説明

作業判定システム及び作業判定方法並びに該作業判定方法を記録した記録媒体

【課題】部品同士を嵌合させる部品組付作業において、絶対座標で手の動きを数値化し測定しても正確な作業判定を行うことができる作業判定システムを提供する。
【解決手段】作業者の一方の手による作業動作を経時的に測定する位置センサ21が設けられたモーションキャプチャ2と、部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を経時的に測定するための圧力センサ23と、標準データが登録された記憶部31と、位置センサからの検出データがなす波形の軌跡を標準データがなす波形の軌跡と比較して、検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた閾値に達しているか否かを判定する作業動作判定機能32a、予め定められた時間内において標準データによる閾値に達すると、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間に到達しているか否かを判定する部品組付作業判定機能32bを有する作業解析部32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内の生産ラインにおいて、部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の作業状態を判定するための作業判定システム及び作業判定方法並びに該作業判定方法を記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気製品や自動車の製造メーカーの生産技術部門においては、生産性を向上させる目的のために、モーションキャプチャを使用して作業者の作業が正常に行われたか否かを判定することができる作業訓練支援システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この作業訓練支援システムは、モーションキャプチャからの3次元の空間座標位置と、標準作業時間、手の動きのぶれ(蛇行)あるいは手の動きの基準値とを比較して、その基準値から外れる場合には習熟総合判定をNGにするものである。モーションキャプチャは、作業者の動作状態をリアルに反映させることができるので、作業者の作業判定の精度を高めることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−134536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術に記載した作業訓練支援システムでは、絶対座標で手の動きのぶれ(蛇行)あるいは手の動きを数値化しているので、必ず決められた位置で部品同士を嵌合させる部品組付作業では特に問題はないが、部品同士を嵌合させる位置が変動してしまうような部品組付作業では、絶対座標で判定しようとすると、正常に部品同士を嵌合させることができなくなる難点があった。
【0006】
この部品同士を嵌合させる位置が変動してしまう例としては、2本のワイヤーハーネスそれぞれが端部に備えたコネクタを嵌合させる場合や、カウルサイドトリムの穴部とスカッフプレートの爪部とを嵌合させる場合等が該当する。2本のワイヤーハーネスのコネクタ同士の嵌合では、一方のワイヤーハーネスのコネクタを手で持って、他方のワイヤーハーネスのコネクタに結合しようとすると、他方のワイヤーハーネスのコネクタが完全拘束されていない場合には、結合位置が押し込み方向に移動してコネクタ同士を正常に嵌合させることができなくなる。また、カウルサイドトリム及びスカッフプレートの嵌合では、例えばカウルサイドトリムが柔らかい樹脂で形成されていると、爪部を穴部に正常に嵌合させることができなくなる場合がある。
【0007】
さらに、背景技術に記載した作業訓練支援システムでは、一方の部品を他方の部品に嵌合させる際、他方の部品が正常な位置から作業者側に向かってずれて配置されていると、一方の部品に手で荷重をかけ過ぎて嵌合部である爪などの部品が破損する虞があった。
【0008】
これらのような事象が発生していても作業訓練支援システムは、絶対座標で手の動きを数値化し測定しているので、作業者がその事象を見落とした場合には、その作業が正常に行われたものと判定することになる。
【0009】
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、部品同士を嵌合させる部品組付作業において、絶対座標で手の動きを数値化し測定しても正確な作業判定を行うことができる作業判定システム及び作業判定方法並びに該作業判定方法を記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成する本発明の第1の態様である作業判定システムは、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の一方の部品を持った手による作業動作を経時的に測定して、その測定結果である作業動作検出データを送信するための位置センサが設けられ、作業者の手に装着されるモーションキャプチャと、部品組付作業において部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信するために作業者の手に装着される圧力センサと、部品組付作業を行っている作業者の手による作業動作の標準である作業動作標準データと共に、部品組付作業を行っている時に一方の部品に対して経時的に加わる荷重の標準である圧力標準データが登録された記憶部と、モーションキャプチャの位置センサから受信した作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達しているか否かを判定する作業動作判定機能、及び作業動作判定機能で作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達すると、圧力センサから受信した圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間に到達しているか否かを判定する部品組付作業判定機能を有する作業解析部とを備えているものである。
【0011】
本発明の第2の態様は第1の態様である作業判定システムにおいて、作業解析部は、作業動作判定機能で、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達していないと判定した場合、又は部品組付作業判定機能で、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内から外れたと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定するものである。
【0012】
本発明の第3の態様は第1の態様である作業判定システムにおいて、作業動作判定機能は、作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れたか否かを判定する機能を有し、この場合、作業解析部は、作業動作判定機能で、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れたと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定するものである。
【0013】
本発明の第4の態様は第1の態様又は第2の態様である作業判定システムにおいて、作業解析部は、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達したか否かを判定する部品破損判定機能を有し、この場合、作業解析部は、部品破損判定機能で作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達したと判定した場合には、作業者による部品組付作業において各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定するものである。
【0014】
本発明の第5の態様は第1の態様乃至第4の態様のうち何れか1つの態様である作業判定システムにおいて、作業解析部による解析結果に基づき作業者による部品組付作業の判定結果を報知する報知部を備えているものである。
【0015】
本発明の第6の態様は第1の態様乃至第5の態様のうち何れか1つの態様である作業判定システムにおいて、モーションキャプチャは、位置センサが磁気式3次元位置姿勢センサの場合には、当該磁気式3次元位置姿勢センサで検出された作業者の作業動作情報を受信して作業動作検出データを3次元座標データとして作業解析部に送信する信号処理部を備えているものである。
【0016】
本発明の第7の態様は第6の態様である作業判定システムにおいて、磁気式3次元位置姿勢センサ及び圧力センサは、それぞれ作業者の手指に複数装着されているものである。
【0017】
また、本発明の第8の態様である作業判定方法は、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の一方の部品を持った手による作業動作を、手に装着されるモーションキャプチャの位置センサで経時的に測定し、その測定結果である作業動作検出データを作業解析部に送信すると共に、作業者が部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を手に装着される圧力センサで経時的に測定し、その測定結果である圧力検出データも作業解析部に送信して作業者による部品組付作業が正常か否かを解析する作業判定方法であって、作業解析部は、モーションキャプチャの位置センサから受信した作業動作検出データがなす波形の軌跡を、部品組付作業を行っている作業者の手による作業動作の標準である作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達している否かを判定する第1のステップと、第1のステップにおいて、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達すると、圧力センサから受信した圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内に到達している否かを判定する第2のステップとを有するものである。
【0018】
本発明の第9の態様は第8の態様である作業判定システムにおいて、第1のステップは、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達していない場合には、作業者による部品組付作業が正常に行われていないと判定するものである。
【0019】
本発明の第10の態様は第8の態様である作業判定システムにおいて、第2のステップは、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内から外れた場合には、作業者による部品組付作業が正常に行われていないと判定するものである。
【0020】
本発明の第11の態様は第8の態様である作業判定システムにおいて、第1のステップの前に、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達した場合には、作業者よる部品組付作業において各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定するステップを有するものである。
【0021】
本発明の第12の態様は第8の態様である作業判定システムにおいて、第1のステップでは、作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れた場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定するものである。
【0022】
本発明の第13の態様は第8の態様乃至第12の態様のうち何れか1つの態様である作業判定システムにおいて、判定結果の情報を報知手段によって報知するステップを含むものである。
【0023】
さらに、本発明の第14の態様である記録媒体は、第8の態様乃至第13の態様のうち何れか1つの態様である作業判定方法によって実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能なものである。
【0024】
このような本発明の作業判定システム及び作業判定方法は、作業者が、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで部品同士を嵌合させる部品組付作業を開始すると、作業者の一方の部品を持った手の作業動作を、手に装着されるモーションキャプチャの位置センサで経時的に測定し、その測定結果である作業動作検出データを作業解析部に送信する。さらに、作業者が部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を、手に装着される圧力センサで経時的に測定し、その測定結果である圧力検出データも作業解析部に送信する。作業解析部は、作業動作検出データが入力すると、作業動作判定機能で、モーションキャプチャの位置センサから受信した作業動作検出データがなす波形の軌跡を、部品組付作業を行っている作業者の手の作業動作の標準である作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達している否かを判定する。
【0025】
作業解析部は、作業動作判定機能で作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較した結果、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達すると、部品組付作業判定機能で、圧力センサから受信した圧力検出データがなす波形の軌跡を、部品組付作業を行っている時に一方の部品に対して経時的に加わる荷重の標準である圧力標準データが、予め設定された2つの閾値の幅内に位置している否かを判定する。
【0026】
部品組付作業判定機能で、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内に位置していると判定した場合には、作業解析部は作業者による部品組付作業が正常に行われたと判定する。
【0027】
なお、作業解析部は、作業動作判定機能で、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達していないと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定する。また、作業解析部は、部品組付作業判定機能で、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内から外れたと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定する。
【0028】
また、作業解析部は、作業動作判定機能で、作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れたと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定する。
【0029】
さらに、作業解析部は、部品破損判定機能で、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達した場合には、作業者よる部品組付作業において各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定する。
【0030】
このような作業解析部による解析結果に基づき作業者による部品組付作業の判定結果を報知部で報知することで、作業者は部品組付作業が正常に行われたか否かを確認することができる。
【0031】
また、モーションキャプチャの位置センサが磁気式3次元位置姿勢センサの場合には、作業動作データを3次元座標データとすることができるので、位置座標(X軸、Y軸、Z軸)及び姿勢を示すオイラー角の情報を得ることができるようになる。
【0032】
さらに、磁気式3次元位置姿勢センサ及び圧力センサを、それぞれ作業者の手指に複数装着することで、作業者の手指の繊細な動きを検出可能になることから、作業者の作業動作を精度よく再現することが可能になるので、作業者の手指による複雑な作業動作に対応可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の作業判定システム及び作業判定方法並びに該作業判定方法を記録した記録媒体によれば、部品同士を嵌合させる部品組付作業において、絶対座標で手の動きを数値化し測定しても正確な作業判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の作業判定システムにおける好ましい実施の形態例を示すシステム構成のブロック図である。
【図2】図1のモーションキャプチャに使用されるセンサのキャリブレーションの例を示す説明図である。
【図3】モーションキャプチャで検出した位置情報の例を示す説明図である。
【図4】作業解析部における位置センサから得た座標値の曲線グラフを利用した解析手法を示す図である。
【図5】作業解析部における圧力センサから得た座標値の曲線グラフを利用した解析手法を示す図である。
【図6】本発明の作業判定方法の好ましい実施の形態例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、作業判定システム及び作業判定方法並びに該作業判定方法を記録した記録媒体を実施するための最良の形態例について、図面を参照して説明する。
【0036】
本発明の作業判定システムは図1に示すように、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の一方の部品を持った手による作業動作を経時的に測定して、その測定結果である作業動作検出データを送信するための位置センサ21が設けられ、作業者の手に装着されるモーションキャプチャ2と、部品組付作業において部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信するために作業者の手に装着される圧力センサ23と、位置センサ21からの作業動作検出データ及び圧力センサ23からの圧力検出データに基づき作業者の作業状態を判定するデータ処理装置3とを備えている。また、作業判定システム1は、データ処理装置3による解析結果に基づき作業者による部品組付作業の判定結果を報知する報知部4を備えている。
【0037】
モーションキャプチャ2は、汎用のものを用いることができ、動体に装着された光学マーカの位置情報により動体の動きを検出する光学式や、動体に装着された磁気センサの動きを検出する磁気式が一般的である。特に、経時的に測定する対象が、部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の作業動作の場合には、モーションキャプチャ2としては、作業者の手指に装着される位置センサ21である磁気式3次元位置姿勢センサと、磁気式3次元位置姿勢センサで検出された作業者の作業動作情報を受信してデータ処理装置3に作業動作検出データを送信する信号処理部22とを備えているものが好適である。このモーションキャプチャの場合、磁気式3次元位置姿勢センサを手指の繊細な動きを検出できるように柔軟性のあるグローブに複数配置することで、作業者の手指の繊細な動きを検出可能になることから、作業者の作業動作を精度よく再現することが可能になるので、作業者の手指による複雑な作業動作に対応可能となる。
【0038】
このモーションキャプチャ2とデータ処理装置3とは、有線、無線の何れの接続手段でもよく、設置状況に応じて選択する。このような磁気式モーションキャプチャとして、例えば、特開2007−236602号公報に開示された磁気式3次元位置姿勢センサを用いた手指用モーションキャプチャ装置が好適である。
【0039】
この手指用モーションキャプチャ装置は図2、図3に示すように、例えば親指の先端に位置するセンサ21aの中心に原点を仮定すると、信号処理部22の固定基準点から見たセンサ21aの位置座標(X軸、Y軸、Z軸)及びX軸、Y軸、Z軸の周りの回転角から求められる姿勢を示すオイラー角の情報が得られ、データ処理装置3に記録される。この場合におけるセンサ装着時の位置及び角度のズレのキャリブレーションは、特開2007−236602号公報に詳述されているので、説明は省略する。
【0040】
圧力センサ23は、例えばモーションキャプチャ2のグローブに装着することが好ましく、指先の指腹部に配置することで、指先に加わる圧力を検出することができる。この場合、圧力センサ23を各指先の指腹部に配置することにより、各指先に加わる圧力を検出することができることから、作業者の作業動作を精度よく再現することが可能になるので、作業者の手指による複雑な作業動作に対応可能となる。この圧力センサ23は、指先に加わる圧力を、ダイヤフラムを介して感圧素子で計測し、電気信号に変換して出力するもので、半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサや静電容量形圧力センサが知られている。
【0041】
データ処理装置3はコンピュータが好ましく、内部にCPU等の演算処理装置を備えると共に、ブラウン管モニタや液晶ディスプレイ等の表示画面を有する表示装置や、キーボード、マウス等の入力デバイス、さらに、ハードディスクドライブ等の記憶装置等で構成されている。
【0042】
このようなデータ処理装置3は図1に示すように、部品組付作業を行っている作業者の手による作業動作の標準である作業動作標準データと共に、部品組付作業を行っている時に一方の部品に対して経時的に加わる荷重の標準である圧力標準データが登録された記憶部31と、モーションキャプチャ2の位置センサ21から受信した作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業者による作業動作が正常か否かを判定する作業動作判定機能32a、及び作業動作判定機能32aによる判定結果が作業者による作業動作が正常であると判断した場合には、圧力センサ23から受信した圧力検出データの圧力値が、作業者が適切な作業荷重で部品組付作業を行えるような値になっているか否かを判定する部品組付作業判定機能32bを有する作業解析部32とを備えている。なお、作業動作検出データ及び圧力検出データは何れもモーションキャプチャ2の信号処理部22を介して作業解析部32へと送信される。
【0043】
記憶部31は、データを更新自在に記憶できるRAMや固定データを記憶するROM等で構成されている。この記憶部31に登録される作業動作標準データは、位置センサ21が磁気式3次元位置姿勢センサの場合には、位置座標(X軸、Y軸、Z軸)や、X軸、Y軸、Z軸の周りの回転角から求められる姿勢を示すオイラー角の情報である。
【0044】
また、作業動作判定機能32aで、作業者による作業動作が正常か否かは、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達しているか否かで判定する。また、部品組付作業判定機能32bで、作業動作判定機能32aによる判定結果が作業者による作業動作が正常であると判断する基準は、作業動作判定機能32aで作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達したことである。さらに、部品組付作業判定機能32bで、作業者が適切な作業荷重で部品組付作業を行っているか否かは、圧力検出データがなす波形の軌跡が、圧力標準データがなす波形の軌跡に設定された2つの閾値の幅内に到達しているか否かで判定する。
【0045】
このような作業動作検出データ及び作業動作標準データは、部品が所定位置まで移動したか否かを検出できればよいので、図4に示すような横軸が時間値で縦軸が座標値である曲線グラフの波形を利用して、作業動作検出データの波形と作業動作標準データの波形とを比較することになる。なお、図中、右側のグラフは作業位置における作業動作標準データの波形を示し、左側のグラフはモーションキャプチャ2からの作業動作検出データの波形で、点線で形成された楕円部が作業位置を示すものである。作業解析部32は比較した結果、作業動作検出データの波形が作業動作標準データの波形に基づき予め定められた閾値に達していないときには、作業者による作業動作が正常に行われていないことを検出する。
【0046】
具体的には、作業者が磁気式3次元位置姿勢センサである位置センサ21を手に装着した状態で、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むと、モーションキャプチャ2の位置センサ21がその作業動作の情報を時系列で作業動作検出データとして出力する。作業解析部32がモーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で作業動作検出データを受信した場合、例えば図4に示すように、グラフの時間軸上の作業位置において、検出された作業動作検出データのX軸成分の波形が、作業動作標準データのX軸成分の波形を基準に設定された閾値ラインTH1から上方に突出した軌跡や座標値を示し、作業動作の成功域に達しているので、作業解析部32はX軸成分においては正常な作業動作であったと判定する。また、検出された作業動作検出データのY軸成分の波形が、作業動作標準データのY軸成分の波形を基準に設定された閾値ラインTH2から下方に突出した軌跡や座標値を示し、作業動作の成功域に達しているので、作業解析部32はY軸成分においては正常な作業動作であったと判定する。また、検出された作業動作検出データのZ軸成分の波形が、作業動作標準データのZ軸成分の波形を基準に設定された閾値ラインTH3から下方に突出した軌跡や座標値を示さず、作業動作の成功域に達していないので、作業解析部32はZ軸成分においては正常な作業動作ではなかったと判定する。作業解析部32は、作業動作検出データのZ軸成分が作業動作の成功域に達していないので、この部品組付作業は正常に行われなかったと判定する。
【0047】
なお、作業解析部32は、作業動作検出データのX軸成分、Y軸成分及びZ軸成分の何れの波形においても、作業動作の成功域に達している場合にのみ、この部品組付作業の作業動作は正常に行われたと判定する。この判定は、作業動作検出データのX軸成分、Y軸成分及びZ軸成分のすべてが閾値TH1、TH2、TH3に達することでなされる。
【0048】
また、作業動作検出データ及び作業動作標準データは、位置座標(X軸、Y軸、Z軸)だけではなく、X軸、Y軸、Z軸の周りの回転角から求められる姿勢を示すオイラー角の情報でも、位置座標(X軸、Y軸、Z軸)と同様の波形による作業動作解析を行うことができる。
【0049】
また、作業者が圧力センサ23を手に装着した状態で、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むと、圧力センサ23がその作業動作における圧力情報を時系列で圧力検出データとして出力する。作業解析部32が圧力センサ23から時系列で圧力検出データを受信した場合、例えば図5に示すような横軸が時間値で縦軸が荷重値である曲線グラフの波形を利用する。この曲線グラフには、2つの閾値TH11、TH12が予め設定されている。閾値が2つあるのは、部品同士を嵌合させる際、上の閾値TH11は部品が壊れるような圧力が加わることを検出するためで、下の閾値TH12は部品同士を完全には嵌合させることができない圧力を検出するためのである。
【0050】
記憶部31に登録されている作業動作標準データは、熟練工による部品組付作業から得られたデータであり、部品組付作業を行っている熟練工の一方の部品を持った手による作業動作をモーションキャプチャの位置センサ21で経時的に測定して、その測定結果である作業動作検出データを作業動作標準データとしている。また、記憶部に登録されている圧力標準データも、熟練工による部品組付作業から得られたデータであり、熟練工による部品組付作業において部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を圧力センサ23で経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを圧力標準データとしている。
【0051】
作業解析部32の作業動作判定機能32aは、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達した場合には、作業者による作業動作が正常であったと判定し、その閾値に達していない場合には、作業者による作業動作が正常に行われていなかったと判定する。ここで、予め定められた時間とは、作業者が一方の部品を掴み他方の部品に押し込むまでの標準時間であり、作業者による作業開始時間は、作業対象車両が工場ライン上の所定の位置に到達した時点である。
【0052】
作業解析部32の部品組付作業判定機能32bは、作業動作判定機能32aで作業者による作業動作が正常であったと判定して、圧力センサ23から受信した圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内に到達している場合には、作業者が適切な作業荷重で部品組付作業を行っていると判定する。部品組付作業判定機能32bがこのように判定することで、作業解析部32は、部品組付作業が正常に行われたと判定する。
【0053】
このように作業解析部32で判定することができることから、部品同士を嵌合させる位置が変動してしまうような部品組付作業において、正常に部品同士を嵌合させることが可能になるので、絶対座標で手の動きを数値化し測定しても作業者の作業状態を正確に判定することができる。例えば、2本のワイヤーハーネスのコネクタ同士の嵌合では、一方のワイヤーハーネスのコネクタを手で持って、他方のワイヤーハーネスのコネクタに結合しようとすると、他方のワイヤーハーネスのコネクタが完全拘束されていない場合には、結合位置が押し込み方向に移動するが、作業者による作業動作が正常なことから、一方のワイヤーハーネスのコネクタと他方のワイヤーハーネスのコネクタとは嵌合可能な位置になっているので、後は押し込むだけで作業者が適切な作業荷重で2つのコネクタを適切に嵌合させることができる。また、カウルサイドトリム及びスカッフプレートの嵌合では、例えばカウルサイドトリムが柔らかい樹脂で形成されていると、カウルサイドトリムが押圧方向に移動するが、作業者による作業動作が正常なことから、カウルサイドトリム及びスカッフプレートの爪部及び穴部とは嵌合可能な位置になっているので、後は押し込むだけで作業者が適切な作業荷重で爪部及び穴部を適切に嵌合させることができる。
【0054】
なお、作業解析部32は、作業動作判定機能32aで、作業者による作業動作が正常に行われていなかったと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定する。また、作業解析部32は、部品組付作業判定機能32bで、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内から外れたと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定する。このように作業解析部32で判定することができることから、部品同士が半嵌合状態になっている不良品を発見する精度を高めることができる。
【0055】
また、作業動作判定機能32aは、作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れたか否かを判定する機能を有している。この場合、作業解析部32は、作業動作判定機能32aで、作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れたと判定した場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定し、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲内と判定した場合には、部品組付作業が正常に行われたと判定する。このように作業解析部32で判定することができることから、作業者による作業動作の良否を判断できるようになる。なお、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲とは、作業者の一方の部品を持った手の作業位置がばらついても嵌合等の作業に影響を及ぼすことのない範囲である。
【0056】
さらに、作業解析部32は、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達したか否かを判定する部品判定機能32cを有している。作業解析部32は、部品判定機能32cで、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達したと判定した場合には、作業者による部品組付作業において各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定する。このように作業解析部32で判定することができることから、一方の部品を他方の部品に嵌合させる際、他方の部品が正常な位置から作業者側に向かってずれて配置されていても、2つの部品の嵌合部である爪などの部品が破損することを防ぐことができる。
【0057】
報知部4は、作業者の作業解析結果を表示する表示画面にすることで、作業者は作業解析結果を視覚的に捉え易くなる。なお、報知部4は表示装置の表示画面に限らず、スピーカ等の音声発生装置によって聴覚によって作業解析結果を確認できるようにしてもよく、さらには、表示装置の表示画面と音声発生装置とを用いて作業解析結果を確認できるようにしてもよい。
【0058】
なお、モーションキャプチャ2から時系列で受信する座標データである作業動作検出データが、データ処理装置3用の座標データとデータ形式が異なる場合には図1に示すように、作業解析部32にデータ形式変換部32dを組み込むとよい。データ形式変換部32dは、モーションキャプチャ2から時系列で受信する作業動作検出データをデータ処理装置3用の座標データに変換する機能を有している。
【0059】
上述した作業判定システム1の各構成部は図1に示すように、それぞれ電気的に接続され、モーションキャプチャ2では位置センサ21及び圧力センサ23がそれぞれ信号処理部22に接続されている。データ処理装置3は作業解析部32と記憶部31が接続され、この作業解析部32には信号処理部22及び報知部4が接続されている。
【0060】
このように構成された作業判定システム1におけるデータ処理装置3の各構成は、演算処理装置によって実行されるプログラムによって実現されるものである。このプログラムによるデータ処理手順について図6のフローチャートに基づき説明する。
【0061】
作業者が手に位置センサ21及び圧力センサ23を装着した状態で、一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで部品同士を嵌合させる部品組付作業を開始すると(ステップ101)、作業者の一方の部品を持った手の作業動作をモーションキャプチャ2の位置センサ21で経時的に測定し、その測定結果である作業動作検出データをデータ処理装置3の作業解析部32に送信する(ステップ102)。さらに、作業者が部品同士を嵌合させる時に、一方の部品に加わる荷重を圧力センサ23で経時的に測定し、その測定結果である圧力検出データも作業解析部32に送信する(ステップ103)。作業解析部32は、作業動作検出データ及び圧力検出データを取得すると、記憶部31から作業動作標準データを呼び出し(ステップ104)、圧力標準データを呼び出す(ステップ105)。
【0062】
作業解析部32が部品破損判定機能32cを有する場合には、部品破損判定機能32cは、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達する前に、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達したか否かを判定する(ステップ106)。部品破損判定機能32cが、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達したと判定した場合には、作業解析部32は作業者による部品組付作業において各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定する。また、部品破損判定機能32cが、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間で形成される幅内に到達していないと判定した場合には、作業解析部32は作業動作判定機能32aへと移行する。
【0063】
作業動作判定機能32aへと移行すると、作業動作判定機能32aは、作業動作検出データがなす波形の軌跡を、作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達している否かを判定する(ステップ107)。作業動作判定機能32aが、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達したと判定した場合には、作業解析部32は、作業者による作業動作が正常であると判定し、部品組付作業判定機能32bに移行する。また、作業動作判定機能32aが、作業動作検出データがなす波形の軌跡が、予め定められた時間内において作業動作標準データがなす波形の軌跡に設定された閾値に達していないと判定した場合には、作業解析部32は作業者による部品組付作業が正常に行われていないと判定する。
【0064】
部品組付作業判定機能32bに移行すると、部品組付作業判定機能32bは、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定されている2つの閾値の幅内に到達しているか否かを判定する(ステップ108)。部品組付作業判定機能32bが、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定されている2つの閾値の幅内に到達していると判定した場合には、作業解析部32は作業者による部品組付作業が正常に行われていると判定し、報知部4でその情報を報知する(ステップ109)。また、部品組付作業判定機能32bが、圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内から外れた場合には、作業解析部32は、作業者による部品組付作業が正常に行われていないと判定する。
【0065】
なお、作業動作判定機能32aは、作業動作検出データがなす波形の軌跡を作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、作業動作検出データがなす波形の軌跡の位置が、作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れた場合には、部品組付作業が正常に行われなかったと判定する(ステップ107)。
【0066】
作業解析部32は、部品破損判定機能32cで作業者による部品組付作業において各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定した場合、作業動作判定機能32aで作業者による部品組付作業が正常に行われていないと判定した場合、又は部品組付作業判定機能32bで作業者による部品組付作業が正常に行われていないと判定した場合には、報知部4でその情報を報知する(ステップ110)。したがって、作業者が部品同士を確実に嵌合させていないことや、部品を破損させていることなどを見落とした場合においても、その作業上の不具合を作業者が確認することができるようになる。
【0067】
このように、ステップ109、ステップ110が行われると、作業解析部32による作業解析は終了する(ステップ111)。
【0068】
このようなデータ処理手順がデータ処理装置3の演算処理装置によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能なCD、DVD等の記録媒体に記録させておくことで、複数のデータ処理装置3で利用可能になる。
【0069】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0070】
1……作業判定システム
2……モーションキャプチャ
21……位置センサ
23……圧力センサ
31……記憶部
32……作業解析部
32a……作業動作判定機能
32b……部品組付作業判定機能
32c……部品破損判定機能
4……報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで前記部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の前記一方の部品を持った手による作業動作を経時的に測定して、その測定結果である作業動作検出データを送信するための位置センサが設けられ、前記作業者の前記手に装着されるモーションキャプチャと、
前記部品組付作業において前記部品同士を嵌合させる時に、前記一方の部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信するために前記作業者の前記手に装着される圧力センサと、
前記部品組付作業を行っている前記作業者の前記手による前記作業動作の標準である作業動作標準データと共に、前記部品組付作業を行っている時に前記一方の部品に対して経時的に加わる前記荷重の標準である圧力標準データが登録された記憶部と、
前記モーションキャプチャの前記位置センサから受信した前記作業動作検出データがなす波形の軌跡を前記作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された閾値に達しているか否かを判定する作業動作判定機能、及び前記作業動作判定機能で前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された閾値に達すると、前記圧力センサから受信した前記圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値間に到達しているか否かを判定する部品組付作業判定機能を有する作業解析部とを備えていることを特徴とする作業判定システム。
【請求項2】
前記作業解析部は、前記作業動作判定機能で、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された閾値に達していないと判定した場合、又は前記部品組付作業判定機能で、前記圧力検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め設定された2つの閾値の前記幅内から外れたと判定した場合には、前記部品組付作業が正常に行われなかったと判定することを特徴とする請求項1記載の作業判定システム。
【請求項3】
前記作業動作判定機能は、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡を前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡と比較して、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡の位置が、前記作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れるか否かを判定する機能を有し、この場合、前記作業解析部は、前記作業動作判定機能で、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡の位置が、前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡と前記予め定められた誤差範囲から外れると判定した場合には、前記部品組付作業が正常に行われなかったと判定することを特徴とする請求項1記載の作業判定システム。
【請求項4】
前記作業解析部は、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された前記閾値に達する前に、前記圧力検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め設定された2つの閾値間で形成される前記幅内に到達したか否かを判定する部品破損判定機能を有し、この場合、前記作業解析部は、前記部品破損判定機能で前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された前記閾値に達する前に、前記圧力検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め設定された2つの閾値間で形成される前記幅内に到達したと判定した場合には、前記作業者による前記部品組付作業において前記各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業判定システム。
【請求項5】
前記作業解析部による解析結果に基づき前記作業者による前記部品組付作業の判定結果を報知する報知部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の作業判定システム。
【請求項6】
前記モーションキャプチャは、前記位置センサが磁気式3次元位置姿勢センサの場合には、当該磁気式3次元位置姿勢センサで検出された前記作業者の作業動作情報を受信して前記作業動作検出データを3次元座標データとして前記作業解析部に送信する信号処理部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1項に記載の作業判定システム。
【請求項7】
前記磁気式3次元位置姿勢センサ及び前記圧力センサは、それぞれ前記作業者の手指に複数装着されていることを特徴とする請求項6記載の作業判定システム。
【請求項8】
一方の部品を持った状態で他方の部品に押し込むことで前記部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の前記一方の部品を持った手による作業動作を、前記手に装着されるモーションキャプチャの位置センサで経時的に測定し、その測定結果である作業動作検出データを作業解析部に送信すると共に、前記作業者が前記部品同士を嵌合させる時に、前記一方の部品に加わる荷重を前記手に装着される圧力センサで経時的に測定し、その測定結果である圧力検出データも前記作業解析部に送信して前記作業者による前記部品組付作業が正常か否かを解析する作業判定方法であって、
前記作業解析部は、
前記モーションキャプチャの前記位置センサから受信した前記作業動作検出データがなす波形の軌跡を、前記部品組付作業を行っている前記作業者の前記手による前記作業動作の標準である作業動作標準データがなす波形の軌跡と比較して、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された閾値に達している否かを判定する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された前記閾値に達すると、前記圧力センサから受信した前記圧力検出データがなす波形の軌跡が、予め設定された2つの閾値の幅内に到達している否かを判定する第2のステップとを有することを特徴とする作業判定方法。
【請求項9】
前記第1のステップは、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された前記閾値に達していない場合には、前記作業者による前記部品組付作業が正常に行われていないと判定することを特徴とする請求項8記載の作業判定方法。
【請求項10】
前記第2のステップは、前記圧力検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め設定された2つの閾値の前記幅内から外れた場合には、前記作業者による前記部品組付作業が正常に行われていないと判定することを特徴とする請求項8記載の作業判定方法。
【請求項11】
前記第1のステップの前に、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め定められた時間内において前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡に設定された前記閾値に達する前に、前記圧力検出データがなす前記波形の軌跡が、前記予め設定された2つの閾値間で形成される前記幅内に到達した場合には、前記作業者よる前記部品組付作業において前記各部品のうち少なくとも1つが破損する虞があると判定するステップを有することを特徴とする請求項8記載の作業判定方法。
【請求項12】
前記第1のステップでは、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡を前記作業動作標準データがなす前記波形の軌跡と比較して、前記作業動作検出データがなす前記波形の軌跡の位置が、前記作業動作標準データがなす波形の軌跡に予め定められた誤差範囲から外れた場合には、前記部品組付作業が正常に行われなかったと判定することを特徴とする請求項8記載の作業判定方法。
【請求項13】
前記判定結果の情報を報知手段によって報知するステップを含むことを特徴とする請求項8乃至請求項12のうち何れか1項に記載の作業判定方法。
【請求項14】
請求項8乃至請求項13のうち何れか1項に記載の作業判定方法によって実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−159204(P2011−159204A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22136(P2010−22136)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】