説明

作業機のフロントアタッチメント

【課題】分割ブームの分解、組立に伴う油圧ホースの分離、接続作業のための高所作業車が不要になると共に、作動油の飛散防止対策のための作業も軽減できる構成の作業機のフロントアタッチメントを提供する。
【解決手段】ブームが複数の分割ブーム8bの継ぎ足しにより構成され、各分割ブーム8bに添設される油圧配管24どうしが油圧ホースにより接続される。ステップ26は分割ブーム8bの片側側面に回動可能に取付けられる。ステップ26は、ブームの倒伏状態において、足場となる開き状態と、手摺27が分割ブーム8bの上面に被さる閉じ状態との間で姿勢が変更可能である。閉じ状態においてはブーム8bの上面に配設された油圧配管24および油圧ホースを、ステップ26と、カバーを有する手摺27および固定柵28により覆う。これにより、油圧配管24あるいは油圧ホースからの漏れた作動油の飛散を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所解体作業を行なう解体機等の作業機に用いられるフロントアタッチメントに係り、より詳しくは、継ぎ足し式ブームにおける油圧ホースの接続作業の際に用いるステップを有するフロントアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
高所解体作業を行なう解体機においては、フロントアタッチメントの先端の破砕具を高所に到達させるため、例えば特許文献1に記載のように、フロントアタッチメントの一部に長いブームを備えている。この長いブームは、トレーラトラックによる輸送長さ限界以上の長さとなるため、分割ブームを継ぎ足してブームを構成する。そして輸送の際には分割ブームごとに分割して輸送し、現地において、現地における解体箇所の高さに応じた本数の分割ブームを継ぎ足してブームを構成する。各分割ブームにはそれぞれ鉄製油圧配管を添設しており、分割ブーム間の油圧配管の接続は油圧ホースを介して行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような解体機において、分割ブームの組立、分解の際には、油圧配管間の油圧ホースによる接続、分離は、人手により行なわなければならない。しかし、ブームを倒伏状態にしても、分割ブームの上面に添設される油圧配管どうしを接続する油圧ホースの接続部分は地上の作業員から手が届かない高所となる。このため、解体機の分解、組立には、クレーン以外に、油圧ホースの接続のために別途、高所作業車が必要となる。
【0005】
また、解体機の作業中に油圧ホースの内圧の脈動あるいは油圧ホースが対象物に引っかかる等の理由により、油圧ホースが損傷することがある。この油圧ホースの損傷は、主として油圧ホースの継手との接続部分であるかしめ部分で生じる。この油圧ホースの損傷が発生すると、その損傷部分から油圧ホース内の作動油の内圧により作動油が周囲に噴出し飛散することがある。このように作動油が周囲に飛散すると、近隣に多大の迷惑を及ぼすのみならず、作動油が道路に流下してスリップや交通渋滞を引き起こす原因となり得る。
【0006】
このような油圧ホースの破損における作動油の飛散を防止するため、従来は油圧ホースごとに合成樹脂製の飛散防止用のカバーホースで油圧ホースを覆うことが行なわれている。
【0007】
このような作動油の飛散防止用のカバーホースは、各油圧ホースごとに用意しなければならない。例えば中継ブームを有するフロントアタッチメントにおいては、ブーム上の油圧配管が8本以上にも達するため、その本数のカバーホースも必要となる。このため、分割ブームの組立に伴い、多数のカバーホースの油圧ホースへの装着作業が必要になり、組立に伴う段取り作業における労力、手間を増加させる原因となっている。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、分割ブームの分解、組立に伴う油圧ホースの分離、接続作業のための高所作業車が不要になると共に、作動油の飛散防止対策のための作業も軽減できる構成の作業機のフロントアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の作業機のフロントアタッチメントは、
ブームが複数の分割ブームの継ぎ足しにより構成され、各分割ブームに添設される油圧配管どうしが油圧ホースにより接続される作業機のフロントアタッチメントにおいて、
前記分割ブームの片側側面に回動可能に取付けられ、作業員の足場となるステップと、
前記ステップの自由端に取付けられた手摺と、
前記分割ブームの他側側面に取付けられ、前記手摺を着脱可能に固定する固定手段を有する固定柵と、
前記固定柵および前記手摺に張られたカバーとを備え、
前記ステップは、前記ブームの倒伏状態において、足場となる開き状態と、前記手摺が分割ブームの上面に被さる閉じ状態との間で姿勢が変更可能であり、閉じ状態においては前記ブーム上面に配設された前記油圧配管および前記油圧ホースを、前記ステップと前記カバーを有する手摺および固定柵とにより覆う構成を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の作業機のフロントアタッチメントは、請求項1に記載の作業機のフロントアタッチメントにおいて、前記ステップを少なくとも閉じ状態から開き状態に変更する際に回動速度を減じる緩衝装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ブームを倒伏させた状態において、ステップを開いた状態としておくことにより、組立、分解を行なう作業員はステップ上に上って油圧ホース等の接続、分離作業を行なうことができる。このため、従来、ブームの接続、分解に要してした高所作業車が不要となり、工事に要する費用を削減できると共に、組立、分解作業を行なうためのスペースが狭くてすむ。
【0012】
また、ステップと、手摺および固定柵に設けたカバーにより、油圧配管および油圧ホースを覆う構造とし、油圧ホース等の損傷により油漏れが発生しても周囲に飛散することが防止される構成としたので、従来必要としていた分割ブームの組立に伴う多数の油圧ホースへのカバーホースのブームの部分における装着作業が不要となる。その結果、作動油の飛散防止対策のための作業も軽減される。
【0013】
請求項2の発明によれば、ステップを少なくとも閉じ状態から開いた状態に変更する際に回動速度を減じる緩衝装置を備えたので、ステップや手摺が自重により急激に閉じ状態から開いた状態に変わることが防止される。このため、姿勢変更時における安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のフロントアタッチメントの一実施の形態を示す作業機を作業姿勢で示す側面図である。
【図2】本実施の形態の作業機をブーム倒伏姿勢で示す側面図である。
【図3】本実施の形態のステップ閉じ状態を示すブームの部分側面図である。
【図4】本実施の形態のステップ開き状態を示すブームの部分側面図である。
【図5】本実施の形態の分割ブームの単体をステップ閉じ状態で示す側面図である。
【図6】本実施の形態の分割ブームの単体をステップ開き状態で示す側面図である。
【図7】本実施の形態の分割ブームの単体をステップ閉じ状態について図5の反対側から見た側面図である。
【図8】本実施の形態の分割ブームをステップ閉じ状態で示す断面図である。
【図9】本実施の形態の分割ブームをステップ開き状態で示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係わる分割ブームの単体をステップ閉じ状態で示す側面図である。
【図11】図10の実施の形態の分割ブームの単体をステップ開き状態で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2は本発明のフロントアタッチメントの一実施の形態を示す作業機の側面図である。図1は作業状態を示し、図2はブーム倒伏状態を示す。この実施の形態の作業機は解体機を構成するものであり、自走式車両1と、作業具2を取付けた多関節構造のフロントアタッチメント3とからなる。自走式車両1はクローラ式(ホイール式でもよい)下部走行体4上に上部旋回体5を設置し、上部旋回体5には油圧パワーユニット6や運転室7等を搭載すると共に、前記フロントアタッチメント3を取付けてなる。この例においては、作業具2が建造物の破砕、鉄筋切断等を行なうための開閉式破砕具である場合について示す。
【0016】
フロントアタッチメント3は、ブーム8と中継ブーム9とアーム10とからなる。ブーム8は、基端側分割ブーム8aと、中継ブーム9が取付けられる先端側分割ブーム8cと、これらの分割ブーム8a,8cとの間に必要本数介装される継ぎ足し用分割ブーム8bとからなる。継ぎ足し用分割ブーム8bの本数は、解体箇所の高さによって増減される。
【0017】
11はブーム8を起伏させる油圧シリンダであり、この油圧シリンダ11は旋回体5と基端側分割ブーム8aとの間に設けられる。12はブーム8に対して中継ブーム9以上の部分を回動させる油圧シリンダであり、この油圧シリンダ12は先端側分割ブーム8cと中継ブーム9との間に設けられる。13は中継ブーム9に対してアーム10を回動させる油圧リンダであり、この油圧シリンダ13は中継ブーム9とアーム10との間に設けられる。14は作業具2を回動させる油圧シリンダである。
【0018】
図3、図4はそれぞれ図1、図2のブームの一部を拡大して示す側面図である。図3、図4に示すように、継ぎ足し用分割ブーム8b間は上下(ブーム8を伏せた状態における上下を意味する。以下同じ。)のピン20,21により着脱可能に接続される。これらのピン20,21はそれぞれ左右各1本ずつ設けられ、継ぎ足される分割ブーム8bのうち、基端側に位置する分割ブーム8bの先端に取付けられたピン抜き差し用油圧シリンダ(図示せず)によりピン20,21を外側に向けて突出させることにより、分割ブーム8b,8bどうしを接続する。他の分割ブーム8a、8cと継ぎ足し用分割ブーム8bとの連結も同様に行なわれる。分割ブーム8b,8cの上面中央には組立、分解時に分割ブーム8b,8cをクレーンによって吊り上げるワイヤロープを掛けるためのブラケット19を有する。
【0019】
図1〜図4に示すように、各分割ブーム8b,8cにはステップ装置22がそれぞれ取付けられる。なお、本実施の形態においては、基端側分割ブーム8aにはステップ装置22を取付けていないが、これは基端側分割ブーム8aの上面には梯子となる鉄製ロッド(図示せず)が取付けられているので、ステップが不要となり、また、基端側分割ブーム8aは最も低い箇所にあり、仮に油漏れを生じたとしても、作動油が広範囲に飛散するおそれがないためである。基端側分割ブーム8aの部分だけはカバーホースを被せるようにしてもよい。
【0020】
図3、図4において、24は分割ブーム8b上に添設される鉄製油圧配管、25は隣接する分割ブーム8b,8bにそれぞれ添設される油圧配管24,24間を着脱可能に接続する油圧ホースである。基端側分割ブーム8aと継ぎ足し用分割ブーム8bとの間、および継ぎ足し用分割ブーム8bと先端側分割ブーム8cにそれぞれ添設される油圧配管24,24間も同様に油圧ホース25により着脱可能に接続される。
【0021】
図5、図6は分割ブーム8bの1本について、ステップ装置22の分割ブーム8bに対する取付け構造を、それぞれステップ装置22が閉じた状態と開いた状態で示す側面図、図7はこの構造を図5の反対側から見た分割ブーム8bの側面図である。また、図8、図9はそれぞれこのステップ装置22を閉じた状態と開いた状態を示す分割ブーム8bの断面図である。図8,図9に示すように、この実施の形態においては、分割ブーム8bの上面に8本の油圧配管24が固定金具23により固定されている。これらの油圧配管24は、図1に示した油圧シリンダ12,13,14および作業具2の油圧シリンダに作動油を供給するために設けられたものである。
【0022】
図5〜図9において、26はステップ、27はその端部に取付けた手摺、28は固定柵である。ステップ26は分割ブーム8b,8cの一側面にヒンジ29を中心として回動可能に取付けられる。このステップ26は、ビームで組まれた枠26aに凹凸等で滑り止め構造とした鉄板等でなる踏み板26bを固定したものである。図8、図9に示すように、枠26aの根元部にはストッパ板32を溶接等により固定し、分割ブーム8bの側面には、このストッパ板32を当接させる受板33を溶接する。そしてステップ装置22を開いた状態、すなわちステップ26上に作業員が乗って作業する際には、このストッパ板32を受板33に当接させてステップ装置22の開き状態を維持する。
【0023】
図8、図9において、34は分割ブーム8bの側面とステップ26の枠26aとの間に緩衝装置として設けた油圧ダンパである。この油圧ダンパ34は、作業員がステップ26を開閉する際に、その回動速度を減じることにより、速い速度で開閉することによって作業員がこのステップ装置22に引かれて身体の安定を崩すことを防ぐものである。この緩衝装置は、ステップ装置22を開くときにのみ回動速度を減じる構成としてもよい。また、この緩衝装置としては油圧ダンパの代わりにばねを用いることもできる。
【0024】
手摺27は、図6に示すように、ステップ26の枠26aに溶接等により固定したパイプからなる枠27aに布や合成樹脂製シートあるいは薄板等からなるカバー27bを張ったものである。固定柵28は、図7に示すように、ステップ26を取付けた分割ブーム8bの側面の反対側の面に溶接やボルト付けにより枠28aを固定して取付けられる。この固定柵28は、枠28aに布や合成樹脂製シートあるいは薄板等からなるカバー28bを張ったものである。この固定柵28は、分割ブーム8bの上面より上方に突出させて設ける。
【0025】
手摺27と固定柵28との間には手摺27を固定柵28に固定するための固定手段が設けられる。この実施の形態の固定手段は、図8、図9に示すように、手摺27の枠27aの先端に設けた係止爪40と、この係止爪40を係止するために固定柵28の枠28aに設けたガイド筒41に突没可能に装着した可動爪42と、この可動爪42を係止爪40に係止させる方向に押圧するばね43と、可動爪42に連結され、枠28aに固定した軸受44に回動可能に貫挿したロッド45と、このロッド45に固定したアーム46と、可動爪42を係止爪40の係止位置から退避位置に動かすためにロッド45に取付けられ操作レバー47とを備える。図7に示すように、可動爪42は固定柵28の長手方向に複数個設けられ、対応する係止爪40も手摺27の長手方向に複数個設けられる。操作レバー47は、ロッド45における分割ブーム8bの基端側端部に取付けられる。
【0026】
この作業機において、ブーム8を組み立てる際には、予め上部旋回体5に取付けられている基端側の分割ブーム8aに対し、継ぎ足し用分割ブーム8bを1本組み付ける。この組み付けの際には、基端側の分割ブーム8aを倒した姿勢にしておき、分割ブーム8bは図6、図9に示すように、ステップ装置22を開いておく。そして分割ブーム8bのブラケット19にクレーン(図示せず)のワイヤロープを掛けて吊上げ、クレーン操作と上部旋回体5の旋回、油圧シリンダ11の伸縮等によりピン20,21のピン孔の位置合わせを行ない、分割ブーム8aの先端に内蔵したピン抜き差し用油圧シリンダによりピン20,21を外側に突出させてピン20,21による分割ブーム8a,8bの接続を行なう。
【0027】
このようにピン20,21により分割ブーム8a,8bの接続を行なった後、分割ブーム8a,8bに添設されている油圧配管24,24どうしを油圧ホース25により接続する。続いて分割ブーム8b,8bどうしの接続および油圧ホース25による油圧配管24,24の接続を行なう。このような油圧ホース25による油圧配管24,24の接続作業は、ステップ26に作業員が乗って行なう。最後に中継ブーム9やアーム10が接続された先端側分割ブーム8cの接続および油圧ホース25による油圧配管24,24の接続を行なう。
【0028】
このような接続を行なった後、まず先端側分割ブーム8cに取付けられているステップ装置22を閉じる。このステップ装置22の閉じ作業は、作業員が先端側分割ブーム8cを連結している継ぎ足し用分割ブーム8bに取付けられているステップ装置22のステップ26に乗り、先端側分割ブーム8cに取付けられているステップ装置22の手摺27を持ってステップ26を回し、図8、図9に示したように、手摺27の枠27aに設けた係止爪40を可動爪42に自動的に係止させる。
【0029】
すなわち、係止爪40と可動爪42はこれらの相互の当接面が傾斜面40a,42aに形成されているので、手摺27の降下に伴い係止爪40が降下すると、係止爪40がばね43の押圧力に抗して可動爪42を退避させ、係止爪40の係止部が可動爪42を越えると、ばね43の押圧力で可動爪42が元の位置に復帰することにより、係止爪40が可動爪42に自動的に係止される。このようなステップ装置22の閉じ作業を、先端側分割ブーム8cから基端側分割ブーム8aに連結される継ぎ足し用分割ブーム8bにわたって行なう。
【0030】
このようにブーム8の組立作業を行ない、かつステップ装置22を閉じた状態においては、分割ブーム8a,8b,8c間の油圧ホース25およびブーム添設油圧配管24が、ステップ26、カバー27bを有する手摺、およびカバー28bを有する固定柵28により覆われる。このため、万一、作業中に油圧配管24や油圧ホース25が破損し、作動油が噴出しても、これが外部に飛散することが防止される。
【0031】
現場での作業が終了し、ブーム8を分解する場合には、図2に示すようにフロントアタッチメント3を倒伏状態とする。そして、作業員がブーム8の基端側継ぎ足し用分割ブーム8b側から先端側分割ブーム8cにわたり、ステップ装置22を順次開く。このステップ装置22の開き作業は、各分割ブーム8b、8cの基端側に設けられた操作レバー47を操作してロッド45を介してアーム46を可動爪42が係止爪40から外れる方向に回し、これにより可動爪42を係止爪40から外した状態にして手摺27を開く方向に回して行なう。この開き作業において、油圧ダンパ34はステップ26および手摺27の急激な開き動作を防止し、安全性を高める。
【0032】
このようにしてブーム8全体のステップ装置22を開いてステップ装置22によりブーム8全体について連続するステップを構成したら、まず先端側分割ブーム8cとこれに連結されている継ぎ足し用分割ブーム8bとの間の油圧ホース25を外す。そして先端側分割ブーム8cをクレーンにより支持しておき、継ぎ足し用分割ブーム8bの先端に内蔵のピン抜き差し用の油圧シリンダを操作してピン20,21を分割ブーム8cから抜き、先端側分割ブーム8cを継ぎ足し用分割ブーム8bから分離する。このような分離作業を先端側分割ブーム8cから基端側分割ブーム8aに連結される継ぎ足し用分割ブーム8bにわたって行なう。
【0033】
このように、本実施の形態においては、分割ブーム8b,8cにステップ装置22を回動可能に取付け、ブーム8を倒伏させた状態において、ステップ26を開いた状態としておくことにより、分解、組立を行なう作業員はステップ26上に上って油圧ホース25などの接続、分離作業を行なうことができる。このため、従来、ブーム8の分解、組立に要してした高所作業車が不要となり、工事に要する費用を削減できると共に、狭隘な場所でも分解、組立作業を行なうことができる。
【0034】
また、ステップ26と、カバー27b,28bをそれぞれ有する手摺27および固定柵28により油圧配管24および油圧ホース25を覆う構造としたので、油圧配管24や油圧ホース25の損傷により油漏れが発生しても周囲に飛散することが防止される。このため、従来必要としていた分割ブーム8b,8cの組立に伴う多数の油圧ホース25へのカバーホースのブームの部分における装着作業が不要となる。その結果、作動油の飛散防止対策のための作業も軽減される。
【0035】
また、ステップ26を閉じ状態と開き状態との間で変更する際に回動速度を規制する油圧ダンパ34等の緩衝装置を備えたので、ステップ26や手摺27が自重により急激に閉じ状態から開き状態に変わることが防止される。このため、ステップ装置22の姿勢変更時における安全性が向上する。
【0036】
図10、図11は本発明の他の実施の形態を示す分割ブームの側面図である。この実施の形態は、分割ブーム8b,8cの1本当たり、複数のステップ装置22A,22B,22Cを設けたものである。図10、図11において、図3〜図9と同じ符号は等価機能を発揮する部材を示す。この実施の形態においても、各ステップ装置22A,22B,22Cにそれぞれ手摺27を固定柵28に固定するための前記係止爪40、可動爪42、操作レバー47等を設ける。
【0037】
図10、図11の実施の形態のようにステップ装置を1本の分割ブーム8b,8cに対してそれぞれ複数のステップ装置22A〜22Cに分割すれば、図1〜図9の実施の形態よりもステップ装置22A〜22Cが軽量となり、開閉操作が容易となる。
【0038】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明は、上記実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。例えばフロントアタッチメントにおけるアーム10も継ぎ足し式とすることも可能である。また、本発明を適用する作業機は、解体機に限らず、分割ブームを備えた長尺のフロントアタッチメントを備える例えば荷役機や生コンクリート供給機等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:自走式車両、2:作業具、3:フロントアタッチメント、4:下部走行体、5:上部旋回体、6:油圧パワーユニット、7:運転室、8:ブーム、9:中継ブーム、10:アーム、11〜14:油圧シリンダ、19:ブラケット、20,21:ピン、22,22A〜22C:ステップ装置、23:固定具、24:油圧配管、25:油圧ホース、26:ステップ、26a:枠、26b:踏み板、27:手摺、27a:枠、27b:カバー、28:固定柵、28a:枠、28b:カバー、32:ストッパ板、33:受板、34:油圧ダンパ、40:係止爪、41:ガイド筒、42:可動爪、43:ばね、44:軸受、45:ロッド、46:アーム、47:操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームが複数の分割ブームの継ぎ足しにより構成され、各分割ブームに添設される油圧配管どうしが油圧ホースにより接続される作業機のフロントアタッチメントにおいて、
前記分割ブームの片側側面に回動可能に取付けられ、作業員の足場となるステップと、
前記ステップの自由端に取付けられた手摺と、
前記分割ブームの他側側面に取付けられ、前記手摺を着脱可能に固定する固定手段を有する固定柵と、
前記固定柵および前記手摺に張られたカバーとを備え、
前記ステップは、前記ブームの倒伏状態において、足場となる開き状態と、前記手摺が分割ブームの上面に被さる閉じ状態との間で姿勢が変更可能であり、閉じ状態においては前記ブーム上面に配設された前記油圧配管および前記油圧ホースを、前記ステップと前記カバーを有する手摺および固定柵とにより覆う構成を有することを特徴とする作業機のフロントアタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機のフロントアタッチメントにおいて、
前記ステップを少なくとも閉じ状態から開き状態に変更する際に回動速度を減じる緩衝装置を備えたことを特徴とする作業機のフロントアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−236653(P2011−236653A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109379(P2010−109379)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】