説明

低温硬化可能な導電性ペースト

【課題】150℃以下で熱硬化でき、例えば、PETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの表面に優れた密着性を示し、柔軟性と強靭さを具えている導電体膜の作製が可能な、フレキシブルプリント基板の配線層の形成に適する導電性ペーストを提供する。
【解決手段】樹脂成分として、284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を選択し、金属銀粉100質量部当たり、該アクリル樹脂を3〜8質量部、シランカップリング剤を0.1〜1.5質量部、常圧での沸点が150℃以上266℃以下の有機溶剤を8〜25質量部、それぞれ配合してなる導電性ペーストとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、150℃以下の加熱処理により硬化可能な導電性ペーストに関する。特には、フレキシブルプリント基板の基材として利用される、PETフィルムやポリイミドフィルム表面に対して、良好な密着性を有する導電体膜の形成に利用可能な、低温硬化可能な導電性ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ペーストは、プリント配線基板上の配線用の導電体膜の形成に汎用されるようになっている。具体的には、プリント基板の基材上に、配線パターンに合わせて、導電性ペーストの塗布膜を作製し、加熱処理を施すことで、配線用の導電体膜を形成している。
【0003】
プリント基板の基材として、例えば、セラミックス材料を利用するリジッド基板の場合、セラミックス材料と、導電性ペーストに配合される樹脂成分との密着性を高めるため、各種のカップリング剤が利用されている。例えば、シランカップリング剤を利用することで、セラミックス材料の表面には、該シランカップリング剤に由来する種々の反応性官能基が導入される。この反応性官能基に、樹脂成分中に含まれる反応性官能基を反応させることで、共有結合を生成させることで、樹脂成分は、セラミックス材料表面に共有結合的に結合される。また、導電性ペースト中に配合される、導電性フィラー、例えば、各種の金属フィラー粒子の表面にも、該シランカップリング剤に由来する種々の反応性官能基が導入される。その結果、樹脂成分は、導電性フィラー、例えば、各種の金属フィラー粒子の表面にも共有結合的に結合される。
【0004】
すなわち、セラミックス材料表面の導電性ペーストの塗布膜に加熱処理を施すことで、配合されている樹脂成分は、セラミックス材料表面、各種の金属フィラー粒子の表面に共有結合的に結合される。その結果、各種の金属フィラー粒子相互間の物理的な接触が、配合される樹脂成分の熱硬化に伴って、樹脂硬化物の接着力によって達成され、導電体膜が形成される。同時に、形成される導電体膜は、セラミックス材料表面と共有結合的に結合されている樹脂硬化物の密着性に因って、セラミックス材料表面に密着される。
【0005】
リジッド基板の基材に利用される、セラミックス材料は、通常、耐熱性に優れており、例えば、250℃以上の温度で加熱処理を行うことができる。そのため、利用される導電性ペーストに配合される樹脂成分として、200℃以上に加熱処理することで熱硬化可能な熱硬化型樹脂材料が利用されている。具体的には、セラミックス材料を基材とするプリント配線基板に応用する場合、導電性ペーストに配合する樹脂成分として、熱硬化温度が200℃以上の熱硬化型エポキシ樹脂が広く利用されている。熱硬化温度が200℃以上の熱硬化型エポキシ樹脂は、通常の保管条件、例えば、50℃以下の温度では反応性はなく、配合されている樹脂成分間の反応によって、粘性の上昇が生じることは殆ど皆無である。
【0006】
リジッド基板、例えば、セラミックス材料を基材とするプリント配線基板は、本来、基材自体、撓み変形を起こすものでない。従って、プリント配線基板の撓み変形に追従して、その表面に形成されている導電体膜も撓み変形が可能な柔軟性を示す必要性は無い。熱硬化型エポキシ樹脂の硬化物は、柔軟性は乏しいが、撓み変形を必要としない、例えば、セラミックス材料を基材とするプリント配線基板に応用する場合、柔軟性が乏しいことは、全く問題とはならない。
【0007】
一方、プリント配線基板を構成する基材として、可撓性に優れ、繰り返し曲げ変形が可能な絶縁性樹脂材料を利用する、フレキシブルプリント基板では、その表面に形成されている導電体膜には、撓み変形が可能な材料が利用されている。現状では、繰り返し曲げ変形が可能であり、また、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのなく、優れた電気導電性を示す、銅のメッキ箔膜が利用されている。フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)は、厚さ50μm以下のフィルム状の絶縁性樹脂材料であり、その表面に接着層を形成した上で、銅のメッキ箔膜層が形成されている。さらに、銅のメッキ箔膜層の剥離防止と、表面の保護を目的として、銅のメッキ箔膜層を絶縁体樹脂膜で被覆している。すなわち、プリント基板に設ける端子部と、該プリント基板上に各種の電子部品をハンダ付け固定する部位を除き、フレキシブルプリント基板の略表面全体を、絶縁体樹脂膜で被覆している。この被覆用の絶縁体樹脂膜と銅のメッキ箔膜層との接着も、接着層を設けることで達成されている。すなわち、基材(ベースフィルム)の絶縁性樹脂材料フィルムと、被覆用の絶縁体樹脂膜によって、銅のメッキ箔膜層を挟み込むように、二つの接着層を利用して、接着固定がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リジッド基板の配線層の形成と同様に、銅のメッキ箔膜層に代えて、上記のフレキシブルプリント基板の配線層の形成に、導電性ペーストを利用することが検討されている。その場合、導電性ペーストを利用して作製される導電体膜は、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)表面に高い密着性を示すことが要求される。また、銅のメッキ箔膜と同様に、導電体膜自体、繰り返し曲げ変形が可能であり、また、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのないことも要求される。
【0009】
すなわち、導電性ペーストを利用して形成される導電体膜を構成する、樹脂材料は、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えていることが必要である。加えて、基材(ベースフィルム)表面に対して、高い密着性を有する樹脂材料であることも要求される。
【0010】
フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として、汎用されているPET(ポリエチレンテレフタラート:Polyethylene terephthalate)フィルムの軟化点(Vicat B)は、160℃程度、あるいは、ポリイミド(polyimide)フィルムの軟化点(Vicat B)は、220℃程度である。従って、PETフィルムやポリイミドフィルムの表面に、導電性ペーストを利用して、導電体膜を形成する場合、含有される熱硬化型樹脂材料は、前記の軟化点よりも有意に低い加熱温度で熱硬化可能であることが必要である。
【0011】
すなわち、導電性ペーストから導電体膜を作製する際、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として利用される、各種のフィルム状の絶縁性樹脂材料の軟化点よりも有意に低い加熱温度で熱硬化可能な導電性ペーストが望まれている。さらに、作製される導電体膜は、各種のフィルム状の絶縁性樹脂材料の表面に優れた密着性を示し、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えていることが望まれている。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するものである。本発明の目的は、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として利用される、各種のフィルム状の絶縁性樹脂材料の軟化点よりも有意に低い加熱温度で熱硬化可能であり、作製される導電体膜は、各種のフィルム状の絶縁性樹脂材料の表面に優れた密着性を示し、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えているという要件を満足する、新規な導電性ペーストを提供することにある。特には、本発明の目的は、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として、汎用されているPETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの軟化点よりも有意に低い、150℃以下の加熱温度で熱硬化可能であり、作製される導電体膜は、PETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルム表面に優れた密着性を示し、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えているという要件を満足する、新規な導電性ペーストと、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、例えば、150℃以下の加熱温度で熱硬化可能な導電性ペーストの作製に利用可能な樹脂成分を探索した。
【0014】
その際、この樹脂成分は、通常の保管条件、例えば、30℃以下の温度では反応性を示さず、導電性ペースト中に配合されている樹脂成分間の反応によって、粘性の上昇が顕著に生じないという条件をも満足するものを探索した。
【0015】
まず、導電性ペーストを利用して導電体膜を形成する場合、形成される導電体膜は、導電性フィラーが密に接触することで、導電性を発揮する。従って、導電体膜の導電率を、銅のメッキ箔膜層と遜色の無い水準とするためには、導電性フィラーを構成する導電性材料(金属)自体の導電率は、銅よりも優れている必要があると考えた。そのため、導電性ペースト中に配合する導電性フィラー成分として、金属銀粉を採用した。
【0016】
金属銀粉を密に接触させるためには、バインダー樹脂を硬化させた際、金属銀粉の表面に対しても、高い接着性を示すことが必要であると考えた。そのため、導電性ペースト中に、金属銀粉の表面に対する接着性を向上させる手段として、シランカップリング剤を利用した。一方、該シランカップリング剤により、金属銀粉の表面に導入される、官能基と反応し、共有結合的にバインダー樹脂が結合される形態であることが望ましい。すなわち、樹脂成分は、シランカップリング剤に由来する官能基に対して、反応性を有する官能基を内在することが望ましい。
【0017】
同時に、PETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルム表面に優れた密着性を示すためには、これらのフィルム表面に、予め、官能基を設けておき、該官能基と反応し、共有結合的にバインダー樹脂が結合される形態であることが望ましい。すなわち、樹脂成分は、フィルム表面に、予め設けられている官能基に対して、反応性を有する官能基を内在することが望ましい。
【0018】
更に、樹脂成分は、それ自体、加熱処理を施した際、硬化を引き起こす必要があり、樹脂成分相互間に共有結合を介して、架橋が形成されることが必要である。すなわち、樹脂成分は、共有結合を介する架橋の形成に利用可能な、少なくとも、二つの官能基を内在することが望ましい。
【0019】
一方、樹脂成分は、樹脂成分相互間に共有結合を介して、架橋が形成される結果、硬化した後も、その硬化済樹脂は、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えている必要がある。すなわち、樹脂成分の熱硬化物は、弾性変形が可能であり、同時に、張力による破断を生じ難いことが必要である。
【0020】
また、硬化されていない樹脂成分は、導電性ペーストの調製に使用される、金属銀粉に対する分散溶媒中に、均一に溶解可能であることも必要である。すなわち、硬化されていない樹脂成分は、分散溶媒に可溶性であることも必要である。
【0021】
本発明者らは、以上の要件を全て満足する樹脂成分として、エポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基が導入されている、アクリル樹脂が適することを見出した。その際、分散溶媒に可溶性であるという条件を満たす上では、該アクリル樹脂の平均分子量は、30万以下であり、架橋された際、十分な強靭さを発揮する上では、平均分子量は、3万以上であることが望ましいことも見出した。一方、導入されているエポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基の存在比率は、エポキシ基に関しては、284〜946のエポキシ当量の範囲、ヒドロキシル基に関しては、58〜155の水酸基価の範囲であることが好ましいことも見出した。
【0022】
すなわち、導入されているエポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基の存在比率を、前述の範囲に選択すると、該樹脂成分の熱硬化物中、樹脂成分相互間の共有結合を介する架橋の密度は、要求される特性、すなわと、弾性変形が可能であり、同時に、張力による破断を生じ難いという強靭さを達成する上で適当な範囲となることを検証した。
【0023】
アクリル樹脂中に導入されているエポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基、例えば、エポキシ基は、フィルム表面に、予め設けられている官能基に対して、反応性を有することも確認した。また、エポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基、例えば、エポキシ基は、シランカップリング剤よって導入される官能基に対して、反応性を有している。
【0024】
また、導入されているエポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基の存在比率が上述の範囲であれば、通常の保管条件、例えば、30℃以下の温度において、分散溶媒に溶解されている、該アクリル樹脂の間で、架橋形成が生じて、流動性を顕著に低下させる(粘度が顕著に上昇する)ことも無いことも確認した。
【0025】
一方、該アクリル樹脂自体は、平均分子量を調整することで、そのガラス転移点は、10〜55℃の範囲に選択することが可能であることも検証した。導入されているエポキシ基とヒドロキシル基の二種の官能基による、架橋形成は、通常、120℃以上に加熱することで進行され、高くとも、150℃以下の加熱条件で、所望の熱硬化物の形成が可能であることも検証した。
【0026】
すなわち、導電性ファイラー成分として、金属銀粉を、熱硬化樹脂成分として、284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を選択し、さらに、シランカップリング剤を適当量添加し、熱硬化処理時、上述の官能基間の反応を行わせる反応溶媒となり、また、前記アクリル樹脂を溶解する溶剤として、常圧での沸点が150℃以上266℃以下の高沸点溶剤を選択することで、本発明の目的を達成可能な導電性ペーストを調製できることを見出した。導電性ペーストの組成は、金属銀粉100質量部当たり、前記アクリル樹脂を3〜8質量部、シランカップリング剤を0.1〜1.5質量部、前記高沸点溶剤を8〜25質量部の範囲に選択することで、配線層パターン形状の塗布膜の形成に適する粘度に調整可能であることも確認した。
【0027】
以上の一連の知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
【0028】
すなわち、本発明にかかる導電性ペーストは、
低温硬化可能な導電性ペーストであって、
樹脂成分として、284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を選択し、
該導電性ペースト中には、
金属銀粉100質量部当たり、
前記アクリル樹脂を3〜8質量部、
シランカップリング剤を0.1〜1.5質量部、
常圧での沸点が150℃以上266℃以下の有機溶剤を8〜25質量部、
それぞれ含まれている
ことを特徴とする導電性ペーストである。
【0029】
その際、
前記有機溶剤は、エポキシ基、ならびに、ヒドロキシル基に対して、高い反応性を示す官能基を内在していないことが好ましい。
【0030】
該導電性ペースト中に含まれる、
前記金属銀粉の体積の総和と、前記アクリル樹脂の体積の総和の比:[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:27〜100:73の範囲に選択されることが好ましい。
【0031】
該導電性ペースト中に含まれる、
前記有機溶剤の含有比率は、該導電性ペーストの40体積%〜70体積%の範囲に選択されていることが好ましい。
【0032】
また、該導電性ペーストの粘度は、5Pa・s〜70Pa・sの範囲に選択されていることが好ましい。
【0033】
一方、本発明にかかる導電性ペーストでは、
前記金属銀粉は、平均粒径が7μm以下、0.3μm以上の球状金属銀粉である;
前記金属銀粉は、平均粒径が10μm以下、1.0μm以上の鱗片状金属銀粉である;あるいは、
前記金属銀粉は、
平均粒径が10μm以下、0.3μm以上の鱗片状金属銀粉と、平均粒径が7μm以下、1.0μm以上の球状金属銀粉との混合物であり、
前記鱗片状金属銀粉と球状金属銀粉の混合比率(質量比)は、鱗片状金属銀粉の合計質量:球状金属銀粉の合計質量は、9:1〜2:8の範囲に選択されている
上記の三種の形態を選択することができる。
【0034】
加えて、前記シランカップリング剤により導入される官能基は、エポキシ基またはヒドロキシル基に対する反応性を有することが好ましい。
【0035】
例えば、前記シランカップリング剤により導入される官能基は、エポキシ基であることが好ましい。
【0036】
さらには、該導電性ペースト中に、さらに、金属銀粉に対する分散剤が、
金属銀粉100質量部当たり、0.1質量部〜1.5質量部の範囲で添加されている形態を選択することもできる。
【0037】
本発明にかかる導電性ペーストでは、
前記アクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基との比率は、1個のエポキシ基当たり、平均0.3個〜2.6個のヒドロキシル基が存在する割合に選択されていることが望ましい。
【0038】
前記アクリル樹脂は、その分子量が5万〜13万、ガラス転移点が20〜50℃の範囲に選択されていることが望ましい。
【0039】
特には、前記アクリル樹脂は、加熱温度を100℃〜150℃の範囲に選択し、30分間以上加熱することで、該アクリル樹脂の熱硬化物の作製が可能であることが望ましい。
【発明の効果】
【0040】
本発明にかかる導電性ペーストは、樹脂成分として、284〜946のエポキシ当量、58〜155水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を選択することによって、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として、汎用されているPETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの軟化点よりも有意に低い加熱温度、例えば、150℃以下の加熱処理により硬化可能な導電性ペーストとなっている。加えて、本発明にかかる導電性ペーストを熱硬化して作製される導電体膜は、PETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルム表面に優れた密着性を示し、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えている。さらには、本発明にかかる導電性ペーストは、常温で保管する間に、該アクリル樹脂間の架橋による粘度の上昇がなく、常温での保管安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明にかかる導電性ペーストと、その製造方法を詳しく説明する。
【0042】
まず、本発明の導電性ペーストでは、導電性フィラーとして、金属銀粉を選択している。使用される金属銀粉の形状は、球形状の金属銀粉、鱗片状の金属銀粉のいずれの形状を選択することが可能である。
【0043】
使用される金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、作製すべき導電性膜の平均膜厚Wを考慮して選択される。実際には、作製される導電性膜の微視的構造は、金属銀粉の積層構造からなる電気伝導経路に対して、その隙間に樹脂成分が充填され、金属銀粉相互を接着固定する構造となっている。従って、作製される導電性膜の平均膜厚Wは、その骨格となる金属銀粉の積層構造の平均厚さにより決定される。一方、金属銀粉の積層構造の表面には、微視的には、それを構成している金属銀粉のサイズ(平均粒径d)の1/4〜1/3程度の凹凸が存在する。
【0044】
その結果、作製される導電性膜の膜厚の微視的なバラツキΔWは、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)の1/4〜1/3程度となる。作製される導電性膜の膜厚の微視的なバラツキΔWを、少なくとも、その平均膜厚Wの1/10以下、好ましくは、1/20以下とする上では、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)の1/4を、作製される導電性膜の平均膜厚Wの1/10以下、好ましくは、1/20以下とすることが望ましい。従って、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、少なくとも、d≦(2/5)W、好ましくは、d≦(1/5)Wとすることが望ましい。
【0045】
フレキシブルプリント基板で利用される配線層の膜厚は、通常、50μm以下の範囲に選択される。フレキシブルプリント基板で利用される配線層の作製に利用する上では、作製される導電性膜の平均膜厚Wは、W≦50μmとなり、それに伴って、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、少なくとも、d≦20μm、好ましくは、d≦10μmに選択することが好ましい。
【0046】
形成される金属銀粉の積層構造は、使用される金属銀粉の形状が、球形状の金属銀粉と鱗片状の金属銀粉の場合では、相違する。球形状の金属銀粉を使用する場合、形成される金属銀粉の積層構造は、その膜厚方向と、その面内方向とでは、実質的な差異は無い。一方、鱗片状の金属銀粉を使用する場合、形成される金属銀粉の積層構造は、その膜厚方向では、鱗片が平坦に並ぶ配置をとる傾向が高い。
【0047】
前記の差異を考慮すると、球形状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、d≦10μm、より好ましくは、d≦7μmに選択することが望ましい。一方、鱗片状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)を、d≦10μmに選択しても、球形状の金属銀粉を使用する場合に、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)をd≦7μmに選択する時と同じ程度の作製される導電性膜の膜厚の微視的なバラツキΔWとなる。換言すると、鱗片状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)を、d≦10μmに選択することが望ましい。
【0048】
一方、形成される金属銀粉の積層構造で構成される電気伝導経路において、その抵抗成分の相当部分は、金属銀粉相互の接触部位における接触抵抗となっている。この金属銀粉相互の接触部位における接触抵抗の総和は、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)が小さくなるとともに、接触部位の個数が増し、また、接触部位の接触面積も減少する結果、増加する。従って、形成される金属銀粉の積層構造で構成される電気伝導経路全体の抵抗値の増加を抑制する上では、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、少なくとも、d≧0.3μm、好ましくは、d≧0.5μmの範囲に選択することが望ましい。
【0049】
上記の二つの要件を考慮すると、球形状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、0.3μm≦d≦10μm、より好ましくは、0.5μm≦d≦7μmの範囲に選択することが望ましい。鱗片状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、0.3μm≦d≦10μm、より好ましくは、0.5μm≦d≦10μmの範囲に選択することが望ましい。
【0050】
さらには、フレキシブルプリント基板で利用される配線層の膜厚を、通常、30μm以下の範囲に選択する場合には、使用する金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、下記のように選択することが好ましい。
【0051】
球形状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、0.3μm≦d≦5μm、より好ましくは、0.5μm≦d≦4μmの範囲に選択することが望ましい。鱗片状の金属銀粉を使用する場合、金属銀粉のサイズ(平均粒径d)は、0.3μm≦d≦5μm、より好ましくは、0.5μm≦d≦5μmの範囲に選択することが望ましい。
【0052】
一方、作製される導電性膜の微視的構造は、金属銀粉の積層構造からなる電気伝導経路に対して、その隙間に樹脂成分が充填され、金属銀粉相互を接着固定する構造となっている。従って、樹脂成分の体積は、作製される導電性膜の全体の体積から、前記金属銀粉の積層構造を構成する金属銀粉の体積の総和を減したものとなる。
【0053】
一般に、作製される導電性膜の全体の体積中に占める、前記金属銀粉の積層構造を構成する金属銀粉の体積の総和の比率が高いほど、作製される導電性膜の全体の導電率が高くなる。使用する金属銀粉が、例えば、平均粒径が10μm以下、1.0μm以上の鱗片状金属銀粉と、平均粒径が7μm以下、0.3μm以上の球状金属銀粉との混合物であり、
前記鱗片状金属銀粉と球状金属銀粉の混合比率(質量比)は、鱗片状金属銀粉の合計質量:球状金属銀粉の合計質量は、9:1〜2:8の範囲に選択することで、金属銀粉の積層構造を構成する金属銀粉の体積の総和の比率が高くなる場合がある。前記の形態を選択することも可能である。
【0054】
鱗片状金属銀粉と、球状金属銀粉とを併用する際には、鱗片状金属銀粉の平均粒径dflakeと、球状金属銀粉のdballの比;dflake:dballは、10.0:7.0〜1.0:0.3の範囲、好ましくは、5.0:3.0〜1.0:0.5の範囲に選択することが望ましい。前記の比を選択すると、例えば、鱗片状金属銀粉相互の隙間に、球状金属銀粉が入り込む形態となり、金属銀粉全体の導電性経路が増すため、電気伝導性の向上が図れる。
【0055】
本発明の導電性ペーストでは、金属銀粉100質量部当たり、前記アクリル樹脂を3〜8質量部の範囲、より好ましくは、5〜7質量部の範囲で配合する。その際、作製される導電性膜は、金属銀粉100質量部当たり、前記アクリル樹脂の熱硬化物を、約3〜8質量部の範囲、より好ましくは、約5〜7質量部の範囲で含む状態となる。
【0056】
銀の密度ρAgは、10.49g/cm3(20℃)であり、一方、上記アクリル樹脂の平均密度ρresinは、1.10g/cm3〜1.18g/cm3の範囲である。従って、金属銀粉100質量部当たり、前記アクリル樹脂の熱硬化物を、約3〜8質量部の範囲で含む状態では、その体積比は、[100/10.49]:[3/ρresin(例えば、ρresin=1.15)]〜[100/10.49]:[8/ρresin(例えば、ρresin=1.15)]の範囲となる。金属銀粉100質量部当たり、前記アクリル樹脂の熱硬化物を、約5〜7質量部の範囲で含む状態では、その体積比は、[100/10.49]:[5/ρresin(例えば、ρresin=1.15)]〜[100/10.49]:[7/ρresin(例えば、ρresin=1.15)]の範囲となる。
【0057】
前記アクリル樹脂の熱硬化物の体積は、作製される導電性膜の全体の体積から、前記金属銀粉の積層構造を構成する金属銀粉の体積の総和を減したものとなる。従って、本発明の導電性ペースト中に含まれる、前記金属銀粉の体積の総和と、前記アクリル樹脂の体積の総和の比:[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、少なくとも、100:27〜100:73の範囲、より好ましくは、100:45〜100:64の範囲に選択することが好ましい。
【0058】
金属銀粉の積層構造からなる電気伝導経路に対して、その隙間にアクリル樹脂の熱硬化物が充填され、金属銀粉相互を接着固定する構造を形成する際、前記アクリル樹脂の熱硬化物は、金属銀粉の表面に高い接着性を示すことが好ましい。本発明の導電性ペーストでは、シランカップリング剤を利用して、前記アクリル樹脂の熱硬化物と、金属銀粉の表面と高い接着性を達成している。すなわち、シランカップリング剤を利用して、金属銀粉の表面に反応性の官能基を導入し、アクリル樹脂中に存在する官能基との反応を介して、共有結合的に金属銀粉の表面へのアクリル樹脂の接着を達成している。
【0059】
シランカップリング剤の添加量は、金属銀粉の含有量に依存して選択される。具体的には、含有される金属銀粉の表面の面積の総和を考慮して、シランカップリング剤の添加量を選択することが好ましい。本発明の導電性ペーストでは、金属銀粉100質量部当たり、シランカップリング剤の添加量を0.1〜1.5質量部の範囲、より好ましくは、0.3〜1.0質量部の範囲に選択することが望ましい。
【0060】
なお、該シランカップリング剤により導入される官能基は、エポキシ基あるいはヒドロキシル基に対する反応性を有することが好ましい。例えば、該シランカップリング剤により導入される官能基は、エポキシ基であることが好ましい。
【0061】
該シランカップリング剤は、有機溶剤中に均一に溶解している形状とすることができる。その際には、シランカップリング剤と有機溶剤の含有量の比率(質量比);[シランカップリング剤含有量]:[有機溶剤含有量]は、1:5〜1:250の範囲、好ましくは、1:8〜1:85の範囲、例えば、1:10〜1:70の範囲に選択することが望ましい。
【0062】
本発明の導電性ペーストは、上述のアクリル樹脂とシランカップリング剤を溶解している液相中に、金属銀粉を均一に分散して、所望の粘度を有するペーストとしている。このアクリル樹脂とシランカップリング剤を溶解している液相を形成するため、アクリル樹脂とシランカップリング剤を溶解する有機溶剤を配合する。この有機溶剤の含有量も、金属銀粉の含有量に依存して選択される。具体的には、アクリル樹脂とシランカップリング剤の含有量が、金属銀粉の含有量に依存して選択されるため、このアクリル樹脂とシランカップリング剤を溶解するために使用される有機溶剤の含有量も、金属銀粉の含有量に依存して選択される。
【0063】
本発明の導電性ペーストでは、金属銀粉100質量部当たり、有機溶剤の含有量を8〜25質量部の範囲、より好ましくは、10〜15質量部の範囲に選択する。
【0064】
銀の密度ρAgは、10.49g/cm3(20℃)であり、一方、有機溶剤の密度ρsolventは、一般に、0.89g/cm3〜1.08g/cm3の範囲となっている。従って、金属銀粉100質量部当たり、前記有機溶剤を、8〜25質量部の範囲で含む状態では、その体積比は、[100/10.49]:[8/ρsolvent]〜[100/10.49]:[25/ρsolvent]の範囲となる。金属銀粉100質量部当たり、前記有機溶剤を、約10〜15質量部の範囲で含む状態では、その体積比は、[100/10.49]:[10/ρsolvent]〜[100/10.49]:[15/ρsolvent]の範囲となる。
【0065】
使用される有機溶剤は、アクリル樹脂の熱硬化物を形成する過程、シランカップリング剤を金属銀粉の表面に作用させる過程において、その反応溶媒としての機能を有することが必要である。そのため、前記の過程を行う加熱処理温度に加熱するまでに、該有機溶剤が全て蒸散する状態を引き起こさないことが必要であり、常圧での沸点が150℃以上266℃以下の有機溶剤を使用している。より好ましくは、常圧での沸点が180℃以上230℃以下の有機溶剤を使用することが望ましい。
【0066】
すなわち、アクリル樹脂は、有機溶剤中に均一に溶解している形状とすることができる。その際には、アクリル樹脂と有機溶剤の含有量の比率(質量比);[アクリル樹脂含有量]:[有機溶剤含有量]は、1:1〜1:8.5の範囲、好ましくは、1:1.1〜1:5の範囲、例えば、1:1.5〜1:4の範囲に選択することが望ましい。
【0067】
加えて、使用される有機溶剤は、アクリル樹脂中に存在している反応性官能基である、エポキシ基、ならびに、ヒドロキシル基に対して、高い反応性を示す官能基を内在していないことが好ましい。例えば、有機溶剤として、n−ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル;沸点:226℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:189℃)などが好適に利用できる。有機溶剤として、一般に、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルのうち、沸点が、150℃以上266℃以下の範囲となるものが好適に利用できる。さらには、有機溶剤として、前記のグリコールモノアルキルエーテル型溶剤に加えて、該グリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル、すなわち、グリコールモノアルキルエーテル モノアセテートのうち、沸点が、150℃以上266℃以下の範囲となるものを利用することができる。
【0068】
この有機溶剤は、作製される導電性ペーストの粘度を調整するための、希釈溶媒の機能も有している。そのため、有機溶剤の含有量は、所望の粘度に調整するための、上記に含有量の範囲内で、適する含有量に選択される。なお、該導電性ペースト中に含まれる、前記有機溶剤の含有比率は、該導電性ペーストの40体積%〜70体積%の範囲、より望ましくは、40体積%〜60体積%の範囲に選択されていることが好ましい。
【0069】
一方、本発明の導電性ペーストは、配線パターンの形状に合わせて、塗布膜を形成する際、例えば、スクリーン印刷法を応用する。スクリーン印刷法を応用する際には、該導電性ペーストの粘度は、5Pa・s〜70Pa・sの範囲、より望ましくは、20Pa・s〜70Pa・sの範囲に選択されていることが好ましい。さらには、該導電性ペーストの粘度は、30Pa・s〜60Pa・sの範囲に選択されていることがより好ましい。
【0070】
さらには、本発明の導電性ペーストでは、該導電性ペースト中に金属銀粉が均一に分散している状態を達成する必要がある。液相を構成する有機溶剤の種類、その含有量によっては、金属銀粉の分散性を向上する目的で、金属銀粉に対する分散剤を、金属銀粉100質量部当たり、0.1質量部〜1.5質量部の範囲、より好ましくは、0.3質量部〜1.0質量部の範囲で添加している形態を選択することもできる。その際、金属銀粉に対する分散剤として、ビックケミージャパン製BYK-W980(主成分:不飽和脂肪酸ポリアミンアミドと酸性エステル、酸価;40、アミン価;30)など、キレート化剤型の分散剤を利用することが望ましい。
【0071】
本発明にかかる導電性ペーストでは、前記アクリル樹脂の熱硬化物の形成は、該アクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基との間において、アクリル樹脂の鎖間にいて、架橋結合が形成されることで進行する。
【0072】
そのため、使用されるアクリル樹脂として、284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を選択している。
【0073】
その際、前記アクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基との比率は、1個のエポキシ基当たり、平均0.3個〜2.6個のヒドロキシル基が存在する割合、より好ましくは、平均0.7個〜1.5個のヒドロキシル基が存在する割合に選択されていることが望ましい。
【0074】
また、該アクリル樹脂のエポキシ当量は、少なくとも、284〜946の範囲、より好ましくは、284〜470の範囲に選択することが好ましい。すなわち、該アクリル樹脂を構成するモノマー単位、2〜8単位当たり、より好ましくは、2〜4単位当たりに、1個のエポキシ基が存在する比率を選択することが好ましい。同時に、該アクリル樹脂の水酸基価は、58〜155の範囲、より好ましくは、75〜120の範囲に選択することが好ましい。該アクリル樹脂の水酸基当量に換算すると、水酸基当量は、1000×(56.11/58)〜1000×(56.11/155)の範囲、すなわち、967〜360の範囲、より好ましくは、1000×(56.11/75)〜1000×(56.11/120)の範囲、すなわち、748〜469の範囲であることが望ましい。すなわち、該アクリル樹脂を構成するモノマー単位、9〜3単位当たり、より好ましくは、7〜4単位当たりに、1個のヒドロキシル基が存在する比率を選択することが好ましい。
【0075】
該アクリル樹脂のエポキシ当量が946、該アクリル樹脂の水酸基価が155(すなわち、水酸基当量が362に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均2.6個のヒドロキシル基が存在する割合であり、該アクリル樹脂のエポキシ当量が284、該アクリル樹脂の水酸基価が58(すなわち、水酸基当量が967に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均0.3個のヒドロキシル基が存在する割合である。該アクリル樹脂のエポキシ当量が284、該アクリル樹脂の水酸基価が155(すなわち、水酸基当量が362に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均0.8個のヒドロキシル基が存在する割合であり、該アクリル樹脂のエポキシ当量が946、該アクリル樹脂の水酸基価が58(すなわち、水酸基当量が967に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均1個のヒドロキシル基が存在する割合である。
【0076】
該アクリル樹脂のエポキシ当量が470、該アクリル樹脂の水酸基価が120(すなわち、水酸基当量が469に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均1個のヒドロキシル基が存在する割合であり、該アクリル樹脂のエポキシ当量が284、該アクリル樹脂の水酸基価が75(すなわち、水酸基当量が748に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均0.4個のヒドロキシル基が存在する割合である。該アクリル樹脂のエポキシ当量が470、該アクリル樹脂の水酸基価が75(すなわち、水酸基当量が748に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均0.6個のヒドロキシル基が存在する割合であり、該アクリル樹脂のエポキシ当量が284、該アクリル樹脂の水酸基価が120(すなわち、水酸基当量が467に相当する)である場合、1個のエポキシ基当たり、平均0.6個のヒドロキシル基が存在する割合である。
【0077】
前記アクリル樹脂は、その分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲、より好ましくは、その分子量が5万〜13万、ガラス転移点が20〜50℃の範囲に選択されていることが望ましい。
【0078】
特には、前記アクリル樹脂は、加熱温度を100℃〜150℃の範囲に選択し、30分間以上加熱することで、該アクリル樹脂の熱硬化物の作製が可能であることが望ましい。
【0079】
本発明にかかる導電性ペーストで使用する前記アクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基は、反応性の官能基として機能する。
【0080】
この特徴を利用することで、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として、汎用されているPETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの表面に、易接着性表面処理を施し、反応性の官能基が生成されている場合、該表面の反応性の官能基と、アクリル樹脂中に存在する反応性の官能基との間で、共有結合を形成させ、アクリル樹脂を接着させることができる。すなわち、アクリル樹脂の熱硬化処理の過程で、易接着性表面処理を施したPETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの表面に存在する、反応性の官能基と、アクリル樹脂中に存在する反応性の官能基との間で、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を密着させることができる。
【0081】
また、易接着性表面処理を施していない場合でも、加熱処理の過程において、PETフィルムの表面のエステル結合に、ヒドロキシル基が作用すると、エステル交換反応が進行し、PETフィルムの表面にヒドロキシル基が生成する、ポリイミドフィルムの表面のイミド結合に、ヒドロキシル基が作用すると、交換反応は進行し、ポリイミドフィルムの表面にアミノ基が生成する。このような加熱処理の過程で生成する反応性の官能基を利用して、アクリル樹脂中に存在する反応性の官能基との間で、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を密着させることができる。
【0082】
例えば、PETフィルムの表面に生成するヒドロキシル基と、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基との反応によって、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を密着させることができる。例えば、ポリイミドフィルムの表面に生成するアミノ基と、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基との反応によって、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を密着させることができる。
【0083】
また、アクリル樹脂の熱硬化は、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基とヒドロキシル基との反応によって、ポリマー鎖間に架橋が形成されることに因っている。さらには、シランカップリング剤によって、金属銀粉の表面に導入される官能基、例えば、エポキシ基と、アクリル樹脂中に存在するヒドロキシル基との反応によって、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を金属銀粉に密着させることが可能となる。
【0084】
なお、有機溶剤中において、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基とヒドロキシル基との反応によって、ポリマー鎖間に架橋が形成されると、かかる部分的にポリマー鎖間に架橋が形成されたアクリル樹脂を含む液相の流動性の低下が起こる。さらに、このポリマー鎖間の架橋形成の反応速度は、有機溶剤中に含まれるアクリル樹脂の濃度に依存する。すなわち、有機溶剤中に含まれるアクリル樹脂の濃度が上昇するとともに、反応速度は、[アクリル樹脂の濃度]2に比例して上昇する。ポリマー鎖間の架橋形成の反応速度は、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基とヒドロキシル基の含有比率、すなわち、エポキシ当量と水酸基当量にも依存する。すなわち、エポキシ基とヒドロキシル基の反応に伴う、ポリマー鎖間の架橋形成の反応速度は、一般に、エポキシ当量と水酸基当量の積:[エポキシ当量]・[水酸基当量]に反比例する。
【0085】
本発明にかかる導電性ペーストでは、有機溶剤中に含まれるアクリル樹脂の濃度、ならびに、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基とヒドロキシル基の含有比率、すなわち、エポキシ当量と水酸基当量を上記の範囲に選択することによって、室温で保管する間に、含まれるアクリル樹脂のポリマー鎖間の架橋形成に伴う、流動性の低下、すなわち、液粘度の上昇を回避することが可能となっている。
【0086】
本発明にかかる導電性ペーストでは、樹脂成分として利用するアクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基は、反応性の官能基として機能することを利用して、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として、汎用されているPETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの軟化点よりも有意に低い、150℃以下の加熱温度で熱硬化可能である。加えて、作製される導電体膜は、PETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルム表面に優れた密着性を示すものとなる。また、アクリル樹脂の熱硬化物は、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えている。したがって、該アクリル樹脂の熱硬化物を樹脂成分とする、作製される導電体膜は、PETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルム表面に優れた密着性を示し、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えているという要件を満足する。
【0087】
以下に、本発明にかかる導電性ペーストで使用されるアクリル樹脂、すなわち、284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を調製する方法の一例を簡単に説明する。
【0088】
例えば、アクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基を導入する際には、該アクリル樹脂を構成する(メタ)アクリル酸系単量体として、メタクリル酸メチル(CH2=C(CH3)-COO-CH3;分子量:100.1)、グリシジル メタクリレート(CH2=C(CH3)-COO-CH2-CH(O)CH2;分子量:142.2)、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(CH2=C(CH3)-COOH-CH2CH(OH)CH3;分子量:145.2)、アクリル酸n−ブチル(CH2=CH-COOH-C4H9;分子量:129.2)を併用する。グリシジル メタクリレートのグリシジル基に由来するエポキシ基、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルの2−ヒドロキシプロピル基に由来するヒドロキシル基が導入される。
【0089】
一方、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルの含有比率を調整することで、形成されるアクリル系共重合ポリマーのガラス転移点を調整することが可能となる。
【0090】
形成されるアクリル系共重合ポリマーの平均分子量は、反応系に存在する(メタ)アクリル酸系単量体の量と、重合反応開始剤として使用する、ラジカル重合開始剤、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ2−エチルヘキサノエート(C4H9-CH(C2H5)COO-O-C(CH3)2-CH2-C(CH3)3;分子量:272.4)の量の比率に依存する。ラジカル重合開始剤1分子当たりの、平均した(メタ)アクリル酸系単量体分子の個数を調整すると、形成されるアクリル系共重合ポリマーの平均分子量を調整することができる。
【0091】
さらには、(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、反応性が相当に相違する単量体、例えば、スチレン(C6H5-CH=CH2;分子量:104.2)を少量添加することで、重合の進行速度を調整することで、形成されるアクリル系共重合ポリマーの平均分子量の分布を調整することができる。
【0092】
実際の重合反応の速度は、反応液中に存在する(メタ)アクリル酸系単量体の濃度と、ラジカル重合開始剤の濃度に依存するので、反応中、これらの濃度が実質的に一定となるように調整する。例えば、予め、使用する複数種の(メタ)アクリル酸系単量体を均一に混合した原料モノマー混合液を用意する。一方、ラジカル重合開始剤は、反応溶媒中に溶解して、予め希釈して、重合開始剤混合液を用意する。
【0093】
一方、多量の反応溶媒を予め、反応温度に加熱しておき、前記原料モノマー混合液と、重合開始剤混合液を一定の滴下速度で、個別に反応溶媒中に滴下し、攪拌、混合することで、反応系内における、(メタ)アクリル酸系単量体の濃度と、ラジカル重合開始剤の濃度をほぼ一定に維持しつつ、重合反応を行わせることができる。
【0094】
前記原料モノマー混合液と、重合開始剤混合液の滴下を完了した時点では、反応系内には、未反応の原料モノマーが若干量残っている。その後、反応系の温度を維持することで、既に伸長されるポリマー鎖に、未反応の原料モノマーを更に反応させる、所謂、「熟成」期間を設けることで、反応系に滴下された原料モノマーを完全に消費した段階で、重合反応を終了させる。
【0095】
ラジカル重合反応は、ラジカル重合開始剤由来のラジカル種の生成によって開始されるため、反応温度は、前記ラジカル種の生成が可能な温度範囲に選択される。選択される反応温度に加熱する間に、反応溶媒が蒸散し、反応系内における、(メタ)アクリル酸系単量体の濃度と、ラジカル重合開始剤の濃度の上昇を引き起こすことを回避するため、反応容器には、還流冷却器を付加する。一方、反応溶媒が沸騰状態となると、その気化熱のため、反応液の温度は、反応溶媒の沸点より高くならない。その点を考慮すると、反応溶媒の沸点は、目的とする反応温度より高いことが必要である。
【0096】
加えて、反応温度に加熱している状態で、反応溶媒は、(メタ)アクリル酸系単量体、ラジカル重合開始剤、ならびに、生成するアクリル系共重合ポリマーを均一に溶解する必要がある。通常、反応温度に加熱した際、(メタ)アクリル酸系単量体は液状であり、また、ラジカル重合開始剤も液状である。前記原料モノマー混合液を反応溶液中に滴下した際、反応溶液中に速やかに溶解し、濃度の均一化を図る必要がある。その点を考慮すると、反応溶媒として、(メタ)アクリル酸系単量体、ラジカル重合開始剤、ならびに、生成するアクリル系共重合ポリマーの溶解性に優れる有機溶媒を利用することが好ましい。
【0097】
284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル系共重合ポリマーを合成する際、その反応温度は、70℃〜100℃の範囲に選択することが好ましい。
【0098】
上記の方法で作製されるアクリル系共重合ポリマーの平均組成は、前記原料モノマー混合液中に含まれる、複数種の(メタ)アクリル酸系単量体の含有比率と、実質的に等しくなっている。また、形成されるアクリル系共重合ポリマーを構成するモノマーの単位数の平均は、使用した、ラジカル重合開始剤1分子当たりの、平均した(メタ)アクリル酸系単量体分子の個数を下回ることはない。
【0099】
「熟成」処理を完了した後、反応溶液を冷却する。
【0100】
アクリル系共重合ポリマーの「ガラス転移点」の測定は、一般に、溶媒成分を含まないアクリル系共重合ポリマーを利用して測定される。
【0101】
上記の反応終了後、溶媒成分を含まないアクリル系共重合ポリマーを入手する手段として、薄膜乾燥などを利用することができる。
【実施例】
【0102】
以下に、具体例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの具体例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、これら具体例に示す形態に限定されるものではない。
【0103】
まず、後述の実施例1、2の導電性ペーストの調製に利用される、アクリル系共重合ポリマー(1)の製造工程を、参考例1に示す。
【0104】
(参考例1) アクリル系共重合ポリマー(1)の製造方法
284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜25万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂の製造方法の一例として、アクリル系共重合ポリマー(1)の製造工程の一例を以下に記載する。
【0105】
アクリル系共重合ポリマー(1)の原料モノマーは、予め均一に混合して、原料モノマー混合液とする。
【0106】
具体的には、(メタ)アクリル酸系単量体として、メタクリル酸メチル(CH2=C(CH3)-COO-CH3;分子量:100.1)430g、アクリル酸n−ブチル(CH2=CH-COOH-C4H9;分子量:129.2)165g、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(CH2=C(CH3)-COOH-CH2CH(OH)CH3;分子量:145.2)450g、グリシジル メタクリレート(CH2=C(CH3)-COO-CH2-CH(O)CH2;分子量:142.2)450g、さらに、スチレン(C6H5-CH=CH2;分子量:104.2)5gを、混合して、原料モノマー混合液を調製する。
【0107】
該原料モノマーの合計は、1500gとなる。また、モル量で示す原料モノマーの組成比率は、メタクリル酸メチル:4.3モル、アクリル酸n−ブチル:1.3モル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル:3.1モル、グリシジル メタクリレート:3.2モル、さらに、スチレン:0.05モルとなっている。
【0108】
一方、ラジカル重合開始剤である、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ2−エチルヘキサノエート(C4H9-CH(C2H5)COO-O-C(CH3)2-CH2-C(CH3)3;分子量:272.4)28gを、その溶媒の、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:189℃)1250gに均一に混合して、重合開始剤混合液を調製する。該重合開始剤混合液中には、前記ラジカル重合開始剤が、0.1モル含有されている。
【0109】
従って、前記ラジカル重合開始剤1分子当たり、原料モノマーの合計は、119.5分子の比率となっている。
【0110】
還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルの4つ口フラスコに、2250gのジプロピレングリコールモノメチルエーテルを仕込み、窒素の吹き込みを開始する。
【0111】
次いで、該ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを攪拌しながら85℃まで昇温する。
【0112】
その後、4つ口フラスコに取り付けた別々の滴下ノズルより、原料モノマー混合液と、重合開始剤混合液を、それぞれ、一定の滴下速度で連続的に滴下する。原料モノマー混合液の滴下速度は、6.9ml/分、重合開始剤混合液の滴下速度は、5.5ml/分に設定することで、4時間かけて、全量が滴下される。
【0113】
その結果、容量5リットルの4つ口フラスコ中に、原料モノマーの合計、1500g、前記ラジカル重合開始剤28g、溶媒のジプロピレングリコールモノメチルエーテルの合計、3500gが投入されていることになる。
【0114】
滴下終了後、液温85℃に保持し、そのまま6時間、重合反応液を熟成することにより、重合反応を完結させる。生成するアクリル系共重合ポリマー(1)が、溶媒のジプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解されている、アクリル樹脂溶液が得られる。
【0115】
得られるアクリル樹脂溶液中、アクリル系共重合ポリマー(1)の濃度(固形分濃度)は30.0%であった。また、アクリル系共重合ポリマー(1)の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算質量平均分子量で120,000であった。
【0116】
すなわち、アクリル系共重合ポリマー(1)の平均組成は、各モノマーの含有比率として、メタクリル酸メチル:36.0ユニット、アクリル酸n−ブチル:10.9ユニット、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル:25.9ユニット、グリシジル メタクリレート:26.8ユニット、ならびに、スチレン:0.4ユニットとなっている。
【0117】
その結果、アクリル系共重合ポリマー(1)中における、グリシジル メタクリレートのグリシジル基に由来するエポキシ基の含有比率は、エポキシ当量473に相当している。また、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルの2−ヒドロキシプロピル基によるヒドロキシル基(−OH)の含有比率は、水酸基価117に相当している。水酸基当量に換算すると、479に相当している。
【0118】
従って、アクリル系共重合ポリマー(1)中に含まれるエポキシ基と、ヒドロキシル基(−OH)の含有比率は、1個のエポキシ基当たり、平均約1個のヒドロキシル基(−OH)が存在する割合に相当している。
【0119】
該アクリル系共重合ポリマー(1)のガラス転移点は、37℃であった。
【0120】
まず、後述の比較例1のペーストの調製に利用される、アクリル系共重合ポリマー(2)の製造工程を、参考例2に示す。
【0121】
(参考例2) アクリル系共重合ポリマー(2)の製造方法
エポキシ当量0であり、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂の製造方法の一例として、アクリル系共重合ポリマー(2)の製造工程の一例を以下に記載する。
【0122】
アクリル系共重合ポリマー(2)の原料モノマーは、予め均一に混合して、原料モノマー混合液とする。
【0123】
具体的には、(メタ)アクリル酸系単量体として、メタクリル酸メチル757g、アクリル酸n−ブチル288g、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル450g、グリシジル メタクリレート0g、さらに、スチレン5gを、混合して、原料モノマー混合液を調製する。
【0124】
該原料モノマーの合計は、1500gとなる。また、モル量で示す原料モノマーの組成比率は、メタクリル酸メチル:7.6モル、アクリル酸n−ブチル:2.2モル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル:3.1モル、グリシジル メタクリレート:0モル、さらに、スチレン:0.05モルとなっている。
【0125】
一方、ラジカル重合開始剤である、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ2−エチルヘキサノエート28gを、その溶媒の、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル1250gに均一に混合して、重合開始剤混合液を調製する。該重合開始剤混合液中には、前記ラジカル重合開始剤が、0.1モル含有されている。
【0126】
従って、前記ラジカル重合開始剤1分子当たり、原料モノマーの合計は、129.5分子の比率となっている。
【0127】
還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルの4つ口フラスコに、2250gのジプロピレングリコールモノメチルエーテルを仕込み、窒素の吹き込みを開始する。
【0128】
次いで、該ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを攪拌しながら85℃まで昇温する。
【0129】
その後、4つ口フラスコに取り付けた別々の滴下ノズルより、原料モノマー混合液と、重合開始剤混合液を、それぞれ、一定の滴下速度で連続的に滴下する。原料モノマー混合液の滴下速度は、6.9ml/分、重合開始剤混合液の滴下速度は、5.5ml/分に設定することで、4時間かけて、全量が滴下される。
【0130】
その結果、容量5リットルの4つ口フラスコ中に、原料モノマーの合計、1500g、前記ラジカル重合開始剤28g、溶媒のジプロピレングリコールモノメチ エーテルの合計、3500gが投入されていることになる。
【0131】
滴下終了後、液温85℃に保持し、そのまま6時間、重合反応液を熟成することにより、重合反応を完結させる。生成するアクリル系共重合ポリマー(2)が、溶媒のジプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解されている、アクリル樹脂溶液が得られる。
【0132】
得られるアクリル樹脂溶液中、アクリル系共重合ポリマー(2)の濃度(固形分濃度)は30.0%であった。また、アクリル系共重合ポリマー(2)の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算質量平均分子量で130,000であった。
【0133】
すなわち、アクリル系共重合ポリマー(1)の平均組成は、各モノマーの含有比率として、メタクリル酸メチル:58.6ユニット、アクリル酸n−ブチル:17.0ユニット、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル:23.9ユニット、グリシジル メタクリレート:0ユニット、ならびに、スチレン:0.05ユニットとなっている。
【0134】
その結果、アクリル系共重合ポリマー(2)中における、エポキシ基の含有比率は、エポキシ当量0である。また、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルの2−ヒドロキシプロピル基によるヒドロキシル基(−OH)の含有比率は、水酸基価117に相当している。
【0135】
該アクリル系共重合ポリマー(2)のガラス転移点は、37℃であった。
【0136】
(実施例1)
実施例1では、アクリル樹脂成分として、上記参考例1に記載する、エポキシ当量473、水酸基価117を有し、ガラス転移点が37℃、分子量が12万のアクリル系共重合ポリマー(1)を使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。
【0137】
前記アクリル系共重合ポリマー(1)は、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。
【0138】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマー(1)のn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0139】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径3μmの鱗片状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0140】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール3質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0141】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径3μmの鱗片状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(1))が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、26質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、鱗片状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(1))の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:47に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、50体積%に相当している。なお、前記シランカップリング剤により、反応性官能基として、エポキシ基が導入される。
【0142】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0143】
ベース・フィルムとして、PETフィルムは、帝人デュポンフィルム社製テトロンSL(易接着性表面処理無し)、帝人デュポンフィルム社製テトロンHLEW(易接着性表面処理あり)、東レ社製ルミラーU−98(易接着性表面処理あり)の3種を使用している。ポリイミドフィルムは、東レ・デュポン社製カプトン500H(易接着性表面処理無し)を使用している。
【0144】
線抵抗と平均膜厚から、体積固有抵抗率を算出する。
【0145】
密着性は、市販のニチバン製セロテープをもちいて剥離試験を行い評価する。
【0146】
鉛筆硬度は、JIS K5600に準拠し評価する。
【0147】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、17μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:49となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0148】
粘度変化率は、調製したペーストについて、作製直後の粘度と、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度を測定し、下記式より算出する。
粘度変化率(%)=(24時間保管後の粘度/作製直後の粘度)×100
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0149】
作製直後の粘度は、40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、40Pa・sであった。
【0150】
(実施例2)
実施例2でも、アクリル樹脂成分として、上記参考例1に記載する、エポキシ当量473、水酸基価117を有し、ガラス転移点が37℃、分子量が12万のアクリル系共重合ポリマー(1)を使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。
【0151】
前記アクリル系共重合ポリマー(1)は、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。
【0152】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマー(1)のn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0153】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0154】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール2質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0155】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(1))が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、25質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、球形状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(1))の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:48に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、47体積%に相当している。なお、前記シランカップリング剤により、反応性官能基として、エポキシ基が導入される。
【0156】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0157】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、18μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:51となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0158】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0159】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0160】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0161】
作製直後の粘度は、約40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、41Pa・sであった。
【0162】
(実施例3)
実施例3では、アクリル樹脂成分として、上記参考例1記載方法に準じて合成した、エポキシ当量946、水酸基価58を有し、ガラス転移点が12℃、分子量が15万のアクリル系共重合ポリマーを使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。
【0163】
前記アクリル系共重合ポリマーは、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。水酸基価58は、水酸基当量967に相当している。従って、該アクリル系共重合ポリマー中には、1個のエポキシ基当たり、約1個のヒドロキシル基が存在している。
【0164】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマーのn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部、分散剤ビックケミージャパン製BYK-W980 1質量部を添加する。前記シランカップリング剤および分散剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0165】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0166】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール1質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約38Pa・sに調整する。
【0167】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー)が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、分散剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、24質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、球形状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(1))の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:48に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、47体積%に相当している。なお、前記シランカップリング剤により、反応性官能基として、エポキシ基が導入される。
【0168】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0169】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、18μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:51となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0170】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0171】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0172】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0173】
作製直後の粘度は、約38Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、38Pa・sであった。
【0174】
(実施例4)
実施例4では、アクリル樹脂成分として、上記参考例1記載方法に準じて合成した、エポキシ当量284、水酸基価155を有し、ガラス転移点が49℃、分子量が5万のアクリル系共重合ポリマーを使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。
【0175】
前記アクリル系共重合ポリマーは、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。水酸基価155は、水酸基当量362に相当している。従って、該アクリル系共重合ポリマー中には、1個のエポキシ基当たり、約0.8個のヒドロキシル基が存在している。
【0176】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマーのn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0177】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0178】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール4質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約43Pa・sに調整する。
【0179】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー)が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、分散剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、27質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、球形状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー)の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:47に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、51体積%に相当している。なお、前記シランカップリング剤により、反応性官能基として、エポキシ基が導入される。
【0180】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0181】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、18μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:51となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0182】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0183】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0184】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0185】
作製直後の粘度は、約43Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、44Pa・sであった。
【0186】
(実施例5)
実施例5では、アクリル樹脂成分として、上記参考例1記載方法に準じて合成した、エポキシ当量284、水酸基価155を有し、ガラス転移点が22℃、分子量が7万のアクリル系共重合ポリマーを使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。
【0187】
前記アクリル系共重合ポリマーは、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。水酸基価155は、水酸基当量362に相当している。従って、該アクリル系共重合ポリマー中には、1個のエポキシ基当たり、約0.8個のヒドロキシル基が存在している。
【0188】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマーのn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0189】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0190】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール5質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0191】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー)が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、分散剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、28質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、球形状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー)の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:48に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、52体積%に相当している。なお、前記シランカップリング剤により、反応性官能基として、エポキシ基が導入される。
【0192】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0193】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、18μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:51となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0194】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0195】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0196】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0197】
作製直後の粘度は、約40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、42Pa・sであった。
【0198】
(実施例6)
実施例4では、アクリル樹脂成分として、上記参考例1記載方法に準じて合成した、エポキシ当量284、水酸基価58を有し、ガラス転移点が47℃、分子量が8万のアクリル系共重合ポリマーを使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。
【0199】
前記アクリル系共重合ポリマーは、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。水酸基価58は、水酸基当量967に相当している。従って、該アクリル系共重合ポリマー中には、1個のエポキシ基当たり、約0.3個のヒドロキシル基が存在している。
【0200】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマーのn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0201】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0202】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール3質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0203】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径1μmの球形状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー)が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、分散剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、26質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、球形状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(1))の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:48に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、50体積%に相当している。なお、前記シランカップリング剤により、反応性官能基として、エポキシ基が導入される。
【0204】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0205】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、18μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:51となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0206】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0207】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0208】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0209】
作製直後の粘度は、約40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、42Pa・sであった。
【0210】
(比較例1)
比較例1では、アクリル樹脂成分として、上記参考例2に記載する、エポキシ当量0、水酸基価117を有し、ガラス転移点が37℃、分子量が13万のアクリル系共重合ポリマー(2)を使用して、下記の手順に従って、ペーストを調製している。
【0211】
前記アクリル系共重合ポリマー(2)は、溶媒n−ブチルカルビトール(沸点:226℃)中に、溶解して、アクリル樹脂成分(固形分)の含有率、30質量%のアクリル樹脂溶液の形態として、原料として利用している。該アクリル系共重合ポリマー(2)中には、ヒドロキシル基と反応可能なエポキシ基は存在していないため、ポリマー鎖間の架橋形成ができない。また、例えば、PETフィルムの表面に生成するヒドロキシル基と、アエポキシ基との反応によって、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を密着させることができない。例えば、ポリイミドフィルムの表面に生成するアミノ基と、エポキシ基との反応によって、共有結合を形成させ、アクリル樹脂の熱硬化物を密着させることもできない。
【0212】
反応容器に、前記アクリル系共重合ポリマー(2)のn−ブチルカルビトール溶液(固形分30%)33質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0213】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径3μmの鱗片状銀粉189質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0214】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール2質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0215】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径3μmの鱗片状銀粉189質量部当たり、該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(2))が、10質量部、シランカップリング剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、25質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、鱗片状銀粉と該アクリル樹脂(アクリル系共重合ポリマー(2))の体積比率;[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:48に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、49体積%に相当している。
【0216】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0217】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、18μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:51となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0218】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0219】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0220】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0221】
作製直後の粘度は、約40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、40Pa・sであった。
【0222】
(比較例2)
比較例2では、樹脂成分として、エポキシ当量180のビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER製エピコート828EL)を使用して、下記の手順に従って、ペーストを調製している。なお、調製されるペースト中には、前記エポキシ樹脂に対する硬化剤成分は、配合されていない。従って、該エポキシ樹脂は、硬化剤による熱硬化を起こせない。
【0223】
反応容器に、エポキシ当量180のビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER製エピコート828EL)12質量部、n−ブチルカルビトール14質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0224】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径3μmの鱗片状銀粉215質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0225】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール3質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0226】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径3μmの鱗片状銀粉215質量部当たり、該ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、12質量部、シランカップリング剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、17質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、鱗片状銀粉と該ビスフェノールA型エポキシ樹脂の体積比率;[金属銀粉体積:エポキシ樹脂体積]は、100:57に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、38体積%に相当している。
【0227】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minの加熱処理を施した。放冷後、膜の平均膜厚を測定する。
【0228】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。加熱処理後の膜の平均膜厚は、23μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、加熱処理後の膜の平均膜厚の割合は、100:64となっている。従って、加熱処理後の膜中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0229】
加熱処理後の膜の鉛筆硬度は、<5Bであり、実質的に硬化されていないものであった。また、加熱処理後の膜は、導電性を示していなかった。
【0230】
従って、体積固有抵抗率、密着性に関しての評価は不能であった。
【0231】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0232】
作製直後の粘度は、約40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、40Pa・sであった。
【0233】
(比較例3)
比較例3では、樹脂成分として、エポキシ当量180のビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER製エピコート828EL)と、その硬化剤成分として、アミン型潜在性硬化剤(味の素ファインテクノ製アミキュアPN−23)を使用して、下記の手順に従って、導電性ペーストを調製している。なお、調製されるペースト中における、前記エポキシ樹脂のエポキシ基に対する、アミン型潜在性硬化剤のアミノ基の比率は、1個のエポキシ基当たり、1個以下のアミノ基が配合されている状態となっている。
【0234】
反応容器に、エポキシ当量180のビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER製エピコート828EL)10質量部、アミン型潜在性硬化剤(味の素ファインテクノ製アミキュアPN−23)2質量部、n−ブチルカルビトール14質量部を入れ、シランカップリング剤1質量部を添加する。前記シランカップリング剤の添加後、十分に撹拌・混合し、均一な液状樹脂を調製する。前記シランカップリング剤として、エポキシシランカップリング剤である、KBM403(信越化学工業製)を使用している。
【0235】
次いで、均一な液状樹脂に対し、平均粒径3μmの鱗片状銀粉215質量部を添加する。その後、十分な撹拌・混合して、均一なペーストを調製する。
【0236】
さらに、希釈溶剤として、n−ブチルカルビトール3質量部を添加し、十分に撹拌・混合することにより、該ペーストの粘度を約40Pa・sに調整する。
【0237】
粘度調整されたペーストの組成は、平均粒径3μmの鱗片状銀粉215質量部当たり、該ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、10質量部、アミン型潜在性硬化剤(味の素ファインテクノ製アミキュアPN−23)が、2質量部、シランカップリング剤が、1質量部、溶剤のn−ブチルカルビトールが合計で、17質量部含有されている。従って、調製したペースト中の、鱗片状銀粉と(該ビスフェノールA型エポキシ樹脂+アミン型潜在性硬化剤)の体積比率;[金属銀粉体積:(エポキシ樹脂+硬化剤)体積]は、100:57に相当している。また、調製したペースト中に含まれる、溶剤のn−ブチルカルビトールの体積比率は、36体積%に相当している。
【0238】
調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、120℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0239】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、23μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:64となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0240】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0241】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0242】
該ペーストの粘度は、スパイラル型粘度計(マルコム製)を用いて、25℃で測定している。
【0243】
作製直後の粘度は、約40Pa・sであり、一方、23℃の恒温槽に24時間保管後の粘度は、84Pa・sであった。
【0244】
(比較例4)
比較例4では、比較例3に記載の導電性ペーストを使用し、加熱処理条件を変更して、硬化物を作製している。
【0245】
比較例3で調製したペーストは、各種フィルム上にスクリーン印刷にて10mm×50mmのパターン描画を行い、150℃×15minで硬化させる。放冷後、作製された硬化物の平均膜厚を測定する。
【0246】
調製したペーストの塗布膜の平均膜厚は、35μmに選択した。作製された硬化物の平均膜厚は、23μmであった。塗布膜の平均膜厚に対する、作製された硬化物の平均膜厚の割合は、100:64となっている。従って、作製された硬化物中には、溶剤のn−ブチルカルビトールは、実質的に残余していないと判断される。
【0247】
ベース・フィルムとして、上記実施例1に記載の4種のフィルムを使用している。
【0248】
体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度、ならびに、粘度変化率に関して、実施例1に記載する評価法で評価を行った。
【0249】
上記の実施例1〜6で調製されるペースト、比較例1〜3で調製されるペーストについて、粘度変化率の評価結果を纏めて、表1に示す。
【0250】
また、上記の実施例1〜6、ならびに、比較例1〜4において、各ペーストを利用して硬化膜の作製を行って、その体積固有抵抗率、密着性、鉛筆硬度を評価した結果も、併せて、表1に示す。
【0251】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0252】
本発明にかかる導電性ペーストは、フレキシブルプリント基板の配線層の形成に利用可能な導電体膜の作製に利用できる。特には、フレキシブルプリント基板の基材(ベースフィルム)として、汎用されているPETフィルム、あるいは、ポリイミドフィルムの表面に優れた密着性を示し、繰り返し曲げ変形が可能な柔軟性と、曲げ変形によって、内部の破断を生じることのない強靭さを具えている導電体膜を、150℃以下の加熱温度で熱硬化することで、再現性よく作製する用途に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温硬化可能な導電性ペーストであって、
樹脂成分として、284〜946のエポキシ当量、58〜155の水酸基価を有し、分子量が3万〜17万、ガラス転移点が10〜55℃の範囲のアクリル樹脂を選択し、
該導電性ペースト中には、
金属銀粉100質量部当たり、
前記アクリル樹脂を3〜8質量部、
シランカップリング剤を0.1〜1.5質量部、
常圧での沸点が150℃以上266℃以下の有機溶剤を8〜25質量部、
それぞれ含まれている
ことを特徴とする導電性ペースト。
【請求項2】
前記有機溶剤は、エポキシ基、ならびに、ヒドロキシル基に対して、高い反応性を示す官能基を内在していない
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
該導電性ペースト中に含まれる、
前記金属銀粉の体積の総和と、前記アクリル樹脂の体積の総和の比:[金属銀粉体積:アクリル樹脂体積]は、100:27〜100:73の範囲に選択される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】
該導電性ペースト中に含まれる、
前記有機溶剤の含有比率は、該導電性ペーストの40体積%〜70体積%の範囲に選択されている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項5】
該導電性ペーストの粘度は、5Pa・s〜70Pa・sの範囲に選択されている
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項6】
前記金属銀粉は、平均粒径が7μm以下、0.3μm以上の球状金属銀粉である
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項7】
前記金属銀粉は、平均粒径が10μm以下、1.0μm以上の鱗片状金属銀粉である
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項8】
前記金属銀粉は、
平均粒径が10μm以下、1.0μm以上の鱗片状金属銀粉と、平均粒径が7μm以下、0.3μm以上の球状金属銀粉との混合物であり、
前記鱗片状金属銀粉と球状金属銀粉の混合比率(質量比)は、鱗片状金属銀粉の合計質量:球状金属銀粉の合計質量は、9:1〜2:8の範囲に選択されている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項9】
前記シランカップリング剤により導入される官能基は、エポキシ基またはヒドロキシル基に対する反応性を有する
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項10】
前記シランカップリング剤により導入される官能基は、エポキシ基である
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項11】
該導電性ペースト中に、さらに、金属銀粉に対する分散剤が、
金属銀粉100質量部当たり、0.1質量部〜1.5質量部の範囲で添加されている
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項12】
前記アクリル樹脂中に存在するエポキシ基と、ヒドロキシル基との比率は、1個のエポキシ基当たり、平均0.3個〜2.6個のヒドロキシル基が存在する割合に選択されている
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項13】
前記アクリル樹脂は、その分子量が5万〜13万、ガラス転移点が20〜50℃の範囲に選択されている
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項14】
前記アクリル樹脂は、加熱温度を100℃〜150℃の範囲に選択し、30分間以上加熱することで、該アクリル樹脂の熱硬化物の作製が可能である
ことを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の導電性ペースト。

【公開番号】特開2011−57859(P2011−57859A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209245(P2009−209245)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000233860)ハリマ化成株式会社 (167)
【Fターム(参考)】