作業台
【課題】天板の上で作業する作業者の安全を確保した作業台を提供する。
【解決手段】天板(2)の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒(5)と、相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する安全バー(8)を設けた作業台である。前記一対の手掛かり棒を結ぶ方向をX方向とし、該X方向に直交する方向をY方向としたとき、前記安全バー(8)は、基端部を一方の手掛かり棒(5a)に対してY方向の軸線を有する枢軸(17)により回動自在に枢結され、先端部(19a)を他方の手掛かり棒(5b)に対して着脱自在に係止され、前記枢軸(17)を介して前記先端部を下向きとするように回動したとき一方の手かがり棒(5a)のX方向に向かう両側面(5ax)を挟持する挟持部(19d,19d)を備えると共に、該挟持部と前記基端部の間に位置する可撓変形自在な可撓部(21)を備える。
【解決手段】天板(2)の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒(5)と、相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する安全バー(8)を設けた作業台である。前記一対の手掛かり棒を結ぶ方向をX方向とし、該X方向に直交する方向をY方向としたとき、前記安全バー(8)は、基端部を一方の手掛かり棒(5a)に対してY方向の軸線を有する枢軸(17)により回動自在に枢結され、先端部(19a)を他方の手掛かり棒(5b)に対して着脱自在に係止され、前記枢軸(17)を介して前記先端部を下向きとするように回動したとき一方の手かがり棒(5a)のX方向に向かう両側面(5ax)を挟持する挟持部(19d,19d)を備えると共に、該挟持部と前記基端部の間に位置する可撓変形自在な可撓部(21)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等における高所作業に際し、天板の上で作業する作業者の安全を確保した作業台を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業台は、天板の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒を設けており、更に、天板の桁側に関して相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する手摺桟を設けた作業台が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−152593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、手摺桟を作業台に常設することができ、作業者の転落事故を防止できると説明している。しかしながら、梯子状の主脚が臨む天板の妻側に関して相互に隣り合う手掛かり棒の間には連結部材が設けられていないため、作業者が天板の妻側から転落する危険がある。
【0005】
そこで、作業者の作業の安全性を高めるためには、天板の妻側に位置して安全バーを設ければ良いが、作業台を所定場所に設置した後、梯子状の主脚を利用して作業者が妻側から天板に昇り降りする都度、安全バーを開閉する必要があるから、簡単に開閉作業を行い得るように構成することが課題となる。
【0006】
また、従来、手掛かり棒は、主脚の側面に重なり合うように格納可能とされ、格納状態で主脚を天板の下側に回動することにより更に格納されるように構成されている。従って、安全バーを設ける場合は、安全バーが手掛かり棒の側面に一体化されるように格納可能とすることが課題となる。
【0007】
更に、コスト競争力が問われる昨今、可及的部品点数が少なく、可及的安価な作業台を提供すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決した作業台を提供するものであり、その手段として構成したところは、天板の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒と、相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する安全バーを設けた作業台において、前記一対の手掛かり棒を結ぶ方向をX方向とし、該X方向に直交する方向をY方向としたとき、前記安全バーは、基端部を一方の手掛かり棒に対してY方向の軸線を有する枢軸により回動自在に枢結され、先端部を他方の手掛かり棒に対して着脱自在に係止され、前記枢軸を介して前記先端部を下向きとするように回動したとき一方の手かがり棒のX方向に向かう両側面を挟持する挟持部を備えると共に、該挟持部と前記基端部の間に位置する可撓変形自在な可撓部を備えて成る点にある。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、前記安全バーは、上下に離間して平行に延びる可撓性の線材により形成された線条部を有し、前記線条部の尾端部を枢支板により連結すると共に、該枢支板を前記枢軸に回動自在に枢結され、前記線条部の中途部をそれぞれY方向に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に至る前記線条部により前記可撓部を形成している。
【0010】
この際、前記線条部の先端部を交差状に連結する連結線部を形成し、前記他方の手掛かり棒のX方向に向かう側面に係止具を設け、前記安全バーを水平姿勢となるように回動したとき、前記連結線部を係止具に着脱自在に係止させるように構成することが好ましい。
【0011】
更に、安全バーは、1本の可撓性線材の中央部により前記連結線部を形成し、該連結線部の両端から折曲されて平行に延びる2条の線条部を凹形に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に向けて延びる線条部により前記可撓部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天板2の妻側x1(x2)に関して相互に隣り合う手掛かり棒5a、5b(5c、5d)の間に安全バー8A(8B)が設けられるので、作業者が天板の妻側から転落する危険を防止できる。
【0013】
この際、安全バー8A(8B)は、基端部を一方の手掛かり棒5a(5c)に回動自在に枢結されており、先端部を他方の手掛かり棒5b(5d)に着脱自在に係止するように構成されているので、作業台1を所定場所に設置した後、梯子状の主脚3を利用して作業者が妻側から天板2に昇り降りするときでも、安全バー8A(8B)を簡単容易に開閉することができる。
【0014】
また、安全バー8A(8B)は、先端部が下向きとなるように回動したとき、手掛かり棒5a(5c)の内側面5ayに重なり合うことにより一体化されるので、手掛かり棒5a(5c)を主脚3の脚本体4に向けて倒立させる際に、該安全バー8A(8B)が邪魔になることはなく、コンパクトな格納状態を可能とする。
【0015】
特に、本発明によれば、安全バー8は、手掛かり棒5aの内側面5ayに重なり合うように格納したとき、挟持部19dにより手掛かり棒5aの両側面5axを挟持し、安全バー8を回動不能に自己保持するので、別部品による別の回動阻止手段を設ける必要がなく、部品点数の少ない安価な構成を提供することが可能となる。
【0016】
そして、前記挟持部19dによる挟持と挟持解除は、挟持部19dと基端部の間に可撓部21を設ける簡単な構成により達成することが可能であり、この点においても部品点数の少ない安価な構成を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施形態に係る作業台を示す正面図である。
【図2】本発明の1実施形態を示し、天板の桁側に関して隣り合う手掛かり棒を手摺兼用安全桟により連結し、天板の妻側に関して隣り合う手掛かり棒を安全バーにより連結した状態を示す斜視図である。
【図3】天板の妻側に関して隣り合う手掛かり棒の上部を拡大して示す斜視図である。
【図4】一方の手掛かり棒に向けて安全バーを格納した状態を示す斜視図である。
【図5】手摺兼用安全桟を収縮させると共に天板の桁側に関して隣り合う手掛かり棒の一方に向けて格納した状態を示す斜視図である。
【図6】手掛かり棒の起倒機構を示しており、手掛かり棒を主脚から起立させた状態を示す正面図である。
【図7】手掛かり棒を起立させた状態における起倒機構を図6のA方向から見た状態を一部断面にて示す側面図である。
【図8】手掛かり棒の起倒機構を示しており、手掛かり棒を主脚に向けて格納した状態を示す正面図である。
【図9】手掛かり棒を格納した状態における起倒機構を一部断面にて示す側面図である。
【図10】本発明の第1実施例に係る安全バーを示しており、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図である。
【図11】本発明の第2実施例に係る安全バーを備えた作業台の上部を示す右側面図である。
【図12】本発明の第3実施例に係る安全バーを備えた作業台の上部を示す右側面図である。
【図13】本発明の作業台に関する意匠に関して、第1意匠の正面図である。尚、背面図は正面図と同一に表れる。
【図14】第1意匠の右側面図である。尚、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【図15】第1意匠の平面図である。
【図16】第1意匠の底面図である。
【図17】本発明の作業台に関する意匠に関して、第2意匠の正面図であり、実線で表した部分を部分意匠とし、一点鎖線により部分意匠の部分とその他の部分の境界を示す。尚、背面図は正面図と同一に表れる。
【図18】第2意匠の右側面図である。尚、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【図19】第2意匠の平面図である。
【図20】第2意匠の底面図である。
【図21】本発明の作業台に関する意匠に関して、第3意匠の正面図であり、実線で表した部分を部分意匠とし、一点鎖線により部分意匠の部分とその他の部分の境界を示す。尚、背面図は正面図と同一に表れる。
【図22】第3意匠の右側面図である。尚、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【図23】第3意匠の平面図である。
【図24】第3意匠の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
(全体的構成)
本発明の作業台は、建設現場等において高所作業のために使用される種々の形式のものを広く含む汎用の作業台であり、従って、その形状や大きさを特に限定するものではないが、図1に1つの実施形態を示している。図示実施形態の場合、作業台1は、ほぼ長方形の天板2を備え、図2に示すように、長手方向の両端に位置してX方向に沿う側を妻側x1、x2とし、長手方向の両側縁に位置してY方向に沿う側を桁側y1、y2として、天板2の妻側x1、x2にそれぞれ主脚3を設けている。詳細は図示省略しているが、各主脚3は、一対の脚本体4、4にステップを架設した梯子状に構成され、それぞれの脚本体4に延長脚部を伸縮自在に設けており、延長脚部を収縮させた状態で、図1に矢印Rで示すように、両主脚3、3を天板2の下側に向けて回動させることにより格納可能とするように構成されている。
【0020】
天板2の隅部近傍に位置して、該天板2の上方に向けて起立する合計4本の手掛かり棒5が設けられており、手掛かり棒5は、それぞれの下端部を主脚3における脚主体4の外側面に起倒機構6を介して取付けられている。以下、説明の便宜上、図2に示す4本の手かがり棒5に関して、図示の時計針方向に、順次、第1手掛かり棒5a、第2手掛かり棒5b、第3手掛かり棒5c、第4手掛かり棒5dの名称により説明する。従って、図示の場合、一方の妻側x1に関して第1手掛かり棒5aと第2手掛かり棒5bが相互に隣り合い、次に時計針方向に隣接する一方の桁側y1に関して第2手掛かり棒5bと第3手掛かり棒5cが相互に隣り合い、次に時計針方向に隣接する他方の妻側x2に関して第3手掛かり棒5cと第4手掛かり棒5dが相互に隣り合い、更に時計針方向に隣接する他方の桁側y2に関して第4手掛かり棒5dと第1手掛かり棒5aが相互に隣り合うように配置されている。
【0021】
4本の手掛かり棒5を起立させた状態で、前記桁側y1に関して相互に隣り合う第2手掛かり棒5bと第3手掛かり棒5cは手摺兼用安全桟7Aにより連結され、前記桁側y2に関して相互に隣り合う第3手掛かり棒5cと第1手掛かり棒5aは手摺兼用安全桟7Bにより連結される。また、前記妻側x1に関して相互に隣り合う第1手掛かり棒5aと第2手掛かり棒5は安全バー8Aにより連結され、前記妻側x2に関して相互に隣り合う第3手掛かり棒5cと第4手掛かり棒5dは安全バー8Bにより連結される。
【0022】
図示実施形態において、前記手摺兼用安全桟7A、7Bは、それぞれの基端部を一方の手掛かり棒5b、5dに回動自在に枢結され、それぞれの先端部を他方の手掛かり棒5c、5aに着脱自在に係止されている。一対の手摺兼用安全桟7A、7Bは基端部から先端部に至り、順次、細管7a、中管7b、太管7cを伸縮自在に入れ子式に連結することにより構成され、同一構成のものであるから、以下、桁側y1の手摺兼用安全桟7Aについて説明し、桁側y2の手摺兼用安全桟7Bの説明は省略する。同様に、一対の安全バー8A、8Bは、同一構成のものであるから、以下、妻側x1の安全バー8Aについて説明し、妻側x2の安全バー8Bの説明は省略する。
【0023】
(手摺兼用安全桟の構成)
手摺兼用安全桟7Aは、第2手掛かり棒5bに枢結される細管7aから、順次、中管7b、太管7cを繰り出すことにより伸長され、太管7cの先端部を第3手掛かり棒5cに設けた第1係止手段9に着脱自在に係止される。
【0024】
図3に示すように、手摺兼用安全桟7Aの細管7aは、第2手掛かり棒5に対して、枢結具10により回動自在に枢結されており、枢結具10は、前記X方向の軸線を有する枢軸11により回動自在に枢結され、第3手掛かり棒5cに向けて延びるブラケット部分に細管7aの基端部を固着している。従って、手摺兼用安全桟7Aは、前記枢軸11を介して下向きに回動したとき、第2手掛かり棒5bのY方向に向かう内側面5by(第3手掛かり棒5cに向かう側面)に重なり合うように格納可能とされている。
【0025】
手摺兼用安全桟7Aをほぼ水平姿勢とした状態で、太管7cの先端部が第1係止手段9に着脱自在に係止される。第1係止手段9は、太管7cの先端部を上から嵌入したとき、該太管7cの先端部の下面と両側面を支持するブラケットを構成している。図例の場合、太管7cの両側面に設けた係止ピン12が第1係止手段9の両側壁に形成した孔13に係止される。前記係止ピン12は、太管7cの両側面に出没自在に突出され、常時はスプリングにより突出するように付勢されており、操作ピン14を押し込むと、係止ピン12がスプリングに抗して後退し、第1係止手段9の孔14から脱出する。
【0026】
従って、手摺兼用安全桟7Aは、伸長させた状態で、太管7cの先端部を第1係止手段9に係止することにより、一対の手掛かり棒5b、5cを連結する。手摺兼用安全桟7Aを格納するときは、太管7cの先端部を第1係止手段9から持ち上げ、太管7cを手指で把持したまま枢結具10に向けて移動すれば、太管7cに対して順次、中管7b、細管7aが嵌入され、図5に鎖線で示すように全長を収縮する。そこで、収縮させられた手摺兼用安全桟7Aを前記枢結具10の枢軸11を介して下向きに回動すると、図5に実線で示すように、第2手掛かり棒5の内側面5byに重なり合う。この際、第2手掛かり棒5bの下側位置には、前記係止ピン12を係止させる孔15を有する第2係止手段16が設けられている。
【0027】
尚、係止ピン12は、前記第1係止手段9の孔13及び第2係止手段16の孔15に自動的に嵌入されるように、該係止ピン12の先端部にガイドテーパ面を形成するのが好ましい。
【0028】
(安全バーの構成)
安全バー8Aは、図3に示すように、基端部を第1手掛かり棒5aに対してY方向の軸線を有する枢軸17により回動自在に枢結され、先端部を第2手掛かり棒5bに設けた係止具18に着脱自在に係止される。
【0029】
図3及び図10に示すように、図示実施形態において、安全バー8Aは、1本の可撓性の線材、好ましくは弾性を伴う可撓性を有する鋼線を折曲することにより形成されており、1本の線材のほぼ中央部を連結線19aとして、該連結線部19aの両端部分をほぼ直角に折曲することにより相互に離間してほぼ平行に延びる2条の線条部19b、19cを形成し、該線条部19b、19cの尾端部に枢支板20を溶接等で固着することにより連結し、更に、前記線条部19b、19cの中途部をほぼ凹形に折曲することにより挟持部19d、19dを形成し、該挟持部19dから枢支板20に向けて延びる線条部19b、19cにより可撓変形自在な可撓部21を構成している。
【0030】
図例の場合、前記枢支板20は、軸孔21に枢軸17を貫通させて設け、該枢軸17を第1手掛かり棒5aの上端近傍部でY方向に軸着し、枢支板20を第1手掛かり棒5aのY方向に向かう内側面5ay(第4手掛かり棒5dに向かう側面)に重ね合わせた状態で安全バー8Aを回動自在とするように構成している。尚、回動自在とする構成は、固定された枢軸17に対して枢支板20を回動自在としても良く、あるいは枢支板20に固定された枢軸17を第1手掛かり棒5aに対して回動自在としても良い。
【0031】
安全バー8Aは、基端部における枢支板20の回動を介してほぼ水平姿勢とした状態で、先端部における連結線部19aが係止具18に着脱自在に係止される。図例の場合、係止具18は、第2手掛かり棒5bの前記内側面5byに干渉しない位置、つまり、該内側面5byの両側に位置する第2手掛かり棒5bの両側面5bxに固着されており、連結線条部19aを弾性的に挟持する挟持溝22を有する。挟持溝22は、例えば、係止具18を可撓性樹脂により成形することにより、連結線条部19aを圧入すると開き、圧入後は閉じて連結線条部19aを挟持するように構成されている。
【0032】
可撓部21の変形を介して連結線条部19aを係止具18から脱出させ、図4に示すように、該連結線条部19aが下向きとなるように安全バー8Aを回動すると、線条部19b、19cが第1手掛かり棒5aに接近する。そこで、図示鎖線で示すように、可撓部21を変形させると共に連結線条部19aを第1手掛かり棒5aの内側面5ayに対面させ、可撓部21を復元させると、図示実線で示すように、挟持部19dが第1手掛かり棒5aの両側面5axを挟持し、安全バー8Aの回動を阻止し、連結線条部19a及び線条部19b、19cが第1手掛かり棒5aの内側面5ayに重なり合い、安全バー8Aを格納状態とする。
【0033】
尚、格納状態から安全バー8Aをほぼ水平姿勢とするように回動し、一対の手掛かり棒5a、5bを連結させる場合は、上記と反対の作業を行えば良い。
【0034】
図示実施形態の場合、安全バー8Aは、1本の鋼線等の可撓性線材を折曲することにより形成されているので、安価に生産することが可能であり、しかも、ほぼ平行に延びる線条部19b、19cを備えているので、素材を細い線材としても十分な強度を確保することができ、しかも、作業者が手に握りやすく、操作性を良好とする。
【0035】
この際、線条部19b、19cの可撓性による強度に不安があるときは、図11及び図12に示すように、線条部19b、19cの任意の個所を相互に連結する単数又は複数の連結板23を設けても良い。このように、連結板23の固着位置と個数を選択することにより、可撓部21の可撓性が強弱変更されるので、適切な可撓性を有するように構成することが可能となる。
【0036】
図示実施形態の作業台1は、上述のように、手摺兼用安全桟7Aを第2手掛かり棒5bに重なり合うように格納し、手摺兼用安全桟7Bを第4手掛かり棒5dに重なり合うように格納する構成に関して、安全バー8Aを第1手掛かり棒5aに重なり合うように格納し、安全バー8Bを第3手掛かり棒5cに重なり合うように格納する構成としているので、各々の手掛かり棒5に手摺兼用安全桟7又は安全バー8の何れかを重なり合わせた状態で、全ての手掛かり棒5をそれぞれの主脚3の脚本体4に向けて倒立させることにより、コンパクトに格納することが可能となる。
【0037】
本発明が図示実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば、上記実施形態では、連結線条部19aを縦杆状に形成し、係止具18の挟持溝22に嵌着する構成を示したが、連結線条部19aの折曲部の近傍部を係止部分とし、該係止部分を下から受ける切欠き溝を係止具18に設けた構成としても良く、要するに、安全バー8Aの先端部を第2手掛かり棒5bに対して着脱自在に係止するものであれば良い。
【0038】
また、上記実施形態では、安全バー8Aの可撓部21を2条の線条部19b、19cにより構成しているが、その条数は任意に変更可能であり、可撓性線材の折曲形態も、種々の形態から選択可能である。従って、図示実施形態の場合、凹形に折曲形成した挟持部19dを第2手掛かり棒5bの近接位置に設けることにより、操作性等を良好としているが、挟持部19dを線条部19b、19cの長手方向ほぼ中央位置や、中央よりも基端部に近い位置に設けても良い。更に、安全バー8Aは、合成樹脂等により一体成形することも可能である。
【0039】
(倒立機構の構成)
図6ないし図9は、手掛かり棒5の倒立機構6の詳細を示している。主脚3における脚本体4の上端部の側面には、前記Y方向の内側に向けて開口する断面溝形の支持部材24が固着されており、該支持部材24の上部(図例の場合、上半部)により起立保持部25を構成し、下部(図例の場合、下半部)により倒立保持部26を構成している。
【0040】
手掛かり棒5(図示は第2手掛かり棒5b)は、下端部を前記支持部材24に挿入され、枢軸27により該支持部材24に回動自在に枢結されており、該枢軸27を支点として回動し、図6及び図7に示すように、起立させたとき前記起立保持部25に嵌入され、図8及び図9に示すように、倒立させたとき前記倒立保持部26に嵌入される。
【0041】
起立状態及び倒立状態において、手かがり棒5を支持部材24に固定するロックピン28が設けられている。ロックピン28は、手掛かり棒5の下端近傍部に位置して外側から内側に向けて進退自在に貫通して設けられ、常時は先端を挿出するようにスプリング29で付勢されている。
【0042】
図7に示すように、手掛かり棒5を起立させて起立保持部25に嵌入したとき、起立保持部25の外壁には前記ロックピン28の首部を受け入れる切欠き部25aが設けられ、内壁にはロックピン28の先端部を挿入係止する係止孔25bが設けられている。前記内壁は、係止孔25bの近傍にガイド舌片25cを設けており、手掛かり棒5が起立保持部25に進入する際、ガイド舌片25cによりロックピン28の先端をスプリング29に抗して後退させ、ロックピン28の先端が係止孔25bに合致したときスプリング29により前進させて、自動的に係止孔25bに係止するように構成している。
【0043】
図9に示すように、手掛かり棒5を倒立させて倒立保持部26に嵌入したとき、倒立保持部26の外壁には前記ロックピン28の首部を受け入れる切欠き部26aが設けられ、内壁にはロックピン28の先端部を挿入係止する係止孔26bが設けられている。前記内壁は、係止孔26bの近傍にガイド舌片26cを設けており、手掛かり棒5が倒立保持部26に進入する際、ガイド舌片26cによりロックピン28の先端をスプリング29に抗して後退させ、ロックピン28の先端が係止孔26bに合致したときスプリング29により前進させて、自動的に係止孔26bに係止するように構成している。
【0044】
尚、ロックピン28の頭部には摘み部28aが設けられ、前記ロックピン28と係止孔25b、26bのロックを解除するときは、ロックピン28の頭部に設けられた摘み部28aを把持することにより、スプリング29に抗してロックピン28の先端部を係止孔25b、26bから後退させれば良い。
【符号の説明】
【0045】
1 作業台
2 天板
3 主脚
4 脚本体
5 手掛かり棒
5a 第1手掛かり棒
5ay 内側面
5ax 両側面
5b 第2手掛かり棒
5by 内側面
5bx 両側面
5c 第3手掛かり棒
5d 第4手掛かり棒
6 起倒機構
7(7A、7B) 手摺兼用安全桟
8(8A、8B) 安全バー
17 枢軸
18 係止具
19a 連結線条部
19b、19c 線条部
19d 挟持部
20 枢支板
21 可撓部
22 挟持溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等における高所作業に際し、天板の上で作業する作業者の安全を確保した作業台を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業台は、天板の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒を設けており、更に、天板の桁側に関して相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する手摺桟を設けた作業台が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−152593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、手摺桟を作業台に常設することができ、作業者の転落事故を防止できると説明している。しかしながら、梯子状の主脚が臨む天板の妻側に関して相互に隣り合う手掛かり棒の間には連結部材が設けられていないため、作業者が天板の妻側から転落する危険がある。
【0005】
そこで、作業者の作業の安全性を高めるためには、天板の妻側に位置して安全バーを設ければ良いが、作業台を所定場所に設置した後、梯子状の主脚を利用して作業者が妻側から天板に昇り降りする都度、安全バーを開閉する必要があるから、簡単に開閉作業を行い得るように構成することが課題となる。
【0006】
また、従来、手掛かり棒は、主脚の側面に重なり合うように格納可能とされ、格納状態で主脚を天板の下側に回動することにより更に格納されるように構成されている。従って、安全バーを設ける場合は、安全バーが手掛かり棒の側面に一体化されるように格納可能とすることが課題となる。
【0007】
更に、コスト競争力が問われる昨今、可及的部品点数が少なく、可及的安価な作業台を提供すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決した作業台を提供するものであり、その手段として構成したところは、天板の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒と、相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する安全バーを設けた作業台において、前記一対の手掛かり棒を結ぶ方向をX方向とし、該X方向に直交する方向をY方向としたとき、前記安全バーは、基端部を一方の手掛かり棒に対してY方向の軸線を有する枢軸により回動自在に枢結され、先端部を他方の手掛かり棒に対して着脱自在に係止され、前記枢軸を介して前記先端部を下向きとするように回動したとき一方の手かがり棒のX方向に向かう両側面を挟持する挟持部を備えると共に、該挟持部と前記基端部の間に位置する可撓変形自在な可撓部を備えて成る点にある。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、前記安全バーは、上下に離間して平行に延びる可撓性の線材により形成された線条部を有し、前記線条部の尾端部を枢支板により連結すると共に、該枢支板を前記枢軸に回動自在に枢結され、前記線条部の中途部をそれぞれY方向に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に至る前記線条部により前記可撓部を形成している。
【0010】
この際、前記線条部の先端部を交差状に連結する連結線部を形成し、前記他方の手掛かり棒のX方向に向かう側面に係止具を設け、前記安全バーを水平姿勢となるように回動したとき、前記連結線部を係止具に着脱自在に係止させるように構成することが好ましい。
【0011】
更に、安全バーは、1本の可撓性線材の中央部により前記連結線部を形成し、該連結線部の両端から折曲されて平行に延びる2条の線条部を凹形に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に向けて延びる線条部により前記可撓部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天板2の妻側x1(x2)に関して相互に隣り合う手掛かり棒5a、5b(5c、5d)の間に安全バー8A(8B)が設けられるので、作業者が天板の妻側から転落する危険を防止できる。
【0013】
この際、安全バー8A(8B)は、基端部を一方の手掛かり棒5a(5c)に回動自在に枢結されており、先端部を他方の手掛かり棒5b(5d)に着脱自在に係止するように構成されているので、作業台1を所定場所に設置した後、梯子状の主脚3を利用して作業者が妻側から天板2に昇り降りするときでも、安全バー8A(8B)を簡単容易に開閉することができる。
【0014】
また、安全バー8A(8B)は、先端部が下向きとなるように回動したとき、手掛かり棒5a(5c)の内側面5ayに重なり合うことにより一体化されるので、手掛かり棒5a(5c)を主脚3の脚本体4に向けて倒立させる際に、該安全バー8A(8B)が邪魔になることはなく、コンパクトな格納状態を可能とする。
【0015】
特に、本発明によれば、安全バー8は、手掛かり棒5aの内側面5ayに重なり合うように格納したとき、挟持部19dにより手掛かり棒5aの両側面5axを挟持し、安全バー8を回動不能に自己保持するので、別部品による別の回動阻止手段を設ける必要がなく、部品点数の少ない安価な構成を提供することが可能となる。
【0016】
そして、前記挟持部19dによる挟持と挟持解除は、挟持部19dと基端部の間に可撓部21を設ける簡単な構成により達成することが可能であり、この点においても部品点数の少ない安価な構成を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施形態に係る作業台を示す正面図である。
【図2】本発明の1実施形態を示し、天板の桁側に関して隣り合う手掛かり棒を手摺兼用安全桟により連結し、天板の妻側に関して隣り合う手掛かり棒を安全バーにより連結した状態を示す斜視図である。
【図3】天板の妻側に関して隣り合う手掛かり棒の上部を拡大して示す斜視図である。
【図4】一方の手掛かり棒に向けて安全バーを格納した状態を示す斜視図である。
【図5】手摺兼用安全桟を収縮させると共に天板の桁側に関して隣り合う手掛かり棒の一方に向けて格納した状態を示す斜視図である。
【図6】手掛かり棒の起倒機構を示しており、手掛かり棒を主脚から起立させた状態を示す正面図である。
【図7】手掛かり棒を起立させた状態における起倒機構を図6のA方向から見た状態を一部断面にて示す側面図である。
【図8】手掛かり棒の起倒機構を示しており、手掛かり棒を主脚に向けて格納した状態を示す正面図である。
【図9】手掛かり棒を格納した状態における起倒機構を一部断面にて示す側面図である。
【図10】本発明の第1実施例に係る安全バーを示しており、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図である。
【図11】本発明の第2実施例に係る安全バーを備えた作業台の上部を示す右側面図である。
【図12】本発明の第3実施例に係る安全バーを備えた作業台の上部を示す右側面図である。
【図13】本発明の作業台に関する意匠に関して、第1意匠の正面図である。尚、背面図は正面図と同一に表れる。
【図14】第1意匠の右側面図である。尚、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【図15】第1意匠の平面図である。
【図16】第1意匠の底面図である。
【図17】本発明の作業台に関する意匠に関して、第2意匠の正面図であり、実線で表した部分を部分意匠とし、一点鎖線により部分意匠の部分とその他の部分の境界を示す。尚、背面図は正面図と同一に表れる。
【図18】第2意匠の右側面図である。尚、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【図19】第2意匠の平面図である。
【図20】第2意匠の底面図である。
【図21】本発明の作業台に関する意匠に関して、第3意匠の正面図であり、実線で表した部分を部分意匠とし、一点鎖線により部分意匠の部分とその他の部分の境界を示す。尚、背面図は正面図と同一に表れる。
【図22】第3意匠の右側面図である。尚、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【図23】第3意匠の平面図である。
【図24】第3意匠の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
(全体的構成)
本発明の作業台は、建設現場等において高所作業のために使用される種々の形式のものを広く含む汎用の作業台であり、従って、その形状や大きさを特に限定するものではないが、図1に1つの実施形態を示している。図示実施形態の場合、作業台1は、ほぼ長方形の天板2を備え、図2に示すように、長手方向の両端に位置してX方向に沿う側を妻側x1、x2とし、長手方向の両側縁に位置してY方向に沿う側を桁側y1、y2として、天板2の妻側x1、x2にそれぞれ主脚3を設けている。詳細は図示省略しているが、各主脚3は、一対の脚本体4、4にステップを架設した梯子状に構成され、それぞれの脚本体4に延長脚部を伸縮自在に設けており、延長脚部を収縮させた状態で、図1に矢印Rで示すように、両主脚3、3を天板2の下側に向けて回動させることにより格納可能とするように構成されている。
【0020】
天板2の隅部近傍に位置して、該天板2の上方に向けて起立する合計4本の手掛かり棒5が設けられており、手掛かり棒5は、それぞれの下端部を主脚3における脚主体4の外側面に起倒機構6を介して取付けられている。以下、説明の便宜上、図2に示す4本の手かがり棒5に関して、図示の時計針方向に、順次、第1手掛かり棒5a、第2手掛かり棒5b、第3手掛かり棒5c、第4手掛かり棒5dの名称により説明する。従って、図示の場合、一方の妻側x1に関して第1手掛かり棒5aと第2手掛かり棒5bが相互に隣り合い、次に時計針方向に隣接する一方の桁側y1に関して第2手掛かり棒5bと第3手掛かり棒5cが相互に隣り合い、次に時計針方向に隣接する他方の妻側x2に関して第3手掛かり棒5cと第4手掛かり棒5dが相互に隣り合い、更に時計針方向に隣接する他方の桁側y2に関して第4手掛かり棒5dと第1手掛かり棒5aが相互に隣り合うように配置されている。
【0021】
4本の手掛かり棒5を起立させた状態で、前記桁側y1に関して相互に隣り合う第2手掛かり棒5bと第3手掛かり棒5cは手摺兼用安全桟7Aにより連結され、前記桁側y2に関して相互に隣り合う第3手掛かり棒5cと第1手掛かり棒5aは手摺兼用安全桟7Bにより連結される。また、前記妻側x1に関して相互に隣り合う第1手掛かり棒5aと第2手掛かり棒5は安全バー8Aにより連結され、前記妻側x2に関して相互に隣り合う第3手掛かり棒5cと第4手掛かり棒5dは安全バー8Bにより連結される。
【0022】
図示実施形態において、前記手摺兼用安全桟7A、7Bは、それぞれの基端部を一方の手掛かり棒5b、5dに回動自在に枢結され、それぞれの先端部を他方の手掛かり棒5c、5aに着脱自在に係止されている。一対の手摺兼用安全桟7A、7Bは基端部から先端部に至り、順次、細管7a、中管7b、太管7cを伸縮自在に入れ子式に連結することにより構成され、同一構成のものであるから、以下、桁側y1の手摺兼用安全桟7Aについて説明し、桁側y2の手摺兼用安全桟7Bの説明は省略する。同様に、一対の安全バー8A、8Bは、同一構成のものであるから、以下、妻側x1の安全バー8Aについて説明し、妻側x2の安全バー8Bの説明は省略する。
【0023】
(手摺兼用安全桟の構成)
手摺兼用安全桟7Aは、第2手掛かり棒5bに枢結される細管7aから、順次、中管7b、太管7cを繰り出すことにより伸長され、太管7cの先端部を第3手掛かり棒5cに設けた第1係止手段9に着脱自在に係止される。
【0024】
図3に示すように、手摺兼用安全桟7Aの細管7aは、第2手掛かり棒5に対して、枢結具10により回動自在に枢結されており、枢結具10は、前記X方向の軸線を有する枢軸11により回動自在に枢結され、第3手掛かり棒5cに向けて延びるブラケット部分に細管7aの基端部を固着している。従って、手摺兼用安全桟7Aは、前記枢軸11を介して下向きに回動したとき、第2手掛かり棒5bのY方向に向かう内側面5by(第3手掛かり棒5cに向かう側面)に重なり合うように格納可能とされている。
【0025】
手摺兼用安全桟7Aをほぼ水平姿勢とした状態で、太管7cの先端部が第1係止手段9に着脱自在に係止される。第1係止手段9は、太管7cの先端部を上から嵌入したとき、該太管7cの先端部の下面と両側面を支持するブラケットを構成している。図例の場合、太管7cの両側面に設けた係止ピン12が第1係止手段9の両側壁に形成した孔13に係止される。前記係止ピン12は、太管7cの両側面に出没自在に突出され、常時はスプリングにより突出するように付勢されており、操作ピン14を押し込むと、係止ピン12がスプリングに抗して後退し、第1係止手段9の孔14から脱出する。
【0026】
従って、手摺兼用安全桟7Aは、伸長させた状態で、太管7cの先端部を第1係止手段9に係止することにより、一対の手掛かり棒5b、5cを連結する。手摺兼用安全桟7Aを格納するときは、太管7cの先端部を第1係止手段9から持ち上げ、太管7cを手指で把持したまま枢結具10に向けて移動すれば、太管7cに対して順次、中管7b、細管7aが嵌入され、図5に鎖線で示すように全長を収縮する。そこで、収縮させられた手摺兼用安全桟7Aを前記枢結具10の枢軸11を介して下向きに回動すると、図5に実線で示すように、第2手掛かり棒5の内側面5byに重なり合う。この際、第2手掛かり棒5bの下側位置には、前記係止ピン12を係止させる孔15を有する第2係止手段16が設けられている。
【0027】
尚、係止ピン12は、前記第1係止手段9の孔13及び第2係止手段16の孔15に自動的に嵌入されるように、該係止ピン12の先端部にガイドテーパ面を形成するのが好ましい。
【0028】
(安全バーの構成)
安全バー8Aは、図3に示すように、基端部を第1手掛かり棒5aに対してY方向の軸線を有する枢軸17により回動自在に枢結され、先端部を第2手掛かり棒5bに設けた係止具18に着脱自在に係止される。
【0029】
図3及び図10に示すように、図示実施形態において、安全バー8Aは、1本の可撓性の線材、好ましくは弾性を伴う可撓性を有する鋼線を折曲することにより形成されており、1本の線材のほぼ中央部を連結線19aとして、該連結線部19aの両端部分をほぼ直角に折曲することにより相互に離間してほぼ平行に延びる2条の線条部19b、19cを形成し、該線条部19b、19cの尾端部に枢支板20を溶接等で固着することにより連結し、更に、前記線条部19b、19cの中途部をほぼ凹形に折曲することにより挟持部19d、19dを形成し、該挟持部19dから枢支板20に向けて延びる線条部19b、19cにより可撓変形自在な可撓部21を構成している。
【0030】
図例の場合、前記枢支板20は、軸孔21に枢軸17を貫通させて設け、該枢軸17を第1手掛かり棒5aの上端近傍部でY方向に軸着し、枢支板20を第1手掛かり棒5aのY方向に向かう内側面5ay(第4手掛かり棒5dに向かう側面)に重ね合わせた状態で安全バー8Aを回動自在とするように構成している。尚、回動自在とする構成は、固定された枢軸17に対して枢支板20を回動自在としても良く、あるいは枢支板20に固定された枢軸17を第1手掛かり棒5aに対して回動自在としても良い。
【0031】
安全バー8Aは、基端部における枢支板20の回動を介してほぼ水平姿勢とした状態で、先端部における連結線部19aが係止具18に着脱自在に係止される。図例の場合、係止具18は、第2手掛かり棒5bの前記内側面5byに干渉しない位置、つまり、該内側面5byの両側に位置する第2手掛かり棒5bの両側面5bxに固着されており、連結線条部19aを弾性的に挟持する挟持溝22を有する。挟持溝22は、例えば、係止具18を可撓性樹脂により成形することにより、連結線条部19aを圧入すると開き、圧入後は閉じて連結線条部19aを挟持するように構成されている。
【0032】
可撓部21の変形を介して連結線条部19aを係止具18から脱出させ、図4に示すように、該連結線条部19aが下向きとなるように安全バー8Aを回動すると、線条部19b、19cが第1手掛かり棒5aに接近する。そこで、図示鎖線で示すように、可撓部21を変形させると共に連結線条部19aを第1手掛かり棒5aの内側面5ayに対面させ、可撓部21を復元させると、図示実線で示すように、挟持部19dが第1手掛かり棒5aの両側面5axを挟持し、安全バー8Aの回動を阻止し、連結線条部19a及び線条部19b、19cが第1手掛かり棒5aの内側面5ayに重なり合い、安全バー8Aを格納状態とする。
【0033】
尚、格納状態から安全バー8Aをほぼ水平姿勢とするように回動し、一対の手掛かり棒5a、5bを連結させる場合は、上記と反対の作業を行えば良い。
【0034】
図示実施形態の場合、安全バー8Aは、1本の鋼線等の可撓性線材を折曲することにより形成されているので、安価に生産することが可能であり、しかも、ほぼ平行に延びる線条部19b、19cを備えているので、素材を細い線材としても十分な強度を確保することができ、しかも、作業者が手に握りやすく、操作性を良好とする。
【0035】
この際、線条部19b、19cの可撓性による強度に不安があるときは、図11及び図12に示すように、線条部19b、19cの任意の個所を相互に連結する単数又は複数の連結板23を設けても良い。このように、連結板23の固着位置と個数を選択することにより、可撓部21の可撓性が強弱変更されるので、適切な可撓性を有するように構成することが可能となる。
【0036】
図示実施形態の作業台1は、上述のように、手摺兼用安全桟7Aを第2手掛かり棒5bに重なり合うように格納し、手摺兼用安全桟7Bを第4手掛かり棒5dに重なり合うように格納する構成に関して、安全バー8Aを第1手掛かり棒5aに重なり合うように格納し、安全バー8Bを第3手掛かり棒5cに重なり合うように格納する構成としているので、各々の手掛かり棒5に手摺兼用安全桟7又は安全バー8の何れかを重なり合わせた状態で、全ての手掛かり棒5をそれぞれの主脚3の脚本体4に向けて倒立させることにより、コンパクトに格納することが可能となる。
【0037】
本発明が図示実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば、上記実施形態では、連結線条部19aを縦杆状に形成し、係止具18の挟持溝22に嵌着する構成を示したが、連結線条部19aの折曲部の近傍部を係止部分とし、該係止部分を下から受ける切欠き溝を係止具18に設けた構成としても良く、要するに、安全バー8Aの先端部を第2手掛かり棒5bに対して着脱自在に係止するものであれば良い。
【0038】
また、上記実施形態では、安全バー8Aの可撓部21を2条の線条部19b、19cにより構成しているが、その条数は任意に変更可能であり、可撓性線材の折曲形態も、種々の形態から選択可能である。従って、図示実施形態の場合、凹形に折曲形成した挟持部19dを第2手掛かり棒5bの近接位置に設けることにより、操作性等を良好としているが、挟持部19dを線条部19b、19cの長手方向ほぼ中央位置や、中央よりも基端部に近い位置に設けても良い。更に、安全バー8Aは、合成樹脂等により一体成形することも可能である。
【0039】
(倒立機構の構成)
図6ないし図9は、手掛かり棒5の倒立機構6の詳細を示している。主脚3における脚本体4の上端部の側面には、前記Y方向の内側に向けて開口する断面溝形の支持部材24が固着されており、該支持部材24の上部(図例の場合、上半部)により起立保持部25を構成し、下部(図例の場合、下半部)により倒立保持部26を構成している。
【0040】
手掛かり棒5(図示は第2手掛かり棒5b)は、下端部を前記支持部材24に挿入され、枢軸27により該支持部材24に回動自在に枢結されており、該枢軸27を支点として回動し、図6及び図7に示すように、起立させたとき前記起立保持部25に嵌入され、図8及び図9に示すように、倒立させたとき前記倒立保持部26に嵌入される。
【0041】
起立状態及び倒立状態において、手かがり棒5を支持部材24に固定するロックピン28が設けられている。ロックピン28は、手掛かり棒5の下端近傍部に位置して外側から内側に向けて進退自在に貫通して設けられ、常時は先端を挿出するようにスプリング29で付勢されている。
【0042】
図7に示すように、手掛かり棒5を起立させて起立保持部25に嵌入したとき、起立保持部25の外壁には前記ロックピン28の首部を受け入れる切欠き部25aが設けられ、内壁にはロックピン28の先端部を挿入係止する係止孔25bが設けられている。前記内壁は、係止孔25bの近傍にガイド舌片25cを設けており、手掛かり棒5が起立保持部25に進入する際、ガイド舌片25cによりロックピン28の先端をスプリング29に抗して後退させ、ロックピン28の先端が係止孔25bに合致したときスプリング29により前進させて、自動的に係止孔25bに係止するように構成している。
【0043】
図9に示すように、手掛かり棒5を倒立させて倒立保持部26に嵌入したとき、倒立保持部26の外壁には前記ロックピン28の首部を受け入れる切欠き部26aが設けられ、内壁にはロックピン28の先端部を挿入係止する係止孔26bが設けられている。前記内壁は、係止孔26bの近傍にガイド舌片26cを設けており、手掛かり棒5が倒立保持部26に進入する際、ガイド舌片26cによりロックピン28の先端をスプリング29に抗して後退させ、ロックピン28の先端が係止孔26bに合致したときスプリング29により前進させて、自動的に係止孔26bに係止するように構成している。
【0044】
尚、ロックピン28の頭部には摘み部28aが設けられ、前記ロックピン28と係止孔25b、26bのロックを解除するときは、ロックピン28の頭部に設けられた摘み部28aを把持することにより、スプリング29に抗してロックピン28の先端部を係止孔25b、26bから後退させれば良い。
【符号の説明】
【0045】
1 作業台
2 天板
3 主脚
4 脚本体
5 手掛かり棒
5a 第1手掛かり棒
5ay 内側面
5ax 両側面
5b 第2手掛かり棒
5by 内側面
5bx 両側面
5c 第3手掛かり棒
5d 第4手掛かり棒
6 起倒機構
7(7A、7B) 手摺兼用安全桟
8(8A、8B) 安全バー
17 枢軸
18 係止具
19a 連結線条部
19b、19c 線条部
19d 挟持部
20 枢支板
21 可撓部
22 挟持溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒と、相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する安全バーを設けた作業台において、
前記一対の手掛かり棒を結ぶ方向をX方向とし、該X方向に直交する方向をY方向としたとき、
前記安全バーは、基端部を一方の手掛かり棒に対してY方向の軸線を有する枢軸により回動自在に枢結され、先端部を他方の手掛かり棒に対して着脱自在に係止され、
前記枢軸を介して前記先端部を下向きとするように回動したとき一方の手かがり棒のX方向に向かう両側面を挟持する挟持部を備えると共に、該挟持部と前記基端部の間に位置する可撓変形自在な可撓部を備えて成ることを特徴とする作業台。
【請求項2】
前記安全バーは、上下に離間して平行に延びる可撓性の線材により形成された線条部を有し、
前記線条部の尾端部を枢支板により連結すると共に、該枢支板を前記枢軸に回動自在に枢結され、
前記線条部の中途部をそれぞれY方向に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に至る前記線条部により前記可撓部を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の作業台。
【請求項3】
前記線条部の先端部を交差状に連結する連結線部を形成し、
前記他方の手掛かり棒のX方向に向かう側面に係止具を設け、
前記安全バーを水平姿勢となるように回動したとき、前記連結線部を係止具に着脱自在に係止するように構成して成ることを特徴とする請求項2に記載の作業台。
【請求項4】
1本の可撓性線材の中央部により前記連結線部を形成し、該連結線部の両端から折曲されて平行に延びる2条の線条部を凹形に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に向けて延びる線条部により前記可撓部を形成して成ることを特徴とする請求項3に記載の作業台。
【請求項1】
天板の隅部近傍に位置して該天板の上方に向けて起立する手掛かり棒と、相互に隣り合う一対の手掛かり棒を連結する安全バーを設けた作業台において、
前記一対の手掛かり棒を結ぶ方向をX方向とし、該X方向に直交する方向をY方向としたとき、
前記安全バーは、基端部を一方の手掛かり棒に対してY方向の軸線を有する枢軸により回動自在に枢結され、先端部を他方の手掛かり棒に対して着脱自在に係止され、
前記枢軸を介して前記先端部を下向きとするように回動したとき一方の手かがり棒のX方向に向かう両側面を挟持する挟持部を備えると共に、該挟持部と前記基端部の間に位置する可撓変形自在な可撓部を備えて成ることを特徴とする作業台。
【請求項2】
前記安全バーは、上下に離間して平行に延びる可撓性の線材により形成された線条部を有し、
前記線条部の尾端部を枢支板により連結すると共に、該枢支板を前記枢軸に回動自在に枢結され、
前記線条部の中途部をそれぞれY方向に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に至る前記線条部により前記可撓部を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の作業台。
【請求項3】
前記線条部の先端部を交差状に連結する連結線部を形成し、
前記他方の手掛かり棒のX方向に向かう側面に係止具を設け、
前記安全バーを水平姿勢となるように回動したとき、前記連結線部を係止具に着脱自在に係止するように構成して成ることを特徴とする請求項2に記載の作業台。
【請求項4】
1本の可撓性線材の中央部により前記連結線部を形成し、該連結線部の両端から折曲されて平行に延びる2条の線条部を凹形に折曲することにより前記挟持部を形成し、該挟持部から尾端部に向けて延びる線条部により前記可撓部を形成して成ることを特徴とする請求項3に記載の作業台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−193504(P2012−193504A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56436(P2011−56436)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000101662)アルインコ株式会社 (218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000101662)アルインコ株式会社 (218)
【Fターム(参考)】
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