説明

住宅建築用3次元CGシステム、およびそれに用いられる階層データ構造

【課題】 仮想構築された住宅内の各部品が自然かつ適切に振る舞うとともに、CGの操作性を格段に向上させることを可能とする住宅建築用3次元CGシステム、およびそれに用いられる階層データ構造を提供することである。
【解決手段】 住宅を構成する各構成要素について少なくとも3次元形状データを含む構成要素情報を格納する記憶手段8と、表示手段4と、入力手段3とを備え、記憶手段8に格納されている前記構成要素情報に基づいてコンピュータグラフィックによって住宅を仮想構築して、表示手段4に3次元表示を行うとともに、入力手段3からの操作に応じて前記構成要素情報および前記3次元表示内容の変更が可能な住宅建築用3次元CGシステム1であって、前記構成要素情報は、複数の階層に階層化されている複数のグループからなる階層データ構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラン中の住宅をコンピュータグラフィックによって画面上に仮想構築して3次元表示を行う住宅建築用3次元CGシステム、およびそれに用いられる階層データ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の住宅展示場やモデルハウスに代わるものとして、コンピュータグラフィック(以下では「CG」と記す)によって画面上にプラン中の住宅を構築した状態で3次元表示することで、住宅を視覚的に確認しつつプランニングすることを容易に行うことを可能にする、住宅の仮想構築方法、これに用いる仮想構築システム、このシステムを実現するデータベース及びプログラムを格納した記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この提案は、画面上で住宅を仮想構築する仮想構築方法であって、少なくとも住宅のモジュールを含む住宅用のパーツのデータをパーツデータベースとして予め格納し、画面上に、前記パーツを選択可能に表示し、画面上で選択されたパーツのデータを前記パーツデータベースから呼び出し、このデータを用いて該パーツを画面上に表示し、この表示されたパーツを複数、画面上で組み合わせて住宅を仮想構築することを特徴とするものである。
【0004】
これによると、パーツ表示欄からモジュールを選択し、これらを画面上で組み合わせることで、住宅を仮想構築して視覚的に確認できる。従って、住宅購入者は、容易にプラン中の住宅の間取りを構築した状態で確認できるため、住宅を視覚的に確認しつつ様々なプランを容易に試すことができる。さらに、住宅の構造やデザインをプランニング中に画面上で確認できるため、プラン決定後に構造やデザインの確認をする必要はなくなる。また、住宅供給者は、実際にモジュールを住宅購入者等に組み合わせてもらうことで、自己のモジュールの優位性を住宅購入者等に容易にアピールできる。
【0005】
また、このようなコンピュータの画面上における仮想的な住宅の3次元表示には専用のソフトウェアが必要とされたり、コンピュータに多大な処理能力が要求されたりする場合があるが、3次元データの大幅な軽量化を実現してインターネット環境でも十分に活用可能なXVL(eXtensible Virtual world description Language)を利用する画像表示装置、画像表示方法、画像表示プログラムおよび画像表示プログラムが格納された記憶媒体も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
なお、XVLはXML(eXtensible Markup Language)をベースにした3次元表現として、ラティス・テクノロジー株式会社のラティスカーネルを基盤とした3次元データ記述とアニメーション記述のための技術の総称であり、ラティス・テクノロジー株式会社の登録商標でもある。
【特許文献1】特開2001−282880号公報
【特許文献2】特開2003−242524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術の多くのCGでは、コンピュータの画面上で仮想構築された住宅内の部品の操作はオペレータに委ねられるため、現実にはあり得ない不自然な配置やテクスチャなどの割り当てが可能となったり、煩わしい操作が必要とされたりしていた。例えば、テーブル上に置かれた花瓶をテーブル上から移動させても、床からの高さがそのままで変わらないと、花瓶は空中に浮かんでいることになってしまう。また、リビングの床の上に置かれたソファなどを別デザインのものに変えたいときでも、すでに置かれているソファを画面上から先に消去する操作を行い、その後で別デザインのソファを同じところへ配置する面倒な操作が必要であった。
【0008】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、CGによって画面上にプラン中の住宅を仮想的に構築した状態で3次元表示することで住宅を視覚的に確認しつつプランニングすることを容易に行うことを可能にするものであって、仮想構築された住宅内の各部品が自然かつ適切に振る舞うとともに、CGの操作性を格段に向上させることを可能とする住宅建築用3次元CGシステム、およびそれに用いられる階層データ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の住宅建築用3次元CGシステムは、住宅を構成する各構成要素について少なくとも3次元形状データを含む構成要素情報を格納する記憶手段と表示手段と入力手段とを備え、前記記憶手段に格納されている前記構成要素情報に基づいてコンピュータグラフィックによって住宅を仮想構築して、前記表示手段に3次元表示を行うとともに、前記入力手段からの操作に応じて前記構成要素情報および前記3次元表示内容の変更が可能な住宅建築用3次元CGシステムであって、前記構成要素情報は、複数の階層に階層化されている複数のグループからなる階層データ構造を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、前記構成要素情報が階層データ構造を有するようにするために、例えば、XVLファイル形式を使用してもよいが、このようなファイル形式に限るものではない。
【0011】
この発明の住宅建築用3次元CGシステムによれば、CGによって住宅を仮想構築して3次元表示を行うとともに、操作に応じた変更を行うために用いられる住宅の構成要素情報を住宅のプラン検討などに好適な階層データ構造を有するものにすることができる。これにより、CGで仮想構築された住宅内の各構成要素が自然かつ適切に振る舞うとともに、CGの操作性を向上させることが可能になる。
【0012】
また、本発明の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、前記階層データ構造は、1軒の住宅に対応する構成要素情報の個別住宅情報グループの下位階層に、前記住宅の仕様に関する住宅仕様情報グループと、前記住宅の外部に関する住宅外部情報グループと、前記住宅の内部に関する住宅内部情報グループと、前記住宅の屋根に関する住宅屋根情報グループと、前記住宅の基礎に関する住宅基礎情報グループと、前記住宅の構造躯体に関する住宅構造躯体情報グループとを有するとともに、前記階層データ構造は、前記個別住宅情報グループの上位階層に、複数の前記個別住宅情報グループをまとめる全住宅情報グループを有することを特徴としてもよい。
【0013】
この発明の住宅建築用3次元CGシステムによれば、実際の住宅の構造に的確に対応するように前記構成要素情報を構築することができる。これにより、CGの操作性を格段に向上させることが可能になる。
【0014】
また、本発明の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、前記階層データ構造は、住宅を構成する各構成要素の中で同一仕上げ材および同一候補色を有する構成要素の部位形状をまとめる仕上げ材グループと、住宅を構成する各構成要素の中の部品を種類ごとにまとめる部品種類グループとを有することを特徴としてもよい。
【0015】
この発明の住宅建築用3次元CGシステムによれば、仕上げ材グループに対する操作を行うことで、住宅を構成する各構成要素の中で同一仕上げ材および同一候補色を有する構成要素をまとめて操作できる。部品種類グループに対する操作を行うことで、住宅を構成する各構成要素の中の同一種類の部品をまとめて操作できる。これにより、CGの操作性をさらに向上させることが可能になる。
【0016】
また、本発明の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、前記の各グループに属する各
構成要素は、各グループ所定の属性情報をそれぞれ有していることを特徴としてもよい。
【0017】
ここで、属性情報としては、例えば、各構成要素の実体に対応しているか、実体には対応せず実体の所在を示すリンクであるかを示す実体フラグ情報、各構成要素の分類名を示す分類情報、各構成要素が配置される階を示す入力階情報、各構成要素がどの高さレベルを基準に取り付くかを示す基準高さ区分情報、前記表示手段に鳥瞰表示を行う際に表示を行うか否かを示す鳥瞰表示フラグ情報、前記入力手段からの操作に応じて前記構成要素情報および前記3次元表示内容の変更が行なわれたか否かを示す変更フラグ情報などが挙げられるが、これらに限るものではない。また、属性情報として変更フラグ情報を有する場合に、この変更フラグ情報が前記入力手段からの操作に応じて変更が行われたことを示している各構成要素について変更内容情報を出力可能としてもよい。
【0018】
この発明の住宅建築用3次元CGシステムによれば、各構成要素が属するグループに応じて適切な属性情報を持つことができるので、CGにおける各構成要素がより自然かつ適切に振る舞うとともに、CGの操作性をより向上させることが可能になる。また、変更内容情報を出力可能としている場合であって、営業担当者が顧客に対する折衝目的でこの住宅建築用3次元CGシステムを用いているのであれば、折衝記録として残すことができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の住宅建築用3次元CGシステム、およびそれに用いられる階層データ構造によれば、CGによって住宅を仮想構築して3次元表示を行うとともに、操作に応じた変更を行うために用いられる住宅の構成要素情報を住宅のプラン検討などに好適な階層データ構造を有するものにすることができる。これにより、CGで仮想構築された住宅内の各構成要素が自然かつ適切に振る舞うとともに、CGの操作性を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、上述の従来技術およびその他の公知の技術によってすでに実現されている内容についての説明は極力省略し、主として本発明の特徴的な内容についての説明を行う。
【0021】
<A.3次元CGシステム1の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る住宅建築用の3次元CGシステム1の概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、3次元CGシステム1は、キーボードやマウスなどの入力装置3を有するとともに、プロジェクタやプラズマディスプレーなどの表示装置4に接続されているコンピュータ装置2を動作環境とするシステムである。このコンピュータ装置2としては、例えば、デスクトップタイプやノートタイプのパーソナルコンピュータなどが挙げられるが、これらに限るものではない。
【0023】
3次元CGシステム1は、住宅設計用のCADソフト5を備えており、このCADソフト5によって住宅設計のCADデータ7の入力および編集などが可能である。ここで、CADソフト5自体は公知の技術を用いる汎用CADソフトであってもよいし、専用ソフトであってもよい。CADデータ7は汎用的なデータ形式に限るものではなく、専用のデータ形式であってもよい。なお、CADデータ7の入力および編集は必ずしもこの3次元CGシステム1で行わなくてもよい。例えば、他のシステムで入力および編集を行ったCADデータ7を、ネットワーク経由やリムーバブルメディアなどを介して読み込むようにしてもよい。
【0024】
CADソフト5はその機能の1つとして、CADデータ7を、階層構造を持つインプット用中間ファイル8に変換して出力するコンバータ5aを有している。ここで、インプット用中間ファイル8のデータ形式としては、例えば、XVL形式が挙げられるが、これに限るものではない。なお、汎用的なデータ形式のCADデータを一般的な中間ファイルに変換するコンバータソフトなどは公知であるが、コンバータ5aの基本的な動作自体はそれらと同様であるものの、出力形式がそれらとは異なり、住宅CG用に最適化された階層構造を持つ中間ファイルであって、本実施形態の特徴となるものである。
【0025】
また、コンバータ5aをCADソフト5の機能の1つとするには様々な実装方法が考えられる。例えば、コンバータ5aをCADソフト5の内部プログラムとしてもよいし(この場合、CADソフト5は公知のものではなくなる)、コンバータ5aを外部プログラムとしておいてCADソフト5のメニューから起動できるようにしてもよいし、あるいは、コンバータ5aをCADソフト5用のプラグインソフトとしてもよいが、これらの実装方法に限るものではない。
【0026】
3次元CGシステム1はさらにCGアプリケーション6を備えている。このCGアプリケーション6は、コンバータ5aから出力されたインプット用中間ファイル8を読み込んで表示装置4に住宅を3次元表示するとともに、入力装置3からの操作に応じてインプット用中間ファイル8に変更を加えて住宅の3次元表示内容にも反映させることができるものである。なお、このCGアプリケーション6は、入力装置3からの操作に応じてインプット用中間ファイル8に加えた変更内容を記憶しており、記憶している変更内容を、インプット用中間ファイル8と同等の階層構造を持つアウトプット用中間ファイル9として出力することができる。あるいは、記憶している変更内容をその他の所定形式の変更情報として出力できるようにしてもよい。
【0027】
また、CADソフト5はこのアウトプット用中間ファイル9を読み込み、その内容に基づいてCADデータ7の該当箇所を変更することができる。このようにすることで、入力装置3からの操作に応じて様々な変更が加えられた後の住宅の3次元表示内容に合致するCADデータ7を得ることができる。
【0028】
<B.インプット用中間ファイル8>
≪B1≫ インプット用中間ファイル8の概略
図2は、本発明の一実施形態に係る住宅建築用の3次元CGシステム1においてCADデータ7からの変換によって出力されるインプット用中間ファイル8の階層構造の概略図である。
【0029】
図2に示すように、インプット用中間ファイル8の最上位階層には、マテリアル81、テクスチャ82、カメラ83、光源84、および家ルートグループ85が出力される。家ルートグループ85の下位の階層には、家グループ850が出力される。さらに、家グループ850の下位の階層には、仕様グループ851、外部グループ852、内部グループ853、屋根グループ854、基礎グループ855、および構造躯体グループ856が出力される。
【0030】
ここで、仕様グループ851は、大分類「仕様」の情報が記述されるグループである。外部グループ852は、大分類「外形、屋外」の情報が記述されるグループである。内部グループ853は、大分類「屋内」の情報が記述されるグループである。屋根グループ854は、大分類「屋根」の情報が記述されるグループである。基礎グループ855は、大分類「基礎」の情報が記述されるグループである。構造躯体グループ856は、大分類「構造」の情報が記述されるグループである。
【0031】
また、各グループは、基本属性およびユーザ定義可能な一般ユーザ属性を有している。基本属性としては、例えばグループIDなどが挙げられる。一般ユーザ属性としては、各グループに共通する属性とグループごとの個別の属性がある。
【0032】
≪B2≫ 共通一般ユーザ属性
図3は、インプット用中間ファイル8に記述される各グループのすべてに付加される一般ユーザ属性の中で共通な属性(以下では「共通属性」と記す)を示す。
【0033】
図3に示すように、共通属性として「表示名称」、「表示ON/OFF」、および「グループ種類」の3つが存在する。属性「表示名称」はCGアプリケーション6で表示する名称である。属性「表示ON/OFF」はCGアプリケーション6での表示のON/OFFを設定するフラグであり、1が表示ONに対応し、0が表示OFFに対応する。属性「グループ種類」はCGアプリケーション6で認識するグループの種類であり、定義がない場合は通常のグループとして認識され、“Product”の場合はプロダクトとして認識される。
【0034】
≪B3≫ 共通グループ
次に、インプット用中間ファイル8の共通グループについて説明する。なお、共通グループごとに複数のグループが存在する場合にそれらを区別して説明するため、必要に応じて参照符号の末尾に英小文字を付加する。
【0035】
≪B3.1≫ 仕上げ材グループ801
図4は、インプット用中間ファイル8の共通グループのうち、同一仕上げ材、同一候補色の部位形状をまとめる仕上げ材グループ801の一般ユーザ属性を示す。図5は、この仕上げ材グループ801の構造を示す。
【0036】
図4に示すように、仕上げ材グループ801は、共通属性の他に個別の一般ユーザ属性として「部材ID」、「候補色番号」、「マテリアル名」、および「色番号」を持つ。これらの属性はいずれも必須のものである。
【0037】
また、仕上げ材グループ801以下にはこの仕上げ材の部位形状を持つ本体および部位形状が記述される。例えば、図5に示すように、仕上げ材n(801n)の下にProduct(部材n)803nが記述され、その下にシェル807が記述される。
【0038】
≪B3.2≫ 部品種類グループ802
図6は、インプット用中間ファイル8の共通グループのうち、出力される部品を種類ごとにまとめるための部品種類グループ802の構造を示す。なお、この部品種類グループ802は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。
【0039】
部品種類グループ802以下には同一種類の部品のみが記述され、同一種類の部品の認識を容易にしている。例えば、図6に示すように、部品種類n(802n)の下にProduct(部材n)803nが記述され、その下にShape(図形n)806nが記述され、さらにその下にシェルn(807n)が記述される。
【0040】
また、部材の階層構造を示すために、Product(部材n)803nの下にProduct(子部材m)8031mを記述したり、その下にさらにProduct(孫部材l)8032lを記述したりしてもよい。なお、Product(部材n)803nと同様に、Product(子部材m)8031mの下にはShape(図形m)806mが記述され、その下にはシェルm(807m)が記述される。Product(孫部材l)8032lの下にはShape(図形l)806lが記述され、その下にはシェルl(807l)が記述される。
【0041】
≪B3.3≫ Product(部材)グループ803
図7は、インプット用中間ファイル8の共通グループのうち、CADデータ7に入力されている部材の属性および形状が記述されるProduct(部材)グループ803の一般ユーザ属性を示す。
【0042】
本体部材は、上述した仕上げ材グループ801の下に作成される。配置部材は、上述した部品種類グループ802の下に作成される。親部材、子部材、孫部材は、CADデータ7における階層構造のまま出力される。図形を持たない部材は、インプット用中間ファイル8に出力しないことを基本とするが、それ自身に図形がなくても子部材以下に図形が存在する場合には、図形は持たずに一般ユーザ属性のみを持つグループとして出力される。
【0043】
Product(部材)グループ803は、共通属性の「グループ種類」に“Product”を設定する。また、共通属性の他に個別の一般ユーザ属性として、図7に示すように、「配置/本体フラグ」、「実体フラグ」、「実体・リンクグループID」、各種のCAD情報、「変更フラグ」、および「変更情報」を持つ。
【0044】
ここで、属性「配置/本体フラグ」は、配置(0)であるか本体(1)であるかを示す。
【0045】
属性「実体フラグ」は、実体(0)であるかリンク(1)であるかを示す。外部建具や内部建具のように複数の本体に関係する配置は、すべての本体から参照できるような構造とするため、部品の実体は1つのみとするとともに他の部品はその実体へのリンクを持つ部品とする。また、これらの対応関係は、属性「実体・リンクグループID」に対応するリンクまたは実体のグループIDを設定するようにする。
【0046】
属性「分類」は、部品の種類を区別することでCGアプリケーション6が適切な処理を自動的に実行できるようにする。例えば、ドラッグ&ドロップに対する適切な処理を選択することが可能になる。すなわち、属性「分類」の値が同じであれば置換処理を行い、異なっていれば配置処理を行うようにすればよい。例えば、皿(「分類」=“テーブルウェア”)をテーブルの上にドラッグ&ドロップするとテーブルの上に皿が置かれるが、同様の操作を他のダイニングテーブル(「分類」=“テーブル”)で行うとテーブルが置き換えられる。また、テーブルを選択した状態で、メニューもテーブル関連を初期表示する仕組みを取ることなども可能である。
【0047】
属性「入力階」は、その部品がどの階に置かれているかを認識できるようにする。これは、マテリアルやテクスチャの変更はあらゆる階層で行えるものの、階層構造上は「階」の認識ができないためである。部品ごとに属性「入力階」を持たせることで、CGアプリケーション6による階単位の制御をできるようにしている。例えば、1階に配置してあるすべてのドアのマテリアルを同時に変更することが可能となる。
【0048】
属性「配置コード」には、その部品の配置についての制約条件などを設定する。例えば、内壁付き、器具付き、部屋中心付き、任意などが挙げられる。任意に設定されているとき、その部品はあらゆる場所に配置できることを意味する。
【0049】
属性「高さコード」には、その部材がどの高さレベルを基準に取り付くかを設定する。例えば、床高さ、GL高さ、下基準高さ、天井高さなどが挙げられる。床高さに設定されているとき、各部屋の床面を基準に取り付くことを意味する。
【0050】
属性「丸めコード」には、その部材を配置する際にモジュールなどに則って配置されるものなのかを定義する。丸めなしと定義されていれば、建物のモジュールに関係なく配置ができる。例えば、サッシなどは軸組みの関係上、建物モジュールを基準に取り付くが、この場合は通常N/2などの丸めで入力する。
【0051】
属性「取り付け高さ」には、その部材が上記「高さコード」を基準としてどの高さに取り付くかを定義する。例えば、スイッチなどは、上記「配置コード」=“内壁付き”、上記「高さコード」=“床高さ”、「取り付け高さ」=1500というような定義をする。例えば、テーブルにように床に接触しているものでは、「取り付け高さ」=0になる。
【0052】
属性「鳥瞰時表示OFF」は、CGアプリケーション6で鳥瞰表現を行う場合の表示を制御する。これは、照明器具などのように天井や天井に取り付く部材があると、鳥瞰図としては見にくいためであり、鳥瞰表現を行う場合にそのような部材の表示をOFFにすることを可能とするためである。
【0053】
属性「操作ロック」には、その部材に対してCGアプリケーション6によるどのような操作を許すかを定義するフラグ群である。左から順に「移動回転」、「置換」、「削除」、「複写」、「表示制御設定」、「テクスチャ変更」、「マテリアル変更」、「X方向変形」、「Y方向変形」、「Z方向変形」、「衝突検知制御」、および「影の計算制御」に対応しており、各ビットの1が許可を示し、0が不可を示す。
【0054】
属性「見せ場フラグ」は、CGアプリケーション6で視点(カメラ)の呼び出しが行われたときにその部材を見せるかどうかを定義する。カメラの初期呼び出し時に、その部屋で「見せ場フラグ」が定義されている部材のうち、最も近いものを注視点とすることができる。これにより、カメラを選択するだけで説明したいポイントを自動的に初期表示することが可能になる。
【0055】
属性「CGコメント」には、CGアプリケーション6の操作中にその部品がアクティブになった場合のテロップ表示用のコメント内容を設定する。このコメント内容は、その部品の製作元のメーカーが提供するようにしてもよく、これによって製作者の意図を直接お客様に伝えることができるようになる。さらに、属性「CGURL」には、CGアプリケーション6からジャンプ可能なリンク情報を定義する。ここで、製作元のメーカーのホームページのURLなどを指定することにより、上記のコメント内容だけでは伝えられない商品バリエーションや詳細な説明を行うことが可能となる。
【0056】
属性「変更フラグ」は、CGアプリケーション6の操作中にその部品に対して変更が行われた(1)か否(0)かを示す。属性「変更情報」には、CGアプリケーション6の操作中の具体的な変更内容が記憶される。この情報は、CGアプリケーション6の操作終了時などに、例えば、変更リストとして出力するようにしてもよい。CGアプリケーション6を営業担当者が顧客に対する折衝目的で用いていた場合には、その記録として残すことができる。また、図1を参照して説明したように、すべての部材などの属性「変更情報」をまとめてアウトプット用中間ファイル9として出力し、それをCADデータ7に反映させることもできる。
【0057】
≪B3.4≫ Shape(図形)グループ806
Product(部材)の形状の中でグルーピングされた図形形状はShape(図形)グループ806に記述される。このShape(図形)グループ806は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。
【0058】
≪B3.5≫ シェルグループ807
図8は、インプット用中間ファイル8の共通グループのうち、形状を記述する単位であるシェルグループ807の一般ユーザ属性を示す。
【0059】
このシェルグループ807は、共通属性の他に個別の一般ユーザ属性として、図8に示すように、「マテリアル名」、「色番号」、および「構成材質コード」を持つ。これらの属性はいずれも必須のものである。
【0060】
≪B4≫ インプット用中間ファイル8の階層構造の詳細
次に、インプット用中間ファイル8のグループのうち、本実施形態の特徴となるものについて説明する。
【0061】
≪B4.1≫ 家ルートグループ85
家ルートグループ85は、インプット用中間ファイル8に記述される複数の家の形状をまとめるグループである。この家ルートグループ85は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。
【0062】
≪B4.2≫ 家グループ850
家グループ850は、1棟の家の形状が記述されるグループである。この家グループ850は、共通属性の他に個別の一般ユーザ属性として、図9に示すように、「出力バージョン」、「建物最小最大」、「プロジェクト名」、「プラン名」、および「家情報」を持つ。
【0063】
≪B4.3≫ 仕様グループ851
仕様グループ851は、家の仕様情報が記述されるグループである。この仕様グループ851は、共通属性の他に個別の一般ユーザ属性として、図10に示すように、1階および地下1階それぞれのGL高さ、1〜4階および地下1階それぞれの下基準高さ、1〜4階および地下1階それぞれの上基準高さ、1〜4階および地下1階それぞれの屋根基準高さ、1〜4階および地下1階それぞれの床基準高さ、「商品コード」、「モジュール長さ」、および「色テーブル情報」を持つ。これらの属性はいずれも必須のものである。なお、階数はこのように地下1階〜4階に限るものではなく、必要に応じて増減してもよい。その場合は、この仕様グループ851の一般ユーザ属性もそれに応じて追加・削除することになる。
【0064】
≪B4.4≫ 外部グループ852
外部グループ852は、家の外部形状と外部を構成する部材の各種属性が記述されるグループである。この外部グループ852は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。この外部グループ852の構造を図11に示す。
【0065】
外部の出力対象部材としては次のものが挙げられる。すなわち、本体系としては外形、袖壁、アルコーブ、パラペット、出窓などであり、配置系としては屋外付帯、外部建具ドア、外部建具窓、外部付帯(雨戸、面格子、窓手摺、内障子)などである。
【0066】
図11に示すように、本体の部位形状については、合成されていない部位形状が仕上げ材グループ801ごとに出力される。配置については、部品種類802(外部建具ドア、外部建具窓、外部付帯、屋外付帯)ごとに分類し、CGアプリケーション6によって部品種類802ごとの操作を可能とする。部品種類802以下では、部品ごとに形状を記述する構造とする。出力される図形は、配置に中間ファイル形式の図形が定義されていない場合はCADデータ7内の図形が変換されて出力され、配置に中間ファイル形式の図形が定義されている場合にはそれに置き換えて出力される。
【0067】
外部建具ドア、外部建具窓などのように外部と部屋の境界にある配置については、外部に実体部品を持つとともに部屋にリンク部品を持つ構造とする。このとき、その実体部品の一般ユーザ属性では、「実体フラグ」が0にされるとともに、「実体・リンクグループID」にそのリンク部品のグループIDが定義される。一方、そのリンク部品の一般ユーザ属性では、「実体フラグ」が1にされるとともに、「実体・リンクグループID」にその実体部品のグループIDが定義される。
【0068】
袖壁、アルコーブ、パラペットなどの外部本体であって仕上げ材属性が定義されていない本体の部位は、外壁の部位として出力される。
【0069】
≪B4.5≫ 内部グループ853
内部グループ853は、家の内部形状が記述されるグループである。この内部グループ853は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。この内部グループ853の下には、室グループ808、Product(部屋)グループ805、Product(部品)グループ804、Product(部材)グループ803、鳥瞰の蓋グループ809、および蓋形状グループ8090などがある。この内部グループ853の構造を図12に示す。
【0070】
内部の出力対象部材としては次のものが挙げられる。すなわち、本体系としては部屋、収納、間仕切り壁、上り床・下り床、勾配天井などであり、配置系としては内部建具、備品、畳、床の間、階段、家具、システムキッチン、電気設備などである。
【0071】
図12に示すように、内部は、部屋や合成部屋(壁開口で繋がった部屋)などのように1つとして扱われる空間(室)単位で(室グループ808ごとに)形状が出力される。室グループ808には、部屋とその形状、部屋に含まれる部材(本体、配置)とその形状が記述される。部位形状は、合成されていない部位形状が仕上げ材グループ801ごとに出力される。ここで、室グループ808は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。また、Product(部屋)グループ805は、部屋・収納の形状が記述されるグループである。Product(部品)グループ804、およびProduct(部材)グループ803は、室に属している部品(配置)、部材(本体)形状が記述されるグループである。
【0072】
配置形状は、存在する空間(室)の下に部品として記述される。部品形状の出力は、上述の外部グループ852の場合と同様である。
【0073】
内部建具は、一方の室に実体部品を持つとともに他方の室にリンク部品を持つ構造とする。このとき、その実体部品の一般ユーザ属性では、「実体フラグ」が0にされるとともに、「実体・リンクグループID」にそのリンク部品のグループIDが定義される。一方、そのリンク部品の一般ユーザ属性では、「実体フラグ」が1にされるとともに、「実体・リンクグループID」にその実体部品のグループIDが定義される。
【0074】
屋内壁、特殊床などの内部本体であって仕上げ材属性が定義されていない本体の部位は、所属する室の部位として出力される。
【0075】
また、CGアプリケーション6による鳥瞰表現時に壁の中が透けて見えるのを避けるため、壁と壁との間の蓋形状からなる蓋形状グループ8090が各階に作成され、鳥瞰の蓋グループ809の下に出力される。ここで、鳥瞰の蓋グループ809は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。また、蓋形状グループ8090は、共通属性の他に個別の一般ユーザ属性として、図13に示すように「階」、および「蓋高さ」を持つ。
【0076】
≪B4.6≫ 屋根グループ854
屋根グループ854は、家の屋根形状が記述されるグループである。この屋根グループ854は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。この屋根グループ854の構造を図14に示す。
【0077】
屋根の出力対象部材としては次のものが挙げられる。すなわち、本体系としては屋根、軒先カット、寄棟納まりなどであり、配置系としては屋根付帯などである。
【0078】
図14に示すように、屋根の部位形状については、合成されていない部位形状が仕上げ材グループ801ごとに出力される。配置については、部品種類802(屋根付帯)ごとに分類し、CGアプリケーション6によって部品種類802ごとの操作を可能とする。部品種類802以下では、部品804ごとに形状を記述する構造とする。部品形状の出力は、上述の外部グループ852の場合と同様である。
【0079】
屋根付帯のトップライトは、屋根に実体部品を持つとともにトップライトが存在する室にリンク部品を持つ構造とする。このとき、その実体部品の一般ユーザ属性では、「実体フラグ」が0にされるとともに、「実体・リンクグループID」にそのリンク部品のグループIDが定義される。一方、そのリンク部品の一般ユーザ属性では、「実体フラグ」が1にされるとともに、「実体・リンクグループID」にその実体部品のグループIDが定義される。
【0080】
≪B4.7≫ 基礎グループ855
基礎グループ855は、家の基礎形状が記述されるグループである。この基礎グループ855は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。この基礎グループ855の構造を図15に示す。
【0081】
基礎の出力対象部材としては次のものが挙げられる。すなわち、本体系としては基礎であり、配置系としては基礎付帯である。
【0082】
図15に示すように、基礎の部位形状については、合成されていない部位形状が仕上げ材グループ801ごとに出力される。配置については、部品種類802(屋根付帯)ごとに分類し、CGアプリケーション6によって部品種類802ごとの操作を可能とする。部品種類802以下では、部品804ごとに形状を記述する構造とする。部品形状の出力は、上述の外部グループ852の場合と同様である。
【0083】
≪B4.8≫ 構造躯体グループ856
構造躯体グループ856は、家の構造躯体形状が記述されるグループである。この構造躯体グループ856は、共通属性のみを持ち、個別の一般ユーザ属性は持たない。この構造躯体グループ856の構造を図16に示す。
【0084】
構造躯体の出力対象部材は配置系のみであり、柱、柱金物、壁パネル、壁枠、壁金物、屋根パネル、トラス、床組、床パネル、床金物、土台、天井パネル、天井金物などが挙げられる。
【0085】
図16に示すように、配置については、部品種類802(屋根付帯)ごとに分類し、CGアプリケーション6によって部品種類802ごとの操作を可能とする。部品種類802以下では、部品804ごとに形状を記述する構造とする。部品形状の出力は、上述の外部グループ852の場合と同様である。
【0086】
<C.インプット用中間ファイル8に記述されるオブジェクトの具体例>
次に、インプット用中間ファイル8に記述されるオブジェクトの具体例について説明する。
【0087】
≪C1≫ 家の内部のLDKに置かれるテーブルおよび花瓶
図17は、家の内部のLDK8531内の様子を示す。図18は、インプット用中間ファイル8のうち、テーブル85311および花瓶85312に関する部分の階層構造を示す。
【0088】
図17に示すように、LDK8531内にテーブル85311が置かれており、このテーブル85311の上に花瓶85312が置かれている。
【0089】
これらをインプット用中間ファイル8で見ると、図18に示すように、家ルートグループ85の下の家グループ850の下の内部グループ853の下に、室グループとしてLDK8531が記述されている。このLDK8531の下には、Productとしてテーブル85311および花瓶85312が記述されている。さらに、テーブル85311の下にはShapeとしての天板+脚が記述され、その下にはShellとしての天板面材および脚面材がそれぞれ記述され、それらの天板面材および脚面材の下にはFaceとしての面1〜nがそれぞれ記述されている。同様に、花瓶85312の下にはShapeとしての花瓶が記述され、その下にはShellとしての脚面材が記述され、その脚面材の下にはFaceとしての面1〜nが記述されている。
【0090】
ここで、Productとは、部品単体(商品単位)の階層のことで、商品情報やその部品自体の振る舞いを示す属性がセットされている。ShapeはProductの中で主にアニメーションで動作する単位に分解する階層である。Shellは同一マテリアルの集合体である。Faceは形状の最小単位となるポリゴンである。
【0091】
また、Shell属性として、テーブル85311の天板面材にはマテリアル名「テーブル天板_木質」およびテクスチャ名「wood1.jpg」が設定され、テーブル85311の脚面材にはマテリアル名「テーブル脚_木質」およびテクスチャ名「wood2.jpg」が設定されている。花瓶85312の脚面材にはマテリアル名「花瓶ガラス_透明」およびテクスチャ名「kabin1.jpg」が設定されている。
【0092】
すべてのオブジェクトには、Product属性と同様にマテリアルの定義があるので、マテリアル名をキーにして別途マテリアル属性を参照することができる。マテリアル属性には、RGB値、拡散反射率、透過率、テクスチャサイズなどが定義してある。
【0093】
各オブジェクトのマテリアルを変更する場合は、上記のShellが最小単位であるが、Shellよりも上位の階層単位でマテリアルを変更することも可能な構造となっている。例えば、変更したい面(Face)を指示することでその面が所属する上位のグループ(Shell)を検索してマテリアル名を取得する。この階層を1つ上げると上位の(Shape)が選択される。さらに階層を上げることで、(Product)、室、家というように選択対象となる階層を変えられる。これにより、選択している階層以下に所属する同一名のマテリアルを一括変更可能な仕組みができる。
【0094】
図19は、テーブル85311のProductとしての一般ユーザ属性(図7参照)のうち主要なものを示す。
【0095】
図19に示すように、属性「配置/本体フラグ」の値は1であるので、本体であることを示す。属性「実体フラグ」の値は0であるので、実体であることを示す。属性「分類」の値は“テーブル”である。属性「入力階」の値は1であり、1階に配置されていることを示す。属性「配置コード」の値は0であり、部屋の中で任意の場所に配置可能なことを示す。属性「高さコード」の値は11であり、これは床高さ、すなわち各部屋の床面を基準に取り付くことを示す。属性「丸めコード」の値は0であり、これは丸めなし、すなわち建物のモジュールに関係なく配置ができることを示す。属性「取り付け高さ」の値は0であり、床に直接接触していることを示す。属性「鳥瞰時表示OFF」の値は0であり、CGアプリケーション6による鳥瞰表現時にも表示をOFFしないことを示す。属性「操作ロック」の値は111111100011であり、CGアプリケーション6において「X方向変形」、「Y方向変形」、および「Z方向変形」の操作ができないことを示す。属性「見せ場フラグ」の値は0であり、CGアプリケーション6のカメラ呼び出し時にも見せ場とはしないことを示す。属性「CGコメント」には、CGアプリケーション6におけるテロップ表示のためのコメント内容が設定されている。属性「CGコメント」には、CGアプリケーション6からのジャンプ先URLが設定されている。属性「変更フラグ」の値は1であり、CGアプリケーション6によってすでに変更が行われたことを示す。属性「変更情報」に、その変更内容が記憶されている。
【0096】
図20は、花瓶85312のProductとしての一般ユーザ属性(図7参照)のうち主要なものを示す。
【0097】
図20に示すように、属性「配置/本体フラグ」の値は1であるので、本体であることを示す。属性「実体フラグ」の値は0であるので、実体であることを示す。属性「分類」の値は“テーブルウェア”である。属性「入力階」の値は1であり、1階に配置されていることを示す。属性「配置コード」の値は0であり、部屋の中で任意の場所に配置可能なことを示す。属性「高さコード」の値は23であり、部材上面合わせ・上付き、すなわち指示した面の上に取り付くことを示す。ただし、基準は床になる。例えば、テーブル85311の上に配置済のこの花瓶85312をテーブル85311上面の外まで移動すると、上面合わせは床を指すことになり、花瓶85312は床に取り付くことになる。そのまま空中に残るような不自然な振る舞いとはならない。属性「丸めコード」の値は0であり、これは丸めなし、すなわち建物のモジュールに関係なく配置ができることを示す。属性「取り付け高さ」の値は735であり、配置点の床からの高さを示す。属性「鳥瞰時表示OFF」の値は0であり、CGアプリケーション6による鳥瞰表現時にも表示をOFFしないことを示す。属性「操作ロック」の値は111111100000であり、CGアプリケーション6において「X方向変形」、「Y方向変形」、「Z方向変形」、「衝突検知制御」、および「影の計算制御」の操作ができないことを示す。すなわち、この花瓶85312は、ウォークスルー時の衝突判定の対象にならず、間接光計算もしないことになる。属性「見せ場フラグ」の値は1であり、CGアプリケーション6のカメラ呼び出し時にも見せ場の候補になることを示す。属性「CGコメント」には、CGアプリケーション6におけるテロップ表示のためのコメント内容が設定されている。属性「CGコメント」には、CGアプリケーション6からのジャンプ先URLが設定されている。属性「変更フラグ」の値は1であり、CGアプリケーション6によってすでに変更が行われたことを示す。属性「変更情報」に、その変更内容が記憶されている。
【0098】
≪C2≫ 家の外部の外壁
図21は、インプット用中間ファイル8のうち、家の外部の外壁に関する部分の階層構造を示す。
【0099】
図21に示すように、家ルートグループ85の下の家グループ850の下の外部グループ852の下の仕上げ材グループ801の下に、Productとしてエッジストーン8011およびスクエアストーン8012が記述されている。さらに、エッジストーン8011の下にはShapeとしての全面が記述され、その下にはShellとしての外壁面1および外壁面2がそれぞれ記述され、それらの外壁面1および外壁面2の下にはFaceとしての面1〜nがそれぞれ記述されている。同様に、スクエアストーン8012の下にはShapeとしての全面が記述され、その下にはShellとしての外壁面3および外壁面4がそれぞれ記述され、それらの外壁面3および外壁面4の下にはFaceとしての面1〜nがそれぞれ記述されている。
【0100】
また、Shell属性として、エッジストーン8011の外壁面1および外壁面2にはマテリアル名「エッジストーン_MW」およびテクスチャ名「エッジストーンMW.jpg」が設定され、スクエアストーン8012の外壁面3および外壁面4にはマテリアル名「スクエアストーン_MD」およびテクスチャ名「エッジストーンMD.jpg」が設定されている。
【0101】
図22は、外壁のProductとしての一般ユーザ属性(図7参照)のうち主要なものを示す。
【0102】
図22に示すように、属性「配置/本体フラグ」の値は0であるので、配置であることを示す。属性「実体フラグ」の値は1であるので、リンクであることを示す。属性「分類」の値は“外壁材”である。属性「入力階」の値は1であり、1階に配置されていることを示す。属性「配置コード」の値は0であり、任意の場所に配置可能なことを示す。属性「高さコード」の値は11であり、これは床高さ、すなわち床面を基準に取り付くことを示す。属性「丸めコード」の値は0であり、これは丸めなし、すなわち建物のモジュールに関係なく配置ができることを示す。属性「取り付け高さ」の値は0であり、床に直接接触していることを示す。属性「鳥瞰時表示OFF」の値は0であり、CGアプリケーション6による鳥瞰表現時にも表示をOFFしないことを示す。属性「操作ロック」の値は111111100011であり、CGアプリケーション6において「X方向変形」、「Y方向変形」、および「Z方向変形」の操作ができないことを示す。属性「見せ場フラグ」の値は0であり、CGアプリケーション6のカメラ呼び出し時にも見せ場とはしないことを示す。属性「CGコメント」および属性「CGコメント」の値は未定義である。属性「変更フラグ」の値は1であり、CGアプリケーション6によってすでに変更が行われたことを示す。属性「変更情報」に、その変更内容が記憶されている。
【0103】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態に係る住宅建築用の3次元CGシステムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る住宅建築用の3次元CGシステムにおいてCADデータからの変換によって出力されるインプット用中間ファイルの階層構造の概略図である。
【図3】インプット用中間ファイルに記述される各グループのすべてに付加される一般ユーザ属性の中で共通な属性を示す。
【図4】インプット用中間ファイルの共通グループのうち、同一仕上げ材、同一候補色の部位形状をまとめる仕上げ材グループの一般ユーザ属性を示す。
【図5】仕上げ材グループの構造を示す。
【図6】インプット用中間ファイルの共通グループのうち、出力される部品を種類ごとにまとめるための部品種類グループの構造を示す。
【図7】インプット用中間ファイルの共通グループのうち、CADデータに入力されている部材の属性および形状が記述されるProduct(部材)グループの一般ユーザ属性を示す。
【図8】インプット用中間ファイルの共通グループのうち、形状を記述する単位であるシェルの一般ユーザ属性を示す。
【図9】家グループの一般ユーザ属性を示す。
【図10】仕様グループの一般ユーザ属性を示す。
【図11】外部グループの構造を示す。
【図12】内部グループの構造を示す。
【図13】蓋形状グループの一般ユーザ属性を示す。
【図14】屋根グループの構造を示す。
【図15】基礎グループの構造を示す。
【図16】構造躯体グループの構造を示す。
【図17】家の内部のLDK内の様子を示す。
【図18】インプット用中間ファイルのうち、テーブルおよび花瓶に関する部分の階層構造を示す。
【図19】テーブルのProductとしての一般ユーザ属性のうち主要なものを示す。
【図20】花瓶のProductとしての一般ユーザ属性のうち主要なものを示す。
【図21】インプット用中間ファイルのうち、家の外部の外壁に関する部分の階層構造を示す。
【図22】外壁のProductとしての一般ユーザ属性のうち主要なものを示す。
【符号の説明】
【0105】
1 3次元CGシステム
2 コンピュータ装置
3 入力装置
4 表示装置
5 CADソフト
5a コンバータ
6 CGアプリケーション
7 CADデータ
8 インプット用中間ファイル
801 仕上げ材グループ
802 部品種類グループ
803 Product(部材)グループ
804 Product(部品)グループ
805 Product(部屋)グループ
806 Shape(図形)グループ
807 シェルグループ
808 室グループ
809 鳥瞰の蓋グループ
8090 蓋形状グループ
81 マテリアル
82 テクスチャ
83 カメラ
84 光源
85 家ルートグループ
850 家グループ
851 仕様グループ
852 外部グループ
853 内部グループ
8531 LDK
85311 テーブル
85312 花瓶
854 屋根グループ
855 基礎グループ
856 構造躯体グループ
9 アウトプット用中間ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅を構成する各構成要素について少なくとも3次元形状データを含む構成要素情報を格納する記憶手段と表示手段と入力手段とを備え、前記記憶手段に格納されている前記構成要素情報に基づいてコンピュータグラフィックによって住宅を仮想構築して、前記表示手段に3次元表示を行うとともに、前記入力手段からの操作に応じて前記構成要素情報および前記3次元表示内容の変更が可能な住宅建築用3次元CGシステムであって、
前記構成要素情報は、複数の階層に階層化されている複数のグループからなる階層データ構造を有することを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記階層データ構造は、1軒の住宅に対応する構成要素情報の個別住宅情報グループの下位階層に、前記住宅の仕様に関する住宅仕様情報グループと、前記住宅の外部に関する住宅外部情報グループと、前記住宅の内部に関する住宅内部情報グループと、前記住宅の屋根に関する住宅屋根情報グループと、前記住宅の基礎に関する住宅基礎情報グループと、前記住宅の構造躯体に関する住宅構造躯体情報グループとを有するとともに、
前記階層データ構造は、前記個別住宅情報グループの上位階層に、複数の前記個別住宅情報グループをまとめる全住宅情報グループを有することを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記階層データ構造は、住宅を構成する各構成要素の中で同一仕上げ材および同一候補色を有する構成要素の部位形状をまとめる仕上げ材グループと、住宅を構成する各構成要素の中の部品を種類ごとにまとめる部品種類グループとを有することを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記の各グループに属する各構成要素は、各グループ所定の属性情報をそれぞれ有していることを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記属性情報には、各構成要素の実体に対応しているか、実体には対応せず実体の所在を示すリンクであるかを示す実体フラグ情報を含むことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記属性情報には、各構成要素の分類名を示す分類情報を含むことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項7】
請求項4に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記属性情報には、各構成要素が配置される階を示す入力階情報を含むことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項8】
請求項4に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記属性情報には、各構成要素がどの高さレベルを基準に取り付くかを示す基準高さ区分情報を含むことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項9】
請求項4に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記属性情報には、前記表示手段に鳥瞰表示を行う際に表示を行うか否かを示す鳥瞰表示フラグ情報を含むことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項10】
請求項4に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記属性情報には、前記入力手段からの操作に応じて前記構成要素情報および前記3次元表示内容の変更が行なわれたか否かを示す変更フラグ情報と、変更が行われた場合の変更内容情報とを含むことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記変更フラグ情報が前記入力手段からの操作に応じて変更が行われたことを示している各構成要素について、前記変更内容情報を出力可能としたことを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の住宅建築用3次元CGシステムにおいて、
前記構成要素情報は、XVLファイル形式であることを特徴とする住宅建築用3次元CGシステム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の住宅建築用3次元CGシステムに用いられる前記構成要素情報の階層データ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−65732(P2006−65732A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249885(P2004−249885)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】