説明

体外式除細動器

体外式除細動器は、心室細動(VF)を呈しているECGから、このECGの形態を表している少なくとも1つの特性指標、つまりVFの継続時間を導き出すことによりVFの相を推定する。VFの継続時間は特性指標の値の関数として計算される。特性指標は、所定期間にわたる、ECGの中間傾斜、ECGの平均傾斜、ECGの相対的に高い周波帯及び低い周波数帯におけるパワーの比、及びECGのピークの密度と振幅の測度のうちのいずれかを1つ以上含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外式除細動器に関する。
【背景技術】
【0002】
Weisfeldt及びBeckerによる3相時間依存的モデルの発表(Weisfeldt ML, Becker LB: "Resuscitation after cardiac arrest. A 3-phase time-sensitive model"; JAMA. 2002; 288: 3035-3038)を受けて、多くの研究が、心停止の3つの各相に特有の治療アルゴリズムの開発に焦点を当てている。
【0003】
第一の相は、“電気相”として知られており、心停止からの最初の4分に相当する。この期間中に、緊急の除細動を施すべきである。
【0004】
第二の相は、“循環相”として知られており、この相は、第一の相の後の別の4分の期間、すなわち心停止後4〜10分までに発生する。この相の期間中には、かん流を増やしして、心筋を再酸素供給による除細動に備えさせ、これにより治療の成功可能性を増やすために、除細動の前に心肺蘇生(CPR)を施すべきである。
【0005】
最後の相は“代謝相”として知られており、これに有効な治療法は、軽度又は適度な、低体温法、代謝療法、又はカスパーゼ阻害剤を使用することだけである。これらのいずれも、病院内の患者に適用できるものである。
【0006】
過去の研究により、長期心室細動(VF)を呈している患者の生存率はかなり低いことが分かった。これらの場合、緊急の除細動は、患者の心電図(ECG)を、ある非かん流リズム(すなわちVF)から、他のリズム(すなわちPEA/心停止)に単に変換するに過ぎないと思われる。また、長期心停止の場合における緊急の除細動は、カウンターショック誘発傷害による虚血心筋を招くことになることも分かった。
【0007】
心筋の状態は、心臓の筋肉及び他の重要臓器をかん流させるのに有効なCPR処置を採らなければ、急速に悪化する。短期間(VFの発現から4分未満)のVFには、緊急のショック療法を指示するのに対して、長期(VFの発現から4分以上)のVFには、除細動の前のCPRが、自己心拍再開(ROSC)の可能性を増やすことが広く認められている。
【0008】
応答者が、VFのどの相を患者があるかについて、正確な情報を掴めば、彼らは最良の適切な治療を提供して、患者の生存の可能性を向上させることができることは明らかである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、患者の心電図(ECG)の分析により心室細動(VF)の相を推定する手段と、推定された前記相に依存して、緊急のショック療法又はCPRのどちらが勧められるかを指示する手段と、を備える体外式除細動器が提供される。
【0010】
ある実施形態によれば、前記VFの相を推定する手段は、VF継続時間を推定し、推定されたVF継続時間を閾値と比較する。このような場合、VF継続時間は、患者のECGから少なくとも1つのVFの特性指標(quality marker)を導き出し、前記VF継続時間を前記特性指標の値の関数として計算することにより推定するのが好適である。
【0011】
特性指標は、所定期間にわたるECGの中間傾斜(median slope)、所定期間にわたるECGの平均傾斜、所定期間にわたるECGの相対的に高い周波数帯と低い周波数帯におけるパワーの比、又は所定期間にわたるECGのピークの密度と振幅の測度を含む。
【0012】
他の実施形態では、VFの相を推定する手段は、所定期間にわたる前記ECGのピークの密度と振幅に係る値を導き出す。
【0013】
このような場合、前記値は、ECGの包絡線を構築し、所定期間中に包絡線の上に位置するピークの平均の大きさを測定することにより導き出される。好ましくは、前記値を閾値と比較してVFの相を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】VFが、その発現からの時間と共にどのようにその形態を変化するかを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるECGの包絡線の構築を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態において使用する図2の包絡線を計算するためのアルゴリズムのフローチャートである。
【図4】本発明を具体化する、自動体外式除細動器のブロック図である。
【図5】さらなる実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、VFがその発現から時間と共にその形態をどのように変化するかを示す。VFの発現直後の初期段階のもの(左)と、12分後(右)における、VFを呈するECGが示されている。VFの初期段階においては、高い周波数、高い振幅、高い傾斜、及び高いピーク密度が見られる。これらのVFの形態変化は、連続したVFの期間中における心筋の悪化状態を反映している。
【0016】
本発明の実施形態は、VFのいわゆる“特性指標”を用いることに基づいている。本文脈において、VFの特性指標とは、VFを呈しているECGから導き出されるパラメータのことであり、これはECGの形態を表わし、従ってVFの特性指標は、VFの継続時間によって変化する。
【0017】
本実施形態は、自動体外式除細動器(AED)に組み込まれるシステムであって、2つの除細動器電極を用いて患者のECGを測定し、1つ以上のVFの特性指標を計算し、その特性指標を用いてVFの継続時間を、あるアルゴリズムを用いて推定するシステムを教示する。
【0018】
従来技術は、明細書中で周波数比(FR)及び、中間傾斜(MS)と称する、VFの2つの特性指標を教示している。これに加えて、本明細書では、ピークの密度と振幅(DA)、及び平均傾斜(AS)と称する2つの新しいVF特性指標を開示する。
【0019】
これらの特性指標の全て、いずれか、又は幾つかを、除細動器固有の診断アルゴリズムと併用して用い、蘇生成功の可能性を高めるためにショックを与える前にCPRを施すべくオペレータに可聴又は可視の指示を発生させることができる。
【0020】
[VFの特性指標]
以下の特性指標、即ち中間傾斜(MS)、平均傾斜(AS)、周波数比(FR)、及びピークの密度と振幅(DA)を得るために、毎秒当たりfs個のサンプルにおける、N個のサンプルのウィンドウにおけるECGの一連のサンプル、x0,x1,…,xN-1を、連続するエポック(epochs)において処理する。
【0021】
[中間傾斜]
ショック結果の予測子としての中間傾斜は、Eilevstjonnらにより明らかにされている(Eilevstjonn J, Kramer-Johansen J, Sunde K: "Shock outcome is related to prior rhythm and duration of ventricular fibrillation"; Resuscitation. 2007; 75 60-67)。
【0022】
中間傾斜(MS)は、
【数1】

により与えられる。
【0023】
簡素化のため、ここでの傾斜を、2つの連続するサンプルが用いられるxi-xi-1により表す。しかしながら、傾斜を計算するのには、もっと多くの点を用いることができる。この場合には傾斜をスケーリングしてから、中間傾斜の計算用に仕分ける。定義によると、中間値とは、順序付けられたN個のサンプルアレイの中央値である。Nが奇数である場合、アレイの位置(N+1)/2に対応する値が中間値である。そうでなければ(Nが偶数である場合)、中間値は、アレイの位置N/2及びN/2+1に対応する値の合計の半分である。
【0024】
[平均傾斜]
平均傾斜(AS)は、
【数2】

により表される。
【0025】
[周波数比]
VF継続時間の指標としての周波数比(FR)は、Shermanにより明らかにされている(Sherman LD: "The frequency ratio: An improved method to estimate ventricular fibrillation duration based on Fourier analysis of the waveform"; Resuscitation. 2006; 69: 479-486)。
【0026】
Shermanは、VFの波形の周波数分析に基づく方法を提起した。45頭のブタでVFデータを、12.5分間記録した。5秒のエポックに対するフーリエ周波数スペクトルを計算し、各周波数での平均パワーは、3Hz〜5Hzの周波数スペクトルにおけるパワーの増加に伴って、5分の時点にて生じる8Hz以上の周波数の際立った損失を示した。周波数比は、8Hz〜24Hzの高周波数帯のパワーと、3Hz〜5Hzの低周波数帯のパワーとの比として定義された。この周波数比は、5分にわたるVFにおけるエポックの74%の選択を許容しながら、5分未満のVFにおけるエポックの90%を検出することを示した。周波数比を、7分未満のVFのエピソードの90%を検知するように設定すると、7分にわたるVFでそれらトレースの88%を選択可能であった。周波数比に対する受信者動作特性曲線(ROC)は、VF継続時間の5分での0.91と、7分での0.95の特性曲線の面積を有する。
【0027】
Shermanは、周波数比は、VF継続時間の強力な推定量であると主張している。しかしながらこれは、提案されている周波数範囲に対して、特に計算的にコストがかかる周波数分析に基づくものである。
【0028】
Shermanにより提起された処理によると、(時間ドメインにおける)一連のサンプルx0,…,xN-1は、(周波数ドメインにおける)一連のN個の複素数X0,…,XN-1に変換される。
【数3】

ここで

は、原始N乗根である。
【0029】
周波数指数が

でのパワーを

とする。
【0030】
低周波数帯(3−5Hz)は、周波数指数l1からlnに関連付けられる。
【0031】
次に低周波数帯のパワーは、
【数4】

により表される。
【0032】
同様に高周波数帯の出力は、
【数5】

により表される。ここで、h1及びhmは、高周波数帯(8−24Hz)に対する周波数指数である。
【0033】
最後に、周波数比(FR)は、
【数6】

として定義される。
【0034】
しかしながら、高速フーリエ変換(FFT)は、時間がかかり、CPUの膨大なリソースを利用することからして、本実施形態では、全ての周波数を分析する代わりに、異なる周波数の大きさの推定を、整数フィルタを用いて行う。これらのフィルタは、最も重要な貢献をすることが分かっている既知の周波数を個別にフィルタリングする。この技術は、本出願人のアイルランド特許出願第S2008/0785号に記載されている。
【0035】
[ピークの密度と振幅]
この特性指標には、ECG信号の包絡線を用いる。サンプル毎に、包絡線の外側の目立つ値として定義されるピークが検出されるかどうかチェックする。包絡線は、ECG信号を包含するためにECG信号から生成される人為的かつ自動調整される信号である。しかしながら、到着するサンプルで目立つサンプルは、包絡線の外側に位置する。包絡線を導出する原理は、光線を特定の傾斜でベースラインに狙いを定めるように構築することであるが、光線はベースラインに対するその光路をサンプルが“遮る”ことによってリセットされる。
【0036】
図2は、VF中のECG信号に対する包絡線の例である。包絡線10は、信号12を“包含”し、特定の瞬時における信号の最大値の概算を提供する。この(局部的な)最大値またはピークは、ベースラインに狙いを定めており、信号の振幅が増加するとリセットされる。上述したように、あるピーク14は、包絡線の外側(つまり上方)に位置する。
【0037】
図3には、各サンプルに対応する包絡線を計算するアルゴリズムのフローチャートを示している。使用する変数の説明、及びこれら変数の数値単位での初期値を、以下の表に示す。
【表1】

【0038】
図2及び上記の表において使用されているパラメータは、毎秒170.6サンプルのサンプルレートで用いた。しかし、パラメータは、サンプルレートの変更に従って変更してもよい。
【0039】
ピークの密度と振幅の特性指標は、
【数7】

により与えられる。ここで、xiが包絡線の外側(つまり上方)にあるピークである場合、wi = |xi|であり、それ以外の場合、wi = 0である。
【0040】
必要に応じ、DAの式は、AS及びMSの特性指標に対して成したように、fs(サンプルレート)で乗算することができる。fsは定数であるため、この乗算の効果は正にスケーリングであるが、本来のコンセプトは不変である。
【0041】
[VF継続時間]
これらの指標からVF継続時間の推定値を計算するためには、以下のモデルを用いる。
【数8】

ここでtは、秒単位での推定されるVFの継続時間であり、A、B、C、D及びEは、パラメータであり、Qは特性指標の値である。
【0042】
Qは、2つ以上の特性指標を表わすことができ、一般に、指標値の一次結合、
【数9】

を用いることができる。ここでp、q、r及びsは係数(スケーリングファクタ)である。
【0043】
A、B、C、D、E、p、q、r及びsは、ECGの一連の特性を表すものとして知られている、VF中のECG信号のデータベースから経験的に取得される。特定のECG信号について、特性指標はサンプル毎に計算される。この特性指標を用いて、tを推定し、これを、VF継続時間の実時間と比較する。パラメータ及び係数の値は、推定されたVF継続時間と実時間との差を最小にするために、反復的に調整する。
【0044】
以下は、定数A、B、C、D及びEが取り得る範囲である。
A = +1〜+1000
B = -500〜+500
C = +1〜+500
D = 0〜+200
E = +1/2〜+5/2
【0045】
[除細動器のハードウェア]
図4は、本発明を具体化する、自動体外式除細動器のブロック図である。
【0046】
本実施形態において用いるハードウェアは、自動体外式除細動器にとって標準的なものであり、2つの電極D1によるECG電位の測定を伴い、2つの電極D1は、必要に応じてショック療法を施すのにも役立つ。
【0047】
使用時において、患者のECGは、除細動器の電極D1により検知され、差動増幅器D2に渡される。後者は、患者の必要に応じて、電気治療中に除細動器の電極D1に与えられる高電圧から、回路D11により保護される。差動増幅器D2によって得られた信号(±3mV)は、一次のハイパスフィルタD3に渡される。該ハイパスフィルタD3は、差動増幅器D2への帰還によって直流レベルをゼロに戻し、呼吸及び(1.6Hz以下の)動きの影響を除去する。フィルタD3からの信号は四次のローパスフィルタD4に渡され、主要なピックアップ及びその他の(20Hz以上の)高周波ノイズを除去する。最後に信号を、増幅器D5にて、アナログ‐デジタル変換及びサンプリング用にマイクロプロセッサD6により、必要とされるレベルにまでスケーリングする。この実施形態では、このようなサンプリングは、毎秒170.6サンプルのレートで発生する。
【0048】
マイクロプロセッサD6は、患者が心室細動の状態にあるのか否かを判定するために、既知の技術を利用してECG信号を分析するだけでなく、電気治療を施すユーザをガイドするインジケータD7を制御する。インジケータは、音声プロンプト、及び/又は、照らされて所定の状態を指示するカラーランプを備えることができる。
【0049】
VFを検出すると、マイクロプロセッサD6は、(以下に記載する)VF継続時間アルゴリズムを自動的に開始して、現在のVFの相を推定する。その結果に応じて、除細動器は、(ショック療法の質、従って、ショック療法に見られるような有効性を高めるために)CPRの適用を勧めるか、又は緊急のショックを勧める。ショック療法が勧められると、緊急であろうとCPRの後であろうと、マイクロプロセッサD6により、充電回路D8の起動を介してコンデンサD9の充電が開始される。コンデンサD9の電圧はマイクロプロセッサD6により検知され、患者に与えるエネルギーレベルが正しいレベルになると、ブリッジ回路D10が起動し、ユーザが、 “ショック”ボタン(不図示)を押した場合に、患者に二相性のショックが与えられる。
【0050】
図4に示されるハードウェアの大部分は、あらゆる自動体外式除細動器にとって標準的なものである点に留意すべきである。従来の機器との相違点は、VFの持続時間を推定して、ユーザに音声プロンプト、及び/又はカラーランプD7により、緊急の電気治療又はCPR後の電気治療を勧めることができることにある。これは、マイクロプロセッサソフトウェアに組み込まれた新規のアルゴリズムにより達成される。
【0051】
[除細動器のソフトウェア]
ソフトウェアのアルゴリズムのステップは以下の通りである。
【0052】
VFが検知された場合、
(a)ECGの前の4秒のエポックに対する特性指標の値Q、又は同様に用いられるそのような値を求める。その後、各デジタルのサンプル用に、値QをECGの直前の4秒のエポックに対する値Qを更新する。処理時間を最小にするために、Qの、初期計算の後の計算は、フルの計算というよりかむしろ更新処理である。これは、CPUのオーバーロードを避けると共に、正しい治療を勧めたり、施したりするのに遅れを最小にする。本実施形態においては、指標であるAS及びDAだけを計算するのであって、値Qは、
【数10】

によって与えられる。
【0053】
(b)ある所定の間隔で、例えば1秒間隔で、Qの現在値に対して、前述のモデルを用いてVFの発現からのVFの継続時間tを推定する。この実施形態では、以下の値を、前述のモデルに用いた。
A = 480
B = 0
C = 180
D = 85
E=+1/2
【0054】
(c)VFの相を決定する。tが240秒(4分)未満である場合、VFは電気相にあるとみなされる。
【0055】
(d)インジケータD7による可聴又は可視のガイダンス及びアドバイスにより、ユーザに処置の行動を勧める。
‐VFが電気相にある場合には、緊急のショック療法が勧められ、除細動器のショック回路はイネーブルにされる。
‐VFが電気相にない場合には、ショック療法に先立ってCPRが勧められる。除細動器のショック回路は、CPRを施すことが勧められるまではイネーブルにされていないが、手動で覆してもよい。
【0056】
図5は、DAの特性指標の場合に、VF相を決定する代替のアルゴリズムを示す。これまでのようにステップ100では、図2及び3を参照して前述したように、各4秒のエポックの間、包絡線10を計算する。ステップ110及び112では、DAの特性指標を、エポック内で、包絡線上にあるサンプルの絶対値の平均値として先に示したDAに係る式により決定する。
【0057】
次に、ステップ114において、DAの値と、所定の閾値とを比較することによりVFの相を直接推定する。本実施形態において、この閾値は0.29mV/サンプルとし、DAがこの閾値以上である場合には、VFを、電気相にあるとみなす。従って、緊急のショック療法を勧め、除細動のショック回路をイネーブルにする。
【0058】
DAが、閾値未満である場合には、VFは電気相にないとみなす。従って、ショック療法に先立ってCPRを勧める。除細動器のショック回路は、CPRが施されることが勧められるまではイネーブルにされていないが、手動で覆してもよい。
【0059】
この実施形態によれば、VF継続時間を推定する必要がない。
【0060】
本発明は、ここに記載された実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく、改変又は変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心電図(ECG)の分析により心室細動(VF)の相を推定する手段と、
推定された前記相に依存して、緊急のショック療法又は心肺蘇生(CPR)のどちらが勧められるかを指示する手段と、
を備える体外式除細動器。
【請求項2】
前記VFの相を推定する手段は、VF継続時間を推定し、推定された前記VF継続時間を閾値と比較する、請求項1に記載の体外式除細動器。
【請求項3】
前記VF継続時間は、前記患者のECGから少なくとも1つのVFの特性指標を導き出し、前記VF継続時間を前記特性指標の値の関数として計算することにより推定される、請求項2に記載の体外式除細動器。
【請求項4】
前記特性指標は、所定期間にわたる前記ECGの中間傾斜を含む、請求項3に記載の体外式除細動器。
【請求項5】
前記特性指標は、所定期間にわたる前記ECGの平均傾斜を含む、請求項3に記載の体外式除細動器。
【請求項6】
前記特性指標は、所定期間にわたる前記ECGの相対的に高い周波帯及び低い周波数帯におけるパワーの比を含む、請求項3に記載の体外式除細動器。
【請求項7】
前記特性指標は、所定期間にわたる前記ECGのピークの密度と振幅の測度を含む、請求項1に記載の体外式除細動器。
【請求項8】
前記特性指標の値の関数としての前記VF継続時間は、tを秒単位で推定される前記VF継続時間とし、A、B、C、D、及びEを定数とし、Qを、前記特性指標が1つの場合の特性指標の値とするか、前記特性指標が2つ以上の場合における特性指標値の線形結合としたとき、
【数1】

として計算される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の体外式除細動器。
【請求項9】
前記VFの相を推定する手段は、所定期間にわたるECGのピークの密度と振幅に係る値を導き出す、請求項1に記載の体外式除細動器。
【請求項10】
前記値は、前記ECGの包絡線を構築し、前記所定期間中に前記包絡線の上に位置するピークの平均の大きさを測定することにより導き出される、請求項9に記載の体外式除細動器。
【請求項11】
前記値は、VFの相を推定するために閾値と比較される、請求項10に記載の体外式除細動器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−525179(P2012−525179A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507735(P2012−507735)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055742
【国際公開番号】WO2010/125116
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(503338457)ハートサイン テクノロジーズ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】