作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末
【課題】 携帯情報端末の操作を容易とすることが可能であり、かつ、サーバとの接続が困難であるような作業現場においても使用可能である、作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末を提供する。
【解決手段】 ICタグと、ICタグリーダを有する携帯情報端末とを備え、前記ICタグには、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納され、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記変数初期値が取得可能であり、また、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記実行プログラムが取得可能であり、前記携帯情報端末において、前記ICタグリーダで読み取った実行プログラムを実行可能であることを特徴とする。
【解決手段】 ICタグと、ICタグリーダを有する携帯情報端末とを備え、前記ICタグには、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納され、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記変数初期値が取得可能であり、また、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記実行プログラムが取得可能であり、前記携帯情報端末において、前記ICタグリーダで読み取った実行プログラムを実行可能であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICタグを使って物品を認識するRFID(Radio Frequency Identification)技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、工場現場、建設現場、農業現場等の作業現場においても、IT化が急速に進み、前記RFID技術がこれらの現場でも導入の動きが進んでいる。例えば、工場では、ベルトコンベアや台車等により部品が搬送され、複数の部品が多くの工程で組み立てられて製品化される。ここで、各部品にICタグを付することによって、組み立てられた製品の、前記各工程で用いた部品ベースでの識別、管理等を行うことができる。
【0003】
上記の識別、管理等を行う場合、各工程において、部品に付されたICタグを携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant、あるいは、Personal Data Assistance)を操作して、前記ICタグに格納された部品情報を読み取り、新たに組み立てられた製品の情報と前記部品情報との関連付けを行う、といった作業が必要となる。また、前記製品情報を更新した後に、サーバに前記製品情報を送信するという操作も必要である。このように、IT、ICT(Information and Communications Technology)の普及が進む中、作業現場での情報入力や情報の参照が必要とされている。
【0004】
しかし、前記の作業現場において、現場作業者がPDAを使いこなすことは困難である。また、PDAの操作自体が複雑なものではない場合であっても、作業工程を多数の現場作業者が交代しつつ行ったり、日々の作業内容が変化するような現場では、作業者の交代や作業内容の変化のたびに、各現場作業者が行う作業工程に応じたPDAの操作方法等を、個々に認識させる必要がある。また、作業現場によっては、サーバとの接続が困難である場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−251919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、携帯情報端末の操作を容易とすることが可能であり、かつ、サーバとの接続が困難であるような作業現場においても使用可能である、作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業支援システムは、ICタグと、ICタグリーダを有する携帯情報端末とを備え、
前記ICタグには、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納され、
前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記変数初期値が取得可能であり、
また、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記実行プログラムが取得可能であり、
前記携帯情報端末において、前記ICタグリーダで読み取った実行プログラムを実行可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の作業支援システム用ICタグは、前記本発明の作業支援システムに使用され、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の作業支援システム用携帯情報端末は、ICタグリーダを有し、前記本発明の作業支援システムに使用され、前記本発明の作業支援システム用ICタグに格納された実行プログラムと連動して実行される実行プログラムが格納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯情報端末の操作を容易とすることが可能であり、例えば、ITに不慣れな作業者にとっても、携帯情報端末を容易に使いこなせる作業支援システムを提供することができる。また、前記作業支援システムは、サーバとの接続が困難であるような作業現場においても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の作業支援システムの処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【図2(a)】図2(a)は、本発明の作業支援システムでの動作の一例を示す説明図である。
【図2(b)】図2(b)は、関連技術におけるシステムでの動作の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、出荷前製品置き場を上から見た概念図である。
【図4】図4は、ICタグに格納された実行プログラムの実行例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の作業支援システムにおけるICタグに格納される変数初期値および実行プログラムのデータ作成の一例を示す構成図である。
【図6】図6は、本発明の作業支援システムにおけるPDAに格納される変数初期値および実行プログラムのデータ作成の一例を示す構成図である。
【図7】図7は、本発明の作業支援システムにおける実行プログラムの構成の一例を示す構成図である。
【図8】図8は、本発明の作業支援システムの処理の流れのその他の例を示すフローチャート図である。
【図9】図9は、ICタグに格納される実行プログラムの格納イメージを示す図である。
【図10】図10は、本発明の作業支援システムにおける実行プログラムの構成のその他の例を示す構成図である。
【図11】図11は、前記その他の例により奏される効果の一例を、関連技術の例と対比して示す模式図である。
【図12】図12は、本発明の作業支援システムに用いるICタグリーダライタを有する携帯情報端末の一例である。
【図13】図13は、前記携帯情報端末を使用する場合のICタグに格納されたデータの構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の作業支援システムは、前記ICタグが動作環境用ICタグを含み、前記動作環境用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記動作環境用ICタグの設置されるロケーションに合わせて格納されており、前記実行プログラムが前記ロケーションにおける動作環境を管理するプログラムであることが好ましい。
【0013】
本発明の作業支援システムは、前記ロケーションが、作業単位毎に用意されていることが好ましい。
【0014】
本発明の作業支援システムは、前記変数初期値が、表示領域と座標系の定義を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の作業支援システムは、前記ICタグが作業者特定用ICタグを含み、前記作業者特定用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記作業者特定用ICタグが特定しようとする作業者に合わせて格納されており、前記実行プログラムが前記作業者における動作環境を管理するプログラムであることが好ましい。
【0016】
本発明の作業支援システムは、前記ICタグが、特定のメンテナンスを行うためのメンテナンス機能用ICタグを含み、前記メンテナンス機能用ICタグには、前記特定のメンテナンス用の変数初期値と、前記特定のメンテナンスを行うための実行プログラムとが格納されており、前記実行プログラムが前記特定のメンテナンスにおける動作環境を管理するプログラムであることが好ましい。
【0017】
本発明の作業支援システムは、前記携帯情報端末が、ICタグの使用電波帯に応じた複数種類のICタグリーダを有し、第一の使用電波帯を用いた第一の種類のICタグには、前記第一の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第一の種類のICタグの次に読み取る第二の種類のICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されており、第二の使用電波帯を用いた第二の種類のICタグには、前記第二の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第二の種類のICタグの次に読み取るICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されていることが好ましい。
【0018】
以下、本発明の作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末について、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0019】
(実施形態1)
図1のフローチャートに、本発明の作業支援システムの基本的な処理の流れの一例を示す。例えば、作業者aが建設現場Aに関する作業を行う場合について説明する。図示のように、作業者aは、ICタグリーダを有するPDAの電源を入れ(S1)、前記ICタグリーダで建設現場Aの動作環境データが格納されているA環境用のICタグ(動作環境用ICタグ)を読み込む(S2)。前記動作環境用ICタグには、例えば、建設現場Aに合わせたシステムの変数初期値および実行プログラムが書かれている。前記変数初期値としては、表示領域や座標系の定義を含んでいてもよい。前記実行プログラムとしては、建材の置き方や、現場での作業階に合わせたプログラム、カメラで撮影した写真の保存先、画像変換や付加情報等を処理するプログラム等をあげることができる。次いで、前記ICタグリーダで作業者a用のICタグ(作業者特定用ICタグ)を読み込む(S3)。前記作業者特定用ICタグには、例えば、作業者aの特性や好みに合わせたシステムの変数初期値および実行プログラムが格納されている。例えば、色覚異常を有する作業者の場合には、PDAの画面上の表示色を識別がし難い色の組み合わせを避けて設定する、等することができる。このように、予め前記作業者特定用ICタグに作業者固有のデータを格納しておくことにより、作業者は、前記作業者特定用ICタグをPDAで読み込むだけで、PDAを自身に適した動作環境に設定することができる。したがって、ユニバーサルデザインの考え方にも適合したシステムとすることができる。そして、前記S2工程および前記S3工程でデータを読み込んだPDAは、前記データを参照して、変数初期値を設定する初期化処理を行う(S4)。前記初期化処理S4においては、前記各実行プログラムをインタプリタ方式で高速実行するために、前記各実行プログラムを文字列型変数等に格納するとよい。前記初期化処理S4を完了すると、PDA画面には、建設現場Aにおけるロケーションのレイアウト図や、作業者aが行うべき作業内容等のメニューが、作業者aに適した状態で表示され、作業者aは、前記メニューに従った作業およびPDA操作を行う(ロケーション操作(S5))。
【0020】
図2(a)は、本発明の作業支援システムでの動作の一例を示す説明図である。また、図2(b)に、本発明によらないシステムで、同様の作業を行う場合の動作の一例の説明図を、図2(a)に対比させて示す。ここでは、製造工場にて、製品である建材を製造し、製造が完了したものを出荷前製品置き場に移動し、出荷を待っている状態でのロケーション管理の例を示す。特定の製品を出荷する作業を、作業者がPDA画面の表示に従い作業する場合において、本発明によらないシステムでは、図2(b)に示すように、次のような操作となる。すなわち、作業者の持つPDA画面には、第一段階では、「建材配置」、「移動」、「出荷」等の作業メニュー選択画面が表示されている。そこで、「出荷」メニューを選択すると、敷地全体のレイアウトが表示される。次に、対象の製品を特定するために、「拡大」メニューを選択し、拡大操作画面にて、拡大したい場所を選択して拡大の指示をする。拡大したい場所が拡大表示され、初めて対象の製品を特定することができる。それに対して、本発明の作業支援システムでは、図2(a)に示すように、次のような操作となる。まず、作業者は、特定の出荷先の初期値および実行プログラムが格納されたICタグを、PDAに付属のICタグリーダで読み取る。前記初期値としては、前記特定の出荷先毎にわかりやすい表示領域と座標系が定義されている。図3に、出荷前製品置き場を上から見た概念図を示す。例えば、斜線が付加された場所に対象となる特定の出荷先向けの製品が配置されている場合、(x,y)座標系の原点(0,0)を斜線の領域の付近で定義する。さらに、斜線の領域の大きさにあわせた幅を表示領域として定義する。前記ICタグを読み込んだ後、作業者の持つPDA画面には、第一段階では、「建材配置」、「移動」、「出荷」等の作業メニュー選択画面が表示されている。そこで、「出荷」メニューを選択すると、特定の出荷先向けの製品が配置されている場所を適切な大きさに拡大表示した敷地のレイアウトが表示され、即座に対象の製品を特定することができる。出荷先毎のICタグには、例えば、出荷先データ、ロケーション原点、ロケーションのx軸およびy軸とそれらの幅、PDA起動時(出荷先単位の起動)の変数初期値、PDA起動時(出荷先単位の起動)の実行プログラム、製品を置く時の変数初期値、製品を置く時の実行プログラム、移動時の変数初期値、移動時の実行プログラム、出荷時の変数初期値、出荷時の実行プログラム、製品置き場のレイアウト図、製品情報等を格納しておくことができる。
【0021】
図4は、本発明におけるICタグに格納された実行プログラムの実行例を示す図である。黒い星印は、ICタグに書き込まれる変数初期値または実行プログラムを示す。前記初期化処理S4における初期変数値の設定において、S2工程またはS3工程で読み込んだA環境用のICタグデータまたは作業者a用のICタグデータに、変数初期値a1、a2、a3等の設定があるかどうかを判断する(if)。前記設定があれば、読み込んだ変数初期値を環境初期値として設定する。もし、読み込んだ前記ICタグデータに前記変数初期値a1、a2、a3等の設定が含まれていなければ(else)、システム既定値を環境初期値とし、本工程は終了する(end)。引き続いて、ロケーション操作S5に入る(Loop)。ロケーション操作S5においては、読み込んだ前記ICタグデータに建材表示情報があるかどうかを判断する(if)。前記建材表示情報があれば、その建材を画面表示する。前記画面表示に必要なデータは、前記ICタグに格納されている。読み込んだ前記データに建材表示情報がなければ(else)、Loopを抜け、実行プログラムは終了する(end)。例えば、起動時に当日に出荷すべき製品を赤色表示させる場合、「変数初期値(色)=赤」のデータをICタグに設定しておく。そうすると、前記データが環境初期値として設定される。実行プログラムは、出荷予定日比較で一致するかどうかを判断する(if)。出荷予定日が一致する製品があれば、その製品を赤色表示する。一致する製品がなければ(else)、実行プログラムは終了する(end)。前記の図2(a)の例においては、出荷すべき建材がある場合には、対象の建材の場所を特定する表示がされる。例えば、出荷がすべて完了しているなどして出荷すべき建材がない場合には、表示はなされず、実行プログラムは終了する。
【0022】
次に、図5に、前記各ICタグに格納される変数初期値および実行プログラムのデータ作成の一例の構成図を示す。まず、テキスト形式のJAVA(登録商標)、C言語等の一般的なプログラミング言語で実行プログラム(実行PG)を作成する。次に、作成した一般的なプログラミング言語での実行プログラムをコンパイラにより変換して、実行プログラムのデータ量圧縮と、実行効率を上げるためのデータを作成する。変換後の実行プログラムデータは、データベースに格納する。そして、データベースに格納されたICタグ格納用の実行プログラムデータを、RFIDリーダライタ等を用いて、ICタグに書き込む。
【0023】
図6に、前記PDAに格納される実行プログラムのデータ作成の一例の構成図を示す。前記PDAに格納される実行プログラムは、ICタグに格納された実行プログラムを、穴埋めで呼び出す方式で作成する。まず、テキスト形式のJAVA(登録商標)、C言語等の一般的なプログラミング言語で実行プログラムを作成する。次に、作成した一般的なプログラミング言語での実行プログラムをコンパイラにより変換して、実行プログラムのデータ量圧縮と、実行効率を上げるためのデータを作成する。変換後の実行プログラムは、ICタグに書き込まれた実行プログラムとリンク可能な、リンケージエディタとともに、データベースに格納する。そして、データベースに格納されたPDAの実行プログラムデータを、PDAにコピーし、登録する。
【0024】
図7に、本発明の作業支援システムにおける実行プログラムの構成の一例を示す構成図を示す。本構成図では、前記各ICタグに格納された実行プログラムと、前記PDAに格納された実行プログラムとの連動イメージを示している。A環境用のICタグには、A環境用の実行プログラムが書き込まれている。作業者a用のICタグには、作業者aが使いやすい実行プログラムが書き込まれている。作業者aが、PDAで前記A環境用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されているPDA動作環境設定プログラムおよび作業別の固有プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。次に、作業者aが、PDAで前記作業者a用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されている作業者毎の固有設定プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。
【0025】
本発明の作業支援システムは、PDA等の携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等の携帯できる端末も含む)に格納されたプログラムをできるだけ減らし、減らしたプログラムはICタグに格納しておくことが特徴である。作業目的に合わせて、プログラムが格納されているICタグを読み込んで、そのプログラムを実行することで、PDA等の携帯端末の実行環境の自由度が高まる。
【0026】
さらに、本発明の作業支援システムでは、PDAに格納されるプログラムに関しても、変数初期値と実行プログラムの生成を、各作業者がPDAにて定義してもよい。前記作業者が定義した結果を、変数初期値と実行プログラムの形式で、ICタグに書き込む。次回、その作業者がPDA操作をするときに、自身が定義した結果を書き込んだICタグを読み込むことで、その作業者が使いやすい設定とすることが容易にできる。このように現場作業者の使い勝手に柔軟な対応が可能となる。操作手順や機能範囲を、システム開発時に確定しないことも可能となる。
【0027】
また、ICタグに変数初期値や実行プログラムが格納されているので、例えば、工場での出荷前製品置き場等の、サーバとの有線LAN接続ができない場所、電源を引けない場所、無線LAN接続ができない場所等において、前記ICタグを利活用することで、フリーロケーションでも製品のロケーション管理が簡単に行える仕組みを提供することができる。
【0028】
本実施形態においては、PDAによって、ローカルなロケーション管理を可能とするが、必要に応じて、PDAをサーバと接続できる場所に移動後、PDAに保存している情報をサーバと送受信することで、製品ロケーション情報をサーバ管理することも可能になる。その際、例えば、製品に製品情報の格納されたICタグを付与しておき、出荷等の作業時にPDAで前記製品のICタグを読み込み、作業後に前記サーバに製品情報を送信することにより、サーバによる情報管理を行ってもよい。
【0029】
前記各ICタグとしては、メモリ容量の大きなICタグを選定することが好ましい。例えば、現在製品化されているメモリ領域サイズが大きい、8000ByteのICタグ等を好適に用いることができる。メモリ容量が十分でないICタグを用いる場合であっても、複数枚のICタグを利活用することで、巨大メモリ空間を実現することができる。
【0030】
(実施形態2)
図8のフローチャートに、本発明の作業支援システムの基本的な処理の流れのその他の例を示す。例えば、作業者aが建設現場Aに関する作業を行う場合について説明する。図1と同様の処理には同一の符号を付している。図示のように、作業者aは、ICタグリーダを有するPDAの電源を入れ(S1)、前記ICタグリーダで建設現場Aの動作環境データが格納されているA環境用のICタグ(動作環境用ICタグ)を読み込む(S2)。次いで、前記ICタグリーダで作業者a用のICタグ(作業者特定用ICタグ)を読み込む(S3)。予め前記作業者特定用ICタグに作業者固有のデータを格納しておくことにより、作業者は、前記作業者特定用ICタグをPDAで読み込むだけで、PDAを自身に適した動作環境に設定することができる。そして、前記S2工程および前記S3工程でデータを読み込んだPDAは、前記データを参照して、変数初期値を設定する初期化処理を行う(S4)。前記初期化処理の後、ロケーション操作の実行が必要か否かを判断する(S5−1)。実行が不要と判断した場合(No)は、処理は完了する。実行必要と判断した場合(Yes)は、ロケーション操作をする(S5)。ロケーション操作の後、メンテナンスが必要か否かを判断する(S6)。メンテナンスが不要と判断した場合(No)は、次のロケーション操作の実行が必要か否かを判断する(S5−1)。メンテナンスが必要と判断した場合(Yes)は、メンテナンス機能A用のICタグ(メンテナンス機能用ICタグ)を読み込み(S7)、PDAにおいてメンテナンス機能を実行してメンテナンス処理を行う(S8)。メンテナンス処理の後、次のロケーション操作の実行が必要か否かを判断する(S5−1)。
【0031】
前記メンテナンス機能用ICタグには、メンテナンス機能の変数初期値および実行プログラムが書かれている。メンテナンス機能に階層的にオプションがあれば、そのオプションにもそれぞれICタグを用意する。
【0032】
図9は、ICタグに格納される実行プログラムの格納イメージを示す図である。ICタグのユーザ利用領域に、実行プログラムを書き込む。A環境用のICタグデータは、例えば、変数初期値区、レイアウト画面表示区および建材表示処理区を含む。前記変数初期値区には、変数a、b、c等に対応する変数初期値a、変数初期値b、変数初期値c等のデータが格納されている。前記レイアウト画面表示区には、例えば、建材表示情報の有無や建材表示処理部を判断する実行プログラム(if文、Loop文等のプログラム)が格納されている。そして、前記建材表示処理区には、建材の画面表示に必要なデータの実行プログラムが格納されている。作業者a用のICタグデータは、例えば、システム起動区および変数初期値区を含む。前記システム起動区には、例えばシステムの起動に必要なログインIDやパスワード等のデータが格納されている。前記変数初期値区には、作業者aに適した動作環境データを格納することができる。例えば、PDA画面表示において、強調色を黄色にするといった設定ができる。メンテナンス機能A用のICタグデータは、例えば、変数初期値区を含む。前記変数初期値区には、メンテナンス変数d、e、f等に対応する変数初期値d、変数初期値e、変数初期値f等のデータが格納されている。
【0033】
図10は、本実施形態の作業支援システムにおける実行プログラムの構成の一例を示す構成図である。本構成図では、前記各ICタグに格納された実行プログラムと、前記PDAに格納された実行プログラムとの連動イメージを示している。A環境用のICタグには、A環境用の実行プログラムが書き込まれている。作業者a用のICタグには、作業者aが使いやすい実行プログラムが書き込まれている。A環境用のメンテナンス用ICタグには、A環境用のメンテナンス実行プログラムが書き込まれている。作業者が、PDAで前記A環境用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されているPDA動作環境設定プログラムおよび作業別の固有プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。作業者が、PDAで前記作業者a用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されている作業者毎の固有設定プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。そして、作業者が、PDAで前記A環境用のメンテナンス用ICタグを読み込むと、PDA内に格納されている作業別の固有メンテナンスプログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。
【0034】
本実施形態の作業支援システムによると、システムとして、メンテナンス画面の開発が不要になる。また、メンテナンス機能の追加開発が容易となり、費用の削減が可能となる。また、プログラムのバグの低減にもつながる。なお、通常のメンテナンスは、管理者用と作業者用とで、機能限定される。本実施形態においては、作業者用のICタグを読み取ることで、システムへのログインIDやパスワードの入力を不要とすることができる。また、作業者用のICタグは、使用する作業者にあわせて環境設定をすることができる。図11(a)に、本実施形態の作業支援システムでのメンテナンス処理を行う場合の説明図を、図11(b)に、本発明によらないシステムでのメンテナンス処理を行う場合の説明図を示す。図11(b)では、ログインIDおよびパスワードの入力を行い、認証されると作業メニュー画面となる。作業メニュー画面からメンテナンス画面を呼び出し、例えば画面表示色などを、環境設定用の画面から設定する。これに対して、図11(a)の作業支援システムによると、作業者用のICタグを読み込むことでログインIDやパスワードの入力をすることなく、作業画面に入ることができる。次いで、メンテナンスICタグを読み込むと、前記メンテナンスICタグに格納された環境設定値が設定されるので、メンテナンス画面による環境設定を不要とすることができる。したがって、本実施形態の作業支援システムによると、PDA操作に慣れていない作業者であっても、容易に環境設定等をすることができる。
【0035】
(実施形態3)
本実施形態においては、ICタグとして、使用電波帯の異なる複数種類のICタグを使用する。前記使用電波帯の異なる複数種類のICタグとしては、UHF帯ICタグおよびHF帯ICタグがよく利用される。PDAがいずれか一方の使用電波帯に対応したICタグリーダライタのみを内蔵している場合、他方の使用電波帯に対応したICタグリーダライタをUSB接続等で外付けして用いることができる。図12は、このようなICタグリーダライタを有するPDA10の一例を示す。本例では、PDA10に、UHF帯ICタグリーダライタ11が内蔵されており、HF帯ICタグリーダライタ12が外付けされている。図13に、前記PDA10を使用する場合の各ICタグに格納されたデータの構成の一例を示す。本例においては、UHF帯ICタグを、まずUHF帯ICタグリーダライタ11で読み込み、次にHF帯ICタグを読み込む。前記UHF帯ICタグには、A情報データとHF帯切替プログラムデータとが含まれている。前記UHF帯ICタグを読み込むと、HF帯切替プログラムが起動し、前記PDA10には、HF帯ICタグリーダライタ12からの読み込みが可能となったことを示す画面が表示される。次に、HF帯ICタグをHF帯ICタグリーダライタ12で読み込む。前記HF帯ICタグには、B情報データとUHF帯切替プログラムデータとが含まれている。前記HF帯ICタグを読み込むと、UHF帯切替プログラムが起動し、前記PDAには、UHF帯ICタグリーダライタ11からの読み込みが可能となったことを示す画面が表示される。このように、本実施形態においては、画面操作でのUHF帯とHF帯との切り替えを不要とすることができ、UHF帯ICタグと、HF帯ICタグとを、1台のPDAで容易に読み取りが可能となる。
【0036】
(実施形態4)
本発明の作業支援システムは、例えば、構成員が流動的な状態の多数の作業者が関与する作業現場において次のように使用できる。一例として、作業者xが、建材置き場から建材Xを運搬し、積み込み作業を行い出荷する作業の場合は、次のようにして行う。作業者xは、作業開始時に、ICタグリーダを有するPDAと作業者特定用ICタグ(作業者x用)とを渡される。作業者x用ICタグには、作業者xの特性や作業内容に応じたデータが格納されている。まず、作業者xが、PDAで自分の作業者特定用ICタグを読むことにより、PDAの画面の色や表示される文字の大きさ等の動作環境が作業者xに最適なものとなる。そして、画面上には、作業者xに割り当てられた作業内容一覧として、「建材配置」、「移動」、「出荷」の各項目が表示される。各項目の表示には、作業場所の表示と、動作環境用ICタグのタグ番号が併記されている。作業者xは、前記表示に従い、「建材配置」の項目に併記された第一の作業場所に行く。そして、第一の作業場所に設置されている動作環境用ICタグの中から、併記されたタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、PDAの画面には、作業者xが第一の作業場所ですべき作業内容の詳細が表示される。画面には、第一の作業場所のレイアウト図が表示され、作業者xが運搬すべき建材Xの場所が強調されて示される。前記レイアウト図に従い、作業者xは、建材Xの場所に向かう。建材Xを確認したら、建材Xに貼付されたICタグをPDAで読み込むと、建材Xについての作業内容が表示される。ここで、万一、異なる建材のICタグを読み込んでしまった場合には、例えば、「建材が間違っています。確認して正しい建材データを読み込んでください。」と表示される。建材Xについての作業内容が表示されたら、表示に従い作業を行う。第一の作業場所で建材Xに梱包等の処置が必要な場合には、その作業内容が表示される。梱包材の保管場所や、梱包に使用する用具等の情報も表示される。この表示に従い、作業者xは、建材Xを梱包する。梱包が完了し、用具を返却したら、用具返却場所に設置されている指定されたICタグを読み込むと、第一の作業場所での作業が終了とされ、作業内容一覧画面に戻る。このとき、PDAにICタグライタの機能を付与しておき、用具返却場所のICタグなどに、建材X梱包完了情報を書き込むようにすると、後から管理者がこの情報を参照することで工程管理も可能となる。次に、作業者xは、「移動」の項目に併記された動作環境用ICタグのタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、PDAには、梱包後の建材Xの運搬方法と移動場所が表示される。前記表示には、その移動場所での動作環境用ICタグのタグ番号が併記されている。建材Xを指定の移動場所まで運搬したら、その場所に設置されている動作環境用ICタグの中から、併記されたタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、建材Xの置き方や作業内容等が表示される。第一の作業場所での作業と同様にPDAの指示に従って作業を行い、一連の作業が終了したら、作業者xは、「出荷」の項目に併記された動作環境用ICタグのタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、PDAには、積み込むべきトラックの番号、積み込み順等が表示される。トラックにも動作環境用ICタグを付与しておくと、積み込み間違い等を防ぐことができる。また、トラックに付与された動作環境用ICタグに、作業者xのPDAに格納された情報を書き込んでおき、出荷時にゲート等でその情報を読み出して保存する。作業者xのPDAに格納された情報には積み込まれた建材Xの情報、梱包状況、移動状況、作業日等が含まれている。出荷ゲートにおいてサーバと接続できる環境を整えておけば、製品ロケーション情報をサーバ管理することができる。このような作業現場では、作業者のITスキルや、その作業についての熟練度が、様々であることもある。本発明の作業支援システムは、PDA等に不慣れな作業者であっても、IT機器を容易に操作可能である。また、作業自体の手順も詳細に表示させることができるので、新しく臨時で現場に入った作業者に対しても、マン・ツー・マンでの指示をする必要がなく、作業を効率的に、また、確実に行わせることができる。また、入力されたデータから作業の進捗や対象物のロケーション等のチェックも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、工場現場、建築現場、農業現場など、各分野において適用することができ、その用途は広範である。
【符号の説明】
【0038】
10 携帯情報端末(PDA)
11 UHF帯ICタグリーダライタ
12 HF帯ICタグリーダライタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICタグを使って物品を認識するRFID(Radio Frequency Identification)技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、工場現場、建設現場、農業現場等の作業現場においても、IT化が急速に進み、前記RFID技術がこれらの現場でも導入の動きが進んでいる。例えば、工場では、ベルトコンベアや台車等により部品が搬送され、複数の部品が多くの工程で組み立てられて製品化される。ここで、各部品にICタグを付することによって、組み立てられた製品の、前記各工程で用いた部品ベースでの識別、管理等を行うことができる。
【0003】
上記の識別、管理等を行う場合、各工程において、部品に付されたICタグを携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant、あるいは、Personal Data Assistance)を操作して、前記ICタグに格納された部品情報を読み取り、新たに組み立てられた製品の情報と前記部品情報との関連付けを行う、といった作業が必要となる。また、前記製品情報を更新した後に、サーバに前記製品情報を送信するという操作も必要である。このように、IT、ICT(Information and Communications Technology)の普及が進む中、作業現場での情報入力や情報の参照が必要とされている。
【0004】
しかし、前記の作業現場において、現場作業者がPDAを使いこなすことは困難である。また、PDAの操作自体が複雑なものではない場合であっても、作業工程を多数の現場作業者が交代しつつ行ったり、日々の作業内容が変化するような現場では、作業者の交代や作業内容の変化のたびに、各現場作業者が行う作業工程に応じたPDAの操作方法等を、個々に認識させる必要がある。また、作業現場によっては、サーバとの接続が困難である場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−251919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、携帯情報端末の操作を容易とすることが可能であり、かつ、サーバとの接続が困難であるような作業現場においても使用可能である、作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業支援システムは、ICタグと、ICタグリーダを有する携帯情報端末とを備え、
前記ICタグには、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納され、
前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記変数初期値が取得可能であり、
また、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記実行プログラムが取得可能であり、
前記携帯情報端末において、前記ICタグリーダで読み取った実行プログラムを実行可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の作業支援システム用ICタグは、前記本発明の作業支援システムに使用され、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の作業支援システム用携帯情報端末は、ICタグリーダを有し、前記本発明の作業支援システムに使用され、前記本発明の作業支援システム用ICタグに格納された実行プログラムと連動して実行される実行プログラムが格納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯情報端末の操作を容易とすることが可能であり、例えば、ITに不慣れな作業者にとっても、携帯情報端末を容易に使いこなせる作業支援システムを提供することができる。また、前記作業支援システムは、サーバとの接続が困難であるような作業現場においても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の作業支援システムの処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【図2(a)】図2(a)は、本発明の作業支援システムでの動作の一例を示す説明図である。
【図2(b)】図2(b)は、関連技術におけるシステムでの動作の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、出荷前製品置き場を上から見た概念図である。
【図4】図4は、ICタグに格納された実行プログラムの実行例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の作業支援システムにおけるICタグに格納される変数初期値および実行プログラムのデータ作成の一例を示す構成図である。
【図6】図6は、本発明の作業支援システムにおけるPDAに格納される変数初期値および実行プログラムのデータ作成の一例を示す構成図である。
【図7】図7は、本発明の作業支援システムにおける実行プログラムの構成の一例を示す構成図である。
【図8】図8は、本発明の作業支援システムの処理の流れのその他の例を示すフローチャート図である。
【図9】図9は、ICタグに格納される実行プログラムの格納イメージを示す図である。
【図10】図10は、本発明の作業支援システムにおける実行プログラムの構成のその他の例を示す構成図である。
【図11】図11は、前記その他の例により奏される効果の一例を、関連技術の例と対比して示す模式図である。
【図12】図12は、本発明の作業支援システムに用いるICタグリーダライタを有する携帯情報端末の一例である。
【図13】図13は、前記携帯情報端末を使用する場合のICタグに格納されたデータの構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の作業支援システムは、前記ICタグが動作環境用ICタグを含み、前記動作環境用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記動作環境用ICタグの設置されるロケーションに合わせて格納されており、前記実行プログラムが前記ロケーションにおける動作環境を管理するプログラムであることが好ましい。
【0013】
本発明の作業支援システムは、前記ロケーションが、作業単位毎に用意されていることが好ましい。
【0014】
本発明の作業支援システムは、前記変数初期値が、表示領域と座標系の定義を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の作業支援システムは、前記ICタグが作業者特定用ICタグを含み、前記作業者特定用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記作業者特定用ICタグが特定しようとする作業者に合わせて格納されており、前記実行プログラムが前記作業者における動作環境を管理するプログラムであることが好ましい。
【0016】
本発明の作業支援システムは、前記ICタグが、特定のメンテナンスを行うためのメンテナンス機能用ICタグを含み、前記メンテナンス機能用ICタグには、前記特定のメンテナンス用の変数初期値と、前記特定のメンテナンスを行うための実行プログラムとが格納されており、前記実行プログラムが前記特定のメンテナンスにおける動作環境を管理するプログラムであることが好ましい。
【0017】
本発明の作業支援システムは、前記携帯情報端末が、ICタグの使用電波帯に応じた複数種類のICタグリーダを有し、第一の使用電波帯を用いた第一の種類のICタグには、前記第一の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第一の種類のICタグの次に読み取る第二の種類のICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されており、第二の使用電波帯を用いた第二の種類のICタグには、前記第二の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第二の種類のICタグの次に読み取るICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されていることが好ましい。
【0018】
以下、本発明の作業支援システム、作業支援システム用ICタグおよび作業支援システム用携帯情報端末について、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0019】
(実施形態1)
図1のフローチャートに、本発明の作業支援システムの基本的な処理の流れの一例を示す。例えば、作業者aが建設現場Aに関する作業を行う場合について説明する。図示のように、作業者aは、ICタグリーダを有するPDAの電源を入れ(S1)、前記ICタグリーダで建設現場Aの動作環境データが格納されているA環境用のICタグ(動作環境用ICタグ)を読み込む(S2)。前記動作環境用ICタグには、例えば、建設現場Aに合わせたシステムの変数初期値および実行プログラムが書かれている。前記変数初期値としては、表示領域や座標系の定義を含んでいてもよい。前記実行プログラムとしては、建材の置き方や、現場での作業階に合わせたプログラム、カメラで撮影した写真の保存先、画像変換や付加情報等を処理するプログラム等をあげることができる。次いで、前記ICタグリーダで作業者a用のICタグ(作業者特定用ICタグ)を読み込む(S3)。前記作業者特定用ICタグには、例えば、作業者aの特性や好みに合わせたシステムの変数初期値および実行プログラムが格納されている。例えば、色覚異常を有する作業者の場合には、PDAの画面上の表示色を識別がし難い色の組み合わせを避けて設定する、等することができる。このように、予め前記作業者特定用ICタグに作業者固有のデータを格納しておくことにより、作業者は、前記作業者特定用ICタグをPDAで読み込むだけで、PDAを自身に適した動作環境に設定することができる。したがって、ユニバーサルデザインの考え方にも適合したシステムとすることができる。そして、前記S2工程および前記S3工程でデータを読み込んだPDAは、前記データを参照して、変数初期値を設定する初期化処理を行う(S4)。前記初期化処理S4においては、前記各実行プログラムをインタプリタ方式で高速実行するために、前記各実行プログラムを文字列型変数等に格納するとよい。前記初期化処理S4を完了すると、PDA画面には、建設現場Aにおけるロケーションのレイアウト図や、作業者aが行うべき作業内容等のメニューが、作業者aに適した状態で表示され、作業者aは、前記メニューに従った作業およびPDA操作を行う(ロケーション操作(S5))。
【0020】
図2(a)は、本発明の作業支援システムでの動作の一例を示す説明図である。また、図2(b)に、本発明によらないシステムで、同様の作業を行う場合の動作の一例の説明図を、図2(a)に対比させて示す。ここでは、製造工場にて、製品である建材を製造し、製造が完了したものを出荷前製品置き場に移動し、出荷を待っている状態でのロケーション管理の例を示す。特定の製品を出荷する作業を、作業者がPDA画面の表示に従い作業する場合において、本発明によらないシステムでは、図2(b)に示すように、次のような操作となる。すなわち、作業者の持つPDA画面には、第一段階では、「建材配置」、「移動」、「出荷」等の作業メニュー選択画面が表示されている。そこで、「出荷」メニューを選択すると、敷地全体のレイアウトが表示される。次に、対象の製品を特定するために、「拡大」メニューを選択し、拡大操作画面にて、拡大したい場所を選択して拡大の指示をする。拡大したい場所が拡大表示され、初めて対象の製品を特定することができる。それに対して、本発明の作業支援システムでは、図2(a)に示すように、次のような操作となる。まず、作業者は、特定の出荷先の初期値および実行プログラムが格納されたICタグを、PDAに付属のICタグリーダで読み取る。前記初期値としては、前記特定の出荷先毎にわかりやすい表示領域と座標系が定義されている。図3に、出荷前製品置き場を上から見た概念図を示す。例えば、斜線が付加された場所に対象となる特定の出荷先向けの製品が配置されている場合、(x,y)座標系の原点(0,0)を斜線の領域の付近で定義する。さらに、斜線の領域の大きさにあわせた幅を表示領域として定義する。前記ICタグを読み込んだ後、作業者の持つPDA画面には、第一段階では、「建材配置」、「移動」、「出荷」等の作業メニュー選択画面が表示されている。そこで、「出荷」メニューを選択すると、特定の出荷先向けの製品が配置されている場所を適切な大きさに拡大表示した敷地のレイアウトが表示され、即座に対象の製品を特定することができる。出荷先毎のICタグには、例えば、出荷先データ、ロケーション原点、ロケーションのx軸およびy軸とそれらの幅、PDA起動時(出荷先単位の起動)の変数初期値、PDA起動時(出荷先単位の起動)の実行プログラム、製品を置く時の変数初期値、製品を置く時の実行プログラム、移動時の変数初期値、移動時の実行プログラム、出荷時の変数初期値、出荷時の実行プログラム、製品置き場のレイアウト図、製品情報等を格納しておくことができる。
【0021】
図4は、本発明におけるICタグに格納された実行プログラムの実行例を示す図である。黒い星印は、ICタグに書き込まれる変数初期値または実行プログラムを示す。前記初期化処理S4における初期変数値の設定において、S2工程またはS3工程で読み込んだA環境用のICタグデータまたは作業者a用のICタグデータに、変数初期値a1、a2、a3等の設定があるかどうかを判断する(if)。前記設定があれば、読み込んだ変数初期値を環境初期値として設定する。もし、読み込んだ前記ICタグデータに前記変数初期値a1、a2、a3等の設定が含まれていなければ(else)、システム既定値を環境初期値とし、本工程は終了する(end)。引き続いて、ロケーション操作S5に入る(Loop)。ロケーション操作S5においては、読み込んだ前記ICタグデータに建材表示情報があるかどうかを判断する(if)。前記建材表示情報があれば、その建材を画面表示する。前記画面表示に必要なデータは、前記ICタグに格納されている。読み込んだ前記データに建材表示情報がなければ(else)、Loopを抜け、実行プログラムは終了する(end)。例えば、起動時に当日に出荷すべき製品を赤色表示させる場合、「変数初期値(色)=赤」のデータをICタグに設定しておく。そうすると、前記データが環境初期値として設定される。実行プログラムは、出荷予定日比較で一致するかどうかを判断する(if)。出荷予定日が一致する製品があれば、その製品を赤色表示する。一致する製品がなければ(else)、実行プログラムは終了する(end)。前記の図2(a)の例においては、出荷すべき建材がある場合には、対象の建材の場所を特定する表示がされる。例えば、出荷がすべて完了しているなどして出荷すべき建材がない場合には、表示はなされず、実行プログラムは終了する。
【0022】
次に、図5に、前記各ICタグに格納される変数初期値および実行プログラムのデータ作成の一例の構成図を示す。まず、テキスト形式のJAVA(登録商標)、C言語等の一般的なプログラミング言語で実行プログラム(実行PG)を作成する。次に、作成した一般的なプログラミング言語での実行プログラムをコンパイラにより変換して、実行プログラムのデータ量圧縮と、実行効率を上げるためのデータを作成する。変換後の実行プログラムデータは、データベースに格納する。そして、データベースに格納されたICタグ格納用の実行プログラムデータを、RFIDリーダライタ等を用いて、ICタグに書き込む。
【0023】
図6に、前記PDAに格納される実行プログラムのデータ作成の一例の構成図を示す。前記PDAに格納される実行プログラムは、ICタグに格納された実行プログラムを、穴埋めで呼び出す方式で作成する。まず、テキスト形式のJAVA(登録商標)、C言語等の一般的なプログラミング言語で実行プログラムを作成する。次に、作成した一般的なプログラミング言語での実行プログラムをコンパイラにより変換して、実行プログラムのデータ量圧縮と、実行効率を上げるためのデータを作成する。変換後の実行プログラムは、ICタグに書き込まれた実行プログラムとリンク可能な、リンケージエディタとともに、データベースに格納する。そして、データベースに格納されたPDAの実行プログラムデータを、PDAにコピーし、登録する。
【0024】
図7に、本発明の作業支援システムにおける実行プログラムの構成の一例を示す構成図を示す。本構成図では、前記各ICタグに格納された実行プログラムと、前記PDAに格納された実行プログラムとの連動イメージを示している。A環境用のICタグには、A環境用の実行プログラムが書き込まれている。作業者a用のICタグには、作業者aが使いやすい実行プログラムが書き込まれている。作業者aが、PDAで前記A環境用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されているPDA動作環境設定プログラムおよび作業別の固有プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。次に、作業者aが、PDAで前記作業者a用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されている作業者毎の固有設定プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。
【0025】
本発明の作業支援システムは、PDA等の携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等の携帯できる端末も含む)に格納されたプログラムをできるだけ減らし、減らしたプログラムはICタグに格納しておくことが特徴である。作業目的に合わせて、プログラムが格納されているICタグを読み込んで、そのプログラムを実行することで、PDA等の携帯端末の実行環境の自由度が高まる。
【0026】
さらに、本発明の作業支援システムでは、PDAに格納されるプログラムに関しても、変数初期値と実行プログラムの生成を、各作業者がPDAにて定義してもよい。前記作業者が定義した結果を、変数初期値と実行プログラムの形式で、ICタグに書き込む。次回、その作業者がPDA操作をするときに、自身が定義した結果を書き込んだICタグを読み込むことで、その作業者が使いやすい設定とすることが容易にできる。このように現場作業者の使い勝手に柔軟な対応が可能となる。操作手順や機能範囲を、システム開発時に確定しないことも可能となる。
【0027】
また、ICタグに変数初期値や実行プログラムが格納されているので、例えば、工場での出荷前製品置き場等の、サーバとの有線LAN接続ができない場所、電源を引けない場所、無線LAN接続ができない場所等において、前記ICタグを利活用することで、フリーロケーションでも製品のロケーション管理が簡単に行える仕組みを提供することができる。
【0028】
本実施形態においては、PDAによって、ローカルなロケーション管理を可能とするが、必要に応じて、PDAをサーバと接続できる場所に移動後、PDAに保存している情報をサーバと送受信することで、製品ロケーション情報をサーバ管理することも可能になる。その際、例えば、製品に製品情報の格納されたICタグを付与しておき、出荷等の作業時にPDAで前記製品のICタグを読み込み、作業後に前記サーバに製品情報を送信することにより、サーバによる情報管理を行ってもよい。
【0029】
前記各ICタグとしては、メモリ容量の大きなICタグを選定することが好ましい。例えば、現在製品化されているメモリ領域サイズが大きい、8000ByteのICタグ等を好適に用いることができる。メモリ容量が十分でないICタグを用いる場合であっても、複数枚のICタグを利活用することで、巨大メモリ空間を実現することができる。
【0030】
(実施形態2)
図8のフローチャートに、本発明の作業支援システムの基本的な処理の流れのその他の例を示す。例えば、作業者aが建設現場Aに関する作業を行う場合について説明する。図1と同様の処理には同一の符号を付している。図示のように、作業者aは、ICタグリーダを有するPDAの電源を入れ(S1)、前記ICタグリーダで建設現場Aの動作環境データが格納されているA環境用のICタグ(動作環境用ICタグ)を読み込む(S2)。次いで、前記ICタグリーダで作業者a用のICタグ(作業者特定用ICタグ)を読み込む(S3)。予め前記作業者特定用ICタグに作業者固有のデータを格納しておくことにより、作業者は、前記作業者特定用ICタグをPDAで読み込むだけで、PDAを自身に適した動作環境に設定することができる。そして、前記S2工程および前記S3工程でデータを読み込んだPDAは、前記データを参照して、変数初期値を設定する初期化処理を行う(S4)。前記初期化処理の後、ロケーション操作の実行が必要か否かを判断する(S5−1)。実行が不要と判断した場合(No)は、処理は完了する。実行必要と判断した場合(Yes)は、ロケーション操作をする(S5)。ロケーション操作の後、メンテナンスが必要か否かを判断する(S6)。メンテナンスが不要と判断した場合(No)は、次のロケーション操作の実行が必要か否かを判断する(S5−1)。メンテナンスが必要と判断した場合(Yes)は、メンテナンス機能A用のICタグ(メンテナンス機能用ICタグ)を読み込み(S7)、PDAにおいてメンテナンス機能を実行してメンテナンス処理を行う(S8)。メンテナンス処理の後、次のロケーション操作の実行が必要か否かを判断する(S5−1)。
【0031】
前記メンテナンス機能用ICタグには、メンテナンス機能の変数初期値および実行プログラムが書かれている。メンテナンス機能に階層的にオプションがあれば、そのオプションにもそれぞれICタグを用意する。
【0032】
図9は、ICタグに格納される実行プログラムの格納イメージを示す図である。ICタグのユーザ利用領域に、実行プログラムを書き込む。A環境用のICタグデータは、例えば、変数初期値区、レイアウト画面表示区および建材表示処理区を含む。前記変数初期値区には、変数a、b、c等に対応する変数初期値a、変数初期値b、変数初期値c等のデータが格納されている。前記レイアウト画面表示区には、例えば、建材表示情報の有無や建材表示処理部を判断する実行プログラム(if文、Loop文等のプログラム)が格納されている。そして、前記建材表示処理区には、建材の画面表示に必要なデータの実行プログラムが格納されている。作業者a用のICタグデータは、例えば、システム起動区および変数初期値区を含む。前記システム起動区には、例えばシステムの起動に必要なログインIDやパスワード等のデータが格納されている。前記変数初期値区には、作業者aに適した動作環境データを格納することができる。例えば、PDA画面表示において、強調色を黄色にするといった設定ができる。メンテナンス機能A用のICタグデータは、例えば、変数初期値区を含む。前記変数初期値区には、メンテナンス変数d、e、f等に対応する変数初期値d、変数初期値e、変数初期値f等のデータが格納されている。
【0033】
図10は、本実施形態の作業支援システムにおける実行プログラムの構成の一例を示す構成図である。本構成図では、前記各ICタグに格納された実行プログラムと、前記PDAに格納された実行プログラムとの連動イメージを示している。A環境用のICタグには、A環境用の実行プログラムが書き込まれている。作業者a用のICタグには、作業者aが使いやすい実行プログラムが書き込まれている。A環境用のメンテナンス用ICタグには、A環境用のメンテナンス実行プログラムが書き込まれている。作業者が、PDAで前記A環境用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されているPDA動作環境設定プログラムおよび作業別の固有プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。作業者が、PDAで前記作業者a用のICタグを読み込むと、PDA内に格納されている作業者毎の固有設定プログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。そして、作業者が、PDAで前記A環境用のメンテナンス用ICタグを読み込むと、PDA内に格納されている作業別の固有メンテナンスプログラムが、インタプリタ方式で呼び出され、実行される。
【0034】
本実施形態の作業支援システムによると、システムとして、メンテナンス画面の開発が不要になる。また、メンテナンス機能の追加開発が容易となり、費用の削減が可能となる。また、プログラムのバグの低減にもつながる。なお、通常のメンテナンスは、管理者用と作業者用とで、機能限定される。本実施形態においては、作業者用のICタグを読み取ることで、システムへのログインIDやパスワードの入力を不要とすることができる。また、作業者用のICタグは、使用する作業者にあわせて環境設定をすることができる。図11(a)に、本実施形態の作業支援システムでのメンテナンス処理を行う場合の説明図を、図11(b)に、本発明によらないシステムでのメンテナンス処理を行う場合の説明図を示す。図11(b)では、ログインIDおよびパスワードの入力を行い、認証されると作業メニュー画面となる。作業メニュー画面からメンテナンス画面を呼び出し、例えば画面表示色などを、環境設定用の画面から設定する。これに対して、図11(a)の作業支援システムによると、作業者用のICタグを読み込むことでログインIDやパスワードの入力をすることなく、作業画面に入ることができる。次いで、メンテナンスICタグを読み込むと、前記メンテナンスICタグに格納された環境設定値が設定されるので、メンテナンス画面による環境設定を不要とすることができる。したがって、本実施形態の作業支援システムによると、PDA操作に慣れていない作業者であっても、容易に環境設定等をすることができる。
【0035】
(実施形態3)
本実施形態においては、ICタグとして、使用電波帯の異なる複数種類のICタグを使用する。前記使用電波帯の異なる複数種類のICタグとしては、UHF帯ICタグおよびHF帯ICタグがよく利用される。PDAがいずれか一方の使用電波帯に対応したICタグリーダライタのみを内蔵している場合、他方の使用電波帯に対応したICタグリーダライタをUSB接続等で外付けして用いることができる。図12は、このようなICタグリーダライタを有するPDA10の一例を示す。本例では、PDA10に、UHF帯ICタグリーダライタ11が内蔵されており、HF帯ICタグリーダライタ12が外付けされている。図13に、前記PDA10を使用する場合の各ICタグに格納されたデータの構成の一例を示す。本例においては、UHF帯ICタグを、まずUHF帯ICタグリーダライタ11で読み込み、次にHF帯ICタグを読み込む。前記UHF帯ICタグには、A情報データとHF帯切替プログラムデータとが含まれている。前記UHF帯ICタグを読み込むと、HF帯切替プログラムが起動し、前記PDA10には、HF帯ICタグリーダライタ12からの読み込みが可能となったことを示す画面が表示される。次に、HF帯ICタグをHF帯ICタグリーダライタ12で読み込む。前記HF帯ICタグには、B情報データとUHF帯切替プログラムデータとが含まれている。前記HF帯ICタグを読み込むと、UHF帯切替プログラムが起動し、前記PDAには、UHF帯ICタグリーダライタ11からの読み込みが可能となったことを示す画面が表示される。このように、本実施形態においては、画面操作でのUHF帯とHF帯との切り替えを不要とすることができ、UHF帯ICタグと、HF帯ICタグとを、1台のPDAで容易に読み取りが可能となる。
【0036】
(実施形態4)
本発明の作業支援システムは、例えば、構成員が流動的な状態の多数の作業者が関与する作業現場において次のように使用できる。一例として、作業者xが、建材置き場から建材Xを運搬し、積み込み作業を行い出荷する作業の場合は、次のようにして行う。作業者xは、作業開始時に、ICタグリーダを有するPDAと作業者特定用ICタグ(作業者x用)とを渡される。作業者x用ICタグには、作業者xの特性や作業内容に応じたデータが格納されている。まず、作業者xが、PDAで自分の作業者特定用ICタグを読むことにより、PDAの画面の色や表示される文字の大きさ等の動作環境が作業者xに最適なものとなる。そして、画面上には、作業者xに割り当てられた作業内容一覧として、「建材配置」、「移動」、「出荷」の各項目が表示される。各項目の表示には、作業場所の表示と、動作環境用ICタグのタグ番号が併記されている。作業者xは、前記表示に従い、「建材配置」の項目に併記された第一の作業場所に行く。そして、第一の作業場所に設置されている動作環境用ICタグの中から、併記されたタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、PDAの画面には、作業者xが第一の作業場所ですべき作業内容の詳細が表示される。画面には、第一の作業場所のレイアウト図が表示され、作業者xが運搬すべき建材Xの場所が強調されて示される。前記レイアウト図に従い、作業者xは、建材Xの場所に向かう。建材Xを確認したら、建材Xに貼付されたICタグをPDAで読み込むと、建材Xについての作業内容が表示される。ここで、万一、異なる建材のICタグを読み込んでしまった場合には、例えば、「建材が間違っています。確認して正しい建材データを読み込んでください。」と表示される。建材Xについての作業内容が表示されたら、表示に従い作業を行う。第一の作業場所で建材Xに梱包等の処置が必要な場合には、その作業内容が表示される。梱包材の保管場所や、梱包に使用する用具等の情報も表示される。この表示に従い、作業者xは、建材Xを梱包する。梱包が完了し、用具を返却したら、用具返却場所に設置されている指定されたICタグを読み込むと、第一の作業場所での作業が終了とされ、作業内容一覧画面に戻る。このとき、PDAにICタグライタの機能を付与しておき、用具返却場所のICタグなどに、建材X梱包完了情報を書き込むようにすると、後から管理者がこの情報を参照することで工程管理も可能となる。次に、作業者xは、「移動」の項目に併記された動作環境用ICタグのタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、PDAには、梱包後の建材Xの運搬方法と移動場所が表示される。前記表示には、その移動場所での動作環境用ICタグのタグ番号が併記されている。建材Xを指定の移動場所まで運搬したら、その場所に設置されている動作環境用ICタグの中から、併記されたタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、建材Xの置き方や作業内容等が表示される。第一の作業場所での作業と同様にPDAの指示に従って作業を行い、一連の作業が終了したら、作業者xは、「出荷」の項目に併記された動作環境用ICタグのタグ番号と同じ番号のICタグをPDAで読み込む。すると、PDAには、積み込むべきトラックの番号、積み込み順等が表示される。トラックにも動作環境用ICタグを付与しておくと、積み込み間違い等を防ぐことができる。また、トラックに付与された動作環境用ICタグに、作業者xのPDAに格納された情報を書き込んでおき、出荷時にゲート等でその情報を読み出して保存する。作業者xのPDAに格納された情報には積み込まれた建材Xの情報、梱包状況、移動状況、作業日等が含まれている。出荷ゲートにおいてサーバと接続できる環境を整えておけば、製品ロケーション情報をサーバ管理することができる。このような作業現場では、作業者のITスキルや、その作業についての熟練度が、様々であることもある。本発明の作業支援システムは、PDA等に不慣れな作業者であっても、IT機器を容易に操作可能である。また、作業自体の手順も詳細に表示させることができるので、新しく臨時で現場に入った作業者に対しても、マン・ツー・マンでの指示をする必要がなく、作業を効率的に、また、確実に行わせることができる。また、入力されたデータから作業の進捗や対象物のロケーション等のチェックも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、工場現場、建築現場、農業現場など、各分野において適用することができ、その用途は広範である。
【符号の説明】
【0038】
10 携帯情報端末(PDA)
11 UHF帯ICタグリーダライタ
12 HF帯ICタグリーダライタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグと、ICタグリーダを有する携帯情報端末とを備え、
前記ICタグには、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納され、
前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記変数初期値が取得可能であり、
また、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記実行プログラムが取得可能であり、
前記携帯情報端末において、前記ICタグリーダで読み取った実行プログラムを実行可能であることを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記ICタグが動作環境用ICタグを含み、
前記動作環境用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記動作環境用ICタグの設置されるロケーションに合わせて格納されており、
前記実行プログラムが前記ロケーションにおける動作環境を管理するプログラムであることを特徴とする、請求項1記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記ロケーションが、作業単位毎に用意されていることを特徴とする、請求項2記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記変数初期値が、表示領域と座標系の定義を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記ICタグが作業者特定用ICタグを含み、
前記作業者特定用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記作業者特定用ICタグが特定しようとする作業者に合わせて格納されており、
前記実行プログラムが前記作業者における動作環境を管理するプログラムであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記ICタグが、特定のメンテナンスを行うためのメンテナンス機能用ICタグを含み、
前記メンテナンス機能用ICタグには、前記特定のメンテナンス用の変数初期値と、前記特定のメンテナンスを行うための実行プログラムとが格納されており、
前記実行プログラムが前記特定のメンテナンスにおける動作環境を管理するプログラムであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記携帯情報端末が、ICタグの使用電波帯に応じた複数種類のICタグリーダを有し、
第一の使用電波帯を用いた第一の種類のICタグには、前記第一の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第一の種類のICタグの次に読み取る第二の種類のICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されており、
第二の使用電波帯を用いた第二の種類のICタグには、前記第二の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第二の種類のICタグの次に読み取るICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業支援システムに使用され、
少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納されていることを特徴とする作業支援システム用ICタグ。
【請求項9】
ICタグリーダを有し、
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業支援システムに使用され、
請求項8記載の作業支援システム用ICタグに格納された実行プログラムと連動して実行される実行プログラムが格納されていることを特徴とする作業支援システム用携帯情報端末。
【請求項1】
ICタグと、ICタグリーダを有する携帯情報端末とを備え、
前記ICタグには、少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納され、
前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記変数初期値が取得可能であり、
また、前記ICタグリーダを用いて、前記ICタグの前記実行プログラムが取得可能であり、
前記携帯情報端末において、前記ICタグリーダで読み取った実行プログラムを実行可能であることを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記ICタグが動作環境用ICタグを含み、
前記動作環境用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記動作環境用ICタグの設置されるロケーションに合わせて格納されており、
前記実行プログラムが前記ロケーションにおける動作環境を管理するプログラムであることを特徴とする、請求項1記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記ロケーションが、作業単位毎に用意されていることを特徴とする、請求項2記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記変数初期値が、表示領域と座標系の定義を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記ICタグが作業者特定用ICタグを含み、
前記作業者特定用ICタグには、前記変数初期値と前記実行プログラムとが、前記作業者特定用ICタグが特定しようとする作業者に合わせて格納されており、
前記実行プログラムが前記作業者における動作環境を管理するプログラムであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記ICタグが、特定のメンテナンスを行うためのメンテナンス機能用ICタグを含み、
前記メンテナンス機能用ICタグには、前記特定のメンテナンス用の変数初期値と、前記特定のメンテナンスを行うための実行プログラムとが格納されており、
前記実行プログラムが前記特定のメンテナンスにおける動作環境を管理するプログラムであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記携帯情報端末が、ICタグの使用電波帯に応じた複数種類のICタグリーダを有し、
第一の使用電波帯を用いた第一の種類のICタグには、前記第一の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第一の種類のICタグの次に読み取る第二の種類のICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されており、
第二の使用電波帯を用いた第二の種類のICタグには、前記第二の種類のICタグに格納されたデータを読み取った後に起動する、前記第二の種類のICタグの次に読み取るICタグの使用電波帯用のICタグリーダへの切り替えプログラムが格納されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の作業支援システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業支援システムに使用され、
少なくとも、変数初期値と実行プログラムとが格納されていることを特徴とする作業支援システム用ICタグ。
【請求項9】
ICタグリーダを有し、
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業支援システムに使用され、
請求項8記載の作業支援システム用ICタグに格納された実行プログラムと連動して実行される実行プログラムが格納されていることを特徴とする作業支援システム用携帯情報端末。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−170428(P2011−170428A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31287(P2010−31287)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
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