作業機の供給制御機構
【課題】従来より、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する施肥播種機等の作業機では、接地輪で検知した移動速度に供給モータの回転速度を同調させることにより、単位移動長当たりに供給される供給物の量を移動速度にかかわらず一定に制御する際に、走行車両旋回時のリフトアップやバウンドで接地輪が路面から離間して無負荷で高速空転すると、供給モータが高速回転して供給物の量が過剰になる、という問題があった。
【解決手段】接地式移動速度検知装置42には、接地輪66の接地の有無を検知する接地センサ71を設け、該接地センサ71からの接地信号に基づいて、接地輪66が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成とした。
【解決手段】接地式移動速度検知装置42には、接地輪66の接地の有無を検知する接地センサ71を設け、該接地センサ71からの接地信号に基づいて、接地輪66が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行車両によって移動されながら作業する施肥播種機や土壌消毒機等の作業機に搭載した、繰出装置や液体ポンプユニット等の供給装置に関し、特に、走行車両旋回時や圃場状況が悪い場合に、たとえ接地輪等の移動速度検知部が空転しても、種子、肥料、薬液等の供給物が過剰に供給されることなく、作業車両の走行速度にかかわらず設定通りの供給を実現可能な、供給装置の供給制御機構にする。
【背景技術】
【0002】
従来より、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する施肥播種機等の作業機において、繰出装置等の供給装置を作動する供給アクチュエータとして供給モータを設け、該供給モータの回転速度を作業機の移動速度と自動同調させ、これにより、作業機の単位移動長当たりに供給される供給物の量(以下、「供給量」とする。)を移動速度にかかわらず一定にして、均一な供給作業を可能とする技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。この際の作業機の移動速度は、超音波等による非接触式移動速度検知装置、作業車両の走行速度を直接検知する作業車両走行速度検知装置、あるいは接地輪の回転速度による接地式移動速度検知装置等からの移動速度に関する検知信号(以下、「移動速度信号」とする。)に基づいて検知されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−265007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した各種速度検知装置のうち、構造が簡単で精度も高いことから、接地輪等を使った接地式移動速度検知装置が多用されているが、走行車両旋回時に作業機全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪いために接地輪がバウンドしたりして、路面から大きく離間すると、接地輪がそれまでの慣性力によって無負荷で高速空転するため、コントローラは作業機が高速移動中であると誤って判断して供給モータも高速回転し、供給物の圃場への供給量が過剰となる、という問題があった。
更に、圃場内の路面状況が場所によって大きく異なるとスリップ等により接地輪の回転速度も著しくばらつくため、供給物の圃場への供給量が不均一となる、という問題があった。また、供給物の種類・性状等が異なると供給モータの回転速度も適正化する必要があるが、それには供給装置のギア比を変更する等の機械的調整を要するため、部品コストの増加やメンテナンス性の低下を招く、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、作業機の供給制御機構において、前記接地式移動速度検知装置には、前記移動速度検知部の接地の有無を検知する接地検知手段を設け、該接地検知手段からの接地信号に基づいて、前記移動速度検知部が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたものである。
請求項2においては、前記接地式移動速度検知装置は、前記移動速度検知部としての接地輪と、該接地輪を転動可能に軸支する接地輪アームと、該接地輪アームを前記走行車両に取り付ける取付フレームとを備え、該取付フレームに前記接地輪アームを上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレームには前記接地輪の下方揺動限界規制を行う下限ストッパを設け、該下限ストッパへの前記接地輪アームの到達を前記接地検知手段によって検知するものである。
請求項3においては、前記供給制御機構には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、作業機の供給制御機構において、前記接地式移動速度検知装置には、前記移動速度検知部の接地の有無を検知する接地検知手段を設け、該接地検知手段からの接地信号に基づいて、前記移動速度検知部が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたので、接地式移動速度検知装置の移動速度検知部が接地している場合にのみ供給アクチュエータを駆動させることができ、走行車両旋回時に作業機全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪くて移動速度検知部がバウンドしたりして、路面から大きく離間することにより、移動速度検知部がそれまでの慣性力によって無負荷で高速空転する場合であっても、供給アクチュエータの作動を停止して、供給物の圃場への過剰な供給を確実に防止することができる。
請求項2においては、前記接地式移動速度検知装置は、前記移動速度検知部としての接地輪と、該接地輪を転動可能に軸支する接地輪アームと、該接地輪アームを前記走行車両に取り付ける取付フレームとを備え、該取付フレームに前記接地輪アームを上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレームには前記接地輪の下方揺動限界規制を行う下限ストッパを設け、該下限ストッパへの前記接地輪アームの到達を前記接地検知手段によって検知するので、前記接地検知手段を簡単な構成で形成することができ、装置コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項3においては、前記供給制御機構には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段を備えるので、圃場内の路面状況や供給物の種類・性状等に応じて、基準供給量を適正な値に容易に微調整することができ、ギア比を変更する等の煩雑な機械的調整を不要として迅速な対応が可能となり、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係わる施肥播種機をトラクタの後部に装着した状態の斜視図である。
【図2】施肥播種機の全体構成を示す左側面図である。
【図3】繰出駆動部の左側面図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】接地式移動速度検知装置の左側面図である。
【図6】同じく平面図である。
【図7】接地センサの動作状況を示す取付フレーム・接地輪アーム間の接続部周辺の左側面図であって、(a)は接地輪が接地状態の接続部周辺の左側面図、(b)は接地輪が離間状態の接続部周辺の左側面図である。
【図8】制御ボックスの平面図である。
【図9】供給制御機構を示すブロック図である。
【図10】供給制御手順を示すフローチャートである。
【図11】土壌消毒機をトラクタの後部に装着した状態の斜視図である。
【図12】土壌消毒機の供給制御機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に関わる供給制御機構1を有する施肥播種機2の全体構成について、図1、図2により説明する。なお、以下の説明では、図1の矢印Aの方向を前方向と定めるが、該方向は施肥播種機2の機体の進行方向と一致するものとする。
【0009】
図示せぬ走行車両であるトラクタの後部に、ロータリ耕耘装置3が昇降自在に装着され、該ロータリ耕耘装置3のデプスフレーム4後部の左右略中央部に、高さ及び角度を調節するヒッチユニット30が取り付けられ、該ヒッチユニット30の後部にツールバー31が横設されている。そして、該ツールバー31に、前記施肥播種機2を構成する複数の施肥播種ユニット5、本実施例では4ユニットが連結して牽引されるようにしている。
【0010】
該施肥播種ユニット5は、種子ホッパ6、種子繰出装置7、肥料ホッパ8、肥料繰出装置9、固定フレーム10、メインフレーム11、作溝部12L・12R、覆土ディスク13L・13R、鎮圧ローラ14等で構成される。
【0011】
このうちの種子ホッパ6は、種子を貯溜する容器であり、上面および下面に開口部が設けられ、種子ホッパ6の上面の開口部には蓋6aが設けられ、該蓋6aを開けて種子を種子ホッパ6内に補充するようにしている。
【0012】
前記種子繰出装置7は、種子ホッパ6内の種子を所定量ずつ繰り出すものであり、前記種子ホッパ6の下部に配置される。自重により前記種子ホッパ6の下面の開口部から種子繰出装置7内に流入してきた種子は、該種子繰出装置7内のスライド式の繰出ロール15の外周面に設けられた溝に嵌入し、該繰出ロール15の回転によって種子繰出装置7の下部に搬送されて、種子繰出装置7の下面の開口部から下方に繰り出される。
【0013】
この繰り出された種子は、上部が前記種子繰出装置7の下面に連通連結された上方拡開漏斗状のロート16内に繰り出された後、胴体部が蛇腹状に形成された略円筒形状の防水カバー17から、貫設されたピン93によって前記メインフレーム11の上面後部に固設された上方拡開漏斗状のロートシュート18内に落下し、該ロートシュート18の下部に連通された二股状の分岐シュート19によって分岐される。分岐された種子は、前記分岐シュート19の左右の分岐部に接続された左右の搬送管20L・20Rから、該搬送管20L・20Rにそれぞれ接続された左右の播種ノズル21L・21Rを通って、前記作溝部12L・12Rに搬送される。
【0014】
前記肥料ホッパ8は、肥料を貯溜する容器であり、上面および下面に開口部が設けられ、肥料ホッパ8の上面の開口部には蓋8aが設けられ、該蓋4aを開けて肥料を肥料ホッパ8内に補充するようにしている。
【0015】
前記肥料繰出装置9は、肥料ホッパ8内の肥料を所定量ずつ繰り出すものであり、肥料ホッパ8の下部に配置される。自重により肥料ホッパ8の下面の開口部から肥料繰出装置9内に流入してきた肥料は、該肥料繰出装置9内のスライド式の繰出ロール22の外周面に設けられた溝に嵌入し、該繰出ロール22の回転により肥料繰出装置9の下部に搬送され、肥料繰出装置9の下面の開口部から下方に繰り出される。
【0016】
この繰り出された肥料は、上部が前記肥料繰出装置9の下面に連通連結された上方拡開漏斗状のロート23内に繰り出された後、胴体部が蛇腹状に形成された略円筒形状の防水カバー24から、貫設されたピン27によって前記メインフレーム11の上面前部に固設された上方拡開漏斗状のロートシュート25内に落下する。落下した肥料は、前記ロートシュート25の下部に接続された搬送管26を通って、前記作溝部12L・12Rに搬送される。
【0017】
そして、前記種子ホッパ6は、肥料ホッパ8の後部に係止部材6c・6cによって着脱可能に固設されると共に、種子繰出装置7は肥料繰出装置9の後部に着脱可能に固定されている。更に、種子繰出装置7の繰出ロール15の回転軸7aに設けられたギヤ28は、肥料繰出装置9の繰出ロール22の回転軸9aに設けられたギア29に噛合されると共に、該回転軸9aは、後述する前記供給制御機構1によって回転駆動されるようにしている。これにより、種子繰出装置7の繰出ロール15と肥料繰出装置9の繰出ロール22とは所定の回転数比を保って回転可能に構成されている。
【0018】
前記固定フレーム10には、前記肥料繰出装置9の前面がボルトで締結されると共に、固定フレーム10の前上部に回動可能に設けられた係止部材10a・10bによって、各施肥播種ユニット5が前記ツールバー31に固定されている。
【0019】
前記メインフレーム11は、中空の箱形に成形された構造体であって、このメインフレーム11の前部には、平行リンク32・33の後端部が回動可能に枢支され、該平行リンク32・33の前端部は、前記固定フレーム10の下部に回動可能に枢支されている。この平行リンク32のメインフレーム11側の回動枢支点と、平行リンク33の固定フレーム10側の回動枢支点との間には、巻きバネ34が介装されており、該巻きバネ34によってメインフレーム11は下方に回動する方向に付勢されている。
【0020】
前記鎮圧ローラ14は、各施肥播種ユニット5の最後部に配置されると共に、前記メインフレーム11から後方に延設された支持アーム35の後端部に、回転可能に軸支されている。ここで、前記種子繰出装置7から前述のようにして搬送されてきた種子は、前記作溝部12L・12Rに形成された播種溝に投下され、その上を前記覆土ディスク13L・13Rによって覆土され、その後を、この鎮圧ローラ14によって鎮圧される。
【0021】
前記作溝部12Lは、主に作溝ディスク36Lと補助ディスク37Lとから成るものであり、このうちの作溝ディスク36Lは、圃場表面に播種溝を形成するための略円盤形状の部材であり、補助ディスク37Lは、作溝ディスク36Lによる播種溝の形成を補助する機能と、播種溝の外部に排出された直後の土が再び播種溝に落下して来ないように遮断する機能とを兼ねる略円盤形状の部材である。前記作溝部12Rも、同様に、作溝ディスク36Rと補助ディスク37Rとから成り、このうちの作溝ディスク36Rは、圃場表面に播種溝を形成するための略円盤形状の部材であり、補助ディスク37Rは、作溝ディスク36Rによる播種溝の形成を補助する機能と、播種溝の外部に排出された直後の土が再び播種溝に落下して来ないように遮断する機能とを兼ねる略円盤形状の部材である。
【0022】
そして、このうちの作溝ディスク36Lと補助ディスク37Lとで挟まれた空間に前記播種ノズル21Lが配置されると共に、作溝ディスク36Rと補助ディスク37Rとで挟まれた空間に前記播種ノズル21Rが配置されており、前記種子繰出装置7から繰り出された種子を分岐シュート19にて分岐した後、各作溝部12L・12Rに搬送して左右一対の播種用の溝に投下することができる。
【0023】
同様に、前記補助ディスク37Lと補助ディスク37Rとで挟まれた空間に前記搬送管26の下端の開口部が配置されており、前記肥料繰出装置9から繰り出された肥料を一対の補助ディスク37L・37Rの間に投下することができ、該補助ディスク37L・37Rが壁となって肥料が播種溝に落下することを防ぎ、種子の肥料障害を防止できるようにしている。
【0024】
なお、これら作溝ディスク36L・36Rと補助ディスク37L・37Rは、支持アーム39の下端部に取り付けられ、該支持アーム39の上端部は、前記メインフレーム11の前端部に設けられた取付部11aに上下摺動可能に貫装されており、係止ボルト38によって、所望の高さでメインフレーム11に固定できるようにしている。これにより、作溝部12L・12Rによって形成される一対の播種溝の深さを、所望の深さに調整することができる。
【0025】
更に、前記支持アーム39の前面の上下中途部からは、左右のスクレーパ40L・40Rがそれぞれ後方に延出され、該スクレーパ40L・40Rの後端は、それぞれ前記作溝ディスク36L・36Rの外側面後部に付勢された状態で当接されており、このスクレーパ40L・40Rによって、作溝ディスク36L・36Rの外側面に付着した土等を剥離除去するようにしている。
【0026】
次に、このような施肥播種機2の供給制御機構1について、図1、図2乃至図9により説明する。
該供給制御機構1は、前記肥料繰出装置9における繰出ロール22の回転軸9aを回転駆動する繰出駆動部41、施肥播種機2の施肥播種ユニット5の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置42、及び該接地式移動速度検知装置42からの移動速度信号等に基づいて前記繰出ロール22の回転速度を施肥播種ユニット5の移動速度に同調させる制御部43等から構成されている。
【0027】
図1、図3、図4に示すように、前記繰出駆動部41においては、最左端の施肥播種ユニット5から左方に延出されたツールバー31上に、駆動プレート44の前後中央下部の係合凹部44aが直交するようにして嵌合固定され、該駆動プレート44の左側面には、前から順に、駆動軸45、中間軸46、従動軸47が、前後回動可能に左方に突設されている。このうちの駆動軸45上には、小径の駆動スプロケット45aが外嵌固定され、前記中間軸46上には、内から順に、大径の第一中間スプロケット46aと小径の第二中間スプロケット46bが外嵌固定され、更に、前記従動軸47上には、前記第二中間スプロケット46bと略同径の従動スプロケット47aが外嵌固定されている。そして、このうちの駆動スプロケット45aと第一中間スプロケット46aとの間には第一チェーン50が巻回され、第二中間スプロケット46bと従動スプロケット47aとの間には第二チェーン51が巻回されている。
【0028】
前記駆動軸45には、駆動プレート44の右側面に固設された繰出モータ52のモータ軸52aが挿嵌されると共に、前記従動軸47には、前記肥料繰出装置9を前述のように作動させるための回転軸9aが挿嵌されている。これにより、前記繰出モータ52が駆動すると、モータ動力は、小径の前記駆動スプロケット45aから、第一チェーン50、大径の第一中間スプロケット46aを介して中間軸46に減速伝達された後、同じ中間軸46上の第二中間スプロケット46bから、第二チェーン51、従動スプロケット47aを介して従動軸47に入力され、該従動軸47と一体的に前記回転軸9aが回転駆動される。すると、前記肥料繰出装置9の繰出ロール22が回転すると共に、前述したように、ギア29・ギア28を介して種子繰出装置7の繰出ロール15も回転し、施肥播種機2の種子繰出装置7と肥料繰出装置9とが、同時に作動される。
【0029】
更に、前記中間軸46には、駆動プレート44の右側面に固設された繰出モータ回転速度センサ53のセンサ軸53aが挿嵌されており、前記繰出モータ52の回転速度を間接的に検知できるようにしている。なお、前記中間軸46と従動軸47は、それぞれ、前記駆動プレート44に平行に固設された第一軸支フレーム48と第二軸支フレーム49によって両持ち支持されており、支持強度を高めて、前記第一チェーン50・第二チェーン51の緩みによる騒音や動力伝達効率の低下などを防止することができる。また、駆動ケースカバー54が駆動プレート44の左側面に覆設されており、該駆動ケースカバー54により、繰出駆動部41の内部に泥や塵挨が侵入して前記スプロケット45a・46a・46b・47aやチェーン50・51が損傷するのを確実に防止することができる。
【0030】
また、図1、図5乃至図7に示すように、前記接地式移動速度検知装置42においては、前記繰出駆動部41よりも更に左方のツールバー31に取付フレーム55が連結されている。該取付フレーム55においては、側面断面視コ字状の係止部56が、前記ツールバー31に後方より嵌合されてボルト57によって締結固定され、該係止部56の後面に、側面断面視で後方に開いたコ字状の軸支持部58の前面が固設されている。そして、該軸支持部58には、上下方向に貫通する揺動軸部59が水平揺動自在に連結され、該揺動軸部59の下端に、正面視門型の吊設フレーム部60の上板60bが固設され、該吊設フレーム部60内を左右貫通するようにして、支持ピン61が割りピン62によって抜け止めされている。
【0031】
該支持ピン61には、接地輪アーム63の前端部が上下揺動自在に吊設され、該接地輪アーム63の二股状の後端部の右側面に、支持プレート64が固設され、該支持プレート64に、接地輪軸65が前後回動自在に軸支されている。そして、該接地輪軸65の左半部に、接地輪66がボルト67によって締結固設されると共に、該接地輪軸65の右端には、前記支持プレート64に取り付けられた接地輪回転速度センサ68の検出部が連動連結されており、該接地輪回転速度センサ68によって、前記接地輪66の回転速度を検知するようにしている。
【0032】
更に、前記接地輪アーム63の前端は、前記吊設フレーム部60の前端角部60aよりも前方に延出されており、接地輪アーム63が前記支持ピン61を中心にして後方に回転すると、該接地輪アーム63の前部上面63aが前記吊設フレーム部60の前端角部60aに当接し、接地輪アーム63が図5に示す位置70よりも後方には回転できないようにしている。これにより、接地輪アーム63の後端部に前記支持プレート64・接地輪軸65を介して軸支されている前記接地輪66も、下方への揺動が規制されることとなり、前記前端角部60aを、前記接地輪66の下方揺動限界規制を行う下限ストッパとして機能させることができる。
【0033】
前記吊設フレーム部60の左右の側板60c・60dのうち、長い方の右側板60dの下辺は前斜め上方に傾斜して形成され、その傾斜辺60eに沿うように接地センサ71が取り付けられている。該接地センサ71は、上辺が前記傾斜辺60eと平行にボルト75・75によって締結固定された矩形の支持板72と、該支持板72の下半部の左側面に固設されたボックス状のセンサ本体73と、該センサ本体73の上面に取り付けられた検知部74より構成される。
【0034】
該検知部74は、前記センサ本体73の上面に形成された段差部73bの段差部上面73cに前端が固設された板バネ74aと、該板バネ74aの後端より立設された支持アーム74bと、該支持アーム74bの上部に前後転動可能に支持された接触コロ74cより構成され、該接触コロ74cが上方に付勢されるように、前記板バネ74aは上方凹状に湾曲形成されている。
【0035】
更に、該板バネ74aの下面に対向して、検知板73aが前記センサ本体73の段差部下面73d上に配設されている。そして、前記接地輪アーム63の前部上面63aが前記吊設フレーム部60の前端角部60aに当接して接地輪66が下限に到達すると、図7(b)に示すように、前記接地輪アーム63によって、板バネ74aが接触コロ74cを介して押し下げられ、該板バネ74aの下面が前記検知板73aと接触するように、該検知板73aは配置されている。
【0036】
これにより、施肥播種機2が接地輪66を圃場の路面に接地させた状態(以下、「接地状態」とする)で移動する間は、該路面から接地輪66は上方に押し上げられるため、図7(a)に示すように、接地輪アーム63が位置69にあり、該接地輪アーム63の下面が接触コロ74cから離間した状態にあるか、あるいは、たとえ接地輪アーム63の下面が接触コロ74cと接触しても、前記板バネ74aが検知板73aと接触するまで接触コロ74cが押し下げられることはない。これに対し、走行車両旋回時に施肥播種機2全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪いために接地輪66がバウンドしたりして、接地輪66が路面から大きく離間した状態(以下、「離間状態」とする)にあると、前述の如く、接地輪アーム63の下面によって、板バネ74aが検知板73aと接触するまで接触コロ74cが押し下げられる。つまり、接地輪66の接地状態と離間状態を、それぞれ、板バネ74a・検知板73a間の非接触状態と接触状態によって判断することができる。なお、前記接地センサ71を構成する支持板72、センサ本体73、及び検知部74は、接地輪アーム63の方に設置してもよく、その設置位置は特には限定されない。更に、接地センサ71の種類についても、本実施例のような接触式ではなく光学スイッチ等による非接触式のものであってもよく、接地輪66の接地の有無を検知可能なものであれば、その種類は特には限定されない。
【0037】
また、図1、図8、図9に示すように、前記制御部43においては、走行車両の運転席等の近傍に、前記繰出駆動部41の繰出モータ52の制御を行う制御ボックス77が配置され、該制御ボックス77にはコントローラ76が収容されており、該コントローラ76は、前記繰出モータ52に駆動電力を供給するバッテリ78、前記繰出駆動部41における繰出モータ52と繰出モータ回転速度センサ53、及び前記接地式移動速度検知装置42における接地輪回転速度センサ68と接地センサ71とに、それぞれリード線80a・80b・80c・80d・80eを介して接続されている。更に、前記コントローラ76には、予め設定された基準供給量、後述する手動調整ダイヤル79により選択する各目盛に対応する回転速度値、本発明に関わる制御プログラム等を記憶するための記憶部76aが備えられている。ここで、施肥播種機2の基準供給量とは、単位面積当たりに散布する種子・肥料の量を基にして算出される、単位移動長当たりの散布量であって、後述するように、基準同調制御では、該基準供給量が得られるように、繰出モータ52の回転速度が施肥播種機2の移動速度に応じて制御される。
【0038】
前記制御ボックス77には、上面略中央に前記手動調整ダイヤル79が配置され、該手動調整ダイヤル79の左方には、後述するような自動変速モードと手動変速モードを切り替える変速モードスイッチ81が配置され、該変速モードスイッチ81と前記手動調整ダイヤル79は、いずれも前記コントローラ76に接続されている。そして、該手動調整ダイヤル79の右方には、前記バッテリ78からの駆動電力による供給制御機構1の動作の入切を行う電源スイッチ82が配置され、該電源スイッチ82の前方には、左から順に、繰出モータ52が作動中に点灯するモータランプ83、前記繰出駆動部41や繰出装置7・9における噛み込み等によって繰出モータ52に過負荷がかかった場合に警告する過負荷ランプ84、前記電源スイッチ82の入切状態を表示する電源ランプ85が配置されている。
【0039】
次に、以上のような構成から成る供給制御機構1による繰出モータ52の供給制御手順について、図8乃至図10により説明する。
前記手動調整ダイヤル79を調整して電源スイッチ82を入れると、変速モードスイッチ81からの変速モード信号、手動調整ダイヤル79からのダイヤル設定信号、繰出モータ回転速度センサ53からの繰出モータ回転速度信号、接地輪回転速度センサ68からの移動速度信号、及び接地センサ71からの接地信号が、前記コントローラ76に読み込まれる(ステップS1)。
【0040】
そして、変速モード信号に基づいて、自動変速モードか否かが判断される(ステップS2)。変速モードスイッチ81が図8で下側に傾倒されて手動変速モードに設定されている場合は(ステップS2、NO)、前記ダイヤル設定信号に基づいて繰出モータ52に駆動信号が送信され、前記手動調整ダイヤル79で選択した回転速度値、本実施例では、モータ駆動停止状態の0から最高速の10までの11段の目盛の中から選択した目盛に対応する回転速度値に変速される(ステップS7)。該手動変速モードでは、接地輪66が接地状態・離間状態のいずれの状態であっても、前記繰出モータ52を停止または変速させることができ、施肥播種機2を停止した上でメンテナンスする場合や、圃場の路面状況が悪くて接地輪66による移動速度の検知精度が低い場合等に、種子や肥料を適した供給量となるように、繰出モータ52を自在に停止または変速できるようにしている。
【0041】
変速モードスイッチ81が図8で上側に傾倒されて自動変速モードに設定されている場合は(ステップS2、YES)、前記接地信号に基づいて、接地輪66が接地状態にあるか否かが判断される(ステップS3)。接地状態ではなく離間状態の場合は(ステップS3、NO)、繰出モータ52には駆動信号が送信されずに駆動が停止する(ステップS6)。
【0042】
接地状態の場合は(ステップS3、YES)、前記ダイヤル設定信号に基づいて、記憶部76aに記憶された基準供給量に対する補正率が0%か否かが判断される(ステップS4)。補正率が0%、つまり供給量が記憶部76aに記憶している基準供給量と同一の場合には(ステップS4、YES)、基準同調制御が行われる(ステップS5)。該基準同調制御では、前記移動速度信号に基づいて、基準供給量が得られる回転速度値が算出され、該回転速度値に基づいて、駆動信号が前記繰出モータ52に送信される。該駆動信号は、前記繰出モータ回転速度センサ53からの繰出モータ回転速度信号によるフィードバックを受ける。
【0043】
補正率が0%でない場合は(ステップS4、NO)、補正同調制御が行われる(ステップS6)。該補正同調制御では、前記ダイヤル設定信号に基づいて補正率、本実施例では−30%から+30%までの60%の範囲内で0%を除く補正率に設定することができ、該補正率を前記基準供給量に乗じた補正量を基準供給量に加減した供給量(以下、「補正供給量」とする)が算出される。更に、前記繰出モータ回転速度信号と移動速度信号に基づいて、この補正供給量が得られる回転速度値が算出され、該回転速度値に対応する駆動信号が前記繰出モータ52に送信されるようにしている。
【0044】
すなわち、以上のように、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機である施肥播種機2の供給装置である種子繰出装置7と肥料繰出装置9を作動するための供給アクチュエータである繰出モータ52と、圃場に移動速度検知部としての接地輪66を接地させて前記施肥播種機2の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置42と、該接地式移動速度検知装置42からの移動速度信号に基づいて前記繰出モータ52に駆動信号を送信する制御手段であるコントローラ76とを備え、該コントローラ76により、予め設定された基準供給量となるように、前記繰出モータ52の作動速度である回転速度を施肥播種機2の移動速度と自動同調させる、施肥播種機2の供給制御機構1において、前記接地式移動速度検知装置42には、前記接地輪66の接地の有無を検知する接地検知手段である接地センサ71を設け、該接地センサ71からの接地信号に基づいて、前記接地輪66が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたので、接地式移動速度検知装置42の接地輪66が接地している場合にのみ繰出モータ52を駆動させることができ、走行車両旋回時に施肥播種機2全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪くて接地輪66がバウンドしたりして、路面から大きく離間することにより、接地輪66がそれまでの慣性力によって無負荷で高速空転する場合であっても、繰出モータ52の作動を停止して、種子や肥料の圃場への過剰な供給を確実に防止することができる。
【0045】
更に、前記接地式移動速度検知装置42は、前記移動速度検知部としての接地輪66と、該接地輪66を転動可能に軸支する接地輪アーム63と、該接地輪アーム63を前記走行車両に取り付ける取付フレーム55とを備え、該取付フレーム55に前記接地輪アーム63を上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレーム55には前記接地輪66の下方揺動限界規制を行う下限ストッパである前端角部60aを設け、該前端角部60aへの前記接地輪アーム63の到達を前記接地センサ71によって検知するので、前記接地センサ71を簡単な構成で形成することができ、装置コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0046】
加えて、前記供給制御機構1には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段である手動調整ダイヤル79を備えるので、圃場内の路面状況や供給物の種類・性状等に応じて、基準供給量を適正な値に容易に微調整することができ、ギア比を変更する等の煩雑な機械的調整を不要として迅速な対応が可能となり、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0047】
次に、土壌消毒機101に設けた供給制御機構1Aについて、図11、図12により説明する。ただし、以下の説明では、図11、図12の矢印Bの方向を前方向と定め、該前方向を基準にして左右を定義するものである。
まず、該土壌消毒機101の全体構成について説明する。なお、本実施例の土壌消毒機101も、前記施肥播種機2と同様に、トラクタ等の走行車両の後部に装着して牽引されるが、走行車両の前部にポンプやタンクを装着するタイプでもよく、装着位置や移動形式は特に限定されるものではない。
【0048】
走行車両のトップリンクとロアリンクが、土壌消毒機101の本体前部のトップリンクマスト103に装着され、該トップリンクマスト103の左右両側にはサブソイラ104L・104Rが配置され、該サブソイラ104L・104Rは、走行車両のタイヤの通過位置を通るように構成している。
【0049】
前記サブソイラ104L・104Rの後部には、後方に開いた平面視コ字状のメインフレーム105が配置され、該メインフレーム105には複数の薬液注入爪106・106・・・が配置されている。そして、該薬液注入爪106・106・・・の後部には、薬液の供給装置である第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108とから成る複数のポンプユニット100が機体左右方向に複数組、本実施例では三組配置されている。
【0050】
該各ポンプユニット100には、ポンプ駆動部86が配置され、これら第一薬液ポンプ107、第二薬液ポンプ108、及びポンプ駆動部86は、前記メインフレーム105に連結されたツールバー110上に配設されると共に、該ツールバー110の前面に固設された連結フレーム91によって、前記第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108の前面が締結支持されている。
【0051】
該第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108は、薬液を間欠的に吸入し吐出するダイヤフラムポンプ等の間欠駆動ポンプであって、位相差をもって薬液の吸入と吐出を繰り返すことにより、薬液を圃場に間欠的に吐出することができる。この薬液を吐出する際の距離間隔は予め設定されて(以下、「基準吐出ピッチ」とする。)、前記記憶部76aに記憶されており、該基準吐出ピッチと基準供給量に基づいて、一回当たりに吐出すべき薬液の吐出量(以下、「基準吐出量」とする。)が算出される。そして、該基準吐出量と一致するように、各薬液ポンプ107・108の後部に設けられた吐出調整ダイヤル130・131により、吐出量が調整される。ここで、土壌消毒機101の基準供給量とは、単位面積当たりに吐出する薬液の量を基にして算出される、単位移動長当たりの吐出量であって、後述するように、基準同調制御では、該基準供給量が得られるように、ポンプ駆動モータ89の回転速度が土壌消毒機101の移動速度に応じて制御される。
【0052】
前記メインフレーム105の上方には、薬液タンク112を載置するタンク載置台111・111が配置され、該左右のタンク載置台111・111の間には、前記メインフレーム105の後部に立設されたポール113の上端に固定された取付プレート114が配置され、該取付プレート114には複数の薬液流確認計115が取り付けられている。
【0053】
これにより、前記第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108がポンプ駆動部86によって駆動されると、薬液タンク112から、ホース129、薬液流確認計115を介して、薬液が図示せぬ吸入弁から各薬液ポンプ107・108のポンプ室内に吸入され、その後、薬液は、吐出弁から図示せぬホースを通って前記薬液注入爪106・106・・・に供給され、該薬液注入爪106・106・・・に設けたノズルを通って土壌内に注入される。
【0054】
前記第一薬液ポンプ107、第二薬液ポンプ108の後部には土壌均平板116が配置され、該土壌均平板116は、前記メインフレーム105の左右端部から後方に突設されると共に、前後フレーム117・117に支持されており、該前後フレーム117・117上の支持部118を介して前後方向に摺動可能に構成されている。
【0055】
該土壌均平板116の左右側方位置には、溝切りディスク120・120が配置されており、該溝切りディスク120・120は、前記前後フレーム117・117後端部の折り畳み部121・121に枢支されるL字型の支持フレーム122・122に支持されている。該支持フレーム122・122には、マルチフィルムを巻いた状態のフィルム筒124が架設支持され、該フィルム筒124は、前記溝切りディスク120の後方位置に配置されている。
【0056】
該フィルム筒124の後部には、フィルム押圧輪125・125と覆土ディスク126・126が配置され、該フィルム押圧輪125・125と覆土ディスク126・126は、前記支持フレーム122の後端部に枢支される解除支持フレーム127に支持されている。該解除支持フレーム127は、バネ128の付勢力によって上方へ回動解除可能に構成されており、作業終了後は、上方へ回動して収納位置に維持されるようにしている。
【0057】
このような土壌消毒機101において、消毒作業時には、前記サブソイラ104L・104Rにより走行車両のタイヤの軌跡を消した後、前述のようにして、薬液注入爪106・106・・・により薬液を土壌内に注入し、その後、土壌均平板116により土壌表面を均平にする。そして、溝切りディスク120・120により土壌に溝を設け、該溝にフィルム筒124のマルチフィルムの左右の端部をフィルム押圧輪125により押圧した状態で、覆土ディスク126にて覆土するようにして、マルチフィルムが風で飛ぶことのないように押さえ、消毒力の強い薬液が気化してマルチフィルムの下に滞留し、土壌内を完全に消毒できるようにしている。なお、供給制御機構1Aを設ける土壌消毒機としては、このようなマルチフィルムタイプでなくともよく、特には限定されない。
【0058】
以上のような構成から成る土壌消毒機101の供給制御機構1Aは、第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108の共通のポンプ軸87を回転駆動するポンプ駆動部86と、前述した接地式移動速度検知装置42と制御部43等から構成されている。
【0059】
前記ポンプ駆動部86においては、前記連結フレーム91の途中部にはモータカバー88が固設され、該モータカバー88内にポンプ駆動モータ89が収容され、該ポンプ駆動モータ89の図示せぬモータ軸が前記ポンプ軸87の右端に連結されている。一方、前記連結フレーム91の左部後面から後方に固定プレート90が突設され、該固定プレート90の左側面に駆動モータ回転速度センサ92が固設され、該駆動モータ回転速度センサ92のセンサ軸92aが前記ポンプ軸87の左端に挿嵌されている。これにより、前記ポンプ駆動モータ89が駆動すると、モータ動力によってポンプ軸87が回転駆動されて、第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108が作動すると共に、前記ポンプ駆動モータ89の回転速度を直接的に検知できるようにしている。
【0060】
本実施例の接地式移動速度検知装置42においては、前記供給制御機構1と同様に、前記ツールバー110の左端部にボルト57によって取付フレーム55が締結固定され、該取付フレーム55の支持ピン61に、接地輪アーム63の前端部が上下揺動自在に吊設され、該接地輪アーム63の二股状の後端部に、支持プレート64を介して接地輪66が前後回動自在に軸支されている。そして、該支持プレート64に設けた接地輪回転速度センサ68と、前記取付フレーム55に設けた接地センサ71とにより、接地輪66の回転速度と接地の有無を検知できるようにしている。
【0061】
本実施例の制御部43には、前記供給制御機構1と同様に、走行車両の運転席等の近傍に、前記ポンプ駆動部86のポンプ駆動モータ89の制御を行う制御ボックス77が配置され、該制御ボックス77に前記コントローラ76が収容されており、該コントローラ76は、前記ポンプ駆動モータ89に駆動電力を供給するバッテリ78、前記ポンプ駆動部86におけるポンプ駆動モータ89と駆動モータ回転速度センサ92、前記接地式移動速度検知装置42における接地輪回転速度センサ68と接地センサ71、及び前記制御ボックス77における手動調整ダイヤル79と変速モードスイッチ81に接続されている。
【0062】
このような構成の供給制御機構1Aを設けることにより、土壌消毒機101においても、前記変速モードスイッチ81の傾倒操作と手動調整ダイヤル79の回転操作によりコントローラ76に読み込まれる変速モード信号・ダイヤル設定信号、駆動モータ回転速度センサ92からの駆動モータ回転速度信号、接地輪回転速度センサ68からの移動速度信号、及び接地センサ71からの接地信号に基づいて、前記供給制御機構1と同様に、自動変速モードでは、接地輪66が接地状態にある場合にのみポンプ駆動モータ89を駆動させ、基準同調制御または補正同調制御が行える制御構成としている。
【0063】
そして、このうちの基準同調制御では、前記移動速度信号基づいて、基準吐出ピッチが得られる回転速度値が算出され、該回転速度値に基づいて、駆動信号が前記ポンプ駆動モータ89に送信される。これにより、土壌消毒機101の移動速度にかかわらず、基準吐出ピッチで薬液を圃場に供給することができ、該基準吐出ピッチと、前述のように設定した基準吐出量とから、基準供給量を得ることができる。
【0064】
なお、以上述べたような供給制御機構1・1Aを設ける作業機としては、前記施肥播種機2や土壌消毒機101ではなく、施肥作業のみを行う施肥機、播種作業のみを行う播種機、あるいは粉粒体散布機であってもよく、その種類や構成は特には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、全ての作業機の供給制御機構に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 供給制御機構
2 施肥播種機(作業機)
7 種子繰出装置(供給装置)
9 肥料繰出装置(供給装置)
42 接地式移動速度検知装置
53 繰出モータ(供給アクチュエータ)
55 取付フレーム
60a 前端角部(下限ストッパ)
63 接地輪アーム
66 接地輪(移動速度検知部)
71 接地センサ(接地検知手段)
76 コントローラ(制御手段)
79 手動調整ダイヤル(手動調整手段)
89 ポンプ駆動モータ(供給アクチュエータ)
107 第一薬液ポンプ(供給装置)
108 第二薬液ポンプ(供給装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行車両によって移動されながら作業する施肥播種機や土壌消毒機等の作業機に搭載した、繰出装置や液体ポンプユニット等の供給装置に関し、特に、走行車両旋回時や圃場状況が悪い場合に、たとえ接地輪等の移動速度検知部が空転しても、種子、肥料、薬液等の供給物が過剰に供給されることなく、作業車両の走行速度にかかわらず設定通りの供給を実現可能な、供給装置の供給制御機構にする。
【背景技術】
【0002】
従来より、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する施肥播種機等の作業機において、繰出装置等の供給装置を作動する供給アクチュエータとして供給モータを設け、該供給モータの回転速度を作業機の移動速度と自動同調させ、これにより、作業機の単位移動長当たりに供給される供給物の量(以下、「供給量」とする。)を移動速度にかかわらず一定にして、均一な供給作業を可能とする技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。この際の作業機の移動速度は、超音波等による非接触式移動速度検知装置、作業車両の走行速度を直接検知する作業車両走行速度検知装置、あるいは接地輪の回転速度による接地式移動速度検知装置等からの移動速度に関する検知信号(以下、「移動速度信号」とする。)に基づいて検知されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−265007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した各種速度検知装置のうち、構造が簡単で精度も高いことから、接地輪等を使った接地式移動速度検知装置が多用されているが、走行車両旋回時に作業機全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪いために接地輪がバウンドしたりして、路面から大きく離間すると、接地輪がそれまでの慣性力によって無負荷で高速空転するため、コントローラは作業機が高速移動中であると誤って判断して供給モータも高速回転し、供給物の圃場への供給量が過剰となる、という問題があった。
更に、圃場内の路面状況が場所によって大きく異なるとスリップ等により接地輪の回転速度も著しくばらつくため、供給物の圃場への供給量が不均一となる、という問題があった。また、供給物の種類・性状等が異なると供給モータの回転速度も適正化する必要があるが、それには供給装置のギア比を変更する等の機械的調整を要するため、部品コストの増加やメンテナンス性の低下を招く、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、作業機の供給制御機構において、前記接地式移動速度検知装置には、前記移動速度検知部の接地の有無を検知する接地検知手段を設け、該接地検知手段からの接地信号に基づいて、前記移動速度検知部が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたものである。
請求項2においては、前記接地式移動速度検知装置は、前記移動速度検知部としての接地輪と、該接地輪を転動可能に軸支する接地輪アームと、該接地輪アームを前記走行車両に取り付ける取付フレームとを備え、該取付フレームに前記接地輪アームを上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレームには前記接地輪の下方揺動限界規制を行う下限ストッパを設け、該下限ストッパへの前記接地輪アームの到達を前記接地検知手段によって検知するものである。
請求項3においては、前記供給制御機構には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、作業機の供給制御機構において、前記接地式移動速度検知装置には、前記移動速度検知部の接地の有無を検知する接地検知手段を設け、該接地検知手段からの接地信号に基づいて、前記移動速度検知部が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたので、接地式移動速度検知装置の移動速度検知部が接地している場合にのみ供給アクチュエータを駆動させることができ、走行車両旋回時に作業機全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪くて移動速度検知部がバウンドしたりして、路面から大きく離間することにより、移動速度検知部がそれまでの慣性力によって無負荷で高速空転する場合であっても、供給アクチュエータの作動を停止して、供給物の圃場への過剰な供給を確実に防止することができる。
請求項2においては、前記接地式移動速度検知装置は、前記移動速度検知部としての接地輪と、該接地輪を転動可能に軸支する接地輪アームと、該接地輪アームを前記走行車両に取り付ける取付フレームとを備え、該取付フレームに前記接地輪アームを上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレームには前記接地輪の下方揺動限界規制を行う下限ストッパを設け、該下限ストッパへの前記接地輪アームの到達を前記接地検知手段によって検知するので、前記接地検知手段を簡単な構成で形成することができ、装置コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項3においては、前記供給制御機構には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段を備えるので、圃場内の路面状況や供給物の種類・性状等に応じて、基準供給量を適正な値に容易に微調整することができ、ギア比を変更する等の煩雑な機械的調整を不要として迅速な対応が可能となり、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係わる施肥播種機をトラクタの後部に装着した状態の斜視図である。
【図2】施肥播種機の全体構成を示す左側面図である。
【図3】繰出駆動部の左側面図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】接地式移動速度検知装置の左側面図である。
【図6】同じく平面図である。
【図7】接地センサの動作状況を示す取付フレーム・接地輪アーム間の接続部周辺の左側面図であって、(a)は接地輪が接地状態の接続部周辺の左側面図、(b)は接地輪が離間状態の接続部周辺の左側面図である。
【図8】制御ボックスの平面図である。
【図9】供給制御機構を示すブロック図である。
【図10】供給制御手順を示すフローチャートである。
【図11】土壌消毒機をトラクタの後部に装着した状態の斜視図である。
【図12】土壌消毒機の供給制御機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に関わる供給制御機構1を有する施肥播種機2の全体構成について、図1、図2により説明する。なお、以下の説明では、図1の矢印Aの方向を前方向と定めるが、該方向は施肥播種機2の機体の進行方向と一致するものとする。
【0009】
図示せぬ走行車両であるトラクタの後部に、ロータリ耕耘装置3が昇降自在に装着され、該ロータリ耕耘装置3のデプスフレーム4後部の左右略中央部に、高さ及び角度を調節するヒッチユニット30が取り付けられ、該ヒッチユニット30の後部にツールバー31が横設されている。そして、該ツールバー31に、前記施肥播種機2を構成する複数の施肥播種ユニット5、本実施例では4ユニットが連結して牽引されるようにしている。
【0010】
該施肥播種ユニット5は、種子ホッパ6、種子繰出装置7、肥料ホッパ8、肥料繰出装置9、固定フレーム10、メインフレーム11、作溝部12L・12R、覆土ディスク13L・13R、鎮圧ローラ14等で構成される。
【0011】
このうちの種子ホッパ6は、種子を貯溜する容器であり、上面および下面に開口部が設けられ、種子ホッパ6の上面の開口部には蓋6aが設けられ、該蓋6aを開けて種子を種子ホッパ6内に補充するようにしている。
【0012】
前記種子繰出装置7は、種子ホッパ6内の種子を所定量ずつ繰り出すものであり、前記種子ホッパ6の下部に配置される。自重により前記種子ホッパ6の下面の開口部から種子繰出装置7内に流入してきた種子は、該種子繰出装置7内のスライド式の繰出ロール15の外周面に設けられた溝に嵌入し、該繰出ロール15の回転によって種子繰出装置7の下部に搬送されて、種子繰出装置7の下面の開口部から下方に繰り出される。
【0013】
この繰り出された種子は、上部が前記種子繰出装置7の下面に連通連結された上方拡開漏斗状のロート16内に繰り出された後、胴体部が蛇腹状に形成された略円筒形状の防水カバー17から、貫設されたピン93によって前記メインフレーム11の上面後部に固設された上方拡開漏斗状のロートシュート18内に落下し、該ロートシュート18の下部に連通された二股状の分岐シュート19によって分岐される。分岐された種子は、前記分岐シュート19の左右の分岐部に接続された左右の搬送管20L・20Rから、該搬送管20L・20Rにそれぞれ接続された左右の播種ノズル21L・21Rを通って、前記作溝部12L・12Rに搬送される。
【0014】
前記肥料ホッパ8は、肥料を貯溜する容器であり、上面および下面に開口部が設けられ、肥料ホッパ8の上面の開口部には蓋8aが設けられ、該蓋4aを開けて肥料を肥料ホッパ8内に補充するようにしている。
【0015】
前記肥料繰出装置9は、肥料ホッパ8内の肥料を所定量ずつ繰り出すものであり、肥料ホッパ8の下部に配置される。自重により肥料ホッパ8の下面の開口部から肥料繰出装置9内に流入してきた肥料は、該肥料繰出装置9内のスライド式の繰出ロール22の外周面に設けられた溝に嵌入し、該繰出ロール22の回転により肥料繰出装置9の下部に搬送され、肥料繰出装置9の下面の開口部から下方に繰り出される。
【0016】
この繰り出された肥料は、上部が前記肥料繰出装置9の下面に連通連結された上方拡開漏斗状のロート23内に繰り出された後、胴体部が蛇腹状に形成された略円筒形状の防水カバー24から、貫設されたピン27によって前記メインフレーム11の上面前部に固設された上方拡開漏斗状のロートシュート25内に落下する。落下した肥料は、前記ロートシュート25の下部に接続された搬送管26を通って、前記作溝部12L・12Rに搬送される。
【0017】
そして、前記種子ホッパ6は、肥料ホッパ8の後部に係止部材6c・6cによって着脱可能に固設されると共に、種子繰出装置7は肥料繰出装置9の後部に着脱可能に固定されている。更に、種子繰出装置7の繰出ロール15の回転軸7aに設けられたギヤ28は、肥料繰出装置9の繰出ロール22の回転軸9aに設けられたギア29に噛合されると共に、該回転軸9aは、後述する前記供給制御機構1によって回転駆動されるようにしている。これにより、種子繰出装置7の繰出ロール15と肥料繰出装置9の繰出ロール22とは所定の回転数比を保って回転可能に構成されている。
【0018】
前記固定フレーム10には、前記肥料繰出装置9の前面がボルトで締結されると共に、固定フレーム10の前上部に回動可能に設けられた係止部材10a・10bによって、各施肥播種ユニット5が前記ツールバー31に固定されている。
【0019】
前記メインフレーム11は、中空の箱形に成形された構造体であって、このメインフレーム11の前部には、平行リンク32・33の後端部が回動可能に枢支され、該平行リンク32・33の前端部は、前記固定フレーム10の下部に回動可能に枢支されている。この平行リンク32のメインフレーム11側の回動枢支点と、平行リンク33の固定フレーム10側の回動枢支点との間には、巻きバネ34が介装されており、該巻きバネ34によってメインフレーム11は下方に回動する方向に付勢されている。
【0020】
前記鎮圧ローラ14は、各施肥播種ユニット5の最後部に配置されると共に、前記メインフレーム11から後方に延設された支持アーム35の後端部に、回転可能に軸支されている。ここで、前記種子繰出装置7から前述のようにして搬送されてきた種子は、前記作溝部12L・12Rに形成された播種溝に投下され、その上を前記覆土ディスク13L・13Rによって覆土され、その後を、この鎮圧ローラ14によって鎮圧される。
【0021】
前記作溝部12Lは、主に作溝ディスク36Lと補助ディスク37Lとから成るものであり、このうちの作溝ディスク36Lは、圃場表面に播種溝を形成するための略円盤形状の部材であり、補助ディスク37Lは、作溝ディスク36Lによる播種溝の形成を補助する機能と、播種溝の外部に排出された直後の土が再び播種溝に落下して来ないように遮断する機能とを兼ねる略円盤形状の部材である。前記作溝部12Rも、同様に、作溝ディスク36Rと補助ディスク37Rとから成り、このうちの作溝ディスク36Rは、圃場表面に播種溝を形成するための略円盤形状の部材であり、補助ディスク37Rは、作溝ディスク36Rによる播種溝の形成を補助する機能と、播種溝の外部に排出された直後の土が再び播種溝に落下して来ないように遮断する機能とを兼ねる略円盤形状の部材である。
【0022】
そして、このうちの作溝ディスク36Lと補助ディスク37Lとで挟まれた空間に前記播種ノズル21Lが配置されると共に、作溝ディスク36Rと補助ディスク37Rとで挟まれた空間に前記播種ノズル21Rが配置されており、前記種子繰出装置7から繰り出された種子を分岐シュート19にて分岐した後、各作溝部12L・12Rに搬送して左右一対の播種用の溝に投下することができる。
【0023】
同様に、前記補助ディスク37Lと補助ディスク37Rとで挟まれた空間に前記搬送管26の下端の開口部が配置されており、前記肥料繰出装置9から繰り出された肥料を一対の補助ディスク37L・37Rの間に投下することができ、該補助ディスク37L・37Rが壁となって肥料が播種溝に落下することを防ぎ、種子の肥料障害を防止できるようにしている。
【0024】
なお、これら作溝ディスク36L・36Rと補助ディスク37L・37Rは、支持アーム39の下端部に取り付けられ、該支持アーム39の上端部は、前記メインフレーム11の前端部に設けられた取付部11aに上下摺動可能に貫装されており、係止ボルト38によって、所望の高さでメインフレーム11に固定できるようにしている。これにより、作溝部12L・12Rによって形成される一対の播種溝の深さを、所望の深さに調整することができる。
【0025】
更に、前記支持アーム39の前面の上下中途部からは、左右のスクレーパ40L・40Rがそれぞれ後方に延出され、該スクレーパ40L・40Rの後端は、それぞれ前記作溝ディスク36L・36Rの外側面後部に付勢された状態で当接されており、このスクレーパ40L・40Rによって、作溝ディスク36L・36Rの外側面に付着した土等を剥離除去するようにしている。
【0026】
次に、このような施肥播種機2の供給制御機構1について、図1、図2乃至図9により説明する。
該供給制御機構1は、前記肥料繰出装置9における繰出ロール22の回転軸9aを回転駆動する繰出駆動部41、施肥播種機2の施肥播種ユニット5の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置42、及び該接地式移動速度検知装置42からの移動速度信号等に基づいて前記繰出ロール22の回転速度を施肥播種ユニット5の移動速度に同調させる制御部43等から構成されている。
【0027】
図1、図3、図4に示すように、前記繰出駆動部41においては、最左端の施肥播種ユニット5から左方に延出されたツールバー31上に、駆動プレート44の前後中央下部の係合凹部44aが直交するようにして嵌合固定され、該駆動プレート44の左側面には、前から順に、駆動軸45、中間軸46、従動軸47が、前後回動可能に左方に突設されている。このうちの駆動軸45上には、小径の駆動スプロケット45aが外嵌固定され、前記中間軸46上には、内から順に、大径の第一中間スプロケット46aと小径の第二中間スプロケット46bが外嵌固定され、更に、前記従動軸47上には、前記第二中間スプロケット46bと略同径の従動スプロケット47aが外嵌固定されている。そして、このうちの駆動スプロケット45aと第一中間スプロケット46aとの間には第一チェーン50が巻回され、第二中間スプロケット46bと従動スプロケット47aとの間には第二チェーン51が巻回されている。
【0028】
前記駆動軸45には、駆動プレート44の右側面に固設された繰出モータ52のモータ軸52aが挿嵌されると共に、前記従動軸47には、前記肥料繰出装置9を前述のように作動させるための回転軸9aが挿嵌されている。これにより、前記繰出モータ52が駆動すると、モータ動力は、小径の前記駆動スプロケット45aから、第一チェーン50、大径の第一中間スプロケット46aを介して中間軸46に減速伝達された後、同じ中間軸46上の第二中間スプロケット46bから、第二チェーン51、従動スプロケット47aを介して従動軸47に入力され、該従動軸47と一体的に前記回転軸9aが回転駆動される。すると、前記肥料繰出装置9の繰出ロール22が回転すると共に、前述したように、ギア29・ギア28を介して種子繰出装置7の繰出ロール15も回転し、施肥播種機2の種子繰出装置7と肥料繰出装置9とが、同時に作動される。
【0029】
更に、前記中間軸46には、駆動プレート44の右側面に固設された繰出モータ回転速度センサ53のセンサ軸53aが挿嵌されており、前記繰出モータ52の回転速度を間接的に検知できるようにしている。なお、前記中間軸46と従動軸47は、それぞれ、前記駆動プレート44に平行に固設された第一軸支フレーム48と第二軸支フレーム49によって両持ち支持されており、支持強度を高めて、前記第一チェーン50・第二チェーン51の緩みによる騒音や動力伝達効率の低下などを防止することができる。また、駆動ケースカバー54が駆動プレート44の左側面に覆設されており、該駆動ケースカバー54により、繰出駆動部41の内部に泥や塵挨が侵入して前記スプロケット45a・46a・46b・47aやチェーン50・51が損傷するのを確実に防止することができる。
【0030】
また、図1、図5乃至図7に示すように、前記接地式移動速度検知装置42においては、前記繰出駆動部41よりも更に左方のツールバー31に取付フレーム55が連結されている。該取付フレーム55においては、側面断面視コ字状の係止部56が、前記ツールバー31に後方より嵌合されてボルト57によって締結固定され、該係止部56の後面に、側面断面視で後方に開いたコ字状の軸支持部58の前面が固設されている。そして、該軸支持部58には、上下方向に貫通する揺動軸部59が水平揺動自在に連結され、該揺動軸部59の下端に、正面視門型の吊設フレーム部60の上板60bが固設され、該吊設フレーム部60内を左右貫通するようにして、支持ピン61が割りピン62によって抜け止めされている。
【0031】
該支持ピン61には、接地輪アーム63の前端部が上下揺動自在に吊設され、該接地輪アーム63の二股状の後端部の右側面に、支持プレート64が固設され、該支持プレート64に、接地輪軸65が前後回動自在に軸支されている。そして、該接地輪軸65の左半部に、接地輪66がボルト67によって締結固設されると共に、該接地輪軸65の右端には、前記支持プレート64に取り付けられた接地輪回転速度センサ68の検出部が連動連結されており、該接地輪回転速度センサ68によって、前記接地輪66の回転速度を検知するようにしている。
【0032】
更に、前記接地輪アーム63の前端は、前記吊設フレーム部60の前端角部60aよりも前方に延出されており、接地輪アーム63が前記支持ピン61を中心にして後方に回転すると、該接地輪アーム63の前部上面63aが前記吊設フレーム部60の前端角部60aに当接し、接地輪アーム63が図5に示す位置70よりも後方には回転できないようにしている。これにより、接地輪アーム63の後端部に前記支持プレート64・接地輪軸65を介して軸支されている前記接地輪66も、下方への揺動が規制されることとなり、前記前端角部60aを、前記接地輪66の下方揺動限界規制を行う下限ストッパとして機能させることができる。
【0033】
前記吊設フレーム部60の左右の側板60c・60dのうち、長い方の右側板60dの下辺は前斜め上方に傾斜して形成され、その傾斜辺60eに沿うように接地センサ71が取り付けられている。該接地センサ71は、上辺が前記傾斜辺60eと平行にボルト75・75によって締結固定された矩形の支持板72と、該支持板72の下半部の左側面に固設されたボックス状のセンサ本体73と、該センサ本体73の上面に取り付けられた検知部74より構成される。
【0034】
該検知部74は、前記センサ本体73の上面に形成された段差部73bの段差部上面73cに前端が固設された板バネ74aと、該板バネ74aの後端より立設された支持アーム74bと、該支持アーム74bの上部に前後転動可能に支持された接触コロ74cより構成され、該接触コロ74cが上方に付勢されるように、前記板バネ74aは上方凹状に湾曲形成されている。
【0035】
更に、該板バネ74aの下面に対向して、検知板73aが前記センサ本体73の段差部下面73d上に配設されている。そして、前記接地輪アーム63の前部上面63aが前記吊設フレーム部60の前端角部60aに当接して接地輪66が下限に到達すると、図7(b)に示すように、前記接地輪アーム63によって、板バネ74aが接触コロ74cを介して押し下げられ、該板バネ74aの下面が前記検知板73aと接触するように、該検知板73aは配置されている。
【0036】
これにより、施肥播種機2が接地輪66を圃場の路面に接地させた状態(以下、「接地状態」とする)で移動する間は、該路面から接地輪66は上方に押し上げられるため、図7(a)に示すように、接地輪アーム63が位置69にあり、該接地輪アーム63の下面が接触コロ74cから離間した状態にあるか、あるいは、たとえ接地輪アーム63の下面が接触コロ74cと接触しても、前記板バネ74aが検知板73aと接触するまで接触コロ74cが押し下げられることはない。これに対し、走行車両旋回時に施肥播種機2全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪いために接地輪66がバウンドしたりして、接地輪66が路面から大きく離間した状態(以下、「離間状態」とする)にあると、前述の如く、接地輪アーム63の下面によって、板バネ74aが検知板73aと接触するまで接触コロ74cが押し下げられる。つまり、接地輪66の接地状態と離間状態を、それぞれ、板バネ74a・検知板73a間の非接触状態と接触状態によって判断することができる。なお、前記接地センサ71を構成する支持板72、センサ本体73、及び検知部74は、接地輪アーム63の方に設置してもよく、その設置位置は特には限定されない。更に、接地センサ71の種類についても、本実施例のような接触式ではなく光学スイッチ等による非接触式のものであってもよく、接地輪66の接地の有無を検知可能なものであれば、その種類は特には限定されない。
【0037】
また、図1、図8、図9に示すように、前記制御部43においては、走行車両の運転席等の近傍に、前記繰出駆動部41の繰出モータ52の制御を行う制御ボックス77が配置され、該制御ボックス77にはコントローラ76が収容されており、該コントローラ76は、前記繰出モータ52に駆動電力を供給するバッテリ78、前記繰出駆動部41における繰出モータ52と繰出モータ回転速度センサ53、及び前記接地式移動速度検知装置42における接地輪回転速度センサ68と接地センサ71とに、それぞれリード線80a・80b・80c・80d・80eを介して接続されている。更に、前記コントローラ76には、予め設定された基準供給量、後述する手動調整ダイヤル79により選択する各目盛に対応する回転速度値、本発明に関わる制御プログラム等を記憶するための記憶部76aが備えられている。ここで、施肥播種機2の基準供給量とは、単位面積当たりに散布する種子・肥料の量を基にして算出される、単位移動長当たりの散布量であって、後述するように、基準同調制御では、該基準供給量が得られるように、繰出モータ52の回転速度が施肥播種機2の移動速度に応じて制御される。
【0038】
前記制御ボックス77には、上面略中央に前記手動調整ダイヤル79が配置され、該手動調整ダイヤル79の左方には、後述するような自動変速モードと手動変速モードを切り替える変速モードスイッチ81が配置され、該変速モードスイッチ81と前記手動調整ダイヤル79は、いずれも前記コントローラ76に接続されている。そして、該手動調整ダイヤル79の右方には、前記バッテリ78からの駆動電力による供給制御機構1の動作の入切を行う電源スイッチ82が配置され、該電源スイッチ82の前方には、左から順に、繰出モータ52が作動中に点灯するモータランプ83、前記繰出駆動部41や繰出装置7・9における噛み込み等によって繰出モータ52に過負荷がかかった場合に警告する過負荷ランプ84、前記電源スイッチ82の入切状態を表示する電源ランプ85が配置されている。
【0039】
次に、以上のような構成から成る供給制御機構1による繰出モータ52の供給制御手順について、図8乃至図10により説明する。
前記手動調整ダイヤル79を調整して電源スイッチ82を入れると、変速モードスイッチ81からの変速モード信号、手動調整ダイヤル79からのダイヤル設定信号、繰出モータ回転速度センサ53からの繰出モータ回転速度信号、接地輪回転速度センサ68からの移動速度信号、及び接地センサ71からの接地信号が、前記コントローラ76に読み込まれる(ステップS1)。
【0040】
そして、変速モード信号に基づいて、自動変速モードか否かが判断される(ステップS2)。変速モードスイッチ81が図8で下側に傾倒されて手動変速モードに設定されている場合は(ステップS2、NO)、前記ダイヤル設定信号に基づいて繰出モータ52に駆動信号が送信され、前記手動調整ダイヤル79で選択した回転速度値、本実施例では、モータ駆動停止状態の0から最高速の10までの11段の目盛の中から選択した目盛に対応する回転速度値に変速される(ステップS7)。該手動変速モードでは、接地輪66が接地状態・離間状態のいずれの状態であっても、前記繰出モータ52を停止または変速させることができ、施肥播種機2を停止した上でメンテナンスする場合や、圃場の路面状況が悪くて接地輪66による移動速度の検知精度が低い場合等に、種子や肥料を適した供給量となるように、繰出モータ52を自在に停止または変速できるようにしている。
【0041】
変速モードスイッチ81が図8で上側に傾倒されて自動変速モードに設定されている場合は(ステップS2、YES)、前記接地信号に基づいて、接地輪66が接地状態にあるか否かが判断される(ステップS3)。接地状態ではなく離間状態の場合は(ステップS3、NO)、繰出モータ52には駆動信号が送信されずに駆動が停止する(ステップS6)。
【0042】
接地状態の場合は(ステップS3、YES)、前記ダイヤル設定信号に基づいて、記憶部76aに記憶された基準供給量に対する補正率が0%か否かが判断される(ステップS4)。補正率が0%、つまり供給量が記憶部76aに記憶している基準供給量と同一の場合には(ステップS4、YES)、基準同調制御が行われる(ステップS5)。該基準同調制御では、前記移動速度信号に基づいて、基準供給量が得られる回転速度値が算出され、該回転速度値に基づいて、駆動信号が前記繰出モータ52に送信される。該駆動信号は、前記繰出モータ回転速度センサ53からの繰出モータ回転速度信号によるフィードバックを受ける。
【0043】
補正率が0%でない場合は(ステップS4、NO)、補正同調制御が行われる(ステップS6)。該補正同調制御では、前記ダイヤル設定信号に基づいて補正率、本実施例では−30%から+30%までの60%の範囲内で0%を除く補正率に設定することができ、該補正率を前記基準供給量に乗じた補正量を基準供給量に加減した供給量(以下、「補正供給量」とする)が算出される。更に、前記繰出モータ回転速度信号と移動速度信号に基づいて、この補正供給量が得られる回転速度値が算出され、該回転速度値に対応する駆動信号が前記繰出モータ52に送信されるようにしている。
【0044】
すなわち、以上のように、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機である施肥播種機2の供給装置である種子繰出装置7と肥料繰出装置9を作動するための供給アクチュエータである繰出モータ52と、圃場に移動速度検知部としての接地輪66を接地させて前記施肥播種機2の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置42と、該接地式移動速度検知装置42からの移動速度信号に基づいて前記繰出モータ52に駆動信号を送信する制御手段であるコントローラ76とを備え、該コントローラ76により、予め設定された基準供給量となるように、前記繰出モータ52の作動速度である回転速度を施肥播種機2の移動速度と自動同調させる、施肥播種機2の供給制御機構1において、前記接地式移動速度検知装置42には、前記接地輪66の接地の有無を検知する接地検知手段である接地センサ71を設け、該接地センサ71からの接地信号に基づいて、前記接地輪66が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたので、接地式移動速度検知装置42の接地輪66が接地している場合にのみ繰出モータ52を駆動させることができ、走行車両旋回時に施肥播種機2全体をリフトアップしたり、圃場の路面状況が悪くて接地輪66がバウンドしたりして、路面から大きく離間することにより、接地輪66がそれまでの慣性力によって無負荷で高速空転する場合であっても、繰出モータ52の作動を停止して、種子や肥料の圃場への過剰な供給を確実に防止することができる。
【0045】
更に、前記接地式移動速度検知装置42は、前記移動速度検知部としての接地輪66と、該接地輪66を転動可能に軸支する接地輪アーム63と、該接地輪アーム63を前記走行車両に取り付ける取付フレーム55とを備え、該取付フレーム55に前記接地輪アーム63を上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレーム55には前記接地輪66の下方揺動限界規制を行う下限ストッパである前端角部60aを設け、該前端角部60aへの前記接地輪アーム63の到達を前記接地センサ71によって検知するので、前記接地センサ71を簡単な構成で形成することができ、装置コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0046】
加えて、前記供給制御機構1には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段である手動調整ダイヤル79を備えるので、圃場内の路面状況や供給物の種類・性状等に応じて、基準供給量を適正な値に容易に微調整することができ、ギア比を変更する等の煩雑な機械的調整を不要として迅速な対応が可能となり、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0047】
次に、土壌消毒機101に設けた供給制御機構1Aについて、図11、図12により説明する。ただし、以下の説明では、図11、図12の矢印Bの方向を前方向と定め、該前方向を基準にして左右を定義するものである。
まず、該土壌消毒機101の全体構成について説明する。なお、本実施例の土壌消毒機101も、前記施肥播種機2と同様に、トラクタ等の走行車両の後部に装着して牽引されるが、走行車両の前部にポンプやタンクを装着するタイプでもよく、装着位置や移動形式は特に限定されるものではない。
【0048】
走行車両のトップリンクとロアリンクが、土壌消毒機101の本体前部のトップリンクマスト103に装着され、該トップリンクマスト103の左右両側にはサブソイラ104L・104Rが配置され、該サブソイラ104L・104Rは、走行車両のタイヤの通過位置を通るように構成している。
【0049】
前記サブソイラ104L・104Rの後部には、後方に開いた平面視コ字状のメインフレーム105が配置され、該メインフレーム105には複数の薬液注入爪106・106・・・が配置されている。そして、該薬液注入爪106・106・・・の後部には、薬液の供給装置である第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108とから成る複数のポンプユニット100が機体左右方向に複数組、本実施例では三組配置されている。
【0050】
該各ポンプユニット100には、ポンプ駆動部86が配置され、これら第一薬液ポンプ107、第二薬液ポンプ108、及びポンプ駆動部86は、前記メインフレーム105に連結されたツールバー110上に配設されると共に、該ツールバー110の前面に固設された連結フレーム91によって、前記第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108の前面が締結支持されている。
【0051】
該第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108は、薬液を間欠的に吸入し吐出するダイヤフラムポンプ等の間欠駆動ポンプであって、位相差をもって薬液の吸入と吐出を繰り返すことにより、薬液を圃場に間欠的に吐出することができる。この薬液を吐出する際の距離間隔は予め設定されて(以下、「基準吐出ピッチ」とする。)、前記記憶部76aに記憶されており、該基準吐出ピッチと基準供給量に基づいて、一回当たりに吐出すべき薬液の吐出量(以下、「基準吐出量」とする。)が算出される。そして、該基準吐出量と一致するように、各薬液ポンプ107・108の後部に設けられた吐出調整ダイヤル130・131により、吐出量が調整される。ここで、土壌消毒機101の基準供給量とは、単位面積当たりに吐出する薬液の量を基にして算出される、単位移動長当たりの吐出量であって、後述するように、基準同調制御では、該基準供給量が得られるように、ポンプ駆動モータ89の回転速度が土壌消毒機101の移動速度に応じて制御される。
【0052】
前記メインフレーム105の上方には、薬液タンク112を載置するタンク載置台111・111が配置され、該左右のタンク載置台111・111の間には、前記メインフレーム105の後部に立設されたポール113の上端に固定された取付プレート114が配置され、該取付プレート114には複数の薬液流確認計115が取り付けられている。
【0053】
これにより、前記第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108がポンプ駆動部86によって駆動されると、薬液タンク112から、ホース129、薬液流確認計115を介して、薬液が図示せぬ吸入弁から各薬液ポンプ107・108のポンプ室内に吸入され、その後、薬液は、吐出弁から図示せぬホースを通って前記薬液注入爪106・106・・・に供給され、該薬液注入爪106・106・・・に設けたノズルを通って土壌内に注入される。
【0054】
前記第一薬液ポンプ107、第二薬液ポンプ108の後部には土壌均平板116が配置され、該土壌均平板116は、前記メインフレーム105の左右端部から後方に突設されると共に、前後フレーム117・117に支持されており、該前後フレーム117・117上の支持部118を介して前後方向に摺動可能に構成されている。
【0055】
該土壌均平板116の左右側方位置には、溝切りディスク120・120が配置されており、該溝切りディスク120・120は、前記前後フレーム117・117後端部の折り畳み部121・121に枢支されるL字型の支持フレーム122・122に支持されている。該支持フレーム122・122には、マルチフィルムを巻いた状態のフィルム筒124が架設支持され、該フィルム筒124は、前記溝切りディスク120の後方位置に配置されている。
【0056】
該フィルム筒124の後部には、フィルム押圧輪125・125と覆土ディスク126・126が配置され、該フィルム押圧輪125・125と覆土ディスク126・126は、前記支持フレーム122の後端部に枢支される解除支持フレーム127に支持されている。該解除支持フレーム127は、バネ128の付勢力によって上方へ回動解除可能に構成されており、作業終了後は、上方へ回動して収納位置に維持されるようにしている。
【0057】
このような土壌消毒機101において、消毒作業時には、前記サブソイラ104L・104Rにより走行車両のタイヤの軌跡を消した後、前述のようにして、薬液注入爪106・106・・・により薬液を土壌内に注入し、その後、土壌均平板116により土壌表面を均平にする。そして、溝切りディスク120・120により土壌に溝を設け、該溝にフィルム筒124のマルチフィルムの左右の端部をフィルム押圧輪125により押圧した状態で、覆土ディスク126にて覆土するようにして、マルチフィルムが風で飛ぶことのないように押さえ、消毒力の強い薬液が気化してマルチフィルムの下に滞留し、土壌内を完全に消毒できるようにしている。なお、供給制御機構1Aを設ける土壌消毒機としては、このようなマルチフィルムタイプでなくともよく、特には限定されない。
【0058】
以上のような構成から成る土壌消毒機101の供給制御機構1Aは、第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108の共通のポンプ軸87を回転駆動するポンプ駆動部86と、前述した接地式移動速度検知装置42と制御部43等から構成されている。
【0059】
前記ポンプ駆動部86においては、前記連結フレーム91の途中部にはモータカバー88が固設され、該モータカバー88内にポンプ駆動モータ89が収容され、該ポンプ駆動モータ89の図示せぬモータ軸が前記ポンプ軸87の右端に連結されている。一方、前記連結フレーム91の左部後面から後方に固定プレート90が突設され、該固定プレート90の左側面に駆動モータ回転速度センサ92が固設され、該駆動モータ回転速度センサ92のセンサ軸92aが前記ポンプ軸87の左端に挿嵌されている。これにより、前記ポンプ駆動モータ89が駆動すると、モータ動力によってポンプ軸87が回転駆動されて、第一薬液ポンプ107と第二薬液ポンプ108が作動すると共に、前記ポンプ駆動モータ89の回転速度を直接的に検知できるようにしている。
【0060】
本実施例の接地式移動速度検知装置42においては、前記供給制御機構1と同様に、前記ツールバー110の左端部にボルト57によって取付フレーム55が締結固定され、該取付フレーム55の支持ピン61に、接地輪アーム63の前端部が上下揺動自在に吊設され、該接地輪アーム63の二股状の後端部に、支持プレート64を介して接地輪66が前後回動自在に軸支されている。そして、該支持プレート64に設けた接地輪回転速度センサ68と、前記取付フレーム55に設けた接地センサ71とにより、接地輪66の回転速度と接地の有無を検知できるようにしている。
【0061】
本実施例の制御部43には、前記供給制御機構1と同様に、走行車両の運転席等の近傍に、前記ポンプ駆動部86のポンプ駆動モータ89の制御を行う制御ボックス77が配置され、該制御ボックス77に前記コントローラ76が収容されており、該コントローラ76は、前記ポンプ駆動モータ89に駆動電力を供給するバッテリ78、前記ポンプ駆動部86におけるポンプ駆動モータ89と駆動モータ回転速度センサ92、前記接地式移動速度検知装置42における接地輪回転速度センサ68と接地センサ71、及び前記制御ボックス77における手動調整ダイヤル79と変速モードスイッチ81に接続されている。
【0062】
このような構成の供給制御機構1Aを設けることにより、土壌消毒機101においても、前記変速モードスイッチ81の傾倒操作と手動調整ダイヤル79の回転操作によりコントローラ76に読み込まれる変速モード信号・ダイヤル設定信号、駆動モータ回転速度センサ92からの駆動モータ回転速度信号、接地輪回転速度センサ68からの移動速度信号、及び接地センサ71からの接地信号に基づいて、前記供給制御機構1と同様に、自動変速モードでは、接地輪66が接地状態にある場合にのみポンプ駆動モータ89を駆動させ、基準同調制御または補正同調制御が行える制御構成としている。
【0063】
そして、このうちの基準同調制御では、前記移動速度信号基づいて、基準吐出ピッチが得られる回転速度値が算出され、該回転速度値に基づいて、駆動信号が前記ポンプ駆動モータ89に送信される。これにより、土壌消毒機101の移動速度にかかわらず、基準吐出ピッチで薬液を圃場に供給することができ、該基準吐出ピッチと、前述のように設定した基準吐出量とから、基準供給量を得ることができる。
【0064】
なお、以上述べたような供給制御機構1・1Aを設ける作業機としては、前記施肥播種機2や土壌消毒機101ではなく、施肥作業のみを行う施肥機、播種作業のみを行う播種機、あるいは粉粒体散布機であってもよく、その種類や構成は特には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、全ての作業機の供給制御機構に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 供給制御機構
2 施肥播種機(作業機)
7 種子繰出装置(供給装置)
9 肥料繰出装置(供給装置)
42 接地式移動速度検知装置
53 繰出モータ(供給アクチュエータ)
55 取付フレーム
60a 前端角部(下限ストッパ)
63 接地輪アーム
66 接地輪(移動速度検知部)
71 接地センサ(接地検知手段)
76 コントローラ(制御手段)
79 手動調整ダイヤル(手動調整手段)
89 ポンプ駆動モータ(供給アクチュエータ)
107 第一薬液ポンプ(供給装置)
108 第二薬液ポンプ(供給装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、作業機の供給制御機構において、前記接地式移動速度検知装置には、前記移動速度検知部の接地の有無を検知する接地検知手段を設け、該接地検知手段からの接地信号に基づいて、前記移動速度検知部が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたことを特徴とする作業機の供給制御機構。
【請求項2】
前記接地式移動速度検知装置は、前記移動速度検知部としての接地輪と、該接地輪を転動可能に軸支する接地輪アームと、該接地輪アームを前記走行車両に取り付ける取付フレームとを備え、該取付フレームに前記接地輪アームを上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレームには前記接地輪の下方揺動限界規制を行う下限ストッパを設け、該下限ストッパへの前記接地輪アームの到達を前記接地検知手段によって検知することを特徴とする請求項1に記載の作業機の供給制御機構。
【請求項3】
前記供給制御機構には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業機の供給制御機構。
【請求項1】
走行車両によって移動されながら圃場に供給物を供給する作業機の供給装置を作動するための供給アクチュエータと、圃場に移動速度検知部を接地させて前記作業機の移動速度を検知する接地式移動速度検知装置と、該接地式移動速度検知装置からの移動速度信号に基づいて前記供給アクチュエータに駆動信号を送信する制御手段とを備え、該制御手段により、予め設定された基準供給量となるように、前記供給アクチュエータの作動速度を作業機の移動速度と自動同調させる、作業機の供給制御機構において、前記接地式移動速度検知装置には、前記移動速度検知部の接地の有無を検知する接地検知手段を設け、該接地検知手段からの接地信号に基づいて、前記移動速度検知部が接地している場合にのみ前記駆動信号を送信する制御構成としたことを特徴とする作業機の供給制御機構。
【請求項2】
前記接地式移動速度検知装置は、前記移動速度検知部としての接地輪と、該接地輪を転動可能に軸支する接地輪アームと、該接地輪アームを前記走行車両に取り付ける取付フレームとを備え、該取付フレームに前記接地輪アームを上下揺動自在に連結すると共に、該取付フレームには前記接地輪の下方揺動限界規制を行う下限ストッパを設け、該下限ストッパへの前記接地輪アームの到達を前記接地検知手段によって検知することを特徴とする請求項1に記載の作業機の供給制御機構。
【請求項3】
前記供給制御機構には、前記基準供給量の補正率を手動で自在に変更可能な手動調整手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業機の供給制御機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−220573(P2010−220573A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73564(P2009−73564)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(597041747)アグリテクノ矢崎株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(597041747)アグリテクノ矢崎株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
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