説明

作業機

【課題】 トラクタにオートヒッチで連結される作業機を、オートヒッチに連結される前の状態である待機姿勢に、ゲージ輪をスタンドとして利用することで簡単な操作で保持できるように工夫する。
【解決手段】 機枠に左右方向の回動軸心X廻りに回動自在に支持された回動部材64に設けた第1アーム65の先端側に支持部材68の上部を枢支連結すると共に該支持部材68の下部にゲージ輪70を取り付け、前記回動部材64に設けた第2アーム66と機枠とにわたって設けた高さ調整手段73によって第2アーム66を回動部材64と一体回動させることにより第1アーム65が回動部材64と一体回動してゲージ輪70の高さが調整可能とされ、第1アーム65の第2アーム66に対する回動軸心X回りの相対位置を、作業姿勢でゲージ輪70の高さを調整可能な作業位置と、ゲージ輪70を下降させることで作業機1を待機姿勢に保持可能なスタンド位置とに位置変更可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラクタの後部にオートヒッチによって連結される作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機に上連結部とその下方の下連結部とを設け、該作業機が作業姿勢に対して前下がり状の待機姿勢の状態において、上連結部をトラクタの後部に設けられた連結装置によって下からすくい上げると、作業機が連結装置に近づくように上連結部回りに回動して下連結部が連結装置に連結されるように構成された作業機がある(特許文献1参照)。
この作業機にあっては、連結装置から外した待機姿勢に保持するのに専用のスタンドが使われている。
このスタンドは、作業機に設けられた取付部に挿脱自在に挿入されて取り付けられる被取付部を備えており、作業機を連結装置に連結した後は、被取付部を取付部から抜脱し、該スタンドを上下反転させて再び被取付部を取付部に挿入することにより、該スタンドが退避状態に取り付けられるように構成されている。
【特許文献1】特開平10−286005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の作業機にあっては、トラクタに対する着脱時において、重いスタンドを上下反転させなければならず、重労働であるという問題がある。
また、専用のスタンドが必要でありコストアップの要因となるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、作業機の高さを決定するゲージ輪を使って、作業機を簡単に待機姿勢に保持させることができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、作業機を作業姿勢に対して前下がり状となる待機姿勢とした状態において、作業機側の上連結部を走行車両の後部に設けられた連結装置によって下からすくい上げると、作業機が連結装置に近づくように上連結部回りに回動して作業機側の下連結部が連結装置に連結されるように構成された作業機において、
機枠に左右方向の回動軸心廻りに回動自在に支持された回動部材に第1アームと第2アームとを設け、第1アームの先端側に支持部材の上部を枢支連結すると共に該支持部材の下部にゲージ輪を取り付け、第2アームと機枠とにわたって設けた高さ調整手段によって第2アームを回動部材と一体回動させることにより第1アームが回動部材と一体回動してゲージ輪の高さが調整可能とされ、第1アームの第2アームに対する前記回動軸心回りの相対位置を、作業姿勢でゲージ輪の高さを調整可能な作業位置と、ゲージ輪を下降させることで作業機を前記待機姿勢に保持可能なスタンド位置とに、位置変更可能としたことを特徴とする。
【0005】
また、第2アームを、回動部材に対して回動軸心回りに相対回動可能な取付部材に固定し、この取付部材に係止プレートを固定し、この係止プレートに回動軸心方向で対向する被係止プレートを回動部材に固定し、第1アームの作業位置とスタンド位置とのそれぞれの位置において係止プレートと被係止プレートとを貫通することで取付部材と回動部材とを相対回動不能にロックするロック部材を設けることにより、第1アームの位置を変更自在としてもよい。
また、作業機を昇降自在で且つ上昇させることによって該作業機を走行車両に近接可能な連結装置によって走行車両に連結される作業機であって、
前記ロック部材によるロックを解除するロック解除手段と、回動部材の取付部材に対する回動軸心回りの回動操作をする操作手段とを備え、作業機を上昇させて走行車両に近づけることにより、前記ロック部材の解除操作と、回動部材の取付部材に対する回動操作とを走行車両側から操作可能とするのがよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1アームの第2アームに対する回動軸心回りの相対位置を、作業姿勢でゲージ輪の高さを調整可能な作業位置からスタンド位置に変更することにより、ゲージ輪が下降して該ゲージ輪で作業機を待機姿勢に保持することができ、ゲージ輪を、作業姿勢での作業機の高さを決定する位置から、作業機を待機姿勢に保持する位置にワンタッチで簡単に変更させることができる。
また、スタンドとしてゲージ輪を利用しているので、専用のスタンドが不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3において、1はトラクタ2の後部に連結装置(オートヒッチ)3を介して着脱自在に連結される作業機であり、本実施の形態では、該作業機1として、圃場を移動しながら、ロータリ耕耘作業と、畝立て作業と、マルチフィルムFの敷設作業とを一工程で同時に行い得る畝立てマルチャが例示されている。
前記作業機1は、ロータリ4と、畝整形器5と、マルチフィルム敷設装置6とを備えており、ロータリ4が連結装置3に連結されていると共に、該ロータリ4に畝整形器5と、マルチフィルム敷設装置6とが支持されている。
【0008】
ロータリ4は、本実施の形態ではセンタードライブ式ロータリが採用されており、該ロータリ4は、ロータリ機枠(第1の機枠)7と、このロータリ機枠7の下部に設けられたロータリ耕耘部9と、このロータリ耕耘部9を覆うロータリカバー10とを備えている。
ロータリ機枠7は、ギヤケース11と、このギヤケース11から下方に突出する伝動ケース12と、前記ギヤケース11の左右両側から左右方向外方に突設された左右のサポートアーム13とを備えてなる。
前記ロータリ耕耘部9は、伝動ケース12の下部から左右両側に突出され且つ左右方向の軸心回りに回転自在に支持された左右一対の爪軸14と、この爪軸14上に取付固定された多数の耕耘爪15とを有し、爪軸14を、左右軸回りに図1、2において符号Aで示す方向に回転駆動することにより、耕耘爪15が爪軸14回りに回転しながら土中に突入して、土が耕起されると共に砕土されて後方に放てきされるように構成されている。
【0009】
前記ギヤケース11には、トラクタ2のPTO軸16にジョイント装置を介して連動連結されるPIC軸17が設けられ、PTO軸16からPIC軸17に伝達された動力はギヤケース11内の伝動機構に伝達され、このギヤケース11に入力された動力は伝動ケース12内の伝動機構を介して爪軸14に伝達され、該動力により該爪軸14が矢示A方向に回転駆動される。
また、ギヤケース11にはトップマスト18が上方突出状に設けられていると共に、このトップマスト18の下部から前方側に突出状に上連結ブラケット19が設けられ、この上連結ブラケット19の先端側(前端側)には、左右方向に配置されたピンによって構成された上連結部20が固定されている。
【0010】
前記左右各サポートアーム13の外端には下連結ブラケット21が固定され、この左右各下連結ブラケット21の前端側には、左右方向に配置されたピンによって構成された下連結部22が左右方向に配置されて固定されている。
一方、前記連結装置3は、上部のトップリンク23と、下部の左右一対のロワーリンク24と、これらトップリンク23と左右ロワーリンク24との後端側に連結されていてこれらトップリンク23及び左右ロワーリンク24に定形を与えるヒッチフレーム25とを有する。
【0011】
トップリンク23の前端側(トラクタ2側)取付部23aは、トラクタ2の後部の背面上部に設けられたトップリンクブラケット26に枢支連結され、左右ロワーリンク24の前端側(トラクタ2側)取付部24aは、トラクタ2後部の左右方向で同じ側の側部下部に枢支連結されている。
ヒッチフレーム25は、図6にも示すように、角パイプ材を正面視山形状に折曲して形成されたメインフレーム27と、このメインフレーム27の頂部に設けられた上部材28と、メインフレーム27の左右両側下部に設けられた下部材29とを備えてなる。
【0012】
上部材28の前部側にはトップリンク23の後端側(作業機1側)取付部23bが枢支連結されていると共に、該上部材28の後部側には前記上連結部20に下側から係合(嵌合)可能な上方に開放状の凹部からなる上係合部30が形成されている。
左右各下部材29の前部側には、左右方向で同じ側にあるロワーリンク24の後端側(作業機1側)取付部24bが枢支連結されていると共に、該下部材29の後部側には左右方向で同じ側にある前記下連結部22が後方から係合(嵌合)可能な後方開放状の凹部からなる下係合部31が形成されている。
【0013】
また、左右各下部材29には、下連結部22が下係合部31に係合した状態で下連結部22の下係合部31からの離反を阻止する係止部材32が設けられている。
この左右の係止部材32は、前後方向中途部が支軸33によって下係合部31に左右方向の軸心回りに回動自在に枢支され、後部側に下連結部22に下側から係合可能なフック部34が形成されていると共に、該係止部材32は下連結部22に係合する方向(図6の反時計回り)に図示省略の捩りコイルバネ等のバネによって付勢されており、下連結部22が後方から近接してフック部34に接当してこれを押圧すると係止部材32が前記バネの付勢力に抗して下側に逃げて下連結部22の下係合部31への係合を許容し、下連結部22が下係合部31に係合するとバネの付勢力によって復帰して、下連結部22の下係合部31からの離反を阻止するように構成されている。
【0014】
また、左右の各係止部材32の前端側には解除リンク35の下端側が枢支連結され、この解除リンク35の上端側は、メインフレーム27の上部側に左右方向の枢軸36回りに回動自在に枢支された回動アーム37の上部側に枢支連結されており、この回動アーム37の上端側には解除レバー38が固定されていて、解除レバー38を下側に揺動操作させると、回動アーム37が後方側に回動して解除リンク35を介して係止部材32の前部側が引き上げられて、該係止部材32のフック部34が下方に引き下げられ、これによって、下連結部22の下係合部31からの離反が許容されるように構成されている。
【0015】
また、解除リンク35を回動アーム37を支持する枢軸36の軸心よりも後方側に位置させると、係止部材32のフック部34が引き下げられた位置に係止部材32が保持されるように構成されている。
また、トラクタ2の後部には作業機昇降用の油圧装置39が設けられ、この油圧装置39の左右両側にはリフトアーム40の基端側(前端側)が左右軸回りに回動自在に設けられ、左右各リフトアーム40の先端側(後端側)は、リフトロッド41を介して左右方向で同じ側にあるロワーリンク24の前後方向中途部に連結されている。
【0016】
前記作業機昇降用油圧装置39は、単動形油圧シリンダによって構成されており、該油圧装置39に圧油を供給すると左右のリフトアーム40が上方に揺動して左右のリフトロッド41が引き上げられ、これによって左右のロワーリンク24,ヒッチフレーム25及びトップリンク23が上方に揺動して連結装置3に連結された作業機1が上昇するように構成されている。
このとき、作業機1は、ロータリ4の上部側がトラクタ2に近づくように上昇するので、作業機1を上昇させてトラクタ2に近づけると、前記解除レバー38がトラクタ2の運転席から操作可能とされている。
【0017】
また、油圧装置39から圧油が抜かれると、左右のリフトアーム40が下方に揺動して左右のリフトロッド41が下方移動し、これによって左右のロワーリンク24,ヒッチフレーム25及びトップリンク23が下方に揺動して連結装置3に連結された作業機1が自重で下降するように構成されている。
前記構成の連結装置3に作業機1を連結する場合、図3に示すように、作業機1を、図1,2に示す作業姿勢に対して前下がりとなる待機姿勢とした状態において、連結装置3の上係合部30が作業機1側の上連結部20の下方に位置するようにトラクタ2をバックさせ、上係合部30が上連結部20の下方に位置した状態でロワーリンク24及びヒッチフレーム25を上昇させて上係合部30によって上連結部20を下からすくい上げると、作業機1が連結装置3(トラクタ2)に近づくように上連結部20回りに回動して作業機1側の下連結部22が連結装置3の下係合部31に係合し、該下連結部22がヒッチフレーム25の下部材29に連結され、これによって作業機1が連結装置3に自動連結される。
【0018】
なお、このときPTO軸16とPIC軸17とを連動連結するジョイント装置の後端側も同時にPIC軸17に接続される。
また、連結装置3から作業機1を取り外す場合は、連結装置3の解除レバー38を引き下げて、係止部材32をそのフック部34が下連結部22から下側に外れた状態に保持しておき、この状態でロワーリンク24及びヒッチフレーム25を下降させることにより作業機1が連結装置3から取り外される。
前記ロータリカバー10は、ロータリ耕耘部9の上方を覆う上部カバー42と、ロータリ耕耘部9の上部の左右両側を覆う側部カバー43とを有し、側部カバー43は上部カバー42に一体形成されている。
【0019】
このロータリカバー10は取付手段44によって、ロータリ機枠7に対して爪軸14の軸心を中心として回動自在で且つ任意の回動位置で固定できるように、該ロータリ機枠7に取り付けられている。
取付手段44は、左右各サポートアーム13に固定された左右一対の固定ブラケット45と、上部カバー42の上面に固定された左右一対の可動ブラケット46と、左右方向で同じ側にある固定ブラケット45と可動ブラケット46とを締結して連結するボルト47とを有する。
【0020】
左右各可動ブラケット46には爪軸14の軸心を中心とする円弧状の長孔48が前後一対形成され、前記ボルト47を、前記各長孔48に通して固定ブラケット45に形成されたネジ孔に螺合させることにより、可動ブラケット46が固定ブラケット45に連結される。
そして、前記ボルト47による締結を緩めることによりロータリ機枠7に対して可動ブラケット46と共にロータリカバー10が爪軸14を中心として回動可能とされ、前記ボルト47を締め付けることにより、ロータリカバー10が任意の回動位置でロータリ機枠7に対して固定されるように構成されている。
【0021】
前記可動ブラケット46には、前記ロータリ機枠7と共に作業機1の機枠を構成する第2の機枠49が固定され、この第2の機枠49に畝整形器5とマルチフィルム敷設装置6とが設けられており、ロータリ機枠7に対して、第2の機枠49と畝整形器5とマルチフィルム敷設装置6とが爪軸14を中心として上下に揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定可能に支持されている。
第2の機枠49は、前記ロータリカバー10の上部カバー42の後方側に該上部カバー42の後縁に沿って左右方向に配置された第1枠体51と、左右可動ブラケット46から後方に突出する第2枠体52と、この第2枠体52の後部から後下方に突出する第3枠体53と、第2枠体52の後部から上方に突出する第4枠体54と、前記第2枠体52の左右両側から下方に延出された第5枠体55とを有する。
【0022】
第1枠体51は、角パイプ等によって構成され、左右の可動ブラケット46の後部に溶接等によって連結されている。
第2枠体52は、左右各可動ブラケット46の後部にボルト等によって固定された左右一対の側枠材52aと、これら左右側枠材52aの後端側を連結する連結枠材52bとから主構成されている。
なお、第2枠体52の側枠材52aは第1枠体51にも固定されていてもよい。
第3枠体53は、第2枠体52の左右各側枠材52aの後部から後下方に突出する左右一対の側枠材53aと、左右方向に配置されていて左右側枠材53aの後端側に溶接等によって連結された横枠材53bとから主構成されている。
【0023】
第4枠体54は、第2枠体52の後部から上方に延出する縦枠部54aと、この縦枠部48の上端から後方に延出する横枠部54bとからL字形に形成されている。
第5枠体55の上端は、側枠材52aの後部下面側及び連結枠材52bの下面側に固定されている。
第1枠体51の下面には、ロータリ耕耘部9の後方側に配置され且つロータリ耕耘部9の左右方向に亘って形成されていて、ロータリ耕耘部9で耕耘されて後方に放てきされる土を受けると共に左右方向中央側に案内するガイド板56が固定されている。
【0024】
畝整形器5はガイド板56の後方で且つロータリ耕耘部9の左右方向中央側に配置されていて、ガイド板56に固定されている。
ガイド板56の畝整形器5に対応する部分は切り欠かれていて、ロータリ耕耘部9で耕耘された土がガイド板56によって受け止められると共に畝整形器5へとガイドされ、該畝整形器5によって畝Rが整形される。
マルチフィルム敷設装置6は、マルチフィルムFが巻回されたフィルムロール57を左右方向の軸心回りに回転自在に支持するロールホルダ58と、畝Rの左右両側においてフィルムロール57から巻き出されたマルチフィルムFのすそを押さえてマルチフィルムFの巻き出しを助けるフィルム押え輪59と、マルチフィルムFの左右両側のすそを覆土する覆土器60とをそれぞれ左右一対有すると共に、畝Rの頂部側においてフィルムロール57から巻き出されたマルチフィルムFを押さえて畝RにマルチフィルムFを沿わせるフィルム押えロール61と、このフィルム押えロール61とフィルムロール57との間に配置されてフィルムロール57から巻き出されたマルチフィルムFをガイドするフィルムガイド62とを備えており、これらのマルチフィルム敷設装置6を構成する部材はそれぞれ支持体を介して第2の機枠49に取り付けられている。
【0025】
前記第2枠体52の左右各側枠材52aの上端側前部に軸受63が固定されており、この軸受63に左右方向の軸心を有する筒体(本実施の形態では六角筒体)からなる回動部材64が軸心(回動軸心X)回りに回動自在に支持されている。
図4にも示すように、この回動部材64には第1アーム65と第2アーム66とが設けられており、第1アーム65は回動部材64の左右両端側に設けられていて左右一対備えられ、第2アーム66は回動部材64の左右方向中央側に1つ配置されている。
左右各第1アーム65の一端側(基端側)は、回動部材64に回動軸心X回りに一体回動自在(相対回動不能)に外嵌された筒体67(本実施の形態では六角筒体)に、該第1アーム65が回動部材64から径方向外方側で且つ後斜め上方側に延出するように固定されている。
【0026】
左右各第1アーム65の他端側(先端側)には、下方に行くに従って後方に移行する傾斜状に配置された支持部材68の上端側が枢軸69を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されており、左右各支持部材68の下端側に、畝Rの左右両側を転動してロータリ4の耕深(作業機1の高さ)を決定するゲージ輪70が左右方向の軸心廻りに回動自在に取り付けられている。
左右の各支持部材68は、前記第5枠体55に左右方向の軸心廻りに回動自在に取り付けられたガイド筒71に長手方向移動自在に挿通されている。
【0027】
第2アーム66の一端側(基端側)は、回動部材64に相対回動自在に外嵌された筒体(本実施の形態では円筒体)からなる取付部材72に、該第2アーム66が回動部材64から径方向外方側で且つ後斜め上方側に延出するように固定されている。
この第2アーム66の先端側と前記トップマスト18とにわたって、ゲージ輪70の高さを調整する高さ調整手段73が設けられている。
この高さ調整手段73は、トップマスト18の上端側から第2アーム66の先端側至るように且つ後方に行くに従って下方に移行する傾斜状に配置されていて長さ方向に伸縮自在な伸縮ロッド74を有し、この伸縮ロッド74は、上端側がトップマスト18に左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されたカバー筒75と、カバー筒75に対して長さ方向Bに移動自在な可動杆76と、前記カバー筒75内に収納されていて前記可動杆76と螺合する図示省略のネジ杆とを備えてなり、前記カバー筒75の上端側に設けられた操作ハンドル77によって前記ネジ杆を軸心回りに回動操作することにより可動杆76が長さ方向Bに移動して伸縮ロッド74が伸縮するように構成されている。
【0028】
前記操作ハンドル77は、作業機1を上昇させてロータリ4の上部側をトラクタ2側に近づけることにより、トラクタ2の運転席側から操作可能とされている。
前記伸縮ロッド74(可動杆76)の先端側は、第2アーム66の先端側にピン79によって左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結された連結部材78に連結されており、したがって伸縮ロッド74を伸縮させることにより、第2アーム66が回動軸心X回りに回動するようになっている。
前記取付部材72はロック手段80によって回動部材64と一体回動するように連結されていて、伸縮ロッド74を伸縮させて第2アーム66を回動軸心X回りに回動することにより、該第2アーム66と回動部材64及び第1アーム65が一体回動してゲージ輪70が上下動する。
【0029】
また、前記ロック手段80によるロックを解除することにより、回動部材64が取付部材72に対して相対回動するように構成されており、且つ、ロック手段80は、第1アーム65の第2アーム66に対する回動軸心X回りの相対位置を、作業姿勢でゲージ輪70の高さを調整可能な作業位置と、ゲージ輪70を下降させることで作業機1を前記待機姿勢に保持可能なスタンド位置とに位置変更できるように、回動部材64に対して取付部材72を二位置でロックすることができるように構成されている。
ロック手段80は、図4、図5に示すように、板面が左右方向に面して配置されていて取付部材72に固定された係止プレート81と、この係止プレート81に対して回動軸心X方向で対向するように配置されていて回動部材64に固定された被係止プレート81と、これら係止プレート81と被係止プレート82とにわたって貫通されて取付部材72と回動部材64との回動軸心X回りの相対回動を規制する(取付部材72に対して回動部材64を回動不能にロックする)ロック部材83とを備えてなる。
【0030】
係止プレート81には、前側の第1ロック孔84と、後側の第2ロック孔85とが貫通形成されている。
被係止プレート82には、ロック部材83の右端側を回動軸心X方向に移動自在に案内するガイド孔86が貫通形成されている。
ロック部材83は、ピンによって構成されていて回動軸心と平行に配置されており、回動部材64に固定された支持台87に左右方向移動自在に支持されている。
支持台87は、前記被係止プレート82の左方側に配置されていると共に、左右方向に所定間隔をおいて配置された左右一対の側壁88と、該左右側壁88の一端同志を連結する連結壁89とからコ字形に形成されており、左右側壁88の他端が回動部材64に溶接固定されている。
【0031】
左右各側壁88には、ロック部材83が挿通されて該ロック部材83を左右方向移動自在に支持する支持孔90が同心状に貫通形成され、ロック部材83の左端には、係止プレート81のロック孔84,85を挿通した状態で支持台87の左側壁88の外面に接当して右方への移動を規制する頭部91が設けられている。
また、ロック部材83には、被係止プレート82の左方に位置するバネ受ピン93が設けられ、このバネ受けピン93と支持台87の右側壁88との間に、ロック部材83をロック孔84,85に挿通する方向(右方)に付勢する付勢部材(コイルバネ)92が介装されている。
【0032】
前記回動部材64を取付部材72に対して相対回動操作する操作手段94は、前記支持台87の連結壁89に、該連結壁89から前方側に延出するように固定された筒状のレバー95と、このレバー95の前端側に設けられた中空状のグリップ96とから構成されている。
前記ロック部材83によるロックを解除するロック解除手段97は、前記レバー95内に軸心方向移動自在に挿通された押圧ロッド98と、この押圧ロッド98の前端側に設けられた押しボタン99と、押圧ロッド98とロック部材83とを連動する連動部材100とを備えている。
【0033】
押圧ロッド98の一端側(前端側)はレバー95からグリップ96内に突出しており、該押圧ロッド98の他端側(後端側)は支持台87の連結壁89を貫通して回動部材64側(側壁88間)に突出している。
押しボタン99は、押圧ロッド98の一端側に固定されていて、グリップ96の内面側に接当することで押しボタン99の抜止めをする接当部99aと、この接当部99aからグリップ96を貫通して該グリップ96から出退自在に突出する押圧部99bとを有する。
【0034】
連動部材100は、L字形に形成されていて、その屈曲部分の内側に設けられたボス101が支持台87の側壁88に固定されたブラケット102にロック部材83に直交する方向に平行な軸心を有する支軸103を介して枢支されており、一端側が押圧ロッド98の他端側に接当し、他端側がロック部材83に設けられた係合ピン104に接当している。
前記構成のロック解除手段97にあっては、押しボタン99の押圧部99bを押圧すると、押圧ロッド98が後方側に押し動かされて該押圧ロッド98により連動部材100が押動されて該連動部材100が支軸103回りに回動し、連動部材100が回動することによりロック部材83が付勢部材92の付勢力に抗して左方に引き動かされて該ロック部材83が係止プレート81のロック孔84,85から抜脱され、これにより回動部材64が取付部材72に対して回動軸心X回りに相対回動自在となる。
【0035】
この状態で操作手段94を揺動操作することにより、回動部材64が回動軸心X回りに回動してゲージ輪70を短時間で上下動させることができる。
また、押しボタン99の押圧力を解除すると、付勢部材92の付勢力により、前記とは逆の動作で、ロック部材83がロック孔84,85に挿通されると共に押しボタン99の押圧部99bがグリップ96から突出する。
また、本実施の形態では、ロック部材83を第1ロック孔84に挿通すると、第1アーム65の第2アーム66に対する回動軸心X回りの相対位置が、作業姿勢でゲージ輪70の高さを調整可能な作業位置となり、ロック部材83を第2ロック孔85に挿通すると、第1アーム65の第2アーム66に対する回動軸心X回りの相対位置が、作業機1を待機姿勢に保持可能なスタンド位置となる。
【0036】
したがって、作業機1をトラクタ2に装着し、ロック部材83を第1ロック孔84に挿通した状態では、ゲージ輪70によって作業機1の作業高さが決定されると共に、高さ調整手段73によってゲージ輪70を上下動することにより作業機1の高さが調整可能となる。
また、本実施の形態にあっては、ロック部材83を第1ロック孔84に挿通した状態において、第2アーム66の先端側と第2の機枠49とを図示省略のロックプレートによって連結して前記回動部材64の回動を規制した状態で、前記取付手段44の固定ブラケット45と可動ブラケット46との締結を緩めて、伸縮ロッド74を伸縮させると、ボルト47が長孔48内を移動して第2の機枠49が爪軸14回りに上下に揺動すると共に、第2の機枠49の上下揺動に伴って畝整形器5及びマルチフィルム敷設装置6も上下に揺動し、これによって、畝整形器マルチフィルム敷設装置6の畝R(圃場、地面)に対する姿勢が変更調整自在とされている。
【0037】
一方、作業機1をトラクタ2に装着し且つ作業機1を上昇させた状態でロック部材83を第2ロック孔85に挿通すると、ゲージ輪70が比較的大きく下降した状態となり、この状態で、フック部34が下連結部22から下側に外れた状態に係止部材32を保持すると共にロワーリンク24及びヒッチフレーム25を下降させると、先ずゲージ輪70が接地して該ゲージ輪70が地面を後方に向けて転動することにより、ロータリ4が上連結部20回りに後方に揺動しながら下降し、下連結部22が下係合部31から後方側に離反する。
【0038】
また、ロータリ4の耕耘爪15が接地すると作業機1が待機姿勢となり、該耕耘爪15とゲージ輪70とで作業機1が待機姿勢に保持される。
この状態で、さらにロワーリンク24及びヒッチフレーム25を下降させると、上係合部30が上連結部20から下方に外れ、これにより作業機1が連結装置3から完全に取り外された状態となる。
前記構成の作業機1にあっては、作業機1を待機姿勢にするスタンドとしてゲージ輪70を利用しているので、専用のスタンドが不要とされ、また、ゲージ輪70の高さを、作業位置とスタンド位置とにワンタッチで変更することができ、また、作業機1を上昇させて該作業機1をトラクタ2に近づけることにより、トラクタ2の運転席側から、ロック部材83の解除操作と、回動部材64の回動操作とをすることが可能とされており、トラクタ2から降りないで(トラクタ2に乗ったまま)作業機1の着脱を行うことができる。
【0039】
本発明は前述した実施形態に限定されることはなく、例えば、取付部材72を回動部材64に一体回動自在に外嵌する又は第2アーム66を直接回動部材64に固定すると共に筒体67を回動部材64に相対回動自在に外嵌することにより、第1アーム65の第2アーム66に対する回動軸心X回りの相対位置を、作業位置とスタンド位置とに位置変更できるようにしてもよい。
この場合は、回動部材64に係止プレート81が設けられ、筒体67に被係止プレート82と操作手段94とが設けられる。
【0040】
また、前述した実施形態は作業機1を3点オートヒッチ式の連結装置3によって連結される場合を例示したが、前記作業機1を2点オートヒッチ式の連結装置3によって自動連結されるようにしてもよい。
この2点オートヒッチ式の連結装置3は、例えば、トラクタ2後部に設けた2点ヒッチを有する特殊ブラケットに前端側が枢支連結され且つ後端側に下係合部31及び係止部材32を備えた左右一対の側フレーム部材と、この側フレーム部材を連結する連結部材の左右方向中央部から上方に延出するように立設されていて上端側に上連結部20に下側から係合する上係合部30が設けられた縦フレーム部材とから構成されたヒッチフレームを備え、左右の側フレーム部材がリフトロッド41を介してリフトアーム40によって上下揺動されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】トラクタの後部に連結装置を介して装着された状態の作業機の前部を示す側面図である。
【図2】トラクタの後部に連結装置を介して装着された状態の作業機の全体を示す側面図である。
【図3】装着前の作業機の待機姿勢を示す側面図である。
【図4】要部の斜視図である。
【図5】要部を上方側から見た断面図である。
【図6】連結装置の後部側を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 作業機
2 トラクタ(走行車両)
3 連結装置
7 ロータリ機枠(作業機の機枠)
20 上連結部
22 下連結部
49 第2の機枠(作業機の機枠)
64 回動部材
65 第1アーム
66 第2アーム
68 支持部材
70 ゲージ輪
72 取付部材
73 高さ調整手段
81 係止プレート
82 被係止プレート
83 ロック部材
94 操作手段
97 ロック解除手段
X 回動軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機(1)を作業姿勢に対して前下がり状となる待機姿勢とした状態において、作業機(1)側の上連結部(20)を走行車両(2)の後部に設けられた連結装置(3)によって下からすくい上げると、作業機(1)が連結装置(3)に近づくように上連結部(20)回りに回動して作業機(1)側の下連結部(22)が連結装置(3)に連結されるように構成された作業機において、
機枠に左右方向の回動軸心(X)廻りに回動自在に支持された回動部材(64)に第1アーム(65)と第2アーム(66)とを設け、第1アーム(65)の先端側に支持部材(68)の上部を枢支連結すると共に該支持部材(68)の下部にゲージ輪(70)を取り付け、第2アーム(66)と機枠とにわたって設けた高さ調整手段(73)によって第2アーム(66)を回動部材(64)と一体回動させることにより第1アーム(65)が回動部材(64)と一体回動してゲージ輪(70)の高さが調整可能とされ、第1アーム(65)の第2アーム(66)に対する前記回動軸心(X)回りの相対位置を、作業姿勢でゲージ輪(70)の高さを調整可能な作業位置と、ゲージ輪(70)を下降させることで作業機(1)を前記待機姿勢に保持可能なスタンド位置とに、位置変更可能としたことを特徴とする作業機。
【請求項2】
第2アーム(66)を、回動部材(64)に対して回動軸心(X)回りに相対回動可能な取付部材(72)に固定し、この取付部材(72)に係止プレート(81)を固定し、この係止プレート(81)に回動軸心(X)方向で対向する被係止プレート(82)を回動部材(64)に固定し、第1アーム(65)の作業位置とスタンド位置とのそれぞれの位置において係止プレート(81)と被係止プレート(82)とを貫通することで取付部材(72)と回動部材(64)とを相対回動不能にロックするロック部材(83)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
作業機(1)を昇降自在で且つ上昇させることによって該作業機(1)を走行車両(2)に近接可能な連結装置(3)によって走行車両(2)に連結される作業機であって、
前記ロック部材(83)によるロックを解除するロック解除手段(97)と、回動部材(64)の取付部材(72)に対する回動軸心(X)回りの回動操作をする操作手段(94)とを備え、作業機(1)を上昇させて走行車両(2)に近づけることにより、前記ロック部材(83)の解除操作と、回動部材(64)の取付部材(72)に対する回動操作とを走行車両(2)側から操作可能であることを特徴とする請求項2に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−300810(P2007−300810A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129493(P2006−129493)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】