説明

作業機械

【課題】容易にカウンタウェイトに昇降することができる作業機械を提供すること。
【解決手段】作業アタッチメント4が起伏可能に取り付けられる前部を有する旋回フレーム5と、旋回フレーム5の後部に設けられ、互いに積層可能な複数のウェイト本体19A〜19Fを有するカウンタウェイト6と、旋回フレーム5の側縁に沿って延びるように旋回フレーム5の側方に設けられた右側通路14と、カウンタウェイト6に設けられ、右側通路14とカウンタウェイト6との間の作業者の昇降を可能とするための昇降部材20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のウェイト本体を積層することにより構成されるカウンタウェイトを有する作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載の建設機械が知られている。この建設機械では、建屋カバー上に昇ってエンジン等の保守点検を行うことが可能である。具体的に、特許文献1に記載の建設機械は、走行体と、この走行体上に設置された旋回装置と、この旋回装置に設けられたエンジン等を覆う建屋カバーと、この建屋カバーの側面部を構成する側面部カバーと、この側面部カバーの内面に設けられたステップと、前記旋回装置の側面部に設けられたサイドウォークとを備えている。この建設機械では、側面部カバーを開いた状態で、サイドウォークからステップに足を掛けて建屋カバー上に昇降することができる。
【0003】
ところで、作業機械には、フレーム上に積層される複数のウェイト本体と、積層された複数のウェイト本体を覆うウェイトケースとを有するカウンタウェイトを備えたものがある。この種の作業機械では、クレーンを用いて必要数のウェイト本体をフレーム上に積層する作業、又は、クレーンを用いて不要なウェイト本体をフレーム上から降ろす作業を要する。この作業の際、ウェイト本体に対しクレーンのフックを係止させるために、作業者は、ウェイト本体の上に昇る必要がある。
【0004】
従来、作業者は、次のようにウェイト本体の上に昇っていた。まず、作業者は、特許文献1に記載の建設機械のようにサイドウォークから建屋カバーに設けられたステップを利用して建屋カバー上に昇る。次いで、作業者は、ウェイト本体の搭載位置まで建屋カバー上を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−213725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、建屋カバー内には、背の高さの異なる複数の部材(燃料タンク、作動油タンク、又はエンジン等)が収納されている。そのため、建屋カバーの上面には段差が形成され、建屋カバーの上面を作業者の移動経路として利用するのは適切ではない。
【0007】
特に、近年における排ガス規制の強化等の影響により排気のための冷却機等が大型化する傾向がある。そのため、建屋カバーのうち、冷却機等のエンジン周辺機器を収納する部分とそれ以外を収納する部分との間の段差が特に大きくなる。
【0008】
本発明の目的は、容易にカウンタウェイトに昇降することができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、作業アタッチメントを有する作業機械であって、前記作業アタッチメントが起伏可能に取り付けられる前部を有するフレームと、前記フレームの後部に設けられ、互いに積層可能な複数のウェイト本体を有するカウンタウェイトと、前記フレームの側縁に沿って延びるように前記フレームの側方に設けられた側部通路と、前記カウンタウェイトに設けられ、前記側部通路から足を掛けることができる位置に設けられた少なくとも1つの基点足場と、前記基点足場よりも上に設けられた少なくとも1つの昇降足場とを含む昇降機構とを備えている、作業機械を提供する。
【0010】
本発明では、側部通路から足を掛けることができる位置に設けられた基点足場とこの基点足場よりも上に設けられた昇降足場とを含む昇降機構がカウンタウェイトに設けられている。そのため、側部通路上の作業者は、まず基点足場に足を掛けるとともに、この足を基点として昇降足場に足を掛けることにより、昇降機構を利用してカウンタウェイトに直接昇降することが可能となる。したがって、本発明によれば、従来のようにカウンタウェイトに昇降するために段差が形成された建屋カバーの上面を移動することが不要となり、カウンタウェイトに容易に昇降することが可能となる。
【0011】
また、カウンタウェイトの上にいる作業者は、昇降足場に足を掛けるとともに、この足を基点として基点足場に足を掛け、この足を基点として側部通路に降りることができる。
【0012】
なお、『側部通路から足を掛けることができる位置』とは、例えば、側部通路からの距離が300mm以下の位置を意味する。
【0013】
前記作業機械において、前記昇降機構は、前記カウンタウェイトにおける前記側部通路に対向する部分に設けられていることが好ましい。
【0014】
この態様では、カウンタウェイトにおける側部通路に対向する部分に昇降機構が設けられている。これにより、側部通路上に位置する作業者は、昇降機構を正面から利用することができる。そのため、その正面に側部通路が存在しない位置に昇降機構を設ける場合と比較して、より容易にカウンタウェイトに昇降することができる。
【0015】
前記作業機械において、前記側部通路は、前記カウンタウェイトの側方に配置された側方配置部を有し、前記昇降機構は、前記カウンタウェイトにおける前記側方配置部に対向する部分に設けられていることが好ましい。
【0016】
この態様では、側部通路がカウンタウェイトの側方に配置された側方配置部を有するとともに、昇降機構はカウンタウェイトにおける側方配置部に対向する部分に設けられている。これにより、作業者は、側方配置部に対向する昇降機構を利用してカウンタウェイトに昇降することができる。
【0017】
前記作業機械において、前記側部通路は、前記カウンタウェイトよりも前の範囲に設けられ、前記昇降機構は、前記カウンタウェイトにおける前記側部通路の後端部に前後に対向する部分に設けられていることが好ましい。
【0018】
この態様では、側部通路がカウンタウェイトよりも前の範囲に設けられているとともに、昇降機構が側部通路の後端部に対向する部分に設けられている。そのため、側部通路をカウンタウェイトの側方までの範囲に形成する場合と比較して側部通路の形成範囲を短くしつつ、この側部通路の突き当たりに位置する昇降機構を利用してカウンタウェイトに昇降することができる。
【0019】
前記作業機械において、前記フレームを挟んで前記側部通路の反対側に設けられ、前記フレームの側縁に沿って延びる反対側通路をさらに備え、前記カウンタウェイトは、左右方向における前記側部通路と前記反対側通路との間の最短距離よりも大きく、かつ、左右方向における前記側部通路と前記反対側通路との間の最長距離よりも小さな左右方向の幅寸法を有することが好ましい。
【0020】
この態様では、カウンタウェイトが側部通路と反対側通路との間の最短距離よりも大きく、かつ、側部通路と反対側通路との間の最長距離よりも小さな幅寸法を有する。これにより、側部通路及び反対側通路からカウンタウェイトが左右方向の外側に張り出すことなく、カウンタウェイトの幅寸法を大きくすることができる。したがって、作業機械の最大の幅寸法を維持しつつ、目標となる重量を得るためのカウンタウェイトの前後長を短くすることができる。
【0021】
前記作業機械において、前記昇降機構は、前記カウンタウェイトに取り付けられているとともに、前記基点足場と前記昇降足場とを持つ昇降部材を有することが好ましい。
【0022】
この態様では、カウンタウェイトに対し、これとは別の部材である昇降部材が取り付けられている。そのため、既存のカウンタウェイトに対し昇降部材を取り付けることにより、昇降機構を容易に追加することができる。
【0023】
前記作業機械において、前記昇降部材は、前記カウンタウェイトに着脱可能であることが好ましい。
【0024】
この態様によれば、カウンタウェイトに昇降する必要性に応じて昇降部材を着脱することができる。
【0025】
前記作業機械において、前記昇降機構は、前記カウンタウェイトに形成されていることが好ましい。
【0026】
この態様では、カウンタウェイト自体に昇降機構が形成されている。そのため、カウンタウェイトに対し、これとは別の部材を取り付ける場合と比較して、製造工程の簡素化及びコストの低減を図ることができる。
【0027】
前記作業機械において、前記昇降機構は、前記複数のウェイト本体のうちの少なくとも2つのウェイト本体の縁部がそれぞれ水平方向に位置ずれした状態で前記各ウェイト本体が積層されることにより形成された階段部を有し、前記階段部は、前記基点足場と前記昇降足場とを有することが好ましい。
【0028】
この態様によれば、2つのウェイト本体の縁部がそれぞれ水平方向に位置ずれするように各ウェイト本体を積層することにより、各ウェイト本体自体を足場として利用することができる。
【0029】
前記作業機械において、前記複数のウェイト本体が予め設定された積層位置で積層された状態において、前記複数のウェイト本体のうちの少なくとも1つには、それよりも下に配置されるウェイト本体の側縁を上方に開放可能な切欠きが形成され、前記階段部は、前記切欠きが形成された少なくとも1つのウェイト本体とその下に配置されるウェイト本体とによって形成されていることが好ましい。
【0030】
この態様では、予め設定された積層位置で積層された状態で、下に配置されるウェイト本体の側縁を上方に開放可能な切欠きが上に配置されるウェイト本体に形成されている。これにより、ウェイト本体の縁部が上方に開放されるように位置決めしつつそのウェイト本体の上に別のウェイト本体を積層する場合と異なり、ウェイト本体を予め設定された積層位置に積層するだけで階段部を形成することができる。
【0031】
前記作業機械において、前記昇降機構は、前記複数のウェイト本体に設けられた複数の足掛け部を有し、前記複数の足掛け部は、前記基点足場を構成するものと、前記昇降足場を構成するものとを含むことが好ましい。
【0032】
この態様によれば、ウェイト本体に設けられた足掛け部を足場に利用して、カウンタウェイトに容易に昇降することができる。
【0033】
前記作業機械において、前記カウンタウェイトは、前記複数のウェイト本体を前記フレームに垂直な軸回りに取り囲む側壁を有するウェイトケースをさらに備え、前記昇降機構は、前記ウェイトケースの側壁に形成された貫通部を通して前記基点足場及び前記昇降足場をウェイトケースの側方に開放した開放姿勢と、前記貫通部を閉鎖する閉鎖姿勢との間で前記側壁に対して開閉可能な扉を備えていることが好ましい。
【0034】
この態様によれば、扉を開くことによりウェイトケースの側壁に形成された貫通部を通ってカウンタウェイトに昇降することができるとともに、扉を閉じることによりウェイトケース内に足場を収納することができる。
【0035】
前記作業機械において、前記カウンタウェイトは、前記複数のウェイト本体を前記フレームに垂直な軸回りに取り囲む側壁を有するウェイトケースをさらに備え、前記昇降機構は、前記ウェイトケースの側壁に形成された複数の足掛け部を有し、前記複数の足掛け部は、前記基点足場を構成するものと、前記昇降足場を形成するものとを含むことが好ましい。
【0036】
この態様では、足掛け部がウェイトケースに形成されている。これにより、現行のウェイト本体をそのまま利用しつつ足場を形成することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、容易にカウンタウェイトに昇降することができる上部旋回体及びこれを備えた作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る解体機の一部を省略して示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1に示す上部旋回体を右後部上方から見た斜視図である。
【図4】図1に示すカウンタウェイト及び右側通路を拡大して示す概略斜視図である。
【図5】別の実施形態に係るカウンタウェイト及び右側通路を拡大して示す概略斜視図である。
【図6】別の実施形態に係る図5相当図である。
【図7】別の実施形態に係る図5相当図である。
【図8】別の実施形態に係る図5相当図である。
【図9】別の実施形態に係る図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0040】
図1〜図3を参照して、作業機械の一例としての解体機1は、クローラ2aを有する自走式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、この上部旋回体3に対して起伏可能に設けられた作業アタッチメント4とを備えている。
【0041】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に取り付けられた旋回フレーム5と、旋回フレーム5上に設けられたカウンタウェイト6、エンジン7、コントロールバルブ8、燃料タンク9、作動油タンク10、ガード部材11、及びキャブ12と、旋回フレーム5から側方に突出する右側通路14、左側通路15、キャブ側方通路16、及びキャブ後方通路17と、前記カウンタウェイト6に取り付けられた昇降部材(昇降手段)20とを備えている。なお、キャブ12の運転席に着座したオペレータから見た前後及び左右方向を用いて以下説明する。
【0042】
旋回フレーム5は、フレーム本体5aと、このフレーム本体5a上に立設された左右一対の縦板5b、5cとを備えている。フレーム本体5aは、図1に示すように、キャブ12の載置範囲を除き、左右方向の幅寸法が概ね一定となる形状を有する。換言すると、キャブ12の載置範囲は、フレーム本体5aのうち略一定の幅寸法を有する部分の前部から左前側に突出した範囲である。一対の縦板5b、5cは、それぞれフレーム本体5aの左右方向の略中央位置で前後方向に沿って延びている。また、一対の縦板5b、5cの前部(つまり、旋回フレーム5の前部)には、作業アタッチメント4が起伏可能に取り付けられている。
【0043】
図1に示すように、カウンタウェイト6は、フレーム本体5aの後端部(旋回フレーム5の後部)上に載置されている。エンジン7は、その長手方向が左右方向に沿った状態で、カウンタウェイト6の前に配置されている。コントロールバルブ8は、エンジン7の前で、かつ、前記フレーム本体5aの左右方向の略中央位置(概ね各縦板5b、5cの間の範囲内)に配置されている。燃料タンク9は、コントロールバルブ8の右側(右の縦板の5bの右側)で、フレーム本体5aの右縁部に沿って前後方向に沿って配置されている。作動油タンク10は、コントロールバルブ8の左側(左の縦板5cの左側)で、フレーム本体5aの左側縁に沿って前後方向に沿って配置されている。ガード部材11は、エンジン7、エンジン7の周辺機器(図示せず:例えば冷却機)、及びコントロールバルブ8等を上から覆う。また、ガード部材11は、エンジン7、コントロールバルブ8、燃料タンク9及び作動油タンク10を左右方向の外側から囲う左右方向の側壁を有する。
【0044】
図1〜図4を参照して、カウンタウェイト6は、互いに積層可能な複数(本実施形態では6つ)のウェイト本体19A〜19Fと、各ウェイト本体19A〜19Fの周囲を覆うウェイトケース18とを備えている。各ウェイト本体19A〜19Fの上面には、図外のクレーンのフックを係止するための左右一対の吊下げ部19aがそれぞれ形成されている(ウェイト本体19B〜19Fの吊下げ部19aについては図示を省略する)。また、各ウェイト本体19A〜19Fのうち最も上に積層されるウェイト本体19Aの上面には、当該ウェイト本体19A上に立つ作業者を保護するための柵体19bが形成されている。ウェイトケース18は、ウェイト本体19A〜19Fの輪郭が平面視で互いに重なるように積層された各ウェイト本体19A〜19F(予め設定された積層位置で積層されたウェイト本体19A〜19F)の周囲を覆う。ウェイトケース18は、前記積層位置で積層された各ウェイト本体19A〜19Fを前記フレーム本体5aに対する垂直軸(旋回軸と平行する軸)回りに取り囲む前壁18a、右壁18b、左壁18c及び後壁18dを備えている。また、ウェイトケース18は、上方に開口する。
【0045】
右側通路14は、燃料タンク9及びエンジン7に対する右側からのメンテナンスを可能とする。具体的に、右側通路14は、フレーム本体5aから右側に突出するとともに、カウンタウェイト6よりも前の位置でフレーム本体5aの右側縁に沿って前後方向に配置された4枚の通路板14aを有する。そのため、各通路板14a上に立つ作業者は、各通路板14aから燃料タンク9又はエンジン7に右側からアクセスすることができる。また、各通路板14a上に立つ作業者は、前記ガード部材11の右側壁に設けられたはしご11aを利用してガード部材11上に昇ることにより、当該ガード部材11で覆われた構成に対して上からアクセスすることができる。
【0046】
左側通路15は、作動油タンク10及びエンジン7に対する左側からのメンテンスを可能とする。具体的に、左側通路15は、フレーム本体5aから左側に突出するとともに、カウンタウェイト6よりも前の位置でフレーム本体5aの左側縁に沿って前後方向に配置された3枚の通路板15aを有する。そのため、各通路板15a上に立つ作業者は、各通路板15aから作動油タンク10又はエンジン7に左側からアクセスすることができる。また、各通路板15a上に立つ作業者は、前記ガード部材11の左側壁に設けられたはしご11bを利用してガード部材11上に昇ることにより、当該ガード部材11で覆われた構成に対して上からアクセスすることができる。なお、本実施形態では、最も前の通路板15aは、キャブ12の後ろに配置されたキャブ後方通路17に連結されているとともに、このキャブ後方通路17は、キャブ12の左側に配置されたキャブ側方通路16に連結されている。したがって、各通路板15a、キャブ後方通路17、及びキャブ側方通路16間における相互の移動が可能である。
【0047】
次に、図1を参照して、カウンタウェイト6の幅寸法について説明する。まず、カウンタウェイト6の左右方向の幅寸法W2は、右側通路14と左側通路15との間の最短距離W1よりも大きい。これにより、カウンタウェイト6の右端部は、右側通路14の後端部に前後方向に対向するとともに、カウンタウェイト6の左端部は、左側通路15の後端部に前後方向に対向する。また、カウンタウェイト6の幅寸法W2は、右側通路14と左側通路15との間の最長距離W3よりも短い。これにより、各通路14、15からカウンタウェイト6が左右方向に張り出すのを防止することができる。
【0048】
昇降部材20は、前記カウンタウェイト6における右側通路14の後端部と前後に対向する部分に設けられている。この昇降部材20は、右側通路14からカウンタウェイト6に昇降可能な足場を有するはしごである。具体的に、昇降部材20は、左右一対の支柱20a、20bと、各支柱20a、20bを連結する複数の足掛け部20cと、各支柱20a、20bから後方に吐出する当接部20dとを備えている。各支柱20a、20bの上端部は、それぞれ後ろ側にU字側に折り返されることにより取付部20eを構成する。これら取付部20eは、それぞれウェイトケース18の前壁18aの内側面に固定されている。当接部20dは、前記各取付部20eがウェイトケース18に取り付けられた状態で、ウェイトケース18の前壁18aの前面に当接する。これにより、各支柱20a、20bは、前壁18aに対して略平行に配置される。各足掛け部20cのうち、右側通路14から足を掛けることができる位置に設けられたもの(例えば、右側通路14の後端部から300mmの範囲内にあるもの)が基点足場に相当し、それよりも上に設けられているものが前記基点足場を基点としてカウンタウェイト6に昇降するための昇降足場である。なお、隣接する足場同士の間隔は、50mm以下に設定されている。
【0049】
以上説明したように、前記実施形態では、右側通路14から足を掛けることができる一に設けられた基点足場とこの基点足場よりも上に設けられた昇降足場とを含む昇降部材20がカウンタウェイト6に設けられている。そのため、右側通路14上の作業者は、まず基点足場に足を掛けるとともに、この足を基点として昇降足場に足を掛けることにより、昇降部材20の足掛け部20cを利用してカウンタウェイト6に直接昇降することが可能となる。したがって、前記実施形態によれば、従来のようにカウンタウェイトに昇降するために段差が形成された建屋カバー(本実施形態に係るガード部材11に相当)の上面を移動することが不要となり、カウンタウェイト6に容易に昇降することが可能となる。なお、前記実施形態では、右側通路14から昇降可能となる位置に昇降部材20を設けた例について説明したが、左側通路15から昇降可能となる位置に昇降部材20を設けてもよい。
【0050】
また、カウンタウェイト6の上にいる作業者は、昇降足場に足を掛けるとともに、この足を基点として基点足場に足を掛け、この足を基点として側部通路に降りることができる。
【0051】
なお、『右側通路14又は左側通路15から足を掛けることができる位置』とは、例えば、右側通路14の距離が300mm以下の位置を意味する。
【0052】
前記実施形態では、カウンタウェイト6における右側通路14に対向する部分に昇降部材20が設けられている。これにより、右側通路14上に位置する作業者は、昇降部材20に対して正面から足を掛けることができる。そのため、その正面に右側通路14が存在しない位置に昇降部材20を設ける場合と比較して、より容易にカウンタウェイト6に昇降することができる。
【0053】
前記実施形態では、右側通路14がカウンタウェイト6よりも前の範囲に設けられているとともに、昇降部材20が右側通路14の後端部に対向する部分に設けられている。そのため、右側通路14をカウンタウェイト6の側方までの範囲に形成する場合と比較して右側通路14の形成範囲を短くしつつ、この右側通路14の突き当たりに位置する昇降部材20を利用してカウンタウェイト6に昇降することができる。
【0054】
前記実施形態では、カウンタウェイト6が右側通路14と左側通路15との間の最短距離W1よりも大きく、かつ、右側通路14と左側通路15との間の最長距離W3よりも小さな幅寸法W2を有する。これにより、右側通路14及び左側通路15からカウンタウェイト6が左右方向の外側に張り出すことなく、カウンタウェイト6の幅寸法W2を大きくすることができる。したがって、解体機1の最大の幅寸法を維持しつつ、目標となる重量を得るためのカウンタウェイトの前後長を短くすることができる。つまり、上部旋回体3の後端旋回半径を小さくすることができる。
【0055】
前記実施形態では、カウンタウェイト6に対し、これとは別の部材である昇降部材20が取り付けられている。そのため、既存のカウンタウェイト6に対し昇降部材20を取り付けることにより、昇降機構を容易に追加することができる。
【0056】
なお、前記実施形態では、カウンタウェイト6に対して昇降部材20を固定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、カウンタウェイト6に対して着脱可能な昇降部材20を採用することもできる。
【0057】
具体的に、図5に示すウェイト本体19A〜19Fの上面には、前記昇降部材20の各取付部20eの先端部を挿抜可能な一対の挿抜部19cが立設されている(ウェイト本体19B〜19Fの挿抜部19cの図示を省略する。)。各挿抜部19cは、昇降部材20の各取付部20cを上下方向に挿抜可能な筒状の部分である。この実施形態によれば、カウンタウェイト6に昇降する必要性に応じて昇降部材20をウェイト本体19Aに着脱することができる。なお、図5では、ウェイト本体19Aに対して昇降部材20を着脱可能な例について説明したが、昇降部材20は、ウェイトケース18に着脱可能であってもよい。
【0058】
また、前記各実施形態では、カウンタウェイト6とは別の部材として昇降部材20を要するが、カウンタウェイト6に昇降機構を設けることもできる。
【0059】
図6を参照して、本実施形態に係る昇降機構は、ウェイト本体19A〜19Eにより形成された階段部を有する。具体的に、階段部は、各ウェイト本体の19A〜19Eの前縁部がそれぞれ前後方向(水平方向)に位置ずれした状態で各ウェイト本体19A〜19Eが積層されることにより形成されている。より具体的に、各ウェイト本体19A〜19Dのそれぞれには、各ウェイト本体19A〜19Eが予め設定された積層位置で積層された状態において、それよりも下に配置されるウェイト本体の前側縁を上方に開放可能な切欠き21A〜21Dが形成されている。ウェイト本体19Aに形成された切欠き21Aは、ウェイト本体19Bの前側縁を開放可能である。ウェイト本体19Bに形成された切欠き21Bは、ウェイト本体19Cの前側縁を開放可能である。ウェイト本体19Cに形成された切欠き21Cは、ウェイト本体19Dの前側縁を開放可能である。ウェイト本体19Dに形成された切欠き21Dは、ウェイト本体19Eの前側縁を開放可能である。なお、本実施形態では、階段部を構成するウェイト本体19A〜19Eのうち右側通路14から足を掛けることが可能となる位置に設けられたものが基点足場に相当し、それより上に設けられたものが前記基点足場を基点としてカウンタウェイト6に昇降するための昇降足場である。なお、本実施形態では、ウェイト本体19A〜19Fのうちの一部(ウェイト本体19A〜19E)を用いて階段部を形成しているが、全部を用いて階段部を形成してもよい。
【0060】
また、本実施形態に係るウェイトケース18の前壁18aには、前記階段部を前側に開放するための貫通部18eが形成されている。具体的に、貫通部18eは、階段部の前に位置する部分で前壁18aを貫通するとともに上向きに開く切欠きにより形成されている。なお、本実施形態では、上向きに開く切欠きにより貫通部18eを形成しているが、前壁18aの上縁部を残した窓状の貫通孔によって貫通部18eを形成することもできる。
【0061】
前記実施形態によれば、各ウェイト本体19A〜19Eの縁部がそれぞれ前後方向に位置ずれするように各ウェイト本体19A〜19Eを積層することにより、各ウェイト本体自体を足場として利用することができる。
【0062】
また、前記実施形態では、ウェイト本体の前側縁を上方に開放可能な切欠きがそのウェイト本体よりも上に配置されるウェイト本体に形成されている。これにより、ウェイト本体19A〜19Eの前縁部が上方に開放されるように位置決めしつつそのウェイト本体の上に別のウェイト本体を積層する場合と異なり、ウェイト本体19A〜19Eを予め設定された積層位置に積層するだけで階段部を形成することができる。
【0063】
なお、前記実施形態では、各ウェイト本体19A〜19Eを積層することにより足場(階段部)を形成しているが、各ウェイト本体19A〜19Dのそれぞれに足場を形成することもできる。
【0064】
具体的に、図7に示すウェイト本体19A〜19Dの前側面には、それぞれ足掛け部19dが形成されている。各足掛け部19dは、ウェイト本体19A〜19Dの前側面から前方に突出して設けられている。本実施形態では、各足掛け部19dのうち、右側通路14から足を掛けることができる位置に設けられたものが基点足場に相当し、それよりも上に設けられているものが前記基点足場を基点としてカウンタウェイト6に昇降するための昇降足場である。なお、本実施形態では、ウェイト本体19A〜19Fのうちの一部(ウェイト本体19A〜19D)に足掛け部19dを設けているが、全部に足掛け部19dを設けてもよい。
【0065】
図7に示すウェイトケース18には、前記実施形態と同様に、前記各足掛け部19dを前側に開放するための貫通部18eが形成されている。また、ウェイトケース18には、貫通部18eを通して各足掛け部19dが前側に開放した開放姿勢と、貫通部18eを閉鎖する閉鎖姿勢との間で前壁18aに対して開閉可能な扉18hが設けられている。さらに、ウェイトケース18の前壁18aには、持ち手18gが設けられている。持ち手18gは、作業者が自己の体を前壁18a側に引き付けるために掴む部分である。
【0066】
前記実施形態によれば、ウェイト本体19A〜19Dに設けられた足掛け部19dを足場に利用して、カウンタウェイト6に容易に昇降することができる。
【0067】
また、前記実施形態によれば、扉18hを開くことによりウェイトケース18の前壁18aに形成された貫通部18eを通ってカウンタウェイト6を昇降することができるとともに、扉18hを閉じることによりウェイトケース18内に各足掛け部19d(足場)を収納することができる。
【0068】
なお、前記実施形態では、ウェイト本体19A〜19Fの側面(前面)に足掛け部19dを設けているが、ウェイト本体19A〜19F自体に足掛け部を設けることもできる。例えば、ウェイト本体19Aに前方及び下方に開口する切欠き部を設けることにより、ウェイト本体19Aの下に位置するウェイト本体19Bの上面を足場として利用することができる。また、例えば、ウェイト本体19Bに前方及び上方に開口する切欠き部を設けることにより、この切欠き部の底面を構成するウェイト本体19Bの上面を足場として利用することができる。
【0069】
また、前記実施形態では、ウェイト本体19A〜19Fに足場を設けているが、ウェイトケース18に足場を設けることもできる。
【0070】
図8を参照して、本実施形態に係るウェイトケース18は、前壁18aを貫通する貫通孔により形成される複数の足掛け部18fと、前壁18aの前面に取り付けられた持ち手18gとを備えている。各足掛け部18fは、上下方向に隣接するものが左右に離間して配置されるように、左右2列上下3段に配置されている。本実施形態では、各足掛け部18fのうち右側通路14から足を掛けることができる位置に設けられたものが基点足場に相当し、それよりも上に設けられたものが前記基点足場を基点としてカウンタウェイト6に昇降するための昇降足場である。持ち手18gは、作業者が自己の体を前壁18a側に引き付けるために掴む部分である。
【0071】
前記実施形態では、足掛け部18fがウェイトケース18に形成されている。これにより、現行のウェイト本体19A〜19Fをそのまま利用しつつ足掛け部18f(足場)を形成することができる。
【0072】
なお、前記各実施形態では、カウンタウェイト6の前部に昇降機構を設けているが、図9に示すように、カウンタウェイト6の側部に昇降機構を設けることもできる。
【0073】
具体的に、図9の二点鎖線で示す通路板14aは、カウンタウェイト6の右側方に配置された側方配置部を構成する。この側方配置部を構成する通路板14aを有する場合には、当該通路板14aと対向するカウンタウェイト6の右側部に昇降機構(例えば、前記昇降部材20)を設けることができる。なお、図9に示すように、カウンタウェイト6の左側方に配置された通路板15aを有する場合には、この通路板15aと対向するカウンタウェイト6の左側部に昇降機構を設けることもできる。
【0074】
この実施形態では、前記実施形態と同様に、通路板14aに左右方向に対向する昇降部材20を利用してカウンタウェイト6に昇降することができる。なお、図9では、昇降部材20を例示したが、昇降機構としては、図6〜図8に示す昇降機構も採用することができる。
【0075】
また、図9では、二点鎖線で示す側方配置部を構成する通路板14aを有する場合を例示したが、この通路板14aを有しない場合であっても、カウンタウェイト6の右側部に昇降機構を設けることができる。具体的に、カウンタウェイト6の右側部のうち、右側通路14の後端部から足を掛けることができる位置(例えば、右側通路14の後端部から300mm以内の位置)に昇降機構を設けることができる。
【0076】
さらに、図9に示すように、カウンタウェイト6の側部に設けられた昇降機構は、上述した図1〜図8に示す昇降機構を利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
W1 最短距離
W2 カウンタウェイトの幅寸法
W3 最長距離
1 解体機(作業機械の一例)
4 作業アタッチメント
5 旋回フレーム(フレームの一例)
6 カウンタウェイト
14 右側通路
15 左側通路
18 ウェイトケース
18a 前壁(側壁の一例)
18b 右壁(側壁の一例)
18c 左壁(側壁の一例)
18d 後壁(側壁の一例)
18e 貫通部
18f 足掛け部(昇降機構の一例)
18h 扉
19A〜19F ウェイト本体
19d 足掛け部(昇降機構の一例)
20 昇降部材(昇降機構の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業アタッチメントを有する作業機械であって、
前記作業アタッチメントが起伏可能に取り付けられる前部を有するフレームと、
前記フレームの後部に設けられ、互いに積層可能な複数のウェイト本体を有するカウンタウェイトと、
前記フレームの側縁に沿って延びるように前記フレームの側方に設けられた側部通路と、
前記カウンタウェイトに設けられ、前記側部通路から足を掛けることができる位置に設けられた少なくとも1つの基点足場と、前記基点足場よりも上に設けられた少なくとも1つの昇降足場とを含む昇降機構とを備えている、作業機械。
【請求項2】
前記昇降機構は、前記カウンタウェイトにおける前記側部通路に対向する部分に設けられている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記側部通路は、前記カウンタウェイトの側方に配置された側方配置部を有し、
前記昇降機構は、前記カウンタウェイトにおける前記側方配置部に対向する部分に設けられている、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記側部通路は、前記カウンタウェイトよりも前の範囲に設けられ、
前記昇降機構は、前記カウンタウェイトにおける前記側部通路の後端部に前後に対向する部分に設けられている、請求項2に記載の作業機械。
【請求項5】
前記フレームを挟んで前記側部通路の反対側に設けられ、前記フレームの側縁に沿って延びる反対側通路をさらに備え、
前記カウンタウェイトは、左右方向における前記側部通路と前記反対側通路との間の最短距離よりも大きく、かつ、左右方向における前記側部通路と前記反対側通路との間の最長距離よりも小さな左右方向の幅寸法を有する、請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記昇降機構は、前記カウンタウェイトに取り付けられているとともに、前記基点足場と前記昇降足場とを持つ昇降部材を有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記昇降部材は、前記カウンタウェイトに着脱可能である、請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記昇降機構は、前記カウンタウェイトに形成されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の作業機械。
【請求項9】
前記昇降機構は、前記複数のウェイト本体のうちの少なくとも2つのウェイト本体の縁部がそれぞれ水平方向に位置ずれした状態で前記各ウェイト本体が積層されることにより形成された階段部を有し、
前記階段部は、前記基点足場と前記昇降足場とを有する、請求項8に記載の作業機械。
【請求項10】
前記複数のウェイト本体が予め設定された積層位置で積層された状態において、前記複数のウェイト本体のうちの少なくとも1つには、それよりも下に配置されるウェイト本体の側縁を上方に開放可能な切欠きが形成され、
前記階段部は、前記切欠きが形成された少なくとも1つのウェイト本体とその下に配置されるウェイト本体とによって形成されている、請求項9に記載の作業機械。
【請求項11】
前記昇降機構は、前記複数のウェイト本体に設けられた複数の足掛け部を有し、
前記複数の足掛け部は、前記基点足場を構成するものと、前記昇降足場を構成するものとを含む、請求項8に記載の作業機械。
【請求項12】
前記カウンタウェイトは、前記複数のウェイト本体を前記フレームに垂直な軸回りに取り囲む側壁を有するウェイトケースをさらに備え、
前記昇降機構は、前記ウェイトケースの側壁に形成された貫通部を通して前記基点足場及び前記昇降足場をウェイトケースの側方に開放した開放姿勢と、前記貫通部を閉鎖する閉鎖姿勢との間で前記側壁に対して開閉可能な扉を備えている、請求項9〜11に記載の作業機械。
【請求項13】
前記カウンタウェイトは、前記複数のウェイト本体を前記フレームに垂直な軸回りに取り囲む側壁を有するウェイトケースをさらに備え、
前記昇降機構は、前記ウェイトケースの側壁に形成された複数の足掛け部を有し、
前記複数の足掛け部は、前記基点足場を構成するものと、前記昇降足場を形成するものとを含む、請求項8に記載の作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−76222(P2013−76222A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215257(P2011−215257)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】