説明

作業機用無線操縦装置

【課題】予め選択しておいた使用可能な周波数チャンネルから使用チャンネルの設定を可能にすることで、送信不能トラブルを防止する。
【解決手段】この無線操縦装置は、遠隔操作器が、本体制御器が非動作状態で、予め設定された使用チャンネル候補群を参照して当該使用チャンネル候補群から空きチャンネルを使用チャンネルとして設定し、操作器初期データを本体制御器へ送信する。本体制御器は、遠隔操作器が操作器初期データを送信中の状態で、全ての周波数チャンネルを順次にスキャンして、操作器初期データが取得されたときに、受信した周波数チャンネルを自身の使用チャンネルに設定するとともにその操作器初期データに基づいて自身の使用チャンネル候補群を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機用無線操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、429MHz帯の特定小電力型の無線操縦装置を用いる作業機では、電波法により429.2500MHzから429.7375MHzまでの40個の周波数チャンネルが区分けされて割り当てられており、40個の周波数チャンネルのうち、一の周波数チャンネルを任意に選択して使用するようになっている。また、この種の特定小電力型の無線操縦装置には、電波法により、電波の有効利用の目的からキャリアセンス機能が義務づけられている。
【0003】
ここで、1台の無線操縦装置で使用する周波数チャンネルの選択方法は、次の二つに分類される。第一は、予め設定された1つの周波数チャンネルのみを使用する方法(固定チャンネル方式)であり、工場や製鋼所等に設置している門型クレーン、天井クレーンに多く使用されている。また、第二は、複数の周波数チャンネルの中から、空きチャンネルを自ら自動選択する方法(マルチチャンネル選択方式)であり、車両搭載型クレーン車やコンクリートポンプ車に多く使用されている。
【0004】
しかし、上記固定チャンネル方式ないしマルチチャンネル選択方式を採用する無線操縦装置を有する不特定の作業機が出入りする現場では、マルチチャンネル選択方式の無線操縦装置を採用する作業機が先に空きチャンネルを見つけてこれを使用すると、その使用周波数チャンネルが、固定チャンネル方式の無線操縦装置を採用する作業機に設定されている一つの周波数チャンネルと同一である場合には、その周波数チャンネルを先に使用されてしまった以上、後からの作業機はキャリアセンス機能により、その周波数チャンネルしか使用することができない作業機を動かせない状態(送信不能トラブル)になる。ここで、無線操縦装置を構成する遠隔操作器と本体制御器の使用可能な周波数チャンネルは、お互いに同一に設定しておかなければ、無線通信はできない。
【0005】
従来、遠隔操作器および本体制御器には、その内部に「ディップスイッチ」が設けられており、使用可能な周波数チャンネルの設定時は、遠隔操作器を分解し(ケース、又はフタを外し)、内部のディップスイッチをオペレータが切り換えていた。しかし、このような周波数チャンネル設定作業は工事現場等で都度できるようなものではない。そのため、上述したような同じ現場内での送信不能トラブルを防止するには、個々の機器の使用可能な周波数チャンネルの適切な割り当てが必要となり、このような割り当て作業をオペレータが容易に行なえることが望ましい。そこで、例えば下記のような技術が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1に記載の送信制限装置は、既存の遠隔操作器に別個の送信制限装置を後付けし、送信不能にさせたくない機器に使用されている周波数チャンネルと同じ周波数チャンネルの電波を、この後付けした送信制限装置から出力値を可及的に弱くして出力している。これにより、送信制限装置が取り付けられた遠隔操作器は、キャリアセンス機能により、送信制限装置から出力されている電波を使用チャンネルだと判断するため、実質的にその周波数チャンネルの使用をできなくして送信不能にさせたくない機器に対して送信不能トラブルを防止することができる。
【0007】
また、特許文献2は、カラオケ機器の例ではあるが、使用チャンネルの変更方法が開示される。同文献記載の技術は、遠隔マイク使用時に混信やハウリングが生じたとき、当初の使用チャンネルから他の周波数チャンネルにマイク側で、使用チャンネルを変更可能になっており、当初の使用チャンネルから他の周波数チャンネルに変更する周波数変更信号を、混信時の当初の使用チャンネルを使用して送信することで、カラオケ本体の周波数プリセットを不要としている。
【0008】
また、特許文献3に記載の設定情報変更方法では、遠隔操作器の故障等において、IDコードの異なる代替操作器に変更するとき、通信開始時に、まずID設定モードに入ってIDコードを送信し、これを受信機側が記憶するようになっている。IDコードを自動で設定することで、現場でのIDコードの設定作業を簡易にしている。このとき、IDコードとともに、予め設定されている代替操作器の周波数チャンネルも、受信機側で記憶するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−200806号公報
【特許文献2】特許第3749624号公報
【特許文献3】特開2001−320783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、送信不能トラブルを防止し得るものの、別個の送信制限装置を後付けするため、コストが高くなるという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、他の周波数チャンネルに変更する周波数変更信号を、混信時の当初の周波数チャンネルを使用して送信する構成なので、前回の使用チャンネルをそのまま使用して設定変更しなければならない。そのため、設定変更時に依然として送信不能トラブル状態のまま設定変更を行なうため、対策として不十分である。
【0011】
また、特許文献3に記載の技術では、同文献に開示されるフローチャートを参照すると、操作器に予め設定されている周波数チャンネルが、他の機器で使用されている場合には、操作器はID設定モードに移行しない。そのため、この場合には通常モードが維持されることになり、周波数チャンネルの設定変更ができないため使い勝手に未だ改善の余地がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、予め選択しておいた使用可能な周波数チャンネルから使用チャンネルの設定を可能にすることで、送信不能トラブルを防止することができる作業機用無線操縦装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、作業機本体側に設けられる本体制御器と、この本体制御器との間で必要なデータを無線通信で授受する遠隔操作器とを備え、複数の周波数チャンネルが区分けされて割り当てられており、そのうちの一の周波数チャンネルを使用チャンネルとして選択してこれを前記無線通信に用いる無線操縦装置であって、前記遠隔操作器は、当該遠隔操作器による通常操作とは異なるスイッチ操作によって起動されることで当該遠隔操作器の所定の操作入力に基づいて、前記複数の周波数チャンネルから前記所定の操作入力に応じて一ないし複数の使用可能な周波数チャンネルである使用チャンネル候補群を設定する使用チャンネル候補群設定手段と、前記使用チャンネル候補群を参照して当該使用チャンネル候補群から空きチャンネルを使用チャンネルとして設定する操作器側設定手段とを有し、前記本体制御器は、前記操作器側設定手段が空きチャンネルを使用チャンネルとして設定後に、前記操作器側設定手段が設定した使用チャンネルを自身の使用チャンネルに設定する制御器側設定手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る作業機用無線操縦装置によれば、遠隔操作器の使用チャンネル候補群設定手段は、当該遠隔操作器による通常操作とは異なるスイッチ操作によって起動されるとともに当該遠隔操作器の所定の操作入力に基づいて、複数の周波数チャンネルから所定の操作入力に応じた所定の使用チャンネル候補群を設定するので、所望のときに使用チャンネル候補群を設定する状態(モード)を立ち上げることができる。したがって、上記特許文献3に記載の技術に比べて、使い勝手に優れている。
【0014】
そして、本発明に係る作業機用無線操縦装置によれば、遠隔操作器の操作器側設定手段は、使用チャンネル候補群を参照して当該使用チャンネル候補群から自身単独で空きチャンネルを使用チャンネルとして設定するので、当該使用チャンネル候補群以外の周波数チャンネルを使用(本体制御器との間で必要なデータを無線通信で授受)することはない。したがって、上記特許文献2に記載の技術のように、使用チャンネルの設定変更時に混信やハウリングといったトラブルの可能性がある周波数チャンネルを使用しないで済む。
【0015】
さらに、本発明に係る作業機用無線操縦装置によれば、本体制御器は、遠隔操作器から受信した周波数チャンネルを自身の使用チャンネルとして設定するので、上記特許文献1に記載の技術のような別個の送信制限装置の後付けも不要であり、容易に使用可能な周波数チャンネルの設定ができるため、送信不能にさせたくない機器に対して、送信不能トラブルを防止することができる。
【0016】
ここで、本発明に係る作業機用無線操縦装置において、前記操作器側設定手段は、前記空きチャンネルを使用チャンネルに設定し且つその使用チャンネル候補群情報を含む所定の操作器初期データを設定してこれを前記本体制御器へ送信し、前記制御器側設定手段は、前記遠隔操作器が前記操作器初期データを送信中の状態で、全ての周波数チャンネルを順次にスキャンして、受信した周波数チャンネルを自身の使用チャンネルに設定するとともに、その取得された操作器初期データに基づいて自身の使用チャンネル候補群を設定することが好ましい。
【0017】
このような構成であれば、制御器側設定手段は、操作器初期データが取得されたときに、その取得された操作器初期データに基づいて使用チャンネル候補群を設定するとともに遠隔操作器で使用チャンネルに設定された周波数チャンネルを本体制御器の使用チャンネルとして設定することができるので、遠隔操作器と本体制御器の使用可能な周波数チャンネルをお互い同一に設定してデータの送受信を可能にする上で好適である。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明に係る作業機用無線操縦装置によれば、予め選択しておいた使用可能な周波数チャンネルから使用チャンネルの設定を可能にすることで、送信不能トラブルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る作業機の一実施形態である車両搭載型クレーンを説明する構成図である。
【図2】本発明の無線操縦装置に用いられる遠隔操作器の一実施形態の説明図であり、同図(a)はその正面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明に係る作業機用無線操縦装置(遠隔操作器およびクレーン側の本体制御器)の構成を説明するブロック図である。
【図4】本発明に係る遠隔操作器での操作器側設定処理のフローチャートである。
【図5】本発明に係る本体制御器での制御器側設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。また、このクレーン1には、コラム6の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11の巻上巻下の作動を行うための複数のアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、およびウインチ用油圧モータ10を備えている。
【0021】
また、ベース4上の本体部内には、本体制御器30が設けられている。この本体制御器30は、図2に示す遠隔操作器20とによって、429MHz帯の特定小電力型の無線操縦装置を含む構成を有しており、遠隔操作器20と本体制御器30との間で、クレーン作業に必要な操作データをはじめとし、その他後述する処理に必要なデータを無線通信で授受するようになっている。
【0022】
遠隔操作器20は、図2に示すように、クレーン1の各アクチュエータを動作させるための、ブーム起伏選択スイッチ71、フック巻上巻下選択スイッチ72、ブーム伸縮選択スイッチ73、および左右旋回選択スイッチ74の4つの選択スイッチと、クレーン1の作動速度を制御するための速度レバー75を有している。なお、4つの選択スイッチのうち複数を選択すると複数のアクチュエータが連動して作動するようになる。さらに、各選択スイッチの上方には、通常動作時のクレーンの各種の状態や、後述する、周波数チャンネル設定処理における空きチャンネルを選択して使用チャンネルを設定時に参照される、使用チャンネル候補群の内容を表示する表示部77が設けられている。
【0023】
そして、この遠隔操作器20からは、通常のクレーン作業時には、オペレータによる選択スイッチ操作および速度レバー操作により、クレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作データが、図3に示すように、送信部23から本体制御器30の受信部32に送信される。また、本体制御器30は、その送信部33から遠隔操作器20の受信部22にクレーン作業に必要なデータが送信される。これにより、本体制御器30と遠隔操作器20との間でクレーン作業に必要なデータが授受され、本体制御器30の信号処理部31は、遠隔操作器20によるアクチュエータの選択と操作量等の情報をコントローラ18に出力し、コントローラ18は、上述した各アクチュエータのコントロールバルブ19を制御するようになっている(通常運転モード)。
【0024】
さらに、このクレーン1の無線操縦装置は、遠隔操作器20と本体制御器30との間での無線通信で使用する使用チャンネルを設定するに際し、遠隔操作器20は、自身単独で空きチャンネルを探してこれを使用チャンネルとして設定するとともに、本体制御器30は、遠隔操作器20から受信した周波数チャンネルを、本体制御器30での使用チャンネルに設定するとともに、遠隔操作器20で設定されている使用チャンネル候補群に設定する、使用チャンネル設定処理をそれぞれが実行するようになっている。
【0025】
詳しくは、遠隔操作器20は、図3に示すように、自身の表示部77に表示させるべき表示データを生成する信号処理部21を有している。使用チャンネルの候補となる使用チャンネル候補群は、オペレータにより予め使用チャンネル候補群設定モードにて設定される。なお、この使用チャンネル候補群設定モードが、「課題を解決するための手段」に記載の使用チャンネル候補群設定手段に対応している。
【0026】
この使用チャンネル候補群設定モードは、遠隔操作器20の設定モードスイッチ81を押しながら、電源スイッチ80をONにすると、起動するようになっている。なお、遠隔操作器20による通常操作は、単に電源スイッチ80のみをONにすることで、上記通常運転モードが起動する。
そして、遠隔操作器20の信号処理部21は、オペレータにより指定されたスイッチ操作に基づき、使用チャンネル候補群として予め設定されている表示項目に対応した表示データを生成し、この表示データを表示部77に表示する。この表示部77には液晶パネルを使用しており、図2(a)および以下の表1に示すように、液晶パネルの画面を見ながら対話式で使用可能な周波数チャンネルの設定ができるようになっている。
【0027】
【表1】

【0028】
より具体的には、表1に示すように、本実施形態の例では、使用チャンネル候補群を設定するための第一選択から第三選択の各表示項目が表示部77に表示される。ここで、各表示項目の選択は、ブーム伸縮選択スイッチ73の操作で行なうことができ、選択した項目の決定は、ブーム起伏選択スイッチ71の上側への操作、項目を元に戻すときは左右旋回選択スイッチ74の上側への操作で行なうことができる。第一選択項目では、「個別」、「グループ」、「40波」の3つのメニューが順に示される。
【0029】
ここで、「個別」選択時は、40チャンネルすべてが「有効」又は「無効」にオペレータにより各々振り分けられ、「有効」のチェックがされたものが使用可能な周波数チャンネルとして使用チャンネル候補に設定される。また、「グループ」選択時は、予め40チャンネルが任意のグループに振り分けられており、所望のグループをオペレータが選択すると、そのグループ内の周波数チャンネルが使用可能な使用チャンネル候補に設定される。また、「40波」メニューを選択時は、電波法により区分けされて割り当てられている40チャンネル全てが使用チャンネル候補に設定される。
【0030】
そして、オペレータが「個別」、或いは「グループ」のメニューを使用チャンネル候補群として選択した場合は、次いで、オペレータが、表1に示す第二選択項目を決定する。このとき、第一選択項目で「個別」を選択していれば、40チャンネルの中から、1チャンネルずつが画面に表示される。また、「グループ」を選択していれば、グループごとの内容を示す画面が表示される。なお、「40波」選択では第一選択項目のみで選択作業は終了するため、第二選択項目以降は表示されない。
【0031】
第二選択項目では、本実施形態の例では、第一選択項目で「個別」を選択したときには、「CH01」〜「CH40」が表示され、第一選択項目で「グループ」を選択したときには、「Aグループ」〜「Hグループ」が表示される。また、第三選択項目では、「個別」を選択したときにその各周波数チャンネル選択時の「有効」、「無効」の設定内容が表示される。
【0032】
なお、第一選択項目での「グループ」メニューについて、その使用チャンネル候補群の構成例を説明すると、例えば、第一選択項目「グループ」選択後の第二選択項目では、そのグループが、Aグループ、Bグループ…Hグループの8グループ存在した場合、「Aグループ」では1チャンネル、2チャンネル、3チャンネル…5チャンネルまで、「Bグループ」では6チャンネル…10チャンネルまでと、5個の周波数チャンネルを束ねておける。よって、オペレータは、作業機が複数用いられる工場等では予めプランニングされて割り当てられた周波数チャンネルで個々の作業機が使用されているときには、使用することができない周波数チャンネルを含まない「グループ」を使用チャンネル候補群として選択すればよい。また、「Aグループ」では「1チャンネル、2チャンネル、3チャンネル…5チャンネル」まで、「Bグループ」では「1チャンネル、6チャンネル、7チャンネル…9チャンネル」と、A,Bグループ両方にまたがっている「1チャンネル」のように、複数グループにまたがる周波数チャンネルが存在するようにしてもよい。これは電波の相互変調などの影響を防止するためであり、近傍の周波数チャンネル同士を同じグループに含ませず、あえて不規則にチャンネル配置を行わせている。
【0033】
次に、上記本体制御器30および遠隔操作器20でそれぞれ実行される使用チャンネル設定処理について図3、および図4〜図5を適宜参照しつつ説明する。
遠隔操作器20では、電源スイッチ80のみをONにして、電源が投入されると、まず、使用チャンネル設定処理が実行される。この遠隔操作器20での使用チャンネル設定処理は、自身単独で空きチャンネルを設定する操作器側設定処理である。なお、この操作器側設定処理が、上記「課題を解決するための手段」に記載の操作器側設定手段に対応している。
【0034】
この操作器側設定処理では、図4に示すように、まず、ステップS11に移行して、記憶部24に記憶されている使用チャンネル候補群を呼び出してステップS12に移行する。そして、続くステップS13からS15では、呼び出した使用チャンネル候補群の中から順次に周波数チャンネルを仮使用チャンネルに設定し、キャリアセンスして空きチャンネルを探す。そして、空きチャンネルが見つかったときにキャリアセンスを終了するとともにその空きチャンネル(仮使用チャンネル)を使用チャンネルに設定する。
【0035】
すなわち、ステップS12では、呼び出した使用チャンネル候補群のうちから最初の周波数チャンネルを仮使用チャンネルとして設定してステップS13に移行する。ステップS13では、その仮使用チャンネルでキャリアセンスし、続くステップS14では、同チャンネルでの他電波の有無を判定する。つまり、同チャンネルで他電波が確認されれば(Yes)ステップS15に移行し、そうでなければ(No)ステップS16に移行する。ステップS15では、使用チャンネル候補群の中から次の周波数チャンネルを改めて仮使用チャンネルとして設定してステップS13に処理を戻す。ステップS16では、同チャンネルが空きチャンネルであると判断して、これを使用チャンネルとして設定してステップS17に移行する。ステップS17では、この使用チャンネル候補群の情報を含む所定の操作器初期データを生成してこれを本体制御器30へ送信する。
【0036】
ここで、本実施形態の例では、この「操作器初期データ」としては、お互いを識別するための「IDコードデータ」と、オペレータが上記使用チャンネル候補群設定モードにおいて予め設定した「使用チャンネル候補群データ」とを「操作器初期データ」として本体制御器30へ送信している。「IDコードデータ」は、自身のIDコードを送信することで、受信側はその受信したIDコードを判定し、ペアとなる相手からのデータか否かを判断するのに用いる。ペアでない相手からのデータは他電波と判断する。続くステップS18では、本体制御器30からの応答となる「IDコードデータ」+「準備完了データ」(以下、「通信準備完了データ」という)を受信するまで待機する。そして、「通信準備完了データ」が受信されたら(Yes)、次の通常運転モードに移行する。
【0037】
他方、本体制御器30側では、電源が投入されると使用チャンネル設定処理が実行される。この本体制御器30での使用チャンネル設定処理は、遠隔操作器20で設定された使用チャンネルを本体制御器30での使用チャンネルに設定するとともに、遠隔操作器20から受信した「操作器初期データ」に基づき、使用チャンネル候補群を本体制御器30での使用チャンネル候補群に設定する制御器側設定処理である。なお、この制御器側設定処理が、上記「課題を解決するための手段」に記載の制御器側設定手段に対応している。
【0038】
制御器側設定処理は、図5に示すように、まず、ステップS20に移行して、自身の記憶部34に現在記憶されている使用チャンネル候補群を呼び出してステップS21に移行する。ステップS21では、使用チャンネル候補群に拘わらず、仮使用チャンネルとしてCH01を設定してステップS22に移行する。ステップS22では、遠隔操作器20からの「操作器初期データ」を仮使用チャンネルにて所定時間だけ受信待ち状態で監視して続くステップS23でその受信の有無を判断する。つまり、「操作器初期データ」が受信されていれば(Yes)ステップS30に移行し、そうでなければ(No)ステップS24に移行する。ステップS24では、全チャンネルである40波全てのスキャンが終了したか否かを判定し、全スキャンが終了していれば(Yes)ステップS26に移行し、そうでなければ(No)ステップS25に移行する。ステップS25では、全チャンネル40波のうち、現在の仮使用チャンネルとして設定している周波数チャンネルの次の周波数チャンネル(CH01であればCH02)を仮使用チャンネルとして設定してステップS22に処理を戻す。
【0039】
ステップS26では、現在記憶されている使用チャンネル候補群の中から仮使用チャンネルを設定し、続くステップS27で、遠隔操作器20からの「操作器初期データ」を所定時間だけ受信待ち状態で監視して続くステップS28でその受信の有無を判断する。つまり、「操作器初期データ」が受信されていれば(Yes)ステップS32に移行し、そうでなければ(No)ステップS29に移行する。ステップS29では、使用チャンネル候補群の中から仮使用チャンネルの設定を変更して処理をステップS27に戻す。
【0040】
ステップS30では、ステップS20で呼び出した使用チャンネル候補群と、遠隔操作器20から受信して「操作器初期データ」から取得した使用チャンネル候補群とが一致しているか否かを判定し、一致していれば(Yes)ステップS32に移行し、そうでなければ(No)ステップS31に移行する。ステップS31では、「操作器初期データ」から取得した使用チャンネル候補群を新たに使用可能な使用チャンネル候補群として記憶してステップS32に移行する。そして、ステップS32では、受信時に設定されていた仮使用チャンネルを使用チャンネルとして設定してステップS33に移行する。ステップS33では、IDコードデータと無線通信の準備完了データを含む「通信準備完了データ」を送信して、次の通常運転モードに移行する。
【0041】
次に、この車両搭載型クレーンの無線操縦装置の動作について説明する。
まず、クレーン作業の開始前の準備となる、使用チャンネル候補群の設定操作について説明する。
この使用チャンネル候補群の設定操作は、オペレータが、遠隔操作器20を用いてその表示部77の液晶画面を視認しつつ行う。そのため、遠隔操作器20の蓋を開けてディップスイッチを操作することはない。なお、上述したように、現場の電波環境から空きチャンネルが予め判明しているのであれば、その空きチャンネルを含む「グループ」を使用チャンネル候補群として設定する。また、「個別」メニューを用いて使用チャンネル候補群の設定操作をするときは、オペレータは、予め遠隔操作器20側で40チャンネルのうち、使用可能な周波数チャンネルと使用不可の周波数チャンネルとを振り分けておくとよい。
【0042】
オペレータは、遠隔操作器20の「設定モードスイッチ」81を押しながら、電源スイッチ80をONにすることで、使用チャンネル候補群設定モードを起動させる。つまり、このスイッチ操作は、通常の操作とは異なった方法で電源投入を行っており、遠隔操作器20による通常操作とは異なるスイッチ操作によって使用チャンネル候補群設定モードが起動されるので、所望のときに使用チャンネル候補群の変更が可能である。したがって、この車両搭載型クレーンの無線操縦装置によれば、上記特許文献3に記載の技術に比べて、任意の空きチャンネルを使用チャンネル候補に設定できることから、設定モードの使い勝手に優れている。なお、このとき電波は発信しない。
【0043】
次に、オペレータは、「ブーム伸縮選択スイッチ」73の上下方向を操作し、表1に示す第一選択項目の「個別」、「グループ」、「40波」の3つのメニューのいずれかに切り換えて、そのうちの1つを選択する。選択したら、オペレータは、「起伏選択スイッチ」71を上方側「決定」に倒して、次の選択項目の設定に移行する。
例えば、オペレータが第一選択項目で「個別」を選択した場合は、第三選択項目まで設定する。第一選択項目で「個別」を選択後、第二選択項目で「CHO1」、「CH02」または「CH03」…と、遠隔操作器20のブーム伸縮選択スイッチ73を上下に切り換えることに、ひとつずつ順に表示される。そのため、ブーム伸縮選択スイッチ73で順に周波数チャンネルを切り換え、「起伏選択スイッチ」71で選択後、第三選択項目でその周波数チャンネルの「有効」または「無効」を決定する。これで、事前の使用チャンネル候補群の設定は完了する。
【0044】
次に、遠隔操作器20および本体制御器30での使用チャンネル設定処理についてそれぞれ説明する。
まず、使用チャンネル設定処理のうち、遠隔操作器20側での使用チャンネル設定処理(図4参照)について説明する。
この無線操縦装置で使用チャンネルの設定を行なう際には、オペレータが、上述した使用チャンネル候補群の設定後、まず、遠隔操作器20の電源を一度OFFにしてから再度立ち上げる。
オペレータにより、遠隔操作器20の電源が再度投入(ON)されると、遠隔操作器20の信号処理部21は、記憶部24から事前に振り分けておいた使用可能な周波数チャンネルの束である、使用チャンネル候補群を呼び出し(ステップS11)、仮使用チャンネルの設定を行う(ステップS12)。
【0045】
なお、本体制御器30の使用チャンネル候補群の設定を、遠隔操作器20の設定に合わせる場合は、オペレータは、先に遠隔操作器20側の電源を投入(ON)し、その後、クレーン側の本体制御器30の電源をONにしなければならない。本体制御器30で全ての周波数チャンネルのスキャンを行う前に、操作器初期データを遠隔操作器20側から送信しておく必要があるからである。なお、先に遠隔操作器20側の電源投入が必要なのは、本体制御器30の使用チャンネル候補群の設定を、遠隔操作器20の設定に合わせる場合のみであり、その必要がないときは、遠隔操作器20側から電源投入をする必要はない。
【0046】
ここでは、例として事前の使用チャンネル候補群の設定において、上記3つのメニューのうち、「グループ」メニューの「Bグループ」を新たに事前設定したものとする。また、「Bグループ」では「6チャンネル」、「7チャンネル」、「8チャンネル」、「9チャンネル」および「10チャンネル」が割り当てられているものとする。遠隔操作器20の電源ON後、遠隔操作器20の信号処理部21は、記憶部24から「Bグループ」を呼び出す。ここで、前回使用していた「グループ」は、「Aグループ」であったとする。つまり、事前の使用チャンネル候補群の設定において、「Aグループ」から「Bグループ」へと変更があったものとする。よって、後述する、クレーン側の本体制御器30の記憶部34では、使用チャンネル候補群として「Aグループ」の設定が記憶領域に残ったままになっている。
【0047】
次いで、遠隔操作器20は、仮使用チャンネルでキャリアセンスを開始し(ステップS13)する。この例では、遠隔操作器20は、「Bグループ」内に割り当てられている6チャンネルから順々に、キャリアセンスを行う。そして、同チャンネルでの他電波の有無を判定する(ステップS14)。このとき、仮使用チャンネルが他の機器で使用されていた場合は、使用チャンネル候補群の中の、別の周波数チャンネルに仮使用チャンネルを変更し(ステップS15)、再び空きチャンネルを探すという処理を繰り返す(ステップS13〜S15)。空きチャンネルが見つかり(ステップS14での「No」)キャリアセンスが終了すると、その空きチャンネルを使用チャンネルとし(ステップS16)、「IDコードデータ」+「使用チャンネル候補群データ」(つまり、上記「操作器初期データ」)を本体制御器30側へ送信する(ステップS17)。例えば、使用現場において、「6チャンネル」、「8チャンネル」が既に使用されているとした場合、「6チャンネル」は使用不可であるものの、次に「7チャンネル」が使用可能なので、ここでキャリアセンスが終了するとともに、この「7チャンネル」を用いて「IDコードデータ」+「Bグループ」という「操作器初期データ」が本体制御器30へ送信されることになる。その後、遠隔操作器20では、クレーン側の本体制御器30からの「通信準備完了データ」を受信待機状態となる(ステップS18)。
【0048】
ここで、遠隔操作器20側での使用チャンネル設定処理において、使用チャンネル候補群の設定内の周波数チャンネルで空きチャンネルが見つからない場合、つまり、上記例において、「Bグループ」内での6から10チャンネル全てが使用現場で使用されているときには、キャリアセンスは終了せず、電波を送信することはできない。その結果、この場所での「Bグループ」内での周波数チャンネルによる遠隔操作はできないことになる。よってオペレータは、最初に設定した使用チャンネル候補群として、当該使用できない「Bグループ」の設定を変更して、別のグループの使用チャンネル候補群に設定し直す必要がある。
【0049】
次に、クレーン側の本体制御器30での使用チャンネル設定処理について説明する(図5参照)。
本体制御器30での使用チャンネル設定処理は、オペレータがクレーン側の本体制御器30の電源を投入(ON)すると実行され、本体制御器30の信号処理部31では、最初に記憶されている使用チャンネル候補群を記憶部34から呼び出す(ステップS20)。
次に、本体制御器30は、遠隔操作器20側から送信された「操作器初期データ」を受信するために、割り当てられている全40チャンネルの中から、1チャンネルから順にスキャンを掛けて、「操作器初期データ」の取得(キャッチ)を開始する(ステップS21〜S25)。つまり、遠隔操作器20側で新たに使用チャンネル候補群を書き換えられているか否かに係らず、1チャンネルから順に40チャンネル分スキャンして、遠隔操作器20からの電波のキャッチを行う。
【0050】
すなわち、40チャンネル全てをスキャンする理由は、クレーン側の本体制御器30では、遠隔操作器20側で新たな使用チャンネル候補群に書き換えられ、本体制御器30で記憶されている使用チャンネル候補群と相違してしまうと、遠隔操作器20からの電波をキャッチすることはできない。上述の例では、前回が「Aグループ」である、1チャンネルから5チャンネルのうちいずれかの周波数チャンネルで使用可能な周波数チャンネルが設定されていたものが、今回は7チャンネルで送信されているため、受信することはできない。
【0051】
また、本体制御器30では、今回は遠隔操作器20側で新たに使用チャンネル候補群が書き換えられたかどうか、さらに遠隔操作器20側で新たに書き換えられたならば、どの使用チャンネル候補群に書き換えられたか、把握することができない。そこで、本体制御器30では、40個の周波数チャンネルの全てをスキャンして順次にチェックすることで、遠隔操作器20からの「操作器初期データ」を受信することにより、本体制御器30自身の使用チャンネル候補群を設定するようにしている(以下、「一回目のスキャン」ともいう)。
【0052】
次いで、本体制御器30の信号処理部31は、遠隔操作器20側からの「操作器初期データ」を、この一回目のスキャンによってキャッチした場合(ステップS23での「Yes」)、予め呼び出しておいた使用チャンネル候補群と、新たにキャッチした「操作器初期データ」の使用チャンネル候補群データとを比較し、両データが一致するかを判定する(ステップS30)。
【0053】
一致した場合は(ステップS30での「Yes」)、前回記憶した使用チャンネル候補群をそのまま使用できるので、新たに書き換えることなく、「通信準備完了データ」を遠隔操作器20へアンサーバックとして送信する(ステップS33)。また、一致しなかった場合は(ステップS30での「No」)、記憶部34の使用チャンネル候補群の設定変更を行うために、今回新たに受信した操作器初期データにおける使用チャンネル候補群データを、本体制御器30内の記憶部34に新たに上書きし(ステップS31)、その後、「通信準備完了データ」を遠隔操作器20へアンサーバックとして送信する(ステップS33)。
【0054】
一方、一回目のスキャンが全ての周波数チャンネルに対して終了してもなお、操作器初期データをキャッチできなかった場合は(ステップS23での「No」〜ステップS24での「Yes」)、再度「操作器初期データ」を受信するために、今度は予め呼び出しておいた使用チャンネル候補群から、再び1つ1つ順次にスキャンを掛ける(以下、「二回目のスキャン」ともいう)。但し、この二回目のスキャンにおける作業ループの意義は、うまく「操作器初期データ」をキャッチできなかった場合の「保険」としての役割よりも、使用チャンネル候補群の設定切り替えを行わず、前回のままの使用チャンネル候補群を使用して通常運転を行なう場合の作業ループである。
【0055】
そして、二回目のスキャン(ステップS26〜S29の処理)によって、クレーン側の本体制御器30の信号処理部31では、「操作器初期データ」をキャッチすると、「通信準備完了データ」を遠隔操作器20へアンサーバックとして送信し(ステップS32)、通常運転モードに移行する。
しかし、本体制御器30が一回目のスキャンで遠隔操作器20側の「操作器初期データ」を受信し逃がしてしまった場合、この二回目のスキャン作業でも当然、「Aグループ」では「Bグループ」をキャッチすることはできないので、この場合は、本体制御器30は受信待ちの状態となり、通常運転モードに移行しない。この場合、オペレータは再度、本体制御器30の電源を一度OFFにし、再び電源を立ち上げて再度一回目のスキャンから開始する必要が有る。
【0056】
以上説明したように、この車両搭載型クレーンの無線操縦装置によれば、遠隔操作器20の操作器側設定手段(ステップS11〜S18の処理(図4))が、遠隔操作器20で設定されている使用チャンネル候補群の中から周波数チャンネルを選択し、キャリアセンスをして空きチャンネルを探し、使用チャンネルを設定するので、選択した使用可能な周波数チャンネル以外の周波数チャンネルを使用することなしに、遠隔操作器20側での使用可能な周波数チャンネルを設定することができる。
【0057】
そして、本体制御器30の制御器側設定手段(ステップS20〜S33の処理(図5))は、遠隔操作器20から受信した周波数チャンネルを本体制御器30での使用チャンネルに設定するので、やはり遠隔操作器20で選択した使用可能な周波数チャンネル以外の周波数チャンネルを使用する必要がない。
また、この制御器側設定手段は、遠隔操作器20側からの操作器初期データが取得されたときに、その取得された操作器初期データに基づいて使用チャンネル候補群を設定するので、以降、遠隔操作器20と本体制御器30は同じ使用チャンネル候補群を設定しているため、容易に使用可能な周波数チャンネルの設定ができ、送信不能トラブルを防止することができる。
なお、本発明に係る作業機用無線操縦装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、本体制御器30での「操作器初期データ」のスキャン開始タイミングは、当該本体制御器30の電源をONすることにより、本体制御器30の記憶部34に記憶されている使用チャンネル候補群を呼び出し、40チャンネル分全てについて、1チャンネルからスキャンを開始するようプログラミングされている例を説明したが、これに限らず、例えばこのスキャン作業開始のタイミングとして、本体制御器30あるいはクレーン1の適所にリセットボタンを設け、当該リセットボタンを作動させることで、スキャン作業を開始するようにしてもよい。このような構成であれば、本体制御器30が一回目のスキャンで遠隔操作器20側の「操作器初期データ」を受信し逃してしまった場合でも、本体制御器30の電源を再び立ち上げ直す必要もなく、「操作器初期データ」のキャッチを確実に行なう上で好適である。
【符号の説明】
【0059】
1 クレーン
2 アウトリガ
4 ベース
5 旋回用油圧モータ
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ
9 ブーム起伏用油圧シリンダ
10 ウインチ用油圧モータ
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
18 コントローラ
19 コントロールバルブ
20 遠隔操作器
21 信号処理部
22 受信部
23 送信部
24 記憶部
30 本体制御器
31 信号処理部
32 受信部
33 送信部
34 記憶部
71 ブーム起伏選択スイッチ
72 フック巻上巻下選択スイッチ
73 ブーム伸縮選択スイッチ
74 左右旋回選択スイッチ
75 速度レバー
77 表示部
80 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機本体側に設けられる本体制御器と、この本体制御器との間で必要なデータを無線通信で授受する遠隔操作器とを備え、複数の周波数チャンネルが区分けされて割り当てられており、そのうちの一の周波数チャンネルを使用チャンネルとして選択してこれを前記無線通信に用いる無線操縦装置であって、
前記遠隔操作器は、当該遠隔操作器による通常操作とは異なるスイッチ操作によって起動されることで当該遠隔操作器の所定の操作入力に基づいて、前記複数の周波数チャンネルから前記所定の操作入力に応じて一ないし複数の使用可能な周波数チャンネルである使用チャンネル候補群を設定する使用チャンネル候補群設定手段と、前記使用チャンネル候補群を参照して当該使用チャンネル候補群から空きチャンネルを使用チャンネルとして設定する操作器側設定手段とを有し、
前記本体制御器は、前記操作器側設定手段が空きチャンネルを使用チャンネルとして設定後に、前記操作器側設定手段が設定した使用チャンネルを自身の使用チャンネルに設定する制御器側設定手段を有することを特徴とする作業機用無線操縦装置。
【請求項2】
前記操作器側設定手段は、前記空きチャンネルを使用チャンネルに設定し且つその使用チャンネル候補群情報を含む所定の操作器初期データを設定してこれを前記本体制御器へ送信し、
前記制御器側設定手段は、前記遠隔操作器が前記操作器初期データを送信中の状態で、全ての周波数チャンネルを順次にスキャンして、受信した周波数チャンネルを自身の使用チャンネルに設定するとともに、その取得された操作器初期データに基づいて自身の使用チャンネル候補群を設定することを特徴とする請求項1に記載の作業機用無線操縦装置。
【請求項3】
前記遠隔操作器の使用チャンネル候補群設定手段は、前記遠隔操作器に設けた表示部に使用チャンネル候補群を表示させて、使用チャンネル候補群の設定操作を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の作業機用無線操縦装置。
【請求項4】
前記遠隔操作器の使用チャンネル候補群設定手段は、「個別」、「グループ」、「全チャンネル」から任意選択可能であって、
「個別」選択時は、全ての周波数チャンネルを各々個別に使用チャンネル候補として選択可能であり、
「グループ」選択時は、予め設定された複数の周波数チャンネルのグループを使用チャンネル候補として選択可能であり、
「全チャンネル」選択時は、全ての周波数チャンネルが使用チャンネル候補として設定されることを特徴とする請求項1に記載の作業機用無線操縦装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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