のランダムアクセスメモリ(RAM)25、26と、リードオンリーメモリ(ROM)28、及びマイクロコントローラ(MCU)30を備える。これらは、第1のRAM25を除き、互いにバス31を介して接続される。
【0024】
SPM駆動回路20は、MCU30からの制御信号に基づいて、スピンドルモータ12を駆動する。VCM駆動回路21は、MCU30からの制御信号に基づいて、アクチュエータ14に駆動電流を供給し、アクチュエータ14を駆動する。
【0025】
位置検出回路22は、磁気ヘッド13が磁気ディスク10から読み取った位置信号(以下、サーボ信号)をデジタル信号に変換する。R/W回路23は、磁気ヘッド13の読み出しや書き込みを制御する。
【0026】
HDC24は、サーボ信号のセクタ番号を基準にして1周内の位置を判断し、データを記録再生する。また、HDC24はATAやSCSI等のインターフェース(IF)であり、ホストと通信する。
【0027】
第1のRAM25は、HDC24のためのメモリであって、磁気ヘッド13が読み出したリードデータや磁気ヘッド13が磁気ディスク10に書き込むためのライトデータを一時記憶する。第2のRAM26は、MCU30のためのメモリであって、MCU30が種々の演算を行うためのデータを一時記憶する。
【0028】
ROM28は、MCU30の制御プログラムや後述する種々のテーブルを記憶する。MCU30は、ROM28から制御プログラム等を読み出して実行することで、位置検出回路22からのサーボ信号から現在位置を検出(復調)し、検出した現在位置と目標位置との誤差に従い、VCM駆動回路21に制御信号を出力する。即ち、MCU30は位置復調とサーボ制御を行う。
【0029】
図2は、磁気ディスク10に記録されたサーボ信号16の配置例を示す図である。図2に示すように、サーボ信号16は磁気ディスク10の内周から外周にかけて等間隔に配置される。磁気ディスク装置1はこのサーボ信号16を読み出すことで磁気ヘッド13の現在位置等を把握できる。尚、サーボ信号16は磁気ディスク装置1外の外部装置により記録される。
【0030】
図3は、サーボ信号の記録フォーマットの一例を示す図である。図3に示すように、サーボ信号は、サーボ信号の開始位置を示すサーボマーク(Servo Mark)と、トラック番号を示すグレイコード(Gray Code)と、サーボ信号のインデックスを示すインデックス信号(Index)と、4つのオフセット信号(PosA、PosB、PosC、PosD)とから構成される。
【0031】
図4は、サーボ信号を磁気ヘッド13で読み出したときの信号波形図の例である。このような波形を用いて、MCU30は磁気ヘッド13の位置を検出する。
【0032】
即ち、磁気ヘッド13の半径方向の位置は、トラック番号Gray Codeとオフセット信号PosA〜PosDを用いてMCU30により検出される。
【0033】
また、磁気ヘッド13の円周方向の位置は、インデックス信号Indexから検出される。例えば、MCU30は、インデックス信号Indexを検出したときのセクタ番号を「0」に設定し、サーボ信号を検出する毎にカウントアップしてトラックの各セクタ番号を得る。
【0034】
尚、図4に示す信号波形の例は磁気ヘッド13の移動速度が「0」のとき(例えば、トラッキング中)に得られたものである。
【0035】
図5は、MCU30で行われるアクチュエータ14のシーク制御の例を示す図である。図5では、あるトラック位置から目標トラック位置まで磁気ヘッド13を移動させるためのシーク制御の遷移と、アクチュエータ14に流れる電流と、磁気ヘッド13の移動速度、及び磁気ヘッド13の位置を示す。
【0036】
シーク制御は、コアース制御後、整定制御を経て、フォロイング制御と遷移することで磁気ヘッド13を目標位置に移動させる。コアース制御は目標位置への速度制御のことで、整定制御とフォロイング制御は目標位置への位置制御である。いずれも、磁気ヘッド13の現在位置を検出する必要がある。
【0037】
MCU30における現在位置(以下、復調位置)Positionの検出は、以下のようにして行う。即ち、MCU30は、サーボ信号からトラック番号GrayCodeとオフセット信号PosA〜PosDを取り出し、2位相サーボ信号PosN、PosQを以下の式により演算する。
【0038】
PosN=PosA−PosB (1)
PosQ=PosC−PosD (2)
そして、PosNとPosQとの絶対値absを比較して、abs(PosN)≦abs(PosQ)のときは、
Position=−sgn(PosQ)*PosN+Track (3)
により、復調位置Positionを得る。ここで、sgn()は、()の符号を示し、Trackはトラック番号Gray Codeを示す。
【0039】
但し、sgn(PosQ)*even(Track)>0.0であるときは、
Position+=sgn(PosQ)*sgn(PosN)*1.0 (4)
を(3)式に加算する。
【0040】
一方、abs(PosN)≦abs(PosQ)でないときは、復調位置Positionは、
Position=sgn(PosN)*(PosQ+even(Track)*0.5)+Track (5)
となる。ここでeven(Track)は、トラック番号が偶数のとき「1」、奇数のとき「0」となる。
【0041】
尚、復調位置Positionを得るための上述の演算式は一例であって、例えば、前述の特許第3683155号公報や特開2004−39116号公報に記載された演算式を用いてもよい。
【0042】
図6は、式(1)、(2)で得た2位相サーボ信号PosN、PosQと実際のトラック位置との関係を示す。但し、サーボ信号を磁気ヘッド13の速度が「0」のときに検出した値での関係である。このPosN、PosQから式(3)、(5)により演算で得た復調位置Positionと実際のトラック位置との関係は線形で表わすことができ、復調位置Positionと実際のトラック位置とは略一致する。
【0043】
一方、シーク制御の際、磁気ヘッド13は移動している最中、その速度は「0」にはならない。この場合、サーボ信号が記録された領域に対して磁気ヘッド13は図7に示すように斜めに横切るように移動する。
【0044】
このような状況でオフセット信号PosA〜PosDを検出して2位相サーボ信号PosN、PosQを式(1)、(2)で演算すると、オフセット信号PosA〜PosDを検出する通過時刻が異なるため、検出位置も異なる位置を検出し、サーボ信号PosN、PosQの位相もずれるようになる。
【0045】
図8は、磁気ヘッド13(又はアクチュエータ14)の速度が「20(track/sample)」の場合の2位相サーボ信号PosN、PosQと実際のトラック位置との関係を示す図である。図6と比較してPosNとPosQの位相が縮まっていることがわかる。
【0046】
この場合の、復調位置Positionと実際の位置との関係を図9に示す。図9に示すように、所々で、実際の位置と復調位置Positionとが一致しない部分がある。
【0047】
そして、磁気ヘッド13の速度を更に増すと、2つのサーボ信号PosNとPosQとは位相が逆転して、復調位置Positionと実際の位置とが一致しなくなる。図10は、その一例で、磁気ヘッド13の速度を「30(track/sample)」としたときの復調位置Positionと実際の位置との関係を示す図である。
【0048】
PosNとPosQの位相が逆転する磁気ヘッド13(或いはアクチュエータ14)の速度のことを本実施例では限界速度と称する。
【0049】
次に仮想円制御について説明する。図11(A)は、磁気ヘッド13の速度が「0」のとき、磁気ディスク10に記録されたサーボ信号16を読み取ったときの軌跡(磁気ヘッド13上から見た観測位置)を示す。偏心のため、図に示すように一定の軌道(偏心軌道:正弦波(サインカーブ)の軌道となる)を描く。従って、このような軌跡を磁気ヘッド13が描くようにアクチュエータ14を制御させれば偏心を回避することができる。本実施例では、このような軌道を仮想円軌道とし、このように磁気ヘッド13(或いはアクチュエータ14)を移動させるように制御することを仮想円制御と称する。
【0050】
図11(B)は、仮想円軌道との相対速度を示す図である。観測位置からサーボ信号の記録された領域を見ると図11(B)に示すような速度で領域が移動する。仮想円制御では、磁気ヘッド13(又はアクチュエータ14)を図11(B)に示す速度で移動させるよう制御することになる。尚、図11(B)に示す相対速度は、図11(A)に示す軌道に対して時間微分することで得ることができる。
【0051】
図11(A)及び(B)に示す例は、磁気ディスク10の一面に対する仮想円制御の例である。ディスク装置1は、通常、複数の磁気ディスク10が装填され、各磁気ディスク10の表面と裏面に対しても仮想円制御を行う必要がある。従って、仮想円制御の場合も各面に従う制御を行わなければならない。
【0052】
図12(A)及び(B)はその一例である。4つの軌道線があるのは、2枚の磁気ディスク10の表面、裏面、計4面に対して仮想円制御を行うためである。図12(A)の例は、振幅が同一で位相がずれた4つの仮想円軌道を示す。各面に対してこの仮想円軌道を描くように制御を行わせればよい。また、図12(B)に示すように、各面に対してこのような速度で磁気ヘッド13を移動させるように、アクチュエータ14を制御する。
【0053】
ここで図12(B)の各面の速度範囲に着目すると、その速度範囲は「−1」から「+1」までの範囲を遷移する。勿論、この速度範囲は復調位置Positionを正確に得るための限界速度の範囲内になければならない。しかし、図12(B)に示すように各面に対応するように仮想円制御を行うと、後述するように、限界速度の範囲から図12(B)に示す速度範囲を除いたマージンが少なくなり、目標位置に磁気ヘッド13が近づくとその速度を落とさなければならず、シーク動作に時間がかかってしまう。
【0054】
そこで、本実施例では、各面の仮想円軌道からその軌道を平均化した共通の平均化軌道を求める。そして、平均化軌道から各面の仮想円軌道を減算して減算した軌道を生成する。この生成された各軌道は各ディスク面に与える位置軌道となる。
【0055】
MCU30は、この位置軌道に追従するようにアクチュエータ14を制御する。実際には、この生成された軌道から復調位置を減算することで目標位置までの位置誤差を求め、この減算値をアクチュエータ14に与える制御量としている。
【0056】
図13(A)は、図12(A)に示す仮想円軌道の平均軌道を示すものである。各面に与える仮想円軌道から平均した軌道を求めることで、各面共通の平均化軌道を得る。平均化軌道の速度範囲を図13(B)に示す。
【0057】
図14(A)は、各面に与えるべき仮想円軌道(図12(A))から各面共通の平均化軌道(図13(A))を減算した軌道の例である。図14(A)に示す各軌道が各ディスク面に与える最終的な位置軌道となる。図14(B)はその軌道の速度範囲を示す。
【0058】
各面に与えるべき仮想円軌道から平均化軌道を除いた軌道の速度範囲は、図14(B)に示すように、およそ「−0.8」から「+0.8」となっている。図12(B)と比較してその範囲が狭くなっている。従って、各面共通の平均化軌道をとる方(図14(B))が各面それぞれの仮想円軌道をとる場合(図12(B))と比較して限界速度までのマージンを増やすことができる。よって、シーク動作に時間がかからない。
【0059】
図15(A)乃至図15(C)は速度範囲の例を示す図である。このうち、図15(A)は仮想円軌道の振幅が「0」で相対速度が「0」、即ち偏心のないディスクを用いた場合の限界速度の上限、下限の例を示す。この限界速度の範囲内でアクチュエータ14を制御すれば2相のサーボ信号PosNとPosQとの位相が逆転せず正確に位置を復調できる。
【0060】
図15(B)は、仮想円軌道が「0」でないとき、即ち偏心のある磁気ディスク10を用いた場合の仮想円軌道の速度範囲の例を示す。
【0061】
平均化軌道をとらずに各面夫々に対応した仮想円制御を行った場合の速度範囲は、図12(B)の例では、「−1」から「+1」の範囲内である。一方、平均化軌道による仮想円制御を行った場合の速度範囲は、図13(B)の例では、「−0.8」から「+0.8」までの範囲内である。従って、図15(B)に示す仮想円軌道の速度範囲は、平均軌道による場合の方がその範囲は狭くなる。よって、仮想円軌道の上限又は下限の速度から限界速度の上限又は下限までの範囲は平均軌道による方が多くとれることになる。
【0062】
つまり、仮想円軌道上からその速度範囲を見ると(観測位置から見ると)、平均軌道による仮想円制御を行った方が、各面に対応した仮想円制御を行う場合と比較してその範囲は広くなる。従って、仮想円軌道上からみた限界速度の上限、下限もその範囲は広くなる。
【0063】
例えば、図15(C)に示すように、平均軌道による場合ではその限界速度の上限下限も広がることになり、目標位置までの磁気ヘッド13の速度も速くなる。従って、シーク動作に時間をかけずに目標位置まで早くアクセスすることができる。その分、磁気ディスク10に対するデータの記録や再生も早くなる。更に記録密度の向上も図ることができる。
【0064】
図16は、MCU30が実行する平均化軌道を求める際の処理の例である。まず、MCU30は制御プログラムをROM28から読み出す等することで処理が開始される(S10)。
【0065】
次いで、MCU30は各面で真円を実現するための仮想円軌道を生成する(S11)。例えば、図12(A)に示す軌道を生成する。
【0066】
次いで、MCU30は生成した仮想円軌道を平均化して平均軌道を演算する(S12)。例えば、図13(A)に示す平均軌道を演算する。
【0067】
次いで、各仮想円軌道から平均化軌道を減算する(S13)。減算により、例えば図14(A)示す軌道を得る。減算するのは、最終的に各ディスク面に与えるべき位置軌道を求めるためである。
【0068】
そして、一連の処理を終了する(S14)。
【0069】
図17は、MCU30が実行する他の処理の例である。位置軌道の生成を偏心補正電流から生成する場合の例である。偏心補正電流は位置軌道を磁気ヘッド13(或いはアクチュエータ14)が追従するようにアクチュエータ14に流す電流のことである。
【0070】
まず、MCU30は処理を開始すると(S20)、各面で偏心に追従する偏心補正電流を生成する(S21)。例えば、正弦波状の電流が生成される。
【0071】
次いで、偏心補正電流から仮想円軌道を生成する(S22)。この場合の仮想円軌道は、偏心補正電流を2回、時間積分することにより得ることができる。例えば、図12(A)に示す位置軌道が得られる。
【0072】
次いで、MCU30は各面の仮想円軌道を平均化して(S22)、平均化軌道を求め、更に各仮想円軌道から平均化軌道を減算して(S24)、位置誤差を求める。そして、一連の処理が終了する(S25)。
【0073】
このように平均化軌道を求める際には、各面に与える仮想円軌道のみならず各面に与える偏心補正電流値からでも演算することができる。
【0074】
図18は、位置決め制御系の構成例を示す図である。2つのテーブル281〜283は、例えばROM28に記憶される。
【0075】
まず、第1のテーブル281には、磁気ヘッド13毎に異なる仮想円軌道(各面に与える仮想円軌道から平均化軌道を減算した軌道)が記憶される。例えば、図14(C)に示す軌道が記憶される。第2のテーブル282には、ヘッド毎の偏心補正電流値が記憶される。ここでいう偏心補正電流値は、磁気ディスク装置1の経時変化や経年変化により磁気ディスク10に位置ずれが生じた場合に最初に設定した仮想円軌道に戻すための補正電流値である。第3のテーブル283には、ヘッド毎に共通の偏心補正電流値が記憶される。仮想円軌道を平均化した位置軌道に対応する電流値である。具体的には、平均化軌道に対し2回時間微分することで得ることができる。
【0076】
図18に示す構成で特徴となる部分は、第3のテーブル283を設けた点にある。そして、この電流値に偏心補正電流値を加算した値をアクチュエータ14に与える電流として本磁気ディスク装置1は仮想円制御を行う。
【0077】
尚、第1のテーブル281に記憶されたヘッド毎に異なる仮想円軌道は、ヘッドの番号とセクタ番号とから得る。図14(C)に示すように、複数のヘッドがあるときヘッドに対応した仮想円軌道が複数存在するため、ヘッドの番号によりいずれかの軌道を特定する。また、セクタ番号は、図14(C)に示すようにセクタ番号に対応した仮想円軌道上の位置を得る。
【0078】
また、第2のテーブル282に記憶されたヘッド毎の偏心補正電流も同様である。但し、第3のテーブル283に記憶された平均化軌道を得るにはセクタ番号のみでよい。図13(A)に示すようにセクタ番号のみから平均化軌道上の位置を得ることができるからである。
【0079】
図18について説明すると、全体としては、目標位置rに対して観測位置(現在位置)yを求めその観測位置yを再び目標位置rに戻すフィードバック制御系の構成となっている。
【0080】
まず、目標位置rから以前に求めた観測位置yを減算して位置誤差を求めるが、更に第1のテーブル281からヘッド毎に異なる軌道を減算している。仮想円軌道上を観測位置とした正確な位置誤差eを求めるためである。この位置誤差eをコントローラ(C)であるMCU30に与える。
【0081】
MCU30は、第3のテーブル283からのヘッド毎に共通の偏心補正電流値に、第2のテーブル282からのヘッド毎の偏心補正電流値を加算してアクチュエータ14に流す電流値uを求める。そして、その値uをプラント(P)であるアクチュエータ14に与える。
【0082】
そして、アクチュエータ14(或いは磁気ヘッド13)の観測位置yを例えば位置検出回路22で求め再びMCU30に与えることでフィードバックしている。以降、これを繰り返して仮想円制御によるシーク制御を行う。
【0083】
図19は、図18と同様に位置決め制御系の構成例を示すが、磁気ディスク10の半径位置で各テーブル281〜283から異なる軌道や電流を与えるようにした例である。
【0084】
図2に示すように、磁気ディスク10にサーボ信号16が記録された場合、その記録位置は磁気ディスク10の中心から外周に真っ直ぐ放射状に配置されているわけではなく、回転方向に向けて円弧状に形成される。従って、磁気ディスク10の中心から半径方向に向けて、真っ直ぐ放射線状に配置された場合と比較してサーボ信号16の位置を通過する速度が半径方向の位置によって異なる場合がある。そこで、磁気ディスク10の半径方向の位置に応じて軌道や電流値を変えるようにすれば、半径位置に対応した各値を得ることができる。
【0085】
図19に示すように、半径方向の位置を示すトラック番号を各テーブル281〜283に与える。第1のテーブル281には、磁気ディスク10の半径位置に応じた各面に与える軌道が記憶される。第2のテーブル282には、同様に半径位置に応じた偏心補正電流値が記憶される。第3のテーブル283にも、半径位置に応じた平均化軌道が記憶される。各テーブル281〜283は、ヘッドの番号やセクタ番号とともにトラック番号に対応した位置や電流値を出力する。それ以外の動作は、図18の例と同様である。
【0086】
上述した例では、2枚の磁気ディスク10の4面に対する平均軌道による仮想円制御の例について説明した。勿論、2枚の磁気ディスク10に限らず、3枚、4枚等複数枚でも実施することができる。また、その枚数に対応した面数でも実施可能で、上述した例と同様の作用効果を奏する。
【0087】
また、上述した例では、「仮想円軌道との相対速度」として、説明を容易にするため、磁気ヘッド13(又はアクチュエータ14)の速度が「0」の場合で説明した。つまり、仮想円軌道上(又は磁気ヘッド13上)から見た観測位置の速度が「0」の場合で説明した。「仮想円軌道との相対速度」は、仮想円軌道の速度に対する偏心軌道の速度のことであり、磁気ヘッド13が移動すれば偏心軌道に対して更にその「相対速度」の増減が大きくなる。この場合、磁気ヘッド13自体の速度が同じでも偏心があれば、図15(B)に示すように仮想円軌道との相対速度の上限、下限の範囲が広がることになり、限界速度までのマージンをとることができなくなる。しかし、上述の例と同様にこの場合でも平均化軌道を求め、その軌道に基づいて仮想円制御を行うことで、相対速度の上限、下限の範囲を狭め、多くのマージンをとることができる。従って、上述の例と同様にシーク動作に時間をかけずに目標位置にアクセスできる。
【0088】
更に、各面に与える仮想円軌道の例として図12(A)に示すように、振幅が同一で位相の異なる軌道を例にして説明した。勿論、それ以外にも、振幅が異なり位相が装置の仮想円軌道や、振幅も位相も異なる仮想円軌道を各面に与える場合でも、その平均化軌道をとってその軌道に基づいて制御すれば、上述した例と同様の作用効果を奏する。
【0089】
更に、上述した例では、第1乃至第3のテーブル281〜283は、ROM28に記憶されているものとして説明した。勿論、これらのテーブル281〜283は、第2のRAM26などROM28以外のメモリに記憶されてもよい。或いは、第3のテーブル283のみ第2のRAM26に記憶されるなど、各テーブル281〜283が別々のメモリに記憶されてもよい。いずれの場合も上述した例と同様の作用効果を奏する。
【0090】
更に、第1乃至第3のテーブル281〜283が磁気ディスク10に記憶されるようにしてもよいし、或いは第3のテーブル283のみ(或いは第1のテーブル281のみ、或いは第2のテーブルのみ282)磁気ディスク10に記憶されるようにしてもよい。磁気ヘッド13により読み出されて、MCU30により制御を行うことで上述の例と同様の作用効果を奏する。
【0091】
更に、上述した例では、ディスク装置の例として磁気ディスク装置1を例にして説明した。勿論、CDやDVDなどの光ディスク装置や、MOやMDなどの光磁気ディスク装置など、磁気ディスク装置以外のディスク装置でも本実施例を適用可能で同様の作用効果を奏する。
【0092】
以上まとめると付記のようになる。
【0093】
(付記1)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0094】
(付記2)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0095】
(付記3)
更に、前記平均化軌道に対応する補正値を記憶した記憶部を備え、
前記制御部は前記記憶部から前記補正値を読み出して前記復調位置から減算することで前記減算値を求めることを特徴とする付記2に記載の制御装置。
【0096】
(付記4)
前記各ディスク面の前記位置軌道は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする付記1乃至3に記載の制御装置。
【0097】
(付記5)
前記補正値は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする付記3記載の制御装置。
【0098】
(付記6)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、
前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、
前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部と、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部と、
を備えることを特徴とするディスク装置。
【0099】
(付記7)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、
前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、
前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように前記アクチュエータを制御することを特徴とするディスク装置。
【0100】
(付記8)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするための位置軌道を生成する位置軌道生成方法において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する、
ことを特徴とする位置軌道生成方法。
【0101】
(付記9)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする位置決め制御方法において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する、
ことを特徴とする位置決め制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明が適用される磁気ディスク装置の構成例を示す図である。
【図2】磁気ディスクに記録された位置信号の記録位置の例を示す図である。
【図3】位置信号の記録フォーマットの例を示す図である。
【図4】位置信号を読み出したときの波形図の例を示す図である。
【図5】シーク動作の説明図である。
【図6】相対速度が0のときのPosN、PosQの関係図である。
【図7】位置信号が記録された領域を磁気ヘッドが速度をもって横切ったときの例を示す図である。
【図8】相対速度が20track/sampleのときのPosN、PosQの関係図である。
【図9】図8の場合の復調位置の関係を示す図である。
【図10】相対速度が30track/sampleのときの復調位置の関係を示す図である。
【図11】図11(A)は仮想円軌道の例を示し、図11(B)は仮想円軌道との相対速度の例を示す。
【図12】図12(A)は4面夫々に対する仮想円軌道の例を示し、図12(B)はそれらの仮想円軌道に対する相対速度の例を示す。
【図13】図13(A)は平均化軌道の例を示し、図13(B)は平均化軌道との相対速度の例を示す。
【図14】図14(A)は4面夫々の仮想円軌道から平均化軌道を減算したときの軌道の例を示し、図14(B)は減算した軌道との相対速度の例を示す。
【図15】図15(A)は仮想円軌道の振幅が0で相対速度が0のときの速度範囲を示し、図15(B)は仮想円軌道が0でないときの速度範囲の例を示し、図15(C)は仮想円軌道上からみた速度範囲の例を示す。
【図16】平均化軌道を生成するための処理の例を示すフローチャートである。
【図17】偏心補正電流から平均化軌道を生成するための処理の例を示すフローチャートである。
【図18】位置決め制御系の構成例を示す図である。
【図19】半径位置を考慮した位置決め制御系の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 磁気ディスク装置
10 磁気ディスク
13 磁気ヘッド
14 アクチュエータ
16 位置信号(サーボ信号)
21 ボイスコールメータ(VCM)駆動回路
22 位置検出回路
28 リードオンリーメモリ(ROM)
30 マイクロコントローラ(MCU)
281 第1のテーブル
282 第2のテーブル
283 第3のテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置、ディスク装置のヘッドを目標位置に位置決めする位置決め制御装置、及び位置決め制御方法に関する。詳しくは、偏心のあるディスクでもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできるディスク装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクや磁気ディスクなどのディスク装置では、ヘッドを目標位置に正確に位置決めすることが極めて重要である。このような位置決めを阻害する要因として、ディスク上に同心円上に記録されたサーボ信号の中心とモータの回転中心とが異なることにより生じる偏心がある。
【0003】
メディアサーボトラックライト(STW)方式等により外部装置によりディスク上にサーボ信号を記録し、そのディスクをディスク装置に装填してサーボ信号を読み出すと、外部装置のディスクの回転中心とディスク装置の回転中心とが一致しない場合、偏心が発生する。
【0004】
このような偏心を回避する技術として、偏心を無視するように制御する、いわゆる仮想円制御と呼ばれるものがある(例えば、以下の特許文献1、2)。
【0005】
上記特許文献によれば、仮想円制御はディスクの回転中心を基準とした真円の軌道を描くようにヘッドを移動させるようにした制御方法である。
【特許文献1】特許第3683155号公報
【特許文献2】特開2004−39116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、仮想円制御による場合でも、偏心軌道と仮想円軌道(ヘッドの軌道)とで相対速度がある値以上になると正しく現在位置を復調することができない。従って、目標位置にヘッドを正確に位置決めすることができず、シーク動作に時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、偏心のあるディスクを用いて仮想円制御を行う場合でもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできる位置決め制御装置、ディスク装置、及び位置決め制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明は前記制御装置において、前記平均化軌道に対応する補正値を記憶した記憶部を更に備え、前記制御部は前記記憶部から前記補正値を読み出して前記復調位置から減算することで前記減算値を求めることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明は前記制御装置において、前記各ディスク面の前記位置軌道は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0012】
更に、本発明は前記制御装置において、前記補正値は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0013】
更に、上記目的を達成するために本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部と、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部とを備えることを特徴とする。
【0014】
更に、上記目的を達成するために本発明は、複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする位置決め制御方法において、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれは、偏心のあるディスクを用いて仮想円制御を行う場合でもシーク動作に時間をかけずに目標位置に位置決めすることのできるディスク装置、制御装置、及び位置決め制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明が適用される磁気ディスク装置の一構成例である。ディスク装置の例としてハードディスクドライブを例にしている。
【0018】
図1に示すように、磁気ディスク装置1は、磁気ディスク10と、スピンドルモータ12と、磁気ヘッド13、及びアクチュエータ14を備える。
【0019】
磁気ディスク10は、スピンドルモータ12の回転軸11を中心に設けられている。スピンドルモータ12は、回転軸11を介して磁気ディスク10を回転させる。
【0020】
磁気ヘッド13は、リード素子とライト素子とを有し、磁気ディスク10に対するデータの読み出しや書き込みを行う。
【0021】
アクチュエータ14は、内部の回転軸を中心に回転するボイスコールメータ(VCM)で構成される。また、アクチュエータ14はその先端に磁気ヘッド13を備え、磁気ディスク10の半径方向に対して磁気ヘッド13を移動させることができる。
【0022】
尚、図1に示す例では、磁気ディスク装置1には2枚の磁気ディスク10が搭載され、4つの磁気ヘッド13が同一のアクチュエータ14で同時に駆動される。
【0023】
また、磁気ディスク装置1は、スピンドルモータ(SPM)駆動回路20と、ボイスコールメータ(VCM)駆動回路21と、位置検出回路22と、リードライド(R/W)回路23と、ハードディスクコントローラ(HDC)24と、第1及び第2のランダムアクセスメモリ(RAM)25、26と、リードオンリーメモリ(ROM)28、及びマイクロコントローラ(MCU)30を備える。これらは、第1のRAM25を除き、互いにバス31を介して接続される。
【0024】
SPM駆動回路20は、MCU30からの制御信号に基づいて、スピンドルモータ12を駆動する。VCM駆動回路21は、MCU30からの制御信号に基づいて、アクチュエータ14に駆動電流を供給し、アクチュエータ14を駆動する。
【0025】
位置検出回路22は、磁気ヘッド13が磁気ディスク10から読み取った位置信号(以下、サーボ信号)をデジタル信号に変換する。R/W回路23は、磁気ヘッド13の読み出しや書き込みを制御する。
【0026】
HDC24は、サーボ信号のセクタ番号を基準にして1周内の位置を判断し、データを記録再生する。また、HDC24はATAやSCSI等のインターフェース(IF)であり、ホストと通信する。
【0027】
第1のRAM25は、HDC24のためのメモリであって、磁気ヘッド13が読み出したリードデータや磁気ヘッド13が磁気ディスク10に書き込むためのライトデータを一時記憶する。第2のRAM26は、MCU30のためのメモリであって、MCU30が種々の演算を行うためのデータを一時記憶する。
【0028】
ROM28は、MCU30の制御プログラムや後述する種々のテーブルを記憶する。MCU30は、ROM28から制御プログラム等を読み出して実行することで、位置検出回路22からのサーボ信号から現在位置を検出(復調)し、検出した現在位置と目標位置との誤差に従い、VCM駆動回路21に制御信号を出力する。即ち、MCU30は位置復調とサーボ制御を行う。
【0029】
図2は、磁気ディスク10に記録されたサーボ信号16の配置例を示す図である。図2に示すように、サーボ信号16は磁気ディスク10の内周から外周にかけて等間隔に配置される。磁気ディスク装置1はこのサーボ信号16を読み出すことで磁気ヘッド13の現在位置等を把握できる。尚、サーボ信号16は磁気ディスク装置1外の外部装置により記録される。
【0030】
図3は、サーボ信号の記録フォーマットの一例を示す図である。図3に示すように、サーボ信号は、サーボ信号の開始位置を示すサーボマーク(Servo Mark)と、トラック番号を示すグレイコード(Gray Code)と、サーボ信号のインデックスを示すインデックス信号(Index)と、4つのオフセット信号(PosA、PosB、PosC、PosD)とから構成される。
【0031】
図4は、サーボ信号を磁気ヘッド13で読み出したときの信号波形図の例である。このような波形を用いて、MCU30は磁気ヘッド13の位置を検出する。
【0032】
即ち、磁気ヘッド13の半径方向の位置は、トラック番号Gray Codeとオフセット信号PosA〜PosDを用いてMCU30により検出される。
【0033】
また、磁気ヘッド13の円周方向の位置は、インデックス信号Indexから検出される。例えば、MCU30は、インデックス信号Indexを検出したときのセクタ番号を「0」に設定し、サーボ信号を検出する毎にカウントアップしてトラックの各セクタ番号を得る。
【0034】
尚、図4に示す信号波形の例は磁気ヘッド13の移動速度が「0」のとき(例えば、トラッキング中)に得られたものである。
【0035】
図5は、MCU30で行われるアクチュエータ14のシーク制御の例を示す図である。図5では、あるトラック位置から目標トラック位置まで磁気ヘッド13を移動させるためのシーク制御の遷移と、アクチュエータ14に流れる電流と、磁気ヘッド13の移動速度、及び磁気ヘッド13の位置を示す。
【0036】
シーク制御は、コアース制御後、整定制御を経て、フォロイング制御と遷移することで磁気ヘッド13を目標位置に移動させる。コアース制御は目標位置への速度制御のことで、整定制御とフォロイング制御は目標位置への位置制御である。いずれも、磁気ヘッド13の現在位置を検出する必要がある。
【0037】
MCU30における現在位置(以下、復調位置)Positionの検出は、以下のようにして行う。即ち、MCU30は、サーボ信号からトラック番号GrayCodeとオフセット信号PosA〜PosDを取り出し、2位相サーボ信号PosN、PosQを以下の式により演算する。
【0038】
PosN=PosA−PosB (1)
PosQ=PosC−PosD (2)
そして、PosNとPosQとの絶対値absを比較して、abs(PosN)≦abs(PosQ)のときは、
Position=−sgn(PosQ)*PosN+Track (3)
により、復調位置Positionを得る。ここで、sgn()は、()の符号を示し、Trackはトラック番号Gray Codeを示す。
【0039】
但し、sgn(PosQ)*even(Track)>0.0であるときは、
Position+=sgn(PosQ)*sgn(PosN)*1.0 (4)
を(3)式に加算する。
【0040】
一方、abs(PosN)≦abs(PosQ)でないときは、復調位置Positionは、
Position=sgn(PosN)*(PosQ+even(Track)*0.5)+Track (5)
となる。ここでeven(Track)は、トラック番号が偶数のとき「1」、奇数のとき「0」となる。
【0041】
尚、復調位置Positionを得るための上述の演算式は一例であって、例えば、前述の特許第3683155号公報や特開2004−39116号公報に記載された演算式を用いてもよい。
【0042】
図6は、式(1)、(2)で得た2位相サーボ信号PosN、PosQと実際のトラック位置との関係を示す。但し、サーボ信号を磁気ヘッド13の速度が「0」のときに検出した値での関係である。このPosN、PosQから式(3)、(5)により演算で得た復調位置Positionと実際のトラック位置との関係は線形で表わすことができ、復調位置Positionと実際のトラック位置とは略一致する。
【0043】
一方、シーク制御の際、磁気ヘッド13は移動している最中、その速度は「0」にはならない。この場合、サーボ信号が記録された領域に対して磁気ヘッド13は図7に示すように斜めに横切るように移動する。
【0044】
このような状況でオフセット信号PosA〜PosDを検出して2位相サーボ信号PosN、PosQを式(1)、(2)で演算すると、オフセット信号PosA〜PosDを検出する通過時刻が異なるため、検出位置も異なる位置を検出し、サーボ信号PosN、PosQの位相もずれるようになる。
【0045】
図8は、磁気ヘッド13(又はアクチュエータ14)の速度が「20(track/sample)」の場合の2位相サーボ信号PosN、PosQと実際のトラック位置との関係を示す図である。図6と比較してPosNとPosQの位相が縮まっていることがわかる。
【0046】
この場合の、復調位置Positionと実際の位置との関係を図9に示す。図9に示すように、所々で、実際の位置と復調位置Positionとが一致しない部分がある。
【0047】
そして、磁気ヘッド13の速度を更に増すと、2つのサーボ信号PosNとPosQとは位相が逆転して、復調位置Positionと実際の位置とが一致しなくなる。図10は、その一例で、磁気ヘッド13の速度を「30(track/sample)」としたときの復調位置Positionと実際の位置との関係を示す図である。
【0048】
PosNとPosQの位相が逆転する磁気ヘッド13(或いはアクチュエータ14)の速度のことを本実施例では限界速度と称する。
【0049】
次に仮想円制御について説明する。図11(A)は、磁気ヘッド13の速度が「0」のとき、磁気ディスク10に記録されたサーボ信号16を読み取ったときの軌跡(磁気ヘッド13上から見た観測位置)を示す。偏心のため、図に示すように一定の軌道(偏心軌道:正弦波(サインカーブ)の軌道となる)を描く。従って、このような軌跡を磁気ヘッド13が描くようにアクチュエータ14を制御させれば偏心を回避することができる。本実施例では、このような軌道を仮想円軌道とし、このように磁気ヘッド13(或いはアクチュエータ14)を移動させるように制御することを仮想円制御と称する。
【0050】
図11(B)は、仮想円軌道との相対速度を示す図である。観測位置からサーボ信号の記録された領域を見ると図11(B)に示すような速度で領域が移動する。仮想円制御では、磁気ヘッド13(又はアクチュエータ14)を図11(B)に示す速度で移動させるよう制御することになる。尚、図11(B)に示す相対速度は、図11(A)に示す軌道に対して時間微分することで得ることができる。
【0051】
図11(A)及び(B)に示す例は、磁気ディスク10の一面に対する仮想円制御の例である。ディスク装置1は、通常、複数の磁気ディスク10が装填され、各磁気ディスク10の表面と裏面に対しても仮想円制御を行う必要がある。従って、仮想円制御の場合も各面に従う制御を行わなければならない。
【0052】
図12(A)及び(B)はその一例である。4つの軌道線があるのは、2枚の磁気ディスク10の表面、裏面、計4面に対して仮想円制御を行うためである。図12(A)の例は、振幅が同一で位相がずれた4つの仮想円軌道を示す。各面に対してこの仮想円軌道を描くように制御を行わせればよい。また、図12(B)に示すように、各面に対してこのような速度で磁気ヘッド13を移動させるように、アクチュエータ14を制御する。
【0053】
ここで図12(B)の各面の速度範囲に着目すると、その速度範囲は「−1」から「+1」までの範囲を遷移する。勿論、この速度範囲は復調位置Positionを正確に得るための限界速度の範囲内になければならない。しかし、図12(B)に示すように各面に対応するように仮想円制御を行うと、後述するように、限界速度の範囲から図12(B)に示す速度範囲を除いたマージンが少なくなり、目標位置に磁気ヘッド13が近づくとその速度を落とさなければならず、シーク動作に時間がかかってしまう。
【0054】
そこで、本実施例では、各面の仮想円軌道からその軌道を平均化した共通の平均化軌道を求める。そして、平均化軌道から各面の仮想円軌道を減算して減算した軌道を生成する。この生成された各軌道は各ディスク面に与える位置軌道となる。
【0055】
MCU30は、この位置軌道に追従するようにアクチュエータ14を制御する。実際には、この生成された軌道から復調位置を減算することで目標位置までの位置誤差を求め、この減算値をアクチュエータ14に与える制御量としている。
【0056】
図13(A)は、図12(A)に示す仮想円軌道の平均軌道を示すものである。各面に与える仮想円軌道から平均した軌道を求めることで、各面共通の平均化軌道を得る。平均化軌道の速度範囲を図13(B)に示す。
【0057】
図14(A)は、各面に与えるべき仮想円軌道(図12(A))から各面共通の平均化軌道(図13(A))を減算した軌道の例である。図14(A)に示す各軌道が各ディスク面に与える最終的な位置軌道となる。図14(B)はその軌道の速度範囲を示す。
【0058】
各面に与えるべき仮想円軌道から平均化軌道を除いた軌道の速度範囲は、図14(B)に示すように、およそ「−0.8」から「+0.8」となっている。図12(B)と比較してその範囲が狭くなっている。従って、各面共通の平均化軌道をとる方(図14(B))が各面それぞれの仮想円軌道をとる場合(図12(B))と比較して限界速度までのマージンを増やすことができる。よって、シーク動作に時間がかからない。
【0059】
図15(A)乃至図15(C)は速度範囲の例を示す図である。このうち、図15(A)は仮想円軌道の振幅が「0」で相対速度が「0」、即ち偏心のないディスクを用いた場合の限界速度の上限、下限の例を示す。この限界速度の範囲内でアクチュエータ14を制御すれば2相のサーボ信号PosNとPosQとの位相が逆転せず正確に位置を復調できる。
【0060】
図15(B)は、仮想円軌道が「0」でないとき、即ち偏心のある磁気ディスク10を用いた場合の仮想円軌道の速度範囲の例を示す。
【0061】
平均化軌道をとらずに各面夫々に対応した仮想円制御を行った場合の速度範囲は、図12(B)の例では、「−1」から「+1」の範囲内である。一方、平均化軌道による仮想円制御を行った場合の速度範囲は、図13(B)の例では、「−0.8」から「+0.8」までの範囲内である。従って、図15(B)に示す仮想円軌道の速度範囲は、平均軌道による場合の方がその範囲は狭くなる。よって、仮想円軌道の上限又は下限の速度から限界速度の上限又は下限までの範囲は平均軌道による方が多くとれることになる。
【0062】
つまり、仮想円軌道上からその速度範囲を見ると(観測位置から見ると)、平均軌道による仮想円制御を行った方が、各面に対応した仮想円制御を行う場合と比較してその範囲は広くなる。従って、仮想円軌道上からみた限界速度の上限、下限もその範囲は広くなる。
【0063】
例えば、図15(C)に示すように、平均軌道による場合ではその限界速度の上限下限も広がることになり、目標位置までの磁気ヘッド13の速度も速くなる。従って、シーク動作に時間をかけずに目標位置まで早くアクセスすることができる。その分、磁気ディスク10に対するデータの記録や再生も早くなる。更に記録密度の向上も図ることができる。
【0064】
図16は、MCU30が実行する平均化軌道を求める際の処理の例である。まず、MCU30は制御プログラムをROM28から読み出す等することで処理が開始される(S10)。
【0065】
次いで、MCU30は各面で真円を実現するための仮想円軌道を生成する(S11)。例えば、図12(A)に示す軌道を生成する。
【0066】
次いで、MCU30は生成した仮想円軌道を平均化して平均軌道を演算する(S12)。例えば、図13(A)に示す平均軌道を演算する。
【0067】
次いで、各仮想円軌道から平均化軌道を減算する(S13)。減算により、例えば図14(A)示す軌道を得る。減算するのは、最終的に各ディスク面に与えるべき位置軌道を求めるためである。
【0068】
そして、一連の処理を終了する(S14)。
【0069】
図17は、MCU30が実行する他の処理の例である。位置軌道の生成を偏心補正電流から生成する場合の例である。偏心補正電流は位置軌道を磁気ヘッド13(或いはアクチュエータ14)が追従するようにアクチュエータ14に流す電流のことである。
【0070】
まず、MCU30は処理を開始すると(S20)、各面で偏心に追従する偏心補正電流を生成する(S21)。例えば、正弦波状の電流が生成される。
【0071】
次いで、偏心補正電流から仮想円軌道を生成する(S22)。この場合の仮想円軌道は、偏心補正電流を2回、時間積分することにより得ることができる。例えば、図12(A)に示す位置軌道が得られる。
【0072】
次いで、MCU30は各面の仮想円軌道を平均化して(S22)、平均化軌道を求め、更に各仮想円軌道から平均化軌道を減算して(S24)、位置誤差を求める。そして、一連の処理が終了する(S25)。
【0073】
このように平均化軌道を求める際には、各面に与える仮想円軌道のみならず各面に与える偏心補正電流値からでも演算することができる。
【0074】
図18は、位置決め制御系の構成例を示す図である。2つのテーブル281〜283は、例えばROM28に記憶される。
【0075】
まず、第1のテーブル281には、磁気ヘッド13毎に異なる仮想円軌道(各面に与える仮想円軌道から平均化軌道を減算した軌道)が記憶される。例えば、図14(C)に示す軌道が記憶される。第2のテーブル282には、ヘッド毎の偏心補正電流値が記憶される。ここでいう偏心補正電流値は、磁気ディスク装置1の経時変化や経年変化により磁気ディスク10に位置ずれが生じた場合に最初に設定した仮想円軌道に戻すための補正電流値である。第3のテーブル283には、ヘッド毎に共通の偏心補正電流値が記憶される。仮想円軌道を平均化した位置軌道に対応する電流値である。具体的には、平均化軌道に対し2回時間微分することで得ることができる。
【0076】
図18に示す構成で特徴となる部分は、第3のテーブル283を設けた点にある。そして、この電流値に偏心補正電流値を加算した値をアクチュエータ14に与える電流として本磁気ディスク装置1は仮想円制御を行う。
【0077】
尚、第1のテーブル281に記憶されたヘッド毎に異なる仮想円軌道は、ヘッドの番号とセクタ番号とから得る。図14(C)に示すように、複数のヘッドがあるときヘッドに対応した仮想円軌道が複数存在するため、ヘッドの番号によりいずれかの軌道を特定する。また、セクタ番号は、図14(C)に示すようにセクタ番号に対応した仮想円軌道上の位置を得る。
【0078】
また、第2のテーブル282に記憶されたヘッド毎の偏心補正電流も同様である。但し、第3のテーブル283に記憶された平均化軌道を得るにはセクタ番号のみでよい。図13(A)に示すようにセクタ番号のみから平均化軌道上の位置を得ることができるからである。
【0079】
図18について説明すると、全体としては、目標位置rに対して観測位置(現在位置)yを求めその観測位置yを再び目標位置rに戻すフィードバック制御系の構成となっている。
【0080】
まず、目標位置rから以前に求めた観測位置yを減算して位置誤差を求めるが、更に第1のテーブル281からヘッド毎に異なる軌道を減算している。仮想円軌道上を観測位置とした正確な位置誤差eを求めるためである。この位置誤差eをコントローラ(C)であるMCU30に与える。
【0081】
MCU30は、第3のテーブル283からのヘッド毎に共通の偏心補正電流値に、第2のテーブル282からのヘッド毎の偏心補正電流値を加算してアクチュエータ14に流す電流値uを求める。そして、その値uをプラント(P)であるアクチュエータ14に与える。
【0082】
そして、アクチュエータ14(或いは磁気ヘッド13)の観測位置yを例えば位置検出回路22で求め再びMCU30に与えることでフィードバックしている。以降、これを繰り返して仮想円制御によるシーク制御を行う。
【0083】
図19は、図18と同様に位置決め制御系の構成例を示すが、磁気ディスク10の半径位置で各テーブル281〜283から異なる軌道や電流を与えるようにした例である。
【0084】
図2に示すように、磁気ディスク10にサーボ信号16が記録された場合、その記録位置は磁気ディスク10の中心から外周に真っ直ぐ放射状に配置されているわけではなく、回転方向に向けて円弧状に形成される。従って、磁気ディスク10の中心から半径方向に向けて、真っ直ぐ放射線状に配置された場合と比較してサーボ信号16の位置を通過する速度が半径方向の位置によって異なる場合がある。そこで、磁気ディスク10の半径方向の位置に応じて軌道や電流値を変えるようにすれば、半径位置に対応した各値を得ることができる。
【0085】
図19に示すように、半径方向の位置を示すトラック番号を各テーブル281〜283に与える。第1のテーブル281には、磁気ディスク10の半径位置に応じた各面に与える軌道が記憶される。第2のテーブル282には、同様に半径位置に応じた偏心補正電流値が記憶される。第3のテーブル283にも、半径位置に応じた平均化軌道が記憶される。各テーブル281〜283は、ヘッドの番号やセクタ番号とともにトラック番号に対応した位置や電流値を出力する。それ以外の動作は、図18の例と同様である。
【0086】
上述した例では、2枚の磁気ディスク10の4面に対する平均軌道による仮想円制御の例について説明した。勿論、2枚の磁気ディスク10に限らず、3枚、4枚等複数枚でも実施することができる。また、その枚数に対応した面数でも実施可能で、上述した例と同様の作用効果を奏する。
【0087】
また、上述した例では、「仮想円軌道との相対速度」として、説明を容易にするため、磁気ヘッド13(又はアクチュエータ14)の速度が「0」の場合で説明した。つまり、仮想円軌道上(又は磁気ヘッド13上)から見た観測位置の速度が「0」の場合で説明した。「仮想円軌道との相対速度」は、仮想円軌道の速度に対する偏心軌道の速度のことであり、磁気ヘッド13が移動すれば偏心軌道に対して更にその「相対速度」の増減が大きくなる。この場合、磁気ヘッド13自体の速度が同じでも偏心があれば、図15(B)に示すように仮想円軌道との相対速度の上限、下限の範囲が広がることになり、限界速度までのマージンをとることができなくなる。しかし、上述の例と同様にこの場合でも平均化軌道を求め、その軌道に基づいて仮想円制御を行うことで、相対速度の上限、下限の範囲を狭め、多くのマージンをとることができる。従って、上述の例と同様にシーク動作に時間をかけずに目標位置にアクセスできる。
【0088】
更に、各面に与える仮想円軌道の例として図12(A)に示すように、振幅が同一で位相の異なる軌道を例にして説明した。勿論、それ以外にも、振幅が異なり位相が装置の仮想円軌道や、振幅も位相も異なる仮想円軌道を各面に与える場合でも、その平均化軌道をとってその軌道に基づいて制御すれば、上述した例と同様の作用効果を奏する。
【0089】
更に、上述した例では、第1乃至第3のテーブル281〜283は、ROM28に記憶されているものとして説明した。勿論、これらのテーブル281〜283は、第2のRAM26などROM28以外のメモリに記憶されてもよい。或いは、第3のテーブル283のみ第2のRAM26に記憶されるなど、各テーブル281〜283が別々のメモリに記憶されてもよい。いずれの場合も上述した例と同様の作用効果を奏する。
【0090】
更に、第1乃至第3のテーブル281〜283が磁気ディスク10に記憶されるようにしてもよいし、或いは第3のテーブル283のみ(或いは第1のテーブル281のみ、或いは第2のテーブルのみ282)磁気ディスク10に記憶されるようにしてもよい。磁気ヘッド13により読み出されて、MCU30により制御を行うことで上述の例と同様の作用効果を奏する。
【0091】
更に、上述した例では、ディスク装置の例として磁気ディスク装置1を例にして説明した。勿論、CDやDVDなどの光ディスク装置や、MOやMDなどの光磁気ディスク装置など、磁気ディスク装置以外のディスク装置でも本実施例を適用可能で同様の作用効果を奏する。
【0092】
以上まとめると付記のようになる。
【0093】
(付記1)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0094】
(付記2)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0095】
(付記3)
更に、前記平均化軌道に対応する補正値を記憶した記憶部を備え、
前記制御部は前記記憶部から前記補正値を読み出して前記復調位置から減算することで前記減算値を求めることを特徴とする付記2に記載の制御装置。
【0096】
(付記4)
前記各ディスク面の前記位置軌道は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする付記1乃至3に記載の制御装置。
【0097】
(付記5)
前記補正値は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする付記3記載の制御装置。
【0098】
(付記6)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、
前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、
前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部と、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部と、
を備えることを特徴とするディスク装置。
【0099】
(付記7)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、
前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、
前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように前記アクチュエータを制御することを特徴とするディスク装置。
【0100】
(付記8)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするための位置軌道を生成する位置軌道生成方法において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する、
ことを特徴とする位置軌道生成方法。
【0101】
(付記9)
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする位置決め制御方法において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する、
ことを特徴とする位置決め制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明が適用される磁気ディスク装置の構成例を示す図である。
【図2】磁気ディスクに記録された位置信号の記録位置の例を示す図である。
【図3】位置信号の記録フォーマットの例を示す図である。
【図4】位置信号を読み出したときの波形図の例を示す図である。
【図5】シーク動作の説明図である。
【図6】相対速度が0のときのPosN、PosQの関係図である。
【図7】位置信号が記録された領域を磁気ヘッドが速度をもって横切ったときの例を示す図である。
【図8】相対速度が20track/sampleのときのPosN、PosQの関係図である。
【図9】図8の場合の復調位置の関係を示す図である。
【図10】相対速度が30track/sampleのときの復調位置の関係を示す図である。
【図11】図11(A)は仮想円軌道の例を示し、図11(B)は仮想円軌道との相対速度の例を示す。
【図12】図12(A)は4面夫々に対する仮想円軌道の例を示し、図12(B)はそれらの仮想円軌道に対する相対速度の例を示す。
【図13】図13(A)は平均化軌道の例を示し、図13(B)は平均化軌道との相対速度の例を示す。
【図14】図14(A)は4面夫々の仮想円軌道から平均化軌道を減算したときの軌道の例を示し、図14(B)は減算した軌道との相対速度の例を示す。
【図15】図15(A)は仮想円軌道の振幅が0で相対速度が0のときの速度範囲を示し、図15(B)は仮想円軌道が0でないときの速度範囲の例を示し、図15(C)は仮想円軌道上からみた速度範囲の例を示す。
【図16】平均化軌道を生成するための処理の例を示すフローチャートである。
【図17】偏心補正電流から平均化軌道を生成するための処理の例を示すフローチャートである。
【図18】位置決め制御系の構成例を示す図である。
【図19】半径位置を考慮した位置決め制御系の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 磁気ディスク装置
10 磁気ディスク
13 磁気ヘッド
14 アクチュエータ
16 位置信号(サーボ信号)
21 ボイスコールメータ(VCM)駆動回路
22 位置検出回路
28 リードオンリーメモリ(ROM)
30 マイクロコントローラ(MCU)
281 第1のテーブル
282 第2のテーブル
283 第3のテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
更に、前記平均化軌道に対応する補正値を記憶した記憶部を備え、
前記制御部は前記記憶部から前記補正値を読み出して前記復調位置から減算することで前記減算値を求めることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記各ディスク面の前記位置軌道は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記補正値は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項6】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、
前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、
前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部と、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部と、
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項7】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする位置決め制御方法において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する、
ことを特徴とする位置決め制御方法。
【請求項1】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする制御装置において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
更に、前記平均化軌道に対応する補正値を記憶した記憶部を備え、
前記制御部は前記記憶部から前記補正値を読み出して前記復調位置から減算することで前記減算値を求めることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記各ディスク面の前記位置軌道は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記補正値は前記ディスクの半径方向の位置に応じて異なる値を有することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項6】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めするディスク装置において、
前記ヘッドを駆動するアクチュエータと、
前記ヘッドからの位置信号を復調し、前記アクチュエータを制御する制御部と、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道を夫々求めて、前記位置軌道に対して平均化した平均化軌道を求め、前記平均化軌道から前記位置軌道を減算した軌道を生成する位置軌道生成部と、
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項7】
複数のディスク夫々に予め位置信号が記録され、前記ディスクに対してヘッドの位置を位置決めする位置決め制御方法において、
前記ディスクの各ディスク面の回転中心を基準に真円を描く前記ヘッドの位置軌道に対して平均化した平均化軌道から前記位置軌道を減算した各ディスク面に対する位置軌道に対して、前記各ディスク面の前記位置信号から復調される復調位置から減算し、当該減算値に基づいて前記各ディスク面に対する前記ヘッドの位置が位置決めされるように制御する、
ことを特徴とする位置決め制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−234176(P2007−234176A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57203(P2006−57203)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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