説明

低屈折率キャリア基板上のIII族窒化物ダイオード

【課題】発光ダイオードおよびダイオードランプの外部効率を増す方法および該方法を用いて作られた発光ダイオードおよび発光ダイオードランプを提供すること。
【解決手段】発光ダイオードであって、透明キャリア基板上にp型III族窒化物層とn型III族窒化物層とを含み、該透明キャリア基板は、該基板に隣接するIII族窒化物層よりも低い屈折率を有する、発光ダイオード。透明キャリア基板上にp型III族窒化物層とn型III族窒化物層とを含み、該透明キャリア基板は、該基板に隣接するIII族窒化物層よりも低い屈折率を有する、発光ダイオードが開示される。透明接着剤層が、III族窒化物層に透明基板を接合し、該透明接着剤は、III族窒化物層よりも低い屈折率を有する。ダイオードは、p型III族窒化物層およびn型III族窒化物層に対するそれぞれのオーム接触を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関し、特に、発光ダイオード(LED)からの光を変換する蛍光体とともに用いられることによって、LEDによって放射される周波数と蛍光体によって変換される周波数との、部分的な結合または完全な結合のいずれかである出力を生成する、発光ダイオード(LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、デバイスの全域、および最も基本的にはp−n接合にわたる電流の印加が、電子と正孔との間の再結合イベントを生成する蛍光デバイスの類である。次いで、該イベントは、放射された光子の形状において、少なくとも一部のエネルギーを生ずる。
【0003】
再結合イベントは、量子力学の原理によって定義および解釈されるので、該イベントによって生成されたエネルギー(および故に光子)は、該イベントが発生する半導体材料の特性に依存する。この点において、半導体材料のバンドギャップは、発光ダイオードの性能に関係する最も基本的な特徴である。再結合イベントは、半導体材料の価電子帯と伝導帯との間で発生するので、該イベントは、バンドギャップよりも大きな量のエネルギーを決して生成し得ない。従って、より小さなバンドギャップの材料は、より低いエネルギー(および、故により低い周波数)の光子を生成し、一方で、より大きなバンドギャップの材料は、より高いエネルギー、およびより高い周波数光子を生成し得る。
【0004】
発光ダイオードは、他の半導体デバイスの、多くの有利な特性を共有する。これらは、一般的に、丈夫な物質の特性、長寿命、高い信頼性、および特定の材料に依存して一般的に低コストであることを含む。
【0005】
発光ダイオード、または少なくとも半導体の発光特性は、長年にわたって認識されてきた。1907年の刊行物(非特許文献1)は、炭化珪素を介して印加した電流は、観察されたが説明の出来ない光の放射を生成したことを報告した。LEDのより広範囲に広がった商業用の使用は、1970年代に、リン化ガリウム(GaP)およびヒ化リン化ガリウム(GaAsP)などのより小さなバンドギャップ材料から形成された、より低い周波数のLED(主として赤色または黄色)を組み入れたインジケータの種類の使用によって始まった。
【0006】
1990年代に、理論上の実現ではなく、商業用としての青色発光ダイオードの開発が、照明目的のためのLEDへの関心を大いに高めた。この点に関しては、「表示」は、自己発光の物体として観察される光源(例えば、電子機器上のインジケータライト)を指し、一方で、「照明」は、他の物体によって反射された光の中のそれらの物体を観察するために用いられる光源(例えば、室内照明またはデスクランプ)を指す。National Lighting Product Information Program、http://www.lrc.rpi.edu/programs/NLPIP/glossary.asp(2006年12月)を参照されたい。
【0007】
発光ダイオードは、インジケータ目的のために幅広く受け入れられてきたが、発光ダイオードの照明のための可能性のある使用は、室内および室外の照明具、バックライティング(例えば、ディスプレイのために)、携帯照明具(例えば、懐中電灯)、商業用照明、信号、建築および景観への適用、ならびに、娯楽および宣伝用の設置などを含む。
【0008】
青色発光ダイオードの利用可能性は、相応じて白色光を生成するための少なくとも2つの技術に対する機会を提供する。第1の技術において、青色LEDは、赤色および緑色のLEDとともに用いられることによって、その組み合わせが、白色光を形成し、または、フルカラーディスプレイのように、3原色の任意の他の組み合わせを形成し得る。
【0009】
商業的に幅広く受け入れられてきた第2の技術において、青色発光ダイオードは、黄色発光蛍光体、すなわちLEDによって放射された青色光を吸収し、該青色光を変換し、かつ黄色光として放射する蛍光体とともに、ランプの中で結合される。青色光と黄色光との組み合わせは、多くの照明の環境において有用な白色光の色調を生成する。
【0010】
柔軟に用いられているが、単語「ダイオード」(または、「発光ダイオード」)が、p−n接合を含む基本的な半導体構造に、最も相応しく適用される。用語「ランプ」が、最も相応しく適用されるものは、ダイオードが、該ダイオードを回路に接続し得る電極に取り付けられており、また、ダイオードが周囲の環境にさらされることを防ぎ、光の出力を増加し方向付けることを促進するポリマーレンズ内にある、パッケージングされたデバイスである。それにもかかわらず、用語「LED」が、より正確にはランプなどを指し得るパッケージングされたダイオードを指すために頻繁に用いられ、その逆も同じである。一般的に、該用語の意味は、文脈において明らかである。
【0011】
青色周波数は、可視スペクトル内で最も高いエネルギーを表す(赤色周波数が最も低い)ので、該青色周波数は、相対的に高いエネルギーの再結合イベントによって生成されなくてはならない。これは、今度は半導体材料が相対的に広いバンドギャップを有することを要求する。従って、青色発光ダイオードに対する候補の材料、故に白色発光LEDランプに対する候補の材料は、炭化珪素(SiC)、III族の窒化物(例えば、GaN)、およびダイヤモンドを含む。これらの直接的な放射源特性のために、青色発光ダイオードにおける最も大きな関心は、III族の窒化物材料、例えば窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、および窒化インジウムガリウム(InGaN)に集中する。
【0012】
しかし、照明は、表示を行うことよりもより高い量の光の出力を必要とする傾向がある。この点においては、あらゆる所与の時間においてダイオードによって生成される個々の光子の数は、ダイオードにおいて生成される再結合イベントの数に依存し、通常は、光子の数は、再結合イベントの数よりも少ない(すなわち、全てのイベントが光子を生成するわけではない)。今度は逆に、再結合イベントの数は、ダイオードにわたって印加される電流の量に依存する。再び述べると、再結合の数は、通常は接合にわたって導入される電子の数よりも少ない。故に、これらの電子特性は、ダイオードの外部出力を低減し得る。
【0013】
加えて、光子が生成されるときには、該光子も、観察者によって知覚されるためにダイオードおよびランプから離れなくてはならない。大半の光子は、困難なくランプから離れるが、多くの周知の要因が、光子が離れることを妨げるように作用し、そのことが、結果的にLEDランプの外部出力を低減させ得る。これらは、光子が放射されるのではなく、再び吸収されるまで内部反射を含む。ダイオードにおける材料間の屈折率もまた、放射される光子の方向を変化させ、光子を、光子を吸収する物質に到達させ得る。同一の結果が、蛍光体によって放射された黄色の光子についても起こり得る。LEDランプにおいて、そのような「物質」は、基板、パッケージングの部品、金属接触層、および光子がランプから出ていくことを妨げる、他のあらゆる材料または要素を含み得る。
【0014】
さらに、光を放射することに加えて、エピタキシャル層はまた、入ってくる光を吸収する(同じ量子力学の一部の理由による)。故に、一般的および相対的な観点から、量子井戸は、窒化ガリウムのp型エピタキシャル層よりも多くの光を再吸収し、窒化ガリウムのp型層は、窒化ガリウムのn型エピタキシャル層よりも多くの光を再吸収する。
【0015】
今日まで、大きなIII族の窒化物の結晶の、塊の結晶の成長は、依然として困難である。従って、LEDにおいてp−n接合を生成する、薄くて高品質のエピタキシャル層を形成するためには、III族の窒化物材料が、通常は基板上に成長しなくてはならない。一部の構造におけるように、基板が、結果として発光ランプの一部として残存するときには、該基板は、接合によって放射された光子を吸収する、1つ以上の機会を提供し得、故に、ダイオード全体の外部量子効率を低減させる。
【0016】
ほとんどのダイオードパッケージのレンズまたはカプセル化部分は、通常は低屈折率のエポキシ樹脂から形成されるが、これらの樹脂は、一般的にIII族窒化物ベースのダイオードの高周波数の放射が存在するところでは、劣化しやすい。加えて、多くのパッケージは目下、ミラー層(例えば、同一人に譲渡され、同時係属出願の、2005年3月17日に出願された米国特許出願第11/082,470号であり、現在は特許文献1として公開されている)を含み、該ミラー層は、次いでさらに鏡のような放射を生成する。ランベルティアンパターンが所望される場合には、一部の種類の拡散器が、ミラーの反射の特徴を低減させるために含まれなくてはならない。しかし、拡散器が存在すると、ダイオードランプの全体的な効率が下がる。さらに、ダイオードを製造するために一般的に便利な基板は、「暗く」なる傾向にあり、すなわち、基板は、ダイオードによって生成された光子の特定の割合を吸収する。そのような吸収は、ダイオードランプの外部量子効率を同様に減少させる。
【0017】
発光ダイオードは、通常は、さまざまな材料の複数の層を含む。結果的に、活性部分から放射される光は、通常は、ダイオードから出る前に、そのような層の1つ以上を通過するか、または横切らなくてはならない。加えて、ダイオードがランプとしてパッケージングされるときには、ダイオードから離れていく光は、レンズ材料に入り、通過し、かつ出なくてはならない。これらの状況のそれぞれにおいて、スネルの法則が規定することは、光子は、1つの材料から次の材料へと通過する際に、屈折されるということである。屈折される光子の量は、2つの材料の屈折率の間の差、および光が界面に達する入射角に依存する。
【0018】
ダイオードまたはダイオードランプにおいて、一部の反射光は、それでもダイオードの他の一部の位置から逃げるが、特定の割合の光は、完全に内部反射され、ダイオードまたはダイオードランプから出ることは決して無く、故に、ダイオードおよびダイオードを含むあらゆるランプの外部量子効率を機能的に減少させる。出て行く光子の割合における個々の減少量は、相対的に小さく見え得るが、累積的な効果は顕著であり、それが無ければ非常に類似するダイオードは、これらの小さな割合の損失からさえももたらされる、明白に異なる性能効率を有し得る。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0060874号明細書
【非特許文献1】H.J.Round、Electrical World 49、309
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、発光ダイオードおよびダイオードランプの外部効率を増す、継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一局面において、本発明は、発光ダイオードであり、該発光ダイオードは、透明キャリア基板上にp型III族窒化物層とn型III族窒化物層と、p型III族窒化物層およびn型III族窒化物層に対するそれぞれのオーム接触を含み、該透明キャリア基板は、該キャリア基板に隣接するIII族窒化物層よりも低い屈折率を有する。
【0021】
さらに別の局面において、本発明は、発光ダイオードを形成する方法である。該方法は、適合性のある基板上にIII族窒化物のp型層およびn型層をそれぞれ形成するステップと、該適合性のある基板をIII族窒化物エピタキシャル層から分離するステップと、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明基板に、該III族窒化物エピタキシャル層を接合するステップとを包含する。
【0022】
さらに別の局面において、本発明は、反射器と該反射器上の発光ダイオードとを含む、発光ダイオードランプである。該ダイオードは、透明キャリア基板上に少なくともn型III族窒化物層およびp型III族窒化物層のそれぞれを含む発光ダイオードであって、該透明キャリア基板は、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する。カプセル用材料は、発光ダイオードを覆い、該カプセル用材料は、透明基板の屈折率の0.2の範囲内の屈折率を有する。
【0023】
本発明の前述および他の利点、ならびに本発明が達成される方法は、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な記述に基づいて明らかとなる。
【0024】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0025】
(項目1)
発光ダイオードであって、
透明キャリア基板上にp型III族窒化物層とn型III族窒化物層とを含み、
該透明キャリア基板は、該基板に隣接する該III族窒化物層よりも低い屈折率を有する、
発光ダイオード。
【0026】
(項目2)
上記III族窒化物層に上記透明基板を接合する透明接着剤層をさらに含み、該透明接着剤は、該III族窒化物層よりも低い屈折率を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0027】
(項目3)
上記透明接着剤は、1.35と1.65との間の屈折率を有し、スペクトルの紫外線部分、青色部分および緑色部分における電磁放射に対して光化学的に安定しており、少なくとも約100℃の温度において熱的に安定している、項目2に記載の発光ダイオード。
【0028】
(項目4)
上記p型III族窒化物層および上記n型III族窒化物層に対するそれぞれのオーム接触をさらに含む、項目1に記載の発光ダイオード。
【0029】
(項目5)
上記キャリア基板の屈折率の約0.2の範囲内の屈折率を有するカプセル用材料をさらに含む、項目3に記載の発光ダイオード。
【0030】
(項目6)
上記透明接着剤は、ポリシロキサン接着剤を含む、項目3に記載の発光ダイオード。
【0031】
(項目7)
上記透明接着剤は、ビスベンゾシクロブテンベース樹脂を含む、項目3に記載の発光ダイオード。
【0032】
(項目8)
上記透明キャリア基板は、石英、融解石英、ガラスおよびサファイアから成る群から選択される、項目1に記載の発光ダイオード。
【0033】
(項目9)
上記n型III族窒化物層は、上記基板上にあり、上記p型III族窒化物層は、該n型層上にある、項目4に記載の発光ダイオード。
【0034】
(項目10)
上記n型層と上記キャリア基板との間にレンズ形の界面を含む、項目9に記載の発光ダイオード。
【0035】
(項目11)
上記n型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
上記p型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
上記ダイオードは、該p型窒化ガリウム層と該n型窒化ガリウム層との間にIII族窒化物活性部分をさらに含む、項目9に記載の発光ダイオード。
【0036】
(項目12)
上記活性部分は、量子井戸、多重量子井戸、超格子、単一ヘテロ構造、および二重へテロ構造から成る群から選択される、項目11に記載の発光ダイオード。
【0037】
(項目13)
上記p型窒化ガリウム層に対する上記オーム接触は、少なくとも約70パーセントの透過率を有し、該p型層の大半部分を覆う、項目9に記載の発光ダイオード。
【0038】
(項目14)
上記p型窒化ガリウム層に対する上記オーム接触は、約90〜100パーセントの透過率を有し、該p型層の大半部分を覆う、項目9に記載の発光ダイオード。
【0039】
(項目15)
上記p型窒化ガリウム層に対する上記オーム接触は、酸化インジウムスズを含む、項目9に記載の発光ダイオード。
【0040】
(項目16)
上記p型オーム接触に対する第1のボンドパッドと、上記n型オーム接触に対する第2のボンドパッドとをさらに含む、項目13に記載の発光ダイオード。
【0041】
(項目17)
上記ボンドパッドのうちの少なくとも1つは、上記オーム接触に隣接する反射面を有することによって、該ボンドパッドからの光を反射し、該ボンドパッドが光を吸収することを防止する、項目16に記載の発光ダイオード。
【0042】
(項目18)
上記半透明オーム接触と上記p型III族窒化物層との間にレンズ形の界面を含む、項目13に記載の発光ダイオード。
【0043】
(項目19)
上記n型III族窒化物層と上記低屈折率透明基板との間の界面の反対側の、該低屈折率透明基板上にレンズ形の表面を含む、項目9に記載の発光ダイオード。
【0044】
(項目20)
上記p型III族窒化物層は、光の抽出を増加させるレンズ形の表面を有し、上記オーム接触は、該レンズ形の表面に実質的に一致する、項目9に記載の発光ダイオード。
【0045】
(項目21)
上記半透明p型オーム接触は、上記p型オーム接触と上記p型窒化ガリウム層との間の界面の反対側にレンズ形の表面を有する、項目9に記載の発光ダイオード。
【0046】
(項目22)
上記III族窒化物層と上記低屈折率透明基板との間の界面と、
上記p型オーム接触と上記p型層との間の界面と、
上記p型III族窒化物層の表面と、
上記n型III族窒化物層の表面と、
該p型オーム接触の表面と、
該III族窒化物層の反対側の上記基板の表面と、
これらのレンズ形の表面の組み合わせと
から成る群から選択されるレンズ形の表面を含む、項目9に記載の発光ダイオード。
【0047】
(項目23)
発光ダイオードであり、
キャリア基板上のp型III族窒化物層であって、該キャリア基板は、該p型III族窒化物の屈折率よりも低い屈折率を有する、p型III族窒化物層と、
該p型III族窒化物層上のn型III族窒化物層と、
該透明基板を該III族窒化物層に接合する透明接着剤層であって、該透明接着剤はIII族窒化物よりも低い屈折率を有する、透明接着剤層と、
該p型III族窒化物層に対するオーム接触と、
該n型III族窒化物層に対するオーム接触と
を備えている、発光ダイオード。
【0048】
(項目24)
上記p型オーム接触に対するボンドパッドと上記n型オーム接触に対するボンドパッドとをさらに含む、項目23に記載の発光ダイオード。
【0049】
(項目25)
上記オーム接触のうちの少なくとも1つは、上記低屈折率透明基板に向いている反射面を含む、項目23に記載の発光ダイオード。
【0050】
(項目26)
上記接着剤は、1.35と1.65との間の屈折率を有する、項目23に記載の発光ダイオード。
【0051】
(項目27)
上記接着剤は、ポリシロキサンを含む、項目23に記載の発光ダイオード。
【0052】
(項目28)
上記接着剤は、ビスベンゾシクロブテンベース樹脂を含む、項目23に記載の発光ダイオード。
【0053】
(項目29)
上記p型オーム接触は、半透明である、項目23に記載の発光ダイオード。
【0054】
(項目30)
上記p型オーム接触は、酸化インジウムスズである、項目23に記載の発光ダイオード。
【0055】
(項目31)
上記p型オーム接触は、上記p型III族窒化物層の間に配置され、上記低屈折率透明接着剤は、該p型III族窒化物層の全てを実質的に覆う、項目29に記載の発光ダイオード。
【0056】
(項目32)
上記p型層に対する上記オーム接触は、該p型層と上記低屈折率透明基板との間にあり、
上記p型オーム接触は、該低屈折率透明基板に隣接したレンズ形の表面を有する、項目23に記載の発光ダイオード。
【0057】
(項目33)
上記n型III族窒化物層は、上記ダイオードの面を形成し、該n型III族窒化物層は、光の抽出を増加させるレンズ形の表面を有する、項目23に記載の発光ダイオード。
【0058】
(項目34)
上記p型層は、上記低屈折率透明基板を向いているレンズ形の表面を有し、
上記低屈折率透明接着剤は、該低屈折率透明基板の反対側にレンズ形の面を有し、
上記p型オーム接触は、該p型層と該低屈折率透明接着剤との間にあり、該各レンズ形の面のそれぞれに一致する、項目23に記載の発光ダイオード。
【0059】
(項目35)
上記低屈折率透明基板の反対側の上記n型層の表面と、
該低屈折率透明基板と上記エピタキシャル層との間の界面と、
該エピタキシャル層の反対側の該低屈折率透明基板の表面と、
上記p型オーム接触に隣接する上記p型III族窒化物層の表面と、
これらのレンズ形の表面の組み合わせと
から成る群から選択されるレンズ形の表面を含む、項目23に記載の発光ダイオード。
【0060】
(項目36)
上記n型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
上記p型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
上記ダイオードは、該p型窒化ガリウム層と該n型窒化ガリウム層との間にIII族窒化物活性部分をさらに含む、項目23に記載の発光ダイオード。
【0061】
(項目37)
上記活性部分は、量子井戸、多重量子井戸、超格子、単一ヘテロ構造、および二重へテロ構造から成る群から選択される、項目36に記載の発光ダイオード。
【0062】
(項目38)
発光ダイオードを形成する方法であって、
適合性のある基板上にIII族窒化物のp型層およびn型層をそれぞれ形成することと、
該適合性のある基板をIII族窒化物エピタキシャル層から分離することと、
隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明基板に、該III族窒化物エピタキシャル層を接合することと
を包含する、方法。
【0063】
(項目39)
低屈折率透明接着剤を用いて、上記エピタキシャル層に上記透明基板を接合することをさらに含む、項目38に記載の方法。
【0064】
(項目40)
上記透明基板に上記エピタキシャル層を接合するステップは、該層を、石英、融解石英、ガラスおよびサファイアから成る群から選択される基板に接合することを含む、項目38に記載の方法。
【0065】
(項目41)
上記層から上記適合性のある基板を除去する前に、上記p型III族窒化物層と上記n型III族窒化物層との間に多重量子井戸構造を加えることをさらに含む、項目38に記載の方法。
【0066】
(項目42)
上記適合性のある基板上に、それぞれ窒化ガリウムのp型層およびn型層を成長させることを含む、項目38に記載の方法。
【0067】
(項目43)
炭化珪素基板上に、それぞれ窒化ガリウムのp型層およびn型層を成長させることを含む、項目42に記載の方法。
【0068】
(項目44)
約1.35と1.6との間の屈折率を有する透明接着剤を用いて上記エピタキシャル層に上記基板を接合することを含む、項目39に記載の方法。
【0069】
(項目45)
ポリシロキサンの接着剤を用いて上記エピタキシャル層に上記基板を接合することを含む、項目39に記載の方法。
【0070】
(項目46)
ビスベンゾシクロブテンベースの接着剤を用いて上記エピタキシャル層に上記基板を接合することを含む、項目39に記載の方法。
【0071】
(項目47)
LEDランプであって、
透明キャリア基板上に少なくともn型III族窒化物層およびp型III族窒化物層のそれぞれを含む発光ダイオードであって、該透明キャリア基板は、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する、発光ダイオードと、
該III族窒化物層と該透明キャリア基板との間の透明接着剤であって、該透明接着剤は、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する、透明接着剤と、
該発光ダイオードを覆うカプセル用材料であって、該カプセル用材料は、該透明基板の屈折率の0.2の範囲内の屈折率を有する、カプセル用材料と
を備えている、LEDランプ。
【0072】
(項目48)
上記ダイオードは、反射器上に配置される、項目47に記載のLEDランプ。
【0073】
(項目49)
上記カプセル用材料は、上記透明基板の屈折率の0.1の範囲内の屈折率を有する、項目47に記載のLEDランプ。
【0074】
(項目50)
上記カプセル用材料は、上記透明基板の屈折率よりも高い屈折率を有する、項目47に記載のLEDランプ。
【0075】
(項目51)
上記カプセル用材料の中に蛍光体をさらに含む、項目47に記載のLEDランプ。
【0076】
(項目52)
上記蛍光体は、セシウムドーピングされたYAGを含む、項目51に記載のLEDランプ。
【0077】
(項目53)
上記透明基板は、1.35と1.65との間の屈折率を有する、項目47に記載のLEDランプ。
【0078】
(項目54)
上記透明接着剤は、1.35と1.65との間の屈折率を有する、項目47に記載のLEDランプ。
【0079】
(項目55)
上記透明接着剤は、ポリシロキサン接着剤とビスベンゾシクロブテンベース接着剤とから成る群から選択される、項目54に記載のLEDランプ。
【0080】
(摘要)
透明キャリア基板上にp型III族窒化物層とn型III族窒化物層とを含む発光ダイオードであって、該透明キャリア基板は、該基板に隣接するIII族窒化物層よりも低い屈折率を有する、発光ダイオードが開示される。透明接着剤層が、III族窒化物層に透明基板を接合し、該透明接着剤は、III族窒化物層よりも低い屈折率を有する。該ダイオードは、p型III族窒化物層およびn型III族窒化物層に対するそれぞれのオーム接触を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
本発明は、発光ダイオードであり、その第1の実施形態は、図1において、概して10で表される。基本的な実施形態において、ダイオードは、透明キャリア基板13上にp型III族窒化物層11およびn型III族窒化物層12を含み得、該透明キャリア基板は、キャリア基板13に隣接するIII族窒化物層(図1ではn型層12)よりも低い屈折率を有する。
【0082】
低屈折率の透明キャリア基板は、通常は約1.35と1.65との間の屈折率を有する。ダイオードのキャリア基板に有用である代表的な材料は、限定的にではなく、石英、融解石英、およびガラスを含む。サファイアも、透明キャリア基板として用いられ得るが、約1.8という僅かに高い屈折率を有する。用語「透明」は、当該分野において一般的に周知であるが、代表的な透明キャリア基板は、少なくとも約70%の入射光を透過し、好適には、ダイオードの活性部分によって生成された、関連する周波数の入射光の約90〜100パーセントを透過する。
【0083】
言い換えると、基板の屈折率をカプセル用材料の屈折率に整合させることによって、本発明は、基板からカプセル用材料への光の透過を向上させ、故に外部量子効率を向上させる。
【0084】
従来、ガラスなどの非晶質材料は、エピタキシャル層の成長にはあまり有利ではないと考えられており、従来の考えの結果として、ガラスをエピタキシャル層のための成長物質として用いることは、避けられてきた。所望の場合に、そして、材料が他のどのような状況においても本発明の他の要素の構造および機能と適合性がある場合には、キャリア基板は、例えば光を有利に散乱または拡散させるために含まれるような、蛍光体または他の粒子を含み得る。さらに、本明細書において、単一の要素として記述されるが、キャリア基板は単一の層として限定されず、本発明の構造および機能の条件を満たす場合には、多層構造であり得る。
【0085】
しかし、本発明の例示的な実施形態において、そして、製造方法に関して本明細書で後に論じられるように、基板は、11および12の層が成長する層を表すものではない。その代わりに、所望の光学的性質を有するキャリア13基板が、層14として模式的に図示される低屈折率の透明接着剤によって、エピタキシャル層11および12に接合される。
【0086】
本明細書において用いられる場合、用語「キャリア基板」は、エピタキシャル層が最初に成長した基板以外の基板を指す。当業者に公知のように、半導体エピタキシャル層は、そのような成長に対して最も敏感に反応する、適合性のある基板上で最良に成長する。典型的な因子は、良好な格子整合、熱膨張の係数、成長基板とエピタキシャル層との間の化学的な適合性、および化学蒸着(CVD)成長温度での安定性を含む。
【0087】
多くの理由のために、一旦エピタキシャル層が成長すると、該エピタキシャル層は、成長基板から除去され得、キャリア基板上に配置され得る。そのような理由は、限定的にではなく、成長基板が有した屈折率よりもより所望の屈折率を有する、最終的な構造の基板を有することへの希望を含む。
【0088】
フリップチップの実施形態(すなわち、基板が、最終的なダイオードの放射面を形成する実施形態)において、または成長基板がキャリア基板と取り替えられる実施形態において、一部の成長基板は、エピタキシャル層のうちの1つに隣接して残留物として留まり得るが、通常は留まらない。他の場合において、キャリア基板は、成長基板と同一の材料であり得るが、成長基板が除去された後にエピ層に加えられ得る。
【0089】
キャリア基板をダイオードの活性部分(通常はエピタキシャル層)に接合させる低屈折率透明接着剤は、約1.35と1.65との間の屈折率を有し、スペクトルの紫外線部分、青色部分および緑色部分の中の電磁放射に対して光化学的に安定しており、また、少なくとも約100℃の温度において熱的に安定している。
【0090】
この基準を満たし、同様にダイオードの他の部分へのあらゆる望ましくない反応または拒否的な効果を避ける接着剤が、キャリア基板13をエピタキシャル層11および12に接合させるために受け入れられる。この基準を満たす一連の材料は、ポリシロキサン組成物であり、これは、しばしば「シリコーン」と呼ばれる。ポリシロキサンは、UVおよび高エネルギー可視領域において高い光透過率を有し、約1.38〜1.62の範囲内で所望の屈折率を有するように調整され得、優秀な光熱的な安定性を有し、処理を容易にする種々の技術で硬化され得、高い純度で入手可能であり、ゲルから硬質樹脂までの硬さの範囲で硬化され得る。そのようなポリシロキサンは、数多くのソースから入手可能であり、一般的に当該分野において周知であり、本明細書において詳細には記述されない。
【0091】
接着剤の他の候補となる材料は、ビスベンゾシクロブテンベース(「BCB」)の樹脂を含み、該樹脂の見本は、Dow Chemical、Midland、Michigan 48674、USAからCYCLOTENEの銘柄の下で入手可能である。これらのBCB樹脂は、ハイソリッドで低粘度の溶液として配合され、有利な電子的特性および機械的特性を有する。可視の波長において、BCB樹脂は、約1.62(400ナノメートルで)から約1.55(800ナノメートルで)の範囲の屈折率を有する。従って、BCB樹脂は、本明細書において記述される透明キャリア基板と良好に整合する。
【0092】
ダイオード10は、n型層12がキャリア基板13に隣接している実施形態を表す。これは、p型層11を、ダイオード10の面のより近くに配置する。従って、n型層12に対するオーム接触は、15で表され、p型層11に対するオーム接触は、16で表される。オーム接触の各々は、それぞれのボンドパッド17および20を含み得る。なぜならば、多くの状況において、最良のオーム接触を構成する金属は、回路の残りの部分または他のデバイスへの最良の接触を構成する金属とは異なるからである。
【0093】
例示的な実施形態において、ダイオード10は、多重量子井戸21などの活性部分をさらに含むか、あるいは単一または二重のヘテロ構造などの別の放射構造をさらに含み得る。これらの構造は、一般的に当該分野において周知であり、本明細書においてさらに詳細には記述されない。
【0094】
例示的な実施形態において、p型層11およびn型層12は、窒化ガリウム(GaN)から形成され、多重量子井戸21は、窒化ガリウムと窒化インジウムガリウム(InGaN)との交互の層から形成される。当該分野において周知のように、InGaN(すなわちInGa1−xN)の中のインジウムの原子分率を調節することは、特定の程度、すなわちあまり安定しない窒化物を形成するインジウムの量を増加させる傾向に対して事実上平衡を保つ要素までダイオードの放射周波数を調整し得る。
【0095】
p型窒化ガリウムは、n型窒化ガリウムよりもより抵抗性を有する傾向にあるので、p型層11に対するオーム接触16は、p型層11を介する電流の流れを向上させるために、一般的には相対的に大きい。接触16は相対的に大きいので、本発明において、該接触は、少なくとも約70パーセント、また好適には90〜100パーセント程の透過率を有するように形成される。従って、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化化合物は、この目的のために有用である。本明細書において用いられる場合、透過率は、パーセントで表される、物体に到達する光の強度と、最初の光が物体を通過した後に現われる光の強度との差を指す。
【0096】
図2から図5は、n型層12が低屈折率透明キャリア基板13に隣接する、実施形態の追加の特徴を図示する。適切な場合には、さまざまな図面における同様の要素は、同様の参照番号を有する。
【0097】
図2は、n型層12と接着層14との間にレンズ形の表面24または界面を含む実施形態を図示する。加えて、オーム接触15または16のいずれか、あるいはボンドパッド17または20は、オーム接触15または16に隣接する反射面22または23を含むことによって、ボンドパッドから離れるように光を反射させ、ボンドパッド17または20が光を吸収することを防止し得る。
【0098】
光を吸収し、故に外部量子効率を低減させる傾向にある、ダイオードの中の全てのアイテムのうちで、ボンドパッドは、最も高い吸収を示す。従って、ほとんどの状況の中で、エピタキシャル層に戻ってくる反射光は望ましくないが、エピタキシャル層は、ボンドパッドよりも多くの光を逃がす。結果的に、ボンドパッドからの反射光は、反射光がエピタキシャル層に戻るとしても、ほぼ常に望ましい。
【0099】
用語「レンズ形」は、相対的に幅広い意味で用いられ、同一人に譲渡され、同時係属出願の、2006年7月31日出願、米国特許出願第11/461,018号(米国特許出願公開第2006/0060874号「Method of Forming 3D Features for Improved Light Extraction」)などに明らかにされるような、慎重にパターニングされた表面の特徴を含み、かつ、同一人に譲渡され、同時係属出願の2006年1月30日に出願された米国特許出願第11/343,180号(米国特許出願公開第2006/0186418号)に記述される、よりランダムに生成される特徴を含む。これらの出願のそれぞれの内容は、本明細書においてその全体が参照として援用される。
【0100】
一般的に、光は、より低い屈折率の材料からより高い屈折率の材料へと容易に移動する傾向がある。従って、光がIII族窒化物層などの高屈折率材料からキャリア基板などの低屈折率材料に進むことを予期することは、反直観的であり得る。
【0101】
この理由のために、光がより高い屈折率の材料からより低い屈折率の材料へと移動するときには、(幾何学的に構成されていても、化学的に発達されていても)レンズ形の表面または界面は、より大きな利点を提供する傾向にある。不利ではないが、界面のそれぞれの側の材料の屈折率がおおよそ同じであるか、光が低屈折率材料から高屈折率材料へと移動するときには、レンズ形の表面は、目立った効果をそれほど有していない。故に、一般的に、レンズ形の界面は、より高い屈折率の材料からより低い屈折率の材料への光の透過を向上させ、結果として、該レンズ形の界面は、III族窒化物エピタキシャル層と低屈折率のキャリア基板との間に、ほぼ常に好まれる。
【0102】
従って、本発明は、所望の光の抽出の方向に最も好ましい位置でレンズ形の表面を用いることによって、高い界面から低い界面にわたる光の移動を向上させる機会を提供する。勿論、これは、パッケージングを含む多くの設計の要因に依存し得る。故に、レンズ形の表面のための好ましい位置は、絶対的なものではなく、むしろ所与の状況における所与のダイオードからの光の抽出を向上させるように選択される。
【0103】
しかし、本発明は、レンズ形の表面の組み込みに限定されない。なぜならば、キャリア基板の屈折率をカプセル用材料の屈折率に整合させることは、それだけで有利であるからである。部分的な要旨として述べると、エピタキシャル層から透明基板への光の移動を(例えば、レンズ形の表面を用いて)向上させることは、ダイオードの外部効率を向上させる。基板の屈折率をカプセル用材料(レンズ)の屈折率に整合させることは、同様に基板からカプセル用材料への光の移動を向上させ、故に、ダイオードの外部効率を向上させる。両方を行うこと、すなわちエピタキシャル層から基板への光の移動を増加させることと、基板およびカプセル用材料の屈折率を整合させることとは、さらにダイオードの外部効率を向上させる。
【0104】
図3は、p型層11に対するオーム接触16がレンズ形の表面を保持する、概して、25で表されるダイオードの実施形態を図示する。
【0105】
図4は、オーム接触16とp型層11との両方がレンズ形のパターンを保持する、概して、27で表されるダイオードの実施形態を図示する。図4はまた、これらの実施形態のいずれにおいても、エピタキシャル層11および12の反対側のキャリア基板13の表面26が、同様にレンズ形の表面レンズ形のパターンを保持し得ることを図示する。同様にして、そして図4には特に図示されていないが、基板13の頂部面は、同様にレンズ形の表面を含み得る。
【0106】
図5は、p型層11に対するオーム接触16がダイオードの面を形成する平面を有するが、オーム接触16とp型層11との間にレンズ形の界面を伴う、概して、30で表されるダイオードの別の実施形態を図示する。
【0107】
図6および図7は、p型層が、低屈折率透明キャリア基板の上にある、本発明の代替的な実施形態を図示する。記述の主張として、本明細書において用いられる場合、用語「上」は、複数の層の間の関係を指し、必ずしも該複数の層が直接的に接触していることに限定されない。故に、一部の文脈において、「上」という言葉はまた、「より上」、または「隣接した」ということをも意味し得る。いずれの場合においても、その意味は、一般的に文脈で明らかである。
【0108】
従って、図6は、概して、32で表されるダイオードを図示する。n型層33は、ダイオード32の面を形成し、p型層34は、再び13で表される低屈折率透明キャリア基板上にある。図6は、多重量子井戸35と、n型層33に対するオーム接触36と、p型層34に対する(先に説明した理由のために)大きいオーム接触37とを図示する。図6はまた、キャリア基板13とエピタキシャル層33および34との間の低屈折率接着層40を図示する。特に、接着層40は、p型接触37とキャリア基板13との間に配置される。
【0109】
第1のボンドパッド41は、n型層33に対するオーム接触36を覆い、第2のボンドパッド42は、p型オーム接触37と接触している。図6はまた、pオーム接触と接着剤との間の界面がレンズ形であり得るか、接着剤とキャリア基板13との間の界面がレンズ形であり得るか、あるいは両方の界面がレンズ形であり得ることを(点線を用いて)図示する。
【0110】
図7は、44で図示される、本発明に従ったダイオードの別の実施形態である。図7は、p型層34が透明な低屈折率キャリア基板13に最も近接しているという点で、図6に類似している。図7において、n型層33は、レンズ形の表面45を保持する。多重量子井戸は再び35で表され、III族窒化物エピタキシャル層33および34は、通常は窒化ガリウムである。図7は、p型層34とオーム接触37との間の界面の両方がレンズ形であり、また、オーム接触37と接着剤40との間の界面がレンズ形であり、それらの界面が本質的にオーム接触37のためのレンズ形の輪郭を生成している実施形態を図示する。
【0111】
他の実施形態にあるように、デバイスの他の部分もまた、他の図面に関して記述された方法で、レンズ形の表面を含み得る。
【0112】
図7はまた、n型層33に対するオーム接触36と、オーム接触36に対するボンドパッド41と、オーム接触37に対するボンドパッド42とを図示する。
【0113】
図8は、50で広く表される発光ダイオードランプに関連した本発明を図示する。該ランプは、発光ダイオード52に対する1つの電極を形成する反射器51を含む。他の実施形態にあるように、ダイオード52は、III族窒化物層および低屈折率透明キャリア基板を含む。第2の電極53およびそれぞれのワイヤ54および57は、当該分野において他の場合に周知の方法で、ダイオード52への電気的な接続を完成させる。カプセル用材料のレンズ55は、発光ダイオード52を覆い、通常は反射器51および電極53をも覆う。この実施形態において、カプセル用材料55は、透明キャリア基板の屈折率の0.2の範囲内の屈折率を有する。前に参照されたポリシロキサン組成物はまた、カプセル用材料55に適した材料でもある。
【0114】
図8は、高エネルギーの発光ダイオードに対する多くの通例の実施形態において、ランプ50が蛍光体56を含むことを図示する。そのような実施形態において、ダイオード50の中のIII族窒化物材料は、可視スペクトルの青色部分において放射し、蛍光体56は、ダイオード52によって放射された青色周波数に応答して、可視スペクトルの黄色部分において放射するように選択される。セシウムドーピングされたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)が、この目的に一般的に適っている。
【0115】
図8において、蛍光体56は、点から成る楕円56として模式的に図示され、一般的にダイオード52の上に配置される。しかし、蛍光体56は、より正確に配置され得ること、そして、図8は、蛍光体の位置の正確な表現ではなく、むしろ模式的な表現であることが、理解される。同一人に譲渡された同時係属出願の2006年9月1日に出願された米国特許出願第60/824,385号「Phosphor Position in Light Emitting Diodes」は、有利な目的のために蛍光体が配置され得る、追加の位置を記述する。この出願の内容は、本明細書においてその全体が参照として援用される。
【0116】
さらに別の実施形態において、本発明は、発光ダイオードを形成する方法である。この実施形態において、本発明は、適合性のある基板上にIII族窒化物のそれぞれのp型層およびn型層を(通常はエピタキシャル成長によって)形成するステップを含む。炭化珪素(SiC)は、適合性のある基板として特に有用である。なぜならば、炭化珪素が、サファイアまたはシリコンなどの他の基板よりもIII族窒化物により近い格子整合を有するからである。しかし、本発明は、炭化珪素に限定されず、他の基板材料が格子整合以外の目的のために有利である場合には、そのような材料が、ダイオードの生成または完成したときの該ダイオードの機能に干渉しない場合には、組み入れられ得る。
【0117】
エピタキシャル層の成長に続いて、適合性のある基板は、III族窒化物エピタキシャル層から除去され、次にIII族窒化物エピタキシャル層は、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明キャリア基板に接合される。
【0118】
例示的な実施形態において、前述の低屈折率透明接着剤は、キャリア基板をエピタキシャル層に接合させるために用いられる。しかし、本発明は、低屈折率接着剤の使用に限定されるのではなく、他の技術が、本発明の構造および機能と調和する場合には、キャリア基板をエピタキシャル層に接合させるために用いられ得る。
【0119】
他の実施形態にあるように、低屈折率を有する透明キャリア基板は、石英、融解石英、ガラスおよびサファイアから成る群から選択される材料を含む。
【0120】
本明細書において記述された構造を生成するために、追加の特徴、例えば多重量子井戸、超格子、あるいは、単一または二重のヘテロ構造などが、最初の適合性のある基板上にそれぞれp型層およびn型層を成長させるステップの間に加えられ得る。
【0121】
図面および明細書において本発明の好適な実施形態が明らかにされ、特定の用語が用いられてきたが、該用語は、単に包括的および記述的な意味で用いられ、限定の目的で用いられたのではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1〜図5は、本発明の第1の実施形態における発光ダイオードの模式的な断面図である。
【図2】図1〜図5は、本発明の第1の実施形態における発光ダイオードの模式的な断面図である。
【図3】図1〜図5は、本発明の第1の実施形態における発光ダイオードの模式的な断面図である。
【図4】図1〜図5は、本発明の第1の実施形態における発光ダイオードの模式的な断面図である。
【図5】図1〜図5は、本発明の第1の実施形態における発光ダイオードの模式的な断面図である。
【図6】図6および図7は、本発明に従った発光ダイオードの、第2の実施形態の模式的な断面図である。
【図7】図6および図7は、本発明に従った発光ダイオードの、第2の実施形態の模式的な断面図である。
【図8】図8は、本発明に従ったLEDランプの断面の模式図である。
【符号の説明】
【0123】
10、53 発光ダイオード
11 p型III族窒化物層
12 n型III族窒化物層
13 キャリア基板
14 透明接着剤
15 n型層12に対するオーム接触
16 p型層11に対するオーム接触
17、20 ボンドパッド
21 多重量子井戸
22、23 反射面
50 発光ダイオードランプ
51 反射器
53 電極
54、57 ワイヤ
55 カプセル用材料
56 蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードであって、
透明キャリア基板上にp型III族窒化物層とn型III族窒化物層とを含み、
該透明キャリア基板は、該基板に隣接する該III族窒化物層よりも低い屈折率を有する、
発光ダイオード。
【請求項2】
前記III族窒化物層に前記透明基板を接合する透明接着剤層をさらに含み、該透明接着剤は、該III族窒化物層よりも低い屈折率を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記透明接着剤は、1.35と1.65との間の屈折率を有し、スペクトルの紫外線部分、青色部分および緑色部分における電磁放射に対して光化学的に安定しており、少なくとも約100℃の温度において熱的に安定している、請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記p型III族窒化物層および前記n型III族窒化物層に対するそれぞれのオーム接触をさらに含む、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記キャリア基板の屈折率の約0.2の範囲内の屈折率を有するカプセル用材料をさらに含む、請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記透明接着剤は、ポリシロキサン接着剤を含む、請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記透明接着剤は、ビスベンゾシクロブテンベース樹脂を含む、請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記透明キャリア基板は、石英、融解石英、ガラスおよびサファイアから成る群から選択される、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記n型III族窒化物層は、前記基板上にあり、前記p型III族窒化物層は、該n型層上にある、請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記n型層と前記キャリア基板との間にレンズ形の界面を含む、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記n型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
前記p型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
前記ダイオードは、該p型窒化ガリウム層と該n型窒化ガリウム層との間にIII族窒化物活性部分をさらに含む、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記活性部分は、量子井戸、多重量子井戸、超格子、単一ヘテロ構造、および二重へテロ構造から成る群から選択される、請求項11に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記p型窒化ガリウム層に対する前記オーム接触は、少なくとも約70パーセントの透過率を有し、該p型層の大半部分を覆う、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記p型窒化ガリウム層に対する前記オーム接触は、約90〜100パーセントの透過率を有し、該p型層の大半部分を覆う、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
前記p型窒化ガリウム層に対する前記オーム接触は、酸化インジウムスズを含む、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
前記p型オーム接触に対する第1のボンドパッドと、前記n型オーム接触に対する第2のボンドパッドとをさらに含む、請求項13に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記ボンドパッドのうちの少なくとも1つは、前記オーム接触に隣接する反射面を有することによって、該ボンドパッドからの光を反射し、該ボンドパッドが光を吸収することを防止する、請求項16に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
前記半透明オーム接触と前記p型III族窒化物層との間にレンズ形の界面を含む、請求項13に記載の発光ダイオード。
【請求項19】
前記n型III族窒化物層と前記低屈折率透明基板との間の界面の反対側の、該低屈折率透明基板上にレンズ形の表面を含む、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項20】
前記p型III族窒化物層は、光の抽出を増加させるレンズ形の表面を有し、前記オーム接触は、該レンズ形の表面に実質的に一致する、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項21】
前記半透明p型オーム接触は、前記p型オーム接触と前記p型窒化ガリウム層との間の界面の反対側にレンズ形の表面を有する、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項22】
前記III族窒化物層と前記低屈折率透明基板との間の界面と、
前記p型オーム接触と前記p型層との間の界面と、
前記p型III族窒化物層の表面と、
前記n型III族窒化物層の表面と、
該p型オーム接触の表面と、
該III族窒化物層の反対側の前記基板の表面と、
これらのレンズ形の表面の組み合わせと
から成る群から選択されるレンズ形の表面を含む、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項23】
発光ダイオードであり、
キャリア基板上のp型III族窒化物層であって、該キャリア基板は、該p型III族窒化物の屈折率よりも低い屈折率を有する、p型III族窒化物層と、
該p型III族窒化物層上のn型III族窒化物層と、
該透明基板を該III族窒化物層に接合する透明接着剤層であって、該透明接着剤はIII族窒化物よりも低い屈折率を有する、透明接着剤層と、
該p型III族窒化物層に対するオーム接触と、
該n型III族窒化物層に対するオーム接触と
を備えている、発光ダイオード。
【請求項24】
前記p型オーム接触に対するボンドパッドと前記n型オーム接触に対するボンドパッドとをさらに含む、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項25】
前記オーム接触のうちの少なくとも1つは、前記低屈折率透明基板に向いている反射面を含む、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項26】
前記接着剤は、1.35と1.65との間の屈折率を有する、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項27】
前記接着剤は、ポリシロキサンを含む、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項28】
前記接着剤は、ビスベンゾシクロブテンベース樹脂を含む、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項29】
前記p型オーム接触は、半透明である、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項30】
前記p型オーム接触は、酸化インジウムスズである、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項31】
前記p型オーム接触は、前記p型III族窒化物層の間に配置され、前記低屈折率透明接着剤は、該p型III族窒化物層の全てを実質的に覆う、請求項29に記載の発光ダイオード。
【請求項32】
前記p型層に対する前記オーム接触は、該p型層と前記低屈折率透明基板との間にあり、
前記p型オーム接触は、該低屈折率透明基板に隣接したレンズ形の表面を有する、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項33】
前記n型III族窒化物層は、前記ダイオードの面を形成し、該n型III族窒化物層は、光の抽出を増加させるレンズ形の表面を有する、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項34】
前記p型層は、前記低屈折率透明基板を向いているレンズ形の表面を有し、
前記低屈折率透明接着剤は、該低屈折率透明基板の反対側にレンズ形の面を有し、
前記p型オーム接触は、該p型層と該低屈折率透明接着剤との間にあり、該各レンズ形の面のそれぞれに一致する、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項35】
前記低屈折率透明基板の反対側の前記n型層の表面と、
該低屈折率透明基板と前記エピタキシャル層との間の界面と、
該エピタキシャル層の反対側の該低屈折率透明基板の表面と、
前記p型オーム接触に隣接する前記p型III族窒化物層の表面と、
これらのレンズ形の表面の組み合わせと
から成る群から選択されるレンズ形の表面を含む、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項36】
前記n型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
前記p型III族窒化物は、窒化ガリウムを含み、
前記ダイオードは、該p型窒化ガリウム層と該n型窒化ガリウム層との間にIII族窒化物活性部分をさらに含む、請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項37】
前記活性部分は、量子井戸、多重量子井戸、超格子、単一ヘテロ構造、および二重へテロ構造から成る群から選択される、請求項36に記載の発光ダイオード。
【請求項38】
発光ダイオードを形成する方法であって、
適合性のある基板上にIII族窒化物のp型層およびn型層をそれぞれ形成することと、
該適合性のある基板をIII族窒化物エピタキシャル層から分離することと、
隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明基板に、該III族窒化物エピタキシャル層を接合することと
を包含する、方法。
【請求項39】
低屈折率透明接着剤を用いて、前記エピタキシャル層に前記透明基板を接合することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記透明基板に前記エピタキシャル層を接合するステップは、該層を、石英、融解石英、ガラスおよびサファイアから成る群から選択される基板に接合することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記層から前記適合性のある基板を除去する前に、前記p型III族窒化物層と前記n型III族窒化物層との間に多重量子井戸構造を加えることをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記適合性のある基板上に、それぞれ窒化ガリウムのp型層およびn型層を成長させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
炭化珪素基板上に、それぞれ窒化ガリウムのp型層およびn型層を成長させることを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
約1.35と1.6との間の屈折率を有する透明接着剤を用いて前記エピタキシャル層に前記基板を接合することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
ポリシロキサンの接着剤を用いて前記エピタキシャル層に前記基板を接合することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
ビスベンゾシクロブテンベースの接着剤を用いて前記エピタキシャル層に前記基板を接合することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
LEDランプであって、
透明キャリア基板上に少なくともn型III族窒化物層およびp型III族窒化物層のそれぞれを含む発光ダイオードであって、該透明キャリア基板は、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する、発光ダイオードと、
該III族窒化物層と該透明キャリア基板との間の透明接着剤であって、該透明接着剤は、隣接するIII族窒化物層の屈折率よりも低い屈折率を有する、透明接着剤と、
該発光ダイオードを覆うカプセル用材料であって、該カプセル用材料は、該透明基板の屈折率の0.2の範囲内の屈折率を有する、カプセル用材料と
を備えている、LEDランプ。
【請求項48】
前記ダイオードは、反射器上に配置される、請求項47に記載のLEDランプ。
【請求項49】
前記カプセル用材料は、前記透明基板の屈折率の0.1の範囲内の屈折率を有する、請求項47に記載のLEDランプ。
【請求項50】
前記カプセル用材料は、前記透明基板の屈折率よりも高い屈折率を有する、請求項47に記載のLEDランプ。
【請求項51】
前記カプセル用材料の中に蛍光体をさらに含む、請求項47に記載のLEDランプ。
【請求項52】
前記蛍光体は、セシウムドーピングされたYAGを含む、請求項51に記載のLEDランプ。
【請求項53】
前記透明基板は、1.35と1.65との間の屈折率を有する、請求項47に記載のLEDランプ。
【請求項54】
前記透明接着剤は、1.35と1.65との間の屈折率を有する、請求項47に記載のLEDランプ。
【請求項55】
前記透明接着剤は、ポリシロキサン接着剤とビスベンゾシクロブテンベース接着剤とから成る群から選択される、請求項54に記載のLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−205468(P2008−205468A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33823(P2008−33823)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】