説明

位置角度検出装置およびこれを用いたヘッドモーショントラッカ

【課題】 電磁ノイズが重畳された信号を受信した場合であっても、ノイズの影響を除去して正確な位置・角度を得ることができる位置角度検出装置を提供する。
【解決手段】 交流基準信号を生成する基準信号生成部と、交流基準信号に基づいてコイルを励磁することにより空間に交流磁界を発生する磁気ソースと、交流磁界が発生している空間内の任意の地点における交流磁界を検出する磁気センサと、磁気センサから出力される検出信号に含まれるノイズ成分を抽出するノイズ成分抽出部と、検出信号からノイズ成分を除去した訂正検出信号を生成する訂正検出信号作成部と、訂正検出信号に基づいて磁気センサの位置および角度を算出する位置角度演算部とを備え、算出した磁気センサの位置および角度から磁気センサを取り付けた物体の位置および角度を求める。
え、算出した測定誤差をグラフィック表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流磁界を磁気センサで検出することにより、磁気センサの検出信号に基づいて位置や角度を求める交流磁界方式の位置角度検出装置に関する。
本発明の位置角度検出装置は、例えば、ヘルメットに磁気センサを装着して頭部の位置や角度を検出して頭部の動きをモニタリングするヘッドモーショントラッカ等に利用される。
【背景技術】
【0002】
ヘッドモーショントラッカは、ゲーム機のヴァーチャルリアリティ(VR)や実際の航空機で、頭部装着型表示装置使用者の頭部の位置および角度を計測する装置として利用されている。
例えば、VR技術では、頭部装着型表示装置を装着する者の頭部の動きに応じて変化する画像を視認させることで、VR空間を体験させる。この場合、装着者の頭部の位置と向き(角度)とを測定し、測定結果に対応させて頭部装着型表示装置の表示画像を変化させるようにするために、ヘッドモーショントラッカを用いている。
【0003】
また、救難飛行艇による救難活動において、発見した救難目標を見失うことがないようにするため、頭部装着型表示装置により表示される照準画像と救難目標とが対応した時にロックすることにより、その後は、頭部の位置と角度とを測定し、ロックされた救難目標との位置関係を演算して、上記表示装置装着者が救難目標を見失わないように表示することが行われている。この場合、救難目標との位置関係を演算する際に、航空機の緯度、経度、高度、飛行体の姿勢に加えて、頭部装着型表示装置を装着する者の頭部の位置と角度とを測定することが必要になり、ヘッドモーショントラッカを用いている。
【0004】
ヘッドモーショントラッカのひとつに、交流磁気方式のものがある(例えば特許文献1参照)。これは、頭部装着型表示装置等に磁気センサを固定し、予め頭部装着型表示装置等を使用する空間領域に交流磁界を発生しておき、磁気センサによって現在位置での磁気データ(磁界強度、向き)を随時測定することで、測定結果に基づいて、磁気センサの位置と角度、ひいては磁気センサを固定した頭部装着型表示装置等の位置と角度とを算出するものである。
【0005】
図8は交流磁気方式の位置角度検出装置の磁気センサをヘルメットに装着したヘッドモーショントラッカの構成を模式的に示した図である。位置角度検出装置100は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸に向けられた3軸コイルにより交流磁界を発生する磁気ソース101と、ヘッドモーショントラッカ使用者が頭部に取り付ける頭部装着型表示装置103と、頭部装着型表示装置103に固定された3軸ピックアップコイルからなる磁気センサ104と、磁気ソース101および磁気センサ104の制御を行う制御部105を備えている。制御部105について、さらに制御動作を機能ごとに分けて説明すると、磁気ソース101に搭載された3軸コイルを励磁して交流磁界を発生する制御を行うときに、3軸コイルの励磁信号となる交流基準信号を生成する基準信号発生部106と、磁気センサ104により交流磁界を検出したときの検出信号(磁界強度、磁界の向き)から磁気センサ104の現在地点での位置および角度を算出する位置角度算出部107とを備えている。位置角度算出部107による位置、角度の算出方法のひとつは、電磁気学理論に基づく理論計算(ビオサバールの法則などによる計算)により磁気センサ104の地点での位置および角度を求めるものである。また、他の算出方法は、予め、交流磁界が発生する空間での磁界分布を測定して磁気マッピングデータを記憶しておき、磁気センサ104の現地点での磁気データと記憶された磁気マッピングデータとの比較により、現地点の位置および角度を算出するようにしている。
【0006】
交流磁気方式のヘッドモーショントラッカでは、予め、位置の基準となる原点および座標系を定め、さらに方向の基準となる基準方向とを定めている。具体的には、磁気ソースの位置を原点としてXYZ座標系を定め、さらに、X軸方向を基準方向として定めている。
そして磁気センサからの検出信号に基づいて、上述した算出方法により、座標原点(磁気ソース101の中心)から磁気センサ104までの位置移動量であるX、Y、Zの位置座標情報、および磁気センサの基準方向に対する角度移動量であるアジマス方向(X軸に対する回転)、エレベーション方向(Y軸に対する回転)、ロール方向(Z軸に対する回転)の角度情報を求めるようにして、これら位置角度情報から磁気センサを固定してある頭部装着型表示装置、さらには頭部の位置や角度を求めている。
【特許文献1】特開2002−81904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
交流磁気方式の位置角度検出器では、磁気ソースや磁気センサの周辺に種々の信号線が配線されている場合がある。これらの信号線にON、OFF信号等の電流信号が流れると、電流の急激な変化が発生し、それに伴って電磁ノイズが発生する。
磁気ソースと磁気センサとが存在する空間で電磁ノイズが発生すると、その影響は、交流磁界にも及ぶこととなる。例えば、交流基準信号として正弦波を生成して、磁気ソースから正弦波波形の交流磁界を発生させているときに、これに電磁ノイズが重畳すると、磁気センサは、正弦波波形にパルス的なノイズ波形が重畳された信号(図2参照)を受信することとなり、ノイズ成分を含んだ検出信号に基づいて位置や角度を算出することになる。
【0008】
そのため、位置角度算出部が検出信号から磁気センサの現在の位置および角度を算出するときの検出信号の信号レベルがノイズ分だけ変化することになり、算出される位置、角度の精度が低下したり、出力値が不安定になったりすることがあった。
このような場合に、時系列的に検出信号を採取し、移動平均処理を行うことでノイズの影響を低減することもできるが、その場合は、本来の信号自体も平均化されてしまうので、応答性が鈍くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、電磁ノイズが重畳された信号を受信した場合であっても、ノイズの影響を除去して正確な位置・角度を得ることができる位置角度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の位置角度検出装置は、交流基準信号を生成する基準信号生成部と、交流基準信号に基づいてコイルを励磁することにより空間に交流磁界を発生する磁気ソースと、交流磁界が発生している空間内の任意の地点における交流磁界を検出する磁気センサと、磁気センサから出力される検出信号に含まれるノイズ成分を抽出するノイズ成分抽出部と、検出信号からノイズ成分を除去した訂正検出信号を生成する訂正検出信号作成部と、訂正検出信号に基づいて磁気センサの位置および角度を算出する位置角度演算部とを備え、算出した磁気センサの位置および角度から磁気センサを取り付けた物体の位置および角度を求めるようにしている。
【0011】
この発明によれば、基準信号生成部により生成された交流基準信号に基づいて、磁気ソースが、周囲の空間に交流磁界を発生する。磁気センサは、交流磁界が発生している空間内の任意の地点に配置され、その地点での交流磁界を検出し、検出信号を出力する。
何らかのノイズが発生して検出信号にノイズ成分が含まれている場合に、ノイズ成分抽出部は、検出信号に含まれているノイズ成分を抽出する。そして、訂正検出信号作成部は、検出信号からノイズ成分を除去する演算を行い、訂正検出信号を生成する。そして、位置角度演算部
は、ノイズ成分が除去された訂正検出信号に基づいて位置および角度を算出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁気センサが検出する信号に電磁ノイズが含まれていても、ノイズ成分を除去した訂正検出信号で位置や角度を算出することができるので、精度よく、安定性に優れた位置、角度情報を得ることができる。
【0013】
(その他の課題を解決するための手段および効果)
上記発明において、ノイズ成分抽出部は、検出信号の波形と基準信号の波形とを比較することによりノイズ成分を抽出するようにしてもよい。
磁気ソースから発生する交流磁界は、交流基準信号に基づいてコイルを励磁することにより生成されているので、交流基準信号と相似な波形を有している。また磁気センサにより検出される検出信号についても信号強度は異なるが、波形自体は交流磁界と相似な波形をしている。したがって、検出信号の波形は、本来は交流基準信号と相似な波形を有していることになり、波形が相似形状と異なる場合は、その部分にノイズ成分が重畳しているものと判断することができる。
したがって、磁気センサの検出信号の波形と交流基準信号の波形とを比較することによりノイズ成分を抽出することができる。
【0014】
上記発明において、ノイズ成分抽出部は、検出信号の波形に含まれる交流波形のピーク値の変動特性に基づいてノイズ成分を抽出するようにしてもよい。
磁気センサから出力される検出信号は、交流基準信号と相似な交流波形を有している。交流基準信号は、変調の有無はあるが、正弦波またはこれを基調とする規則周期性を有するものであるので、検出信号も正弦波またはこれを基調とした規則周期性を有するものである。検出信号に電磁ノイズが重畳したときは、検出信号の正弦波を基調とする交流波形の山及び谷のピーク値に比してノイズ箇所のピーク値が急激に変化するため、この交流波形のピーク値の変動特性をモニタし、「急激な変化」と判定されたときにノイズが重畳しているものとしてノイズ成分を抽出する。変動特性が「急激な変化」であるか否かのモニタ方法は種々の方法をとりうるが、ひとつは、検出信号の波形に含まれる交流波形の個々の山、谷のピーク値を抽出して、そのひとつ手前(あるいはひとつ後の)のピーク値と比較し、ピーク変動幅が予め定めた閾値変動幅(例えば前のピーク値の±10%幅)を超えた場合にノイズと判定して抽出する方法がある。また、他のモニタ方法としては、検出信号の微分値を算出することにより、微分係数値が予め定めた閾値を超えたときに、ノイズ成分と判定して抽出する方法がある。
【0015】
また、上記発明において、訂正検出信号作成部は、検出信号におけるノイズが重畳した部分を補間データに置換することによりノイズ成分を除去した訂正検出信号を作成するようにしてもよい。
これにより、ノイズ成分が重畳していないときに検出されると推定される信号を、訂正検出信号として得ることができるので、位置、角度を正確な演算を行うことができる。
【0016】
また、別の観点からなされた本発明の一形態であるヘッドモーショントラッカは、上述した位置角度検出装置の磁気センサをヘルメットに装着し、ヘルメットの位置および角度を検出するようにしている。
この発明によれば、電磁ノイズが発生した場合でも、正確な位置、角度を算出することができるヘッドモーショントラッカとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態である位置角度検出装置10の構成を示すブロック図である。この位置角度検出装置10は、磁気ソース11と、ヘルメット13に装着された磁気センサ14と、磁気ソース11と磁気センサ14とに接続され、これらを制御する制御部20から構成される。
磁気ソース11は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の方向に向けられた3軸コイル12を有しており、後述する基準信号生成部21で生成された交流基準信号に基づいて3軸コイル12を、X,Y,Z軸それぞれ1軸ごと励磁する動作を繰り返すようにして、周囲の空間に、時間的に分解された3種類の交流磁界(交流磁場)を繰り返し発生する。
磁気センサ14は、磁気ソース11と同様の3軸コイル16を有しており、磁気ソース11の3軸コイル12のいずれか1軸が励磁されて発生した交流磁界を、磁気センサ14の3軸コイル16がそれぞれ検出し、さらに3軸コイル12の残り2つの軸がそれぞれ励磁されたときに発生する交流磁界についても同様に検出し、合計3×3の9個の測定データで、(一地点についての一時点の)1回測定分の磁気センサ14の検出信号として出力する。なお、これら9個の測定データは、いずれもノイズが重畳していない限り、波形形状は交流基準信号と同じであり、信号強度が異なるだけの相似形状となっている。
【0019】
制御部20は、CPU、ROM、RAM、HDD等のハードウェア機器からなるいわゆるコンピュータシステムで構築され、さらに、その記憶領域に位置角度検出装置として必要なソフトウェアが記憶されており、装置起動の際に、これらソフトウェアをロードすることにより、位置角度検出に必要な各種の機能が実現されるようにしてある。
制御部20が磁気ソース11および磁気センサ14を用いて実行する機能を説明するために、制御部20を機能ブロック的に分けて説明すると、制御部20は、基準信号生成部21と、ノイズ抽出部22と、訂正検出信号生成部23と、位置角度算出部24とから構成される。
【0020】
このうち、基準信号生成部21は、CPUの内蔵クロックを基にして、正弦波波形を有する交流基準信号を生成する制御を行う。
ノイズ抽出部22は、検出信号Dからノイズ成分を抽出する演算する制御を行う。本実施形態のノイズ抽出部22は、磁気センサ14からの検出信号Dを交流基準信号Eと比較する信号比較部25を有しており、図2に示すように、2つの信号波形を比較することにより、検出信号Dと交流基準信号Eとの波形が相似形状であるか否かを判定する。具体的には、一方の信号強度が、他方の信号強度と同じになるように信号レベルを拡大、縮小して差分を算出し、有意な差分が存在すれば、その差分が発生した部分にノイズが重畳していると判定する。差分がなければノイズ成分はないと判定される。
【0021】
訂正検出信号生成部23は、検出信号からノイズ成分を除去した訂正検出信号を生成する制御を行う。図3は、検出信号のなかのノイズ成分が重畳した部分を拡大した図である。検出信号は、制御部20内で処理するためにAD変換されデジタル化されており、離散的な測定点の集合となっている。各測定点のうち、ノイズ抽出部22によりノイズ重畳部分として抽出された測定点(複数点であってもよい)を削除する。そして、削除した点に隣接する両側の測定点のデータを用いて補間することにより補間データを算出し、削除した測定点に代えて、補間データを用いた訂正検出信号を生成する。上述したように、3軸コイル12と3軸コイル16とにより、合計9個の測定データの組が(一地点についての一時点の)1回測定分の磁気センサ14の検出信号として出力されることになるが、これら9個の測定データそれぞれについて、ノイズ成分を除去し、補間したデータの組が訂正検出信号となる。
【0022】
位置角度算出部24は、訂正検出信号生成部23により算出された訂正検出信号に基づいて、磁気センサ14が存在する地点での磁気センサ14の位置および角度を算出する制御を行う。位置および角度の算出は、訂正検出信号による実測値と、電磁気学理論に基づく理論計算(ビオサバールの法則などによる計算)で求められる理論値とを対応させることにより行われる。あるいは、他の算出方法として、予め、空間内の各所についての実測データをデータベースとして記憶しておき、これと今回の訂正検出信号データとを対応させて、位置や角度を算出する。
【0023】
次に、上記位置角度検出装置10による位置角度測定の処理手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。
位置角度検出装置10を起動して、交流基準信号Eに基づいて磁気ソース11の3軸コイル12を励磁し、交流磁界を発生させる。磁気センサ14が現在存在する場所、時点での磁界データを検出し、その検出信号Dを保存する(S101)。
保存された検出信号Dを、交流基準信号Eと比較し、2つの波形が相似であるかを判定する(S102)。相似であると判定されたときはS104に進み、相似でないと判定されたときはS103に進む。
相似でないとないと判定されたときは、ノイズが重畳していることになるので、ノイズが重畳している部分について、ノイズを削除するとともに補間した訂正検出信号を作成し、S104に進む(s103)。
【0024】
続いて、検出信号または訂正検出信号に基づいて、磁気センサ14の位置と角度とを算出する演算を行う(S104)。
以上の演算処理を実行することにより、ノイズを削除した測定データに基づいて、位置や角度を求めることができる。
【0025】
(実施形態2)
図5は、本発明の他の一実施形態である位置角度検出装置30の構成を示すブロック図である。図5において、図1で示したものと同じ構造部分については、同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
この位置角度検出装置30では、ノイズ抽出部22が、図1のように信号比較部25ではなく、閾値比較部26を備えている。閾値比較部26は、検出信号に含まれる交流波形のピーク値の変動が閾値を超えるか否かに基づいて、ノイズ成分であるか否かを判定する。
すなわち、図6(a)に示すような変調されていない正弦波の場合、図6(b)に示すような変調された正弦波(窓関数による変調)の場合のいずれにおいても、予め、交流波形のピーク値の許容変動幅をひとつ前のピーク値の±10%とし(閾値が前ピーク値の±10%と設定した場合である)、これを超えた変動がある場合には、ノイズ成分であると判定する。
ノイズ成分が抽出された後の、訂正検出信号生成部23、位置角度抽出部24による処理については、実施形態1と同様である。
【0026】
次に、上記位置角度検出装置30による位置角度測定の処理手順について、図7のフローチャートを用いて説明する。
位置角度検出装置30を起動して、交流基準信号Eに基づいて磁気ソース11の3軸コイル12を励磁し、交流磁界を発生させる。磁気センサ14が存在する場所、時点での磁界データを検出し、その検出信号Dを保存する(S201)。
保存された検出信号Dに含まれる交流ピーク値を順次抽出し、ピーク値の変動がひとつ前のピーク値の±10%を超えているか否かを判定する(S202)。超えてないと判定されたときはS204に進み、超えていると判定されたときはS203に進む。
超えていると判定されたときは、ノイズが重畳していることになるので、ノイズが重畳している部分について、図3で説明した処理と同様の処理を実行することにより、ノイズを削除するとともに補間した訂正検出信号を作成し、S204に進む(s203)。
【0027】
続いて、検出信号または訂正検出信号のいずれかに基づいて、磁気センサ14の位置と角度とを算出する演算を行う(S204)。
以上の演算処理を実行することにより、ノイズを削除した測定データに基づいて、位置や角度を求めることができる。
本実施形態では、ピーク変動の閾値をひとつ前のピークとの比較で定めたが、これに限られない。例えば、検出信号の微分係数は、検出信号におけるピーク位置を反映するので、検出信号の微分係数をモニタすることにより、ピークの変動特性をモニタすることができる。
【0028】
実施形態1や実施形態2では、位置角度測定装置の磁気センサ11は、ヘルメットに装着したが(ヘッドモーショントラッカ)、装着場所はヘルメットに限られない。動きのある測定対象物に装着することにより、その測定対象物の動きをモニタリングすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、交流磁気方式の位置角度検出装置に利用することができ、例えば、ヘルメットに装着することにより、ヘッドモーショントラッカとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態である位置角度検出装置の構成を示すブロック図。
【図2】検出信号と交流基準信号とを説明する図。
【図3】ノイズ成分の削除と補間データへの置換を説明する図。
【図4】本発明の一実施形態におけるフローチャート。
【図5】本発明の他の一実施形態である位置角度検出装置の構成を示すブロック図。
【図6】検出信号を説明する図。
【図7】本発明の他の一実施形態におけるフローチャート。
【図8】従来の位置角度検出装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0031】
10:位置角度検出装置
11:磁気ソース
12:3軸コイル(送信側)
13:ヘルメット
14:磁気センサ
16:3軸コイル(受信側)
20:制御部
21:基準信号生成部
22:ノイズ抽出部
23:訂正検出信号生成部
24:位置角度算出部
25:信号比較部
26:閾値比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流基準信号を生成する基準信号生成部と、
交流基準信号に基づいてコイルを励磁することにより空間に交流磁界を発生する磁気ソースと、
交流磁界が発生している空間内の任意の地点における交流磁界を検出する磁気センサと、
磁気センサから出力される検出信号に含まれるノイズ成分を抽出するノイズ成分抽出部と、
検出信号からノイズ成分を除去した訂正検出信号を生成する訂正検出信号作成部と、
訂正検出信号に基づいて磁気センサの位置および角度を算出する位置角度演算部とを備え、
算出した磁気センサの位置および角度から磁気センサを取り付けた物体の位置および角度を求めることを特徴とする位置角度検出装置。
【請求項2】
ノイズ成分抽出部は、検出信号の波形と交流基準信号の波形とを比較することによりノイズ成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の位置角度検出装置。
【請求項3】
ノイズ成分抽出部は、検出信号の波形に含まれる交流波形のピーク値の変動特性に基づいてノイズ成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の位置角度検出装置。
【請求項4】
訂正検出信号作成部は、検出信号におけるノイズが重畳した部分を補間データに置換することによりノイズ成分を除去した訂正検出信号を作成することを特徴とする請求項1に記載の位置角度検出装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の位置角度検出装置の磁気センサをヘルメットに装着し、ヘルメットの位置および角度を検出することを特徴とするヘッドモーショントラッカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−317327(P2006−317327A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141174(P2005−141174)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】