作業用走行車
【課題】作業機系の油圧アクチュエータを、他の油圧アクチュエータに悪影響を与えることなく、簡単な駆動回路で駆動させる。
【解決手段】 走行系の動力を変速するHST19、20が設けられた作業用走行車(コンバイン1)において、前記HST19、20のチャージ回路に作業機駆動回路(排出切換バルブ46、47)を接続し、走行停止時に使用される作業機系油圧アクチュエータ(排出モータ14)を、チャージ回路から取り出した油圧で駆動させる。
【解決手段】 走行系の動力を変速するHST19、20が設けられた作業用走行車(コンバイン1)において、前記HST19、20のチャージ回路に作業機駆動回路(排出切換バルブ46、47)を接続し、走行停止時に使用される作業機系油圧アクチュエータ(排出モータ14)を、チャージ回路から取り出した油圧で駆動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行系動力の変速装置としてHSTを備えるコンバインなどの作業用走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
走行系動力の変速装置としてHST(油圧式無段変速装置)を備える作業用走行車が知られている。HSTは、エンジン動力などでポンプ駆動されるHSTポンプ(可変容量油圧ポンプ)と、該HSTポンプの吐出油で駆動されるHSTモータ(固定容量油圧モータ)とからなり、HSTポンプの斜板操作に応じて、HSTモータの出力回転を無段階状に変速させる。また、HSTには、HSTポンプとHSTモータとの間に構成される閉回路の漏洩油を補充したり、HSTポンプを冷却するために、HSTポンプ内に作動油を送るチャージ回路が設けられている。
【0003】
近年、コンバインなどの作業用走行車では、作業機を駆動させる動力として、油圧アクチュエータの動力を用いるケースが増えている(特許文献1参照)。これは、ベルト伝動機構などでエンジン動力を伝動する場合に比べ、配置の自由度が高められるだけでなく、構造の簡略化が図れるからである。例えば、特許文献1に記載のコンバインでは、穀粒を排出するラセン搬送装置を油圧モータで駆動させている。
【特許文献1】特開平10−271909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業機を油圧アクチュエータで駆動させるには、油圧ポンプを追加したり、作業機系油圧回路の大幅な変更が必要になることがあるため、容易に実施できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行系の動力をHSTで変速する作業用走行車において、前記HSTのチャージ回路に作業機駆動回路を接続し、走行停止時に使用される作業機系の油圧アクチュエータを、前記チャージ回路から取り出した油圧で駆動させることを特徴とする。
このように構成すれば、走行系動力の変速装置であるHSTのチャージ回路を利用して、作業機系の油圧アクチュエータを駆動させることができる。しかも、駆動させる作業機系の油圧アクチュエータは、走行停止時に使用されるものであるため、チャージ回路から油圧を取り出しても、HSTの動作に影響を及ぼす不都合がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバイン(作業用走行車)であって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、これを選別する脱穀部(図示せず)と、選別された穀粒を貯溜する穀粒タンク3と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部4と、オペレータが乗車する操作部5と、クローラ式の走行部6とを備えて構成されている。
【0007】
図1〜図4に示すように、穀粒タンク3に貯溜された穀粒は、排出オーガ7を介して機外に搬出される。排出オーガ7は、穀粒タンク3の後部に立設される縦パイプ8と、縦パイプ8の上端部に旋回及び昇降自在に連結される横パイプ9とを備える。穀粒タンク3の底部には、排出ラセン10が内装され、その終端部には、縦パイプ8に内装される縦ラセン11の始端部が、ベベルギヤ機構12を介して連動連結されており、更に、縦ラセン11の終端部には、横パイプ9に内装される横ラセン(図示せず)の始端部が、ベベルギヤ機構(図示せず)を介して連動連結されている。つまり、縦ラセン11を駆動回転させると、排出ラセン10及び横ラセンが連動するように構成されており、これらのラセン回転によって、穀粒タンク3内の穀粒が排出オーガ7を介して機外に排出される。この穀粒搬出作業は、機体の走行を停止させ、横パイプ9の先端位置を排出先に位置合せした上で実行される。
【0008】
縦ラセン11は、ギヤケース13を介して排出モータ14で駆動される。排出モータ14は、油圧で動作する油圧モータ(油圧アクチュエータ)であって、出力軸14aから回転動力が出力される。ギヤケース13は、排出モータ14の出力軸14aに結合される第一軸15と、縦ラセン11の下端部に結合される第二軸16と、第一軸15と第二軸16との間に構成されるギヤ伝動機構17とを内装し、排出モータ14の出力回転で縦ラセン11を回転駆動させる。
【0009】
図5に示すように、コンバイン1には、走行系動力を変速するミッションケース18が搭載されている。ミッションケース18には、直進動力を変速する走行HST19と、旋回動力を変速する旋回HST20とが設けられており、直進時には、左右の走行部6に走行HST19の出力回転を伝動し、旋回時には、旋回外側の走行部6に走行HST19の出力回転を伝動しつつ、旋回内側の走行部6に旋回HST20(及び走行HST19)の出力回転を伝動するようにしてある。
【0010】
走行HST19は、可変容量油圧ポンプからなる走行HSTポンプ21と、固定容量油圧モータからなる走行HSTモータ22とを閉回路で接続し、走行HSTポンプ21の斜板制御により走行HSTモータ22の出力回転を無段変速するように構成される。また、旋回HST20は、可変容量油圧ポンプからなる旋回HSTポンプ23と、固定容量油圧モータからなる旋回HSTモータ24とを閉回路で接続し、旋回HSTポンプ23の斜板制御により旋回HSTモータ24の出力回転を無段変速するように構成される。
【0011】
各HSTポンプ21、23には、それぞれチャージポンプ(ギヤポンプ)25、26が接続されている。各チャージポンプ25、26は、油タンクTから作動油を吸引し、これを閉回路用補給油、斜板制御用パイロット油などとして各HSTポンプ21、23に送り込む。尚、本実施形態の走行HSTポンプ用チャージポンプ25は、走行HSTポンプ21に内蔵されており、また、旋回HSTポンプ用チャージポンプ26は、走行HSTポンプ21に外付けされ、オイルフィルタ27を介して旋回HSTポンプ23に接続されている。
【0012】
次に、排出モータ14の駆動回路について説明する。従来、排出モータ14の駆動回路を構成する場合は、図8に示すように、走行系油圧アクチュエータ28〜30(サイドクラッチシリンダ等)や作業系油圧アクチュエータ31〜34(前処理昇降シリンダ等)と並列に排出モータ14を接続し、排出切換バルブ35の切換操作で排出モータ14を選択的に駆動させていた。しかしながら、このような油圧回路構成では、排出モータ14と同時に他の作業系油圧アクチュエータ28〜30を油圧動作させた場合、排出モータ14の動作圧力や動作流量が不足し、穀粒排出動作が不安定になる可能性がある。本発明は、このような問題を解決するために、図6や図7に示す油圧回路を構成する。
【0013】
図6及び図7に示す油圧回路では、旋回HSTポンプ用チャージポンプ26と旋回HSTポンプ23との間に、排出切換バルブ36(37)を介設し、その切換によって排出モータ14を駆動させる。つまり、旋回HSTポンプ23のチャージ回路に排出モータ14の駆動回路を接続し、チャージ回路から取り出した油圧で排出モータ14を駆動させる。このように構成すれば、旋回HSTポンプ23のチャージ回路を利用して排出モータ14を駆動させることにより、排出モータ14の動作圧力や動作流量を十分に確保し、穀粒排出動作の安定性を高めることができる。しかも、排出モータ14は、走行停止時に使用されるものであるため、チャージ回路から油圧を取り出しても、旋回HSTポンプ23の動作に影響を及ぼす不都合がない。
【0014】
図6に示す排出切換バルブ36は、排出モータ14を一方向に駆動させるように構成されている。つまり、排出切換バルブ36は、排出モータ14の駆動を切換える2ポジションの電磁バルブ38と、排出モータ14の逆転を規制するチェック弁39とを備えており、電磁バルブ38が第一ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を旋回HSTポンプ23に流し、電磁バルブ38が第二ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油をチェック弁39及び排出モータ14を介して旋回HSTポンプ23に流すように構成されている。このように構成すると、仮に作動油が逆流しても、排出モータ14の逆転を防止することができる。尚、40は、排出モータ14の駆動時に余剰油を旋回HSTポンプ23側に逃がすリリーフ弁である。
【0015】
図7に示す排出切換バルブ37は、排出モータ14を選択的に正逆転操作できるように構成されている。つまり、排出切換バルブ37は、排出モータ14の駆動を切換える3ポジションの電磁バルブ41を備えており、電磁バルブ41が第一ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を旋回HSTポンプ23に流し、電磁バルブ41が第二ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を排出モータ14の正転経路を介して旋回HSTポンプ23に流し、電磁バルブ41が第三ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を排出モータ14の逆転経路を介して旋回HSTポンプ23に流すように構成されている。このように構成すると、排出モータ14を任意に正逆転操作することができるので、例えば、排出経路に穀粒が詰まったとき、排出モータ14を逆転させて、詰りを除去することが可能になる。尚、42は、排出モータ14の駆動時に余剰油を旋回HSTポンプ23側に逃がすリリーフ弁である。
【0016】
叙述の如く構成された本実施形態のコンバイン1は、走行系の動力を変速するHST19、20のチャージ回路に作業機駆動回路を接続し、走行停止時に使用される作業機系油圧アクチュエータ(排出モータ14)を、チャージ回路から取り出した油圧で駆動させるので、走行系動力の変速装置であるHST19、20のチャージ回路を利用して、作業機系油圧アクチュエータを安定的に駆動させることができる。しかも、駆動させる作業機系油圧アクチュエータは、走行停止時に使用されるものであるため、チャージ回路から油圧を取り出しても、HST19、20の動作に影響を及ぼす不都合がない。
【0017】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、チャージ回路から取り出した油圧で駆動させる作業機系の油圧アクチュエータは、走行停止時に使用されるものであれば、前記実施形態の排出モータに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】ラセン駆動部の背面図である。
【図3】ラセン駆動部の側断面図である。
【図4】ギヤケースの断面図である。
【図5】走行HST及び旋回HSTを示す斜視図である。
【図6】第一実施形態を示す油圧回路図である。
【図7】第二実施形態を示す油圧回路図である。
【図8】従来例を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
【0019】
1 コンバイン
7 排出オーガ
14 排出モータ
18 ミッションケース
19 走行HST
20 旋回HST
21 走行HSTポンプ
22 走行HSTモータ
23 旋回HSTポンプ
24 旋回HSTモータ
25 チャージポンプ
26 チャージポンプ
36 排出切換バルブ
37 排出切換バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行系動力の変速装置としてHSTを備えるコンバインなどの作業用走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
走行系動力の変速装置としてHST(油圧式無段変速装置)を備える作業用走行車が知られている。HSTは、エンジン動力などでポンプ駆動されるHSTポンプ(可変容量油圧ポンプ)と、該HSTポンプの吐出油で駆動されるHSTモータ(固定容量油圧モータ)とからなり、HSTポンプの斜板操作に応じて、HSTモータの出力回転を無段階状に変速させる。また、HSTには、HSTポンプとHSTモータとの間に構成される閉回路の漏洩油を補充したり、HSTポンプを冷却するために、HSTポンプ内に作動油を送るチャージ回路が設けられている。
【0003】
近年、コンバインなどの作業用走行車では、作業機を駆動させる動力として、油圧アクチュエータの動力を用いるケースが増えている(特許文献1参照)。これは、ベルト伝動機構などでエンジン動力を伝動する場合に比べ、配置の自由度が高められるだけでなく、構造の簡略化が図れるからである。例えば、特許文献1に記載のコンバインでは、穀粒を排出するラセン搬送装置を油圧モータで駆動させている。
【特許文献1】特開平10−271909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業機を油圧アクチュエータで駆動させるには、油圧ポンプを追加したり、作業機系油圧回路の大幅な変更が必要になることがあるため、容易に実施できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行系の動力をHSTで変速する作業用走行車において、前記HSTのチャージ回路に作業機駆動回路を接続し、走行停止時に使用される作業機系の油圧アクチュエータを、前記チャージ回路から取り出した油圧で駆動させることを特徴とする。
このように構成すれば、走行系動力の変速装置であるHSTのチャージ回路を利用して、作業機系の油圧アクチュエータを駆動させることができる。しかも、駆動させる作業機系の油圧アクチュエータは、走行停止時に使用されるものであるため、チャージ回路から油圧を取り出しても、HSTの動作に影響を及ぼす不都合がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバイン(作業用走行車)であって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、これを選別する脱穀部(図示せず)と、選別された穀粒を貯溜する穀粒タンク3と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部4と、オペレータが乗車する操作部5と、クローラ式の走行部6とを備えて構成されている。
【0007】
図1〜図4に示すように、穀粒タンク3に貯溜された穀粒は、排出オーガ7を介して機外に搬出される。排出オーガ7は、穀粒タンク3の後部に立設される縦パイプ8と、縦パイプ8の上端部に旋回及び昇降自在に連結される横パイプ9とを備える。穀粒タンク3の底部には、排出ラセン10が内装され、その終端部には、縦パイプ8に内装される縦ラセン11の始端部が、ベベルギヤ機構12を介して連動連結されており、更に、縦ラセン11の終端部には、横パイプ9に内装される横ラセン(図示せず)の始端部が、ベベルギヤ機構(図示せず)を介して連動連結されている。つまり、縦ラセン11を駆動回転させると、排出ラセン10及び横ラセンが連動するように構成されており、これらのラセン回転によって、穀粒タンク3内の穀粒が排出オーガ7を介して機外に排出される。この穀粒搬出作業は、機体の走行を停止させ、横パイプ9の先端位置を排出先に位置合せした上で実行される。
【0008】
縦ラセン11は、ギヤケース13を介して排出モータ14で駆動される。排出モータ14は、油圧で動作する油圧モータ(油圧アクチュエータ)であって、出力軸14aから回転動力が出力される。ギヤケース13は、排出モータ14の出力軸14aに結合される第一軸15と、縦ラセン11の下端部に結合される第二軸16と、第一軸15と第二軸16との間に構成されるギヤ伝動機構17とを内装し、排出モータ14の出力回転で縦ラセン11を回転駆動させる。
【0009】
図5に示すように、コンバイン1には、走行系動力を変速するミッションケース18が搭載されている。ミッションケース18には、直進動力を変速する走行HST19と、旋回動力を変速する旋回HST20とが設けられており、直進時には、左右の走行部6に走行HST19の出力回転を伝動し、旋回時には、旋回外側の走行部6に走行HST19の出力回転を伝動しつつ、旋回内側の走行部6に旋回HST20(及び走行HST19)の出力回転を伝動するようにしてある。
【0010】
走行HST19は、可変容量油圧ポンプからなる走行HSTポンプ21と、固定容量油圧モータからなる走行HSTモータ22とを閉回路で接続し、走行HSTポンプ21の斜板制御により走行HSTモータ22の出力回転を無段変速するように構成される。また、旋回HST20は、可変容量油圧ポンプからなる旋回HSTポンプ23と、固定容量油圧モータからなる旋回HSTモータ24とを閉回路で接続し、旋回HSTポンプ23の斜板制御により旋回HSTモータ24の出力回転を無段変速するように構成される。
【0011】
各HSTポンプ21、23には、それぞれチャージポンプ(ギヤポンプ)25、26が接続されている。各チャージポンプ25、26は、油タンクTから作動油を吸引し、これを閉回路用補給油、斜板制御用パイロット油などとして各HSTポンプ21、23に送り込む。尚、本実施形態の走行HSTポンプ用チャージポンプ25は、走行HSTポンプ21に内蔵されており、また、旋回HSTポンプ用チャージポンプ26は、走行HSTポンプ21に外付けされ、オイルフィルタ27を介して旋回HSTポンプ23に接続されている。
【0012】
次に、排出モータ14の駆動回路について説明する。従来、排出モータ14の駆動回路を構成する場合は、図8に示すように、走行系油圧アクチュエータ28〜30(サイドクラッチシリンダ等)や作業系油圧アクチュエータ31〜34(前処理昇降シリンダ等)と並列に排出モータ14を接続し、排出切換バルブ35の切換操作で排出モータ14を選択的に駆動させていた。しかしながら、このような油圧回路構成では、排出モータ14と同時に他の作業系油圧アクチュエータ28〜30を油圧動作させた場合、排出モータ14の動作圧力や動作流量が不足し、穀粒排出動作が不安定になる可能性がある。本発明は、このような問題を解決するために、図6や図7に示す油圧回路を構成する。
【0013】
図6及び図7に示す油圧回路では、旋回HSTポンプ用チャージポンプ26と旋回HSTポンプ23との間に、排出切換バルブ36(37)を介設し、その切換によって排出モータ14を駆動させる。つまり、旋回HSTポンプ23のチャージ回路に排出モータ14の駆動回路を接続し、チャージ回路から取り出した油圧で排出モータ14を駆動させる。このように構成すれば、旋回HSTポンプ23のチャージ回路を利用して排出モータ14を駆動させることにより、排出モータ14の動作圧力や動作流量を十分に確保し、穀粒排出動作の安定性を高めることができる。しかも、排出モータ14は、走行停止時に使用されるものであるため、チャージ回路から油圧を取り出しても、旋回HSTポンプ23の動作に影響を及ぼす不都合がない。
【0014】
図6に示す排出切換バルブ36は、排出モータ14を一方向に駆動させるように構成されている。つまり、排出切換バルブ36は、排出モータ14の駆動を切換える2ポジションの電磁バルブ38と、排出モータ14の逆転を規制するチェック弁39とを備えており、電磁バルブ38が第一ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を旋回HSTポンプ23に流し、電磁バルブ38が第二ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油をチェック弁39及び排出モータ14を介して旋回HSTポンプ23に流すように構成されている。このように構成すると、仮に作動油が逆流しても、排出モータ14の逆転を防止することができる。尚、40は、排出モータ14の駆動時に余剰油を旋回HSTポンプ23側に逃がすリリーフ弁である。
【0015】
図7に示す排出切換バルブ37は、排出モータ14を選択的に正逆転操作できるように構成されている。つまり、排出切換バルブ37は、排出モータ14の駆動を切換える3ポジションの電磁バルブ41を備えており、電磁バルブ41が第一ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を旋回HSTポンプ23に流し、電磁バルブ41が第二ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を排出モータ14の正転経路を介して旋回HSTポンプ23に流し、電磁バルブ41が第三ポジションのときは、チャージポンプ26からの作動油を排出モータ14の逆転経路を介して旋回HSTポンプ23に流すように構成されている。このように構成すると、排出モータ14を任意に正逆転操作することができるので、例えば、排出経路に穀粒が詰まったとき、排出モータ14を逆転させて、詰りを除去することが可能になる。尚、42は、排出モータ14の駆動時に余剰油を旋回HSTポンプ23側に逃がすリリーフ弁である。
【0016】
叙述の如く構成された本実施形態のコンバイン1は、走行系の動力を変速するHST19、20のチャージ回路に作業機駆動回路を接続し、走行停止時に使用される作業機系油圧アクチュエータ(排出モータ14)を、チャージ回路から取り出した油圧で駆動させるので、走行系動力の変速装置であるHST19、20のチャージ回路を利用して、作業機系油圧アクチュエータを安定的に駆動させることができる。しかも、駆動させる作業機系油圧アクチュエータは、走行停止時に使用されるものであるため、チャージ回路から油圧を取り出しても、HST19、20の動作に影響を及ぼす不都合がない。
【0017】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、チャージ回路から取り出した油圧で駆動させる作業機系の油圧アクチュエータは、走行停止時に使用されるものであれば、前記実施形態の排出モータに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】ラセン駆動部の背面図である。
【図3】ラセン駆動部の側断面図である。
【図4】ギヤケースの断面図である。
【図5】走行HST及び旋回HSTを示す斜視図である。
【図6】第一実施形態を示す油圧回路図である。
【図7】第二実施形態を示す油圧回路図である。
【図8】従来例を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
【0019】
1 コンバイン
7 排出オーガ
14 排出モータ
18 ミッションケース
19 走行HST
20 旋回HST
21 走行HSTポンプ
22 走行HSTモータ
23 旋回HSTポンプ
24 旋回HSTモータ
25 チャージポンプ
26 チャージポンプ
36 排出切換バルブ
37 排出切換バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行系の動力をHSTで変速する作業用走行車において、前記HSTのチャージ回路に作業機駆動回路を接続し、走行停止時に使用される作業機系の油圧アクチュエータを、前記チャージ回路から取り出した油圧で駆動させることを特徴とする作業用走行車。
【請求項1】
走行系の動力をHSTで変速する作業用走行車において、前記HSTのチャージ回路に作業機駆動回路を接続し、走行停止時に使用される作業機系の油圧アクチュエータを、前記チャージ回路から取り出した油圧で駆動させることを特徴とする作業用走行車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−77958(P2006−77958A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265695(P2004−265695)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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