低密度製品の製造方法
【課題】低密度材料および低密度材料を形成する前駆体の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】無機の主要成分と発泡剤からなる水性混合物を形成し、その混合物を乾燥し、必要に応じて粉砕することによって膨張可能な前駆体を形成する。予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御して、前記前駆体を燃焼する。発泡剤の制御は、前駆体全体に適切な分配、前駆体に抑制剤を添加する、燃焼条件を改善する、すなわち酸素欠乏環境下、燃料豊富環境下、プラズマ加熱、などの多様な手段により達成されうる。
【解決手段】無機の主要成分と発泡剤からなる水性混合物を形成し、その混合物を乾燥し、必要に応じて粉砕することによって膨張可能な前駆体を形成する。予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御して、前記前駆体を燃焼する。発泡剤の制御は、前駆体全体に適切な分配、前駆体に抑制剤を添加する、燃焼条件を改善する、すなわち酸素欠乏環境下、燃料豊富環境下、プラズマ加熱、などの多様な手段により達成されうる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度製品の形成方法、そして特に加工された膨張微粒子を合成により製造する方法および配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書を通して先行技術のあらゆる検討も、けっして、そのような先行技術が、広く知られているか、または当分野での共通の一般的知識の一部を形成することを認めることと見なされるべきでない。
【0003】
セノスフィア(空球:cenospheres)は、石炭燃焼発電所における副産物であるフライアッシュ(飛散灰:fly ash)に見られる球状の無機中空微粒子(マイクロスフェア:microspheres)である。セノスフェアは、フライアッシュのおよそ1−2%を典型的になし、そして「収集された」セノスフェアは、広く市販で入手可能である。セノスフェアの組成、形態、サイズ、形状および密度は、多くの低密度製品の配合および製造に特定の利益を供給する。
【0004】
セノスフェアの特徴的な特性の内の1つは、例外的に高い化学的耐久性である。この例外的に高い化学的耐久性は、その組成でのアルカリ金属酸化物、特に酸化ナトリウムの非常に低い含有量により理解される。したがって、採取されたセノスフェアから生成される低密度複合体は、重量比に対する高い強度、および化学的不活性度の望ましい特性を示す。化学的不活性度は、相対的な化学的不活性度が、非常に耐久性のあるセメント質の製品を達成する上で重要な役割を果たすポートランドセメント用途で特に重要である。したがって、採取されたセノスフェアは、製品を構築する上で、そしてそれらが、腐食性環境で接触するようになる可能性がある一般的用途で特に有用であることが立証された。
【0005】
収集されたセノスフェアの既知の有用性にもかかわらず、それらの広範囲に及ぶ用途は、それらのコストおよび入手可能性により重大な程度まで限定されてきた。フライアッシュからの多量のセノスフェアの回収は、労働集約的で、そして高価な方法である。収集方法を改善することによって、フライアッシュからのセノスフェアの回収を増大させることは可能であるが、改善された回収のコストは、これを経済的に実用的なものにしない。
【0006】
発電所における燃焼条件を、フライアッシュ中のセノスフェアの収量を増大させるように変えることも可能かもしれない。しかし、発電所での燃焼条件は、セノスフェア生産よりむしろ石炭燃焼のために最大限に利用され、そして石炭燃焼効率の費用で、セノスフェア生産の収量を増大させることは、経済的に実用的でない。
【0007】
マイクロスフェアを製造するいくつかの方法は、先行技術に記述されている。中空ガラスマイクロスフェアを製造する初期の方法は、珪酸ナトリウムおよびホウ砂を、適切な発泡剤(foaming agent)と合わせ、その混合物を乾燥および破砕させ、破砕粒子のサイズを調整し、そして続いて、その粒子を燃焼させることを含む。しかし、この方法は、高価な出発材料(例えば、ホウ砂)の使用に悩まされる。したがって、生じたマイクロスフェアは、必然的に高価である。さらに、その製品は、生じたガラス組成物中の酸化ナトリウムが高含有率であることにより、化学的耐久性が乏しい。
【0008】
特許文献1には、約1200℃の温度で、水蒸気の存在下で、加熱することによって、ガラスビーズからガラスマイクロスフェアを製造する方法が記載されている。この方法は、出発原材料として予備成形された不定形ガラスの占有的使用を必要とする。
【0009】
特許文献2には、本質的にアルカリ金属珪酸塩からなる個別の固形粒子からガラス製マイクロスフェアを形成する方法が記載されている。マイクロスフェアは、尿素またはNa2CO3のような気化剤の存在下で、1000−2500°Fの範囲にある温度で、アルカリ金属珪酸塩を加熱することによって形成される。
【0010】
特許文献3(欧州特許出願公開公報A−1156021号に対応)は、直径1〜20ミクロンの中空マイクロスフェアを形成する噴霧燃焼方法が記載されている。しかし、この方法は、既知セノスフェアに類似の直径(すなわち、約200ミクロン)を有する中空マイクロスフェアを製造するのに不適切である。噴霧燃焼方法では、高速蒸気の急速燃焼(explosion)は、大型粒子を破裂させ、それにより、直径約20ミクロンより大きな中空マイクロスフェアの形成を防止する。
【0011】
特許文献4には、フライアッシュから固形マイクロスフェアを形成する方法が記載されている。その方法は、フライアッシュ粒子の長球均質性を改善すると言われており、そして約1.8g/cm3の密度を示すフライアッシュ長球を供給する。
【0012】
特許文献5には、直径1mmより大きな大型の発泡性ガラス顆粒を製造するのと異なる温度で活性化された2つの発泡剤(blowing agent)を使用する方法が開示されている。しかし、そこで検討される発泡剤は、そこで検討される発泡剤に限定され、2つの剤の内の一方は、酸素発生剤でなければならない。
【0013】
一般的に言って、処理された膨張微粒子を形成する先行技術の方法は、発泡剤(blowing agent)、気化剤、または発泡剤(foaming agent)の存在下で、無機材料を燃焼させることを包含する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第3365315号明細書
【特許文献2】米国特許第2978340号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0043996号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0025436号明細書
【特許文献5】米国特許第4826788号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このような発泡剤(blowing agent)、気化剤または発泡剤(foaming agent)は、微粒子が製造される材料が、適切な形態、すなわち液体である場合にのみ活性化されるべきである。しかし、微粒子が形成される材料と、発泡剤を適合させ、そして最も有効な手段でその発泡剤を使用することは、ときとして極端に困難である。
【0016】
その方法のより大きな程度の制御を可能するシステムを有することが望ましいであろう。
【0017】
先行技術の欠点の内の少なくとも1つを克服または改善するか、または有用な代替物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第一の態様において、本発明は、低密度材料を製造する方法であって、
無機の主要成分および膨張成分の水性混合物を形成し、その混合物を乾燥させ、そして選択的に、所定の粒子径に破砕して前駆体を供給する工程、そして前駆体を燃焼させて、前駆体を膨張させる膨張成分を活性化させ、そして低密度材料を形成する工程を含み、
該発泡剤が、所定の最適温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御することを特徴とする方法
を提供する。
【0019】
好ましい実施形態においては、発泡剤の制御は、混合物が前述の最適な温度範囲に達するまで、発泡剤を保存および/または保護する前駆体中に制御剤を供給することによって達成される。
【0020】
制御剤は、多数の形態で提供されうる。1つの形態では、制御剤は、特定の方法条件下で反応して、前駆体の環境を変え、そしてそれにより発泡剤の活性化を制御する材料を含む。例えば、制御剤は、別の発泡剤の形態でありうる。説明するために、前駆体配合物は、主に、前駆体材料を膨張させ、そして膨張した微粒子を形成するように作用する主要発泡剤を含みうる。二次および三次発泡剤の形態にある制御剤は、前駆体混合物中に含まれうる。これらの発泡剤は、主要発泡剤より低い温度で活性化されうる。多くの発泡剤は、酸化により活性化される。三次および/または二次発泡剤を活性化させると、プロセス環境から酸素の掃気を行ない、それにより主要発泡剤の活性化を制御することとなる。当業者にとって明確であるように、これは、好ましい最適温度範囲内で主要発泡剤の保存および放出を可能にし、そしてその方法での発泡剤のより優れた制御およびいっそう効率的な用途を提供する。
【0021】
発泡剤の制御は、多様な手段により達成されうる。例えば、その方法は、酸素欠乏環境で進行され、それにより膨張成分の酸素への曝露を低減させうる。前駆体混合物が、最適な温度範囲に達すると、酸素は、その工程に導入され、それにより発泡剤を活性化させうる。
【0022】
別の代替法は、燃料豊富な状態で、すなわち少量の酸化で燃焼工程を進ませることである。プラズマ加熱などのような他の燃焼機構を、発泡剤の活性化を制御するために、適切な量でO2消費ガス(O2 depleting gases)またはO2エンリッチガス(O2 enriching gases)を用いて使用してもよい。
【0023】
さらに別の実施形態では、発泡剤の保存は、物理的に達成されうる。前駆体粒子じゅうの発泡剤の分布は、膨張成分の少なくともいくつかが、表面から離れた前駆体のコア内に維持されるようになりうる。このような前駆体粒子を加熱させる場合、表面温度は上昇し、そしてコア温度は、表面温度に遅れてついてくる。この温度差は、実質的に全ての前駆体粒子が最適な温度範囲に達するときのみに、発泡剤が活性化されるように処理される。
【0024】
この点で、最適な温度範囲は、前駆体混合物が膨張工程に最適な粘度に達するものである。最適な温度範囲は、無機の主要成分の性質(make up)、発泡剤および制御剤の性質、前駆体粒子径、結果物としての低密度材料の所望の密度を含めた多数のパラメーターに依存する。
【0025】
好ましくは、低密度材料は、微粒子の形態で、最も好ましくは、1,000ミクロンまでの粒子径で製造される。
【0026】
第二の態様では、本発明は、低密度材料のための前駆体を形成する方法であって、
(a)無機の主要成分を供給する工程;
(b)無機の主要成分、発泡剤および制御剤の水性混合物を形成する工程、および;
(c)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための膨張可能な前駆体を供給する工程を含み、
該発泡剤および制御剤が、発泡剤が所定の最適な温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御するように選択される方法を提供する。
【0027】
第三の態様において、本発明は、低密度材料のための前駆体を形成する方法であって、
(d)無機の主要成分を供する工程;
(e)無機の主要成分および発泡剤の水性混合物を形成する工程、および;
(c)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための膨張可能な前駆体を供する工程を含み、
該発泡剤が、前駆体において、発泡剤が所定の最適な温度範囲内で活性化され、前駆体の燃焼により発泡剤の活性化を制御するように、選択および/または分布(distribute)される方法を提供する。
【0028】
第四の態様において、本発明は、膨張微粒子を製造するのに適切な前駆体を供し、該前駆体は、膨張可能な無機の主要成分、活性化され、そしてそれにより前記主要成分を膨張させるように適合された発泡剤、および所定の最適温度範囲内で活性化され、発泡剤の活性化を制御するように選択される制御剤を包含する。
【0029】
第五の態様において、本発明は、膨張微粒子を製造するのに適切な前駆体を供し、該前駆体は、膨張可能な無機主要成分、ならびに発泡剤の活性化を制御するために前駆体内に選択および/または分布され、それによって、膨張した微粒子を製造するための前駆体の燃焼により、発泡剤が所定の最適な温度範囲内で活性化される発泡剤を包含する。
【0030】
第六の態様では、本発明は、無機の混合物中の発泡剤の活性化を制御して、膨張した微粒子を製造する方法であって、
膨張ガスを放出し、そして膨張した微粒子を生じる所定の条件下で活性化される少なくとも1つの発泡剤を供し、そして該活性化が、無機の混合物の所定の最適な粘度範囲内で起こる状態を制御することを含む方法を提供する。
【0031】
第七の態様では、本発明は、膨張した微粒子を製造するための膨張成分を提供し、該膨張成分は、主要発泡剤および所定量の適合可能な制御剤を含み、ここで膨張可能な混合物内のこのような膨張成分の包含において、該制御剤は、発泡剤を制御および保存するために発泡剤より先に、または同時に活性化されうるものである。
【0032】
好ましい実施形態においては、制御剤は、発泡剤より低い温度で活性化される。制御剤は、そのプロセス環境を変えるように作用する可能性があり、そしてそのプロセス環境が、発泡剤の活性化にあまり作用させないようにする。例えば、制御剤は、そのプロセス環境から酸素を掃気するために酸素含有量を変えるように作用し、そしてそれにより、このような環境が、酸化活性化可能な発泡剤あまり作用しないようにする。
【0033】
別の好ましい形態において、膨張成分/剤は、ある範囲の工程条件にわたって連続して活性化されるように適合される一連の膨張化合物を包含する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、無機の混合物中の発泡剤の活性化を制御して、膨張した微粒子を製造する方法であって、
膨張ガスを放出し、膨張した微粒子を生成する所定の条件下で活性化される少なくとも1つの発泡剤を供する工程、および前記活性化が、無機の混合物の所定の最適粘度範囲内で起こるように条件を制御する工程を包含する方法を提供する。
【0035】
無機の混合物は、比較的高い温度で融解する。当業者にとって明確であるとおり、膨張工程から最大の収量を提供するので、無機の混合物が最適な粘度にある場合、発泡剤のみが活性化されることが重要である。したがって、本発明は、それが、無機混合物の最適な粘度で、すなわち特定の温度範囲内で活性化されるように発泡剤を仕立てるための機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】2成分系Na2O−SiO2の相平衡図であり、そしてその組成は、SiO2の重量百分率として表される。
【図2】3つの好ましい発泡剤、糖、カーボンブラックおよびシリコンカーバイドのTGAプロットであり、そして糖の連続活性化温度が最も低く、カーバイドが最も高いことを示す。
【図3】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図10】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図11】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図12】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図13】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図14】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図15】実施例3で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図16】実施例3で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図17】実施例3で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図18】実施例4で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図19】実施例4で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図20】実施例5で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
文脈において別段明らかに要求しない限り、明細書および請求項を通して、語句「包含する」、「包含している」などは、限定的または徹底的な意味と反対に包括的な意味、すなわち、「含むが、それに限定されない」の意味と解釈されるべきである。
【0038】
ここで使用される場合、用語「処理された/膨張した微粒子」は、合成方法の主要な目的製品として合成される中空微粒子を意味する。その用語は、例えば、石炭燃焼発電所における燃焼石炭の単に副産物である収集セノスフェアを含まない。
【0039】
用語「マイクロスフェア」および「微粒子」は、明細書を通して使用されるが、これらの用語は、真正な幾何学上の球体でないものを含めた、あらゆる実質的に丸い別個の微粒子を含むことを意図すると理解される。
【0040】
ここで使用される場合、用語「前駆体」は、1つまたはそれより多くの膨張微粒子を形成するために、それの膨張の前に適切な配合物から製造される集塊または粒子をいう。用語「制御剤」は、膨張成分の活性化を制御する前駆体に含まれる成分をいう。
【0041】
ここで使用される場合、用語「主要成分」は、主要成分の量が、通常、他の構成要素の量を超える意味において、この成分が、通常、配合物/前駆体の主要な構成要素であることを意味する。さらに、用語「無機の主要成分」は、主要成分が、本質的に無機材料からなることを意味する。しかし、少量(例えば、約10重量%まで)の他の材料は、なお無機の主要成分に含まれうる。
【0042】
ここで使用される場合、用語「活性化」は、例えば、温度、配合物に存在する酸化物の酸化還元、および膨張成分が活性化され、その膨張ガスを放出する熱処理の気体雰囲気(例えば酸素分圧)の範囲のような条件をいう。
【0043】
本発明の好ましい方法は、広く利用可能で、そして廉価な出発材料から、優れた収量で、膨張した微粒子を生成するための手段を有利に提供する。したがって、その好ましい形態において、該方法は、微粒子を生成する全経費を低減し、結果として、特に建設業界でのそれらの用途、そして現在利用可能なセノスフェアの用途が、それらの法外な費用および利用可能性の低さにより比較的限定される重合性複合体においてのような全てのフィラー用途の範囲を増大させる。本発明は、広範な材料からの膨張微粒子の信頼性のある合成を達成する上で、発泡剤の活性化を制御する決定的な重要さを認識する。
【0044】
本発明の全ての態様の好ましい特性は、下で詳細に説明される。
【0045】
膨張した微粒子に前駆体を形成させる方法
膨張した微粒子を生成するための前駆体は、水性混合物中に主要成分、膨張成分および選択的に制御剤を組み合わせることによって製造されうる。その後、この水性混合物を、乾燥させて、集塊前駆体を製造する。
【0046】
前述のように、本発明は、混合および乾燥の工程を含めた、前駆体を形成する方法を提供する。結果物として得られる前駆体は、一般に、それの構成要素材料の実質的に固形の集塊混合物である。
【0047】
特に、混合工程は、後に乾燥される水性分散液またはペーストを提供する。混合は、セラミック粉末を混合するために使用されるあらゆる従来の手段によって行われうる。好ましい混合技術の例としては、攪拌タンク、ボールミル、一軸および二軸混合装置、および摩擦破砕機(attrition mills)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
所定の混合助剤(例えば、界面活性剤)は、適宜混合工程に加えてもよい。例えば、界面活性剤は、粒子を混合、懸濁および分散するのを助けるために使用されうる。
【0049】
乾燥は、特に、30〜600℃の範囲の温度で行われ、そして使用される乾燥技術に応じて、約48時間までの期間にわたって起こりうる。スラリーおよびペーストを乾燥させる業界で慣例上使用されるあらゆる型の乾燥機が、本発明で使用されうる。
【0050】
乾燥は、例えば、固定された皿または容器を使用した、バッチ工程において行われうる。代わりに、乾燥は、噴霧乾燥機、流動床乾燥機、回転乾燥機、旋回トレイ乾燥機またはフラッシュ乾燥機で行われうる。
【0051】
好ましくは、混合物は、結果物として得られる集塊前駆体の水分含量が、約14重量%より少なく、より好ましくは約10重量%より少なく、さらに好ましくは約5重量%より少なく、そしてさらに好ましくは、約3重量%またはそれより少なくなるように乾燥される。前駆体中の14重量%またはそれより多くの水で、燃焼により微細に急激に割れる傾向にあることが分かった。この破裂は、多すぎる水の存在下で、高速の蒸気燃焼によって引起されることが本発明者らによって分かった。
【0052】
したがって、少量の残余水分が、その形成のための溶液基本の工程の後に存在しうるが、結果物としての前駆体は、好ましくは、本質的に乾燥しているべきである。実際に、少量の水は、特に、前駆体中の粒子が水反応性である場合に、一緒に前駆体中の粒子を結合する助けになりうる。
【0053】
好ましくは、乾燥した前駆体粒子は、10〜1000ミクロン、より好ましくは30〜1000ミクロンまで、さらに好ましくは40〜500ミクロン、そしてさらに好ましくは50〜300ミクロンの範囲内の平均粒子径を有する。もちろん、応答の程度はおおよそにすぎないが、前駆体の粒子径は、結果物としての合成中空マイクロスフェアの粒子径に関連する。必要であれば、標準の粉末化/サイジング/等級分け技術が、この好ましい平均粒子径を達成するために使用されうる。
【0054】
乾燥は、とくに好ましくは、水の供給装置を有する噴霧乾燥機を使用して行われる。噴霧乾燥が、本発明で使用されるときにいくつかの利点を示すことが分かった。
【0055】
噴霧乾燥機を使用して前駆体を形成する方法
前述のように、本発明は、生成工程において最適な点で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御するための種々の技術を予見する。このような制御は、前駆体配合物中で制御剤を合わせることによって達成されうる。別の実施形態は、最適な温度で、利用可能な充分な発泡/膨張ガスがあるように一連の制御剤および/または発泡剤を含む。1つの実施形態では、温度上昇にしたがって連続して活性化される一連の発泡剤が使用されうる。
【0056】
さらなる実施形態は、前駆体が燃焼される一方で、表面近くに分布する発泡剤は、高温にされるが、前駆体の核に近い発泡剤は、「物理的に」保護されるように、前駆体じゅうに発泡剤を分布させることを包含する。説明のために、配合物の熱伝導性は、前駆体のコア内の温度上昇に対して、前駆体の表面上の加熱の間に遅延を引き起こす。したがって、前駆体のコア内にある発泡剤は、前駆体粒子の主要部分がその最適温度をすでに達成するまで、活性化されない。
【0057】
さらに、前述したように、多くの発泡剤は酸化によって活性化される。前駆体のコア内の粒子は、表面上の発泡剤と同じ範囲まで酸素にさらされず、そしてさらに、粒子のコア中の発泡剤を保護する。
【0058】
さらに驚くべきことに、出願人は、噴霧乾燥機は、前駆体を膨張した微粒子に形成するのに有用であるのみならず、前駆体内の発泡剤の前述の最適な分布を供するのにも優れていることを見出した。なんら特定の理論に結びつけられることを望まないが、水溶性である発泡剤は、噴霧乾燥製造技術の間に表面に出てくる傾向にあるように見えるであろう。非水溶性発泡剤は、コア内に残る傾向にある。したがって、それらの水溶性により、最初の、後の、および最終の活性化を提供する発泡剤の混合物を設計できる。具体例としては、発泡剤として有用であるが、水溶性である糖が挙げられる。噴霧乾燥技術の間に、この発泡剤は、前駆体の表面に移動する傾向にある。他方では、有用な発泡剤でもあるシリコーンカーバイドは、水溶性でなく、そして前駆体の表面に移動しない。
【0059】
噴霧乾燥機は、多数の標準教科書(例えば、Industrial Drying Equipment,C.M. van't Land; Handbook of Industrial Drying 2版、Arun S. Mujumbar)に記述されており、そして当業者に周知である。
【0060】
前述の利点に加えて、所定の平均粒子径および所定の(好ましくは、狭い)粒子径分布を有する膨張した微粒子を合成することが、一般に望ましい。本発明での噴霧乾燥機の使用は、前駆体または最終的には合成膨張微粒子のサイジング/等級分けの必要性を減らすことが分かった。噴霧乾燥は、材料の高処理量および迅速な乾燥時間を可能にする別の利点を有する。したがって、本発明の特に好ましい実施形態では、乾燥工程は、噴霧乾燥機を使用して行われる。
【0061】
粒子径および粒子径分布が、噴霧乾燥工程で以下のパラメーターの1つまたはそれより多くに影響を及ぼされうることが分かった。
【0062】
注入口スラリー圧力および速度(粒子径は、圧力が上昇すると減少する傾向にある);
アトマイザーの設計(回転式アトマイザー、圧力ノズル、二流動体ノズルなど)
ガス注入口ノズルの設計;
気体の体積流量および流動パターン;および
スラリー粘度および有効なスラリー表面張力。
【0063】
好ましくは、水性スラリー供給噴霧乾燥機は、25〜75%w/v、より好ましくは40〜60%w/vの固形分を含む。
【0064】
前述の成分に加えて、水性スラリーは、噴霧乾燥機中の混合、流動性または液滴形成を改善するさらなる加工助剤または添加剤を包含しうる。適切な添加剤は、噴霧乾燥技術で周知である。このような添加剤の例は、スルホネート、グリコールエーテル、セルロースエーテルなどである。これらは、0〜5%w/vの範囲の量で水性スラリー中に含まれうる。
【0065】
噴霧乾燥工程において、水性スラリーは、特に、所定の圧力および温度でアトマイザーに汲み出されて、スラリー液滴を形成する。アトマイザーは、以下の1つまたは組合せでありうる:回転式アトマイザー(遠心分離霧状化)、圧力ノズル(水圧霧状化)、またはスラリーを別の流動体と混合する双流動圧力ノズル(空気圧霧状化)。
【0066】
形成された液滴が、適切なサイズのものであることを確保するために、アトマイザーは、周期的な機械的または音のパルスにかけることも可能である。霧状化は、乾燥機チャンバーの頂部から、または底部から行われうる。加熱乾燥気体は、噴霧の方向に、乾燥機の並流(co-current)または向流(counter-current)に注入されうる。
【0067】
噴霧乾燥条件を制御することによって、前駆体の平均粒子径、および前駆体粒子径分布は、制御されうることが分かった。例えば、回転式アトマイザーは、圧力ノズルよりいっそう均質な集塊粒子径分布を生じることが分かった。さらに、回転式ディスクアトマイザーは、研磨材料に適切な無視してよい障壁(blockage)またはクロッグ(clogging)を伴う高い供給速度を可能にする。ある実施形態では、既知霧状化技術の混成は、望まれる特徴を有する集塊前駆体を得るために使用されうる。
【0068】
スラリーの霧状化液滴を、所定の滞留時間、噴霧乾燥機で乾燥させる。滞留時間は、結果物としての前駆体の平均粒子径、粒子径分布および水分に影響を及ぼしうる。好ましくは、前述のとおり、滞留時間を制御して、前駆体の好ましい特徴を得られる。滞留時間は、スラリーの水分含有量、スラリー液滴サイズ(総表面積)、噴霧乾燥機内の乾燥ガス注入口温度および気流パターン、および噴霧乾燥機内の粒子フロー経路によって制御されうる。2秒より大きな比較的長い滞留時間が、一般にさらに好まれるが、好ましくは、噴霧乾燥機中の滞留時間は、0.1〜10秒の範囲にある。
【0069】
好ましくは、噴霧乾燥機中の注入口温度は、300〜600℃の範囲にあり、そして出口温度は、90〜220℃の範囲にある。
【0070】
噴霧乾燥は、この狭い粒子径分布を有する前駆体を有利に生じる。結果として、これらの前駆体から生じる合成膨張微粒子は、後の用途のためのよく似た狭い粒子径分布および一貫した(consistent)特性を有する。
【0071】
噴霧乾燥機を使用するさらに驚くべき利点は、結果物としての前駆体が、構成要素の改善された粒子内分布を有することである。霧状化液滴が、噴霧乾燥機中に内在する一方で、水は、内側から外側に急速に引き込まれ、それにより集塊中の可溶性種の濃度勾配を形成し、そして比較的水溶性の種が、外側に向かってさらに濃縮される。噴霧乾燥機の別の利点は、本発明の方法(例えば、予備発泡)によって乾燥した細胞質状塊状化前駆体を形成することである。伴出ガス(entrained gas)は、さらに、別の方法では、複数の発泡剤を用いて達成することが可能でなかったかもしれない製品の密度を低下させる膨張工程の間に膨張する。この選択的であるが、新規な方法により、乾燥工程の前に、低温気体形成化合物を、前駆体に添加する。気体形成化合物は、表面張力における減少による脱気(逆温度溶解性)のような物理的手段によるか、または化学的手段によるかのいずれかで活性化されうる。低温での化学的気化の例は、pHを変化させることによる炭酸塩のCO2への分解、または慣例上具体的に使用される空気伴出剤のような適切な有機化合物の使用である。
【0072】
中空マイクロスフェアの効率的かつ信頼性のある合成については、前駆体は、理想的には、その表面に高濃度のガラス形成材料を有すべきであり、そしてそれは、燃焼の間に、溶融ガラス状被膜を形成しうる。さらに、前駆体は、理想的には、コア付近に濃縮発泡剤を有するべきであり、そしてそれは、燃焼中にガラス状被膜内の取込み(entrapment)のために発泡ガスを放出できる。材料を注意深く選択して、この理想的な粒子内分布は、噴霧乾燥法を使用して達成されうる。
【0073】
無機の主要成分
好ましくは、無機の主要成分の量は、集塊前駆体の総乾燥重量に基づいて少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、さらに好ましくは少なくとも70重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも80重量%を包含する。
【0074】
他の成分、例えば発泡剤に対する主要成分の好ましい割合は、これらの成分の各々の組成によって変化する。特に、発泡剤に対する主要成分の割合は、1000:1〜10:1、より好ましくは700:1〜15:1、そしてさらに好ましくは500:1〜20:1である。
【0075】
好ましくは、無機の主要成分は、無機酸化物、非酸化物、塩またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する。このような材料は、工業用および/または居住の副産物、鉱物、岩石、粘土、技術的等級の化学薬品またはそれの組合せでありうる。本発明の利点の1つは、それが、安価な工業用および/または居住の廃棄産物から中空マイクロスフェアの合成を可能にすることである。したがって、無機の主要成分は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、廃棄ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸塩ガラス、または他の廃棄ガラス)、廃棄セラミックス、炉塵、廃棄繊維セメント、コンクリート、焼却灰、珪藻土、シリカ砂、シリカ蒸気、またはそれの組合せなどの材料を包含しうる。
【0076】
好ましくは、無機の主要成分は、所定の温度まで加熱されたときに、粘弾性液体を形成する能力がある。この粘弾性液体は、好ましくは、ガラス形成液体である。
【0077】
好ましくは、無機の主要成分は、酸化物形態で少なくとも1つの化合物を包含し、そしてそれは、ガラス相の大半を形成できる。非酸化物成分は、酸化し、そしてハライドのような、酸化されているのではなく、溶解されたままでありうる成分を除いて、ガラス相の一部になりうる。
【0078】
1つの好ましい実施形態では、無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する。珪酸塩材料は、当業者にとって周知である。一般に、これらは、シリカ(SiO2)の比較的大きな成分(すなわち、約30重量%より大きく、好ましくは50%より大きく、そしてさらに好ましくは60%より大きい)を有する材料である。ほとんどの場合には、アルミナも、珪酸塩材料の主要な酸化物構成成分である。したがって、本発明での珪酸塩の用語は、主要な化合物として適したアルミノ珪酸塩材料全てを網羅する。
【0079】
珪酸塩材料中のシリカおよびアルミナの量は、その源によって変化し、そして同じ源においてさえ変化しうる。例えば、フライアッシュは、使用される石炭の型および燃焼条件によって、さまざまな量のシリカおよびアルミナを含有する。好ましくは、アルミナ(Al2O3)に対するシリカ(SiO2)の質量比は、約1より大きい。特に、本発明のこの好ましい実施形態での使用のための珪酸塩材料は、30〜95重量%のSiO2;0〜45重量%(好ましくは2〜45重量%)のAl2O3;約30重量%まで(好ましくは、約15重量%まで)の二価金属酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO);約50重量%までの一価金属酸化物(例えば、Li2O、Na2O、K2O);および多酸化状態で存在する金属酸化物(例えば、SnO2、MnO2、Fe2O3など)を含めた、他の金属酸化物約20重量%までの組成を有する。
【0080】
特に、本発明のこの実施形態で使用されうる珪酸塩は、フライアッシュ(例えば、F型フライアッシュ、C型フライアッシュなど)、廃棄ガラス、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、珪酸塩粘土(例えば、カオリナイト粘土、イライト粘土、ベダライト粘土、ベントナイト粘土、磁器、耐火粘土など)、ボーキサイト、黒曜石、火山灰、火山岩、火山ガラス、ジオポリマー(geopolymer)、またはその組合せである。
【0081】
前述したような珪酸塩は、無機の主要成分の大半を形成しうる。例えば、珪酸塩は、無機の主要成分の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、または少なくとも90重量%の無機の主要成分を形成しうる。
【0082】
フライアッシュ、廃棄ソーダ石灰ガラス、安山岩、玄武岩および/または粘土は、無機の主要成分にとっての好ましい原材料である。フライアッシュは、その低コストおよび広い入手可能性により、特に好ましい無機の主要成分である。本発明の1つの形態では、主要成分は、主要成分の総量に基づいて、少なくとも5重量%のフライアッシュ、そしてさらに好ましくは少なくとも10重量%のフライアッシュを包含する。本発明の別の形態では、無機の主要成分は、無機の主要成分の総量に基づいて、少なくとも50重量%のフライアッシュ、少なくとも70重量%のフライアッシュ、または少なくとも90重量%のフライアッシュを包含する。本発明のいくつかの実施形態では、無機の主要成分は、珪酸塩を、金属水酸化物(例えば、NaOHまたはKOH)の水溶液と接触させるときに形成されるジオポリマーを含みうる。ジオポリマーは、当業界で周知である。
【0083】
無機の主要成分は、焼成または非焼成のいずれかにされうる。用語「焼成」は、無機の材料が、所定の成分を酸化または予備反応するかのいずれかのために、所定の時間、所定の焼成温度まで、空気中で加熱されることを意味する。無機の材料の焼成は、発泡(膨張)工程が無機材料に存在する多価酸化物の酸化還元状態に対して敏感でありうるので、本発明で有利でありうる。なんら特定の理論に結びつけられることを望まないが、発泡剤の活性化が、無機材料中に存在する多価酸化物からの酸素の放出によって(例えば、酸化還元反応により)影響を及ぼされると思われる。具体例として、炭素を含む発泡剤は、酸化第二鉄(Fe2O3)から放出される酸素と反応して、COx(式中xは、炭素酸化状態によって、1または2でありうる)を形成でき、そしてそれは、すぐに、酸化第一鉄(FeO)に還元される。発泡剤からのCOxの放出は、マイクロスフェアを膨張させる。したがって、空中で無機材料を予備焼成することによって、相当な量の酸化第一鉄が増大され、そしてそれは、その後、発泡剤のための酸素の源として使用して、さらにガスを発生し、それにより微粒子の密度を低下させる。
【0084】
さらに、焼成は、無機材料中で酸化物成分の予備反応を促進し、および/または無機材料に部分的ガラス化させることができ、そしてそれは、高品質微粒子の生産に有益でありうる。
【0085】
高い化学的耐久性が要求される場合には、主要な無機成分は、低アルカリ性材料であるのが好ましい。「低アルカリ性材料」は、約10重量%未満のアルカリ金属酸化物含有率を有する材料を意味する。本発明のこの形態では、比較的高いアルカリ性の材料は、さらに無機の主要成分に含まれうる。したがって、約15重量%までのアルカリ含有率を有するソーダ石灰ガラス(ときとして、カレットと称される)のような廃棄ガラス粉末が含まれうる。
【0086】
好ましくは、無機の主要成分は、0.01〜100ミクロン、より好ましくは0.05〜50ミクロン、さらに好ましくは0.1〜25ミクロン、そしてさらに好ましくは0.2〜10ミクロンの範囲にある平均一次粒子径を有する。好ましい粒子径は、適切な破砕および等級分けによって達成されうる。セラミックス産業で使用される破砕、粉砕、および全てのサイズ低減技術の全ての型が、本発明に使用されうる。脆い固形物のために使用されるサイズ減少の他の方法に限定することなく、本発明にかかわる好ましい方法は、ボール粉砕(湿式および乾式)、高エネルギー遠心分離粉砕、ジェット粉砕、および摩擦粉砕である。1つ以上の無機材料が使用される予定の場合、それにより、複数の成分が、一緒に同時破砕されうる。本発明の1つの方法では、集塊前駆体の構成材料は全て、混合の前に一緒に同時破砕(例えば、湿式ボール粉砕で)される。
【0087】
膨張成分
本発明に使用される発泡剤は、加熱されるときに、燃焼、蒸発、昇華、熱分解、気化または拡散の内の1つ以上によって膨張ガスを放出する化合物である。膨張ガスは、例えば、CO2、CO、O2、N2、N2O、NO、NO2、SO2、SO3、H2Oまたはそれの混合物でありうる。好ましくは、膨張ガスは、CO2および/またはCOを包含する。
【0088】
好ましくは、膨張成分の量は、前駆体の総乾燥重量に基づいて0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜6重量%、そしてさらに好ましくは0.2〜4重量%の範囲にある。発泡成分の正確な量は、無機の主要成分の組成、発泡剤の型、および最終中空マイクロスフェアの要求された密度による。
【0089】
1つの実施形態では、膨張成分は、主要発泡剤および二次発泡剤を包含する。主要発泡剤は、第一の活性化温度を有し、そして二次発泡剤は、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を示す。言い換えると、用途では、二次発泡剤は、主要発泡剤に続いて温度上昇するにつれ、最初に活性化される。これにより、主要発泡剤が保存される。
【0090】
好ましくは、主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、スターチなどの炭水化物;PVA、種々のアミン、炭酸塩、カーバイド(例えば、シリコンカーバイド、アルミニウムカーバイド)、硫酸塩、硫化物、窒化物(窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化ホウ素)、硝酸塩、ポリオール、グリコール、グリセリンまたはそれの組合せから選択される。シリコンカーバイドおよびカーボンブラックは、特に、好ましい主要発泡剤である。
【0091】
好ましくは、二次発泡剤は、炭素、炭素含有高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、スターチなどの炭水化物;PVA、種々のアミン、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、ポリオール、グリコール、グリセリンまたはそれの組合せから選択される。カーボンブラック、糖、コーンシロップおよびスターチは、特に、好ましい二次発泡剤である。
【0092】
本発明の代替的実施形態では、膨張成分は、前記の主要発泡剤および二次発泡剤に加えて、さらに発泡剤を包含する。これらの追加の発泡剤は、対応の第三、第四などの活性化温度を有する三次、四次などの発泡剤と称される。
【0093】
したがって、1つの代替的実施形態では、膨張成分は、さらに第三の活性化温度が第一の活性化合物温度より低い第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含する。好ましくは、第三の活性化温度も、第二の活性化温度より低い。好ましくは、三次発泡剤は、炭素含有高分子有機物、油状物、糖、コーンシロップ、スターチなどの炭水化物;PVA、種々のアミン、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、ポリオール、グリコール、グリセリンまたはそれらの組合せから選択されうる。糖、コーンシロップ、およびスターチは、特に好ましい三次発泡剤である。
【0094】
好ましくは、そして特に、発泡剤は、非水溶性である場合、発泡剤は、約10ミクロンの平均粒子径を示す。
【0095】
複数の発泡剤の使用は、膨張微粒子の合成において特別の利益を有することが示された。それは、発泡(膨張)工程の制御を提供し、そしてそれにより広範な充分に利用可能で、そして廉価な無機材料からの膨張微粒子の信頼できる合成を可能にする。さらに、それは、高品質(および比較的高価な)主要発泡剤の効率を最大にし、そしてそれは、さらに、膨張微粒子を合成により製造する費用をさらに低減させる。
【0096】
なんら特定の理論に結びつけられることを望まないが、主要発泡剤が、前駆体のときに発泡(膨張)工程の間に気体の大半を生じると思われる。二次(および選択的に三次、四次など)の発泡剤は、前駆体材料が膨張行程の間に膨張ガスを捕捉するのに充分に溶融する前に、主要発泡剤の時期尚早な浪費を減らすか、または防止することにより、例えば蒸散および/または酸化により犠牲材料(sacrificial material)として作用する。
【0097】
例えば、好ましい発泡剤組成物は、主要発泡剤としてシリコンカーバイドを、そして二次発泡剤として炭素または粉末石炭を含む。炭素は、犠牲的な発泡剤として作用し、そして前駆体が溶融するまで、カーバイドから離れて最初の保存酸素(keeping oxygen)を酸化し始める。いったん前駆体が溶融すると、カーバイドの酸化により発生するCOおよびCO2の大半は、溶融前駆体内に捕捉される。
【0098】
代替的発泡剤組成物は、主要発泡剤としてシリコンカーバイドを、二次発泡剤として炭素を、そして三次発泡剤として糖を包含する。理論に結びつけられることを望まないが、糖は、酸化を開始して、最初に炭素およびカーバイドの酸化を防止し、その後炭素は、酸化し始めて、カーバイドの酸化を防止し、そしてその後、最終的にカーバイドは酸化してCOおよびCO2になり、そしてそれは、主に、微粒子の発泡(膨張)の原因となる。本発明の方法の1つの利点は、発泡剤の全費用を低減することである。糖は、炭素より経費が低く、そしてシリコンカーバイドは、そのいずれよりずっと高価である。複数の発泡剤を使用することによって、所定の低密度製品を製造するために要求される高価なシリコンカーバイドの量は、劇的に低減される。図2は、空気中の糖、炭素、およびシリコンカーバイドのTGA(熱重量計分析)を描く。活性化温度は、上昇順に、糖、その後炭素、そして最後にシリコンカーバイドである。
【0099】
発泡剤のこの新規混合物は、いっそう高価な発泡剤(例えば、シリコンカーバイド)の効率および膨張許容量を最大にするために、安価な犠牲的な発泡剤(例えば、糖、炭素および/または粉末石炭)の使用を可能にする。
【0100】
先に議論したように、追加の、および重要な利点は、前駆体が、噴霧乾燥法を使用して製造されるときに認識される。前記の機構を利用し、それにより比較的水溶性の種は、噴霧乾燥の間に前駆体の外側に引っ張られることによって、主要発泡剤および二次発泡剤の有益な粒子内分布は、達成されうる。
【0101】
したがって、比較的水不溶性の主要発泡剤および比較的水溶性の二次発泡剤を使用して、二次発泡剤は、前駆体の表面に移動でき、そして均質に分散される一次発泡剤を遊離する。主要発泡剤および二次発泡剤がこの方法で分離されて、二次発泡剤は、ガラス質の被膜が前駆体の周囲にまだ形成されない燃焼の間の重要な期間中、主要発泡剤からいっそう有効に酸素を「掃気」することができる。この掃気効果は、時期尚早な浪費に対して主要発泡剤を保護し、それによりガラス質の被膜の形成後(または間)にそれの膨張許容量を最大にする。
【0102】
糖は、有用な二次発泡剤の例である。糖は、水に可溶性であり、そして噴霧乾燥の間に前駆体の外側に移動する。同時に、糖は、噴霧乾燥温度で、炭素に変換されて、そして前駆体の外側部分じゅうに炭素粒子の微細分散物を生じうる。炭素粒子のこの微細分散物は、燃焼の最初の期間じゅうに、主要発泡剤(例えば、シリコンカーバイド)から酸素を掃気することによって、有効な二次(犠牲的な)発泡剤として作用する。
【0103】
さらに、糖およびスターチのような有機化合物は、凝集体の前駆体構成要素を一緒に結合する助成をする。したがって、糖およびスターチのような材料は、本発明で結合剤と発泡剤の両方として作用しうる。
【0104】
制御剤
前記二次および三次発泡剤は、前駆体形成において、主要発泡剤を保護および保存する制御剤として作用する。当業者であれば、前駆体形成において含むことができる他の材料や、そして例えば、工程において酸素を除去するなどの方法によって、発泡剤の活性化を制御することができる他の材料がわかるものである。
【0105】
結合剤
本発明の好ましい実施態様では、結合剤/剤(またはバインダー)を、無機の主要成分および発泡成分と混合しうる。結合剤の主要機能は、前駆体中の珪酸塩粒子を一緒に強く結合することである。バインダーは、燃焼温度で珪酸塩材料と反応して、生じるガラス質の微粒子の粘度を低下させるためにも選択されうる。
【0106】
一般に、無機の主要成分と反応性および/または接着性があるあらゆる化学的物質は、結合剤として使用することができる。バインダーとしては、セラミックス産業でバインダーとして使用されるあらゆる商業上利用可能な材料を用いることができる。
【0107】
好ましくは、結合剤は、アルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム)、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ性金属ホウ酸塩(例えば、テトラホウ酸ナトリウム)、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物(例えば、NaOH、KOHまたはCa(OH)2)、炭水化物(例えば、糖、スターチなど)、コロイド状シリカ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機ポリマー(例えば、ポリアクリレート)またはそれの組合せから選択される。いくつかの場合には、超微細C型またはF型フライアッシュのようなフライアッシュも、結合剤として作用しうる。
【0108】
いくつかの場合には(例えば、糖、スターチなど)、同じ物質は、上に記述されるとおり発泡剤/結合剤の二重の特性を示しうるが、結合剤および発泡剤は、通常は互いに異なるものである。
【0109】
ここで使用される「バインダー」または「結合剤」は、凝集体中の他の成分とのこれらの結合剤の現場反応生成物とともに、上記全ての結合剤をも含むものである。例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)は、アルカリ金属珪酸塩を生成する珪酸塩を包含する無機の主要成分の少なくとも一部と現場で反応する。水酸化ナトリウムは、CO2を含有する外気にされるとき、炭酸ナトリウムも形成でき、この工程の速度は、高温(例えば、400℃)で増大する。生じた炭酸ナトリウムは、珪酸塩と反応して、珪酸ナトリウムを形成しうる。
【0110】
結合剤の量は、凝集体の前駆体の乾燥総重量の0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜40重量%であり、さらに好ましくは1〜30重量%である。
【0111】
すでに述べたように、燃焼の間に、結合剤が溶融被膜を形成するように、前駆体の外側に結合剤を有することが好ましい。この溶融被膜の形成は、発泡成分の活性化、特に主要発泡剤の活性化の前または間であることが好ましい。溶融被膜のこの形成が、さらに、前駆体内で発泡剤を保護するのみならず、低密度の合成発泡微粒子を有利に提供することができる。
【0112】
凝集体の前駆体を形成するために噴霧乾燥法を使用して、凝集体の駆体の異なる領域内の結合剤(並びに発泡剤)の濃度は、この成分の可溶性限度の適切な選択により制御されうることが、予想外に見出された。したがって、噴霧乾燥法を使用して、結合剤が、比較的高い水溶性を示し、その結果、凝集体前駆体の外側でさらに濃縮され、そして、したがって、連続燃焼の間に溶融被膜を形成することができる。アルカリ水酸化物のようなアルカリ化合物、または特に、珪酸ナトリウムおよびアルミノ珪酸ナトリウムの化合物は、それらが、水に溶解性があり、したがって、凝集体前駆体の外側に移動できるので、この点で好ましい結合剤である。
【0113】
合成膨張微粒子を形成する方法
上に記述される方法により生成される前駆体は、予め決定された温度プロファイルで燃焼させることによって、膨張微粒子を合成するのに使用されうる。
【0114】
好ましくは、燃焼中の温度プロファイルは、前駆体を溶融物にし、溶融物の粘度を減少させ、前駆体の表面を密閉し、そして溶融物内の気体の膨張形成を促進して、気泡を形成する。温度プロファイルは、気泡を合体させ、そして単独の主要空隙を形成させるのに充分な時間および温度で、溶融物を維持することが好ましい。発泡の後、新たに膨張した粒子は、迅速に冷却され、したがって中空のガラス質微粒子(microsparticles)を形成する。したがって、温度プロファイルは、上方または下方ドラフト気流を有する、ドロップ管炉、ボルテックス型炉、流動床炉、または燃料燃焼炉のような1つまたはそれより多くの温度領域を有する炉によって供されることが好ましい。燃料燃焼炉は、前駆体を、1つまたは複数の燃焼ゾーンに直接的に導入して、粒子の膨張または発泡を引起す炉型を含む。これは、粒子が、高温まで直接高速加熱により利益を得るので、好ましい型の炉であり、それは望ましい。加熱源は、電気か、または天然ガスまたは燃料油のような化石燃料を燃焼させることにより提供されうる。しかし、加熱の好ましい方法としては、電気熱源よりいっそう経済性があり、そして燃料油を燃焼させるよりクリーンである点より、天然ガスの燃焼によるものがあげられる。
【0115】
特に、燃焼段階(b)での最高燃焼温度は、600〜2500℃であり、より好ましくは800〜2000℃、さらに好ましくは1000〜1500℃、特に好ましくは1100〜1400℃である。しかし、要求される温度プロファイルは、使用される無機の主要成分および発泡成分の種類によることが予測される。
【0116】
好ましくは、上に記述された最高燃焼温度に対する露出時間は、0.05〜20秒、より好ましくは0.1〜10秒である。
【0117】
合成中空マイクロスフェア
本発明は、さらに、上に記述される方法により得られる合成中空マイクロスフェアを提供する。このような中空微粒子は、製造するのに廉価であり、そして収集セノスフェアに対する安価な代替物として有益に使用されうる。本発明による合成中空微粒子は、特に、閉鎖殻(空隙)構造を示す実質的な球状壁を包含する。合成中空微粒子は、好ましくは、以下の特徴の1つまたはそれより多くを有し、そしてそれは、収集したセノスフェアの全般的な特徴でもある:
(i)約0.8〜1の間のアスペクト比。
(ii)マイクロスフェアの総体積の約30〜95%の空隙体積;
(iii)マイクロスフェア半径の約5〜30%の壁厚;
(iv)30〜85重量%のSiO2、2〜45重量%の(好ましくは、6〜40重量%)Al2O3、約30重量%までの二価金属酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO)、2〜10重量%の一価の金属酸化物(例えば、Na2O、K2O)、および約20重量%の多酸化状態で存在する金属酸化物(例えば、TiO2、Fe2O3など)を含めた他の金属酸化物からなる組成;
(v)約1より大きいシリカ対アルミナ比;
(vi)30〜1000ミクロン、より好ましくは40〜500ミクロンの平均直径(30ミクロンまたはそれより上の平均直径は、そのような粒子が吸引可能性な塵であるとみなされないので有益である);
(vii)1〜100ミクロン、好ましくは1〜70ミクロン、より好ましくは2.5〜20ミクロンの外側壁厚み;
(viii)0.1〜2.0g/cm3、より好ましくは0.2〜1.5g/cm3、さらに好ましくは0.4〜1.0g/cm3の粒子密度;または
(ix)約1.4g/cm3未満、好ましくは約1.0g/cm3未満のバルク密度。
【0118】
合成膨張微粒子の使用
本発明による合成膨張微粒子は、例えば、フィラー用途、改質剤用途、封じ込め用途または基質用途などの広く多様な用途で使用されうる。用途の範囲は、合成マイクロスフェアの低コストおよび安定な特性により、収集したセノスフェアのものより非常に大きい。
【0119】
本発明による合成微粒子は、複合体材料でのフィラーとして使用されうるものであり、それらはコスト削減、重量減少、加工性の改善、性能増大、機械性の改善および/または作業性の改善などの特性を与えるものである。さらに詳細には、合成微粒子は、ポリマー(熱硬化性、熱可塑性、および無機のジオポリマーを含む)、無機のセメント質材料(ポルトランドセメント、石灰セメント、アルミナ系セメント、プラスター、リン酸塩系セメント、マグネシア系セメントおよび他の水硬性バインダー(hydraulically settable binder)を含む)、コンクリート系(厳格なコンクリート構造、ティルト・アップコンクリートパネル、カラム、懸濁コンクリート構造などを含む)、パテ(例えば、空隙充填および補修用途のための)、木質複合体(パーティクルボード、ファイバーボード、木/ポリマー複合体および他の複合木質構造を含む)、クレー、およびセラミックスでの、フィラーとして使用されうる。1つの特に好ましい用途は、繊維性セメント建設製品である。
【0120】
合成膨張微粒子は、他の材料との組合せで改質剤としても使用されうる。サイズおよび幾何学の適切な選択により、微粒子は、所定の材料と合わせて、膜厚が増大されること、分布が改善されること、流動性が改善されることなどの特性を提供することができる。典型的な改質剤用途は、光反射用途(例えば、高速道路標識および信号)、工業用爆発物、噴出エネルギー吸収構造(例えば、爆弾および爆発物のエネルギーを吸収するための)、塗料および粉末被覆用途、粉砕および噴出用途、掘削用途(例えば、油田掘削のためのセメント)、粘着性配合物および音響および熱遮断用途を含む。
【0121】
合成膨張微粒子は、他の材料を含有および/または保存するためにも使用されうる。典型的な封じ込め用途は、医療および製薬用途(例えば、薬剤のための微量容器)、放射反応性または毒性材料のための微量封じ込め、および気体および液体のための微量封じ込めを含む。
【0122】
合成膨張微粒子は、表面反応が使用される(すなわち、基板用途)種々の用途で特定の表面活性を供するためにも使用されうる。表面活性は、微粒子を、金属またはセラミックス被覆、酸浸出などのような二次処理にかけることによって、さらに改善されうる。典型的な基板用途は、イオン交換用途(流動体からの混入物を除去するための)、触媒用途(微粒子の表面が、合成、交換または分解反応で触媒として働くように処理される)、濾過(混入物が、気体または液体の流れから除去される)、ポリマー複合体のための導体性フィラーまたはRF遮断フィラー、および医療用画像を含む。
【0123】
本発明は、例のためにのみ、以下の図面に関してここに記述される。
【0124】
好ましい実施態様の詳細な説明
【実施例】
【0125】
実施例1
この実施例は、玄武岩および水酸化ナトリウムより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0126】
組成物は、破砕玄武岩を、固形水酸化ナトリウムおよび水と混合することによって製造された。シリコンカーバンド、糖、カーボンブラックおよび石炭を含む制御剤と、発泡剤の種々の混合物を、組み合わせてか、または単独で添加した。組成を表1に示す。玄武岩の組成は、表2に示す。
【0127】
組成物1A
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウムおよび発泡剤として糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0128】
約2ミクロンのd50粒子径に粉砕した、92gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、3gの市販の糖および23mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0129】
組成物1B
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウムおよび発泡剤としてカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0130】
約2ミクロンのd50粒子径に粉砕した、94gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび38mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0131】
組成物1C
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウムおよび発泡剤としてシリコンカーバイドより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0132】
約1ミクロンのd50粒子径に粉砕した、94.5gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.5gの市販グレードのシリコンカーバイドおよび38mLの水とを混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0133】
組成物1D
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのシリコンカーバイド、そして制御剤または二次発泡剤としての石炭より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0134】
93.5gの玄武岩、0.5gの市販級グレードのシリコンカーバイドおよび1gの市販グレードの石炭を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を、約1ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。その後、この混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)および38mLの水と混合した。組成を表1に示す。
【0135】
組成物1E
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのシリコンカーバイド、そして制御剤または二次発泡剤としての糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0136】
約1ミクロンのd50粒子径に粉砕した、92gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.5グラムの市販グレードのシリコンカーバイド、2.5gの市販の糖および37mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0137】
組成物1F
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのカーボンブラック、そして制御剤または二次発泡剤としての糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0138】
約2ミクロンのd50粒子径に粉砕した、91.4gの玄武岩と、4.8gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.8gの市販グレードのカーボンブラック、3gの市販の糖および38mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0139】
各混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そして約5分間、室温で固形化させた。得られた生成物を、約20時間、約50℃でさらに乾燥させ、その後、それを粉砕して、ふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表3にまとめた。
【0140】
図3から9までは、それぞれ、組成物1Aから1Fから得られた製品のSEM試験を示す。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
実施例1より、以下の結論がわかる。
1.SiCは、粒子密度を低下させるための主要発泡剤として、炭素および糖より有効である。SiCの正味の炭素含有率(30重量%炭素)は、炭素(100重量%)中、および糖(40重量%炭素)中の炭素の相当質量より少ないことに注目すること。
2.1つまたはそれより多くの制御剤と共にSiCを使用することは、この実施例において使用するいずれかの単独の発泡剤と比較して、粒子密度を低下させるのにさらに有効である。
3.制御剤といずれかの単独の発泡剤の組合せは、製品の粒子密度に強力に影響するように最適化されうる、すなわち、全SiCの組合せは、炭素と糖の組合せに比べて、粒子密度を低下させるのにさらに有効である。
【0145】
実施例2
本実施例は、種々の珪酸塩化合物、水酸化ナトリウムおよび複数の発泡剤より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0146】
ソーダ石灰廃棄ガラスおよび種々の珪酸塩材料の混合物を用いて、膨張マイクロ包含物(inclusions)を製造した。これらの混合物は、主要発泡剤と、シリコンカーバイドの制御剤、糖および/またはカーボンブラックとの混合物も含む。組成物を、表4に示す。本件で使用される廃棄ガラスの組成を表5に示す。
【0147】
組成物2A
本組成物は、ガラス、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0148】
約1ミクロンのd50粒子径に粉砕した、95.6gのガラス、3gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび58mLの水を混合することによって、サンプルを作製した。組成を表4に示す。
【0149】
組成物2B
本組成物は、ガラス、フライアッシュ、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0150】
65.5gのガラスおよび28.lgのフライアッシュを混合することによって、サンプルを作製し、その混合物を約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/フライアッシュの混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび42mLの水と混合した。組成を表4に示す。フライアッシュの組成を表5に示す。
【0151】
組成物2C
本組成物は、ガラス、玄武岩、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0152】
46.8gのガラスおよび46.8gの玄武岩を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を、約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/フライアッシュ混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび37mLの水と混合した。組成を表4に示す。玄武岩の組成を表5に示す。
【0153】
組成物2D
本組成物は、ガラス、火山灰、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0154】
46.8gのガラスおよび46.8gの火山灰を混合することによってサンプルを作製し、混合物を約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/火山灰混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび50mLの水と混合した。組成を表4に示す。火山灰の組成を表5に示す。
【0155】
組成物2E
本組成物は、ガラス、安山岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としての糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0156】
47.1gのガラスおよび47.1gの安山岩を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を、約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/安山岩の混合物を、3gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、2.5gの糖および50mLの水と混合した。組成を表4に示す。安山岩の組成を表5に示す。
【0157】
組成物2F
本組成物は、ガラス、安山岩、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0158】
47.8gのガラスおよび47.8gの安山岩を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を約1ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/安山岩の混合物を、3gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび43mLの水と混合した。組成を表4に示す。
【0159】
各混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そして約5分間、室温で固形化させた。得られた生成物を、約20時間、約50℃でさらに乾燥させ、その後、それを粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表6にまとめた。
【0160】
図10から16は、サンプル2Aから2Fまでの各々についてのSEM断面図を示す。
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
実施例2から、以下の結論がわかる。
1.制御剤との発泡剤の組合せ、すなわち、シリコンカーバイド−炭素およびシリコンカーバイド−糖は、膨張マイクロ包含物(inclusions)の生産に非常に有効である。
2.廃棄ガラスは、種々の珪酸塩混合物の、経済的で、そして適切な添加である。
3.本発明の方法による膨張マイクロ包含物(inclusions)の生産に適切である珪酸塩原材料は、廃棄副生成物、鉱物、化合物、および岩石の広範囲から選択することができる。
【0165】
実施例3
本実施例は、種々の量の火山灰、水酸化ナトリウム、発泡および制御剤の混合物および他の微量の添加物より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作製する方法を示す。
【0166】
組成物3A
3ミクロンのd50粒子径に粉砕した、78.2gの火山灰を、20gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、主要発泡剤として0.8g市販グレードのシリコンカーバイド、制御剤として1gの市販グレードのカーボンブラックおよび43mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。
【0167】
組成物3Bおよび3C
およそ1ミクロンのd50粒子径に共粉砕された火山灰と酸化鉄(III)の混合物を用いてサンプルを作製した。組成を表7に示す。火山灰の組成を表5に示す。混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そしておよそ5分間、室温で固形化させた。得られた製品を、さらに約20分間、約50℃で乾燥させ、その後それを、粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表8にまとめた。
【0168】
図17から20は、それぞれ、組成物3Aから3Cの製品の、サンプル当たり2つの断面図を示す。
【0169】
【表7】
【0170】
【表8】
【0171】
実施例3から、以下の結論がわかる。
1.主要発泡剤としてのシリコンカーバイドと、制御剤としてカーボンブラックの組合せは、非常に軽くて球状の製品に火山灰を発泡させる上で非常に有効である。
2.組成物中のナトリウム濃度が高くなると、製品の丸さは、球状形態に近づく。酸化ナトリウムは、珪酸塩ガラスのための強力な流動剤、例えば粘度減少剤である。したがって、粘性の低い組成物は、主にその燃焼温度での表面張力が低いために、丸い微粒子のみよりむしろ球状の膨張粒子を形成する傾向にある。
【0172】
実施例4
本実施例は、フライアッシュ、水酸化ナトリウム、および発泡制御剤より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作製する方法を示す。
【0173】
組成物4A
約4ミクロンのd50粒子径に粉砕した、79gのF型フライアッシュを、19gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、主要発泡剤として1gの市販グレードのシリコンカーバイド、制御剤として1gの市販グレードのカーボンブラックおよび42mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。
【0174】
組成物4B
表9に示されるように、組成物4Aで使用されたものと類似のF型フライアッシュ68.7gを、29.5gの固形水酸化ナトリウムと混合することによって、サンプルを作製した。フライアッシュの組成を表5に示す。
【0175】
混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そしておよそ5分間、室温で固形化させた。得られた製品を、さらに約20分間、約50℃で乾燥させ、その後それを、粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表10にまとめた。
【0176】
図21および22は、それぞれ、組成物4Aから4Bの製品の、サンプル当たり2つの断面図を示す。
【0177】
【表9】
【0178】
【表10】
【0179】
実施例4から、以下の結論がわかる。
1.主要発泡剤としてのシリコンカーバイドと、制御剤としてのカーボンブラックの組合せは、珪酸塩廃棄副生成物、フライアッシュから低密度マイクロ包含物(inclusions)を製造する上で非常に有効である。
2.流動化合物(例えば、水酸化ナトリウム)の濃度は、低粒子密度の優れた球状マイクロ包含物(inclusions)を製造するために最適化することができる。
3.最適値を越えた高濃度の流動剤は、製品の粒子密度を増大させるのみならず、秩序に逆に衝撃を与えもする。廃棄フライアッシュは、水酸化ナトリウムよりいっそう安価である。
【0180】
実施例5
本実施例は、リン酸塩鉱石選鉱から得られる廃棄副生成物であるリン酸塩クレー、水酸化ナトリウム、シリコンカーバイドおよびカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作製する方法を示す。
【0181】
組成物5A
0.6ミクロンのd50粒子径に粉砕した、88.4gのリン酸クレーを、9.8gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.8gの市販グレードのシリコンカーバイド、1.0gの市販グレードのカーボンブラックおよび85mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。リン酸塩クレーの組成を表11に示す。混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そしておよそ5分間、室温で固形化させた。得られた製品を、さらに約20分間、約50℃で乾燥させ、その後それを、粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節した。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表12にまとめた。
【0182】
図35および36は、製品の断面図を示す。
【0183】
【表11】
【0184】
【表12】
【0185】
実施例5から、以下の結論がわかる。
1.シリコンカーバイドと炭素との複数の発泡剤の組合せは、廃棄粘土副生成物から低密度マイクロ包含物(inclusions)を製造するために有効に用いられた。
2.P2O5−CaO混合濃度は、製品の総重量%の33%より多い。その組合せは、製品中の不定形アパタイト相を強力に形成することができる。
【0186】
アパタイト含有製品は、医療用途で有用な生物活性反応を示しうる。
【0187】
本発明は、発明性概念の概念または範囲から逸脱することなく、他の形態で具体化されうることが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度製品の形成方法、そして特に加工された膨張微粒子を合成により製造する方法および配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書を通して先行技術のあらゆる検討も、けっして、そのような先行技術が、広く知られているか、または当分野での共通の一般的知識の一部を形成することを認めることと見なされるべきでない。
【0003】
セノスフィア(空球:cenospheres)は、石炭燃焼発電所における副産物であるフライアッシュ(飛散灰:fly ash)に見られる球状の無機中空微粒子(マイクロスフェア:microspheres)である。セノスフェアは、フライアッシュのおよそ1−2%を典型的になし、そして「収集された」セノスフェアは、広く市販で入手可能である。セノスフェアの組成、形態、サイズ、形状および密度は、多くの低密度製品の配合および製造に特定の利益を供給する。
【0004】
セノスフェアの特徴的な特性の内の1つは、例外的に高い化学的耐久性である。この例外的に高い化学的耐久性は、その組成でのアルカリ金属酸化物、特に酸化ナトリウムの非常に低い含有量により理解される。したがって、採取されたセノスフェアから生成される低密度複合体は、重量比に対する高い強度、および化学的不活性度の望ましい特性を示す。化学的不活性度は、相対的な化学的不活性度が、非常に耐久性のあるセメント質の製品を達成する上で重要な役割を果たすポートランドセメント用途で特に重要である。したがって、採取されたセノスフェアは、製品を構築する上で、そしてそれらが、腐食性環境で接触するようになる可能性がある一般的用途で特に有用であることが立証された。
【0005】
収集されたセノスフェアの既知の有用性にもかかわらず、それらの広範囲に及ぶ用途は、それらのコストおよび入手可能性により重大な程度まで限定されてきた。フライアッシュからの多量のセノスフェアの回収は、労働集約的で、そして高価な方法である。収集方法を改善することによって、フライアッシュからのセノスフェアの回収を増大させることは可能であるが、改善された回収のコストは、これを経済的に実用的なものにしない。
【0006】
発電所における燃焼条件を、フライアッシュ中のセノスフェアの収量を増大させるように変えることも可能かもしれない。しかし、発電所での燃焼条件は、セノスフェア生産よりむしろ石炭燃焼のために最大限に利用され、そして石炭燃焼効率の費用で、セノスフェア生産の収量を増大させることは、経済的に実用的でない。
【0007】
マイクロスフェアを製造するいくつかの方法は、先行技術に記述されている。中空ガラスマイクロスフェアを製造する初期の方法は、珪酸ナトリウムおよびホウ砂を、適切な発泡剤(foaming agent)と合わせ、その混合物を乾燥および破砕させ、破砕粒子のサイズを調整し、そして続いて、その粒子を燃焼させることを含む。しかし、この方法は、高価な出発材料(例えば、ホウ砂)の使用に悩まされる。したがって、生じたマイクロスフェアは、必然的に高価である。さらに、その製品は、生じたガラス組成物中の酸化ナトリウムが高含有率であることにより、化学的耐久性が乏しい。
【0008】
特許文献1には、約1200℃の温度で、水蒸気の存在下で、加熱することによって、ガラスビーズからガラスマイクロスフェアを製造する方法が記載されている。この方法は、出発原材料として予備成形された不定形ガラスの占有的使用を必要とする。
【0009】
特許文献2には、本質的にアルカリ金属珪酸塩からなる個別の固形粒子からガラス製マイクロスフェアを形成する方法が記載されている。マイクロスフェアは、尿素またはNa2CO3のような気化剤の存在下で、1000−2500°Fの範囲にある温度で、アルカリ金属珪酸塩を加熱することによって形成される。
【0010】
特許文献3(欧州特許出願公開公報A−1156021号に対応)は、直径1〜20ミクロンの中空マイクロスフェアを形成する噴霧燃焼方法が記載されている。しかし、この方法は、既知セノスフェアに類似の直径(すなわち、約200ミクロン)を有する中空マイクロスフェアを製造するのに不適切である。噴霧燃焼方法では、高速蒸気の急速燃焼(explosion)は、大型粒子を破裂させ、それにより、直径約20ミクロンより大きな中空マイクロスフェアの形成を防止する。
【0011】
特許文献4には、フライアッシュから固形マイクロスフェアを形成する方法が記載されている。その方法は、フライアッシュ粒子の長球均質性を改善すると言われており、そして約1.8g/cm3の密度を示すフライアッシュ長球を供給する。
【0012】
特許文献5には、直径1mmより大きな大型の発泡性ガラス顆粒を製造するのと異なる温度で活性化された2つの発泡剤(blowing agent)を使用する方法が開示されている。しかし、そこで検討される発泡剤は、そこで検討される発泡剤に限定され、2つの剤の内の一方は、酸素発生剤でなければならない。
【0013】
一般的に言って、処理された膨張微粒子を形成する先行技術の方法は、発泡剤(blowing agent)、気化剤、または発泡剤(foaming agent)の存在下で、無機材料を燃焼させることを包含する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第3365315号明細書
【特許文献2】米国特許第2978340号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0043996号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0025436号明細書
【特許文献5】米国特許第4826788号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このような発泡剤(blowing agent)、気化剤または発泡剤(foaming agent)は、微粒子が製造される材料が、適切な形態、すなわち液体である場合にのみ活性化されるべきである。しかし、微粒子が形成される材料と、発泡剤を適合させ、そして最も有効な手段でその発泡剤を使用することは、ときとして極端に困難である。
【0016】
その方法のより大きな程度の制御を可能するシステムを有することが望ましいであろう。
【0017】
先行技術の欠点の内の少なくとも1つを克服または改善するか、または有用な代替物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第一の態様において、本発明は、低密度材料を製造する方法であって、
無機の主要成分および膨張成分の水性混合物を形成し、その混合物を乾燥させ、そして選択的に、所定の粒子径に破砕して前駆体を供給する工程、そして前駆体を燃焼させて、前駆体を膨張させる膨張成分を活性化させ、そして低密度材料を形成する工程を含み、
該発泡剤が、所定の最適温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御することを特徴とする方法
を提供する。
【0019】
好ましい実施形態においては、発泡剤の制御は、混合物が前述の最適な温度範囲に達するまで、発泡剤を保存および/または保護する前駆体中に制御剤を供給することによって達成される。
【0020】
制御剤は、多数の形態で提供されうる。1つの形態では、制御剤は、特定の方法条件下で反応して、前駆体の環境を変え、そしてそれにより発泡剤の活性化を制御する材料を含む。例えば、制御剤は、別の発泡剤の形態でありうる。説明するために、前駆体配合物は、主に、前駆体材料を膨張させ、そして膨張した微粒子を形成するように作用する主要発泡剤を含みうる。二次および三次発泡剤の形態にある制御剤は、前駆体混合物中に含まれうる。これらの発泡剤は、主要発泡剤より低い温度で活性化されうる。多くの発泡剤は、酸化により活性化される。三次および/または二次発泡剤を活性化させると、プロセス環境から酸素の掃気を行ない、それにより主要発泡剤の活性化を制御することとなる。当業者にとって明確であるように、これは、好ましい最適温度範囲内で主要発泡剤の保存および放出を可能にし、そしてその方法での発泡剤のより優れた制御およびいっそう効率的な用途を提供する。
【0021】
発泡剤の制御は、多様な手段により達成されうる。例えば、その方法は、酸素欠乏環境で進行され、それにより膨張成分の酸素への曝露を低減させうる。前駆体混合物が、最適な温度範囲に達すると、酸素は、その工程に導入され、それにより発泡剤を活性化させうる。
【0022】
別の代替法は、燃料豊富な状態で、すなわち少量の酸化で燃焼工程を進ませることである。プラズマ加熱などのような他の燃焼機構を、発泡剤の活性化を制御するために、適切な量でO2消費ガス(O2 depleting gases)またはO2エンリッチガス(O2 enriching gases)を用いて使用してもよい。
【0023】
さらに別の実施形態では、発泡剤の保存は、物理的に達成されうる。前駆体粒子じゅうの発泡剤の分布は、膨張成分の少なくともいくつかが、表面から離れた前駆体のコア内に維持されるようになりうる。このような前駆体粒子を加熱させる場合、表面温度は上昇し、そしてコア温度は、表面温度に遅れてついてくる。この温度差は、実質的に全ての前駆体粒子が最適な温度範囲に達するときのみに、発泡剤が活性化されるように処理される。
【0024】
この点で、最適な温度範囲は、前駆体混合物が膨張工程に最適な粘度に達するものである。最適な温度範囲は、無機の主要成分の性質(make up)、発泡剤および制御剤の性質、前駆体粒子径、結果物としての低密度材料の所望の密度を含めた多数のパラメーターに依存する。
【0025】
好ましくは、低密度材料は、微粒子の形態で、最も好ましくは、1,000ミクロンまでの粒子径で製造される。
【0026】
第二の態様では、本発明は、低密度材料のための前駆体を形成する方法であって、
(a)無機の主要成分を供給する工程;
(b)無機の主要成分、発泡剤および制御剤の水性混合物を形成する工程、および;
(c)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための膨張可能な前駆体を供給する工程を含み、
該発泡剤および制御剤が、発泡剤が所定の最適な温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御するように選択される方法を提供する。
【0027】
第三の態様において、本発明は、低密度材料のための前駆体を形成する方法であって、
(d)無機の主要成分を供する工程;
(e)無機の主要成分および発泡剤の水性混合物を形成する工程、および;
(c)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための膨張可能な前駆体を供する工程を含み、
該発泡剤が、前駆体において、発泡剤が所定の最適な温度範囲内で活性化され、前駆体の燃焼により発泡剤の活性化を制御するように、選択および/または分布(distribute)される方法を提供する。
【0028】
第四の態様において、本発明は、膨張微粒子を製造するのに適切な前駆体を供し、該前駆体は、膨張可能な無機の主要成分、活性化され、そしてそれにより前記主要成分を膨張させるように適合された発泡剤、および所定の最適温度範囲内で活性化され、発泡剤の活性化を制御するように選択される制御剤を包含する。
【0029】
第五の態様において、本発明は、膨張微粒子を製造するのに適切な前駆体を供し、該前駆体は、膨張可能な無機主要成分、ならびに発泡剤の活性化を制御するために前駆体内に選択および/または分布され、それによって、膨張した微粒子を製造するための前駆体の燃焼により、発泡剤が所定の最適な温度範囲内で活性化される発泡剤を包含する。
【0030】
第六の態様では、本発明は、無機の混合物中の発泡剤の活性化を制御して、膨張した微粒子を製造する方法であって、
膨張ガスを放出し、そして膨張した微粒子を生じる所定の条件下で活性化される少なくとも1つの発泡剤を供し、そして該活性化が、無機の混合物の所定の最適な粘度範囲内で起こる状態を制御することを含む方法を提供する。
【0031】
第七の態様では、本発明は、膨張した微粒子を製造するための膨張成分を提供し、該膨張成分は、主要発泡剤および所定量の適合可能な制御剤を含み、ここで膨張可能な混合物内のこのような膨張成分の包含において、該制御剤は、発泡剤を制御および保存するために発泡剤より先に、または同時に活性化されうるものである。
【0032】
好ましい実施形態においては、制御剤は、発泡剤より低い温度で活性化される。制御剤は、そのプロセス環境を変えるように作用する可能性があり、そしてそのプロセス環境が、発泡剤の活性化にあまり作用させないようにする。例えば、制御剤は、そのプロセス環境から酸素を掃気するために酸素含有量を変えるように作用し、そしてそれにより、このような環境が、酸化活性化可能な発泡剤あまり作用しないようにする。
【0033】
別の好ましい形態において、膨張成分/剤は、ある範囲の工程条件にわたって連続して活性化されるように適合される一連の膨張化合物を包含する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、無機の混合物中の発泡剤の活性化を制御して、膨張した微粒子を製造する方法であって、
膨張ガスを放出し、膨張した微粒子を生成する所定の条件下で活性化される少なくとも1つの発泡剤を供する工程、および前記活性化が、無機の混合物の所定の最適粘度範囲内で起こるように条件を制御する工程を包含する方法を提供する。
【0035】
無機の混合物は、比較的高い温度で融解する。当業者にとって明確であるとおり、膨張工程から最大の収量を提供するので、無機の混合物が最適な粘度にある場合、発泡剤のみが活性化されることが重要である。したがって、本発明は、それが、無機混合物の最適な粘度で、すなわち特定の温度範囲内で活性化されるように発泡剤を仕立てるための機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】2成分系Na2O−SiO2の相平衡図であり、そしてその組成は、SiO2の重量百分率として表される。
【図2】3つの好ましい発泡剤、糖、カーボンブラックおよびシリコンカーバイドのTGAプロットであり、そして糖の連続活性化温度が最も低く、カーバイドが最も高いことを示す。
【図3】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例1で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図10】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図11】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図12】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図13】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図14】実施例2で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図15】実施例3で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図16】実施例3で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図17】実施例3で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図18】実施例4で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図19】実施例4で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【図20】実施例5で得られた合成中空マイクロスフェアの走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
文脈において別段明らかに要求しない限り、明細書および請求項を通して、語句「包含する」、「包含している」などは、限定的または徹底的な意味と反対に包括的な意味、すなわち、「含むが、それに限定されない」の意味と解釈されるべきである。
【0038】
ここで使用される場合、用語「処理された/膨張した微粒子」は、合成方法の主要な目的製品として合成される中空微粒子を意味する。その用語は、例えば、石炭燃焼発電所における燃焼石炭の単に副産物である収集セノスフェアを含まない。
【0039】
用語「マイクロスフェア」および「微粒子」は、明細書を通して使用されるが、これらの用語は、真正な幾何学上の球体でないものを含めた、あらゆる実質的に丸い別個の微粒子を含むことを意図すると理解される。
【0040】
ここで使用される場合、用語「前駆体」は、1つまたはそれより多くの膨張微粒子を形成するために、それの膨張の前に適切な配合物から製造される集塊または粒子をいう。用語「制御剤」は、膨張成分の活性化を制御する前駆体に含まれる成分をいう。
【0041】
ここで使用される場合、用語「主要成分」は、主要成分の量が、通常、他の構成要素の量を超える意味において、この成分が、通常、配合物/前駆体の主要な構成要素であることを意味する。さらに、用語「無機の主要成分」は、主要成分が、本質的に無機材料からなることを意味する。しかし、少量(例えば、約10重量%まで)の他の材料は、なお無機の主要成分に含まれうる。
【0042】
ここで使用される場合、用語「活性化」は、例えば、温度、配合物に存在する酸化物の酸化還元、および膨張成分が活性化され、その膨張ガスを放出する熱処理の気体雰囲気(例えば酸素分圧)の範囲のような条件をいう。
【0043】
本発明の好ましい方法は、広く利用可能で、そして廉価な出発材料から、優れた収量で、膨張した微粒子を生成するための手段を有利に提供する。したがって、その好ましい形態において、該方法は、微粒子を生成する全経費を低減し、結果として、特に建設業界でのそれらの用途、そして現在利用可能なセノスフェアの用途が、それらの法外な費用および利用可能性の低さにより比較的限定される重合性複合体においてのような全てのフィラー用途の範囲を増大させる。本発明は、広範な材料からの膨張微粒子の信頼性のある合成を達成する上で、発泡剤の活性化を制御する決定的な重要さを認識する。
【0044】
本発明の全ての態様の好ましい特性は、下で詳細に説明される。
【0045】
膨張した微粒子に前駆体を形成させる方法
膨張した微粒子を生成するための前駆体は、水性混合物中に主要成分、膨張成分および選択的に制御剤を組み合わせることによって製造されうる。その後、この水性混合物を、乾燥させて、集塊前駆体を製造する。
【0046】
前述のように、本発明は、混合および乾燥の工程を含めた、前駆体を形成する方法を提供する。結果物として得られる前駆体は、一般に、それの構成要素材料の実質的に固形の集塊混合物である。
【0047】
特に、混合工程は、後に乾燥される水性分散液またはペーストを提供する。混合は、セラミック粉末を混合するために使用されるあらゆる従来の手段によって行われうる。好ましい混合技術の例としては、攪拌タンク、ボールミル、一軸および二軸混合装置、および摩擦破砕機(attrition mills)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
所定の混合助剤(例えば、界面活性剤)は、適宜混合工程に加えてもよい。例えば、界面活性剤は、粒子を混合、懸濁および分散するのを助けるために使用されうる。
【0049】
乾燥は、特に、30〜600℃の範囲の温度で行われ、そして使用される乾燥技術に応じて、約48時間までの期間にわたって起こりうる。スラリーおよびペーストを乾燥させる業界で慣例上使用されるあらゆる型の乾燥機が、本発明で使用されうる。
【0050】
乾燥は、例えば、固定された皿または容器を使用した、バッチ工程において行われうる。代わりに、乾燥は、噴霧乾燥機、流動床乾燥機、回転乾燥機、旋回トレイ乾燥機またはフラッシュ乾燥機で行われうる。
【0051】
好ましくは、混合物は、結果物として得られる集塊前駆体の水分含量が、約14重量%より少なく、より好ましくは約10重量%より少なく、さらに好ましくは約5重量%より少なく、そしてさらに好ましくは、約3重量%またはそれより少なくなるように乾燥される。前駆体中の14重量%またはそれより多くの水で、燃焼により微細に急激に割れる傾向にあることが分かった。この破裂は、多すぎる水の存在下で、高速の蒸気燃焼によって引起されることが本発明者らによって分かった。
【0052】
したがって、少量の残余水分が、その形成のための溶液基本の工程の後に存在しうるが、結果物としての前駆体は、好ましくは、本質的に乾燥しているべきである。実際に、少量の水は、特に、前駆体中の粒子が水反応性である場合に、一緒に前駆体中の粒子を結合する助けになりうる。
【0053】
好ましくは、乾燥した前駆体粒子は、10〜1000ミクロン、より好ましくは30〜1000ミクロンまで、さらに好ましくは40〜500ミクロン、そしてさらに好ましくは50〜300ミクロンの範囲内の平均粒子径を有する。もちろん、応答の程度はおおよそにすぎないが、前駆体の粒子径は、結果物としての合成中空マイクロスフェアの粒子径に関連する。必要であれば、標準の粉末化/サイジング/等級分け技術が、この好ましい平均粒子径を達成するために使用されうる。
【0054】
乾燥は、とくに好ましくは、水の供給装置を有する噴霧乾燥機を使用して行われる。噴霧乾燥が、本発明で使用されるときにいくつかの利点を示すことが分かった。
【0055】
噴霧乾燥機を使用して前駆体を形成する方法
前述のように、本発明は、生成工程において最適な点で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御するための種々の技術を予見する。このような制御は、前駆体配合物中で制御剤を合わせることによって達成されうる。別の実施形態は、最適な温度で、利用可能な充分な発泡/膨張ガスがあるように一連の制御剤および/または発泡剤を含む。1つの実施形態では、温度上昇にしたがって連続して活性化される一連の発泡剤が使用されうる。
【0056】
さらなる実施形態は、前駆体が燃焼される一方で、表面近くに分布する発泡剤は、高温にされるが、前駆体の核に近い発泡剤は、「物理的に」保護されるように、前駆体じゅうに発泡剤を分布させることを包含する。説明のために、配合物の熱伝導性は、前駆体のコア内の温度上昇に対して、前駆体の表面上の加熱の間に遅延を引き起こす。したがって、前駆体のコア内にある発泡剤は、前駆体粒子の主要部分がその最適温度をすでに達成するまで、活性化されない。
【0057】
さらに、前述したように、多くの発泡剤は酸化によって活性化される。前駆体のコア内の粒子は、表面上の発泡剤と同じ範囲まで酸素にさらされず、そしてさらに、粒子のコア中の発泡剤を保護する。
【0058】
さらに驚くべきことに、出願人は、噴霧乾燥機は、前駆体を膨張した微粒子に形成するのに有用であるのみならず、前駆体内の発泡剤の前述の最適な分布を供するのにも優れていることを見出した。なんら特定の理論に結びつけられることを望まないが、水溶性である発泡剤は、噴霧乾燥製造技術の間に表面に出てくる傾向にあるように見えるであろう。非水溶性発泡剤は、コア内に残る傾向にある。したがって、それらの水溶性により、最初の、後の、および最終の活性化を提供する発泡剤の混合物を設計できる。具体例としては、発泡剤として有用であるが、水溶性である糖が挙げられる。噴霧乾燥技術の間に、この発泡剤は、前駆体の表面に移動する傾向にある。他方では、有用な発泡剤でもあるシリコーンカーバイドは、水溶性でなく、そして前駆体の表面に移動しない。
【0059】
噴霧乾燥機は、多数の標準教科書(例えば、Industrial Drying Equipment,C.M. van't Land; Handbook of Industrial Drying 2版、Arun S. Mujumbar)に記述されており、そして当業者に周知である。
【0060】
前述の利点に加えて、所定の平均粒子径および所定の(好ましくは、狭い)粒子径分布を有する膨張した微粒子を合成することが、一般に望ましい。本発明での噴霧乾燥機の使用は、前駆体または最終的には合成膨張微粒子のサイジング/等級分けの必要性を減らすことが分かった。噴霧乾燥は、材料の高処理量および迅速な乾燥時間を可能にする別の利点を有する。したがって、本発明の特に好ましい実施形態では、乾燥工程は、噴霧乾燥機を使用して行われる。
【0061】
粒子径および粒子径分布が、噴霧乾燥工程で以下のパラメーターの1つまたはそれより多くに影響を及ぼされうることが分かった。
【0062】
注入口スラリー圧力および速度(粒子径は、圧力が上昇すると減少する傾向にある);
アトマイザーの設計(回転式アトマイザー、圧力ノズル、二流動体ノズルなど)
ガス注入口ノズルの設計;
気体の体積流量および流動パターン;および
スラリー粘度および有効なスラリー表面張力。
【0063】
好ましくは、水性スラリー供給噴霧乾燥機は、25〜75%w/v、より好ましくは40〜60%w/vの固形分を含む。
【0064】
前述の成分に加えて、水性スラリーは、噴霧乾燥機中の混合、流動性または液滴形成を改善するさらなる加工助剤または添加剤を包含しうる。適切な添加剤は、噴霧乾燥技術で周知である。このような添加剤の例は、スルホネート、グリコールエーテル、セルロースエーテルなどである。これらは、0〜5%w/vの範囲の量で水性スラリー中に含まれうる。
【0065】
噴霧乾燥工程において、水性スラリーは、特に、所定の圧力および温度でアトマイザーに汲み出されて、スラリー液滴を形成する。アトマイザーは、以下の1つまたは組合せでありうる:回転式アトマイザー(遠心分離霧状化)、圧力ノズル(水圧霧状化)、またはスラリーを別の流動体と混合する双流動圧力ノズル(空気圧霧状化)。
【0066】
形成された液滴が、適切なサイズのものであることを確保するために、アトマイザーは、周期的な機械的または音のパルスにかけることも可能である。霧状化は、乾燥機チャンバーの頂部から、または底部から行われうる。加熱乾燥気体は、噴霧の方向に、乾燥機の並流(co-current)または向流(counter-current)に注入されうる。
【0067】
噴霧乾燥条件を制御することによって、前駆体の平均粒子径、および前駆体粒子径分布は、制御されうることが分かった。例えば、回転式アトマイザーは、圧力ノズルよりいっそう均質な集塊粒子径分布を生じることが分かった。さらに、回転式ディスクアトマイザーは、研磨材料に適切な無視してよい障壁(blockage)またはクロッグ(clogging)を伴う高い供給速度を可能にする。ある実施形態では、既知霧状化技術の混成は、望まれる特徴を有する集塊前駆体を得るために使用されうる。
【0068】
スラリーの霧状化液滴を、所定の滞留時間、噴霧乾燥機で乾燥させる。滞留時間は、結果物としての前駆体の平均粒子径、粒子径分布および水分に影響を及ぼしうる。好ましくは、前述のとおり、滞留時間を制御して、前駆体の好ましい特徴を得られる。滞留時間は、スラリーの水分含有量、スラリー液滴サイズ(総表面積)、噴霧乾燥機内の乾燥ガス注入口温度および気流パターン、および噴霧乾燥機内の粒子フロー経路によって制御されうる。2秒より大きな比較的長い滞留時間が、一般にさらに好まれるが、好ましくは、噴霧乾燥機中の滞留時間は、0.1〜10秒の範囲にある。
【0069】
好ましくは、噴霧乾燥機中の注入口温度は、300〜600℃の範囲にあり、そして出口温度は、90〜220℃の範囲にある。
【0070】
噴霧乾燥は、この狭い粒子径分布を有する前駆体を有利に生じる。結果として、これらの前駆体から生じる合成膨張微粒子は、後の用途のためのよく似た狭い粒子径分布および一貫した(consistent)特性を有する。
【0071】
噴霧乾燥機を使用するさらに驚くべき利点は、結果物としての前駆体が、構成要素の改善された粒子内分布を有することである。霧状化液滴が、噴霧乾燥機中に内在する一方で、水は、内側から外側に急速に引き込まれ、それにより集塊中の可溶性種の濃度勾配を形成し、そして比較的水溶性の種が、外側に向かってさらに濃縮される。噴霧乾燥機の別の利点は、本発明の方法(例えば、予備発泡)によって乾燥した細胞質状塊状化前駆体を形成することである。伴出ガス(entrained gas)は、さらに、別の方法では、複数の発泡剤を用いて達成することが可能でなかったかもしれない製品の密度を低下させる膨張工程の間に膨張する。この選択的であるが、新規な方法により、乾燥工程の前に、低温気体形成化合物を、前駆体に添加する。気体形成化合物は、表面張力における減少による脱気(逆温度溶解性)のような物理的手段によるか、または化学的手段によるかのいずれかで活性化されうる。低温での化学的気化の例は、pHを変化させることによる炭酸塩のCO2への分解、または慣例上具体的に使用される空気伴出剤のような適切な有機化合物の使用である。
【0072】
中空マイクロスフェアの効率的かつ信頼性のある合成については、前駆体は、理想的には、その表面に高濃度のガラス形成材料を有すべきであり、そしてそれは、燃焼の間に、溶融ガラス状被膜を形成しうる。さらに、前駆体は、理想的には、コア付近に濃縮発泡剤を有するべきであり、そしてそれは、燃焼中にガラス状被膜内の取込み(entrapment)のために発泡ガスを放出できる。材料を注意深く選択して、この理想的な粒子内分布は、噴霧乾燥法を使用して達成されうる。
【0073】
無機の主要成分
好ましくは、無機の主要成分の量は、集塊前駆体の総乾燥重量に基づいて少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、さらに好ましくは少なくとも70重量%、そしてさらに好ましくは少なくとも80重量%を包含する。
【0074】
他の成分、例えば発泡剤に対する主要成分の好ましい割合は、これらの成分の各々の組成によって変化する。特に、発泡剤に対する主要成分の割合は、1000:1〜10:1、より好ましくは700:1〜15:1、そしてさらに好ましくは500:1〜20:1である。
【0075】
好ましくは、無機の主要成分は、無機酸化物、非酸化物、塩またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する。このような材料は、工業用および/または居住の副産物、鉱物、岩石、粘土、技術的等級の化学薬品またはそれの組合せでありうる。本発明の利点の1つは、それが、安価な工業用および/または居住の廃棄産物から中空マイクロスフェアの合成を可能にすることである。したがって、無機の主要成分は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、廃棄ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸塩ガラス、または他の廃棄ガラス)、廃棄セラミックス、炉塵、廃棄繊維セメント、コンクリート、焼却灰、珪藻土、シリカ砂、シリカ蒸気、またはそれの組合せなどの材料を包含しうる。
【0076】
好ましくは、無機の主要成分は、所定の温度まで加熱されたときに、粘弾性液体を形成する能力がある。この粘弾性液体は、好ましくは、ガラス形成液体である。
【0077】
好ましくは、無機の主要成分は、酸化物形態で少なくとも1つの化合物を包含し、そしてそれは、ガラス相の大半を形成できる。非酸化物成分は、酸化し、そしてハライドのような、酸化されているのではなく、溶解されたままでありうる成分を除いて、ガラス相の一部になりうる。
【0078】
1つの好ましい実施形態では、無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する。珪酸塩材料は、当業者にとって周知である。一般に、これらは、シリカ(SiO2)の比較的大きな成分(すなわち、約30重量%より大きく、好ましくは50%より大きく、そしてさらに好ましくは60%より大きい)を有する材料である。ほとんどの場合には、アルミナも、珪酸塩材料の主要な酸化物構成成分である。したがって、本発明での珪酸塩の用語は、主要な化合物として適したアルミノ珪酸塩材料全てを網羅する。
【0079】
珪酸塩材料中のシリカおよびアルミナの量は、その源によって変化し、そして同じ源においてさえ変化しうる。例えば、フライアッシュは、使用される石炭の型および燃焼条件によって、さまざまな量のシリカおよびアルミナを含有する。好ましくは、アルミナ(Al2O3)に対するシリカ(SiO2)の質量比は、約1より大きい。特に、本発明のこの好ましい実施形態での使用のための珪酸塩材料は、30〜95重量%のSiO2;0〜45重量%(好ましくは2〜45重量%)のAl2O3;約30重量%まで(好ましくは、約15重量%まで)の二価金属酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO);約50重量%までの一価金属酸化物(例えば、Li2O、Na2O、K2O);および多酸化状態で存在する金属酸化物(例えば、SnO2、MnO2、Fe2O3など)を含めた、他の金属酸化物約20重量%までの組成を有する。
【0080】
特に、本発明のこの実施形態で使用されうる珪酸塩は、フライアッシュ(例えば、F型フライアッシュ、C型フライアッシュなど)、廃棄ガラス、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、珪酸塩粘土(例えば、カオリナイト粘土、イライト粘土、ベダライト粘土、ベントナイト粘土、磁器、耐火粘土など)、ボーキサイト、黒曜石、火山灰、火山岩、火山ガラス、ジオポリマー(geopolymer)、またはその組合せである。
【0081】
前述したような珪酸塩は、無機の主要成分の大半を形成しうる。例えば、珪酸塩は、無機の主要成分の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、または少なくとも90重量%の無機の主要成分を形成しうる。
【0082】
フライアッシュ、廃棄ソーダ石灰ガラス、安山岩、玄武岩および/または粘土は、無機の主要成分にとっての好ましい原材料である。フライアッシュは、その低コストおよび広い入手可能性により、特に好ましい無機の主要成分である。本発明の1つの形態では、主要成分は、主要成分の総量に基づいて、少なくとも5重量%のフライアッシュ、そしてさらに好ましくは少なくとも10重量%のフライアッシュを包含する。本発明の別の形態では、無機の主要成分は、無機の主要成分の総量に基づいて、少なくとも50重量%のフライアッシュ、少なくとも70重量%のフライアッシュ、または少なくとも90重量%のフライアッシュを包含する。本発明のいくつかの実施形態では、無機の主要成分は、珪酸塩を、金属水酸化物(例えば、NaOHまたはKOH)の水溶液と接触させるときに形成されるジオポリマーを含みうる。ジオポリマーは、当業界で周知である。
【0083】
無機の主要成分は、焼成または非焼成のいずれかにされうる。用語「焼成」は、無機の材料が、所定の成分を酸化または予備反応するかのいずれかのために、所定の時間、所定の焼成温度まで、空気中で加熱されることを意味する。無機の材料の焼成は、発泡(膨張)工程が無機材料に存在する多価酸化物の酸化還元状態に対して敏感でありうるので、本発明で有利でありうる。なんら特定の理論に結びつけられることを望まないが、発泡剤の活性化が、無機材料中に存在する多価酸化物からの酸素の放出によって(例えば、酸化還元反応により)影響を及ぼされると思われる。具体例として、炭素を含む発泡剤は、酸化第二鉄(Fe2O3)から放出される酸素と反応して、COx(式中xは、炭素酸化状態によって、1または2でありうる)を形成でき、そしてそれは、すぐに、酸化第一鉄(FeO)に還元される。発泡剤からのCOxの放出は、マイクロスフェアを膨張させる。したがって、空中で無機材料を予備焼成することによって、相当な量の酸化第一鉄が増大され、そしてそれは、その後、発泡剤のための酸素の源として使用して、さらにガスを発生し、それにより微粒子の密度を低下させる。
【0084】
さらに、焼成は、無機材料中で酸化物成分の予備反応を促進し、および/または無機材料に部分的ガラス化させることができ、そしてそれは、高品質微粒子の生産に有益でありうる。
【0085】
高い化学的耐久性が要求される場合には、主要な無機成分は、低アルカリ性材料であるのが好ましい。「低アルカリ性材料」は、約10重量%未満のアルカリ金属酸化物含有率を有する材料を意味する。本発明のこの形態では、比較的高いアルカリ性の材料は、さらに無機の主要成分に含まれうる。したがって、約15重量%までのアルカリ含有率を有するソーダ石灰ガラス(ときとして、カレットと称される)のような廃棄ガラス粉末が含まれうる。
【0086】
好ましくは、無機の主要成分は、0.01〜100ミクロン、より好ましくは0.05〜50ミクロン、さらに好ましくは0.1〜25ミクロン、そしてさらに好ましくは0.2〜10ミクロンの範囲にある平均一次粒子径を有する。好ましい粒子径は、適切な破砕および等級分けによって達成されうる。セラミックス産業で使用される破砕、粉砕、および全てのサイズ低減技術の全ての型が、本発明に使用されうる。脆い固形物のために使用されるサイズ減少の他の方法に限定することなく、本発明にかかわる好ましい方法は、ボール粉砕(湿式および乾式)、高エネルギー遠心分離粉砕、ジェット粉砕、および摩擦粉砕である。1つ以上の無機材料が使用される予定の場合、それにより、複数の成分が、一緒に同時破砕されうる。本発明の1つの方法では、集塊前駆体の構成材料は全て、混合の前に一緒に同時破砕(例えば、湿式ボール粉砕で)される。
【0087】
膨張成分
本発明に使用される発泡剤は、加熱されるときに、燃焼、蒸発、昇華、熱分解、気化または拡散の内の1つ以上によって膨張ガスを放出する化合物である。膨張ガスは、例えば、CO2、CO、O2、N2、N2O、NO、NO2、SO2、SO3、H2Oまたはそれの混合物でありうる。好ましくは、膨張ガスは、CO2および/またはCOを包含する。
【0088】
好ましくは、膨張成分の量は、前駆体の総乾燥重量に基づいて0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜6重量%、そしてさらに好ましくは0.2〜4重量%の範囲にある。発泡成分の正確な量は、無機の主要成分の組成、発泡剤の型、および最終中空マイクロスフェアの要求された密度による。
【0089】
1つの実施形態では、膨張成分は、主要発泡剤および二次発泡剤を包含する。主要発泡剤は、第一の活性化温度を有し、そして二次発泡剤は、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を示す。言い換えると、用途では、二次発泡剤は、主要発泡剤に続いて温度上昇するにつれ、最初に活性化される。これにより、主要発泡剤が保存される。
【0090】
好ましくは、主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、スターチなどの炭水化物;PVA、種々のアミン、炭酸塩、カーバイド(例えば、シリコンカーバイド、アルミニウムカーバイド)、硫酸塩、硫化物、窒化物(窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化ホウ素)、硝酸塩、ポリオール、グリコール、グリセリンまたはそれの組合せから選択される。シリコンカーバイドおよびカーボンブラックは、特に、好ましい主要発泡剤である。
【0091】
好ましくは、二次発泡剤は、炭素、炭素含有高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、スターチなどの炭水化物;PVA、種々のアミン、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、ポリオール、グリコール、グリセリンまたはそれの組合せから選択される。カーボンブラック、糖、コーンシロップおよびスターチは、特に、好ましい二次発泡剤である。
【0092】
本発明の代替的実施形態では、膨張成分は、前記の主要発泡剤および二次発泡剤に加えて、さらに発泡剤を包含する。これらの追加の発泡剤は、対応の第三、第四などの活性化温度を有する三次、四次などの発泡剤と称される。
【0093】
したがって、1つの代替的実施形態では、膨張成分は、さらに第三の活性化温度が第一の活性化合物温度より低い第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含する。好ましくは、第三の活性化温度も、第二の活性化温度より低い。好ましくは、三次発泡剤は、炭素含有高分子有機物、油状物、糖、コーンシロップ、スターチなどの炭水化物;PVA、種々のアミン、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、ポリオール、グリコール、グリセリンまたはそれらの組合せから選択されうる。糖、コーンシロップ、およびスターチは、特に好ましい三次発泡剤である。
【0094】
好ましくは、そして特に、発泡剤は、非水溶性である場合、発泡剤は、約10ミクロンの平均粒子径を示す。
【0095】
複数の発泡剤の使用は、膨張微粒子の合成において特別の利益を有することが示された。それは、発泡(膨張)工程の制御を提供し、そしてそれにより広範な充分に利用可能で、そして廉価な無機材料からの膨張微粒子の信頼できる合成を可能にする。さらに、それは、高品質(および比較的高価な)主要発泡剤の効率を最大にし、そしてそれは、さらに、膨張微粒子を合成により製造する費用をさらに低減させる。
【0096】
なんら特定の理論に結びつけられることを望まないが、主要発泡剤が、前駆体のときに発泡(膨張)工程の間に気体の大半を生じると思われる。二次(および選択的に三次、四次など)の発泡剤は、前駆体材料が膨張行程の間に膨張ガスを捕捉するのに充分に溶融する前に、主要発泡剤の時期尚早な浪費を減らすか、または防止することにより、例えば蒸散および/または酸化により犠牲材料(sacrificial material)として作用する。
【0097】
例えば、好ましい発泡剤組成物は、主要発泡剤としてシリコンカーバイドを、そして二次発泡剤として炭素または粉末石炭を含む。炭素は、犠牲的な発泡剤として作用し、そして前駆体が溶融するまで、カーバイドから離れて最初の保存酸素(keeping oxygen)を酸化し始める。いったん前駆体が溶融すると、カーバイドの酸化により発生するCOおよびCO2の大半は、溶融前駆体内に捕捉される。
【0098】
代替的発泡剤組成物は、主要発泡剤としてシリコンカーバイドを、二次発泡剤として炭素を、そして三次発泡剤として糖を包含する。理論に結びつけられることを望まないが、糖は、酸化を開始して、最初に炭素およびカーバイドの酸化を防止し、その後炭素は、酸化し始めて、カーバイドの酸化を防止し、そしてその後、最終的にカーバイドは酸化してCOおよびCO2になり、そしてそれは、主に、微粒子の発泡(膨張)の原因となる。本発明の方法の1つの利点は、発泡剤の全費用を低減することである。糖は、炭素より経費が低く、そしてシリコンカーバイドは、そのいずれよりずっと高価である。複数の発泡剤を使用することによって、所定の低密度製品を製造するために要求される高価なシリコンカーバイドの量は、劇的に低減される。図2は、空気中の糖、炭素、およびシリコンカーバイドのTGA(熱重量計分析)を描く。活性化温度は、上昇順に、糖、その後炭素、そして最後にシリコンカーバイドである。
【0099】
発泡剤のこの新規混合物は、いっそう高価な発泡剤(例えば、シリコンカーバイド)の効率および膨張許容量を最大にするために、安価な犠牲的な発泡剤(例えば、糖、炭素および/または粉末石炭)の使用を可能にする。
【0100】
先に議論したように、追加の、および重要な利点は、前駆体が、噴霧乾燥法を使用して製造されるときに認識される。前記の機構を利用し、それにより比較的水溶性の種は、噴霧乾燥の間に前駆体の外側に引っ張られることによって、主要発泡剤および二次発泡剤の有益な粒子内分布は、達成されうる。
【0101】
したがって、比較的水不溶性の主要発泡剤および比較的水溶性の二次発泡剤を使用して、二次発泡剤は、前駆体の表面に移動でき、そして均質に分散される一次発泡剤を遊離する。主要発泡剤および二次発泡剤がこの方法で分離されて、二次発泡剤は、ガラス質の被膜が前駆体の周囲にまだ形成されない燃焼の間の重要な期間中、主要発泡剤からいっそう有効に酸素を「掃気」することができる。この掃気効果は、時期尚早な浪費に対して主要発泡剤を保護し、それによりガラス質の被膜の形成後(または間)にそれの膨張許容量を最大にする。
【0102】
糖は、有用な二次発泡剤の例である。糖は、水に可溶性であり、そして噴霧乾燥の間に前駆体の外側に移動する。同時に、糖は、噴霧乾燥温度で、炭素に変換されて、そして前駆体の外側部分じゅうに炭素粒子の微細分散物を生じうる。炭素粒子のこの微細分散物は、燃焼の最初の期間じゅうに、主要発泡剤(例えば、シリコンカーバイド)から酸素を掃気することによって、有効な二次(犠牲的な)発泡剤として作用する。
【0103】
さらに、糖およびスターチのような有機化合物は、凝集体の前駆体構成要素を一緒に結合する助成をする。したがって、糖およびスターチのような材料は、本発明で結合剤と発泡剤の両方として作用しうる。
【0104】
制御剤
前記二次および三次発泡剤は、前駆体形成において、主要発泡剤を保護および保存する制御剤として作用する。当業者であれば、前駆体形成において含むことができる他の材料や、そして例えば、工程において酸素を除去するなどの方法によって、発泡剤の活性化を制御することができる他の材料がわかるものである。
【0105】
結合剤
本発明の好ましい実施態様では、結合剤/剤(またはバインダー)を、無機の主要成分および発泡成分と混合しうる。結合剤の主要機能は、前駆体中の珪酸塩粒子を一緒に強く結合することである。バインダーは、燃焼温度で珪酸塩材料と反応して、生じるガラス質の微粒子の粘度を低下させるためにも選択されうる。
【0106】
一般に、無機の主要成分と反応性および/または接着性があるあらゆる化学的物質は、結合剤として使用することができる。バインダーとしては、セラミックス産業でバインダーとして使用されるあらゆる商業上利用可能な材料を用いることができる。
【0107】
好ましくは、結合剤は、アルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム)、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ性金属ホウ酸塩(例えば、テトラホウ酸ナトリウム)、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物(例えば、NaOH、KOHまたはCa(OH)2)、炭水化物(例えば、糖、スターチなど)、コロイド状シリカ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機ポリマー(例えば、ポリアクリレート)またはそれの組合せから選択される。いくつかの場合には、超微細C型またはF型フライアッシュのようなフライアッシュも、結合剤として作用しうる。
【0108】
いくつかの場合には(例えば、糖、スターチなど)、同じ物質は、上に記述されるとおり発泡剤/結合剤の二重の特性を示しうるが、結合剤および発泡剤は、通常は互いに異なるものである。
【0109】
ここで使用される「バインダー」または「結合剤」は、凝集体中の他の成分とのこれらの結合剤の現場反応生成物とともに、上記全ての結合剤をも含むものである。例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)は、アルカリ金属珪酸塩を生成する珪酸塩を包含する無機の主要成分の少なくとも一部と現場で反応する。水酸化ナトリウムは、CO2を含有する外気にされるとき、炭酸ナトリウムも形成でき、この工程の速度は、高温(例えば、400℃)で増大する。生じた炭酸ナトリウムは、珪酸塩と反応して、珪酸ナトリウムを形成しうる。
【0110】
結合剤の量は、凝集体の前駆体の乾燥総重量の0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜40重量%であり、さらに好ましくは1〜30重量%である。
【0111】
すでに述べたように、燃焼の間に、結合剤が溶融被膜を形成するように、前駆体の外側に結合剤を有することが好ましい。この溶融被膜の形成は、発泡成分の活性化、特に主要発泡剤の活性化の前または間であることが好ましい。溶融被膜のこの形成が、さらに、前駆体内で発泡剤を保護するのみならず、低密度の合成発泡微粒子を有利に提供することができる。
【0112】
凝集体の前駆体を形成するために噴霧乾燥法を使用して、凝集体の駆体の異なる領域内の結合剤(並びに発泡剤)の濃度は、この成分の可溶性限度の適切な選択により制御されうることが、予想外に見出された。したがって、噴霧乾燥法を使用して、結合剤が、比較的高い水溶性を示し、その結果、凝集体前駆体の外側でさらに濃縮され、そして、したがって、連続燃焼の間に溶融被膜を形成することができる。アルカリ水酸化物のようなアルカリ化合物、または特に、珪酸ナトリウムおよびアルミノ珪酸ナトリウムの化合物は、それらが、水に溶解性があり、したがって、凝集体前駆体の外側に移動できるので、この点で好ましい結合剤である。
【0113】
合成膨張微粒子を形成する方法
上に記述される方法により生成される前駆体は、予め決定された温度プロファイルで燃焼させることによって、膨張微粒子を合成するのに使用されうる。
【0114】
好ましくは、燃焼中の温度プロファイルは、前駆体を溶融物にし、溶融物の粘度を減少させ、前駆体の表面を密閉し、そして溶融物内の気体の膨張形成を促進して、気泡を形成する。温度プロファイルは、気泡を合体させ、そして単独の主要空隙を形成させるのに充分な時間および温度で、溶融物を維持することが好ましい。発泡の後、新たに膨張した粒子は、迅速に冷却され、したがって中空のガラス質微粒子(microsparticles)を形成する。したがって、温度プロファイルは、上方または下方ドラフト気流を有する、ドロップ管炉、ボルテックス型炉、流動床炉、または燃料燃焼炉のような1つまたはそれより多くの温度領域を有する炉によって供されることが好ましい。燃料燃焼炉は、前駆体を、1つまたは複数の燃焼ゾーンに直接的に導入して、粒子の膨張または発泡を引起す炉型を含む。これは、粒子が、高温まで直接高速加熱により利益を得るので、好ましい型の炉であり、それは望ましい。加熱源は、電気か、または天然ガスまたは燃料油のような化石燃料を燃焼させることにより提供されうる。しかし、加熱の好ましい方法としては、電気熱源よりいっそう経済性があり、そして燃料油を燃焼させるよりクリーンである点より、天然ガスの燃焼によるものがあげられる。
【0115】
特に、燃焼段階(b)での最高燃焼温度は、600〜2500℃であり、より好ましくは800〜2000℃、さらに好ましくは1000〜1500℃、特に好ましくは1100〜1400℃である。しかし、要求される温度プロファイルは、使用される無機の主要成分および発泡成分の種類によることが予測される。
【0116】
好ましくは、上に記述された最高燃焼温度に対する露出時間は、0.05〜20秒、より好ましくは0.1〜10秒である。
【0117】
合成中空マイクロスフェア
本発明は、さらに、上に記述される方法により得られる合成中空マイクロスフェアを提供する。このような中空微粒子は、製造するのに廉価であり、そして収集セノスフェアに対する安価な代替物として有益に使用されうる。本発明による合成中空微粒子は、特に、閉鎖殻(空隙)構造を示す実質的な球状壁を包含する。合成中空微粒子は、好ましくは、以下の特徴の1つまたはそれより多くを有し、そしてそれは、収集したセノスフェアの全般的な特徴でもある:
(i)約0.8〜1の間のアスペクト比。
(ii)マイクロスフェアの総体積の約30〜95%の空隙体積;
(iii)マイクロスフェア半径の約5〜30%の壁厚;
(iv)30〜85重量%のSiO2、2〜45重量%の(好ましくは、6〜40重量%)Al2O3、約30重量%までの二価金属酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO)、2〜10重量%の一価の金属酸化物(例えば、Na2O、K2O)、および約20重量%の多酸化状態で存在する金属酸化物(例えば、TiO2、Fe2O3など)を含めた他の金属酸化物からなる組成;
(v)約1より大きいシリカ対アルミナ比;
(vi)30〜1000ミクロン、より好ましくは40〜500ミクロンの平均直径(30ミクロンまたはそれより上の平均直径は、そのような粒子が吸引可能性な塵であるとみなされないので有益である);
(vii)1〜100ミクロン、好ましくは1〜70ミクロン、より好ましくは2.5〜20ミクロンの外側壁厚み;
(viii)0.1〜2.0g/cm3、より好ましくは0.2〜1.5g/cm3、さらに好ましくは0.4〜1.0g/cm3の粒子密度;または
(ix)約1.4g/cm3未満、好ましくは約1.0g/cm3未満のバルク密度。
【0118】
合成膨張微粒子の使用
本発明による合成膨張微粒子は、例えば、フィラー用途、改質剤用途、封じ込め用途または基質用途などの広く多様な用途で使用されうる。用途の範囲は、合成マイクロスフェアの低コストおよび安定な特性により、収集したセノスフェアのものより非常に大きい。
【0119】
本発明による合成微粒子は、複合体材料でのフィラーとして使用されうるものであり、それらはコスト削減、重量減少、加工性の改善、性能増大、機械性の改善および/または作業性の改善などの特性を与えるものである。さらに詳細には、合成微粒子は、ポリマー(熱硬化性、熱可塑性、および無機のジオポリマーを含む)、無機のセメント質材料(ポルトランドセメント、石灰セメント、アルミナ系セメント、プラスター、リン酸塩系セメント、マグネシア系セメントおよび他の水硬性バインダー(hydraulically settable binder)を含む)、コンクリート系(厳格なコンクリート構造、ティルト・アップコンクリートパネル、カラム、懸濁コンクリート構造などを含む)、パテ(例えば、空隙充填および補修用途のための)、木質複合体(パーティクルボード、ファイバーボード、木/ポリマー複合体および他の複合木質構造を含む)、クレー、およびセラミックスでの、フィラーとして使用されうる。1つの特に好ましい用途は、繊維性セメント建設製品である。
【0120】
合成膨張微粒子は、他の材料との組合せで改質剤としても使用されうる。サイズおよび幾何学の適切な選択により、微粒子は、所定の材料と合わせて、膜厚が増大されること、分布が改善されること、流動性が改善されることなどの特性を提供することができる。典型的な改質剤用途は、光反射用途(例えば、高速道路標識および信号)、工業用爆発物、噴出エネルギー吸収構造(例えば、爆弾および爆発物のエネルギーを吸収するための)、塗料および粉末被覆用途、粉砕および噴出用途、掘削用途(例えば、油田掘削のためのセメント)、粘着性配合物および音響および熱遮断用途を含む。
【0121】
合成膨張微粒子は、他の材料を含有および/または保存するためにも使用されうる。典型的な封じ込め用途は、医療および製薬用途(例えば、薬剤のための微量容器)、放射反応性または毒性材料のための微量封じ込め、および気体および液体のための微量封じ込めを含む。
【0122】
合成膨張微粒子は、表面反応が使用される(すなわち、基板用途)種々の用途で特定の表面活性を供するためにも使用されうる。表面活性は、微粒子を、金属またはセラミックス被覆、酸浸出などのような二次処理にかけることによって、さらに改善されうる。典型的な基板用途は、イオン交換用途(流動体からの混入物を除去するための)、触媒用途(微粒子の表面が、合成、交換または分解反応で触媒として働くように処理される)、濾過(混入物が、気体または液体の流れから除去される)、ポリマー複合体のための導体性フィラーまたはRF遮断フィラー、および医療用画像を含む。
【0123】
本発明は、例のためにのみ、以下の図面に関してここに記述される。
【0124】
好ましい実施態様の詳細な説明
【実施例】
【0125】
実施例1
この実施例は、玄武岩および水酸化ナトリウムより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0126】
組成物は、破砕玄武岩を、固形水酸化ナトリウムおよび水と混合することによって製造された。シリコンカーバンド、糖、カーボンブラックおよび石炭を含む制御剤と、発泡剤の種々の混合物を、組み合わせてか、または単独で添加した。組成を表1に示す。玄武岩の組成は、表2に示す。
【0127】
組成物1A
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウムおよび発泡剤として糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0128】
約2ミクロンのd50粒子径に粉砕した、92gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、3gの市販の糖および23mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0129】
組成物1B
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウムおよび発泡剤としてカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0130】
約2ミクロンのd50粒子径に粉砕した、94gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび38mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0131】
組成物1C
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウムおよび発泡剤としてシリコンカーバイドより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0132】
約1ミクロンのd50粒子径に粉砕した、94.5gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.5gの市販グレードのシリコンカーバイドおよび38mLの水とを混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0133】
組成物1D
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのシリコンカーバイド、そして制御剤または二次発泡剤としての石炭より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0134】
93.5gの玄武岩、0.5gの市販級グレードのシリコンカーバイドおよび1gの市販グレードの石炭を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を、約1ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。その後、この混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)および38mLの水と混合した。組成を表1に示す。
【0135】
組成物1E
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのシリコンカーバイド、そして制御剤または二次発泡剤としての糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0136】
約1ミクロンのd50粒子径に粉砕した、92gの玄武岩と、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.5グラムの市販グレードのシリコンカーバイド、2.5gの市販の糖および37mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0137】
組成物1F
この組成物は、玄武岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのカーボンブラック、そして制御剤または二次発泡剤としての糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0138】
約2ミクロンのd50粒子径に粉砕した、91.4gの玄武岩と、4.8gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.8gの市販グレードのカーボンブラック、3gの市販の糖および38mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。組成を表1に示す。
【0139】
各混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そして約5分間、室温で固形化させた。得られた生成物を、約20時間、約50℃でさらに乾燥させ、その後、それを粉砕して、ふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表3にまとめた。
【0140】
図3から9までは、それぞれ、組成物1Aから1Fから得られた製品のSEM試験を示す。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
実施例1より、以下の結論がわかる。
1.SiCは、粒子密度を低下させるための主要発泡剤として、炭素および糖より有効である。SiCの正味の炭素含有率(30重量%炭素)は、炭素(100重量%)中、および糖(40重量%炭素)中の炭素の相当質量より少ないことに注目すること。
2.1つまたはそれより多くの制御剤と共にSiCを使用することは、この実施例において使用するいずれかの単独の発泡剤と比較して、粒子密度を低下させるのにさらに有効である。
3.制御剤といずれかの単独の発泡剤の組合せは、製品の粒子密度に強力に影響するように最適化されうる、すなわち、全SiCの組合せは、炭素と糖の組合せに比べて、粒子密度を低下させるのにさらに有効である。
【0145】
実施例2
本実施例は、種々の珪酸塩化合物、水酸化ナトリウムおよび複数の発泡剤より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0146】
ソーダ石灰廃棄ガラスおよび種々の珪酸塩材料の混合物を用いて、膨張マイクロ包含物(inclusions)を製造した。これらの混合物は、主要発泡剤と、シリコンカーバイドの制御剤、糖および/またはカーボンブラックとの混合物も含む。組成物を、表4に示す。本件で使用される廃棄ガラスの組成を表5に示す。
【0147】
組成物2A
本組成物は、ガラス、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0148】
約1ミクロンのd50粒子径に粉砕した、95.6gのガラス、3gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび58mLの水を混合することによって、サンプルを作製した。組成を表4に示す。
【0149】
組成物2B
本組成物は、ガラス、フライアッシュ、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0150】
65.5gのガラスおよび28.lgのフライアッシュを混合することによって、サンプルを作製し、その混合物を約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/フライアッシュの混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび42mLの水と混合した。組成を表4に示す。フライアッシュの組成を表5に示す。
【0151】
組成物2C
本組成物は、ガラス、玄武岩、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0152】
46.8gのガラスおよび46.8gの玄武岩を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を、約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/フライアッシュ混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび37mLの水と混合した。組成を表4に示す。玄武岩の組成を表5に示す。
【0153】
組成物2D
本組成物は、ガラス、火山灰、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0154】
46.8gのガラスおよび46.8gの火山灰を混合することによってサンプルを作製し、混合物を約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/火山灰混合物を、5gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび50mLの水と混合した。組成を表4に示す。火山灰の組成を表5に示す。
【0155】
組成物2E
本組成物は、ガラス、安山岩、水酸化ナトリウム、主要発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としての糖より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0156】
47.1gのガラスおよび47.1gの安山岩を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を、約2ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/安山岩の混合物を、3gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、2.5gの糖および50mLの水と混合した。組成を表4に示す。安山岩の組成を表5に示す。
【0157】
組成物2F
本組成物は、ガラス、安山岩、水酸化ナトリウム、発泡剤としてのシリコンカーバイド、制御剤としてのカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作る方法を示す。
【0158】
47.8gのガラスおよび47.8gの安山岩を混合することによってサンプルを作製し、得られた混合物を約1ミクロンのd50粒子径に共粉砕した。ガラス/安山岩の混合物を、3gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.4gの市販グレードのシリコンカーバイド、1gの市販グレードのカーボンブラックおよび43mLの水と混合した。組成を表4に示す。
【0159】
各混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そして約5分間、室温で固形化させた。得られた生成物を、約20時間、約50℃でさらに乾燥させ、その後、それを粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表6にまとめた。
【0160】
図10から16は、サンプル2Aから2Fまでの各々についてのSEM断面図を示す。
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
実施例2から、以下の結論がわかる。
1.制御剤との発泡剤の組合せ、すなわち、シリコンカーバイド−炭素およびシリコンカーバイド−糖は、膨張マイクロ包含物(inclusions)の生産に非常に有効である。
2.廃棄ガラスは、種々の珪酸塩混合物の、経済的で、そして適切な添加である。
3.本発明の方法による膨張マイクロ包含物(inclusions)の生産に適切である珪酸塩原材料は、廃棄副生成物、鉱物、化合物、および岩石の広範囲から選択することができる。
【0165】
実施例3
本実施例は、種々の量の火山灰、水酸化ナトリウム、発泡および制御剤の混合物および他の微量の添加物より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作製する方法を示す。
【0166】
組成物3A
3ミクロンのd50粒子径に粉砕した、78.2gの火山灰を、20gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、主要発泡剤として0.8g市販グレードのシリコンカーバイド、制御剤として1gの市販グレードのカーボンブラックおよび43mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。
【0167】
組成物3Bおよび3C
およそ1ミクロンのd50粒子径に共粉砕された火山灰と酸化鉄(III)の混合物を用いてサンプルを作製した。組成を表7に示す。火山灰の組成を表5に示す。混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そしておよそ5分間、室温で固形化させた。得られた製品を、さらに約20分間、約50℃で乾燥させ、その後それを、粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表8にまとめた。
【0168】
図17から20は、それぞれ、組成物3Aから3Cの製品の、サンプル当たり2つの断面図を示す。
【0169】
【表7】
【0170】
【表8】
【0171】
実施例3から、以下の結論がわかる。
1.主要発泡剤としてのシリコンカーバイドと、制御剤としてカーボンブラックの組合せは、非常に軽くて球状の製品に火山灰を発泡させる上で非常に有効である。
2.組成物中のナトリウム濃度が高くなると、製品の丸さは、球状形態に近づく。酸化ナトリウムは、珪酸塩ガラスのための強力な流動剤、例えば粘度減少剤である。したがって、粘性の低い組成物は、主にその燃焼温度での表面張力が低いために、丸い微粒子のみよりむしろ球状の膨張粒子を形成する傾向にある。
【0172】
実施例4
本実施例は、フライアッシュ、水酸化ナトリウム、および発泡制御剤より構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作製する方法を示す。
【0173】
組成物4A
約4ミクロンのd50粒子径に粉砕した、79gのF型フライアッシュを、19gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、主要発泡剤として1gの市販グレードのシリコンカーバイド、制御剤として1gの市販グレードのカーボンブラックおよび42mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。
【0174】
組成物4B
表9に示されるように、組成物4Aで使用されたものと類似のF型フライアッシュ68.7gを、29.5gの固形水酸化ナトリウムと混合することによって、サンプルを作製した。フライアッシュの組成を表5に示す。
【0175】
混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そしておよそ5分間、室温で固形化させた。得られた製品を、さらに約20分間、約50℃で乾燥させ、その後それを、粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節できた。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表10にまとめた。
【0176】
図21および22は、それぞれ、組成物4Aから4Bの製品の、サンプル当たり2つの断面図を示す。
【0177】
【表9】
【0178】
【表10】
【0179】
実施例4から、以下の結論がわかる。
1.主要発泡剤としてのシリコンカーバイドと、制御剤としてのカーボンブラックの組合せは、珪酸塩廃棄副生成物、フライアッシュから低密度マイクロ包含物(inclusions)を製造する上で非常に有効である。
2.流動化合物(例えば、水酸化ナトリウム)の濃度は、低粒子密度の優れた球状マイクロ包含物(inclusions)を製造するために最適化することができる。
3.最適値を越えた高濃度の流動剤は、製品の粒子密度を増大させるのみならず、秩序に逆に衝撃を与えもする。廃棄フライアッシュは、水酸化ナトリウムよりいっそう安価である。
【0180】
実施例5
本実施例は、リン酸塩鉱石選鉱から得られる廃棄副生成物であるリン酸塩クレー、水酸化ナトリウム、シリコンカーバイドおよびカーボンブラックより構成される組成物から膨張マイクロ包含物(inclusions)を作製する方法を示す。
【0181】
組成物5A
0.6ミクロンのd50粒子径に粉砕した、88.4gのリン酸クレーを、9.8gの固形水酸化ナトリウム(フレーク状)、0.8gの市販グレードのシリコンカーバイド、1.0gの市販グレードのカーボンブラックおよび85mLの水と混合することによって、サンプルを作製した。リン酸塩クレーの組成を表11に示す。混合物を、均一なスラリーにブレンドし、平坦な皿に注ぎ、そしておよそ5分間、室温で固形化させた。得られた製品を、さらに約20分間、約50℃で乾燥させ、その後それを、粉砕およびふるいにかけて、106から180ミクロンのサイズの粉末を得た。次の段階で、粉末を、約0.14g/分の供給速度で、垂直加熱管炉に供給した。炉の一定温度領域を、最高燃焼温度で、1秒未満からおよそ数秒間の滞留時間を供するように調節した。炉の底部にある微細メッシュスクリーンで覆われた漏斗型収集装置で、膨張マイクロ包含物(inclusions)を回収した。マイクロ包含物(inclusions)を収集するために、漏斗の末端から穏やかな吸引をおこなった。製品の、粒子密度(例えば、見掛けの密度)、およびSEMによる微視的試験を行い、その結果を、表12にまとめた。
【0182】
図35および36は、製品の断面図を示す。
【0183】
【表11】
【0184】
【表12】
【0185】
実施例5から、以下の結論がわかる。
1.シリコンカーバイドと炭素との複数の発泡剤の組合せは、廃棄粘土副生成物から低密度マイクロ包含物(inclusions)を製造するために有効に用いられた。
2.P2O5−CaO混合濃度は、製品の総重量%の33%より多い。その組合せは、製品中の不定形アパタイト相を強力に形成することができる。
【0186】
アパタイト含有製品は、医療用途で有用な生物活性反応を示しうる。
【0187】
本発明は、発明性概念の概念または範囲から逸脱することなく、他の形態で具体化されうることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機の主要成分および発泡剤の水性混合物を形成し、その混合物を乾燥させ、予め決定された粒子径に破砕して前駆体を提供すること、および前駆体を燃焼させ、前駆体を膨張させる発泡剤を活性化させて低密度材料を形成することを包含する低密度材料の製造方法であって、
生成凝集前駆体は、50〜300ミクロンまでの範囲にある平均凝集粒子径を有し、
発泡剤が、予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御する製造方法。
【請求項2】
低密度材料は、1,000ミクロン以下の直径を有する微粒子である請求項1記載の方法。
【請求項3】
発泡剤は、無機の主要成分が溶融しており、そして最適な粘度範囲内にある温度範囲内で活性化される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
発泡剤は、制御剤の添加により制御される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
発泡剤は主要発泡剤として提供され、そして制御剤は二次発泡剤として提供される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
主要発泡剤は、第一の活性化温度を有し、二次発泡剤は、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
二次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前駆体は、さらに、第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含し、第三の活性化温度は、第一の活性化温度より低い請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
三次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物、炭水化物、PVA、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前駆体の燃焼は、発泡剤の活性化を制御するような条件下で行われる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前駆体の燃焼は、酸素欠乏環境下で行われる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前駆体の燃焼は、燃料豊富/酸化が少ない環境下で行われる請求項12記載の方法。
【請求項14】
発泡剤の活性化は、前駆体の燃焼中に適切な投与量によりO2枯渇またはO2の豊富な気体で制御される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前駆体は、その結果、発泡剤の予め決定された分布で形成され、該分布は、前駆体の燃焼の間に発泡剤の制御された活性化を提供する請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
乾燥工程は、水性スラリー供給口を有するスプレードライヤーを使用して行われる請求項1記載の方法。
【請求項17】
スプレードライヤーは、300〜600℃までの範囲にある注入口温度を有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
スプレードライヤーは、90〜220℃までの範囲にある出口温度を有する請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
無機の主要成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して50重量%以上である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
発泡剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.05〜10重量%までの範囲にある請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
発泡成分に対する無機の主要成分の比は、1000:1〜10:1までの範囲内にある請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
混合物は、前駆体の水分含量が、14重量%より少なくなるように乾燥される請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
生成凝集前駆体は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して10重量%以下の総アルカリ金属酸化物含有率を有する請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
無機の主要成分は、無機の酸化物、非酸化物、塩またはそれらの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
無機の主要成分は、工業用および/または住居の副産物、鉱物、岩石、粘土、テクニカルグレードの化合品またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの珪酸塩材料は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、アルミノ珪酸塩粘土、ボーキサイト、火山灰、火山岩、火山性ガラス、ジオポリマー、またはそれの組合せから選択される請求項26記載の方法。
【請求項28】
無機の主要成分は、粘弾性液体を形成できる請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
無機の主要成分は、0.01〜100ミクロンまでの範囲にある平均一次粒子径を有する請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
主要発泡剤は、二次発泡剤より比較的水溶性が低い請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
発泡剤は、0.01〜10ミクロンまでの範囲の平均粒子径を有する請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
さらに、結合剤を、無機の主要成分および発泡剤と混合する工程を包含する請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
結合剤は、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、炭水化物、コロイド状シリカ、超微細フライアッシュ、C型フライアッシュ、F型フライアッシュ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機重合体またはそれの組合せから選択される請求項32記載の方法。
【請求項34】
結合剤は、全体として生成凝集前駆体の融点よりも低い融点を有する請求項32または33記載の方法。
【請求項35】
結合剤は、700〜1000℃までの範囲にある融点を有する請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
結合剤は、珪酸塩である請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
結合剤は、アルカリ金属水酸化物および珪酸塩主要成分の現場反応により発生したアルカリ金属珪酸塩である請求項34または35記載の方法。
【請求項38】
結合剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.1〜50重量%の範囲である請求項34〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
結合剤は、主要発泡剤より比較的水溶性が高い請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
主要成分、発泡成分、および結合剤が、ともに共粉砕される請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
(a)無機の主要成分を供する工程;
(b)無機の主要成分、発泡剤および制御剤の水性混合物を形成する工程、および;
(c)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための発泡可能な前駆体を供する工程を包含し、
生成凝集前駆体は、50〜300ミクロンの範囲にある平均凝集粒子径を有し、
該発泡剤および制御剤が、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように発泡剤の活性化を制御するように選択される、低密度材料のための前駆体の製造方法。
【請求項42】
発泡剤が、主要発泡剤として提供され、制御剤は、二次発泡剤として提供される請求項41記載の方法。
【請求項43】
主要発泡剤が、第一の活性化温度を有し、二次発泡剤が、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を有する請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップまたはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項41または42記載の方法。
【請求項45】
二次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップまたはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項41〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前駆体が、さらに、第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含し、第三の活性化温度は、第一の活性化温度より低い請求項41〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
三次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物、炭水化物、PVA、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項46記載の方法。
【請求項48】
発泡剤の活性化は、前駆体の燃焼中に適切な投与量によりO2枯渇またはO2の豊富な気体で制御される請求項41〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前駆体は、その結果、発泡剤の予め決定された分布で形成され、該分布は、前駆体の燃焼の間に発泡剤の制御された活性化を提供する請求項41〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
乾燥工程は、水性スラリー供給口を有するスプレードライヤーを使用して行われる請求項41記載の方法。
【請求項51】
スプレードライヤーは、300〜600℃までの範囲にある注入口温度を有する請求項50記載の方法。
【請求項52】
スプレードライヤーは、90〜220℃までの範囲にある出口温度を有する請求項50または51記載の方法。
【請求項53】
無機の主要成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して50重量%以上である請求項41〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
発泡成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.05〜10重量%の範囲にある請求項41〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
発泡成分に対する無機の主要成分の比は、1000:1〜10:1までの範囲内である請求項41〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
混合物は、前駆体の水分含量が、14重量%未満であるように乾燥される請求項41〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
生成凝集前駆体は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して10重量%以下の総アルカリ金属酸化物含有率を有する請求項41〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
無機の主要成分は、無機の酸化物、非酸化物、塩またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項41〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
無機の主要成分は、工業用および/または住居の副生物、鉱物、岩石、粘土、テクニカルグレードの化学品またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項41〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する請求項41〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つの珪酸塩材料は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、アルミノ珪酸塩粘土、ボーキサイト、火山灰、火山岩、火山性ガラス、ジオポリマー、またはそれの組合せから選択される請求項60記載の方法。
【請求項62】
無機の主要成分は、粘弾性液体を形成できる請求項41〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
無機の主要成分は、0.01〜100ミクロンまでの範囲にある平均一次粒子径を有する請求項41〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
主要発泡剤は、二次発泡剤より水溶性が比較的低い請求項41〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
発泡剤は、0.01〜10ミクロンまでの範囲にある平均粒子径を有する請求41〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
さらに、結合剤を、無機の主要成分および発泡剤と混合する工程を包含する請求項41〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
結合剤は、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、炭水化物、コロイド状シリカ、超微細フライアッシュ、C型フライアッシュ、F型フライアッシュ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機重合体またはそれの組合せから選択される請求項66記載の方法。
【請求項68】
結合剤は、全体として生成凝集前駆体の融点より低い融点を有する請求項66または67記載の方法。
【請求項69】
結合剤は、700〜1000℃の範囲の融点を有する請求項66〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
結合剤は、珪酸塩である請求項68または69記載の方法。
【請求項71】
結合剤は、アルカリ金属水酸化物および珪酸塩主要成分の現場反応により発生したアルカリ金属珪酸塩である請求項68または69記載の方法。
【請求項72】
結合剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.1〜50重量%の範囲である請求項68〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
結合剤は、主要発泡剤より比較的水溶性が高い請求項68〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
主要成分、発泡成分、および必要により結合剤が、ともに共粉砕される請求項41〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
(j)無機の主要成分を提供する工程;
(k)無機の主要成分および発泡剤の水性混合物を形成する工程;および
(l)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための膨張可能な前駆体を提供する工程を包含し、
生成凝集前駆体は、50〜300ミクロンの範囲にある平均凝集粒子径を有し、
該発泡剤は、前駆体において、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように前駆体の燃焼における発泡剤の活性化を制御するように選択および/または分布される、低密度材料のための前駆体の製造方法。
【請求項76】
膨張可能な無機の主要成分を包含し、発泡剤は活性化され、そしてそれにより該主要成分を膨張させるよう調節され、そして制御剤は、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように発泡剤の活性化を制御するように選択される、膨張した微粒子を製造するのに適した前駆体。
【請求項77】
発泡剤は、主要発泡剤として提供され、そして制御剤は、二次発泡剤として提供される請求項76記載の前駆体。
【請求項78】
主要発泡剤は、第一の活性化温度を有し、そして二次発泡剤は、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を有する請求項76または77記載の前駆体。
【請求項79】
主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項76〜78のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項80】
二次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはスターチなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項76〜79のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項81】
前駆体は、さらに、第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含し、第三の活性化温度は、第一の活性化温度より低い請求76〜80のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項82】
三次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物、炭水化物、PVA、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコールまたはグリセリンから選択される請求項81記載の前駆体。
【請求項83】
発泡剤の活性化は、前駆体の燃焼中に適切な投与量によりO2枯渇またはO2の豊富な気体で制御される請求76〜82のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項84】
前駆体は、その結果、発泡剤の予め決定された分布で形成され、該分布は、前駆体の燃焼の間に発泡剤の制御された活性化を提供する請求76〜83のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項85】
無機の主要成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して50重量%以上である請求項76〜84のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項86】
発泡成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.05〜10重量%の範囲である請求項76〜85のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項87】
発泡成分に対する無機の主要成分の比は、1000:1〜10:1の範囲内である請求項76〜86のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項88】
混合物は、前駆体の水分含量が14重量%未満であるように乾燥される請求項76〜87のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項89】
生成凝集前駆体は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して10重量%以下の総アルカリ金属酸化物含有率を有する請求項76〜88のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項90】
無機の主要成分は、無機の酸化物、非酸化物、塩またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項76〜89のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項91】
無機の主要成分は、工業用および/または住居の副産物、鉱物、岩石、粘土、テクニカルグレードの化学品またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項76〜90のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項92】
無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する請求項77〜91のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項93】
少なくとも1つの珪酸塩材料は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、アルミノ珪酸塩粘土、ボーキサイト、火山灰、火山岩、火山性ガラス、ジオポリマー、またはそれの組合せから選択される請求項92記載の前駆体。
【請求項94】
無機の主要成分は、粘弾性液体を形成する能力がある請求項76〜93のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項95】
無機の主要成分は、0.01〜100ミクロンの範囲にある平均一次粒子径を有する請求項76〜94のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項96】
主要発泡剤は、二次発泡剤より水溶性が比較的低い請求項76〜95のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項97】
発泡剤は、0.01〜10ミクロンの範囲にある平均粒子径を有する請求項76〜96のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項98】
さらに、結合剤を、無機の主要成分および発泡剤と混合する工程を包含する請求項76〜97のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項99】
結合剤は、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物、炭水化物、コロイド状シリカ、超微細フライアッシュ、C型フライアッシュ、F型フライアッシュ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、ソーダ石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機重合体またはそれの組合せから選択される請求項98記載の前駆体。
【請求項100】
結合剤は、全体として生成凝集前駆体の融点より低い融点を有する請求項98または99記載の前駆体。
【請求項101】
結合剤は、700〜1000℃の範囲の融点を有する請求項98〜100のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項102】
結合剤は、珪酸塩である請求項100または101記載の前駆体。
【請求項103】
結合剤は、アルカリ金属水酸化物および珪酸塩主要成分の現場反応により発生されたアルカリ金属珪酸塩である請求項100または101記載の前駆体。
【請求項104】
結合剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.1〜50重量%の範囲である請求項100〜103のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項105】
結合剤は、主要発泡剤より比較的水溶性が高い請求項100〜104のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項106】
膨張可能な無機主要成分からなり、発泡剤の活性化を制御するために前駆体内に選択および/または分布され、それによって、膨張した微粒子を製造するための前駆体の燃焼により、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化される発泡剤を包含する膨張微粒子を製造するのに適した前駆体。
【請求項107】
発泡ガスを放出し、膨張した微粒子を製造する予め決定された条件下で活性化される少なくとも1つの発泡剤を提供し、そしてそのような条件を制御し、それにより該活性化が、無機の混合物の予め決定された最適な粘度範囲内で起こることを包含する、無機混合物中の発泡剤の活性化を制御して、膨張した微粒子を製造する方法。
【請求項108】
主要発泡剤、および膨張可能な混合物内のこのような発泡成分の包含物により、制御剤は、発泡剤を制御および保存するために発泡剤内に、あらかじめまたは同時に活性化されうるものである決定された量の適合性制御剤を包含する、膨張した微粒子を製造するための発泡成分。
【請求項1】
無機の主要成分および発泡剤の水性混合物を形成し、その混合物を乾燥させ、予め決定された粒子径に破砕して前駆体を提供すること、および前駆体を燃焼させ、前駆体を膨張させる発泡剤を活性化させて低密度材料を形成することを包含する低密度材料の製造方法であって、
生成凝集前駆体は、50〜300ミクロンまでの範囲にある平均凝集粒子径を有し、
発泡剤が、予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように、発泡剤の活性化を制御する製造方法。
【請求項2】
低密度材料は、1,000ミクロン以下の直径を有する微粒子である請求項1記載の方法。
【請求項3】
発泡剤は、無機の主要成分が溶融しており、そして最適な粘度範囲内にある温度範囲内で活性化される請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
発泡剤は、制御剤の添加により制御される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
発泡剤は主要発泡剤として提供され、そして制御剤は二次発泡剤として提供される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
主要発泡剤は、第一の活性化温度を有し、二次発泡剤は、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
二次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前駆体は、さらに、第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含し、第三の活性化温度は、第一の活性化温度より低い請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
三次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物、炭水化物、PVA、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前駆体の燃焼は、発泡剤の活性化を制御するような条件下で行われる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前駆体の燃焼は、酸素欠乏環境下で行われる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前駆体の燃焼は、燃料豊富/酸化が少ない環境下で行われる請求項12記載の方法。
【請求項14】
発泡剤の活性化は、前駆体の燃焼中に適切な投与量によりO2枯渇またはO2の豊富な気体で制御される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前駆体は、その結果、発泡剤の予め決定された分布で形成され、該分布は、前駆体の燃焼の間に発泡剤の制御された活性化を提供する請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
乾燥工程は、水性スラリー供給口を有するスプレードライヤーを使用して行われる請求項1記載の方法。
【請求項17】
スプレードライヤーは、300〜600℃までの範囲にある注入口温度を有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
スプレードライヤーは、90〜220℃までの範囲にある出口温度を有する請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
無機の主要成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して50重量%以上である請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
発泡剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.05〜10重量%までの範囲にある請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
発泡成分に対する無機の主要成分の比は、1000:1〜10:1までの範囲内にある請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
混合物は、前駆体の水分含量が、14重量%より少なくなるように乾燥される請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
生成凝集前駆体は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して10重量%以下の総アルカリ金属酸化物含有率を有する請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
無機の主要成分は、無機の酸化物、非酸化物、塩またはそれらの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
無機の主要成分は、工業用および/または住居の副産物、鉱物、岩石、粘土、テクニカルグレードの化合品またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの珪酸塩材料は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、アルミノ珪酸塩粘土、ボーキサイト、火山灰、火山岩、火山性ガラス、ジオポリマー、またはそれの組合せから選択される請求項26記載の方法。
【請求項28】
無機の主要成分は、粘弾性液体を形成できる請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
無機の主要成分は、0.01〜100ミクロンまでの範囲にある平均一次粒子径を有する請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
主要発泡剤は、二次発泡剤より比較的水溶性が低い請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
発泡剤は、0.01〜10ミクロンまでの範囲の平均粒子径を有する請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
さらに、結合剤を、無機の主要成分および発泡剤と混合する工程を包含する請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
結合剤は、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、炭水化物、コロイド状シリカ、超微細フライアッシュ、C型フライアッシュ、F型フライアッシュ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機重合体またはそれの組合せから選択される請求項32記載の方法。
【請求項34】
結合剤は、全体として生成凝集前駆体の融点よりも低い融点を有する請求項32または33記載の方法。
【請求項35】
結合剤は、700〜1000℃までの範囲にある融点を有する請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
結合剤は、珪酸塩である請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
結合剤は、アルカリ金属水酸化物および珪酸塩主要成分の現場反応により発生したアルカリ金属珪酸塩である請求項34または35記載の方法。
【請求項38】
結合剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.1〜50重量%の範囲である請求項34〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
結合剤は、主要発泡剤より比較的水溶性が高い請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
主要成分、発泡成分、および結合剤が、ともに共粉砕される請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
(a)無機の主要成分を供する工程;
(b)無機の主要成分、発泡剤および制御剤の水性混合物を形成する工程、および;
(c)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための発泡可能な前駆体を供する工程を包含し、
生成凝集前駆体は、50〜300ミクロンの範囲にある平均凝集粒子径を有し、
該発泡剤および制御剤が、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように発泡剤の活性化を制御するように選択される、低密度材料のための前駆体の製造方法。
【請求項42】
発泡剤が、主要発泡剤として提供され、制御剤は、二次発泡剤として提供される請求項41記載の方法。
【請求項43】
主要発泡剤が、第一の活性化温度を有し、二次発泡剤が、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を有する請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップまたはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項41または42記載の方法。
【請求項45】
二次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップまたはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項41〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前駆体が、さらに、第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含し、第三の活性化温度は、第一の活性化温度より低い請求項41〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
三次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物、炭水化物、PVA、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項46記載の方法。
【請求項48】
発泡剤の活性化は、前駆体の燃焼中に適切な投与量によりO2枯渇またはO2の豊富な気体で制御される請求項41〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前駆体は、その結果、発泡剤の予め決定された分布で形成され、該分布は、前駆体の燃焼の間に発泡剤の制御された活性化を提供する請求項41〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
乾燥工程は、水性スラリー供給口を有するスプレードライヤーを使用して行われる請求項41記載の方法。
【請求項51】
スプレードライヤーは、300〜600℃までの範囲にある注入口温度を有する請求項50記載の方法。
【請求項52】
スプレードライヤーは、90〜220℃までの範囲にある出口温度を有する請求項50または51記載の方法。
【請求項53】
無機の主要成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して50重量%以上である請求項41〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
発泡成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.05〜10重量%の範囲にある請求項41〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
発泡成分に対する無機の主要成分の比は、1000:1〜10:1までの範囲内である請求項41〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
混合物は、前駆体の水分含量が、14重量%未満であるように乾燥される請求項41〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
生成凝集前駆体は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して10重量%以下の総アルカリ金属酸化物含有率を有する請求項41〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
無機の主要成分は、無機の酸化物、非酸化物、塩またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項41〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
無機の主要成分は、工業用および/または住居の副生物、鉱物、岩石、粘土、テクニカルグレードの化学品またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項41〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する請求項41〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つの珪酸塩材料は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、アルミノ珪酸塩粘土、ボーキサイト、火山灰、火山岩、火山性ガラス、ジオポリマー、またはそれの組合せから選択される請求項60記載の方法。
【請求項62】
無機の主要成分は、粘弾性液体を形成できる請求項41〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
無機の主要成分は、0.01〜100ミクロンまでの範囲にある平均一次粒子径を有する請求項41〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
主要発泡剤は、二次発泡剤より水溶性が比較的低い請求項41〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
発泡剤は、0.01〜10ミクロンまでの範囲にある平均粒子径を有する請求41〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
さらに、結合剤を、無機の主要成分および発泡剤と混合する工程を包含する請求項41〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
結合剤は、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、炭水化物、コロイド状シリカ、超微細フライアッシュ、C型フライアッシュ、F型フライアッシュ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機重合体またはそれの組合せから選択される請求項66記載の方法。
【請求項68】
結合剤は、全体として生成凝集前駆体の融点より低い融点を有する請求項66または67記載の方法。
【請求項69】
結合剤は、700〜1000℃の範囲の融点を有する請求項66〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
結合剤は、珪酸塩である請求項68または69記載の方法。
【請求項71】
結合剤は、アルカリ金属水酸化物および珪酸塩主要成分の現場反応により発生したアルカリ金属珪酸塩である請求項68または69記載の方法。
【請求項72】
結合剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.1〜50重量%の範囲である請求項68〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
結合剤は、主要発泡剤より比較的水溶性が高い請求項68〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
主要成分、発泡成分、および必要により結合剤が、ともに共粉砕される請求項41〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
(j)無機の主要成分を提供する工程;
(k)無機の主要成分および発泡剤の水性混合物を形成する工程;および
(l)その混合物を乾燥させて、低密度材料を形成するための膨張可能な前駆体を提供する工程を包含し、
生成凝集前駆体は、50〜300ミクロンの範囲にある平均凝集粒子径を有し、
該発泡剤は、前駆体において、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように前駆体の燃焼における発泡剤の活性化を制御するように選択および/または分布される、低密度材料のための前駆体の製造方法。
【請求項76】
膨張可能な無機の主要成分を包含し、発泡剤は活性化され、そしてそれにより該主要成分を膨張させるよう調節され、そして制御剤は、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化されるように発泡剤の活性化を制御するように選択される、膨張した微粒子を製造するのに適した前駆体。
【請求項77】
発泡剤は、主要発泡剤として提供され、そして制御剤は、二次発泡剤として提供される請求項76記載の前駆体。
【請求項78】
主要発泡剤は、第一の活性化温度を有し、そして二次発泡剤は、第一の活性化温度より低い第二の活性化温度を有する請求項76または77記載の前駆体。
【請求項79】
主要発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはデンプンなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項76〜78のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項80】
二次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物;糖、コーンシロップ、またはスターチなどの炭水化物;PVA、炭酸塩、カーバイド、硫酸塩、硫化物、窒化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコール、またはグリセリンから選択される請求項76〜79のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項81】
前駆体は、さらに、第三の活性化温度を有する三次発泡剤を包含し、第三の活性化温度は、第一の活性化温度より低い請求76〜80のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項82】
三次発泡剤は、粉末石炭、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、炭素を含む高分子有機物、油状物、炭水化物、PVA、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、硝酸塩、アミン、ポリオール、グリコールまたはグリセリンから選択される請求項81記載の前駆体。
【請求項83】
発泡剤の活性化は、前駆体の燃焼中に適切な投与量によりO2枯渇またはO2の豊富な気体で制御される請求76〜82のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項84】
前駆体は、その結果、発泡剤の予め決定された分布で形成され、該分布は、前駆体の燃焼の間に発泡剤の制御された活性化を提供する請求76〜83のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項85】
無機の主要成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して50重量%以上である請求項76〜84のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項86】
発泡成分の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.05〜10重量%の範囲である請求項76〜85のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項87】
発泡成分に対する無機の主要成分の比は、1000:1〜10:1の範囲内である請求項76〜86のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項88】
混合物は、前駆体の水分含量が14重量%未満であるように乾燥される請求項76〜87のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項89】
生成凝集前駆体は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して10重量%以下の総アルカリ金属酸化物含有率を有する請求項76〜88のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項90】
無機の主要成分は、無機の酸化物、非酸化物、塩またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項76〜89のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項91】
無機の主要成分は、工業用および/または住居の副産物、鉱物、岩石、粘土、テクニカルグレードの化学品またはそれの組合せから選択される少なくとも1つの材料を包含する請求項76〜90のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項92】
無機の主要成分は、少なくとも1つの珪酸塩材料を包含する請求項77〜91のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項93】
少なくとも1つの珪酸塩材料は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、溶鉱炉スラグ、ペーパーアッシュ、玄武岩、安山岩、長石、アルミノ珪酸塩粘土、ボーキサイト、火山灰、火山岩、火山性ガラス、ジオポリマー、またはそれの組合せから選択される請求項92記載の前駆体。
【請求項94】
無機の主要成分は、粘弾性液体を形成する能力がある請求項76〜93のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項95】
無機の主要成分は、0.01〜100ミクロンの範囲にある平均一次粒子径を有する請求項76〜94のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項96】
主要発泡剤は、二次発泡剤より水溶性が比較的低い請求項76〜95のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項97】
発泡剤は、0.01〜10ミクロンの範囲にある平均粒子径を有する請求項76〜96のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項98】
さらに、結合剤を、無機の主要成分および発泡剤と混合する工程を包含する請求項76〜97のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項99】
結合剤は、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属アルミノ珪酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属硝酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硝酸塩、ホウ酸、アルカリまたはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物、炭水化物、コロイド状シリカ、超微細フライアッシュ、C型フライアッシュ、F型フライアッシュ、無機珪酸塩セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、ソーダ石灰系セメント、リン酸塩系セメント、有機重合体またはそれの組合せから選択される請求項98記載の前駆体。
【請求項100】
結合剤は、全体として生成凝集前駆体の融点より低い融点を有する請求項98または99記載の前駆体。
【請求項101】
結合剤は、700〜1000℃の範囲の融点を有する請求項98〜100のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項102】
結合剤は、珪酸塩である請求項100または101記載の前駆体。
【請求項103】
結合剤は、アルカリ金属水酸化物および珪酸塩主要成分の現場反応により発生されたアルカリ金属珪酸塩である請求項100または101記載の前駆体。
【請求項104】
結合剤の量は、凝集前駆体の総乾燥重量に対して0.1〜50重量%の範囲である請求項100〜103のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項105】
結合剤は、主要発泡剤より比較的水溶性が高い請求項100〜104のいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項106】
膨張可能な無機主要成分からなり、発泡剤の活性化を制御するために前駆体内に選択および/または分布され、それによって、膨張した微粒子を製造するための前駆体の燃焼により、発泡剤が予め決定された最適な温度範囲内で活性化される発泡剤を包含する膨張微粒子を製造するのに適した前駆体。
【請求項107】
発泡ガスを放出し、膨張した微粒子を製造する予め決定された条件下で活性化される少なくとも1つの発泡剤を提供し、そしてそのような条件を制御し、それにより該活性化が、無機の混合物の予め決定された最適な粘度範囲内で起こることを包含する、無機混合物中の発泡剤の活性化を制御して、膨張した微粒子を製造する方法。
【請求項108】
主要発泡剤、および膨張可能な混合物内のこのような発泡成分の包含物により、制御剤は、発泡剤を制御および保存するために発泡剤内に、あらかじめまたは同時に活性化されうるものである決定された量の適合性制御剤を包含する、膨張した微粒子を製造するための発泡成分。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−235284(P2011−235284A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138859(P2011−138859)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2006−529434(P2006−529434)の分割
【原出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【出願人】(510219268)ジェームズ ハーディー テクノロジー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2006−529434(P2006−529434)の分割
【原出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【出願人】(510219268)ジェームズ ハーディー テクノロジー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]