説明

位置測定装置及び位置測定方法

【課題】被測定対象物の測定部位に接触することなく、測定部位の位置を検出する。
【解決手段】刃先位置測定装置1は、液体中に浸したマイクロドリル4の刃先5に対して所定の距離だけ離した状態で配され、超音波を刃先5に放射して焦点に集める焦点型超音波センサ2bと、刃先5に対して所定の距離だけ離れて、焦点に位置する刃先5が反射する反射波を検出する検出部2を備える。また、検出部2によって検出される反射波の振幅の変化に基づいて、マイクロドリル4の刃先5が焦点に進入した位置を測定する測定部3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液体中に浸したマイクロドリルの刃先の位置を測定する場合に適用して好適な位置測定装置及び位置測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロドリルの刃先に接触して、刃先が進入した位置を測定する刃先位置測定装置が一般的に使用されている。このような刃先位置測定装置には、例えば、大昭和精機株式会社のベースマスターやツールマスター(登録商標)、エヌ・イー有限会社の超精密センサと呼ばれる機器が知られている。これらの刃先位置測定装置には、刃先に接触する時の押圧力が0.1g程度と小さいものがあるため、わずかな加重でも折れやすいマイクロドリルの刃先位置を測定するために利用されている。ここで、接触式の刃先位置測定装置については、次に示す特許文献1が提出されている。
【0003】
特許文献1には、刃先が極細であるマイクロドリル等の刃先位置を確実かつ高精度に測定することができる刃先位置測定装置に関して開示されている。この刃先位置測定装置は、L字状の起歪部材と変位測定センサとを備えて構成される。起歪部材は、台座上に固定された起立部と梁部とを有し、梁部の側面には、長溝で連結された2つの肉技孔が列設される。肉技孔の上部と下部に対向する一対の肉部は、極薄に設定され、ダイアフラム状になっている。ここで、変位測定センサは、梁部の先端部の変位量を測定するために用いられ、肉部が極薄のダイアフラム状である。このため、マイクロドリルに加わる圧力は非常に小さく、梁部から受ける圧力によってマイクロドリルが曲がったり、折れたりすることはない。
【0004】
他方、マイクロドリルの刃先に非接触としながら刃先位置を測定するために、金属顕微鏡等の光学系を利用した光学的非接触測定法として、次に示すような方法が研究・開発されている。
【0005】
特許文献2には、コントラストピークを用いたマイクロ工具の非接触刃先位置測定法に関する技術が開示されている。近年、オプトエレクトロニクス関連部品および医療関連部品などの分野において、直径1mm〜数十μmのマイクロエンドミル・ドリル・センタ、ドリル・リーマーなど(マイクロ工具)を用いた微細加工が高付加価値を生む新しい加工技術として注目されている。この研究では金属顕微鏡の光学系を用い、マイクロ工具の底刃側からの画像を得てコントラストピークを測定することで、様々な刃先形状のマイクロ工具に対応でき、3軸方向の刃先位置を1つの光学系で測定可能な刃先位置測定器が製作されている。これにより得た主な知見を次に示す。
【0006】
(1)研削された平面を検出対象とする場合であって、コントラストの演算範囲を3μm以上としたときに、σ=0.05μm以下の繰返し検出精度となること、
(2)コントラストの検出ラインの方向をマイクロ工具の研削条痕と直角方向にすることで、高い空間周波数の明暗の縞が得られ、繰返し位置の検出精度が高いこと、
(3)上述した(1)、(2)の結果を用いた場合における繰返し位置の検出精度は、φ0.04mmスクエア−エア−エンドミルで2σ=±0.036μm、ノーズR0.05mmボールエンドミルで2σ=±0.019μmで、既存の刃先位置測定器よりも良好であること。
【0007】
特許文献3には、マイクロドリルの刃先位置を測定する方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−377040号公報
【特許文献2】鈴木伸哉,神谷和秀,前田幸男,鵜島裕介,野村俊(富山県大大学院)、精密工学会誌(CD-ROM)巻号ページ(発行年月日):Vol.75No.11P.1329-1334(2009.11.05)
【特許文献3】インコヒーレント光を用いた刃先位置測定装置の開発(第2報)オンマシン装置の試作と加工実験による評価著者名:鈴木伸哉,神谷和秀,前田幸男,野村俊(富山県大大学院)資料名:精密工学会大会学術講演会講演論文集,号ページ(発行年月日):Vol.2010春季(CD-ROM)Page.ROMBUNNO.L32(2010.03.01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の接触式測定方法では、マイクロドリルの刃先が測定装置の測定面に接触するため、穴あけ加工時のドリル寿命が8割程度まで低下すると云われている。また、マイクロドリルの直径が十〜数百μmと細いため、横方向から刃先に数g程度の荷重が加わるだけで刃先が折れてしまう。このため、接触式測定装置がドリルに対して傾いて設置されたり、ユーザの不注意で測定面にドリルを接触させたりすると、マイクロドリルは簡単に折れることがあった。
【0010】
また、直径が10μm程度であるマイクロドリルの値段は、数万円/本と高価であるため、マイクロドリルが破損したり寿命が低下したりすることは、単に加工効率が低下するだけではなく、加工費の増加をも招いてしまう。このため、マイクロドリルに接触しなくてもドリル位置を測定できる測定法が望まれている。
【0011】
また、上述したように非接触測定法については光学式測定方法が研究・開発されているものの、刃先に油滴が付着する湿式やセミドライ加工時において、正確な刃先の位置を測定することが困難であると推察される。また、金属顕微鏡の光学系を利用すると測定装置自体が複雑化することも推察される。このように接触式方法や光を利用した非接触式方法が開発・実用化されているものの、簡単に工作機械上に置いてマイクロドリルの刃先位置を測定できるポータブルな非接触式の刃先位置測定装置が存在していないのが現状である。
【0012】
そして、マイクロドリルによる穴加工は、医療機器分野や電子分野、精密機械分野などで広く使用されるようになってきており、今後さらに需要が増えると予測される。マイクロドリルの加工例としては、電子燃料噴射装置のノズルや積層型プリント基板などが挙げられる。このため、加工の効率化や経済性の向上が望まれている。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、被測定対象物の測定部位に接触することなく、測定部位の位置を測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、液体中に浸した被測定対象物の測定部位に対して所定の距離だけ離した状態で配され、超音波を測定部位に放射して焦点に集める超音波源によって、焦点に位置する測定部位が反射する反射波を、測定部位に対して所定の距離だけ離れて検出する。
そして、反射波の振幅の変化に基づいて、被測定対象物の測定部位が焦点に進入した位置を測定するものである。
【0015】
このようにしたことで、被測定対象物の測定部位に接触することなく、測定部位の位置を測定することが可能となった。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被測定対象物の測定部位に対して所定の距離だけ離した状態で、測定部位が進入した位置を測定するため、測定部位を破損することがない。また、最低限の構成でありながら測定部位が超音波の焦点に進入した位置を測定できるため、例えば、水や油の中に被測定対象物の測定部位を浸けても、測定部位の位置を測定することが可能である。このため、装置をポータブルタイプの構成としながら、測定部位に付着した水分や油滴が付着した状態であっても測定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における刃先位置測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるパルス反射法の実験結果の例を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における刃先位置測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における透過法の実験結果の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」と呼ぶ。)について、図1と図2を参照して説明する。本例では、パルス反射法が用いられる焦点型超音波センサ2bが超音波の反射波を検出することによって、マイクロドリル4に取り付けられた刃先5の位置を測定する刃先位置測定装置1に適用した例について説明する。
【0019】
図1Aは、刃先位置測定装置1の構成例を示す。
刃先位置測定装置1は、焦点型超音波センサ2bを取り付けた検出部2と、検出部2の検出結果より、刃先5が焦点に進入したか否かを判断し、刃先5が進入した位置を測定する測定部3と、を備える。また、検出部2は、超音波を放射する焦点型超音波センサ2bと、焦点型超音波センサ2bから放射された超音波を焦点に集める音響レンズ2aを備える。焦点型超音波センサ2bの内部には、ピエゾ素子や高分子樹脂によって形成された圧電素子が組み込まれる。刃先5に対して所定の距離だけ離した状態で配置される焦点型超音波センサ2bは、電圧を加えることによって超音波を刃先5に放射して焦点に集める超音波源として用いられる。また、焦点型超音波センサ2bは、刃先5が反射する超音波の反射波を検出する検出部2として用いられる。
【0020】
刃先位置測定装置1は、液体中に浸した被測定対象物の測定部位(本例では、マイクロドリル4の刃先5)に超音波を当てて、測定部位の位置を測定・検出する刃先位置測定方法を使用する。検出部2は、焦点に集められた超音波が刃先5によって反射される反射波を検出する。そして、測定部3は、検出部2によって検出される反射波の振幅の変化に基づいて、マイクロドリル4の刃先5が焦点に進入した位置を測定する。
【0021】
刃先位置測定方法には、(1)パルス反射法、(2)透過法のいずれかが用いられる。両方法ともに液体中に浸けられた刃先5の進入した位置を測定する水浸法を利用する。本例の刃先位置測定装置1は、パルス反射法を用いており、以下、パルス反射法を用いた刃先位置測定装置1の動作例について説明を行なう。
【0022】
(1)パルス反射法
図1Bは、超音波と反射波の振幅の例を示す。
パルス反射法では、焦点型超音波センサ2bが放射した超音波Iが刃先5の側面で反射し、焦点型超音波センサ2bに戻る。この反射波は反射波Sとして観察される。検出部2は、この反射波Sの振幅hを測定して、測定部3が刃先5の位置を測定する。
【0023】
焦点型超音波センサ2bによって投射されている超音波の焦点内に、刃先5が進入すると、マイクロドリル4からの反射波の振幅が徐々に大きくなると推察される。ここで、検出部2の先端には音響レンズ2aが付けられており、焦点型超音波センサ2bが放射する超音波の周波数が20MHzである場合に、この超音波を直径約0.2mmの焦点に絞ることができる。このとき、音響レンズ2aの先端径は2mmであり、マイクロドリル4の側面と音響レンズ2aの表面の距離は約1mmである。
【0024】
図2は、パルス反射法の実験結果の例を示す。
横軸は刃先5が音響レンズ2aの先端径内(焦点内)に進入した距離L(mm)を表し、縦軸は反射波Sの振幅h(mV)であり、刃先位置測定装置1の固有の値を表す。
図2Aは、ドリル直径0.11mm、刃長1.8mmの刃先5を備えるマイクロドリル4を用いた場合における測定結果の例を示す。
図2Bは、ドリル直径0.6mm、刃長7mmの刃先5を備えるマイクロドリル4を用いた場合における測定結果の例を示す。
【0025】
上述したように、検出部2として用いられる焦点型超音波センサ2bは、反射波を受けると、内部の圧電素子が振動し、電圧を励起する。この電圧を反射波Sの振幅hとして測定する。
【0026】
図2より、マイクロドリル4の進入距離が増すと反射波Sの振幅hが増加する挙動が得られた。ただし、図2Aの結果で進入距離が約2.3mm付近から振幅hが急激に減少するのは、1.8mmである刃先5の刃長を過ぎて、より太いシャンク部から超音波が反射するようになり、刃先5からの反射波を観察できなくなったためである。また、反射波の振幅がなだらかに増加していないのは、マイクロドリル4の側面に溝があるために反射波の強度が溝の有無の影響を受けるためである。
【0027】
以上の結果から、検出部2が反射波の振幅を検出すれば、測定部3が刃先5の位置を測定できることが分かった。図2Aより、焦点径が約0.2mmの超音波センサで直径0.11mmである刃先5の位置を測定できたことが示される。現在市販されている焦点型超音波センサには、焦点径0.006mm(周波数140MHz)のものがある。今回の結果から推察すると、この焦点型超音波センサ2bを用いれば、直径0.003mm程度の刃先5の位置であっても測定できると考えられる。なお、現在市販されている最も細いドリルは、直径0.01mmである。
【0028】
以上説明した第1の実施の形態に係る刃先位置測定装置1によれば、水中又は油中に検出部2を浸した状態で、マイクロドリル4の刃先5が超音波の焦点に進入した位置を測定できる。このとき、刃先位置測定装置1は刃先5に接触しないため、刃先5に圧力を加えることがなく、刃先5の破損を防ぐことができる。
【0029】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る刃先位置測定装置10について、図3と図4を参照して説明する。ただし、以下の説明において、既に第1の実施の形態で説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0030】
図3Aは、透過法を用いた刃先位置測定装置10の構成例を示す。
図3Bは、超音波の振幅の例を示す。
図3Cは、反射波の振幅の例を示す。
【0031】
刃先位置測定装置10は、刃先位置測定装置1が備える各部に加えて、超音波源となる焦点型超音波センサ2bに正対し、刃先5に対して所定の距離だけ離した状態で配置される超音波センサ6を備える。超音波センサ6は、焦点型超音波センサ2bから放射された超音波が刃先5を透過した場合に、超音波の透過波を検出する第2の検出部として用いられる。
【0032】
(2)透過法
本例の刃先位置測定装置10は、透過法を用いて、刃先5が超音波の焦点に進入したことを測定する。透過法では、焦点型超音波センサ2bから発信した超音波Iが、焦点型超音波センサ2bに対向して取り付けられている超音波センサ6で受信され、透過波Tが観察される。そして、超音波センサ6が検出した透過波Tの振幅hを測定して、測定部3は、刃先5の位置を測定する。
【0033】
透過法で用いられる焦点型超音波センサ2bは、パルス反射法で用いた焦点型超音波センサ2bをそのまま使う。焦点型超音波センサ2bの音響レンズ2aの表面と超音波センサ6の表面間の距離は約3mmであり、マイクロドリル4の側面と音響レンズ2aの表面の距離は約1mmである。超音波センサ6は、表面が平らなコンタクトタイプのセンサで、周波数は20MHz、振動子の直径は約3.2mmである。
【0034】
図4は、透過法の実験結果の例を示す。
横軸は刃先5がセンサの音響レンズ2aの先端径内に進入した距離L(mm)を表し、縦軸は透過波Tの振幅h(mV)であり、刃先位置測定装置10に固有の値を表す。
図4Aは、ドリル直径0.1mm、刃長1mmの刃先5を備えるマイクロドリル4を用いた場合における測定結果の例を示す。
図4Bは、ドリル直径0.6mm、刃長7mmの刃先5を備えるマイクロドリル4を用いた場合における測定結果の例に示す。
【0035】
図4Aと図4Bに示すように、焦点型超音波センサ2bによって投射されている超音波の焦点内に、刃先5が進入すると、超音波はマイクロドリル4の表面で反射する。このため、超音波センサ6に到達する透過波Tの振幅hは徐々に小さくなり、やがて一定値になると推察される。
【0036】
特に、ドリル直径0.6mmのマイクロドリル4を用いた場合には、マイクロドリル4が音響レンズ2aの先端径(2mm)内に進入すると透過波の振幅は減少し始め、マイクロドリル4が音響レンズ2aの径内に完全に進入すると透過波の振幅が一定値になる挙動が得られた。そして、ドリル直径0.1mmのマイクロドリル4の場合には刃長が1mmであり、刃先5を超えると太くなるために、1mmまで(Lが1.5mm)の結果となった。ただし、パルス反射法の場合と異なり、透過法の場合に検出される透過波はドリル溝の影響をほぼ受けない。このため、超音波センサ6が検出した透過波の振幅は、マイクロドリル4の進入距離に応じてなめらかに減少することが分かった。
【0037】
以上の結果から、超音波センサ6が透過波の振幅を検出すれば、測定部3が刃先5の位置を測定できることが分かった。図4に示された結果では、焦点径が約0.2mmの超音波センサ6を用いて直径0.1mmである刃先5の位置を測定できたことが示される。現在市販されている超音波センサでは、焦点径0.006mm(周波数140MHz)の超音波センサがある。このセンサを使用すれば、今回の結果から推察すると、直径0.003mm程度の刃先5の位置を測定できると考えられる。なお、現在市販されている最も細いドリルは、直径0.01mmである。
【0038】
上述した第1及び第2の実施の形態に係る刃先位置測定装置1,10は、以下の効果を奏する。
(1)非接触で刃先5の位置を測定できる。
(2)非接触であるので、取扱い(刃先5の位置測定)が容易である。
(3)超音波では、刃先5に油滴が付着していても測定できる。
(4)超音波では直径0.003mm程度のマイクロドリル4まで測定できると推察される。
(5)測定部3は、画像処理などの複雑なデータ処理を必要としない。
(6)音響レンズ2aや焦点型超音波センサ2bを利用して刃先5の位置を測定する。
(7)複雑な機構を必要とせず、構成部材も小さいものであるため、ポータブルで簡便な刃先位置測定装置1,10を構成することができる。
【0039】
また、刃先位置測定装置1,10は、水浸法を利用するため、マイクロドリル4の先端に油滴などが付着していても刃先5の位置を測定することができる。また、刃先位置測定装置1は、焦点型超音波センサ2bを利用することによって、その焦点範囲に刃先5を進入させて、超音波の反射波や透過波に大きな変化を与えることができる。
【0040】
また、刃先位置測定装置1,10は、加工の効率化や経済性の向上に寄与することができるという効果がある。第1の理由は、接触式では刃先5を傷めてドリル寿命が低下(8割程度に低下)すると云われているが、本例の刃先位置測定装置1,10は、非接触測定であるので、ドリル寿命が低下しないためである。
【0041】
第2の理由は、非接触で刃先5の位置を測定するので、刃先5に誤って過負荷が掛かってしまい、刃先5やマイクロドリル4自体を折損する心配がないためである。第3の理由は、マイクロドリル4の寿命が延びれば、加工の効率化や経済性の向上につながるためである。また、ポータブルで簡単な測定装置であるので、既にある種々の工作機械で使用できるという効果がある。
【0042】
なお、上述した実施の形態に係る刃先位置測定装置1,10は、刃先5の位置を測定するために用いたが、他の産業機械に使用される微細物体やマイクロ工具(エンドミル等)の位置を測定するために用いてもよい。また、非接触測定法を用いるので、回転する工具の位置を測定したり、刃先5の損傷等の刃先状態を検出したりする際に応用することができる。また、水中や油中だけでなく、空気中においてもマイクロ工具等の位置を測定することができる。また、測定部3に図2,図4に示したようなグラフを表示する表示部を接続し、作業者が表示部を見ながら刃先5の位置を測定して、刃先5の進入位置を調整するようにしてもよい。
【0043】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1…刃先位置測定装置、2…検出部、2a…音響レンズ、2b…焦点型超音波センサ、3…測定部、4…マイクロドリル、5…刃先、6…超音波センサ、10…刃先位置測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に浸した被測定対象物の測定部位に対して所定の距離だけ離した状態で配され、超音波を前記測定部位に放射して焦点に集める超音波源と、
前記被測定対象物の測定部位に対して所定の距離だけ離した状態で配され、前記焦点に位置する前記測定部位が反射する前記超音波の反射波を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記反射波の振幅の変化に基づいて、前記被測定対象物の測定部位が前記焦点に進入した位置を測定する測定部と、を備える
位置測定装置。
【請求項2】
前記超音波源に正対し、被測定対象物の測定部位に対して所定の距離だけ離した状態で配置され、前記超音波源が放射した超音波が前記測定部位を透過した場合における、前記超音波の透過波を検出する第2の検出部を備える
請求項1記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記超音波源及び前記検出部には、焦点型超音波センサが用いられる
請求項1又は2記載の位置測定装置。
【請求項4】
液体中に浸した被測定対象物の測定部位に対して所定の距離だけ離した状態で配され、超音波を前記測定部位に放射して焦点に集める超音波源によって、前記焦点に位置する前記測定部位が反射する反射波を、前記測定部位に対して所定の距離だけ離れて検出するステップと、
前記反射波の振幅の変化に基づいて、前記被測定対象物の測定部位が前記焦点に進入した位置を測定するステップと、を含む
位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37431(P2012−37431A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178979(P2010−178979)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】