説明

作業機連結装置の電源ハーネス連結構造

【課題】 電源ハーネスを自動的に着脱できる作業機連結装置の電源ハーネス連結構造を提供する。
【解決手段】 連結枠側ハーネス67と作業機側ハーネス68の一方に雄コネクタ71を設け、他方に前記雄コネクタ71と嵌合可能な雌コネクタ72を設け、連結枠31と作業機1とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とを嵌合する作業機連結装置の電源ハーネス連結構造であって、雄コネクタ71は前後方向一端側に雄底壁75を有すると共に該雄底壁75に向けて前後方向に先細りとなる雄案内面78を有し、雌コネクタ71は雄コネクタ72の雄底壁75に対応した雌底壁80と嵌合時に雄案内面78に摺動案内可能な雌案内面83とを有し、雄コネクタ71と雌コネクタ72には夫々接続用の端子を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに作業機を自動連結するようにした作業機連結装置の電源ハーネス連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、トラクタ車体に三点リンク機構を介して連結枠が連結され、この連結枠に上連結部と左右一対の下連結部とが形成され、作業機に上係合部及び左右一対の下係合部が設けられ、上連結部で上係合部を掬い上げることにより、作業機を上係合部廻りに揺動させて一対の下連結部に一対の下係合部を係合させ、トラクタ車体に作業機を着脱自在に自動連結するようにしたものがある。
【0003】
この種の従来の作業機連結装置の電源ハーネス連結構造では、トラクタ車体の電源に接続された連結枠側のハーネスと、作業機に搭載電気機器に接続された作
業機側のハーネスとを一連の連結操作である手動による下部連結部の固定操作で接続するようになっていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2560887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来ではトラクタ車体に作業機を着脱自在に自動連結する最後の工程で、わざわざ下部連結部を固定するのと同時に連結枠側のハーネスと作業機に搭載電気機器に接続された作業機側のハーネスとを、雄雌コネクタを介して手動で連結していた。
本発明は上記問題点に鑑み、下部連結部が自動連結固定される作業機連結装置や下部連結具の固定と分離してハーネス同士を別途自動接続するように作業機の連結位置に操作されたとき又は連結位置からはなれたときに連動して電源ハーネスも同時に自動的に着脱できる作業機連結装置の電源ハーネス連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
請求項1においては、トラクタ車体2にリンク機構3を介して連結された連結枠31にトラクタ車体2の電源に接続された連結枠側ハーネス67を配置し、連結枠31に連結される作業機1に、搭載された電気機器43に接続された作業機側ハーネス68を配置し、
連結枠側ハーネス67と作業機側ハーネス68の一方に雄コネクタ71を設け、他方に前記雄コネクタ71と嵌合可能な雌コネクタ72を設け、連結枠31と作業機1とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とを嵌合する作業機連結装置の電源ハーネス連結構造であって、
雄コネクタ71は前後方向一端側に雄底壁75を有すると共に該雄底壁75に向けて前後方向に先細りとなる雄案内面78を有し、雌コネクタ72は雄コネクタ72の雄底壁75に対応した雌底壁80と嵌合時に雄案内面78に摺動案内可能な雌案内面83とを有し、
雄コネクタ71と雌コネクタ72には夫々接続用の端子を設けている点にある。
【0007】
請求項2においては、請求項1の発明において、雄コネクタ71又は雌コネクタ72のうち少なくとも一方を左右揺動自在に支持しているものである。
請求項3においては、請求項1又は2の発明において、雄コネクタ71は雄底壁75に向けて先細り状となる少なくとも左右の雄側壁77を有し、該雄側壁77の外面が雄案内面78とされ、雌コネクタ72は雌底壁80に向けて先細り状でかつ雄側壁77と対面可能な左右の雌側壁82を有し、該雌側壁82の内面が雌案内面83とされているものである。
【0008】
請求項4においては、請求項1又は2の発明において、雄コネクタ71は雄底壁75に向けて先細り状となる角錐状の雄周壁99を有し、該雄周壁99の外周面が雄案内面78とされ、雌コネクタ72は雌底壁80に向けて先細り状となる角錐状の雌周壁100を有し、該雌周壁100の内面が雌案内面83とされているものである。
請求項5においては、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、雄側端子85又は雌側端子87一方の端子は底壁に固定され、他方の端子は一方の端子に向けて前方向に移動自在で一方の端子に向けて付勢する付勢手段93,94が設けられているものである。
【0009】
請求項6においては、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、雄側端子85又は雌側端子87の一方の端子は、弾性変形により拡張可能な一対の挟持片102から成り、他方の端子は、前記一方の端子の挟持片102間に挿脱自在に内嵌する棒状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1によれば、トラクタ車体に作業機を連結しながら、雌案内面と雄案内面とが摺動案内して、作業機の連結動作に連動して雄コネクタと雌コネクタとが連結され、雄側端子と雌側端子とが自動的に接続され、トラクタ側の電源から作業機側の電気機器に電力を供給可能になる。また、トラクタ車体から作業機を取り外そうとすると、雌案内面と雄案内面とが摺動案内されて、作業機の取り外し動作に連動して雄コネクタと雌コネクタとの連結が外れ、雄側端子と雌側端子との接続が自動的に外れる。従って、端子同士の着脱に当たって、連結操作時に用いるリンク機構の油圧の昇降操作力だけで、また下部連結体のロック操作に接続のための負荷をかけることなく、作業機の着脱に連動して電源ハーネスも同時に自動的に着脱でき、電気を利用する作業機において操縦者のトラクタへの乗り降りなしに電源の着脱が可能になるし、作業機着脱時の電源ハーネスの外し忘れによる電源ハーネスの切損事故もなくなる。
【0011】
請求項2によれば、コネクタ間に多少のずれがあっても一方のコネクタが左右揺動してずれを修正して容易に連結することが出来る。
請求項3によれば、上部連結部を連結した後、上部連結部を中心として下部連結部を前後に揺動して連結することに成るが、この時にコネクタも前後上下方向にスライドして連結しやすくなるとともに、左右の雌側壁間に入った泥土は落下しやすくなる。
【0012】
請求項4によれば、作業機のトラクタ車体への連結に連動して雄コネクタと雌コネクタとが嵌合し、この嵌合によって雄コネクタと雌コネクタとが互いに上下及び左右に位置決め規制され、雄側端子と雌側端子とが確実かつスムーズに接続される。
請求項5によれば、雄コネクタと雌コネクタとの連結に連動して、付勢手段の付勢力により雄側端子と雌側端子との接続を確実になすことができる。また、雄コネクタと雌コネクタとの離間動作に連動して、雄側端子と雌側端子との切り離しをスムーズになし得る。
【0013】
請求項6によれば、雄コネクタと雌コネクタとの連結動作に連動して、一方の端子の一対の挟持片で他方の端子を弾性的に挟持でき、雄側端子と雌側端子との接続を確実になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態を示すコネクタ部分の平面断面図である。
【図2】同トラクタに作業機を連結した状態を示す側面図である。
【図3】同トラクタから作業機を取り外した状態を示す側面図である。
【図4】同連結枠の斜視図である。
【図5】第2実施形態を示すコネクタ部分の平面断面図である。
【図6】第3実施形態を示すコネクタ部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図4は第1実施形態を示し、図2及び図3において、1は、ロータリ耕耘作業と薬剤散布作業と施肥作業と畝立て作業とを同時作業(一工程)で一挙に行えるようにした作業機(畝成形装置)であり、この作業機1は、トラクタ車体2の後部に三点リンク機構3を介して昇降自在に装着されている。
【0016】
三点リンク機構3は、上部の1本のトップリンク28と、下部の左右一対のロワーリンク29とを備えており、トップリンク28の前端側は、トラクタ車体2の後部に取付固定された取付台30に球継手等を介して枢着され、左右ロワーリンク29の前端側はトラクタ車体2の後部に球継手等を介して枢着されている。
トップリンク28及び左右ロワーリンク29の後端側は、作業機1に連結される連結枠31に球継手等を介して枢着されている。
【0017】
トラクタ車体2の後部には、作業機昇降用の油圧装置32が設けられ、この油圧装置32は、左右一対のリフトアーム33を備え、左右のリフトアーム33は、リフトロッド34を介して左右のロワーリンク29に連結されており、左右のリフトアーム33が上下揺動することにより、三点リンク機構3が上下に揺動し、これにより、作業機1を昇降することができるようになっている。
【0018】
前記作業機1は、ロータリ耕耘装置4と、畝成形器5と、薬剤供給装置6と、施肥装置7とを備えている。
ロータリ耕耘装置4は、本実施形態では、サイドドライブ式ロータリが採用され、機枠8と、ロータリ耕耘部9と、耕耘カバー10と、左右一対のゲージ輪11を取付支持する支持フレーム12とを備えている。
【0019】
機枠8は、左右方向中央部のギヤケース14から左右にサポートアーム15を突設すると共に、左側サポートアーム15の外端に伝動ケース16を取り付け、右側サポートアーム15の外端にサイドフレームを取り付けて正面視門型に構成されている。
ギヤケース14上にはトップマスト35が固定され、このトップマスト35と左右のサポートアーム15とが、前記連結枠31に着脱自在に枢支連結されている。
【0020】
ロータリ耕耘部9は、伝動ケース16とサイドフレームとの下部間に回転自在に支持された左右方向の軸心を有する爪軸17と、この爪軸17上に軸心方向にわたって取付固定された多数の耕耘爪18とを備えて構成されており、爪軸17を軸心回りに回転駆動することにより、耕耘爪18が、爪軸17の軸心回りに回転して土中に突入し、土が耕起されると共に砕土されるように構成されている。
【0021】
また、トラクタ車体2のPTO軸19からユニバーサルジョイントを介して作業機1のPIC軸によりギヤケース14内の伝動機構に伝達されると共に、該ギヤケース14から左側サポートアーム15内の伝動軸、伝動ケース16内の伝動機構を経て伝達される動力によって爪軸17が矢示B方向に回転駆動されるようになっている。
支持フレーム12は、前端側がサポートアーム15に左右軸廻りに回動自在に枢着され、支持フレーム12の後端側には、左右方向に配置されたツールバー36を有し、このツールバー36の左右両側に取り付けられた支柱37の下端に、ゲージ輪11が左右軸廻りに回転自在に取り付けられている。
【0022】
また、支持フレーム12とトップマスト35との間に設けられた昇降操作機構26によって、支持フレーム12が前端側の枢着部廻りに上下揺動可能とされている。
畝成形器5は、ロータリ耕耘部9で耕耘された土で畝Rを立てるものである。薬剤供給装置6は薬剤を貯留する薬剤タンク38を備え、施肥装置7は肥料を貯留する肥料タンク39を備えており、これら薬剤タンク38及び肥料タンク39は、支持装置40に取り付けられている。
【0023】
薬剤タンク38及び肥料タンク39は、それらの下部に繰出し装置が設けられていて、薬剤タンク38の下端の繰出し口から薬剤を、また、肥料タンク39の下端の繰出し口から肥料を、それぞれ排出可能としている。
肥料タンク39の繰出し装置は駆動モータ43を有し、駆動モータ43の駆動により肥料を排出するようになっている。
【0024】
また、薬剤供給装置6には、薬剤タンク38から排出された薬剤をロータリ耕耘部9の前方側に導く薬剤導管45が左右一対備えられている。
施肥装置7には、肥料タンク39から排出された肥料を畝成形器5内の土中に導く肥料導管46が左右一対設けられている。
前記作業機1のトップマスト35前上端のピンは、後述する連結枠31の上連結部61と係合される上係合部51を形成し、サポートアーム15に左右各連結ブラケット等を介して設けたピンは、後述する連結枠31の左右下連結部63と係合される下係合部52を形成している。
【0025】
図4に示すように、連結装置として組み込まれる連結枠31は、角パイプ(又は丸パイプ、フラットバー等でもよい)で背面視略A字形状に形成された主枠55を有し、この主枠55の中央上部に上部体56を固着し、左右下部に下部体57を固着し、主枠55の左右中途部を主枠55と同一材料の上補強材59で繋いでいる。
前記上部体56は、トップリンク28の後連結部と連結され、その後部には凹状の上連結部61が形成されている。この上連結部61は作業機1の上係合部51と係合するものである。
【0026】
前記下部体57の前下方に突出した部分には外側方へロワーリンクピン62を突出してロワーリンク29の後連結部と連結され、下部体57の後部には後方開放凹状の下連結部63を形成している。この下連結部63は作業機1の下係合部52を係合するものである。
また、前記下部体57には、横軸66を介してロック部材65が回動可能に支持されており、このロック部材65は下連結部63に係合した下係合部52と係合可能であり、係合することにより下連結部63から下係合部52が離脱するのを阻止する。
【0027】
而して、上連結部61で上係合部51を掬い上げることにより、作業機1を上係合部51廻りに揺動させて一対の下連結部63に一対の下係合部52を係合させ、トラクタ車体2に作業機1を着脱自在に自動連結するようになっている。また、図示省略するが、トラクタ車体2に後方突設したPTO軸19と作業機1のPIC軸とがユニバーサルジョイントを介して作業機1の着脱に連動して自動的に連動連結されるようになっている。
【0028】
図1〜図3において、連結枠31にトラクタ車体2の電源に接続された連結枠側ハーネス67が配置され、肥料タンク39の駆動モータ43(作業機1への搭載電気機器)に接続された作業機側ハーネス68が配置されている。連結枠側ハーネス67と作業機側ハーネス68とで電源ハーネス69が構成されている。
作業機側ハーネス68に雄コネクタ71が設けられ、雄コネクタ71は絶縁性を有する合成樹脂等により構成され、作業機1のトップマスト35の前側の上下方向の中途部等に設けられている。
【0029】
連結枠側ハーネス67に雄コネクタ71と嵌合可能な雌コネクタ72が設けられている。雌コネクタ72は絶縁性を有する合成樹脂等により構成され、連結枠31の上補強材59上に設けられている。
雄コネクタ71又は雌コネクタ72のうち少なくとも一方を左右揺動自在に支持している。なお、雄コネクタ71又は雌コネクタ72のうち少なくとも一方を上下揺動自在にも支持するようにしてもよい。
【0030】
図1において、雄コネクタ71は前端側に雄底壁75を有すると共に、雄底壁75に向けて先細り状となる上下雄側壁76及び左右雄側壁77を有している。該各雄側壁76,77の外面が雄案内面78とされ、雄案内面78は雄底壁75に向けて前方向に先細りとなっている。
雌コネクタ72は雄コネクタ71の雄底壁75に対応した雌底壁80を有すると共に、雌底壁80に向けて先細り状となる上下雌側壁81及び左右雌側壁82を有し、該雌側壁81,82の内面が雌案内面83とされ、雌案内面83は雄案内面78に摺動案内可能となっており、連結枠31に対する作業機1の着脱に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とを着脱自在に嵌合するようになっている。
【0031】
雄底壁75に雄側プラス端子(雄側端子)85と雄側マイナス端子(雄側端子)86とが離間して設けられている。雌底壁80に雌側プラス端子(雌側端子)87と雌側マイナス端子(雌側端子)88とが離間して設けられている。雌側マイナス端子88は連結枠側ハーネス67を介してトラクタ車体2にアースされている。
雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88は大径部89と軸部90とを有し、大径部89が雌底壁80に埋設され軸部90の先端側が雌底壁80から前方突出されて、雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88は雌底壁80にそれぞれ埋設固定され、雌底壁80の大径部89後方には挿通凹部91が設けられている。
【0032】
雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86は長い棒状に形成され、それぞれ雄底壁75に前後移動自在に挿通保持されている。雄側プラス端子85を雌側プラス端子87に向けて付勢するプラス端子付勢手段93と、雄側マイナス端子86を雌側マイナス端子88に向けて付勢するマイナス端子付勢手段94とが設けられている。プラス端子付勢手段93及びマイナス端子付勢手段94は、雄側壁76又は雄側壁77に突設した後バネ受け95と、雄側マイナス端子86に固設した前バネ受け96とを有し、後バネ受け95に雄側マイナス端子86が前後移動自在に挿通され、前バネ受け96と後バネ受け95との間に圧縮コイルバネ97が設けられている。従って、雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86は圧縮コイルバネ97により前方に付勢されて、雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86の先端側が挿通凹部91に挿通されて、雌側プラス端子87及び雌側マイナス端の大径部89に押圧接当され、これにより雄側プラス端子85と雌側プラス端子87とが接続され、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88とが接続されるようになっている。
【0033】
而して、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87とは互いに対応され、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88とは互いに対応されており、雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86はそれぞれ雌側プラス端子87又は雌側マイナス端子88に向けて前方向に移動自在に支持され、連結枠31に対する作業機1の着脱に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とを着脱自在に嵌合することにより、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87とが接続され、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88とが接続されるようになっている。
【0034】
上記実施形態によれば、トラクタ車体2に作業機1を連結する場合、作業機昇降用の油圧装置32を操作して、上連結部61で上係合部51を掬い上げることにより、作業機1を上係合部51廻りに揺動させて一対の下連結部63に一対の下係合部52を係合させ、トラクタ車体2に作業機1を自動連結させることができる。
このとき、雌コネクタ72と雄コネクタ71とが互いに接近し、雌案内面83と雄案内面78とが摺動案内して、連結枠31に対する作業機1の着脱に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とが着脱自在に嵌合する。この嵌合によって雄コネクタ71と雌コネクタ72とが互いに上下及び左右に位置決め規制される。しかも、プラス端子付勢手段93が雄側プラス端子85を雌側プラス端子87に向けて付勢し、マイナス端子付勢手段94が雄側マイナス端子86を雌側マイナス端子88に向けて付勢しているため、雄コネクタ71と雌コネクタ72とが嵌合することにより、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87とが自動的に確実かつスムーズに接続されると共に、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88とが自動的に確実かつスムーズに接続され、トラクタ車体2側の電源から作業機1側の駆動モータ43(電気機器)に電力を供給可能になる。従って、トラクタ車体2に作業機1を自動連結すると同時に、トラクタ車体2側の電源で駆動モータ43を駆動して肥料を排出できるようになる。
【0035】
トラクタ車体2から作業機1を取り外す場合、作業機昇降用の油圧装置32を操作して作業機1を接地させた後、下部体57のロック部材65によるロックを解除し、作業機昇降用の油圧装置32を操作して連結枠31を下降させて、上係合部51の上連結部61への係合を外すと共に、一対の下係合部52の一対の下連結部63への係合を外して、ややトラクタ車体2を前方移動させればよく、トラクタ車体2から作業機1を外すことができる。
【0036】
このとき、雌コネクタ72と雄コネクタ71とが互いに離間し、連結枠31に対する作業機1の取り外し動作に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72との嵌合が外れ、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87との接続が自動的に外れると共に、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88との接続が自動的に外れる。
従って、作業機1の着脱に連動して電源ハーネス69も同時に自動的に着脱でき、電気を利用する作業機1において操縦者のトラクタへの乗り降りなしに電源の着脱が可能になるし、作業機1着脱時の電源ハーネス69の外し忘れによる電源ハーネス69の切損事故もなくなる。
【0037】
図5は第2実施形態を示し、雌底壁80に雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88に対応して挿通孔101が設けられ、雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88は、弾性変形により拡張可能な一対の挟持片102を有している。一対の挟持片102の基端部は挿通孔101から雌底壁80内に埋設固定され、一対の挟持片102の先端側は波形に屈曲されて挿通孔101から前方突出されている。雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86は、前記雌側プラス端子87又は雌側プラス端子87の挟持片102間にそれぞれ挿脱自在に内嵌する棒状に形成されている。
【0038】
而して、連結枠31に対する作業機1の着脱に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とが着脱自在に嵌合することにより、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87とが接続され、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88とが接続されるようになっている。その他の点は前記第1実施形態と同様の構成である。
この第2実施形態の場合、雄コネクタ71と雌コネクタ72との連結動作に連動して、雌側プラス端子87の挟持片102で雄側プラス端子85を弾性的に挟持でき、雌側マイナス端子88の挟持片102で雄側マイナス端子86を弾性的に挟持でき、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87との接続を確実になし得るし、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88との接続を確実になし得る。また、雄コネクタ71と雌コネクタ72との離間動作に連動して、雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88の一対の挟持片102による雄側プラス端子85又は雄側マイナス端子86の挟持をスムーズに解除でき、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87との切り離しを確実になし得るし、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88との切り離しを確実になし得る。
【0039】
図6は第3実施形態を示している。雄コネクタ71と雌コネクタ72とが上下方向に長く配置され、それぞれ雄コネクタ71は作業機1のトップマスト35の前側中途部等に固設されている。雌コネクタ72は連結枠31の上補強材59等に固設されている。
雄コネクタ71は前端側に雄底壁75を有すると共に、雄底壁75に向けて先細り状となる左右の雄側壁77を有している。該雄側壁77の外面が雄案内面78とされ、雄案内面78は雄底壁75に向けて前方向に先細りとなっている。
【0040】
雌コネクタ72は雄コネクタ71の雄底壁75に対応した雌底壁80を有すると共に、雌底壁80に向けて先細り状となる左右の雌側壁82を有し、該雌側壁82の内面が雌案内面83とされ、雌案内面83は雄案内面78に摺動案内可能となっており、連結枠31に対する作業機1の着脱に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とを着脱自在に嵌合するようになっている。
【0041】
雄底壁75に雄側プラス端子85と雄側マイナス端子86とが上下に離間して設けられている。雌底壁80に雌側プラス端子87と雌側マイナス端子88とが上下に離間して設けられている。なお、雄底壁75の雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86と雌底壁80の雌側プラス端子87と雌側マイナス端子88とは、図1の実施形態のように形成してもよいし、第2実施形態のように形成してもよく、連結枠31に対する作業機1の着脱に連動して雄コネクタ71と雌コネクタ72とを着脱自在に嵌合することにより、雄側プラス端子85と雌側プラス端子87とが接続され、雄側マイナス端子86と雌側マイナス端子88とが接続されるようになっている。その他の点は前記第1実施形態の場合と同様の構成である。
【0042】
なお、前記実施形態では、作業機側ハーネス68を作業機1に搭載した電気機器として肥料タンク39の駆動モータ43に接続しているが、これに代え、薬剤タンク38に薬剤繰出し用の駆動モータを備える場合には、作業機側ハーネス68を薬剤繰出し用の駆動モータに接続するようにしてもよいし、作業機側ハーネス68を肥料タンク39の駆動モータ43と薬剤繰出し用の駆動モータとの両方に接続するようにしてもよい。また、作業機1側に洗車ポンプを駆動するモータその他の電気機器を搭載して、作業機側ハーネス68をこれに接続するようにしてもよい。
【0043】
また、連結枠側ハーネス67に雄コネクタ71を設け、作業機側ハーネス68前記雄コネクタ71と嵌合可能な雌コネクタ72を設けるようにしてもよい。
また、第1実施形態では、雄側プラス端子85を雌側プラス端子87に向けて付勢するプラス端子付勢手段93と、雄側マイナス端子86を雌側マイナス端子88に向けて付勢するマイナス端子付勢手段94とが設けられているが、これに代え、雌側プラス端子87を雄側プラス端子85に向けて付勢するプラス端子付勢手段を設け、雌側マイナス端子88を雄側マイナス端子86に向けて付勢するマイナス端子付勢手段を設けるようにすることも可能である。
【0044】
また、第2実施形態では、雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88は、弾性変形により拡張可能な一対の挟持片102を有しているが、これに代え、雄側プラス端子85及び雄側マイナス端子86に、弾性変形により拡張可能な一対の挟持片102を具備させ、雌側プラス端子87及び雌側マイナス端子88を挟持片102間にそれぞれ挿脱自在に内嵌する棒状に形成するようにしてもよい。
【0045】
また、雄コネクタ71は雄側壁として雄底壁75に向けて先細り状となる上下雄側壁76のみを有し、これに対応して雌コネクタ72は雌側壁として雌底壁80に向けて先細り状となる上下雌側壁81のみを有するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、1つの雄コネクタ71に雄側プラス端子85と雄側マイナス端子86とが設けられ、1つの雌コネクタ72に雌側プラス端子87と雌側マイナス端子88とが設けられているが、これに代え、1つの雄コネクタ71に1つの雄側プラス端子(雄側端子)85を設けると共に、1つの雌コネクタ72に1つの雌側プラス端子(雌側端子)87を設け、機体アースで戻ってくるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 作業機
3 三点リンク機構
67 連結枠側ハーネス
68 作業機側ハーネス
69 電源ハーネス
71 雄コネクタ
72 雌コネクタ
75 雄底壁
76 上下雄側壁
77 左右雄側壁
78 雄案内面
80 雌底壁
81 上下雌側壁
82 左右雌側壁
83 雌案内面
85 雄側プラス端子
86 雄側マイナス端子
87 雌側プラス端子
88 雌側マイナス端子
93 プラス端子付勢手段
94 マイナス端子付勢手段
102 挟持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ車体(2)にリンク機構(3)を介して連結された連結枠(31)にトラクタ車体(2)の電源に接続された連結枠側ハーネス(67)を配置し、連結枠(31)に連結される作業機(1)に、搭載された電気機器(43)に接続された作業機側ハーネス(68)を配置し、
連結枠側ハーネス(67)と作業機側ハーネス(68)の一方に雄コネクタ(71)を設け、他方に前記雄コネクタ(71)と嵌合可能な雌コネクタ(72)を設け、連結枠(31)と作業機(1)とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタ(71)と雌コネクタ(72)とを嵌合する作業機連結装置の電源ハーネス連結構造であって、
雄コネクタ(71)は前後方向一端側に雄底壁(75)を有すると共に該雄底壁(75)に向けて前後方向に先細りとなる雄案内面(78)を有し、雌コネクタ(72)は雄コネクタの雄底壁(75)に対応した雌底壁(80)と嵌合時に雄案内面(78)に摺動案内可能な雌案内面(83)とを有し、
雄コネクタ(71)と雌コネクタ(72)には夫々接続用の端子を設けていることを特徴とする作業機連結装置の電源ハーネス連結構造。
【請求項2】
雄コネクタ(71)又は雌コネクタ(72)のうち少なくとも一方を左右揺動自在に支持していることを特徴とする請求項1に記載の作業機連結装置の電源ハーネス連結構造。
【請求項3】
雄コネクタ(71)は雄底壁(75)に向けて先細り状となる少なくとも左右の雄側壁(76,77)を有し、該雄側壁(76,77)の外面が雄案内面(78)とされ、雌コネクタ(72)は雌底壁(80)に向けて先細り状でかつ雄側壁(76,77)と対面可能な左右の雌側壁(81,82)を有し、該雌側壁(81,82)の内面が雌案内面(83)とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機連結装置の電源ハーネス連結構造。
【請求項4】
雄コネクタ(71)は雄底壁(75)に向けて先細り状となる角錐状の雄周壁(99)を有し、該雄周壁(99)の外周面が雄案内面(78)とされ、雌コネクタは雌底壁(80)に向けて先細り状となる角錐状の雌周壁(100)を有し、該雌周壁(100)の内面が雌案内面(83)とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機連結装置の電源ハーネス連結構造。
【請求項5】
雄側端子(85)又は雌側端子(87)一方の端子は底壁に固定され、他方の端子は一方の端子に向けて前方向に移動自在で一方の端子に向けて付勢する付勢手段(93,94)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機連結装置の電源ハーネス連結構造。
【請求項6】
雄側端子(85)又は雌側端子(87)の一方の端子は、弾性変形により拡張可能な一対の挟持片(102)から成り、他方の端子は、前記一方の端子の挟持片(102)間に挿脱自在に内嵌する棒状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機連結装置の電源ハーネス連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−76470(P2012−76470A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220469(P2010−220469)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】