説明

低熱伝導率、低密度および低太陽光線吸収を有する暗色平坦部材

本発明は、低密度、低熱伝導率および低太陽光線吸収を有する、好ましくはプラスチック、ラッカーコーティングまたは繊維材料の暗色平坦部材に関する。該平坦部材は、可視光領域において暗色に着色されているにもかかわらず、近赤外領域において太陽光線による昇温を低減するため、電磁スペクトルの近赤外領域において比較的高い反射率を有する。低密度および低熱伝導率は、とりわけ、軽量充填材料を平坦部材内に挿入することにより得られる。前記平坦部材は、表面が、美的または技術的理由のために暗色に着色されているが、太陽光線で昇温されるべきでなく、手または身体の他の部分で触れたとき熱をほとんど放出すべきでない場所に使用され得る。他の適用領域としては、上記の特性に加えて断熱効果を有するべき表面が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(説明)
本発明は、低密度、低熱伝導率および低太陽光線吸収を有する、好ましくはプラスチック、ラッカーコーティングまたは繊維材料から作られた暗色平坦部材に関する。
【0002】
美的もしくは他の技術的理由のために暗色に着色されるか、またはコーティングされ、太陽光線に曝露される表面は、着色の強度により日射の影響の下、多少昇温する一般に好ましくない特性を有する。
【0003】
暗色表面の太陽光線による加熱は、乗用車(PKW)、トラック(LKW)、バスである乗り物またはまた鉄道車両の室内であるような特により小さなスペースにおいて、極端に好ましくないものとして認められる。暗色表面は、太陽光線吸収の程度によって多少大きく昇温し、熱放射としておよび室内への空気対流によって、この吸収した熱を放出する。したがって、夏の太陽の下で数時間一時駐車する乗用車のハンドルは、80℃より高く上昇し得る。
【0004】
太陽光線エネルギーは、乗り物の暗色表面に一度吸収されると、5〜50μmでの遠赤外線の熱放射範囲において乗り物の窓は光透過性でなく、通常駐車した乗り物はまた密閉されているので、直接的に乗り物から放出され得ず、そのためいずれの場合でも空気交換が起こり得ない。
【0005】
フロントガラスにおいてフロントコンパートメントの光が反射され、したがって乗り物からの視覚に有害な影響を及ぼすので、乗り物における表面の暗色着色は、技術的理由により部分的にもたらされる。座席表面は、光の当たる表面が非常に速く汚れてしまうので、美的および実用的理由のために好ましくは暗色に着色される。
【0006】
これらの暗色表面の比較的高い蓄熱容量はまた、乗り物の内装の加熱に対する欠点に寄与する。熱容量および材料中の熱伝導率が高いほど、より多くの太陽光線エネルギーが材料中に蓄えられ得る。次いで熱放射および空気による対流によって、熱放出がゆっくりと起こる。運転中窓を開けることによって、熱せられた空気は比較的すぐに交換され得るが、しかし乗り物に乗る人々は、蓄熱、例えばフロントコンパートメントまたはダッシュボード支持材が「空(leer)」、すなわち冷却されるまで、放射熱に曝される。この熱放射は、エアコンによって乗り物の操作中に補償され得るのみである。欠点は、最新のエアコンでさえ操作中約10%乗り物の燃料消費を増大させることである。高い熱吸収に加えて、これらの表面はまたその重量のため、乗り物の燃料消費にも寄与し、この理由のために、例えば減少したかさ密度によるより小さい重量が所望される。
【0007】
暗色表面を適用する別の分野は、特にアメリカ合衆国で一般的であるような、住宅のプラスチック外壁(Schalungen)およびプラスチックの窓枠である。この外壁およびこれらの窓枠の着色は、極端に暗色ではなくどちらかといえば平均的な色合いで行われるが、それらは驚くほど高い太陽光線吸収力を示す。したがってそれらは、日射の影響下で大きく昇温し、急速な材料疲労および老朽化を導く。それらの熱伝導率は高すぎるので、建築物の断熱材に対し積極的な貢献ができない。
【0008】
適用の別の分野は、例えばアメリカ合衆国において、一般にアスファルトの屋根板、またはまたコンクリートの屋根板からなる、屋根ふき材(Dachbedeckungen)である。主としてこれらの屋根板は、より暗緑色、暗灰色および暗赤色に維持され、その太陽光線吸収は一般に80%より大きい。ここでもう一度、特にアスファルト屋根板において、高い太陽光線吸収は急速な材料疲労を導き、この理由のために例えば雹などの極端な天気状況の間、それらは住宅に対しもはや何の保護も提供し得ない。さらに、これらの屋根ふき材の耐熱性は低すぎるので、屋根の断熱材に対し有益に貢献し得ない。
【0009】
天気の影響から保護し、特に燃料タンクにおける金属表面の加熱作用を弱くすると考えられる熱反射コーティングが、米国特許第4,272,291号(Shternら)に記載される。これは、バインダー含有コーティング配合における無機金属化合物の相互作用によって達成されると考えられる。しかし欠点は、このコーティングはいかなる断熱効果も有さないことである。
【0010】
断熱効果を有するコーティングが、特開平11-323197号公報(特願平10-130742)から公知であり、それはまた熱放射に関して優れた放射特性および優れた長波特性を有するので、大きな熱効果に関して断熱特性を有する。コーティングは、セラミック材料、ならびにセラミック気泡の密な充填およびフィルムとしてコーティング塗布後の平坦な構成を保証すると考えられる、構造を維持するための補助手段からできた透明または光透過性真空球体を有する。アクリルアミド誘導体、ポリエチレンワックス、ベントナイトおよびシリカ粒子が、かかる補助手段に適当だと考えられる。しかし、セルロース、アクリル酸ポリマーおよびポリビニルアルコールもまた適当である。このコーティングは、30〜60%の前記気泡からなる。
【0011】
熱効果から保護すると考えられるコーティングがまた、特開2000-129172号公報(特願平10-305968)から公知である。特定の顔料が、より優れた耐候性を有する支持材料と組み合わされる。近赤外領域において明白な反射特性を有する熱保護コーティングは、コーティング全体が黒色または暗色で作られるとき、昇温が比較的ほとんどないとの理由で製造されると考えられる。この目的で使用される顔料は、可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を反射する。アクリル樹脂が支持材料として用いられ得る。この場合も同様に、記載されたコーティングは、断熱効果を有さない。記載されたコーティングの密度表示および熱伝導率は、このどちらの文献からも導き出せ得ない。
【0012】
熱放射の波長帯において、低放射および高い反射力を有するコーティング材料は、DE-A1 44 18 214から公知である。このコーティングは、熱放射の範囲において、特に3〜50μmの波長の範囲において、高い透明度(Transparenz)を有するバインダー、およびこの波長帯において高い透明度を有し、熱放射の波長帯における屈折率が該バインダーの屈折率と異なる粒子を含む。
【0013】
2つの波長帯における反射特性および第三の波長帯における吸収特性を有するコーティングが、EP 0 804 513 B1によって保護される。このコーティングは、0.38〜0.75μmの波長帯(第一の波長帯)および5〜100μmの波長帯(第三の波長帯)において、>40%の透明度およびn<2.0の屈折率を有するバインダーを本質的に含む。規定の厚さおよび面積、ならびに第三の波長帯における反射力R>40%を有するラメラ粒子が、このバインダーの中に含まれる。このバインダーはまた、第一のラメラ粒子を部分的に覆い、第一および第三の波長帯において>40%の透明度、ならびに0.8〜2.5μmの波長帯(第二の波長帯)において>20%の吸収作用を有し、また第一の波長帯において規定の屈折率を有する第二の粒子を含む。このコーティングは、建築物もしくはタンクの壁塗料、屋根塗料またはファサード塗料として用いられ得る。
【0014】
住宅および建築物におけるエネルギー節約に適しており、熱赤外線の長波長帯において再度直接的に放射することなく、内部領域および外部領域で太陽光線エネルギーを吸収することができるコーティング材料が、EP 0 942 954 B1から公知である。このコーティング材料は、高い透明度を有するバインダー、特に熱赤外線の波長帯において反射する第一の小板様粒子、および熱赤外線の波長帯において後方散乱し、この波長帯において規定の透過を有する第一の球状粒子、ならびに/または乾燥状態における空洞および熱赤外線の波長帯における規定の透過を有し、熱赤外線の波長帯において後方散乱および/もしくは反射する第二の球状粒子からなる。このコーティング材料はまた、可視光線の波長帯において反射および/または後方散乱し、熱赤外線の波長帯において規定の透過を有し、ならびにモノクリスタルとして存在する、第二の粒子も含む。さらなる成分として、熱赤外線において規定の透過および乾燥状態において空洞を有するポリマー顔料、電気伝導的であり、かつ熱赤外領域において限定された吸収作用を有する第三の球状粒子、ならびにコーティングに通常用いられる公知の他の添加剤を含む。
【0015】
欧州特許1 137 722 B1は、赤外領域においてさほど強くない太陽光線エネルギーを吸収し、低い熱放射を有するスペクトル選択的コーティングに関する。このコーティングは、乗り物のフロントコンパートメント表面に特に適しており、3つの成分で特徴付けられ、それは近赤外線の波長帯における規定の透過、およびまた熱赤外線の波長帯における規定の透過を有するバインダーが含まれる。第二の成分は、可視光線の波長帯において吸収し、近赤外線において少なくとも40%の後方散乱を有し、および熱赤外線の波長帯において60%以下の吸収作用を有する第一の顔料を示す。第三の成分は、最終的に、熱赤外線の波長帯において≧40%の後方散乱および/または反射を有する第二の顔料を示す。
【0016】
低太陽光線吸収を有するコーティングは、US 2004/0068046 A1から公知である。このコーティングは、本質的に4つの成分からなり、バインダー、第一の顔料、第二の顔料および/または第三の顔料、ならびに充填剤が含まれる。バインダー成分は、紫外線および可視光線の波長帯、および近赤外領域において>60%の透明度を有し、また熱赤外領域において<70%の透明度を有さなければならない。第一の顔料は、300〜2500nmの波長帯において>70%の透明度で特徴付けられ、近赤外波長帯において後方散乱が>70%に達するように、粒径は選択される。第二の顔料は、可視波長帯においてスペクトル選択的に吸収し、近赤外領域において>50%の透明度、および熱赤外領域において>40%の吸収作用を有さなければならない。第三の顔料はまた、可視光線のスペクトル選択的領域において吸収し、および/または可視光線の波長帯において50%吸収し、ならびに近赤外領域において反射しなければならない。使用される充填剤は、ガスまたは空気で満たされ、規定の粒径を有する中空ミクロスフェアからなるバインダーマトリクスの屈折率を減少させると考えられる。かかるコーティングは、特に、技術的または美的理由のために暗色に着色され、同時に太陽光線に曝露されて、そのため極端に昇温する表面に適する。
【0017】
外表面がコーティングされ、そのため近赤外領域において太陽光線を反射し、内表面は熱放射に対して低放射を有する、金属で作られた平坦な建築部材が、ドイツ特許DE 102 04 829 C1から公知である。この平坦な建築部材は、その第一の外表面上に、金属を腐食から保護し320〜1200nmの波長帯において平均して60%太陽光線を反射する第一のコーティングが提供される。その第一の外表面に、可視光線の波長帯において<60%の反射および近赤外線の波長帯において>60%の反射を有する第二のコーティングが提供される。建築部材の第二の内表面に、金属を腐食から保護する第一のコーティングが提供され、第二の内表面に、熱赤外線の波長帯において低放射であり、<0.75°の放射を有する第二のコーティングが提供される。
【0018】
本発明の課題は、言及される適用分野において、太陽光線をさほど吸収せず、さほど昇温しないように、通常の表面、特により暗色表面を形成することである。
【0019】
これは、
a)支持材料とそれに組み込まれる成分との少なくとも1つの組み合わせを有し、ここでb)組み合わせa)が0.4[W/m・K]未満の熱伝導率および
c)1.4g/cm3以下のかさ密度を有すること、d)部材が400〜700nmの可視光線の波長帯において、50%未満の平均反射を有すること、ならびにe)部材が700〜1000nmの近赤外線の波長帯において、50%より大きい平均反射を有すること
を特徴とする、低熱伝導率、低密度および低太陽光線吸収を有する暗色平坦部材による発明によって解決される。
【0020】
本発明の有利な変形は、従属する特許請求の範囲から明らかである。
【0021】
本発明による部材の多数の適用では、驚くべきことに、低熱伝導率および密度を同時に有する材料と、不可視領域、近赤外領域において、材料表面上で考えられる最大の反射との組み合わせが、いくつかの相乗的な効果を提供することが分かった。したがって暗色物体、例えば乗用車のハンドルは、この物体の表面が近赤外線において反射するとき、有意にさほど暑くならない:例えば、車を太陽の下で十分に長く一時停車する場合、ハンドルは内側の空気のレベルに対して対流的に昇温する。しかし、周囲の空間が高温であるとしても、熱伝導率およびハンドルの密度が同時に減少するために、ハンドルは即座に昇温せず問題なくつかむことができる。
【0022】
驚くべき相乗効果はまた、近赤外領域における表面の高反射、ならびに全般的な配列の低熱伝導率および密度の本発明による組み合わせによって、建築技術の分野の典型的な適用において得られる。したがって、本発明による部材の特徴を有するPVCでできた壁パネルは、通常のPVC壁パネルよりもさほど暑くならない;一方、パネルのより低い熱伝導率および密度のために、どのようにでも吸収される太陽光線エネルギーは、熱伝導によって建築物にさほど伝わらない。さらに、より低い表面温度および緩慢な温度変化は、全般的な配列の熱が関連した材料疲労を減少させる。
【0023】
プラスチック、ラッカーコーティング、繊維材料、水硬性バインダーおよび/または複合材料を含む支持材料が、特に好ましいことが証明された。支持体としてのプラスチックに関して、これはポリアミド、ポリアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリイソプロピレンのようなポリオレフィン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンABS、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン/アクリル酸エステルのようなスチレンポリマー、ポリスルホン、ポリエーテル-スルホン、ポリフェニルスルホンのような硫黄ポリマー、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)のようなフッ素系プラスチック、ポリ塩化ビニルのようなポリイミド、ポリメチルメタクリレートPMMA、シリコーンゴムのようなシリコーン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート-ABSのようなポリマーブレンド、ならびにメラミン-フェノール樹脂、ポリウレタンおよびそれらの適当な混合物の群から選択されるべきである。反応性架橋プラスチックおよび熱可塑性プラスチックの双方であり得る支持材料は、特に有利であることが証明された。
【0024】
ラッカーコーティングが、本発明による部材の成分a)として支持材料として含み得る場合、それは水性バインダー、好ましくは水溶性バインダー、アルキド、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシドおよびエポキシドエステル、水性分散液およびエマルジョン、好ましくはアクリレート、スチレン-アクリレート、エチレン-アクリル酸コポリマー、メタクリレート、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリイソプロピルアクリレート、ポリウレタン、シリコーンおよびポリビニルアセテートをベースとする分散液およびエマルジョン、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、合成ワックス、フッ素系ポリマー、フッ素系アクリルコポリマーの水溶液、フルオロシリコーンをベースとするワックス分散液の群から選択されるバインダーから形成されるべきであり、そのために末端、側鎖(lateral)ならびに/または内部(intrachenar)フッ素修飾ポリウレタン樹脂、好ましくはポリウレタン分散液、ポリウレタンポリマーハイブリッド分散液およびそれらの混合物から選択される。
【0025】
しかしながら、ラッカーコーティングはまた、溶媒含有バインダー、好ましくはアクリレート、スチレン-アクリレート、ポリビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびスチレンコポリマー、アルキド樹脂、飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステル、ヒドロキシド官能性ポリエステル、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フルオロポリマーおよびシリコーン、クロロスルフィン化(chlorsulfonierte)ポリエチレン、フッ素系ポリマー、フッ素系アクリルコポリマー、フルオロシリコーン、プラスチゾル、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の群から選択される、バインダーから形成され得、そのために末端、側鎖ならびに/または内部フッ素修飾ポリウレタン樹脂、好ましくはポリウレタン分散液、ポリウレタンポリマーハイブリッド分散液およびそれらの混合物から選択される。末端的および/もしくは側鎖および/もしくは主鎖において、ペルフルオロアルキル(エン)ならびに/またはポリヘキサフルオロプロペンオキシド基に基づくポリマー構造成分を含むフッ素修飾ポリマーは、「末端および側鎖ならびに/または内部フッ素修飾ポリウレタン樹脂」という表現で特徴付けられる。
【0026】
支持材料に関して、本発明の別の変形は、繊維材料としての部材において、動物の皮膚由来の皮を用いることからなる。
【0027】
本発明の意図の別の有利な改変は、水硬性バインダーが、セメント、硫酸カルシウムまたは無水石膏、および好ましくはコンクリート、モルタルまたは石膏をベースとする混合物であるという事実で与えられる。
【0028】
複合材料に関して、これは合成繊維および/または天然繊維、好ましくはプラスチックおよび/またはセラミック、特にガラスおよび/または炭素の合成繊維、および/またはウール、木綿、サイザルアサ、アサおよびセルロースの天然繊維を含むべきである。
【0029】
最終的に、支持材料に組み込まれる成分は、以下の群:
a)支持材料の密度および熱伝導率を好ましくは減少させる、無機ならびに/または有機軽量充填剤、b)支持材料において気泡を形成し、支持材料の密度および熱伝導率を好ましくは減少させる、空気、窒素、二酸化炭素、希ガスのようなガス、およびc)400〜700nmの可視光線の波長帯におけるスペクトル選択性で反射し、700〜1000nmの近赤外線の波長帯において50%より大きい平均透明度を有する染料、ならびに/またはd)400〜700nmの可視光線の波長帯におけるスペクトル選択性で反射し、700〜1000nmの近赤外線の波長帯において50%より大きい平均透明度を有する第一の顔料、ならびに/またはe)400〜700nmの可視光線の波長帯におけるスペクトル選択性で反射し、700〜1000nmの近赤外線の波長帯において50%より大きい平均反射を有する第二の顔料、f)表面を処理するか、または表面をコーティングし得る無機ナノ材料および/または有機ナノ材料
から選択され得る。
【0030】
用語「ナノ材料」またはまた「ナノ粒子」とは、一般に、全ての寸法が100nmよりも小さい粗い球状のジオメトリーを有する粒子を意味すると理解され、下限は規定されていない。通常ナノ粒子からなるか、または主としてナノ粒子を含有するナノ材料は、それらの大きさに関して、原子構造と連続的な巨視的構造との間の移行範囲における部分を占める。無機ナノ粒子の典型的な例は、機能化され得るナノスケールの二酸化珪素、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカゾル、水ガラス、金属コロイドおよび顔料である。分散液、特に微粒子分散液、ポリウレタン分散液、およびコアシェル分散液、しかし顔料、デンドリマー、ならびに任意に機能化された高分枝ポリマーもまた、無機ナノ材料の典型的な代表物である。本件において、Degussa AGからのAerosol Serieの充填剤は、無機ナノ材料として特に適当であることが証明された。しかし、可視領域および近赤外領域で吸収せず、粒径が100nm以下である全ての充填剤は、一般に適当である。
【0031】
支持材料に組み込まれる成分、特に先に述べた成分c)〜e)の選択は、通常、技術的方法によって起こる。表面の反射、しかし顔料および充填剤の反射もまた、紫外線(上の可視範囲)から近赤外領域にわたる、320〜1100nmのスペクトル感度でもって、Avantes社のPC 2000 PCプラグインスペクトロメーターのようなスペクトロメーターで通常測定される。表面の半球状の後方散乱は、スペクトロメーターに連結されたウルブリヒト球(Ulbrichtkugel)で測定され、反射が測定される。なお、ほぼ100%の反射を示す硫酸バリウム板が、参照として提供される。粉末形態の顔料および充填剤の測定のために、これらを、言及した波長帯において透明であるポリエチレンバッグ中に満たす。層の反射とこの層の透過との間を区別可能とするために、層は吸収工程、すなわち黒の背景上で一回、および100%反射工程、すなわち白の背景上で一回測定される。
【0032】
特に、軽量の充填剤は、その密度が0.5g/cm3以下であるものであるべきである。
【0033】
成分a)が、セラミック材料、ガラスまたはプラスチックからの中空ミクロスフェアを含有する支持材料を、組み込まれた成分として含む部材が、特に有利とみなされ、ガラスまたは他の周囲の材料から作られた中空ミクロスフェアの密度は0.4g/cm3以下であり、プラスチックからなる中空ミクロスフェアの密度は0.2g/cm3以下であるべきである。
【0034】
本発明の意図の有利な改変は、支持材料が80〜160℃の温度に加熱されるとき、軽量な充填剤は0.2g/cm3以下の密度を有する中空ミクロスフェアのみを形成するプラスチック粒子であるという事実に見られる。
【0035】
本発明において、染料は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、顕色(Entwicklungs)染料、硫化染料およびアニリン染料から選択される水溶性染料、または溶媒に溶解する染料の群の染料、またはザポン(Zapon)染料が好ましいとみなされる。
【0036】
第一の顔料は有利に、有機顔料、好ましくは、例えばモノアゾ、ジスアゾ、α-ナフトール、ナフトール-AS、レーク化アゾ(verlackte Azo)、ベンゾイミダゾロン、ジスアゾ縮合物、金属錯体のアゾ顔料、イソインドリノンおよびイソインドリン顔料、多環式顔料、ならびに好ましくはフタロシアニン、キナクリドン、ペリレンおよびペリノン、チオインジコ、アントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、インダントロン、アンサンスロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン、ジケト-ピロロ-ピロール顔料の群からであるべきである。
【0037】
第二の顔料に関して、本発明は、カドミウム、ビスマス、クロミウムからの金属酸化物および水酸化物、ウルトラマリン顔料、コーティングされた小板様マイカ顔料、および特にルチルとスピネルの混合相顔料の群から選択される、無機顔料を含む変形を考慮する。
【0038】
最終的に、本発明はまた、400〜1000nmの波長帯において70%より大きい反射を有するさらなる粒子を、支持材料に導入し得ることを提案する。これらのさらなる粒子は、無機顔料の群、金属酸化物、金属硫酸塩、金属硫化物、金属フッ化物、金属ケイ酸塩、金属炭酸塩およびそれらの混合物の群から特に選択されるべきである。
【0039】
さらなる粒子はまた、分解性材料の群から選択され得るが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、天然の硫酸バリウムおよびそれらの混合物もまた含まれ得る。
【0040】
平坦部材の本質的な特徴は、支持材料とそれに組み込まれた成分との組み合わせの熱伝導率に見られる。この点において、部材全体の熱伝導率が0.3[W/m・K]未満、特に0.2[W/m・K]未満である場合が好ましいとみなされる。
【0041】
部材全体のかさ密度が1.2g/cm3以下、特に1.0g/cm3以下である場合もまた、有利であり得る。
【0042】
本発明に対して本質的な別の特徴は、400〜700nmの可視光線の波長帯における部材の平均反射に見られる。これは特に<40%であるべきである。
【0043】
特許請求の範囲に記載の部材の有利な改変は、700〜1000nmの近赤外線の波長帯において>60%である平均反射を有するという事実によって与えられる。
【0044】
軽量の充填剤が、700〜1000nmの近赤外領域において、部材の反射を10%までに増大させる場合もまた本発明によって考慮される。
【0045】
本発明によると、組み合わせa)は、特徴b)(熱伝導率)およびc)(かさ密度)を有さなければならない。しかしながら、支持材料と組み込まれた成分との組み合わせはまた、熱伝導率およびかさ密度の特徴に加えて、部材の特徴d)ならびに/またはe)を有し得る。
【0046】
本発明によると、部材それ自体はまた、少なくとも1つの層が組み合わせa)からなる、少なくとも2つの層から構成される。
【0047】
組み合わせa)はまた、組み込まれた成分を含まない支持材料の層と組み合わされ得、これも本発明によって考慮される。
【0048】
部材の同一の変形または種々の変形が、少なくとも2つの層において互いに組み合わされ得る場合、特にまた有利と考慮される。部材にまた、好ましくは透明な形態であるさらなるラッカーコーティングが提供され得る。
【0049】
部材に関して、これは配列、素子または層の形態での支持体基材と組み合わされ得、次いでそれは全体としての支持配列を示し得る。
【0050】
全てを考慮に入れて、請求された暗色平坦部材は、必然的に支持材料とそれに組み込まれた成分との組み合わせからなり、この組み合わせは、規定の熱伝導率および固有のかさ密度を有することが確立されている。したがってこの部材は、この組み合わせa)のみからなり得るが、その必要はなく、さらなる成分もまた含み得る。したがって、部材それ自体は、特別に処理された皮、例えば乗り物の内部調度品のためのプラスチック鋳型、またはまたクラッディングパネルもしくは屋根板であり得る。種々の変形に基づいて、請求された部材はまた、組み合わせa)が固定されるか適用される、基礎構造または支持構造からなり得る。しかしながら全てを考慮に入れると、本質的な特徴d)、すなわち400〜700nmの可視光線の波長帯において<50%の低い平均反射で規定される、全体が平坦な部材は、暗色でなければならない。本発明の実際の目的を特徴とする請求項1の文言から、クラッディング剤またはコーティングのみに限定せず、基礎構造もしくは支持構造またはプライマー層からなる組み合わせ、およびそれらの上に位置している支持材料とそれに組み込まれた成分との組み合わせもまた含むので、本発明の種々の可能性は明らかである。以下の実施例は、今記載された本発明の利点を説明する。
【実施例】
【0051】
実施例1
自動車の座席用の皮の着色およびコーティング
皮の一部を、TFL Ledertechnik, Basel社の染料Sella Cool Black 10286で黒く染める。
以下の黒のコーティング:
15.00g TFL Ledertechnik, BaselのRoda Cool Black顔料調製物
60.00g TFL Ledertechnik, BaselのRoda Car B32
10.00g TFL Ledertechnik, BaselのRoda Car P64
10.00g 水
01.20g Akzo Nobel社のExpancel 091 DE中空ミクロスフェア
を調製する。
【0052】
コーティングをドクターブレードに100μmの層厚さで3回塗布し、各層後に実験室の炉で乾燥させる。そのようにコーティングした黒の皮を、標準的な様式で染色した、同一の型のコーティングした皮の一部と共に実験室の炉中に配置し、80℃まで加熱する。炉から皮の断片を取り出し、室温にて皮試料から1kgの鉛への熱流束を測定する。25 X 25mmを測定する、ミュンヘンのWuntronic社の一般的な熱流束センサーF-035-2を用いる。図1は、標準的な最終仕上げを施した皮の熱流束(1;比較)を示し、曲線(2)は本発明にしたがってコーティングした皮試料の、約500 W/m2単位で低くなる熱流束を示す。この違いはまた、手を皮試料上に置くときにはっきりと認めることができる。
【0053】
試料のスペクトル反射を、400〜980nmの波長帯において測定し(測定器:320〜1100nmでスペクトル感度を有し、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000);測定結果を図2に示す。
【0054】
曲線(1)は、本発明にしたがってコーティングした黒い皮の、近赤外領域において明確により高い反射を示す。標準的な参照の皮(2)の反射は、近赤外領域においてもまた10%以下である。両方の黒い皮試料を発泡スチレンプレート上に配置し、約800 W/m3の強い日射に曝露する。標準的な皮の表面温度は90℃に上昇したが、一方、本発明による皮の表面温度は62℃に上昇しただけだった。本発明にしたがってコーティングした皮の密度は0.85g/cm2、熱伝導率は0.12 W/mKである。標準的にコーティングした皮の密度は1.1g/cm3、熱伝導率は0.15 W/mKである。したがって、本発明にしたがってコーティングした皮の密度は、先行技術にしたがってコーティングした標準的な皮よりも23%小さく、熱伝導率は20%小さい。
【0055】
実施例2
皮の密度および熱伝導率の減少
皮試料を水浴中に配置する。Akzo Nobel社のExpancel 820SL80型の20 wt%(皮の重量をいう)の未膨張な中空ミクロスフェアを水浴中に添加し、皮なめし法における通常の処理によって皮に組み込む。次いで皮を、TFL Ledertechnik Basel社の染料Sella Cool Black 10286で黒く染める。熱の影響下で中空ミクロスフェアが膨張し、皮中の中空部分を満たすまで、皮を約100℃にて炉中へ配置する。
【0056】
本発明にしたがってそのように作製された皮の一部分を、約54℃にて加熱プレート上に配置し、加熱プレートから皮を通って水温が7.5℃の1kgの水ビーカー中への熱移動を、熱流束センサーF-035-2で測定する。同一の手順を黒の標準的な皮(比較)で実施する。
【0057】
皮試料を通過する熱流束の時間傾向を、図3にてW/m2で示す。なお、曲線(1)は、標準的な皮(比較)を通過する熱流束を示す。次いで、本発明にしたがって作製された黒の皮試料(2)を通過する熱流束は、約200 W/m2低い。本発明にしたがって処理された皮の密度は、0.85g/cm2、熱伝導率は0.1 W/mKである。標準的に作製された皮の密度は1.1g/cm3、熱伝導率は0.14 W/mKである。したがって、本発明にしたがって処理された皮の密度は、標準的な様式で作製された皮と比較して23%小さく、熱伝導率は28%小さい。
【0058】
実施例3
実施例2にしたがって作製された皮試料と、実施例1にしたがって作製されたコーティングとの組み合わせ
実施例1によるコーティングは100μmの層厚さで、実施例2に従って作製された皮に3回適用され、乾燥させる。本発明による皮は、58℃の加熱プレートに配置され、加熱プレートから皮を介して水温0℃ (氷水) の1 kgのビーカーの水への熱移動が、熱流束センサーF-035-2で測定される。黒くコーティングされた標準的な皮で同じ手順を行なう (比較)。
【0059】
図4は、黒い標準的な皮を通過した熱流束の曲線(1)を示す(比較)。本発明に従って作製された皮を通過した熱流束(2)は明らかに低い。
【0060】
2つの黒い皮サンプルのスペクトル反射は、実施例1に記載のようにして測定され、図2の曲線と同一である。図2において、曲線(1)は、本発明に従って作製された皮のスペクトル反射を示し、曲線(2)は、標準的な皮のものを示す(比較)。本発明による皮およびコーティングの組合せの密度は0.82 g/cm3であり、熱伝導率は0.09 W/mKである。標準的に作製された皮の密度は、1.1 g/cm3であり、熱伝導率は0.15 W/mKである。したがって、本発明による組合せの密度は、標準的に作製された皮と比べて、25%小さく、熱伝導率は40%小さい。
【0061】
実施例4
低熱伝導率および高太陽光線反射を有するポリプロピレン成分:
ポリプロピレン系の車両の内装用の2つのサンプルを、以下の配合に従って作製する。
a.) 600.00 g ポリプロピレン粒状物
040.00 g Chemco社のSilCell 300 軽量充填剤
050.00 g Sachtleben社の二酸化チタンHombitan R610K
010.00 g Degussa社のAerosil TT600
020.00 g Clariant社のHostaperm青 R5R
010.00 g BASF社のPaliogen黒 L0086
【0062】
暗青色のサンプルプレートを実験室押出機により作製した。
b.) 600.00 g ポリプロピレン粒状物
030.00 g Sachtleben社の二酸化チタンHombitan R610K
010.00 g DegussaのAerosil TT600
020.00 g Clariant社のHostaperm青 R5R
010.00 g BASF社のPaliogen黒 L0086
【0063】
混合物を押出機内で、二酸化炭素ガスにより発泡させる。暗青色サンプルプレートを作製する。サンプルプレートa)の密度は、0.79 g/cm3であり、サンプルプレートb)のものは0.74 g/cm3であり、a)によるサンプルプレートの熱伝導率は、0.15 W/mKであり、サンプルプレートb)のものは0.13 W/mKである。標準成分の密度(比較)は1.05 g/cm3であり、熱伝導率は0.24 W/mKである。したがって、標準成分の密度よりも、サンプルプレートa)の密度は25%、サンプルプレートb)の密度は29.5%小さい。標準成分の熱伝導率よりもサンプルプレートa)の熱伝導率は37.5%、サンプルプレートb)のものは46%小さい。同じ暗青色におけるサンプルプレートa)およびb)ならびに一片の標準成分(比較)のスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定する。
【0064】
図5は、測定の結果を示す。曲線(1)はサンプルプレートa)の反射を示し、曲線(2)はサンプルプレートb) の反射を示し、曲線(3)は、700 nmの近赤外の波長範囲における標準成分の反射が10%未満でしかないことを示す。サンプルを発泡スチレンプレートに置き、800 W/m2 太陽光線照射に曝露する。この条件下で、標準プレートの表面温度は85℃に上昇し、本発明によるサンプルプレートの表面温度は60℃である。
【0065】
実施例5
本発明によるエポキシ樹脂製サンプルプレートおよび比較例の作製
無煙炭暗着色のエポキシ樹脂のサンプルプレートを、以下の配合に従って作製する (本発明) 。
45.00 g MGS Kunstharzprodukte GmbH社, Stuttgartのエポキシ樹脂 L160
03.00 g Chemco Chemieprodukte GmbH社の軽量充填剤 Silcell 300
01.00 g Sachtleben社の二酸化チタン Hombitan R610K
02.00 g BASF社のPaliogen黒 L0086
15.00 g MGS Kunstharzprodukte GmbH社, StuttgartのH160 硬化剤
サンプルプレートは、0.8 g/cm3の密度を有し、熱伝導率は0.2 W/mKであった。
【0066】
比較例として、標準的な着色により、以下の配合に従って、無煙炭暗着色エポキシ樹脂プレートを作製した。
45.00 g MGS Kunstharzprodukte GmbH社, Stuttgartのエポキシ樹脂 L160
05.00 g 市販の黒い酸化鉄
10.00 g Wema Nuernberg社のタルク
00.50 g Sachtleben社の二酸化チタン Hombitan R610K
15.00 g MGS Kunstharzprodukte GmbH社, StuttgartのH160 硬化剤
【0067】
標準プレートの密度は1.3 g/cm3であり、熱伝導率は0.3 W/mKであった。したがって、標準比較プレートよりも、本発明によるプレートの密度は38%、熱伝導率は33%小さい。
【0068】
2つのサンプルプレートのスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定する。図6の図表の曲線(1)は、本発明によるエポキシドサンプルプレートのスペクトル反射を示し、曲線(2)は、比較例のサンプルプレートの反射を示す。本発明によるサンプルプレートの反射は、700 nmからの近赤外範囲において明らかに大きく、これは、可視光範囲で同一に着色された対応する実施例サンプルプレートよりも少なく太陽光線を吸収することを意味する。サンプルを発泡スチレンプレートに置き、800 W/m2 太陽光線照射に曝露した。この条件下で、本発明によるプレートの温度は60℃にしか上昇せず、比較例のものは85℃に上昇する。
【0069】
実施例6
軟PVCの本発明によるフィルムおよび比較例の作製
軟PVCの黒いフィルムを以下の配合に従って作製
200.00 g 市販のPVC、可塑剤とともに
012.00 g Chemco Chemieprodukte GmbH社の軽量充填剤 SilCell 300
003.50 g Sachtleben社の二酸化チタン Hombitan R610K
007.50 g BASF社のPaliogen黒 L0086
【0070】
本発明によるPVCフィルムの密度は0.95 g/cm3であり、熱伝導率は0.12 W/mKである。市販の比較フィルムの密度は1.3 g/cm3であり、熱伝導率は0.18 W/mKである。したがって、市販の比較フィルムよりも本発明によるPVCフィルムの密度は27%、熱伝導率は33%小さい。PVCフィルムのスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定する。軟PVCの市販の黒いフィルムを比較例とする。測定結果を図7に示す。曲線(1)は、本発明に従って作製したフィルムの近赤外範囲における反射の増加を示す。曲線(2)は、市販の黒いフィルムの反射を示す。サンプルを発泡スチレンプレートに置き、800 W/m2 太陽光線照射に曝露する。この条件下で、市販のフィルムの温度は90℃に上昇するが、本発明によるフィルムは60℃までである。
【0071】
実施例7
両面がコーティングされたブラインド用織物の作製
オーストラリアのHunter Douglas社のカーテンPlaza(登録商標)Plusシリーズ用のベース織物の片面を以下の配合に従ってコーティングする。
ベースコーティング:
70.00 g BASF社のバインダー Acronal 18D
15.00 g 顔料調製物 Hostatint白、Hoechst社
05.00 g 軽量充填剤 Expancel 551WE20
乾燥後、無煙炭着色被覆コーティングを、オーストラリアのHunter Douglas社のPlaza(登録商標)Plusの黒檀の色合いのこのベースコーティングに塗布する。
被覆コーティング:
10.00 g 水
10.00 g 顔料調製物 Roda Cool Black、TFL Ledertechnik社
40.00 g BASF社のバインダー Acronal 18D
05.00 g 水
01.00 g Hostatint白、Hoechst社
織物の裏面に白色ベースコーティングを2回コーティングした。
【0072】
本発明による織物の密度は1.1 g/cm3であり、熱伝導率は0.15 W/mKである。市販の反例の密度は1.3 g/cm3であり、熱伝導率は0.22 W/mKである。
【0073】
市販の反例のものより、本発明による織物の密度は15%、熱伝導率は32%小さい。織物の無煙炭色コーティングされた前面のスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定する。図8の曲線(1)は、本発明に従って作製した織物のスペクトル反射を示し、曲線(2)は、オーストラリアのHunter Douglas社のPlaza(登録商標) Plusシリーズのカーテンの元のカーテン材料黒檀の反射を示す。この反射は可視光範囲において10%小さい。サンプルを発泡スチレンプレートに置き、900 W/m2 太陽光線照射に曝露した。この条件下で、比較カーテン材料の前面は90℃に加熱され、他方、本発明のものは、52℃までしか加熱されない。本発明による材料をブラインドとして使用中、カーテンから空間に入る熱流束は、以下の条件下:
太陽光線照射900 W/m2
外部温度25℃
室内温度21℃
で比較材料よりも30%小さい。
【0074】
実施例8
暗表面を有するPVC窓枠用のサンプルプレートの作製
3M社のS38HS型の中空微小球20wt%を、窓枠の作製用の市販の白い色合いのPVC粒状物に添加する。5 mm厚のサンプルプレートを実験室押出機で作製する。さらにまた、PVC粒状物の量に対して3wt%のClariant社のHostaperm青 R5Rおよび1.5wt%のBASF社のPaliogen黒L0086を、PVCフィルムの作製用の市販の透明なPVC粒状物に添加し、実験室押出機内で溶融および混合する。300μm厚の暗青色フィルムを作製する。このフィルムを透明なホットメルト接着剤で白色PVCプレートに圧力下で貼り付ける。
【0075】
窓枠用暗青色試験サンプル(本発明)の密度は、1.18 g/cm3であり、熱伝導率は0.14 W/mKである。市販のPVC窓枠(比較)の密度は1.60 g/cm3であり、熱伝導率は0.2 W/mKである。市販の比較枠のものより、本発明による比較例の密度は26%、熱伝導率は30%小さい。プレートのスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定し、市販の暗青色窓枠の一部分と比較する。測定結果を図9に示す。曲線(1)は、本発明に従って作製したPVC窓枠のサンプルの近赤外における明白に高い反射を示す。市販の暗青色PVC窓枠の一部分において、近IRにおける反射は10%未満に維持される。プレートを900 W/m2 太陽光線照射に曝露した。市販のプレートの表面は、90℃の温度に達し、わずかに変形した。本発明によるプレートの表面温度はわずか60℃であり、変形は見出され得なかった。以下の条件
太陽光線照射900 W/m2
外部温度25℃
室内温度21℃
での本発明によるPVC窓枠の使用により、窓枠から室内に入る熱流束は、標準材料よりも35%小さい。
【0076】
実施例9
低熱伝導率褐色コンクリート屋根ふき材タイルの作製
コンクリート屋根ふき材タイルのサンプルプレートを、以下の配合に従って作製する (本発明) :
35.00 g Lugato社のポートランドセメント
05.00 g Sachtleben社の二酸化チタン Rutil Hombitan R210
10.00 g Chemco社の軽量充填剤 SilCell 300
流動性の粘稠度が達成されるまで水を混合物に添加し、達成されたら、混合物を鋳型に導入し、炉内で乾燥させる。乾燥コンクリート屋根ふき材タイルに以下の配合の暗赤褐色コーティングを提供する。
140.00 g BASF社のAcronal 18D
010.00 g SLMC社のLangdopec赤30000
010.00 g Ferro社のFerro PK 4047緑
007.50 g Grace社のSylowhite SM 405
000.60 g Byk社の消泡剤 Byk 024
000.60 g BASF社の顔料分散剤N
000.40 g Rohm and Haas社の増粘剤Acrysol TT615
015.00 g 水
暗赤褐色コンクリート屋根ふき材タイルのスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定する。比較例として、日本のKubota社の暗褐色CCO21の色合いの市販のコンクリート屋根ふき材タイルを使用する。測定結果を図10に示す。曲線(1)は、本発明に従って作製したコンクリート屋根ふき材タイルの近赤外における反射の明白な増加を示し、曲線(2)は、近赤外における市販のコンクリート屋根ふき材タイルの反射は、可視光波長範囲よりも、いくぶんさらに低いことを示す。
【0077】
屋根ふき材タイルの加熱および850 W/m2太陽光線照射中、市販の屋根ふき材タイルの表面は87℃に加熱され、本発明によるものは51℃にしか加熱されなかった。本発明による屋根ふき材タイルの密度は0.7 g/cm3であり、熱伝導率は0.16 W/mKである。したがって、市販の屋根ふき材タイルの密度は1.6 g/cm3であり、熱伝導率は0.87 W/mKであった。市販のコンクリート屋根ふき材タイルのものより、本発明による屋根ふき材タイルの密度は56%、熱伝導率は82%小さい。
以下の条件:
太陽光線照射850 W/m2
外部温度25℃
室内温度21℃
での本発明によるコンクリート屋根ふき材タイルの使用により、屋根ふき材から屋根ふき材空間に入る熱流束は、標準材料よりも45%小さい。
【0078】
実施例10
外装石膏と太陽光線反射外部壁塗料の組合せ
Colfirmit Rajasil社の名称「Ultralight石膏」の外装石膏から作製した2 cm厚のプレートに、以下の配合による薄緑色の外装壁塗料をコーティングする。
200.00 g Relius Coatings社のAcrylor FS白
010.00 g TFL Ledertechnik社の顔料調製物 Roda Cool Black
【0079】
比較のため、Drumhill Grey 458-Mの色合いのSonneborn社USAの外装壁塗料を、市販の2 cm厚石膏プレートに塗布する。
【0080】
両方の石膏プレートのスペクトル反射を、実施例1に記載の分光計で、400〜980 nmの波長で測定する。測定結果を図11に示す。曲線(1)は、本発明に従って作製した外装石膏と太陽光線反射外部壁塗料の組合せの反射を示し、これは、曲線(2)に示されるように、近赤外範囲において、標準的にコーティングした石膏プレートの近IRでの反射よりも大きい。
【0081】
本発明による組合せの総密度は0.9 g/cm3である。標準組合せの総密度は2.2 g/cm3である。本発明による軽量石膏と太陽光線反射塗料の組合せの熱伝導率は0.12 W/mKであり、標準組合せのものは0.87 W/mKである。したがって、標準組合せよりも、本発明による組合せの総密度は59%、熱伝導率は86%小さい。
【0082】
以下の条件:
太陽光線照射800 W/m2
外部温度25℃
室内温度21℃
で、本発明による組合せを20 cm厚のコンクリート壁に使用すると、壁から家屋に入る熱流束は標準材料よりも42%小さい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、実施例に記載される材料試料を通過する熱流量を示す。25 X 25mmの寸法を有し、熱流束と同等の電圧量を送達する、Wuntronic社ミュンヘンの一般的な熱流束センサーF-035-2をこれらの測定に用いる。
【図2】図2は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図3】図3は、実施例に記載される材料試料を通過する熱流量を示す。25 X 25mmの寸法を有し、熱流束と同等の電圧量を送達する、Wuntronic社ミュンヘンの一般的な熱流束センサーF-035-2をこれらの測定に用いる。
【図4】図4は、実施例に記載される材料試料を通過する熱流量を示す。25 X 25mmの寸法を有し、熱流束と同等の電圧量を送達する、Wuntronic社ミュンヘンの一般的な熱流束センサーF-035-2をこれらの測定に用いる。
【図5】図5は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図6】図6は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図7】図7は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図8】図8は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図9】図9は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図10】図10は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。
【図11】図11は、測定結果として、400〜980nmの波長帯における対応する実施例に対する試料のスペクトル反射を示す。320〜1100nmでスペクトル感度を有する、Avantes社のPC-プラグインスペクトロメーターPC2000を、表面の半球状の後方散乱を測定するために連結されたウルブリヒト球を有する測定器とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低熱伝導率、低密度および低太陽光線吸収を有する暗色平坦部材において、
a) 支持体材料と、その内部に組み込まれた成分の少なくとも1つの組合せを有する、
b) 組合せa)が0.4 [W/m・K]未満の熱伝導率および
c) 1.4 g/cm3未満のかさ密度を有する、
d) 該部材が、400〜700 nmの可視光の波長範囲において50%未満の平均反射を有する、ならびに
e) 該部材が700〜1000 nmの近赤外線の波長範囲において50%より多い平均反射を有する
ことを特徴とする、部材。
【請求項2】
支持体材料が、プラスチック、ラッカーコーティング、繊維材料、水硬性バインダーおよび/または複合材料であることを特徴とする、請求項1記載の部材。
【請求項3】
プラスチックが、ポリアミド、ポリアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび ポリイソプロピレンなどのポリオレフィン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンABS、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン/アクリルエステルなどのスチレンポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンなどの硫化ポリマー、PTFEおよびPVDFなどのフッ素系プラスチック、ポリイミド、ポリメチルメタクリレートPMMA、ポリ塩化ビニルなど、シリコーンゴムなどのシリコーン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート-ABSなどのポリマーブレンド、ならびにメラミン樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタンおよびその適切な混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項2記載の部材。
【請求項4】
支持体材料が、反応性架橋性プラスチックおよび熱可塑性プラスチックの両方であり得ることを特徴とする請求項2または3記載の部材。
【請求項5】
ラッカーコーティングが、水性バインダー、好ましくは水溶性バインダー、アルキド、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシドおよびエポキシドエステル、水性分散液およびエマルジョン、ならびに好ましくはアクリレート、スチレン-アクリレート、エチレン-アクリル酸コポリマー、メタクリレート、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリイソプロピルアクリレート、ポリウレタン、シリコーンおよびポリビニルアセテート系の分散液およびエマルジョン、ワックス分散液、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン系、テフロン(登録商標)、合成ワックス、フッ素系ポリマー、フッ素系アクリルコポリマーの水溶液、フルオロシリコーン系のワックス分散液、および末端および/または側鎖および/または内部フッ素修飾ポリウレタン樹脂、好ましくはポリウレタン分散液およびポリウレタン-ポリマーハイブリッド分散液およびその混合物からなる群より選択されるバインダーから形成されることを特徴とする、請求項2記載の部材。
【請求項6】
ラッカーコーティングが、溶媒含有バインダー、好ましくはアクリレート、スチレン-アクリレート、ポリビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびスチレンコポリマー、アルキド樹脂、飽和および不飽和ポリエステル、ヒドロキシド官能性ポリエステル、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フッ素系ポリマーおよびシリコーン、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素系ポリマー、フッ素系アクリルコポリマー、フルオロシリコーン、プラスチゾル、PVDF、ならびに末端および/または側鎖および/または内部フッ素修飾ポリウレタン樹脂、好ましくはポリウレタン分散液およびポリウレタン-ポリマーハイブリッド分散液およびその混合物からなる群より選択されるバインダーから形成されることを特徴とする、請求項2記載の部材。
【請求項7】
末端および側鎖および/または内部フッ素修飾ポリウレタン樹脂が、末端および/または側鎖および/または主鎖内に、パーフルオロアルキル(エン)および/またはポリヘキサフルオロプロペンオキシド基系のポリマー構造部材を含むフッ素修飾ポリマーであることを特徴とする、請求項5または6記載の部材。
【請求項8】
繊維材料が動物の皮膚由来の皮であることを特徴とする、請求項2記載の部材。
【請求項9】
水硬化性バインダーが、セメント、硫酸カルシウムまたは無水石膏、および好ましくはコンクリート、モルタルまたは石膏を主成分とする混合物であることを特徴とする、請求項2記載の部材。
【請求項10】
複合材料が、合成および/または天然繊維、好ましくはプラスチックおよび/またはセラミックス、特にガラスおよび/または炭素の合成繊維、および/またはウール、綿、サイザル麻、麻およびセルロースの天然繊維を含むことを特徴とする、請求項2記載の部材。
【請求項11】
支持体材料内に組み込まれた成分が、以下の群:
a) 好ましくは支持体材料の密度および熱伝導率を低下させる無機および/または有機系軽量充填剤、
b) 支持体材料内に気泡を形成し、支持体材料の密度および熱伝導率を低下させる空気、窒素、二酸化炭素、希ガスなどの気体、ならびに
c) 400〜700 nmの可視光の波長範囲におけるスペクトル選択性を有して反射し、700〜1000 nmの近赤外線の波長範囲において50%より多い平均透明度を有する染料、および/または
d) 400〜700 nmの可視光の波長範囲におけるスペクトル選択性を有して反射し、700〜1000 nmの近赤外線の波長範囲において50%より多い平均透明度を有する第1の顔料、および/または
e) 400〜700 nmの可視光の波長範囲におけるスペクトル選択性を有して反射し、700〜1000 nmの近赤外線の波長範囲において50%より多い平均透明度を有する第2の顔料、および/または
f) 表面処理または表面コーティングされ得る無機および/または有機ナノ材料
から選択されることを特徴とする、請求項1〜10いずれか記載の部材。
【請求項12】
軽量充填剤が、0.5 g/cm3未満の密度のものであることを特徴とする、請求項11記載の部材。
【請求項13】
セラミック材料、ガラスまたはプラスチックの中空ミクロスフェアが含まれ、ここで、ガラスまたは他のセラミック材料の中空ミクロスフェアの密度が0.4 g/cm3未満である、プラスチック中空ミクロスフェアの密度が0.2 g/cm3未満であることを特徴とする、請求項11または12記載の部材。
【請求項14】
軽量充填剤が、支持体材料を80〜160℃の温度で加熱したとき、0.2 g/cm3未満の密度を有する中空ミクロスフェアのみを形成するプラスチック粒子であることを特徴とする、請求項11〜13いずれか記載の部材。
【請求項15】
染料が、酸性染料、直接染料、塩基性染料、顕色染料、硫化染料およびアニリン染料から選択される水溶性染料、または溶媒で溶解される染料の群から選択される染料、ザポン染料から選択される染料であることを特徴とする、請求項11記載の部材。
【請求項16】
第1の顔料が、有機顔料、好ましくは、モノアゾ、ジスアゾ、α-ナフトール-、ナフトール-AS、レーク化アゾ、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合物、金属錯体などのアゾ顔料、イソインドリノンおよびイソインドリン顔料、多環式顔料および好ましくはフタロシアニン、キナクリドン、ペリレンおよびペリノン、チオインジゴ-、アントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、インダントロン、アンサンスロン、ジオキサジン、トリアリールカーボニウム、キノフタロン、ジケトピロロピロール顔料の群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の部材。
【請求項17】
第2の顔料が、カドミウム、ビスマス、クロムの金属酸化物および水酸化物、ウルトラマリン顔料、コーティングされた小板様マイカ顔料ならびに特にルチルおよびスピネル混合相顔料の群から選択される無機顔料であることを特徴とする、請求項11記載の部材。
【請求項18】
400〜1000 nmの波長範囲において70%より大きい反射を有するさらなる粒子が、支持体材料内に組み込まれることを特徴とする、請求項1〜17いずれか記載の部材。
【請求項19】
さらなる粒子が、無機顔料の群、金属酸化物、金属硫酸塩、金属硫化物、金属フッ化物、金属ケイ酸塩、金属炭酸塩およびその混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項18記載の部材。
【請求項20】
さらなる粒子が、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、天然硫酸バリウムおよびその混合物の分解性材料の群から選択されることを特徴とする、請求項18または19記載の部材。
【請求項21】
熱伝導率が、0.3 [W/m・K]未満、特に0.2[W/m・K]未満であることを特徴とする、請求項1〜20いずれか記載の部材。
【請求項22】
かさ密度が1.2 g/cm3未満、特に1.0 g/cm3未満であることを特徴とする、請求項1〜21いずれか記載の部材。
【請求項23】
400〜700 nmの可視光の波長範囲において40%未満の平均反射を有することを特徴とする、請求項1〜22いずれか記載の部材。
【請求項24】
700〜1000 nmの近赤外線の波長範囲において60%より大きい平均反射を有することを特徴とする、請求項1〜23いずれか記載の部材。
【請求項25】
軽量充填剤が、700〜1000 nmの近赤外線の波長範囲における該部材の反射を10%まで増加させることを特徴とする、請求項1〜24いずれか記載の部材。
【請求項26】
該部材のd)および/またはe)の特徴をさらに有する組合せa)を特徴とする、請求項1〜25いずれか記載の部材。
【請求項27】
少なくとも1つの層が組合せa)からなる少なくとも2つの層で構成されることを特徴とする、請求項1〜26いずれか記載の部材。
【請求項28】
組合せa)が、組み込まれた成分を含まない支持体材料の層と組み合わされることを特徴とする、請求項1〜27いずれか記載の部材。
【請求項29】
同一または異なる別形の該部材が、互い上の少なくとも2つの層と組み合わされ得ることを特徴とする、請求項1〜28いずれか記載の部材。
【請求項30】
好ましくは透明なラッカーコーティングであるさらなるラッカーコーティングが提供されることを特徴とする、請求項1〜29いずれか記載の部材。
【請求項31】
整列、素子または層の形態の支持体基材と組み合わされることを特徴とする、請求項1〜30いずれか記載の部材。
【請求項32】
自己整列支持体であることを特徴とする、請求項1〜31いずれか記載の部材。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2008−521986(P2008−521986A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543791(P2007−543791)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012927
【国際公開番号】WO2006/058782
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507179760)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】