説明

低用量デスモプレシンを含有する医薬組成物

【課題】現存するデスモプレシン製剤を改善して、低用量デスモプレシン含有医薬組成物を提供する。
【解決手段】0.5ng〜20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含有する医薬組成物。デスモプレシン及び薬学上許容される担体を含有する医薬組成物であって、血漿/血清1mL当たりデスモプレシン0.1ピコグラムから血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約10.0ピコグラムの範囲の、定常的な血漿/血清中デスモプレシン濃度を確立するのに有効である医薬組成物。上記発明を使用する製造物及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスモプレシンを含有する医薬組成物、及びより詳細にはヒトの特定の疾患を治療するための低用量のデスモプレシンを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デスモプレシン(1−デスアミノ−8−D−アルギニンバソプレシン、dDAVP)は、バソプレシンの類似体である。デスモプレシンは、バソプレシンと較べ、昇圧活性が低く且つ抗利尿活性が高い。この薬理学的プロフィールにより、デスモプレシンを、血圧の有意な上昇を起こさない抗利尿剤として臨床的に使用することが可能となる。デスモプレシンは、酢酸塩としての錠剤形態で及び経鼻噴霧剤として商業的に入手であり、数ある適応症の中でも、中枢性尿崩症を含む、排尿延期、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)及び夜間頻尿症に対して一般的に処方される。
【0003】
デスモプレシンは、静脈内、皮下、鼻腔内及び経口的に投与されている。静脈内経路の投与は、臨床で手術前にVIII因子の血中濃度を上昇させるために、軽度血友病又はフォンウィルブラント病を有する患者を処置するのにほとんど独占的に使用される。皮下注射は、中枢性尿崩症、重度の脱水を引き起こす可能性のある腎臓での大量の極端に薄い尿の産生を生じさせる、バソプレシンの欠乏を有する患者において、稀に且つ主として使用される。経鼻噴霧によるデスモプレシンの鼻腔内投与は、中枢性尿崩症を有する患者及び一次性夜間遺尿症を有する子供(6〜12歳)の維持治療に対して承認されている。また、経口錠剤剤形のデスモプレシンは、中枢性尿崩症及び一次性夜間遺尿症の治療に対して承認されている。
【0004】
今日、デスモプレシンの承認されたラベルは、臨床徴候及び投与経路に応じて、次の範囲での投与を推奨している。
【表1】

【0005】
CDI又はPNEに対する20マイクログラム(mcg又はμg)のデスモプレシンからなる典型的な鼻腔内投与量で達成される最大血漿/血漿/血清中濃度は、3〜5%の生体利用度に基づいて約20〜30pg/mLであろう。生体利用度がわずか0.1〜0.15%のデスモプレシン経口錠剤の場合、標準的な200〜400mcgの投与量は、やはり、20〜30pg/mLのピーク血漿/血漿/血清中レベルを示すであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現存するデスモプレシン製剤は、患者の必要性に合致しているが、なお改善の必要がある。錠剤は、それらの使用、区別の容易さ、及び正しい投与について疑義が無いことから、患者から好まれることが多い。しかし、錠剤は、一般には、グラス1杯の水又はその他の飲料と共に摂取する必要があり、このことは、液体の摂取がデスモプレシン治療と関連して制限される必要があるので問題であり、且つ患者に対するメッセージは水の摂取が全く無い場合により明瞭である。さらに、上記投与量及び血漿/血漿/血清中濃度はCDI及びPNEを治療するのに有効ではあるが、標準的なデスモプレシン投与量が、高発生率の低ナトリウム血症を含む望ましくない副作用を引き起こすことがわかっている。同一の所望する効果を生じさせることができるなら、より低い投与量が好ましい。しかし、この分野における最近の趨勢は、治療目的に対してデスモプレシンの投与量をより多くすることを評価している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、0.5ng〜20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む医薬組成物を対象とする。
【0008】
他の態様において、本発明は、デスモプレシン及び薬学上許容される担体を含み、血漿/血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約0.1ピコグラムから血漿/血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約10.0ピコグラムの範囲の、定常的な血漿/血漿/血清中デスモプレシン濃度を確立するのに有効な医薬組成物を対象とする。
【0009】
他の態様において、本発明は、包装材料及び該包装材料内に包含される医薬組成物を含む製造物を対象とし、該医薬組成物は、血友病、フォンウィルブラント病、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症、又は中枢性尿崩症を治療又は予防するのに治療上有効であり、該包装材料は、その医薬組成物が血友病、フォンウィルブラント病、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症、又は中枢性尿崩症を治療又は予防するのに使用可能であることを示すラベルを含み、該医薬組成物は、0.5ng〜20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む。
【0010】
他の態様において、本発明は、デスモプレシンによって治療又は予防可能な疾患又は状態を治療又は予防する方法を対象とし、該方法は、患者に対して、0.5ng〜20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む治療有効量の医薬組成物の1日当たり投与量を投与することを含む。
【0011】
他の態様において、本発明は、患者に対して、0.5ng〜20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含有する治療有効量の医薬組成物の1日当たり投与量を投与する段階を含む、患者に抗利尿効果を誘発する方法を対象とする
これらの及びその他の態様は、本発明に関する以下の詳細な説明を読むことによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以上の詳細な説明を付属図面と結合することにより、より完全に理解されるであろう。
【図1】0.5ng/kgのデスモプレシン投与で得られる各対象の尿重量モル浸透圧濃度を示す図である。
【図2】1.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる各対象の尿重量モル浸透圧濃度を示す図である。
【図3】2.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる各対象の尿重量モル浸透圧濃度を示す図である。
【図4】0.5ng/kgのデスモプレシン投与で得られる各対象の尿排泄量を示す図である。
【図5】1.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる各対象の尿排泄量を示す図である。
【図6】2.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる各対象の尿排泄量を示す図である。
【図7】0.5、1.0、及び2.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる平均尿重量モル浸透圧濃度を示す図である。
【図8】0.5、1.0、及び2.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる平均尿排泄量を示す図である。
【図9】0.5、1.0、及び2.0ng/kgのデスモプレシン投与で得られる平均尿重量モル浸透圧濃度及び平均尿排泄量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
今回、デスモプレシンは、口から吸収され且つ高められた生体利用度を提供する固体剤形として投与できることが発見されるに至った。入手可能な証拠によれば、口腔内(舌下)に投与されたデスモプレシンは有意には吸収されないことが示されているので(Fjellestad−Paulsen A.ら、Clin.Endocrinol.、38巻、177〜82頁(1993年))、デスモプレシンがこの方式で本当に吸収され得ることは驚きである。従来の経口錠剤製剤(すなわち、患者が飲み込む製剤)に較べて、生体利用度を向上できることは一層さらに予想外である。
【0014】
また、予想外にも、デスモプレシンの低い投与量及び血漿/血漿/血清中レベルが、薬理学的に活性であり、所望の治療最大効力を達成できることが発見された。本発明者は、現在推奨されている投与量及び得られる血漿/血漿/血清中レベルの5〜40%であるデスモプレシンの投与量及び血漿/血漿/血清中濃度が、治療学的に有効であり、CDI、PNE、及び尿の薬理学的濃縮を必要とするさらなる臨床徴候の治療に対して幾つかの場合により安全であることを見出した。デスモプレシンの実際の用量反応曲線が、現在の理論及び実際と比較して左に移動すること、及び予想される投与範囲上の各血漿/血漿/血清中濃度点において、尿濃縮に関する薬理学的効果の増大が観察されることが発見された。
【0015】
本発明の最初の態様によれば、デスモプレシンの舌下吸収用に構成された医薬剤形が提供される。
【0016】
デスモプレシンは、遊離塩基、又は薬学上若しくは適切なら獣医学上許容される塩の形態、或いは任意のその他薬学上若しくは獣医学上許容される形態でよい。酢酸塩が特に好ましい。
【0017】
製剤は、典型的には固体である。それは口内で急速に分散できる。このような製剤は、「口内分散性」と呼ばれる。この製剤は、典型的には、この目的に適切な薬学上許容される(ヒトでない動物に投与する場合は獣医学上許容される)であろう担体を含む。
【0018】
遊離塩基として測定したデスモプレシンの1日量は、一般には、剤形当たり0.5又は1μg〜1mgであろう。1つの好ましい投与量範囲において、その投与量は、典型的には、剤形当たり2μg〜800μg、好ましくは10μg〜600μgの範囲であろう。比較的少ない投与量(例えば、上記の又は当技術分野で提供される投与量と比較してより少ない投与量)、例えば、0.5ng〜20,000ng、好ましくは0.05mcg(50ng)〜10mcg(10,000ng)、より好ましくは0.1mcg(100ng)〜2000ngも具体的に考えられる。PNE及び夜間頻尿症で通例であるように1日当たり1剤形が投与される場合は、典型的には、これが、剤形当たりの投与量である。典型的には中枢性尿崩症の場合のように、1日当たりの投与量が2回又はそれ以上の投与で投与される場合、剤形当たりの有効化合物量はそれに応じて低減される。有効な1日量は、個々の患者の状態で決まり、したがって、任意の特定患者に対して、当技術分野の通常技術内で決定するべきである。ペプチドであるか否かに拘わらず、その他の有効成分も存在できる。
【0019】
本発明の医薬剤形は、口腔に有効成分を供給するように構成される。有効物は、全身分布に向けて舌下粘膜を通過して吸収されることができる。
【0020】
口腔から吸収するためのその他有効成分を送達するのに適した各種製剤が知られている。このような製剤は、本発明で有用である可能性がある。それらの1つが、頬側内で崩壊する固体製剤、又は有効成分、乳糖及び/又はマンニトールを含む糖類、固体成分を基準にして0.12〜1.2w/w%の寒天を含み、400mg/ml〜1,000mg/mlの密度を有し、取り扱うのに十分な強度を有し、実際に、ブリスター包装からの取り出しに崩壊しないで耐えるのに十分な強度を生じる調製物である。このような製剤、及びそれらの製造方法は、US−A−5466464に開示されており、さらなる詳細については該特許を参照のこと。
【0021】
本発明のこの実施形態において、糖類は、使用される有効成分の品質及び量に応じて異なるが、製剤中で、総固体成分を基準にして少なくとも50w/w%、好ましくは80w/w%以上、より好ましくは90w/w%以上の量で使用できる。
【0022】
寒天の種類に特別な制約はないが、日本薬局方に挙げられたものが好んで使用できる。挙げられた寒天の例には、寒天粉末PS−7及びPS−8(Ina Shokuhin製造)が含まれる。
【0023】
寒天は、固体成分を基準にして0.12〜1.2w/w%、好ましくは0.2〜0.4w/w%の量で使用できる。
【0024】
本発明のこの実施形態により製剤を製造するために、乳糖及び/又はマンニトールを含む糖類を、寒天水溶液に懸濁させ、型に充填し、ゼリー様形態に凝固させ、次いで乾燥する。寒天水溶液の濃度は、0.3〜2.0%、好ましくは0.3〜0.8%でよい。寒天水溶液は、固体成分を基準にした寒天の混合比率が0.12〜1.2w/w%になるような量で、しかし、好ましくは、寒天溶液が固体成分を基準にして40〜60w/w%になるような量で使用すればよい。
【0025】
口腔からの吸収を目的とする有効成分を送達するためのその他既知製剤は、US−A−6024981及びUS−A−6221392に開示の剤形である。これらの剤形は、直接経口投与用に構成された硬質の圧縮された急速溶解可能な剤形であり、有効成分並びに非直接圧縮フィルター及び滑沢剤を含むマトリックスを含み、前記剤形は患者の口内で急速に溶解し、それによって前記有効成分を遊離させるように構成され、米国薬局方で試験して約2%以下の摩損度を有し、前記剤形は少なくとも約15ニュートン(N)、好ましくは15〜50Nの硬度を場合によっては有する。US−A−6024981及びUS−A−6221392は、さらなる詳細及びこれら剤形の特徴及びそれらの作製方法を開示している。
【0026】
好ましくは、本発明のこの実施形態による剤形は、患者の口内で約90秒以下(好ましくは60秒以下、最も好ましくは45秒以下)で溶解する。また、剤形は、少なくとも1種の粒子を含むことが望ましい。粒子は、有効成分及び保護材料である。これらの粒子は、速放性粒子及び又は徐放性粒子を含むことができる。
【0027】
本発明のこの実施形態による特に好ましい製剤では、直接経口投与用に構成された硬質で圧縮された急速溶解錠剤が提供される。その錠剤は、有効成分及び保護材料から作られた粒子を含む。これらの粒子は、錠剤の重量を基準にして約0.01〜約75重量%の量で供給される。錠剤は、さらに、非直接圧縮賦形剤から作られたマトリックス、ウィッキング剤(wicking agent)、及び疎水性滑沢剤を含む。錠剤マトリックスは、マトリックス材料の総重量を基準にして少なくとも約60%の急速水溶性成分を含む。錠剤は、米国薬局方で測定して約15〜約50ニュートンの硬度、2%未満の摩損度を有し、患者の口内において60秒未満で自発的に溶解し、それによって前記粒子を遊離させ、且つ塊状で貯蔵できるように構成される。
【0028】
非直接圧縮糖として知られる微細顆粒化又は粉末糖類が、本発明のこの実施形態におけるマトリックスの賦形剤として使用できる。この材料は、一部はその化学組成のため、一部はその微細な粒子径のために、口内で唾液によって濡れると、ものの数秒で容易に溶解する。このことは、その材料が剤形の溶解速度に貢献できることを意味するだけではなく、患者が溶解しつつある剤形を口内に保持している間に、賦形剤が、「砂のような」又は「ざらざらする」舌ざわりの、したがって、剤形を摂取する際の感覚刺激感に悪影響を及ぼす一因とならないことをも意味する。これと対照的に、同じ糖類の直接圧縮物は、通常、顆粒化され、且つ圧密のために糖類をより大きく且つより適したものにするように処理される。これらの糖類は、水溶性ではあるが、必ずしも十分な速さで可溶化できない。結果として、それらの糖類は、溶解する際に、剤形がざらざらする又は砂のような舌ざわりを与える一因になる可能性がある。口内での溶解時間は、約37℃の水中での錠剤の溶解時間を観察することによって測定できる。錠剤を、強制撹拌なしで又は最小限の撹拌をしながら水中に浸漬する。溶解時間とは、浸漬してから錠剤中の急速水溶性成分が実質的に完全溶解するまでの、目視観察によって判定される時間である。
【0029】
本発明による特に好ましい賦形剤は、非直接圧縮糖及び上で考察した仕様に合致する糖アルコールである。このような糖又は糖アルコールには、それに限定はしないが、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、乳糖及び蔗糖が含まれる。もちろん、デキストロースは、例えば、直接圧縮糖、すなわち、その圧縮率を増すように変えられた糖、或いは非圧縮糖のいずれかとして存在できる。
【0030】
一般に、製剤の優位はマトリックスでよい。したがって、賦形剤の比率は、100%に近づくことができる。しかし、一般に、本発明による有用な非直接圧縮賦形剤は、約25〜約95%、好ましくは約50〜約95%、より好ましくは約60〜約95%の範囲である。
【0031】
使用される滑沢剤の量は、一般には、約1〜約2.5重量%、より好ましくは約1.5〜約2重量%の範囲でよい。本発明による有用な疎水性滑沢剤には、ステアリン酸アルカリ、ステアリン酸鉱物及び植物油、ベヘン酸グリセリル並びにフマル酸ステアリルナトリウムが含まれる。親水性滑沢剤も使用できる。
【0032】
本発明のこの実施形態による有用な保護材料としては、微粒子、マトリックス型微粒子及びマイクロカプセルを形成するのに通常的に利用される任意のポリマーを挙げることができる。これらの1つが、天然に存在するセルロース及び合成セルロース誘導体などのセルロース系材料、アクリルポリマー及びビニルポリマーである。その他の単純なポリマーとしては、ゼラチン、ポリペプチド及び天然及び合成セラック並びにワックスなどのタンパク質性材料が挙げられる。保護ポリマーとしては、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びドイツ国、バイテルシュタットのRhone Pharma GmbHがEUDRAGITの登録商標で販売しているアクリル樹脂材料を挙げることもできる。
【0033】
マトリックスは、前に考察した原料に加え、ウィッキング剤、非発泡性崩壊剤及び発泡性崩壊剤を含んでもよい。ウィッキング剤は、剤形中に水を引き寄せる能力を有する組成物である。それらは、剤形の内部に水分を輸送するのに役立つ。この方式で、剤形は、外側からと同様、内側から溶解できる。
【0034】
上記で考察したように水分を輸送するように機能できる任意の化学物質は、ウィッキング剤と考えてよい。ウィッキング剤としては、幾つかの従来からの非発泡性崩壊剤が挙げられる。これらには、例えば、微結晶セルロース(アビセルPH200、アビセルPH101)、Ac−Di−Sol(クロスカメロースナトリウム)及びPVP−XL(架橋ポリビニルピロリドン)、デンプン及び修飾デンプン、ポリマー、及びアラビア及びキサンタンなどのゴムが含まれる。ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、並びにカーボポールなどの化合物も使用できる。
【0035】
通常の錠剤に使用される非発泡性崩壊剤の通常範囲は、20%程度でよい。しかし、使用される崩壊剤の量は、一般的には、医薬補助薬ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients’)によれば約2〜約5%の範囲であった。
【0036】
本発明のこの実施形態によれば、使用されるウィッキング剤の量は、約2〜約12%、好ましくは2〜約5%の範囲でよい。
【0037】
もちろん、所望なら、水分を吸い上げるように作用できない非発泡性崩壊剤を含めることも可能である。どちらの場合でも、急速水溶性の非発泡性崩壊剤又はウィッキング剤を使用すること、及び/又は一般に非水溶性のウィッキング剤又は非発泡性崩壊剤の使用を最小化することが好ましい。急速には溶解できない、急速には水に溶けない成分は、十分な量で使用すると、錠剤が口内で溶解する際に錠剤の感覚刺激特性に悪影響を与える場合があり、したがって、最小化されるべきである。もちろん、本明細書で考察するような急速水溶性であるウィッキング剤又は非発泡性崩壊剤は、より大量に使用可能であり、それらは溶解の際に製剤のざらつきを増大させない。本発明による好ましいウィッキング剤には架橋PVPが含まれるが、それらの量を、それらが急速水溶性でないように調節すべきである。
【0038】
さらに、材料の崩壊プロフィール、感覚刺激特性などを改善するために、その他の列挙される成分と組み合わせて発泡対を使用するのが望ましい。好ましくは、発泡対は、最終錠剤の重量を基準にして約0.5〜約50重量%、より好ましくは約3〜約15重量%の量で供給される。水環境に暴露した際の放出気体が約30cm未満であるように、十分な発泡性材料を提供することが特に好ましい。
【0039】
用語「発泡対」には、気体を放出する化合物が含まれる。好ましい発泡対は、発泡性崩壊対を口内の水及び/又は唾液に暴露する際に起こる化学反応によって気体を放出する。この反応は、可溶性酸源と炭酸水素アルカリ又は炭酸塩源の反応の結果であるのがほとんどある。一般的なこれら2つの化合物の反応は、水又は唾液との接触で二酸化炭素ガスを生成する。水で活性化されるこのような材料は、水に暴露するとその時期でないのに錠剤を崩壊させるので、一般には水分をほとんど又は全く吸収していない無水状態、或いは安定な水和形態で保持しなければならない。酸源としては、ヒトが摂取しても安全である任意のものでよく、一般的には、食用酸、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル(furnaric)酸、アジピン酸、及びコハク酸などの酸及び水素化物制酸剤を挙げることができる。炭酸塩源としては、好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどの乾燥して販売される炭酸塩及び炭酸水素塩が挙げられる。ヒトが摂取しても安全である酸素又はその他の気体を放出する反応物も含まれる。
【0040】
本発明による口中で溶解できる錠剤の場合、崩壊剤の量及び種類の双方は、発泡性又は非発泡性、及びそれらの組合せのいずれにおいても、錠剤が患者の口中で気持ちのよい感覚刺激感を提供するように調節された量で十分に供給されることが好ましい。場合によっては、錠剤が口中で崩壊するときに、患者が発泡音又は発泡の明確な感覚を知覚可能でなければならない。一般に、ウィッキング剤、非発泡性崩壊剤及び発泡性崩壊剤の総量は、0〜50%の範囲でなければならない。しかし、本発明の製剤は急速に溶解し、それゆえ崩壊剤の必要性は最小限であることが強調されるべきである。実施例に示すように、発泡性崩壊剤又は高含有量のウィッキング剤が無くとも、適切な硬度、損耗度及び溶解時間を得ることができる。
【0041】
非直接圧縮賦形剤を使用すると、顆粒化など多くの通常的処理段階の必要性及び/又はより費用のかかる予備顆粒化された圧縮可能な賦形剤を購入する必要性が無くなる。同時に、得られる剤形は、性能と安定性の均衡がとれている。それは、直接圧縮を使用して通常的に製造するのに十分な強さである。それは、バラで貯蔵又は包装するのに十分な強さである。さらに、それは、従来の崩壊性錠剤の不快な感覚を可能な程度に最小化しながら、口中で急速に溶解する。
【0042】
本発明の実施形態による製剤は、
(a)有効成分並びに非直接圧縮賦形剤及び滑沢剤を含むマトリックスを含む混合物を形成する段階、
(b)該混合物を圧縮して、口内で溶解可能なマトリックス中に分配された有効成分を含む、多数の硬質の圧縮された急速崩壊性剤形を形成する段階、及び場合によっては、
(c)包装の前に、剤形をバラで貯蔵する段階、
を含む方法によって製造できる。好ましい実施形態においては、次いで、剤形を、1包につき少なくとも1つ存在するように、包みの内部空間に包装する。特に好ましい実施形態においては、次いで、剤形を、1包につき少なくとも1つを超えて存在するように、包みの内部に包装する。直接圧縮は、剤形を形成する好ましい方法である。
【0043】
口腔から吸収するための有効成分を送達するためのその他既知製剤は、US−A−6200604に開示の剤形であり、その剤形は、薬剤が頬側、舌下、及び歯肉粘膜を通る浸透性に影響を与える浸透増強剤として使用される発泡剤と組み合わせた口内投与が可能な薬剤を含む。本発明の関連において、薬剤はデスモプレシンであり、ほとんどの実施形態において舌下粘膜を通って投与される。本発明のこの実施形態の製剤において、発泡剤は、単独で、又は有効薬物の口内吸収の速度及び程度の増加につながる他の浸透増強剤と組み合わせて使用できる。
【0044】
本発明のこの実施形態による製剤又は剤形には、薬物の口内粘膜を通る浸透を援助するのに十分な発泡剤の量を含めなければならない。好ましくは、発泡剤は、最終錠剤の重量を基準にして約5重量%〜約95重量%の量で、より好ましくは約30重量%〜約80重量%の量で用意される。錠剤を水性環境に暴露することによって放出される気体が、約5cmを超え約30cm未満であるように、十分な発泡性材料を用意するのが特に好ましい。
【0045】
用語「発泡剤」には、気体を放出する化合物が含まれる。好ましい発泡剤は、発泡剤(発泡対)を口内の水及び/又は唾液に暴露する際に起こる化学反応によって気体を放出する。この反応は、可溶性酸源と炭酸アルカリ又は炭酸水素アルカリなどの二酸化炭素源との反応の結果であるのがほとんどある。一般的なこれら2つの化合物の反応は、水又は唾液との接触で二酸化炭素ガスを生成する。水で活性化されるこのような材料は、水に暴露するとその時期でないのに錠剤を崩壊させるので、一般には水分をほとんど又は全く吸収していない無水状態、或いは安定な水和形態で保持しなければならない。酸源は、ヒトが摂取しても安全である任意のものでよく、一般には食用酸、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル(fumeric)酸、アジピン酸、及びコハク酸などの酸及び水素化物制酸剤が含まれる。炭酸塩源には、好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどの乾燥して販売される炭酸塩及び炭酸水素塩が含まれる。ヒトが摂取しても安全である酸素又はその他の気体を放出する反応物も含まれる。
【0046】
本発明のこの実施形態で有用な発泡剤(群)は、必ずしも二酸化炭素を形成する反応に基づかない。ヒトが摂取しても安全な酸素又はその他の気体を放出する反応物も本発明の範囲に包含されると考えられる。発泡剤が、酸源及び炭酸塩源などの相互に反応する2種の成分を含む場合には、双方の成分が完全に反応することが好ましい。それゆえ、成分の比率は等しい当量を提供する等価であるのが好ましい。例えば、使用する酸が二プロトン性なら、完全な中和を実現するためには、2倍量の単反応性炭酸塩塩基を、又は等量の二反応性塩基を使用すべきである。しかし、本発明の他の実施形態において、酸源又は炭酸塩源のいずれか一方の量が他方成分の量を超えることもできる。このことが、いずれか一方の成分を過剰に含む錠剤の風味及び/又は性能を増強するのに役立つ場合がある。このような場合には、どちらかの成分の余分な量が未反応で残存することが許容される。
【0047】
このような剤形は、さらに、発泡に要求される量に付け加えたpH調整物質の量を含むこともできる。弱酸性又は弱塩基性である薬物の場合、水性環境のpHが、ヘンダーソンハッセルバッハ(Henderson−Hasselbach)の式により、溶液中に存在する薬物のイオン化形態と非イオン化形態の相対濃度に影響を与える可能性がある。発泡対が溶解したpH溶液は、炭酸ガスの放出によりわずかに酸性である。局部環境のpH、例えば、錠剤及びその錠剤から溶解した薬物と直接接触した唾液のpHは、薬物のイオン化形態と非イオン化形態の相対比率を制御することを可能にするpH調整物質を錠剤中に組み込むことによって調節され得る。この方式で、それぞれの特定薬物に関して、当該剤形を最適化できる。もし、非イオン化薬物が、細胞膜を通過して吸収されること(経細胞吸収)が知られている、又は推測されるなら、局部環境のpHを(対象に対する受忍限界内で)非イオン化形態の薬物に好都合なレベルにまで変更することが好ましい。逆に、イオン化形態のほうがより容易に溶解するなら、局部環境はイオン化に都合のよいものであるべきである。
【0048】
その剤形が、十分な濃度の薬物が非イオン化形態で存在することを可能にするように、好ましくは、発泡物質及びpH調整物質が薬物の水に対する溶解度を損なうべきでない。それゆえ、pH調整物質及び/又は発泡物質の比率をその薬物に応じて調節するべきである。
【0049】
本発明で使用するための適切なpH調整剤としては、発泡に必要な量に追加した量の任意の弱酸又は弱塩基、或いは好ましくは口腔粘膜に有害でない緩衝剤系が挙げられる。本発明で使用するための適切なpH調整剤としては、それに限定はしないが、前に発泡性化合物として言及した任意の酸又は塩基、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及び相当するカリウム塩が挙げられる。
【0050】
本発明のこの実施形態の剤形には、医薬成分の口腔粘膜を通る吸収を増強するために、及び剤形の崩壊プロフィール及び感覚刺激特性を改善するために、1種又は複数のその他成分を含めることが好ましい。例えば、剤形と口腔粘膜の接触面積、及び剤形の口腔内滞留時間は、この薬物送達システムに生体接着性ポリマーを含めることによって改善できる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Jonathan Eichmanによる「発泡で誘発される浸透性増強機構の研究(Mechanistic Studies on Effervescent−Induced Permeability Enhancement)」(1997年)を参照のこと。発泡は、その粘液剥離特性のため、生体接着剤の滞留時間をも増大させ、それによって薬物吸収のための滞留時間を増加させる。本発明で使用される生体接着剤の例には、それに限定はしないが、カルボポール934P、Na−CMC、メトセル、ポリカルボフィル(Noveon AA−1)HPMC、アルギン酸Na、ヒアルロン酸Na、及びその他の天然又は合成の生体接着剤が含まれる。
【0051】
本発明のこの実施形態による剤形は、発泡生成剤に加えて、適切な非発泡性崩壊剤を含むこともできる。非発泡性崩壊剤の例には、それに限定はしないが、微結晶セルロース、クロスカメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプン、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン及びそれらの修飾デンプン、甘味剤、ベントナイトなどの粘土、アルギン酸塩、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、トラガカンタなどのゴム類が含まれる。崩壊剤は、組成物の総重量の約20重量%まで、好ましくは約2〜約10重量%を構成できる。
【0052】
本発明のこの実施形態による粒子に加えて、剤形は、流動促進剤、滑沢剤、結合剤、甘味剤、着香及び着色成分を含むこともできる。任意の通常的な甘味剤又は着香成分を使用できる。甘味剤類の、着香成分類の、又は甘味剤と着香成分の組合せも同様に使用できる。
【0053】
使用できる結合剤の例には、アラビアゴム、トラガカントゴム、ゼラチン、デンプン、メチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース材料、アルギン酸及びその塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ポリエチレングリコール、グアーゴム、多糖酸、ベントナイト、糖類、転化糖などが含まれる。結合剤は、全組成物の60重量%まで、好ましくは約10〜40重量%の量で使用できる。
【0054】
着色剤としては、二酸化チタン、F.D.&C.染料として知られる染料などの食品に適した染料、及びグレープ果皮エキス、ビートレッド粉末、β−カロテン、アナトー、カルミン、ターメリック、パプリカなどの天然着色剤を挙げることができる。使用される着色剤の量は、全組成物の約0.1重量%〜約3.5重量%の範囲でよい。
【0055】
組成物に組み込まれる香料は、合成香油及び着香芳香剤及び/又は天然油、植物、葉、花、果実などからのエキス、及びそれらの組合せから選択できる。これら香料としては、シナモン油、冬緑油、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、シダーリーブ油、ナツメグ油、セージ油、ビターアーモンド油、及びセンナ油を挙げることができる。バニラ、レモン、オレンジ、グレープ、ライム及びグレープフルーツを含む柑橘油、及びリンゴ、西洋ナシ、モモ、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、スモモ、パイナップル、アンズなどを含む果実エッセンスも香料として有用である。特に有用であることが見出された香料には、商業的に入手可能なオレンジ、グレープ、チェリー及び風船ガム香料、並びにそれらの混合物が含まれる。着香剤の量は、所望する感覚刺激効果を含む幾つかの要因に依存してよい。香料は、組成物の重量を基準にして、約0.05重量%〜約3重量%の範囲の量で存在できる。特に好ましい香料は、グレープ及びチェリー香料並びにオレンジなどの柑橘香料である。
【0056】
本発明の一態様は、舌下投与に適した固体の口内錠剤の剤形を提供する。打錠を容易にするために補形賦形剤を使用できる。賦形剤は、さらに、口内での剤形の急速溶解を援助することが望ましい。適切な賦形剤の例には、それに限定はしないが、マンニトール、デキストロース、乳糖、蔗糖、及び炭酸カルシウムが含まれる。
【0057】
US−A−6200604に記載のように、錠剤は、直接圧縮、湿式顆粒化、又は任意のその他錠剤製造技術によって製造できる。剤形は、それを対象の口中に入れ、舌の真下に保持(舌下投与の場合)することによってヒト又はその他の哺乳動物対象に投与できる。剤形は、口内の水分により自発的に崩壊し始める。崩壊、特に発泡が、さらなる流涎を刺激し、その流涎が崩壊をさらに高める。
【0058】
上述の製剤も本発明の範囲に包含されるが、本発明による最も好ましい口内分散性固体医薬剤形は、薬学的に有効なペプチド及びデスモプレシンを保持するオープンマトリックス網状組織を含み、該オープンマトリックス網状組織はデスモプレシンに対して不活性な、水溶性の又は水に分散可能な担体から構成される。
【0059】
オープンマトリックス網状組織を含む医薬剤形は、GB−A−1548022により周知であり、さらなる詳細については該特許を参照されたい。本発明の医薬剤形は、水によって急速に崩壊可能である。「急速に崩壊する」とは、成型物が水中で10秒以内に崩壊することを意味する。好ましくは、成型物が5秒以内で崩壊(溶解又は分散)する。崩壊時間は、英国薬局方(B.P)1973年、錠剤崩壊試験(Disintegration Test for Tablets)に類似の方法で測定される。この方法は、GB−A−1548022に記載されており、以下にその概略を示す。
【0060】
装置
バスケットを形成するために底部末端にNo.1.70の篩いの要件に従った防錆金網の円盤を取り付けた、長さ80〜100mm、内径約28mm、外径30〜31mmのガラス又は適切なプラスチック製の筒。
温度36℃〜38℃の深さ15cm以上の水を入れた、内径約45mmの平底ガラスシリンダー。
バスケットが一定の方式で反復的に上昇及び下降し、最高位置で網が水面からほんのわずか飛び出し、最低位置でバスケットの上縁がほんのわずか水面上に残るように、バスケットをシリンダーの中心に吊り下げる
【0061】
方法
1個の成型物をバスケットに入れ、完全な上昇及び下降運動を毎分30回に等しい速度で反復するような方式でバスケットを上昇及び下降させる。網を容易には通過しない粒子が網上に残存しない場合が、成型物の崩壊である。10秒後にこのような粒子は残存すべきでない。
【0062】
用語「オープンマトリックス網状組織」とは、全体に渡って散在する隙間を有する水溶性又は水に分散可能な担体材料の網状組織を意味する。担体材料のオープンマトリックス網状組織は、一般に密度が低い。例えば、密度は、10〜200mg/ccの範囲内、例えば10〜100mg/cc、好ましくは30〜60mg/ccでよい。成型物の密度は、その物品中に組み込まれる有効成分又は任意のその他成分の量によって影響を受ける場合があり、上で言及したマトリックス網状組織の密度の好ましい限界の外側でもよい。構造が固体の泡に似たオープンマトリックス網状組織により、液体が隙間を通って製品に進入し、内部に浸透することが可能になる。水性媒質による浸透は、製品の内部及び外部双方の担体材料を水性媒質の作用に暴露し、それによって担体材料の網状組織が急速に崩壊する。オープンマトリックス構造は、多孔性であり、錠剤、丸剤、カプセル剤、座薬及び膣座薬など、通常の固体成型医薬剤形と比較して、製品の崩壊を増進する。急速崩壊は、マトリックスで保持された有効成分の急速放出を引き起こす。
【0063】
本発明の製品に使用される担体材料は、薬理学的に許容される又は化学物質に対して不活性であり、且つ急速崩壊が可能なオープンマトリックス網状組織を形成できる能力のある、任意の水溶性又は水に分散可能な材料でよい。水溶性材料は製品を水性媒質中に置いた場合に最も急速なマトリックスの崩壊を引き起こすので、担体としては水溶性材料を使用するのが好ましい。特に有利な担体は、ゼラチン、特に、例えば水中での加熱によって特に加水分解されたゼラチンなどのポリペプチドから形成できる。例えばゼラチンの水溶液を、例えばオートクレーブ中、約120℃で最大2時間、例えば約5分〜約1時間、好ましくは約30分〜約1時間加熱することによって、ゼラチンを部分的に加水分解できる。加水分解したゼラチンは、好ましくは、約1〜6w/v%、最も好ましくは2〜4w/v%、例えば約3w/v%の濃度で使用される。
【0064】
哺乳動物由来のゼラチンも使用できるが、それは、不快な味があり、したがって、場合によっては有効成分の味を遮蔽するのに必要とされるなんらかの甘味剤及び香料に加え、ゼラチンの味を遮蔽するための甘味剤及び香料の使用を余儀なくさせる。さらに、哺乳動物ゼラチンの使用に伴って必要になる加熱段階のせいで、処理時間が増加し、且つ加熱費用が必要となり、それによって工程の総費用が増大する。それゆえ、特にデスモプレシンには、魚類ゼラチン、特に非ゲル化魚類ゼラチンの使用が好ましい。さらなる詳細についてはWO−A−0061117を参照のこと。
【0065】
部分加水分解ゼラチン又は魚類ゼラチンの代わりに、その他の担体、例えば、加水分解デキストラン、デキストリンなどの多糖及びアルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、又は上で言及した担体と、それら同士との、又はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン若しくはアラビアゴムなどのその他の担体材料との混合物を使用できる。ゼラチンに代わって、WO−A−0044351に記載のような修飾デンプンも使用可能であり、さらなる詳細については該特許を参照されたい。さらなる担体としては、水、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ゴム、アルコール、ワセリン(石油ゼリー)などが挙げられる。
【0066】
本発明の医薬剤形は、成型物の形態でよい。それらには、有効成分(群)の他にも諸成分を組み込むことができる。例えば、本発明の医薬剤形には、薬学上許容される補助剤を組み込むことができる。このような補助剤としては、例えば、着色剤、着香剤、防腐剤(例えば静菌剤)などが挙げられる。US−A−5188825は、水溶性の有効薬剤は、実質的に水不溶性の有効薬剤/樹脂複合体を形成するために、イオン交換樹脂に結合させるべきであることを教示しており、その教示はここでも実行できるが(さらなる詳細についてはUS−A−5188825を参照のこと)、本発明の進展過程において、デスモプレシンなどの水溶性ペプチドは、イオン交換樹脂へ結合させることを必要としないで、本発明の固体剤形に製剤化できることが見出された。したがって、このような剤形は、イオン交換樹脂を含まない。デスモプレシンは疎水性ではないが、疎水性ペプチドの場合には、US−A−5827541に教示されているように、界面活性剤が存在してもよい(さらなる詳細については該特許を参照されたい)。不快な味を有するペプチド(デスモプレシンは有さない)の場合には、US−A−6156339に教示されているように、患者の受容性を改善するためにレシチンなどの脂質が存在してもよい(その詳細については該特許を参照されたい)。味を遮蔽するためのその他の戦略には、US−A−5738875及びUS−A−5837287が教示しているような、溶解性塩から溶解性のより低い塩への又は遊離塩基への変換、及びUS−A−5976577に開示の方法、すなわち、凍結乾燥に先立って、薬学的に有効な物質(群)の非被覆又は被覆粗粒子を担体材料中に懸濁させたものを冷却して、粘度を低減し、且つ、処理中の有効物質の放出を最小にし、さらには口内での剤形の崩壊点を超えてペプチドからの不快な味を最小にする方法(更なる詳細については該特許を参照のこと)の使用が含まれる。
【0067】
大きな粒子径を有する不溶性又は貧溶性ペプチドの場合には、US−A−5631023に開示のように、特に、担体がゼラチンから形成される場合には、キサンタンガムがゼラチン凝集剤として作用できるので、キサンタンガムが存在してもよい(さらなる詳細については該特許を参照されたい)。
【0068】
マトリックスが、ゼラチン、ペクチン、ダイズ繊維タンパク質及びそれらの混合物からなる群から選択される場合には、WO−A−9323017が教示しているように、約2〜12個の炭素原子を有する1種又は複数のアミノ酸が存在してもよい。この製剤において、好ましいアミノ酸は、グリシンであり、一方、好ましいマトリックス形成剤はゼラチン及び/又はペクチンであり、特に好ましい実施形態において、剤形は、さらにマンニトールを含む。すべての補助薬は、薬学上許容されるように選択される。
【0069】
本発明の医薬剤形は、医薬物質及び担体材料の溶媒溶液を含む組成物から溶媒を昇華させることを含む、GB−A−1548022に記載されているような方法で調製可能であり、該組成物は型の中で固体状態である。
【0070】
昇華は、好ましくは、有効成分及び担体材料の溶媒溶液を含む組成物を凍結乾燥することによって実施される。組成物は、前に言及したようなさらなる成分を含むことができる。溶媒は、好ましくは水であるが、化学物質の溶解性を向上させるために助溶媒(アルコール、例えばtert−ブチルアルコールなど)を含むことができる。組成物は、界面活性剤、例えばTween80(モノオレイン酸ポリオキシエチレングリコール(20)ソルビタン)を含むこともできる。界面活性剤は、凍結乾燥製品が型の表面に固着するのを防止するのに役立つ可能性がある。また、界面活性剤は、有効成分が分散するのを助ける可能性もある。
【0071】
組成物は、剤形が調製される溶液のpHを3〜6、好ましくは3.5〜5.5、最も好ましくは4〜5の範囲内、例えば4.5又は4.8に調整するためのpH調整剤を含むことができる。クエン酸が好ましいpH調整剤であるが、塩酸、リンゴ酸を含むその他の調整剤も使用できる。このような非揮発性pH調整剤は、凍結乾燥又はその他の昇華処理によって除去されず、最終製品中に存在する可能性がある。
【0072】
型は、その中に一連の円筒状又はその他の形状の凹部を含み、それぞれの大きさは、所望する成型物の大きさに対応している。別法として、型の凹部の大きさが、所望する物品の大きさより大きくてもよく、内容物を凍結乾燥した後、製品を所望の大きさに切断できる(例えば薄いウェファ)。
【0073】
しかし、GB−A−2111423に記載のように、型は、好ましくは、1枚のフィルム状材料中の凹部である。フィルム状材料は、1つを超える凹部を含むことができる。フィルム状材料は、避妊用経口錠剤及び類似の薬剤形態を包装するのに使用される通常のブリスター包装で採用される材料に類似していてよい。例えば、フィルム状材料は、熱成型によって形成された凹部を有する熱可塑性材料で作製できる。好ましいフィルム状材料は、ポリ塩化ビニルフィルムである。フィルム状材料の積層物も使用できる。
【0074】
一実施形態において、型は、1つ又は複数の凹部を含む金属板(例えば、アルミニウム板)を含む。このような型を使用する好ましい方法においては、型を、冷却媒体(例えば、液体窒素又は固体二酸化炭素)で冷却する。型を冷やしたら、担体材料、有効成分及び任意のその他所望する成分を含む予め定めた量の水を凹部(群)に供給する。凹部(群)の内容物が凍結したら、昇華を助けるために、型を、減圧に付し、及び所望なら制御された熱を付加する。圧力は、約4mmHg未満でよい。GB−A−1548022は、0.3mmHg未満、例えば0.1〜0.2mmHgの圧力を採用するのが好ましいことを教示している。凍結乾燥製品を型の凹部から取り出し、将来の使用に備えて例えば気密ジャー又はその他の適切な貯蔵容器中で貯蔵できる。別法として、GB−A−2111423に記載のように、凍結乾燥製品をフィルム状材料で封じ込めることができる。
【0075】
本発明による医薬剤形を作製するのに役立つ最近開発された方法が、GB−A−2111423に記載されている(さらなる詳細については該特許を参照されたい)。この方法は、予め定めた量の有効成分及び部分加水分解ゼラチン溶液を含む組成物を型に充填すること、型の上部に気体状冷却媒体を通過させることによって型の中の組成物を凍結させること、次いで、凍結組成物から溶媒を昇華させて有効成分を保持する部分加水分解ゼラチンの網状組織を生成させることを含む。
【0076】
製品の一様な厚みを確実にするのを助けるため、GB−A−2119246に記載のように、型の側壁又は複数の壁を、基盤から外側に向けて発散させ、組成物の表面で垂直と少なくとも5°の角度を付けてもよい(さらなる詳細については該特許を参照のこと)。
【0077】
別法として又は付加的に、本発明の医薬剤形は、有効成分に対して不活性な水溶性又は水に分散可能な担体材料の第一溶媒溶液を含む組成物を凍結すること、凍結組成物から第一溶媒を昇華させて担体成分の網状組織を有する製品を製造すること、前記製品に予め決められた量の有効成分を含む非水性第二溶媒の溶液又は懸濁液を添加すること、及び第二溶媒の蒸発を可能にする又は生じさせることを含む、GB−A−2114440に記載されているような方法によって調製できる。
【0078】
別法として又は付加的に、本発明の医薬剤形は、小滴状の液体媒質を液体媒質の凝固点より低い温度に維持された冷却液の表面直下に導入することを含む、GB−A−2111184に記載の方法によって調製することが可能であり、該冷却液は、液体媒質に対して混和不能、且つ不活性であり、液体小滴が冷却液中でその表面に向かって浮かび上がり、凍結されて球状粒子を形成するように、液体媒質及び生成する凍結粒子の双方よりも大きな密度を有する。凍結球状粒子を冷却液の上面又はその近傍に集めることができる。さらなる詳細についてはGB−A−2111184を参照のこと。
【0079】
本発明による剤形により、生体利用度が改善された。これらの剤形は、経口で摂取されることを意図しており、その目的に対して極めて適している。それらは、口中で急速に分散し、例えば、舌の下部(舌下)に置くことができる。
【0080】
本発明の第二態様によれば、医薬、特に、排尿延期、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)及び夜間頻尿症及び中枢性尿崩症に使用するための上述のような剤形が提供される。
【0081】
本発明は、排尿を延期する方法、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症及び/又は中枢性尿崩症を治療又は予防する方法を提供し、該方法は、患者に対して、有効且つ一般には無毒性量のデスモプレシンを例えば上述の剤形で舌下粘膜を通過させて投与することを含む。デスモプレシンで治療又は予防可能なその他任意の疾患又は状態は、本発明の手段によって同様に対処できる。それゆえ、本発明は、舌下で吸収可能な医薬製剤の製造におけるデスモプレシンの使用に及ぶ。また、本発明は、患者の舌下に剤形を置くための使用説明書と一緒にデスモプレシンの舌下吸収が可能な医薬剤形を含むパックに及ぶ。
【0082】
デスモプレシンの包装剤形を調製する方法も本発明に包含され、該方法は、デスモプレシンの舌下吸収が可能な医薬剤形及び患者の舌下に剤形を置くための使用説明書を一緒にすることを含む。使用説明書は、例えば、販売又は調剤される場合の剤形を含む包装上に印刷してもよく、或いは製品情報リーフレット上又は包装内の挿入物上にあってもよい。
【0083】
デスモプレシンに加え、その他のペプチド類を上述の製剤中に処方できる。したがって、本発明は、経口吸収用に構成された薬学的に有効なペプチドの医薬剤形に及ぶ。
【0084】
本発明のさらなる態様によれば、例えば経口投与用の固体医薬剤形が提供され、該医薬剤形は、薬学的に有効なペプチド、及びそのペプチドを保持するオープンマトリックス網状組織を含み、該オープンマトリックス網状組織は、ペプチドに対して不活性である水溶性又は水に分散可能な担体材料から構成される。
【0085】
WO−A−9921579により、急速に溶解する剤形からなる経口ワクチンが知られているが、投与後にその活性を保持する薬学的に有効なペプチドの開示はない。WO−A−9921579の実験的研究は、補助急速溶解投与ワクチン製剤の手段による破傷風トキソイドの投与に続く、破傷風トキソイドに対するIgA抗体の唾液中での存在を示しているに過ぎない。本発明の製剤はワクチンではなく、補助剤を含まない。
【0086】
本発明のこの態様の医薬剤形は、薬学的に有効なペプチドを含む。このようなペプチドは、それ自体直接的に有効でもよいし、或いはそれらが1種又は複数の有効な代謝物を有してもよく、すなわちそれらが根本的な又は真に有効な本質成分に対するプロドラッグでよい。そのペプチドは、例えば、2〜20個、好ましくは5〜15個のアミノ酸残基を有することができる(L−異性体が一般には主であるが、その少なくとも一部はD−異性体である)。ペプチドは、直鎖、分枝鎖又は環状でよく、天然残基若しくは置換基、又は天然のペプチド若しくはタンパク質中に共通には若しくは全く見出されない残基若しくは置換基を含むことができる。適切なら、薬学上許容される塩、単純な付加物及び互変異性体も含まれる。
【0087】
本発明によって実用的に製剤されるペプチドの例としては、ソマトスタチン並びにシクロ(MeAla−Tyr−−Trp−Lys−Val−Phe)及びシクロ(Asn−Phe−Phe−−Trp−−Lys−Thr−Phe−GABA)を含むソマトスタチン類似体、Met−エンケファリン及びLeu−エンケファリンを含むエンケファリン類、アトシバン(1−デアミノ−2−−Tyr−(OEt)−4−Thr−8−Om−オキシトシン)などのオキシトシン類似体、トリプトレリン(6−−Trp−GnRH)、リュープロリド([−Leu、Pro−NHEt]−GnRH)、デガレリクス(Ac−−2NaI−−4Cpa−−3Pal−Ser−4Aph(L−ヒドロオロチル)−−4Aph(Cbm)−Leu−Ilys−Pro−−Ala−NH、ここで、2NaIは2−ナフチルアラニンであり、4Cpaは4−クロロフェニルアラニンであり、3Palは3−ピリジルアラニンであり、ILysはN(8)−イソプロピルリシンであり、4Aphは4−アミノフェニルアラニンであり、Cbmはカルバモイル基である)などのGnRH類似体、及びUS−A−5925730及びUS−A−4072668に開示のその他GnRH拮抗薬、及びデスモプレシンなどのバソプレシン類似体が挙げられる。作用薬は拮抗薬よりもより低用量で有効なので、上述のペプチドのような天然の有効ペプチドの作用薬を本発明により製剤することが特に好ましい。
【0088】
投与量は、ペプチドの性質、治療又は予防される疾患又は状態の性質、及びその他の要因に応じて医師又は臨床医が決定する。
【0089】
本発明は、ペプチドによって治療又は予防可能な疾患又は状態を治療又は予防するための上述のような剤形の製造におけるペプチドの使用に及ぶ。
【0090】
また、本発明は、ペプチドによって治療又は予防可能な疾患又は状態を予防する方法を提供し、該方法は、患者に対して、有効で且つ一般に非毒性量のペプチドを上述の剤形で投与することを含む。
【0091】
低用量の解析及び適用
上に示したように、今日推奨される投与量及び得られる血漿/血漿/血清中レベルの5〜40%であるデスモプレシンの投与量及び血漿/血漿/血清中濃度は、治療上有効であり、場合によってはCDI、PNE、及び尿の薬理学的濃度を要求するさらなる臨床的徴候など、特定の疾患状態に対してより安全である。
【0092】
夜間頻尿症(頻繁な夜間排尿を惹起する)として知られる状態をデスモプレシンで治療している成人の男子及び女子を臨床的に観察すると、より低用量のデスモプレシンが望ましいことを示唆している。この患者集団において、デスモプレシンの標準的な鼻腔内及び経口投与が、意外にも、低ナトリウム血症、すなわち、血漿/血漿/血清中ナトリウムが異常に低いレベルにまで降下する状態を高い発生率で引き起こした。低ナトリウム血症は、発作、不整脈、脳水腫及び死をもたらす可能性がある。デスモプレシンの経口投与量は、100〜400mcgの範囲であり、鼻腔内投与量は、10〜20mcgの範囲であった。これらの投与量は夜間頻尿症の発生率を低下させるとはいえ、低ナトリウム血症は、その投与量が、結果として過剰水和及び血漿/血漿/血清中ナトリウムの希釈による低下を伴う、尿濃度に対する薬力学的影響の過度な持続時間を生じさせる不必要に高いものであることを示唆した。より低用量のデスモプレシンは、作用の大きさ及び持続時間の点から見て、適切ではあるが過剰ではない抗利尿をもたらす。
【0093】
本発明によれば、本発明の医薬組成物を投与した後の血漿/血漿/血清中デスモプレシン濃度は、好ましくは、約0.1pg/mL〜約10.0pg/mL、より好ましくは約0.5pg/mL〜約5.0pg/mLの範囲である。デスモプレシンのこれらの量及び範囲は、以下にその概略を示すように、限定はしないが、静脈内(ボーラス剤、注射剤)、皮下(ボーラス剤、注射剤、デポ剤)、鼻腔内、経粘膜(バッカル剤及び舌下剤、例えば口内分散性錠剤、ウェファー、フィルム、及び発泡製剤、結膜(点眼剤)、直腸(座薬、浣腸剤))、経皮(受動吸収貼付剤、ジェル、クリーム、軟膏又はイオン導入剤)、又は皮内(ボーラス剤、注射剤、デポ剤)を含む、当技術分野で周知の任意の方法で投与できる。さらに、上記の血漿/血漿/血清中デスモプレシン濃度を与える量でデスモプレシンを含む医薬組成物は、前記方法及び前記担体の使用によって、又は当技術分野で周知のその他任意の方法によって調製できる。
【0094】
前に概略を示したデスモプレシンの投与範囲は、下記の例に要約したような各種経路で投与した場合に、適切な抗利尿効果をもたらすことができる。
【表2】

【0095】
デスモプレシンの低用量投与は、中枢性尿崩症の治療、一次性夜間遺尿症の予防、夜間頻尿症の予防、限定はしないが睡眠障害を含む夜間頻尿症に関連した臨床的障害の治療、失禁(緊張性、急迫性など)の予防、及び覚醒時の排尿延期などの臨床徴候に対する有効な治療方式である可能性がある。
【0096】
吸収を増強させ、且つその全身生体利用度を向上させた、デスモプレシンの特定製剤を創り出すこともできる。これらの製剤は、用量反応曲線にそった各点で追加的な薬理学的効果を生み出し、それによって低用量でもデスモプレシンの活性を増幅することができる。
【実施例】
【0097】
本発明を、以下の実施例によってさらに詳細に説明する。別途明白に述べない限り、部及びパーセントはすべて重量による。
【0098】
(例1)200μgデスモプレシン口内分散性剤形
ガラスビーカーに噴霧乾燥した魚類ゼラチン(4g)及びマンニトール(3g)を入れる。次いで、精製水(93g)を添加し、磁気撹拌子を使用する撹拌により溶液にする。pHを調べ、必要ならクエン酸で4.8に調整する。次いで、ギルソンピペットを使用し、前以て形成した約16mmのポケット直径を有する一連のブリスターポケットのそれぞれにこの溶液500mgを送達できる。ブリスターの積層はPVdCで被覆したPVCを含んでよい。次いで、投与される投与単位を、凍結トンネル中−110℃の温度で、3.2分の滞留時間で凍結し、次いで、凍結済みの投与単位を、−25℃(±5℃)の温度で1.5時間を超える時間、縦型冷凍庫中に保持した。次いで、その投与単位を、0.5ミリバールの圧力で、棚温度を最初の10℃から+20℃まで上げながら一夜凍結乾燥する。取り出す前に、乾燥トレースによって及び加圧水分検査によって投与単位の水分を調べた。
【0099】
このように、WO−A−0061117の例1に示された一般的手順に従って、単位剤形当たり次の成分を使用してデスモプレシンの口内分散性剤形を調製する。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories、スウェーデン)
200μg
マンニトールEP/USP(Roquette、Mannitol 35)
15mg
魚類ゼラチンUSNF/EP 20mg
クエン酸(必要なら)(pH調整剤) pH4.8まで
精製水(処理中に除去される)
【0100】
(例2)400μgデスモプレシン口内分散性剤形
単位剤形当たりのデスモプレシン量が400μgであること以外は、本明細書の例1の手順に従う。
【0101】
(例3)800μgデスモプレシン口内分散性剤形
単位剤形当たりのデスモプレシン量が800μgであること以外は、本明細書の例1の手順に従う。
【0102】
(例4)200μgデスモプレシン口内分散性剤形
WO−A−0061117の例1に示された一般的手順に従って、単位剤形当たり次の成分を使用してデスモプレシン剤形、口内分散性剤形を調製した。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories、スウェーデン)
200μg
マンニトールEP/USP(Roquette、Mannitol35)
6mg
魚類ゼラチンUSNF/EP 10mg
クエン酸(必要なら)(pH調整剤) pH4.8まで
精製水(処理中に除去される)
【0103】
(例5)400μgデスモプレシン口内分散性剤形
単位剤形当たりのデスモプレシン量が400μgであること以外は、本明細書の例4の手順に従った。
【0104】
(例6)800μgデスモプレシン口内分散性剤形
単位剤形当たりのデスモプレシン量が800μgであること以外は、本明細書の例4の手順に従った。
【0105】
(比較例1)デスモプレシンi.v.溶液
以下の成分を使用し、デスモプレシンの注射可能な製剤を通常的に調製した。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories、スウェーデン)
4mg
塩化ナトリウム 9mg
(National Corporation of Swedish Pharmacies、スウェーデン)
塩酸(1N)(Merck、ドイツ) pH4まで
注射用水 全量1mlまで
【0106】
(比較例2)200μgデスモプレシン従来型錠剤
通常の湿式顆粒法を使用して以下の成分を含む錠剤を調製した。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories、スウェーデン)
200μg
乳糖(Pharmatose 150M、DMV、オランダ) 120mg
馬鈴薯デンプン(Lyckeby AB、スウェーデン) 77mg
PVP(Kollidon25、BASF、ドイツ) 1.8mg
ステアリン酸マグネシウム(Peter Greven、ドイツ) 1mg
顆粒化用液体(水、エタノール)(処理中に除去される)
【0107】
(比較例3)100μgデスモプレシン従来型錠剤
デスモプレシンの量が錠剤当たり100μgであること以外は、本明細書の比較例2の手順に従った。
【0108】
(例7)例4〜6により投与されたデスモプレシンの生体利用度
研究計画
本研究では、24名の健康な非喫煙男子志願者を登録した。本研究は、1中心、オープンラベル化、ランダム化、釣合い型、4元交差第I相研究として計画した。それぞれの対象に、ランダム化した順序で、デスモプレシンを200μg、400μ及び800μgの口内分散性剤形(それぞれ、例4、5及び6)として舌下で及び静脈内ボーラス投与(比較例1)として2μgを投与した(比較例1)。投与と投与の間に72時間の洗浄期間を置いた。口内分散性錠剤を投与する前に頬粘膜を標準化するため、対象には食物、チューインガムなどを避けるよう求めた。対象には、練り歯磨きを使用しない、投与前の朝の歯磨きを許可した。
【0109】
血液試料
デスモプレシンの血漿中濃度を調べるための血液試料は、次のスケジュールで採取した、すなわち、投与前、並びに投与後15、30、45分、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12及び24時間。静脈内投与後、5及び10分にさらなる血液試料を採取した。
【0110】
アッセイ
血漿中のデスモプレシン濃度は、バリデーション済みのRIA法で測定した。
【0111】
薬物動態解析
血漿中のデスモプレシン濃度は、商業的に入手可能なソフトウェアーWinNonlin(商標)Pro,ver.3.2(Pharsight Corporation、米国)を使用する非コンパートメント法を利用して、各投与群の個々の志願者について分析した。定量限界(LOQ)未満の血漿中濃度値、続いて定量限界(LOQ)を超える値を、NCA解析及び濃度に関する記述統計に関して「LOQ/2」に設定した。LOQを超える値が続かないLOQ未満の値は、NCA解析から排除し、濃度に関する記述統計においてゼロに設定した。
【0112】
薬物動態分析の結果
i.v.投与後における、定常状態平均分布容積(Vss)は29.7dmであった。平均クリアランスは8.5dm/hrと計算され、平均消失半減期は2.8時間と決定された。デスモプレシンの経口投与後における最大血漿中濃度は、投与後0.5〜2.0時間に観察された。200、400及び800μgの経口投与後における最大血漿中濃度は、それぞれ14.25、30.21、及び65.25pg/mlであった。最大値に到達した後、デスモプレシンは、2.8〜3.0時間の範囲の平均消失半減期で除去された。生体利用度は、0.23〜0.38%の95%信頼区間で0.30%と判定された。
【0113】
デスモプレシンの薬物動態は、例4、5又は6の口内分散性剤形として投与された場合、線形である。
【0114】
(比較例4)比較例2及び3により投与されたデスモプレシンの生体利用度
オープンラベル、1回投与、3元交差研究として計画されたこの研究では、36名の健康な男子志願者(白色人種、黒人及びヒスパニック)を登録した。各対象に、ランダム化した順序で、1つの200μg錠剤(比較例2)として200μgのデスモプレシンを、2つの100μg錠剤(比較例3)として200μgのデスモプレシンを、及び静脈内ボーラス投与(比較例1)として2μgを投与した。
【0115】
i.v.投与後、平均消失半減期は2.24時間と決定された。デスモプレシンの経口投与後における、最大血漿中濃度は、投与後1.06時間(2×100μg)又は1.05時間(1×200μg)に観察された。2×100μg及び1×200μgの経口投与後における最大血漿中濃度は、それぞれ13.2及び15.0pg/mlであった。生体利用度は、0.13%(2×100μg)又は0.16%(1×200μg)と判定された。
【0116】
(例8)3水準の低用量デスモプレシンの抗利尿効果を調べる交差研究
次の例では、過剰水和の健康で非喫煙の男子及び女子志願者における、2時間の静脈内点滴により投与された3水準の低用量デスモプレシンの抗利尿効果を示す研究について説明する。要約的には、8名の健康で過剰水和された非喫煙の年齢18〜40歳の男子及び女子志願者でのオープンラベルでの、交差研究である。対象に、初めは0.5ng/kgの投与量で、次いで1.0ng/kgの投与量で、最後に2.0ng/kgの投与量で投与した。薬力学及び薬物動態パラメーターを各投与レベルで評価した。投与と投与の間に2日間(48時間)の洗浄期間を遵守した。
【0117】
この研究では8名の対象、男子5名及び女子3名を評価した。それらの体重は、85.9、65、80.9、63.3、72.5、67.6、63.5、及び54.5kgであった。8名の対象の平均体重は69.15kgであり、これは、この研究におけるデスモプレシンの投与量及び血中濃度が基準にする標準70kgの体重推定値に極めて近い。研究の1日目(投与初日)に体重の1.5%に等しい容積の水を飲ませることによって対象を過剰水和し、尿排泄量を水の摂取で入れ替えることによって過剰水和を維持した。この研究では、100mLの滅菌生理食塩水(0.9%)(USP注射用)中の0.5、1.0及び2.0ng/kgデスモプレシンを使用した。3水準のデスモプレシン点滴(上記濃度のそれぞれ1つ)を、研究の1、3及び5日目にそれぞれ2時間の一定速度のI.V.点滴として投与した。各対象は、初回投与の1日前から、最終回投与の1日後まで総計7日間クリニック内に留めた。最初の投与量は0.5ng/kgとした。デスモプレシン点滴の終了に続き、対象は、20分後毎に排尿し、3回連続の尿採取が10mL/分を超える排尿レベルを計測するまで監視された。この時点で過剰水和を中止した。尿の重量モル浸透圧濃度を、基礎量として点滴の20分前に、及び点滴開始から6時間後まで20分毎に尿を採取して測定した。尿の比重も測定した。投与前及び点滴開始から2、4、及び6時間後に、血漿/血清中ナトリウム及び血漿/血清重量モル浸透圧濃度を測定した。薬物動態測定用の血液試料は、投与前、点滴開始から15、30、及び45分後、1、1.5、2、3、4、6、8及び12時間後に採取した。これと同様の手順を、1.0ng/kg及び2.0ng/kgの点滴について繰り返した。6日目に、3回目の最終デスモプレシン点滴のほぼ24時間後に、対象は、重大な徴候、血液及び尿の実験室評価について出口検診を受けた。
【0118】
研究の判断基準には、期間中の尿排泄量、期間中の重量モル浸透圧濃度、期間中の尿比重、期間中の血漿/血漿/血清重量モル浸透圧濃度及びナトリウムが含まれる。上記判断基準の統計解析を実施した。統計解析は記述的であり、調査目的のためにすべての統計仮説の検定を行った。次の事項を調べた。作用持続時間すなわち作用の「開始」から「終了」までの時間を、限界として3つの異なる重量モル浸透圧濃度水準(150mOsm/kg、200mOsm/kg及び400mOsm/kg)を使用して各対象を評価した。まず、作用持続時間を、作用の開始(すなわち、投与量投与後に尿の重量モル浸透圧濃度が150mOsm/kg未満であった最初の時刻)から作用の終末(尿の重量モル浸透圧濃度が150mOsm/kg未満であることが続いて起こる最初の時刻、その続いて起こる最初の時刻が最後の観測点でなければ次の区間で確認される)までの時間として定義した。第2番目及び第3番目の評価は、作用の「開始」及び「終わり」に対する限界水準としてそれぞれ200mOsm/kg及び400mOsm/kgを使用した。この定義に関して作用の「終わり」を有さない対象は、それらの尿排泄量が基礎量(10mL/分超)に戻った時点で、及び/又は過剰水和手順を止めた時点で削除した。総作用持続時間を、ノンパラメトリックカプランマイヤー法を利用して各投与群について評価した。作用持続時間を見積もるための各種手段は、真の蓋然性、すなわち時間の関数としてのデスモプレシン作用の蓋然性についての下限及び上限を与えると思われる。さらに、作用持続時間は、各処理群に対して、平均、SD、メディアン、最小及び最大値を使用して示される。適切な線形又は非線形モデルを使用して、作用持続時間と投与量の間の用量反応関係を調べた。デスモプレシンの個々の濃度対時間曲線から薬物動態パラメーター、すなわちAUC(無限大までの血漿中濃度−時間曲線下面積)、Cmax(観察される最大血漿中濃度)、tmax(投与後Cmaxとなる時間)CL(総全身性クリアランス)V(終末相での分布容積)、AUC(時刻0から時刻tまでの血漿中濃度−時間曲線下面積)、λ(時間対濃度の対数の線形回帰によって予測される血漿中濃度−時間曲線の終末(対数−線形)部分と関連した一次速度定数)及びt1/2(最終半減期)を引き出した。
【0119】
結果の要約
デスモプレシンの3水準の投与量(I.V.点滴)のすべてが、尿濃度(重量モル浸透圧濃度)の増加及び尿排泄量の減少に関して投与量に応答した形で測定可能な抗利尿効果をもたらした。また、抗利尿効果の薬力学的持続時間は、最低用量が最短の効果持続時間を有する用量反応曲線を示した。平均最大尿重量モル浸透圧濃度(mOsm/kg)は、各投与水準において2時間の点滴の終末点で現われた。基礎平均尿重量モル浸透圧濃度は、0.5、1.0、2.0ng/kg投与量に対して、それぞれ55.8、55.8及び55.6であった。最大尿重量モル浸透圧濃度は、0.5、1.0及び2.0ng/kgの投与量に対して、それぞれ2時間で206.0、444.7及び587.2であった。平均最低尿排泄量(mL/分)も、各投与レベルについて2時間の点滴の終末点で現われた。基礎の最低尿排泄量は、0.5、1.0及び2.0ng/kgの投与量に対して、それぞれ18.6、16.6及び16.9mL/分であった。平均最低尿排泄量は、0.5、1.0及び2.0ng/kgの投与量に対して、それぞれ7.1、1.3及び0.7mL/分であった。抗利尿効果の持続時間は、およそ、0.5ng/kgの投与量で180分、1.0ng/kgの投与量で240〜280分、2.0ng/kgの投与量で360分であった。各対象に関する尿の重量モル浸透圧濃度及び排泄量、及び各時間での平均値を表1〜6及び図1〜9に記載する。
【0120】
【表3】

【0121】
【表4】

【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
表1〜6及び図1〜9に示したように、I.V.点滴として2時間に渡って投与した低用量のデスモプレシンは、過剰水和の正常対象において投与量に応答した形で有意の抗利尿効果をもたらした。デスモプレシンのこれら投与量及び推定血漿/血清中濃度は、今日の表示された推奨量及び臨床実践量よりも1桁を超えてはるかに低い。また、薬力学的作用持続時間は、1.0及び2.0ng/kgの投与量に比例し、4〜6時間の持続時間を提供する。これは、デスモプレシンに対する既存の及び潜在的新規臨床徴候に対する所望の治療効果をもたらすのに適切であろう。安全性及び許容度は優れていた。
【0127】
本研究の結果は、デスモプレシンに関する低用量仮説を実証し、一次性夜間遺尿症、成人夜間頻尿症、失禁及び中枢性尿崩症のような状態に対する低用量デスモプレシンを評価するための、患者のさらなる臨床研究に対する経験的基礎を提供する。
【0128】
これらすべての臨床徴候に対するデスモプレシンの治療上の有効性は、より小容積のより濃縮された尿の産生をもたらすデスモプレシンの薬理学的抗利尿効果に基づく。中枢性尿崩症を有する患者の場合、下垂体は、天然の抗利尿ホルモンであるバソプレシンを産生しないか或いは極少量しか産生しない。この不足は、患者が極めて大量の水を摂取しない限り、脱水及び重大な代謝異常につながる可能性のある大量の極めて希薄な尿の産生を引き起こす。デスモプレシンは、不足したバソプレシンに代わり、これらの患者の正常な尿濃度及び容積を取り戻す。一次性夜間遺尿症(寝小便)を有する患者において、デスモプレシンの抗利尿効果は、夜間の尿量を減らし、尿膀胱が保持しなければならない尿量を低下し、それによって遺尿発生を減少又は排除する。
【0129】
成人夜間頻尿症を有する患者においては、夜間のポリコーマ(大量の尿産生)、膀胱の低収容力又は尿量に対する膀胱感度の増大が存在する。これらすべての状況下で、夜間に、しばしば数回、尿保持に対する膀胱の閾値を超え、排尿のための神経信号を生じさせる。このことによって、患者は排尿するために目覚める。デスモプレシンの抗利尿効果は、夜間の尿産生を減少し、排尿閾値を超える時間を遅延させ、排尿前のより長い睡眠期間をもたらし、夜間排尿の回数を減少する。
【0130】
手術、出産、及び加齢に由来する尿膀胱異常に関連することの多い各種の失禁(緊張性、急迫性など)を有する患者においては、膀胱が正常な量の尿さえ保持できない。排尿に対する容積閾値が低く、意図しない排尿(失禁)の危険が高い。デスモプレシンの抗利尿効果は、尿産生を減少させ、これらの患者における異常に低い排尿の容積閾値との交差が遅延するので、排尿延期が可能になる。
【0131】
上記のすべての臨床徴候、又はデスモプレシンの医学的使用において、より濃縮された尿の減少した産生をもたらすその薬理学的抗利尿効果が、治療上の有効性の機序である。この臨床研究は、デスモプレシンが、以前に考えられていたよりも低用量及び低血中濃度で、この本質的な抗利尿効果をもたらすことができることを示している。したがって、デスモプレシンの低い投与量及び濃度を、上記状態のすべてを有する患者を治療するのに使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5ngから20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項2】
約0.5ngから約2000ngのデスモプレシンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
約0.05μgから約10μgのデスモプレシンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
約0.1μgから約20μgのデスモプレシンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
静脈内、皮下、経粘膜、経皮、又は皮内送達用に構成された、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
口内分散性固体の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
オープンマトリックス網状組織をさらに含み、前記オープンマトリックス網状組織が、デスモプレシンに対して不活性である水溶性又は水分散性担体材料を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
デスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む医薬組成物であって、血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約0.1ピコグラムから血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約10.0ピコグラムまでの範囲の、定常的な血漿/血清中デスモプレシン濃度を確立するのに有効である医薬組成物。
【請求項9】
前記定常的な血漿/血清中デスモプレシン濃度が、血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約0.5ピコグラムから血漿/血清1mL当たりデスモプレシン約5.0ピコグラムまでの範囲である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
約0.5ngから約2000ngのデスモプレシンを含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
約0.05μgから約10μgのデスモプレシンを含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
約0.1μgから約20μgのデスモプレシンを含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項13】
静脈内、皮下、経粘膜、経皮、又は皮内送達用に構成された、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項14】
包装材料及び前記包装材料内に包含された医薬組成物を含む製造物であって、前記医薬組成物が、血友病、フォンウィルブランド病、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症、又は中枢性尿崩症を治療又は予防するのに治療上有効であり、前記包装材料が、前記医薬組成物を血友病、フォンウィルブランド病、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症、又は中枢性尿崩症を治療又は予防するのに使用できることを示すラベルを含み、前記医薬組成物が0.5ngから20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む製造物。
【請求項15】
デスモプレシンによって治療又は予防可能である疾患又は状態を治療又は予防する方法であって、患者に対して、0.5ngから20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む治療有効量の医薬組成物の1日量を投与することを含む方法。
【請求項16】
前記疾患又は状態が、血友病、フォンウィルブランド病、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症、又は中枢性尿崩症からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者に対して、0.5ngから20μgのデスモプレシン及び薬学上許容される担体を含む治療有効量の医薬組成物の1日量を投与する段階を含む、患者に抗利尿効果を誘発する方法。
【請求項18】
前記患者が、フォンウィルブランド病、失禁、一次性夜間遺尿症(PNE)、夜間頻尿症、又は中枢性尿崩症からなる群から選択される疾患に罹患している、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−116764(P2011−116764A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24804(P2011−24804)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【分割の表示】特願2005−510644(P2005−510644)の分割
【原出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【出願人】(506157651)
【Fターム(参考)】