説明

体重管理のための遺伝子マーカーとその使用方法

本願は、鍵となる代謝遺伝子における被験体の代謝遺伝子型に基づいて被験体に対する個人仕様の減量プログラムの確立を可能にする方法および試験に関する。被験体の代謝遺伝子型を決定するためのキットおよび方法が開示され、それらを用いることにより、ある特定の食餌および活動レベルに対する被験体の応答の可能性に基づいて適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨が選択され得る。そのような個人仕様の減量プログラムは、遺伝情報を考慮に入れない従来の減量プログラムに対して明らかな利益を有し得る(例えば、体重減少および体重維持に関してより良好な結果をもたらし得る)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2008年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/053,888号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本願は、被験体の代謝遺伝子型を決定する方法、ならびに有害な体重管理の問題に対する被験体の代謝プロファイルおよび感受性に基づいて適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
世界保健機関(WHO)によって1998年に発表された報告によれば、肥満症は、世界中で蔓延の比率に達した:世界の約17億人が、過体重であり、そのうちの3億人が、肥満である。米国では、約1億2700万人の成人が、過体重であり、6900万人が、肥満である。肥満の被験体は、糖尿病、心臓疾患、高血圧および高血中コレステロールをはじめとした1つ以上の重篤な病状を発症するリスクが高い。肥満症の有病率は、過去25年間で2倍超増加し、現在、20歳以上の米国成人の31%に達する。より高い肥満症の割合が、アフリカ系アメリカ人およびラテンアメリカ系アメリカ人において、特に、女性において見られる(30%〜50%)。
【0004】
過去数十年間において世界中で観察された肥満症有病率の増加は、身体活動レベルが徐々に低下していることおよび非常に美味な食物が大量にあることを特徴とする環境の変化において生じている。WHOの報告は、これらの変化を、肥満症の発症を促進する現代的な生活習慣の修正可能な2つの主要な特徴として特定した。しかしながら、人々が同じ環境にさらされているという事実があるにもかかわらず、すべての人が肥満になるわけではないことから、体重管理の問題の発生における被験体の遺伝的プロファイルに対する役割が示唆される。すなわち、遺伝的特質が、好ましくない環境に曝されているときの被験体の肥満になりやすさ、ならびに被験体が食餌および運動に対して応答し得る様式を決定している。
【0005】
したがって、遺伝情報を考慮に入れない同様のプログラムよりも体重減少および体重維持の成果を改善するために、自身の肥満症に対する遺伝的感受性を考慮した個人仕様の体重減少プログラムを確立するための手段が必要とされている。被験体の代謝遺伝子型を食餌および/または運動に対する応答と関連付けるための手段が必要とされている。
【0006】
既知の方法に関連する欠点および問題に関する本明細書中の説明は、この文書に記載される実施形態の範囲を除外すると限定するように決して意図されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明は、被験体の代謝遺伝子型を決定するため、および被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法およびキットを提供する。いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を決定し、その被験体が応答性である可能性のある一連の栄養カテゴリーおよび運動カテゴリーの1つ以上にその被験体を分類し、そしてその被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨について被験体に伝える方法が提供される。この様式において、個人仕様の減量プログラムは、被験体の代謝遺伝子型に基づいて選択され得る。そのような個人仕様の減量プログラムは、遺伝情報を考慮に入れない従来の減量プログラムに対して、明らかな利益を有し得る(例えば、体重減少および体重維持に関してよりよい結果をもたらし得る)。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座から選択される多型遺伝子座のうちのいずれか2つ、いずれか3つまたはいずれか4つに関して被験体の遺伝子型を決定する工程を包含し、ここで、前記遺伝子座に関する被験体の遺伝子型は、有害な体重管理の問題に対する被験体の高い感受性についての情報を提供し、有害な体重管理の問題に対する被験体の感受性に適した治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨の選択を可能にする。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、a)FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座に関して被験体の遺伝子型を決定する工程を包含し、ここで、前記遺伝子座に関する被験体の遺伝子型は、有害な体重管理の問題に対する被験体の高い感受性についての情報を提供し、有害な体重管理の問題に対する被験体の感受性に適した治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨の選択を可能にする。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、a)FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される多型遺伝子座のうちのいずれか2つ、いずれか3つまたはいずれか4つに関して被験体の遺伝子型を決定する工程、およびb)その被験体の遺伝子型を栄養応答カテゴリーおよび/または運動応答カテゴリーに分類する工程を包含する。いったん、被験体の遺伝子型が栄養応答カテゴリーおよび/または運動応答カテゴリーに分類されるかまたはカテゴリー化されると、治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨(その被験体が最も応答性である可能性のある適切な食餌および活動レベルを選択することを含むがこれらに限定されない)が、その被験体に提供され得る。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、a)FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座に関して被験体の遺伝子型を決定する工程、およびb)その被験体の遺伝子型を栄養応答カテゴリーおよび/または運動応答カテゴリーに分類する工程を包含する。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、(a)以下:FABP2 SNP rs1799883、対立遺伝子1(遺伝子型:G;アミノ酸:Ala);FABP2 SNP rs1799883、対立遺伝子2(遺伝子型:A;アミノ酸:Thr);PPARG SNP rs1801282、対立遺伝子1(遺伝子型:C;アミノ酸:Pro);PPARG SNP rs1801282、対立遺伝子2(遺伝子型:G;アミノ酸:Ala);ADRB3 SNP rs4994、対立遺伝子1(遺伝子型:T;アミノ酸:Trp);ADRB3 SNP rs4994、対立遺伝子2(遺伝子型:C;アミノ酸:Arg);ADRB2 SNP rs1042713、対立遺伝子1(遺伝子型:G;アミノ酸:Gly);ADRB2 SNP rs1042713、対立遺伝子2(遺伝子型:A;アミノ酸:Arg);ADRB2 SNP rs1042714、対立遺伝子1(遺伝子型:C;アミノ酸:Gln);およびADRB2 SNP rs1042714、対立遺伝子2(遺伝子型:G;アミノ酸:Glu)遺伝子座から選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つまたは少なくとも8つの対立遺伝子の対立遺伝子パターンを検出する工程(ここで、対立遺伝子パターンの存在は、食餌および/または運動に対する被験体の応答を予測するものである)、および(b)食餌および/または運動に対するその被験体の予測される応答に適した治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択する工程を包含する。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定する方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つに関して被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定する方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座に関して被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座に関する被験体の遺伝子型に関して被験体の遺伝子型を決定するための手段を備えるキットが提供される。そのキットは、サンプル回収手段も備え得る。そのキットは、ポジティブもしくはネガティブコントロールサンプルまたは標準物質および/あるいは結果を評価するためのアルゴリズムデバイス、ならびに追加の試薬および構成要素も備え得る。
【0016】
本発明のキットは、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座に関する被験体の遺伝子型に基づいて食餌および運動の推奨を提供するために使用されるDNA試験の形態であり得る。被験体の遺伝子型によって提供される情報は、肥満症の予防および処置を改善する個人仕様の食餌および運動の介入を医療専門家が開発するのを補助し得る。
【0017】
本発明の他の実施形態および利点は、以下の詳細な説明および請求項に示される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明のキットおよび方法は、ある特定の代謝遺伝子の対立遺伝子のパターンと、特定の食餌および運動レジメンに対する被験体の応答性との間に関連があるという知見に少なくとも部分的に依存する。すなわち、代謝遺伝子の対立遺伝子のパターンと、体重管理に関する臨床成績および表現型との間に関連が存在する。ある特定の遺伝子は、体重に影響を及ぼす様々な経路に影響し、肥満症に対する高いリスク、および遺伝子型による体重管理介入に対する被験体の応答を識別する能力に関連する。本発明の目的のために、そのような遺伝子は、「代謝遺伝子」または「体重管理遺伝子」と称される。これらの遺伝子としては、脂肪酸結合タンパク質2(FABP2);ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−ガンマ(PPARG);ベータ−2アドレナリン作動性レセプター(ADRB2);およびベータ−3アドレナリン作動性レセプター(ADRB3)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明は、被験体の「代謝遺伝子型」を決定する体重管理試験を提供し、それは、1つ以上(例えば、2、3、4つなど)の代謝遺伝子について被験体の遺伝子型を決定することを含む。そのような代謝遺伝子型解析の結果は、運動ありまたはなしで、体重減少のための食餌における多量養素の相対量およびカロリー制限に対する被験体の応答性を予測するために使用され得る。被験体の遺伝子型の同定は、体重減少を達成し、そして/または維持するストラテジーを考案するために、被験体を、治療もしくは栄養または生活習慣の変更、あるいはそれらの組み合わせと対にするために使用され得る。したがって、いくつかの実施形態によれば、多型遺伝子型解析の結果(単一の多型または組み合わせについて)は、1)体重管理介入/成果に対する遺伝的影響、および2)運動ありまたはなしで、体重減少のための食餌における多量養素およびエネルギー制限に対する応答性を判定するために使用され得る。
【0020】
まとめると、1つ以上の代謝遺伝子について被験体の遺伝子型を決定することによって、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するためにすぐに使用可能な情報を提供する解釈が可能になる。被験体の代謝遺伝子型は、1つ以上の代謝遺伝子に関して被験体の遺伝的多型パターンを検出するように設計された体重管理試験から決定される。関連性のある遺伝子多型および遺伝子型パターンの結果を同定することによって、その試験は、起こり得る体重管理の成果に対するリスクを評価し得、個人的な遺伝子構造にマッチする栄養および生活習慣介入の選択に関する指導を被験体に提供し得る。
【0021】
代謝遺伝子
代謝遺伝子としては、脂肪酸結合タンパク質2(FABP2);ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−ガンマ(PPARG);ベータ−2アドレナリン作動性レセプター(ADRB2);およびベータ−3アドレナリン作動性レセプター(ADRB3)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの遺伝子の1つ以上に関する被験体の遺伝的多型パターンは、被験体の代謝遺伝子型を明らかにする。より好ましくは、被験体の代謝遺伝子型は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの1つ以上(すなわち、2、3、4または5つ)に関して被験体の遺伝的多型パターンを同定することによって決定され得る。
【0022】
FABP2 rs1799883(Ala54Thr;G/A)多型
FABP2遺伝子は、脂質の輸送および代謝を調節するタンパク質のファミリーである脂肪酸結合タンパク質の腸管型をコードする。FABP2タンパク質は、小腸上皮細胞において見られ、そこで脂肪吸収を制御する。インビトロにおいて、Thr54型のこのタンパク質は、長鎖脂肪酸に対して2倍高い結合親和性を示し(Baierら、J Clin Invest 95:1281−1287,1995)、腸における強い脂肪吸収と関連すると示された(Levyら、J Biol Chem 276:39679−39684,2001)。したがって、Thr54バリアントは、腸による食餌性脂肪酸の吸収および/またはプロセシングを高め、それより、脂肪酸化を高める。最新の肥満症遺伝子マップによれば、合計5つの研究から、FABP2遺伝子と肥満症との間に関連があるとの証拠が示され;それらのうちの4つが、Ala54Thr多型を含んでいた。54Thrバリアントは、高いBMIおよび体脂肪(Hegeleら、Clin Endocrinol Metab 81:4334−4337,1996)、日本人男性における多い腹部脂肪(Yamadaら、Diabetologia 40:706−710,1997)、および肥満症ならびに女性におけるより高いレプチンレベル(Albalaら、Obes Res 12:340−345,2004)と関連している。
【0023】
複数の研究が、Ala54Thr多型が、試験食における食餌性脂肪の変化に対する応答に影響すると示した。非エステル化脂肪酸(NEFA)は、54Ala/Alaホモ接合体と比べて54Thr/Thrホモ接合体被験体において、高脂肪食の7時間後に20%高かった(Pratleyら、J Lipid Res 41:2002−2008,2000)。脂肪摂取後、54Thr対立遺伝子は、高レベルの食後のトリグリセリド(Agrenら、Arterioscler Thromb Vasc Biol 18:1606−1610,1998)および14−18炭素鎖脂肪酸(Agrenら、Am J Clin Nutr 73:31−35,2001)に関連することも見出された。シス脂肪酸が豊富な類似の食餌と比べてトランス脂肪酸が豊富な試験食の後の食後の(postprandrial)代謝プロファイルは、少なくとも1つのコピーのThr54対立遺伝子を有する被験体が、Ala54対立遺伝子についてホモ接合性である被験体よりも食後のグルコースレベルおよび脂質生合成のより大きい増加を示したことを示した(Lefevreら、Metabolism 54:1652−1658,2005)。低カロリー食(1,520kcal/日)および1週間に3回の有酸素運動からなる生活習慣改変プログラムの前および3ヶ月後に解析された肥満の非糖尿病患者の群(de Luis DAら、Ann Nutr Metab 50:354−360,2006)は、54Thr対立遺伝子の保有者の脂肪質量、LDL−コレステロールレベルおよびレプチンレベルは(野生型54Ala/Alaホモ接合体と比べて)有意に減少しなかったことを示した。他の研究は、中程度の炭水化物摂取のときのFABP2遺伝子型と食餌性脂肪摂取との間の関連を証明した(Marinら、Am J Clin Nutr 82:196−200,2005;Takakuraら、Diabetes Research and Clinical Practice 67:36−42,2005)。
【0024】
PPARG rs1801282(C/G;Pro12Ala)多型
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体レセプター(PPAR)は、転写因子の核内ホルモンレセプターサブファミリーのメンバーである。PPAR−ガンマ(PPARG)は、脂肪細胞において大量に発現され、脂肪細胞の形成、脂質代謝および2型糖尿病の発症において鍵となる役割を果たす。PPARGノックアウトマウスは、正常な脂肪組織を発生せず、高脂肪食を与えられたとき低い体重増加を示し、インスリン抵抗性を示さなかった(Jonesら、PNAS 102:6207−6212,2005)。12Alaバリアントは、レセプターと標的遺伝子におけるPPAR応答エレメントとの結合親和性の低下、ゆえに、これらの標的遺伝子の発現を調節する能力の低下と関連する(Deebら、Nat Genet 20:284−287,1998)。2006年の肥満症遺伝子マップ(Rankinenら、Obesity 14:529−644)によれば、合計30の研究から、PPARG遺伝子と肥満症との関連の証拠、およびPro12Ala多型に関わる正の知見の大部分が示された。
【0025】
大規模な横断的研究であるQuebec Family Study(QFS)(Robitailleら、Clin Genet 63:109−116,2003)は、12Pro対立遺伝子を保有する被験体が、食餌中の脂肪の量に対してより応答性であることを示した。類似の研究(Memisogluら、Human Molecular Genetics 12:2923−2929,2001)もまた、多量の脂肪を摂取する12Pro/Pro被験体が、少量の脂肪を摂取する被験体よりも高いボディマス指数(BMI)を有することを示した。この食餌性脂肪摂取とBMIとの関連は、12Ala保有者には見られなかったことから、再度、12Pro/被験体が、食餌中の脂肪の量に対してより感受性であることが示唆される。食餌性介入に対する応答における遺伝子型の差異についての強力な証拠が、Finnish Diabetes Prevention Studyから得られた(Lindiら、Diabetes 51:2581−2586,2002)。食餌および運動を含む3年間の介入に応答して、12Pro/Pro被験体(−3.4kg)よりもPro12Ala被験体(−4.0kg)よりも12Ala/Ala被験体において体重減少が大きかった(−8.3kg)。過体重および肥満の女性の研究から、6ヶ月間の低カロリー食に対する応答における12Pro/Proと12Ala/保有者との間には体重減少に差が無いが、経過観察(1年)中の体重の再増加は、Ala対立遺伝子を有する女性のほうが12Pro対立遺伝子についてホモ接合性の女性よりも多かったことが示された。この介入に応答して、Ala保有者は、インスリン感度および空腹時の炭水化物酸化をより大きく増加させ、空腹時の脂質酸化をより大きく減少させた(Nicklasら、Diabetes 50:2172−2176,2001)。
【0026】
12Pro/Pro被験体(最も頻度の高い遺伝子型)は、食餌中の脂肪の量により感受性であり、体重減少により抵抗性であり、そして糖尿病のリスクが高い。この遺伝子に対する遺伝子と食餌との相互作用の証拠は、強力である。食餌介入研究からの知見は、12Ala保有者における脂肪の貯蔵および動員におけるより高い代謝の柔軟性を示唆し、このことは、高BMI、介入に応答するより大きい体重減少、およびより高いインスリン感度、および糖尿病の低リスクを示す研究と一致する。したがって、研究は、12Pro対立遺伝子が高リスク対立遺伝子であることを示すことにおいて一致している。
【0027】
ADRB2 rs1042713(G/A;Arg16Gly)およびADRB2 rs1042714(C/G;Gln27Glu)多型
ベータ−2アドレナリン作動性レセプター(ADRB2)は、脂肪細胞において発現されるレセプターの優勢な形態であり、それは、カテコールアミンに応答してエネルギーのための脂肪細胞からの脂肪の分解において鍵となる役割を果たす。アミノ酸を変化させるこの遺伝子のいくつかの多型が同定されており、Arg16GlyおよびGln27Glu多型が、白人において最も一般的な多型であり、肥満症について最も頻繁に調査されている多型である。この2つの多型は、強い連鎖不平衡にある(Meirhaegheら、Intntl J Obesity 24:382−87,2000)。チャイニーズハムスター線維芽細胞におけるこれらのレセプターの組換え発現のインビトロ研究から、この2つの多型の機能的影響が示された(Greenら、Biochemistry 33:9414−9419,1994)。それぞれの正常な対立遺伝子と比較するとき、16Gly対立遺伝子は、アゴニスト(イソプロテレノール(isoproteranol))処理に応答してADRB2発現の大きなダウンレギュレーションと関連し、27Gluは、ADRB2発現のいくらかの増加と関連した(すなわち、ダウンレギュレーションに対して抵抗性)。興味深いことに、両方の変異対立遺伝子(16Glyおよび27Glu)の組み合わせが、レセプター産生を大きくダウンレギュレーションさせた。最近の肥満症遺伝子マップによれば(Rankinenら、The human obesity gene map:The 2005 update.Obesity 14:529−644)、合計20の研究が、ADRB2遺伝子と肥満症との関連についての証拠を示し、その正の知見のほとんどが、Argl6GlyまたはGln27Glu多型を含んでおり、より強い関連が27Glu対立遺伝子とともに存在するという示唆がいくつかある。いくつかの研究は、これらの多型による肥満症に対するリスクにおける性差を証明した(22.Hellstromら、J Intern Med 245:253−259,1999;Garencら、Obes Res 11:612−618,2003)が、証拠が数でまさることは、このパネルにおける性別特異的遺伝子型の解釈を裏付けない。
【0028】
27Glu対立遺伝子が腹部肥満症と正に関連すると見出されたという証拠を複数の研究が示し(Langeら、Int J Obes(Lond)29:449−457,2005;Gonzalezら、Clin Endocrinol(Oxf)59:476−481,2003)、ならびに研究によって、肥満症および多い脂肪質量のリスクについて27Gluと16Gly対立遺伝子の両方が考察された(Masuoら、Am J Hypertens,19:1084−91,2006)。縦断的研究から、小児期から成人期までの体重増加(Ellsworthら、Int J Obes Relat Metab Disord 26:928−937,2002)および成人期における体重増加(Masuoら、Circulation 111:3429−3434,2005;van Rossumら、Int J Obes Relat Metab Disord 26:517−528,2002)が、16Arg/Arg被験体と比較して、16Gly対立遺伝子を保有する被験体において高いことが示された。
【0029】
肥満症の高いリスク(OR=2.56)が、高炭水化物を摂取した(総エネルギー摂取の>49%のCHO)27Gln/Glu女性において見られたが、27Gln/Gln女性ではその関連は観察されなかった(Martinezら、J Nutr 133:2549−2554,2003)。いくつかの場合では、最良の多型および対立遺伝子を判定することにより食餌の選択を行うための対立遺伝子の解釈は、逆の介入(過食)研究および逆の対立遺伝子の選択から生じる。例えば、男性の一卵性双生児の対において行われた過食研究(100日間、1000kcal/日多い)からの結果は、27Gln/Gln被験体が、27Glu対立遺伝子の保有者よりも多く体重および皮下脂肪を得たことを示した(Ukkolaら、Int J Obes Relat Metab Disord 25:1604−1608,2001)。24ヶ月の体重減少プログラム(低カロリー食(1,600kcal/日)および有酸素運動(1日1時間)に登録された過体重の日本人男性の研究において、体重減少に対して抵抗性である男性(BMI変化が10%未満と定義される;n=81)および最初の体重減少を成功させた6ヶ月後に体重を再増加させた男性では16Gly対立遺伝子のより高い頻度が示された(Masuoら、Circulation 111:3429−3434,2005)。余暇時間中により活動的であり、27Glu対立遺伝子の保有者である女性は、非保有者と比較して、より高いBMIを有したことから、これらの女性が、減量により抵抗性であり得ることが示唆される(Corbalanら、Clin Genet 61:305−307,2002)。
【0030】
ADRB3 rs4994(C/T;Arg64Trp)多型
アドレナリン作動性ベータ−3レセプター(ADRB3)は、白色脂肪組織における脂肪分解の制御に関与し、肥満症関連代謝合併症と密接に関連する脂肪の貯蔵所である内臓脂肪組織において主に発現される。単離された脂肪細胞におけるインビトロ研究から、突然変異が、64Arg対立遺伝子を保有する細胞における特定のアゴニストに応答して脂肪分解の低下をもたらすことが示された(Umekawaら、Diabetes 48:117−120,1999)。64Argバリアントを含む、ADRB3遺伝子における3つのバリアントから形成されるハプロタイプは、高いBMI(n=208)、および選択的β3−レセプターアゴニストに対する内臓脂肪細胞の感度(誘導される脂肪分解)の10倍低下に関連することが見出された(Hoffstedtら、Diabetes 48:203−205,1999)。これらの3つのバリアントは、連鎖不平衡にあることから、64Argバリアントが、低いレセプター機能と関連すると示唆される。合計29の研究が、ADRB3遺伝子と肥満症との関連についての証拠を示した。9,000人を超える被験体を用いた31の研究に基づく1つのメタアナリシスは、ホモ接合性の64Trp/Trp被験体よりも64Argバリアントの保有者のほうが高いBMI(平均して、0.30kg/m高い)を示した(Fujisawaら、J Clin Endocrinol Metab 83:2441−2444,1998)。22の研究からの6,500人を超える被験体(主に日本人の被験体)に基づく第2のメタアナリシスもまた、非保有者よりも64Argバリアントの保有者のほうが高いBMI値(平均して0.26kg/m高い)を示した(Kurokawaら、Obes Res 9:741−745,2001)。
【0031】
ケースコントロール研究(158人の肥満、154人の正常な体重)では、坐業被験体だけにおいて、64Arg保有者(より高いBMI)が高い肥満症リスク(OR=2.98)を有したが、遺伝子型によるBMIの差が見られなかった物理的に活動的な被験体では、高い肥満症リスクはないことが示された(Martiら、Diabetes Obes Metab 4:428−430,2002)。低カロリー食と運動とを組み合わせた3ヶ月間の介入を受けた2型糖尿病を有する61人の肥満女性の研究では、64Argバリアントを有する女性が、64Trp/Trp女性よりも、少なく体重(8.3kgに対する4.6kg)およびボディマス(body mass)(3.4kg/m2に対する1.9kg/m2)を減少させたことが示された(Sakaneら、Diabetes Care 20:1887−1890,1997)。運動と食餌とを組み合わせた3ヶ月間の介入を受けた76人の閉経期前後の女性において行われた研究から、64Argバリアントを有しない女性の69%と比較して、64Argバリアントを有する女性の48%が、体重を減少させたことが見出された(Shiwakuら、Int J Obes Relat Metab Disord 27:1028−1036,2003)。これらの2つの研究から、そのバリアントが、食餌および運動による減量の困難さと関連すると示唆される。29人の男性および41人の女性において行われた研究(Pharesら、Obes Res 12:807−815,2004)から、監督された有酸素運動のトレーニングの24週間後に、ADRB3 64Arg保有者が、非保有者よりも多く脂肪の質量および体幹脂肪を減少させたことが示された。これらの結果は、運動に対する逆の対立遺伝子の応答を証明しているとみられるが、この研究のレジメンにおける運動のレベルは、より激しく、監督された耐久トレーニングだった。肥満の状態が、エネルギー支出に対するそのバリアントの中程度の効果を隠す交絡因子であり得るので、運動に応答する遺伝子型の差異の解釈は、多くの研究においてさらに複雑であり得る(Tchernofら、Diabetes 48:1425−1428,1999)。
【0032】
したがって、いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2遺伝子座、PPARG遺伝子座、ADRB3遺伝子座および/またはADRB2遺伝子座のうちの1つ以上(すなわち、2、3または4つ)に関して被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する。いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの1つ以上(すなわち、2、3、4または5つ)を有する被験体の遺伝子型を入手することに関する被験体の遺伝子型の同定を包含する。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、被験体の単一の多型代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される代謝遺伝子の対立遺伝子に関する遺伝子型の同定を包含する。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、被験体の複合代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される少なくとも2つの代謝遺伝子の対立遺伝子に関する遺伝子型の同定を包含する。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される少なくとも3つの代謝遺伝子の対立遺伝子に関する複合多型遺伝子型の同定を包含する。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される少なくとも4つの代謝遺伝子の対立遺伝子に関して複合多型遺伝子型の同定を包含する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、代謝遺伝子の対立遺伝子FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座の各々に関して複合多型遺伝子型を同定する工程を包含する。
【0038】
被験体の単一の多型代謝遺伝子型および/または複合代謝遺伝子型の結果は、食餌介入および/または運動介入による「より低い応答性」または「より高い応答性」の結果を構成するものを含む体重管理リスクとの関係、2)関連する臨床結果または健康関連の生物学的マーカーの結果、3)体重管理のための介入の選択との関係、および4)各遺伝子型の有病率に従って分類され得る。下記の表1および2は、ある特定の代謝遺伝子の対立遺伝子を定義し、ある特定の代謝障害/パラメータに対する感受性についての高リスクを説明している。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2−1】

【0041】
【表2−2】

【0042】
【表2−3】

【0043】
【表2−4】

いくつかの実施形態によれば、適切な治療的介入もしくは食餌性介入または生活習慣の変更について被験体を選択するためまたはスクリーニングするために被験体における血中脂質レベルを測定するための方法およびキットが提供される。本発明は、被験体のHDL、LDLおよび/またはトリグリセリドの測定を提供する。被験体は、男性の場合、約40mg/dL以下および女性の場合、50mg/dL以下の低レベルのHDL、もしくは約100mg/dL以上の高レベルのLDL、もしくは約150mg/dL以上の高レベルのトリグリセリド、またはそれらの任意の組み合わせを有するとスクリーニングされたときに、異常な脂質プロファイルまたは異脂肪血症を有すると考えられる。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、低レベルのHDLは、20〜60mg/dLまたは50〜59mg/dLまたは40〜49mg/dLまたは30〜39mg/dLまたは<30mg/dLであり;高レベルのLDLは、100〜>190mg/dLまたは100〜129mg/dLまたは130〜159mg/dLまたは160〜190mg/dLまたは>190mg/dLであり;そして高レベルのトリグリセリドは、150〜>500mg/dLまたは150〜199mg/dLまたは200〜500mg/dLまたは>500mg/dLである。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、被験体は、体重管理ストラテジーに対する応答についての臨床試験または治療的介入にむけてスクリーニングされ得、そのスクリーニングは、対立遺伝子プロファイルおよび/または本発明の複合遺伝子型によって被験体を同定する工程、ならびにHDLまたはLDLまたはトリグリセリドの予測レベルを用いて、推奨される治療/食餌/生活習慣またはそれらの組み合わせに対する応答について予測する工程を含む。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、体重管理のための臨床試験にむけて被験体をスクリーニングするための方法およびキットが提供され、ここで、低体重の被験体は、<18.5のBMIを有し;過体重の被験体は、25〜29.9の範囲を有し、肥満の被験体は、30〜39.9のBMIを有し、そして>40.0のBMIは、非常に肥満であると考えられる。これらの被験体において代謝遺伝子型を同定することにより、BMI25を有する被験体が低カロリー食のみによってBMI22に達する困難さについて検討するツールが医療専門家に提供され得る。
【0047】
表3は、ある特定の代謝遺伝子型についての民族的な有病率を提供している。
【0048】
【表3】

これらの遺伝子の変異の組み合わせは、1)食餌中の特定の多量養素に対して被験体がどのように応答するか、および2)運動を通じて体重を維持するかまたは減少させる能力に最終的に影響するエネルギー代謝における様々な傾向に影響する。代謝遺伝子型の決定は、健常被験体が、まだ顕れていない有害な体重管理の問題についての遺伝的リスクを同定することを補助し得る。遺伝子関連のリスクを早期に知ることにより、健康に関する個別の個人仕様の判断(栄養、生活習慣)が助けられ得、それにより、将来の健康が保存され得、ならびに最適な体重および体組成を管理するための栄養および生活習慣の選択に対する被験体の注目に優先順位をつける最良の方法についての指示が提供され得る。
【0049】
被験体の代謝遺伝子型から得た情報は、有害な体重管理の問題に対する被験体の遺伝的リスクを予測するために使用され得る。被験体の遺伝子型は、リスクを評価するため、および適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨の選択を可能にするために使用され得る。標記の遺伝子型の同定は、体重減少を達成するためおよび/または維持するためのストラテジーを考案するために、治療もしくは栄養または生活習慣の変更あるいはいずれか2つまたは3つの組み合わせとその被験体とを対にするために使用され得る。一般に、1つ以上の代謝遺伝子の被験体の対立遺伝子パターンが、体重減少管理プログラムにおける、運動ありまたはなしでの、食餌中の多量養素およびエネルギー制限に対する被験体の予測される応答性を分類するために使用され得る。したがって、個人仕様の体重管理プログラムは、被験体の予測される応答に基づいて被験体に対して選択され得る。例えば、体重管理プログラムは、ある特定の多量養素および運動の程度に対する応答性についての被験体の素因に基づいて、一連の栄養カテゴリーのうちの1つおよび一連の運動カテゴリーのうちの1つに被験体の代謝遺伝子型を分類し得る。栄養カテゴリー、運動カテゴリーまたはそれらの組み合わせは、被験体の遺伝的パターンに基づいて被験体に対して選択され得る。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座およびADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される多型遺伝子座のうちのいずれか4つに関して被験体の遺伝子型を決定する工程を包含し、ここで、前記遺伝子座に関する被験体の遺伝子型は、有害な体重管理の問題に対する被験体の高い感受性についての情報を提供し、有害な体重管理の問題に対する被験体の感受性に適した治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨の選択を可能にする。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、FABP2(rs1799883)1.1、PPARG(rs1801282)1.1、ADRB2(rs1042714)1.1およびADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1ならびにさらにADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)1.2もしくは1.1のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1およびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つおよびADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つのいずれかと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、治療/食餌レジメンは、栄養と薬効のある食品(nutraceutical)を投与することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、上記の方法は、治療/食餌レジメンまたは生活習慣の変更から起こり得る利益に関して被験体を分類する工程をさらに包含する。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、上に記載された方法の低脂肪食は、総カロリーの約35パーセント以下を脂肪から提供する。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、上に記載された方法の低炭水化物食は、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、上に記載された方法のカロリー制限食は、総カロリーを被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも3つに関して被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、被験体の代謝遺伝子型を同定するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも4つに関して被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、a)FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座;PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座;ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座;ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座;およびADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座から選択される多型遺伝子座のうちのいずれか4つに関して被験体の遺伝子型を決定する工程;およびb)起こり得る利益をその被験体が得ると予測される栄養カテゴリーおよび/または運動カテゴリーにその被験体を分類する工程を包含し、ここで、栄養カテゴリーは、低脂肪食;低炭水化物食;高タンパク質食;およびカロリー制限食から選択され、運動カテゴリーは、軽い運動;通常の運動;および激しい運動から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法が提供され、その方法は、(a)FABP2(rs1799883)対立遺伝子1(AlaまたはG)、FABP2(rs1799883)対立遺伝子2(ThrまたはA)、PPARG(rs1801282)対立遺伝子1(ProまたはC)、PPARG(rs1801282)対立遺伝子2(AlaまたはG)、ADRB3(rs4994)対立遺伝子1(TrpまたはT)、ADRB3(rs4994)対立遺伝子2(ArgまたはC)、ADRB2(rs1042713)対立遺伝子1(GlyまたはG)、ADRB2(rs1042713)対立遺伝子2(ArgまたはA)、ADRB2(rs1042714)対立遺伝子1(GlnまたはC)およびADRB2(rs1042714)対立遺伝子2(GluまたはG)からなる群から選択される少なくとも2つの対立遺伝子の対立遺伝子パターンを検出する工程(ここで、その対立遺伝子パターンの存在は、食餌および/または運動に対する被験体の応答を予測するものである)、および(b)食餌および/または運動に対する被験体の予測される応答に適した治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択する工程を包含する。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、FABP2(rs1799883)1.1(Ala/AlaまたはG/G)、PPARG(rs1801282)1.1(Pro/ProまたはC/C)、ADRB2(rs1042714)1.1(Gln/GlnまたはC/C)およびADRB2(rs1042713)2.2(Arg/ArgまたはA/A)およびADRB3(rs4994)1.1(Trp/TrpまたはT/T)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)2.2(Arg/ArgまたはA/A)およびADRB3(rs4994)1.1(Trp/TrpまたはT/T)と組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1(Ala/AlaまたはG/G)または1.2(Ala/ThrまたはG/A)のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1(Pro/ProまたはC/C)、ならびにさらにADRB2(rs1042714)1.1(Gln/GlnまたはC/C)、1.2(Gln/GluまたはC/G)または2.2(Glu/GluまたはG/G)のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)2.2(Arg/ArgまたはA/A)およびADRB3(rs4994)1.1(Trp/TrpまたはT/T)と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2(Pro/Ala(C/G)もしくは2.2(Ala/AlaまたはG/G)のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2(Gln/GluまたはC/G)もしくは2.2(Glu/GluまたはG/G)のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)2.2(Arg/ArgまたはA/A)およびADRB3(rs4994)1.1(Trp/TrpまたはT/T)と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2(Pro/AlaまたはC/G)または2.2(Ala/AlaまたはG/G)のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1(Ala/AlaまたはG/G)または1.2(Ala/ThrまたはG/A)のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)1.2(Gly/ArgまたはG/A)もしくは2.2(Arg/ArgまたはA/A)のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2(Arg/TrpまたはT/C)もしくは2.2(Arg/ArgまたはC/C)のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1(Ala/AlaまたはG/G)およびPPARG(rs1801282)1.1(Pro/ProまたはC/C)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042714)1.1(Gln/GlnまたはC/C)、1.2(Gln/GluまたはC/G)または2.2(Glu/GluまたはG/G)のうちの1つおよびADRB2(rs1042713)1.1(Gly/GlyまたはG/G)もしくは1.2(Gly/ArgまたはG/A)のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2(Trp/ArgまたはT/C)もしくは2.2(Arg/ArgまたはC/C)のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1(Ala/AlaまたはG/G)もしくは1.2(Ala/ThrまたはG/A)のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1(Pro/ProまたはC/C)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低脂肪のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)1.1(Gly/GlyまたはG/G)もしくは1.2(Gly/ArgまたはG/A)のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2(Trp/ArgまたはT/C)もしくは2.2(Arg/ArgまたはC/C)のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2(Pro/AlaまたはC/G)もしくは2.2(Ala/AlaまたはG/G)のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2(Gln/GluまたはC/G)もしくは2.2(Glu/GluまたはG/G)のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、ADRB2(rs1042713)1.1(Gly/GlyまたはG/G)もしくは1.2(Gly/ArgまたはG/A)のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2(Trp/ArgまたはT/C)もしくは2.2(Arg/ArgまたはC/C)のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2(Pro/AlaまたはC/G)または2.2(Ala/AlaまたはG/G)のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1(Ala/AlaまたはG/G)または1.2(Ala/ThrまたはG/A)のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体は、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される。いくつかの実施形態によれば、その被験体は、定期的な運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、有害な体重管理の問題に対する被験体の遺伝的リスクを予測するための方法が提供され、その方法は、FABP2(rs1799883)対立遺伝子1(AlaまたはG)、FABP2(rs1799883)対立遺伝子2(ThrまたはA)、PPARG(rs1801282)対立遺伝子1(ProまたはC)、PPARG(rs1801282)対立遺伝子2(AlaまたはG)、ADRB3(rs4994)対立遺伝子1(TrpまたはT)、ADRB3(rs4994)対立遺伝子2(ArgまたはC)、ADRB2(rs1042713)対立遺伝子1(GlyまたはG)、ADRB2(rs1042713)対立遺伝子2(ArgまたはA)、ADRB2(rs1042714)対立遺伝子1(GlnまたはC)およびADRB2(rs1042714)対立遺伝子2(GluまたはG)からなる群から選択される少なくとも2つの対立遺伝子を含む遺伝的多型パターンを検出する工程を包含し、ここで、その遺伝的多型パターンの存在は、食餌および/または運動に対する被験体の応答を予測するものである。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、治療/食餌レジメンは、栄養と薬効のある食品を投与することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、上記の方法は、治療/食餌レジメンまたは生活習慣の変更から起こり得る利益に関して被験体を分類する工程をさらに包含する。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、上に記載された方法の低脂肪食は、総カロリーの約35パーセント以下を脂肪から提供する。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、上に記載された方法の低炭水化物食は、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、上に記載された方法のカロリー制限食は、総カロリーを被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、a)以下:FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座;PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座;ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座;ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座;およびADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座から選択される多型遺伝子座のうちのいずれか4つに関して被験体の遺伝子型を決定するための試薬;およびb)被験体の代謝遺伝子型を決定するための使用説明書、ならびに起こり得る利益を被験体が得ると予測される栄養カテゴリーおよび/または運動カテゴリーに被験体を分類するための手段を備えたキットが提供され、ここで、栄養カテゴリーは、低脂肪食;低炭水化物食;高タンパク質食;およびカロリー制限食からなる群から選択され、運動カテゴリーは、軽い運動;通常の運動;および激しい運動からなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、キットは、治療/食餌レジメンまたは生活習慣の変更から起こり得る利益に関して被験体をさらに分類する。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される、FABP2(rs1799883)1.1、PPARG(rs1801282)1.1、ADRB2(rs1042714)1.1およびADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1の組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低脂肪のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1、ならびにさらにADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低炭水化物のカロリー制限食;定期的な運動;またはその両方に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042713)1.2もしくは1.1のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1およびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低脂肪のカロリー制限食に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つおよびADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、キットは、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型について被験体を遺伝子型解析するための試薬を備える。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも4つに関して被験体の遺伝子型を同定することを含む被験体の代謝遺伝子型を決定するための試薬および使用説明書を備えるキットが提供される。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも3つに関して被験体の遺伝子型を同定することを含む被験体の代謝遺伝子型を決定するための試薬および使用説明書を備えるキットが提供される。
【0094】
栄養カテゴリー
栄養カテゴリーは、通常、被験体の代謝遺伝子型に基づいて被験体に対して推奨される多量養素(すなわち、脂肪、炭水化物、タンパク質)の量に基づいて分類される。被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択する主要な目標は、被験体の代謝遺伝子型を、その被験体が応答性である可能性が最も高い栄養カテゴリーと対にすることである。栄養カテゴリーは、通常、被験体の食餌に対してまたはカロリー制限(例えば、被験体に与えられる総カロリー数の制限および/または特定の多量養素から被験体に与えられるカロリー数の制限)に関して提案される多量養素の相対量に関して表される。例えば、栄養カテゴリーとしては、1)低脂肪の低炭水化物食;2)低脂肪食または3)低炭水化物食が挙げられ得るが、これらに限定されない。あるいは、栄養カテゴリーは、被験体の代謝遺伝子型に基づいて被験体に対して推奨されるある特定の多量養素の制限に基づいて分類され得る。例えば、栄養カテゴリーは、1)バランス食もしくはカロリー制限食;2)脂肪制限食または3)炭水化物制限食として表され得る。
【0095】
脂肪制限食または低脂肪食に応答性である代謝遺伝子型を有する被験体は、より多くの食餌性脂肪を体内に吸収する傾向があり、より遅い代謝を有する。その被験体は、体重増加する傾向が高い。臨床研究から、これらの被験体が、食餌性脂肪全体を減少させることによって健常な体重に容易に達すると示されている。これらの被験体は、低脂肪食および/または低カロリー食を守ることによって、減量を大きく成功させ得る。さらに、これらの被験体は、低カロリー食における飽和脂肪を一不飽和脂肪で置き換えることからも恩恵を受ける。臨床研究から、これらの同じ食餌の改変によって、身体が糖および脂肪を代謝する能力が改善されることも示されている。
【0096】
炭水化物制限食または低炭水化物食に応答性である代謝遺伝子型を有する被験体は、過剰な炭水化物摂取からの体重増加に対してより感受性である傾向がある。その被験体は、低カロリー食における炭水化物を減少させることによって、減量を大きく成功させ得る。この遺伝的パターンを有する被験体は、1日の炭水化物摂取が、例えば、総カロリーの49%を超える場合などの、1日の炭水化物摂取が高い場合、肥満症になりがちであり、血糖調節が困難である。炭水化物の減少は、血糖調節を最適化し、さらなる体重増加のリスクを低下させると示されている。その被験体が、食餌中に多い飽和脂肪および少ない一不飽和脂肪を有する場合、体重増加および高血糖のリスクが高まる。これらの被験体は、総カロリーを制限しつつ、炭水化物全体の摂取を制限し、その食餌の脂肪組成を一不飽和脂肪に変えること(例えば、飽和脂肪が少なく、かつ炭水化物が少ない食餌)から恩恵を受け得る。
【0097】
脂肪と炭水化物とのバランスに対して応答性である代謝遺伝子型を有する被験体は、低脂肪食または低炭水化物食に対して一貫した必要性を示さない。これらの被験体において、鍵となる生物学的マーカー(例えば、体重、体脂肪および血漿脂質プロファイル)は、脂肪および炭水化物のバランスがとれた食餌に対して良好に応答する。体重減少に興味があるこの遺伝的パターンを有する被験体の場合、カロリーが制限されたバランス食が、体重減少および体脂肪の減少を促進すると見出されている。
【0098】
低脂肪食とは、総カロリーの約10%〜約40%未満を脂肪から提供する食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、総カロリーの約35パーセントしか(例えば、約19%、21%、23%、22%、24%、26%、28%、33%などしか)脂肪から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、総カロリーの約30%以下を脂肪から提供する食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、総カロリーの約25%以下を脂肪から提供する食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、総カロリーの約20%以下を脂肪から提供する食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、総カロリーの約15%以下を脂肪から提供する食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、総カロリーの約10%以下を脂肪から提供する食餌のことを指す。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、1日あたり約10グラム〜約60グラムの脂肪である食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、1日あたり約50グラム未満(例えば、約10、25、35、45グラム未満などの)の脂肪である食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、1日あたり約40グラム未満の脂肪である食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、1日あたり約30グラム未満の脂肪である食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低脂肪食とは、1日あたり約20グラム未満の脂肪である食餌のことを指す。
【0100】
脂肪は、飽和脂肪酸と不飽和(一不飽和および多価不飽和)脂肪酸の両方を含む。いくつかの実施形態によれば、飽和脂肪をカロリーの10パーセント未満に減少させることが、飽和脂肪が少ない食餌である。いくつかの実施形態によれば、飽和脂肪をカロリーの15パーセント未満に減少させることが、飽和脂肪が少ない食餌である。いくつかの実施形態によれば、飽和脂肪をカロリーの20パーセント未満に減少させることが、飽和脂肪が少ない食餌である。
【0101】
低炭水化物(CHO)食とは、総カロリーの約20%〜約50%未満を炭水化物から提供する食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物(CHO)食とは、総カロリーの約50パーセントしか(例えば、約20%、25%、30%、35%、40%、45%などしか)炭水化物から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食とは、総カロリーの約45パーセントしか炭水化物から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食とは、総カロリーの約40パーセントしか炭水化物から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食とは、総カロリーの約35パーセントしか炭水化物から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食とは、総カロリーの約30パーセントしか炭水化物から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食とは、総カロリーの約25パーセントしか炭水化物から提供されない食餌のことを指す。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食とは、総カロリーの約20パーセントしか炭水化物から提供されない食餌のことを指す。
【0102】
低炭水化物(CHO)食とは、1日あたり約20〜約250グラムの炭水化物の食餌などの、食餌中の炭水化物のグラム量を制限する食餌のことを指し得る。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約220グラムを超えない(例えば、わずか約40、70、90、110、130、180、210グラムなどの)炭水化物を含む。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約200グラムを超えない炭水化物を含む。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約180グラムを超えない炭水化物を含む。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約150グラムを超えない炭水化物を含む。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約130グラムを超えない炭水化物を含む。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約100グラムを超えない炭水化物を含む。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物食は、1日あたり約75グラムを超えない炭水化物を含む。
【0103】
カロリー制限食またはバランス食とは、多量養素に対するいかなる優先も関係なく摂取総カロリーを被験体の体重維持レベル(WML)未満に制限する食餌のことを指す。バランス食またはカロリー制限食は、例えば、任意の特定の多量養素から摂取されるカロリーを制限することに対して特別焦点を当てることなく被験体の総カロリー摂取を被験体のWML未満に減少させることによって、被験体のカロリー摂取全体を減少させようとするものである。したがって、いくつかの実施形態によれば、バランス食は、被験体のWMLのパーセンテージとして表され得る。例えば、バランス食は、WMLの約50%〜約100%の総カロリー摂取を含む食餌である。いくつかの実施形態によれば、バランス食は、WMLの100%未満(例えば、約99%、97%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%未満)の総カロリー摂取を含む食餌である。この枠組み内において、バランス食は、その食餌中の多量養素の健康的なバランスまたは所望のバランスを達成し、そしてそれは、低脂肪;低飽和脂肪;低炭水化物;低脂肪および低炭水化物;または低飽和脂肪および低炭水化物であり得る。例えば、食餌は、低脂肪のカロリー制限食であり得る(ここで、低脂肪は、本明細書の上で提供されたような意味を有する)。食餌は、低炭水化物のカロリー制限食であり得る(ここで、低炭水化物は、本明細書の上で提供されたような意味を有する)。食餌は、カロリーが制限されたバランス食であり得る(例えば、摂取総カロリーがWML未満である場合に、多量養素の相対的な割合が変動し得る)。いくつかの実施形態によれば、低炭水化物(low−carb)食(炭水化物:45%、タンパク質:20%および脂肪:35%)は、Atkins diet、Glycemic Impact Diet、South Beach Diet、Sugar Busters Dietおよび/またはZone Dietのうちのいずれかを含む。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、低脂肪食(炭水化物:65%、タンパク質:15%、脂肪:20%)は、Life Choice Diet(Ornish Diet)、Pritikin Dietおよび/または市販の他の心臓健康食のうちのいずれかを含む。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、バランス食(炭水化物:55%、タンパク質:20%、脂肪:25%)は、Best Life Diet、Mediterranean Diet、Sonoma Diet、Volumetrics Eating Diet、Weight Watchers Dietのうちのいずれかを含む。
【0106】
他の低炭水化物食、低脂肪食、バランス食およびカロリー制限食が、当該分野で周知であり、ゆえに、それらが、被験体の代謝遺伝子型、およびカロリー制限または他のタイプの食餌に対する予測される応答に応じて、被験体に推奨され得る。
【0107】
運動カテゴリー
運動カテゴリーは、通常、代謝遺伝子型が与えられた被験体が運動に対してどのように応答性であるかに基づいて分類される。例えば、被験体は、軽い運動、中程度の運動、強い運動または非常に強い運動に応答性であり得る。
【0108】
運動に応答性である代謝遺伝子型を有する被験体は、身体活動に応答して、体脂肪を効率的に分解することができる。その被験体は、著しい体重減少を伴って運動に応答する傾向があり、その体重減少を維持する可能性が高い。軽い運動または中程度の運動に応答性である場合、その被験体は、このカテゴリーに入る。
【0109】
運動に対する応答性が低い代謝遺伝子型を有する被験体は、代替の遺伝的パターンを有する被験体よりも、運動に応答してエネルギーのために体脂肪を分解する能力が低い。この被験体は、中程度の運動によって予想されるよりも少なく体重および体脂肪を減少させる傾向がある。これらの被験体は、エネルギーのための体脂肪の分解および体重減少を活性化するために、より多くの運動が必要である。また、これらの被験体は、体重を減らすために、一貫した運動プログラムを維持しなければならない。
【0110】
軽い活動とは、通常、1週間あたり1〜3日運動する(積極的なワークアウト(workout)またはスポーツに取り組む)被験体のことを指す。中程度の活動とは、通常、1週間あたり3〜5日運動する(積極的なワークアウトまたはスポーツに取り組む)被験体のことを指す。強い活動とは、通常、1週間あたり6〜7日運動する(積極的なワークアウトまたはスポーツに取り組む)被験体のことを指す。非常に強い活動または極度の活動とは、通常、平均して1日に1回より多く(例えば、1日に2回)運動する(積極的なワークアウトまたはスポーツに取り組む)被験体のことを指す。定期的な運動とは、少なくとも軽い運動または少なくとも中程度の運動である活動のことを指す。
【0111】
より正確には、活動レベルは、BMRに対するパーセンテージに関して表され得る。例えば、Harris−BenedictまたはKatch−McArdleの式の乗数が、活動レベルを定義する基準として使用され得る。したがって、軽い運動とは、被験体のTDEEをBMRの約125%(すなわち、約25%の増加)からBMRの約140%未満(例えば、約128%、130%、133%、135%、137.5%など)に増加させるように設計される推奨活動レベルのことを指す。中程度の運動とは、被験体のTDEEをBMRの約140%からBMRの約160%未満(例えば、約142%、145%、150%、155%、158%など)に増加させるように設計される推奨活動レベルのことを指す。強い運動とは、被験体のTDEEをBMRの約160%からBMRの約180%未満(例えば、約162%、165%、170%、172.5%、175%、178%など)に増加させるように設計される推奨活動レベルのことを指す。非常に強い運動または極度の運動とは、被験体のTDEEをBMRの約180%からBMRの約210%超(例えば、約182%、185%、190%、195%、200%など)に増加させるように設計される推奨活動レベルのことを指す。
【0112】
あるいは、いくつかの実施形態によれば、「通常の運動」のルーチンは、1週間あたり2.5時間(150分)の中程度の強度の活動(中程度の強度の活動は、3.0〜5.9METと定義される)を含み、「軽い運動」のルーチンは、1週間あたり2.5時間未満の中程度の強度の活動を含み、「激しい運動」のルーチンは、1週間あたり13MET超の強い強度の活動(強い強度の活動は、6MET以上と定義される)を含む。1METは、1カロリー/kg体重/時と等しい。被験体によって消費される総kcal=活動のMET値×体重(単位はkg)×時間(単位は時間)。
【0113】
体重の増加または減少は、摂取カロリーと消費カロリーとのバランスに依存する。摂取カロリーの量が、消費カロリー数よりも大きいとき、体重増加が生じ得る。対照的に、摂取カロリーが、消費カロリー数よりも少ない場合、体重減少が生じ得る。被験体のWMLとは、現在の体重を維持するために被験体が摂取する必要がある総カロリー摂取のことを指す。被験体のWMLは、当該分野で公知の任意の方法を用いて決定され得るかまたは計算され得る。WMLは、しばしば、1日の総エネルギー消費量(TDEE)または推定エネルギー必要量(EER)として表される。当該分野において使用されるときのTDEEおよびEERの意味は、被験体の体重維持レベルを計算する様式を反映する技術的な相違を有し得るが、これらの用語は、それらの技術的な相違を維持しつつ、全般的な意味において交換可能に使用され得る。WMLは、被験体のWMLを決定するために当該分野において使用される任意の方法(例えば、TDEEまたはEER)を用いて計算され得る。
【0114】
平均して、米国における女性の場合、WMLは、1日あたり2000〜2100カロリーである。男性は、平均して、1日あたり2700〜2900カロリーというより高いWMLに達する。TDEEを計算するための好ましい方法は、当業者に周知のHarris−Benedict計算またはKatch−McArdleの式を用いることによるものである。簡潔には、Harris−Benedictの式は、まず、被験体の基礎代謝率(BMR)を決定し、次いで、活動レベルについてのベースを調整することにより、被験体のTDEEを得る。例えば、女性に対するBMRは、以下の式に従って計算され得る:BMR=65.51+(9.563×kg)+(1.850×cm)−(4.676×年齢)。男性に対するBMRは、以下の式に従って計算され得る:BMR=66.5+(13.75×kg)+(5.003×cm)−(6.775×年齢)。そして、このBMRは、BMRに、特定の活動レベルに割り当てられた乗数を乗じることによって調整される。以下の表に、そのような乗数の例が提供されている。結果は、被験体のTDEEである。
【0115】
【表4】

Katch&McArdleの式は、被験体の除脂肪体重(LBM)に基づく。例えば、BMRは、以下の式に従って計算される:BMR(男性および女性)=370+(21.6×除脂肪質量(lean mass)(単位はkg))。Katch−McArdleの式は、LBMを説明するものであるので、この単一の式が、男性と女性の両方に等しく適用される。そして、TDEEは、Harris−Benedict計算において使用されるような活動の乗数を用いて決定される(上表)。
【0116】
分類
通常、被験体の代謝遺伝子型は、単一の栄養カテゴリーおよび単一の運動カテゴリーに入ることになる。したがって、いくつかの実施形態によれば、被験体は、その代謝遺伝子型に基づいて栄養カテゴリーおよび運動カテゴリーに分類され得る。例えば、被験体は、以下の6つのカテゴリーのうちの1つに分類され得る:1)脂肪制限に応答性かつ運動に応答性;2)脂肪制限に応答性かつ運動に低い応答性;3)炭水化物制限に応答性かつ運動に応答性;4)炭水化物制限に応答性かつ運動に低い応答性;5)脂肪と炭水化物とがバランスをとれていて運動に応答性;および6)脂肪と炭水化物とがバランスをとれていて運動に低い応答性。
【0117】
1)脂肪制限に応答性かつ運動に応答性:この遺伝的パターンを有する被験体は、より多くの食餌性脂肪を体内に吸収し、より遅い代謝を有する。この被験体は、体重増加する傾向が高い。臨床研究から、これらの被験体が、食餌性脂肪全体を減少させることによって健常な体重に容易に達すると示されている。これらの被験体は、低脂肪の低カロリー食を守ることによって減量を大きく成功させ得る。さらに、これらの被験体は、低カロリー食における飽和脂肪を一不飽和脂肪で置き換えることからも恩恵を受ける。臨床研究から、これらの同じ食餌の改変によって、身体が糖および脂肪を代謝する能力が改善されることも示されている。
【0118】
この遺伝的パターンを有する被験体は、身体活動に応答して体脂肪を効率的に分解することができる。この被験体は、著しい体重減少を伴って運動に応答する傾向があり、その体重減少を維持する可能性が高い。そのような被験体は、少なくとも軽い運動または少なくとも中程度の運動などの任意のレベルの活動の増加から恩恵を受け得る。
【0119】
2)脂肪制限に応答性かつ運動に低い応答性−この遺伝的パターンを有する被験体は、より多くの食餌性脂肪を体内に吸収し、より遅い代謝を有する。この被験体は、体重増加する傾向が高い。臨床研究から、これらの被験体が、食餌性脂肪全体を減少させることによって健常な体重に容易に達すると示されている。これらの被験体は、低脂肪の低カロリー食を守ることによって減量を大きく成功させ得る。さらに、これらの被験体は、低カロリー食における飽和脂肪を一不飽和脂肪で置き換えることからも恩恵を受ける。臨床研究から、これらの同じ食餌の改変によって、身体が糖および脂肪を代謝する能力が改善されることも示されている。
【0120】
この遺伝的パターンを有する被験体は、代替の遺伝的パターンを有する被験体よりも、運動に応答してエネルギーのために体脂肪を分解する能力が低い。この被験体は、中程度の運動によって予想されるよりも少なく体重および体脂肪を減少させる傾向がある。これらの被験体は、エネルギーのための体脂肪の分解および体重減少を活性化するために、より多くの運動が必要である。また、これらの被験体は、体重を減らすために、一貫した運動プログラムを維持しなければならない。
【0121】
3)炭水化物制限に応答性かつ運動に応答性−この遺伝的パターンを有する被験体は、過剰な炭水化物摂取からの体重増加により感受性である。この被験体は、低カロリー食における炭水化物を減少させることによって、減量を大きく成功させ得る。この遺伝的パターンを有する被験体は、その1日の炭水化物摂取が、総カロリーの49%を超える場合、肥満症になりがちであり、血糖調節が困難である。炭水化物の減少は、血糖調節を最適化し、さらなる体重増加のリスクを低下させると示されている。この被験体が、その食餌中に多い飽和脂肪および少ない一不飽和脂肪を有する場合、体重増加および高血糖のリスクが高まる。これらの被験体は、総カロリーを制限しつつ、炭水化物全体の摂取を制限し、その食餌の脂肪組成を一不飽和脂肪に変えることから恩恵を受け得る。
【0122】
この遺伝的パターンを有する被験体は、身体活動に応答して体脂肪を効率的に分解することができる。この被験体は、著しい体重減少を伴って運動に応答する傾向があり、その体重減少を維持する可能性が高い。
【0123】
4)炭水化物制限に応答性かつ運動に低い応答性−この遺伝的パターンを有する被験体は、過剰な炭水化物摂取からの体重増加により感受性である。この被験体は、低カロリー食における炭水化物を減少させることによって、減量を大きく成功させ得る。この遺伝的パターンを有する被験体は、1日の炭水化物摂取が総カロリーの49%を超える場合、肥満症になりがちであり、血糖調節が困難である。炭水化物の減少は、血糖調節を最適化し、さらなる体重増加のリスクを低下させると示されている。この被験体が、その食餌中に多い飽和脂肪および少ない一不飽和脂肪を有する場合、体重増加および高血糖のリスクが高まる。これらの被験体は、総カロリーを制限しつつ、炭水化物全体の摂取を制限し、その食餌の脂肪組成を一不飽和脂肪に変えることから恩恵を受け得る。
【0124】
この遺伝的パターンを有する被験体は、代替の遺伝的パターンを有する被験体よりも、運動に応答してエネルギーのために体脂肪を分解する能力が低い。この被験体は、中程度の運動によって予想されるよりも少なく体重および体脂肪を減少させる傾向がある。これらの被験体は、エネルギーのための体脂肪の分解および体重減少を活性化するために、より多くの運動が必要である。また、これらの被験体は、体重を減らすために、一貫した運動プログラムを維持しなければならない。
【0125】
5)脂肪と炭水化物とがバランスをとれていて運動に応答性−この遺伝的パターンを有する被験体は、低脂肪食または低炭水化物食の一貫した必要性を示さない。これらの被験体では、鍵となる生物学的マーカー(例えば、体重、体脂肪および血漿脂質プロファイル)は、脂肪と炭水化物とのバランスがとれた食餌にうまく応答する。減量に興味があるこの遺伝的パターンを有する被験体の場合、カロリーを制限したバランス食が、体重減少および体脂肪の減少を促進すると見出されている。
【0126】
この遺伝的パターンを有する被験体は、身体活動に応答して体脂肪を効率的に分解することができる。この被験体は、著しい体重減少を伴って運動に応答する傾向があり、その体重減少を維持する可能性が高い。
【0127】
6)脂肪と炭水化物とがバランスをとれていて運動に低い応答性−この遺伝的パターンを有する被験体は、低脂肪食または低炭水化物食の一貫した必要性を示さない。これらの被験体では、鍵となる生物学的マーカー(例えば、体重、体脂肪および血漿脂質プロファイル)は、脂肪と炭水化物とのバランスがとれた食餌にうまく応答する。減量に興味があるこの遺伝的パターンを有する被験体の場合、カロリーを制限したバランス食が、体重減少および体脂肪の減少を促進すると見出されている。
【0128】
この遺伝的パターンを有する被験体は、代替の遺伝的パターンを有する被験体よりも、運動に応答してエネルギーのために体脂肪を分解する能力が低い。この被験体は、中程度の運動によって予想されるよりも少なく体重および体脂肪を減少させる傾向がある。これらの被験体は、エネルギーのための体脂肪の分解および体重減少を活性化するために、より多くの運動が必要である。また、これらの被験体は、体重を減らすために、一貫した運動プログラムを維持しなければならない。
【0129】
栄養および運動の推奨に加えて、個人仕様の治療/食餌レジメンは、食餌性サプリメント、フード・サプリメントまたは栄養と薬効のある食品についての推奨も含み得る。「栄養と薬効のある食品」は、その栄養面の恩恵以外の追加の恩恵を提供する任意の機能性食品である。このカテゴリーは、栄養ドリンク(nutritional drinks)、ダイエットドリンク(diet drinks)(例えば、SlimfastTMなど)ならびにスポーツハーブ(sports herbal)飲料および他の強化飲料を含み得る。
【0130】
キット
いくつかの実施形態によれば、試薬(オリゴヌクレオチド、塩、酵素、緩衝液など)およびキットを使用するための使用説明書を備えた、被験体の代謝遺伝子型を検出するためのキットが提供される。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、キットは、サンプル回収手段(唾液を回収するためのスワブを含むがこれに限定されない)、回収されたサンプルを保存するためおよび発送するための保存手段を備える。そのキットは、サンプルの回収方法、サンプルの発送方法についての使用説明書を含むCDまたはCD−ROM、およびサンプルDNAから取得された遺伝子型情報を解釈する手段、ならびにその情報を治療/食餌または生活習慣の推奨に変換する手段をさらに備える。遺伝子型パターンは、コンピュータネットワークおよびインターネットを介して、保存され得、伝送され得、そして表示され得る。その治療/食餌および生活習慣の推奨としては、本発明において記載されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0132】
対立遺伝子の検出
対立遺伝子パターン、多型パターンまたはハプロタイプパターンは、種々の利用可能な手法のいずれかを用いて構成対立遺伝子のいずれかを検出することによって同定され得、その手法としては、1)核酸サンプルと、その対立遺伝子にハイブリダイズすることができるプローブとの間のハイブリダイゼーション反応を行うこと;2)その対立遺伝子の少なくとも一部を配列決定すること;または3)その対立遺伝子またはそのフラグメント(例えば、エンドヌクレアーゼ消化によって生成されるフラグメント)の電気泳動移動度を測定することが挙げられる。対立遺伝子は、必要に応じて、増幅工程に供された後、検出工程が行われ得る。好ましい増幅方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、クローニングおよび上記のものの変法(例えば、RT−PCRおよび対立遺伝子特異的増幅)からなる群から選択される。増幅に必要なオリゴヌクレオチドは、例えば、目的のマーカーに隣接する(PCR増幅に必要とされる)か、またはそのマーカーと直接重複する(対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーションにおけるとき)、代謝遺伝子座内から、選択され得る。特に好ましい実施形態において、サンプルは、血管疾患関連対立遺伝子に対するセンス配列またはアンチセンス配列における5’および3’にハイブリダイズするプライマーのセットとハイブリダイズされ、そしてPCR増幅に供される。
【0133】
対立遺伝子は、間接的に、例えば、そのDNAによってコードされるタンパク質産物を解析することによっても、検出され得る。例えば、対象のマーカーが、変異タンパク質の翻訳をもたらす場合、そのタンパク質は、種々のタンパク質検出方法のいずれかによって検出され得る。そのような方法としては、免疫検出試験およびサイズ分画などの生化学的試験(タンパク質が、切断、伸長、フォールディングの変化または翻訳後修飾の変化によって見かけの分子量が変化する場合)が挙げられる。
【0134】
独特のヒト染色体ゲノム配列を増幅するためのプライマーを設計するための一般的なガイドラインは、そのプライマーが、少なくとも約50℃の融解温度を有するということであり、ここで、およその融解温度は、式T融解=[2×(AまたはTの数)+4×(GまたはCの数)]を用いて推定され得る。
【0135】
ヒト多型遺伝子座において特定の対立遺伝子を検出するための多くの方法が利用可能である。特定の多型対立遺伝子を検出するための好ましい方法は、その多型の分子の性質に部分的に依存し得る。例えば、多型遺伝子座の様々な対立遺伝子の形態は、そのDNAの一塩基対だけ異なり得る。そのような単一ヌクレオチド多型(またはSNP)は、既知のすべての多型の80%くらいを構成する遺伝的変異に対する主要な寄与物であり、ヒトゲノム内のその密度は、平均して1,000塩基対あたり1塩基対であると推定される。SNPは、最も頻繁には、たった2つの異なる形態で、2対立遺伝子で存在する(が、理論的には、DNAに存在する4つの異なるヌクレオチド塩基に対応する最大4つの異なる形態のSNPが可能である)。それにもかかわらず、SNPは、他の多型よりも突然変異的に安定であることから、それらは、マーカーと未知のバリアントとの間の連鎖不平衡を用いることにより疾患の原因となる突然変異をマッピングする関連研究に適する。さらに、SNPは、代表的には、たった2つの対立遺伝子しか有しないので、それらは、長さの測定ではなく単純なプラス/マイナスアッセイによって遺伝子型解析され得ることから、自動化に適する。
【0136】
被験体における特定の単一ヌクレオチド多型対立遺伝子の存在を検出するための種々の方法が利用可能である。この分野における進歩は、正確、簡便、かつ安価な大規模SNP遺伝子型解析を提供してきた。ごく最近、例えば、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角ゲル電気泳動(MADGE)、ピロシーケンス、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステム、ならびにAffymetrix SNPチップなどの様々なDNA「チップ」技術をはじめとしたいくつかの新しい手法が報告された。これらの方法は、標的遺伝領域の増幅、代表的にはPCRによる増幅を必要とする。侵襲性切断(invasive cleavage)によって小シグナル分子を生成した後の、質量分析または固定化パッドロック(immobilized padlock)プローブおよびローリングサークル増幅に基づいたなおも他の新しく開発された方法は、最終的にPCRの必要性を無くし得る。特定の単一ヌクレオチド多型を検出するための当該分野で公知の方法のいくつかを、下記で要約する。本発明の方法は、利用可能なすべての方法を含むと理解される。
【0137】
単一ヌクレオチド多型の解析を容易にするいくつかの方法が開発されている。1つの実施形態において、一塩基多型は、例えば、Mundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)に記載されているような、特殊化されたエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを用いることによって検出され得る。その方法によれば、多型部位に対してすぐ3’側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーは、特定の動物またはヒトから得られた標的分子にハイブリダイズすることが可能である。その標的分子上の多型部位が、存在する特定のエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド誘導体に相補的なヌクレオチドを含む場合、その誘導体は、ハイブリダイズされたプライマーの末端上に組み込まれ得る。そのような組み込みは、そのプライマーをエキソヌクレアーゼに対して抵抗性にし、それによって、その検出が可能になる。そのサンプルのエキソヌクレアーゼ抵抗性誘導体の正体(identity)が既知であるので、そのプライマーがエキソヌクレアーゼに対して抵抗性になるという知見から、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが、その反応において使用されるヌクレオチド誘導体のそれに相補的だったことが明らかになる。この方法は、大量の無関係な配列データを決定する必要がないという利点を有する。
【0138】
本発明の別の実施形態において、多型部位のヌクレオチドの正体を決定するために、溶液ベースの方法が使用される。Cohen,D.ら(仏国特許2,650,840;PCT Appln.No.WO91/02087)。米国特許第4,656,127号のMundy法におけるように、多型部位に対してすぐ3’側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーが使用される。この方法は、多型部位のヌクレオチドに相補的である場合にプライマーの末端上に組み込まれるようになる、標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体を用いてその部位のヌクレオチドの正体を決定する。
【0139】
Genetic Bit AnalysisまたはGBATMとして知られている代替方法が、Goelet,P.らにとって報告されている(PCT公開番号WO92/15712)。Goelet,P.らの方法は、標識されたターミネーターと、多型部位に対して3’側の配列に相補的なプライマーとの混合物を使用する。したがって、組み込まれた標識されたターミネーターは、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドによって測定され、そのヌクレオチドと相補的である。Cohenら(仏国特許2,650,840;PCT公開番号WO91/02087)の方法と対照的に、Goelet,P.らの方法は、好ましくは、プライマーまたは標的分子が固相に固定化された、不均一相アッセイである。
【0140】
最近、DNAにおける多型部位をアッセイするための、いくつかのプライマー誘導ヌクレオチド組み込み法(primer−guided nucleotide incorporation procedures)が報告されている(Komher,J.S.ら、Nucl.Acids.Res.17:7779−7784(1989);Sokolov,B.P.,Nucl.Acids Res.18:3671(1990);Syvanen,A.−C.,ら、Genomics 8:684−692(1990);Kuppuswamy,M.N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A)88:1143−1147(1991);Prezant,T.R.ら、Hum.Mutat.1:159−164(1992);Ugozzoli,L.ら、GATA 9:107−112(1992);Nyren,P.ら、Anal.Biochem.208:171−175(1993))。これらの方法のすべてが、多型部位における塩基を識別するために、標識されたデオキシヌクレオチドの組み込みに依存する点で、これらの方法は、GBATMと異なる。そのような形式では、シグナルが、組み込まれるデオキシヌクレオチドの数と比例するので、同じ一続きのヌクレオチドに存在する多型は、その一続きの長さに比例するシグナルをもたらし得る(Syvanen,A.−C.,ら、Amer.J.Hum.Genet.52:46−59(1993))。
【0141】
タンパク質翻訳を途中で終結させる突然変異の場合、タンパク質切断試験(PTT)によって、効率的な診断アプローチが提供される(Roestら(1993)Hum.Mol.Genet.2:1719−21;van der Luijtら、(1994)Genomics 20:1−4)。PTTの場合、最初に、入手可能な組織からRNAが単離され、逆転写され、そして目的のセグメントがPCRによって増幅される。次いで、逆転写PCRの産物が、RNAポリメラーゼプロモーターおよび真核生物の翻訳を開始するための配列を含むプライマーを用いるネステッドPCR増幅用の鋳型として使用される。目的の領域が増幅された後、プライマーに組み込まれている独特のモチーフによって、PCR産物のインビトロにおける連続的な転写および翻訳が可能になる。翻訳産物のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の際、切断されたポリペプチドの出現が、翻訳を途中で終結させる突然変異の存在の証拠となる。この手法の変法では、目的の標的領域が単一エキソンに由来するとき、(RNAに対して)DNAが、PCR鋳型として使用される。
【0142】
任意の細胞型または組織を利用することにより、本明細書中に記載される診断法において使用するための核酸サンプルが得られ得る。好ましい実施形態において、DNAサンプルは、体液、例えば、公知の手法(例えば、静脈穿刺)によって得られる血液または唾液から得られる。あるいは、核酸試験は、乾燥サンプル(例えば、毛または皮膚)に対して行われ得る。RNAまたはタンパク質を使用するとき、利用され得る細胞または組織は、目的の代謝遺伝子を発現していなければならない。
【0143】
診断手順は、生検または切除から得られた患者組織の組織切片(固定切片および/または凍結切片)におけるインサイチュにおいても直接行われ得る(これは核酸を精製する必要がない)。核酸試薬は、そのようなインサイチュ手順(例えば、Nuovo,G.J.,1992,PCR in situ hybridization:protocols and applications,Raven Press,NYを参照のこと)用のプローブおよび/またはプライマーとして使用され得る。
【0144】
主に1つの核酸配列の検出に焦点を当てた方法に加えて、そのような検出スキームではプロファイルも評価され得る。例えば、ディファレンシャルディスプレイ法、ノーザン解析および/またはRT−PCRを利用することによって、フィンガープリントプロファイルが生成され得る。
【0145】
好ましい検出方法は、代謝遺伝子またはハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の領域と重複し、かつ突然変異領域または多型領域の周囲に約5、10、20、25または30ヌクレオチドを有するプローブを用いる対立遺伝子特異的なハイブリダイゼーションである。本発明の好ましい実施形態において、鍵となる代謝遺伝子の他の対立遺伝子バリアントと特異的にハイブリダイズすることができるいくつかのプローブが、固相支持体、例えば、「チップ」(最大約250,000個のオリゴヌクレオチドを保持し得る)に接着される。オリゴヌクレオチドは、リソグラフィーをはじめとした種々のプロセスによって固体支持体に結合され得る。オリゴヌクレオチドを含むこれらのチップ(「DNAプローブアレイ」とも呼ばれる)を用いた突然変異検出解析は、例えば、Croninら(1996)Human Mutation 7:244に記載されている。1つの実施形態において、チップは、ある遺伝子の少なくとも1つの多型領域の対立遺伝子バリアントのすべてを含む。次いで、固相支持体を試験核酸と接触させ、そして特異的プローブへのハイブリダイゼーションが検出される。したがって、1つ以上の遺伝子の数多くの対立遺伝子バリアントの正体は、単純なハイブリダイゼーション実験において同定され得る。
【0146】
これらの手法は、解析の前に核酸を増幅する工程も含み得る。増幅手法は、当業者に公知であり、それらとしては、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特異的な対立遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(ASA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、自家持続配列複製法(Guatelli,J.C.ら、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅系(Kwoh,D.Y.ら、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)およびQ−ベータレプリカーゼ(Lizardi,P.M.ら、1988,Bio/Technology 6:1197)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
増幅産物は、種々の方法においてアッセイされ得、その方法としては、サイズ解析、制限消化後のサイズ解析、反応産物中の特異的なタグ化オリゴヌクレオチドプライマーの検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的5’エキソヌクレアーゼ検出、配列決定、ハイブリダイゼーションなどが挙げられる。
【0148】
PCRベースの検出手段は、複数のマーカーを同時に多重に増幅することを含み得る。例えば、サイズが重複せず、かつ同時に解析され得るPCR産物を生成するPCRプライマーを選択することは、当該分野で周知である。あるいは、標識が異なるがゆえに各々異なって検出され得るプライマーを用いて様々なマーカーを増幅することが可能である。当然のことながら、ハイブリダイゼーションベースの検出手段は、サンプル中の複数のPCR産物の差次的な検出を可能にする。複数のマーカーの多重解析を可能にする他の手法が当該分野で公知である。
【0149】
単なる例証的な実施形態において、上記方法は、(i)患者から細胞のサンプルを回収工程、(ii)そのサンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)を単離する工程、(iii)その核酸サンプルを、対立遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じる条件下において、代謝遺伝子またはハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子に対して5’および3’側に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーと接触させる工程、および(iv)増幅産物を検出する工程を包含する。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少ない数で存在する場合、そのような核酸分子の検出に特に有用である。
【0150】
その対象アッセイの好ましい実施形態において、代謝遺伝子またはハプロタイプの対立遺伝子は、制限酵素切断パターンの変化によって同定される。例えば、サンプルおよびコントロールDNAを単離し、増幅し(必要に応じて)、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し、そしてフラグメント長のサイズをゲル電気泳動によって測定する。
【0151】
なおも別の実施形態において、当該分野で公知の種々の配列決定反応のいずれかを用いることにより、対立遺伝子の配列を直接決定することができる。例示的な配列決定反応としては、MaximおよびGilbert((1977)Proc.Natl Acad Sci USA 74:560)またはSanger(Sangerら(1977)Proc.Nat.Acad.Sci USA 74:5463)によって開発された手法に基づく反応が挙げられる。質量分析による配列決定(例えば、PCT公開WO94/16101;Cohenら(1996)Adv Chromatogr 36:127−162;およびGriffinら(1993)Appl Biochem Biotechnol 38:147−159を参照のこと)を含む対象アッセイ(例えば、Biotechniques(1995)19:448を参照のこと)を行う際に、種々の自動化された配列決定手順のいずれかを利用してもよいことも企図される。ある特定の実施形態については、1、2または3種の核酸塩基の存在だけを配列決定反応において決定することで済むことが、当業者には明らかであろう。例えば、1種の核酸だけが検出される、例えば、A−trackなどが行われ得る。
【0152】
さらなる実施形態において、切断物質(例えば、ヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンを有するもの)からの保護が、RNA/RNAまたはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチ塩基を検出するために使用され得る(Myersら(1985)Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の技術手法は、サンプルとともに野生型対立遺伝子を含む(標識された)RNAまたはDNAをハイブリダイズすることによって形成されたヘテロ二重鎖を提供することによって開始する。その二本鎖の二重鎖を、その二重鎖の一本鎖領域(例えば、コントロール鎖とサンプル鎖との間の塩基対のミスマッチに起因して存在するもの)を切断する薬剤で処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖は、RNaseで処理され得、DNA/DNAハイブリッドは、ミスマッチ領域を酵素的に消化するS1ヌクレアーゼで処理される。他の実施形態において、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNA二重鎖が、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンで処理され得る。ミスマッチ領域を消化した後、得られる材料を、変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズによって分離することにより、突然変異の部位が判定される。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;およびSaleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。好ましい実施形態において、コントロールDNAまたはRNAは、検出のために標識され得る。
【0153】
なおも別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチにおけるAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチにおけるTを切断する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662)。例示的な実施形態によれば、代謝遺伝子遺伝子座ハプロタイプの対立遺伝子に基づくプローブを、試験細胞由来のCDNAまたは他のDNA産物とハイブリダイズする。その二重鎖を、DNAミスマッチ修復酵素で処理し、もしあれば、その切断産物を、電気泳動プロトコルなどから検出し得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0154】
他の実施形態において、電気泳動移動度の変化を用いることにより、代謝遺伝子座の対立遺伝子が同定され得る。例えば、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)を用いることにより、変異核酸と野生型核酸との電気泳動移動度の差異が検出され得る(Oritaら(1989)Proc Natl.Acad.Sci USA 86:2766、Cotton(1993)Mutat Res 285:125−144;およびHayashi(1992)Genet Anal Tech Appl 9:73−79もまた参照のこと)。サンプルおよびコントロール代謝(metabolif)遺伝子座対立遺伝子の一本鎖DNAフラグメントを変性し、復元させる。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従って変化し、その結果として生じる電気泳動移動度の変化は、一塩基の変化でさえも検出することができる。そのDNAフラグメントは、標識されたプローブを用いて標識され得るか、または検出され得る。二次構造が配列の変化に対してより感受性であるRNA(DNAではなく)を使用することによって、アッセイの感度が増強され得る。好ましい実施形態において、標記の方法は、電気泳動移動度の変化に基づいて二本鎖ヘテロ二重鎖分子を分離するためにヘテロ二重鎖解析を利用する(Keenら(1991)Trends Genet 7:5)。
【0155】
なおも別の実施形態において、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲルにおける対立遺伝子の移動は、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Myersら(1985)Nature 313:495)を用いてアッセイされる。DGGEが解析方法として使用されるとき、例えば、約40bpの高融点GCリッチDNAのGCクランプをPCRによって付加することによって、DNAが完全に変性しないことを確実なものにするために、そのDNAを改変し得る。さらなる実施形態において、温度勾配が、変性剤勾配の代わりに用いられることにより、コントロールDNAおよびサンプルDNAの移動度の差異が特定される(Rosenbaum and Reissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
【0156】
対立遺伝子を検出するための他の手法の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅または選択的プライマー伸長が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、既知の突然変異またはヌクレオチド差異(例えば、対立遺伝子バリアントにおいて)が中央に位置し、次いで、完全なマッチが見られる場合にのみハイブリダイゼーションを可能にする条件下で標的DNAにハイブリダイズされる、オリゴヌクレオチドプライマーが調製され得る(Saikiら(1986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230)。そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法を用いることにより、1反応あたり1つの突然変異または多型領域(オリゴヌクレオチドが、PCRによって増幅された標的DNAにハイブリダイズされるとき)またはいくつかの異なる突然変異もしくは多型領域(オリゴヌクレオチドが、ハイブリダイズ膜に接着され、標識された標的DNAとハイブリダイズされるとき)が試験され得る。
【0157】
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術が、本発明とともに使用され得る。特異的増幅用のプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、その分子の中央に(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように)(Gibbsら(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)、または適切な条件下においてミスマッチがポリメラーゼ伸長を防ぎ得るかもしくは減少させ得る一方のプライマーの最も3’末端に(Prossner(1993)Tibtech 11:238)、目的の突然変異または多型領域を保有し得る。さらに、切断ベースの検出をもたらすために、新規制限酵素認識部位を突然変異の領域に導入することが望ましいことがある(Gaspariniら(1992)Mol Cell Probes 6:1)。ある特定の実施形態において、増幅が、増幅用のTaqリガーゼを用いて行われ得ることも予想される(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:189)。そのような場合、増幅の有無を調べることによって、特異的な部位における既知の突然変異の存在の検出を可能にする、5’配列の3’末端における完全なマッチが存在する場合だけ、ライゲーションが生じ得る。
【0158】
別の実施形態において、対立遺伝子バリアントの同定は、例えば、米国特許第4,998,617号およびLandegren,U.ら((1988)Science 241:1077−1080)に記載されているようなオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)を用いて行われる。OLAプロトコルは、標的の一本鎖の隣接配列にハイブリダイズできるように設計された2つのオリゴヌクレオチドを使用する。それらのオリゴヌクレオチドのうちの一方が、分離マーカーに連結されており、例えば、ビオチン化されており、他方が、検出可能に標識される。正確な相補配列が、標的分子において見られる場合、それらのオリゴヌクレオチドは、それらの末端が隣接し、ライゲーション基質を生成するように、ハイブリダイズし得る。次いで、ライゲーションにより、標識されたオリゴヌクレオチドを、アビジンまたは別のビオチンリガンドを用いて回収することが可能になる。Nickerson,D.A.らは、PCRおよびOLAの特質が組み合わさった核酸検出アッセイを報告している(Nickerson,D.A.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8923−27)。この方法では、PCRを用いることにより、標的DNAの指数関数的増幅が達成され、次いで、OLAを用いてそれが検出される。
【0159】
このOLA法に基づくいくつかの手法が開発されており、それを用いることにより、代謝遺伝子座のハプロタイプの対立遺伝子が検出され得る。例えば、米国特許第5,593,826号は、3’−アミノ基および5’−リン酸化オリゴヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを用いることにより、ホスホルアミデート結合を有する結合体を形成するOLAを開示している。Tobeら((1996)Nucleic Acids Res 24:3728)に記載されているOLAの別の変法では、PCRと組み合わされたOLAは、1つのマイクロタイターウェルにおいて2つの対立遺伝子のタイピングを可能にする。独特のハプテン、すなわち、ジゴキシゲニンおよびフルオレセインで対立遺伝子特異的プライマーの各々に印を付すことによって、異なる酵素レポーター、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたハプテン特異的抗体を使用することによって各OLA反応が検出され得る。この系は、2つの異なる色を生成させるハイスループット形式を用いて2つの対立遺伝子の検出を可能にする。
【0160】
別の局面において、本発明は、上に記載されたアッセイを行うためのキットを特徴とする。いくつかの実施形態によれば、本発明のキットは、1つ以上の代謝遺伝子に関して被験体の遺伝子型を決定するための手段を備え得る。本キットは、核酸サンプル回収手段も備え得る。本キットは、ポジティブもしくはネガティブのコントロールサンプルまたは標準物質および/あるいは結果を評価するためのアルゴリズムデバイス、ならびに追加の試薬および構成要素(DNA増幅試薬、DNAポリメラーゼ、核酸増幅試薬、制限酵素、緩衝液、核酸サンプリングデバイス、DNA精製デバイス、デオキシヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(例えば、プローブおよびプライマー)などを含む)も備え得る。
【0161】
キットにおいて使用する場合、オリゴヌクレオチドは、種々の天然の組成物および/または合成の組成物(例えば、合成オリゴヌクレオチド、制限フラグメント、cDNA、合成ペプチド核酸(PNA)など)のいずれかであり得る。本アッセイキットおよび方法は、アッセイにおける同定を容易にするために、標識されたオリゴヌクレオチドも使用し得る。使用され得る標識の例としては、放射標識、酵素、蛍光化合物、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、磁性部分、金属結合部分、抗原または抗体部分などが挙げられる。
【0162】
上に記載されたように、コントロールは、ポジティブコントロールまたはネガティブコントロールであり得る。さらに、コントロールサンプルは、使用される対立遺伝子検出手法のポジティブ(またはネガティブ)産物を含み得る。例えば、対立遺伝子検出手法がPCR増幅の後のサイズ分画である場合、コントロールサンプルは、適切なサイズのDNAフラグメントを含み得る。同様に、対立遺伝子検出手法が、変異タンパク質の検出を含む場合、コントロールサンプルは、変異タンパク質のサンプルを含み得る。しかしながら、コントロールサンプルは、試験される材料を含むことが好ましい。例えば、コントロールは、ゲノムDNAのサンプルまたは代謝遺伝子のクローニングされた一部であり得る。しかしながら、試験されるサンプルがゲノムDNAである場合、そのコントロールサンプルは、好ましくは、ゲノムDNAの高度に精製されたサンプルである。
【0163】
前記キット内に存在するオリゴヌクレオチドは、目的の領域の増幅のため、または対象のマーカーに対する直接的な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーションのために、使用され得る。したがって、それらのオリゴヌクレオチドは、目的のマーカーと隣接し得るか(PCR増幅に必要とされるとき)、またはマーカーと直接重複し得る(ASOハイブリダイゼーションにおけるとき)。
【0164】
本明細書中に記載されるアッセイおよびキットを用いて得られた情報(単独で、または変形性関節症の一因となる別の遺伝的欠損もしくは環境要因に対する情報と組み合わせて)は、無症候性被験体が、特定の疾患または状態を有するか否か、またはそれを発症する可能性があるか否かを判定するために有用である。さらに、その情報は、その疾患または状態の発症または進行の予防に対してよりカスタマイズされたアプローチを可能にし得る。例えば、この情報は、臨床医が、その疾患または状態の分子基盤に対処する治療をより効果的に処方することを可能にし得る。
【0165】
本キットは、DNAサンプリング手段も必要に応じて備え得る。DNAサンプリング手段は、当業者に周知であり、それらとしては、基材(例えば、濾紙、AmpliCardTM(University of Sheffield,Sheffield,England S10 2JF;Tarlow,J Wら、J.of Invest.Dermatol.103:387−389(1994))など;DNA精製試薬(例えば、NucleonTMキット、溶解緩衝液、プロテイナーゼ溶液など);PCR試薬(例えば、10×反応緩衝液、耐熱性(thernostable)ポリメラーゼ、dNTPなど);および対立遺伝子検出手段(例えば、HinfI制限酵素、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、乾燥血液からのネステッドPCR用の変性オリゴヌクレオチドプライマー)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0166】
本発明の別の実施形態は、ある特定の食餌および/または活動レベルに対する応答性についての素因を検出するためのキットに関する。このキットは、1つ以上のオリゴヌクレオチド(代謝遺伝子の遺伝子座またはハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の5’および3’にハイブリダイズする5’および3’オリゴヌクレオチドを含む)を備え得る。PCR増幅オリゴヌクレオチドは、その後の解析にとって好都合なサイズのPCR産物を生成するために、25〜2500塩基対離れて、好ましくは、約100〜約500塩基離れて、ハイブリダイズするべきである。
【0167】
【表5】

本発明の方法による代謝遺伝子多型対立遺伝子の増幅および検出において使用するための追加のオリゴヌクレオチドの設計は、ヒト染色体4q28〜q31(ヒトFABP2遺伝子座を含む)からの更新された配列情報と、この遺伝子座に対して利用可能な更新されたヒト多型情報の両方が利用可能であることによって容易になる。代謝遺伝子におけるヒト多型の検出に適したプライマーは、この配列情報ならびにプライマー配列の設計および最適化のため当該分野で公知の標準的な手法を用いて容易に設計され得る。そのようなプライマー配列の最適な設計は、例えば、市販のプライマー選択プログラム(例えば、Primer 2.1、Primer 3またはGeneFisher)を使用することによって達成され得る(Nicklin M.H.J.,Weith A.Duff G.W.,“A Physical Map of the Region Encompassing the Human Interleukin−1α,interleukin−1β,and Interleukin−1 Receptor Antagonist Genes”Genomics 19:382(1995);Nothwang H.G.ら、“Molecular Cloning of the Interleukin−1 gene Cluster:Construction of an Integrated YAC/PAC Contig and a partial transcriptional Map in the Region of Chromosome 2q13”Genomics 41:370(1997);Clarkら(1986)Nucl.Acids.Res.,14:7897−7914[公開された正誤表はNucleic Acids Res.,15:868(1987)に見られる]およびGenome Database(GDB)プロジェクトもまた参照のこと)。
【0168】
別の局面において、本発明は、上に記載されたアッセイを行うためのキットを特徴とする。いくつかの実施形態によれば、本発明のキットは、1つ以上の代謝遺伝子に関して被験体の遺伝子型を決定するための手段を備え得る。本キットは、核酸サンプル回収手段も備え得る。本キットは、ポジティブもしくはネガティブのコントロールサンプルまたは標準物質および/あるいは結果を評価するためのアルゴリズムデバイス、ならびに追加の試薬および構成要素(DNA増幅試薬、DNAポリメラーゼ、核酸増幅試薬、制限酵素、緩衝液、核酸サンプリングデバイス、DNA精製デバイス、デオキシヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(例えば、プローブおよびプライマー)などを含む)も備え得る。
【0169】
キットにおいて使用する場合、オリゴヌクレオチドは、種々の天然の組成物および/または合成の組成物(例えば、合成オリゴヌクレオチド、制限フラグメント、cDNA、合成ペプチド核酸(PNA)など)のいずれかであり得る。本アッセイキットおよび方法は、アッセイにおける同定を容易にするために、標識されたオリゴヌクレオチドも使用し得る。使用され得る標識の例としては、放射標識、酵素、蛍光化合物、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、磁性部分、金属結合部分、抗原または抗体部分などが挙げられる。
【0170】
上に記載されたように、コントロールは、ポジティブコントロールまたはネガティブコントロールであり得る。さらに、コントロールサンプルは、使用される対立遺伝子検出手法のポジティブ(またはネガティブ)産物を含み得る。例えば、対立遺伝子検出手法がPCR増幅の後のサイズ分画である場合、コントロールサンプルは、適切なサイズのDNAフラグメントを含み得る。同様に、対立遺伝子検出手法が、変異タンパク質の検出を含む場合、コントロールサンプルは、変異タンパク質のサンプルを含み得る。しかしながら、コントロールサンプルは、試験される材料を含むことが好ましい。例えば、コントロールは、ゲノムDNAのサンプルまたは代謝遺伝子のクローニングされた一部であり得る。しかしながら、試験されるサンプルがゲノムDNAである場合、そのコントロールサンプルは、好ましくは、ゲノムDNAの高度に精製されたサンプルである。
【0171】
前記キット内に存在するオリゴヌクレオチドは、目的の領域の増幅のため、または対象のマーカーに対する直接的な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーションのために、使用され得る。したがって、それらのオリゴヌクレオチドは、目的のマーカーと隣接し得るか(PCR増幅に必要とされるとき)、またはマーカーと直接重複し得る(ASOハイブリダイゼーションにおけるとき)。
【0172】
本明細書中に記載されるアッセイおよびキットを用いて得られた情報(単独で、または変形性関節症の一因となる別の遺伝的欠損もしくは環境要因に対する情報と組み合わせて)は、無症候性被験体が、特定の疾患または状態を有するか否か、またはそれを発症する可能性があるか否かを判定するために有用である。さらに、その情報は、その疾患または状態の発症または進行の予防に対してよりカスタマイズされたアプローチを可能にし得る。例えば、この情報は、臨床医が、その疾患または状態の分子基盤に対処する治療をより効果的に処方することを可能にし得る。
【0173】
本キットは、DNAサンプリング手段も必要に応じて備え得る。DNAサンプリング手段は、当業者に周知であり、それらとしては、基材(例えば、濾紙、AmpliCardTM(University of Sheffield,Sheffield,England S10 2JF;Tarlow,J Wら、J.of Invest.Dermatol.103:387−389(1994))など;DNA精製試薬(例えば、NucleonTMキット、溶解緩衝液、プロテイナーゼ溶液など);PCR試薬(例えば、10×反応緩衝液、耐熱性ポリメラーゼ、dNTPなど);および対立遺伝子検出手段(例えば、HinfI制限酵素、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、乾燥血液からのネステッドPCR用の変性オリゴヌクレオチドプライマー)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0174】
定義
別段定義されない限り、本明細書中で使用される専門用語および科学用語のすべては、本発明が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似または等価な方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適当な方法および材料が、以下に記載される。本明細書中で述べられるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献の全体が、参考として援用される。矛盾する場合、定義を含む本明細書が、支配する。さらに、材料、方法および例は、単なる例証であって、限定と意図されない。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかになるだろう。
【0175】
本明細書中に記載される実施形態の理解を促す目的で、好ましい実施形態が言及され、そして特定の術語を使用することにより、それが説明される。本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためであり、本発明の範囲を限定する意図はない。単数形「a」、「an」および「the」は、本開示全体で使用されるとき、文脈が明らかに別のことを述べていない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「組成物(a composition)」に対する言及は、単一の組成物と同様に複数のそのような組成物を含み、「治療薬(a therapeutic agent)」に対する言及は、1つ以上の治療薬および/または医薬品ならびに当業者に公知のそれらの等価物などに対する言及である。
【0176】
用語「対立遺伝子」とは、異なる多型領域において見られる異なる配列バリアントのことを指す。その配列バリアントは、単一または複数の塩基の変化であり得、それらには、挿入、欠失または置換が含まれるがこれらに限定されないか、またはそれらは様々な数の配列反復であり得る。
【0177】
用語「対立遺伝子パターン」とは、1つ以上の多型領域における対立遺伝子の独自性(identity)のことを指す。例えば、対立遺伝子パターンは、PPARG(rs1801282)対立遺伝子1について、多型部位における単一の対立遺伝子からなり得る。あるいは、対立遺伝子パターンは、単一の多型部位におけるホモ接合性またはヘテロ接合性の状態のいずれかからなり得る。例えば、PPARG(rs1801282)対立遺伝子2.2は、2コピーの第2対立遺伝子が存在する対立遺伝子パターンであり、ホモ接合性PPARG(rs1801282)対立遺伝子2の状態に対応する。あるいは、対立遺伝子パターンは、1つより多い多型部位における対立遺伝子の独自性からなり得る。
【0178】
用語「コントロール」または「コントロールサンプル」とは、使用される検出手法にとって適切な任意のサンプルのことを指す。コントロールサンプルは、使用される対立遺伝子検出手法の産物、または試験される材料を含み得る。さらに、コントロールは、ポジティブコントロールまたはネガティブコントロールであり得る。例としては、対立遺伝子検出手法が、PCR増幅の後のサイズ分画である場合、コントロールサンプルは、適切なサイズのDNAフラグメントを含み得る。同様に、対立遺伝子検出手法が、変異タンパク質の検出を含む場合、コントロールサンプルは、変異タンパク質のサンプルを含み得る。しかしながら、コントロールサンプルが、試験される材料を含むことが好ましい。例えば、コントロールは、ゲノムDNAのサンプル、または1つ以上の代謝遺伝子を含むクローニングされた一部であり得る。しかしながら、試験されるサンプルがゲノムDNAである場合、そのコントロールサンプルは、好ましくは、ゲノムDNAの高度に精製されたサンプルである。
【0179】
句「遺伝子の破壊」および「標的化された破壊」または任意の類似の句は、その遺伝子の野生型コピーと比較するとき、細胞内でのその遺伝子の発現を妨害するような天然DNA配列の部位特異的中断のことを指す。その中断は、その遺伝子に対する欠失、挿入もしくは改変またはそれらの任意の組み合わせによって引き起こされ得る。
【0180】
用語「ハプロタイプ」は、本明細書中で使用されるとき、統計学的に有意なレベル(Pcorr<0.05)で1群として共に遺伝される(連鎖不平衡にある)対立遺伝子のセットのことを指すと意図される。本明細書中で使用されるとき、句「代謝ハプロタイプ」とは、代謝遺伝子座のハプロタイプのことを指す。
【0181】
「高リスク」とは、特定の多型対立遺伝子を保有していない集団のメンバーにおける疾患または状態の出現の頻度と比較して、その特定の多型対立遺伝子を保有する被験体におけるその疾患または状態の出現の、統計学的により高い頻度のことを指す。
【0182】
用語「単離された」は、DNAまたはRNAなどの核酸に関して本明細書中で使用されるとき、その高分子の天然の起源に存在するそれぞれ他のDNAまたはRNAから分離されている分子のことを指す。単離されたという用語は、本明細書中で使用されるとき、細胞材料、ウイルス材料もしくは培養液(組換えDNA法によって生成されるとき)、または化学前駆体もしくは他の化学物質(化学的に合成されるとき)を実質的に含まない核酸またはペプチドのことも指す。さらに、「単離された核酸」は、フラグメントとして天然に存在せず、天然の状態においては見られない、核酸フラグメントを含むと意味される。用語「単離された」は、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドを指すためにも本明細書中で使用され、精製されたポリペプチドと組換えポリペプチドの両方を包含すると意味される。
【0183】
「連鎖不平衡」とは、所与のコントロール集団における各対立遺伝子の存在の別個の頻度から予想される頻度よりも高い頻度での2つの対立遺伝子の共遺伝のことを指す。独立して遺伝する2つの対立遺伝子が存在する予想頻度は、第1対立遺伝子の頻度と第2対立遺伝子の頻度とを乗じたものである。予想頻度で同時に存在する対立遺伝子は、「連鎖不平衡」にあるといわれる。連鎖不平衡の原因は、不明であることが多い。連鎖不平衡は、ある特定の対立遺伝子の組み合わせに対する選択または遺伝的に不均一な集団が最近混合されたことに起因し得る。さらに、疾患遺伝子と非常に強く連鎖しているマーカーの場合において、特定の染色体領域における組換え事象を介して平衡が達成されるには十分な時間が経過していないような、近い過去に疾患突然変異が起きた場合、対立遺伝子(または連鎖する対立遺伝子の群)と疾患遺伝子との関連が予想される。1つより多い対立遺伝子を含む対立遺伝子パターンについて言及するとき、第1の対立遺伝子パターンを含むすべての対立遺伝子が、第2の対立遺伝子パターンの対立遺伝子の少なくとも1つと連鎖不平衡にある場合、第1の対立遺伝子パターンは、第2の対立遺伝子パターンと連鎖不平衡である。
【0184】
用語「マーカー」とは、被験体間で異なると知られている、ゲノム内の配列のことを指す。
【0185】
「変異遺伝子」または「突然変異」または「機能的突然変異」とは、変異した遺伝子を有しない被験体に対して、変異遺伝子を有する被験体の表現型を変更することができる遺伝子の対立遺伝子型のことを指す。突然変異によって引き起こされる表現型の変更は、ある特定の薬剤によって是正され得るか、または補償され得る。被験体が、変更される表現型を有するためにその突然変異に対してホモ接合性でなければならない場合、その突然変異は、劣性であるといわれる。被験体の表現型を変更するために1コピーの変異遺伝子で十分である場合、その突然変異は、優性であるといわれる。被験体が、変異遺伝子の1コピーを有し、(その遺伝子について)ホモ接合性被験体の表現型とヘテロ接合性被験体の表現型の中間である表現型を有する場合、その突然変異は、共優性であるといわれる。
【0186】
本明細書中で使用されるとき、用語「核酸」とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、および必要に応じて、リボ核酸(RNA))のことを指す。この用語は、等価物として、ヌクレオチドアナログ(例えば、ペプチド核酸)から作製された、RNAまたはDNAのアナログ、ならびに記載される実施形態に適応可能であるとき、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを包含するとも理解されるべきである。
【0187】
用語「多型」とは、遺伝子またはその一部(例えば、対立遺伝子バリアント)の1つより多い形態の共在のことを指す。少なくとも2つの異なる形態、すなわち、2つの異なるヌクレオチド配列が存在する遺伝子の一部は、「遺伝子の多型領域」と呼ばれる。遺伝子の多型領域における特定の遺伝子配列は、対立遺伝子である。多型領域は、単一ヌクレオチドであり得、その独自性は、様々な対立遺伝子において異なる。多型領域は、いくつかの一続きのヌクレオチドでもあり得る。
【0188】
用語「疾患に対する性向」、また、疾患に対する「素因」もしくは「感受性」または任意の類似の句は、ある特定の対立遺伝子が、特定の疾患(例えば、血管疾患)を発症する被験体の発生率と関連するか、またはそれを予測すると発見されていることを意味する。したがって、それらの対立遺伝子は、健常な被験体と比較するとき、疾患を有する被験体での頻度において大きな比率を占める。したがって、これらの対立遺伝子は、発症前または病気にかかる前の被験体においてでさえも疾患を予測するために使用され得る。
【0189】
本明細書中で使用されるとき、用語「特異的にハイブリダイズする」または「特異的に検出する」とは、核酸分子がサンプル核酸の少なくとも約6つ連続したヌクレオチドにハイブリダイズできることを指す。
【0190】
「転写制御配列」は、それが作動可能に連結しているタンパク質コード配列の転写を誘導するかまたは制御するDNA配列(例えば、開始シグナル、エンハンサーおよびプロモーター)のことを指すために明細書全体にわたって使用される一般的な用語である。
【0191】
用語「ベクター」とは、それに連結されている別の核酸を運搬することができる核酸分子のことを指す。好ましいベクターの1つのタイプは、エピソーム、すなわち、染色体外の複製が可能な核酸である。好ましいベクターは、それに連結している核酸の自律複製および/または発現が可能なものである。作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができるベクターは、本明細書中で「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA法において有用な発現ベクターは、「プラスミド」の形態であることが多く、それは、通常、染色体に結合されていないベクターの形態である、環状二本鎖DNAループのことを指す。プラスミドは、最もよく使用されるベクターの形態であるので、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、交換可能に使用される。しかしながら、本発明は、等価な機能を果たし、後に当該分野で公知になる、そのような発現ベクターの他の形態を包含すると意図される。
【0192】
用語「野生型対立遺伝子」とは、被験体に2コピー存在するときに、野生型の表現型をもたらす遺伝子の対立遺伝子のことを指す。遺伝子におけるある特定のヌクレオチドの変更は、そのヌクレオチドの変更を有する遺伝子を2コピー有する被験体の表現型に影響しないことがあるので、特定の遺伝子のいくつかの異なる野生型対立遺伝子が存在し得る。
【0193】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であって、限定ではない。治療において通常生じ、かつ当業者に明らかである、種々の条件およびパラメータの他の適当な改変および適応は、実施形態の精神および範囲内である。
【実施例】
【0194】
実施例1
体重管理試験は、体重管理に関係する代謝における遺伝子と変異との相関を同定する臨床研究;食餌および生活習慣を変更することによって潜在的に改変可能である方法においてどの遺伝的変異が代謝経路に影響するかを特定する受け入れ基準を確立する臨床研究;どの遺伝子型がリスクを高めると示されるかを決定し、食餌および/または生活習慣の介入によって改変可能であり得るリスクを示唆する臨床研究;ならびに、選択される試験形状、試験結果の解釈、食餌/生活習慣の介入、および利益/リスク解析を裏付ける証拠を集める臨床研究の包括的な再検討から開発された。
【0195】
この遺伝子/多型選択基準は、同じ遺伝子型の関連を示した3つ以上の独立した類似の研究からの証拠に見られるような、多型が体重管理の表現型(例えば、体重、体脂肪、ボディマス指数)と著しい関連を有するという証拠;その遺伝子が、体重管理において生物学的に妥当な役割を有するという証拠;その多型が、分子遺伝的レベルで、または体重および/もしくは健康上のアウトカムに影響を及ぼすと知られている生物学的マーカーの測定によって判定されるときに、機能的影響と関連するという証拠;ならびに特定の推奨カテゴリーに導く多型遺伝子型に関する2つ以上の独立した類似の研究からの証拠に見られるように、介入に対する応答(例えば、食餌または運動)が、遺伝子型によって異なると示されている証拠を必要とした。
【0196】
試験パネルに対する科学的根拠(Scientific Rational)
この試験に対する科学的論拠は、2007年4月から入手可能な科学文献の大規模な再検討に基づく。公開されている証拠を、先を見越して関連づけられた受け入れ基準のセットに対して評価した。この証拠を、遺伝子>多型>複合遺伝子型という階層で組み立てることにより、そのパネルに対する試験結果の解釈を定義し、かつその根拠とした。
【0197】
評価プロセスは、以下を包含した:
1.体重ホメオスタシスに関係する代謝経路の著しい改善を特定することによって候補遺伝子を確定すること。
【0198】
2.どの遺伝的変異が、食餌および運動パターンを変更することによって潜在的に改変可能な方法で代謝経路に影響するかを決定する、受け入れ基準を確立すること。これらは、以下の証拠を含んでいた:
a)遺伝子型と表現型との同じ関連を示した3つ以上の独立した研究によって証明されるとき、多型は、関連性のある表現型(体重、体脂肪またはボディマス指数)との著しい関連を有する。
【0199】
b)その遺伝子は、体重管理において生物学的に妥当な役割を有する。
【0200】
c)その多型が、DNAレベルで機能的影響と関連するか、または体重ホメオスタシスに影響する生理学的経路と関連すると知られている生物学的マーカーの測定によって判定されるとき、機能的影響と関連する。
【0201】
d)食餌または運動などの介入に対する被験体の応答は、遺伝子型によって階層化され得る。そのような証拠は、少なくとも2つにおいて独立して提供されなければならない。
【0202】
3.a)代謝メカニズム;b)肥満症/体重管理および健康上のアウトカムの関連、ならびにc)体重もしくは脂肪蓄積の変化または生物学的マーカーの変化によって測定されるような介入に対する応答、に対する遺伝的変異の影響を評価する科学文献の包括的検索を行うこと。
【0203】
4.どの遺伝子型が被験体の体重を増加しやすくすると示されるか、およびその増加が、特定の食餌ストラテジーまたは運動ストラテジーによって改変可能であり得るか、を判定すること。
【0204】
5.選択された試験形状、試験結果の解釈、食餌/生活習慣の介入および利益/リスク解析を裏付ける証拠を集めること。
【0205】
以下の遺伝子が、上で概説した基準を満たしている。それらの遺伝子は、体重に影響を及ぼす様々な経路に対する影響について選択されており、肥満症に対する高リスクと関連している。それらの遺伝子は、遺伝子型によって体重管理介入に対する応答を区別するために使用され得るので、選択された。それらの遺伝子は、脂肪酸結合タンパク質2(FABP2);ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−ガンマ(PPARG);ベータ−2アドレナリン作動性レセプター(ADRB2);およびベータ−3アドレナリン作動性レセプター(ADRB3)である。
【0206】
複合遺伝子型に対する根拠(Rational)
試験パネルに含めるために、先を見越して開発された基準を満たすかまたはそれを超える遺伝子/多型を同定した後、5つすべての多型について生じる複合遺伝子型が、特定の解釈を裏付け得る異なるカテゴリーに分配され得るかを判定するために、組み合わせを解析した。食餌性多量養素に対する応答(脂肪制限に対する応答性、炭水化物制限に対する応答性および脂肪と炭水化物とのバランス)の証拠に基づいて結果を3つのカテゴリーに分けた。また、それらを、運動に対する応答(運動に対する応答性および運動に対する低い応答性)の証拠に基づいて2つの別個のカテゴリーに分配した。得られたカテゴリーまたは遺伝子型パターンに関する3×2(6セル)マトリックスを表7に示す。
【0207】
脂肪制限食に対する応答性
このカテゴリーは、複合遺伝子型:FABP2 Ala54ThrおよびPPARG Pro12Alaを有する人から構成される。FABP2 Thr54対立遺伝子の保有者でもあるPPARG 12Pro/Pro遺伝子型を有する人も、このカテゴリー内に入る。これらの被験体は、特定の脂肪摂取を制限せずには体重管理が困難であることを示す。FABP2 Thr54バリアントは、長鎖脂肪(1)酸に対する2倍高い結合親和性、ならびに腸による高い脂肪吸収および/または食餌性脂肪酸のプロセシング(2)を有する。Thr54バリアントは、腸による食餌性脂肪酸の吸収および/またはプロセシングを増加させる。PPARGは、脂肪細胞の形成(脂肪の貯蔵)および脂質代謝(脂肪動員)において鍵となる役割を果たす。PPARGは、脂肪細胞の核に位置するレセプターである。PPARGレセプターは、食餌性脂肪によって活性化されるとき、特定のDNA配列に結合し、次いで、脂肪細胞における食餌性脂肪の貯蔵を促進するある特定の遺伝子を「オンにする」。ヒトでは、高いPPARG活性は、高い脂肪蓄積と関連する。Ala12バリアントは、低いPPARG活性と関連する(43,44)。12Pro/Proである人は、12Ala保有者よりも、食餌性脂肪の量に対して応答性である可能性がある。Ala12バリアントの保有者は、介入に応答して脂肪の貯蔵および動員においてより大きな代謝順応性を有する。したがって、12Pro/Proである被験体は、食餌からの脂肪の蓄積においてより有効である。Ala12保有者と比較すると、12Pro/Pro遺伝子型を有する被験体は、DNAへのPPARGの結合が強く、それにより、レセプターのより効率的な活性化がもたらされ、脂肪貯蔵が促進される。
【0208】
炭水化物制限に対する応答性
このカテゴリーは、2つの異なる遺伝的組み合わせ:PPARG Pro12AlaおよびADRB2 Gln27Gluのうちの1つを有する人を含む。PPARG 12Ala/遺伝子型(Ala対立遺伝子保有者)を有し、かつ/またはADRB2 Glu27対立遺伝子を保有する人は、炭水化物の食餌性摂取を制限しない限り、体重管理が困難である。2つの別個の研究(各々がその2つの遺伝子/SNPのうちの1つだけに焦点を当てている)において、研究者らは、50%を超えて炭水化物を摂取していた同じ遺伝子型を有する被験体と比較して、炭水化物摂取が総カロリーの50%未満に制限されたときの、このバリアント対立遺伝子を保有する被験体における体重増加/肥満症に対する低い傾向を見出した(30,38)。このことは、これらの変異の各々が、炭水化物制限下における肥満症に対するリスクに差があることを示すことを示唆している。さらに、それらの研究のうちの1つが、炭水化物摂取が総カロリーの50%未満だったときの、そのバリアント対立遺伝子を保有する被験体におけるインスリン抵抗性のリスクが低いことを証明した(30)。Ala12保有者を用いた介入研究の結果は、低カロリー食(19)および運動トレーニング(45〜47)に応答して、非保有者よりも、大きな体重減少(18)およびインスリン感度のより大きな改善を有することを示唆している。これらの結果は、Ala12バリアントと関連する低いPPARG活性(より少ない脂肪蓄積(脂肪を貯蔵する低い能力)、そしてより高いインスリン感度を引き起こす、PPARG標的遺伝子のより有効でない刺激をもたらす)によって説明され得る。Ala12またはGlu27対立遺伝子のいずれかの保有者であることは、高炭水化物食の際に肥満症のリスクを高めるので、炭水化物制限食をそれらの対立遺伝子の保有者に推奨することが適切であり、これらの遺伝子型は、食餌/運動介入とともにインスリン感度の改善と関連する。
【0209】
体重およびインスリン感度の変更を用いる介入研究の結果は、PPARG 12Ala/およびADRB2 27Glu/に対して強力である(18,30,38,45〜47)。しかしながら、研究では、1つの集団において両方の多型の効果が評価されなかった。したがって、両方のSNP遺伝子型の組み合わせを必要とするよりも、PPARG 12Ala/「および/または」ADRB2 27Glu/遺伝子型の被験体をこのパターンに含めることが、より適切である。
【0210】
5つのSNP遺伝子型パターンの間の唯一の矛盾は、ADRB2 Glu27対立遺伝子を保有する被験体が、この被験者らを「脂肪制限に対して応答性」パターンに対して適格とし得る、PPARG 12Pro/ProとFABP2 54Thr/との組み合わせも有するときである。体重および/または体脂肪に関係する表現型に対するPPARGおよびFABP2多型の遺伝子と食餌との相互作用についての科学的証拠が数でまさること(1,2,9,10,16,18)が、炭水化物調節に対する身体の応答についてのADRB2の遺伝子と食餌との相互作用について見出された証拠より大きい(21,30,31)ので、この試験は、そのような被験体を、「脂肪制限に対して応答性」パターンに割り当てる。
【0211】
複数の研究が、FABP2 Thr54対立遺伝子を保有する被験体に、代謝症候群のリスクがあることを証明している(48〜50)。その他の研究は、飽和脂肪の摂取を減少させることによる、グルコース代謝関連危険因子(インスリン、血糖、トリグリセリド)の改善を証明している(10,11,12)。食餌中の脂肪のタイプに焦点をあてた介入調査は、ほとんどの場合において、中程度の量の食餌性炭水化物も含んだ。FABP2遺伝子型に直接結びつかない他の調査は、炭水化物摂取を調節することによる、インスリンレベルおよび血糖管理の改善を証明している(51〜53)。食餌中の脂肪を減少させることに焦点を当てることよりも;PPARG 12/Ala/とFABP2 54Thr/遺伝子型とが組み合わされた被験体は、炭水化物摂取を減少させることによって、より多くの起こり得る利益を享受し得る。
【0212】
運動に対する低い応答性
ADRB3遺伝子またはADRB2遺伝子のいずれかにおいて特定の遺伝子型を有する人は、体重を管理するストラテジーとしての運動に対して自身を低い応答性にする傾向がある遺伝的素因を有する。これらの多型の両方が、カテコールアミンに対する応答を媒介することによって脂肪組織からの脂肪の代謝(脂肪分解)において鍵となる役割を果たす。ADRB2 Gly16バリアントは(インビトロ研究においてGlu27バリアントと組み合わされるときでさえも)、より低いアドレナリン作動性レセプター応答性と関連する(21)。これらの2つの多型は、密接な連鎖不平衡にある。したがって、Gly16バリアントについての試験は、同じ素因と関連するGlu27バリアントを保有するほとんどの被験体も同定する。ADRB3 Arg64バリアントは、低いレセプター機能および低い脂肪分解と関連する。運動において、そのバリアントの保有者は、低い脂肪分解、ゆえに、脂肪を燃焼する低い能力を示す可能性があり、それは、運動に応答して小さい体重減少をもたらし得る。複数の介入研究が、Arg64バリアントを有する人が、非保有者よりも、食餌/運動に応答した減量がより困難であることを一貫して示している。ADRB2のGly16バリアントの保有者は、非保有者よりも、運動(23)または食餌と運動の組み合わせ(28)によって減量する可能性が低い。両方のアドレナリン作動性レセプターが、運動中にカテコールアミンに対する応答に影響することと、ADRB2 Gly16とADRB3 Arg64の両方が、低いレセプター機能を有することを考慮すると、これらの多型のいずれかを有する被験体は、より低い運動応答性の複合パターンに含められるべきである。
【0213】
結果は、食餌性多量養素に対する応答の証拠に基づいて3つの別個のカテゴリーに、そして運動に対する応答の証拠に基づいて2つの別個のカテゴリーに分けられた。得られたカテゴリーまたは遺伝子型パターンの3×2のマトリックスを以下に示す(表6)。
【0214】
【表6】

複合遺伝子型パターン#1−脂肪と炭水化物とのバランスに対して応答性、運動に対して応答性:FABP2 rs1799883、1.1またはG/G(54Ala/Ala)、PPARG rs1801282、1.1またはC/C(12Pro/Pro)およびADRB2 rs1042714、1.1またはC/C(27Gln/Gln)およびADRB2 rs1042713 2.2またはA/A(16Arg/Arg)およびADRB3 rs4994 1.1またはT/T(64Trp/Trp)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体。このカテゴリーは、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食から様々な体重で応答性であると知られている標記遺伝子型を含む。このパネルにおいて試験されるバリアントが原因で、これらの被験体は、食餌中の脂肪または炭水化物と切り離されるとき、損なわれた応答に対する一貫した遺伝的傾向を示さない。これらの被験体は、体重管理の目標を達成するための定期的な運動に対して正常なエネルギー代謝応答を示す。この複合遺伝子型は、白人集団の2%に存在する。
【0215】
複合遺伝子型パターン#2−脂肪制限に対して応答性、運動に対して応答性:ADRB2 rs1042713、2.2(A/A)(16Arg/Arg)およびADRB3 rs4994、1.1(T/T)(64Trp/Trp)と組み合わされる、FABP2 rs1799883、2.2または1.2(A/AまたはG/A)(54Thr/)およびPPARG rs1801282、1.1またはC/C(12Pro/Pro)、ならびにADRB2 rs1042714、1.2または2.2(C/GまたはG/G)(27Glu)またはADRB2 rs1042714、1.1(C/C)(27Gln/Gln)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体。これらの被験体は、より多くの食餌性脂肪を吸収し、それを代謝において代謝するのではなく、脂肪細胞内に貯蔵する傾向がある。これらの被験体は、体重管理の目標を達成するための定期的な運動に対して正常なエネルギー代謝応答を示す。この複合遺伝子型は、白人集団の約5%と予想される。
【0216】
複合遺伝子型パターン#3−炭水化物制限に対して応答性、運動に対して応答性:PPARG rs1801282(12Ala/)1.2もしくは2.2(C/GまたはG/G)および/またはADRB2 rs1042714(27Glu/)1.2もしくは2.2(C/GまたはG/G)を含む遺伝子型を有する被験体、ならびにPPARG rs1801282(12Ala/)1.2または2.2(C/GまたはG/G)およびFABP2 rs1799883(54Thr/)2.2または1.2(A/AまたはG/A)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体。上の適格遺伝子型のすべてが、ADRB2 rs1042713(16Arg/Arg)2.2(A/A)およびADRB3 rs4994(64Trp/Trp)1.1(T/T)と組み合わされることにより、運動カテゴリーの必要条件に対する応答性が満たされる。これらの被験体は、食餌性炭水化物を多く摂取することによって体重を増やすかまたは保持する傾向があり、グルコース代謝およびインスリン代謝が損なわれているという徴候を示す。これらの被験体は、体重管理の目標を達成するための定期的な運動に対して正常なエネルギー代謝応答を示す。この複合遺伝子型は、白人集団の約5%と予想される。
【0217】
複合遺伝子型パターン#4−脂肪と炭水化物とのバランスに対して応答性、運動に対して低い応答性:FABP2 rs1799883(54Ala/Ala)1.1(G/G)およびPPARG rs1801282(12Pro/Pro)1.1(C/C)およびADRB2 rs1042713(16Gly)1.2もしくは1.1(G/GまたはG/A)またはADRB3 rs4994(64Arg)1.2もしくは2.2(C/TまたはC/C)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体。このカテゴリーは、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食から様々な体重で応答性であると知られている標記遺伝子型を含む。このパネルにおいて試験されるバリアントが原因で、これらの被験体は、食餌中の脂肪または炭水化物と切り離されるとき、損なわれた応答に対する一貫した遺伝的傾向を示さない。これらの被験体は、エネルギー代謝が損なわれている傾向があり、体重管理の目標を達成するための定期的な運動に対して低い応答性である傾向がある。この複合遺伝子型は、白人集団の14%に存在する。
【0218】
複合遺伝子型パターン#5−脂肪制限に対して応答性、運動に対して低い応答性:ADRB2 rs1042713(16Gly)1.2もしくは1.1(G/AまたはG/G)またはADRB3 rs4994(64Arg)2.1もしくは2.2(C/TまたはC/C)と組み合わされる、FABP2 rs1799883(54Thr/)2.2または2.1(A/AまたはA/G)およびPPARG rs1801282(12Pro/Pro)1.1(C/C)、ならびにADRB2 rs1042714(27Glu)1.2もしくは2.2(C/GまたはG/G)またはADRB2 rs1042714(27Gln/Gln)1.1(C/C)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体。これらの被験体は、より多くの食餌性脂肪を吸収し、それを代謝において代謝するのではなく、脂肪細胞内に貯蔵する傾向がある。これらの被験体は、エネルギー代謝が損なわれている傾向があり、体重管理の目標を達成するための定期的な運動に対して低い応答性である傾向がある。この複合遺伝子型は、白人集団の約34%と予想される。
【0219】
複合遺伝子型パターン#6−炭水化物制限に対して応答性、運動に対して低い応答性:PPARG rs1801282(12Ala/)1.2もしくは2.2(C/GまたはG/G)および/またはADRB2 rs1042714(27Glu/)1.2もしくは2.2(C/GまたはG/G)を含む遺伝子型を有する被験体、ならびにPPARG rs1801282(12Ala/)1.2または2.2(C/GまたはG/G)およびFABP2 rs1799883(54Thr/)2.2または2.1(A/AまたはA/G)の組み合わせ遺伝子型を有する被験体。上記の適格遺伝子型のすべてが、運動の必要条件に対する低い応答性を満たすために、ADRB2 rs1042713(16Gly)1.2または1.1(G/AまたはG/G)またはADRB3 rs4994(64Arg)2.1または2.2(C/TまたはC/C)とも組み合わされなければならない。これらの被験体は、食餌性炭水化物を多く摂取することによって体重を増やすかまたは保持する傾向があり、グルコース代謝およびインスリン代謝が損なわれているという徴候を示す。これらの被験体は、エネルギー代謝が損なわれている傾向があり、体重管理の目標を達成するための定期的な運動に対して低い応答性である傾向がある。この複合遺伝子型は、白人集団の約40%と予想される。
【0220】
【表7−1】

【0221】
【表7−2】

【0222】
【表7−3】

実施例2.臨床上の遺伝子型解析法
DNAを、頬側スワブ(SOP#12,バージョン1.3)から抽出するか、またはCoriell Cell Repositoriesから購入した。単離されたDNAを用いることにより、5つのSNP周囲の配列の領域をPCR増幅した(SOP#29,バージョン1.0)。各サンプルから得られた4つのアンプリコンを、エキソヌクレアーゼI(Exo)およびエビアルカリホスファターゼ(SAP)で処理することにより、過剰なプライマーおよびヌクレオチドを除去した(SOP#29,バージョン1.0)。精製されたアンプリコンを、そのSNP標的に特異的なプライマーとともに、一塩基伸長(SBE)反応において使用した(SOP#30,バージョン1.0)。いったんSBEが完了したら、SAPを再び加えることにより、組み込まれていないヌクレオチドを除去した(SOP#30,バージョン1.0)。次いで、SBE産物を、既知の泳動サイズの標準物質とともにBeckman Coulter CEQ8800において解析した(SOP#15,バージョン1.4およびSOP#16,バージョン1.3)。PPARG(rs1801282)を除くすべての遺伝子型を、順方向DNA鎖についてアッセイした。PPARG(rs1801282)は、逆方向DNA鎖に対してアッセイされ、CEQ8800の追跡において相補的な(complement)塩基として表示される。得られた遺伝子型を記録し、次いで、Agencourt Bioscience CorporationにおけるDNA配列決定によって生成された遺伝子型またはNCBIに記録されている公知の遺伝子型と比較した。シングルプレックス(singleplex)形式:標記のPCR産物を、別々に増幅し、対応するSBEプライマーによって主題的に(subjectly)遺伝子型解析した。プールプレックス(poolplex)形式:標記のPCR産物を、別々に増幅し、次いで、共にプールした。プールされたDNAを、SBEプライマーの混合物を用いる単一反応において、5つすべてのSNPについて遺伝子型解析する。マルチプレックス(multiplex)形式:4つすべてのPCR産物を単一反応において生成した。マルチプレックスのPCR産物を、SBEプライマーの混合物を用いる単一反応において5つすべてのSNPについて遺伝子同定した。
【0223】
標準化
市販のサイズ標準物質(Beckman Coulter part#608395)を、遺伝子型解析に対する内部基準としてサンプルとともに泳動した。
【0224】
精度および特異性
正確な遺伝子が、標的化され、正確に遺伝子型解析されることを保証するために、PCR産物を、配列決定および遺伝子型解析のために、独立した研究室(Agencourt Bioscience Corporation)に提出した。Agencourtでは、その配列をSNPに隣接するゲノム配列と比較し、次いで、各サンプルの遺伝子型をInterleukin Geneticsに報告した。次いで、AgencourtおよびInterleukinの結果を、一致するか比較した。
【0225】
SNPの名称および省略形
以下のSNPの名称および省略形が、このアッセイの確認において使用される:ADRB2(R16G)、rs1042713=A1;ADRB2(Q27E)、rs1042714=A2;ADRB3(R64W)、rs4994=A3;FABP2(A54T)、rs1799883=FA;PPARG(P12A)、rs1801282=PP。
【0226】
結果
PCRの結果
単離されたDNAを、別表Bに列挙されているプライマーセットを用いてPCR増幅した。ADRB2(rs1042713)およびADRB2(rs1042714)は、33ヌクレオチド離れており、単一のPCR産物として増幅された。PCR産物をアガロースゲルにおいて泳動することにより、A1/A2=422bp、A3=569bp、FA=311bp、PP=367bpという予想される産物のサイズが確認された。
【0227】
遺伝子型解析の結果
ピーク移動
CEQ8800キャピラリー電気泳動装置において泳動したときに既知のサイズ標準物質に対して特定の位置にピークをもたらすような独特の長さで各SNP特異的単一塩基伸長プライマーを設計した。ピークの位置は、色素の移動度、プライマー配列および解析ソフトウェアの影響に起因してプライマーサイズと正確にマッチしないことがあるが、常に一貫して移動する。単一塩基伸長プライマーは、予想されるピーク移動とともに別表Cに列挙されている。
【0228】
塩基の呼び出し
一塩基伸長反応は、蛍光標識された塩基をSNP特異的プライマーの3’末端に付加する。この産物は、CEQ8800内の2つのレーザーによって読み出される。その結果は、CEQ8800ソフトウェアによって解析され、色づけされたピークとして表される(各色は、異なる塩基を表す)。特定の遺伝子座における1つの単色ピークの存在は、ホモ接合体を示し、異なる色の2つのピークは、ヘテロ接合体を示す。確認において遺伝子型解析された39個のサンプルは、5つすべてのSNPについて、ほとんどすべてのホモ接合性遺伝子型およびすべてのヘテロ接合性遺伝子型を表した。1つの例外は、PPARG SNPに対するホモ接合性のC遺伝子型である。一般的な集団におけるC対立遺伝子の頻度が、たった0.1であるので(rs#1801282に対するdbSNPデータベースによって示されるとき)、これは、予想外ではなかった。しかしながら、ホモ接合性C遺伝子型は、この確認の範囲外の他のサンプルにおいて生じている。
【0229】
CEQ8800ソフトウェアは、ユーザーがSNP遺伝子座タグを特定することができることを特徴とする。ユーザーは、SNP特異的プライマーの予想される移動に基づく移動サイズ(ヌクレオチドにおける)を指定する。これにより、コンピュータが、サンプルとともに泳動された標準化マーカーに関する移動に基づいて、SNPを同定することが可能になる。そのコンピュータは、それが検出する色素指示薬に基づいてSNP内の塩基も同定し得る。この確認のために、コンピュータは、各SNPの最初のコールを作成した。次いで、確証のために、そのデータを再度、2人の技術者によって独立して解析した。すべての場合において、コンピュータのコールと2つの独立した(手動の)コールとが一致した。
【0230】
Coriellサンプル
15個のCoriell DNAサンプルにおいてシングルプレックス形式で遺伝子型解析を行った後、その結果を既知の遺伝子型と比較し、その結果が、100%一致した(表8を参照のこと)。
【0231】
【表8】

本発明を、特に好ましい実施形態および例に関して記載してきたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変が本発明に対して行われ得ることを認識する。
【0232】
本明細書において言及された、および/またはApplication Data Sheetに列挙されている、上記の米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物のすべての全体が、本明細書中で参考として援用される。
【0233】
【数1】

【0234】
【数2】

【0235】
【数3】

【0236】
【数4】

【0237】
【数5】

【0238】
【数6】

【0239】
【数7】

【0240】
【数8】

【0241】
【数9】

【0242】
【数10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体にとって適切な治療/食餌レジメンまたは生活習慣の推奨を選択するための方法であって、
a)FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座;PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座;ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座;ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座;およびADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される多型遺伝子座のいずれか4つに関して該被験体の遺伝子型を決定する工程;および
b)起こり得る利益を該被験体が得ると予測される栄養カテゴリーおよび/または運動カテゴリーに該被験体を分類する工程であって、ここで、該栄養カテゴリーは、低脂肪食;低炭水化物食;高タンパク質食;およびカロリー制限食からなる群から選択され、ここで、該運動カテゴリーは、軽い運動;通常の運動;および激しい運動からなる群から選択される、工程
を包含する、方法。
【請求項2】
FABP2(rs1799883)1.1、PPARG(rs1801282)1.1、ADRB2(rs1042714)1.1およびADRB2(rs1042713)2.2ならびにADRB3(rs4994)1.1という組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪もしくは低炭水化物のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低脂肪食が、総カロリーの約35パーセント以下を脂肪から提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記低炭水化物食が、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1、ならびにさらにADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低脂肪食が、総カロリーの約35パーセント以下を脂肪から提供する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記低炭水化物食が、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記低炭水化物食が、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ADRB2(rs1042713)1.2もしくは1.1のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1およびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記低脂肪食が、総カロリーの約35パーセント以下を脂肪から提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記低炭水化物食が、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記被験体が、通常の運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つ、およびADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪のカロリー制限食に応答性であると予測される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記低脂肪食が、総カロリーの約35パーセント以下を脂肪から提供する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記被験体が、通常の運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記低炭水化物食が、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記被験体が、通常の運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1もしくは1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記低炭水化物食が、総カロリーの約50パーセント未満を炭水化物から提供する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記カロリー制限食が、総カロリーを前記被験体の体重管理レベルの95%未満に制限する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記被験体が、通常の運動に対してより低い応答性であるとさらに予測される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記治療/食餌レジメンが、栄養と薬効のある食品を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
被験体の代謝遺伝子型を同定する方法であって、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも3つに関して該被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する、方法。
【請求項34】
被験体の代謝遺伝子型を同定する方法であって、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも4つに関して該被験体の遺伝子型を同定する工程を包含する、方法。
【請求項35】
a)FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座;PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座;ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座;ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座;およびADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座からなる群から選択される多型遺伝子座のうちのいずれか4つに関して被験体の遺伝子型を決定するための試薬;および
b)該被験体の代謝遺伝子型を決定するための使用説明書、ならびに起こり得る利益を該被験体が得ると予測される栄養カテゴリーおよび/または運動カテゴリーに該被験体を分類するための手段であって、ここで、該栄養カテゴリーは、低脂肪食;低炭水化物食;高タンパク質食;およびカロリー制限食からなる群から選択され、該運動カテゴリーは、軽い運動;通常の運動;および激しい運動からなる群から選択される、使用説明書および手段
を備えた、キット。
【請求項36】
FABP2(rs1799883)1.1、PPARG(rs1801282)1.1、ADRB2(rs1042714)1.1およびADRB2(rs1042713)2.2ならびにADRB3(rs4994)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1、ならびにさらにADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項38】
ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項39】
ADRB2(rs1042713)2.2およびADRB3(rs4994)1.1と組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食;通常の運動;またはその両方に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項40】
ADRB2(rs1042713)1.2もしくは1.1のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1およびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪または低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項41】
ADRB2(rs1042714)1.1、1.2または2.2のうちの1つおよびADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、FABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つおよびPPARG(rs1801282)1.1の組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低脂肪のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項42】
ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2もしくは2.2のうちの1つおよび/またはADRB2(rs1042714)1.2もしくは2.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項43】
ADRB2(rs1042713)1.1もしくは1.2のうちの1つまたはADRB3(rs4994)1.2もしくは2.2のうちの1つと組み合わされる、PPARG(rs1801282)1.2または2.2のうちの1つおよびFABP2(rs1799883)1.1または1.2のうちの1つの組み合わせ遺伝子型を有する前記被験体が、低炭水化物のカロリー制限食に応答性であると予測される、請求項35に記載のキット。
【請求項44】
被験体の代謝遺伝子型を決定するための試薬および使用説明書を備えたキットであって、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも3つに関して該被験体の遺伝子型を同定する工程を含む、キット。
【請求項45】
被験体の代謝遺伝子型を決定するための試薬および使用説明書を備えたキットであって、FABP2(rs1799883;G/A)遺伝子座、PPARG(rs1801282;C/G)遺伝子座、ADRB3(rs4994;C/T)遺伝子座、ADRB2(rs1042713;A/G)遺伝子座、および/またはADRB2(rs1042714;C/G)遺伝子座のうちの少なくとも4つに関して該被験体の遺伝子型を同定する工程を含む、キット。

【公表番号】特表2011−520453(P2011−520453A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509728(P2011−509728)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044076
【国際公開番号】WO2009/140569
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506365809)インターロイキン ジェネティクス, インコーポレイテッド (3)
【出願人】(397009897)アルティコア インコーポレイテッド (1)
【住所又は居所原語表記】7575 Fulton Street East,Ada,Michigan 49355−0001,U.S.A.
【Fターム(参考)】