説明

低温用途向けパーフルオロエラストマー組成物

高レベル(すなわち約40モルパーセント以上)のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合単位を含有するパーフルオロエラストマーは、より低レベルのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を含有するパーフルオロエラストマーが可能であるより高レベルのパーフルオロポリエーテルと安定なブレンドを形成することができる。このように、前者ブレンドは後者より良好な低温特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロエラストマー組成物に、および特にパーフルオロポリエーテルの組み込みによるかかる組成物の低温特性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性パーフルオロポリマー(すなわちパーフルオロエラストマー)は、熱、気候、オイル、溶剤および化学薬品の影響に対して優れた耐性を示す。かかる材料は市販されており、通常はテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマーである。多くの場合、これらのパーフルオロエラストマーはまた、加硫を促進するための硬化部位モノマーの共重合単位を含有する。これらのコポリマーは、低い圧縮永久歪みおよび優れた加工性をはじめとする、多くの望ましい特性を有するが、それらの低温可撓性はすべての最終使用用途にとって十分であるわけではない。特に望ましい一改良は、より低温への使用温度の拡張を伴うガラス転移温度(Tg)の低下であろう。低いガラス転移温度を有するポリマーは低温で弾性を維持するので、Tgは低温可撓性の指標としてしばしば用いられる。
【0003】
米国特許公報(特許文献1)は、一方または両方の連鎖端にヒドロキシル基を有する過フッ素化ポリエーテルである加工助剤を含有するフッ化ビニリデンベースのフルオロエラストマーを開示している。かかる補助剤について挙げられた利益の中に、改善された低温特性がある。過フッ素化されているので、米国特許公報(特許文献1)に開示されているポリエーテルは、極性水素原子を含有するフッ化ビニリデンベースのフルオロエラストマーとそれほど相溶性ではない。かかる非相溶性は加工性問題を引き起こし、溶媒によるポリエーテルの容易な抽出につながることがある。
【0004】
米国特許公報(特許文献2)は、組成物のTgを低下させるためのパーフルオロポリエーテル(例えば本願特許出願人のクリトックス(Krytox)(登録商標)フッ素化オイル)をまた含有するTFE/PMVEコポリマーの組成物を開示している。
【0005】
高温では、上記組成物すべてに用いられたパーフルオロポリエーテルは流出する傾向がある。組成物中のパーフルオロポリエーテルのレベルが低下するにつれて、組成物の物理的特性はパーフルオロポリエーテルを全く含有しない組成物の物理的特性に戻る。
【0006】
パーフルオロポリエーテルが上記組成物ほど流出せず、かつ、Tgの必要とされる低下をまた提供するパーフルオロエラストマー組成物を有することは改良であろう。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,894,418号明細書
【特許文献2】米国特許第5,268,405号明細書
【特許文献3】米国特許第4,214,060号明細書
【特許文献4】米国特許第4,983,680号明細書
【特許文献5】米国特許第5,789,489号明細書
【特許文献6】米国特許第6,211,319 B1号明細書
【特許文献7】米国特許第6,281,296号明細書
【特許文献8】国際公開第01/27194号パンフレット
【特許文献9】米国特許第4,243,770号明細書
【特許文献10】米国特許第5,214,106号明細書
【特許文献11】米国特許第5,717,036号明細書
【特許文献12】米国特許第5,585,449号明細書
【特許文献13】米国特許第5,877,264号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
パーフルオロエラストマーとパーフルオロポリエーテルとの組成物はパーフルオロエラストマー中の共重合パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の量を増やすことによって類似の先行技術の組成物より安定に(すなわちそれほど流出しないように)されるかもしれないことが意外なことに発見された。
【0009】
従って、本発明の態様は、
A.i)40〜55モルパーセントのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ii)0.1〜3モルパーセントの硬化部位モノマーの共重合単位を含み、そして全モルパーセントが100であるように残りの共重合単位がiii)テトラフルオロエチレンのものであるパーフルオロエラストマーと、
B.25〜50phrのパーフルオロポリエーテルと
を含むパーフルオロエラストマー組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の組成物に用いられるパーフルオロエラストマーは、有機過酸化物と多官能性架橋助剤との組み合わせなどのポリヒドロキシ化合物(米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4))、有機スズ(米国特許公報(特許文献5))、ジアミノビスフェノールAFなどのビス(アミノフェノール)(米国特許公報(特許文献6))、3,3’−ジアミノベンジデンなどの芳香族テトラアミン、ならびに尿素および米国特許公報(特許文献7)と(特許文献8)とに開示されている他の化合物などのアンモニア発生化合物などの、しかしそれらに限定されないパーフルオロエラストマー用の公知硬化剤のいずれかとの架橋反応を受けることができる。
【0011】
本発明に用いられてもよいパーフルオロエラストマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)および硬化部位モノマーの共重合単位をベースとする。
【0012】
モノマーとしての使用に好適なパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)には、式
CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf (I)
(式中、Rf'およびRf''は2〜6個の炭素原子の異なる線状または分岐のパーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは独立して0〜10であり、そしてRfは1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)
で表されるものが含まれる。
【0013】
好ましいクラスのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)には、式
CF2=CFO(CF2CFXO)nf (II)
(式中、XはFまたはCF3であり、nは0〜5であり、そしてRfは1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)
の組成物が含まれる。
【0014】
最も好ましいクラスのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)には、式中nが0または1であり、そしてRfが1〜3個の炭素原子を含有するそれらのエーテルが含まれる。かかる過フッ素化エーテルの例には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が挙げられる。他の有用なモノマーには、式
CF2=CFO[(CF2mCF2CFZO]nf (III)
(式中、Rfは1〜6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、m=0または1、n=0〜5であり、そしてZ=FまたはCF3である)
の化合物が含まれる。
【0015】
このクラスの好ましいメンバーは、式中RfがCF3であり、m=1、n=1、そしてZ=Fであり、およびRfがC37であり、m=0、そしてn=1であるものである。
【0016】
追加のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)モノマーには、式
CF2=CFO[(CF2CF{CF3}O)n(CF2CF2CF2O)m(CF2p]Cx2x+1 (IV)
(式中、mおよびnは独立して0〜10であり、p=0〜3、そしてx=1〜5である)
の化合物が含まれる。
【0017】
このクラスの好ましいメンバーには、式中n=0〜1、m=0〜1、そしてx=1である化合物が含まれる。
【0018】
有用なパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の追加の例には、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2O)mn2n+1 (V)
(式中、n=1〜5、m=1〜3、そして式中、好ましくは、n=1である)
が挙げられる。
【0019】
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)が本発明に用いられるパーフルオロエラストマーでの使用に最も好ましいPAVEである。
【0020】
有機過酸化物/多官能性硬化助剤硬化系による架橋に好適な硬化部位には、臭素末端基、ヨウ素末端基、またはそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。かかる硬化部位は、臭素−またはヨウ素−含有連鎖移動剤の存在下での重合によってパーフルオロエラストマーポリマー鎖に導入されてもよい(米国特許公報(特許文献9))。硬化部位はまた、フッ素化オレフィンまたはフッ素化ビニルエーテルなどの臭素またはヨウ素原子を含有する硬化部位モノマーとのフルオロエラストマーの共重合によって導入されてもよい。かかる硬化部位モノマーは当該技術分野で周知である(例えば米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献10)、および米国特許公報(特許文献11))。具体的な例には、ブロモトリフルオロエチレン(BTFE)、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(BTFB)、および4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB)が挙げられるが、それらに限定されない。ビス−オレフィンもまた、過酸化物硬化性フルオロエラストマーで硬化部位モノマーとして用いられてもよい(米国特許公報(特許文献12))。
【0021】
有機過酸化物/多官能性架橋助剤、有機スズ、ジアミノビスフェノールAF、3,3’−ジアミノベンジジネン、またはアンモニア発生硬化剤による架橋に好適な硬化部位には、ある種のフルオロビニルエーテルまたはフルオロオレフィンなどのニトリル側基を含有するコモノマーが含まれるが、それらに限定されない。具体的な例には、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)(8−CNVE)および米国特許公報(特許文献6)に開示されているニトリル含有硬化部位モノマーが挙げられる。
【0022】
本発明の組成物に用いられてもよいパーフルオロエラストマーは、i)40〜55(好ましくは43〜50)モルパーセントのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)およびii)0.1〜3.0(好ましくは0.3〜2.0)モルパーセントの硬化部位モノマーの共重合単位を含む。残りの単位は、全モルパーセントが100であるようにテトラフルオロエチレンである。最も好ましくは、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)はパーフルオロ(メチルビニルエーテル)であり、硬化部位モノマーは、ニトリル側基を含有する過フッ素化ビニルエーテルまたは過フッ素化オレフィンである。
【0023】
本発明の組成物はまた、25〜50(好ましくは30〜40)phrの1つまたは複数のパーフルオロポリエーテル(PFPE)を含有する。「phr」とは、百部のゴム(すなわちパーフルオロエラストマー)当たりの重量部を意味する。本発明での使用に好適なパーフルオロポリエーテルには、次式:
CF3−(O−CF2CF2n(OCF2m−OCF3 (VI)
F−(CF2CF2CF2−O)p−CF2CF3 (VII)
F−(CF(CF3)−CF2−O)q−CF2CF3 (VIII)
(式中、n、m、pおよびqは1〜180の整数である)
で表されるものが含まれるが、それらに限定されない。好ましくはm+n=40〜180、そしてn/m=0.5〜2である。好ましくはpおよびqは10〜60の整数である。最も好ましくは、PFPEは、20℃で3500cStの動粘度(ASTM D445)を有する式VIIIで表されるものである。後者は、クリトックス(Krytox)(登録商標)16350性能潤滑油として本願特許出願人から市販されている。
【0024】
本発明の組成物には、硬化した(すなわち架橋した、加硫された)組成物および硬化性組成物の両方が含まれる。後者はまた硬化剤を含有する。
【0025】
用いられてもよい一硬化剤は有機過酸化物/多官能性架橋助剤系である。有用な有機過酸化物は、硬化温度でフリーラジカルを発生させるものである。50℃より高い温度で分解するジアルキルペルオキシドまたはビス(ジアルキルペルオキシド)が特に好ましい。多くの場合、ペルオキシ酸素に結合した第三級炭素原子を有するジ第三ブチルペルオキシドを使用することが好ましい。このタイプの最も有用なペルオキシドの中に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3および2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)−ヘキサンがある。他のペルオキシドは、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、過安息香酸第三ブチル、およびジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネートのような化合物から選択することができる。本発明の硬化性組成物中に存在するとき、1〜3phrペルオキシドが典型的には使用される。
【0026】
有機過酸化物と共に用いられる多官能性硬化助剤は、有用な硬化を提供するためにペルオキシドと協働することができるポリ不飽和化合物である。これらの架橋助剤は、0.1〜10phr、好ましくは2〜5phrに等しい量で添加することができる。架橋助剤は以下の化合物の1つまたは複数であってもよい:トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリ(メタリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、N,N−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアルキルテトラフタルアミド(tetraalkyl tetraphthalamide)、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、およびトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート。トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が特に有用である。
【0027】
本発明の組成物に用いられてもよい他の硬化剤には、ジアミノビスフェノールAFなどのビス(アミノフェノール)、テトラアミン、有機スズ、および硬化温度で分解してアンモニアを生成する化合物、例えば尿素が含まれる。本発明の組成物中に存在するとき、典型的には0.1〜7phrの後者硬化剤のいずれか1つが用いられる。
【0028】
他の添加剤が、様々な物理的特性を最適化するためにパーフルオロエラストマー中へ配合されてもよい。かかる添加剤には、カーボンブラック、安定剤、滑剤、顔料、充填剤(例えばシリカ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、二酸化チタンなどの鉱物充填剤)、およびパーフルオロエラストマー配合に典型的に利用される加工助剤が含まれる。これらの添加剤のいずれも、添加剤が意図される使用条件に対して十分な安定性を有するという条件で、本発明の組成物中へ組み込むことができる。
【0029】
カーボンブラックはしばしば、組成物の弾性率、引張強度、伸び率、硬度、耐摩耗性、導電率、および加工性のバランスをとるための手段としてエラストマーに用いられる。本発明の組成物に用いられるとき、カーボンブラックは典型的には5〜100(好ましくは30〜60)phrの量で添加される。
【0030】
フルオロポリマー充填剤が場合により組成物中に存在してもよい。存在する場合、一般に1〜100(好ましくは30〜60)phrのフルオロポリマー充填剤が使用され、好ましくは少なくとも約5phrが存在する。フルオロポリマー充填剤には、本発明の組成物の加工および硬化温度より低い温度で溶融するフルオロポリマーと、加工および硬化温度より高い融点を有するそれらのフルオロポリマーとの両方が含まれる。
【0031】
パーフルオロポリエーテル、架橋剤、および任意の他の添加剤は一般に、内部ミキサーを用いてまたはゴム用ロール機でパーフルオロエラストマー中へ組み込まれる。得られた組成物は次に、一般に熱および圧力を用いて、例えば圧縮転写または射出成形によって硬化させられる。
【0032】
本発明のパーフルオロエラストマー組成物から作製された硬化品は、先行の組成物より高温への暴露中の組成物からのパーフルオロポリエーテルの損失が減少して、良好な低温特性を示す。本発明の組成物は、ガスケット、チュービング、シールおよび他の成形部品の製造に有用である。かかる物品は一般に、様々な添加剤入り硬化性組成物の配合調合物を圧力下に成形し、部品を硬化させ、次にそれをポスト硬化サイクルにかけることによって製造される。硬化組成物は、優れた熱安定性および耐化学薬品性だけでなく優れた低温可撓性および加工性を有する。それらは、耐油性と、耐燃料性と低温可撓性との良好な組み合わせを必要とするシールおよびガスケットなどの用途で、例えば燃料注入システム、燃料ライン連結器システムでならびに高温および低温自動車用途向けの他のシールで特に有用である。
【0033】
これより、本発明を、すべての部および百分率が特に明記されない限り重量による、ある種の実施形態によって例示する。
【実施例】
【0034】
(試験方法)
(硬化特性)
特に記載のない限り、硬化特性は、以下の条件下に(ISO(国際標準化機構)6502)、アルファ・システムズ(Alpha Systems)モデルMDR2000E移動ダイ流動計(MDR)を用いて測定された:
移動ダイ振動数:1.66ヘルツ
振動振幅:±0.5°
温度:200℃
サンプルサイズ:6〜10g
継続期間:30分
【0035】
以下の硬化パラメーターを記録した:
H:dN・mの単位での最大トルクレベル
L:dN・mの単位での最小トルクレベル
s2:MLより2.26dN・m高くなるまでの分
tc90:最大トルクの90%までの分
【0036】
(物理的特性)
AS568A214 O−リングの圧縮永久歪み(ASTM D395)
ガラス転移温度(Tg)は、窒素中10℃/分の加熱速度での変調示差走査熱量測定法(MDSC)によって測定された。
【0037】
パーセント減量は、加熱前に物品を秤量し、そして次に加熱後に再び秤量することによって測定された。秤量前に、物品の表面をコートするいかなるパーフルオロポリエーテルもペーパータオルで拭き取った。報告される結果は、10個のO−リング(圧縮永久歪み試験中の減量)および他の試験のための3個のO−リングの平均値である。
【0038】
低温静的O−リング・シーリング(Low Temperature Static O−Ring Sealing)は、R.D.スティーブンス(R.D.Stevens)、E.W.トーマス(E.W.Thomas)著、「フルオロエラストマーの低温シーリング能力(Low Temperature Sealing Capabilities of Fluoroelastomers)」、SAE論文#900194(1990年2月26日−3月2日)に従って測定された。報告される結果は3つの試験の中央値である。
【0039】
実施例に用いたパーフルオロエラストマー(テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)および8−CNVEの共重合単位を含有する)を、米国特許公報(特許文献13)に開示されている方法に全体的に従って製造した。すべてが約0.8モルパーセントの8−CNVE、以下の量のPMVEを含有し、残りはTFEであった。
【0040】
FE−1は、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の37.4モル%単位を含有した。
【0041】
FE−2は、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の48.3モル%単位を含有した。
【0042】
FE−3は、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の44.7モル%単位を含有した。
【0043】
(実施例1)
48.3モル%PMVEを有するパーフルオロエラストマーを含有する本発明の硬化性組成物(サンプル1)、および37.4モル%PMVEを有するパーフルオロエラストマーを含有する比較組成物(サンプルA)を、2−ロールミルで従来通りに原料を配合することによって製造した。原料および割合を表Iに示す。
【0044】
これらの組成物の硬化特性および硬化した試験検体(20分間の200℃プレス硬化、引き続いて空気オーブン中100℃で1時間、引き続いて150℃1時間、200℃1時間および250℃で3時間のポスト硬化)の物理的特性を本試験方法に従って測定した。パーセント減量(すなわちパーフルオロポリエーテルの損失)をポスト硬化後、圧縮永久歪み試験後および表Iに明記する条件下での熱老化後に測定した。結果を表Iに示す。本発明の組成物は、熱への暴露後に比較組成物が失ったよりはるかに少ない重量を失った(すなわちパーフルオロポリエーテルはそれほど流出しなかった)。
【0045】
【表1】

【0046】
(実施例2)
44.7モル%PMVEを有するパーフルオロエラストマーを含有する本発明の硬化性組成物(サンプル2)、および37.4モル%PMVEを有するパーフルオロエラストマーを含有する比較組成物(サンプルB)を、2−ロールミルで従来通りに原料を配合することによって製造した。原料および割合を表IIに示す。
【0047】
これらの組成物の硬化特性および硬化した試験検体(9〜10分間の200℃プレス硬化、引き続いて空気オーブン中100℃で1時間、引き続いて150℃1時間、200℃1時間および250℃で3時間のポスト硬化)の物理的特性を本試験方法に従って測定した。結果を表IIに示す。本発明の組成物は、熱への暴露後に比較組成物が失ったよりはるかに少ない重量を失った(すなわちパーフルオロポリエーテルはそれほど流出しなかった)。さらに、本発明の組成物は、比較組成物が有したよりも良好な(すなわち低い)低温静的シーリング温度を有した。
【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)i)40〜55モルパーセントのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ii)0.1〜3モルパーセントの硬化部位モノマーの共重合単位を含み、そして全モルパーセントが100であるように残りの共重合単位がiii)テトラフルオロエチレンのものであるパーフルオロエラストマーと、
B)25〜50phrのパーフルオロポリエーテルと
を含むことを特徴とするパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項2】
前記パーフルオロエラストマーがパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の43〜50モルパーセント共重合単位を含有することを特徴とする請求項1に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項3】
前記硬化部位モノマーがニトリル側基を有するフルオロビニルエーテルおよびニトリル側基を有するフルオロオレフィンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項4】
C)硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項5】
前記硬化剤が有機過酸化物、ビス(アミノフェノール)、有機スズ化合物および硬化温度で分解してアンモニアを放出する化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項6】
前記パーフルオロポリエーテルが、i)CF3−(O−CF2CF2n(OCF2m−OCF3、ii)F−(CF2CF2CF2−O)p−CF3、およびiii)F−(CF(CF3)−CF2−O)q−CF2CF3からなる群から選択され、式中n、m、pおよびqが1〜180の整数であることを特徴とする請求項1に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項7】
前記パーフルオロポリエーテルがASTM D445によって測定される際に、20℃で3500cStの動粘度を有するF−(CF(CF3)−CF2−O)q−CF2CF3であることを特徴とする請求項6に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
【請求項8】
請求項4に記載の組成物を含む組成物から形成されることを特徴とする硬化品。

【公表番号】特表2009−513784(P2009−513784A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537876(P2008−537876)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/041468
【国際公開番号】WO2007/050600
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(597035953)デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】