説明

低多分散性ポリHEMA組成物

【課題】特定の分子量範囲および多分散性を有するポリHEMA組成物を得る。
【解決手段】約25,000から約100,000までの、好ましくは約25,000から約80,000までのピーク分子量およびそれぞれ約2よりも小さく、約3.8よりも小さい多分散性を有していて、少なくとも1種類の架橋可能な官能基が共役的に結合しているポリHEMAを含む組成物。さらに架橋可能なプレポリマーを作成するために適している低い多分散性のポリHEMA、当該多分散性のポリHEMAを官能性化および精製して上記の架橋可能なプレポリマーを形成するための方法、当該架橋可能なプレポリマーにより作成される粘性溶液、当該粘性溶液により作成されるヒドロゲル、および上記の架橋可能なポリマー、ヒドロゲルおよび粘性溶液により作成される物品。

【発明の詳細な説明】
【発明の内容の開示】
【0001】
関連出願情報
本特許出願は2002年3月11日に出願されている米国仮特許出願第60/363,639号の優先権を主張している。
【0002】
発明の分野
本発明は特定の分子量範囲および多分散性(polydispersity)を有するポリHEMA組成物に関連している。さらに、上記のポリHEMAによりコンタクト・レンズを作成するための方法および当該方法により作成したコンタクト・レンズも開示されている。
【0003】
発明の背景
コンタクト・レンズは1950年代から視力を改善するために商業的に用いられている。最新のコンタクト・レンズはHEMA等のような親水性のモノマーおよびビニルピロリドンを少量の架橋剤の存在下に重合することにより形成される種々のヒドロゲルにより作成されている。これらのモノマーの重合は収縮を生じ、この収縮は容積の20%程度になる可能性がある。
【0004】
PVAの主鎖およびアクリル基等の反応性の基を有する種々のプレポリマーが開示されている。この反応性のプレポリマーは水に溶けて、UV光による照射により金型の内部において架橋してコンタクト・レンズを形成する。硬化中の収縮は小さいが、上記のようにして形成されるこれらのヒドロゲルはコンタクト・レンズの用途において限界になる可能性のある種々の機械的特性を示している。
【0005】
米国特許第4,495,313号、同第4,889,664号および同第5,039,459号は従来のヒドロゲルの形成を開示している。
【0006】
発明の説明
本発明は約25,000乃至約100,000、好ましくは25,000乃至80,000のピーク分子量およびそれぞれ約2よりも小さく約3.8よりも小さい多分散性を有しており、少なくとも1種類の架橋可能な官能基が共有結合しているポリHEMAを含有している組成物に関連している。
【0007】
本発明はさらに本発明の架橋可能なプレポリマーを作成するために適している低多分散性のポリHEMA、上記の架橋可能なプレポリマーを形成するために上記ポリHEMAを官能性化および精製するための方法、上記の架橋可能なプレポリマーにより作成される種々の粘性の溶液、これらの粘性の溶液により作成される種々のヒドロゲル、上記の架橋可能なポリマー、ヒドロゲルおよび粘性の溶液により作成される種々の物品に関連している。さらに、本発明は上記の粘性の溶液、ヒドロゲルおよび物品を作成するための方法に関連している。好ましい物品は種々の医療装置、具体的には、コンタクト・レンズを含む。
【0008】
本発明者はポリHEMAの種々のヒドロゲルが有する望ましくない収縮、膨張および関連の問題が比較的に低い分子量および低い多分散性を有する架橋可能なプレポリマーによりヒドロゲルを製造することにより解消できることを見出している。本発明者はまた比較的に低い分子量および低い多分散性を有するポリHEMAが新規で実用的な方法により調製可能であり、それら自体で有用な適用性を有することも見出している。加えて、本発明のポリHEMAは改善された機械的特性を伴う種々の親水性の被膜およびコンタクト・レンズを含む多数の物品を作成するために有用である種々の架橋可能なプレポリマーに変換できる。さらに、本発明の架橋可能なプレポリマーは高精度の成形された種々の物品の製造を可能にする。
【0009】
本明細書において用いられているように、「ポリHEMA(poly-HEMA)」は2−ヒドロキシエチル・メタクリレートの反復単位を含む種々のポリマーを意味する。本発明のポリHEMAは約2よりも小さい多分散性を伴う約25,000から約3.8よりも小さい多分散性を伴う約100,000のピーク分子量までの範囲内のピーク分子量を有している。好ましくは、この本発明の組成物は約2よりも小さい多分散性を伴う約30,000から約3.5よりも小さい多分散性を伴う約90,000までのピーク分子量を有している。さらに好ましくは、上記の本発明の組成物は約2よりも小さい多分散性を伴う約30,000から約3.2よりも小さい多分散性を伴う約80,000までのピーク分子量を有している。適当なポリHEMAはまた約100,000よりも小さいピーク分子量および約2よりも小さい多分散性、好ましくは約45,000乃至100,000のピーク分子量および約2.5よりも小さい多分散性を有することもできる。特定の実施形態において、上記の多分散性は約2.5よりも小さく、好ましくは約2よりも小さく、さらに好ましくは約1.7よりも小さく、一部の実施形態において約1.5よりも小さい。なお、上記用語のポリHEMAは、上記においておよび本明細書の全体を通して用いられているように、2−ヒドロキシエチル・メタクリレートの単独ならびに以下においてさらに説明されているような別のモノマーまたは共反応物質を伴う種々のコポリマーにより調製されている種々のポリマーを含む。
【0010】
本発明のポリHEMAは分枝状のポリマー鎖およびゲル粒子を実質的に含まないことが必要である。このゲル粒子は二官能性または多官能性の種々のモノマーにより架橋される種々のポリマー鎖であると考えられるポリマーの不溶性の部分である。また、上記の「実質的に含まない(substantially free from)」により、本発明者は約0.1重量%よりも少ないゲル粒子および/または枝分かれしたポリマー鎖を意味している。それゆえ、上記HEMAモノマーにおける低い架橋成分の濃度が必要とされている。好ましくは、この架橋成分の量は約1%よりも少なく、さらに好ましくは約0.5%よりも少なく、一部の実施形態においては、存在する全ての成分に基いて約0.25%よりも少ない。なお、全ての重量%は特別に定められていない限りにおいて存在する全ての成分に基いている。上記の架橋成分は2種類以上の重合可能な官能基を伴う種々の化合物である。このような架橋成分の例はTEGDMA(テトラエチレングリコール・ジメタクリレート)、TrEGDMA(トリエチレングリコール・ジメタクリレート)、トリメチルロールプロパン・トリメタクリレート(TMPTMA)およびエチレングリコール・ジメタクリレート(EGDMA)を含む。なお、EGDMAは本発明のポリHEMAを作成するために用いる市販の2−ヒドロキシエチル・メタクリレートモノマーにおいて多くの場合に存在している。それゆえ、本明細書において定められているような低いEGDMAの濃度を有しているHEMAモノマーを購入するために注意を払う必要がある。なお、適当な品等のHEMAモノマーがローム・GmbH・ケミッシェ・ファブリック社(Rohm GmbH Chemische Fabrik)(D−64,293、ダルムシュタット、ドイツ国)から購入できる。
【0011】
上記のHEMAモノマーと共に重合できる適当なコモノマーは種々のビニル含有モノマー等のような親水性のモノマーおよび疎水性のモノマーならびに異なる波長において光吸収を行なう着色モノマーを含む。なお、用語の「ビニル型(vinyl-type)」または「ビニル含有(vinyl-containing)」のモノマーはビニル基(−CR=CR’R”、この場合に、R,R’およびR”は一価の種々の置換基である)を含む種々のモノマーを意味し、これらのモノマーは比較的に容易に重合することが知られている。適当なビニル含有モノマーはN,N−ジメチル・アクリルアミド(DMA)、グリセロール・メタクリレート(GMA)、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド、ポリエチレングリコール・モノメタクリレート、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、N−ビニル・ラクタム(例えば、N−ビニル・ピロリドン、またはNVP)、N−ビニル−N−メチル・アセトアミド、N−ビニル−N−エチル・アセトアミド、N−ビニル−N−エチル・ホルムアミド、N−ビニル・ホルムアミド、ビニル・カルボネート・モノマー、ビニル・カルバメート・モノマー、オキサゾロン・モノマー、およびこれらの混合物等を含む。
【0012】
さらに別の例は米国特許第5,070,215号、同第4,711,943号において開示されている親水性のビニル・カルボネートまたはビニル・カルバメートのモノマーおよび米国特許第4,910,277号において開示されている親水性のオキサゾロン・モノマーであり、これらの開示は本明細書に参考文献として含まれる。また、別の適当な親水性のモノマーが当該技術分野における熟練者において明らかになる。
【0013】
本発明のポリマーに組み込むことのできる比較的に好ましい親水性のモノマーはDMA、GMA、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド、NVP、ポリエチレングリコール・モノメタクリレート、MAA、アクリル酸およびこれらの混合物のような親水性モノマーを含む。さらに、DMA、GMAおよびMAAは特定の実施形態において最も好ましいと考えられる。
【0014】
上記の選択された疎水性のモノマーはHEMAと共にある濃度においてある方法により重合されることが重要であり、この方法はその結果として得られるポリHEMAの選択された希釈剤中における適当な溶解度を生じると共に、そのポリHEMAにおけるヒドロキシル基の反応性またはその架橋可能なプレポリマーにおける架橋可能な種々の官能基の反応性を妨げない。
【0015】
また、適当な疎水性のモノマーは重合可能なビニル基を有する種々のシリコーン含有のモノマーおよびマクロマーを含む。好ましくは、このビニル基はメタクリルオキシ基である。上記の適当なシリコーン含有のモノマーおよびマクロマーの例は少なくとも2個の[−Si−O−]の反復単位を含むmPDMS型モノマー、約2000ダルトンよりも小さい平均分子量を有する重合可能な基、ヒドロキシル基および少なくとも1個の「−Si−O−Si−」の基を含むSiGMA型モノマー、および少なくとも1個のSi(OSi−)3 の基を含むTRIS型モノマーを含む。さらに、適当なTRISモノマーの例はメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、およびこれらの混合物等を含む。
【0016】
好ましくは、上記mPDMS型モノマーは20重量%よりも多い、さらに好ましくはそのシリコーン含有モノマーの全体の分子量の30重量%よりも多い、量で合計のSiおよび結合しているOを含む。さらに、適当なmPDMSモノマーは以下の化学式を有している。
【0017】
【化1】

【0018】
適当な線形のモノアルキル末端化したポリジメチルシロキサン(「mPDMS」)の例は以下の化学式の物質を含み、
【0019】
【化2】

この場合に、b=0乃至100であり、この場合に、このbは定められた値、好ましくは4乃至16、さらに好ましくは8乃至10にほぼ等しいモードを有する区域であることが理解され、R58は少なくとも1個のエチレンの形態で不飽和な部分を含む重合可能な一価の基、好ましくはスチリル、ビニル、(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリレートの部分、さらに好ましくはメタクリレートの部分を含む一価の基を含み、各R59はそれぞれ独立してさらにアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸またはエーテルの基により置換されていてもよい一価のアルキルまたはアリールの基、好ましくは無置換型の一価のアルキルまたはアリールの基、さらに好ましくはメチル基であり、R60はさらにアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸またはエーテルの基により置換されていてもよい一価のアルキルまたはアリールの基、好ましくは無置換型の一価のアルキルまたはアリールの基、好ましくは種々のヘテロ原子を含むことのできるC1-10の脂肪族または芳香族の基、さらに好ましくはC3-8 の種々のアルキル基、最も好ましくはブチル基であり、R61はそれぞれ独立してアルキルまたは芳香族の基、好ましくはエチル、メチル、ベンジル、フェニル、または1乃至100個の反復しているSi−Oの単位を含む一価のシロキサン鎖である。
【0020】
上記のmPDMS型モノマーは本明細書に参考文献として含まれる米国特許第5,998,498号にさらに完全に開示されている。
【0021】
好ましくは、上記SiGMA型モノマーにおいて、そのケイ素および結合している酸素はそのモノマーの約10重量%含まれており、さらに好ましくは約20重量%よりも多く含まれている。このようなSiGMA型モノマーの例は以下の化学式Iのモノマーを含み、
【0022】
【化3】

この場合に、それぞれの置換基は本明細書に参考文献として含まれる米国特許第5,998,498号において定められている。
【0023】
適当なSiGMA型モノマーの特定の例は2−プロペン酸,2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル]オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピル・エステル、
【0024】
【化4】

および(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランを含む。
【0025】
【化5】

【0026】
別の適当なヒドロキシル官能性化したシリコーン含有モノマーが本明細書に参考文献として含まれる米国特許第4,235,985号、同第4,139,513号および同第4,139,692号において開示されている。
【0027】
さらに別のSiGMA型モノマーの例は、限定を伴わずに、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランを含む。
【0028】
上記の親水性および疎水性の各モノマーの間の比率が上記のポリHEMAにより調製される官能性化した架橋可能なプレポリマーが以下において説明されている親水性の希釈剤中において溶解して硬化できるように設定されることが重要である。
【0029】
さらに、メチルメタクリレートおよびエチルメタクリレート等のような種々の疎水性のモノマーをその目的の用途における要望に応じて水の吸収、酸素透過率、またはその他の物理的特性を変更するために上記ポリHEMAの中に組み込むことも可能である。このようなコモノマーの量は一般に約50重量%よりも少なく、好ましくは約0.5重量%乃至40重量%である。さらに特定的な範囲は結果として得られるヒドロゲルにおいて望まれる含水量、選択される各モノマーおよび選択される希釈剤の溶解度に応じて決まる。例えば、上記のコモノマーがMMAを含む場合に、このMMAは約5重量%よりも少ない、好ましくは約0.5重量%乃至約5重量%の量で有益的に含有できる。また、別の実施形態において、上記コモノマーは約50重量%までの、好ましくは約25重量%乃至約45重量%の量でGMAを含有している。さらに別の実施形態において、上記コモノマーは約50重量%までの量で、好ましくは約10重量%乃至約40重量%の量でDMAを含有している。
【0030】
また、種々の開始剤および連鎖移動剤も使用できる。例えば、種々の熱活性化型開始剤、UVおよび/または可視光型の光開始剤、およびこれらの組み合わせ物等を限定を伴わずに含む任意の望ましい開始剤が使用できる。適当な熱活性化型開始剤は過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等を含む。さらに、好ましい開始剤は2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBM)および/または2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含む。
【0031】
上記の開始剤は、例えば、100部の反応性モノマー当たりに約0.1重量%乃至約5重量%、好ましくは約0.1乃至約2重量部の有効な量で上記反応混合物において使用できる。
【0032】
本発明のポリHEMAは多数の方法で形成できる。一例の実施形態において、上記のHEMAモノマーおよび任意の所望のコモノマーがフリー・ラジカル重合法により重合できる。この重合は上記のHEMAモノマーを溶解して重合中にその結果としてのポリHEMAを生じることのできる任意の溶媒中において行なわれる。このようなHEMAモノマーの重合において適している溶媒は種々のアルコール、グリコール、ポリオール、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、エステル・アルコール、ケトン、スルホキシド、ピロリドン、アミド、およびこれらの混合物等を含む。さらに、特定の溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、メチルラクテート、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ドワノール(Dowanol)範囲の生成物等のようなグリコールエーテル、エトキシプロパノール、DMF、DMSO、NMP、シクロヘキサノン、およびこれらの混合物等を含む。好ましい溶媒は1個乃至4個の炭素原子を有する種々のアルコール、さらに好ましくはエタノール、メタノールおよびイソプロパノールを含む。また、上記の各モノマーを溶解するために十分な溶媒を用いる必要がある。一般に、上記の溶媒中において約5重量%乃至約25重量%のモノマーが適当である。
【0033】
上記のフリー・ラジカル重合は約40℃乃至約150℃の温度で行なわれる。この上限は利用可能な装置の圧力の限界値および重合の発熱を処理する能力により決まる。また、下限は最大の許容可能な反応時間および/または開始剤の特性により決定される。概ね周囲温度における重合の場合に、好ましい温度範囲は約50℃乃至約110℃、さらに好ましくは約60℃乃至約90℃であり、望まれる程度の変換を生じるために必要な時間に対応する。フリー・ラジカル重合反応は比較的に速く進行する。すなわち、上記のモノマーの約90%乃至約98%が約1時間乃至約6時間以内に反応する。さらに完全な(約99%よりも高い割合の)変換が望まれる場合には、上記の反応は約12時間乃至約30時間、さらに好ましくは約16時間乃至約30時間にわたり行なうことができる。ただし、上記の重合工程において調製したポリHEMAは多くの場合において低分子量の種を除くために分別処理を受けるので、全ての実施形態において高度な変換まで重合処理を行なうことが必ずしも必要でないことが有り得る。また、圧力は決定的ではなく、周囲圧力が適宜に使用できる。
【0034】
連鎖移動剤を随意的に含むことができる。本発明において使用するポリHEMAの形成において有用な連鎖移動剤は約0.001よりも高い、好ましくは約0.2よりも高い、さらに好ましくは約0.5よりも高い連鎖移動定数の値を有している。適当なこのような連鎖移動剤が知られており、化学式R−SHの脂肪族チオールを限定を伴わずに含み、この場合に、RはC1 乃至C12の脂肪族、ベンジル、環状脂肪族であり、あるいはCH3 (CH2x −SHにおいてxが1乃至24であり、さらにベンゼン、塩化n−ブチル、塩化t−ブチル、臭化n−ブチル、2−メルカプト・エタノール、1−ドデシル・メルカプタン、2−クロロブタン、アセトン、酢酸、クロロホルム、ブチル・アミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブチル・スルフィドおよびジスルフィド、四塩化炭素、および四臭化炭素等、およびこれらの組み合わせ物を含む。一般に、上記モノマー配合物の全重量に基づいて約0重量%乃至約7重量%が用いられる。好ましくは、ドデカンチオール、デカンチオール、オクタンチオール、メルカプトエタノール、またはこれらの組み合わせ物が上記の連鎖移動剤として用いられている。
【0035】
一部の実施形態において、連鎖移動物質を伴わずに上記のポリHEMAを重合することが好ましい。この場合に、好ましくは1個乃至4個の炭素原子を有する種々のアルコール等のようなアルコールが溶媒として用いられており、さらに、この溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、およびこれらの混合物であることが好ましい。
【0036】
上記のフリー・ラジカル重合法において形成したポリHEMAは本発明における直接的な使用においては高すぎる多分散性を有している。このことは上記の方法の反応速度により生じており、この場合に、重要な停止反応は2種類の成長しているポリマー鎖の組み合わせである。従って、本発明のポリHEMAを形成するために上記のフリー・ラジカル重合法を用いる場合に、望まれる範囲から外れている分子量を有するポリマーを除くために官能性化の処理の前またはその後のいずれかにおいてそのポリHEMAを精製する必要がある。さらに、分子量に基づいて材料を分離できる任意の方法が使用できる。
【0037】
溶媒/非溶媒を使用する分別処理を採用することができる。非溶媒へのHEMAコポリマーの滴下様式の添加による析出によるHEMAコポリマーの精製が米国特許第4,963,159号において記載されている。その後、この析出したHEMAコポリマーを溶媒中に溶かすことにより、重合していないモノマーを実質的に含まない溶液を得ることができる。
【0038】
上記の溶媒および非溶媒は本発明のポリHEMAを形成するために不所望に高い分子量のポリHEMAを除くためのハンセン(Hansen)溶解度パラメータに基づいて選択できる。このハンセン溶解度パラメータはポリマー−液体間の種々の相互作用を説明しており、それぞれの溶媒およびポリマーにそれぞれの相互作用を説明する一組の3個のパラメータ、すなわち、δH ,δP ,δD を割り当てることができる。なお、このシステムの説明はハンドブック・オブ・ポリマー・リキッド・インタラクション・パラメータズ・アンド・ソリュービリティ・パラメータズ(Handbook of Polymer Liquid Interaction Parameters and Solubility Parameter),CRCプレス社(CRC Press, Inc.),1990年、およびハンドブック・オブ・ソリュービリティ・パラメータズ・アンド・アザー・コヒージョン・パラメータズ(Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters),A.F.M.バートン(A. F. M. Barton),CRCプレス(CRC Press),1985年,表5において見られる。なお、各組の3個のパラメータは三次元的な溶解度の空間内における点を定めている。
【0039】
液体がポリマーに対応する溶媒として作用するために、この溶媒の各パラメータをそのポリマーの各パラメータに近づける必要がある。従って、ポリHEMAのハンセン溶解度パラメータはそのポリマーのサンプルを多数の異なる溶媒中において保管する種々の溶解度試験により決定できる。すなわち、上記のポリマーが溶解しているか、膨潤しているか、あるいは無変化であるかを観察することにより、ハンセン・ソリュービリティ・パラメータズ;ア・ユーザーズ・ハンドブック(Hansen Solubility Parameters; A User’s Handbook),チャールズ・M.ハンセン(Charles M. Hansen),p.43−53,CRCプレス(CRC Press),2000年、および計算のためのシー・エム・エイチズ・スフェア(CMH’s Sphere)コンピュータ・プログラムにおいて説明されているような溶解度の空間内における特定のポリHEMAに対応する溶解度の球体を実質的にプロットすることが可能になる。一部のポリHEMA組成物に対応する各パラメータが以下の表1において記載されており、図1においてプロットされている。
【0040】
【表1】

【0041】
分別のために、ポリHEMAはこのポリマーに対応する溶解度球体の内部にある溶媒中に溶解される。この場合に、適当な溶媒は以下の範囲内、すなわち、約13乃至約20のδD 、約5乃至約18のδP 、約10乃至約25のδH の溶解度パラメータを有している。さらに、上記の三次元的な溶解度の空間内における上記の溶媒とポリマーとの間の好ましい距離は以下の値、すなわち、約5乃至約10のδD 、約4乃至約12のδP 、約10乃至約6のδH を超えないことが必要がある。
【0042】
上記のようにポリHEMAを溶解した後に、結果として得られる分離用の混合物の溶解度パラメータの少なくとも1個を減少する(原点に向かって移動する)非溶媒が高分子量の材料の所望の程度の析出が得られるまでその溶解したポリHEMAの溶液に徐々に加えられる。なお、上記3個の全ての溶解度パラメータを減少する必要はない。多くの実施形態において、δH パラメータ等のような上記のパラメータの内の1個のみを減少することが十分になる。また、別の実施形態において、δH およびδP の両方のパラメータを減少することが有利になる。また、本発明者は上記溶媒の各パラメータの予想外に小さな減少(約2乃至約5の単位程度に小さい)がしばしば望ましい分離を生じることを見出している。
【0043】
上記の非溶媒は約90,000よりも大きなピーク分子量を有するポリHEMAの選択的な析出を確実にするように上記パラメータの内の少なくとも1個を減少する必要がある。この非溶媒がその分離用の混合物の各溶解度パラメータを増大する場合には、その析出は分子量の関数から大きく外れるようになり、望ましい分子量範囲内のポリHEMAが損失する。
【0044】
上記の非溶媒を上記のポリマー溶液に加える場合に、その非溶媒の局在化した高い濃度を避けることが困難になる可能性がある。このことは局在的な非特定的なポリマーの析出を生じることになる。このような場合に、平衡状態が再び確立されるまでその添加を停止することが有用になる。また、上記の非特定的な析出は上記の分離用の混合物が透明になるまでその混合物の温度を高めるか、その非溶媒をある程度比較的に高い温度で加えた後にその温度を所望の分離が得られるまで下げることにより最少にすることも可能である。さらに、上記の分離は遠心処理を含むがこれに限定されない種々の既知の手段により補助できる。
【0045】
上記の析出の量および速度はその分離を行なう温度、上記非溶媒の各溶解度パラメータ、およびその非溶媒が添加される速度およびその非溶媒の適当な混合状態が存在しているか否かに応じて変る。また、上記のフリー・ラジカル重合法により生成されるポリHEMAの分子量に応じて、その析出するポリマーの量が高い分子量のポリマーの望ましい除去を行なうための溶液中における全体のポリHEMAの内の約5%乃至約50%になると考えられる。
【0046】
上記の高分子量のポリHEMAは上記の溶媒/非溶媒の混合物から析出して、濾過、遠心処理等のような種々の従来的な手段により分離できる。さらに分離が望まれる場合には、上記のように各溶解度パラメータをさらに低下させることによって上記の分別処理を繰り返すことが可能である。この場合も同様に、析出されて溶液から除去可能になる物質は主に最も高い分子量を有する物質である。
【0047】
望ましく選択的に除去される上記高分子量のポリHEMAは溶液中において高い粘度を有する。このことは、一部の場合において、上記の方法を用いる場合に極めて困難な分離を生じる。本発明はそれゆえ代替的な分別方法を提供しており、この場合に、ポリHEMAの均質な溶液がわずかに冷却されて、そのポリマー溶液が分子量の範囲に従って2種類の液体の相に分離する。さらに、この方法は以下の工程を含む。
1.ハンセン溶解度の範囲を用いて上記の定められた範囲内における溶媒中のポリHEMAの溶液を調製する。
2.サンプルが不均質になり、2種類の相に分離するまで上記溶液のサンプルを冷却することによりその溶液の分離温度Ts を決定する。この分離または混濁の最初の傾向が見られる温度がTs である。
3.2種類の相が形成されるTs よりも低い温度まで上記溶液を冷却する。
4.上記2種類の相を分離する。この下方の相が上記の最も高い分子量の物質を含むことになる。
【0048】
上記の方法を用いることにより、高い分子量のポリHEMAを最初に除いた後に、上記の所望の範囲よりも低い分子量を有するポリHEMAを除くことが可能になる。それゆえ、例えば、ポリHEMA/溶媒の混合物を2種類の層に分離することが認められているTs よりも数度だけ低く冷却して、低い分子量および中間の分子量のポリHEMAを含む上方の相を吸い取り、さらに第2の分離を達成する比較的に低い温度に冷却し、低い分子量のフラクションの希薄溶液であるその第2の上方の相を吸い取り、主に望ましい低い多分散性のポリHEMAを含有しているその第2の下方の相を取り出す。この第2の下方の相におけるポリHEMAは相当に減少された量の高い分子量および低い分子量のポリHEMAを含有している。
【0049】
多くの用途において、上記第2の下方の相から得られるポリマーは直接的に用いることができる。さらに、上記の処理を繰り返すことによりさらに高度な分別を行なうことが可能である。
【0050】
溶媒の適当な選択によりTs に影響を及ぼすことが可能である。例えば、イソプロパノール中におけるポリHEMAの溶液は溶媒がエタノールである溶液よりも高いTs を有する。さらに、種々の溶媒の混合物を使用することにより、最良の分離状態が得られる温度を細かく調整することが可能になる。このようなTs に基く分別のために有用である適当な溶媒は低いδH およびδP の各パラメータ、好ましくは約4よりも小さいδH および約6よりも小さいδP を有する溶媒を含む。なお、特定の実施例はヘキサンおよびヘプタンを含む。このことは高分子量のポリHEMAを既に除いている溶液から低分子量の物質を除去することを目的とする場合に有用になると考えられる。また、更新された分離状態を得るために、約5℃乃至約10℃等のような室温よりも十分に低い温度を用いることが必要とされる場合が多い。このような場合に、上記の分離温度を、例えば、上記のポリHEMA溶液が液体状態のままである、ほぼ周囲温度乃至約50℃の比較的に実用的なレベルに上げる少量の溶媒を添加することが実用的になる可能性がある。
【0051】
上記のTs はまた上記溶液中のポリHEMAの濃度および多分散性により影響を受ける。例えば、上記の高分子量および低分子量のポリHEMAの除去は溶液中においてその元の比較的に高い多分散性の物質よりも高いTs を与えるポリHEMAを生じることができる。また、比較的に低い濃度に希釈することは比較的に高い温度における分離を生じる可能性がある。この理由として、低分子量のポリHEMA鎖の特定の濃度がこれよりも長い分子鎖を溶液中に留めることに役立つ可能性があるということが考えられる。
【0052】
上記のポリマー濃度、溶媒の選択、および分離温度の操作により、上記2種類の相の間の容量比率ならびにそれぞれの中におけるポリHEMAの濃度に影響を及ぼす可能性がある。
【0053】
上記の分別において適当な温度範囲は約5℃乃至約50℃の範囲を含む。また、適当な継続時間は約1時間乃至約7日間を含む。
【0054】
上記高分子量の物質と共に排出されるポリHEMAの量はそのポリHEMAの約10重量%乃至約50重量%にする必要がある。また、上記低分子量のフラクションに伴う約5重量%乃至約40重量%の除去は多くの場合において実用的であり、これらの高分子量および低分子量の物質の除去後における低い多分散性を有するポリHEMAの収率はその元の量の約10%乃至約90%、好ましくは約30%乃至約80%になる可能性がある。しかしながら、このように減少した収率は上記のフリー・ラジカル重合法により生成されるポリHEMAが比較的に安価であり、その分別した物質が多くの用途において高い有用性を有するので、大して問題にならない。
【0055】
好ましいポリHEMAにおいて、約15,000よりも低い分子量を有するポリマー分子の量は約10%よりも少なく、好ましくは約5%よりも少なく、さらに好ましくは約2%よりも少ない。
【0056】
上記の分別法が柔軟であり、特定のポリマーの性質に応じて適合できることが上記の説明および各実施例から明らかになる。望ましい程度の多分散性を得るために必要とされる諸条件は上記の開示を利用している単純な小規模の種々の実験により容易に決定できる。
【0057】
適当な温度範囲は約5℃乃至約50℃を含む。また、適当な継続時間は約1時間乃至約7日間を含む。
【0058】
上記のフリー・ラジカル重合およびその後の分別処理により調製されるポリHEMAの一例の重要な利点はその重合において使用する種々の開始剤および他の添加物が多年にわたり使用されていること、およびそれぞれの毒物学が知られていて十分に説明されていることである。このことは上記のポリHEMA、その架橋可能なプレポリマーまたはその結果として得られるヒドロゲルが医療用途において用いられる場合に重要である。
【0059】
一例の実施形態において、低分子量のフラクションのみが上記のポリHEMAから除去されている。このことは上記の溶媒/非溶媒式の方法により行なうことができる。好ましい実施形態において、上記低分子量の物質は上記ポリHEMAが分別された後の洗浄工程中において除去される。
【0060】
本発明のポリHEMAはまた、TEMPO型重合、ATRP(アトム・トランスファー・ラジカル重合)、GTP(グループ・トランスファー重合)、およびRAFT(リバーシブル・アディション−フラグメンテーション・チェイン・トランスファー重合)による等のような、アニオン重合または調整されたフリー・ラジカル重合により直接的に形成することも可能である。
【0061】
上記の各方法に対応する一般的な条件は知られており、「コントロールド・ラジカル・ポリメライゼーション(Controlled Radical Polymerization)」,クルジスズトフ・マチジャスゼウスキー(Krzysztof Matyjaszewski)編集、ACSシンポジウム・シリーズ685(ACS Symposium Series 685,アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(American Chemical Society),ワシントン、DC、1998年において開示されている。例えば、アニオン重合の場合に、所望のシリル保護されたモノマーがTHF溶液等のような適当な溶媒中に溶解される。この反応は開始剤として1,1−ジフェニルヘキシルリチウム等のような既知の開始剤を用いて約−60℃乃至約−90℃の低下した温度において行なわれる。さらに、この重合は脱気処理したメタノールを含むがこれに限定されない従来的な手段により停止できる。
【0062】
上記の特定の分子量範囲および多分散性を有するポリHEMA組成物は十分に定められている多分散性および分子量を伴う種々の架橋可能なプレポリマーを作成するために使用できる。ほんの1つの実施例として、架橋可能なプレポリマーは従来の方法によりこれまでに得られていない極めて望ましい特性を有するコンタクト・レンズを形成するために極めて短い時間でUVにより架橋できる複数のアクリル基を有することができる。
【0063】
上記のポリHEMAは架橋可能な官能基をこれに結合することにより架橋可能なプレポリマーを形成するために官能性化されている。一般に、この官能基は種々の架橋したポリマーまたはヒドロゲルを上記のようなプレポリマーに架橋して形成するための能力を賦与する。このような架橋可能な官能基を賦与する適当な反応物質はA−S−Fの構造を有しており、この場合に、Aは上記のポリHEMAにおけるヒドロキシル基に対して共有結合を形成することのできる連結基であり、Sはスペーサーであり、Fはエチレンの形態で不飽和な部分を含む官能基である。さらに、適当な連結基Aは種々の塩化物、イソシアネート、酸、酸無水物、酸塩化物、エポキシ、アザラクトン、およびこれらの組み合わせ物等を含む。なお、好ましい連結基は種々の酸無水物を含む。
【0064】
上記スペーサーは直接的な結合、1個乃至8個の炭素原子、好ましくは1個乃至4個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキルまたはアリールの基、または化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテル鎖とすることができ、この場合に、上記nは1乃至8、好ましくは1乃至4である。
【0065】
上記の適当な官能基はフリー・ラジカル重合可能なエチレンの形態において不飽和な部分を含む。さらに、適当なエチレンの形態で不飽和な基は以下の化学式を有しており、
−C(R10)=CR1112
この場合に、R10、R11およびR12はそれぞれ独立してH、C1-6 アルキル、カルボニル、アリールおよびハロゲンから選択される。好ましくは、これらのR10、R11およびR12はそれぞれ独立してH、メチル、アリールおよびカルボニルから選択され、さらに好ましくは、一部の実施形態において、Hおよびメチルから選択される。
【0066】
好ましい反応物質はメタクリル酸塩化物、2−イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチル・メタクリレート(IEM)、グリシジル・メタクリレート、ケイ皮酸塩化物、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物および2−ビニル−4−ジメチルアザラクトンを含む。なお、メタクリル酸無水物が好ましい。
【0067】
上記のポリHEMAに結合している架橋可能な官能基の適当な量は当該ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基づく化学量論的な基礎に基づいて約1%乃至約20%、好ましくは約1.5%乃至約10%、もっとも好ましくは約2%乃至約5%を含む。また、上記の官能性化の程度は不飽和な基の決定等のような既知の方法によるか官能性の反応物と上記ポリマーとの間の結合の加水分解およびその後のHPLCによる放出した酸の決定により測定できる。
【0068】
上記の選択した連結基に応じて、上記の官能性化は従来的な触媒を伴うか伴わずに行なうことができる。適当な溶媒は極性の非プロトン性の種々の溶媒を含み、これらの溶媒は選択される種々の反応条件において上記のポリHEMAを溶解することができる。適当な溶媒の例はジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、ジメチル・スルホキシド(DMSO)、ピリジン、ニトロメタン、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)およびN−メチルピロリドン(NMP)を含む。さらに、好ましい溶媒はホルムアミド、DMF、DMSO、ピリジン、NMPおよびTHFを含む。上記のIEMを用いる場合に、その触媒は錫触媒であり、好ましくはジブチル錫ジラウレートである。
【0069】
上記の官能性化反応混合物はまたその官能性化により形成される種々の部分に対して反応できるスカベンジャーを含むこともできる。例えば、上記の連結基として種々の酸無水物が用いられる場合に、少なくとも1種類の第三級アミン、非プロトン性の窒素を伴うヘテロ環化合物またはその他の発生するカルボキシル基に対して反応するためのルイス塩基を含むことが有益的であると考えられる。さらに、適当な第三級アミンはピリジン、トリエチレンジアミンおよびトリエチルアミンを含み、トリエチルアミンが好ましい。また、含まれる場合に、上記の第三級アミンはわずかに過剰のモル比率(約10%)で含まれる。好ましい実施形態において、上記の溶媒はNMPであり、上記の反応物質はメタクリル酸無水物、アクリル酸無水物またはこれらの混合物であり、さらにトリエチルアミンが存在している。なお、最も好ましい反応物質はメタクリル酸無水物である。
【0070】
上記の反応はほぼ室温において行なわれる。それぞれの官能基は特定の温度範囲を必要とし、この範囲は当該技術分野における熟練者により理解されている。なお、約0℃乃至50℃、好ましくは約5℃乃至約45℃の範囲が適当である。また、周囲圧力が使用可能である。例えば、上記の架橋可能な官能基が酸無水物である場合に、上記の官能性化は約5℃乃至約45℃の温度において約20時間乃至約80時間の範囲の時間にわたり行なわれる。なお、選択される時間および温度を調整することにより上記の特定されている範囲の外の範囲も許容可能になることが当該技術分野における熟練者により認識されると考える。
【0071】
上記の反応は上述したような分子量および多分散性を有するポリHEMAの主鎖を伴う架橋可能なプレポリマーを生成するために行なわれる。
【0072】
上記の架橋可能な側基を結合することとは別に、別の側基が架橋用の光開始剤、薬事的な活性等を含むがこれらに限定されない付加的な官能性を賦与できる。さらに別の官能性の基が、上記の架橋したゲルが分析的な種々の診断用途において用いられる場合に、種々の特定の化合物に結合および/または反応できる種々の部分を含むことができる。
【0073】
上記の架橋可能なプレポリマーが形成されると、実質的に全ての未反応の反応物質および副産物を除去する必要がある。この「実質的に全ての(substantially all)」により、本発明者は約0.1重量%よりも少ない物質が洗浄後に残ることを意味している。このことは限外濾過等のような従来的な手段により行なうことができる。しかしながら、本発明においては、上記プレポリマーを水により膨潤させて水によりすすぐことにより精製し、モノマー状、オリゴマー状または高分子状の種々の開始化合物および上記ポリHEMAの調製において用いた種々の触媒および上記の架橋可能なプレポリマーの調製中に形成される種々の副産物を含む種々の望ましくない成分の実質的に全てを除去することが可能である。なお、上記の洗浄は脱イオン水により行なわれ、種々の条件がその架橋可能なプレポリマーの粒子の容積に対する大きな表面の比率を形成するように選択される。このことは上記の架橋可能なプレポリマーを凍結乾燥して、その架橋可能なプレポリマーの薄いフィルムまたは膜を作成し、その架橋可能なプレポリマーを棒材に押出形成して、その架橋可能なプレポリマーの溶液を脱イオン水中に噴霧することによるか、当業者に知られているその他の類似の方法により行なうことができる。
【0074】
上記の洗浄は室温において約3回乃至約5回の水の交換によりバッチ内において行なうことができ、それぞれの水の交換の間における平衡の時間は約50℃よりも低く昇温された温度において洗浄(抽出)することにより短縮できる。
【0075】
上記の方法は従来技術の種々の方法に優る多数の利点を有している。すなわち、上記の水は保管および使用中に浸出する可能性のある種々の不純物を除去して、最終用途に適している純粋な物質が生成されていると言う信頼を与える。
【0076】
一例の実施形態において、好ましい範囲外の多分散性を有する分別されていないポリHEMAまたは高分子量の物質のみが除去されているポリHEMAが官能性化されて、その官能性化した物質が多量の水により繰り返して洗浄されて、種々の反応物質および低分子量のポリHEMAが除去されている。この方法により、2.0よりも低い、好ましくは1.7よりも低い、さらに好ましくは1.5よりも低い、低い多分散性の極めて純粋な官能性化したポリHEMAを得ることができる。上記の方法により得られる官能性化した架橋可能なポリHEMAは10%よりも少ない、好ましくは5%よりも少ない、さらに好ましくは2%よりも少ない約15,000よりも小さい分子量のポリHEMAを含有している。
【0077】
上記の小形の分子を除去する必要のある程度は上記の官能性化の程度およびその目的用途に応じて決まる。好ましくは、硬化中において、全てのポリHEMA分子は少なくとも2個の共有結合によりそのポリマーの網状構造の中に結合する。さらに、上記の官能性化および硬化処理の統計的な性質により、ポリHEMAの分子が1個のみの共有結合を介してまたは共有結合を全く介さずにそのポリマーの網状構造の中に結合する確率はそのピーク分子量の減少および官能性化の程度の低下に伴って高くなる。
【0078】
比較的に低い官能性化において、比較的に多くの低分子量の物質が必然的に除去される。適正な量は除去のおよび機械的な種々の特性を比較する種々の実験により容易に決定できる。
【0079】
上記の架橋可能なプレポリマーを精製した後に、このプレポリマーを水により置換可能な希釈剤の中に溶解して粘性溶液を形成する。この希釈剤は上記の架橋可能な官能性化したポリHEMAプレポリマーが溶解でき、その架橋反応または硬化が生じることのできる媒体として機能する必要がある。また、この他の全ての点において、この希釈剤は非反応性である必要がある。適当な希釈剤は上記の粘性溶液の全重量に基いて約30重量%乃至約60重量%の架橋可能なプレポリマーを65℃またはそれ以下において溶解できる希釈剤を含む。特定の例は1個乃至4個の炭素原子を有する種々のアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノールおよびこれらの混合物を含む。水は全体の希釈剤の約50%よりも少ない程度の少量において補助希釈剤として使用できる。ヒドロゲルの場合に、希釈剤は最終的なヒドロゲルの中に存在している水の量とほぼ等しいか同一である量において上記の架橋可能なプレポリマーに加える必要がある。なお、上記の結果として得られる粘性溶液の約40重量%乃至約70重量%の希釈剤の量が許容可能である。
【0080】
本発明の粘性溶液は25℃において約50,000cps乃至約1×107 cps、好ましくは25℃において約100,000cpsないし約1,000,000cps、さらに好ましくは25℃において約100,000cps乃至約500,000cpsの粘度を有する。
【0081】
好ましくは、上記の希釈剤は上記物品の目的用途において安全でもある。それゆえ、例えば、上記の形成されている物品がコンタクト・レンズである場合に、その溶媒は好ましくは目の接触において安全であり目に対して適合性を有している必要がある。このことは使用の前に結果として得られる物品から除去されないか部分的にのみ除去される希釈剤において特に重要である。また、結果として得られる物品から蒸発しない希釈剤は上記の粘性溶液のTgをほぼ室温よりも低くする能力(好ましくは約−50℃よりも低いTg)、および低い蒸気圧(約180℃よりも高い沸点)を有する必要がある。このような生体適合性の希釈剤の例はポリエチレン・グリコール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコール、およびこれらの混合物等を含む。好ましいポリエチレン・グリコールは約200乃至600の分子量を有している。このような生体適合性の希釈剤を使用することにより、これらの希釈剤を除去するための分離している洗浄/蒸発の工程の排除が可能になる。
【0082】
また、低い沸点の希釈剤も使用可能であるが、目的用途の環境に対して適合性を有さない希釈剤に対する蒸発工程が必要になる可能性がある。低沸点の希釈剤は極性を有していて、一般に低い沸点を有しており(約150℃よりも低い)、このことは蒸発による除去を容易にしている。適当な低沸点の希釈剤は種々のアルコール、エーテル、エステル、グリコール、およびこれらの混合物等を含む。さらに、好ましい低沸点の希釈剤は種々のアルコール、エーテル・アルコール、およびこれらの混合物等を含む。このような低沸点の希釈剤の特定の例は3−メトキシ−1−ブタノール、メチル・ラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチル・ラクテート、イソプロピル・ラクテート、およびこれらの混合物等を含む。
【0083】
重合開始剤も添加できる。この開始剤はその処理条件において活性である任意の開始剤とすることができる。適当な開始剤は熱活性化型、光開始剤(UVおよび可視光の開始剤)等を含む。適当な熱活性化型の開始剤は過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等を含む。また、適当な光開始剤は芳香族アルファ・ヒドロキシケトン、または第三級アミン+ジケトンを含む。種々の光開始剤システムの代表的な例は1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル・ケトン、2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、チオキサンテン−9−オン、カンファーキノンおよびエチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートまたはN−メチルジエタノールアミンの組み合わせ物、ヒドロキシシクロヘキシル・フェニル・ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシドおよびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニル・ホスフィン・オキシドおよびこれらの組み合わせ物等である。なお、光開始は好ましい方法であり、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシドおよび2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが好ましい光開始剤である。また、米国特許第5,849,841号の第16段において開示されているような、別の開始剤が知られており、この特許文献の開示は本明細書に参考文献として含まれる。
【0084】
さらに、上記のプレポリマーまたは粘性溶液に組み込むことのできる別の添加物は種々の紫外光吸収性の化合物、反応性の染料、有機性および無機質の顔料、染料、光互変性の化合物、剥離剤、抗菌性の化合物、薬剤、離型剤、湿潤剤、および一貫した製品仕様を維持するために望ましい種々の添加物(TMPTMAを含むがこれに限定されない)、およびこれらの組み合わせ物等を含むがこれらに限定されない。これらの組成物はほとんどあらゆる段階において添加することができ、種々のコポリマー、結合状態または連結状態または分散状態にすることも可能である。
【0085】
上記の粘性溶液は上記の網状構造の中に結合せず、さらに/または、残留する抽出可能な物質を生じるポリマー物質を硬化中に形成する可能性のある遊離のモノマー等のような種々の化合物を含まないことが当然に好ましい。
【0086】
ポリマーの溶液中において、流動学的な特性がその最長の分子により高い程度まで決定される。本発明のポリHEMAは極めて高い分子量の分子が少なく、このことはこれらの溶液に多数の望ましい特性を与えている。
【0087】
本発明の粘性溶液は有益的に短い緩和時間を有している。この緩和時間は約10秒よりも短く、好ましくは約5秒よりも短く、さらに好ましくは約1秒よりも短い。このような短い緩和時間はこのような緩和時間を有する種々のプレポリマーが硬化処理の前において流動により誘発する応力を軽減できるためにその硬化したポリマーの網状構造が残留応力を含まないので有益的である。このことは本発明の種々の粘性溶液が金型を閉じてからその粘性溶液を硬化するまでの長い「保持(hold)」時間を伴わずに処理することを可能にしている。
【0088】
本発明のポリHEMAは種々の官能性化したポリHEMAのプレポリマーおよびヒドロゲル、コンタクト・レンズにおける色味付けのための結合剤、タンポンおよびインク・ジェット印刷用のインクにおける結合剤等を作成するための開始材料として使用できる。
【0089】
本発明の粘性溶液は種々の物品を形成するために使用できる。例えば、種々の成形された物品、異形材、予備成形物、パリソン、フィルム、繊維、チューブ、シート、被膜等が含まれる。さらに具体的に言えば、適当な物品は種々の生物医学装置、医療品等の被膜、種々の反応性の基を伴うポリマー、またはそのポリマーに結合する生物学的なアッセイ用のマーカー等を含む。
【0090】
本明細書において用いられているように、「生物医学装置(biomedical device)」は種々の哺乳類動物の組織または流体の中またはその上において使用するように設計されている任意の物品である。これらの装置の例は種々のカテーテル、移植片、ステント、流体収集用バッグ、センサー、ヒドロゲルの包帯、チューブ、これらの物品のいずれかに対応する被膜、抗生物質用のキャリア、診断および治療用の物質、および眼用装置を含むがこれらに限定されない。さらに、ある種類の好ましい生物医学装置は種々の眼用装置、特にコンタクト・レンズを含む。
【0091】
本明細書において用いられているように、上記用語の「レンズ(lens)」および「眼用装置(ophthalmic device)」は目の中またはその上に存在する種々の装置を意味する。これらの装置は光学的な補正、傷の治療、薬物の配給、診断機能を行なうことができ、化粧品用とすることもできる。また、上記用語のレンズは種々のソフト・コンタクト・レンズ、ハード・コンタクト・レンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、接眼インサート、光学インサートおよび眼鏡レンズ等を含むがこれらに限定されない。
【0092】
射出成形、押出成形、スピン・キャスティング、押出塗布、閉鎖型金型成形処理、注型成形、およびこれらの組み合わせ等を含む多数の方法が本発明の種々の物品を形成するために使用できる。さらに、このような成形方法後に、以下において説明されている硬化工程が行なわれる。
【0093】
本発明の一例の実施形態において、上記プレポリマーの溶液がレンズを形成するために用いられている。このような本発明の粘性溶液によりレンズを製造するための好ましい方法は直接的な成形処理による方法である。すなわち、上記プレポリマー溶液のレンズ形成用の量がその最終的な所望のヒドロゲルの形状を有する金型の中に分配される。なお、この金型はポリプロピレン、ポリスチレンおよび種々の環状ポリオレフィンを含むがこれらに限定されない任意の適当な材料により作成できる。
【0094】
上記の「レンズ形成用の量(lens-forming amount)」とは、望まれる大きさおよび厚さのレンズを製造するために十分な量を意味する。一般的に、約10μl乃至約50μlの粘性溶液が1個のコンタクト・レンズ当たりに用いられる。次に、上記金型の各部品がその金型の空孔部の中に上記粘性の液体が充ちるように組み立てられる。本発明の有益性は金型部分の組み立てと硬化処理との間に必要な保持時間が極めて短いことである。
【0095】
本発明者は、最終的な物品の中に望ましくない応力が導入することを避けるために、上記粘性溶液が当該粘性溶液の緩和時間よりも2倍乃至3倍だけ長い期間にわたり上記の閉鎖した金型の中に静止することを可能にすることが必要であることを見出している。本発明の粘性溶液は室温において有益的に短い緩和時間(約10秒よりも短く、好ましくは約5秒よりも短く、さらに好ましくは約1秒よりも短い)を有しており、この緩和時間は一般に約30秒よりも短く、好ましくは約10秒よりも短く、さらに好ましくは約5秒よりも短い保持時間を可能にする。
【0096】
上記の本発明の短い保持時間のさらに別の有益性はこのような保持時間が各金型部品から上記の架橋可能なプレポリマーの中への酸素の拡散を最少にすることである。すなわち、このような酸素の拡散は物品の表面における硬化の過程を損なう可能性がある。つまり、上記の粘性溶液は比較的に遅い製造時間以外の最少のまたは皆無の否定的な影響を伴って低酸素含有量の金型の中において指定されている時間よりも長く保持できることが認識されると考える。
【0097】
上記の粘性溶液を入れた金型は、例えば、電子ビーム、X線、UV光または可視光、すなわち、約280nm乃至約650nmの範囲内の波長を有する電磁放射線または粒子線等のような電離線または化学線に曝される。さらに適当なものはUVランプ、HE/Cd、アルゴン・イオンまたは窒素または金属の蒸気、または多重化した周波数を伴うNdYAGレーザー・ビームである。これらの放射線の供給源および開始剤の選択は当該技術分野における熟練者において知られている。また、当該技術分野における熟練者であれば、上記粘性溶液の中への上記放射線の浸透の深さおよびその架橋速度がその分子の吸収係数および選択した光開始剤の濃度に対して直接的に相関していることが認識できる。好ましい実施形態において、上記の放射線供給源は、高い強度における、UVA(約315nm乃至約400nm)、UVB(約280乃至約315)または可視光(約400nm乃至約450nm)から選択される。本明細書において用いられているように、上記用語の「高い強度(high intensity)」は約100mW/cm2 乃至約10,000mW/cm2 を意味する。この硬化時間は短く、一般に約30秒よりも短く、好ましくは約10秒よりも短い。また、この硬化温度はほぼ周囲温度から約90℃の昇温した温度までの範囲にすることができる。便宜上および簡単化のために、上記の硬化はほぼ周囲温度において行なわれることが好ましい。なお、正確な諸条件は選択するレンズ材料の種々の成分に応じて決まり、当該技術分野における通常の熟練者の認識の範囲内において決定できる。
【0098】
上記の硬化条件は上記の架橋可能なプレポリマーによりポリマーの網状構造を形成するために十分である必要がある。この結果として得られるポリマーの網状構造は上記の希釈剤により膨潤して上記金型の空孔部の形態を有する。
【0099】
上記の硬化が完了すると、金型が開かれる。さらに、未反応の種々の成分または副産物を除去するための成形処理後の種々の精製工程は本発明において従来の成形処理方法に比べて単純化されているか、必要でなくなる。すなわち、生体適合性の希釈剤を用いる場合に、洗浄または蒸発の工程がいずれもこの段階において全く必要とされなくなる。つまり、生体適合性の希釈剤を用いる場合に、成形処理後の抽出処理および希釈剤の交換の両方の工程が必要とされなくなることが本発明の有利さである。例えば、低沸点の希釈剤を用いれば、この希釈剤を蒸発により除去する必要があり、そのレンズを水により水和する必要がある。
【0100】
上記の結果として得られるレンズはポリマーの網状構造を含み、この網状構造は水により膨潤するとヒドロゲルになる。このような本発明のヒドロゲルは約20重量%乃至約75重量%の水、好ましくは約20重量%乃至約65重量%の水を含有することができる。また、本発明のヒドロゲルは弾性率および破断点伸びを含む優れた機械的特性を有している。さらに、この弾性率は少なくとも約20psi、好ましくは約20psi乃至約90psi、さらに好ましくは約20psi乃至約70psiである。
【0101】
上記の破断点伸びは約100%よりも大きく、好ましくは約120%よりも大きい。また、自由なポリマー鎖が存在しないために、上記のヒドロゲルは100%等のような高い相対的な変形の後にゆがむことなくそれぞれの元の形状に戻る。本発明のヒドロゲルはまた目に見える曇りおよびゆがみも無い。従って、上記のような特性の組み合わせにより、本発明のヒドロゲルは種々の眼用装置、特に、ソフト・コンタクト・レンズとしての使用に極めて適合している。
【0102】
上記のように製造したレンズは緩衝液化した塩水溶液を入れた個別のレンズ・パッケージに移すことができる。この塩水溶液はレンズの移動の前またはその後に上記パッケージに加えることができる。その後、生体適合性の希釈剤を含むレンズは、上記の塩水溶液中において静止している時に、その希釈剤を水により交換して、所望のヒドロゲルを形成する。このことは、望まれる場合において、別の工程において達成することも可能である。上記パッケージの中において保管されている間に、上記ポリマーの網状構造はそのポリマーの親水性により決定される特定量の水を取り込む。この平衡状態の水の含有量(その水和状態のレンズの重量%で表現される)は硬化中に存在している希釈剤の量よりも高い場合もあり、低い場合もあり得る。なお、コンタクト・レンズを作成するために有用である一般的なヒドロゲルは約20重量%乃至約75重量%の水を含む。従って、このヒドロゲルは水中における平衡状態において膨張または収縮する可能性がある。しかしながら、大きさは変化する可能性があるが、その完全に水和した物品の形状がその金型の空孔部の形状の真正な再現になることが不可欠な特徴である。
【0103】
好ましい実施形態において、上記希釈剤の量は水中における平衡状態において膨張または収縮せずに金型の空孔部の真正な1:1の再現状態になるレンズを形成するように注意深く選択されており、このことはその結果として得られるレンズの種々の光学的なパラメータを予想することにおける利点である。
【0104】
適当なパッケージの設計および材料が当業界において知られている。プラスチック・パッケージがフィルムにより放出可能にシールされている。適当なシール用のフィルムが当業界において知られており、種々の金属箔、ポリマー・フィルムおよびこれらの混合物を含む。
【0105】
その後、上記のレンズを収容しているシールされたパッケージは無菌状態の製品を確実に得るために滅菌処理される。適当な滅菌処理の手段および条件は当業界において知られており、例えば、オートクレーブ処理を含む。
【0106】
当該技術分野における熟練者であれば、上記の成形および包装の方法において別の工程も含むことができることが認識できる。このような別の工程は上記の形成したレンズの被覆、形成中における上記レンズの表面処理(例えば、金型の移動による)、レンズの検査、欠陥のあるレンズの廃棄、金型の各半体部分の洗浄、金型の各半体部分の再使用、およびこれらの組み合わせ等を含むことができる。これらの処理および被覆用の種々の配合物が米国特許第3,854,982号、同第3,916,033号、同第4.920,184号、および同第5,002,794号、同第5,779,943号、同第6,087,415号、PCT国際公開第WO91/04283号、および欧州特許公開第EPO93/810,399号において開示されており、これらの文献は本明細書に参考文献として含まれる。
【0107】
本発明の種々の造形処理した物品はその金型から取り出した後にゆがみの傾向が極めて少ないか全く無い。ゆがみは高い分子量を有する官能性化した種々のプレポリマーにより形成される成形処理した物品の固有の問題であった。すなわち、本発明において特定されている範囲を超える分子量を有する種々のプレポリマー鎖の存在がその官能性化したプレポリマーに遅い緩和時間を賦与している。従って、硬化中に、これらの緩和されていない長い分子鎖により生じる応力がその硬化したポリマーの網状構造の中に残留する。従って、その金型からの除去時に、これらの応力がその成形処理した物品をゆがめるために、その形状がその金型の真正の複製物にならなくなる。一方、本発明の架橋可能なプレポリマーは短い緩和時間を有しており、この短い緩和時間が成形処理時におけるゆがみを排除している。
【0108】
本明細書において用いられているように、用語の「ヒドロゲル(hydrogel)」は平衡状態において水を含有している水和状態の架橋した高分子のシステムを意味する。このようなヒドロゲルは一般的に酸素透過性で生体適合性であり、これらの材料を種々の生物医学用の装置、特にコンタクト・レンズまたは眼内レンズを製造するための優先的な材料にしている。
【0109】
本特許出願において、全ての分子量はデンマーク国のリソ・ナショナル・ラボラトリーズ(Riso National Laboratories)のK.アルムダール(K. Almdal)(アルムダール,K.(Almdal, K.),アブソリュート・モラー・マス・ディストリビューション・ディターミネーション・バイ・サイズ・エクスクルージョン・クロマトグラフィ(Absolute Molar Mass Distribution Determination by Size Exclusion Chromatography).シンセシス・オブ・ナロー・モラー・マス・ディストリビューション・ポリマーズ(Synthesis of Narrow Molar Mass Distribution Polymers).キャラクタリゼーション・オブ・ザ・モラー・マス・デイストリビューション・オブ・ポリ(2−ヒドロキシエチル・メタクリレート)・バイ・サイズ・エクスクルージョン・クロマトグラフィ・ウィズ・カップルド・リフラクテイブ・インデクス・アンド・ロウ・アングル・レーザー・ライト・スキャッタリング・ディテクション(Characterization of the Molar Mass Distribution of Poly(2-hydroxyethyl Methacrylate) by Size Exclusion Chromatography with Coupled Refractive and Low Angle Light Scattering Detection).リソ−M−2787(Riso-M-2787),(1巻),(1989年),p.141)により開発されている方法を用いているゲル透過クロマトグラフィ(GPC)分析(いわゆるサイズ排除クロマトグラフィ)により決定される分子量として理解する必要がある。
【0110】
上記の方法において、十分に定められている分子量をそれぞれ有するある範囲のポリエチレン・グリコールおよびポリエチレン・オキシドが上記装置の較正において用いられている。これらのpHEMAに対応して用いられている標準物は比較的に疎水性の高い種々のポリマーに対応して開発されているこれまでの方法よりもピークの分子のwtおよびPdに対して正確な値をそれぞれ与える。なお、この方法は以下において説明されている。
【0111】
分子量は以下のようにして測定できる。また、上記のSEC装置は40℃におけるカラム・オーブン、PEネルソン(PE Nelson)1900A/Dを伴うPE・LC−410ポンプ、およびシリーズ200オートサンプラーを備えている。また、検出器はRIメルク(RI Merck)L7490である。
【0112】
上記のカラム組立体はトソハース(TosoHaas)からの2個のTSK−ゲル・カラム(G4000PW+G2500PW)およびガードカラムにより構成されている。
【0113】
上記の溶出物をメタノール−水(75/25(重量/重量))により作成して、50mMの塩化ナトリウム(NaCl)に調整する。
【0114】
流量は0.5mL/分である。また、注入容量は150μLであり、動作時間は60分である。
【0115】
上記の較正曲線を標準的な基準物として960000乃至194の範囲のピーク分子量のPEGおよびPEOによる三次の回帰を伴って得る。なお、これらのポリマーの標準物はマサチューセッツ州アムヘルストのポリマー・ラボラトリーズ社から購入している(キャリブレーション・キット、PEG−10部品番号2070−0100、PEO−10部品番号2080−0101)。194のピーク分子量の標準的な基準物のPEGを加えることにより、十分に定められた位置においてフロー信号が得られ、この信号が内部標準または固定点として用いられる。さらに、NaClを加えることは同様に作用して第2の固定点を与える。
【0116】
ピークの積分が手動により行なわれる。この積分の開始点および終了点は全体的な基準線上の有意差により手動により決定される。この結果の記録値により、PEG/PEOの単位におけるMz、Mw、Mn、およびMピークが得られる。さらに、HEMAの単位における関連の値が以下の数学的な関数により上記の標準的な記録値から計算される。
HEMA=10.1,362+0,7854*log M, PEG/PEO
【0117】
上記の注入溶液を60mMNaClに調整されたメタノール−水(75/25(重量/重量))により作成して2mg/mLのポリマーの濃度に調節される。さらに、テトラエチレン・グリコールを1mg/mlの濃度において上記サンプルに加えて、ピーク流量の基準物を得る。次に、これらの溶液の注入を行なう前に0.5μmの廃棄可能なフィルターにより濾過する。
【0118】
本発明において、ポリマー・サンプルの多分散性であるPdはPd=Mw /Mn として定められている。この場合のピーク分子量Mpはその分子量の分布曲線における最も高いピーク値の分子量である。
【0119】
さらに、引張特性(伸びおよび引張弾性率)を初期的なゲージ高さまで降下しているロード・セルを備えている定速移動型の引張試験装置のクロスヘッドを用いて測定する。適当な試験装置はインストロン(Instron)モデル1122を含む。0.522インチの長さ、0.276インチの「耳(ear)」の幅および0.213インチの「ネック部(neck)」の幅を有するイヌの骨の形状のサンプルを各グリップの中に装填して、2インチ/分の一定の歪速度で破断するまで引き伸ばす。その後、上記サンプルの初期的なゲージ長さ(Lo)および破断時におけるサンプルの長さ(Lf)を測定する。各組成物の12個の試料を測定してその平均値を記録する。この場合に伸び率は=[(Lf−Lo)/Lo]×100である。
【0120】
引張弾性率は応力/歪曲線の初期的な線形部分において測定する。
【0121】
さらに、粘度をハーケ(Haake)循環槽および温度制御装置を備えているハーケRS100レオストレス(RheoStress)を用いて測定する。さらに複合的な粘度を振動数掃引を行なうことにより測定し、40Hzにおいて開始して、1mHzに下げ、再び40Hzに上げながら、10個当たりに3個の振動数を採用して、それぞれの振動数を3回繰り返してそれぞれの測定の間にある期間だけ待機する。この測定を20mmの直径および0.7mmのギャップ寸法(サンプルの厚さ)を有する平行なプレート形状を用いて、25℃+1℃で行ない、この形状はサンプルの容積の計算値0.22mLに対応している。コックス−メルツ則(Cox-Mertz rule)(ジョン・フェリー(John Ferry),ビスコ−エラステイック・プロパティズ・オブ・ポリマーズ(Visco-elastic Properties of polymers),第3版,マグローヒル・ブック・カンパニー(McGrow-Hill Book Company),1980年)によれば、上記の記録された粘度の値(η)は上記の複合的な粘度(η* )の内の低い振動数の値である。
【0122】
次に、緩和時間が上記のハーケRS100レオストレスおよび400パスカル(Pa)の剪断応力を用いて測定される。この緩和時間は上記の振動数に対してG’およびG”をプロットすることにより得られ、これらのG’およびG”は交差振動数fにおいて互いに交差し、この振動数fよりも低い振動数においてG”>G’となりこの振動数fよりも高い振動数においてG’>G”になる。この場合に、上記の緩和時間=1/fである。
【0123】
上記の官能性化の実際の程度はその生成物の加水分解により決定され、遊離したメタクリル酸がHPLCにより検出される。それぞれの加水分解のサンプルはそのメタノール溶液の一定の分量および1MのNaOH1mLにより調製される。さらに、この加水分解は室温で少なくとも12時間にわたり行なわれる。さらに、このようにして検出したメタクリル酸の量を上記サンプルの中に含まれている乾燥状態のポリマーの量に比較することにより実際の官能性化の程度が分かる。
【0124】
具体的に言えば、上記のHPLC装置は25℃におけるカラム・オーブン、メルク(Merck)L6000ポンプ、およびパーキン・エルマー(Perkin Elmer)LC290UV検出装置により構成されている。さらに、上記カラムの組み合わせ物はメルクRP18カラム(125mm/4mm)およびガードカラムにより構成されている。
【0125】
上記の移動相はトリフルオロ酢酸によりpH2.5に調節したアセトニトリル−水の混合物(1/9(重量/重量))である。さらに、この流量は1mL/分に固定されていて、その注入容量は10μLである。
【0126】
上記の検出は230nmの波長において行なわれる。このデータの取得時間は8分である。一連の較正値が5ppm乃至25ppmの範囲の濃度の移動相におけるメタクリル酸の種々の希釈溶液により得られる。
【0127】
上記の移動相および10mLの塩酸(1M)により希釈した種々の加水分解サンプルにより上記の注入溶液を調製する。さらに、これらの溶液は注入を行なう前に13mmのGD/X0.45μmのワットマン・フィルターにおいて濾過される。
【0128】
以下の実施例は本発明を限定しない。これらは本発明を実施する方法を示唆することのみを目的としている。コンタクト・レンズの分野における知識人ならびにその他の専門家は本発明を実施する別の方法を見出す可能性がある。しかしながら、これらの方法は本発明の範囲の中に当然に含まれると考えられる。
【0129】
以下の略語が各実施例において用いられている。
AIBM:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
DABCO:トリエチレン・ジアミン
DMAP:N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチル・スルホキシド
EOH:エタノール
GMA:グリセロール・メタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチル・メタクリレート
IPA:2−プロパノール
MAA:メタクリル酸
MAACl:メタクリロイル・クロリド
MAAH:メタクリル酸無水物
NMP:1−メチル−2−ピロリドン
PEG:ポリエチレン・グリコール
p(TMS−HEMA):ポリ(トリメチルシリルオキシエチル−メタクリレート)
Py:ピリジン
TEA:トリエチルアミン
TMS−HEMA:トリメチルシリルオキシエチル−メタクリレート
TEG:テトラエチレン・グリコール
【0130】
実施例1
1911.6gのエタノール、1056.6gのHEMAモノマー、3.00gのドデシル・メルカプタン、および21.00gのメタクリル酸を25℃において混合した。この混合物を3個ブレード型攪拌機、温度制御装置および冷却および加熱用のジャケットを備えた5リットルのステンレススチール製の反応装置の中に注ぎ入れた。
【0131】
上記の混合物を68℃に加熱して、7.50gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル(AMBN)を加えた。このAMBNは速やかに溶解し、上記反応装置を窒素の緩やかな流れにより覆った。その後、温度を18時間にわたり68℃に維持して、変換を完了させた。次に、上記反応装置を80℃に加熱して、残留している開始剤およびメルカプタンを破壊するために22時間にわたりこの温度に維持した。その後、室温まで冷却した後に、サンプルを取り出して、その固形物含有率を24時間にわたる125℃、3mmHg乃至4mmHgにおけるエバポレーションにより決定した。固形物含有率=37.2%、Mp=76.6キロダルトン、Pd=3.75。
【0132】
上記のポリHEMA溶液をエタノールにより希釈してエタノール中におけるポリHEMAの10%溶液を得た。この溶液は24℃において混濁した。その後、この溶液を40℃に加熱してこれを均質にした後に、約21℃において放置した。
【0133】
3日後に、上記の溶液は2個の透明な相に分離していた。これら2個の相を分離して分析した。
【0134】
【表2】

【0135】
上記の高分子量のポリマーに富んでいる下部(または下相)のフラクションを廃棄した。
【0136】
その後、上記の上部(または上相)のフラクションを単離して、さらに分別するために8℃に設定した。24時間後に、この溶液は2相に分離していた。この上部のフラクションは全体の85容量%を占めており、2.5重量/重量%のポリHEMAを含有していた。一方、下相は全体の溶液の15容量%を占めており、35.7重量/重量%のポリHEMAを含有していた。Mp=83.8キロダルトン。Pd=2.18。さらに、このフラクションを官能性化のために単離した。
【0137】
実施例2
HEMAモノマー(0.8%よりも低い不純物の量を伴い、ローム社(Rohm)から購入した)をトリエチルアミン(純度≧99.5%、フルカ社(Fluka)から)およびペトロール・エーテル(沸点:40℃乃至60℃)と共に混合して、酸化アルミニウムの中を通して、トリメチル・クロロシラン(純度99.0%、フルカ社から)と共に反応させてトリメチルシリルオキシエチル−メタクリレート(TMS−HEMA)を得た。その後、このTMS−HEMAを水素化カルシウム(1回)およびトリエチルアルミニウム(電子用品等、アルドリッチ(Aldrich)から)(2回)による蒸留により精製した。
【0138】
上記のTMS−HEMAの重合をTHF(abs. puriss.)の溶液(フルカ社)中において開始剤として1,1−ジフェニルヘキシル・リチウムを用いて−78℃において行ない、定量的な収量を得た。その後、この重合を脱気したメタノールにより停止した。このポリマーをそのポリ(トリメチルシリルオキシエチル−メタクリレート)p(TMS−HEMA)のTHF溶液を大過剰の水に加えることにより単離した。
【0139】
上記のポリマーは63キロダルトン(Mw=75キロダルトン)のピーク分子量および1.6の多分散性を有していた。
【0140】
実施例3
1619gのエタノール、176.5gのHEMAモノマー、および3.60gのメタクリル酸(MAA)を25℃において混合した。この混合物を攪拌機、温度制御装置および冷却および加熱用のジャケットを備えている3リットルの硝子製の反応装置の中に注ぎ入れた。
【0141】
上記の混合物を68℃に加熱して、1.26gのAMBNを加えた。このAMBNは速やかに溶けて、上記の反応装置を窒素の緩やかな流れにより覆った。上記の温度を20時間にわたり68℃に維持して転化を完了した。その後、室温に冷却した後に、そのポリマー溶液をエタノールにより希釈してエタノール中におけるポリHEMAの10%溶液を得た。このMpは70キロダルトンであり、Pdは分別の前において3.33であった。その後、2%ヘキサンを加えた後に、上記の溶液は31℃の曇り点を示した。このポリマーは実施例10において分別されている。
【0142】
実施例4
1625gのエタノール、108.4gのHEMAモノマー、および72.8gのグリセロール・メタクリレートを25℃において混合した。この混合物を攪拌機、温度制御装置および冷却および加熱用のジャケットを備えている3リットルの硝子製の反応装置の中に注ぎ入れた。
【0143】
上記の混合物を74℃に加熱して、1.29gのAMBNを加えて、上記の反応装置を窒素の緩やかな流れにより覆った。その後、温度を20時間にわたり74℃に維持して転化を完了した。その後、室温に冷却した後に、そのポリマー溶液をエタノールにより希釈してエタノール中におけるポリ(HEMA−コ−GMA)の10%溶液を得た。このMpは56キロダルトンであり、Pdは2.35であった。また、上記の溶液は35℃の曇り点を示し、33℃において3日間にわたり自然に分別した。この上部のフラクションを吸い取り、下部のフラクションを廃棄した。さらに、上部のフラクションに2%のヘプタンを加えた。この処理により49℃の曇り点が生じた。3日後に、29℃において、新しい上部のフラクションが形成され、これを廃棄した。その後、元のポリマーの64%を含有している下部のフラクションを単離して、このポリマーが66キロダルトンのMpおよび2.1のPdを有することが分かった。このポリマーは実施例21において官能性化されている。
【0144】
実施例5乃至9
上記実施例3の重合反応を異なる温度において以下の表3において示されているそれぞれの溶媒を用いて繰り返した。これらの結果が表3において示されており、この方法を用いることにより分子量の良好な調節が行なえることが分かる。
【0145】
【表3】

【0146】
実施例10
上記実施例3において調製した溶液の800gを40℃に加熱してこれを均質にした後に28℃において放置した。5日後に、この溶液は2種類の透明な相に分離していた。上記のポリマーの77.1%を含有している上相を吸い取り、下相を廃棄した。
【0147】
上記の上相中におけるヘキサンの量を7%に調節し、これにより54℃の曇り点が生じた。その後、この溶液を57℃に加熱してこれを均質にした後に29℃において放置した。4日後に、この溶液は2個の透明な相に分離していた。上記ポリマーの低分子量のフラクションを含有しているその上相を吸い取り、下相を第3のフラクションとして得た。この時点において、ヘキサン濃度を8%に調節して、その溶液を30℃において4日間にわたり放置した。さらに、上記ポリマーの低分子量のフラクションを含有している上相を吸い取り、下相中のポリマーを官能性化のために単離した。この分別の結果が以下の表4においてそれぞれ示されている。
【0148】
【表4】

【0149】
実施例11
公称2%のMAAを伴うポリHEMAを上記実施例3におけるように調製して上記実施例10において説明されているように分別した。その後、未分別および分別したそれぞれの物質におけるMAAの量をISO基準(3682−1983(E))において記載されているように決定し、これらが以下の表5において示されている。
【0150】
【表5】

【0151】
上記の未分別のコポリマー内におけるMAAの含有量は分別したコポリマー内において見られるMAAの含有量に等しい。このことにより、上記の分別処理が組成によるのではなく分子量のみにより上記ポリマーを分離していることが分かる。
【0152】
実施例12
上記実施例2において形成および単離したポリHEMAの9.09gを24時間にわたる125℃、3mmHgにおけるエバポレーションにより乾燥した後に、ピリジン中においてわずかに加温することにより溶かして10%(重量/重量)の溶液を作成した。この溶液をアイス・バス中において冷却して、400μLのメタクリロイル・クロリド(上記ポリHEMAにおけるOH基の6モル%のエステル化の目的値の程度に相当する)を加えた。その後、上記ピリジンの大部分を25℃乃至30℃において減圧下に除去して、官能性化したコポリマーを脱イオン水に接触させて残留しているピリジンおよびその他の低分子量の物質を溶解した。その後、この水をデカンテーションにより除去して、HPLCシステムにより残留しているピリジンが全く検出されなくなるまで洗浄を繰り返した。この官能性化したポリマーは62キロダルトンのMpおよび1.6のPdを有していた。
【0153】
実施例13
110mLの無水1−メチル−2−ピロリドン(NMP)(水分≦0.01%)を上記実施例1からの合計で13.6gの、100℃において12時間にわたり減圧下で予め乾燥した、乾燥状態のp(HEMA−コ−MAA)に加えた。また、磁気攪拌機を備えている反応フラスコを乾燥窒素雰囲気下において維持した。その後、無水NMP(24.7mL,0.003モル)中における無水で94%のメタクリル酸の2%溶液を2分乃至3分の期間にわたり滴下した。さらに、トリエチルアミン(0.45mL、0.003モル)を加えて、上記フラスコの内容物を48時間にわたり35℃に、攪拌しながら、加熱した。
【0154】
その後、上記の温度を25℃に下げて、200mLの脱イオン水を加えた。その後、この未精製の反応混合物を400mLの塩酸水溶液(0.1M、pH=1.5)の中に注ぎ入れた。さらに、4Lの脱イオン水を加えることにより、即時に沈殿を生じさせた。この沈殿物を水によりすすぎ洗いした後に、これを100mLのエタノール中において溶かした。その後、2回目の沈殿を1Lの水および塩酸(pH=1.5)により行なった。さらに、この沈殿を数時間にわたり過剰量の水の中に浸漬してあらゆる残留している酸を除去した。
【0155】
最終的に、上記の沈殿をメタノール中に溶解して透明な溶液を得た。
【0156】
実施例14
4.38グラムの未分別状態のHEMA−MAAコポリマーを24時間にわたる125℃、3mmHgにおけるエバポレーションにより乾燥した後に、DMF(99+%、≦0.1%H2 O)中に溶かして20%(重量/重量)の溶液を得た。上記コポリマーにおけるヒドロキシル基の約3%のエステル化を行なうために、1.08ミリモルのメタクリル酸無水物(94%の純度)を8mLのDMFと共に混合した後に、上記のポリマー溶液に加えた。これに続いて、トリエチルアミン(1.08ミリモル、≧99.5%の純度、フルカ社から)を加えた。この混合物を30℃において20時間にわたり自然に反応させた後に、この反応を2mLの水を加えることにより停止した。さらに、上記のDMFを蒸留(2時間にわたり、30℃、0.5ミリバール)により除く前に上記のポリマー溶液にグリセロール(10g)を加えた。
【0157】
上記の官能性化したコポリマーを水に接触させて残留しているDMFおよびその他の低分子量の物質を溶解した。その後、この水をデカンテーションにより除去して、DMFの痕跡が全くなくなるまで洗浄を繰り返した。この官能性化の程度は2.2%であると決定され、Mピーク=41キロダルトン、およびPd=2.8であった。さらに、実施例22に類似している方法を用いてヒドロゲルに成形した場合に、以下の機械的特性が見られた。弾性率:11±2psi、伸び率:120±25。なお、これらの特性は高いPdのために比較的に不十分である。
【0158】
実施例15乃至20
実施例1におけるように調製したポリHEMA(未分別状態)を実施例13において説明されている方法を用いて官能性化した(実施例15および16)。また、実施例1におけるように調製したポリHEMAを実施例10において説明されている方法を用いて分別した後に、実施例13において説明されている方法を用いて官能性化した(実施例17および18)。その後、実施例22の方法および希釈剤として61%(重量/重量)のテトラエチレン・グリコールを用いて分別化したおよび未分別状態の官能性化したポリHEMAによる種々のポリマーにより種々のレンズを作成した。これらの粘性の溶液は実施例22の方法に従って硬化した。これらの結果が以下の表6において示されている。
【0159】
【表6】

【0160】
上記の官能性化のために用いた方法が多分散性を許容可能な値に減少することが分かる。一般に、上記の洗浄工程は最小のポリHEMAの分子を除去する。それぞれのレンズの特性は比較的に低い多分散性を有する官能性化したポリマーほど比較的に良好な機械特性を示すことを示している。
【0161】
実施例21
実施例4において形成および単離した3.22グラムのGMA−HEMAコポリマーを24時間にわたり125℃、3mmHgにおけるエバポレーションにより乾燥した後に、DMF(99+%、≦0.1%H2 O)の20%(重量/重量)溶液中に溶かした。100単位ごとの内の約2.4における平均のエステル化を行なうために、0.74ミリモルのメタクリル酸無水物(94%の純度、フルカ社から)を6mLのDMFと共に混合した後に、上記のポリマー溶液に加えた。これに続いて、トリエチルアミン(0.74ミリモル、≧99.5%の純度、フルカ社から)を上記のポリマー溶液に加えた。この反応混合物を30℃において20時間にわたり自然に反応させた後に、この反応を2mLの水を加えることにより停止した。その後、DMFを蒸留(2時間にわたり30℃、0.5ミリバール)により除去する前に10gのグリセロールを上記のポリマー溶液に加えた。
【0162】
上記の官能性化したコポリマーを脱イオン水に接触させて、残留しているDMFおよびその他の低分子量の物質を溶解した。約5℃以下に冷却した時に、上記の官能性化したポリマーが沈殿し、その水性の相をデカンテーションにより除去した。その後、メタノールを加えてその官能性化したポリマーを溶解した。この官能性化の程度は2.3であることが分かり、この値は目的の値の90%に相当している。次に、この官能性化したポリマーをテトラエチレン・グリコールにより溶解して、実施例22の方法を用いて39%(重量/重量)の固形物を含有している成形処理用の溶液を作成した。その後、レンズを実施例22において説明されているように作成した。この結果として得られたヒドロゲルレンズは以下の機械的特性(65%の平衡含水量における)、すなわち、18±1psiの弾性率、120±25%の伸び率を有していた。
【0163】
実施例22
実施例13によるHEMA−2%MAAコポリマーの溶液を25mmのGD/X0.45mmワットマン・フィルターを通して注射器の中に移して、テトラエチレン・グリコール(99+%の純度、フルカ社から)と共に混合することにより39%(重量/重量)の乾燥時のプレポリマー、60.5%のテトラエチレン・グリコールを含有する成形処理用の溶液を形成した後に、0.5%(重量/重量)のダロキュア1173光開始剤を加えた。この混合物を混ぜ合わせた。さらに、制御された真空をこの注射器に加えることにより、低沸点の溶媒を除去した。その後、この胴体を遠心処理して全ての溶液を出口側に降下させた。さらに、空気が逃避するための一時的な通路を維持しながら軸部を上記成形用の溶液に接触するまで上記胴体の中に挿入し、押し下げた。その後、この成形用の溶液を入れた注射器を、制御された力がその軸部に加えられている状態で、固定装置の中に入れて、約50mgの溶液をポリスチレンにより作成されているコンタクト・レンズの金型の下方部分の中に供給した。その後、金型の上方部分を配置して、この金型を閉じて、その各部品を10kgの負荷の供給により約5秒間にわたり一体に保持した。
【0164】
上記の閉じた金型を1m/秒で移動しているコンベヤ・ベルトの上に置き、この金型を約10秒よりも短い時間にわたりコンベアの上方の20mmにおいて集光している高強度UVランプの下を通過させた。この最大強度は5W/cm2 であり、上記の閉じた金型はこの閉じた金型に隣接しているパワーパック(PowerPuck)(登録商標)UV分光光度計によりUV−a範囲内において検出した場合に合計で15J/cm2 を受光していた。
【0165】
硬化後に、上記の蓋を手により取り外して、レンズを脱イオン水中に10分間にわたり浸漬した。このようにして得られたヒドロゲル・レンズは上記のテトラエチレン・グリコールの希釈剤を生理塩水に取り替えた時にそれぞれの形状ならびにそれぞれの寸法を保持していた。従って、上記金型の表面の1:1の複製品が作成されている。すなわち、14.00mmの直径の金型は14.00mmの直径のヒドロゲル・レンズを形成する。
【0166】
実施例23
上記のポリHEMA溶液をエタノールにより希釈してエタノール中における36%(重量/重量)の溶液を作成したことを除いて、実施例1を繰り返した。このようにして得られたポリHEMAの分子量および多分散性が以下の表7において示されている。
【0167】
実施例24
上記のポリHEMA溶液をエタノールにより希釈してエタノール中における36%(重量/重量)の溶液を作成し、ドデシル・メルカプタンの代わりにオクチル・メルカプタンを連鎖移動剤として用いたことを除いて、実施例1を繰り返した。さらに、このようにして得られたポリマー溶液を実施例10において説明されているように分別処理した。この結果として得たポリHEMAの分子量および多分散性が以下の表7において示されている。
【0168】
【表7】

【0169】
実施例25−28
重合温度(実施例25乃至27)および溶媒(実施例28)を以下の表8において示されているように変更したことを除いて実施例3を繰り返した。実施例27は分別されていない。また、この組におけるその他の全ての実施例は実施例10に従って分別されている。これらの分子量および多分散性が以下の表8においてそれぞれ示されている。
【0170】
【表8】

【0171】
実施例29−37
実施例23乃至28のポリマーを以下の表9において記載されている変更を伴って実施例13に類似している方法により官能性化される。これらの官能性化の割合、分子量および多分散性がそれぞれ表9において示されている。
【0172】
【表9】

【0173】
実施例38−41
実施例33および実施例35乃至37において作成した官能性化したプレポリマーを実施例22に従ってレンズに成形した。これらの弾性率、伸び率および平衡含水量が以下の表10において示されている。
【0174】
【表10】

【0175】
実施例42
注射器の中に、19.5%(重量/重量)の実施例33によるプレポリマーおよび19.5%(重量/重量)の実施例35によるプレポリマーを含有するポリマー溶液をTEG(99+%の純度、フルカ社)および光開始剤のダロキュア1173と共に混合した。アルコールをエバポレーションにより除去した後に、上記の粘性の溶液は0.5%(重量/重量)に等しいダロキュア1173、60.5%(重量/重量)のTEG、および19.5%(重量/重量)のそれぞれのプレポリマーを含有していた。さらに、この成形用の溶液により作成して実施例22におけるように硬化したヒドロゲルは以下の機械的特性、すなわち、27±2psiの弾性率および186±14%の伸び率を示した。
【0176】
実施例43
注射器の中に、実施例30による官能性化したプレポリマーの溶液をテトラエチレン・グリコール(99+%の純度、フルカ社)および光開始剤のダロキュア1173と共に混合した。低沸点溶媒をエバポレーションにより除去した後に、上記の粘性の溶液は0.5%(重量/重量)に等しいダロキュア1173、50%(重量/重量)のテトラエチレン・グリコール、および49.5%(重量/重量)の実施例30による官能性化したプレポリマーを含有していた。その後、脱気した水を加えて、0.4%(重量/重量)に等しいダロキュア1173、39%(重量/重量)のテトラエチレングリコール、および38.6%(重量/重量)のプレポリマーおよび補助希釈剤として22%の水を含有している粘性溶液を作成した。さらに、この成形用の溶液により作成して実施例22におけるように硬化したヒドロゲルは以下の機械的特性、すなわち、34±7psiの弾性率および136±20%の伸び率を示した。
【0177】
実施例45
高分子量のポリマー・フラクションに富んでいる実施例1におけるプレポリマーの下部フラクション(表2において記載されている)を実施例9において説明されている方法を用いて官能性化した。その後、この官能性化して洗浄したプレポリマーを実施例22において説明されている方法を用いてTEGと共に混合して50%の固形物を含有している粘性溶液を得た。この粘性溶液の緩和時間は20℃において400秒であることがわかった。
【0178】
上記溶液の約50mgを20℃において200,400および800秒の保持時間を用いて実施例22に従ってコンタクト・レンズに成形した。
【0179】
硬化した後に、それぞれの蓋を手により取り外して、各レンズを脱イオン水中に10分間にわたり浸漬した。この結果、200秒および400秒の保持時間を用いて調製したレンズはゆがんで、その金型の空孔部から外れた形状を有していた。一方、800秒の保持時間を用いて調製したレンズはその金型の球面の形状を維持していてゆがみが無かった。
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
1.約2よりも小さい多分散性を伴う約25,000のピーク分子量乃至約3.8よりも小さい多分散性を伴う約100,000のピーク分子量を有するポリHEMAを含有している組成物。
2.前記ピーク分子量が約2よりも小さい多分散性を伴う約30,000から約3.5よりも小さい多分散性を伴う約90,000の間である実施態様1に記載の組成物。
3.前記ピーク分子量が約2よりも小さい多分散性を伴う約30,000から約3.2よりも小さい多分散性を伴う約80,000の間である実施態様1に記載の組成物。
4.前記ピーク分子量が約1.5よりも小さい多分散性を伴う約25,000から約3.5よりも小さい多分散性を伴う約80,000の間である実施態様1に記載の組成物。
5.前記ピーク分子量が約100,000よりも小さく、前記多分散性が約2よりも小さい実施態様1に記載の組成物。
6.前記多分散性が約1.7よりも小さい実施態様1に記載の組成物。
7.前記多分散性が約1.5よりも小さい実施態様1に記載の組成物。
8.前記ポリHEMAがゲル粒子を実質的に含まない実施態様1に記載の組成物。
9.前記ポリHEMAがHEMAおよび少なくとも1種類のコモノマーを含有しているコポリマーである実施態様1に記載の組成物。
10.前記コモノマーが少なくとも1種類の親水性のモノマーを含む実施態様9に記載の組成物。
11.前記少なくとも1種類の親水性のモノマーが種々のビニル含有モノマーから選択される実施態様10に記載の組成物。
12.前記少なくとも1種類のビニル含有モノマーがN,N−ジメチル・アクリルアミド、グリセロール・メタクリレート、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド、ポリエチレングリコール・モノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N−ビニル・ラクタム、N−ビニル−N−メチル・アセトアミド、N−ビニル−N−エチル・アセトアミド、N−ビニル−N−エチル・ホルムアミド、N−ビニル・ホルムアミド、ビニル・カルボネート・モノマー、ビニル・カルバメート・モノマー、オキサゾロン・モノマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様11に記載の組成物。
13.前記少なくとも1種類の親水性のモノマーがN,N−ジメチル−アクリルアミド、グリセロール・メタクリレート、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール・モノメタクリレート、メタクリル酸およびアクリル酸およびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様10に記載の組成物。
14.前記少なくとも1種類の親水性のモノマーがN,N−ジメチル・アクリルアミド、メタクリル酸およびグリセロール・メタクリレートを含む実施態様10に記載の組成物。
15.前記少なくとも1種類の親水性のモノマーが約50重量%よりも少ない量で存在している実施態様10に記載の組成物。
16.前記少なくとも1種類の親水性のモノマーが約0.5重量%乃至40重量%の量で存在している実施態様10に記載の組成物。
17.前記親水性のモノマーが約50重量%までの量でグリセロール・メタクリレートを含む実施態様10に記載の組成物。
18.前記親水性のモノマーが約25重量%乃至約45重量%の量でグリセロール・メタクリレートを含む実施態様10に記載の組成物。
19.前記親水性のモノマーが約5重量%よりも少ない量でメタクリル酸を含む実施態様10に記載の組成物。
20.前記親水性のモノマーが約0.5重量%乃至約5.0重量%の量でメタクリル酸を含む実施態様10に記載の組成物。
21.前記親水性のモノマーが約50重量%までの量でN,N−ジメチル・アクリルアミドを含む実施態様10に記載の組成物。
22.前記親水性のモノマーが約10重量%乃至約40重量%の量でN,N−ジメチル・アクリルアミドを含む実施態様10に記載の組成物。
23.前記ポリHEMAがホモポリマーである実施態様1に記載の組成物。
24.前記コポリマーが少なくとも1種類の疎水性のモノマーを含有している実施態様9に記載の組成物。
25.前記疎水性のモノマーが少なくとも1種類の重合可能なビニル基を有する少なくとも1種類のシリコーン含有モノマーまたはマクロマーを含む実施態様24に記載の組成物。
26.前記重合可能なビニル基が2−メタクリルオキシ基を含む実施態様25に記載の組成物。
27.フリー・ラジカル重合法により、約0.5%よりも少ない架橋剤および随意的に少なくとも1種類の親水性または疎水性のコモノマーを有するHEMAモノマーを重合して、約25,000から約100,000までのピーク分子量およびそれぞれ約2.2および約4よりも大きい多分散性を有する高い多分散性のポリHEMAを形成する工程、および当該高い多分散性のポリHEMAを精製して約25,000から約100,000までのピーク分子量およびそれぞれ約2よりも小さく、約3.8よりも小さい多分散性を有する低い多分散性のポリHEMAを形成する工程を含む方法。
28.前記フリー・ラジカル重合法が約2時間乃至約30時間の時間にわたり約40℃乃至約150℃の温度においてその重合中に前記モノマーおよびポリHEMAを溶解することのできる溶媒中において行なわれる実施態様27に記載の方法。
29.前記溶媒が種々のアルコール、グリコール、ポリオール、芳香族炭化水素、アミド、スルホキシド、ピロリドン、エーテル、エステル、エステル・アルコール、グリコエーテル、ケトンおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様28に記載の方法。
30.前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、メチルラクテート、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、エトキシプロパノール、グリコール・エーテル、DMF、DMSO、NMPおよびシクロヘキサノンから成る群から選択される実施態様28に記載の方法。
31.前記フリー・ラジカル重合法が約60℃乃至約90℃の温度においてほぼ周囲圧力で行なわれる実施態様27に記載の方法。
32.前記フリー・ラジカル重合法が少なくとも1種類の熱的な開始剤による熱的な開始により開始される実施態様27に記載の方法。
33.前記熱的な開始剤が過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリルおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様32に記載の方法。
34.前記熱的な開始剤が2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2−アゾビスイソブチロニトリルおよびこれらの混合物を含む実施態様32に記載の方法。
35.前記精製工程がハンセン溶解度パラメータを用いる温度制御型および/または溶媒/非溶媒型の分別法により行なわれる実施態様27に記載の方法。
36.前記精製工程が
(a)前記ポリHEMAを当該ポリHEMAの溶解度球体の中におけるハンセン溶解度パラメータを有する溶媒の中に溶かし、分離用の溶液を形成する工程、
(b)前記分離用の溶液をTs よりも低い温度まで冷却して、少なくとも高分子量のポリHEMAを含有している下方の相および上方の相を形成させる工程、
(c)前記下方の相を除去する工程を含む温度制御により行なわれる実施態様35に記載の方法。
37.さらに、前記工程(a)乃至(c)を繰り返すか、前記上方の相に前記分離用の混合物から前記低い多分散性のポリHEMAを沈殿させるために十分な量でその分離用の混合物の少なくとも1個の溶解度パラメータを減少する非溶媒を添加することによるさらに別の精製処理に前記上方の相をかける工程を含む実施態様36に記載の方法。
38.前記精製工程が
(a)約13乃至約20のδD 、約5乃至約18のδP 、約10乃至約25のδH のハンセン溶解度パラメータを有する溶媒の中に前記ポリHEMAを溶かして分離用の溶液を形成する工程、
(b)前記分離用の溶液に、当該分離用の溶液から高分子量のポリHEMAを沈殿させるために十分な量でその分離用の溶液の少なくとも1個の溶解度パラメータを減少する非溶媒を添加する工程、および
(c)前記高分子量のポリHEMAを除去する工程を含む溶媒/非溶媒型の分別処理により行なわれる実施態様35に記載の方法。
39.さらに、前記工程(a)乃至(c)を繰り返すか、前記分離用の溶液をTs よりも低い温度まで冷却して、少なくとも高分子量のポリHEMAを含有している下方の相および上方の相を形成させて、当該下方の相を除去することによるさらに別の精製処理に前記分離用の溶液をかける工程を含む実施態様38に記載の方法。
40.前記少なくとも1個の溶解度パラメータが前記δH のパラメータを含む実施態様38に記載の方法。
41.前記少なくとも1個の溶解度パラメータにおける減少が約2乃至約5の単位である実施態様38に記載の方法。
42.少なくとも1種類の架橋可能な官能基を約25,000から約100,000までのピーク分子量およびそれぞれ約2よりも小さく、約3.8よりも小さい多分散性を有するポリHEMAに対して、前記架橋可能な官能基を前記ポリHEMA鎖に対して共有結合させるために十分な条件下において、結合させて架橋可能なプレポリマーを形成する工程を含む方法。
43.前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて約1%乃至約20%の量で存在している実施態様42に記載の方法。
44.前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて約1.5%乃至約10%の量で存在している実施態様42に記載の方法。
45.前記架橋可能な官能基が構造式A−S−Fを有する反応物質に由来しており、この場合に、
Aは前記ポリHEMAにおけるヒドロキシル基に対して共有結合を形成することのできる連結基であり、
Sはスペーサーであり、さらに
Fはエチレンの形態で不飽和な部分を含む官能基である実施態様42に記載の方法。
46.前記Aが塩化物、イソシアネート、酸、酸無水物、酸塩化物、エポキシ、アザラクトン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される実施態様45に記載の方法。
47.前記Aが少なくとも1種類の酸無水物を含む実施態様45に記載の方法。
48.前記Sが直接的な結合および1乃至8個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキルまたはアリールの基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至8である実施態様45に記載の方法。
49.前記Sが直接的な結合および1乃至4個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキル基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至4である実施態様45に記載の方法。
50.前記Fが化学式−C(R10)=CR1112を有しており、これらのR10、R11およびR12がそれぞれ独立して水素およびメチルから成る群から選択される実施態様45に記載の方法。
51.前記反応物質がメタクリル酸塩化物、2−イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレート、グリシジル・メタクリレート、ケイ皮酸塩化物、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物および2−ビニル−4−ジメチルアザラクトンから成る群から選択される実施態様45に記載の方法。
52.架橋以外の付加的な官能性を賦与する少なくとも1種類の官能基が前記架橋可能なプレポリマーに結合している実施態様42に記載の方法。
53.さらに、前記架橋可能なプレポリマーを作成するための各工程から残留している望ましくない種々の成分および副産物の全ての実質的に除去するために水により前記プレポリマーを洗浄することにより当該架橋可能なプレポリマーを精製する工程を含む実施態様44に記載の方法。
54.前記精製工程が前記架橋可能なプレポリマーの大きな容積に対する表面の比率を賦与する工程、室温または室温よりも高い温度において脱イオン水により前記架橋可能なプレポリマーを洗浄する工程を含む実施態様53に記載の方法。
55.さらに、25℃において約50,000cps乃至約1×107 cpsの粘度を有する粘性の溶液を形成するために希釈剤と共に前記精製した架橋可能なプレポリマーを混合する工程を含む実施態様42に記載の方法。
56.前記希釈剤が生体適合性であり、低いTg、低い蒸気圧を有していて、前記粘性の溶液の全体の重量に基いて約30重量%乃至約60重量%の架橋可能なプレポリマーを、65℃またはそれ以下の温度において、溶解する実施態様55に記載の方法。
57.前記希釈剤がポリエチレン・グリコール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様56に記載の方法。
58.前記希釈剤が約200乃至600の分子量を有するポリエチレン・グリコールを含む実施態様57に記載の方法。
59.前記希釈剤が極性であり約150℃よりも低い沸点を有する実施態様56に記載の方法。
60.前記希釈剤がアルコール、エーテル、エステル、グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様59に記載の方法。
61.前記希釈剤がアルコール、エーテル・アルコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様59に記載の方法。
62.前記希釈剤が3−メトキシ−1−ブタノール、メチル・ラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチル・ラクテート、イソプロピル・ラクテートおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様59に記載の方法。
63.さらに、前記粘性の溶液により物品を形成して硬化した後に、前記希釈剤をエバポレーションにより処理する工程を含む実施態様59に記載の方法。
64.前記粘性の溶液がさらに少なくとも1種類の開始剤を含有している実施態様55に記載の方法。
65.前記開始剤が少なくとも1種類の光開始剤、熱活性化型の開始剤およびこれらの混合物を含む実施態様64に記載の方法。
66.前記開始剤がビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシドおよびジケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル・ケトンから成る群から選択される実施態様64に記載の方法。
67.前記粘性の溶液がさらに少なくとも1種類の添加物を含有しており、この添加物が望まれる有益性を高めるか賦与し、あるいは、その粘性の溶液により作成される物品における望ましくない特性を減少するか排除する実施態様55に記載の方法。
68.前記添加物が紫外光吸収性の化合物、反応性の染料、有機性および無機質の顔料、光互変性の化合物、剥離剤、離型剤、抗菌性の化合物、製薬用の化合物、湿潤剤、一貫した製品仕様を維持するために望ましい種々の添加物およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される実施態様67に記載の方法。
69.前記粘性の溶液が約10秒よりも短い緩和時間を有している実施態様55に記載の方法。
70.前記粘性の溶液が約5秒よりも短い緩和時間を有している実施態様55に記載の方法。
71.前記粘性の溶液が約1秒よりも短い緩和時間を有している実施態様55に記載の方法。
72.前記ポリHEMAが低い多分散性を直接的に賦与する重合方法により形成されている実施態様42に記載の方法。
73.前記重合方法がフリー・ラジカル・リビング(free radical living)重合により行なわれる実施態様72に記載の方法。
74.少なくとも1種類の架橋可能な官能基を約25,000から約100,000までのピーク分子量およびそれぞれ約2.2よりも大きく、約4よりも大きい多分散性を有するポリHEMAに対して、前記架橋可能な官能基を前記ポリHEMA鎖に対して共有結合させるために十分な条件下において、結合させて架橋可能なプレポリマーを形成する工程、および当該架橋可能なプレポリマーを処理して約2よりも小さい多分散性を有する架橋可能なプレポリマーを形成する工程を含み、この場合に、その架橋可能なプレポリマーの内の10%よりも少ないプレポリマーが約15,000よりも小さい分子量を有している方法。
75.約25,000から約1,000,000までのピーク分子量およびそれぞれ約2乃至約3.8よりも小さい多分散性を有していて、少なくとも1種類の架橋可能な官能基が共有結合しているポリHEMAを含む少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している組成物。
76.前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて約1%乃至約20%の量で存在している実施態様75に記載の組成物。
77.前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて約1.5重量%乃至約10重量%の量で存在している実施態様75に記載の組成物。
78.前記架橋可能な官能基が構造式A−S−Fを有する反応物質に由来しており、この場合に、
Aは前記ポリHEMAにおけるヒドロキシル基に対して共有結合を形成することのできる連結基であり、
Sはスペーサーであり、さらに
Fはエチレンの形態で不飽和な部分を含む官能基である実施態様75に記載の組成物。
79.前記AがCl、イソシアネート、酸、酸無水物、酸塩化物、エポキシ、アザラクトン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される実施態様78に記載の組成物。
80.前記Aが少なくとも1種類の酸無水物を含む実施態様78に記載の組成物。
82.前記Sが直接的な結合および1乃至8個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキルまたはアリールの基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至8である実施態様78に記載の組成物。
83.前記Sが直接的な結合および1乃至4個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキル基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至4である実施態様78に記載の組成物。
84.前記Fが化学式−C(R10)=CR1112を有しており、この場合に、R10、R11およびR12がそれぞれ独立して水素およびメチルから成る群から選択される実施態様78に記載の組成物。
85.前記反応物質がメタクリル酸塩化物、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、2−イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチル・メタクリレート、グリシジル・メタクリレート、ケイ皮酸塩化物および2−ビニル−4−ジメチルアザラクトンから成る群から選択される実施態様78に記載の組成物。
86.前記反応物質がメタクリル酸無水物を含む実施態様78に記載の組成物。
87.さらに、前記架橋可能なプレポリマーに共有結合している架橋以外の付加的な官能性を賦与する少なくとも1種類の官能基を含む実施態様78に記載の組成物。
88.実施態様75に記載の架橋可能なプレポリマー、および25℃において約50,000cps乃至約1×107 cpsの粘度を有する前記粘性の溶液を形成するために十分な量で希釈剤を含む粘性溶液。
89.前記希釈剤が生体適合性であり、低いTg、低い蒸気圧を有していて、前記粘性の溶液の全体の重量に基いて約30重量%乃至約60重量%の架橋可能なプレポリマーを、65℃またはそれ以下の温度において、溶解する実施態様88に記載の粘性溶液。
90.前記希釈剤がポリエチレン・グリコール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様89に記載の粘性溶液。
91.前記希釈剤が約200乃至600の分子量を有するポリエチレン・グリコールを含む実施態様90に記載の粘性溶液。
92.前記希釈剤が極性であり約150℃よりも低い沸点を有する実施態様88に記載の粘性溶液。
93.前記希釈剤がアルコール、エーテル・アルコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様92に記載の粘性溶液。
94.前記希釈剤が3−メトキシ−1−ブタノン、メチル・ラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、3−エトキシ−2−プロパノール、エチル・ラクテート、イソプロピル・ラクテートおよびこれらの混合物から成る群から選択される実施態様92に記載の粘性溶液。
95.さらに、少なくとも1種類の開始剤を含有している実施態様88に記載の粘性溶液。
96.前記開始剤が少なくとも1種類の光開始剤、熱活性化型の開始剤およびこれらの混合物を含む実施態様95に記載の粘性溶液。
97.前記開始剤がビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシドおよびジケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル・ケトンから成る群から選択される実施態様96に記載の粘性溶液。
98.さらに、約10秒よりも短い緩和時間を有する実施態様88に記載の粘性溶液。
99.さらに、約5秒よりも短い緩和時間を有する実施態様88に記載の粘性溶液。
100.さらに、約1秒よりも短い緩和時間を有する実施態様88に記載の粘性溶液。
101.前記架橋可能なプレポリマーが並数を2個持つ分子量の分布を有する実施態様75に記載の組成物。
102.実施態様75に記載の組成物により形成されているポリHEMAの網状構造を含むヒドロゲル。
103.前記ヒドロゲルが少なくとも約20psiの弾性率を有する実施態様102に記載のヒドロゲル。
104.前記弾性率が約20psi乃至約90psiである実施態様102に記載のヒドロゲル。
105.前記ヒドロゲルが約100%よりも大きい破断点伸びを有する実施態様102に記載のヒドロゲル。
106.前記ヒドロゲルが約120%よりも大きい破断点伸びを有する実施態様102に記載のヒドロゲル。
107.実施態様102に記載のヒドロゲルを含む物品。
108.前記物品が生物医学装置を含む実施態様107に記載の物品。
109.前記物品が眼用装置である実施態様107に記載の物品。
110.前記眼用装置がソフト・コンタクト・レンズである実施態様109に記載の物品。
111.実施態様75の組成物により形成されているポリマーの網状構造を含む物品。
112.(a)物品を形成する量の粘性溶液を物品の形態に造形する工程、および
(b)前記物品の形態をポリマーの網状構造を形成するために十分な条件下において硬化する工程を含む方法。
113.さらに、前記造形された形態をその造形処理により誘発した応力を排除するために十分な時間にわたり硬化処理する前に自然に緩和させる工程を含む実施態様112に記載の方法。
114.さらに、前記造形された粘性溶液を硬化処理の前に自然に静止させる工程を含む実施態様112に記載の方法。
115.前記造形された形態が前記粘性溶液に対応する緩和時間の約2乃至約3倍の期間にわたり自然に静止される実施態様114に記載の方法。
116.前記期間が約30秒よりも短い実施態様115に記載の方法。
117.前記期間が約10秒よりも短い実施態様115に記載の方法。
118.前記期間が約5秒よりも短い実施態様115に記載の方法。
118.前記粘性溶液が、前記物品の形成において、約2%よりも少ない収縮を示す実施態様112に記載の方法。
119.前記粘性溶液が、前記物品の形成において、約1%よりも少ない収縮を示す実施態様112に記載の方法。
120.前記物品が生物医学装置を含む実施態様112に記載の方法。
121.前記造形処理が直接的な成形処理により行なわれて、前記物品が眼用装置である実施態様112に記載の方法。
122.前記眼用装置がソフト・コンタクト・レンズである実施態様112に記載の方法。
123.前記少なくとも1種類のコモノマーが可視光および/または紫外光の範囲内の光を吸収する色付けしたモノマーである実施態様9に記載の組成物。
124.前記希釈剤がさらに水を含む実施態様56に記載の方法。
125.約15,000よりも小さいピーク分子量を有するポリマー分子を約10%よりも少なく含むポリHEMAを含有している組成物。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は種々の実施例において作成した組成物に対応するハンセン溶解度パラメータ球を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の架橋可能な官能基を25,000から100,000までのピーク分子量およびそれぞれ2よりも小さく、3.8よりも小さい多分散性を有するポリHEMAに対して、前記架橋可能な官能基を前記ポリHEMA鎖に対して共有結合させるために十分な条件下において、結合させて架橋可能なプレポリマーを形成する工程を含む方法。
【請求項2】
前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて1%乃至20%の量で存在している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて1.5%乃至10%の量で存在している請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記架橋可能な官能基が構造式A−S−Fを有する反応物質に由来しており、この場合に、
Aは前記ポリHEMAにおけるヒドロキシル基に対して共有結合を形成することのできる連結基であり、
Sはスペーサーであり、さらに
Fはエチレンの形態で不飽和な部分を含む官能基である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Aが塩化物、イソシアネート、酸、酸無水物、酸塩化物、エポキシ、アザラクトン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記Aが少なくとも1種類の酸無水物を含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記Sが直接的な結合および1乃至8個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキルまたはアリールの基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至8である請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記Sが直接的な結合および1乃至4個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキル基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至4である請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記Fが化学式−C(R10)=CR1112を有しており、これらのR10、R11およびR12がそれぞれ独立して水素およびメチルから成る群から選択される請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記反応物質がメタクリル酸塩化物、2−イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレート、グリシジル・メタクリレート、ケイ皮酸塩化物、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物および2−ビニル−4−ジメチルアザラクトンから成る群から選択される請求項4に記載の方法。
【請求項11】
架橋以外の付加的な官能性を賦与する少なくとも1種類の官能基が前記架橋可能なプレポリマーに結合している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記架橋可能なプレポリマーを作成するための各工程から残留している望ましくない種々の成分および副産物の全ての実質的に除去するために水により前記プレポリマーを洗浄することにより当該架橋可能なプレポリマーを精製する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記精製工程が前記架橋可能なプレポリマーの大きな容積に対する表面の比率を賦与する工程、室温または室温よりも高い温度において脱イオン水により前記架橋可能なプレポリマーを洗浄する工程を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、25℃において50,000cps乃至1×107 cpsの粘度を有する粘性の溶液を形成するために希釈剤と共に前記精製した架橋可能なプレポリマーを混合する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記希釈剤が生体適合性であり、低いTg、低い蒸気圧を有していて、前記粘性の溶液の全体の重量に基いて30重量%乃至60重量%の架橋可能なプレポリマーを、65℃またはそれ以下の温度において、溶解する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記希釈剤がポリエチレン・グリコール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記希釈剤が200乃至600の分子量を有するポリエチレン・グリコールを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記希釈剤が極性であり150℃よりも低い沸点を有する請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記希釈剤がアルコール、エーテル、エステル、グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記希釈剤がアルコール、エーテル・アルコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記希釈剤が3−メトキシ−1−ブタノール、メチル・ラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチル・ラクテート、イソプロピル・ラクテートおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記粘性の溶液により物品を形成して硬化した後に、前記希釈剤をエバポレーションにより処理する工程を含む請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記粘性の溶液がさらに少なくとも1種類の開始剤を含有している請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記開始剤が少なくとも1種類の光開始剤、熱活性化型の開始剤およびこれらの混合物を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記開始剤がビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシドおよびジケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル・ケトンから成る群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記粘性の溶液がさらに少なくとも1種類の添加物を含有しており、この添加物が望まれる有益性を高めるか賦与し、あるいは、その粘性の溶液により作成される物品における望ましくない特性を減少するか排除する請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記添加物が紫外光吸収性の化合物、反応性の染料、有機性および無機質の顔料、光互変性の化合物、剥離剤、離型剤、抗菌性の化合物、製薬用の化合物、湿潤剤、一貫した製品仕様を維持するために望ましい種々の添加物およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記粘性の溶液が10秒よりも短い緩和時間を有している請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記粘性の溶液が5秒よりも短い緩和時間を有している請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記粘性の溶液が1秒よりも短い緩和時間を有している請求項14に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリHEMAが低い多分散性を直接的に賦与する重合方法により形成されている請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記重合方法がフリー・ラジカル・リビング(free radical living)重合により行なわれる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1種類の架橋可能な官能基を25,000から100,000までのピーク分子量およびそれぞれ2.2よりも大きく、4よりも大きい多分散性を有するポリHEMAに対して、前記架橋可能な官能基を前記ポリHEMA鎖に対して共有結合させるために十分な条件下において、結合させて架橋可能なプレポリマーを形成する工程、および当該架橋可能なプレポリマーを処理して2よりも小さい多分散性を有する架橋可能なプレポリマーを形成する工程を含み、この場合に、その架橋可能なプレポリマーの内の10%よりも少ないプレポリマーが15,000よりも小さい分子量を有している方法。
【請求項34】
25,000から1,000,000までのピーク分子量およびそれぞれ2乃至3.8よりも小さい多分散性を有していて、少なくとも1種類の架橋可能な官能基が共有結合しているポリHEMAを含む少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している組成物。
【請求項35】
前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて1%乃至20%の量で存在している請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記架橋可能な官能基が前記ポリHEMAにおいて利用可能なヒドロキシル基の量に基く化学量論的な基礎に基いて1.5重量%乃至10重量%の量で存在している請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記架橋可能な官能基が構造式A−S−Fを有する反応物質に由来しており、この場合に、
Aは前記ポリHEMAにおけるヒドロキシル基に対して共有結合を形成することのできる連結基であり、
Sはスペーサーであり、さらに
Fはエチレンの形態で不飽和な部分を含む官能基である請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
前記AがCl、イソシアネート、酸、酸無水物、酸塩化物、エポキシ、アザラクトン、およびこれらの組み合わせ物から成る群から選択される請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記Aが少なくとも1種類の酸無水物を含む請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記Sが直接的な結合および1乃至8個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキルまたはアリールの基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至8である請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記Sが直接的な結合および1乃至4個の炭素原子を有する直線状、分枝状または環状のアルキル基、および化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテルから成る群から選択され、この場合に、前記nが1乃至4である請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記Fが化学式−C(R10)=CR1112を有しており、この場合に、R10、R11およびR12がそれぞれ独立して水素およびメチルから成る群から選択される請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記反応物質がメタクリル酸塩化物、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、2−イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチル・メタクリレート、グリシジル・メタクリレート、ケイ皮酸塩化物および2−ビニル−4−ジメチルアザラクトンから成る群から選択される請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
前記反応物質がメタクリル酸無水物を含む請求項37に記載の組成物。
【請求項45】
さらに、前記架橋可能なプレポリマーに共有結合している架橋以外の付加的な官能性を賦与する少なくとも1種類の官能基を含む請求項37に記載の組成物。
【請求項46】
請求項34に記載の架橋可能なプレポリマー、および25℃において50,000cps乃至1×107 cpsの粘度を有する前記粘性の溶液を形成するために十分な量で希釈剤を含む粘性溶液。
【請求項47】
前記希釈剤が生体適合性であり、低いTg、低い蒸気圧を有していて、前記粘性の溶液の全体の重量に基いて30重量%乃至60重量%の架橋可能なプレポリマーを、65℃またはそれ以下の温度において、溶解する請求項46に記載の粘性溶液。
【請求項48】
前記希釈剤がポリエチレン・グリコール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項47に記載の粘性溶液。
【請求項49】
前記希釈剤が200乃至600の分子量を有するポリエチレン・グリコールを含む請求項48に記載の粘性溶液。
【請求項50】
前記希釈剤が極性であり150℃よりも低い沸点を有する請求項46に記載の粘性溶液。
【請求項51】
前記希釈剤がアルコール、エーテル・アルコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項50に記載の粘性溶液。
【請求項52】
前記希釈剤が3−メトキシ−1−ブタノン、メチル・ラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、3−エトキシ−2−プロパノール、エチル・ラクテート、イソプロピル・ラクテートおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項50に記載の粘性溶液。
【請求項53】
さらに、少なくとも1種類の開始剤を含有している請求項46に記載の粘性溶液。
【請求項54】
前記開始剤が少なくとも1種類の光開始剤、熱活性化型の開始剤およびこれらの混合物を含む請求項53に記載の粘性溶液。
【請求項55】
前記開始剤がビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシドおよびジケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル・ケトンから成る群から選択される請求項54に記載の粘性溶液。
【請求項56】
さらに、10秒よりも短い緩和時間を有する請求項46に記載の粘性溶液。
【請求項57】
さらに、5秒よりも短い緩和時間を有する請求項46に記載の粘性溶液。
【請求項58】
さらに、1秒よりも短い緩和時間を有する請求項46に記載の粘性溶液。
【請求項59】
前記架橋可能なプレポリマーが並数を2個持つ分子量の分布を有する請求項34に記載の組成物。
【請求項60】
請求項34に記載の組成物により形成されているポリHEMAの網状構造を含むヒドロゲル。
【請求項61】
前記ヒドロゲルが少なくとも20psiの弾性率を有する請求項60に記載のヒドロゲル。
【請求項62】
前記弾性率が20psi乃至90psiである請求項60に記載のヒドロゲル。
【請求項63】
前記ヒドロゲルが100%よりも大きい破断点伸びを有する請求項60に記載のヒドロゲル。
【請求項64】
前記ヒドロゲルが120%よりも大きい破断点伸びを有する請求項60に記載のヒドロゲル。
【請求項65】
請求項60に記載のヒドロゲルを含む物品。
【請求項66】
前記物品が生物医学装置を含む請求項65に記載の物品。
【請求項67】
前記物品が眼用装置である請求項65に記載の物品。
【請求項68】
前記眼用装置がソフト・コンタクト・レンズである請求項67に記載の物品。
【請求項69】
請求項34の組成物により形成されているポリマーの網状構造を含む物品。
【請求項70】
前記希釈剤がさらに水を含む請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−221486(P2009−221486A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159594(P2009−159594)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【分割の表示】特願2003−575849(P2003−575849)の分割
【原出願日】平成15年3月6日(2003.3.6)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】