説明

作業者異常発生検知装置、作業者異常発生検知方法、及びプログラム

【課題】作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知するとき、作業者の異常発生を正確に素早く通知することができる装置、方法、プログラムを提供する。
【解決手段】装置は、作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求める。求めた前記過去の加速度値データの変動量において前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、静止パラメータの値及び休憩パラメータの情報の少なくとも1つを求めて決定する。決定したパラメータの値または情報を用いて、現在計測して得られた作業者の加速度値データの変動量から作業者に異常が発生したか否かを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の静止継続時間に基づいて作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置および作業者異常発生検知方法、さらに作業者の異常発生を検知するために用いるパラメータの値の決定をコンピュータに行わせるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の農作業者は高齢者が多く、特に夏場の屋外作業では、熱中症や体調不良により農作業者が倒れてしまう危険性がある。また、農作業では、一人で作業をしていることが多く、農作業者が倒れても他の農作業者が気づかない場合がある。このため、農作業者の倒れを速やかに検知し、他の農作業者に通知することが、倒れた農作業者を素早く処置する点で好ましい。
【0003】
このような状況下、屋外で急病や事故等で倒れた場合等の異常事態を速やかに通報することにより、その異常事態の内容と発生場所を正確に把握し、異常事態に陥った人を素早い対応で迅速に救助することのできる異常事態通報救援システムが知られている。
具体的には、当該システムは、携帯装置と異常事態解析センタにより構成され、携帯装置を所持した人の体の動きに基づいて検出した異常事態を、位置情報を付加して異常事態解析センタに通報し、該異常事態解析センタによりその異常事態の内容と発生場所を特定して所定の連絡先に通報し救援を求める。
【0004】
また、リハビリ患者などの生活行動中における異常状態を的確に認識し、誤報なく異常状態発生の警報を発信して報知する異常通報システムが知られている。
具体的には、当該システムでは、動作者の体の動きに基づいた動作信号を検出する検出手段と、検出手段による検出結果を、所定の基準情報と比較して異常かどうか判断する判断手段と、判断結果に応じて異常を通報する通報手段とを備える。前記所定の基準情報は、予め決められた期間における、前記検出結果から得られた情報であり、この基準情報は、前記期間の経過毎に全面的に新しい情報に入れ替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−155889号公報
【特許文献2】特開2004−70842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記異常事態通報救援システムおよび上記異常通報システムでは、異常事態の発生の判定に用いるパラメータがどのようなものであり、どのようにして求められるのか、あるいはどのように設定されるのか、不明である。
【0007】
そこで、本発明は、作業者の静止継続時間に基づいて作業者の異常発生を検知するとき、作業者の異常発生を正確に検知することができる作業者異常発生検知装置および作業者異常発生検知方法、さらに作業者の異常発生を検知するためのパラメータの値を決定するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置である。当該装置は、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態の判定に用いるための前記静止パラメータの値を算出し決定するパラメータ計算部と、を備える。
【0009】
さらに、本発明の他の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置である。当該装置は、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、
前記加速度センサで計測されて得られた前記作業者の過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定するパラメータ計算部と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知システムである。当該システムは、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、を備える携帯端末装置と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態の判定に用いるための前記静止パラメータの値を算出し決定するパラメータ計算部と、
決定した前記静止パラメータの値を前記携帯端末装置に送信する通信部と、を備えるデータ処理装置と、を有する。
【0011】
さらに、本発明の他の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知システムである。当該システムは、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、を備える携帯端末装置と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定するパラメータ計算部と、
決定した前記休憩パラメータの情報を前記携帯端末装置に送信する通信部と、を備えるデータ処理装置と、を有する。
【0012】
また、本発明の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置あるいは作業者異常発生検知システムが行う作業者異常発生検知方法である。当該方法は、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として算出し決定し、
決定した前記静止パラメータの値を用いて、現在計測して得られた作業者の加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者の静止継続時間が、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯において異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間を越える場合、作業者に異常が発生したと検知する。
【0013】
さらに、本発明の他の一態様は、作業者の静止休憩パラメータ継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置あるいは作業者異常発生検知システムが行う作業者異常発生検知方法である。当該方法は、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定し、
決定した前記静止パラメータの値を用いて、現在計測して得られた作業者の加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者の静止継続時間が、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯において異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間を越える場合、作業者に異常が発生したと検知する。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知するためのパラメータの値を決定するための処理を行う、コンピュータが実行可能なプログラムである。当該プログラムは、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の過去の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態を判定するために用いる静止パラメータの値を算出し決定する、処理をコンピュータに実行させる。
【0015】
さらに、本発明の他の一態様は、作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知するためのパラメータの値を決定するための処理を行う、コンピュータが実行可能なプログラムである。当該プログラムは、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の過去の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
上述の態様の作業者異常発生検知装置、作業者異常発生検知システム、作業者異常発生検知方法、およびプログラムによれば、作業者の異常発生を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は、本実施形態の作業者倒れ発生検知装置を説明する図であり、(b)は、本実施形態の作業者異常発生検知システムを説明する図である。
【図2】第1実施形態である検知装置の構成図である。
【図3】図2に示す検知装置の機能ブロック図である。
【図4】図3に示す検知装置で得られる加速度値データの一例を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は、加速度値データの処理を説明する図である。
【図6】静止パラメータの値を変化させたとき、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となることを説明する図である。
【図7】休憩パラメータの情報を変化させたときの、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となることを説明する図である。
【図8】図3に示す検知装置において、作業時倒れ時間パラメータの値および休憩時倒れ時間パラメータの値が算出された例を示す図である。
【図9】図3に示す検知装置において、作業時間帯における静止継続時間を作業時倒れ時間パラメータの値あるいは休憩時倒れ時間パラメータの値と比較する様子を示す図である。
【図10】図3に示す検知装置において行われる、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値の設定方法のフローの一例を示す図である。
【図11】図3に示す検知装置が行う検知方法のフローの一例を示す図である。
【図12】図2に示す検知装置のうち第2実施形態の検知装置の機能ブロック図である。
【図13】図12に示す第2実施形形態の検知装置が行う、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値の設定方法のフローの一例を示す図である。
【図14】図12に示す第2実施形形態の検知装置が行う検知方法のフローの一例を示す図である。
【図15】図2に示す検知装置のうち第3実施形における検知装置の機能ブロック図である。
【図16】図15に示す第3実施形態の検知装置がお行う、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値の設定方法のフローの一例を示す図である。
【図17A】第4実施形態に用いるサーバの構成図である。
【図17B】第4実施形態の検知装置とサーバの機能ブロック図である。
【図18】第4実施形態の変形例である検知装置とサーバの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の作業者異常発生検知装置、作業者異常発生検知方法、およびプログラムについて説明する。
【0019】
(作業者倒れ発生検知装置および作業者倒れ発生検知システム)
図1(a)は、本実施形態の作業者倒れ発生検知装置10を説明する図であり、図1(b)は、作業者倒れ発生検知装置を用いた本実施形態の作業者異常発生検知システム12を説明する図である。
作業者検知装置10は、農作業者が屋外で、1人で作業を行うとき、熱中症や体調不良により倒れた場合であっても、農作業者の静止継続時間に基づいて、倒れを検知する装置である。
【0020】
作業者倒れ発生検知装置(以下、検知装置という)10は、農作業者に装着された携帯端末装置であって、農作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサを有する。加速度センサによる計測結果から、加速度値データの所定時間当たりの変動量を求め、この変動量から農作業者が静止状態であるか否かを判定する。
さらに、検知装置10は、現在農作業者の静止継続時間が続行しているか否かを調べる。検知装置10は、静止継続時間が続行し、この静止継続時間の期間が作業時間帯に属していれば、作業時倒れ時間パラメータの値と静止継続時間を比較する。一方、静止継続時間の期間が休憩時間帯に属していれば、検知装置10は、休憩時倒れ時間パラメータの値と静止継続時間を比較する。作業時倒れ時間パラメータの値は、作業時間帯における静止継続時間の許容最長時間に設定され、休憩時倒れ時間パラメータの値は、休憩時間帯における静止継続時間の許容最長時間に設定される。検知装置10は、比較の結果、静止継続時間が、作業時倒れ時間パラメータの値あるいは休憩時倒れ時間パラメータの値を超えていれば、農作業者が倒れたと検知して、他の農作業者が装着する携帯端末装置に通知する。
あるいは、静止継続時間の期間が、別途設定される休憩許容開始時刻パラメータの情報および休憩許容終了時刻パラメータの情報で定められる期間に属さず、あるいは、続行する静止継続時間の長さが、予め設定される休憩時間帯の長さに比べて長い場合、検知装置10は、農作業者が倒れたと検知して、他の農作業者が装着する携帯端末装置に通知する。
【0021】
このような農作業者の倒れを検知する検知装置10では、計測された加速度値データの変動量から、静止状態か否かを判定するための静止パラメータの値と、加速度を計測する時間帯が、昼食時間帯などの一定の休憩時間帯であるのかを区別するための休憩パラメータの情報が設定される。静止パラメータの値とは、加速度値データの変動量において、静止状態を動作状態と区別して定めるための変動量の上限値である。一方、休憩パラメータの情報とは、休憩時間帯を、それ以外の作業時間帯と区別するための休憩開始時刻と休憩終了時刻の情報であり、例えば、12時(休憩開始時刻)および13時(休憩終了時刻)等の時刻情報である。
【0022】
このような静止パラメータの値および休憩パラメータの情報は、後述するように、過去に加速度センサを用いて計測されて得られた過去の加速度値データから算出され決定される。この他に、農作業者の倒れを検知するために用いる作業時倒れ時間パラメータおよび休憩時倒れ時間パラメータの値も、過去の加速度値データから算出され決定される。図1(a)に示す検知装置10は、過去の加速度値データを記録保持し、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値を算出し決定する。
【0023】
図1(b)に示す作業者異常発生検知システム(以降、検知システムという)12では、検知装置14とデータ処理装置であるサーバ16とを有する。
検知装置14は、検知装置10と同様に、農作業者の動作に伴って生じる加速度を計測し、計測結果から加速度の所定時間当たりの加速度値データの変動量を求め、この変動量から農作業者が静止状態であるか否かを判定することにより、農作業者の倒れを検知する。しかし、検知装置14では、過去の加速度値データを記録保持し、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値を算出し決定することは行われない。過去の加速度値データを記録保持し、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値を算出し決定することは、サーバ14において行われる。
以下、検知装置10,14、検知システム12、および作業者異常発生検知方法について詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態の検知装置)
第1実施形態である検知装置10は、図2に示すように、CPU22、記憶装置24、加速度センサ26、時計28、通信ユニット30、およびバス31を有する。CPU22、記憶装置24、加速度センサ26、時計28、および通信ユニット30は、バス31を介してお互いに接続されている。
【0025】
記憶装置24は、ROM、RAMおよびハードディスク等の記録媒体を有し、ROMには、検知装置10を起動することによってCPU22から読み出されて実行されるOSが記憶される。また、記憶装置24は、過去において加速度センサ26で計測されて得られた加速度値データを計測した日時及び時刻の情報とともに加速度値ログとして記録している。また、ROMあるいはRAMには、読み出されることにより、後述する図3に示すような倒れ検知モジュールを生成し、後述する図10,11の方法を実行するするプログラムが記憶されている。
CPU22は、記憶装置24の記憶と読み出し、加速度センサ26による計測、時計28の動作、通信ユニット30の動作を制御、管理する。また、CPU22は、計測した加速度値と日時情報及び時刻情報を組として記憶装置24に順次書き込むように記憶装置24を制御する。
加速度センサ26は、検知装置10を装着する農作業者の動作によって生じる加速度を計測する。加速度センサ26は、例えば、一軸方向の加速度を計測する一軸加速度センサが用いられる。農作業者が検知装置10を身につけるとき、加速度センサ26の計測する軸が鉛直方向になるように、検知装置10の向きが設定されている。
時計28は、CPU22の指示に従って現在の日時情報と時刻情報を出力し、この日時情報および時刻情報は加速度を計測したときの情報として用いられる。
通信ユニット30は、他の農作業者が装着する携帯端末装置や図示されない倒れ管理サーバと通信することができる。例えば、検知装置10が農作業者の倒れを検知したとき、CPU22は、通信ユニット30を介して、農作業者の倒れた旨の検知情報を、他の農作業者の携帯端末装置や図示されない倒れ管理サーバに通知するように制御する。
また、検知装置10が起動し、記憶装置24に記憶されているプログラムを読み出すことにより、図3に示すような検知モジュール32が生成される。すなわち、検知装置10のCPU22が検知モジュール32の各部分の機能を実質的に担う。
【0026】
図3は、検知装置10の構成を機能的に示す機能ブロック図である。
検知装置10は、加速度センサ26と、加速度値データを加速度値ログとして計測時の
日時情報および時刻情報とともに記録した記憶装置24と、検知モジュール32と、を有する。
検知モジュール32は、倒れ検知部34と、変動量計算部36と、データ処理部38と、倒れ時間パラメータ計算部40と、を有する。データ処理部38は、静止フラグ計算部42と、休憩フラグ計算部44と、静止割合差計算部46と、パラメータ計算部48と、を有する。
【0027】
倒れ検知部34は、加速度センサ26から提供される加速度値データからデータ処理を行って、農作業者が倒れたか否かを判定し、倒れたと検知した場合、農作業者が倒れた旨の検知情報を、通信ユニット30を介して他の農作業者の携帯端末装置や図示されない倒れ管理サーバに通知するように、通信ユニット30を制御する。
倒れ検知部34は、具体的には、加速度センサ26により加速度を計測して得られる農作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求める。加速度の計測は、例えば、20Hzのサンプリング周波数で行われ、10秒間の加速度値の最大値と最小値との差分が変動量として10秒ごとに求められる。
【0028】
図4は、加速度センサ26によって得られた加速度値データの一例である。図4に示すように、加速度値データは、大きく振動して、静止状態か否かを判定することができない。倒れ検知部34は、このような加速度値データを、上述したように、所定時間毎の加速度値データの変動量、すなわち、単位期間中における加速度の最大値と最小値の差分を求める。
【0029】
さらに、倒れ検知部34は、求めた加速度値データの変動量から、静止パラメータの値を用いて、農作業が静止状態か否かを判定する。静止パラメータの値とは、農作業者の静止状態を定めるための値であって、上記加速度値データの変動量において静止状態と定めることができる上限値をいう。静止状態と定めることができる上限値は、後述するように、過去の加速度値データの変動量において、検知期間のうち農作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と農作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように決定される。この算出方法については後述する。
【0030】
倒れ検知部34は、さらに、農作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、農作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて設定された異常発生時間パラメータの値と比較することにより、作業者の異常発生を検知する。異常発生時間パラメータは、作業時間帯における作業時倒れ時間パラメータと休憩時間帯における休憩時倒れ時間パラメータを含む。作業時倒れ時間パラメータの値および休憩時倒れ時間パラメータの値は、例えば、過去の加速度値データの変動量における、作業時間帯および休憩時間帯の静止継続時間の最長時間であり、この最長長時間を用いることが、過去の加速度値データに基づいて倒れを正確に検知する点で好ましい。この他に、作業時倒れ時間パラメータの値および休憩時倒れ時間パラメータの値は、過去の知見に基づいて農作業者が入力することで決定されてもよく、農作業の内容に応じて設定された複数の値の中から、農作業者が行おうとする農作業の内容に応じて値を選択することにより決定されてもよい。
【0031】
また、倒れ検知部34は倒れを検知するとき、作業時間帯および休憩時間帯に分けて検知するが、検知する時刻が作業時間帯に属するか休憩時間帯に属するかを区別するために、休憩時間帯の時刻情報を表す休憩パラメータの情報を用いる。休憩パラメータの情報も、後述するように、過去の加速度値データの変動量において、検知期間のうち農作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と農作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように決定される。この算出方法についても後述する。
【0032】
変動量計算部36、データ処理部38、および倒れ時間パラメータ計算部40は、過去において、加速度センサ26を用いて得られた加速度値データを用いて、倒れ検知部34が用いる静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値および休憩時倒れ時間パラメータの値を算出する。
【0033】
変動量計算部36は、農作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において過去において加速度センサ26で計測されて得られた過去の加速度値データを、記憶装置24から加速度値ログとして読み出して、所定時間毎の加速度値データの変動量を求める。変動量の算出は、倒れ検知部34において行われた変動量の算出と同様に行われる。すなわち変動量計算部36は、例えば、20Hzのサンプリング周波数により得られた過去の加速度値データについて、10秒間の加速度値の最大値と最小値との差分を変動量として10秒ごとに求める。求めた変動量は、データ処理部38に送られる。
図5(a)には、2010年7月10日の農作業中、20Hzのサンプリング周波数で計測されて得られた加速度値データの一例が示されている。このとき、図5(b)に示すように10秒間の加速度値の最大値と最小値の差分を算出する。例えば、8時〜8時10秒の間では、変動量が300となり、8時10秒〜8時20秒では変動量は50となっている。
【0034】
データ処理部38は、パラメータ計算部48、静止フラグ計算部42、休憩フラグ計算部44、静止割合差計算部46を含む。パラメータ計算部48は、農作業者の静止状態の判定に用いるための静止パラメータの値を算出し決定する。静止パラメータの値は、変動量計算部36において求められた過去の加速度値データの変動量において検知期間のうち農作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と農作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出される。
【0035】
静止フラグ計算部42は、設定された静止パラメータの値を用いて過去の加速度値データの変動量から注目する時刻における農作業者が静止状態であったか否かを判定し、過去の加速度値データに、静止フラグの情報を書き込む。すなわち、静止フラグ計算部42は、注目する時刻において農作業者が静止状態である場合例えば1の値を、動作状態である場合例えば0の値を過去の加速度値データに書き込む。静止パラメータの値を算出するとき、後述するように、静止パラメータの値に初期値が与えられ、休憩パラメータの情報に初期情報が与えられて、値及び情報が収束するまで、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報は繰り返し求められる。このため、静止パラメータの値として与えられる初期値は予めデフォルト値として設定されたものであってもよいし、検知期間全体における上記変動量の平均値であってもよい。また、休憩パラメータの情報として与えられる情報は、予めデフォルトとして設定された時刻情報(休憩開始時刻と休憩終了時刻の情報)であってもよいし、農作業者が予め入力設定した時刻情報であってもよい。
【0036】
休憩フラグ計算部44は、設定された休憩パラメータの情報、すなわち休憩時間帯の時刻情報を用いて過去の加速度値データの変動量から、注目する時刻が休憩時間帯であるか、作業時間帯であったかを判定し、過去の加速度値データに、休憩フラグの情報を書き込む。すなわち、休憩フラグ計算部44は、注目する時刻が休憩時間帯である場合例えば1の値を、作業時間帯である場合例えば0の値を過去の加速度値データに書き込む。休憩パラメータの情報が求められるとき、後述するように、休憩パラメータの情報に初期情報が与えられ、静止パラメータの値に初期値が与えられて、値及び情報が収束するまで、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報は繰り返し求められる。このため、休憩パラメータの情報として初期設定される初期情報は、予めデフォルトとして設定された時刻情報(休憩開始時刻と休憩終了時刻の情報)であってもよいし、農作業者が予め入力設定した時刻情報であってもよい。また、静止パラメータの値として与えられる初期値は予めデフォルト値として設定されたものであってもよいし、検知期間全体における上記変動量の平均値であってもよい。
【0037】
静止割合差計算部46は、静止フラグ計算部42および休憩フラグ計算部44で書き込まれた静止フラグの情報と休憩フラグの情報を用いて、検知期間のうち農作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と農作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分を計算する。すなわち、静止割合差計算部46は、作業時間帯における静止状態の時間長さの割合と休憩時間帯における静止状態の時間長さの割合との間の差分を求める。
【0038】
パラメータ計算部48は、静止割合差計算部46で求められた差分が最大になるように、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を求める。
具体的には、パラメータ計算部48は、予め設定された静止パラメータの値と予め設定された休憩パラメータの情報を用いて、休憩パラメータの情報を固定した状態で、静止割合差計算部46で求められる差分が最大になるように、静止パラメータの値を算出する。次に、パラメータ計算部48は、算出した静止パラメータの値と予め設定された休憩パラメータの情報を用いて、算出した静止パラメータの値を固定した状態で、静止割合計算部46で求められる差分が最大になるように、休憩パラメータの情報を求める。さらに、パラメータ計算部48は、先に算出した静止パラメータの値と求められた休憩パラメータの情報を用いて、休憩パラメータの情報を固定した状態で、静止割合計算部46で求められる差分が最大になるように、静止パラメータの値を算出する。このように、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報の一方を求めるとき、他方を固定した状態で、静止割合計算部46で求められる差分が最大になるように、一方のパラメータの値あるいは情報を求める。
従って、この処理を繰り返すことにより、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報は収束する。この収束した静止パラメータの値および休憩パラメータの情報が、倒れ検知部34で用いる静止パラメータの値および休憩パラメータの情報として決定される。
本実施形態では、予め設定された静止パラメータの値と予め設定された休憩パラメータの情報を用いて、静止割合計算部46で求められる差分が最大になるように、静止パラメータの値を最初に算出するが、休憩パラメータの情報を最初に求めてもよい。すなわち、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報のどちらを優先して求めても、収束した値及び情報は変わらない。
また、予め設定された静止パラメータの値と予め設定された休憩パラメータの情報が、適切である場合、上記処理を繰り返さず、1回の処理だけで終わらせてもよい。
【0039】
なお、静止パラメータの値と休憩パラメータの情報を用いて、休憩パラメータの情報を固定した状態で、静止パラメータの値を算出するパラメータ計算部48が行う処理は、例えば以下のように行われる。すなわち、静止パラメータの値の算出は、予め設定された静止パラメータの値に対して、0.9倍、1.0倍、1.1倍した値を静止パラメータの値として用いて、この中で上記差分が最大になるような値を選択することにより行われる。算出した静止パラメータの値が前の静止パラメータの値から変化する場合、変化後の静止パラメータの値が、静止フラグ計算部42において再度用いられて、過去の加速度値データに対する静止フラグの書き込み処理が再度行われる。静止パラメータの値が変化すると、静止割合差計算部46で算出する差分も変化するからである。算出した静止パラメータの値が前の静止パラメータの値と同じである場合、静止パラメータの値は収束したと判定して、パラメータ計算部48は、この値を倒れ検知部34で用いるべき静止パラメータの値として決定する。
【0040】
また、静止パラメータの値と休憩パラメータの情報を用いて、静止パラメータの値を固定した状態で、休憩パラメータの情報を求める処理は、例えば以下のように行われる。すなわち、休憩パラメータの情報である休憩開始時刻と休憩終了時刻を5分早めあるいは遅く設定した時刻の組を用いて、この中で上記差分が最大になるような時刻の組を選択することにより行われる。例えば、パラメータ計算部48は、休憩パラメータの情報が12時00分(休憩開始時刻)と13時00分(休憩終了時刻)である場合、11時55分〜12時55分、11時55分〜13時00分、11時55分〜13時05分、12時00分〜12時55分、12時00分〜13時00分、12時00分〜13時05分、12時05分〜12時55分、12時05分〜13時00分、12時05分〜13時05分といった複数の時刻の組を作る。パラメータ計算部48は、この複数の組の中から、上記差分が最大となる時刻の組を選択する。算出した休憩パラメータの情報が前の休憩パラメータの情報から変化する場合、変化後の休憩パラメータの情報が、休憩フラグ計算部44において再度用いられて、過去の加速度値データに対する休憩フラグの書き込み処理が再度行われる。休憩パラメータの情報が変化すると、静止割合差計算部46で算出する差分も変化するからである。算出した休憩パラメータの情報が前の休憩パラメータの情報と同じである場合、休憩パラメータの情報は収束したと判定して、パラメータ計算部48は、この情報を倒れ検知部34で用いるべき休憩パラメータの情報として決定する。
【0041】
パラメータ計算部48、静止フラグ計算部42、休憩フラグ計算部44、および静止割合差計算部46が行う上記静止パラメータの値の算出方法および休憩パラメータの情報の求め方について、図5(c),(d)および図6〜9に沿って詳細に説明する。
図5(c)は、変動量計算部36で求められた過去の加速度値データの変動量に対して、静止フラグ計算部42で行われた静止フラグの付与結果を示している。この場合、静止パラメータの値として100が設定されている。したがって、8時00分00秒〜8時00分10秒の間の変動量は300であり、静止パラメータの値100を越えているので、8時00分00秒〜8時00分10秒の間の変動量に対して、動作状態を表す静止フラグ0が与えられる。一方、8時00分10秒〜8時00分20秒の間の変動量は50であり、静止パラメータの値100以下であるので、8時00分10秒〜8時00分20秒の間の変動量に対して、静止状態を表す静止フラグ1が与えられる。このようにして、検知時間の最終時刻17時00分まで、10秒毎に静止フラグ0または1が与えられる。
図5(d)は、変動量計算部36で求められた過去の加速度値データの変動量に対して、休憩フラグ計算部44で行われた休憩フラグの付与結果を示している。この場合、休憩パラメータの情報として12時00分(休憩時間帯の休憩開始時刻)および13時00分(休憩時間帯の休憩終了時刻)が設定されている。したがって、8時00分00秒〜8時00分10秒の間の変動量に対して、休憩時間帯ではないことを表す休憩フラグ0が与えられる。以下同様にして、休憩フラグ0または1(1は休憩時間帯であることを表す)が与えられる。
こうして静止フラグおよび休憩フラグが与えられた変動量を用いて、静止割合差計算部32は、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分を算出する。例えば、検知期間における変動量の静止フラグI(Iは0または1)および休憩フラグJ(Jは0または1)の合計数をN(I,J)としたとき、休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分は、以下の式で表される。
N(1,1)/(N(1,1)+N(0,1))−N(1,0)/(N(1,0)+N(0,0))
【0042】
パラメータ計算部48は、このような休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が、休憩パラメータの情報を固定した状態で最大となるように静止パラメータの値を算出する。具体的には、設定されている静止パラメータの値を複数変化させて、上記差分が最大となるような静止パラメータの値を算出する。
図6は、静止パラメータの値を変化させたとき、上記差分が最大となる原理を説明する図である。図6に示す例では、休憩パラメータの情報を12時00分(休憩開始時刻)および13時00分(休憩終了時刻)に固定した状態で、静止パラメータの値をP=500,100,10の3種類に変化させている。P=10のとき、P=10は加速度値データの変動量の最低のレベルよりも低いため、すべての変動量に対して動作状態を表す静止フラグ0が与えられる。従って、この場合、休憩時間帯における静止時間の割合および作業時間帯における静止時間の割合はいずれも0となり、その差分は0となる。一方、P=500のとき、P=500は加速度値データの変動量のレベルに対してかなり高いため、静止状態を表す静止フラグ1が与えられることが多い。従って、この場合、休憩時間帯における静止時間の割合は例えば0.8となり、作業時間帯における静止時間の割合は0.4となり、差分は0.4となる。一方、P=100のとき、P=100は変動量のレベルに対して適切なレベルにあるため、静止状態を表す静止フラグ1とされることは作業時間帯では少なく、休憩時間帯で多い。従って、この場合、休憩時間帯における静止時間の割合は例えば0.8となり、作業時間帯における静止時間の割合は0.1となり、差分は0.7となる。このように、作業時間帯において静止状態の割合が低く、休憩時間帯において静止状態の割合が高い農作業の事実を利用して、静止パラメータの値が算出される。
【0043】
一方、パラメータ計算部48は、休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が、静止パラメータの値を固定した状態で最大となるように休憩パラメータの情報を求める。具体的には、設定されている休憩パラメータの情報、すなわち、休憩開始時刻と休憩終了時刻を複数変化させて、上記差分が最大となるような休憩パラメータの情報を求める。
図7は、休憩パラメータの情報を変化させたとき、上記差分が最大となる原理を説明する図である。図7の例では、静止パラメータの値をP=100に固定して、休憩パラメータの情報を12時00分および13時00分と、12時10分および12時50分に変化させている。
休憩パラメータの情報を12時10分および12時50分とした場合、休憩時間帯における静止状態、すなわちP=100より小さい変動量を示す時間が減少し、休憩時間帯における静止状態の割合が低くなり、作業時間帯における静止状態の割合が高くなる。このため、上記差分は小さくなる。一方、休憩パラメータの情報を11時50分および13時10分とした場合、休憩時間帯における動作状態、すなわちP=100より大きい変動量を示す時間が増加するため、休憩時間帯における静止状態の割合が低下する。作業時間帯では、静止状態の割合が高くなる。このため、上記差分は小さくなる。したがって、休憩パラメータの情報を適切な情報を用いるとき、上記差分は最大となる。このように、作業時間帯において静止状態の割合が低く、休憩時間帯において静止状態の割合が高い農作業の事実を利用して、休憩パラメータの情報が求められる。
【0044】
以上のように、パラメータ計算部48は、上記差分が最大となるように、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を求める。したがって、パラメータ計算部48は、上記差分が最大となるように、静止パラメータの値をどのように設定するか、休憩パラメータの情報をどのように設定するか、値及び情報の設定を管理し、静止フラグ計算部42、休憩フラグ計算部44に上記値及び情報を設定する。すなわち、パラメータ計算部48は、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を求めるために、設定する静止パラメータの値および設定する休憩パラメータの情報を変化させるように管理する。
【0045】
倒れ時間パラメータ計算部40は、決定された静止パラメータの値と決定された休憩パラメータの情報を用いて、過去の加速度値データの変動量における作業時間帯の静止継続時間の最長時間を作業時倒れ時間パラメータの値として算出し、過去の加速度値データの変動量における休憩時間帯の静止継続時間の最長時間を、休憩時倒れ時間パラメータの値として算出する。
図8は、作業時倒れ時間パラメータの値として4分が算出され、休憩時倒れ時間パラメータの値として30分が算出された例を示している。休憩時間帯は、作業時間帯に対して体を休息させるために静止状態が長いため、休憩時倒れ時間パラメータの値は作業時倒れ時間パラメータの値に比べて長い。
こうして、得られた静止パラメータの値と、休憩パラメータの情報と、作業時倒れ時間パラメータの値と、休憩時倒れ時間パラメータの値とが、倒れ検知部34に送られて、倒れ検知のためのパラメータとして用いられる。図9は、倒れ検知部34が、作業時間帯における静止継続時間を、4分に設定された作業時倒れ時間パラメータの値と比較し、休憩時間帯における静止継続時間を、30分に設定された休憩時倒れ時間パラメータの値と比較する様子を示している。
【0046】
(第1実施形態における各パラメータの値および情報の設定方法)
図10は、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値を求めるフローの一例を示す。
まず、変動量計算部36は、記憶装置24から読み出された作業時間帯および休憩時間帯を含む1日の検知期間における過去の加速度値データを用いて、図5(b)に示すように、加速度値データの変動量を算出する(ステップS10)。例えば、20Hzのサンプリング周波数で計測された加速度値データから10秒間の加速度値データの最大値と最小値の差分を変動量として算出する。
【0047】
次に、パラメータ計算部48は、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を初期設定する(ステップS20)。静止パラメータの初期値として、例えば、変動量の検知期間全体における平均値を用いる。あるいは、過去に倒れ検知部34で静止パラメータとして用いた値であってもよいし、農作業者が入力した値を用いてよいし、予め設定されたデフォルト値を用いてもよい。休憩パラメータの情報として、予めデフォルトとして設定された時刻情報(休憩開始時刻と休憩終了時刻)であってもよいし、農作業者が予め入力設定した時刻情報であってもよい。また、予め設定された休憩時間帯の長さを用いて、過去の加速度値データの変動量から求められる休憩開始時刻と休憩終了時刻を休憩パラメータの情報として用いることもできる。
【0048】
次に、静止フラグ計算部42および休憩フラグ計算部44は、算出した変動量に対して、初期設定した静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を用いて、図5(c),(d)に示すように、静止フラグおよび休憩フラグを与える。静止フラグおよび休憩フラグの与えられた変動量を用いて、静止割合差計算部46は、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分を算出する。このとき、パラメータ計算部48は、設定した休憩パラメータの情報を固定した状態で、設定した静止パラメータの値を変化させることにより、変化させた値の中で上記差分が最大となるように静止パラメータの値を更新する(ステップS30)。このとき、パラメータ計算部48は、静止パラメータの値を変化させるので、静止パラメータの値を変化させる度に、静止フラグ計算部42は変化した静止パラメータの値を用いて静止フラグの付与を行う。
【0049】
また、パラメータ計算部48は、設定した静止パラメータの値を固定した状態で、設定した休憩パラメータの情報、具体的には、休憩時間帯の休憩開始時刻および休憩終了時刻を変化させて、変化させた情報の中で上記差分が最大となるように休憩パラメータの情報を更新する(ステップS30)。このとき、パラメータ計算部48は、休憩パラメータの情報を変化させるので、休憩パラメータの情報を変化させる度に、休憩フラグ計算部44は変化した休憩パラメータの情報を用いて休憩フラグの付与を行う。
【0050】
このように、パラメータ計算部48は、休憩パラメータの情報を固定した状態で過去の加速度値データの変動量における上記差分が最大となるように、静止パラメータの値を算出する処理を行う。さらに、パラメータ計算部48は、算出した静止パラメータの値を固定した状態で上記差分が最大となるように、休憩パラメータの情報を求める処理を行う。これにより、パラメータ計算部48は、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を更新する(ステップS30)。
【0051】
パラメータ計算部48は、上記処理を繰り返し、現在の最新の静止パラメータの値および休憩パラメータの情報が、1つ前の静止パラメータの値および休憩パラメータの情報に対して変化するか否か、すなわち値と情報が収束するか否かを判定する(ステップS40)。この判定により、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報が収束するまで、上記2つの処理を組として静止パラメータの値および休憩パラメータの情報の更新(ステップS30)が繰り返される。
【0052】
静止パラメータの値および休憩パラメータの情報が収束する場合、パラメータ計算部48は、収束した静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を、倒れ検知部34で用いるべき静止パラメータの値および休憩パラメータの情報として決定する。倒れ時間パラメータ計算部40は、決定された静止パラメータの値と決定された休憩パラメータの情報を用いて、過去の加速度値データの変動量における作業時間帯の静止継続時間の最長時間を作業時倒れ時間パラメータの値として定める(ステップS50)。さらに、倒れ時間パラメータ計算部40は、過去の加速度値データの変動量における休憩時間帯の静止継続時間の最長時間を、休憩時倒れ時間パラメータの値として定める(ステップS60)。
定められた静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値は、倒れ検知部34に送られる。
【0053】
(倒れ検知方法)
図11は、第1実施形態の農作業者の倒れ検知方法のフローの一例を示す。
農作業者が農作業を行うとき、農作業者に装着された検知装置10の加速度センサ26は、例えば20Hzのサンプリング周波数で、農作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する(ステップS70)。計測されて得られた加速度値データは逐次倒れ検知部34に送られる。
【0054】
倒れ検知部34は、計測された加速度値データが所定の期間、例えば10秒分のデータが蓄積されて加速度値データの変動量が計算できるか否かを判定する(ステップS80)。すなわち、倒れ検知部34は、加速度値データの変動量が計算できるまで待機する。加速度値の変動量が計算できる場合、倒れ検知部34は、加速度値データの変動量を算出する(ステップS90)。
次に、倒れ検知部34は、加速度値データの変動量から、設定された静止パラメータの値を用いて農作業者が静止状態か否かを判定する(ステップS100)。静止状態でないと判定された場合(ステップS100でNoの場合)、ステップS80に戻り、倒れ検知部34は、次の変動量が計算できるまで待機する。ステップS100の判定において、静止状態であると判定された場合、倒れ検知部34は、変動量を得るために用いた加速度値データの計測時刻を含む静止継続時間の期間が、設定された休憩パラメータの情報により定まる休憩時間帯に属するか否かを判定する(ステップS110)。上記計測時刻を含む静止継続時間の期間が休憩時間帯に属する場合、倒れ検知部34は、静止状態が続く時間、すなわち静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値と比較して大きいか否かを判定する(ステップS120)。静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値と比較して大きい場合、検知装置10は、農作業者が倒れたと判断して図示されない倒れ管理サーバに倒れを検知したことを、通信ユニット30を介して通知する(ステップS140)。検知装置10は、図示されない倒れ管理サーバの代わりに、他の農作業者の携帯端末装置に通知してもよい。一方、ステップS120の判定において、静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値と比較して大きくない場合、ステップS70に戻り、倒れ検知部34は、次の変動量が計算できるまで待機する。
【0055】
また、ステップS110において、上記計測時刻を含む静止継続時間の期間が作業時間帯に属する場合、倒れ検知部34は、静止状態が続く時間、すなわち静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値と比較して大きいか否かを判定する(ステップS130)。静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値と比較して大きい場合、検知装置10は、農作業者が倒れたと判断して図示されない倒れ管理サーバに倒れを検知したことを、通信ユニット30を介して通知する(ステップS140)。検知装置10は、図示されない倒れ管理サーバの代わりに、他の農作業者の携帯端末装置に通知してもよい。一方、ステップS130の判定において、静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値と比較して大きくない場合、ステップS70に戻り、倒れ検知部34は、次の変動量が計算できるまで待機する。
【0056】
このように、本実施形態の検知装置10は、過去の加速度値データの変動量から、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報を求めるとき、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、静止パラメータの値および休憩パラメータの値を算出して決定する。このため、本実施形態の検知装置10は、農作業者の倒れを正確に検知し通知することができる。検知装置10は、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報の両方を、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように求めるが、検知装置10は、上記差分が最大となるように静止パラメータの値および休憩パラメータの情報の少なくとも一方を求める形態であってもよい。例えば、過去の蓄積により、農作業の種類によって、静止パラメータの値がわかっている場合や、農作業者の休憩時間帯が固定されていて休憩パラメータの情報がわかっている場合等において、上記形態は適用され得る。この場合においても農作業者の倒れを正確に検知し通知することができる。
【0057】
(第2実施形態の検知装置)
第2実施形態の検知装置10は、第1実施形態の検知装置10と異なり、休憩パラメータの情報は初期設定されず、休憩パラメータの長さが初期設定されて、自動的に休憩時間帯における休憩開始時刻と休憩終了時刻の情報を求める形態である。農作業では、1つの作業が終了するまで休憩をとらない場合があり、昼食をとるために例えば12時00分〜13時00分に確実に休憩をとるとは限らない。従って、このような場合、休憩パラメータの情報として、休憩時間帯の休憩開始時刻および休憩終了時刻の代わりに休憩時間帯の長さを初期設定するのが好ましい。
【0058】
第2実施形態の検知装置10は、図2に示す装置であり、機能的には、図12に示すように、加速度センサ26と、加速度値データを加速度値ログとして記録した記憶装置24と、検知モジュール32と、を有する。検知装置10は所定のプログラムを読み出して起動することにより、検知モジュール32を生成する。
検知モジュール32は、倒れ検知部34と、変動量計算部36と、データ処理部38と、倒れ時間パラメータ計算部40と、休憩許容パラメータ計算部50と、を有する。データ処理部38は、静止フラグ計算部42と、休憩フラグ計算部44と、静止割合差計算部46と、パラメータ計算部48と、を有する。
変動量計算部36と、静止フラグ計算部42と、休憩フラグ計算部44と、静止割合差計算部46と、倒れ時間パラメータ計算部40は、第1実施形態における変動量計算部36と、静止フラグ計算部42と、休憩フラグ計算部44と、静止割合差計算部46と、倒れ時間パラメータ計算部40と同様の機能を有するので、これらの機能の説明は省略する。
【0059】
パラメータ計算部48は、第1実施形態のパラメータ計算部48と同様に、設定された静止パラメータの値および設定された休憩パラメータの情報を用いて、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、静止パラメータの値を算出し休憩パラメータの情報を求める。しかし、パラメータ計算部48は、休憩パラメータの情報を、初期設定された休憩時間帯の長さと、過去の加速度値データの変動量とを用いて算出する。例えば、農作業者の入力により設定された休憩時間の長さとして、例えば1時間が入力される場合を想定する。このとき、パラメータ計算部48は、まず、可能性のある休憩時間帯の候補をすべて設定し、この休憩時間帯の中で、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、休憩時間帯の休憩開始時刻と休憩終了時刻を求める。例えば、休憩時間帯の候補が、8時00分〜9時00分、8時05分〜9時05分、・・・,16時00分〜17時00分と設定される。この中で、上記差分が最大となる時間帯の候補を農作業者の休憩時間帯として定める。こうして定められた休憩時間帯の時刻情報は、休憩パラメータの情報として、第1実施形態と同様に用いられる。
【0060】
休憩許容パラメータ計算部50は、パラメータ計算部48が決定した静止パラメータの値と休憩パラメータの情報を用いて、過去の加速度値データの変動量から、検知期間において発生する作業時倒れ時間パラメータの値より長い静止継続時間のすべてについて、その開始時刻と終了時刻を求める。休憩許容パラメータ計算部50は、この中で、最も早い開始時刻を休憩許容開始時刻パラメータの情報として定め、最も遅い終了時刻を休憩許容終了時刻パラメータの情報として定める。作業時倒れ時間パラメータの値より静止継続時間が長い期間は、本来、休憩時間帯における静止状態の期間である。したがって、農作業者の実際の休憩時間帯は上記開始時刻および上記終了時刻の間の期間に一致する。このため、倒れ検知部34は、定めた休憩許容開始時刻パラメータおよび休憩許容終了時刻パラメータの情報を、休憩時間帯における農作業者の倒れを検知するときに用いる。
【0061】
倒れ検知部34は、パラメータ計算部48で決定された静止パラメータの値および設定された休憩時間帯の長さと、倒れ時間パラメータ計算部40で算出された作業時倒れ時間パラメータの値および休憩時倒れ時間パラメータの値と、休憩許容パラメータ計算部50で算出された休憩許容開始時刻パラメータおよび休憩許容終了時刻パラメータの情報とを用いて、倒れの検知を行う。その際、倒れ検知部34は、静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を越える場合、その静止継続時間の発生した時刻情報と現在の時刻情報を仮検知情報として設定する。この仮検知情報で定まる期間が、休憩許容開始時刻パラメータおよび休憩許容終了時刻パラメータの情報で定まる期間内に属さず、あるいは、仮検知情報の時間長さ(仮検知した静止継続時間の長さ)が、休憩パラメータの情報から定まる休憩時間長さあるいは求められた休憩時間帯の長さより長い場合、倒れ検知部34は、農作業者が倒れたと検知する。また、倒れ検知部34は、静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値を越す場合、農作業者が倒れたと検知する。
【0062】
(第2実施形態における各パラメータの値および情報の設定方法)
図13は、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、休憩時倒れ時間パラメータの値、休憩許容開始時刻パラメータの情報、および休憩許容終了時刻パラメータの情報を求めるフローの一例を示す図である。
図13に示すフローにおいて、ステップS110,S130〜ステップS160は、図10に示すステップS10,S30〜S60と同様であるので、その説明は省略する。
ステップS120では、パラメータ計算部48において、静止パラメータの値と休憩時間帯の長さの初期設定が行われる。このとき、初期設定される休憩時間帯の長さを用いて、過去の加速度値データの変動量から休憩開始時刻と休憩終了時刻の情報が求められる。具体的には、農作業者の入力により設定された休憩時間の長さとして、例えば1時間が入力される場合、パラメータ計算部48は、可能性のある休憩時間帯の候補をすべて設定し、この休憩時間帯の中で、休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となる休憩時間帯の休憩開始時刻と休憩終了時刻を求める。こうして求められた休憩時間帯の休憩開始時刻と休憩終了時刻は、休憩パラメータの情報として設定される。一方、ステップS120における静止パラメータの値の設定はステップS20と同様に行われる。
ステップS170では、休憩許容パラメータ計算部50が、パラメータ計算部48が決定した静止パラメータの値と休憩パラメータの情報を用いて、過去の加速度値データの変動量から、検知期間において発生する作業時倒れ時間パラメータの値より長い静止継続時間のすべてを抽出し、抽出された静止継続時間について、その開始時刻と終了時刻を求める。休憩許容パラメータ計算部50は、この中で、最も早い開始時刻を休憩許容開始時刻パラメータの情報として定め、最も遅い終了時刻を休憩許容終了時刻パラメータの情報として定める。倒れ検知装置34は、定めた休憩許容開始時刻パラメータおよび休憩許容終了時刻パラメータの情報を、後述するように休憩時間帯における農作業者の倒れの検知に用いる。
【0063】
(第2実施形態における倒れ検知方法)
図14は、第2実施形態の農作業者の倒れ検知方法のフローを示す図である。
図14中のステップS270〜S300、S340は、図11におけるステップS70〜S100,S140と同じであるので、その説明は省略する。
ステップ310では、現在の農作業者は静止状態(ステップS300においてYes)であるので、倒れ検知部34は、現在続行する静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値を越えるか否かを判定する(ステップS310)。現在続行する静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値を越える場合、静止継続時間は静止時倒れ時間パラメータの値も越えているので、現在続行する静止継続時間の期間が休憩時間帯に属する場合であっても休憩時間帯に属する場合であっても、倒れとみなされ得る。したがって、倒れ検知部34は、農作業者の倒れを検知したとみなして、倒れを検知したことを、通信ユニット30を介して図示されない倒れ管理サーバに通知する(ステップS340)。
【0064】
一方、現在続行する静止継続時間が休憩時倒れ時間パラメータの値を越えない場合(ステップS310においてNoの場合)、倒れ検知部34は、現在続行する静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を越えるか否かを判定する(ステップS320)。現在続行する静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を越えない場合、現在続行する静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を越えないので、倒れは発生していないと判断し、ステップS270に戻り、加速度値データの変動量の算出が可能になるまで待機する。一方、現在続行する静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を越える場合(ステップS320においてYesの場合)、倒れ判定部34は、以下の条件を満足するか否かを判定する(ステップS330)。すなわち、倒れ検知部34は、静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を越える場合、その静止継続時間の発生した時刻情報と現在の時刻情報を仮検知情報として設定する。上記判定に用いる条件は、上記仮検知情報で定まる期間が、休憩許容開始時刻パラメータおよび休憩許容終了時刻パラメータの情報で定まる期間内にあり、かつ、仮検知情報の時間長さ(仮検知した静止継続時間の長さ)が、休憩パラメータの情報から定まる休憩時間帯の長さあるいは定められた休憩時間帯の長さ以下であることをいう。したがって、上記条件を満たす場合(ステップS330においてYesの場合)、仮検知情報で定まる静止継続時間は休憩時間帯における静止継続時間であると判定され、ステップS270に戻る。一方、仮検知情報が上記条件を満足しない場合(ステップS330においてNoの場合)、倒れ検知部34は、農作業者の倒れを検知したとみなして、倒れを検知したことを、通信ユニット30を介して図示されない倒れ管理サーバに通知する(ステップS340)。
【0065】
第2実施形態の検知装置10のパラメータ計算部48は、過去の加速度値データの変動量において、静止継続時間が作業時倒れ時間パラメータの値を超える時間帯を検索し、検索した時間帯の最も早い時刻および最も遅い時刻をそれぞれ、休憩許容開始時刻パラメータおよび休憩許容終了時刻パラメータとして定める。一方、倒れ検知部34は、ステップS330における条件を満たさないとき、農作業者の倒れが発生したと検知する。このため、休憩時間帯が一定の時間帯に固定されていなくても、農作業者の倒れの検知を正確に行うことができる。
【0066】
(第3実施形態の検知装置)
第3実施形態の検知装置10は、第1実施形態の検知装置10と以下の点が異なる。すなわち、第3実施形態の検知装置10は、加速度センサ26で現在計測される加速度値データを、順次、加速度値ログとして記憶装置24に記録するように、加速度値データを記憶装置24に送る。
圏地装置10は、上記以外は第1実施形態の検知装置10と同じ構成及び機能を有するので、各部分の説明は省略する。
【0067】
このように加速度値データを順次記憶装置24に送ることで、一日の農作業が終了したとき、検知装置10は、計測して得られた一日の加速度値データを、過去の加速度値データとして用いて、静止パラメータの値および休憩パラメータの情報、さらには、作業時倒れ時間パラメータ及び休憩時倒れ時間パラメータの値を再計算することができる。したがって、検知装置10は、再計算した結果を翌日の農作業時の倒れ検知に利用することができる。また、検知装置10は、誤検知により農作業者の倒れの通知を受けた他の農作業者等が本人が倒れていないことを確認した場合、誤検知情報として加速度値データに情報を追記する。これにより検知装置10は、一日の農作業が終了したとき、追記した誤検知情報を、作業時倒れ時間パラメータ及び休憩時倒れ時間パラメータの値の再計算に用いることができる。すなわち、検査装置10は、最新の作業状況および休憩状況を反映した加速度値データを用いて各種パラメータの値および情報を再計算するので、最新の作業状況や休憩状況を反映して正確な倒れ検知を行うことができる。
【0068】
図16は、第3実施形態の倒れ検知における作業時倒れ時間パラメータ及び休憩時倒れ時間パラメータの値の再計算のフローの一例を示す図である。
検知装置10の倒れ検知部34が農作業者の倒れを検知した場合(ステップS310におけるYesの場合)、図示されない管理サーバを介して他の農作業者に、あるいは他の農作業者に直接、農作業者の倒れを検知したことを通知する(ステップS320)。通知を受けた他の農作業者は、倒れたと検知された農作業者が本当に倒れたか否かを確認することで、倒れの検知が誤検知であったか否かを判定する(ステップS330)。倒れの検知が誤検知であった場合(ステップS330においてNoの場合)、検知装置10は加速度値データに誤検知情報を追記する(ステップS340)。この後、検知装置10は、誤検知情報が追記された加速度値データを記憶装置24に加速度値ログとして記録する(ステップS350)。一方、倒れの検知が正しい検知であった場合(ステップS330においてYesの場合)、検知装置10は、現在設定されているパラメータが適切であるとして、パラメータの再計算は行われない。
一方、ステップS310において、検知装置10が倒れを検知しない場合、検知装置10は、計測されて得られた加速度値データをそのまま記憶装置24に加速度値ログとして記録する(ステップS350)。こうして農作業者の1日の農作業が終了し加速度値データの記録が終了するまで(ステップS360の判定結果がYesになるまで)、検知装置10は、ステップS310〜ステップS350を繰り返し行う。農作業者の1日の農作業が終了し、加速度値データの記録が終了すると(ステップS360の判定結果がYesになると)、検知モジュール32は、記憶装置24に記録された1日の農作業時の加速度値データを記憶装置24から読み出して、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、および休憩時倒れ時間パラメータの値を再計算する(ステップS370)。再計算の方法は、図10あるいは図13に示すフローに沿って行われる。このとき、後検知情報が記録された加速度値のデータ中の静止継続時間が、各種パラメータの値及び情報に反映される。
【0069】
(第4実施形態の検知装置及びサーバ)
なお、第1実施形態〜第3実施形態の農作業者の倒れを検知する装置は、農作業者が装着する携帯端末装置であるが、この他に、図1(b)に示すような農作業者の倒れを検知するシステムを用いることもできる。例えば、農作業者の倒れを検知するシステムは、図1(b)に示すように、検知装置14とデータ処理装置16とを第4実施形態として備える。
検知装置14は、図2に示すような装置であり、加速度センサ26と倒れ検知部34と、を有する。
加速度センサ26は、第1実施形態における検知装置10の加速度センサ26と同じ機能を有する。倒れ検知部34は、記憶装置24に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより生成されるソフトウェアモジュールであり、第1〜3実施形態と同様の機能を有する。したがって、加速度センサ26と倒れ検知部34の機能の説明は省略する。
【0070】
一方、データ処理装置16は、図17(A)に示されるように、CPU60と、記憶装置62と、入出力部64と、バス66と、通信ユニット68と、入出力部64を介して接続されたディスプレイ70およびマウスやキーボード等の入力操作系72と、を有するコンピュータである。
記憶装置62は、ROM、RAMおよびハードディスク等を有し、ROMには、データ処理装置16を起動することによってCPU60により読み出されて実行されるOSが記憶される。また、記憶装置62は、過去において計測されて得られた加速度値データが加速度値ログとして計測した日時情報及び時刻情報とともに記録されている。また、ROMあるいはRAMには、読み出されることにより、後述する図17(B)に示すような倒れ検知モジュール74を生成するプログラムが記憶されている。
CPU60は、記憶装置62の記憶と読み出し、通信ユニット68の動作を制御、管理する。
通信ユニット68は、検知装置14と通信することができ、第1実施形態〜第3実施形態で説明した静止パラメータ等の各種パラメータの値あるいは情報を検知装置14に送信する。
データ処理装置16が起動し、記憶装置62に記憶されているプログラムを読み出すことにより、図17(B)に示すような検知モジュール74が生成される。すなわち、データ処理装置16のCPU60が検知モジュール74の各部分の機能を実質的に担う。
【0071】
検知モジュール74は、変動量計算部76と、データ処理部78と、倒れ時間パラメータ計算部80と、を有する。データ処理部78は、静止フラグ計算部82と、休憩フラグ計算部84と、静止割合差計算部86と、パラメータ計算部88と、を有する。変動量計算部76と、静止フラグ計算部82と、休憩フラグ計算部84と、静止割合差計算部86と、パラメータ計算部88と、倒れ時間パラメータ計算部80は、第1実施形態〜第3実施形態における変動量計算部36と、静止フラグ計算部42と、休憩フラグ計算部44と、静止割合差計算部46と、パラメータ計算部48と、倒れ時間パラメータ計算部40と同じ機能を有するので、その説明は省略する。
検知モジュール78において算出された静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、休憩時倒れ時間パラメータの値等の上述した各種パラメータの値及び情報が通信ユニット68を介して検知装置14に送られて、倒れ検知部34における農作業者の倒れ検知に用いられる。このように、検知装置14は、加速度センサ26および倒れ検知部34を有し、検知装置14の記憶装置に加速度値ログを記録せず、データ処理装置16の記憶装置62に記録するので、農作業者が装着する検知装置14として用いる携帯端末装置の記憶リソースを減少させることができる。
【0072】
(第4実施形態の変形例)
図18は、図17(B)に示すデータ処理装置16および検出装置14の変形例を示す図である。
第4実施形態において変動量計算部76をデータ処理装置16が有していたが、本変形例では、検知装置14が変動量計算部76を有し、記憶装置62に加速度値データが記録されるのではなく、検知装置14で算出された加速度値データの変動量がデータ処理装置16に送信されて、記憶装置62に加速度値変動量ログとして記録される。これ以外は、図17(A),(B)に示す第4実施形態の検知装置14、データ処理装置16と同じ機能を有するので、その説明は省略する。
【0073】
変形量計算部76は、加速度センサ26の計測により得られた加速度値データから、変動量計算部36と同様の方法により変動量を算出する。算出した加速度値データの変動量は、検知装置14の通信ユニットおよび通信ユニット68を介して、記憶装置62に順次送られる。これにより、記憶装置62は、加速度値データの変動量を加速度値変動量ログとして記録する。この加速度値データの変動量は、第4実施形態で説明したように、パラメータ計算部88および倒れ時間パラメータ計算部80において、静止パラメータの値、休憩パラメータの情報、作業時倒れ時間パラメータの値、休憩時倒れ時間パラメータの値等の上述した各種パラメータの値及び情報を求めるとき用いられる。求められた各種パラメータの値及び情報は、通信ユニット68および検知装置14の通信ユニットを介して、倒れ検知部34に送られて倒れ検知のパラメータとして用いられる。
記憶装置62に記録される加速度値データの変動量は、例えば20Hzのサンプリング条件で得られる加速度値データに対して10秒毎のデータとなるので、この場合、データ量は200分の1となる。したがって、記憶装置62に記録するデータの量は減少する。このため、本変形例は、検知装置14からデータ処理装置16に送信するデータのデータ量を削減することができる。
【0074】
以上説明したように、第1実施形態〜第4実施形態は、いずれも、過去の加速度値データの変動量において農作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、静止パラメータの値を算出して決定し、あるいは休憩パラメータの情報を求めて決定するので、農作業者の倒れを正確に検知することができる。
【0075】
また、作業時異常発生時間パラメータは、決定した休憩パラメータの情報と静止パラメータの値を用いて求められる、過去の加速度値データの変動量における作業時間帯の静止継続時間の最長時間である。休憩時異常発生時間パラメータは、決定した休憩パラメータの情報と静止パラメータの値を用いて求められる、過去の加速度値データの変動量における休憩時間帯の静止継続時間の最長時間である。このため、第1実施形態〜第4実施形態は、農作業者の倒れをより素早く検知することができる。
【0076】
また、図10に示すステップS40や図13に示すステップS140のように、静止パラメータの値と休憩パラメータの情報が収束するまで、繰り返し計算を行い、収束した静止パラメータの値と休憩パラメータの情報を、倒れ検知に用いるので、第1実施形態〜第4実施形態は、倒れ検知の誤検出を抑制することができ、より正確な倒れを検知することができる。
【0077】
第1実施形態〜第4実施形態は、倒れ検知時間パラメータの値を作業間帯と休憩時間帯を分けて設定するので、倒れ検知の誤検出を抑制することができ、より正確に倒れを検知することができる。
【0078】
また、図13,14に示すように、第2実施形態は、休憩許容開始時刻パラメータの情報と休憩許容終了時刻パラメータの情報を算出し、この算出した情報を用いて倒れを検知するので、休憩時間帯が予め設定されていなくても倒れを検知することができる。
また、図13に示すように、第2実施形態は、過去の加速度値データの変動量において農作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、設定された休憩時間帯の長さを用いて、休憩パラメータの情報を求める。このため、第2実施形態の検知装置10は、休憩時間パラメータの情報が予め設定されていなくても、休憩時間帯の情報を設定することができる。
【0079】
上記実施形態は、以下に示す内容を開示する。
【0080】
(付記1)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態の判定に用いるための前記静止パラメータの値を算出し決定するパラメータ計算部と、
を備える、ことを特徴とする作業者異常発生検知装置。
【0081】
(付記2)
前記パラメータ計算部は、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出した前記静止パラメータの値を用いて、前記休憩パラメータの情報を求め決定し、
前記異常検知部は、決定した前記休憩パラメータの情報を作業者の異常発生の検知に用いる、付記1に記載の作業者異常発生検知装置。
【0082】
(付記3)
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
前記作業時異常発生時間パラメータは、決定した前記休憩パラメータの情報と前記静止パラメータの値を用いて求められる、前記過去の加速度値データの変動量における作業時間帯の静止継続時間の最長時間であり、
前記休憩時異常発生時間パラメータは、決定した前記休憩パラメータの情報と前記静止パラメータの値を用いて求められる、前記過去の加速度値データの変動量における休憩時間帯の静止継続時間の最長時間である、付記2に記載の作業者異常発生検知装置。
【0083】
(付記4)
前記パラメータ計算部は、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出した前記静止パラメータの値を用いて、前記休憩パラメータの情報を求める第1の処理と、求めた前記休憩パラメータの情報を用いて、前記静止パラメータの値を算出する第2の処理とを組として繰り返し行い、前記第1の処理と前記第2の処理を組として繰り返し行うとき、前記第1の処理および前記第2の処理を繰り返しても変化しない休憩パラメータの情報と静止パラメータの値を、前記異常検知部が前記作業者の異常発生の検知に用いる時刻情報および値として決定する、付記1に記載の作業者異常発生検知装置。
【0084】
(付記5)
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと前記作業者の作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
前記異常検知部は、前記作業者の作業時間帯における静止継続時間が、前記作業時異常発生時間パラメータの値を越えた場合、および、前記作業者の休憩時間帯における静止継続時間が、前記休憩時異常発生時間パラメータの値を越えた場合、前記作業者に異常が発生したと判定する、付記1〜4のいずれか1項に記載の作業者異常発生検知装置。
【0085】
(付記6)
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと前記作業者の作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
さらに、前記過去の加速度値データの変動量から、前記作業者の静止継続時間が前記作業時異常発生時間パラメータの値を超える期間を検索し、検索した期間の最も早い時刻および最も遅い時刻をそれぞれ、休憩許容開始時刻および休憩許容終了時刻として定める休憩許容パラメータ計算部を有し、
前記異常検知部は、前記静止継続時間が前記作業時異常発生時間パラメータの値を超える場合、前記静止継続時間の開始時刻から現在の時間までの期間が前記休憩許容開始時刻と前記休憩許容終了時刻とで定まる期間に含まれ、かつ、前記静止継続時間の開始時刻から現在の時間までの時間長さが、設定された作業者の前記休憩時間帯の長さ以下である条件を満たさないとき、前記作業者に異常が発生したと検知する、付記1または2に記載の作業者異常発生検知装置。
【0086】
(付記7)
前記パラメータ計算部は、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、設定された休憩時間帯の長さを用いて、前記休憩パラメータの情報を求め、求めた前記休憩パラメータの情報を用いて、前記静止パラメータの値を算出する、付記1に記載の作業者異常発生検知装置。
【0087】
(付記8)
前記過去の加速度値データは、前記検知期間を一日として、前記加速度センサによる計測で得られた過去の複数の日における加速度値データから選択されたものである、付記1〜7のいずれか1項に記載の作業者異常発生検知装置。
【0088】
(付記9)
前記過去の加速度値データが記録される記憶部を備え、
前記加速度センサの計測により得られる加速度値データは、前記記憶部に順次記録され、
前記検知期間が終了したとき、前記記憶部に順次記録された前記加速度値データが、前記過去の加速度値データとして用いられる、付記1〜7のいずれか1項に記載の作業者異常発生検知装置。
【0089】
(付記10)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、
前記加速度センサで計測されて得られた前記作業者の過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定するパラメータ計算部と、を備える、ことを特徴とする作業者異常発生検知装置。
【0090】
(付記11)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知システムであって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、を備える携帯端末装置と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態の判定に用いるための前記静止パラメータの値を算出し決定するパラメータ計算部と、決定した前記静止パラメータの値を前記携帯端末装置に送信する通信部と、を備えるデータ処理装置と、を有する、ことを特徴とする作業者異常発生検知システム。
【0091】
(付記12)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知システムであって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、を備える携帯端末装置と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定するパラメータ計算部と、決定した前記休憩パラメータの情報を前記携帯端末装置に送信する通信部と、を備えるデータ処理装置と、を有することを特徴とする作業者異常発生検知システム。
【0092】
(付記13)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置あるいは作業者異常発生検知システムが行う作業者異常発生検知方法であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として算出し決定し、
決定した前記静止パラメータの値を用いて、現在計測して得られた作業者の加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者の静止継続時間が、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯において異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間を越える場合、作業者に異常が発生したと検知する、ことを特徴とする作業者異常発生検知方法。
【0093】
(付記14)
前記静止パラメータの値を算出したとき、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出した前記静止パラメータの値を用いて、前記休憩パラメータの情報を求め決定し、
決定した前記休憩パラメータの情報が作業者の異常発生の検知に用いられる、付記13に記載の作業者異常発生検知方法。
【0094】
(付記15)
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
前記作業時異常発生時間パラメータは、決定した前記休憩パラメータの情報と前記静止パラメータの値を用いて求められる、前記過去の加速度値データの変動量における作業時間帯の静止継続時間の最長時間であり、
前記休憩時異常発生時間パラメータは、決定した前記休憩パラメータの情報と前記静止パラメータの値を用いて求められる、前記過去の加速度値データの変動量における休憩時間帯の静止継続時間の最長時間である、付記13または14に記載の作業者異常発生検知方法。
【0095】
(付記16)
前記静止パラメータの値を算出し決定するとき、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出した前記静止パラメータの値を用いて、前記休憩パラメータの情報を求める第1の処理と、求めた前記休憩パラメータの情報を用いて、前記静止パラメータの値を算出する第2の処理とを組として繰り返し行い、前記第1の処理と前記第2の処理を組として繰り返し行うとき、前記第1の処理および前記第2の処理を繰り返しても変化しない休憩パラメータの情報と静止パラメータの値を、前記作業者の異常発生の検知に用いる時刻情報および値として決定する、付記13に記載の作業者異常発生検知方法。
【0096】
(付記17)
前記異常発生時間パラメータは、作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
作業者の異常発生の検知を行なうとき、作業者の作業時間帯における静止継続時間が、作業時異常発生時間パラメータの値を越えた場合、および、作業者の休憩時間帯における静止継続時間が、休憩時異常発生時間パラメータの値を越えた場合、作業者に異常が発生したと検知する、付記13〜15のいずれか1項に記載の作業者異常発生検知方法。
【0097】
(付記18)
前記異常発生時間パラメータは、作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
前記静止パラメータの値を算出し決定し、前記異常発生時間パラメータの値を設定した後、前記過去の加速度値データの変動量において、作業者の前記静止継続時間が前記作業時異常発生時間パラメータの値を超える期間を検索し、検索した期間の最も早い時刻および最も遅い時刻をそれぞれ、休憩許容開始時刻および休憩許容終了時刻として定め、
作業者の異常発生の検知を行なうとき、前記静止継続時間が前記作業時異常発生時間パラメータの値を超える場合、前記静止継続時間の開始時刻から現在の時間までの期間が前記休憩許容開始時刻と前記休憩許容終了時刻で定まる期間に含まれ、かつ、前記静止継続時間の開始時刻から現在の時間までの時間長さが、設定された作業者の前記休憩時間帯の長さ以下である条件を満たさないとき、作業者に異常が発生したと検知する、付記13〜16のいずれか1項に記載の作業者異常発生検知方法。
【0098】
(付記19)
前記静止パラメータの値を算出するとき、
前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、設定された休憩時間帯の長さを用いて、前記休憩パラメータの情報を求め、求めた前記休憩パラメータの情報を用いて、前記静止パラメータの値を算出する、付記13または14に記載の作業者異常発生検知方法。
【0099】
(付記20)
作業者の静止休憩パラメータ継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置あるいは作業者異常発生検知システムが行う作業者異常発生検知方法であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定し、
決定した前記静止パラメータの値を用いて、現在計測して得られた作業者の加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者の静止継続時間が、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯において異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間を越える場合、作業者に異常が発生したと検知する、ことを特徴とする作業者異常発生検知方法。
【0100】
(付記21)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知するためのパラメータの値を決定するための処理を行う、コンピュータが実行可能なプログラムであって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の過去の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態を判定するために用いる静止パラメータの値を算出し決定する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0101】
(付記22)
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知するためのパラメータの値を決定するための処理を行う、コンピュータが実行可能なプログラムであって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の過去の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0102】
以上、本発明の作業者異常発生検知装置、作業者異常発生検知方法、およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0103】
10,14 作業者倒れ発生検知装置
12 作業者異常発生検知システム
16 データ処理装置
22,60 CPU
24,62 記憶装置
26 加速度センサ
28 時計
30,68 通信ユニット
31,66 バス
32,74 検知モジュール
34 倒れ検知部
36,76 変動量計算部
38,78 データ処理部
40,80 倒れ時間パラメータ計算部
42,82 静止フラグ計算部
44,84 休憩フラグ計算部
46,86 静止割合差計算部
48,88 パラメータ計算部
50 休憩許容パラメータ計算部
64 入出力部
70 ディスプレイ
72 入力操作系


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、
前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯を含んだ検知期間において前記加速度センサで計測されて得られた過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態の判定に用いるための前記静止パラメータの値を算出し決定するパラメータ計算部と、
を備える、ことを特徴とする作業者異常発生検知装置。
【請求項2】
前記パラメータ計算部は、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出した前記静止パラメータの値を用いて、前記休憩パラメータの情報を求め決定し、
前記異常検知部は、決定した前記休憩パラメータの情報を作業者の異常発生の検知に用いる、請求項1に記載の作業者異常発生検知装置。
【請求項3】
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
前記作業時異常発生時間パラメータは、決定した前記休憩パラメータの情報と前記静止パラメータの値を用いて求められる、前記過去の加速度値データの変動量における作業時間帯の静止継続時間の最長時間であり、
前記休憩時異常発生時間パラメータは、決定した前記休憩パラメータの情報と前記静止パラメータの値を用いて求められる、前記過去の加速度値データの変動量における休憩時間帯の静止継続時間の最長時間である、請求項2に記載の作業者異常発生検知装置。
【請求項4】
前記パラメータ計算部は、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、算出した前記静止パラメータの値を用いて、前記休憩パラメータの情報を求める第1の処理と、求めた前記休憩パラメータの情報を用いて、前記静止パラメータの値を算出する第2の処理とを組として繰り返し行い、前記第1の処理と前記第2の処理を組として繰り返し行うとき、前記第1の処理および前記第2の処理を繰り返しても変化しない休憩パラメータの情報と静止パラメータの値を、前記異常検知部が前記作業者の異常発生の検知に用いる時刻情報および値として決定する、請求項1に記載の作業者異常発生検知装置。
【請求項5】
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと前記作業者の作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
前記異常検知部は、前記作業者の作業時間帯における静止継続時間が、前記作業時異常発生時間パラメータの値を越えた場合、および、前記作業者の休憩時間帯における静止継続時間が、前記休憩時異常発生時間パラメータの値を越えた場合、前記作業者に異常が発生したと判定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業者異常発生検知装置。
【請求項6】
前記異常発生時間パラメータは、前記作業者の休憩時間帯における休憩時異常発生時間パラメータと前記作業者の作業時間帯における作業時異常発生時間パラメータを含み、
さらに、前記過去の加速度値データの変動量から、前記作業者の静止継続時間が前記作業時異常発生時間パラメータの値を超える期間を検索し、検索した期間の最も早い時刻および最も遅い時刻をそれぞれ、休憩許容開始時刻および休憩許容終了時刻として定める休憩許容パラメータ計算部を備え、
前記異常検知部は、前記静止継続時間が前記作業時異常発生時間パラメータの値を超える場合、前記静止継続時間の開始時刻から現在の時間までの期間が前記休憩許容開始時刻と前記休憩許容終了時刻とで定まる期間に含まれ、かつ、前記静止継続時間の開始時刻から現在の時間までの時間長さが、設定された作業者の前記休憩時間帯の長さ以下である条件を満たさないとき、前記作業者に異常が発生したと検知する、請求項1または2に記載の作業者異常発生検知装置。
【請求項7】
前記パラメータ計算部は、前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、設定された休憩時間帯の長さを用いて、前記休憩パラメータの情報を求め、求めた前記休憩パラメータの情報を用いて、前記静止パラメータの値を算出する、請求項1に記載の作業者異常発生検知装置。
【請求項8】
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度を計測して得られる前記作業者の現在の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、求めた前記加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者が現在静止状態にあるときの静止継続時間を、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯のそれぞれにおいて異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間と比較することにより、作業者の異常発生を検知する異常検知部と、
前記加速度センサで計測されて得られた前記作業者の過去の加速度値データから所定時間毎の加速度値データの変動量を求める変動量計算部と、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として用いて、前記作業者の休憩時間帯と作業時間帯を区別するための休憩パラメータの情報を求め決定するパラメータ計算部と、を備える、ことを特徴とする作業者異常発生検知装置。
【請求項9】
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知する作業者異常発生検知装置あるいは作業者異常発生検知システムが行う作業者異常発生検知方法であって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態を定める前記変動量の上限値を静止パラメータの値として算出し決定し、
決定した前記静止パラメータの値を用いて、現在計測して得られた作業者の加速度値データの変動量から前記作業者が静止状態か否かを判定し、作業者の静止継続時間が、前記作業者の作業時間帯および休憩時間帯において異常発生時間パラメータの値として設定された静止継続時間の許容最長時間を越える場合、作業者に異常が発生したと検知する、ことを特徴とする作業者異常発生検知方法。
【請求項10】
作業者の静止継続時間に基づいて前記作業者の異常発生を検知するためのパラメータの値を決定するための処理を行う、コンピュータが実行可能なプログラムであって、
作業者に装着され前記作業者の動作に伴って生じる加速度の過去における計測結果である、作業者の作業時間帯と休憩時間帯を含んだ検知期間内の加速度値データから、所定時間毎の過去の加速度値データの変動量を求め、
求めた前記過去の加速度値データの変動量から算出される前記作業者の休憩時間帯における静止時間の割合と前記作業者の作業時間帯における静止時間の割合の差分が最大となるように、前記作業者の休憩時間帯の時刻情報を休憩パラメータの情報として用いて、前記作業者の静止状態を判定するために用いる静止パラメータの値を算出し決定する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−160036(P2012−160036A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19416(P2011−19416)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】