説明

体内での関節空間測定装置および測定方法

【課題】患者の体の関節結合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムを提供する。
【解決手段】関節内人工器官システム10は、第1および第2の人工器官コンポーネント24,16を有する。第2の人工器官コンポーネント16は、ベアリング面17を有する。ベアリング面および第1の人工器官コンポーネントの境界は、関節接合部20を画定している。信号源26およびセンサー28が、関節接合部の両側に向かい合って配置されている。信号源は、センサーによって受信される第1の信号を生成する。センサーは、センサーおよび信号源の間の間隔に応じて変わる特性を備えた第2の信号を生成する。送信機が信号を伝送する。その信号は、第2の信号に応じて変わる特性を備えている。このシステムは、関節空間の寸法の測定および関節空間の寸法の時間による変化の判定に用いられる。システムは、磁石および磁気センサーを用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願に対するクロス−リファレンス〕
本出願は、2003年7月11日に出願されたマーク・アール・ディシルベストロ(Mark R. DiSilvestro)による米国仮特許出願第60/486,615号「体内での関節空間測定装置および測定方法(In Vivo Joint Space Measurement Device and Method)」の優先権を主張するもので、上記米国仮特許出願は、その全体が、参照することによって本出願に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、関節内人工器官システム(joint endoprostheses systems)に関する。
【0003】
〔背景技術〕
ヒトの関節は、事故または病気の結果として、損傷を受けることがある。そのような損傷は、例えば、関節において2つの骨の端部を包む関節軟骨、および、関節の隣り合う骨の2つの端部の間の関節内軟骨に及ぼされる。関節に及ぼされた損傷が重篤な場合、関節内人工器官が、患者の快適さおよび運動性を改善するために、植え込まれることがある。
【0004】
関節内人工器官は、ヒトのさまざまな関節の本来の組織に置き換えるために開発されてきた。さまざまな、膝関節人工器官、股関節人工器官、肩関節人工器官、足首関節人工器官、肘関節人工器官、橈骨手根関節人工器官、指の関節の人工器官、が、患者の苦しみを和らげるために、存在する。そのような人工器官は、例えば、アメリカ合衆国インディアナ州ワルシャワ(Warsaw)のデピュイ・オーソピィデクス・インコーポレーテッド(デピュイ・プロダクツ・インコーポレーテッド:DePuy Orthopaedics, Inc. :DePuy Products, Inc.)から入手できる。
【0005】
標準的な関節の人工器官は、その関節の2つの骨の関節でつながれる端部(articulating ends)に固定されるコンポーネントを含み、かつ、骨に固定された各コンポーネントの間の関節空間内に配置されるベアリングコンポーネントを通常含んでいる。関節内人工器官の標準的なベアリングコンポーネントは表面を有し、その表面に対して、骨に固定されたコンポーネントの一方が関節でつながれる。例えば、股関節の関節内人工器官は、大腿骨の近位端に固定される大腿骨近位端コンポーネント、および、寛骨臼に固定される寛骨臼キャップすなわちシェル、を含んでいる。これらの標準的な股関節の関節内人工器官の多くは、寛骨臼キャップ内のライナーを含み、そのライナーに対しては、大腿骨近位端コンポーネントのヘッドが関節でつながれる。膝関節の関節内人工器官は一般的に、大腿骨の遠位端に固定される大腿骨遠位端コンポーネント、および、脛骨の近位端に固定される脛骨近位端コンポーネントを含んでいる。脛骨ベアリングは、典型的には、大腿骨遠位端コンポーネントおよび脛骨近位端コンポーネントの間の関節空間内に配置されていて、脛骨近位端コンポーネントによって保持されている。ベアリングを備えた同様のシステムが、体内のその他の関節にも用いられる。
【0006】
関節内人工器官用の標準的なベアリングは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、セラミック、および、金属、で作られている。ベアリングの磨耗は、整形外科の分野では、問題のある事柄である。いくつかの特許が、UHMWPEの磨耗によって生み出された問題のある粒子、および、それらの磨耗粒子に関連した骨溶解(osteolysis)、と取り組んできた。例えば、米国特許第6,281,264号「ヒトの人工関節用の化学的に架橋結合された超高分子量ポリエチレン(Chemically Crosslinked Ultrahigh Molecular Weight Polyethylene for Artificial Human Joints)」、および、米国特許第6,228,900号「放射線および熱処理による磨耗の少ないポリエチレン架橋結合(Crosslinking of Polyethylene for Low Wear Using Radiation and Thermal Treatments)」を参照されたい。さらに、ベアリングは、関節の軟組織が平衡していないときまたは平衡でなくなったとき、不均等に磨耗する。例えば、膝関節の軟組織が平衡でないと、膝骨ベアリングの内側または外側が、さらに応力にさらされ、さらに磨耗することがある。
【0007】
整形外科インプラントのその部位での骨溶解は、関節内人工器官のコンポーネントのゆるみに関連する。コンポーネントのそのようなゆるみは、修正手術を必要とする可能性があり、修正手術では、元の関節内人工器官が取り除かれて交換される。
【0008】
整形外科医は、患者の状態を監視するために、ベアリングが占める関節空間の状況を監視してきた。典型的には、関節の間隔が狭くなることが、X線画像(radiographs)の測定値から、または、立体X線観察法(radio stereophotogrammetric analysis:RSA)を用いて、監視されてきた。どちらの方法も、外部の撮像装置を必要とし、多大な時間を費やす。どちらの方法も、器具の精度が限られているために、ある程度の測定誤差を生ずる傾向がある。さらに、X線画像から得られる関節空間の測定値の精度は、分析の技術および先入観(bias)によって決まり、繰り返しの可能性および再現性に影響する。さらに、器具のコストが高いので、RSAが患者を監視するための標準的な技術になる可能性は低い。
【0009】
ベアリングの磨耗の早期の検出は、状況が修正手術を必要とするまで悪化する前に、あるタイプの介入が必要であることを、整形外科医に知らせるための信号として使えることが見出された。例えば、整形外科医は、修正を延期すべき場合には、患者がある程度の生活習慣の変更を必要とすることを、判定できることもある。さらに、初期の段階の骨溶解を治療するための治療薬が利用できる場合には、それらの治療薬が、修正手術を必要とするまで状況が悪化する前に、投与される。
【0010】
以下の米国特許が参照され、それらの開示内容は、参照することによって、その全体が、本明細書に組み込まれる。メンデスら(Mendes et al,)による米国特許第6,583,630号「人工関節の部材、椎骨、骨折した骨のセグメント、および、歯科インプラント、の磨耗および/または変位を監視するシステムおよび方法(Systems and Methods for Monitoring Wear and/or Displacement of Artificial Joint Members, Vertebrae, Segments of Fractured Bones and Dental Implants)」、メンデスらによる米国特許第6,573,706号「関節の磨耗およびそれに類似するものの距離に基づく検出を行う方法および装置(Method and Apparatus for Distance Based Detection of Wear and the Like in Joint)」、および、メンデスらによる米国特許第6,245,109号「人工関節システム、および、人工関節システムを用いて人工関節の部材の磨耗および変位を監視する方法(Artificial Joint System and Method Utilizing Same for Monitoring Wear and Displacement of Artificial Joint Members)」。
【0011】
〔発明の概要〕
本発明は、関節内人工器官の状態を監視するための、容易に得ることができる正確なデータを提供することの必要性に取り組む。
【0012】
ある態様では、本発明は、患者の体の関節結合部で接する(interfacing)2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムを提供する。その関節内人工器官システムは、関節の一方の骨に固定される第1の人工器官コンポーネント、および、関節結合部で第1の人工器官コンポーネントに隣接して配置されるベアリングコンポーネント、を含んでいる。その関節内人工器官システムは、関節結合部の一方の側で患者の体内に固定される信号源をさらに含んでいる。その信号源は、第1の信号を生成するのに役立つ。関節内人工器官システムは、距離基準(distance reference)、および、内部送信機、をさらに含んでいる。距離基準は、関節接合部の信号源および内部送信機から、関節結合部を横切って患者の体内に固定される。内部送信機は患者の体内に固定される。内部送信機は、信号源と距離基準の間の距離に応じて変化する特性を備えた送信信号を生み出すことができる。内部送信機によって生み出された送信信号は、さらに、患者の体内から患者の体の外側の位置へ伝送されることもできる。
【0013】
別の態様では、本発明は、患者がその中に、関節の一方の骨に固定された第1の人工器官コンポーネント、および、第1の人工器官コンポーネントに隣接した関節空間(joint space)を占めるベアリング、を含む関節内人工器官を有する、患者の体内の関節空間の寸法を測定する方法を提供する。その方法は、関節空間の寸法に関連する特性を備えた、距離に関連する信号を生成する過程を含んでいる。別の信号が、患者の体内から、患者の体の外側の位置へ、伝送される。患者の体の外側に伝送される信号は、距離に関連する信号の特性に関連した特性を備えている。関節空間の寸法は、外部の位置へ伝送される信号の特性の値に基づいて求められる。
【0014】
別の態様では、本発明は、患者がその中に、関節の一方の骨に固定された第1の人工器官コンポーネント、および、第1の人工器官コンポーネントに隣接した関節空間を占めるベアリング、を含む関節内人工器官を有する、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法を提供する。その方法は、患者の体内の第1の位置にある、関節空間の一方の側から第1の信号を生成する過程を含んでいる。第1の信号は、患者の体内の第2の位置にある、関節空間の反対の側で受信される。別の信号が、患者の体内の位置から、外部の位置へ伝送される。外部の位置へ伝送される信号は、第1の位置および第2の位置の間の距離に関連する特性を備えている。関節空間の寸法の変化の程度が、外部の位置へ伝送される信号の特性に基づいて求められる。
【0015】
別の態様では、本発明は、選択的に磁石として作用する材料を含む、植え込み可能な医療器具を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、植え込み可能な人工器官コンポーネント、植え込み可能な人工器官コンポーネントに保持され選択的に磁石として作用する材料、および、選択的に磁石として作用する材料によって生み出された特性を検出するための外部センサー、を含む医療システムを提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、患者の体内の関節結合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための、関節内人工器官システムを提供する。その関節内人工器官システムは、第1および第2の人工器官コンポーネント、磁石、および、センサー、を含んでいる。第2の人工器官コンポーネントは、第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を有する。第1の人工器官コンポーネントと、第2の人工器官コンポーネントのベアリング面の境界が、関節結合部を画定する。磁石は、患者の体内に固定される。センサーは、患者の体の外側で維持される。センサーは、磁石の磁界の特性を検出することができる。
【0018】
〔例示された実施の形態の詳細な説明〕
本発明の原理を組み込んだ関節内人工器官システムが、添付の図面に例示されている。図1、図4、図6、図8、図10、図15、および、図16では、システムは膝関節内人工器官システムである。図7では、システムは股関節内人工器官システムである。図12では、システムは肩関節内人工器官システムである。図1、図4、図6から図8、図12、図15、および、図16は、これらのシステムおよびコンポーネントの模式的な例示であって、人工器官コンポーネントの特徴の全てを示しているものではないことが、理解されなければならない。本発明の開示内容が、肘関節、橈骨手根関節、および、足関節の関節内人工器官、および、四肢の指に用いるための関節内人工器官を含むその他の関節内人工器官にも適用できることも理解されなければならない。
【0019】
例示される膝関節内人工器官および股関節内人工器官の各々は、3つの基本的なコンポーネント、すなわち、関節の一方の骨に固定される第1の人工器官コンポーネント、関節のもう一方の骨に固定される第2の人工器官コンポーネント、および、骨に固定されたコンポーネントの一方に隣接した関節空間内の関節接合部に配置されるベアリング、を含んでいる。膝関節内人工器官システムでは、第1のコンポーネントは、関節面を画定する顆を備えた大腿骨遠位端コンポーネントである。第2のコンポーネントは、脛骨近位端コンポーネントである。ベアリングは、脛骨近位端コンポーネントによって保持された脛骨ベアリングである。脛骨ベアリングは、大腿骨遠位端コンポーネントの顆と当接する上部面を有している。大腿骨遠位端コンポーネントの顆および脛骨ベアリングの上部面の境界は、膝関節内人工器官システムの関節を画定する。脛骨ベアリングは、大腿骨遠位端コンポーネントおよび脛骨近位端コンポーネントの間の関節空間を占め、脛骨ベアリングの厚みは、その膝関節内人工器官システムの関節空間の厚みに相当する。股関節内人工器官システムでは、第1のコンポーネントは、患者の寛骨臼内の準備された空間に固定される寛骨臼カップまたはシェルである。第2のコンポーネントは、大腿骨近位端コンポーネントである。大腿骨近位端コンポーネントは、関節面を画定する大腿骨ヘッドを有する。ベアリングは、寛骨臼キャップによって保持される寛骨臼ライナーである。寛骨臼ライナーは、大腿骨近位端コンポーネントの大腿骨ヘッドと当接する湾曲面を有する。大腿骨ヘッドと、寛骨臼ライナーの湾曲面の境界が、その股関節内人工器官システムの関節を画定する。寛骨臼ライナーは、寛骨臼キャップおよび大腿骨ヘッドの間の関節空間を占め、寛骨臼ライナーの厚みは、その股関節内人工器官システムの関節空間の厚みに相当する。類似のコンポーネントが、その他の関節内人工器官システムに存在する。
【0020】
例示された肩関節内人工器官システムは、2つの基本的なコンポーネントを含んでいる。第1のコンポーネントは、上腕骨コンポーネントであり、上腕骨コンポーネントは、ステムおよび上腕骨ヘッドを含んでいる。第2のコンポーネントは、関節窩コンポーネントである。上腕骨ヘッドの表面は、関節面を画定している。関節窩コンポーネントは、上腕骨ヘッドと当接する表面を有する。上腕骨ヘッドおよび関節窩コンポーネントの境界は、肩関節内人工器官システムの関節を画定する。関節窩コンポーネントの一部分は、関節空間を占め、関節窩コンポーネントのその一部分の厚みは、肩関節内人工器官システムの関節空間の厚みに相当する。したがって、関節窩コンポーネントのある部分は、ベアリングを含み、関節窩コンポーネントのある部分は、骨に固定されている。
【0021】
膝関節内システム用の大腿骨コンポーネント、脛骨コンポーネント、ベアリングコンポーネントは、アメリカ合衆国インディアナ州ワルシャワのデュピー・プロダクツ・インコーポレーテッド(DePuy Products, Inc.)およびデュピー・オーソピーディクス・インコーポレーテッド(DePuy Orthopaedics, Inc.)によって製造され販売されているもののような、公知の市販されている膝関節内人工器官システムの特徴を備えていてよい。同様に、股関節内人工器官システム用の大腿骨コンポーネント、寛骨臼コンポーネント、および、ベアリングコンポーネントは、アメリカ合衆国インディアナ州ワルシャワのデュピー・オーソピーディクス・インコーポレーテッドから入手可能なもののような、公知の市販されている股関節システムの特徴を備えていてよい。本発明の肩関節内人工器官システムの上腕骨コンポーネントおよび関節窩コンポーネントもまた、アメリカ合衆国インディアナ州ワルシャワのデュピー・オーソピーディクス・インコーポレーテッドから入手可能なもののような、公知の市販されている肩関節システムの特徴を備えていてよい。これらのシステムのコンポーネントはまた、アメリカ合衆国インディアナ州ワルシャワのツィマー・インコーポレーテッド(Zimmer, Inc.)、アメリカ合衆国インディアナ州ワルシャワのバイオメット・インコーポレーテッド(Biomet, Inc.)、アメリカ合衆国ニュージャジー州のマウァ(Mahwah)のストライカー・ハウメディカ・オステオニクス・インコーポレーテッド(Stryker Howmedica Osteonics, Inc.)、および、アメリカ合衆国テネシー州メンフィス(Memphis)のスミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew)から入手可能なもののような、膝関節、股関節、および、肩関節の関節内人工器官のその他の供給者の、市販されている製品の特徴を有していてよい。本発明の関節内人工器官が、これらの市販されている製品のその後の改良を含み得ることが予想されていることが、理解されなければならない。コバルト・クロム、チタン、ポリエチレン、および、セラミックスなどの標準的な材料が関節内人工器官のこれらのコンポーネント用に用いられるが、本発明は、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、いずれのコンポーネントのためのどのような特定の材料にも限定されないことも、理解されなければならない。
【0022】
本発明の関節内人工器官システムは、信号源、距離基準、および、関節空間の寸法を求めるためのデータを提供する関連した電子回路を含んでいて、整形外科医が関節内人工器官の関節でつながれるコンポーネントの間で磨耗が生じていないかどうか、および、そのような磨耗の程度、を判定できるようにする。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「信号」は、例えば、電界および磁界などの場、電束密度および磁束密度、電流、および、音波および無線周波数波のような波、などを含むことを意図している。「信号源」は、永久磁石、常磁性材料および超常磁性材料(superparamagnetic materials)、および、電子回路などの、そのような信号を生み出す装置、を包含することを意図している。したがって、「信号」および「信号源」は、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、ある特定のタイプの信号および信号源に限定されるべきではない。
【0024】
例示された実施の形態では、信号源は、第1の信号を生成するのに役立つ。信号源が、永久磁石、常磁性磁石、または、超常磁性磁石である場合、生成される信号は、磁界または磁束密度である。信号源が、無線周波数(RF)送信機である場合、生み出される信号は、無線周波数波である。その他のタイプの電子的信号源が、渦電流または電界を生み出すのに役立つ。これらの信号は、本明細書では、「第1の信号」と呼ばれる。第1の信号は、信号源からの距離に応じて変化する特性を有していてよく、例えば、磁界の強度は、磁石からの距離が増加すると、減少する。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「距離基準」は、センサーおよび目標の両方を含むことを意図している。
【0026】
「センサー」は、変換器、トランスポンダー、および、電磁センサーなどの装置を包含することを意図している。センサーは、信号源によって生成された第1の信号の、距離によって変化する特性を検出するように機能する。例えば、センサーは、特定の位置で永久磁石によって生成された磁束密度の大きさを検出するように機能し、または、RF送信機によって生み出されたRF波の周波数、振幅、または、位相を検出するように機能する。センサーはまた、センサーが検出した第1の信号のある特性に応じて変化する特性を備えた第2の信号を生成するのに役立つ。信号源およびセンサーは、単一の共通した要素の一部であってよい。
【0027】
「目標」は、その中で渦電流または電荷が誘起されるコンポーネントを含むことが意図されている。関節内人工器官システムの場合では、目標は、脛骨近位端コンポーネントの近位の表面または大腿骨遠位端コンポーネントの顆の遠位の表面などの、金属製コンポーネントの一方の表面、または表面の一部であってよい。
【0028】
大まかに言って、例示された実施の形態のほとんどでは、信号源は、関節内人工器官の関節空間または接合部の一方の側に配置されていて、距離基準(センサーまたは目標)は、関節内人工器官の関節空間または接合部の向かい合う反対の側に配置されている。信号源は、関節内人工器官のコンポーネントの一方に対して固定された位置に配置されていて、距離基準は、ベアリング要素によって占められる関節空間の向かい合う反対の側のもう一つの関節内人工器官のコンポーネントに対して固定された位置に配置されている。信号源および距離基準の位置が、関節内人工器官の、骨に固定されたコンポーネントに対して固定されているので、信号源および距離基準の相対的な位置の変化は、関節空間の変化に(および、もしかすると、植え込みコンポーネントの骨に対する移動または沈み込みに)、すなわち、関節空間を占めるベアリングの厚みの変化に、相当する。したがって、信号源および距離基準の間の距離が時間の経過と共に減少すると、距離のそのような減少は、ベアリングコンポーネントまたはコンポーネントのベアリング部分の厚みの減少に相当し、ベアリングが磨耗したことを示し、かつ、その磨耗の程度の正確な測定値を提供する。
【0029】
関節空間の両方の側における植え込みコンポーネントの相対的な位置の変化も、体内の関節空間の両方の側に信号源を含み、少なくとも2つのさらに別の位置に、例えば体の外部の位置に、距離基準を含むことによって、求めることができる。各信号源および距離基準の間の距離は、関節空間の変化を求めるのに用いることができる。関節空間の変化を求めるこの方法の詳細は、図24および図25の実施の形態に関して以下により詳細に記載される。
【0030】
こんどは、図1の実施の形態を参照すると、膝関節内人工器官システム10が、大腿骨12の遠位端および脛骨14の近位端に植え込まれて図示されている。図示されたシステム10は、脛骨近位端コンポーネント18によって保持された脛骨ベアリング16を含んでいる。脛骨ベアリング16は、輪郭をつけられた近位の表面17を有し、近位の表面17には大腿骨遠位端コンポーネント24の顆22が当接している。関節は、脛骨ベアリング16の近位の表面17および大腿骨遠位端コンポーネント24の顆22の境界で関節でつながれている。この関節接合部は、図1では符号20によって示されている。脛骨ベアリング16は、骨に固定された向かい合うコンポーネント18,24の間の関節空間を占め、関節空間は、図1では符号25で示されている。脛骨ベアリング16および関節空間15の厚みは、図1では、d4 として示されている。
【0031】
脛骨ベアリング16、脛骨近位端コンポーネント18、および、大腿骨遠位端コンポーネント24は、全て、そのような部品用の標準的な材料で作られていてよい。本発明の原理は、それらのコンポーネント16,18,24が異なる材料または新たな材料で作られていても、適用可能であると予想される。
【0032】
図1の実施の形態では、信号源26は、永久磁石である。この第1の例示された実施の形態では、信号源26(永久磁石)は、大腿骨遠位端コンポーネントに形成された相補的な形状のレセプタクルまたは凹部の中などのように、大腿骨遠位端コンポーネントの内側面の一つに沿って、大腿骨遠位端コンポーネントに固定されている。図1では、信号源26は、破線で示されている。したがって、信号源26は、大腿骨遠位端コンポーネント24の顆22の関節面から一定の既知の距離だけ離れている。適切な市販されているネオジム永久磁石は、例えば、アメリカ合衆国ベンシルベニア州ジェンキンタウン(Jenkintown)のエス・ピー・エス・テクノロジーズ(SPS Technologies)のアーノルド・エンジニアリング・グループ(Arnold Engineering group)のアメリカ合衆国ネブラスカ州オガララ(Ogallala)のオガララ・エレクトロニクス・ディビジョン(Ogallala Electronics Division)から入手可能である。しかし、本発明は、いずれの特定のタイプの磁石を使用することにも、磁石を信号源として使用することにも、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、限定されないことが、理解されなければならず、例えば、磁界が距離の測定に用いられるべき場合には、信号源は、選択的に磁石として働く材料を含んでいてよい。例えば、常磁性材料または超常磁性材料を、信号源として用いることができる。超常磁性材料は、典型的には、ポリマー中に閉じ込められた、もしくは分散されたフェライトまたは類似の酸化鉄化合物を含んでいる。この金属化合物(酸化鉄化合物)は、通常、微小球(約100nmから約150nm)のような、非常に小さい磁性粒子の形態で提供され、その磁性粒子は、その寸法が臨界値より小さいので、もはや自律的な小さい磁石として作用することはなく、すなわち、磁性粒子は外部の磁界にさらされたときにのみ、優先的な向きに整列する。超常磁性材料を信号源26として用いることは、信号源として用いられる材料が磁気共鳴映像法に対して適合性を有していなければならないこと、および選択された状況にさらされない限り磁化力を維持しないこと、に関して、有用であることが予期される。超常磁性磁石を信号源26として用いることは、図24および図25の実施の形態に関して以下により詳しく記載される。他に明示的な限定がない限り、「磁石」という用語は、永久磁石、常磁性磁石、および、超常磁性磁石を含むと解釈されなければならない。語句「選択的に磁石として作用する材料」は、常磁性磁石および超常磁性磁石のような材料を意味すると解釈されなければならない。
【0033】
図1の実施の形態の距離基準は、センサー28である。この具体的な実施の形態では、センサー28は、脛骨ベアリング16から離れた位置で、脛骨近位端コンポーネント18に固定されたホール効果変換器である。ホール効果変換器は、磁石によって生成された磁束密度に応答する電気信号を生み出す。磁束密度(第1の信号)の大きさは、磁石からの距離に応じて変化し、ホール効果変換器によって生み出された電圧(第2の信号)の大きさは、磁石によって生成された磁束密度(第1の信号)の大きさに応じて変化する。したがって、センサー28によって生み出される電圧(第2の信号)の大きさすなわち値は、センサー28および信号源26の間の距離の測定値を提供する。0.001mmのオーダーの精度が、例示された膝関節内人工器官システムの磁石およびホール効果変換器を、信号源26およびセンサー28として用いた場合に、達成される。
【0034】
適切なホール効果変換器は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州ヒルスボロー(Hillsborough)のアレグロ・マイクロシステムズ(Allegro Microsystems)から市販されていて、レシオメトリック・リニア・ホール効果センサー、パートUGN3503LT(Ratiometric Linear Hall Effect sensor, part UGN3503LT)として特定される。この変換器は例示の目的のみで特定され、本発明がいずれの特定のホール効果変換器の使用にも限定されないことが、理解されなければならない。さらに、インプラントの沈み込みまたは移動を補償するために用いられる3次元ホール効果センサーまたは変換器がある。そのような3次元ホール効果変換器またはセンサーの例が、チ・スコット(Ch. Schott)およびアール・エス・ポポビック(R.S. Popovic)によって、「一体化された3次元ホール磁界センサー(Integrated 3-D Hall Magnetic Field Sensor)」スイス国ローザンヌ(Lausanne)、シー・エイチ−1015(CH-1015)、イー・ピー・エフ・エル−ビー・エム(EPFL-BM)のEPFL−スイス連邦工科大学ローザンヌ校(仙台(Sendai)で1999年6月7日から10日にかけて開催された、トランスデューサーズ99(Transducers' 99)におけるソリッド・ステート・センサー・アンド・アクチベーターズ(Solid State Sensors and Activators)の第10回国際会議で提出された。)に開示されている。さらに、磁気抵抗性素子(magnetoresistive element)または磁気トランジスタのような、その他の磁界検出素子が、本発明のセンサー28として有用であることが予期される。さらに、本発明は、センサーとして変換器を用いることに限定されない。センサーは、例えば、以下により詳しく記載されているように、RF受信機のような、その他の素子であってもよい。
【0035】
図2は、本発明の第1の実施の形態を模式的に示している。図2に示されているように、患者の体は、符号31が付された大きな四角で表されている。信号源26として役立つ磁石は、大腿骨遠位端コンポーネント24の構成要素として示されている。センサー28として役立つホール効果変換器は、脛骨近位端コンポーネント18の構成要素として示されている。脛骨ベアリング16は大腿骨遠位端コンポーネント24および脛骨近位端コンポーネント18の間に、模式的に示されている。
【0036】
図2に模式的に示されているように、膝関節内人工器官システム10は、植え込まれた電子的コンポーネント30を含んでいる。これらの電子的コンポーネント30は、電力コンポーネント32、プリント回路基板34、変調器/送信機36、配線38、および、はんだ(図示されていない。)を含んでいる。
【0037】
電力コンポーネント32は、バッテリーのような内部電源であってよく、または、フェライトコイルのような誘導電源であってよい。適切なフェライトコイルは、アメリカ合衆国バーモント州ウィリストン(Williston)のマイクロストレイン・インコーポレーテッド(MicroStrain, Inc.)から市販されている小型巻線コイル(small wound coil)などである。このような巻線コイルに必要な特性は、その他の電子的コンポーネント、信号源、電力、および、センサーの設計および選択に応じてある程度変わり、コイルの出力、周波数、および、寸法は、システムのその他のコンポーネントに合わせて調節可能である。あるいは、適切なフェライトコイルが、アメリカ合衆国インディアナ州フォートウェイン(Fort Wayne)のオーマン・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド(Aumann North America, Inc.)から入手可能なもののような標準的な器具を用いて巻かれてもよい。電力コンポーネント32は、電力を供給するために、センサー28(第1の例示された実施の形態では、ホール効果変換器)およびその他の電子的コンポーネント34,36に電気的に接続されている。
【0038】
その代わりに、電力コンポーネント32は、例えば、バッテリーなどの要素を含んでいてよい。例えばアメリカ合衆国ニューヨーク州クラレンス(Clarence)のウィルソン・グレートバッハ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド(Wilson Greatbatch Technologies, Inc.)から入手可能なヨウ化リチウム電池(lithium iodine cell)を用いることができる。電力を節約するために、誘導性で駆動されるスイッチを用いて、バッテリーからの電力を選択的に供給することが望ましい。
【0039】
第1の例示された実施の形態のセンサー28は、プリント回路基板34の変調器/送信機36にも電気的に接続されている。変調器/送信機36は、ホール効果変換器(センサー28)によって生み出された電圧(第2の信号)を送信信号に変換するのに役立ち、内部アンテナから患者の体の外側の位置へ、この送信信号を伝送することができる。例えば、変調器/送信機36は、特定の電圧(第2の信号)を無線周波数波(送信信号)にエンコードし、または変調する。次に、内部アンテナ(図示されていない。)を通して、この特定の無線周波数波を患者の体の外側の位置へ伝送することができる。
【0040】
適切なプリント回路基板34は、アメリカ合衆国コロラド州オーロラ(Aurora)のアドバンスト・サーキッツ(Advanced Circuits)から市販されている。プリント回路基板の具体的なレイアウトおよび構造は、信号源およびセンサー用に用いられる部品のタイプなどの要因に応じて変わる。大まかに言って、プリント回路基板は、その寸法を最小にするように、設計され、またはレイアウトが決められる。本発明は、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、いずれの特定のプリント回路基板にも限定されないことが、理解されなければならない。プリント回路基板34は、図1の実施の形態のように、脛骨コンポーネント18に固定されていてよい。
【0041】
適切な内部の変調器/送信機36は、電子回路チップの形態で、アメリカ合衆国テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ・インコーポレーテッド(Texas Instruments Inc.)から市販されている。変調器/送信機36の望ましい特性は、システムのその他のコンポーネントに応じて変わり、大まかに言って、変調器/送信機36は、植え込みのために適した寸法を有し、所望の周波数での伝送を行い、過剰な電力を消費しない。例示された実施の形態は、変調機能および送信機能を実行するために単一の電子的要素を用いているが、別個の離散的な要素によっても、これらの機能を同様に実施することができる。さらに、本発明は、特許請求の範囲で明示的に記載されていない限り、いずれの特定のタイプの送信機または送信信号にも限定されないことが、理解されなければならない。
【0042】
その他の可能なタイプのデータ伝送には、光データ伝送がある。IBMパーソナルエリアネットワークも送信機として用いることができる。音響エネルギー伝送、(電界を用いた)容量性遠隔測定法(capacitive telemetry)、および、(磁界を用いた)誘導性遠隔測定法(inductive telemetry)、なども、本発明で伝送のために可能な代わりの方法である。
【0043】
変調器/送信機36は、密封されたアンテナ(hermetically sealed antenna)に取り付けられ、図1の実施の形態でのように、脛骨コンポーネント18に取り付けられていてよい。内部アンテナは、システムの電子回路30の一部として植え込まれていてよい。
【0044】
図2に示されているように、外部の受信機40およびデータ翻訳装置42は、医者の診療所、または病院内など、ケアの行われる場所に設けられていてよい。外部の受信機40は、信号をデータ翻訳装置42に供給するために結合された無線周波数アンテナを含んでいてよい。データ翻訳装置42は、内部の送信機36から受信した無線周波数送信信号を復調するようにプログラムされた、標準的なコンピュータであってよい。データ翻訳装置42は、ハンドヘルドパーソナルコンピュータ、PDA(personal desk assistant)、ラップトップコンピュータ、または、任意の注文設計のデータ収集装置(data acquisition device)であってよい。データ翻訳装置42は、この特定のデータを距離に変換するのに必要な計算を実行するようにもプログラムされていてよい。ソフトウェアエンジニアまたはプログラマーが、外部のアンテナ40によって受信された特定の信号から距離を算出するために、外部のデータ翻訳装置42を容易にプログラムできるであろうと予想される。この距離は、以前の基準点の距離と比較されて、関節空間が減少していないかどうか、および、関節空間が減少した程度、を判定し、ベアリングコンポーネントが使用によって磨耗した程度が示される。
【0045】
外部の電源44も、ケアの行われる場所に設けられていてよい。外部の電源44は、局所的な強い磁界を生成する外部コイルであってよく、外部コイルは植え込まれたフェライトコイル32と誘導結合されていて、それによって、植え込まれた電子回路28、34、36に電力を供給する。適切な外部コイルは、アメリカ合衆国バーモント州ウィリストン(Williston)のマイクロストレイン・インコーポレーテッド(Microstrain Inc.)から市販されている。その代わりに、適切なコイルは、アメリカ合衆国インディアナ州フォートウェイン(Fort Wayne)のオーマン・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド(Aumann North America, Inc.)から入手可能なもののような標準的な器具を用いて巻かれてもよい。大まかに言って、外部コイルは患者の直ぐ近くで用いられることが多いので、患者の皮膚を刺激せず過剰に加熱しない、そして、操作者または医療技術者によって容易に取り扱われる外部コイルを選択または設計することが望ましいであろう。外部コイルは、内部の電力コイルを励振(stimulate)するための目的の周波数での十分な電磁界または静磁界を供給できなければならない。
【0046】
図2に模式的に示されているように、信号源26および大腿骨コンポーネントの顆22の関節面の間の距離は、図2のd1 で示されていて、一定である。センサー28および脛骨近位端コンポーネント18の上部面の間の距離も、図2でd2 で示されていて、一定である。信号源26およびセンサー28の間の距離は、図2でd3 で示されていて、変化することがある。本発明で測定されるのは、距離d3 である。この距離d3 から関節空間25の厚み、したがって、ベアリング16の厚みが、算出され、関節空間およびベアリングの厚みは、図1、図2、図4から図6、図9、図11、および、図15では、d4 で示されている。
【0047】
正確な値のd4 を算出する必要はないだろう。その代わりに、d3 の値が、ある時間に亘って比較される。(信号源およびセンサーが植え込まれたコンポーネントに固定されている場合)d1 およびd2 が一定なので、ある時間に亘るすべてのd3 の減少は、ある時間に亘るd4 の等量の減少に等しい。距離d3 および距離d4 の減少は、ベアリングの磨耗および関節空間の変化との間に相関関係を有している。
【0048】
第1の例示された膝関節内人工器官システム10を用いるとき、整形外科医または医療技術者は、最初に、距離d3 に対する基準測定値を求める。患者の脚が、図1に示すように膝関節が十分に伸展された状態または患者が直立した姿勢などの、ある特定の位置または姿勢に配置される。外部電源44は、植え込まれた電極30に電力を供給するために、膝関節の近くに配置される。外部電源44が適正に配置されると、関節空間25または関節接合部20の一方の側におけるその固定された位置に配置された磁石(信号源26)によって生み出された第1の信号(すなわち、磁界または磁束密度)が、関節空間25または関節接合部20の対向する側でその固定された位置に配置されたホール効果変換器(センサー28)によって受信され、ホール効果変換器(センサー28)は、患者の体31内で、電流または電圧(第2の信号)を生み出して伝送する。ホール効果変換器(センサー28)によって生み出された電流または電圧(第2の信号)の値は、磁束密度(第1の信号)の大きさに応じて変わり、磁束密度は、磁石(信号源26)およびホール効果変換器(センサー28)の間の距離に応じて変わる。この電流または電圧が、変調器/送信機36によって受信され、次に、変調器/送信機36が電流または電圧(第2の信号)の値を無線周波数波(送信信号)に変換する。送信信号は、ホール効果変換器(センサー28)によって伝送された特定の電圧または電流の特性を符号化している。送信信号(無線周波数波)は、患者の体内から、内部の変調器/送信機36によって、内部アンテナへ、そして、内部アンテナから外部の受信機40へ、伝送される。外部のデータ翻訳装置42は、次に、送信信号の符号化されたデータに基づいて、関節空間25の厚みを求める。その代わりに、外部のデータ翻訳装置42は、関節空間が減少したかどうかを判定するために、全体の距離d3 の変化を算出してもよい。関節空間25の厚みの変化は、したがって、関節の脛骨ベアリングの磨耗を監視するために検出される。
【0049】
図3は、本発明の第1の例示された実施の形態で考えられるフロー図である。図に示されているように、外部電源がない場合には、植え込まれた電子回路28,30は停止状態に留まっている。外部電源が用いられると、植え込まれた電源32がホール効果変換器(センサー28)に電力を供給する。ホール効果変換器(センサー28)は、電圧信号を生み出し、その電圧信号の振幅は、関節結合部20の対向する側の磁石(信号源26)に対するホール効果変換器の近さに相当する。ホール効果変換器および磁石は、患者の体内の連続したループ内にある。この電圧信号が、次に、患者の体31の外側に伝送可能な送信信号を生み出すために変調され、この送信信号が伝送される。このプロセスもまた、患者の体31の中の連続したループ内で起こる。送信信号は、外部受信機40によって受信され、復調されて翻訳される。受信、復調、および、翻訳のプロセスは、全て、連続したループとして、患者の体31の外側で行われる。
【0050】
第1の例示された実施の形態には、複数の変形例が考えられる。例えば、関節内人工器官システムは、別個の要素として提供されたひとつまたは複数の電子的コンポーネントおよび信号生成コンポーネントを備えたキットの形態で提供されてもよい。例えば、電子的コンポーネント30およびセンサー28は、インプラント自体のコンポーネントとしてではなく、患者の骨に固定されるひとつまたは複数の分離した別個のパッケージとして提供されてもよい。その代わりに、信号源26は、患者の骨に固定される分離した別個のコンポーネントとして提供されてもよい。さらに、電子的コンポーネント30、センサー28、および、信号源26の全てが、患者の骨に固定されるべき分離した別個のコンポーネントとして提供されてもよい。図4および図5は、信号源26、センサー28、および、その他の電子的コンポーネント30が、全て、植え込まれたコンポーネント16,18,24から離れて、大腿骨12および脛骨14に固定されている点以外は、図1および図2に示された実施の形態と等しい膝関節内人工器官システムを示している。骨セメント、または、接着剤などのその他の手段が、これらのコンポーネント26,28,30を患者の大腿骨12および脛骨14に固定するために用いられてよい。
【0051】
さらに、複数のセンサーをキットまたは関節内人工器官システムの一部分として提供することが望ましいであろう。複数のセンサーは、ひとつまたは複数のセンサーが故障した場合の予備を提供するために、または、脛骨ベアリングの内側および外側の位置のなどの、関節の異なる部分における距離を測定するために用いることができる。3次元検出が、精度を高めるため、および、骨に固定されたインプラントの起こりうる移動または沈み込みを補償するために、用いられてもよい。
【0052】
最初の2つの例示された実施の形態は、伸展状態の膝関節を示しているが、本発明のシステムは、図6に示されているように屈曲状態の膝関節の脛骨ベアリング16の状態を評価するのにも用いることができる。屈曲状態の膝関節を評価するために、信号源26およびセンサー28の位置すなわち整合が、第1の信号の伝送を最適化するために、調節されることもある。
【0053】
プロトタイプの膝関節内人工器官システムの第3の実施の形態が、図15に示されている。図1、図8、および、図10の実施の形態におけると同じように、図15の実施の形態のプロトタイプの膝関節内人工器官システムは、大腿骨遠位端コンポーネント24A、脛骨近位端コンポーネント18A、および、ベアリングコンポーネント16A、を含んでいるが、この実施の形態では、以下により詳しく記載されるように、脛骨近位端コンポーネント18A、および、ベアリングコンポーネント16Aは、いくつかの異なる特徴を有する。
【0054】
図1および図8の実施の形態におけると同じように、図15の実施の形態では、距離基準28は、ホール効果変換器であり、信号源26は磁石である。図15および図16のこの実施の形態のホール効果変換器(距離基準28)は、脛骨トレー18Aの近位の面29上の回路基板34上に保持されていて、脛骨ベアリング16Aの遠位の面の凹部33に嵌め合わされているが、この実施の形態はプロトタイプであり、最終的な実施の形態では、これらのコンポーネントは脛骨コンポーネントの別の場所に保持されていてもよいことが、理解されなければならない。信号源26は、大腿骨コンポーネント24Aに保持された磁石である。
【0055】
図15および図16の実施の形態のホール効果変換器28の回路、送受信機回路、電力調整回路、および、制御コンポーネント回路の模式的な例が、図18から図21に例示されている。図18は、ホール効果変換器28の回路に関連する回路を模式的に示している。図19および図19Aは、900MHz無線周波数送受信機の回路を模式的に示している。図20は、2.8V出力5V一定入力の電力調整回路を模式的に示している。図21は、マイクロコントローラ回路を模式的に示している。これらの回路は全て図15および図16の回路基板34によって保持されている。多層回路基板34のシルクスクリーンレイアウトが、図22および図23に示されている。
【0056】
図18から図21に示された抵抗器が、以下の表に記載される。
【表1】

【0057】
図18から図21の回路のキャパシターが、以下の表に記載される。
【表2】

【0058】
図18から図21の回路のその他のコンポーネントが、以下の表に記載される。
【表3】

【0059】
図18から図21の回路が、例示された実施の形態に相互接続されていることが、理解されなければならない。相互接続部がどこに配置されているかを前置符号「O」および「I」を用いて示した以下の表が、相互接続を明らかにしている。
【表4】

【0060】
図18から図21の回路の基準電圧が、以下の表に記載される。
【表5】

【0061】
図15および図16を再び参照すると、この実施の形態の電源は、図15、図16、および、図20に符号32で示された標準AAAAアルカリ電池である。その他のタイプのバッテリーが用いられてよいことが、理解されなければならず、好ましくは、有効寿命が長く、生体適合性で小型のバッテリーが用いられる。この実施の形態のバッテリー32は、支持部材106によって保持されていて、かつ、電気リード線108,110を介して回路基板34の回路に接続されている。回路基板34の回路はまた、パッドP1(図19および図22を参照)でRFアンテナ線112に電気的に接続されている。
【0062】
図15から図17に示されているように、支持部材106は、その近位の端部116で開いた実質的に管状の本体114、ねじ山が設けられた遠位の端部部分118、および、管状の本体114およびねじ山が設けられた遠位の端部部分118の間の、ねじ山が設けられた中間部分120、を有する。
【0063】
管状の本体114は、内部電源32の全長のほとんどの部分を保持するような寸法および形状に成形された開いた内部と、脛骨コンポーネント18Aの中空ステム122内に嵌め合わされる寸法および形状に成形された外形と、を有する。管状の本体114は、一対の直径に沿って向かい合う長手方向の溝をさらに有し、一方の溝124が図17に示されていて、もう一方の溝125が図17Aに示されている。長手方向の溝124,125の各々は、管状の本体114の近位の端部116から、本体114の全長の一部に沿って、遠位の端部に向けて、延在している。図17および図17Aを比較すると分かるように、一方の溝124は、ねじ山が設けられた中間部分120まで延在していて中間部分120と結合されていて、もう一方の溝125は、ねじ山が設けられた中間部分120から離れた地点まで延在している。長手方向の溝の各々は、取り付け溝126,128に結合されている。取り付け溝126,128の各々は、長手方向の溝と直角に管状の本体114の周縁のわずかな部分に沿って延在していて、近位の向きに伸びた拡張部分を含んでいる。長手方向の溝124,125、および、取り付け溝125,128は、脛骨ステム122の内側壁上の、直径に沿って向かい合う一対の取り付けラグ130,132(図15を参照)と共に働いて、支持部材を脛骨ステム122の内側の所定の位置に固定する。管状の本体114内のコイルばね(図示されていない)が、バッテリーを近位の向きに付勢している。
【0064】
内部電源を脛骨ステム内に支持しかつ位置決めすることに加えて、支持部材106は、RFアンテナ線112を位置決めしかつ支持するのにも役立つ。RFアンテナ線112は、回路基板34上のアンテナ取り付けパッドP1から、中空の脛骨ステム122を通して、遠位の向きに下降して延在している。アンテナ線112は、より長い方の長手方向の溝124を通って、支持部材106のねじ山が設けられた中間部分120まで延在し、そして、図15に示されているように、ねじ山が設けられた中間部分120のねじ山に巻かれている。端部キャップ136は、支持部材のねじ山が設けられた遠位の端部118に螺合されている。端部キャップ136は、ねじ山が設けられた中間部分120の少なくとも一部分およびアンテナ線112の遠位の部分を取り囲む管状部分を有している。端部キャップ136および支持部材106の両方は、例えば、超高分子量ポリエチレンのような、適切な生体適合性のプラスチック材料で作られていてよい。
【0065】
こんどは、図22および図23を参照すると、これらの図面は、製造プロセス中の回路基板34のシルクスクリーンレイアウトを示している。符号138で示された全体の長方形の基板は、過渡的な構造で、プリント基板34のコンポーネントをプログラミングするときに用いられ、プログラミングの後に、脛骨トレー内に嵌め合わせるために切断される。したがって、図18から図21の回路のコンポーネントのいくつかは、過渡的な基板138の周縁部に配置されていて、これらの周縁部のコンポーネントは、回路基板34が脛骨コンポーネントに組み込まれて植え込まれるときには、必要ではない。図18から図21の回路コンポーネントのうち、植え込まれて関節空間の測定装置が動作する間に用いられるものは、基板の植え込まれる部分の輪郭内に配置されている。製造を容易にするために、過渡的な基板138は、植え込まれる部分の輪郭部に配置された、間隔を置いて設けられた複数の切り欠き部140を有していて、その切り欠き部140は、植え込まれる最終的な回路基板を成形するために容易に切断されるブリッジ部分142によって結合されている。
【0066】
図18から図21に示された回路の、プログラム可能なコンポーネントをプログラムするために、アメリカ合衆国カリフォルニア州フォスター(Foster)およびマサチューセッツ州マルボロ(Marlborough)のアイ・エー・アール・システムズ・ソフトウェア(IAR Systems Software, Inc.)から入手可能なもののようなプログラミングツールが、用いられてよい。インプラントから伝達されたRFデータを分析し、および表示するために、アメリカ合衆国テキサス州オースチン(Austin)のナショナル・インスツルメンツ・コーポレーション(National Instruments Corporation)から入手可能なラブ・ビュー(Lab View)ソフトウェアおよび関連する設備のような、ハードウェアおよびソフトウェアが、用いられてよい。
【0067】
図15から図21の実施の形態のホール効果変換器すなわちセンサーは、約0.001mm(1μm)の分解能(resolution)を有する。この実施の形態のシステム全体では、約0.1mm(100μm)の分解能を有する。図15から図21の実施の形態は、プロトタイプであり、システム全体では、精密な電気コンポーネント、最適化されたソフトウェア、および、複数の信号源を用いた多次元センサーによる予備、を用いることで、より高い感度が達成可能であることが理解されなければならない。さらに、このプロトタイプから開発されるシステムは、異なる電源を用いることがあること、および、小型化された電気素子を用いることがあることが予想される。
【0068】
信号源26は、上述された膝関節内人工器官の大腿骨遠位端に関連して示されているが、本発明は、特許請求の範囲で明示的に記載されていない限り、そのような配置に限定されない。例えば、信号源は脛骨近位端に関連し、センサーは大腿骨遠位端に関連していてもよい。または、図24および図25の実施の形態で示されているように、2つの植え込まれた信号源が用いられてもよく、一方の信号源が関節空間の一方の側でインプラントまたは骨に取り付けられ、もう一方の信号源が関節空間の対向する側でインプラントまたは骨に関連していて、センサーが患者の体の外側に配置されていてもよい。
【0069】
図24および図25の実施の形態では、信号源26および信号源26’の各々は、植え込まれたコンポーネントの一方に固定された超常磁性磁石である。複数のセンサー28,28’,28’’,28’’’は、ホール効果変換器などであり、影響を受ける関節の周りに配置可能な外部のカフ150内に配置されている。カフ150は、選択的に信号源を磁化するのに役立つ磁界源152をも保持していてよい。例えば、大腿骨コンポーネント24の超常磁性磁石26は、特定の磁界にさらされたときにある特定の磁界の摂動(perturbation)を生み出すように選択され、脛骨コンポーネント18の超常磁性磁石26’は、特定の磁界にさらされたときに異なる磁界の摂動を生み出すように選択されていてよい。使用時には、カフ150は、プロセスの間を通じて一定の位置に維持されていて、その目的のために、カフは、例えば、測定の間中カフを所定の位置に保持するために、膨張可能であってよい。超常磁性磁石26,26’の両方は、次に、磁化され、磁界の摂動が検出され、適切なアルゴリズムが、磁界中のその摂動に対応する距離を求めるために用いられる。カフ150内の磁界源152(または、複数の磁界源が用いられる場合には、複数の磁界源)は、パルス状の磁気信号を生み出し、各パルスおよび超常磁性磁石26,26’の相互作用の結果としてもたらされた磁界を、「励起されていない」期間の間に測定し、および/または、特性を求めることができる。超常磁性磁石の磁化の減衰も測定されてよい。
【0070】
3次元空間内での超常磁性材料の位置を求めるために、4個のホール効果センサー28,28’,28’’,28’’’が、図24および図25に示されているように、カフによって保持されていてよい。3次元空間内での超常磁性材料26,26’の位置の変化は、関節空間25における変化、または、インプラントコンポーネントのその他の位置の変化、を求めるために用いられてよい。その他のタイプの磁気センサーが、ホール効果センサーの代わりに、または、ホール効果センサーに加えて、用いられてよい。そのような磁気センサーの例として、可変リラクタンスセンサー(variable reluctance sensors)、磁気弾性センサー(magnetoelastic sensors)、磁気抵抗センサー(magnetoresistive sensors)、磁気制限センサー(magnetorestrictive sensors)、飽和コア(フラックスゲート)センサー(saturation core (flux-gate) sensors)、超伝導量子干渉デバイス(superconducting quantum interference devices : SQUIDS)、核磁気共鳴センサー(nuclear magnetic resonance sensors)、誘導コア磁力計(induction core magnetometers)、プロトン歳差磁力計(proton precession magnetometers)、および、光ポンプ磁力計(optically pumped magnetometers)、などがある。これらのセンサーの全ては、電磁界または静磁界の少なくとも一つの特性を検出することができる。
【0071】
ホール効果センサーまたは変換器からの情報に基づいて距離を算出するためのアルゴリズムを用いる代わりに、予め選択された複数の距離に関連する磁界の特性が、経験的に求められてもよい。そして、システムはこれらの「符号の(signature)」磁界に基づくものであってよい。そのような場合には、データプロセッサは、特定の(複数の)距離に対する複数の符号の磁界を記憶するためにセットアップされて、ある具体的な患者のために検出された磁界の特性が、これらの符号の磁界と比較されて、関節空間の寸法が求められる。3次元ホール効果センサーは、この操作モードにおいて、または、アルゴリズムを使用する場合に、用いられてよい。磁界の特性を求めることができるその他のタイプのセンサーが用いられてもよいことが、理解されなければならず、本発明は、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、ホール効果センサーにも、3次元ホール効果センサーにも、限定されない。
【0072】
図24および図25の実施の形態では、カフ150内のホール効果センサーまたは変換器28,28’,28’’,28’’’は、符号154で模式的に示されているように、外部のデータ翻訳装置42に結線されていてよい。その代わりに、無線通信が用いられてもよい。ホール効果センサーまたは変換器によって生み出された電圧を、使用に適した距離に変換するための、または、磁界の特性を求めるためのプログラミングは、外部のデータ翻訳装置42に収容されていてよい。さらに、この実施の形態では、外部のデータ翻訳装置への伝送のために、電圧をRF信号上に変換(変調)するための変換器を用いる必要がない。
【0073】
本発明の原理を組み込んだ股関節内人工器官システム49が、図7に示されている。図7では、寛骨臼キャップまたはシェルが符号50で示されていて、大腿骨近位端コンポーネントが52で示されている。大腿骨近位端コンポーネント52は、大腿骨ヘッド54を含んでいて、大腿骨ヘッド54は、図7中の破線で示されている寛骨臼ライナー56の表面と当接している。この関節は、符号58で示されており、寛骨臼ライナー56のほぼ半球形の内側面60に沿って、関節でつながれている。寛骨臼ライナー56の厚みは、関節空間62に相当している。図7の実施の形態では、信号源26は、寛骨臼シェル50に固定されていて、センサー28は大腿骨近位端コンポーネント52に固定されている。したがって、第1の例示された実施の形態におけると同じように、信号源26およびセンサー28は、関節58の向かい合う両側に、そして、関節空間62またはベアリング56の向かい合う両側に、配置されている。電子回路30も、図7の実施の形態の大腿骨近位端コンポーネント52に固定されている。電子回路30は、図1から図3の実施の形態について上述されたものと同じ要素を有していてよい。上述された実施の形態と同じように、信号源26、センサー28、および、電子回路30は、大腿骨コンポーネント52および寛骨臼コンポーネント54に組み込まれて提供されてよく、または、患者の骨に固定される別個の要素として提供されてよい。例示された股関節内人工器官システム49の使用の仕方は、膝関節内人工器官システムについて記載されたものと等しい。
【0074】
股関節内人工器官の場合では、信号源26は、寛骨臼キャップに関連して図示されているが、本発明は、特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、そのような配置に限定されない。例えば、信号源26は、大腿骨近位端コンポーネントに固定され、センサー28および電子回路30は、股関節内人工器官の寛骨臼コンポーネント24に固定されていてもよい。さらに、図24および図25に記載されたもののようなシステムを、股関節内人工器官システムにも同様に適用することができる。
【0075】
本発明の原理を組み込んだ肩関節内人工器官システム79が、図12に示されている。図12では、関節窩コンポーネントが符号81で示されていて、上腕骨コンポーネントが符号83で示されている。上腕骨コンポーネント83は上腕骨ヘッド85を有し、上腕骨ヘッド85は関節窩コンポーネント81の関節面87に当接している。この関節は、符号89で示されていて、上腕骨ヘッド85および関節窩コンポーネント81の関節面87の間の境界に沿って、関節でつながれている。関節窩コンポーネント81の一部分の厚みは、関節空間91に相当している。図12の実施の形態では、信号源26は、関節窩コンポーネント81に固定されていて、センサー28は、上腕骨コンポーネント83の上腕骨ヘッド85に固定されている。したがって、第1の例示された実施の形態におけると同じように、信号源26およびセンサー28は、関節89の向かい合う両側に、そして、関節空間91の向かい合う両側に、配置されている。電子回路30は、図12の実施の形態では、上腕骨コンポーネント83に固定されている。電子回路30は、図1から図3の実施の形態について上述されたものと同じ要素を有していてよい。さらに、上述された実施の形態と同じように、信号源26、センサー28、および、電子回路30は、上腕骨コンポーネント83および関節窩コンポーネント81に組み込まれて提供されることができ、または、患者の骨に固定される別個の要素として提供されてもよい。例示された肩関節内人工器官システム79の使用の仕方は、股関節内人工器官システムについて上述されたものと等しい。
【0076】
信号源26は、関節窩コンポーネント81に関連して示されているが、信号源26は、上腕骨コンポーネント83に固定されていてもよく、センサー28および電子回路30は、肩関節内人工器官システム79の関節窩コンポーネント81に固定されていてもよい。さらに、図24および図25に示されたもののようなシステムを、肩関節内人工器官にも同様に適用することができる。
【0077】
別のタイプの信号を用いた膝関節内人工器官システムの一例が、図8に示されている。図1の実施の形態について用いられた参照符号と類似の参照符号が、図8に例示されたシステムの大腿骨遠位端コンポーネント24、脛骨近位端コンポーネント18、および、ベアリングコンポーネント16について用いられている。
【0078】
図8の実施の形態では、信号源26は磁石である代わりに、無線周波数(RF)トランスポンダー(transponder)である。このRFトランスポンダーは、関節接合部20または関節空間の一方の側に固定されている。さらに、ホール効果変換器の代わりに、センサー28は、関節接合部20または関節空間の対向する側に固定されたRF受信機/復調器である。
【0079】
センサー28として役立つRF受信機/復調器に加えて、例示された膝関節内人工器官システムの脛骨近位端側に固定された、または収容された電子回路(図9の模式図を参照のこと)は、電源72、デジタル論理素子74、パルス発生器76、プリント回路基板78、内部送信機80、配線82、および、はんだ(図示されていない)を含んでいる。電源72は、第1の例示された実施の形態における電源と同じように機能するフェライトコイルであり、そのフェライトコイルは、フェライトコイルの電源72と当接する接合部の外側の近くに、誘導性コイルのような外部の電源84が配置されたときに、その他の電子回路70に電力を供給する。適切なデジタル論理素子74、パルス発生器76、および、プリント回路基板78が、センサー28に電気的に接続され、そのセンサー28は、この実施の形態では、RF受信機/復調器であり、外部の受信機86に伝送するために、内部送信機80に伝送可能な信号を生成する。外部の受信機86は、信号を翻訳し距離の測定値に変換するための、コンピュータ、ハンドヘルドPDA、ラップトップコンピュータまたはその他のプログラム可能な装置などの、外部のデータ翻訳装置88に結合されている。
【0080】
図8および図9の実施の形態では、RF受信機/復調器で受信された信号の振幅または位相は、信号源26として役立つRFトランスポンダーと、センサー28として役立つRF受信機/復調器との間の間隔に応じて変わる。特定の波の振幅または位相は、これらの要素の間の特定の距離に応答するので、センサー28(RF受信機/復調器)によって受信された信号の振幅または位相を、関節空間、または、関節空間の変化、に相当する距離に変換することができる。
【0081】
したがって、本発明のさまざまな実施の形態で用いることができる信号の特性には、例えば電圧、周波数、波の振幅および波の位相などが含まれることが、理解されなければならない。
【0082】
膝関節内人工器官システムの別の実施の形態が、図10および図11に示されている。図1および図8に例示された実施の形態のシステムの大腿骨遠位端コンポーネント24、脛骨近位端コンポーネント18、および、ベアリングコンポーネント16に用いられたものと同じ参照符号が、図10の実施の形態についても用いられている。図10の実施の形態では、距離基準は目標50であり、信号源26は渦電流センサーである。
【0083】
図10の実施の形態の目標50は、大腿骨遠位端コンポーネント24の遠位の顆部分の外側面の一部分である。渦電流センサーは、この実施の形態においては信号源26およびセンサー28の両方として役立ち、目標50での渦電流損を検出する。この実施の形態の渦電流センサーは、その他の電子回路30と共に、脛骨コンポーネント18に固定されている。図11に示されているように、植え込まれた電子回路30は、配線38によって接続された、内部電源32、プリント回路基板34および送信機36を含んでいる。外部電源44、外部受信機40および外部コンピュータ42は、ケアの行われる場所に設けられていてよい。この実施の形態では、脛骨コンポーネント18の近位の表面52との間の間隔d2 は、既知の、不変の距離である。渦電流センサー26,28は、図11にd5として示されている、渦電流センサー26,28と遠位の顆面54との間の距離を測定する。距離d5 と距離d2 の差は、関節空間25の厚みであり、図11にd4として示されている、脛骨ベアリング16の厚みである。
【0084】
図1、図4、図6から図8、図10、および、図12に示された実施の形態では、信号源26、センサー28、および、関連する電子回路30は、関連する関節内人工器官コンポーネントの凹部内に保持されていてよい。図13および図14は、関節内人工器官コンポーネントの本体102,103の凹部100,101を示している。本体102,103は、脛骨近位端コンポーネント18、脛骨ベアリング16、大腿骨遠位端コンポーネント24、大腿骨近位端コンポーネント52、寛骨臼キャップまたはシェル50、寛骨臼ライナー56、上腕骨コンポーネント83、関節窩コンポーネント81、または、その他の人工器官の類似のコンポーネントのような、上述された任意のコンポーネントであってよい。凹部100,101は、関節内人工器官の領域内の、凹部の存在がその関節内人工器官のコンポーネントの機械的な、または物理的な特性に悪影響を及ぼさないところに形成される。例示された実施の形態では、凹部またはキャビティ100,101は、関節内人工器官のコンポーネントの本体102,103の非関節面から内向きに延在している。同様に、図24、図25の実施の形態の2つの信号源26,26’は、インプラントコンポーネントの同様の凹部内に保持されていてよく、図15の実施の形態の信号源26は、大腿骨コンポーネントの同様の凹部内に保持されていてよい。
【0085】
コンポーネント26,26’,28,30,70の寸法は、これらのコンポーネントによって占められる必要な空間の大きさが最小になるように選択されてよい。コンポーネントは、必要な場合には、結合されてよい。信号源26,26’、センサー28、および、関連する電子回路30,70は、必要な場合には、適切な接着剤を用いて、これらの凹部に半永久的に固定されてよい。凹部またはキャビティ100,101は、それらのコンポーネントが所定の位置に配置された後に、任意の適切な手段によって密封されてよい。例えば、凹部またはキャビティの開口が溶接されて閉じられ、または、生体適合性のエポキシまたはポリウレタンのような密封材(sealant)が液体の状態で凹部またはキャビティにかけられて、硬化させられ、それによって、それらのコンポーネントを人工器官のコンポーネントの本体内で半永久的に固定することができる。硬化した密封材は、図13および図14では符号104,105で示されている。
【0086】
信号源26は、人工器官コンポーネントの露出された表面ではなく、人工器官コンポーネントの内部、または、骨の表面または内部に、配置されてよいが、いくつかの電子回路をインプラントの一つの表面に配置することが可能または望ましいこともあることが、理解されなければならない。さらに、これらの電子的コンポーネントのあるものは、代わりに、関連する関節内人工器官コンポーネント16,18,24,50,52,56,81,83の一体的な部品として形成されていてもよい。
【0087】
その他の電子的コンポーネントが、キットまたは関節内人工器官システム内に含まれていてもよいことが、理解されなければならない。例えば、特定のインプラントコンポーネントを識別する電子的なコンポーネントが、各コンポーネントの部品として含まれていてもよい。
【0088】
本発明の開示内容を、2次元で関節空間を測定するため、または、二次元における関節空間の変化を判定するために用いることに加えて、関節内人工器官システムのコンポーネントは、3次元空間での位置として一つまたは複数の位置を与える信号を提供することもできる。そのような場合、寸法または寸法の変化は、これらの点の間の一つまたは複数のベクトルの寸法として測定されてよい。
【0089】
本発明の特定の実施の形態のみが記載され図示されたが、本発明のさまざまな変形および変更が可能であることが明らかである。当業者は、ある種の追加が例示された実施の形態に行えることにも気づくであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の真正な範囲に含まれるそのような変形、変更、および、追加の全てを包含することを意図している。
【0090】
〔実施の態様〕
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)患者の体内の関節接合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムであって、
前記関節内人工器官システムは、
第1の人工器官コンポーネントと、
第2の人工器官コンポーネントであって、前記第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を含み、前記第1の人工器官コンポーネントと前記第2の人工器官コンポーネントの前記ベアリング面との境界が、関節接合部を画定する、第2の人工器官コンポーネントと、
前記関節接合部の一方の側で前記患者の体内に固定され、第1の信号を生成する、信号源と、
前記信号源とは反対の前記関節接合部のもう一方の側で前記患者の体内に固定される、距離基準と、
前記患者の体内に固定され、送信機信号を生み出すことができる内部送信機であって、前記送信機信号が、前記信号源および前記距離基準の間の距離に応じて変わる特性を備え、前記患者の体内から前記患者の体の外側の位置へ伝送される、内部送信機と、
を具備する、
関節内人工器官システム。
(2)前記実施態様(1)記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源が、渦電流センサーを含み、
前記距離基準が、目標を含む、
関節内人工器官システム。
(3)前記実施態様(2)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、顆を備えた大腿骨遠位人工器官を含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、脛骨ベアリングを含み、
前記関節内人工器官システムが、前記脛骨ベアリングと接触する表面を備えた脛骨近位人工器官をさらに具備する、
関節内人工器官システム。
(4)前記実施態様(3)記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記大腿骨遠位人工器官の少なくとも一つの前記顆の表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
(5)前記実施態様(3)記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記脛骨近位人工器官の前記表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
【0091】
(6)前記実施態様(2)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、寛骨臼ライナーを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、前記寛骨臼ライナーに当接するための表面を備えた大腿骨ヘッドを有する大腿骨近位端コンポーネントを含み、
前記関節内人工器官システムが、寛骨臼シェルをさらに具備する、
関節内人工器官システム。
(7)前記実施態様(6)記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記寛骨臼シェルの表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
(8)前記実施態様(6)記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記大腿骨ヘッドの前記表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
(9)前記実施態様(2)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、上腕骨コンポーネントを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、関節窩コンポーネントを含む、
関節内人工器官システム。
(10)前記実施態様(1)記載の関節内人工器官システムであって、
前記距離基準が、センサーを含み、
前記センサーが、前記信号源および前記センサーの間の距離に応じて変わる特性を備えた第2の信号を生成することができ、
前記信号源および前記距離基準の間の距離に応じて変わる前記送信機信号の前記特性が、前記第2の信号の前記特性に応じて変わる、
関節内人工器官システム。
【0092】
(11)前記実施態様(10)記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源、前記センサー、および、前記送信機が、前記患者の体内で、前記第1の信号、前記第2の信号、および、前記送信機信号、を生成することができる、
関節内人工器官システム。
(12)前記実施態様(10)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第2の信号の変化可能な前記特性が、電圧、波の周波数、波の振幅、および、波の位相、のうちの少なくとも一つを含み、
前記送信機信号の前記特性が、波の周波数、波の振幅、および、波の位相、のうちの少なくとも一つを含む、
関節内人工器官システム。
(13)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーが、ホール効果変換器を含み、
前記信号源が、永久磁石を含み、
前記送信機が、無線周波数送信機を含み、
前記第1の信号が、磁界を含み、
前記第2の信号が、電圧を含み、
前記送信機信号が、無線周波数波を含む、
関節内人工器官システム。
(14)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記送信機信号を前記患者の体の外側の位置へ伝送するために、前記無線周波数送信機に結合されたアンテナを具備する、
関節内人工器官システム。
(15)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の信号が、磁界、電界、および、無線周波数波、のうちの少なくとも一つを含む、
関節内人工器官システム。
【0093】
(16)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第2の信号が、電圧、電流、および、無線周波数波、のうちの少なくとも一つを含む、
関節内人工器官システム。
(17)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーが、無線周波数トランスポンダーを含み、
前記信号源が、無線周波数波の供給源を含み、
前記第1の信号、前記第2の信号、および、前記送信機信号が、無線周波数波を含む、
関節内人工器官システム。
(18)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体内に植え込まれる電源をさらに具備する、
関節内人工器官システム。
(19)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体内に植え込まれ、前記センサーおよび前記送信機に電気的に接続されて、前記第2の信号を前記送信機信号に変換する、電子的コンポーネントを、さらに具備する、
関節内人工器官システム。
(20)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源が、前記第1の人工器官コンポーネントに固定され、
前記センサーが、別の人工器官コンポーネントに固定されている、
関節内人工器官システム。
【0094】
(21)前記実施態様(1)記載の関節内人工器官システムであって、
前記距離基準が、前記第1の人工器官コンポーネントおよび前記第2の人工器官コンポーネントの両方から離れている、
関節内人工器官システム。
(22)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源が、前記第1の人工器官コンポーネントおよび前記第2の人工器官コンポーネントの両方から離れている、
関節内人工器官システム。
(23)前記実施態様(22)記載の関節内人工器官システムであって、
前記距離基準が、前記第1の人工器官コンポーネントおよび前記第2の人工器官コンポーネントの両方から離れている、
関節内人工器官システム。
(24)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨遠位端コンポーネントを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、脛骨ベアリングを含む、
関節内人工器官システム。
(25)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨ヘッドを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、寛骨臼ライナーを含む、
関節内人工器官システム。
【0095】
(26)前記実施態様(11)記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、上腕骨コンポーネントを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、関節窩コンポーネントを含む、
関節内人工器官システム。
(27)前記実施態様(1)記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源によって生成された前記第1の信号が、電界を含み、
前記距離基準が、キャパシターの一部を含む、
関節内人工器官システム。
(28)患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記患者は、関節内人工器官を有し、前記関節内人工器官は、第1の人工器官コンポーネント、および、前記第1の人工器官コンポーネントに隣接した前記関節空間を占めるベアリング、を具備し、
前記方法が、
前記関節空間の寸法に関連する特性を備えた距離に関連する信号を生成する過程と、
前記患者の体内から前記患者の体の外側の位置へ信号を伝送する過程であって、前記信号が、前記距離に関連する信号に関連する特性を有する、信号を伝送する過程と、
前記患者の体の外側に伝送された前記信号の前記特性の値に基づいて、前記関節空間の寸法を求める過程と、
を具備する、
患者の体内の関節空間の寸法を求める方法。
(29)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
距離に関連した信号を生成する前記過程が、
前記関節空間を横切る磁界を生成する過程を、含む、方法。
(30)前記実施態様(29)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記磁界が、前記関節空間の一方の側で生成され、
距離に関連する信号を生成する前記過程が、
前記関節空間の対向する側で電圧を生成する過程であって、前記電圧が、前記関節空間の前記対向する側の前記磁界の特性に関連する振幅を有する、電圧を生成する過程、をさらに含む、方法。
【0096】
(31)前記実施態様(30)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記患者の体の外側の位置に信号を伝送する前記過程が、
無線周波数波を生み出す過程を含む、方法。
(32)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
距離に関連する信号を生成する前記過程が、
前記関節空間の一方の側の第1の固定された位置で第1の無線周波数波を生み出す過程と、
前記関節空間の対向する側の第2の固定された位置で第2の無線周波数波を生み出す過程と、
を含み、
前記第2の無線周波数波が、前記第1の固定された位置および前記第2の固定された位置の間の距離に応じて変わる特性を有する、方法。
(33)前記実施態様(32)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
距離に応じて変わる前記第2の無線周波数波の前記特性が、周波数、振幅、および、位相、のうちの少なくとも一つを含む、方法。
(34)前記実施態様(32)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記患者の体の外側の位置へ信号を伝送する前記過程が、
前記第2の無線周波数波の特性に応じて変化する特性を備えた無線周波数波を生成する過程を、含む、方法。
(35)前記実施態様(34)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記伝送される信号の前記特性が、周波数、振幅、および、位相、のうちの少なくとも一つを含む、方法。
【0097】
(36)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記関節が、膝関節を含み、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨遠位端コンポーネントを含み、
前記ベアリングが、前記大腿骨遠位端コンポーネントに隣接した関節空間を占める脛骨ベアリングを含む、方法。
(37)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記関節が、股関節を含み、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨近位端コンポーネントを含み、
前記ベアリングが、寛骨臼ライナーを含む、方法。
(38)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
前記関節が、肩関節を含み、
前記第1の人工器官コンポーネントが、上腕骨コンポーネントを含み、
前記ベアリングが、関節窩コンポーネントを含む、方法。
(39)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
距離に関連した信号を生成する前記過程が、
前記関節空間を横切る電界を生成する過程を、含む、方法。
(40)前記実施態様(28)記載の、患者の体内の関節空間の寸法を求める方法であって、
距離に関連した信号を生成する前記過程が、
渦電流を生成し、前記関節空間の反対の側の渦電流の変化を求める過程、を含む、方法。
【0098】
(41)患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記患者は、関節内人工器官を有し、前記関節内人工器官は、第1の人工器官コンポーネント、および、前記第1の人工器官コンポーネントに隣接した前記関節空間を占めるベアリング、を具備し、
前記方法が、
患者の体内の第1の位置の前記関節空間の一方の側から第1の信号を生成する過程と、
前記患者の体内の第2の位置の前記関節空間の対向する側で前記第1の信号を受信する過程と、
前記患者の体内から外部の位置へ信号を伝送する過程であって、前記外部の位置へ伝送される前記信号が、前記第1の位置および前記第2の位置の間の距離に関連する特性を有する、信号を伝送する過程と、
前記外部の位置へ伝送される前記信号の前記特性に基づいて、前記関節空間の寸法の変化の程度を求める過程と、
を具備する、方法。
(42)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記第1の信号を生成する前記過程が、
前記第2の位置で磁界を生み出す、方法。
(43)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記第1の信号を生み出す前記過程が、
無線周波数波を生み出す過程を含む、方法。
(44)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
第1の信号を生み出す前記過程が、
前記第2の位置で電界を生み出す過程を含む、方法。
(45)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
第1の信号を生み出す前記過程が、渦電流を生み出す過程を含む、方法。
【0099】
(46)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
外部の位置へ信号を伝送する前記過程が、
無線周波数波を生み出す過程を含む、方法。
(47)前記実施態様(46)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記第1の位置および前記第2の位置の間の距離に関連する前記無線周波数波の前記特性が、周波数、振幅、および、位相、のうちの少なくとも一つを含む、方法。
(48)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記関節が、膝関節を含み、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨遠位端コンポーネントを含み、
前記ベアリングが、前記大腿骨遠位端コンポーネントに隣接した前記関節空間を占める脛骨ベアリングを含む、方法。
(49)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記関節が、股関節を含み、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨近位端コンポーネントを含み、
前記ベアリングが、寛骨臼ライナーを含む、方法。
(50)前記実施態様(41)記載の、患者の体内の関節空間の寸法の変化を求める方法であって、
前記関節が、肩関節を含み、
前記第1の人工器官コンポーネントが、上腕骨コンポーネントを含み、
前記ベアリングが、関節窩コンポーネントを含む、方法。
【0100】
(51)磁石として選択的に作用する材料を含む、植え込み可能な医療器具。
(52)前記実施態様(51)記載の植え込み可能な医療器具であって、
選択的に磁石として作用する前記材料が、超常磁性磁石を含む、
植え込み可能な医療器具。
(53)前記実施態様(51)記載の植え込み可能な医療器具であって、
前記医療器具が、骨人工器官を含む、
植え込み可能な医療器具。
(54)医療システムであって、
植え込み可能な人工器官コンポーネントと、
前記植え込み可能な人工器官コンポーネントに保持された選択的に磁石として作用する材料と、
選択的に磁石として作用する前記材料によって生み出された特性を検出するための外部センサーと、
を具備する、
医療システム。
(55)前記実施態様(54)記載の医療システムであって、
選択的に磁石として作用する前記材料が、超常磁性磁石を含む、
医療システム。
【0101】
(56)前記実施態様(54)記載の医療システムであって、
前記センサーが、ホール効果センサーを含む、
医療システム。
(57)前記実施態様(54)記載の医療システムであって、
前記ホール効果センサーが、3次元ホール効果センサーを含む、
医療システム。
(58)前記実施態様(54)記載の医療システムであって、
別のセンサーをさらに含む、
医療システム。
(59)前記実施態様(58)記載の医療システムであって、
複数の別のセンサーをさらに含む、
医療システム。
(60)前記実施態様(54)記載の医療システムであって、
前記センサーを保持するカフをさらに含む、
医療システム。
【0102】
(61)前記実施態様(54)記載の医療システムであって、
選択的に磁石として作用する前記材料を選択的に磁化するための磁界供給源をさらに含む、
医療システム。
(62)患者の体内の関節接合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムであって、
前記関節内人工器官システムが、
第1の人工器官コンポーネントと、
前記第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を備えた第2の人工器官コンポーネントであって、前記第1の人工器官コンポーネントと前記第2の人工器官コンポーネントの前記ベアリング面との境界が、関節接合部を画定する、第2の人工器官コンポーネントと、
前記患者の体内に固定される磁石と、
前記患者の体内に固定されるセンサーであって、前記磁石の前記磁界の性質を検出することができる、センサーと、
前記患者の体内に固定される内部送信機であって、前記内部送信機は、信号を生み出すことができ、前記信号は、前記センサーによって検出された前記性質に応じて変わる特性を備え、前記信号は、前記患者の体内から前記患者の体の外側の位置へ伝送される、内部送信機と、
を具備する、
関節内人工器官システム。
(63)前記実施態様(62)記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーが、
ホール効果センサー、3次元ホール効果センサー、可変リラクタンスセンサー、磁気弾性センサー、磁気抵抗センサー、磁気制限センサー、飽和コアセンサー、超伝導量子干渉装置、核磁気共鳴センサー、誘導コア磁力計、プロトン歳差磁力計、および、光ポンプ磁力計、からなる集合から選択されている、
関節内人工器官システム。
(64)前記実施態様(62)記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体内に植え込まれる電源をさらに含む、
関節内人工器官システム。
(65)前記実施態様(62)記載の関節内人工器官システムであって、
前記磁石が、前記人工器官コンポーネントの一方によって保持され、
前記センサーが、前記人工器官コンポーネントのもう一方によって保持されている、
関節内人工器官システム。
【0103】
(66)患者の体内の関節接合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムであって、
第1の人工器官コンポーネントと、
前記第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を備えた第2の人工器官コンポーネントであって、前記第1の人工器官コンポーネントと前記第2の人工器官コンポーネントの前記ベアリング面との境界が、関節接合部を画定する、第2の人工器官コンポーネントと、
前記患者の体内に固定される磁石と、
前記患者の体の外側で維持されるセンサーであって、前記磁石の前記磁界の性質を検出することができる、センサーと、
を具備する、
関節内人工器官システム。
(67)前記実施態様(66)記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーが、ホール効果センサー、3次元ホール効果センサー、可変リラクタンスセンサー、磁気弾性センサー、磁気抵抗センサー、磁気制限センサー、飽和コアセンサー、超伝導量子干渉装置、核磁気共鳴センサー、誘導コア磁力計、プロトン歳差磁力計、および、光ポンプ磁力計、からなる集合から選択されている、
関節内人工器官システム。
(68)前記実施態様(66)記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーを保持する外部カフをさらに含む、
関節内人工器官システム。
(69)前記実施態様(66)記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体の外側で維持される別のセンサーをさらに含む、
関節内人工器官システム。
(70)前記実施態様(66)記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体の外側で維持される複数の別のセンサーをさらに含む、
関節内人工器官システム。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】伸展状態の膝関節を示す、大腿骨の遠位端に固定された大腿骨遠位端コンポーネント、および、脛骨の近位端に固定された脛骨近位端コンポーネント、を備えた膝関節内人工器官システムの第1の実施の形態の内側/外側正面図である。
【図2】患者の体内に植え込まれたコンポーネントに加え、システムの外部コンポーネントを示す、図1の膝関節内人工器官システムの模式図である。
【図3】図1および図2の膝関節内人工器官システムの使用方法を示すフロー図である。
【図4】伸展状態の膝関節を示す、大腿骨の遠位端に固定された大腿骨遠位端コンポーネント、および、脛骨の近位端に固定された脛骨近位端コンポーネント、を備えた膝関節内人工器官システムの第2の実施の形態の内側/外側正面図である。
【図5】患者の体内に植え込まれたコンポーネントに加え、システムの外部コンポーネントを示す、図4の膝関節内人工器官システムの模式図である。
【図6】屈曲状態の膝関節を示す、大腿骨の遠位端に固定された大腿骨遠位端コンポーネント、および、脛骨の近位端に固定された脛骨近位端コンポーネント、を備えた膝関節内人工器官システムのある実施の形態の内側/外側正面図である。
【図7】寛骨に固定された寛骨臼キャップ、および、大腿骨の近位端に固定された大腿骨近位端コンポーネント、を含む、股関節内人工器官システムのある実施の形態の前方正面図である。
【図8】植え込み前の状態で示された膝関節内人工器官システムのある実施の形態のコンポーネントの正面図である。
【図9】患者の体内に植え込まれたコンポーネントに加え、システムの外部コンポーネントを示す、図8の膝関節内人工器官システムの模式図である。
【図10】伸展状態の膝関節を示す、大腿骨の遠位端に固定された大腿骨遠位端コンポーネント、および、脛骨の近位端に固定された脛骨近位端コンポーネント、を備えた膝関節内人工器官システムの別の実施の形態の内側/外側正面図である。
【図11】患者の体内に植え込まれたコンポーネントに加え、システムの外部コンポーネントを示す、図10の膝関節内人工器官システムの模式図である。
【図12】肩関節内人工器官システムのコンポーネントの前方/後方正面図である。
【図13】関節内人工器官コンポーネントの本体部分の凹部またはキャビティ内の信号源を備えた関節内人工器官コンポーネントの一部分の一部断面図である。
【図14】関節内人工器官コンポーネントの本体部分の凹部またはキャビティ内のセンサーおよび電子回路を備えた関節内人工器官コンポーネントの一部分の一部断面図である。
【図15】膝骨トレー、端部キャップ、および、膝骨ベアリングの一部分が断面で示された、膝関節内人工器官システムのコンポーネントの前方/後方正面図である。
【図16】図15の膝骨トレーコンポーネントの斜視図である。
【図17】図15および図16の位置決め器の正面図である。
【図17A】図15および図16の位置決め器の正面図である。
【図18】ホール効果センサーに関連した電子回路の模式図である。
【図19】900MHz無線周波数トランシーバー回路の模式図である。
【図19A】900MHz無線周波数トランシーバー回路の模式図である。
【図20】2.8Vを出力する5V一定入力の電力調整回路の模式図である。
【図21】マイクロコントローラ回路の模式図である。
【図22】図18から図21のコンポーネントが取り付けられるプリント回路基板の上部層のシルクスクリーンレイアウトを示す図である。
【図23】図22のプリント回路基板の底部層のシルクスクリーンレイアウトを示す図である。
【図24】周囲の組織が輪郭で示され、膝関節を取り囲む外部カフ(断面)が示された、大腿骨の遠位端に固定された大腿骨遠位端コンポーネント、および、膝骨の近位端に固定された膝骨近位端コンポーネント、を備えた膝関節内人工器官システムの別の実施の形態の斜視図である。
【図25】患者の体内に植え込まれたコンポーネントに加え、システムの外部コンポーネントを示す、図24の膝関節内人工器官システムの模式図である。
【0105】
[符号の説明]
10 膝関節内人工器官システム
12 大腿骨
14 脛骨
16 脛骨ベアリング
16A ベアリングコンポーネント
17 近位の表面
18 脛骨近位端コンポーネント
18A 脛骨近位端コンポーネント
20 関節接合部
22 顆
24 大腿骨遠位端コンポーネント
24A 大腿骨遠位端コンポーネント
25 関節空間
26,26’ 信号源
28,28’,28’’,28’’’ センサー
29 近位の面
30 電子的コンポーネント
31 患者の体
32 電力コンポーネント
33 凹部
34 プリント回路基板
36 変調器/送信機
38 配線
40 受信機
42 データ翻訳装置
44 外部電源
49 股関節内人工器官システム
50 寛骨臼キャップ
52 大腿骨近位端コンポーネント
54 大腿骨ヘッド
56 寛骨ライナー
58 関節
60 内側面
62 関節空間
70 電子回路
72 電源
74 デジタル論理素子
76 パルス発生器
78 プリント回路基板
79 肩関節内人工器官システム
80 内部送信機
81 関節窩コンポーネント
82 配線
83 上腕骨コンポーネント
84 外部の電源
85 上腕骨ヘッド
86 外部の受信機
87 関節面
88 データ翻訳装置
91 関節空間
100,101 凹部
102,103 関節内人工器官コンポーネントの本体
104,105 密封材
106 支持部材
108,110 電気リード線
112 RFアンテナ線
114 本体
116 近位の端部
118 遠位の端部部分
120 中間部分
122 中空ステム
124,125 溝
126,128 取り付け溝
130,132 取り付けラグ
136 端部キャップ
138 基板
140 切り欠き部
142 ブリッジ部分
150 カフ
152 磁界源
154 結線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の関節接合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムであって、
前記関節内人工器官システムは、
第1の人工器官コンポーネントと、
第2の人工器官コンポーネントであって、前記第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を含み、前記第1の人工器官コンポーネントと前記第2の人工器官コンポーネントの前記ベアリング面との境界が、関節接合部を画定する、第2の人工器官コンポーネントと、
前記関節接合部の一方の側で前記患者の体内に固定され、第1の信号を生成する、信号源と、
前記信号源とは反対の前記関節接合部のもう一方の側で前記患者の体内に固定される、距離基準と、
前記患者の体内に固定され、送信機信号を生み出すことができる内部送信機であって、前記送信機信号が、前記信号源および前記距離基準の間の距離に応じて変わる特性を備え、前記患者の体内から前記患者の体の外側の位置へ伝送される、内部送信機と、
を具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項2】
請求項1記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源が、渦電流センサーを含み、
前記距離基準が、目標を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項3】
請求項2記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、顆を備えた大腿骨遠位人工器官を含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、脛骨ベアリングを含み、
前記関節内人工器官システムが、前記脛骨ベアリングと接触する表面を備えた脛骨近位人工器官をさらに具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項4】
請求項3記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記大腿骨遠位人工器官の少なくとも一つの前記顆の表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項5】
請求項3記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記脛骨近位人工器官の前記表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項6】
請求項2記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、寛骨臼ライナーを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、前記寛骨臼ライナーに当接するための表面を備えた大腿骨ヘッドを有する大腿骨近位端コンポーネントを含み、
前記関節内人工器官システムが、寛骨臼シェルをさらに具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項7】
請求項6記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記寛骨臼シェルの表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項8】
請求項6記載の関節内人工器官システムであって、
前記目標が、前記大腿骨ヘッドの前記表面の少なくとも一部分を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項9】
請求項2記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、上腕骨コンポーネントを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、関節窩コンポーネントを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項10】
請求項1記載の関節内人工器官システムであって、
前記距離基準が、センサーを含み、
前記センサーが、前記信号源および前記センサーの間の距離に応じて変わる特性を備えた第2の信号を生成することができ、
前記信号源および前記距離基準の間の距離に応じて変わる前記送信機信号の前記特性が、前記第2の信号の前記特性に応じて変わる、
関節内人工器官システム。
【請求項11】
請求項10記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源、前記センサー、および、前記送信機が、前記患者の体内で、前記第1の信号、前記第2の信号、および、前記送信機信号、を生成することができる、
関節内人工器官システム。
【請求項12】
請求項10記載の関節内人工器官システムであって、
前記第2の信号の変化可能な前記特性が、電圧、波の周波数、波の振幅、および、波の位相、のうちの少なくとも一つを含み、
前記送信機信号の前記特性が、波の周波数、波の振幅、および、波の位相、のうちの少なくとも一つを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項13】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーが、ホール効果変換器を含み、
前記信号源が、永久磁石を含み、
前記送信機が、無線周波数送信機を含み、
前記第1の信号が、磁界を含み、
前記第2の信号が、電圧を含み、
前記送信機信号が、無線周波数波を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項14】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記送信機信号を前記患者の体の外側の位置へ伝送するために、前記無線周波数送信機に結合されたアンテナを具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項15】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の信号が、磁界、電界、および、無線周波数波、のうちの少なくとも一つを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項16】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記第2の信号が、電圧、電流、および、無線周波数波、のうちの少なくとも一つを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項17】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記センサーが、無線周波数トランスポンダーを含み、
前記信号源が、無線周波数波の供給源を含み、
前記第1の信号、前記第2の信号、および、前記送信機信号が、無線周波数波を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項18】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体内に植え込まれる電源をさらに具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項19】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記患者の体内に植え込まれ、前記センサーおよび前記送信機に電気的に接続されて、前記第2の信号を前記送信機信号に変換する、電子的コンポーネントを、さらに具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項20】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源が、前記第1の人工器官コンポーネントに固定され、
前記センサーが、別の人工器官コンポーネントに固定されている、
関節内人工器官システム。
【請求項21】
請求項1記載の関節内人工器官システムであって、
前記距離基準が、前記第1の人工器官コンポーネントおよび前記第2の人工器官コンポーネントの両方から離れている、
関節内人工器官システム。
【請求項22】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源が、前記第1の人工器官コンポーネントおよび前記第2の人工器官コンポーネントの両方から離れている、
関節内人工器官システム。
【請求項23】
請求項22記載の関節内人工器官システムであって、
前記距離基準が、前記第1の人工器官コンポーネントおよび前記第2の人工器官コンポーネントの両方から離れている、
関節内人工器官システム。
【請求項24】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨遠位端コンポーネントを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、脛骨ベアリングを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項25】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、大腿骨ヘッドを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、寛骨臼ライナーを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項26】
請求項11記載の関節内人工器官システムであって、
前記第1の人工器官コンポーネントが、上腕骨コンポーネントを含み、
前記第2の人工器官コンポーネントが、関節窩コンポーネントを含む、
関節内人工器官システム。
【請求項27】
請求項1記載の関節内人工器官システムであって、
前記信号源によって生成された前記第1の信号が、電界を含み、
前記距離基準が、キャパシターの一部を含む、
関節内人工器官システム。
【請求項28】
磁石として選択的に作用する材料を含む、植え込み可能な医療器具。
【請求項29】
医療システムであって、
植え込み可能な人工器官コンポーネントと、
前記植え込み可能な人工器官コンポーネントに保持された選択的に磁石として作用する材料と、
選択的に磁石として作用する前記材料によって生み出された特性を検出するための外部センサーと、
を具備する、 医療システム。
【請求項30】
患者の体内の関節接合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムであって、
前記関節内人工器官システムが、
第1の人工器官コンポーネントと、
前記第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を備えた第2の人工器官コンポーネントであって、前記第1の人工器官コンポーネントと前記第2の人工器官コンポーネントの前記ベアリング面との境界が、関節接合部を画定する、第2の人工器官コンポーネントと、
前記患者の体内に固定される磁石と、
前記患者の体内に固定されるセンサーであって、前記磁石の前記磁界の性質を検出することができる、センサーと、
前記患者の体内に固定される内部送信機であって、前記内部送信機は、信号を生み出すことができ、前記信号は、前記センサーによって検出された前記性質に応じて変わる特性を備え、前記信号は、前記患者の体内から前記患者の体の外側の位置へ伝送される、内部送信機と、
を具備する、
関節内人工器官システム。
【請求項31】
患者の体内の関節接合部で接する2つの骨を含む関節で用いるための関節内人工器官システムであって、
第1の人工器官コンポーネントと、
前記第1の人工器官コンポーネントに対して配置されるベアリング面を備えた第2の人工器官コンポーネントであって、前記第1の人工器官コンポーネントと前記第2の人工器官コンポーネントの前記ベアリング面との境界が、関節接合部を画定する、第2の人工器官コンポーネントと、
前記患者の体内に固定される磁石と、
前記患者の体の外側で維持されるセンサーであって、前記磁石の前記磁界の性質を検出することができる、センサーと、
を具備する、
関節内人工器官システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図17A】
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【図18】
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【図19】
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【図19A】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2007−530082(P2007−530082A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518891(P2006−518891)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021845
【国際公開番号】WO2005/039440
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】