説明

体外循環装置

【課題】気泡除去装置の気泡貯留室内の液体の液面レベルを確実に検出することができ、また、稼働率に優れた体外循環装置を提供すること。
【解決手段】体外循環装置100Aは、血液を移送して体外循環させる遠心ポンプ101と、該体外循環する血液中の気泡を除去する気泡除去装置1Aと、遠心ポンプ101の作動を制御する制御装置110とを有するものである。気泡除去装置1Aは、血液が流入する内部空間を有する装置本体と、装置本体の上側に設けられ、装置本体から浮上した気泡を一時的に貯留する気泡貯留室と、気泡貯留室内の血液の液面レベルを検出する検出手段17Aとを備えている。検出手段17Aは、少なくとも1部が気泡貯留室内に露出する一対の電極部と、電極部間に電気を供給する給電部とを備えている。制御手段は、検出手段17Aから得られた情報に基づいて、遠心ポンプ101の作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を移送して体外循環させる血液ポンプと、該体外循環する血液中の気泡を除去する気泡除去装置と、前記血液ポンプの作動を制御する制御手段とを有する体外循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば心臓外科手術においては、送血ポンプを作動して患者の静脈(大静脈)より脱血し、人工肺によりガス交換を行なった後、この血液を再び患者の動脈に戻すという人工肺体外血液循環が行なわれる。
【0003】
このような人工肺体外血液循環を行う回路(体外循環回路)には、脱血した血液に流入した気泡を除去(分離)する気泡除去装置が設けられている。この気泡除去装置としては、ハウジング(容器本体)と、ハウジング内に設けられ、該ハウジング内を血液が流入する血液流入空間(上部空間)と血液が流出する血液流出空間(下部空間)とに区画するろ過体とを有し、血流に遠心力を与えて、気泡をハウジング(血液流入空間)中央に集め、さらに浮力によりハウジング上部に気泡を集めた後、脱気手段により除去するのが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、前述したような気泡除去装置には、通常、血液流入空間(気泡貯留室)内に溜まった気泡を検出する気泡センサが設置されている。この気泡センサとしては、例えば、超音波送信部と、間隙を介して超音波送信部の反対側に設置された超音波受信部とを有するものがある。
【0005】
この気泡センサは、超音波送信部から送信した超音波を超音波受信部で受信し、液体(血液)と気体(気泡)とで超音波の透過率が異なるのを利用することにより、超音波送信部および超音波受信部の間、すなわち、間隙にあるのが血液であるか気泡であるかを検出することができる。これにより、血液流入空間内に気泡が溜まってきて、液面が気泡センサの位置まで下がってきたとき、そのことを気泡センサで検出することができ、よって、血液流入空間内に気泡(気体)が過剰に溜まるのを防止することができる。
【0006】
ここで、仮に、血液流入空間内に気泡が過剰に溜まると、当該気泡がろ過体を通過する場合があり、このため、気泡が十分に(確実に)除去されずに、ろ過体を通過した血液とともに気泡除去装置から流出するおそれがある。
【0007】
さて、前述したように、気泡センサは、超音波を用いた(利用した)センサである。しかしながら、超音波を用いた気泡センサは、例えばノイズを受け易い等の使用環境の影響を受け易いため、液面が気泡センサの位置まで下がっていないにも係らず、液面が気泡センサの位置まで下がったと検出する、すなわち、誤作動する場合があった。
【0008】
また、体外循環回路では、血液を循環させる前に、すなわち、心臓外科手術前に、当該体外循環回路内の空気を生理食塩水に置換する。これにより、体外循環回路内の空気が人体へ送られるのを防止することができる。
体外循環回路内を生理食塩水で満たした後に、心臓外科手術が開始される。
【0009】
しかしながら、生理食塩水で満たされた体外循環回路では、心臓外科手術が開始されると、生理食塩水と血液との比重が互いに異なることにより、気泡除去装置内の生理食塩水と血液とに界面が生じて、この界面が、超音波を用いた気泡センサの位置まで上がる(上昇する)と、実際には、液面が低下していないにも係らず、気泡センサが液面が気泡センサの位置まで下がったと誤検出してしまう場合がった。
【0010】
また、このような体外循環回路では、気泡センサの誤作動(誤検出)のたびごとに、例えば、送血ポンプを停止したり、当該体外循環回路の途中を遮断するクランプを作動させたりして、血液の循環を停止していたため、稼働率が低下していた。このため、患者の血行状態が不安定になるおそれがあった。
【0011】
【特許文献1】特公昭64−8562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、気泡除去装置の気泡貯留室内の液体の液面レベルを確実に検出することができ、また、稼働率に優れた体外循環装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 血液を移送して体外循環させる血液ポンプと、該体外循環する血液中の気泡を除去する気泡除去装置と、前記血液ポンプの作動を制御する制御手段とを有する体外循環装置であって、
前記気泡除去装置は、血液が流入する内部空間を有する装置本体と、前記装置本体の上側に設けられ、前記装置本体から浮上した気泡を一時的に貯留する気泡貯留室と、前記気泡貯留室内の血液の液面レベルまたはそれに係る情報を検出する検出手段とを備え、
前記検出手段は、少なくとも一部が前記気泡貯留室内に露出する第1の電極部と、少なくとも一部が前記装置本体内または前記気泡貯留室内に露出する第2の電極部と、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間に電気を供給する給電部とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段から得られた情報に基づいて、前記血液ポンプの作動を制御することを特徴とする体外循環装置。
【0014】
(2) 前記制御手段は、前記判断部が前記第1の電極部と前記第2の電極部との間が液体を介して導通していると判断した場合には、そのときの前記血液ポンプの作動状態を維持するよう制御する上記(1)に記載の体外循環装置。
【0015】
(3) 前記制御手段は、前記判断部が前記第1の電極部と前記第2の電極部との間が導通していないと判断した場合には、前記血液ポンプの作動を停止するよう制御する上記(1)または(2)に記載の体外循環装置。
【0016】
(4) 前記血液ポンプは、遠心ポンプである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0017】
(5) 血液が移送されて体外循環するためのラインと、該ラインの一部を遮断可能なクランプと、前記体外循環する血液中の気泡を除去する気泡除去装置と、前記クランプの作動を制御する制御手段とを有する体外循環装置であって、
前記気泡除去装置は、血液が流入する内部空間を有する装置本体と、前記装置本体の上側に設けられ、前記装置本体から浮上した気泡を一時的に貯留する気泡貯留室と、前記気泡貯留室内の血液の液面レベルまたはそれに係る情報を検出する検出手段とを備え、
前記検出手段は、少なくとも一部が前記気泡貯留室内に露出する第1の電極部と、少なくとも一部が前記装置本体内または前記気泡貯留室内に露出する第2の電極部と、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間に電気を供給する給電部とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段から得られた情報に基づいて、前記クランプの作動を制御することを特徴とする体外循環装置。
【0018】
(6) 前記制御手段は、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間が液体を介して導通しているか否かを判断する判断部を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0019】
(7) 前記給電部により印加される電圧は、交流電圧である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0020】
(8) 前記制御手段は、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間の交流電流を交流電圧に変換する変換部と、該変換された交流電圧を全波整流する整流部とを有する上記(7)に記載の体外循環装置。
【0021】
(9) 前記気泡除去装置は、
前記装置本体に設けられ、該装置本体の頂部付近を前記気泡貯留室に連通させ、前記装置本体から浮上した気泡が通過する第1連通部と、
前記装置本体に設けられ、該装置本体の周壁部付近を前記気泡貯留室に連通させる第2連通部とを備え、
前記装置本体から浮上した気泡が前記第1連通部を通って前記気泡貯留室へ流入するとともに前記気泡貯留室内の血液が前記第2連通部を通って前記装置本体へ戻るよう構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0022】
(10) 前記気泡除去装置は、
前記気泡貯留室の上側に設けられ、脱気手段に接続されて陰圧に保たれる陰圧室と、
前記気泡貯留室と前記陰圧室とを隔てるように設けられ、前記気泡貯留室内の気体は通過させるが血液は通過させないフィルタ部材とを備える上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0023】
(11) 前記第1の電極部および前記第2の電極部は、前記気泡貯留室の下部付近に位置している上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0024】
(12) 前記第1の電極部および前記第2の電極部は、それぞれ、ステンレス鋼で構成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の体外循環装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、気泡除去装置に設けられた一対の電極間の電流を検出することができ、よって、当該気泡除去装置の気泡貯留室内の液体の液面レベルを確実に検出することができる。
【0026】
また、気泡除去装置の気泡貯留室内の液体の液面レベルを確実に検出することができるため、その検出結果に応じて血液ポンプの作動を制御することができ、よって、体外循環装置が稼働率に優れたものとなる。
【0027】
また、気泡除去装置の気泡貯留室内の液体の液面レベルを確実に検出することができるため、その検出結果に応じてクランプの作動を制御することができ、よって、体外循環装置が稼働率に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の体外循環装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、体外循環装置の第1実施形態の概要を示す図、図2は、図1に示す体外循環装置が有する気泡除去装置を示す断面側面図、図3は、図2中のA矢視図(下面図)、図4は、図2中のB−B線断面図、図5および図6は、それぞれ、図3中のC−C線断面図、図7は、図1に示す体外循環装置の主要部のブロック図、図8は、図1に示す体外循環装置の制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。なお、説明の都合上、図2、図5および図6中の上側を「上」または「上方」といい、下側を「下」または「下方」という。
【0030】
図1に示す本発明の体外循環装置100Aは、血液を送液(移送)する遠心ポンプ(血液ポンプ)101と、遠心ポンプ101の吸入口と患者とを結ぶ脱血ライン102と、遠心ポンプ101の吐出口と患者とを結ぶ送血ライン103と、脱血ライン102の途中に設置された気泡除去装置1Aと、送血ライン103の途中に設置され、血液に対しガス交換を行う人工肺104と、送血ライン103の途中に設置された流量計105と、遠心ポンプ101の吸入口付近の脱血ライン102と人工肺104の出口付近の送血ライン103とを短絡して接続する再循環ライン106と、ラインを構成するチューブを挟持・開放することにより流路を開閉するクランプ107、108および109と、クランプ107、108、109の作動および遠心ポンプ101の作動を制御する制御装置(制御手段)110とを備えている。なお、体外循環装置100Aの脱血ライン102から送血ライン103に至る回路を「体外循環回路117」ということがある。
【0031】
以下、各部の構成について説明する。
まず、気泡除去装置1Aの構成について、主に図2を参照しつつ説明する。
【0032】
この気泡除去装置1Aは、体外循環する血液中の気泡を除去するためのものである。気泡除去装置1Aは、患者の心臓に血液が循環せず患者体内でガス交換が行われず、そして体外循環装置により血液の循環と血液に対するガス交換(酸素付加および/または二酸化炭素除去)が行われる体外循環と、患者の心臓に血液が循環し患者体内でもガス交換が行われるが、体外循環装置によっても血液の循環と血液に対するガス交換が行われる体外循環(補助循環)とのいずれの場合にも使用することができる。
【0033】
図2に示すように、気泡除去装置1Aは、装置本体40と、装置本体40(旋回流形成室2)の上側に設けられた気泡貯留室5と、気泡貯留室5の上側に設けられた陰圧室8と、連結管18を介して陰圧室8に連通する液体貯留室15と、気泡貯留室5と陰圧室8とを隔てるように設けられた第1のフィルタ(フィルタ部材(脱気膜))9と、液体貯留室15に設けられた第2のフィルタ16と、気泡貯留室5内の血液の液面レベルQを検出する検出手段17Aとを有している。
【0034】
なお、装置本体40、気泡貯留室5、陰圧室8、連結管18および液体貯留室15の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の比較的硬質な樹脂材料が好ましい。また、内部の血液等の状態を目視で確認することができるように、実質的に透明な材料が好ましい。
【0035】
装置本体40には、旋回流形成室2と、旋回流形成室2(内部空間)内に血液を導入する流入口3と、旋回流形成室2内の血液を気泡除去装置1Aの外部へ排出する流出口4と、旋回流形成室2と気泡貯留室5とを連通させる第1連通部6および第2連通部7とが設けられている。
【0036】
旋回流形成室2は、回転体形状の内部空間、すなわち横断面形状が略円形の内部空間を有しており、流入した血液に旋回流を形成させる部屋である。気泡除去装置1Aは、旋回流形成室2の中心軸20を鉛直方向(上下方向)にした姿勢で使用される。よって、以下では、旋回流形成室2の中心軸20に垂直な平面を水平面という。
【0037】
この旋回流形成室2は、流入口3とほぼ同じ高さに位置する円盤状の拡径部21と、拡径部21の上側(上部)に設けられた円錐台形部22と、拡径部21の下側(下部)に設けられた胴部23とで構成されている。
【0038】
円錐台形部22の内部空間は、内径が上方に向かって漸減する略円錐台状をなしている。図示の構成では、円錐台形部22の内部空間は、ほぼ完全な円錐台状をなしているが、本発明では円錐台形部22の内部空間は完全には円錐台状をなしていなくてもよく、その周面が側面視で丸みを帯びたようなものであってもよい。
【0039】
拡径部21の内部空間は、その内径が円錐台形部22の下端の内径よりも大きい略円盤状をなしている。
【0040】
胴部23の内部空間は、拡径部21より内径が小さい略円筒状(略円柱状)をなしている。胴部23の下部は、漏斗状をなしており、その下端に流出口4が突出形成されている。
【0041】
流入口3は、旋回流形成室2の拡径部21の内周面のほぼ接線方向に突出するように設けられている(図3参照)。
【0042】
このような構成の装置本体40により、流入口3から旋回流形成室2内に流入した血液は、旋回流を確実に形成することができる。
【0043】
気泡貯留室5は、旋回流形成室2から浮上した気泡を一時的に貯留するための部屋である。この気泡貯留室5は、旋回流形成室2に流入する血液中に気泡が含まれていないときには、血液で満たされている。
【0044】
気泡貯留室5は、略円盤状の内部空間を有している。気泡貯留室5の上面は、第1のフィルタ9により隔てられている(覆われている)。気泡貯留室5を略円盤状としたことにより、充填量(プライミングボリューム)を低くしつつ、第1のフィルタ9の面積を大きく確保することができ、また、プライミング液充填時の気泡残りをより確実に防止することができる。なお、気泡貯留室5の形状は、略円盤状に限らず、多角形板状などでもよい。
【0045】
この気泡貯留室5の中心軸50は、旋回流形成室2の中心軸20に対し図2中の左側に偏心している。これにより、気泡貯留室5内に流入した気泡が気泡貯留室5の片側(偏心した側、図2中では左側)に集まり易くなるので、気泡を効率良く第1のフィルタ9を透過させることができる。
【0046】
また、気泡貯留室5の中心軸50は、旋回流形成室2の中心軸20に対し傾斜している。その傾斜の向きは、気泡貯留室5の高さが、旋回流形成室2の中心軸20からの距離が遠いところほど高くなるような向きである。これにより、気泡貯留室5内に流入した気泡を気泡貯留室5の片側により円滑かつ迅速に集めることができる。
【0047】
気泡貯留室5の中心軸50の、旋回流形成室2の中心軸20に対する傾斜角度αは、特に限定されないが、0〜50°程度であるのが好ましく、5〜20°程度であるのがより好ましい。
【0048】
気泡貯留室5の底面51は、中心に向かって深さが漸増するようなすり鉢状をなしている。
【0049】
旋回流形成室2の円錐台形部22の頂部付近は、第1連通部6を介して気泡貯留室5に連通している。第1連通部6は、気泡貯留室5の底面51に形成された円形開口で構成されている(図4参照)。
【0050】
旋回流形成室2内で血液が旋回流を形成すると、遠心力の作用により、血液中の気泡は、気液の密度差によって中心部に集まる。中心部に集まった気泡は、さらに浮力によって浮上して、第1連通部6を通って気泡貯留室5内に流入する(図2中の点線参照)。
【0051】
気泡貯留室5内に流入した気泡は、浮力により、気泡貯留室5の高い方の部分(図2中の左側)へ集まる。
【0052】
旋回流形成室2と気泡貯留室5とは、さらに第2連通部7を介して連通している。第2連通部7は、円錐台形部22の図2中の左側の周壁部(山腹部)付近に開口している。この第2連通部7は、中心軸50を介して第1連通部6と反対側の部分の気泡貯留室5と、円錐台形部22の周壁部とを連通している。
【0053】
気泡貯留室5の容積は当然ながら一定であるので、旋回流形成室2から浮上した気泡が第1連通部6を通って気泡貯留室5へ流入すると、その流入した気泡と入れ替わりに同じの分だけの血液が気泡貯留室5から旋回流形成室2へ戻る必要がある。
【0054】
本発明では、第2連通部7を設けたことにより、旋回流形成室2から浮上した気泡が第1連通部6を通って気泡貯留室5へ流入するのに伴い、気泡貯留室5内の血液が第2連通部7を通って旋回流形成室2へ戻ることができる(図2中の点線参照)。
【0055】
よって、旋回流形成室2から浮上した気泡が気泡貯留室5へ流入するとき、円錐台形部22→第1連通部6→気泡貯留室5→第2連通部7→円錐台形部22の順の経路で一方向の流れを形成することができるので、旋回流形成室2内の気泡を効率良く、円滑かつ迅速に気泡貯留室5へ導入することができる。また、上記一方向の流れが形成されることにより、気泡貯留室5内での血液の滞留を防止することができるので、血液凝固が起こりにくい、という副次的効果も得られる。
【0056】
また、第2連通部7が円錐台形部22の周壁部に連通しているので、第2連通部7の出口付近は、中心軸20に比較的近い。よって、第2連通部7の出口付近では旋回流の流速が比較的遅いので、第2連通部7から出た血液は、逆流したり旋回流を乱したりすることなく、円錐台形部22内に円滑に入ることができる。
【0057】
第2連通部7の出口は、円錐台形部22の周壁に対し平面視で垂直な方向を向いていてもよく、また、円錐台形部22の周壁の接線方向、すなわち旋回流の向きに合わせた方向を向いていてもよい。
【0058】
このような本発明と異なり、仮に第2連通部7がないとすると、旋回流形成室2内の気泡が第1連通部6を通って気泡貯留室5へ流入しようとしたとき、入れ替わりに気泡貯留室5から旋回流形成室2へ戻る血液が第1連通部6を気泡と逆向に通過することとなるので、第1連通部6付近の流れが乱され、気泡の円滑な通過が阻害されてしまうこととなるおそれがある。
【0059】
本実施形態では、中心軸50を介して第1連通部6と反対側の部分に、底面51よりも深さが一段深くなった溝53が形成されている。この溝53の底面である傾斜面52は、第2連通部7へ続いており、第2連通部7へ向かって下るように水平面に対し傾斜している。この傾斜面52を設けたことにより、気泡貯留室5内の血液を第2連通部7へより円滑かつ迅速に流下させることができる。
【0060】
傾斜面52の傾斜角度βは、特に限定されないが、0〜90°であるのが好ましく、5〜40°であるのがより好ましい。
【0061】
第1のフィルタ9は、空気(気体)を通過させ、血液を通過させないように構成された膜部材である。この第1のフィルタ9(第2のフィルタ16も同様)は、その表面が疎水化処理されているか、または、疎水性膜(疎水膜)であるのが好ましい。
【0062】
前記疎水性膜の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体(ECTFE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。第1のフィルタ9は、これらの材料を、延伸法、ミクロ相分離法、電子線エッチング法、焼結法、アルゴンプラズマ粒子等の方法で多孔質としたものが好適に用いられる。
【0063】
また、前記疎水化処理の方法は、特に限定されず、例えば、第1のフィルタ9の表面に、疎水性を有する構成材料をコーティングする方法等が挙げられる。
【0064】
第1のフィルタ9は、気泡貯留室5の中心軸50に対し垂直に設けられている。すなわち、第1のフィルタ9は、旋回流形成室2の中心軸20に垂直な平面(水平面)に対し傾斜している。これにより、気泡貯留室5内に流入した気泡が第1のフィルタ9の傾斜に沿って気泡貯留室5の片側(図2中左側)に移動するので、気泡をより円滑かつ迅速に集めることができる。
【0065】
また、第1のフィルタ9は、前述したように気泡貯留室5内の気体の通過を許容するため、気泡貯留室5からの水蒸気が第1のフィルタ9を通過することができる。この第1のフィルタ9を通過した水蒸気は、結露して液体Lとなり、第1のフィルタ9の傾斜に沿って、前記気泡と反対側(図2中右側)、すなわち、液体貯留室15側に移動することができ、よって、当該液体Lが液体貯留室15に流入し易くなる。
【0066】
陰圧室8は、第1のフィルタ9により気泡貯留室5と隔てられて形成された平板状(扁平形状)の内部空間を有する部屋である。この陰圧室8は、気泡貯留室5と同心的に設けられている。よって、陰圧室8の中心軸も、旋回流形成室2の中心軸20に対し傾斜していることとなる。これにより、前述と同様に、陰圧室8の内部空間の液体Lが液体貯留室15側に移動することができ、よって、当該液体Lが液体貯留室15に流入し易くなる。
【0067】
この陰圧室8内には、血液は流入しない。すなわち、第1のフィルタ9の上面91は、血液に接触せず、下面92は、血液に接触する。
【0068】
気泡貯留室5内に溜まった気泡(空気)は、第1のフィルタ9を透過して陰圧室8内に吸い込まれ、液体貯留室15の脱気口153を通って気泡除去装置1Aの外部へ排出される。
【0069】
図2に示すように、傾斜した陰圧室8の下方には、陰圧室8から突出した連結管18が設けられている。
【0070】
この連結管18の底面181と第1のフィルタ9の上面91とには、段差が生じていない、すなわち、連結管18の底面181と第1のフィルタ9の上面91とが同一平面上に設けられているのが好ましい。これにより、液体Lが陰圧室8内に滞留するのを防止することができ、すなわち、液体Lが第1のフィルタ9の上面91から連結管18の底面181に円滑に流れることができ、よって、当該液体Lを液体貯留室15に向けて確実に排出することができる。
【0071】
また、陰圧室8には、連結管18を介して、液体貯留室15が接続されて(設けられて)いる。
【0072】
この液体貯留室15は、貯留室本体151と、逆止弁30を設置する逆止弁設置部152と、脱気手段(図示せず)に接続される脱気口153とを有している。なお、前記脱気手段としては、例えば、手術室の壁吸引を用いることができる。壁吸引とは、酸素、治療用空気、窒素、吸引などの医療ガス配管設備の一つであり、手術室の壁などに設置されている吸引(脱気)のための配管のことである。その他、脱気手段としては、個別の真空ポンプ等を用いてもよい。
【0073】
貯留室本体151は、その形状が箱状をなす部位である。この貯留室本体151には、陰圧室8から流出し、連結管18を経て流入してくる液体Lを貯留することができる。これにより、前記液体Lが貯留室本体151で確実に捕獲されることとなり、よって、当該液体Lが気泡除去装置1Aの外部へ流出するのを確実に防止することができる。
【0074】
逆止弁設置部152は、貯留室本体151の上部155に設けられた、円筒状をなす部位である。また、この逆止弁設置部152は、連結管18の突出方向(形成方向)と同方向に傾斜している。
【0075】
また、逆止弁設置部152の端部154には、円筒状をなす脱気口153が突出して形成されている。このような脱気口153が設けられていることにより、例えば、脱気手段のチューブを当該脱気口153に容易かつ確実に接続することができ、よって、陰圧室8内は、陰圧に保たれ、当該陰圧室8内の気体(空気)が脱気口153から排出される。
【0076】
脱気口153の突出方向は、連結管18(逆止弁設置部152)の突出方向とほぼ同じである。また、脱気口153は、その外径および内径が逆止弁設置部152より縮径している。
【0077】
このような構成の液体貯留室15内には、第2のフィルタ16と、逆止弁30とが設置されている。この第2のフィルタ16は、第1のフィルタ9とほぼ同様の、空気(気体)を通過させ液体Lを通過させないように構成された膜部材である。また、逆止弁30は、気体の脱気手段側への流れのみを許容するよう構成された弁体である。
【0078】
第2のフィルタ16は、陰圧室8と脱気手段との間、すなわち、貯留室本体151の連結管18が開口する開口部182より上部155側に設けられている。これにより、連結管18からの液体Lが第2のフィルタ16に接触せずに、貯留室本体151内に流入することができる。よって、液体Lが貯留室本体151内に確実に貯留され、当該液体Lが気泡除去装置1Aの外部へ流出するのを確実に防止することができる。
【0079】
第2のフィルタ16は、第1のフィルタ9とほぼ平行、すなわち、水平方向に対して傾斜している。このような姿勢で第2のフィルタ16が設置されていることにより、万が一、第2のフィルタ16に液体Lが触れても、傾斜した(傾斜角度βの)第2のフィルタ16に沿って、液体Lは、第2のフィルタ16から速やかに離れるので、第2のフィルタ16の通気能力(気泡除去能力)が損なわれることが防止される。
【0080】
また、第2のフィルタ16は、その厚さ方向、すなわち、中心軸50方向において、第1のフィルタ9より上側に位置している。換言すれば、第2のフィルタ16は、その最上端部161が第1のフィルタ9の最上端部93より下側に位置し、最下端部162が第1のフィルタ9の最下端部94とほぼ同じ高さに位置している。
【0081】
また、第1のフィルタ9と第2のフィルタ16とは、それらの面方向、すなわち、中心軸50に対して垂直な方向(傾斜方向)において、互いに異なる位置に設けられている。これにより、第1のフィルタ9上の液体Lが第2のフィルタ16に接触するのを防止することができる。
【0082】
逆止弁30は、脱気口153と第2のフィルタ16との間、すなわち、逆止弁設置部152に設けられている。これにより、脱気手段により排出された気体が陰圧室8に逆流するのを確実に防止することができ、よって、気泡除去装置1Aから気体を確実に除去することができる。また、液体貯留室15内の陰圧状態を安定して保つことができる。
【0083】
また、本実施形態では、逆止弁30は、ダックビル弁で構成されているが(図2参照)、これに限定されず、気体の脱気手段側への流れのみを許容するよう構成されたものであれば、いかなる弁体でもよい。
【0084】
このような気泡除去装置1Aでは、旋回流形成室2の上部に円錐台形部22を設けたことにより、遠心力と浮力とを効率良く用いて気泡を集めることができ、集めた気泡を第1連通部6を通して効率良く気泡貯留室5へ送ることができる。
【0085】
本発明者の知見によれば、旋回流形成室2内の旋回流の作用によって中心部に集まった気泡は、略円柱状の塊となり、その気泡塊は、直径が第1連通部6の内径dと概ね同じとなるように形成される。そのため、第1連通部6の内径dと旋回流形成室2の最大内径とが近似な値であったり、第1連通部6の内径dが旋回流形成室2の最大内径より大きかったりすると、気泡塊が旋回流形成室2内に全体的に広がってしまい、気液の分離効率が低下する。
【0086】
このような観点から、旋回流形成室2の胴部23の内径(最大内径)dと、第1連通部6の内径との比dは、d:d=1:1〜10:1程度であるのが好ましく、2:1〜4:1程度であるのがより好ましい。
【0087】
また、円錐台形部22の頂角θは、10〜170°であるのが好ましく、30〜150°であるのがより好ましく、40〜120°であるのがさらに好ましい。
【0088】
円錐台形部22の頂角θが大きすぎると、円錐台形部22が高さの低い扁平な形状となるので、浮力を効果的に利用して気泡を気泡貯留室5に導きにくくなり、逆に、円錐台形部22の頂角θが小さすぎると、円錐台形部22の高さが高くなって充填量が増大してしまう。
【0089】
旋回流形成室2の胴部23内には、中心部に集まった気泡塊の下端を規定する作用をする円板11と、この円板11を旋回流形成室2の底部に連結する連結部材12とが設置されている。円板11は、旋回流形成室2の中心軸20に垂直な姿勢で設置されている。円板11は、旋回流形成室2と同心的に設置するのが好ましいが、偏心していてもよい。
【0090】
この円板11を設けたことにより、気泡塊は円板11より下側には形成されないので、集まった気泡が流出口4から流出するのをより確実に防止することができる。
【0091】
円板11の上面の高さは、流入口3の下端31とほぼ同じかまたはそれより低い高さとされる。これにより、円板11が旋回流形成を阻害することはない。
【0092】
円板11の直径は、第1連通部6の内径とほぼ同じかまたはそれより大きくされる。前述したように、気泡塊の直径は第1連通部6の内径とほぼ同じになるので、円板11の直径を第1連通部6の内径以上にすることにより、円板11の直径が気泡塊の直径以上になるので、気泡塊が円板11より下方に形成されるのをより確実に防止することができる。
【0093】
円板11は、連結部材12の上端部に固定されている。連結部材12は、円板11とほぼ同じ直径の円筒状の部材であり、その下端は旋回流形成室2の底面に固定されている。連結部材12の周壁には、複数のスリットまたは開口(図示せず)が形成されており、血液はこのスリットまたは開口を通って連結部材12の外周側から内周側へ流れ、さらに流出口4へ流れる。
【0094】
なお、連結部材12のスリットまたは開口には、気泡を通さないフィルタを設置してもよい。また、連結部材12は、円板11を単に支持する脚のような部材であっても良い。
【0095】
円板11および連結部材12の外周面と、胴部23の内周面との間に形成されるドーナツ状(円筒状)の流路の断面積は、流入口3の流路断面積よりも大きく設定される。これにより、このドーナツ状流路での流路抵抗を軽減することができる。
【0096】
気泡除去装置1Aには、気泡貯留室5内の血液の液面レベルQを検出する検出手段17Aが設けられている。この検出手段17Aは、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bと、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間に電気を供給する給電部171とを備えている。
【0097】
図5および図6に示すように、気泡貯留室5の溝53には、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bが対向配置されている。また、図2に示すように、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bは、傾斜面52の下部523(気泡貯留室5の下部)付近に位置している。なお、図5(図6も同様)では、図示されていないが、図中の回路には、後述する処理部114が設けられている。
【0098】
第1の電極部19aおよび第2の電極部19bは、金属材料、炭素材料等の導電性材料で構成された棒状または板状をなすものである。第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの外周面には、絶縁層(図示せず)が設けられている。また、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bは、溝53の壁部54を貫通して、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの端面191が壁面541(溝53内)に露出している。
【0099】
図5に示すように、気泡貯留室5内の血液(液体)の液面が第1の電極部19aおよび第2の電極部19b(液面レベルQ)よりも上方にあるとき、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの端面191は、血液に接触する。血液は、一般に、若干ながら導電性を有しているので、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間に電圧を印加した状態では、これらの間は、血液を介して、導通する(以下、この状態を「導通状態」という)。
【0100】
図6に示すように、気泡貯留室5内の血液(液体)の液面が第1の電極部19aおよび第2の電極部19bよりも下方にあるとき、または、液面が第1の電極部19aまたは第2の電極部19bのいずれかよりも下方にあるとき、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの端面191は、血液に接触しない。このとき、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間は、導通状態とはならない(以下、この状態を「非導通状態」という)。
【0101】
すなわち、非導通状態では、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の抵抗値は、極大となる。また、導通状態となると、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の抵抗値が低下する。
【0102】
このように、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間は、液面の高さに応じて、導通状態と非導通状態とを取り得る。これにより、体外循環装置100A(検出手段17A)では、液面が液面レベルQより上方に位置するのか否かを検出することができる。
【0103】
また、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金(例えばニッケルチタン合金)、プラチナが挙げられ、これらのうち、特に、ステンレス鋼を用いるのが好ましい。
【0104】
ステンレス鋼は、生体適合性に優れているため、血液に接触する第1の電極部19aおよび第2の電極部19bに好適に用いることができる。
【0105】
第1の電極部19aおよび第2の電極部19bがステンレス鋼で構成されている場合には、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの製造コストを抑制することができる。
【0106】
図5および図6に示すように、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間に印加する電圧は、交流電圧である。交流電圧は、直流電圧に比べて、血液中の細胞を傷つけるのを防止する。
【0107】
なお、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間に印加する電圧は、交流電圧が好ましいが、これに限定されず、直流電圧でもよい。
【0108】
第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間に印加する電圧を直流電圧とした場合には、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の抵抗値を測定する。導通状態では、非導通状態より抵抗値が低下する。このため、制御装置110では、所定の抵抗値の閾値を設定し、その閾値より前記測定した抵抗値が大か否かを判断して、液面レベルQを検出することができる。
【0109】
クランプ107は、気泡除去装置1Aの流出口4付近の脱血ライン102に設置されており、クランプ108は、人工肺104の出口付近の送血ライン103に設置されており、クランプ109は、再循環ライン106に設置されている。
【0110】
クランプ107、108および109は、それぞれの開閉状態が、制御装置110により制御されている。
【0111】
クランプ107および108は、それぞれ、通常時は、開状態となるよう制御されている。また、クランプ109は、通常時は、閉状態となるよう制御されている。
【0112】
また、気泡除去装置1Aの脱気口153は、脱気ライン111を介して壁吸引(脱気手段)に接続されている。脱気ライン111の途中には、陰圧室8内の圧力を調整する陰圧レギュレータ112が設けられている。
【0113】
図7に示すように、制御装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成された判断部113と、導通状態の第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間で生じた交流電流を処理する処理部114とを有している。
【0114】
処理部114は、電流電圧変換器(変換部)115と、全波整流器(整流部)116とを有している。
【0115】
電流電圧変換器115は、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の交流電流を交流電圧に変換するものである。この電流電圧変換器115は、例えば、2つのオペアンプで構成されており、第1の電極部19a、第2の電極部19bから入力された交流電流を一方のオペアンプで交流電圧に変換し、その変換された交流電圧を他方のオペアンプで増幅させて全波整流器116に出力するよう構成されている。
【0116】
全波整流器116は、電流電圧変換器115により変換された交流電圧を全波整流するものである。この全波整流器116は、例えば、入力側が電流電圧変換器115に接続された変圧器と、変圧器の出力側に接続されたダイオードとを有し、変圧器の入力側(一次側)に交流電圧が加わると当該変圧器の巻線比に応じた交流電圧が生じ、その交流電圧がダイオードで整流されて出力されるよう構成されている。
【0117】
なお、全波整流器116は、前記変圧器を使用するのに限定されず、例えば、整流用ダイオードブリッジとコンデンサとにより全波整流を行うものでもよいし、ダイオードの順電圧降下を補正するためにオペアンプを利用した全波整流回路でもよい。また、電流電圧変換器115のアナログ信号をA/D変換し、デジタル信号処理で全波整流を行なってもよい。
【0118】
このように、体外循環装置100Aは、導通状態では、交流電流が得られ、それに応じた交流電圧が得られる。また、非導通状態では、交流電流値がほぼ零であるため、それに応じた交流電圧が得られにくい。
【0119】
また、判断部113では、全波整流器116からの出力信号に基づいて、導通状態か否かを判断する(図8参照)。
【0120】
例えば、判断部113は、全波整流器116からの出力信号と、制御装置110に予め記憶されている電圧の閾値(以下、「電圧閾値」という)とを比較して、出力信号が電圧閾値以上であれば、導通状態と判断し、出力信号が電圧閾値未満(または零)であれば、非導通状態と判断する。
【0121】
このように構成された制御装置110により、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の導通状態と非導通状態とを確実に判断することができる。また、制御装置110は、この判断結果に応じて、遠心ポンプ101の作動を容易に制御することができ、よって、体外循環装置100Aが稼働率に優れたものとなる。
【0122】
次に、体外循環装置100Aの作動について説明する。
体外循環装置100Aを使用する前は、通常、体外循環回路17内が空気で満たされている。
【0123】
体外循環装置100Aでは、まず、体外循環回路17内の空気を生理食塩水に置換する。この置換する方法としては、例えば、遠心ポンプ101を作動させることにより、行うことができる。なお、このとき、クランプ107、108および109は、開状態となっている。
【0124】
体外循環回路17内が生理食塩水で置換された状態で、体外循環装置100Aが例えば心臓外科手術に使用される。
【0125】
制御装置110は、通常時は、クランプ107および108が開状態、クランプ109が閉状態となるよう制御する。
【0126】
遠心ポンプ101が作動する(手術が開始される)と、患者から脱血カテーテル(図示せず)を介して脱血された血液は、脱血ライン102を通り、まず、気泡除去装置1Aの流入口3に流入する。気泡除去装置1Aでは、前述したようにして、血液中の気泡が除去される。気泡が除去された血液は、気泡除去装置1Aの流出口4から流出して、遠心ポンプ101内を通り、人工肺104に送られる。人工肺104では、血液に対してガス交換(酸素加脱炭酸ガス)がなされる。ガス交換がなされた血液は、送血ライン103を経て、送血カテーテル(図示せず)を介して患者に戻される。
【0127】
なお、内部が生理食塩水で満たされた気泡除去装置1Aでは、遠心ポンプ101が作動することにより、患者から脱血された血液が流入する。これにより、気泡貯留室5内で、生理食塩水と血液とに界面が生じる。この界面は、気泡貯留室5内の生理食塩水が血液に置換されるのに伴なって、上昇する。従来の気泡除去装置に設置された、超音波の透過率を利用した検出手段(気泡センサ)では、当該上昇した界面が液面レベルに達したとき、そのときの界面を液面として誤検出していた。
【0128】
しかしながら、体外循環装置100Aでは、通電状態と非通電状態とを検出することにより、前述したような不都合が生じるのを確実に防止することができる。
【0129】
このような体外循環装置100Aでは、脱血された血液とともに気泡除去装置1Aに流入する気泡量と、気泡除去装置1A(気泡除去手段)の気泡除去能力が等しいとき、気泡貯留室5内において、液面はある位置で安定する(バランスする)。
【0130】
この体外循環装置100Aでは、気泡貯留室5内の血液の液面を、図5に示す状態とする、すなわち、液面レベルQよりも上方に位置させる(維持させる)のが理想的である。
【0131】
したがって、制御装置110は、液面が液面レベルQより上方に位置した状態から、当該液面が低下して、液面レベルQよりも下降したときは、気泡貯留室5に多量の気泡が充満したこととなり、気泡除去装置1Aから気泡を迅速かつ十分に除去するのが困難となるため、遠心ポンプ101の作動を停止する。この遠心ポンプ101の作動停止後、気泡除去装置1A内の気泡の除去を速やかに行い、その後、遠心ポンプ101を速やかに再度作動させる、すなわち、血液の体外循環を速やかに復帰させる。
【0132】
なお、遠心ポンプ101作動停止中は、気泡除去装置1Aへの新たな気泡流入はないので、気泡除去装置1Aの気泡は、第1のフィルタ9および第2のフィルタ16を通過して、気泡除去手段(脱気手段)により除去される。これにより、液面が上昇して、液面レベルQより上方に位置することとなる。
【0133】
以下、体外循環装置100Aの制御装置110の制御フロー(プログラム)を、主に図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0134】
前述したように体外循環を開始すると、給電部171が作動する(ステップS500)。
【0135】
次に、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の交流電流を交流電圧に変換する(ステップS501)。
【0136】
次に、ステップS501で変換された交流電圧を全波整流する(ステップS502)。
次に、前述したように、ステップS502で全波整流された交流電圧と、予め制御装置110に記憶されている電圧閾値とを比較して、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間が通電状態か否かを判断する(ステップS503)。
【0137】
ステップS503において、通電状態を判断されたら、そのときの(現状の)遠心ポンプ101の回転数(作動状態)を維持する(ステップS504)。
【0138】
ステップS504を実行した後は、ステップS501に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
【0139】
また、ステップS503において、非通電状態(通電状態ではない)と判断されたら、遠心ポンプ101の作動を停止する(ステップS506)。
【0140】
以上のような制御により、体外循環装置100Aは、気泡貯留室5内に気泡が過剰に溜まるのを確実に防止するように遠心ポンプ101の作動を制御することができ、よって、稼働率に優れたものとなる。
【0141】
また、ステップS503において、非通電状態と判断されたら、遠心ポンプ101の作動を停止するが、これに限定されず、例えば、遠心ポンプ101の作動を停止せずに、制御装置110が、クランプ107および108が閉状態、クランプ109が開状態となるよう制御してもよい。これにより、人工肺104を出た血液は、再循環ライン106を通って再度遠心ポンプ101の吸入口に戻ることとなる。よって、血液は、遠心ポンプ101および人工肺104を含む環状の流路を繰り返し循環(再循環)する。
【0142】
この再循環を行うことにより、気泡除去装置1A内の気泡を患者へ送るのを確実に防止することができるとともに、遠心ポンプ101が駆動し続けても、遠心ポンプ101内での血液の損傷を抑えることができる。
【0143】
また、再循環をしているとき、気泡除去装置1A内の気泡の除去を速やかに行い、その後、クランプ107および108を開状態、クランプ109を閉状態に戻し、通常の体外循環状態に復帰させる。
【0144】
<第2実施形態>
図9は、本発明の体外循環装置(第2実施形態)が有する気泡除去装置の電極部付近の断面図である。なお、図9では、図示されていないが、図中の回路には、後述する処理部114が設けられている。
【0145】
以下、この図を参照して本発明の体外循環装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0146】
本実施形態は、第2の電極部の設置箇所が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0147】
図9に示す気泡除去装置1Bの検出手段17Bの第2の電極部19bは、気泡貯留室5の溝53の底部55を貫通して、端面191が傾斜面52に露出している。
【0148】
また、第1の電極部19aは、前記第1実施形態の検出手段17Aと同様に、溝53の壁部54を貫通して、端面191が壁面541に露出している。
【0149】
図9に示すように、気泡貯留室5内の血液(液体)の液面が液面レベルQよりも上方にあるとき、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの端面191は、血液に接触する。第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間に電圧を印加した状態では、これらの電極部の間は、導通状態となる。
【0150】
また、気泡貯留室5内の血液(液体)の液面が液面レベルよりも下方にあるとき、少なくとも第1の電極部19aの端面191は、血液に接触しない。このとき、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間は、非導通状態となる。
【0151】
このように、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間は、液面の高さに応じて、導通状態と非導通状態とを取り得る。これにより、体外循環装置100A(検出手段17B)では、液面が液面レベルQより上方に位置するのか否かを検出することができる。
【0152】
なお、第2の電極部19bは、端面191が溝53内に露出して気泡貯留室5の溝53の底部55に設置されているが、これに限定されず、例えば、端面191が装置本体40の内部空間内に露出して、装置本体40の拡径部21の壁部、円錐台形部22の壁部、胴部23の壁部等に設置されていてもよい。
【0153】
さて、前述したように、従来の気泡除去装置では、気泡貯留室内の液面レベルを検出するのに、血液と気体とで超音波の透過率が異なるのを利用したセンサを用いていた。このセンサは、超音波を送信する超音波送信部と、超音波送信部から送信された超音波を受信する超音波受信部とを有し、これらが対向して配置されたものである。このようなセンサでは、超音波送信部と超音波受信部とを、気泡貯留室の一部に集約するように設置する必要があるため、センサの設置箇所が限られていた。
【0154】
しかしながら、気泡除去装置1Bでは、一方の電極部(第2の電極部19b)は、前述したように、必ずしも気泡貯留室5の一部に他方の電極部(第1の電極部19a)と集約するように設置しなくてもよい。
【0155】
超音波を利用した液面センサの場合、送信部と受信部とが分離されているものは、当該送信部および受信部が一直線上に設置されなければならないため、送信部および受信部の位置決めを行うのが困難となる。また、この液面センサの場合、気泡除去装置の送信部および受信部が設置される部分の(対向する)面同士が平行となる必要があるため、当該部分の形状が規制される。また、対向する各面の粗さを高精度に設定する必要がある。また、液面センサを小型化するのに限界があった。
【0156】
このような規制(問題)は、例えば、気泡除去装置の金型を高精度に設計することによる金型製造コストが増大したり、気泡除去装置の組立コスト(製造コスト)が増大したりするような、気泡除去装置の設計(製造)における障害となっていた。
【0157】
これに対し、本発明の気泡除去装置1Bの場合、第2の電極部19bの設置箇所は、自由、すなわち、当該第2の電極部19bが接液さえすれば気泡除去装置1Bのいかなる箇所でもよい。このため、気泡除去装置の設計の自由度が向上する。換言すれば、、気泡除去装置の設計における両電極間の平行度、両電極の位置決め精度、両電極が設置される面の粗さを、高精度に設定するのを省略することができ、また、第1の電極部19aおよび第2の電極部19bの大きさを小さく設定することができる。
【0158】
これにより、気泡除去装置の金型製造コストを抑制することができ、また、気泡除去装置の組立コスト(製造コスト)を抑制することができる。
【0159】
また、第1の電極部19aを板状のものを用いて、これを液面に対して垂直に設置した場合、血液の液面の低下に伴なって、血液に対する第1の電極部19aの接触面積が減少する。このため、第1の電極部19aと第2の電極部19bとの間の電流も減少する。このときの電流をアナログ的に検出することにより、任意の時点での液面の位置(レベル)を検出することができる。
【0160】
以上、本発明の体外循環装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、体外循環装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0161】
また、検出手段は、気泡貯留室内の血液の液面レベルを検出するよう構成されているが、これに限定されず、当該液面レベルに係る情報(例えば、圧力、質量)を検出するよう構成されていてもよい。
【0162】
また、気泡除去装置には、1つの検出手段が設けられているが、これに限定されず、例えば、複数の検出手段が設けられていてもよい。
【0163】
例えば、2つの検出手段が設けられている場合、一方の検出手段が第1の液面レベルを検出し、他方の検出手段が第1の液面レベルより下方の第2の液面レベルを検出するように、配置されているのが好ましい。
【0164】
この場合には、制御装置は、以下に記載するような制御を行うことができる。
血液の液面が第1の液面レベルに達したことを一方の検出手段が検出した場合には、制御装置は、気泡除去装置に流入する血流量が減少するよう、遠心ポンプの作動を制御してもよい。また、血液の液面が第1の液面レベルと第2の液面レベルとの間に位置する状態から、第1の液面レベルに達したことを、一方の検出手段が検出した場合には、制御装置は、そのときの遠心ポンプの作動状態を維持するよう制御してもよい。また、血液の液面が第2の液面レベルに達したことを他方の検出手段が検出した場合には、制御装置は、遠心ポンプの作動を停止するよう制御してもよい。
【0165】
また、複数の検出手段が設けられている場合、複数対の電極部間に、選択的に電気を供給してもよい。
【0166】
また、複数の検出手段が設けられている場合、各検出手段に給電部が設けられていてもよいし、複数の検出手段が1つの給電部を共有してもよい。
【0167】
また、体外循環装置(制御装置)は、電極間の過電流を防止する機能を有していてもよい。過電流を防止する方法としては、特に限定されないが、例えば、全波整流器から出力された出力信号と、制御装置に予め記憶されている電圧の閾値とを比較して、当該出力信号が電圧の閾値よりも大か否かを判断する方法が挙げられる。
【0168】
また、体外循環装置は、当該体外循環装置を使用する以前に、例えば検出手段(給電部)が正常に作動するか否かを検出する自己診断機能(ダイアグ機能)を有していてもよい。
【0169】
また、液体貯留室には、貯留した液体を排出する排出口を設けてもよい。これにより、貯留した液体が第2のフィルタに接触する(到達する)以前に、当該液体を液体貯留室から排出することができる。
【0170】
この排出口は、通常、密閉されているが、例えば術後などにその密閉を解除して、貯留した液体を取り除くよう構成されていてもよい。
【0171】
また、液体貯留室には、当該液体貯留室内を冷却する冷却手段を設けてもよい。これにより、液体貯留室内で水蒸気を確実に結露させることができ、よって、水蒸気が第2のフィルタを通過するのを確実に防止することができる。なお、冷却手段としては、例えば、液体貯留室本体の周囲にヒートシンクを設けることやペルチェ素子を装着すること等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】体外循環装置の実施形態の概要を示す図である。
【図2】図1に示す体外循環装置が有する気泡除去装置を示す断面側面図である。
【図3】図2中のA矢視図(下面図)である。
【図4】図2中のB−B線断面図である。
【図5】図3中のC−C線断面図である。
【図6】図3中のC−C線断面図である。
【図7】図1に示す体外循環装置の主要部のブロック図である。
【図8】図1に示す体外循環装置の制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図9】本発明の体外循環装置(第2実施形態)が有する気泡除去装置の電極部付近の断面図である。
【符号の説明】
【0173】
1A、1B 気泡除去装置
2 旋回流形成室
20 中心軸
21 拡径部
22 円錐台形部
23 胴部
3 流入口
31 下端
4 流出口
5 気泡貯留室
50 中心軸
51 底面
52 傾斜面
523 下部
53 溝
54 壁部
541 壁面
55 底部
6 第1連通部
7 第2連通部
8 陰圧室
9 第1のフィルタ(フィルタ部材)
91 上面
92 下面
93 最上端部
94 最下端部
11 円板
12 連結部材
15 液体貯留室
151 貯留室本体
152 逆止弁設置部
153 脱気口
154 端部
155 上部
16 第2のフィルタ
161 最上端部
162 最下端部
17A、17B 検出手段
171 給電部
18 連結管
181 底面
182 開口部
19a 第1の電極部
19b 第2の電極部
191 端面
30 逆止弁
40 装置本体
100A 体外循環装置
101 遠心ポンプ
102 脱血ライン
103 送血ライン
104 人工肺
105 流量計
106 再循環ライン
107、108、109 クランプ
110 制御装置(制御手段)
111 脱気ライン
112 陰圧レギュレータ
113 判断部
114 処理部
115 電流電圧変換器(変換部)
116 全波整流器(整流部)
117 体外循環回路
L 液体
Q 液面レベル
S500〜S505 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を移送して体外循環させる血液ポンプと、該体外循環する血液中の気泡を除去する気泡除去装置と、前記血液ポンプの作動を制御する制御手段とを有する体外循環装置であって、
前記気泡除去装置は、血液が流入する内部空間を有する装置本体と、前記装置本体の上側に設けられ、前記装置本体から浮上した気泡を一時的に貯留する気泡貯留室と、前記気泡貯留室内の血液の液面レベルまたはそれに係る情報を検出する検出手段とを備え、
前記検出手段は、少なくとも一部が前記気泡貯留室内に露出する第1の電極部と、少なくとも一部が前記装置本体内または前記気泡貯留室内に露出する第2の電極部と、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間に電気を供給する給電部とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段から得られた情報に基づいて、前記血液ポンプの作動を制御することを特徴とする体外循環装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判断部が前記第1の電極部と前記第2の電極部との間が液体を介して導通していると判断した場合には、そのときの前記血液ポンプの作動状態を維持するよう制御する請求項1に記載の体外循環装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判断部が前記第1の電極部と前記第2の電極部との間が導通していないと判断した場合には、前記血液ポンプの作動を停止するよう制御する請求項1または2に記載の体外循環装置。
【請求項4】
前記血液ポンプは、遠心ポンプである請求項1ないし3のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項5】
血液が移送されて体外循環するためのラインと、該ラインの一部を遮断可能なクランプと、前記体外循環する血液中の気泡を除去する気泡除去装置と、前記クランプの作動を制御する制御手段とを有する体外循環装置であって、
前記気泡除去装置は、血液が流入する内部空間を有する装置本体と、前記装置本体の上側に設けられ、前記装置本体から浮上した気泡を一時的に貯留する気泡貯留室と、前記気泡貯留室内の血液の液面レベルまたはそれに係る情報を検出する検出手段とを備え、
前記検出手段は、少なくとも一部が前記気泡貯留室内に露出する第1の電極部と、少なくとも一部が前記装置本体内または前記気泡貯留室内に露出する第2の電極部と、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間に電気を供給する給電部とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段から得られた情報に基づいて、前記クランプの作動を制御することを特徴とする体外循環装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間が液体を介して導通しているか否かを判断する判断部を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項7】
前記給電部により印加される電圧は、交流電圧である請求項1ないし6のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1の電極部と前記第2の電極部との間の交流電流を交流電圧に変換する変換部と、該変換された交流電圧を全波整流する整流部とを有する請求項7に記載の体外循環装置。
【請求項9】
前記気泡除去装置は、
前記装置本体に設けられ、該装置本体の頂部付近を前記気泡貯留室に連通させ、前記装置本体から浮上した気泡が通過する第1連通部と、
前記装置本体に設けられ、該装置本体の周壁部付近を前記気泡貯留室に連通させる第2連通部とを備え、
前記装置本体から浮上した気泡が前記第1連通部を通って前記気泡貯留室へ流入するとともに前記気泡貯留室内の血液が前記第2連通部を通って前記装置本体へ戻るよう構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項10】
前記気泡除去装置は、
前記気泡貯留室の上側に設けられ、脱気手段に接続されて陰圧に保たれる陰圧室と、
前記気泡貯留室と前記陰圧室とを隔てるように設けられ、前記気泡貯留室内の気体は通過させるが血液は通過させないフィルタ部材とを備える請求項1ないし9のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項11】
前記第1の電極部および前記第2の電極部は、前記気泡貯留室の下部付近に位置している請求項1ないし10のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項12】
前記第1の電極部および前記第2の電極部は、それぞれ、ステンレス鋼で構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の体外循環装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−130290(P2007−130290A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327320(P2005−327320)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】