体温検査装置、体温検査システムおよび体温検査方法
【課題】被測定者の温度の正常・異常を判定し、熱異常のある被測定者に対して、入場や出社を拒否する等の処置をとるための装置を提供すること。
【解決手段】体温検査装置1は、可視カメラ2と、温度カメラ3と、カードリーダ4と、スピーカ5と、モニタ6とを含む。被検温者は体温検査装置1の前に立ち、可視カメラ2で映された自分の顔をモニタ6で確認し、モニタ6内の顔枠内に自分の顔を収める。これに応じて、温度カメラ3で撮影された被検温者の顔の温度が計測され、次いで、それまで口を閉じていた被検温者に口を開くようにスピーカ5から案内が出される。応じて、被検温者が口を開くと、口腔内の温度が温度カメラ3で撮影され、その温度に基づいて、被検温者の体温の正常・異常が判定される。体温異常が判定されると、被検温者は入場等が拒否される。
【解決手段】体温検査装置1は、可視カメラ2と、温度カメラ3と、カードリーダ4と、スピーカ5と、モニタ6とを含む。被検温者は体温検査装置1の前に立ち、可視カメラ2で映された自分の顔をモニタ6で確認し、モニタ6内の顔枠内に自分の顔を収める。これに応じて、温度カメラ3で撮影された被検温者の顔の温度が計測され、次いで、それまで口を閉じていた被検温者に口を開くようにスピーカ5から案内が出される。応じて、被検温者が口を開くと、口腔内の温度が温度カメラ3で撮影され、その温度に基づいて、被検温者の体温の正常・異常が判定される。体温異常が判定されると、被検温者は入場等が拒否される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体温を非接触で測定するための技術に関し、特に、生体の熱異常を検出するための体温検査装置、体温検査システムおよび体温検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型インフルエンザ(A型インフルエンザ)や重症急性呼吸器症候群(SARS)等の伝染病の感染者を検出する方法として、被測定者の体温を非接触で測定し、体温が異常である場合に感染の恐れがあると判断する方法が提案されている。
特許文献1には、測定対象者の画像を撮像し、その画像から測定対象者の顔を認識した上で、その顔における体温測定部位の位置を算出し、その算出位置に赤外線検出ユニットの測定視野を位置合わせし、算出位置から放射される赤外線を検出して、測定対象者の体温を算出する自動検温装置および自動検温方法が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、撮像手段と赤外線検出手段とを備え、赤外線検出手段の測定視野の向きを可変制御することにより、任意の場所に存在する測定対象の体温測定が可能とされているが(特許文献1の段落[0015]参照)、測定対象に全く協力を求めず、自動的に測定を行う装置であるため、実用に供するには複雑なプログラム等が必要であって、測定に時間を要する等の課題があると思われる。
【0004】
特許文献2には、人や家畜の熱異常を検出するシステムおよび方法が開示されている。特許文献2に開示のシステムは、撮影画像中の人の目の位置のような第1の座標を判定し、この第1の座標に基づいて、撮影された熱画像中の分析領域を判定する構成を備えている。特許文献2に開示のシステムは、たとえば人々が検問所を通過する際に非接触で熱異常を検出することが可能であるが、実用に供するためには、撮像素子の分解能および熱画像撮像システムの分解能が高くなければならず、正確な熱異常の検出を短時間で行うことは困難であると思われる。
【0005】
特許文献3には、赤外線画像システムが開示されている。特許文献3に開示のシステムでは、被検体が装置の視野内にあるとき、被検体の赤外線画像を獲得し、赤外線画像データを用いて被検体についての温度情報を検出するという構成を有している(特許文献3の[請求項1]および段落[0043]参照)。
特許文献3では、赤外線画像装置の視野のフレーム内に参考温度システムを有しており(特許文献3の段落[0050]参照)、参考温度に基づいて被検体の温度を測定するため、被検体の体温の固体格差が大きい場合、正確な測定が行いにくい等の課題がある。
【0006】
さらに、一般に、被測定者の顔面の体温を測定しようとした場合、たとえば被測定者が低温度の外部から建物内に入ったばかりの状態であれば、顔全体が冷却されていて、実際は発熱しているにもかかわらず測定結果は低い温度になるといった不具合が予期される。
また、伝染病の拡大等を予防するためには、特許文献1〜3で述べられているように、感染上の問題から、非接触で被測定者の熱異常を検出することが必要とされる。
【0007】
そして、公衆衛生機関からは、いくつかの伝染病に共通な体温上昇の兆候を示す人々を見つけ出すための迅速な健康診断プロセスを開発することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−237861号公報
【特許文献2】特開2006−231065号公報
【特許文献3】特表2007−516018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上記背景技術のもとになされたものであって、その解決課題は、被測定者の温度の正常・異常を、非接触で短時間に判定することである。
この発明は、被測定者の温度の正常・異常を判定し、熱異常のある被測定者に対して、入場や出社を拒否する等の処置をとるための装置、システムおよび方法を提供することを主たる目的とする。
【0010】
また、この発明は、非接触で、短時間に、被測定者の協力を条件として、被測定者の温度異常を正確に判定することのできる装置、システムおよび方法を提供することを他の目的とする。
さらに、この発明は、簡易な構成で、検出動作の速い体温測定装置、システムおよび方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、赤外線検出手段と、被測定者の顔の位置を前記赤外線検出手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の顔の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、前記体温検出手段で算出される温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、を含むことを特徴とする体温検査装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられ、予め定められた顔の中の複数の体温測定部位の温度を計測するための赤外線検出手段と、被測定者の前記複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、を含むことを特徴とする体温検査装置である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記撮像手段で撮像される被測定者の画像を認識し、被測定者の顔の中に複数の体温測定部位を定める測定部位決定手段、を含むことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置である。
請求項4記載の発明は、前記撮像手段で撮像される被測定者の可視画像を表示するための表示手段を有し、前記顔位置案内手段は、前記表示手段に表示される被測定者の顔の位置を予め定める位置に案内することを特徴とする、請求項2または3記載の体温検査装置である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記赤外線検出手段は、赤外線カメラを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の体温検査装置である。
請求項6記載の発明は、前記顔位置案内手段は、所定のタイミングで、口を閉じる前記被測定者に対し、口を開くかまたは舌を出すように促すことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置である。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記所定のタイミングは、前記被測定者の顔の位置が予め定める位置になった後、数秒以内であることを特徴とする、請求項6記載の体温検査装置である。
請求項8記載の発明は、前記体温検出手段が算出する複数の温度データは、被測定者の額および閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データを含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の体温検査装置である。
【0016】
請求項9記載の発明は、前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データに関して、複数の体温測定部位から得られた複数回の計測最高温度データの平均値を求め、被測定者の閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データに関して、複数回の計測最高温度データの最高温度または平均温度を採用して、前記判定を行うことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の体温検査装置である。
【0017】
請求項10記載の発明は、前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高い場合に、口腔(舌を含む)の温度データを被測定者の体温とみなすことを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置である。
請求項11記載の発明は、前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、体温異常を判定することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置である。
【0018】
請求項12記載の発明は、前記被測定者は、所定の団体に所属する団体員であって、各自にIDコードが割り当てられており、前記IDコードを入力するID入力手段と、前記体温検出手段の算出する温度データを前記ID入力手段から入力されるIDコードとともに記憶する記憶手段と、前記IDコードに関連付けて記憶された個人の平熱から、前記予め設定された温度を更新する手段と、を含むことを特徴とする、請求項11記載の体温検査装置である。
【0019】
請求項13記載の発明は、前記団体員は、IDコードが表記されたIDカードを有しており、前記ID入力手段は、IDカードが前記撮像手段に対して所定の位置に対向された時に、撮像手段によってIDコードが読み取られ、IDコードが入力されることを特徴とする、請求項12記載の体温検査装置である。
請求項14記載の発明は、前記体温検出手段は、前記被測定者の顔の部位の検出・算出された温度データに基づいて、被測定者が生体であるか否かを特定し、生体であることを特定したときは、その温度データを記憶する記憶手段を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の体温検査装置である。
【0020】
請求項15記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段、および被測定者の顔の位置を前記撮影手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段、を含む検査用ユニットと、前記検査用ユニットと通信回線を介して接続された制御ユニットとを含み、前記制御ユニットは、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、を含むことを特徴とする、体温検査システムである。
【0021】
請求項16記載の発明は、前記検査用ユニットは、複数個備えられており、当該複数個の検査用ユニットが前記通信回線を介して前記制御ユニットと接続されていることを特徴とする、請求項15記載の体温検査システムである。
請求項17記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を検出するステップと、前記検出された赤外線に基づいて、複数の体温測定部位の温度データを算出するステップと、算出した複数の体温測定部位の温度データに基づいて、被測定者の体温の正常・異常を判定するステップと、被測定者の体温異常を判定したときに、それを報知するステップと、を含むことを特徴とする、被測定者に対する非接触体温検査方法である。
【0022】
請求項18記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者から放射される赤外線を検出するステップとを有し、前記赤外線を検出するステップは、被測定者の所定の体温測定部位から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップと、前記所定の体温測定部位から放射される赤外線の検出の後、所定のタイミングで、口を閉じている被測定者に口を開くかまたは舌を出すことを促すステップと、前記ステップに応答して被測定者が口を開いたとき、閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップとを含み、さらに、算出された所定の体温測定部位の温度データと、口腔(舌を含む)の温度データとを比較し、前者の温度データよりも後者の口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、被測定者の熱異常を判定するステップと、判定した熱異常を報知するステップと、を含むことを特徴とする被測定者の体温検査方法である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、赤外線検出手段、顔位置案内手段を含む簡易な構成によって、また、被測定者に簡単な動作協力を促すことにより、被測定者の体温を非接触で迅速にかつ正確に検出することができる。
請求項2記載の発明によれば、可視画像を撮像するための撮像手段により被測定者の顔を撮像するにあたり、顔位置案内手段により、被測定者の顔の位置を撮像手段に対して予め定める位置に案内する。被測定者が顔位置案内手段による案内に協力して、予め定める位置に位置すると、被測定者の顔が撮像手段で撮像される。そして、予め定められた顔の中の複数の体温測定部位から放射される赤外線が赤外線検出手段により検出され、体温が計測される。計測された体温は、予め設定された設定値と対比等され、被測定者の体温の正常・異常が判定されて、体温異常のときはそれが報知される。
【0024】
従って、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様に、非接触で、かつ、被測定者に簡単な協力を求めることにより、迅速にかつ正確な体温測定が行える。
請求項3記載の発明では、撮像手段で撮像される被測定者の画像を認識することにより、被測定者の顔の中に複数の体温測定部位を決定することができる。
請求項4記載の発明では、撮像された被測定者の可視画像を表示するための表示手段が備えられているから、顔位置案内手段は、表示手段に表示される顔の画像が所定位置になるように案内すればよく、被測定者は顔の位置を予め定める位置に容易に移動させられる効果がある。また、被測定者が口を開いた時の測定データであることも確認できる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、市販の赤外線カメラを用いて、容易に装置を構成することができる。
請求項6、7および8記載の発明によれば、被測定者の体温測定にあたり、口を閉じた状態で口腔の温度が安定した後に口を開くように求めるため、被測定者の口腔温度を測定することができ、より正確な体温測定を実現することができる。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、額の温度は複数回の最高検出温度の平均値とし、口腔の温度は最高温度とすることにより、より正確に体温異常の判定を行うことができる。あるいは、口腔の温度も、複数回の最高検出温度の平均値としてもよい。
請求項10記載の発明によれば、口腔の温度データを被測定者の体温とみなすことにより、正しい体温測定を行うことができる。
【0027】
請求項11記載の発明によれば、体温異常の判定が正確に行える。
請求項12記載の発明によれば、各個人で異なる平熱を参照して、より正確な体温異常の測定が可能となる。
請求項13記載の発明によれば、団体員の体温管理が行える装置とすることができる。
請求項14記載の発明によれば、生体認証を行うことができ、生体認証を行った場合にだけ体温検出のできる装置とすることができる。
【0028】
請求項15記載の発明によれば、たとえばネットワーク制御型の体温検査システムを提供することができる。
請求項16記載の発明によれば、体温検査システムにおいて、制御ユニットを複数の検査用ユニットに対して共用でき、多数の検査用ユニットを1つの制御ユニットで制御可能なシステムとすることができる。
【0029】
請求項17記載の発明および請求項18記載の発明によれば、被測定者に簡単な動作協力を求めることによって、迅速にかつ正確に被測定者の体温検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る体温検査装置1の外観イメージを示す正面図である。
【図2】図2は、この発明の一実施形態に係る体温検査装置1の外観イメージを示す右斜め前方から見た斜視図である。
【図3】図3は、体温検査装置1の構成ブロック図である。
【図4A】図4Aは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4B】図4Bは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4C】図4Cは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4D】図4Dは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4E】図4Eは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4F】図4Fは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4G】図4Gは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図5】図5は、体温測定結果のデータの蓄積例を示す図である。
【図6A】図6Aは、体温検査装置1の制御動作を表わす概略フロー図である。
【図6B】図6Bは、体温検査装置1の制御動作を表わす概略フロー図である。
【図7】図7は、この発明の他の実施形態に係る体温検査システム50の構成ブロック図である。
【図8A】図8Aは、体温検査システム50において、制御ユニット54のモニタ58に表示されるいずれかの検査ユニット52における温度計測の様子を表わす表示画面イメージ図である。
【図8B】図8Bは、体温検査システム50において、制御ユニット54のモニタ58に表示されるいずれかの検査ユニット52における温度計測の様子を表わす表示画面イメージ図である。
【図9A】図9Aは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図9B】図9Bは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図9C】図9Cは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図9D】図9Dは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図10】図10は、可視カメラ2および温度カメラ3の配置位置および画角設定等を説明するための一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る体温検査装置1の外観イメージを示す正面図であり、図2は、その体温検査装置1の外観イメージを示す右斜め前方から見た斜視図である。
図1および図2を参照して、体温検査装置1には、可視カメラ2、温度カメラ3、カードリーダ4、スピーカ5およびモニタ(表示器)6が備えられている。
【0032】
可視カメラ2は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段の一例であり、公知のCCDやCMOSセンサを用いたデジタルカメラやデジタルムービーカメラを例示することができる。温度カメラ3は、被測定者から放射される赤外線を検出する赤外線検出手段としての機能と、検出された赤外線に基づいて熱画像(温度分布画像)を生成する体温検出手段としての機能を有するものである。温度カメラは、たとえば赤外線カメラを含む構成とすることができる。また、温度カメラに代えて、スポット的に赤外線を検出する赤外線検出器を用いてもよい。
【0033】
この実施例では、可視カメラ2と温度カメラ3とは、撮影画角が異なっている。すなわち、可視カメラ2は相対的に狭画角、温度カメラ3は相対的に広画角となっており、図2に示すように、温度カメラ3の先端面(対物レンズ面)に対し、可視カメラ2の先端面(対物レンズ面)は予め定める距離Lだけ後方に配置されている。
このように構成することにより、可視カメラ2でバーコードやQRコード等を読み取る際に、温度カメラ3の前面を基準位置にして、バーコードやQRコードを可視カメラ2に対向させることにより、バーコードやQRコードが可視カメラ2で適切に読み取れるという利点がある。この点の詳細は、後述する。
【0034】
カードリーダ4は、IDカードからIDコードを読み取るためのものである。カードリーダ4は、ICチップ内蔵のカードから非接触でIDコードを読み取るカードリーダとしてもよいし、IDカードから磁気カード式に記録されたIDコードを読み取ることのできる磁気データのリーダとしてもよい。あるいは、両方の機能を有するカードリーダとしてもよい。
【0035】
スピーカ5は、被測定者としての被検温者に対し、体温検査装置1の操作方法や検温結果等を報知するためのものである。モニタ6は、可視カメラ2で撮影された被検温者の可視画像および温度カメラ3で撮影された被検温者の温度画像を表示する。また、操作部および操作内容が、いわゆるタッチパネル方式により表示され、被検温者または管理者が所定の操作を行えるものであってもよい。
【0036】
なお、図1および図2では、縦長箱状のハウジング7の上方前面8にスピーカ5およびモニタ6が配置され、ハウジング7の上面9上に温度カメラ3、可視カメラ2およびカードリーダ4が配置された構成を例示したが、各部材の配置構造はこのような配置に限定されるものではなく、全体が1つの装置としてハウジング内に組み込まれた構成や、その他の構成であってもよい。
【0037】
図3は、体温検査装置1の構成ブロック図であり、図1および図2で説明した可視カメラ2、温度カメラ3、モニタ6、操作部10および制御部11が一体型の構成ブロック図である。
体温検査装置1には、上述したように、可視カメラ2、温度カメラ3、カードリーダ4、操作部10、モニタ6およびスピーカ5が備えられており、これらは制御部11に接続されて、制御部11の制御下に置かれている。制御部11は、図1および図2で説明したハウジング7内に設けられている。
【0038】
制御部11には、必要に応じて、LAN12等を介して所定の場所に設置されたサーバー13が接続されていてもよい。
可視カメラ2は、被検温者の顔Fを撮影するためのものであり、顔F撮影のための最適距離L1は、たとえば30〜50cmである。温度カメラ3は、被検温者の顔Fの温度画像を撮影するためのものであり、顔F撮影のための最適距離L2は、たとえば20〜40cmである。このため、被検温者は、可視カメラ2の前方L1で、温度カメラ3の前方L2の位置に顔Fを対向させた場合、被検温者の顔Fに可視カメラ2および温度カメラ3の焦点が合い、被検温者の顔Fを可視カメラ2および温度カメラ3でそれぞれ同時に撮影できる。
【0039】
さらに、可視カメラ2はIDカード14に印刷されたバーコードまたはQRコード等の光学的に読み取り可能なIDコードを読み取ることができる。IDコードを読み取る際には、可視カメラ2の前方Lの位置に、IDカード14を対向させると、可視カメラ2の焦点がIDコードに合うように構成されている。可視カメラ2の前方Lの位置は、温度カメラ3の先端とされている。よって、被検温者は、自己のIDカード14を温度カメラ3の先端に合わせて可視カメラ2の前方に対向させれば、IDカード14に印刷されたIDデータが可視カメラ2により読み取られる仕組みとなっている。
【0040】
換言すれば、この実施例では、温度カメラ3の先端を目印として、ガイドを特別に設けることなく、IDコードを可視カメラ2で読み取れる構成とされている。
図4A〜図4Gは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
次に、体温検査装置1がたとえば或る会社の社員用通用口に設置された場合を例にとって、その運用操作の内容を、画面イメージを中心に説明する。
【0041】
体温検査装置1によって、出勤してきた社員一人一人の体温検査を行い、体温異常と判定された社員は、勤務を休ませて帰宅させる等の処置を講じ、社内に体温異常者を入れないようにして、伝染病等が社内で感染する恐れを防止することができる。
図4Aに示すように、モニタ6の表示には、ガイダンス表示部21、可視画像表示部22、熱画像表示部23、社員表示部24、第一判定表示部25、第二判定表示部26、上部最高温および下部最高温表示部27、設定ボタン28、確認ボタン29および終了ボタン30が含まれている。
【0042】
体温検査装置1は、可視カメラ2によって被検温者である社員が映し出されたことを、たとえば画像認識により判別する。そして、ガイダンス表示部21にたとえば「社員IDをタッチして下さい。」という表示を出す。これに応じて、社員が自己のIDカードをカードリーダ4にかざすことにより、IDカードに記録された社員番号等が読み取られて、社員が特定される。特定された社員番号および社員の氏名は社員表示部24に表示される。
【0043】
次いで、図4Bに示すように、ガイダンス表示部21に「顔を枠に合わせて下さい」という案内を出す。可視画像表示部22には、予め定める大きさの枠22Aが示されている。同様に、熱画像表示部23にも予め定める大きさの枠23Fが示されている。社員は、可視画像表示部22に映った自分の顔を確認し、その映った自分の顔が枠22Fに収まるように、体温検査装置1(可視カメラ2)との距離や横方向のずれを修正する。
【0044】
この実施例の特徴の1つは、ガイダンス表示部21に「顔を枠に合わせて下さい。」という案内表示を出し、それに従って、社員(被検温者)が可視カメラ2に対する位置を所定の位置に移動するという社員(被検温者)の協力動作を要求していることである。
このように、被検温者に検温処理時に簡単な協力を求めることにより、短時間で被検温者の体温測定を正確にかつ迅速に行うことができる。
【0045】
図4Bに示すように、社員(被検温者)が可視カメラ2に対して所定の位置になると、社員の顔が枠22F内に収まる。体温検査装置1は画像認識によってそれを判別し、あるいは画像が枠22F内に収まって動かなくなったことを検出することにより、自動的に第一判定処理を開始する。
すなわち、図4Cに示すように、ガイダンス表示部21にたとえば「顔上部(額部)の温度を測定します。」という表示を出し、顔上部(額部)の温度を温度カメラ3によって、たとえば1秒間に3コマの速度で5コマ撮影する。撮影は、同時に、可視カメラ2でも行う。
【0046】
なお、顔上部の温度を測定するに際し、上述のように、「顔上部(額部)の温度を測定します。」という表示をガイダンス表示部21に出すが、その時、同時に、「口を閉じて下さい。」という音声ガイドを出力したり、表示を出したりしてもよい。
そして撮影結果を第一判定表示部25に表示する。すなわち、5コマの可視画像、熱画像および計測温度(各コマにおける計測最高温度)ならびに複数回の計測温度の平均値または最高値を表示する。
【0047】
5コマの温度計測位置は、顔上部(額部)の中央の同じ位置であってもよいし、あるいは、顔上部(額部)の異なる箇所の位置をピンポイント的に計測してもよい。
5コマの計測値(計測最高温度)の中の最高温を、上部最高温表示部27に表示する。
なお、ここで、「(各コマにおける)計測最高温度」とは、各コマの計測に、たとえば35msecを要するとして、この35msecの計測時間内に計測温度は微小変動をする。よって、計測時間内に計測された最高温度を計測値とするという意味である。
【0048】
5コマの顔上部(額部)の温度計測は、秒3コマの速度で実行されるため、約2秒で第一判定が完了する。この2秒間は、社員は口を閉じているので、2秒間の閉口時間内に、社員の口腔温度が安定する。第一判定が完了すると、体温検査装置1は、スピーカ5により、社員に「口を大きく開けて下さい」という案内を出す。社員は案内に従って口を開く。口を開いた際に、舌を外部に出してもよいし、口を開くだけであってもよい。
【0049】
このように、この実施例では、社員(被検温者)に口を閉じ口内温度が安定した後に口を開くことを促し、社員(被検温者)がその指示に従うように協力することで、社員(被検温者)の体温を短時間でかつ正確に測定できるという利点がある。
換言すれば、被検温者に簡単な動作協力を求めることにより、迅速でかつ正確な体温検知が実現されている点が、この実施形態の特徴の1つである。
【0050】
図4Dに示すように、社員が口を開けると、画像認識によりそれを検知して、ガイダンス表示部21に「顔下部(口内部)の温度を測定します。」という表示を出し、やはり1秒間に3コマの測定速度でたとえば5コマの口腔(舌を含む)の温度を計測する。つまり、口を閉じて口腔内の温度が安定した状態から口を開いた直後の口腔(舌を含む)の温度を複数回計測する。そして下部最高温表示部27に口内部の最高温度を表示するとともに、第二判定表示部26に、5コマ分の計測結果(各コマ毎の計測最高温度)と、5コマの中の最高体温を表示する。
【0051】
そして、第1判定結果(顔上部(額部)の5回の計測温度の平均値TA1)よりも第2判定で得られた口腔(舌を含む)の最高温度TB2の方が高く、かつ、最高温度TB2が予め定める基準温度未満の場合は、体温が正常であると判定する。
そしてその結果、図4Eに示すように、ガイダンス表示部21に、たとえば「測定値は正常です。社内へお入り下さい。」という表示を出す。
【0052】
一方、口内部の温度を5コマ計測する際に、計測結果が所定の基準値以上となった場合は、第二判定において5コマ全てを計測することなく、図4Fに示すように、口内部の最高温度TB2が予め定める基準温度(たとえば38.0℃)以上の場合は、測定を終了し、ガイダンス表示部21に「発熱が疑われます。管理者の指示に従って下さい。」というような表示をする。
【0053】
このため、発熱が疑われた社員は、社内に入ることができず、管理者の指示に従い、たとえば自宅で静養する等の対応をとることになる。
図4Aの状態から、図4Bに示す状態にならなかった場合、すなわち社員が可視画像表示部22の枠22F内に自分の顔を収めなかった場合において、一定時間が経過した時には、図4Gに示すように、ガイダンス表示部21に「顔が見つかりません。再計測して下さい。」といった表示を出す。
【0054】
この場合は、社員は、たとえば設定ボタン28を押す。これにより、読み取られている社員番号のデータに関連して、再度体温計測を開始する。
また、各社員の体温測定結果は、制御部11のメモリに記憶してもよいし、別に設けたサーバー13に蓄積データとて記憶してもよい。データの蓄積例を図5に示す。図5において、符号Gで示す蓄積データは、図4Gで説明したような測定不可能な場合のデータあり、判定結果として「顔サーチ不可」という内容が記憶される。そして再計測により異常がなければ、再計測で判定がOKである旨が記録される(符号Gの一行下を参照)。
【0055】
また、図4Fのような判定結果になった場合は、図5に符号Fで示すように、発熱確認の判定結果が記録される。これらの記録は、ID番号に関連付けて記録されているので、この記録から社員の健康管理(発熱管理)をし、社員の健康指導その他に役立てることが可能である。
次に、体温検査装置1の制御動作について、フローチャートを参照して説明をする。
【0056】
図6Aおよび図6Bは、体温検査装置1の制御動作を表わす概略フロー図である。図6Aおよび図6Bの流れに沿って、図1〜図4Gを参照しながら、体温検査装置1の動作について説明をする。
まず、体温検査装置1が設置された後、動作を開始する前の準備処理が行われる。準備処理は、ステップS1〜ステップS5で示されている。すなわち、まず、可視カメラ2の撮影設定をする(ステップS1)。撮影設定とは、たとえばフォーカスの設定(自動、または、固定焦点設定(たとえば10cmおよび30cm等))、シャッタースピード設定、ゲイン調整等である。
【0057】
そして、設定した可視カメラ2に電源を投入し、可視カメラ2の撮影を開始させる(ステップS2)。可視カメラ2は、いわゆるデジタルカメラであり、常時電源が投入されていて、前方の画像を捉えており、シャッター信号に応答してその画像を取り込む(撮像する)ものである。
次に、温度カメラ3の撮影設定をする(ステップS3)。温度カメラ3は、この実施例では赤外線カメラが採用されており、判定用の温度補正値設定などを行う。そして温度カメラ3の撮影も開始させる(ステップS4)。温度カメラ3も可視カメラ2と同様、その前方の被測定対象物を常時映していて、シャッター信号に応答して被測定物のデータを取り込む構成である。
【0058】
次にカメラキャリブレーション処理を行う(ステップS5)。カメラキャリブレーションとは、可視カメラ2および温度カメラ3の撮影エリアが一致するように調整することである。
前述したように、可視カメラ2と温度カメラ3とは画角が異なっているので、予め定める位置に対して、両カメラ2、3の撮影エリアが一致するように調整する。
【0059】
以上のステップS1〜S5に示す準備処理は、体温検査装置1を最初に設置する場合、メンテナンスした後、あるいは、たとえば毎朝の稼働開始前や、週始めの稼働前等に行われる。そして、一度設定が行われて調整済の場合は、ステップS1〜S5の処理は省略して、以下のステップS6からの動作を行う。
電源が投入され、設定処理が終わった体温検査装置1は、モニタ6のガイダンス表示部21に、たとえば「社員証をタッチして下さい。」といったガイダンスメッセージを表示させる。体温検査装置1で体温を測定する社員は、自己の社員証をカードリーダ4にかざす。これより、ユーザID(その社員を特定するための識別情報)が入力される(ステップS7)。
【0060】
この実施例では、ICカード方式(たとえば「フェリカ(登録商標)方式」の社員証が用いられ、その社員証をカードリーダ4にかざすことによりユーザIDが入力できる構成として説明するが、ユーザIDの入力は、このような入力方式に限定されない。
たとえば、ユーザIDは、モニタ6のタッチパネルを用いて、手入力を行う方式、社員証にバーコード、QRコードを印刷しておき、それらバーコードまたはQRコードを光学的に読み取る方式、指紋、声紋、顔認証等の生体認証方式などから、運用状況に応じた方式を選択することができる。
【0061】
あるいは、ID入力は、複数の方式が可能とし、ユーザが所望の方式で入力できる構成としてもよい。
なお、ID入力をバーコードまたはQRコードを光学的に読み取って入力する方式の場合、前述したように、可視カメラ2によってバーコードまたはQRコードを読み取る方式としてもよい。生体認証の方式の場合は、たとえば顔認証とし、後述するように、温度カメラ3を利用した生体検知方式とすることも可能である。
【0062】
ステップS6、S7で行うユーザIDの入力処理(装置1側から見ると、ユーザID取得処理)は、個々のユーザに対する記録を残さない運用を行う場合には省略してもよい。
個々のユーザの記録を残す場合とは、前述したように、ユーザが会社社員であり、社員らは出勤時に、この体温検査装置1を通過して社内に入場するという運用がなされる場合である。この場合は、社員個々の健康管理等を行うという観点から、ユーザIDの取得が有効である。
【0063】
一方、体温検査装置1がコンサートホールの入口やスタジアム(野球場やサッカー競技場)の入口に設置され、熱異常者(発熱者)の入場規制のために用いる場合などには、個人情報に配慮し、記録を残す必要がないから、ユーザIDの取得は不要と考えられる。ユーザIDの取得が不要な場合には、上述のステップS6、S7の処理は省略する。
そして、温度計測1を行う。この処理内容は、ステップS8〜S18に示されている。
【0064】
温度計測1では、検温する社員の顔を検出し、額部と閉じた状態の口部の最高温度を計測する。温度計測1では、次のステップで計測する口腔(舌を含む)の温度を安定させるため、一定時間(たとえば2秒)社員が口を閉じた状態を継続したことを確認する処理も行う。
具体的に説明すると、まず、ガイダンス表示部21に「顔を枠に合わせて下さい」というメッセージを表示させる(ステップS8)。そして可視カメラ2により映される画像を認識し、社員の顔の検出を開始する(ステップS9)。
【0065】
その結果、図4Bに示すように枠22F内に収まった社員の顔が検出できた場合には(ステップS10でYES)、画像認識により社員は口を閉じているか否かの判別をする(ステップS13)。
ステップS13において、画像認識による口の開閉状態の判定が困難な場合には、ステップS10で検出した顔の輪郭から、口の位置を推定する処理を行ってもよい。そして、口を閉じているか否かの判定は、検出した顔の輪郭から、口の位置を推定し、可視画像または熱画像に一定時間(たとえば2秒間)特別な変化がないことを確認し、口を閉じていると判定してもよい。
【0066】
あるいは、一定時間(たとえば2秒間)の可視画像履歴をモニタ6または管理者用のモニタに表示して、社員または管理者が目視判定により口を閉じているか否かを確認し、それを入力する構成としてもよい。
ステップS13で、社員が口を閉じていると判定されると、次いでその状態が一定時間(たとえば2秒間)継続されたか否かの判定をする(ステップS15)。
【0067】
ステップS10で社員の顔が検出できない時には、その検出を検出時間が経過するまで実行し(ステップS11)、検出時間内に社員の顔が検出できない場合には、ガイダンス表示部21にたとえば「顔が見つかりません」といった表示を出す(ステップS12:図4G参照)。
ステップS13で、社員が口を閉じていない場合には、ガイダンス表示部21にたとえば「口を閉じて下さい」という表示を出す(ステップS14)。
【0068】
そして、社員の顔が検出でき、かつ口を閉じていると判別したときには、その状態が一定時間(たとえば2秒間)継続したか否かの判定を行う(ステップS15)。
ステップS15の判定が肯定されると、枠22Fおよび23F内に社員の顔が位置し、かつ、口を閉じた状態が一定時間継続しているので、その状態において、額部の最高温度(TA1)を計測し(ステップS16)、閉じた口部の最高温度(TB1)を計測し(ステップS17)、その時に映されている社員の可視画像および熱画像を取り込んで(撮影して)保存する(ステップS18)。
【0069】
そして、結果判定1として、ステップS19で、額部の最高温度TA1を、予め設定した最低温度Tmin(Tminは、たとえば34℃と設定する。)と比較し、最低温度以上であることを確認する。もし、額部の最高温度TA1が最低温度(Tmin)未満である場合(ステップS19でNO)には、ガイダンス表示部21に「再計測して下さい」といった表示を出して、再計測を促す(ステップS20)。
【0070】
ステップS19で、額部の温度が最低温度以上であることを確認するのは、たとえば検温する社員が外部から入館した直後で、外部の冷気に長時間当っていたため、額部の温度が冷たく、正しい体温計測ができない場合を除外するためである。
上述した温度計測1の処理では、ステップS15において口を閉じた状態が一定時間継続するのを待ち、その後に温度計測(ステップS16、S17)を行う構成としたが、これに代えて、ステップS15の判定は省略し、ステップS13で口を閉じていると判定すると、直ちに額部の温度計測を行ってもよい。なぜなら、ステップS13で口を閉じていると判定後、額部および口部の温度計測処理を、たとえば5コマ完了し終えるまでに約2秒を要するから、その2秒間を社員が口を閉じていれば、閉じられた口腔内の温度が安定するからである。
【0071】
ステップS16では、額部の温度計測を行う。この温度計測は、1回だけではなく、たとえば1秒間に3回というインターバルで5回の温度測定を行う。そして温度計測した際の可視画像および熱画像を取り込み、取り込んだ可視画像および熱画像とともに、計測温度を表示する。この表示例が、図4Cの第一判定表示部25に表示された内容である。
口を閉じた状態の社員(被検温者)の顔面の温度計測は、額部だけを複数回計測せず、閉じた口部の温度計測も行ってもよい(ステップS17)。
【0072】
そして、複数回の温度計測結果の最高温度をステップS19において設定最低温度Tminと比較するようにしてもよいし、あるいは、複数回の計測温度の平均値を算出し、その平均値を設定最低温度Tminと対比してもよい。
また、ステップS16において、額部の検出が困難な場合は、先に検出した顔の輪郭から、額部の位置を推定して、その推定位置の温度を計測する処理としてもよい。
【0073】
さらに、ステップS16およびS17の温度計測処理において、温度カメラ3の撮像品質に応じ、メディアンフィルタ等のノイズ除去フィルタを適用してもよい。
次に、温度計測2の処理を行う。温度計測2は、図6BのステップS21〜S30の処理であり、以下具体的に説明する。
まず、モニタ6のガイダンス表示部21に、たとえば「口を開けて下さい」という表示を出し(ステップS21)、可視カメラ2が映す画像を認識して顔検出を開始する(ステップS22)。そして顔を検出できたか否かの判定をし(ステップS23)、検出時間内に顔検出ができなかった場合には(ステップS24でYES)、ガイダンス表示部21にたとえば「顔が見つかりません」という表示を出す(ステップS25)。
【0074】
社員がカメラ画像表示部22の枠22F内に顔を合わせている場合には、可視カメラ2により顔が映され、それが検出されるから、ステップS23の判定は肯定され、次に、社員の口が開いているか否かの判定をする(ステップS26)。
そして口を開いていないと判定すると、ガイダンス表示部21にたとえば「口を開いて下さい」という表示を出す。また、同様の案内をスピーカ5で音声によりガイドする。
【0075】
図6Bに示すフローチャートでは、ステップS22〜S25において、図6Aに示すフローチャートのステップS9〜S12と同様の画像認識による顔検出処理を行う構成を説明したが、この一連の処理フローにおいては、ステップS10で既に顔を検出しているため、ステップS22〜S25の処理を省略することも可能である。すなわち、ステップS10で既に顔を検出しているので、その検出した顔の画像を再認識し、口を閉じた状態の画像から口を開いた画像に変化したかを判定する処理(ステップS26)だけとしてもよい。
【0076】
なお、ステップS26において、口を開いた状態になったか否かの判定が画像認識では困難な場合、温度カメラ3の検出温度を参照して、口部の検出温度が変化したか否かにより、口が開けられたことを判定してもよい。
あるいは、モニタ6の画像または管理者用モニタの画像において、社員または管理者が目視判定し、口が開けられた画像を確認した後、確認ボタン29等を押す処理としてもよい。
【0077】
社員の口が開けられたと判定すると、額部の温度TA2を計測し(ステップS28)、口部の温度TB2を計測し(ステップS29)、計測時の可視画像および熱画像を保存する(ステップS30)。
ステップS28で計測する額部の温度TA2の計測は、ステップS16で計測した額部の温度TA1との一致確認等の判定に使用するために計測するものであるが、この額部の温度計測は省略してもよい。
【0078】
社員が口を開いた直後の口部の温度計測(ステップS29)は、1回だけの計測であってもよいし、複数回の計測としてもよい。
図4Dを参照して説明した画面イメージにおいては、口を開いた状態の口部の温度、すなわち口腔(舌を含む)の温度計測を5回行う構成としている。この計測も、たとえば1秒間に3回のインターバルで5回計測し、計測時の可視画像および熱画像を保存して(ステップS30)、それら可視画像および熱画像とともに口腔(舌を含む)の温度がモニタ6に表示されるのが好ましい。
【0079】
次に、結果判定2の処理を行う。結果判定2の処理では、計測した額部の温度TA1および口部の温度TB1、TB2の関係、ならびに、開いた口部(口腔(舌を含む))の温度TB2の関係が、予め定める関係に収まっているか否かを判定する。
この判定のために、計測結果の温度について、以下のように定義をする。
額部の最高温度:TA1
閉じた状態の口部の最高温度:TB1
開いた状態の口部(口腔(舌を含む))の最高温度:TB2
設定最低体温:Tmin
設定最高体温:Tmax
とし、ステップS31では、
TA1≦TB2、かつ、TB1≦TB2
の判定をする。
【0080】
すなわち、額部より口腔(舌を含む)の温度が高く、かつ、閉じた口部より開いた口部の温度が高いこと、を判定する。
社員の体温が正常な場合は、通常、ステップS31の判定は肯定される。
そのため、次いでステップS32において、
Tmin≦TB2
の判定をする。すなわち、設定最低体温よりも口腔(舌を含む)の温度が高いことの確認をする。
【0081】
通常、額部の温度(TA1)より口腔(舌を含む)の温度(TAB)の方が高いはずであり、口腔(舌を含む)の温度が社員の真の体温に近いことが確認されている。ところが、仮に、社員が、体温計測の直前に、冷水を飲んだり、アイスクリームやキャンディ等を飲食していたり、計測直前まで冷気の中で口を開けた状態であった場合等には、口腔温度が低いことがある。
【0082】
ステップS32では、そのような場合を除外するために、Tmin≦TB2であることの確認を行っている。
ステップS31またはS32で、各判定を否定した場合には、ステップS33へ進み、ガイダンス表示部21にたとえば「計測エラーです。再計測して下さい。」といったメッセージを表示する。
【0083】
ステップS34では、TB2<Tmaxの判定をする。すなわち、口腔(舌を含む)の温度TB2が設定最高体温Tmaxより低いか否かの判定をする。社員の体温が正常な場合は、その体温は予め定める最高体温Tmax(たとえばTmax=38℃)を超えることはない。
このため、TB2<Tmaxの判定を否定した時には、ガイダンス表示部21に「発熱が疑われます。管理者の指示に従って下さい。」といったメッセージを表示する(ステップS35)。
【0084】
そして、発熱が疑われる場合には、その社員は会社内に入館させず、自宅待機等の処置が講じられる。
ステップS34の判定を肯定した時には、ステップS36へ進み、ガイダンス表示部21に「判定値は正常です。お入り下さい」といったメッセージを表示する。
なお、会社の入口に入場規制用のゲートや開閉式のバー等がある場合には、ステップS36の表示に連動させて、ゲートを開いたり、バーを上昇させたりしてもよい。
【0085】
その後判定結果記録処理を行う(ステップS37)。
図6Aおよび図6Bで説明した制御動作フローにおいて、社員(被検温者)の体温計測および計測結果の判定において最も重要な点は、社員が口を開いた直後の口腔(舌を含む)の温度TB2を非接触で計測し、その計測温度TB2が、設定最低温度Tmin以上で、かつ、設定最高温度Tmax未満であるか否かを判定することである。
【0086】
通常、人間の体温は、額部(皮膚表面)の温度より、口腔(舌を含む)の温度(体内温度)の方が高く、体内温度が正しい体温に近いと言われている。そこで、この実施例では、体内温度により近い温度として、被検温者が口を開いた直後の口腔(舌を含む)の温度を計測することとした。
そして、その計測温度が、被検温者が計測直前まで口を開けたままであったり、あるいは氷をなめていた等の理由で、設定最低温度よりも低い場合には、計測エラーとして、再計測を促すようにした。
【0087】
逆に、被検温者が計測直前に珈琲やお茶等の温い飲み物を飲んだ場合には、口腔の温度が一時的に高くなっており、計測温度が高くなることがある。この場合は、計測エラーとはせず、発熱が疑われるとして処理し、管理者の指示に従わせることとした。
ところで、社員(被検温者)の額部分の温度計測、閉じた口部の温度計測等の計測処理は、画像認識により特定した顔内の測定部位を、所望の特定部位であることを補完的に確認するための処理であるともいえる。従って、図6A、6Bにおいて説明したこれらの処理は、必要に応じて省略したり、内容を変更したりすることが可能である。
【0088】
また、温度計測回数は、計測機器の精度や計測位置の特定精度等に応じて、1回だけの計測とすることもできるし、複数回の計測をし、その平均値を求めたり、その計測値の最高値を採用する等、適切なやり方を採用することができる。
図7は、この発明の他の実施形態に係る体温検査システム50の構成ブロック図である。図7に示す体温検査システム50は、複数組の可視カメラ2(2A、2B…)および温度カメラ3(3A、3B…)をいわゆるネットワークを介して制御する制御部51を有している。このようなネットワーク制御型の体温検査システム50では、被検温者は、日によって、異なる検査ユニットで体温計測を受けてもよい。その場合でも、IDにより従前の計測値を参照できる。よって、たとえば入場口の数が多い大きな事業者(会社)等で特に有効である。また、野球場等では、多数の入場口で計測されたデータを一元的に管理できるメリットがある。
【0089】
体温検査システム50は、複数の検査ユニット52(52A、52B…)を含む。複数の検査ユニット52は、それぞれLAN53に接続され、LAN53を介して共通の制御ユニット54と接続されている。LAN53には、さらに、大量の情報を一元的に記憶するためのサーバー55が接続されている。各検査ユニット52には、それぞれ、可視カメラ2(2A、2B…)、温度カメラ3(3A、3B…)およびスピーカ5(5A、5B…)が設けられている。また、この実施例では各検査ユニット52にはモニタは備えられておらず、モニタに代えて、可視カメラ2の位置に関連付られた位置に顔位置確認用のミラー56(56A、56B…)が設けられている。顔位置確認用ミラー56は、可視カメラ2に対し被検温者の顔の位置を所定の位置に案内し、可視カメラ2の対物レンズ(撮像レンズ)に対して予め定める距離および角度の撮影領域に被検温者の顔を位置させるために用いられる。
【0090】
ミラー56は、たとえば所定の大きさや形状にされており、ミラー50に被検温者の顔が最大に映し出されたことを被検温者が確認できる位置に移動したとき、被検温者の顔が可視カメラ2の適正な撮影領域に収まる構成になっている。あるいは、ミラー56には枠が記載されており、その枠内に被検温者の顔が映る位置に被検温者が対向したとき、可視カメラ2の適正な撮影領域に被検温者の顔が位置する構成にされている。
【0091】
あるいはミラー中央部に可視カメラ2のためのレンズ孔を開けたミラーとしてもよい。または、ミラー56をハーフミラーとし、ミラー56の表面は被検温者の顔を映し出すが、ミラー56の裏面側から可視カメラ2が被検温者の顔を撮影できるようなものとしてもよい。
さらには、ミラー56以外の部材であって、可視カメラ2が被検温者の顔を撮影する際に、被検温者の顔が可視カメラ2の前方所定位置になるように案内する顔位置案内部材が設けられた構成であってもよい。
【0092】
被検温者が各検査ユニット52において体温計測をする場合の動作は、先に説明した体温検査装置1における動作とほぼ同様であり、可視カメラ2に対して所定の位置に対向し、口を閉じた状態での顔面の温度が計測された後、口を開いて、口腔(舌を含む)の温度が計測されるものである。
この実施例の体温検査システム50では、各検査ユニット52には、可視カメラ2、温度カメラ3およびスピーカ5が設けられているが、モニタは省略されている。これにより、体温検査システム50全体としては廉価な構成となっている。
【0093】
また、可視カメラ2を省略した構成とすることもできる。可視カメラ2を省略する場合は、たとえば、案内枠を付した顔位置確認用ミラーを設け、音声ガイダンスにより、顔を案内枠に合わせるように誘導し、顔の位置決めを行わせて、計測をすればよい。なお、この場合の顔の位置決めは、温度カメラ3に対して所定の位置になるようにすればよい。
複数の検査ユニット52に共用の制御ユニット54には、前述した制御部51に加え、操作部57およびモニタ58が含まれている。この制御ユニット54は、たとえば管理者の部屋に配置されており、管理者は、操作部57を操作し、モニタ58に各検査ユニット52で撮影される被検温者の可視画像や熱画像を個別に切り換えて表示させたり、小さなコマを分割して表示させたり、必要な情報を各検査ユニット52に送信したりすることができる。
【0094】
たとえば、各検査ユニット52のスピーカ5に対して、個別に、「測定値は正常です。お入り下さい。」というメッセージや、「測定できません。再計測して下さい。」というメッセージや、「発熱が疑われます。近くにいる管理者の指示に従って下さい。」といったメッセージを送信したりすることができる。
図7に示す体温検査システム50では、各検査ユニット52にモニタは設けられていないため、被検温者はモニタを見て視覚的に体温計測結果を確認することはできないが、スピーカ5からの音声により、上述のように計測結果を聴覚的に知らされることになる。
【0095】
図8Aおよび図8Bは、図7に示す体温検査システム50において、制御ユニット54のモニタ58に表示されるいずれかの検査ユニット52における温度計測の様子を表わす画面イメージ図である。
体温検査システム50においては、高速化および安定化処理を優先するため、各検査ユニット52の可視カメラ2で撮像される顔画像の画像認証は行わず、顔位置確認用ミラー56により被検温者が所定の位置に立っている場合は、それを信用し、可視カメラ2で顔の画像を撮影するとともに、温度カメラ3で顔の温度を撮影する。
【0096】
そして、「口を開けて下さい」という案内をし、被検温者が口を開けたとき、被検温者の顔下部(口内部)の温度を測定する。そして顔上部(額部)温度の最高温度分布エリアと、顔下部(口内部)の計測最高温度の分布エリアとが、垂直方向(Y軸上)に揃っている場合には、額位置および口位置が正しく撮影位置にあるとみなして、計測処理を進めている。
【0097】
このように、画像認証処理を省略して、温度計測を行っていくことにより、高速処理ができる。また、額位置と口位置とが、共に中央部で、かつ、垂直方向に上下に並んでいるか否かを判定しているため、体温測定エリアが誤った位置となることがなく、安定な処理を行うことも可能である。
図9A、9B、9Cおよび9Dは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための画面イメージ図である。体温検査装置1におけるモニタ6または体温検査システム50におけるモニタ58において、図9A〜図9Dのような温度計測内容が表示され、これにより、被検温者がマスクやお面を付けた状態で検査装置に臨んだりしておらず、被検温体が生体であるか否かの本人確認を行うことができる。
【0098】
具体的に図面を参照して説明する。
図9Aに示すように、被検温者に対し、口を開くように促し、被検温者が口を開いた状態で、可視カメラ2および温度カメラ3で被検温者の顔面を撮影する。そして被検温者にその状態でたとえば「右を向いて下さい」および「左を向いて下さい」という指示を出す。これに応じて、被検温者が右を向いた状態になると、図9Aに示すように、可視画像において、被検温者が右を向いた状態が表示され、熱画像において、顔上部中央部(額中央部)および口腔の位置に、温度の高い熱分布が映される。
【0099】
そして、被検温者に「左を向いて下さい」と促すと、左を向いた検温者の可視画像が表示されるとともに、熱画像においても顔下部の最高温度位置が左を向いた状態で表示される。
従って、このような表示になると、被検温者はマスクやお面などを付けておらず、生体であると認証でき、本人確認ができ、測定値は正常であると判定できる。
【0100】
一方、被測定者がマスクやお面を付けている場合には、図9C、図9Dに示すように、可視画像には、右を向いたり(図9C)、左を向いたり(図9D)をした画像が表示される。しかし、熱画像においては、たとえば図9Cに示すように、被検温者が右を向いているにもかかわらず、顔上部の最高温度検温位置と顔下部の最高温度検温位置とが垂直に上下に並んだ状態となったり、図9Dに示すように、可視画像は左を向いているが、熱画像の最高温度位置が顔下部で右に偏った状態に映ったりする。
【0101】
従って、図9Cおよび図9Dに示すような画像が表示されるときには、被検温体が生体でない可能性があり、本人確認がとれない旨の判定がされる。
このように、この発明に係る体温検査装置または体温検査システムを用いることにより、生体認証を行うことも可能である。
図10は、可視カメラ2および温度カメラ3の配置位置および画角設定等を説明するための図解的な図の一例である。可視カメラ2は、その正面(対物レンズ(撮像レンズ)の前面)2Sにおいて、画角θ1の撮影角度を有していて、可視カメラ2の正面2Sから前方に10cmの位置において、たとえば10cm×10cmの撮影エリアを有し、さらにその前方30cmの位置ではたとえば30×30cmの撮影エリアを有している。
【0102】
一方、温度カメラ3は、その正面(対物レンズ(撮像レンズ)の前面)3Sが、可視カメラ2の下側であって、可視カメラ2の前面2Sから10cm前方になるように配置されている。そして温度カメラ3の前面3Sは、画角θ2の範囲を撮影可能であり、前面3Sの前方30cmの位置において、30cm×30cmの撮影エリアを備えている。そして、可視カメラ2の前面2Sの前方40cmにおける可視カメラ2の撮影エリアと、温度カメラ3の前面3Sの前方30cmにおける温度カメラ3の撮影エリアとはオーバラップするように、可視カメラ2および温度カメラ3の配置位置が関連付けられている。
【0103】
そして、可視カメラ2の前面2Sの前方40cmの位置に被検温者の顔Fが位置するように、顔位置案内手段が案内する。たとえば、図1〜図3で、映し出される被検温者の顔が枠22F内に収まるように被検温者が位置を移動することにより、また、図7に示す体温検査システム50では、顔位置確認用ミラー56により、被検温者がミラーに自分の顔が映る位置に移動したり、ミラーに表された枠内に自分の顔を映したりすることにより、30×30cmのオーバラップした撮影エリアに被検温者の顔Fを位置させる。
【0104】
よって、可視カメラ2および温度カメラ3により、被検温者の顔Fを同時に撮影することが可能となる。
さらに、温度カメラ3の前面3Sは、IDカード等に印刷されたバーコードやQRコードの読み取り基準位置となる。すなわち被検温者が、IDカードを温度カメラ3の前面3Sに沿わせて可視カメラ2の前面2Sに対向させることにより、対向されたIDカードに印刷されたバーコードやQRコードを、可視カメラ2により最適に読み取ることができる。
【0105】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。
たとえば、上記各実施形態では、体温検査装置には可視カメラ2が備えられた構成としたが、可視カメラ2を省略した構成とすることもできる。そして、その場合は、顔位置案内手段は、温度カメラに対して、所定の位置に顔を合わせるように案内する構成とすればよい。
【0106】
その他、請求項記載の範囲内において種々の変更ができる。
【符号の説明】
【0107】
1 体温検査装置
2 可視カメラ
3 温度カメラ
4 カードリーダ
5 スピーカ
6 モニタ(表示器)
50 体温検査システム
51 制御部
52 検査ユニット
53 LAN
54 制御ユニット
55 サーバ
56 顔位置確認用ミラー
【技術分野】
【0001】
この発明は、体温を非接触で測定するための技術に関し、特に、生体の熱異常を検出するための体温検査装置、体温検査システムおよび体温検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型インフルエンザ(A型インフルエンザ)や重症急性呼吸器症候群(SARS)等の伝染病の感染者を検出する方法として、被測定者の体温を非接触で測定し、体温が異常である場合に感染の恐れがあると判断する方法が提案されている。
特許文献1には、測定対象者の画像を撮像し、その画像から測定対象者の顔を認識した上で、その顔における体温測定部位の位置を算出し、その算出位置に赤外線検出ユニットの測定視野を位置合わせし、算出位置から放射される赤外線を検出して、測定対象者の体温を算出する自動検温装置および自動検温方法が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、撮像手段と赤外線検出手段とを備え、赤外線検出手段の測定視野の向きを可変制御することにより、任意の場所に存在する測定対象の体温測定が可能とされているが(特許文献1の段落[0015]参照)、測定対象に全く協力を求めず、自動的に測定を行う装置であるため、実用に供するには複雑なプログラム等が必要であって、測定に時間を要する等の課題があると思われる。
【0004】
特許文献2には、人や家畜の熱異常を検出するシステムおよび方法が開示されている。特許文献2に開示のシステムは、撮影画像中の人の目の位置のような第1の座標を判定し、この第1の座標に基づいて、撮影された熱画像中の分析領域を判定する構成を備えている。特許文献2に開示のシステムは、たとえば人々が検問所を通過する際に非接触で熱異常を検出することが可能であるが、実用に供するためには、撮像素子の分解能および熱画像撮像システムの分解能が高くなければならず、正確な熱異常の検出を短時間で行うことは困難であると思われる。
【0005】
特許文献3には、赤外線画像システムが開示されている。特許文献3に開示のシステムでは、被検体が装置の視野内にあるとき、被検体の赤外線画像を獲得し、赤外線画像データを用いて被検体についての温度情報を検出するという構成を有している(特許文献3の[請求項1]および段落[0043]参照)。
特許文献3では、赤外線画像装置の視野のフレーム内に参考温度システムを有しており(特許文献3の段落[0050]参照)、参考温度に基づいて被検体の温度を測定するため、被検体の体温の固体格差が大きい場合、正確な測定が行いにくい等の課題がある。
【0006】
さらに、一般に、被測定者の顔面の体温を測定しようとした場合、たとえば被測定者が低温度の外部から建物内に入ったばかりの状態であれば、顔全体が冷却されていて、実際は発熱しているにもかかわらず測定結果は低い温度になるといった不具合が予期される。
また、伝染病の拡大等を予防するためには、特許文献1〜3で述べられているように、感染上の問題から、非接触で被測定者の熱異常を検出することが必要とされる。
【0007】
そして、公衆衛生機関からは、いくつかの伝染病に共通な体温上昇の兆候を示す人々を見つけ出すための迅速な健康診断プロセスを開発することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−237861号公報
【特許文献2】特開2006−231065号公報
【特許文献3】特表2007−516018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上記背景技術のもとになされたものであって、その解決課題は、被測定者の温度の正常・異常を、非接触で短時間に判定することである。
この発明は、被測定者の温度の正常・異常を判定し、熱異常のある被測定者に対して、入場や出社を拒否する等の処置をとるための装置、システムおよび方法を提供することを主たる目的とする。
【0010】
また、この発明は、非接触で、短時間に、被測定者の協力を条件として、被測定者の温度異常を正確に判定することのできる装置、システムおよび方法を提供することを他の目的とする。
さらに、この発明は、簡易な構成で、検出動作の速い体温測定装置、システムおよび方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、赤外線検出手段と、被測定者の顔の位置を前記赤外線検出手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の顔の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、前記体温検出手段で算出される温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、を含むことを特徴とする体温検査装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられ、予め定められた顔の中の複数の体温測定部位の温度を計測するための赤外線検出手段と、被測定者の前記複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、を含むことを特徴とする体温検査装置である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記撮像手段で撮像される被測定者の画像を認識し、被測定者の顔の中に複数の体温測定部位を定める測定部位決定手段、を含むことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置である。
請求項4記載の発明は、前記撮像手段で撮像される被測定者の可視画像を表示するための表示手段を有し、前記顔位置案内手段は、前記表示手段に表示される被測定者の顔の位置を予め定める位置に案内することを特徴とする、請求項2または3記載の体温検査装置である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記赤外線検出手段は、赤外線カメラを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の体温検査装置である。
請求項6記載の発明は、前記顔位置案内手段は、所定のタイミングで、口を閉じる前記被測定者に対し、口を開くかまたは舌を出すように促すことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置である。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記所定のタイミングは、前記被測定者の顔の位置が予め定める位置になった後、数秒以内であることを特徴とする、請求項6記載の体温検査装置である。
請求項8記載の発明は、前記体温検出手段が算出する複数の温度データは、被測定者の額および閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データを含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の体温検査装置である。
【0016】
請求項9記載の発明は、前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データに関して、複数の体温測定部位から得られた複数回の計測最高温度データの平均値を求め、被測定者の閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データに関して、複数回の計測最高温度データの最高温度または平均温度を採用して、前記判定を行うことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の体温検査装置である。
【0017】
請求項10記載の発明は、前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高い場合に、口腔(舌を含む)の温度データを被測定者の体温とみなすことを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置である。
請求項11記載の発明は、前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、体温異常を判定することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置である。
【0018】
請求項12記載の発明は、前記被測定者は、所定の団体に所属する団体員であって、各自にIDコードが割り当てられており、前記IDコードを入力するID入力手段と、前記体温検出手段の算出する温度データを前記ID入力手段から入力されるIDコードとともに記憶する記憶手段と、前記IDコードに関連付けて記憶された個人の平熱から、前記予め設定された温度を更新する手段と、を含むことを特徴とする、請求項11記載の体温検査装置である。
【0019】
請求項13記載の発明は、前記団体員は、IDコードが表記されたIDカードを有しており、前記ID入力手段は、IDカードが前記撮像手段に対して所定の位置に対向された時に、撮像手段によってIDコードが読み取られ、IDコードが入力されることを特徴とする、請求項12記載の体温検査装置である。
請求項14記載の発明は、前記体温検出手段は、前記被測定者の顔の部位の検出・算出された温度データに基づいて、被測定者が生体であるか否かを特定し、生体であることを特定したときは、その温度データを記憶する記憶手段を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の体温検査装置である。
【0020】
請求項15記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段、および被測定者の顔の位置を前記撮影手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段、を含む検査用ユニットと、前記検査用ユニットと通信回線を介して接続された制御ユニットとを含み、前記制御ユニットは、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、を含むことを特徴とする、体温検査システムである。
【0021】
請求項16記載の発明は、前記検査用ユニットは、複数個備えられており、当該複数個の検査用ユニットが前記通信回線を介して前記制御ユニットと接続されていることを特徴とする、請求項15記載の体温検査システムである。
請求項17記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を検出するステップと、前記検出された赤外線に基づいて、複数の体温測定部位の温度データを算出するステップと、算出した複数の体温測定部位の温度データに基づいて、被測定者の体温の正常・異常を判定するステップと、被測定者の体温異常を判定したときに、それを報知するステップと、を含むことを特徴とする、被測定者に対する非接触体温検査方法である。
【0022】
請求項18記載の発明は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者から放射される赤外線を検出するステップとを有し、前記赤外線を検出するステップは、被測定者の所定の体温測定部位から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップと、前記所定の体温測定部位から放射される赤外線の検出の後、所定のタイミングで、口を閉じている被測定者に口を開くかまたは舌を出すことを促すステップと、前記ステップに応答して被測定者が口を開いたとき、閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップとを含み、さらに、算出された所定の体温測定部位の温度データと、口腔(舌を含む)の温度データとを比較し、前者の温度データよりも後者の口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、被測定者の熱異常を判定するステップと、判定した熱異常を報知するステップと、を含むことを特徴とする被測定者の体温検査方法である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、赤外線検出手段、顔位置案内手段を含む簡易な構成によって、また、被測定者に簡単な動作協力を促すことにより、被測定者の体温を非接触で迅速にかつ正確に検出することができる。
請求項2記載の発明によれば、可視画像を撮像するための撮像手段により被測定者の顔を撮像するにあたり、顔位置案内手段により、被測定者の顔の位置を撮像手段に対して予め定める位置に案内する。被測定者が顔位置案内手段による案内に協力して、予め定める位置に位置すると、被測定者の顔が撮像手段で撮像される。そして、予め定められた顔の中の複数の体温測定部位から放射される赤外線が赤外線検出手段により検出され、体温が計測される。計測された体温は、予め設定された設定値と対比等され、被測定者の体温の正常・異常が判定されて、体温異常のときはそれが報知される。
【0024】
従って、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様に、非接触で、かつ、被測定者に簡単な協力を求めることにより、迅速にかつ正確な体温測定が行える。
請求項3記載の発明では、撮像手段で撮像される被測定者の画像を認識することにより、被測定者の顔の中に複数の体温測定部位を決定することができる。
請求項4記載の発明では、撮像された被測定者の可視画像を表示するための表示手段が備えられているから、顔位置案内手段は、表示手段に表示される顔の画像が所定位置になるように案内すればよく、被測定者は顔の位置を予め定める位置に容易に移動させられる効果がある。また、被測定者が口を開いた時の測定データであることも確認できる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、市販の赤外線カメラを用いて、容易に装置を構成することができる。
請求項6、7および8記載の発明によれば、被測定者の体温測定にあたり、口を閉じた状態で口腔の温度が安定した後に口を開くように求めるため、被測定者の口腔温度を測定することができ、より正確な体温測定を実現することができる。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、額の温度は複数回の最高検出温度の平均値とし、口腔の温度は最高温度とすることにより、より正確に体温異常の判定を行うことができる。あるいは、口腔の温度も、複数回の最高検出温度の平均値としてもよい。
請求項10記載の発明によれば、口腔の温度データを被測定者の体温とみなすことにより、正しい体温測定を行うことができる。
【0027】
請求項11記載の発明によれば、体温異常の判定が正確に行える。
請求項12記載の発明によれば、各個人で異なる平熱を参照して、より正確な体温異常の測定が可能となる。
請求項13記載の発明によれば、団体員の体温管理が行える装置とすることができる。
請求項14記載の発明によれば、生体認証を行うことができ、生体認証を行った場合にだけ体温検出のできる装置とすることができる。
【0028】
請求項15記載の発明によれば、たとえばネットワーク制御型の体温検査システムを提供することができる。
請求項16記載の発明によれば、体温検査システムにおいて、制御ユニットを複数の検査用ユニットに対して共用でき、多数の検査用ユニットを1つの制御ユニットで制御可能なシステムとすることができる。
【0029】
請求項17記載の発明および請求項18記載の発明によれば、被測定者に簡単な動作協力を求めることによって、迅速にかつ正確に被測定者の体温検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る体温検査装置1の外観イメージを示す正面図である。
【図2】図2は、この発明の一実施形態に係る体温検査装置1の外観イメージを示す右斜め前方から見た斜視図である。
【図3】図3は、体温検査装置1の構成ブロック図である。
【図4A】図4Aは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4B】図4Bは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4C】図4Cは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4D】図4Dは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4E】図4Eは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4F】図4Fは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図4G】図4Gは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
【図5】図5は、体温測定結果のデータの蓄積例を示す図である。
【図6A】図6Aは、体温検査装置1の制御動作を表わす概略フロー図である。
【図6B】図6Bは、体温検査装置1の制御動作を表わす概略フロー図である。
【図7】図7は、この発明の他の実施形態に係る体温検査システム50の構成ブロック図である。
【図8A】図8Aは、体温検査システム50において、制御ユニット54のモニタ58に表示されるいずれかの検査ユニット52における温度計測の様子を表わす表示画面イメージ図である。
【図8B】図8Bは、体温検査システム50において、制御ユニット54のモニタ58に表示されるいずれかの検査ユニット52における温度計測の様子を表わす表示画面イメージ図である。
【図9A】図9Aは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図9B】図9Bは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図9C】図9Cは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図9D】図9Dは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための表示画面イメージ図である。
【図10】図10は、可視カメラ2および温度カメラ3の配置位置および画角設定等を説明するための一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る体温検査装置1の外観イメージを示す正面図であり、図2は、その体温検査装置1の外観イメージを示す右斜め前方から見た斜視図である。
図1および図2を参照して、体温検査装置1には、可視カメラ2、温度カメラ3、カードリーダ4、スピーカ5およびモニタ(表示器)6が備えられている。
【0032】
可視カメラ2は、被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段の一例であり、公知のCCDやCMOSセンサを用いたデジタルカメラやデジタルムービーカメラを例示することができる。温度カメラ3は、被測定者から放射される赤外線を検出する赤外線検出手段としての機能と、検出された赤外線に基づいて熱画像(温度分布画像)を生成する体温検出手段としての機能を有するものである。温度カメラは、たとえば赤外線カメラを含む構成とすることができる。また、温度カメラに代えて、スポット的に赤外線を検出する赤外線検出器を用いてもよい。
【0033】
この実施例では、可視カメラ2と温度カメラ3とは、撮影画角が異なっている。すなわち、可視カメラ2は相対的に狭画角、温度カメラ3は相対的に広画角となっており、図2に示すように、温度カメラ3の先端面(対物レンズ面)に対し、可視カメラ2の先端面(対物レンズ面)は予め定める距離Lだけ後方に配置されている。
このように構成することにより、可視カメラ2でバーコードやQRコード等を読み取る際に、温度カメラ3の前面を基準位置にして、バーコードやQRコードを可視カメラ2に対向させることにより、バーコードやQRコードが可視カメラ2で適切に読み取れるという利点がある。この点の詳細は、後述する。
【0034】
カードリーダ4は、IDカードからIDコードを読み取るためのものである。カードリーダ4は、ICチップ内蔵のカードから非接触でIDコードを読み取るカードリーダとしてもよいし、IDカードから磁気カード式に記録されたIDコードを読み取ることのできる磁気データのリーダとしてもよい。あるいは、両方の機能を有するカードリーダとしてもよい。
【0035】
スピーカ5は、被測定者としての被検温者に対し、体温検査装置1の操作方法や検温結果等を報知するためのものである。モニタ6は、可視カメラ2で撮影された被検温者の可視画像および温度カメラ3で撮影された被検温者の温度画像を表示する。また、操作部および操作内容が、いわゆるタッチパネル方式により表示され、被検温者または管理者が所定の操作を行えるものであってもよい。
【0036】
なお、図1および図2では、縦長箱状のハウジング7の上方前面8にスピーカ5およびモニタ6が配置され、ハウジング7の上面9上に温度カメラ3、可視カメラ2およびカードリーダ4が配置された構成を例示したが、各部材の配置構造はこのような配置に限定されるものではなく、全体が1つの装置としてハウジング内に組み込まれた構成や、その他の構成であってもよい。
【0037】
図3は、体温検査装置1の構成ブロック図であり、図1および図2で説明した可視カメラ2、温度カメラ3、モニタ6、操作部10および制御部11が一体型の構成ブロック図である。
体温検査装置1には、上述したように、可視カメラ2、温度カメラ3、カードリーダ4、操作部10、モニタ6およびスピーカ5が備えられており、これらは制御部11に接続されて、制御部11の制御下に置かれている。制御部11は、図1および図2で説明したハウジング7内に設けられている。
【0038】
制御部11には、必要に応じて、LAN12等を介して所定の場所に設置されたサーバー13が接続されていてもよい。
可視カメラ2は、被検温者の顔Fを撮影するためのものであり、顔F撮影のための最適距離L1は、たとえば30〜50cmである。温度カメラ3は、被検温者の顔Fの温度画像を撮影するためのものであり、顔F撮影のための最適距離L2は、たとえば20〜40cmである。このため、被検温者は、可視カメラ2の前方L1で、温度カメラ3の前方L2の位置に顔Fを対向させた場合、被検温者の顔Fに可視カメラ2および温度カメラ3の焦点が合い、被検温者の顔Fを可視カメラ2および温度カメラ3でそれぞれ同時に撮影できる。
【0039】
さらに、可視カメラ2はIDカード14に印刷されたバーコードまたはQRコード等の光学的に読み取り可能なIDコードを読み取ることができる。IDコードを読み取る際には、可視カメラ2の前方Lの位置に、IDカード14を対向させると、可視カメラ2の焦点がIDコードに合うように構成されている。可視カメラ2の前方Lの位置は、温度カメラ3の先端とされている。よって、被検温者は、自己のIDカード14を温度カメラ3の先端に合わせて可視カメラ2の前方に対向させれば、IDカード14に印刷されたIDデータが可視カメラ2により読み取られる仕組みとなっている。
【0040】
換言すれば、この実施例では、温度カメラ3の先端を目印として、ガイドを特別に設けることなく、IDコードを可視カメラ2で読み取れる構成とされている。
図4A〜図4Gは、体温検査装置1の運用操作におけるモニタ6の表示画面イメージを表わす図である。
次に、体温検査装置1がたとえば或る会社の社員用通用口に設置された場合を例にとって、その運用操作の内容を、画面イメージを中心に説明する。
【0041】
体温検査装置1によって、出勤してきた社員一人一人の体温検査を行い、体温異常と判定された社員は、勤務を休ませて帰宅させる等の処置を講じ、社内に体温異常者を入れないようにして、伝染病等が社内で感染する恐れを防止することができる。
図4Aに示すように、モニタ6の表示には、ガイダンス表示部21、可視画像表示部22、熱画像表示部23、社員表示部24、第一判定表示部25、第二判定表示部26、上部最高温および下部最高温表示部27、設定ボタン28、確認ボタン29および終了ボタン30が含まれている。
【0042】
体温検査装置1は、可視カメラ2によって被検温者である社員が映し出されたことを、たとえば画像認識により判別する。そして、ガイダンス表示部21にたとえば「社員IDをタッチして下さい。」という表示を出す。これに応じて、社員が自己のIDカードをカードリーダ4にかざすことにより、IDカードに記録された社員番号等が読み取られて、社員が特定される。特定された社員番号および社員の氏名は社員表示部24に表示される。
【0043】
次いで、図4Bに示すように、ガイダンス表示部21に「顔を枠に合わせて下さい」という案内を出す。可視画像表示部22には、予め定める大きさの枠22Aが示されている。同様に、熱画像表示部23にも予め定める大きさの枠23Fが示されている。社員は、可視画像表示部22に映った自分の顔を確認し、その映った自分の顔が枠22Fに収まるように、体温検査装置1(可視カメラ2)との距離や横方向のずれを修正する。
【0044】
この実施例の特徴の1つは、ガイダンス表示部21に「顔を枠に合わせて下さい。」という案内表示を出し、それに従って、社員(被検温者)が可視カメラ2に対する位置を所定の位置に移動するという社員(被検温者)の協力動作を要求していることである。
このように、被検温者に検温処理時に簡単な協力を求めることにより、短時間で被検温者の体温測定を正確にかつ迅速に行うことができる。
【0045】
図4Bに示すように、社員(被検温者)が可視カメラ2に対して所定の位置になると、社員の顔が枠22F内に収まる。体温検査装置1は画像認識によってそれを判別し、あるいは画像が枠22F内に収まって動かなくなったことを検出することにより、自動的に第一判定処理を開始する。
すなわち、図4Cに示すように、ガイダンス表示部21にたとえば「顔上部(額部)の温度を測定します。」という表示を出し、顔上部(額部)の温度を温度カメラ3によって、たとえば1秒間に3コマの速度で5コマ撮影する。撮影は、同時に、可視カメラ2でも行う。
【0046】
なお、顔上部の温度を測定するに際し、上述のように、「顔上部(額部)の温度を測定します。」という表示をガイダンス表示部21に出すが、その時、同時に、「口を閉じて下さい。」という音声ガイドを出力したり、表示を出したりしてもよい。
そして撮影結果を第一判定表示部25に表示する。すなわち、5コマの可視画像、熱画像および計測温度(各コマにおける計測最高温度)ならびに複数回の計測温度の平均値または最高値を表示する。
【0047】
5コマの温度計測位置は、顔上部(額部)の中央の同じ位置であってもよいし、あるいは、顔上部(額部)の異なる箇所の位置をピンポイント的に計測してもよい。
5コマの計測値(計測最高温度)の中の最高温を、上部最高温表示部27に表示する。
なお、ここで、「(各コマにおける)計測最高温度」とは、各コマの計測に、たとえば35msecを要するとして、この35msecの計測時間内に計測温度は微小変動をする。よって、計測時間内に計測された最高温度を計測値とするという意味である。
【0048】
5コマの顔上部(額部)の温度計測は、秒3コマの速度で実行されるため、約2秒で第一判定が完了する。この2秒間は、社員は口を閉じているので、2秒間の閉口時間内に、社員の口腔温度が安定する。第一判定が完了すると、体温検査装置1は、スピーカ5により、社員に「口を大きく開けて下さい」という案内を出す。社員は案内に従って口を開く。口を開いた際に、舌を外部に出してもよいし、口を開くだけであってもよい。
【0049】
このように、この実施例では、社員(被検温者)に口を閉じ口内温度が安定した後に口を開くことを促し、社員(被検温者)がその指示に従うように協力することで、社員(被検温者)の体温を短時間でかつ正確に測定できるという利点がある。
換言すれば、被検温者に簡単な動作協力を求めることにより、迅速でかつ正確な体温検知が実現されている点が、この実施形態の特徴の1つである。
【0050】
図4Dに示すように、社員が口を開けると、画像認識によりそれを検知して、ガイダンス表示部21に「顔下部(口内部)の温度を測定します。」という表示を出し、やはり1秒間に3コマの測定速度でたとえば5コマの口腔(舌を含む)の温度を計測する。つまり、口を閉じて口腔内の温度が安定した状態から口を開いた直後の口腔(舌を含む)の温度を複数回計測する。そして下部最高温表示部27に口内部の最高温度を表示するとともに、第二判定表示部26に、5コマ分の計測結果(各コマ毎の計測最高温度)と、5コマの中の最高体温を表示する。
【0051】
そして、第1判定結果(顔上部(額部)の5回の計測温度の平均値TA1)よりも第2判定で得られた口腔(舌を含む)の最高温度TB2の方が高く、かつ、最高温度TB2が予め定める基準温度未満の場合は、体温が正常であると判定する。
そしてその結果、図4Eに示すように、ガイダンス表示部21に、たとえば「測定値は正常です。社内へお入り下さい。」という表示を出す。
【0052】
一方、口内部の温度を5コマ計測する際に、計測結果が所定の基準値以上となった場合は、第二判定において5コマ全てを計測することなく、図4Fに示すように、口内部の最高温度TB2が予め定める基準温度(たとえば38.0℃)以上の場合は、測定を終了し、ガイダンス表示部21に「発熱が疑われます。管理者の指示に従って下さい。」というような表示をする。
【0053】
このため、発熱が疑われた社員は、社内に入ることができず、管理者の指示に従い、たとえば自宅で静養する等の対応をとることになる。
図4Aの状態から、図4Bに示す状態にならなかった場合、すなわち社員が可視画像表示部22の枠22F内に自分の顔を収めなかった場合において、一定時間が経過した時には、図4Gに示すように、ガイダンス表示部21に「顔が見つかりません。再計測して下さい。」といった表示を出す。
【0054】
この場合は、社員は、たとえば設定ボタン28を押す。これにより、読み取られている社員番号のデータに関連して、再度体温計測を開始する。
また、各社員の体温測定結果は、制御部11のメモリに記憶してもよいし、別に設けたサーバー13に蓄積データとて記憶してもよい。データの蓄積例を図5に示す。図5において、符号Gで示す蓄積データは、図4Gで説明したような測定不可能な場合のデータあり、判定結果として「顔サーチ不可」という内容が記憶される。そして再計測により異常がなければ、再計測で判定がOKである旨が記録される(符号Gの一行下を参照)。
【0055】
また、図4Fのような判定結果になった場合は、図5に符号Fで示すように、発熱確認の判定結果が記録される。これらの記録は、ID番号に関連付けて記録されているので、この記録から社員の健康管理(発熱管理)をし、社員の健康指導その他に役立てることが可能である。
次に、体温検査装置1の制御動作について、フローチャートを参照して説明をする。
【0056】
図6Aおよび図6Bは、体温検査装置1の制御動作を表わす概略フロー図である。図6Aおよび図6Bの流れに沿って、図1〜図4Gを参照しながら、体温検査装置1の動作について説明をする。
まず、体温検査装置1が設置された後、動作を開始する前の準備処理が行われる。準備処理は、ステップS1〜ステップS5で示されている。すなわち、まず、可視カメラ2の撮影設定をする(ステップS1)。撮影設定とは、たとえばフォーカスの設定(自動、または、固定焦点設定(たとえば10cmおよび30cm等))、シャッタースピード設定、ゲイン調整等である。
【0057】
そして、設定した可視カメラ2に電源を投入し、可視カメラ2の撮影を開始させる(ステップS2)。可視カメラ2は、いわゆるデジタルカメラであり、常時電源が投入されていて、前方の画像を捉えており、シャッター信号に応答してその画像を取り込む(撮像する)ものである。
次に、温度カメラ3の撮影設定をする(ステップS3)。温度カメラ3は、この実施例では赤外線カメラが採用されており、判定用の温度補正値設定などを行う。そして温度カメラ3の撮影も開始させる(ステップS4)。温度カメラ3も可視カメラ2と同様、その前方の被測定対象物を常時映していて、シャッター信号に応答して被測定物のデータを取り込む構成である。
【0058】
次にカメラキャリブレーション処理を行う(ステップS5)。カメラキャリブレーションとは、可視カメラ2および温度カメラ3の撮影エリアが一致するように調整することである。
前述したように、可視カメラ2と温度カメラ3とは画角が異なっているので、予め定める位置に対して、両カメラ2、3の撮影エリアが一致するように調整する。
【0059】
以上のステップS1〜S5に示す準備処理は、体温検査装置1を最初に設置する場合、メンテナンスした後、あるいは、たとえば毎朝の稼働開始前や、週始めの稼働前等に行われる。そして、一度設定が行われて調整済の場合は、ステップS1〜S5の処理は省略して、以下のステップS6からの動作を行う。
電源が投入され、設定処理が終わった体温検査装置1は、モニタ6のガイダンス表示部21に、たとえば「社員証をタッチして下さい。」といったガイダンスメッセージを表示させる。体温検査装置1で体温を測定する社員は、自己の社員証をカードリーダ4にかざす。これより、ユーザID(その社員を特定するための識別情報)が入力される(ステップS7)。
【0060】
この実施例では、ICカード方式(たとえば「フェリカ(登録商標)方式」の社員証が用いられ、その社員証をカードリーダ4にかざすことによりユーザIDが入力できる構成として説明するが、ユーザIDの入力は、このような入力方式に限定されない。
たとえば、ユーザIDは、モニタ6のタッチパネルを用いて、手入力を行う方式、社員証にバーコード、QRコードを印刷しておき、それらバーコードまたはQRコードを光学的に読み取る方式、指紋、声紋、顔認証等の生体認証方式などから、運用状況に応じた方式を選択することができる。
【0061】
あるいは、ID入力は、複数の方式が可能とし、ユーザが所望の方式で入力できる構成としてもよい。
なお、ID入力をバーコードまたはQRコードを光学的に読み取って入力する方式の場合、前述したように、可視カメラ2によってバーコードまたはQRコードを読み取る方式としてもよい。生体認証の方式の場合は、たとえば顔認証とし、後述するように、温度カメラ3を利用した生体検知方式とすることも可能である。
【0062】
ステップS6、S7で行うユーザIDの入力処理(装置1側から見ると、ユーザID取得処理)は、個々のユーザに対する記録を残さない運用を行う場合には省略してもよい。
個々のユーザの記録を残す場合とは、前述したように、ユーザが会社社員であり、社員らは出勤時に、この体温検査装置1を通過して社内に入場するという運用がなされる場合である。この場合は、社員個々の健康管理等を行うという観点から、ユーザIDの取得が有効である。
【0063】
一方、体温検査装置1がコンサートホールの入口やスタジアム(野球場やサッカー競技場)の入口に設置され、熱異常者(発熱者)の入場規制のために用いる場合などには、個人情報に配慮し、記録を残す必要がないから、ユーザIDの取得は不要と考えられる。ユーザIDの取得が不要な場合には、上述のステップS6、S7の処理は省略する。
そして、温度計測1を行う。この処理内容は、ステップS8〜S18に示されている。
【0064】
温度計測1では、検温する社員の顔を検出し、額部と閉じた状態の口部の最高温度を計測する。温度計測1では、次のステップで計測する口腔(舌を含む)の温度を安定させるため、一定時間(たとえば2秒)社員が口を閉じた状態を継続したことを確認する処理も行う。
具体的に説明すると、まず、ガイダンス表示部21に「顔を枠に合わせて下さい」というメッセージを表示させる(ステップS8)。そして可視カメラ2により映される画像を認識し、社員の顔の検出を開始する(ステップS9)。
【0065】
その結果、図4Bに示すように枠22F内に収まった社員の顔が検出できた場合には(ステップS10でYES)、画像認識により社員は口を閉じているか否かの判別をする(ステップS13)。
ステップS13において、画像認識による口の開閉状態の判定が困難な場合には、ステップS10で検出した顔の輪郭から、口の位置を推定する処理を行ってもよい。そして、口を閉じているか否かの判定は、検出した顔の輪郭から、口の位置を推定し、可視画像または熱画像に一定時間(たとえば2秒間)特別な変化がないことを確認し、口を閉じていると判定してもよい。
【0066】
あるいは、一定時間(たとえば2秒間)の可視画像履歴をモニタ6または管理者用のモニタに表示して、社員または管理者が目視判定により口を閉じているか否かを確認し、それを入力する構成としてもよい。
ステップS13で、社員が口を閉じていると判定されると、次いでその状態が一定時間(たとえば2秒間)継続されたか否かの判定をする(ステップS15)。
【0067】
ステップS10で社員の顔が検出できない時には、その検出を検出時間が経過するまで実行し(ステップS11)、検出時間内に社員の顔が検出できない場合には、ガイダンス表示部21にたとえば「顔が見つかりません」といった表示を出す(ステップS12:図4G参照)。
ステップS13で、社員が口を閉じていない場合には、ガイダンス表示部21にたとえば「口を閉じて下さい」という表示を出す(ステップS14)。
【0068】
そして、社員の顔が検出でき、かつ口を閉じていると判別したときには、その状態が一定時間(たとえば2秒間)継続したか否かの判定を行う(ステップS15)。
ステップS15の判定が肯定されると、枠22Fおよび23F内に社員の顔が位置し、かつ、口を閉じた状態が一定時間継続しているので、その状態において、額部の最高温度(TA1)を計測し(ステップS16)、閉じた口部の最高温度(TB1)を計測し(ステップS17)、その時に映されている社員の可視画像および熱画像を取り込んで(撮影して)保存する(ステップS18)。
【0069】
そして、結果判定1として、ステップS19で、額部の最高温度TA1を、予め設定した最低温度Tmin(Tminは、たとえば34℃と設定する。)と比較し、最低温度以上であることを確認する。もし、額部の最高温度TA1が最低温度(Tmin)未満である場合(ステップS19でNO)には、ガイダンス表示部21に「再計測して下さい」といった表示を出して、再計測を促す(ステップS20)。
【0070】
ステップS19で、額部の温度が最低温度以上であることを確認するのは、たとえば検温する社員が外部から入館した直後で、外部の冷気に長時間当っていたため、額部の温度が冷たく、正しい体温計測ができない場合を除外するためである。
上述した温度計測1の処理では、ステップS15において口を閉じた状態が一定時間継続するのを待ち、その後に温度計測(ステップS16、S17)を行う構成としたが、これに代えて、ステップS15の判定は省略し、ステップS13で口を閉じていると判定すると、直ちに額部の温度計測を行ってもよい。なぜなら、ステップS13で口を閉じていると判定後、額部および口部の温度計測処理を、たとえば5コマ完了し終えるまでに約2秒を要するから、その2秒間を社員が口を閉じていれば、閉じられた口腔内の温度が安定するからである。
【0071】
ステップS16では、額部の温度計測を行う。この温度計測は、1回だけではなく、たとえば1秒間に3回というインターバルで5回の温度測定を行う。そして温度計測した際の可視画像および熱画像を取り込み、取り込んだ可視画像および熱画像とともに、計測温度を表示する。この表示例が、図4Cの第一判定表示部25に表示された内容である。
口を閉じた状態の社員(被検温者)の顔面の温度計測は、額部だけを複数回計測せず、閉じた口部の温度計測も行ってもよい(ステップS17)。
【0072】
そして、複数回の温度計測結果の最高温度をステップS19において設定最低温度Tminと比較するようにしてもよいし、あるいは、複数回の計測温度の平均値を算出し、その平均値を設定最低温度Tminと対比してもよい。
また、ステップS16において、額部の検出が困難な場合は、先に検出した顔の輪郭から、額部の位置を推定して、その推定位置の温度を計測する処理としてもよい。
【0073】
さらに、ステップS16およびS17の温度計測処理において、温度カメラ3の撮像品質に応じ、メディアンフィルタ等のノイズ除去フィルタを適用してもよい。
次に、温度計測2の処理を行う。温度計測2は、図6BのステップS21〜S30の処理であり、以下具体的に説明する。
まず、モニタ6のガイダンス表示部21に、たとえば「口を開けて下さい」という表示を出し(ステップS21)、可視カメラ2が映す画像を認識して顔検出を開始する(ステップS22)。そして顔を検出できたか否かの判定をし(ステップS23)、検出時間内に顔検出ができなかった場合には(ステップS24でYES)、ガイダンス表示部21にたとえば「顔が見つかりません」という表示を出す(ステップS25)。
【0074】
社員がカメラ画像表示部22の枠22F内に顔を合わせている場合には、可視カメラ2により顔が映され、それが検出されるから、ステップS23の判定は肯定され、次に、社員の口が開いているか否かの判定をする(ステップS26)。
そして口を開いていないと判定すると、ガイダンス表示部21にたとえば「口を開いて下さい」という表示を出す。また、同様の案内をスピーカ5で音声によりガイドする。
【0075】
図6Bに示すフローチャートでは、ステップS22〜S25において、図6Aに示すフローチャートのステップS9〜S12と同様の画像認識による顔検出処理を行う構成を説明したが、この一連の処理フローにおいては、ステップS10で既に顔を検出しているため、ステップS22〜S25の処理を省略することも可能である。すなわち、ステップS10で既に顔を検出しているので、その検出した顔の画像を再認識し、口を閉じた状態の画像から口を開いた画像に変化したかを判定する処理(ステップS26)だけとしてもよい。
【0076】
なお、ステップS26において、口を開いた状態になったか否かの判定が画像認識では困難な場合、温度カメラ3の検出温度を参照して、口部の検出温度が変化したか否かにより、口が開けられたことを判定してもよい。
あるいは、モニタ6の画像または管理者用モニタの画像において、社員または管理者が目視判定し、口が開けられた画像を確認した後、確認ボタン29等を押す処理としてもよい。
【0077】
社員の口が開けられたと判定すると、額部の温度TA2を計測し(ステップS28)、口部の温度TB2を計測し(ステップS29)、計測時の可視画像および熱画像を保存する(ステップS30)。
ステップS28で計測する額部の温度TA2の計測は、ステップS16で計測した額部の温度TA1との一致確認等の判定に使用するために計測するものであるが、この額部の温度計測は省略してもよい。
【0078】
社員が口を開いた直後の口部の温度計測(ステップS29)は、1回だけの計測であってもよいし、複数回の計測としてもよい。
図4Dを参照して説明した画面イメージにおいては、口を開いた状態の口部の温度、すなわち口腔(舌を含む)の温度計測を5回行う構成としている。この計測も、たとえば1秒間に3回のインターバルで5回計測し、計測時の可視画像および熱画像を保存して(ステップS30)、それら可視画像および熱画像とともに口腔(舌を含む)の温度がモニタ6に表示されるのが好ましい。
【0079】
次に、結果判定2の処理を行う。結果判定2の処理では、計測した額部の温度TA1および口部の温度TB1、TB2の関係、ならびに、開いた口部(口腔(舌を含む))の温度TB2の関係が、予め定める関係に収まっているか否かを判定する。
この判定のために、計測結果の温度について、以下のように定義をする。
額部の最高温度:TA1
閉じた状態の口部の最高温度:TB1
開いた状態の口部(口腔(舌を含む))の最高温度:TB2
設定最低体温:Tmin
設定最高体温:Tmax
とし、ステップS31では、
TA1≦TB2、かつ、TB1≦TB2
の判定をする。
【0080】
すなわち、額部より口腔(舌を含む)の温度が高く、かつ、閉じた口部より開いた口部の温度が高いこと、を判定する。
社員の体温が正常な場合は、通常、ステップS31の判定は肯定される。
そのため、次いでステップS32において、
Tmin≦TB2
の判定をする。すなわち、設定最低体温よりも口腔(舌を含む)の温度が高いことの確認をする。
【0081】
通常、額部の温度(TA1)より口腔(舌を含む)の温度(TAB)の方が高いはずであり、口腔(舌を含む)の温度が社員の真の体温に近いことが確認されている。ところが、仮に、社員が、体温計測の直前に、冷水を飲んだり、アイスクリームやキャンディ等を飲食していたり、計測直前まで冷気の中で口を開けた状態であった場合等には、口腔温度が低いことがある。
【0082】
ステップS32では、そのような場合を除外するために、Tmin≦TB2であることの確認を行っている。
ステップS31またはS32で、各判定を否定した場合には、ステップS33へ進み、ガイダンス表示部21にたとえば「計測エラーです。再計測して下さい。」といったメッセージを表示する。
【0083】
ステップS34では、TB2<Tmaxの判定をする。すなわち、口腔(舌を含む)の温度TB2が設定最高体温Tmaxより低いか否かの判定をする。社員の体温が正常な場合は、その体温は予め定める最高体温Tmax(たとえばTmax=38℃)を超えることはない。
このため、TB2<Tmaxの判定を否定した時には、ガイダンス表示部21に「発熱が疑われます。管理者の指示に従って下さい。」といったメッセージを表示する(ステップS35)。
【0084】
そして、発熱が疑われる場合には、その社員は会社内に入館させず、自宅待機等の処置が講じられる。
ステップS34の判定を肯定した時には、ステップS36へ進み、ガイダンス表示部21に「判定値は正常です。お入り下さい」といったメッセージを表示する。
なお、会社の入口に入場規制用のゲートや開閉式のバー等がある場合には、ステップS36の表示に連動させて、ゲートを開いたり、バーを上昇させたりしてもよい。
【0085】
その後判定結果記録処理を行う(ステップS37)。
図6Aおよび図6Bで説明した制御動作フローにおいて、社員(被検温者)の体温計測および計測結果の判定において最も重要な点は、社員が口を開いた直後の口腔(舌を含む)の温度TB2を非接触で計測し、その計測温度TB2が、設定最低温度Tmin以上で、かつ、設定最高温度Tmax未満であるか否かを判定することである。
【0086】
通常、人間の体温は、額部(皮膚表面)の温度より、口腔(舌を含む)の温度(体内温度)の方が高く、体内温度が正しい体温に近いと言われている。そこで、この実施例では、体内温度により近い温度として、被検温者が口を開いた直後の口腔(舌を含む)の温度を計測することとした。
そして、その計測温度が、被検温者が計測直前まで口を開けたままであったり、あるいは氷をなめていた等の理由で、設定最低温度よりも低い場合には、計測エラーとして、再計測を促すようにした。
【0087】
逆に、被検温者が計測直前に珈琲やお茶等の温い飲み物を飲んだ場合には、口腔の温度が一時的に高くなっており、計測温度が高くなることがある。この場合は、計測エラーとはせず、発熱が疑われるとして処理し、管理者の指示に従わせることとした。
ところで、社員(被検温者)の額部分の温度計測、閉じた口部の温度計測等の計測処理は、画像認識により特定した顔内の測定部位を、所望の特定部位であることを補完的に確認するための処理であるともいえる。従って、図6A、6Bにおいて説明したこれらの処理は、必要に応じて省略したり、内容を変更したりすることが可能である。
【0088】
また、温度計測回数は、計測機器の精度や計測位置の特定精度等に応じて、1回だけの計測とすることもできるし、複数回の計測をし、その平均値を求めたり、その計測値の最高値を採用する等、適切なやり方を採用することができる。
図7は、この発明の他の実施形態に係る体温検査システム50の構成ブロック図である。図7に示す体温検査システム50は、複数組の可視カメラ2(2A、2B…)および温度カメラ3(3A、3B…)をいわゆるネットワークを介して制御する制御部51を有している。このようなネットワーク制御型の体温検査システム50では、被検温者は、日によって、異なる検査ユニットで体温計測を受けてもよい。その場合でも、IDにより従前の計測値を参照できる。よって、たとえば入場口の数が多い大きな事業者(会社)等で特に有効である。また、野球場等では、多数の入場口で計測されたデータを一元的に管理できるメリットがある。
【0089】
体温検査システム50は、複数の検査ユニット52(52A、52B…)を含む。複数の検査ユニット52は、それぞれLAN53に接続され、LAN53を介して共通の制御ユニット54と接続されている。LAN53には、さらに、大量の情報を一元的に記憶するためのサーバー55が接続されている。各検査ユニット52には、それぞれ、可視カメラ2(2A、2B…)、温度カメラ3(3A、3B…)およびスピーカ5(5A、5B…)が設けられている。また、この実施例では各検査ユニット52にはモニタは備えられておらず、モニタに代えて、可視カメラ2の位置に関連付られた位置に顔位置確認用のミラー56(56A、56B…)が設けられている。顔位置確認用ミラー56は、可視カメラ2に対し被検温者の顔の位置を所定の位置に案内し、可視カメラ2の対物レンズ(撮像レンズ)に対して予め定める距離および角度の撮影領域に被検温者の顔を位置させるために用いられる。
【0090】
ミラー56は、たとえば所定の大きさや形状にされており、ミラー50に被検温者の顔が最大に映し出されたことを被検温者が確認できる位置に移動したとき、被検温者の顔が可視カメラ2の適正な撮影領域に収まる構成になっている。あるいは、ミラー56には枠が記載されており、その枠内に被検温者の顔が映る位置に被検温者が対向したとき、可視カメラ2の適正な撮影領域に被検温者の顔が位置する構成にされている。
【0091】
あるいはミラー中央部に可視カメラ2のためのレンズ孔を開けたミラーとしてもよい。または、ミラー56をハーフミラーとし、ミラー56の表面は被検温者の顔を映し出すが、ミラー56の裏面側から可視カメラ2が被検温者の顔を撮影できるようなものとしてもよい。
さらには、ミラー56以外の部材であって、可視カメラ2が被検温者の顔を撮影する際に、被検温者の顔が可視カメラ2の前方所定位置になるように案内する顔位置案内部材が設けられた構成であってもよい。
【0092】
被検温者が各検査ユニット52において体温計測をする場合の動作は、先に説明した体温検査装置1における動作とほぼ同様であり、可視カメラ2に対して所定の位置に対向し、口を閉じた状態での顔面の温度が計測された後、口を開いて、口腔(舌を含む)の温度が計測されるものである。
この実施例の体温検査システム50では、各検査ユニット52には、可視カメラ2、温度カメラ3およびスピーカ5が設けられているが、モニタは省略されている。これにより、体温検査システム50全体としては廉価な構成となっている。
【0093】
また、可視カメラ2を省略した構成とすることもできる。可視カメラ2を省略する場合は、たとえば、案内枠を付した顔位置確認用ミラーを設け、音声ガイダンスにより、顔を案内枠に合わせるように誘導し、顔の位置決めを行わせて、計測をすればよい。なお、この場合の顔の位置決めは、温度カメラ3に対して所定の位置になるようにすればよい。
複数の検査ユニット52に共用の制御ユニット54には、前述した制御部51に加え、操作部57およびモニタ58が含まれている。この制御ユニット54は、たとえば管理者の部屋に配置されており、管理者は、操作部57を操作し、モニタ58に各検査ユニット52で撮影される被検温者の可視画像や熱画像を個別に切り換えて表示させたり、小さなコマを分割して表示させたり、必要な情報を各検査ユニット52に送信したりすることができる。
【0094】
たとえば、各検査ユニット52のスピーカ5に対して、個別に、「測定値は正常です。お入り下さい。」というメッセージや、「測定できません。再計測して下さい。」というメッセージや、「発熱が疑われます。近くにいる管理者の指示に従って下さい。」といったメッセージを送信したりすることができる。
図7に示す体温検査システム50では、各検査ユニット52にモニタは設けられていないため、被検温者はモニタを見て視覚的に体温計測結果を確認することはできないが、スピーカ5からの音声により、上述のように計測結果を聴覚的に知らされることになる。
【0095】
図8Aおよび図8Bは、図7に示す体温検査システム50において、制御ユニット54のモニタ58に表示されるいずれかの検査ユニット52における温度計測の様子を表わす画面イメージ図である。
体温検査システム50においては、高速化および安定化処理を優先するため、各検査ユニット52の可視カメラ2で撮像される顔画像の画像認証は行わず、顔位置確認用ミラー56により被検温者が所定の位置に立っている場合は、それを信用し、可視カメラ2で顔の画像を撮影するとともに、温度カメラ3で顔の温度を撮影する。
【0096】
そして、「口を開けて下さい」という案内をし、被検温者が口を開けたとき、被検温者の顔下部(口内部)の温度を測定する。そして顔上部(額部)温度の最高温度分布エリアと、顔下部(口内部)の計測最高温度の分布エリアとが、垂直方向(Y軸上)に揃っている場合には、額位置および口位置が正しく撮影位置にあるとみなして、計測処理を進めている。
【0097】
このように、画像認証処理を省略して、温度計測を行っていくことにより、高速処理ができる。また、額位置と口位置とが、共に中央部で、かつ、垂直方向に上下に並んでいるか否かを判定しているため、体温測定エリアが誤った位置となることがなく、安定な処理を行うことも可能である。
図9A、9B、9Cおよび9Dは、この発明の実施形態に係る体温検査装置1または体温検査システム50を利用した生体認証の仕方を説明するための画面イメージ図である。体温検査装置1におけるモニタ6または体温検査システム50におけるモニタ58において、図9A〜図9Dのような温度計測内容が表示され、これにより、被検温者がマスクやお面を付けた状態で検査装置に臨んだりしておらず、被検温体が生体であるか否かの本人確認を行うことができる。
【0098】
具体的に図面を参照して説明する。
図9Aに示すように、被検温者に対し、口を開くように促し、被検温者が口を開いた状態で、可視カメラ2および温度カメラ3で被検温者の顔面を撮影する。そして被検温者にその状態でたとえば「右を向いて下さい」および「左を向いて下さい」という指示を出す。これに応じて、被検温者が右を向いた状態になると、図9Aに示すように、可視画像において、被検温者が右を向いた状態が表示され、熱画像において、顔上部中央部(額中央部)および口腔の位置に、温度の高い熱分布が映される。
【0099】
そして、被検温者に「左を向いて下さい」と促すと、左を向いた検温者の可視画像が表示されるとともに、熱画像においても顔下部の最高温度位置が左を向いた状態で表示される。
従って、このような表示になると、被検温者はマスクやお面などを付けておらず、生体であると認証でき、本人確認ができ、測定値は正常であると判定できる。
【0100】
一方、被測定者がマスクやお面を付けている場合には、図9C、図9Dに示すように、可視画像には、右を向いたり(図9C)、左を向いたり(図9D)をした画像が表示される。しかし、熱画像においては、たとえば図9Cに示すように、被検温者が右を向いているにもかかわらず、顔上部の最高温度検温位置と顔下部の最高温度検温位置とが垂直に上下に並んだ状態となったり、図9Dに示すように、可視画像は左を向いているが、熱画像の最高温度位置が顔下部で右に偏った状態に映ったりする。
【0101】
従って、図9Cおよび図9Dに示すような画像が表示されるときには、被検温体が生体でない可能性があり、本人確認がとれない旨の判定がされる。
このように、この発明に係る体温検査装置または体温検査システムを用いることにより、生体認証を行うことも可能である。
図10は、可視カメラ2および温度カメラ3の配置位置および画角設定等を説明するための図解的な図の一例である。可視カメラ2は、その正面(対物レンズ(撮像レンズ)の前面)2Sにおいて、画角θ1の撮影角度を有していて、可視カメラ2の正面2Sから前方に10cmの位置において、たとえば10cm×10cmの撮影エリアを有し、さらにその前方30cmの位置ではたとえば30×30cmの撮影エリアを有している。
【0102】
一方、温度カメラ3は、その正面(対物レンズ(撮像レンズ)の前面)3Sが、可視カメラ2の下側であって、可視カメラ2の前面2Sから10cm前方になるように配置されている。そして温度カメラ3の前面3Sは、画角θ2の範囲を撮影可能であり、前面3Sの前方30cmの位置において、30cm×30cmの撮影エリアを備えている。そして、可視カメラ2の前面2Sの前方40cmにおける可視カメラ2の撮影エリアと、温度カメラ3の前面3Sの前方30cmにおける温度カメラ3の撮影エリアとはオーバラップするように、可視カメラ2および温度カメラ3の配置位置が関連付けられている。
【0103】
そして、可視カメラ2の前面2Sの前方40cmの位置に被検温者の顔Fが位置するように、顔位置案内手段が案内する。たとえば、図1〜図3で、映し出される被検温者の顔が枠22F内に収まるように被検温者が位置を移動することにより、また、図7に示す体温検査システム50では、顔位置確認用ミラー56により、被検温者がミラーに自分の顔が映る位置に移動したり、ミラーに表された枠内に自分の顔を映したりすることにより、30×30cmのオーバラップした撮影エリアに被検温者の顔Fを位置させる。
【0104】
よって、可視カメラ2および温度カメラ3により、被検温者の顔Fを同時に撮影することが可能となる。
さらに、温度カメラ3の前面3Sは、IDカード等に印刷されたバーコードやQRコードの読み取り基準位置となる。すなわち被検温者が、IDカードを温度カメラ3の前面3Sに沿わせて可視カメラ2の前面2Sに対向させることにより、対向されたIDカードに印刷されたバーコードやQRコードを、可視カメラ2により最適に読み取ることができる。
【0105】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。
たとえば、上記各実施形態では、体温検査装置には可視カメラ2が備えられた構成としたが、可視カメラ2を省略した構成とすることもできる。そして、その場合は、顔位置案内手段は、温度カメラに対して、所定の位置に顔を合わせるように案内する構成とすればよい。
【0106】
その他、請求項記載の範囲内において種々の変更ができる。
【符号の説明】
【0107】
1 体温検査装置
2 可視カメラ
3 温度カメラ
4 カードリーダ
5 スピーカ
6 モニタ(表示器)
50 体温検査システム
51 制御部
52 検査ユニット
53 LAN
54 制御ユニット
55 サーバ
56 顔位置確認用ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線検出手段と、
被測定者の顔の位置を前記赤外線検出手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の顔の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、
前記体温検出手段で算出される温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、
前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする体温検査装置。
【請求項2】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、
被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、
前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられ、予め定められた顔の中の複数の体温測定部位の温度を計測するための赤外線検出手段と、
被測定者の前記複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、
前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、
前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする体温検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段で撮像される被測定者の画像を認識し、被測定者の顔の中に複数の体温測定部位を定める測定部位決定手段、を含むことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段で撮像される被測定者の可視画像を表示するための表示手段を有し、
前記顔位置案内手段は、前記表示手段に表示される被測定者の顔の位置を予め定める位置に案内することを特徴とする、請求項2または3記載の体温検査装置。
【請求項5】
前記赤外線検出手段は、赤外線カメラを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項6】
前記顔位置案内手段は、所定のタイミングで、口を閉じている前記被測定者に対し、口を開くかまたは舌を出すように促すことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置。
【請求項7】
前記所定のタイミングは、前記被測定者の顔の位置が予め定める位置になった後、数秒以内であることを特徴とする、請求項6記載の体温検査装置。
【請求項8】
前記体温検出手段が算出する複数の温度データは、被測定者の額および閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データを含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の体温検査装置。
【請求項9】
前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データに関して、複数の体温測定部位から得られた複数回の計測最高温度データの平均値を求め、被測定者の閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データに関して、複数回の計測最高温度データの最高温度または平均温度を採用して、前記判定を行うことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項10】
前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高い場合に、口腔(舌を含む)の温度データを被測定者の体温とみなすことを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項11】
前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、体温異常を判定することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項12】
前記被測定者は、所定の団体に所属する団体員であって、各自にIDコードが割り当てられており、
前記IDコードを入力するID入力手段と、
前記体温検出手段の算出する温度データを前記ID入力手段から入力されるIDコードとともに記憶する記憶手段と、
前記IDコードに関連付けて記憶された個人の平熱から、前記予め設定された温度を更新する手段と、
を含むことを特徴とする、請求項11記載の体温検査装置。
【請求項13】
前記団体員は、IDコードが表記されたIDカードを有しており、
前記ID入力手段は、IDカードが前記撮像手段に対して所定の位置に対向された時に、撮像手段によってIDコードが読み取られ、IDコードが入力されることを特徴とする、請求項12記載の体温検査装置。
【請求項14】
前記体温検出手段は、前記被測定者の顔の部位の検出・算出された温度データに基づいて、被測定者が生体であるか否かを特定し、生体であることを特定したときは、その温度データを記憶する記憶手段を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項15】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段、および被測定者の顔の位置を前記撮影手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段、を含む検査用ユニットと、
前記検査用ユニットと通信回線を介して接続された制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、
前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、
前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする、体温検査システム。
【請求項16】
前記検査用ユニットは、複数個備えられており、当該複数個の検査用ユニットが前記通信回線を介して前記制御ユニットと接続されていることを特徴とする、請求項15記載の体温検査システム。
【請求項17】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、
被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を検出するステップと、
前記検出された赤外線に基づいて、複数の体温測定部位の温度データを算出するステップと、
算出した複数の体温測定部位の温度データに基づいて、被測定者の体温の正常・異常を判定するステップと、
被測定者の体温異常を判定したときに、それを報知するステップと、
を含むことを特徴とする、被測定者に対する非接触体温検査方法。
【請求項18】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、
被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者から放射される赤外線を検出するステップとを有し、
前記赤外線を検出するステップは、
被測定者の所定の体温測定部位から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップと、
前記所定の体温測定部位から放射される赤外線の検出の後、所定のタイミングで、口を閉じている被測定者に口を開くかまたは舌を出すことを促すステップと、
前記ステップに応答して被測定者が口を開いたとき、閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップとを含み、
さらに、算出された所定の体温測定部位の温度データと、口腔(舌を含む)の温度データとを比較し、前者の温度データよりも後者の口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、被測定者の熱異常を判定するステップと、
判定した熱異常を報知するステップと、
を含むことを特徴とする被測定者の体温検査方法。
【請求項1】
赤外線検出手段と、
被測定者の顔の位置を前記赤外線検出手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の顔の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、
前記体温検出手段で算出される温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、
前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする体温検査装置。
【請求項2】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、
被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段と、
前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられ、予め定められた顔の中の複数の体温測定部位の温度を計測するための赤外線検出手段と、
被測定者の前記複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、
前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、
前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする体温検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段で撮像される被測定者の画像を認識し、被測定者の顔の中に複数の体温測定部位を定める測定部位決定手段、を含むことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段で撮像される被測定者の可視画像を表示するための表示手段を有し、
前記顔位置案内手段は、前記表示手段に表示される被測定者の顔の位置を予め定める位置に案内することを特徴とする、請求項2または3記載の体温検査装置。
【請求項5】
前記赤外線検出手段は、赤外線カメラを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項6】
前記顔位置案内手段は、所定のタイミングで、口を閉じている前記被測定者に対し、口を開くかまたは舌を出すように促すことを特徴とする、請求項2記載の体温検査装置。
【請求項7】
前記所定のタイミングは、前記被測定者の顔の位置が予め定める位置になった後、数秒以内であることを特徴とする、請求項6記載の体温検査装置。
【請求項8】
前記体温検出手段が算出する複数の温度データは、被測定者の額および閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データを含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の体温検査装置。
【請求項9】
前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データに関して、複数の体温測定部位から得られた複数回の計測最高温度データの平均値を求め、被測定者の閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)の温度データに関して、複数回の計測最高温度データの最高温度または平均温度を採用して、前記判定を行うことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項10】
前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高い場合に、口腔(舌を含む)の温度データを被測定者の体温とみなすことを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項11】
前記体温判定手段は、前記体温検出手段が算出した被測定者の額の温度データより口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、体温異常を判定することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項12】
前記被測定者は、所定の団体に所属する団体員であって、各自にIDコードが割り当てられており、
前記IDコードを入力するID入力手段と、
前記体温検出手段の算出する温度データを前記ID入力手段から入力されるIDコードとともに記憶する記憶手段と、
前記IDコードに関連付けて記憶された個人の平熱から、前記予め設定された温度を更新する手段と、
を含むことを特徴とする、請求項11記載の体温検査装置。
【請求項13】
前記団体員は、IDコードが表記されたIDカードを有しており、
前記ID入力手段は、IDカードが前記撮像手段に対して所定の位置に対向された時に、撮像手段によってIDコードが読み取られ、IDコードが入力されることを特徴とする、請求項12記載の体温検査装置。
【請求項14】
前記体温検出手段は、前記被測定者の顔の部位の検出・算出された温度データに基づいて、被測定者が生体であるか否かを特定し、生体であることを特定したときは、その温度データを記憶する記憶手段を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の体温検査装置。
【請求項15】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段、および被測定者の顔の位置を前記撮影手段に対して予め定める位置に案内するための顔位置案内手段、を含む検査用ユニットと、
前記検査用ユニットと通信回線を介して接続された制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を前記赤外線検出手段によって検出し、温度データを算出する体温検出手段と、
前記体温検出手段で算出される複数の温度データに基づいて、前記被測定者の体温の正常・異常を判定する体温判定手段と、
前記体温判定手段が体温異常を判定したとき、それを報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする、体温検査システム。
【請求項16】
前記検査用ユニットは、複数個備えられており、当該複数個の検査用ユニットが前記通信回線を介して前記制御ユニットと接続されていることを特徴とする、請求項15記載の体温検査システム。
【請求項17】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、
被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者の複数の体温測定部位から放射される赤外線を検出するステップと、
前記検出された赤外線に基づいて、複数の体温測定部位の温度データを算出するステップと、
算出した複数の体温測定部位の温度データに基づいて、被測定者の体温の正常・異常を判定するステップと、
被測定者の体温異常を判定したときに、それを報知するステップと、
を含むことを特徴とする、被測定者に対する非接触体温検査方法。
【請求項18】
被測定者の可視画像を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段と所定の位置関係を満たすように設けられた赤外線検出手段とを用いて、被測定者の体温を非接触で検査する方法であって、
被測定者の顔の位置を前記撮像手段に対して予め定める位置に案内するステップと、
被測定者の顔の位置が前記予め定める位置になったことに応答して、前記赤外線検出手段によって被測定者から放射される赤外線を検出するステップとを有し、
前記赤外線を検出するステップは、
被測定者の所定の体温測定部位から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップと、
前記所定の体温測定部位から放射される赤外線の検出の後、所定のタイミングで、口を閉じている被測定者に口を開くかまたは舌を出すことを促すステップと、
前記ステップに応答して被測定者が口を開いたとき、閉から開に変化した直後の口腔(舌を含む)から放射される赤外線を検出し、温度データを算出するステップとを含み、
さらに、算出された所定の体温測定部位の温度データと、口腔(舌を含む)の温度データとを比較し、前者の温度データよりも後者の口腔(舌を含む)の温度データが高く、かつ、それが予め設定された温度よりも高い場合に、被測定者の熱異常を判定するステップと、
判定した熱異常を報知するステップと、
を含むことを特徴とする被測定者の体温検査方法。
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図6A】
【図6B】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【公開番号】特開2011−67371(P2011−67371A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220657(P2009−220657)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
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