説明

低使用率農薬組成物及びその使用法

補助剤組成物の100質量部を基準として:(a)約25質量部〜約75質量部の多糖及び(b)約75質量部〜約20質量部の塩組成物を含む実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物。一実施形態では、塩組成物はリン酸水素二アンモニウム、炭酸ナトリウム又はそれらの組み合わせであり、そして多糖は誘導体化グアーである。また、(a)補助剤組成物の100質量部を基準として:(i)約25質量部〜約75質量部の多糖、及び(ii)約75質量部〜約20質量部の塩組成物を含む、堆積及び/又はドリフト抑制性を提供するのに有効な量の水分散性補助剤組成物であって、該補助剤組成物の水溶液は約7〜約12のpH値を有する水分散性補助剤組成物、並びに(b)有効量の活性成分をヒール溶液に加える工程を含む、そのような農薬組成物の製造方法も開示される。本補助剤組成物は、(iii)約20質量部〜約30質量部の分散剤をさらに含むことができて、そして典型的には、該分散剤はポリアクリル酸ナトリウムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書に援用される、2008年6月2日に出願された米国仮出願第61/130,643号及び2008年7月22日に出願された米国仮出願第61/135,561号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、農薬組成物、特に、高濃度の1つ以上の多糖類を含む殺虫剤組成物、殺菌剤組成物、除草剤組成物などの農薬補助剤組成物、及びそれらの組成物を使用する方法に関係している方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
典型的には、除草剤を含む農薬組成物(例えば、N−(ホスホノメチル)グリシン(「グリホセート」)を含む組成物)は、散布により対象植物に適用される。典型的には、散布は、航空機、トラクター、地上リグ(ground rig)、かんがいシステム又は鉄道車両から行われる。典型的には、散布液滴の一部分は、非常に小さく、例えば約200ミクロン(μm)未満であり、それは「ドリフト(drift)」と呼ばれる誤った動きになり易い。ドリフトは、対象植物に適用される活性成分の量を減らし、そして活性な除草剤、殺虫剤、殺菌剤などの非対象植物への意図しない適用という危険を冒すので好ましくない。さらに、散布液滴が対象植物に最初に接触した後に、その液滴は、跳ね返るか、又は飛び散り易いので、結果として対象植物上の活性成分が減少するか、又は失われる。また、より多くの散布液滴が、地上又は非対象植物上に飛び散るか、又は跳ね返るほど、これは経済的及び環境的懸念を増やす。
【0004】
ドリフト及び跳ね返りを減らす一般的な手法は(濃縮された液体又は乾燥した補助剤組成物中の)1つ以上の堆積抑制剤(例えば、多糖類、ポリアクリルアミド類)を農薬組成物に加えることである。しかし、堆積抑制剤が水溶液中へと適切に水和するために、比較的大量の硫酸二アンモニウムも堆積抑制剤と併用して加えなければならない。
【0005】
現在市販されているグアー系ドリフト抑制乾燥補助剤組成物は、大量の塩(例えば、硫酸二アンモニウムなど)を含む。一般に、これらの市販されている乾燥した補助剤組成物は、全組成物の質量を基準として、85質量%を超える硫酸二アンモニウム及び約10質量%未満、典型的には5質量%のグアーを含む。これらの市販されている組成物では、硫酸二アンモニウムの高質量割合(%)は、水性タンク混合物中のドリフト抑制剤の適切な分散及び水和を確保するために、グアーと比べて大切であり、また必要である。結果として(硫酸二アンモニウムの量よりも)比較的低い量を超えないグアーが、そのような補助剤組成物に加えられることができる。したがって、有効量のドリフト抑制剤をタンク混合物に加えるために、上述のように、補助剤組成物の全量/タンク混合物の体積(すなわち、「使用率(use rate)」)は、高くなければならない。
【0006】
このように、有効量のドリフト抑制剤(例えば、グアーなど)をタンク混合物に混合するために、実質的により大量の硫酸二アンモニウムを加えなければならないから、一般に、これらの製剤は、常用の高使用率(例えば、9ポンド/100ガロン)で使用される。そのような高使用率製剤に関連する欠点(例えば、大規模な商業用途のために大量の材料を輸送して取り扱うために必要なコスト及び資源、並びに保管に必要なコスト及び資源など)がある。
【0007】
それ故に、より少量の硫酸二アンモニウム又は塩混合物がグアー及び/又はその誘導体に対して利用される(すなわち、グアーなどのドリフト抑制剤を十分に水和させることができる)低使用率製剤を有することが好ましい。しかし、幾つかの場合には、硫酸二アンモニウムの割合と比例して大量のグアーを有する製剤は、適切に分散及び水和できない(ラッティング(Latting)の米国特許第6,358,294号明細書に記載されている高使用率製剤を参照した)。乾燥したグアーガム及び/又はその誘導体の不十分な分散は、グアーゲルの凝集及び塊、又は斑点(fish−eye)という結果になり、それらは、特にスプレー噴霧中のスプレーノズルを詰まらせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、農薬組成物の効率的な改良された適用及び調製、典型的には、農薬活性成分(特にグリホセート及び/又はグリホセートヒール溶液)中で適切な分散及び水和を確保する、低使用率を有するドリフト及び/又は堆積抑制補助剤組成物の調製は、絶えず興味深いものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
一態様では、本発明は、補助剤組成物の100質量部を基準として:(a)約25質量部〜約95質量部の多糖及び(b)約5質量部〜約75質量部の塩組成物を含む、ドリフト及び/又は堆積抑制性を提供するのに有効な実質的に乾燥した流動可能な(すなわち、流動能力を有する)補助剤組成物である。一実施形態では、前記塩組成物は、リン酸水素二アンモニウム、炭酸ナトリウム又はそれらの組み合わせを含み、そして前記多糖は、グアーガム及び/又はその誘導体を含む。一実施形態では、多糖:塩組成物の比は、約25質量部の多糖:55質量部の塩組成物〜約55質量部の多糖:20質量部の塩組成物である。
【0010】
一般に、補助剤組成物は、補助剤組成物に関する包装ラベル又は取扱説明書に従って、タンク容器(典型的には、タンク容器中に存在する希釈ヒール溶液又は水溶液の最上部)に加えられる。一般に、補助剤組成物の処方などの様々な要因に応じて、補助剤組成物の目標となる使用率又は目標となる濃度が提供される。目標となる使用率又は目標となる濃度は、幅広く変わることができ、一実施形態では、それぞれ水溶液又はタンク体積に対して、約0.001ポンド/100ガロン〜約50ポンド/100ガロンの補助剤組成物である。
【0011】
別の態様では、本発明は、補助剤組成物の100質量部を基準として:(a)約25質量部〜約75質量部の多糖;(b)約20質量部〜約60質量部の塩組成物;及び(c)約20質量部〜約35質量部の分散剤を含む実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物であって、前記補助剤組成物の水溶液は約7〜約10のpH値を有する補助剤組成物である。一実施形態では、前記分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリカルボン酸のナトリウム塩(例えば、ローディア(Rhodia)社製Geropon T/36)、ナトリウム2−[メチルオレオイルアミノ]エタン−1−スルホネートを含む界面活性剤(例えば、ローディア社製Geropon T/77)又はそれらの組み合わせである。
【0012】
別の実施形態では、実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物は:(a)約45質量部〜約55質量部の、グアーガム及び/又はヒドロキシプロピルグアーを含む多糖;(b)約10質量部〜約20質量部のリン酸水素二アンモニウム;(c)約10質量部〜約20質量部の炭酸ナトリウム;及び(d)約20質量部〜約30質量部の、ポリアクリル酸ナトリウムを含む分散剤を含む。一実施形態では、分散剤は、同様にキレート剤として機能することができる。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、(a)水分散性補助剤組成物の100質量部を基準として:(i)約25質量部〜約75質量部の多糖;及び(ii)約20質量部〜約75質量部の塩組成物を含む、堆積及びドリフト抑制性を提供するのに有効な量の水分散性補助剤組成物であって、前記補助剤溶液の水溶液は約7〜約10のpH値を有する水分散性補助剤組成物;並びに(b)有効量の農薬活性成分を含む水性農薬組成物である。
【0014】
さらなる態様では、本発明は:(a)水分散性補助剤組成物の100質量部を基準として:(i)約25質量部〜約75質量部の多糖;及び(ii)約20質量部〜約75質量部の塩組成物を含む、堆積及びドリフト抑制性を適用するのに有効な量の水分散性補助剤組成物であって、前記補助剤組成物の水溶液は約7〜約10のpH値を有する水分散性補助剤組成物;並びに(b)有効量の農薬活性成分を含む農薬組成物の水溶液を対象植物に適用する工程を含む、対象植物を処理する方法である。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物の100質量部を基準として:(i)約25質量部〜約95質量部の多糖(より典型的には、約25質量部〜約75質量部の多糖)、及び(ii)約5質量部〜約75質量部の塩組成物(より典型的には、約20質量部〜約75質量部の塩組成物)を含む、堆積及び/又はドリフト抑制性を提供するのに有効な量の実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物であって、前記補助剤組成物の水溶液は約7〜約10のpH値を有する補助剤組成物をヒール溶液に加える工程を含む、水性農薬組成物の製造方法である。
【0016】
一実施形態では、本方法は、実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物をヒール溶液に加える前後のいずれかに、有効量の農薬活性成分を前記ヒール溶液(それは、典型的には、グリホセートヒール溶液である)に加える工程をさらに含む。前記塩組成物は、リン酸水素二アンモニウム、炭酸ナトリウム又はそれらの組み合わせでよい。
【0017】
別の実施形態では、補助剤組成物は:(iii)約20質量部〜約30質量部の分散剤をさらに含み、そして前記分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリカルボン酸のナトリウム塩、ナトリウム2−[メチルオレオイルアミノ]エタン−1−スルホネート又はそれらの組み合わせである。
【0018】
さらに別の実施形態では、補助剤組成物は:(iv)約20質量部〜約30質量部のキレート剤をさらに含み、そして前記キレート剤は、三リン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム又はそれらの組み合わせである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本明細書では、農薬組成物中の農薬活性成分の相対量に関する用語「有効量」は、農薬組成物が適用量で、かつ好ましい用途(例えば、除草剤、殺菌剤、殺虫剤等として)のために適用されるとき、対象(例えば、対象の植物、菌、又は虫)を防除するのに有効な活性成分の相対量を意味する。
【0020】
グアーガム及び/又はその誘導体並びに硫酸二アンモニウムの塩を含む現在入手できる堆積及びドリフト抑制補助製剤は、その製剤中のグアーの量が増加するほどに、低pH農薬散布液(例えば、希釈グリホセート溶液、特にグリホセートヒールなど)と混合されたときに相溶性を失うことが観察されている。
【0021】
一般に、農薬散布は、体積にして数百ガロン以上である散布液容器を用いて、数百エーカーに亘って行なわれることがある。典型的には、散布の間にこれらの容器に入る管を含む容器からこれらの散布液を全て出し切ることは、工業用途において非実用的及び非効率的である。ほとんどの場合には、少量の散布液が、散布(1回又は複数回)後にその容器又は供給管に残る。これは、初期散布後に希釈されるか、又は希釈されていない事前に調製された農薬組成物/混合物(例えば、グリホセート混合物の水溶液)の残留溶液が、作業地域への散布後にタンク容器中に残っていることを意味する。これらの残留溶液は、「ヒール」又は「ヒール溶液」と呼ばれる。
【0022】
容器及び管を十分に洗浄する代わりに、現存するヒール溶液の上部で新たな散布液を形成することがよくある。そのようなヒール溶液に加えられる現行の補助製剤は、乾燥した流動可能な製剤中の約25%のグアーを超えられないことが観察されている。これは、比例的に少ない量の硫酸二アンモニウムが加えられる場合がある(すなわち、ヒール溶液中に混合されるときにグアーの凝集、ゲル化又は未分散なしに、硫酸二アンモニウム:グアーの比は、現在市販されている製剤中で、それぞれ約80:20を超えられない)ことを示すので、そのような補助製剤は、約25%以上のグアーを超えられない。典型的には、25%のグアーを超える製剤は、そのようなヒール溶液に加えられるとグアーの凝集又はゲル化を起こす。
【0023】
上述の通り、ヒール溶液は、複数の理由で存在することがある。散布機が、処理される1エーカー当たりに大量の散布液を散布しているならば、時間、燃料、材料などを節約するために、全散布液を使い切る前にタンク容器を再充填する必要性があり得る。また、スプレータンクが各処理後に十分に洗浄されていないならば、ヒールは存在するであろう。また、以前に利用された散布液の一部が、容器に接続している管又は機器に存在しているならば、ヒール溶液は存在するであろう。この場合には、主タンクから散布液が除去されているようであるが、ヒール溶液は、管及び/又は機器中に残るであろう。
【0024】
例えば、一般に、殺虫剤ラベルによって、次の態様:タンクの半分に水を充填して、次に補助剤、活性成分、消泡剤、相溶性改良製品、及び他のタンク混合添加剤を追加することにより、散布液を混合することが推奨されている。次に、その混合物は、水でタンクの残量を充填することにより、さらに希釈される。このプロセスは、各製品を他の成分のかなり希釈された溶液中に混合させるだけでなく、水の第二の追加が行なわれるときに散布液を十分に混合するのに役立つ。また、殺虫剤及び補助剤ラベルによって、最良の相溶性又は最も容易な混合を確保するために、その成分を混合する順序が推奨されることがある。これらのラベルにおいて、一般に、殺虫剤の追加前に硫酸二アンモニウム、ドリフト抑制添加剤、及び他の補助剤を加えるべきであることが推奨される。ヒール溶液に補助剤を追加する場合には、その溶液中に幾つかの殺虫剤が既に存在しているであろうから、追加の推奨順序は不可能である。
【0025】
ヒドロキシプロピルグアー(「HPG」)を含む混合物とともに見られるように、ヒール溶液は、製剤中の補助剤の相溶性、又は凝集若しくはゲル化なしに製剤中で実質的に分散する補助剤の能力(以下に、「相溶性」ともいう)を減らす。一実施形態では、HPGのヒール溶液への追加の周辺における相溶性の問題は、グリホセートを含む製品、浸透性非選択除草剤に由来する。一般に、グリホセートは、イソプロピルアミン、親酸のカリウム又はアンモニウム塩として製剤化される。この塩自体は、4〜5のpHを通常有する弱酸である。これらは、水性媒体中にグアーを分散するための最適な条件ではない。グリホセート又はヒールの希釈溶液中にHPGを分散しようとするとき、固体グアーの急速な水和が発生して、硬い連続ゲル構造を形成させる。このゲルは、分解してより小さい凝集体になることができるが、一般に、それらは依然として農薬散布部品に存在する様々なスクリーン及び管に閉塞物を発生させるのに十分なほど大きい。通常、これらのスクリーンは、再循環システム中、及び液体がスプレーノズルを通過する場所の両方に存在する。特に、このスプレーノズルスクリーンは、目詰まりの影響を特に受けやすい。
【0026】
また、グリホセートを含むヒール溶液とは別に、他のヒール溶液は、限定されるものではないが、本明細書では、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、アルファ−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−アルファ−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール、又は表5に示されている活性成分のいずれかを含むヒール溶液を含む本発明に関連してよいことを理解されたい。
【0027】
作用機序に拘束されることなく、上述のヒールの問題は、急速な水和に対する物理的障壁として大量の塩(硫酸二アンモニウム)を使用することにより十分に解決されるが、低使用率グアー処方が必要とされるとき(より多くの被使用グアー、例えば、その塩に比例する処方において25%以上のグアーと一致する)、その塩により事前に提供される物理的障壁は不十分であることが分かる。本明細書では、「低使用率」は、補助製剤の割合として、より多くのドリフト抑制剤(例えば、多糖)が存在するときに、有効な堆積及びドリフト抑制を達成するために、比較的少量の補助製剤が必要とされることを意味する(これは、逆に、ある割合の補助製剤が存在するときに、塩がそれほど存在しないことを意味する)。
【0028】
塩量の減少及びグアー割合の増加(相対)を伴う組成物は、それほど大量の硫酸二アンモニウムを必要としない農業用途(例えば、特定の殺菌製剤など)に好ましい。
【0029】
この問題を解決するために、一実施形態では、本発明は(補助剤組成物の100質量部を基準として)約25質量部〜約95質量部の多糖及び約75質量部〜約5質量部の塩組成物を含む実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物である。典型的には、多糖:塩組成物の比は、約25質量部:55質量部(多糖:塩組成物)〜約55質量部:20質量部(多糖:塩組成物)の範囲にあり、そしてこれらの範囲に含まれる比(例えば、それぞれ、30質量部:50質量部の多糖:塩組成物)を含む。
【0030】
適切な多糖類としては、限定されるものではないが、寒天、寒天誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体、アミロース、アミロース誘導体、アラビア/アカシアガム、アラビア/アカシアガム誘導体、アラビノガラクタン、アラビノガラクタン誘導体、ベンゾインガム、ベンゾインガム誘導体、イナゴマメガム、イナゴマメガム誘導体、カラギーナン、カラギーナン誘導体、カッシアガム、カッシアガム誘導体、セルロース、セルロース誘導体(限定されるものではないが、メチルセルロース、ヒドロキシルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの混合物を含む)、キチン、キチン誘導体、ダマール(damar)ガム、ダマール誘導体、デキストラン、デキストラン誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、ジェランガム、ジェランガム誘導体、ゼラチン、ガッティ(ghatti)ガム、ガッティガム誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、カラヤガム、カラヤガム誘導体、レバン、レバン誘導体、ニセアカシアガム、ニセアカシアガム誘導体、ペクチン、ペクチン誘導体、プルラン、プルラン誘導体、ラムサン(rhamsan)ガム、ラムサンガム誘導体、サンダラックガム、サンダラックガム誘導体、デンプン、デンプン誘導体、サクシノグルカン、サクシノグルカン誘導体、タマリンドガム、タマリンドガム誘導体、タラガム、タラガム誘導体、トラガカントガム、トラガカントガム誘導体、キサンタンガム、及びキサンタンガム誘導体が挙げられる。
【0031】
一実施形態では、多糖は、グアーであり、それは非誘導体化グアー、誘導体化グアー、カチオン性グアー及び/又は非カチオン性グアーでよい。グアーはグアーガムに由来し、それは、マメ科グアー(Cyamopsis tetragonolobus (L.) Taub.)(大豆植物に物理的に似ている植物)のマメ科種子の精製された内胚乳である。このガムは、長年に亘って農薬、化学及び食品製剤工業により良好な増粘、膜形成及び安定性を有するものとして認識された純植物コロイドである。
【0032】
乾燥ガムを急速にふるい分けして水の強制的に攪拌されたタンク中に入れて、該ガムを水和させることにより、グアー溶液又は分散体は、調製されることができる。より高い水温は、その熱が長期に亘るものではないか、又はポリマーを分解させるほど過剰ではない限り、水和時間を短縮できる。
【0033】
グアーを誘導体化する方法は周知である。例えば、グアーポリマー上のヒドロキシル置換基は、エーテル化及びエステル化反応を介した反応を受けることができる。特に、C−6ヒドロキシル位は、例えば、プロピレンオキシドによるエーテル化のための反応性部位であるが、二級ヒドロキシルも有望な部位である。ノルドグレン(Nordgren)らの米国特許第3,723,408号明細書;ジョーダン(Jordan)の米国特許第3,483,121号明細書;モンゴメリー(Montgomery)らの米国特許第3,740,388号明細書及びユエ(Yueh)の米国特許第3,723,409号明細書には、誘導体化グアーの製造方法が記述されている。典型的には、グアー及びその誘導体は、限定されるものではないが、ヒドロキシアルキルグアー、例えば、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルグアー、ヒドロキシブチルグアー及びカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、及びそれらの混合物を含む本発明に利用される。
【0034】
ヒドロキシプロピル化は、ガムの溶解度を増加させて、水温にかかわらず水和する製品を生成する。典型的には、ヒドロキシルアルキル及びカルボキシルメチル誘導体の両方は、標準的な非誘導体化グアーガムより透明な溶液を形成し、またヒドロキシル誘導体は、非誘導体化グアーよりも熱分解に耐えられる。特に、ヒドロキシプロピルグアーガムは、流動改良剤及び摩擦減少剤として有用であり、本発明の最も好ましい誘導体化グアーガムである。
【0035】
本明細書では、用語「モル置換度」又は「ms」とは、グアーの単糖単位当たりの誘導体化基の数をいう。これは、誘導体化基に関するパラメータである。モル置換度は、Zeisel−GC法により決定されることができる。典型的には、本発明により利用されるモル置換度は、約0.001〜約3の範囲にある。
【0036】
一実施形態では、誘導体化グアーは、10,000〜10,000,000ダルトン(Dalton)、より典型的には約25,000〜8,000,000ダルトン、最も典型的には約50,000〜6,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0037】
一実施形態では、利用される塩組成物は、塩基性、中性及び/又は酸性塩の1つ又は組み合わせ、より典型的には塩基性及び酸性塩の組み合わせ、最も典型的には、塩基性塩の組み合わせを含むことができる。実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物の一部分を含むことにより、塩の組み合わせの効果は、乾燥した流動可能な補助剤組成物の水溶液のpHが約7を超えるようになるものである。より典型的には、そのような補助剤組成物の水溶液のpHは、約7〜約12、最も典型的には約7.5〜約10である。
【0038】
塩基性塩としては、限定されるものではないが、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンから選択されるカチオンが挙げられる。例としては、限定されるものではないが、ヒドロキシド、メトキシド、エトキシド、イソポロポキシド、及びt−ブトキシドのリチウム、ナトリウム、カリウム、及び四級アンモニウム塩が挙げられる。より典型的には、本発明に利用される塩組成物は、リン酸水素二アンモニウム、炭酸ナトリウム又はそれらの組み合わせを含む。酸性塩としては、限定されるものではないが、硫酸二アンモニウム((NHSO)及びモノカリウムホスフェート(KHPO)が挙げられる。中性塩としては、限定されるものではないが、硝酸アンモニウム(NHNO)及びリン酸アンモニウム((NHPO)が挙げられる。
【0039】
一実施形態では、乾燥した流動可能な補助剤組成物は、約20質量部〜約35質量部の分散剤をさらに含む。別の実施形態では、乾燥した流動可能な補助剤組成物は、約21〜27質量部の分散剤をさらに含む。別の実施形態では、乾燥した流動可能な補助剤組成物は、約24〜26質量部の分散剤をさらに含む。分散剤は、限定されるものではないが:中性化ポリカルボン酸(それは、典型的には、約0〜200,000ダルトンの分子量を有するアクリル酸の中性化ホモ又はコポリマー、特に、ポリアクリル酸ナトリウムである);中性化ポリメタクリル酸;中性化ポリマレイン酸;ジイソブチレン−無水マレイン酸の中性化コポリマー;ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸の中性化コポリマー;並びにスチレン−無水マレイン酸の中性化コポリマー(ただし、対イオンとしては、例えばNa及び/又はKが挙げられる)を含むことができる。一実施形態では、分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリカルボン酸の塩、又はそれらの組み合わせであり、より典型的には、分散剤はポリアクリル酸ナトリウムである。
【0040】
別の実施形態では、分散剤としては、限定されるものではないが:飽和若しくは不飽和C−C24脂肪酸のナトリウム若しくはカリウム塩などの脂肪酸の石けん、又はN−ラウリルサルコシンナトリウムなどのアミノカルボン酸誘導体;ラウリル硫酸ナトリウム系のアルカリ金属アルキルスルフェートなどの硫酸塩及び硫酸塩化化合物;ポリオキシエチレン化脂肪アルコールスルフェート;ポリオキシエチレン化アルキルフェノールスルフェート、及びポリオキシエチレン化アリールアルキルフェノールスルフェート;ポリオキシエチレン化脂肪アルコールホスフェートなどの、オキシエチレン化化合物のリン酸エステル類;ポリオキシエチレン化アルキルフェノールホスフェート及びポリオキシエチレン化アリールアルキルフェノールホスフェート;アルキルスルホネート(例えばナトリウムジアルキルスルホサクシネート系のC−C30酸のアルキルスルホエステル)などのアルカリ金属スルホネート;ナトリウムノニルベンゼンスルホネート及びナトリウムドデシルベンゼンスルホネートなどのアルキルベンゼンスルホネート;並びにリグノスルホン酸塩;ポリオキシエチレン化ノニルフェノール及びポリオキシエチレン化ドデシルフェノールなどのポリオキシエチレン化アルキルフェノール;ポリオキシエチレン化及び/又はポリオキシプロピレン化脂肪酸及び脂肪アルコール;ポリオキシエチレン化及び/又はポリオキシプロピレン化脂肪酸アルカノールアミド;脂肪酸油及び栄養脂のグリセロール又はプロピレングリコールエステル、脂肪酸及び酢酸及び/又は乳酸及び/又はクエン酸及び/又は酒石酸の混合物などの多価アルコール類のエステル類;糖エステル類及び糖グリセリド類などのショ糖エステル類;ソルビタンの脂肪酸エステル類;並びにそれらのポリオキシエチレン化及びポリオキシプロピレン化誘導体(例えば、ポリオキシエチレン化ポリエチレングリコール類又はポリプロピレングリコールエステル類、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル類、ポリオキシエチレン化酒石酸エステル類及びポリオキシエチレン化オレイン酸グリセリド類など)が挙げられる。
【0041】
本発明は、利用される水又は溶液の特定の用途又は品質/特性に関して好ましいであろう1つ以上の追加の成分をさらに含んでよいことを理解されたい。そのような追加の成分としては、限定されるものではないが、水コンディショナー、キレート又は金属結合剤、錯生成剤、錯化剤(例えば、硫酸アンモニウムなど)、緩衝剤(例えば、クエン酸、ポリアクリル酸など)、消泡剤、散布剤などが挙げられ、それらが(必要に応じて又は所望により特定の農業用途に)使用されてよい。
【0042】
一実施形態では、乾燥した流動可能な補助剤組成物は、約5質量部〜約30質量部のキレート剤をさらに含む。一実施形態では、乾燥した流動可能な補助剤組成物は、約21〜27質量部のキレート剤をさらに含む。一実施形態では、乾燥した流動可能な補助剤組成物は、約24〜26質量部のキレート剤をさらに含む。キレート又は金属結合剤としては、限定されるものではないが、ホスフィン類のアルキル及びアリール誘導体、ビホスフィン(biphosphine)類、アミン類、ジアミン類、イミン類、アルシン類及びそれらの複合体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、及びそれらのK、Na、NH又はアミン塩、水溶性アミノホスホネート及び有機ホスホネート系(例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホネート類、アミノトリ(メチレンジホスホネート)、ビニルジホスホネート類、ビニルホスホン酸又はビニルジホスホン酸のオリゴマー又はポリマーの塩、ビニルホスホン酸又はビニルジホスホン酸、並びにアクリル酸及び/又は無水マレイン酸及び/又はビニルスルホン酸及び/又はアクリルアミドメチルプロパン−スルホン酸のランダムコオリゴマー又はコポリマーの塩、ホスホン化ポリカルボン酸の塩、ホスホネート末端(単数又は複数)を含むポリアクリレート、ビニルホスホン酸又はビニルジホスホン酸とアクリル酸のコテロマーの塩など)、並びにそれらの混合物が挙げられる。典型的には、キレート又は金属結合剤は、ナトリウムトリポリホスフェート、ポリアクリル酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタホスホン酸ナトリウム又はそれらの組み合わせである。
【0043】
一実施形態では、分散剤は、その分散剤としての機能に加えて、塩基性塩とキレート又は金属結合剤の機能を発揮することができる。本発明の補助剤組成物中で使用されるとき、典型的には、ポリアクリレートポリマー、より典型的には、分散剤として機能するポリアクリル酸ナトリウム、塩及びキレート剤が利用される。
【0044】
別の実施形態では、本発明の補助剤組成物は:(a)約25質量部〜約55質量部、又は約35質量部〜約51質量部、又は約48質量部〜約51質量部のヒドロキシプロピルグアー;(b)約5質量部〜約15質量部、又は約10質量部〜約12質量部のリン酸水素二アンモニウム;(c)約5質量部〜約15質量部、又は約10質量部〜約12質量部の炭酸ナトリウム;並びに(d)約20質量部〜約30質量部、又は約21〜27質量部、又は約24〜26質量部の分散剤を含む。補助剤組成物は、約5質量部〜約30質量部、又は約21〜27質量部、又は約24〜26質量部のキレート剤をさらに含むことができる。
【0045】
また、本発明は、水溶液中に有効量の農薬活性成分及び補助剤組成物を含む農薬組成物を含む。
【0046】
適切な農薬活性成分は、農業病害虫、虫、菌類、雑草及び他の好ましくない物を防除するために使用される生物活性化合物である。適切な農薬活性成分としては、限定されるものではないが、殺虫剤、除草剤、植物成長調整剤、作物乾燥剤、殺菌剤、殺虫剤、静菌剤、殺虫剤、ダニ殺虫剤、抗線虫剤、及び防虫剤が挙げられる。農薬組成物は、そのような農薬活性成分を含む組成物である。
【0047】
適切な除草剤としては、限定されるものではないが、トリアジン除草剤(例えば、メトリブジン、ヘキサキシノン(hexaxinone)、又はアトラジンなど);スルホニル尿素除草剤(例えば、クロルスルフロンなど);ウラシル類(例えば、レナシル、ブロマシル、又はターバシルなど);尿素除草剤(例えば、リニュロン、ジウロン、シデュロン、又はネブロンなど);アセトアニリド除草剤(例えば、アラクロール、又はメトラクロールなど);チオカルバメート除草剤(例えば、ベンチオカーブ、トリアレートなど);オキサジアゾロン除草剤(例えば、オキサジゾンなど);フェノキシ酢酸類(例えば、2,4−Dなど);ジフェニルエーテル除草剤(例えば、フルアジホップ、アシフルオルフェン、ビフェノックス、又はオキシフルオルフェンなど);ジニトロアニリン除草剤(例えば、トリフルラリンなど);オルガノホスホネート除草剤(例えば、グリホセート塩及びエステル類など);ジハロベンゾニトリル除草剤(例えば、ブロモキシニル、又はアイオキシニルなど)、ジピリジニウム除草剤(例えば、パラコートなど)が挙げられる。
【0048】
適切な殺菌類としては、限定されるものではないが、シモキサニルなどのニトリロオキシム殺菌剤;ベノミル、カルベンダジン、又はチオファネート−メチルなどのイミダゾール殺菌剤;トリアジメホンなどのトリアゾール殺菌剤;キャプタンなどのスルフェンアミド殺菌剤;マンネブ、マンゼブ、又はチラムなどのジチオカルバメート殺菌剤;クロロネブなどの塩化芳香族殺菌剤;イプロジオンなどのジクロロアニリン殺菌剤;クレソキシム−メチル、トリプロキシストロビン又はアゾキシストロビンなどのストロビルリン殺菌剤;クロロタロニル;カッパーオキシクロリドなどの銅塩殺菌剤;硫黄;フェニルアミド類;並びにメタラキシル又はメフェノキサムなどのアシルアミノ殺菌剤が挙げられる。
【0049】
適切な殺虫剤としては、限定されるものではないが、メソミル、カルバリル、カルボフラン、アルジカルブなどのカルバメート殺虫剤;EPN、イソフェンホス、イソキサチオン、クロルピリホス、又はクロルメホスなどのオルガノチオホスフェート殺虫剤;テルブホス、モノクロトホス、又はテトラクロルビンホスなどのオルガノホスフェート殺虫剤;メトキシクロールなどの過塩化有機殺虫剤;フェンバレレート、アバメクチン又はエマメクチンベンゾエートなどの合成ピレスロイド殺虫剤;チアメトキサム又はイミダクロプリドなどのネオニコチノイド殺虫剤;ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン又はビフェントリンなどのピレスロイド殺虫剤、及びインドキサカルブ、イミダクロプリド、又はフィプロニルなどのオキサジアジン殺虫剤が挙げられる。
【0050】
適切なダニ殺虫剤としては、限定されるものではないが、プロパルギットなどの亜硫酸プロピニルダニ殺虫剤;アミトラズなどのトリアザペンタジエンダニ殺虫剤;クロロベンジレート、又はテトラジファンなどの塩化芳香族ダニ殺虫剤;及びビナパクリルなどのジニトロフェノールダニ殺虫剤が挙げられる。適切な殺線虫剤としては、オキサミルなどのカルバメート殺線虫剤が挙げられる。
【0051】
一般に、殺虫剤化合物は、本明細書では、国際標準化機構(ISO)により与えられた名前で呼ばれる。ISO一般名は、例えば、「Compendium of Pesticide Common Names」などの複数の情報源によって、国際純正・応用化学連合(IUPAC)及びケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS)名と相互参照されることができる。
【0052】
一実施形態では、農薬活性成分は、例えばナトリウム、カリウム、イソプロピルアミン、又はアンモニウム塩を含む、グルホシネート、グリホセート、水溶性グルホシネート塩、水溶性グリホセート塩、及びそれらの混合物から選択される。
【0053】
本発明は、ヒール溶液、典型的にはグリホセートヒール溶液中への混合又は追加において特に有効であることが分かった。一実施形態では、水性農薬組成物は:溶液中で約7〜約12のpH値を有する所定の対象濃度で、(補助剤組成物の100質量部を基準として)(i)約25質量部〜約75質量部の多糖、及び(ii)約20質量部〜約75質量部の塩組成物を含む有効量の水分散性補助剤組成物を既存のヒール溶液に加えることにより調製される。所望により、補助剤組成物は、約20質量部〜約30質量部の本明細書で開示されているような分散剤を含むことができる。所望により、補助剤組成物は、約5質量部〜約30質量部の本明細書で開示されているようなキレート剤を含むことができる。
【0054】
所望により、本発明の農薬組成物は、1つ以上の農学的に許容可能な溶媒をさらに含んでよい。適切な溶媒としては、例えば、水、及び有機溶媒(例えば、トルエン又はアルキル化ナフサレンなどのアルキル化芳香族溶媒、及びパラフィン系炭化水素などの鉱油留分、植物油、アルキル化種油、二塩基性エステル類など)が挙げられる。典型的には、水は、脱イオン水、硬水(すなわち、バリウム、カルシウム、マグネシウム、他の鉱物又はそれらの組み合わせなどの様々な多価金属カチオン類を含む)、水道水などを含むことができる農薬組成物又はヒール溶液を希釈するために利用される。一般に、そのような農薬溶液は、散布液中で利用される。
【0055】
グアーを含む現在入手可能な補助製剤は、約25%を超えるグアー濃度では、グリホセートヒール溶液と相溶しないようである。表1(a)を参照すると、例えば、ヒール溶液は、硫酸二アンモニウムの質量%に対して約20質量%又は25質量%より高いグアー濃度とは相溶しないことが示される。現在市販されている製剤は(硫酸二アンモニウム塩の質量%に対して)25質量%グアーを超えない。
【0056】
一実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約8ポンド未満/100ガロンで水性タンク混合物に加えられる場合を意味する。別の実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約6ポンド未満/100ガロン、より典型的には4ポンド未満/100ガロンで水性タンク混合物に加えられる場合を意味する。別の実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約4ポンド未満/100ガロンでタンク混合物に加えられる場合を意味する。別の実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約3ポンド未満/100ガロンでタンク混合物に加えられる場合を意味する。別の実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約2.5ポンド未満/100ガロンでタンク混合物に加えられる場合を意味する。さらなる実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約2ポンド未満/100ガロンでタンク混合物に加えられる場合を意味する。さらなる実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約1ポンド未満/100ガロンでタンク混合物に加えられる場合を意味する。さらなる実施形態では、低使用率は、本発明の補助剤組成物が約0.6ポンド未満/100ガロンでタンク混合物に加えられる場合を意味する。
【0057】
現在、本技術分野では、水性媒体中でグアーガムを均一に分布させて水和させることを目的とする87.50〜99.80質量%の硫酸二アンモニウム塩を有する補助剤組成物が開示されている。作用機序に拘束されることなく、大量の水溶性肥料(例えば、硫酸二アンモニウム塩など)が、グアーガム粒子を分離するための物理的障壁を形成する希釈効果を提供することを理解されたい。このプロセスによって、大量の結晶塩が、少なくとも2つの効果:(1)水性媒体に曝されたグアーガムの最大表面積を確保すること、及び(2)グアーガムの水和を強化することを提供すると理解されたい。しかし、補助製剤の割合としてグアーガムを増やす(それは、必然的に、補助製剤の割合としてより少量であり、かつグアーガムに比例して少量である比の硫酸二アンモニウムを意味する)ことにより、より少量の硫酸二アンモニウム(AMS)の結晶塩が、前述の効果を提供するために存在する。作用機序に拘束されることなく、この更に少ない相対量のジアンモニウム塩は、バルク媒体中にグアーガムを適切かつ効率的に水和させるために不十分であることを理解されたい。それ故に、増加した割合のグアー、及びその結果として比例的に減少した量の塩を含む本製剤又は本発明は、先行技術に関連するこれらの課題を解決する。
【0058】
50質量%の塩混合物による50質量%のヒドロキシプロピルグアー(HPG)の均一な分布及び水和が、後述するとおり観察される。少なくとも50質量%のHPGによって、製剤は、空気−水界面に最初になじみ、次にバルク水性媒体に徐々に分散し、そして最終的に該バルク水溶液中で水和する傾向がある。適切なバッファー及び適切な分散剤は、そのような混合物を製造するために利用されることができる。グリホセートヒール溶液中のグアーガム水和に影響する条件が研究された。幾つかの種類の塩(例えば、酸性塩、塩基性塩及び中性塩など)が、50質量%のHPGと併用して試験された。相溶性試験は、全体的な塩基性pH値を有する塩組成物と合わせられたHPGによって、そのような製剤が水性グリホセートヒール溶液中のHPGの急速なゲル化及び凝集を防ぐことができることを示す。
【実施例】
【0059】
実験
【0060】
【表1】

【0061】
上記の通り、製剤は、グリホセートヒール溶液に加えられた乾燥した流動可能な製剤中において約20%又は25%のグアーを超えられないことが分かった。そのような製剤を用いると、グアーは、該溶液中に適切に分散しない。
【0062】
【表2】

【0063】
表2を参照すると、全体的な塩基性pH値を提供する塩基性及び酸性塩の組み合わせが利用されていることが分かる。言い換えれば、全体的な塩基性pH値を有する塩の組み合わせは、塩基性塩の組み合わせに限定される必要はないが、水性媒体中のHPGの均一な水和に役立つことが分かる。HPGに関する様々な商品名が本明細書で使用されており、それらとしては、約0.001〜約3、より典型的には約0.001〜約2、最も典型的には約0.001〜約1.5の範囲のmsを有するAgRHO DEP3000及びAgRHO DR2000が挙げられる。
【0064】
ここで表3については、乳鉢及び乳棒でグアーガム及び塩を共にすり潰すことにより、本発明の製剤の実施例を調製した。相溶性試験については、脱イオン水及び硬水(MgCO及びCaCOとして測定したときに約300ppmの全硬度)下のヒール(約25%ヒール)の有無に応じてHPG及び塩混合物を試験した。ヒール試験では、100mLの水(脱イオン水又は中硬度の水)を400mLビーカー中に加えて、次に1.5gのグリホセート(ジョージア州アルファレッタのテンコズ(Tenkoz)社製バッカニア(Buccaneer)(登録商標))を加えた(約1.5%質量/質量)。スパーテルによってこの溶液を静かに混合した。製剤をこの水溶液中に加え、対象ポリマー濃度を達成する。スパーテルによりこの溶液を均一になるまで静かに混合した。別の4.5gのグリホセートを溶液中に加え、次に100mLの水を加える。溶液中の最終グリホセート濃度は、約3質量%であった。ヒール試験なしでは、100mLの水(脱イオン水又は硬水)を400mLビーカー中に加え、次に補助剤を加えた。スパーテルによりこの溶液を均一になるまで静かに混合した。6gのグリホセートの追加において、スパーテルによりこの溶液を均一になるまで静かに混合した。別の100mLをこの溶液中に加えたところ、溶液中の最終グリホセート濃度は約3質量%であった。次に、80〜100メッシュふるい(180〜150ミクロン(μm))を通して注ぐ前に、この溶液を10分以上に亘って十分に水和させて、ゲル化又は凝集が起こらないようにした。この径は、農薬スプレーフィルター及びノズルに見られる相対的なスクリーン径に基いて選択された。
【0065】
殺菌剤及び殺虫剤との相溶性について、脱イオン水下でヒール(約25%ヒール)の有無に応じて本製剤を試験した。ヒール試験では、100mLの水を400mLビーカー中に加え、次に活性成分(約25%のそれらの最終使用率)を加えた。スパーテルによりこの溶液を静かに混合した。製剤を水溶液中に加えて対象ポリマー濃度に到達させた。スパーテルによりこの溶液を均一になるまで静かに混合した。さらなる活性成分を溶液中に加え、次に100mLの水を加えた。溶液中の最終活性濃度は、それらの通常使用率に近いものであった。ヒール試験なしでは、100mLの水を400mLビーカー中に加え、次に補助剤を加えた。スパーテルによりこの溶液を均一になるまで静かに加えた。活性成分を追加する際に、スパーテルによりこの溶液を均一になるまで静かに混合した。別の100mLをこの溶液中に加えたところ、溶液中の最終活性濃度は、それらの通常使用率に近いものであった。次に、80〜100メッシュふるい(180〜150ミクロン(μm))を通して注ぐ前に、この溶液を10分以上に亘って十分に水和させて、ゲル化又は凝集が起こらないようにした。
【0066】
幾つかの種類の塩(例えば、酸性塩、塩基性塩及び中性塩など)を50質量%のHPGと併用して試験した。50質量%の塩(例えば、酸性塩:硫酸二アンモニウム((NHSO)、クエン酸(C)、及びモノカリウムホスフェート(KHPO)、中性塩:硝酸アンモニウム(NHNO)及びリン酸アンモニウム((NHPO)、及び塩基性塩:リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)及び炭酸ナトリウム(NaCO)など)とHPGにより調製された製剤を脱イオン水中におけるグリホセートヒールの有無に応じた相溶性について試験した。グリホセートヒール溶液中で行なわれた試験によって、塩基性塩が、HPGの急速なゲル化及び凝集を防ぐための最良の効果を提供することが示された。グリホセートヒール溶液なしで行なわれた試験では、塩基性塩(NHHPOが向上した相溶性を示した。さらに、ゲル化及び凝集の問題の防止における塩の全体的な効果を下記(相溶性における最小から最大までの効果)の通りランク付けした。
ヒール試験あり:NHNO≒(NHPO<(NHSO≒KHPO<(NHHPO<NaCO
ヒール試験なし:NHNO≒(NHPO<NaCO<(NHSO≒KHPO<(NHHPO
【0067】
様々な塩の相溶性結果に基づいて、試験を行なって、グアーガム用バッファーとして塩基性塩混合物を使用する実行可能性(すなわち、水性媒体中における互いの分離、及び水和)を決定した。グリホセートヒール溶液の有無に応じた相溶性試験のために、50質量%のHPG及び様々な比の(NHHPO/NaCO混合物を有する製剤を調製した。さらに、最終製剤は殺虫剤及び殺菌剤散布のために主に使用されるであろうから、脱イオン水及び硬水中におけるHPGの全水和率を評価した。質量を単位とする比とともに全結果を表3に示した。
【0068】
【表3】

【0069】
50:25:25、50:35:15、50:37.5:12.5、50:40:10、及び50:45:5の質量比におけるHPG:(NHHPO:NaCOの製剤は、実験条件下で好ましい相溶性効果を示した。さらに、本製剤は、金属結合剤を含まないので、硬水(MgCO及びCaCOとして測定された約300ppmの全硬度)中の硬水イオンとともに不溶性塩を形成する傾向がある。しかし、水和については、HPGは、上述の条件においてゲル化及び凝集の問題なしに水和できた。
【0070】
ここで表4については、ポリアクリル酸ナトリウムなどのキレート剤を製剤に加えて、硬水(約300ppm)との不溶性塩の形成を防いだ。それぞれ50:25:12.5:12.5の比のHPG:ポリアクリル酸ナトリウム(CH−CH(COONa)−):(NHHPO:NaCOの製剤は、HPGの均一な分散を提供し、そして水溶液中のHPGのための適切な水和環境を提供する。ポリアクリル酸ナトリウムの存在下では、この製剤は、硬水と不溶性塩を形成しなかった。なお、ポリアクリル酸ナトリウムも製剤中の塩基性塩バッファー及び分散剤として機能した。表5を参照すると、この製剤も除草剤、殺虫剤及び殺菌剤との良好な相溶性を示した。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
実験から、約25質量%のポリアクリル酸ナトリウム、約12.5質量%のリン酸水素二アンモニウム、及び約12.5質量%の炭酸ナトリウムと混合している約50質量%のHPGの処方は、HPGの均一な分布(及び水溶液中のHPGの最大表面積)を確保するための1つの最適な処方として認識された。また、25質量%のポリアクリル酸ナトリウムは:水品質改良剤、空気/水(a/w)界面で急速なグアー水和を分離して防ぐための塩基性塩、及び分散剤として、多数の有益な効果を有するように見える。12.5質量%のリン酸水素二アンモニウム及び12.5質量%の炭酸ナトリウムの混合物が、グアーガム粒子を分離して、凝集又はゲル化につながる水和を避けるための塩基性バッファーとして機能することが分かる。本発明の製剤は、50質量%以下のHPGを含み、そして水性グリホセートヒール溶液との相溶性を提供する。なお、この製剤も殺虫剤及び殺菌剤と相溶する。また、様々な塩の組み合わせを有する多くの他の製剤並びに展着剤及び金属結合剤の追加も利用できる。
【0074】
上記で明確に議論されたもの以外の実施形態が本発明の理念及び範囲に属することを理解されたい。したがって、本発明は、上記の説明に限定されないが、特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助剤組成物の100質量部を基準として:
(a)約25質量部〜約95質量部の多糖;及び
(b)約5質量部〜約75質量部の塩組成物
を含むことにより、ヒール溶液中で水和することができる補助剤組成物。
【請求項2】
前記塩組成物は、リン酸水素二アンモニウム、炭酸ナトリウム及びそれらの組み合わせから成る群から選択され、そして前記多糖は、非誘導体化グアー又は誘導体化グアーである、請求項1に記載の補助剤組成物。
【請求項3】
前記補助剤組成物の水溶液は、約7〜約10のpH値を有する、請求項1に記載の補助剤組成物。
【請求項4】
実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物の100質量部を基準として:
(a)約25質量部〜約75質量部の多糖;
(b)約20質量部〜約60質量部の塩組成物;及び
(c)約20質量部〜約35質量部の分散剤
を含むことにより、ヒール溶液中で水和することができる実質的に乾燥した流動可能な補助剤組成物。
【請求項5】
前記塩組成物は、リン酸水素二アンモニウム、炭酸ナトリウム及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項4に記載の補助剤組成物。
【請求項6】
前記補助剤組成物は:
(a)約45質量部〜約55質量部の、ヒドロキシプロピルグアーを含む多糖;
(b)約10質量部〜約15質量部のリン酸水素二アンモニウム;
(c)約10質量部〜約15質量部の炭酸ナトリウム;及び
(d)約20質量部〜約30質量部の、ポリアクリル酸ナトリウムを含む分散剤
を含む、請求項5に記載の補助剤組成物。
【請求項7】
(a)分散性補助剤組成物の100質量部を基準として:
(i)約25質量部〜約75質量部の多糖;及び
(ii)約20質量部〜約75質量部の塩組成物
を含む、堆積又はドリフト抑制性を水性農薬組成物に提供するのに有効な量の分散性補助剤組成物であって、該補助剤組成物の水溶液は約7〜約10のpH値を有する分散性補助剤組成物;並びに
(b)有効量の農薬活性成分
を含む水性農薬組成物。
【請求項8】
(a)分散性補助剤組成物の100質量部を基準として:
(i)約25質量部〜約75質量部の多糖;及び
(ii)約20質量部〜約75質量部の塩組成物
を含む、堆積又はドリフト抑制性を提供するのに有効な量の分散性補助剤組成物であって、該補助剤組成物の水溶液は約7〜約10のpH値を有する分散性補助剤組成物;並びに
(b)有効量の農薬活性成分
を含む農薬組成物を対象植物に適用する工程を含む、対象植物を処理する方法。
【請求項9】
前記補助剤組成物は:
(iii)約20質量部〜約30質量部の分散剤;及び
(iii)約20質量部〜約30質量部のキレート剤
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
補助剤組成物の100質量部を基準として:
(i)約25質量部〜約75質量部の多糖、及び
(ii)約20質量部〜約75質量部の塩組成物
を含む、堆積又はドリフト抑制性を水性農薬組成物に提供するのに有効な量の補助剤組成物をヒール溶液に加える工程を含む、水性農薬組成物の製造方法。
【請求項11】
有効量の農薬活性成分を前記補助剤組成物又は前記ヒール溶液に加える工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2011−522045(P2011−522045A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512466(P2011−512466)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/003345
【国際公開番号】WO2009/148570
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(508339035)
【Fターム(参考)】