説明

作業機の配線収納装置

【課題】走行機体に搭乗した作業者が運転席から作業機側カプラを走行機体側カプラに着脱することができ、作業機側カプラを接続した作業機側ハーネスが邪魔にならないように収納する。
【解決手段】耕耘作業機1は、トップマスト5の支持板5aに下端部が回動自在に取り付けられて先端側が前後方向に揺動自在なガイド部材51と、ガイド部材51と支持板5aとの間に取り付けられてガイド部材51の基端部を付勢する引張ばね60と、トップマスト5の先端部に取り付けられて作業機側カプラ38に接続された作業機側ハーネス37を支持する前方ガイド65とを有してなる配線収納装置50を有する。引張ばね60は、ガイド部材51の揺動範囲の中間位置で最も伸長されるように設けられて、引張ばね60のトグル作用により、ガイド部材51の先端部を走行機体側に接近した位置Psと離反した位置Prに維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体に設けられた走行機体側カプラに着脱自在に接続される作業機側カプラに接続された配線を作業機に収納する作業機の配線収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような走行機体側カプラに作業機側カプラを接続する作業機は、例えば、特許文献1に記載されている。この作業機70は、図6(側面図)に示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構91に着脱可能に取り付けられて圃場を耕耘する耕耘作業機である。この作業機70は、ロータリ耕耘作業部71に耕深検知センサを設け、この耕深検知センサからの検知信号を走行機体側に設けた制御部に入力した検知結果に応じて自動的に耕深制御を行うように構成されている。このため、走行機体側の制御部と作業機側の耕深検知センサとを電気的に接続するために走行機体側に走行機体側カプラ72を設け、作業機側に作業機側カプラ73を設けている。
【0003】
走行機体側カプラ72は、三点リンク連結機構91に取り付けられたヒッチフレーム74の上部に固定した状態で取り付けられている。一方、作業機側カプラ73は、ヒッチフレーム74を取り付けるトップマスト75に取り付けられたチェーン76を介して吊持ち状に取り付けられている。このチェーン76の基端部の固着位置は、走行機体側カプラ72と作業機側カプラ73が係合している状態で、前方に引っ張られた緊張状態となるように配置されている。またチェーン76の長さは、作業機側カプラ73に接続されたハーネス77の緊張に先行してチェーン76が緊張するとともに、自然垂下状態で作業機70を持ち上げたときに走行機体90の運転席に搭乗した作業者が後ろ向きになって手を延ばせば容易に手が届く長さに設定されている。
【0004】
このため、作業機70を走行機体90に取り付ける場合には、作業機70を走行機体90に装着した後に、作業者は走行機体90の運転席に搭乗して後方側に向いて、垂れ下がっている作業機側カプラ73を持ち上げて走行機体側カプラ72に押し付けて両カプラを接続する。また作業機側カプラ73を走行機体側カプラ72から取り外す場合には、走行機体90を前進走行させるだけでよい。
【0005】
【特許文献1】実開平5−23804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の配線用カプラの支持構造は、走行機体が大型の場合には運転席の位置が比較的に高いため、走行機体の運転席に座った作業者が後を向いて手を延ばしても、作業者の手が走行機体側カプラに届かない場合がある。そこで、走行機体側カプラの取付位置を走行機体側により接近した位置に設けてもよいが、このようにすると、作業機側カプラを吊持するチェーンの長さが長くなるとともに、作業機側カプラを接続するハーネスの長さも長くなり、チェーンが自然垂下状態でチェーンの先端部に取り付けられた作業機側カプラを持ち上げることが困難になる場合が生じる。また作業機を移動し、格納する際に、チェーンや作業機側カプラに接続されたハーネスが引っ掛かって作業機の移動や格納を邪魔する虞が生じる。このため、作業機を移動、格納する際には、作業機側カプラを接続した配線を作業機のトップマストに縛り付ける必要があり、作業機の移動・格納作業を煩わしくする。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、作業機側カプラを接続するハーネスが長くても、走行機体に搭乗した作業者が運転席から作業機側カプラを走行機体側カプラに接続することができ、また作業機を移動、格納する際に、作業機側カプラを接続したハーネスが邪魔にならない作業機の配線収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明は、以下の特徴を有する。特徴の一つは、走行機体の後部に装着され、該走行機体に設けられた走行機体側カプラに着脱自在に接続される作業機側カプラを備えた作業機(例えば、実施形態における耕耘作業機1)において、走行機体側カプラから脱着された作業機側カプラに接続された作業機側の配線(例えば、実施形態における作業機側ハーネス37)を作業機に収容する作業機の配線収容装置であって、作業機に前後方向に揺動自在に設けられて先端部に掛止した作業機側カプラを走行機体に接近させる側及び走行機体から離反する側に移動させるガイド部材を有することを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、作業機に前後方向に揺動自在に設けられて先端部に掛止された作業機側カプラを走行機体に接近する側及び走行機体から離反する側に移動させるガイド部材を設けることにより、ガイド部材の先端部に作業機側カプラを掛止した状態でガイド部材を前側に揺動させると、作業機側カプラを走行機体側に接近させることができる。このため、走行機体に作業者が乗ったままで走行機体側カプラに作業機側カプラを接続することができ、また走行機体側カプラから作業機側カプラを取り外すことができる。さらに作業機側カプラを走行機体側カプラから取り外した状態でガイド部材を後側に揺動させると、作業機側カプラが走行機体から離反する側に移動するとともに、作業機側カプラに接続された配線を作業機の後側に向けて延ばした状態で収納することができる。従って、作業機を移動、格納する際に、作業機側カプラを接続した配線が邪魔なる虞を防止することができる。
【0010】
また特徴の一つは、ガイド部材の基端部を付勢する弾性部材(例えば、実施形態における引張ばね60)を設け、ガイド部材の揺動範囲の中間位置で弾性部材が最も伸長されるよう該弾性部材を設けて、ガイド部材の先端部が少なくとも走行機体側に接近した状態で維持されることを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、ガイド部材の基端部を付勢する弾性部材を設け、ガイド部材の揺動範囲の中間位置で弾性部材が最も伸長されるよう該弾性部材を設けることにより、ガイド部材が揺動範囲の中間位置よりも走行機体に接近する側に揺動しているときには、いわゆるトグル作用により走行機体に接近する側にガイド部材を付勢することができる。一方、ガイド部材が揺動範囲の中間位置よりも走行機体から離反する側に揺動しているときには、トグル作用により走行機体から離反する側にガイド部材を付勢することができる。このため、ガイド部材の先端部に掛止された作業機側カプラを、走行機体側に接近した状態と離反した状態で維持することができる。
【0012】
また特徴の一つは、弾性部材が最も伸長されたときのガイド部材の先端部の位置を、ガイド部材の先端部が走行機体側に維持される位置の近傍になるように設けたことを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、弾性部材が最も伸長されたときのガイド部材の先端部の位置を、ガイド部材の先端部が走行機体側に維持される位置の近傍になるように設けることにより、走行機体に搭乗した作業者が後を向いて手を延ばし、走行機体側に維持されたガイド部材の先端部を僅かに後方側に押すと、弾性部材は最も伸長される位置を超えて縮小してトグル作用によりガイド部材の先端部が走行機体から離反する側にガイド部材を付勢する。このため、ガイド部材は後方側に揺動して、ガイド部材の先端部に掛止された作業機側コネクタに接続された配線を作業機後方側に延ばした状態で収納することができ、配線収納作業の作業性を向上することができる。
【0014】
また特徴の一つは、作業機側カプラが走行機体側に接近した状態で維持される位置よりもさらに走行機体側に接近した位置に設けられ、作業機側カプラに接続された配線を支持する前方ガイドを有したことを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、作業機側カプラが走行機体側に接近した状態で維持される位置よりもさらに走行機体側に接近した位置に作業機側カプラに接続された配線を支持する前方ガイドを設けることにより、作業機側カプラを走行機体側カプラから取り外した状態でガイド部材を後側に揺動させると、配線はガイド部材を支点として折り返されて後方側へ延びて収納される。このため、配線の長さが長い場合であっても、収納された配線のたるみをより小さくすることができ、作業機を移動、格納する際に、配線が邪魔をする事態をより抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる作業機の配線収納装置よれば、上記特徴を有することによって、作業機側カプラを接続するハーネスが長くても、走行機体に搭乗した作業者が運転席から作業機側カプラを走行機体側カプラに接続することができ、また作業機を移動、格納する際に、作業機側カプラを接続したハーネスが邪魔にならない作業機の配線収納装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わる作業機の配線収納装置の実施形態を図1から図5に基づいて説明する。本実施形態は、配線収納装置を耕起・砕土用の耕耘作業機に設けた場合を例にして説明する。先ず、配線収納装置を説明する前に耕耘作業機について概説する。
【0018】
耕耘作業機1は、図1(側面図)に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の走行とともに進行して耕耘作業を行うものであり、左右方向の中央部に配置された作業機本体10と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた延長作業体30とを備え、作業機本体10及び延長作業体30,30によって3分割構造になっている。
【0019】
作業機本体10の前部には、走行機体90の後部に設けられた3点リンク連結機構91に連結されるトップマスト5とロアーリンク連結部6が設けられて、耕耘作業機1は走行機体90の後部に昇降可能に装着される。また作業機本体10の前部にはギアボックス(図示せず)が設けられ、走行機体90のPTO軸からの動力がユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介してギアボックスに伝達されるようになっている。
【0020】
作業機本体10は、耕耘作業を行うロータリ等の耕耘体を有し、この耕耘体の上方がカバー体を兼ねた機枠13によって覆われている。この機枠13の後端部に耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に取り付けられて整地作業を行う整地体14が設けられている。
【0021】
整地体14は、機枠13の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な第1整地板15と、第1整地板15の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な略板状の第2整地板16とを有して構成されている。
【0022】
左右両側に配設された延長作業体30は、左右対称の構造を有し、作業機本体10の耕耘体の作業幅を側方に延長するロータリ等の図示省略の延長耕耘体と、延長耕耘体の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長整地体31とを有してなる。延長耕耘体31の上方はカバー体を兼ねた延長機枠35によって覆われている。
【0023】
延長機枠35の後端部には、上下方向に回動可能に取り付けられて整地作業を行う延長整地体31が設けられている。この延長整地体31は延長作業体30の展開姿勢時に整地体14の外端部に接合してこの整地体14と連結され、延長整地体31の折り畳み姿勢時には整地体14の外端部から離反してこの整地体14との接合が解除されるようになっている。
【0024】
延長整地体31は、延長機枠35の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な第1延長整地板32と、第1延長整地板32の後端部に前端部が枢結されて上下方向に回動可能な略板状の第2延長整地板33とを有して構成されている。延長整地体31は、作業機本体10との間に設けられた電動式油圧シリンダ(図示せず)の伸縮によって展開姿勢と折り畳み姿勢との間を移動可能である。これらの延長整地体31は、走行機体90の運転席に設けられた操作スイッチの操作に応じて、走行機体側に設けられた制御装置92の電動式油圧シリンダの伸縮制御によって移動可能に構成されている。
【0025】
制御装置92と電動式油圧シリンダは、電動式油圧シリンダに接続された作業機側ハーネス37と制御装置92に接続された走行機体側ハーネス93を介して電気的に接続される。作業機側ハーネス37は、電動式油圧シリンダから延出してトップマスト5の上方に沿って前側に延びて走行機体90の後部まで延びるように引きまわされ、作業機側ハーネス37の先端部には作業機側カプラ38が取り付けられている。一方、走行機体側ハーネス93は、制御装置92から延出して走行機体90の後部まで延びるように引きまわされ、走行機体側ハーネス93の先端部には走行機体側カプラ94が取り付けられている。走行機体側カプラ94は、走行機体90の後部に先端部が後方に向いた状態で且つ走行機体90の運転席に搭乗した作業者が後方に向いた状態で手が届く範囲内に取り付けられている。このため、走行機体側カプラ94に作業機側ハーネス37を接続することで、走行機体側ハーネス93及び作業機側ハーネス37を介して制御装置92と電動式油圧シリンダとを電気的に接続することができる。
【0026】
このように引きまわされる作業機側ハーネス37は、トップマスト5の上部に設けられた配線収納装置50によって耕耘作業機1の上部に収納される。配線収納装置50は、図2(a)(要部側面図)に示すように、トップマスト5の上部に設けられて上方へ延びる板状の支持板5aに下端部が回動自在に取り付けられて先端側が前後方向に揺動自在なガイド部材51と、ガイド部材51と支持板5aとの間に取り付けられてガイド部材51の基端部を付勢する引張ばね60と、トップマスト5の先端部に取り付けられて作業機側カプラ38に接続された作業機側ハーネス37を支持する前方ガイド65とを有して構成される。
【0027】
前方ガイド65は、トップマスト5の先端部から上方へ延びるようにして取り付けられた棒状部材であり、先端部には、作業機側カプラ38及びこれに接続された作業機側ハーネス37を通すとともに、作業機側ハーネス37を支持可能な支持孔部66が設けられている。支持孔部66は前方ガイド65の線材を曲げて環状に形成したものである。前方ガイド65は、前側に回動したガイド部材51よりも走行機体側に配設されている。
【0028】
ガイド部材51は金属材料で形成された棒状部材であり、先端部に屈曲した掛止部52を有している。掛止部52は、図2(b)(要部斜視図)に示すように、ガイド部材51の線材を螺旋状に折り曲げ成形してなり、この掛止部52に作業機側ハーネス37を通して作業機側カプラ38を掛止する。掛止部52は、掛止部52の線材によって囲まれる孔部を円形状や矩形状等にし、またこの孔部は作業機側ハーネス37が通過可能な大きさに形成し、又は通過できない大きさに形成してもよい。さらに掛止部52は、複数段の螺旋状部分を備えるように線材を折り曲げて形成してもよい。
【0029】
ガイド部材51の基端部には、図3(a)(要部側面図)に示すように、板状の連結部材53が取り付けられている。連結部材53は支持板5aに取り付けられた回動中心軸54を中心として前後方向に回動可能に支持されている。回動中心軸54は、連結部材53の中央部に嵌合し、ガイド部材51の延長線上に配置されている。
【0030】
ガイド部材51は、支持板5aの前後に取り付けられた係止ピン55,56に当接してガイド部材51の揺動が規制される。ガイド部材51が前側の係止ピン55に当接すると、ガイド部材51の先端部は走行機体側に接近した位置に移動し、ガイド部材51が後側の係止ピン56に当接すると、ガイド部材51の先端部は走行機体90から離反した位置に移動する。
【0031】
このガイド部材51には、ガイド部材51が前側の係止ピン55に当接した状態に保持してガイド部材51の先端部が走行機体側に接近した位置(以下、「接近位置Ps」と記す。)に維持し、またガイド部材51が後側の係止ピン56に当接した状態に保持してガイド部材51の先端部が走行機体90から離反した位置(以下、「離反位置Pr」と記す。)に維持するための前述した引張ばね60が取り付けられている。
【0032】
引張ばね60は、支持板5aの前側端部と連結部材53の先端部に取り付けられた一対の掛止ピン57,58間に取り付けられている。引張ばね60は、ガイド部材51が前側の係止ピン55に当接した状態から後方側に揺動すると伸長され、図3(b)(要部側面図)に示すように、ガイド部材51が接近位置Psから上方に比較的に小さな角度θを有した位置に移動すると、引張ばね60の長さLが最も長くなるように伸長し、さらにガイド部材51が後方側に揺動すると引張ばね60が縮小するような位置に配設されている。ガイド部材51が接近位置Psから角度θを有した位置に移動すると、ガイド部材51の先端部に設けられた掛止部52は、接近位置Psに移動したガイド部材51の掛止部52の位置に対して近傍の位置に移動する。
【0033】
そして、ガイド部材51が接近位置Psから角度θを有した位置を超えると、図4(c)(要部側面図)に示すように、引張ばね60の縮小によってガイド部材51が後方側へ揺動される。そして、図4(d)(要部側面図)に示すように、ガイド部材51は、後方側に配設された係止ピン56に当接して後方側への揺動が規制された状態で離反位置Prに維持される。
【0034】
このように、ガイド部材51は、いわゆるトグル作用によって、ガイド部材51が接近位置Psから角度θの範囲内にあるときは接近位置Ps側へ付勢され、ガイド部材51が接近位置Psから角度θを超えたガイド部材51の揺動範囲内では離反位置Pr側へ付勢されるように構成されている。
【0035】
次に、作業機側カプラ38を走行機体側カプラ94に接続する場合の配線収納装置50の用法について説明する。先ず、図5(a)(側面図)に示すように、掛止部52に作業機側カプラ38が掛止されたガイド部材51を前側に揺動させて接近位置Psに維持させる。そして、耕耘作業機1を走行機体90の後部に装着する。なお、作業機側カプラ38は、通常、後述するように、ガイド部材51の掛止部52に掛止されて、離反位置Prに移動した状態で保持されている。そして、作業機側カプラ38を掛止部52から取り外し、前方ガイド65の支持孔部66に作業機側カプラ38及び作業機側ハーネス37を通した状態にする。そして、走行機体90に搭乗した作業者が後ろへ向いた状態で作業機側カプラ38を把持してこれを走行機体側カプラ94に接続する。
【0036】
次に、走行機体側カプラ94から作業機側カプラ38を取り外し、作業機側カプラ38を接続した作業機側ハーネス37を収納する場合について説明する。先ず、走行機体90に搭乗した作業者が後ろへ向いた状態で、走行機体側カプラ94に接続された作業機側カプラ38を把持して後方側に引っ張って、作業機側カプラ38を走行機体側カプラ94から抜脱する。そして、図5(b)(側面図)に示すように、抜脱された作業機側カプラ38をガイド部材51の掛止部52に掛止する。そして、ガイド部材51の先端部を後方側に押す。ガイド部材51が後方側に押されると、引張ばね60の付勢に抗してガイド部材51が後方側に揺動する。そして、ガイド部材51が接近位置Psから角度θ有した位置を超えると、トグル作用により、引張ばね60の縮小によってガイド部材51は離反位置Pr側に揺動して係止ピン56に当接して離反位置Prに保持される。
【0037】
これと同時に作業機側ケーブル37の先端側は、図5(c)(側面図)に示すように、ガイド部材51の後方側への揺動とともに後方側へ移動して耕耘作業機1の前後方向に沿った状態で収納される。このとき、作業機側ケーブル37の中間部は前方ガイド65の支持孔部66で屈曲された状態となって支持される。このため、作業機側ケーブル37の前端部と中間部が支持されるので、作業機側ケーブル37のたわみを小さくすることができる。その結果、耕耘作業機1を移動・格納する際に作業機側ケーブル37が邪魔になる虞を小さくすることができる。
【0038】
このように、耕耘作業機1に前後方向に揺動自在なガイド部材51を設け、ガイド部材51の先端部に作業機側カプラ38を掛止可能にし、ガイド部材51の先端部に作業機側カプラ38を掛止した状態でガイド部材51を前側に揺動させると、作業機側カプラ38が走行機体側に接近した位置に保持されることで、走行機体90に作業者が搭乗したままで走行機体側カプラ94に作業機側カプラ38を着脱可能にすることができる。
【0039】
また作業機側カプラ38を走行機体側カプラ94から取り外した状態でガイド部材51を後側に揺動させると、ガイド部材51が後方側へ揺動して離反位置Prに維持されるので、作業機側カプラ38を走行機体90から離反する側に移動させるとともに、作業機側カプラ38に接続された作業機側ハーネス37を耕耘作業機1の前側から後側に向けて延ばした状態で収納することができる。このため、耕耘作業機1を移動、格納する際に、作業機側カプラ38を接続した作業機側ハーネス37が邪魔なる虞を防止することができる。
【0040】
また、ガイド部材51は、引張ばね60のトグル作用によって、接近位置Psから離反位置Prに容易に移動させることができ、作業機側カプラ38に接続された作業機側ハーネス37を耕耘作業機1に収納する作業を容易にすることができる。
【0041】
なお、本実施例では、作業機の一例として耕起・砕土用の耕耘作業機1を対象としたが、代掻き用の耕耘作業機、畦塗り機、溝掘り機等の農作業機を対象とてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係わる配線収納装置を搭載した耕耘作業機の側面図を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係わる配線収納装置を示し、同図(a)は配線収納装置の側面図であり、同図(b)は配線収納装置のガイド部材の先端部形状を示す斜視図である。
【図3】配線収納装置の動作を説明するための配線収納装置の側面図を示す。
【図4】配線収納装置の動作を説明するための配線収納装置の側面図を示す。
【図5】配線収納装置の動作を説明するための配線収納装置を搭載した耕耘作業機の側面を示す。
【図6】従来の配線用カプラ支持構造を備えた耕耘作業機の側面図を示す。
【符号の説明】
【0043】
1 耕耘作業機(作業機)
37 作業機側ハーネス(配線)
38 作業機側カプラ
50 配線収納装置
51 ガイド部材
60 引張ばね(弾性部材)
65 前方ガイド
90 走行機体
94 走行機体側カプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、該走行機体に設けられた走行機体側カプラに着脱自在に接続される作業機側カプラを備えた作業機において、前記走行機体側カプラから脱着された前記作業機側カプラに接続された作業機側の配線を前記作業機に収容する作業機の配線収容装置であって、
前記作業機に前後方向に揺動自在に設けられて先端部に掛止した前記作業機側カプラを前記走行機体に接近させる側及び前記走行機体から離反する側に移動させるガイド部材を有することを特徴とする作業機の配線収納装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の基端部を付勢する弾性部材を設け、前記ガイド部材の揺動範囲の中間位置で前記弾性部材が最も伸長されるよう該弾性部材を設けて、前記ガイド部材の先端部が少なくとも走行機体側に接近した状態で維持されることを特徴とする請求項1に記載の作業機の配線収納装置。
【請求項3】
前記弾性部材が最も伸長されたときの前記ガイド部材の先端部の位置を、前記ガイド部材の先端部が走行機体側に維持される位置の近傍になるように設けたことを特徴とする請求項2に記載の作業機の配線収納装置。
【請求項4】
前記作業機側カプラが走行機体側に接近した状態で維持される位置よりもさらに走行機体側に接近した位置に設けられ、前記作業機側カプラに接続された配線を支持する前方ガイドを有したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の作業機の配線収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−11222(P2009−11222A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176156(P2007−176156)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】