作業車両のエンジン回転数制御装置
【課題】制御内容の異なる複数のエンジン回転数制御に対して適切な優先順位を設定することによって、各回転数制御の利点を最大限に引き出すようにすると共に、ブレーキ制御、又はデセル制御を解除する条件、並びに解除した後のエンジン回転数の設定を適切なものにすることによって、オペレータの制御装置に対する不信感を払拭する。
【解決手段】エンジンの回転数制御を、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定すると共に、ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサ34がローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行する。
【解決手段】エンジンの回転数制御を、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定すると共に、ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサ34がローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の時間以上に走行や作業が行われない場合にエンジン回転数をローアイドルに戻すデセル制御、或いは予め記憶したエンジン回転数を呼び出してこれをエンジン回転数として設定する呼出制御等を行う作業車両のエンジン回転数制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、草刈機やトラクタ等において、エンジンから作業装置への伝動系に介装したPTOクラッチの切り状態、及び走行停止状態の検出に基づいて、エンジン回転数をアイドリングセット状態になるまでアクセルダウンすることによって、無駄に燃料が消費されないようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、予め記憶したエンジン回転数を呼び出して、これをエンジン回転数に設定することによって、所望のエンジン回転数を簡単な操作によって得られるようにすることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−258060号公報
【特許文献2】特開2009−287470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、先行技術文献に示す特許文献1に記載されたエンジン回転数のデセル制御、並びに特許文献2に記載されたエンジン回転数の呼出制御、等の制御内容の異なる複数のエンジン回転数制御を備え、これら個々の制御の利点を生かしながらエンジンの回転数制御を行うためには、その時々の車両の状態によって一つの制御内容を採用してエンジンの回転数制御を行わなければならない。
例えば、上記エンジン回転数の呼出制御が実行されている際に、PTOクラッチの切り状態、及び走行停止状態の検出に基づいてデセル制御の実行条件が整った時に、呼出制御をそのまま継続させるのか、デセル制御に移行させるのか選択の余地がある。
また、特にPTOクラッチの切り状態、及び走行停止状態の検出に基づいてデセル制御が実行されている時に、このデセル制御を解除する条件、並びに解除した後のエンジン回転数をどのように設定するのか、これについても考慮する余地がある。
即ち、デセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドルにある時に、これを知らないオペレータが、例えば走行を開始した途端にデセル制御が解除されて、エンジン回転数がデセル制御以前の高回転数に戻されると、オペレータは制御装置に対する不信感を抱き、また動揺を与える虞れがある。
そこで、本発明は、係る問題点に鑑みて、制御内容の異なる複数のエンジン回転数制御に対して適切な優先順位を設定することによって、各回転数制御の利点を最大限に引き出すようにすると共に、デセル制御を解除する条件、並びに解除した後のエンジン回転数の設定を適切なものにすることによって、オペレータの制御装置に対する不信感を払拭することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、及び呼出制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする。
そして、請求項2に記載の発明は、エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップ・ダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップ・ダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、エンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御、並びにエンジン回転数をブレーキペダルを踏んだ時にローアイドルに戻すブレーキ制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に記載されたエンジン回転数制御装置によれば、デセル制御、呼出制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定するから、呼出制御、又はアクセル制御の元にエンジン回転数が高回転数に設定されていた場合でも走行を停止して作業を行っていない時には、デセル制御が実行されて無駄な燃料消費が防止される。そして、アクセル制御に優先して呼出制御が実行されるため、所望のエンジン回転数を即座に得ることができ、作業能率を向上させることができる。
また、デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、及び呼出制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行するから、走行をそのまま開始した途端にデセル制御が解除されてエンジン回転数が急に高回転数に戻されるといったことがなく、それ故、予期しない回転数変化に対するオペレータの動揺を未然に防止することができる。
そして、デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている状態で走行を開始した際に、オペレータがエンジン回転数を上げて走行速度を速くしたいと判断した場合には、慣行的に使用されるアクセル制御、即ちアクセルレバー又はアクセルペダルを操作してエンジン回転数を変更するという発想に至り、更にこれが高回転数位置に操作されていた場合には一旦、ローアイドルに戻してみるという試行の元に、それ以後は引き続きアクセル制御、即ちアクセルレバー又はアクセルペダルの操作に基づいてエンジン回転数を意のままに設定することができるから、操作上の違和感もなくデセル制御から簡単に復帰して作業を以前のように再開することができる。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載されたエンジン回転数制御装置によれば、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行するから、前述の効果に加えて、エンジン回転数をアップ・ダウンスイッチによって増減するアップダウン制御に基づいて、エンジン回転数の微調整をスイッチ操作によって行うことができ、従って、エンジン回転数の設定をより簡単に行うことができる。
【0008】
さらに、本発明の請求項3に記載されたエンジン回転数制御装置によれば、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行するから、前述の効果に加えて、エンジン回転数をブレーキペダルを踏んだ時にローアイドルに戻すブレーキ制御に基づいて、ブレーキペダルを踏んで走行を停止した後に、走行を再開すべくペダルの踏み込みを解除しても、エンジン回転数は直ちに以前の回転数に復帰することがなく、引き続きローアイドルに維持されているから、機体が急発進することがなく安全に走行を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トラクタの斜視図である。
【図2】操縦部の平面図である。
【図3】メーターパネルの正面図である。
【図4】サイドパネル部の平面図である。
【図5】走行変速レバー部の斜視図である。
【図6】制御装置のブロック図である。
【図7】エンジン回転数制御のフローチャートである。
【図8】デセル設定のフローチャートである。
【図9】デセル制御のフローチャートである。
【図10】呼出設定のフローチャートである。
【図11】呼出制御のフローチャートである。
【図12】アップダウン制御の前半のフローチャートである。
【図13】アップダウン制御の後半のフローチャートである。
【図14】アクセル制御のフローチャートである。
【図15】回転上限設定のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように作業車両としてのトラクタ1は、機体フレーム2の前部にエンジンを搭載して、これをボンネット3で覆っている。また、トラクタ1は機体フレーム2の下方に左右の走行レーム4を備え、走行フレーム4に軸支される駆動スプロケット5、アイドラ6、及び転輪7にクローラ8が巻き掛けられている。そして、機体フレーム2の中央部にはキャビン9が搭載されており、キャビン9のルーフには作業灯10が、また、ボンネット3のフロントグリルには前照灯11が設けてある。
さらに、トラクタ1は機体フレーム2の後部に図示しないトップリンク、ロワーリンク等からなる周知の3点リンク機構が設けてあり、3点リンク機構にはロータリ耕耘装置やハロー等の作業機が連結され、トラクタ1はこれらの作業機を用いて耕耘・代掻き作業等を行うことができる。また、3点リンク機構は機体フレーム2の後部に設けた図示しない左右のリフトアームにリフトロッドを介して連結され、このリフトアームの回動によって3点リンク機構は昇降して作業機の高さが制御される。
【0011】
図2に示すようにキャビン9内には座席12、メーターパネル13、ステアリングハンドル14の他に、PTO変速レバー15、緊急停止ブレーキペダル16、アクセルレバー17、走行変速レバー18、ポジションコントロールレバー19等のペダル・レバー類が設けてある。さらに、座席12の右側のサイドパネル20には、制御装置の各種設定スイッチやダイヤルが設けてある。
また、図3に示すようにメーターパネル13には、燃料計21、エンジン回転計22等の計器類、各種の警告灯の他に、液晶パネル23が組み込まれており、制御装置の細部の設定は、この液晶パネル23に設定項目が表示された状態で下方に設けた選択スイッチ24や決定スイッチ25等の選択手段によって行うことができる。
【0012】
図4及び図5は、右側のサイドパネル20と走行変速レバー18の詳細を示す。
特に走行変速レバー18は、前後方向に回動操作することによってエンジンによって駆動される油圧式無段変速装置の油圧ポンプ斜板をサーボ機構を介して傾転させ、これによって油圧ポンプと閉回路により連結された油圧モータは駆動駆動スプロケット5を回転させて、機体は走行する。
また、この走行変速レバー18のグリップ部の側面には、エンジン回転数を増減するアップ・ダウンスイッチ26が設けてあり、このスイッチ26は上部、又は下部を押した後に指を離すと中立位置に復帰するモーメンタリースイッチで構成している。
さらに、サイドパネル20には、エンジンから作業装置への伝動系に介装したPTOクラッチを入り切りするPTOスイッチ27や、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する回転メモリースイッチ28等が設けてあり、回転メモリースイッチ28も上部、又は下部を押した後に指を離すと中立位置に復帰するモーメンタリースイッチで構成している。
【0013】
次に、トラクタの各部を制御する制御装置について図6に示すブロック図に基づいて説明する。
制御装置は、マイクロコンピュータから構成するメインコントロールユニット29とフロントコントロールユニット30とエンジンコントロールユニット31がシリアル通信、或いはコントロールエリアネットワークによって接続されると共に、フロントコントロールユニット30とメーターユニット32、並びに液晶コントロールユニット33がそれぞれコントロールエリアネットワークによって接続されている。
また、前述した液晶パネル23が液晶コントロールユニット33に接続され、液晶コントロールユニット33によって液晶パネル23の液晶表示がコントロールされる。
【0014】
エンジンコントロールユニット31の入力側には、アクセルレバー17に付設したアクセルセンサ34、アクセルレバー17のローアイドル位置を検出してアクセルセンサ34が正常であることを保証するアイドルスイッチ35、エンジン回転数を検出する回転ピックアップセンサ36、冷却水温センサ37等が接続されている。
また、エンジンコントロールユニット31は、これらの信号並びにメインコントロールユニット29からの指令信号に基づいて、エンジンの燃料噴射量等を制御してエンジン回転数を制御すると共に、エンジン回転数の変化割合や出力特性を切替信号(ドループ切替、エコモード)に基づいて変更する他、冷却水温やエンジン回転数をメータユニット32に向けて出力する。
【0015】
フロントコントロールユニット30は、液晶パネル23にエンジン回転数、車速、燃料の残量等を表示するように液晶コントロールユニット33に指令する。また、フロントコントロールユニット30は、液晶パネル23にエンジンの出力特性の変更(ドループ切替、エコモード)、後述するデセル設定、呼出設定、回転上限設定等の設定画面を表示するように液晶コントロールユニット33に指令する。
そして、オペレータはフロントコントロールユニット30に接続された選択スイッチ24等を用いて液晶パネル23に設定しようとする画面を表示させた後、決定スイッチ25を押すことにより設定した内容を確定させ、また、フロントコントロールユニット30は、オペレータが設定した内容をメインコントロールユニット29やエンジンコントロールユニット31に伝達する。
【0016】
一方、メインコントロールユニット29は、前述した作業機の昇降制御やPTOクラッチの入切制御、走行関係の制御を行う他、エンジンの回転数制御を行う。
そのため、メインコントロールユニット29の入力側には、エンジンコントロールユニット31に接続されるアクセルセンサ34が配線を分岐して接続され、また、アップ・ダウンスイッチ26のアップスイッチ38、ダウンスイッチ39、回転メモリスイッチ28の回転メモリAスイッチ40、回転メモリBスイッチ41、緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチ42、PTOスイッチ27、油圧式無段変速装置の油圧ポンプの傾転角度を検出するポンプレバーセンサ(右)43、ポンプレバーセンサ(左)44が接続される。
【0017】
さらに、メインコントロールユニット29の入力側には、この他にもポジションコントロールレバー19の回動角度を検出するポジションセンサ45、作業機をワンタッチ操作で設定した上昇位置と下降位置に昇降指令するクイックアップスイッチ46、エンジンを省エネルギーモードで駆動させるエコモードスイッチ47が接続され、また、作業機の昇降制御を行うための各種センサが図示しないが接続されている。
また、メインコントロールユニット29の出力側には、作業機を昇降制御する油圧上昇比例バルブ48及び油圧下降比例バルブ49、油圧式無段変速装置の油圧モータを制動状態に切換えるブレーキバルブ50、PTOクラッチを入り切り制御するPTO比例バルブ51等が接続されていると共に、メインコントロールユニット29は、エンジンの回転数制御のための指令信号をフロントコントロールユニット30を経由してエンジンコントロールユニット31に伝達するように構成している。
【0018】
次に、メインコントロールユニット29が実行するエンジン回転数制御について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
メインコントロールユニット29は、先ず入力側に接続された各種センサ、及びエンジンコントロールユニット31からの信号を読み込み、次にブレーキスイッチ42に基づいて緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれているか否かを判断する。
ここで、緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれている場合は、メインコントロールユニット29は図示しない走行制御を実行し、ブレーキバルブ50に対して油圧式無段変速装置の油圧モータを制動状態に切換えるように出力し、それに基づいて機体は走行を停止する。
【0019】
そして、エンジン回転数制御にあっては、フラグを構成するメモリ−A,Bを切、回転増減調節を切とし、回転変更規制を有とし、エンジンの回転数をLOWに設定するため、これがエンジンコントロールユニット31に伝達されて、エンジンコントロールユニット31はエンジン回転数をローアイドルに維持するように制御する。
また、緊急停止ブレーキペダル16が踏まれていない場合には、上記回転変更規制の有無に基づいて回転変更規制が有の場合には、基本的にエンジンの回転数はLOWに設定されたままとなりエンジン回転数はそのままローアイドルに維持される。
従って、この場合、一度緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれると、次に説明する回転変更規制の解除(無)操作があるまで、エンジン回転数はローアイドルに維持される結果、緊急停止ブレーキペダル16の踏み込みを解除しても機体は急発進することなくエンジン回転数は低回転数のまま走行を再開することになる。
【0020】
上記回転変更規制の解除(無)は、オペレータがアクセルレバー17を低回転側に戻して、アクセルセンサ34の値がLOWになったことに基づいて行われる。そして、回転変更規制が解除されるとデセル制御、呼出制御、アップダウン制御、アクセル制御の各サブルーチンの実行のもとに決定された設定回転数がエンジンの回転数に設定され、これがエンジンコントロールユニット31に伝達されて、エンジンコントロールユニット31は、それ以後、エンジン回転数を設定回転数に維持するように制御する。
以上の説明で明らかな通り、エンジンの回転数制御は、一度緊急停止ブレーキペダル16(ブレーキペダル)を踏んだ時以降に実行され、エンジン回転数をローアイドルに戻す前述のブレーキ制御が、次に説明するデセル制御等に優先して実行される最優先の順位を持つ回転数制御内容となっている。
【0021】
次に、デセル制御について図8、及び図9のフローチャートに基づいて説明する。
先ずデセル設定は、液晶パネル23においてオートデセルの設定画面が呼び出された際に実行される。ここでオートデセル切替がYESであれば、オートデセルの入り/切りによってフラグを構成するオートデセルが入り又は切りにセットされると共に、デセルリセットとなる。また、タイムアップ時間の設定がYESであれば、オートデセルに至る待ち時間を早い・標準・遅いの3種類に区分して、待ち時間がT0、T1、又はT2の何れかにセットされる。
そして、デセル制御に戻ると、前記設定においてオートデセルが切りであれば、エンジンの設定回転数の設定はここでは行われずにそのまま復帰する。
【0022】
若し、オートデセルが入りであれば作業機を昇降制御する油圧上昇比例バルブ48及び油圧下降比例バルブ49に対して出力されていないこと、即ち油圧昇降が停止していること、PTOスイッチ27がOFFであること、即ちPTOクラッチが切りであること、ポンプレバーセンサ(右)43及びポンプレバーセンサ(左)44が共に中立範囲であること、即ち油圧式無段変速装置が中立とされ走行停止状態であることの、何れの条件も満足している場合には、タイマーがセットされて、その待ち時間(T0、T1、又はT2)が経過(タイムアップ)するとエンジンの設定回転数をLOWとし、デセルセットとする。
そして、それにより図7のフローチャートに戻って、この設定回転数がエンジンの回転数に設定され、これがエンジンコントロールユニット31に伝達されて、エンジンコントロールユニット31は以後、エンジン回転数を設定回転数、即ちローアイドルに維持するように制御する。
【0023】
また、上記デセル制御が一度実行されてローアイドルになっている場合に、前記条件の一つでも満足しなくなった場合には、オペレータがアクセルレバー17を低回転数側に戻して、アクセルセンサ34の値がLOWになったことを条件としてデセル制御は解除(デセルリセット)され、その場合にはメモリ−A,Bを切、回転増減調節を切とする。
従って、デセル制御は、ブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、走行が停止され、また作業が行われない状態が所定時間(T0、T1、又はT2)以上に及ぶとエンジン回転数を自動的にローアイドルに戻し、無駄な燃料消費を抑えることができる制御であると共に、一度デセル制御が実行されると、ブレーキ制御と同様にオペレータが意図的にアクセルレバー17を低回転数側に戻さない限り解除することができない制御内容となっている。
【0024】
一方、呼出制御について図10、及び図11のフローチャートに基づいて説明する。
先ず呼出設定は、液晶パネル23において呼出制御の設定画面が呼び出された際に実行される。ここで呼出設定によって記憶されるエンジン回転数は二つあって、何れのメモリーA回転数、又はメモリーB回転数を設定する場合であっても、メモリーA回転数、メモリーB回転数は基本的に現在のエンジン回転数が記憶される。しかし、後述するエンジン回転数の回転上限設定がなされている場合には、メモリーA回転数、メモリーB回転数は上限回転数を超えないように設定される。
そして、呼出制御に戻ると、呼出制御は前述したブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、デセル制御が実行されている場合(デセルセット状態)にはデセル制御が優先して実行され、呼出制御による実質的なエンジンの設定回転数の設定は行われないままに復帰する。
【0025】
また、デセル制御が実行されていない時(デセルリセット状態)に、回転メモリースイッチ28の回転メモリーAスイッチ40(メモリースイッチA)、又は回転メモリーBスイッチ41(メモリースイッチB)が押されると、メモリースイッチAの場合であれば、現在においてフラグを構成するメモリーAが切りであればメモリーAを入りとし、他方のメモリーBを背反的に切りとし、設定回転数を予め記憶しておいたメモリーA回転数に設定する。
なお、その時、メモリーAが入りであればメモリーAを切りとし、その場合はメモリーBも切りとされているから呼出制御は実質的に行わないことになる。また、メモリースイッチBの場合もメモリースイッチAと同様の内容で機能させることができる。
従って、呼出制御は、ブレーキ制御に基づく回転変更規制、又はデセル制御が実行されていない状態において、回転メモリースイッチ28の回転メモリーAスイッチ40(メモリースイッチA)、又は回転メモリーBスイッチ41(メモリースイッチB)を押すことによって、所望のエンジン回転数を即座に呼び出して得られることになって、作業能率を向上させることができる制御内容となっている。また、呼出制御を解除する場合は、再び同じスイッチ40,41を押すだけで呼出制御を解除することができる。
【0026】
さらに、アップダウン制御について図12、及び図13のフローチャートに基づいて説明する。
アップダウン制御も、前述したブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、デセル制御が実行されている場合(デセルセット状態)にはデセル制御が優先して実行され、アップダウン制御によるエンジンの設定回転数の設定は行われずに復帰する。
そして、ブレーキ制御、及びデセル制御が行われていない時に、回転増減調節のフラグが切りであれば、アップ・ダウンスイッチ26のアップスイッチ38又はダウンスイッチ39を押せば、回転増減調節が入となり、この場合、エンジンの回転数が正規化されていない場合には正規化された回転数が設定回転数に設定され、正規化が既に行われていた場合にはスイッチの押されている時間によって、例えば所定時間より押されている時間が短い「短押」であれば設定回転数を現在の設定回転数に対して50RPMずつ増減するように設定する。また、「長押」であれば一回当たりに500RPMずつ増減するように、そしてこれが「連続」すればさらに500RPMずつ増減するように設定する。
【0027】
なお、前記設定回転数の正規化は、例えば現在のエンジンの設定回転数が1520RPMである場合には、設定回転数を50RPM刻みの近傍の値(1550RPM)に設定することを意味する。これはエンジンの回転数を上記のように正規化することによって、PTO回転数を作業機の適正回転数(切りの良い値が設定されている場合が多い)に合わせ易くすること等を狙いとするものである。
また、正規化を具体的に行う手法としては、アップスイッチ38が押された際に、その時の設定回転数の下二桁が50未満であれば設定回転数の下二桁を「50」に置き換える。下二桁が50を超えていれば設定回転数に(100−下二桁)を加算したものに置き換えるようにすれば良い。
【0028】
以上のように設定回転数が増減調節されると、回転増減調節が入の時には、さらに前述した呼出制御が実行されているか否かによって、これが実行されている場合にはこれらの設定回転数(メモリーA/B回転数)より下回らないようにチェックされ、また、エンジン回転数の回転上限設定がなされている場合には、設定回転数が上限回転数を超えないように設定される。
そして、回転増減調節が入になってアップダウン制御が実行されている場合に、これを解除してアップダウン制御を切りにする場合には、オペレータがアクセルレバー17を操作してアクセルセンサ34の値を現在の設定回転数と同じにすればよく、この場合、設定回転数はアクセルセンサ34の値に設定され、回転増減調節は切りとなる。
【0029】
従って、アップダウン制御は、ブレーキ制御に基づく回転変更規制、又はデセル制御が実行されていない状態において、呼出制御、又は次に説明するアクセル制御によってエンジンの設定回転数が所定の値に設定されている時に、アップ・ダウンスイッチ26を押すことにより設定回転数をワンタッチ操作で増減させて微調整することができるので、エンジン回転数の設定をより簡単に、また迅速に行うことができる。
また、アップダウン制御が実行されている状態からこれを解除する場合には、オペレータがアクセルレバー17を操作してアクセルセンサ34の値を現在の設定回転数と同じにすればよく、この場合、設定回転数はこれ以後はアクセルセンサ34の値に設定されるから、アップダウン制御を解除した途端にエンジンの回転数が急激に変化することはない。
さらに、呼出制御が実行されている場合には、これらの設定回転数(メモリーA/B回転数)より下回らないようにチェックされるため、ダウンスイッチ39の何気ない操作によって不測にエンジン回転数が低下してエンジンストップを招来するといった事態が未然に防止される。
【0030】
最後にアクセル制御について図14のフローチャートに基づいて説明する。
アクセル制御は、前述したブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、デセル制御が実行されていないこと(デセルリセット状態)、呼出制御が実行されていないこと(メモリーA,B共に切り状態)、アップダウン制御が実行されていないこと(回転増減調節切り状態)を条件として実行され、エンジンの設定回転数はアクセルレバー17に基づくアクセルセンサ34の値が代入される。
ただし、この場合にもエンジン回転数の回転上限設定がなされている場合には、設定回転数が上限回転数を超えないように設定される。
従って、アクセル制御は他のエンジン回転数の制御に対して最下位の優先順位となっており、オペレータがアクセルレバー17を操作すれば、そのアクセルセンサ34の値がそのままエンジンの回転数に設定される、慣行的に用いられるエンジンの回転数制御内容となっている。
【0031】
なお、図15は先に説明したエンジン回転数の回転上限設定を行うフローチャートであって、エンジン回転数の回転上限設定は、液晶パネル23において回転上限設定画面が呼び出された際に実行される。また、ここでは上限設定の入り切りと、上限回転数の設定が行われ、上限回転数は液晶パネル23に表示される回転数をスイッチ操作によってアップ・ダウンさせた後、決定スイッチ25を押すことによって確定させることができる。
そして、上限設定が入りに設定されると、エンジンの設定回転数は上限回転数を超えた値にすることが牽制され、予めこの上限回転数を低めに設定しておくことによって燃料消費を抑えた省エネルギーの作業を行うことができる。
【0032】
次に、以上説明したエンジンの回転数制御装置を備えたトラクタ1の使用方法について説明する。
通常、オペレータはエンジンを始動した後に液晶パネル23に設定画面を表示させて、オートデセルを入りとし、また、上限設定を入りにして走行を開始する。しかし、これらを切りにして走行を開始しても特に支障があるわけではない。
そして、走行を開始すべく走行変速レバー18を前進側に操作すると機体は前進走行し、この場合の車速は、走行変速レバー18の操作位置、並びにエンジンの回転数に比例して車速が決定されるから、オペレータは車速を上げるべくエンジン回転数を上げようと考えるならば、アクセルレバー17を操作して、前述したアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を行って走行することになる。
【0033】
そして、実際の作業(例えば、ロータリ耕耘装置を用いた耕耘作業)を行う場合には、PTOスイッチ27を入りにして作業機を駆動させると共に、ポジションコントロールレバー19によって作業機を下降させて作業走行を行う。この場合、作業能率、及び作業負荷に基づいてオペレータは適切なエンジン回転数を設定することになるが、アクセル制御に基づいてエンジン回転数を設定する場合は、前述した通りアクセルレバー17を操作して適切なエンジン回転数に設定すればよい。
また、作業中にエンジン負荷が一時的に増大してエンジンが苦しそうであれば、オペレータはアクセルレバー17を操作してエンジン回転数を引き続きアクセル制御に基づいて増大させてもよい。しかし、この場合にアップスイッチ38を押すことによってエンジンの回転数制御はアップダウン制御に切り替わり、エンジン回転数は現在設定されているエンジン回転数に対して所定量、例えば50RPMずつ回転数を上げることができるので、一時的な負荷に対してはこの方が操作を簡略化することができ、また回転数を下げる場合にもダウンスイッチ39を押せばよいので、このアップダウン制御に基づくエンジンの回転数制御が役立つ場面が多い。
【0034】
さらに、アップダウン制御を解除してアクセル制御に戻る場合には、オペレータはアクセルレバー17を現在の設定回転数に合わせる操作を行うと、アップダウン制御は解除されて以後、アクセル制御が実行されるので、オペレータは違和感なく、またエンジンの回転数が急激に変化することなくスムーズにアクセル制御に戻ることができる。
また、オペレータが予め呼出設定を行っていて、メモリーA回転数、或いはメモリーB回転数を設定している場合には、前述した作業開始時に例えば回転メモリーAスイッチ40を押すことにより、メモリーA回転数が呼び出されてエンジンの回転数がメモリーA回転数に設定される。
その場合、メモリーA回転数は作業時の適切な回転数としてオペレータが予め設定したものであるから、適切な作業時のエンジン回転数が即座に得られることになって、オペレータの操作上の負担を軽減することができる。また、メモリーB回転数を機体の旋回時に適切な回転数として設定していた場合には、一行程が終了して枕地旋回するときに回転メモリーBスイッチ41を押せばよい。
【0035】
なお、呼出制御を解除するには再び回転メモリーAスイッチ40、又は回転メモリーBスイッチ41を押せばアップダウン制御、又はアクセル制御に戻り、また、呼出制御が実行された後にアップスイッチ38又はダウンスイッチ39を押せば、呼出制御において設定されたエンジン回転数を基準として以後、アップダウン制御が実行される。
そして、作業走行を中断して、例えば立ち話等を行う場合があるが、この場合にオートデセルが入りにしてあれば、設定した待ち時間(T0、T1、又はT2)を経過するとデセル制御が実行されてエンジンの回転数はローアイドルに設定され、無駄な燃料消費を抑えることができる。
なお、この場合、再び作業走行を開始すべく走行変速レバー18を前進側に操作してもデセル制御は即座に解除されないので、走行を再開した途端にエンジン回転数が中断以前の回転数に戻って機体が急発進することが未然に防止される。
【0036】
従って、オペレータはアクセルレバー17をローアイドルに一旦戻してから、再び高回転側に操作することによって、デセル制御を解除することができ、また、デセル制御の解除に伴ってメモリーA,Bが切り、また回転増減調節が切りに設定されるため、中断前に呼出制御、又はアップダウン制御が実行されていた場合であってもエンジンの回転制御はアクセル制御に切り替わり、それによりアクセルレバー17によって任意のエンジン回転数に設定した状態から作業走行を開始することができる。
さらに、機体を停止する場合に通常は、走行変速レバー18を中立位置に戻すことによって機体は停止する。しかし、瞬時に機体を停止させたい場合には緊急停止ブレーキペダル16を踏むことによつて機体を停止させることができる。また、緊急停止ブレーキペダル16から足を離せば走行を再開することができる。
【0037】
ところでこの走行を再開する場合に、緊急停止ブレーキペダル16を踏む前の走行速度で発進することになると機体は急発進することになると共に、油圧式無段変速装置に衝撃的な負荷を与えることになって好ましくない。
しかし、エンジンの回転数制御装置は緊急停止ブレーキペダル16が一度踏まれるとブレーキ制御が実行され、エンジンの回転数はローアイドルに戻される。従って、走行を再開してもエンジンの回転数はローアイドルのままであるから機体が急発進することはなく安全に走行を再開することができる。
また、ブレーキ制御が一度実行されるとメモリーA,Bが切り、また回転増減調節が切りに設定されるため、ブレーキ制御から脱して通常のエンジンの回転制御に戻るべく、オペレータがアクセルレバー17をローアイドルに一旦戻したとしても、呼出制御、アップダウン制御は自動的に解除されて、エンジンの回転数制御はアクセル制御から開始される。
それ故、ブレーキ制御が解除されてもエンジンの回転数はアクセルレバー17によって設定されるローアイドル状態から必ず行われることになって、これは油圧式無段変速装置の耐久性の向上、並びに走行の安全性に繋がる。
【0038】
なお、以上説明した実施形態において、アクセル制御に用いるアクセルセンサ34は、アクセルレバー17によって操作するものとしているが、これに替えて足踏み操作形態のアクセルペダルによって操作するものとしても良い。
また、ローアイドルのエンジン回転数は、最低のアイドリング回転数とすること、或いはそれより若干高めの回転数とすることも必要に応じて決定される事項であり、或いは他の制御項目の設定と同様に、オペレータが任意に設定することができるようにしてもよいことは勿論のことである。
【符号の説明】
【0039】
17 アクセルレバー
26 アップ・ダウンスイッチ
28 回転メモリースイッチ
29 メインコントロールユニット
31 エンジンコントロールユニット
34 アクセルセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の時間以上に走行や作業が行われない場合にエンジン回転数をローアイドルに戻すデセル制御、或いは予め記憶したエンジン回転数を呼び出してこれをエンジン回転数として設定する呼出制御等を行う作業車両のエンジン回転数制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、草刈機やトラクタ等において、エンジンから作業装置への伝動系に介装したPTOクラッチの切り状態、及び走行停止状態の検出に基づいて、エンジン回転数をアイドリングセット状態になるまでアクセルダウンすることによって、無駄に燃料が消費されないようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、予め記憶したエンジン回転数を呼び出して、これをエンジン回転数に設定することによって、所望のエンジン回転数を簡単な操作によって得られるようにすることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−258060号公報
【特許文献2】特開2009−287470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、先行技術文献に示す特許文献1に記載されたエンジン回転数のデセル制御、並びに特許文献2に記載されたエンジン回転数の呼出制御、等の制御内容の異なる複数のエンジン回転数制御を備え、これら個々の制御の利点を生かしながらエンジンの回転数制御を行うためには、その時々の車両の状態によって一つの制御内容を採用してエンジンの回転数制御を行わなければならない。
例えば、上記エンジン回転数の呼出制御が実行されている際に、PTOクラッチの切り状態、及び走行停止状態の検出に基づいてデセル制御の実行条件が整った時に、呼出制御をそのまま継続させるのか、デセル制御に移行させるのか選択の余地がある。
また、特にPTOクラッチの切り状態、及び走行停止状態の検出に基づいてデセル制御が実行されている時に、このデセル制御を解除する条件、並びに解除した後のエンジン回転数をどのように設定するのか、これについても考慮する余地がある。
即ち、デセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドルにある時に、これを知らないオペレータが、例えば走行を開始した途端にデセル制御が解除されて、エンジン回転数がデセル制御以前の高回転数に戻されると、オペレータは制御装置に対する不信感を抱き、また動揺を与える虞れがある。
そこで、本発明は、係る問題点に鑑みて、制御内容の異なる複数のエンジン回転数制御に対して適切な優先順位を設定することによって、各回転数制御の利点を最大限に引き出すようにすると共に、デセル制御を解除する条件、並びに解除した後のエンジン回転数の設定を適切なものにすることによって、オペレータの制御装置に対する不信感を払拭することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、及び呼出制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする。
そして、請求項2に記載の発明は、エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップ・ダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップ・ダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、エンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御、並びにエンジン回転数をブレーキペダルを踏んだ時にローアイドルに戻すブレーキ制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に記載されたエンジン回転数制御装置によれば、デセル制御、呼出制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定するから、呼出制御、又はアクセル制御の元にエンジン回転数が高回転数に設定されていた場合でも走行を停止して作業を行っていない時には、デセル制御が実行されて無駄な燃料消費が防止される。そして、アクセル制御に優先して呼出制御が実行されるため、所望のエンジン回転数を即座に得ることができ、作業能率を向上させることができる。
また、デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、及び呼出制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行するから、走行をそのまま開始した途端にデセル制御が解除されてエンジン回転数が急に高回転数に戻されるといったことがなく、それ故、予期しない回転数変化に対するオペレータの動揺を未然に防止することができる。
そして、デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている状態で走行を開始した際に、オペレータがエンジン回転数を上げて走行速度を速くしたいと判断した場合には、慣行的に使用されるアクセル制御、即ちアクセルレバー又はアクセルペダルを操作してエンジン回転数を変更するという発想に至り、更にこれが高回転数位置に操作されていた場合には一旦、ローアイドルに戻してみるという試行の元に、それ以後は引き続きアクセル制御、即ちアクセルレバー又はアクセルペダルの操作に基づいてエンジン回転数を意のままに設定することができるから、操作上の違和感もなくデセル制御から簡単に復帰して作業を以前のように再開することができる。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載されたエンジン回転数制御装置によれば、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行するから、前述の効果に加えて、エンジン回転数をアップ・ダウンスイッチによって増減するアップダウン制御に基づいて、エンジン回転数の微調整をスイッチ操作によって行うことができ、従って、エンジン回転数の設定をより簡単に行うことができる。
【0008】
さらに、本発明の請求項3に記載されたエンジン回転数制御装置によれば、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行するから、前述の効果に加えて、エンジン回転数をブレーキペダルを踏んだ時にローアイドルに戻すブレーキ制御に基づいて、ブレーキペダルを踏んで走行を停止した後に、走行を再開すべくペダルの踏み込みを解除しても、エンジン回転数は直ちに以前の回転数に復帰することがなく、引き続きローアイドルに維持されているから、機体が急発進することがなく安全に走行を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トラクタの斜視図である。
【図2】操縦部の平面図である。
【図3】メーターパネルの正面図である。
【図4】サイドパネル部の平面図である。
【図5】走行変速レバー部の斜視図である。
【図6】制御装置のブロック図である。
【図7】エンジン回転数制御のフローチャートである。
【図8】デセル設定のフローチャートである。
【図9】デセル制御のフローチャートである。
【図10】呼出設定のフローチャートである。
【図11】呼出制御のフローチャートである。
【図12】アップダウン制御の前半のフローチャートである。
【図13】アップダウン制御の後半のフローチャートである。
【図14】アクセル制御のフローチャートである。
【図15】回転上限設定のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように作業車両としてのトラクタ1は、機体フレーム2の前部にエンジンを搭載して、これをボンネット3で覆っている。また、トラクタ1は機体フレーム2の下方に左右の走行レーム4を備え、走行フレーム4に軸支される駆動スプロケット5、アイドラ6、及び転輪7にクローラ8が巻き掛けられている。そして、機体フレーム2の中央部にはキャビン9が搭載されており、キャビン9のルーフには作業灯10が、また、ボンネット3のフロントグリルには前照灯11が設けてある。
さらに、トラクタ1は機体フレーム2の後部に図示しないトップリンク、ロワーリンク等からなる周知の3点リンク機構が設けてあり、3点リンク機構にはロータリ耕耘装置やハロー等の作業機が連結され、トラクタ1はこれらの作業機を用いて耕耘・代掻き作業等を行うことができる。また、3点リンク機構は機体フレーム2の後部に設けた図示しない左右のリフトアームにリフトロッドを介して連結され、このリフトアームの回動によって3点リンク機構は昇降して作業機の高さが制御される。
【0011】
図2に示すようにキャビン9内には座席12、メーターパネル13、ステアリングハンドル14の他に、PTO変速レバー15、緊急停止ブレーキペダル16、アクセルレバー17、走行変速レバー18、ポジションコントロールレバー19等のペダル・レバー類が設けてある。さらに、座席12の右側のサイドパネル20には、制御装置の各種設定スイッチやダイヤルが設けてある。
また、図3に示すようにメーターパネル13には、燃料計21、エンジン回転計22等の計器類、各種の警告灯の他に、液晶パネル23が組み込まれており、制御装置の細部の設定は、この液晶パネル23に設定項目が表示された状態で下方に設けた選択スイッチ24や決定スイッチ25等の選択手段によって行うことができる。
【0012】
図4及び図5は、右側のサイドパネル20と走行変速レバー18の詳細を示す。
特に走行変速レバー18は、前後方向に回動操作することによってエンジンによって駆動される油圧式無段変速装置の油圧ポンプ斜板をサーボ機構を介して傾転させ、これによって油圧ポンプと閉回路により連結された油圧モータは駆動駆動スプロケット5を回転させて、機体は走行する。
また、この走行変速レバー18のグリップ部の側面には、エンジン回転数を増減するアップ・ダウンスイッチ26が設けてあり、このスイッチ26は上部、又は下部を押した後に指を離すと中立位置に復帰するモーメンタリースイッチで構成している。
さらに、サイドパネル20には、エンジンから作業装置への伝動系に介装したPTOクラッチを入り切りするPTOスイッチ27や、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する回転メモリースイッチ28等が設けてあり、回転メモリースイッチ28も上部、又は下部を押した後に指を離すと中立位置に復帰するモーメンタリースイッチで構成している。
【0013】
次に、トラクタの各部を制御する制御装置について図6に示すブロック図に基づいて説明する。
制御装置は、マイクロコンピュータから構成するメインコントロールユニット29とフロントコントロールユニット30とエンジンコントロールユニット31がシリアル通信、或いはコントロールエリアネットワークによって接続されると共に、フロントコントロールユニット30とメーターユニット32、並びに液晶コントロールユニット33がそれぞれコントロールエリアネットワークによって接続されている。
また、前述した液晶パネル23が液晶コントロールユニット33に接続され、液晶コントロールユニット33によって液晶パネル23の液晶表示がコントロールされる。
【0014】
エンジンコントロールユニット31の入力側には、アクセルレバー17に付設したアクセルセンサ34、アクセルレバー17のローアイドル位置を検出してアクセルセンサ34が正常であることを保証するアイドルスイッチ35、エンジン回転数を検出する回転ピックアップセンサ36、冷却水温センサ37等が接続されている。
また、エンジンコントロールユニット31は、これらの信号並びにメインコントロールユニット29からの指令信号に基づいて、エンジンの燃料噴射量等を制御してエンジン回転数を制御すると共に、エンジン回転数の変化割合や出力特性を切替信号(ドループ切替、エコモード)に基づいて変更する他、冷却水温やエンジン回転数をメータユニット32に向けて出力する。
【0015】
フロントコントロールユニット30は、液晶パネル23にエンジン回転数、車速、燃料の残量等を表示するように液晶コントロールユニット33に指令する。また、フロントコントロールユニット30は、液晶パネル23にエンジンの出力特性の変更(ドループ切替、エコモード)、後述するデセル設定、呼出設定、回転上限設定等の設定画面を表示するように液晶コントロールユニット33に指令する。
そして、オペレータはフロントコントロールユニット30に接続された選択スイッチ24等を用いて液晶パネル23に設定しようとする画面を表示させた後、決定スイッチ25を押すことにより設定した内容を確定させ、また、フロントコントロールユニット30は、オペレータが設定した内容をメインコントロールユニット29やエンジンコントロールユニット31に伝達する。
【0016】
一方、メインコントロールユニット29は、前述した作業機の昇降制御やPTOクラッチの入切制御、走行関係の制御を行う他、エンジンの回転数制御を行う。
そのため、メインコントロールユニット29の入力側には、エンジンコントロールユニット31に接続されるアクセルセンサ34が配線を分岐して接続され、また、アップ・ダウンスイッチ26のアップスイッチ38、ダウンスイッチ39、回転メモリスイッチ28の回転メモリAスイッチ40、回転メモリBスイッチ41、緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチ42、PTOスイッチ27、油圧式無段変速装置の油圧ポンプの傾転角度を検出するポンプレバーセンサ(右)43、ポンプレバーセンサ(左)44が接続される。
【0017】
さらに、メインコントロールユニット29の入力側には、この他にもポジションコントロールレバー19の回動角度を検出するポジションセンサ45、作業機をワンタッチ操作で設定した上昇位置と下降位置に昇降指令するクイックアップスイッチ46、エンジンを省エネルギーモードで駆動させるエコモードスイッチ47が接続され、また、作業機の昇降制御を行うための各種センサが図示しないが接続されている。
また、メインコントロールユニット29の出力側には、作業機を昇降制御する油圧上昇比例バルブ48及び油圧下降比例バルブ49、油圧式無段変速装置の油圧モータを制動状態に切換えるブレーキバルブ50、PTOクラッチを入り切り制御するPTO比例バルブ51等が接続されていると共に、メインコントロールユニット29は、エンジンの回転数制御のための指令信号をフロントコントロールユニット30を経由してエンジンコントロールユニット31に伝達するように構成している。
【0018】
次に、メインコントロールユニット29が実行するエンジン回転数制御について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
メインコントロールユニット29は、先ず入力側に接続された各種センサ、及びエンジンコントロールユニット31からの信号を読み込み、次にブレーキスイッチ42に基づいて緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれているか否かを判断する。
ここで、緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれている場合は、メインコントロールユニット29は図示しない走行制御を実行し、ブレーキバルブ50に対して油圧式無段変速装置の油圧モータを制動状態に切換えるように出力し、それに基づいて機体は走行を停止する。
【0019】
そして、エンジン回転数制御にあっては、フラグを構成するメモリ−A,Bを切、回転増減調節を切とし、回転変更規制を有とし、エンジンの回転数をLOWに設定するため、これがエンジンコントロールユニット31に伝達されて、エンジンコントロールユニット31はエンジン回転数をローアイドルに維持するように制御する。
また、緊急停止ブレーキペダル16が踏まれていない場合には、上記回転変更規制の有無に基づいて回転変更規制が有の場合には、基本的にエンジンの回転数はLOWに設定されたままとなりエンジン回転数はそのままローアイドルに維持される。
従って、この場合、一度緊急停止ブレーキペダル16が踏み込まれると、次に説明する回転変更規制の解除(無)操作があるまで、エンジン回転数はローアイドルに維持される結果、緊急停止ブレーキペダル16の踏み込みを解除しても機体は急発進することなくエンジン回転数は低回転数のまま走行を再開することになる。
【0020】
上記回転変更規制の解除(無)は、オペレータがアクセルレバー17を低回転側に戻して、アクセルセンサ34の値がLOWになったことに基づいて行われる。そして、回転変更規制が解除されるとデセル制御、呼出制御、アップダウン制御、アクセル制御の各サブルーチンの実行のもとに決定された設定回転数がエンジンの回転数に設定され、これがエンジンコントロールユニット31に伝達されて、エンジンコントロールユニット31は、それ以後、エンジン回転数を設定回転数に維持するように制御する。
以上の説明で明らかな通り、エンジンの回転数制御は、一度緊急停止ブレーキペダル16(ブレーキペダル)を踏んだ時以降に実行され、エンジン回転数をローアイドルに戻す前述のブレーキ制御が、次に説明するデセル制御等に優先して実行される最優先の順位を持つ回転数制御内容となっている。
【0021】
次に、デセル制御について図8、及び図9のフローチャートに基づいて説明する。
先ずデセル設定は、液晶パネル23においてオートデセルの設定画面が呼び出された際に実行される。ここでオートデセル切替がYESであれば、オートデセルの入り/切りによってフラグを構成するオートデセルが入り又は切りにセットされると共に、デセルリセットとなる。また、タイムアップ時間の設定がYESであれば、オートデセルに至る待ち時間を早い・標準・遅いの3種類に区分して、待ち時間がT0、T1、又はT2の何れかにセットされる。
そして、デセル制御に戻ると、前記設定においてオートデセルが切りであれば、エンジンの設定回転数の設定はここでは行われずにそのまま復帰する。
【0022】
若し、オートデセルが入りであれば作業機を昇降制御する油圧上昇比例バルブ48及び油圧下降比例バルブ49に対して出力されていないこと、即ち油圧昇降が停止していること、PTOスイッチ27がOFFであること、即ちPTOクラッチが切りであること、ポンプレバーセンサ(右)43及びポンプレバーセンサ(左)44が共に中立範囲であること、即ち油圧式無段変速装置が中立とされ走行停止状態であることの、何れの条件も満足している場合には、タイマーがセットされて、その待ち時間(T0、T1、又はT2)が経過(タイムアップ)するとエンジンの設定回転数をLOWとし、デセルセットとする。
そして、それにより図7のフローチャートに戻って、この設定回転数がエンジンの回転数に設定され、これがエンジンコントロールユニット31に伝達されて、エンジンコントロールユニット31は以後、エンジン回転数を設定回転数、即ちローアイドルに維持するように制御する。
【0023】
また、上記デセル制御が一度実行されてローアイドルになっている場合に、前記条件の一つでも満足しなくなった場合には、オペレータがアクセルレバー17を低回転数側に戻して、アクセルセンサ34の値がLOWになったことを条件としてデセル制御は解除(デセルリセット)され、その場合にはメモリ−A,Bを切、回転増減調節を切とする。
従って、デセル制御は、ブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、走行が停止され、また作業が行われない状態が所定時間(T0、T1、又はT2)以上に及ぶとエンジン回転数を自動的にローアイドルに戻し、無駄な燃料消費を抑えることができる制御であると共に、一度デセル制御が実行されると、ブレーキ制御と同様にオペレータが意図的にアクセルレバー17を低回転数側に戻さない限り解除することができない制御内容となっている。
【0024】
一方、呼出制御について図10、及び図11のフローチャートに基づいて説明する。
先ず呼出設定は、液晶パネル23において呼出制御の設定画面が呼び出された際に実行される。ここで呼出設定によって記憶されるエンジン回転数は二つあって、何れのメモリーA回転数、又はメモリーB回転数を設定する場合であっても、メモリーA回転数、メモリーB回転数は基本的に現在のエンジン回転数が記憶される。しかし、後述するエンジン回転数の回転上限設定がなされている場合には、メモリーA回転数、メモリーB回転数は上限回転数を超えないように設定される。
そして、呼出制御に戻ると、呼出制御は前述したブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、デセル制御が実行されている場合(デセルセット状態)にはデセル制御が優先して実行され、呼出制御による実質的なエンジンの設定回転数の設定は行われないままに復帰する。
【0025】
また、デセル制御が実行されていない時(デセルリセット状態)に、回転メモリースイッチ28の回転メモリーAスイッチ40(メモリースイッチA)、又は回転メモリーBスイッチ41(メモリースイッチB)が押されると、メモリースイッチAの場合であれば、現在においてフラグを構成するメモリーAが切りであればメモリーAを入りとし、他方のメモリーBを背反的に切りとし、設定回転数を予め記憶しておいたメモリーA回転数に設定する。
なお、その時、メモリーAが入りであればメモリーAを切りとし、その場合はメモリーBも切りとされているから呼出制御は実質的に行わないことになる。また、メモリースイッチBの場合もメモリースイッチAと同様の内容で機能させることができる。
従って、呼出制御は、ブレーキ制御に基づく回転変更規制、又はデセル制御が実行されていない状態において、回転メモリースイッチ28の回転メモリーAスイッチ40(メモリースイッチA)、又は回転メモリーBスイッチ41(メモリースイッチB)を押すことによって、所望のエンジン回転数を即座に呼び出して得られることになって、作業能率を向上させることができる制御内容となっている。また、呼出制御を解除する場合は、再び同じスイッチ40,41を押すだけで呼出制御を解除することができる。
【0026】
さらに、アップダウン制御について図12、及び図13のフローチャートに基づいて説明する。
アップダウン制御も、前述したブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、デセル制御が実行されている場合(デセルセット状態)にはデセル制御が優先して実行され、アップダウン制御によるエンジンの設定回転数の設定は行われずに復帰する。
そして、ブレーキ制御、及びデセル制御が行われていない時に、回転増減調節のフラグが切りであれば、アップ・ダウンスイッチ26のアップスイッチ38又はダウンスイッチ39を押せば、回転増減調節が入となり、この場合、エンジンの回転数が正規化されていない場合には正規化された回転数が設定回転数に設定され、正規化が既に行われていた場合にはスイッチの押されている時間によって、例えば所定時間より押されている時間が短い「短押」であれば設定回転数を現在の設定回転数に対して50RPMずつ増減するように設定する。また、「長押」であれば一回当たりに500RPMずつ増減するように、そしてこれが「連続」すればさらに500RPMずつ増減するように設定する。
【0027】
なお、前記設定回転数の正規化は、例えば現在のエンジンの設定回転数が1520RPMである場合には、設定回転数を50RPM刻みの近傍の値(1550RPM)に設定することを意味する。これはエンジンの回転数を上記のように正規化することによって、PTO回転数を作業機の適正回転数(切りの良い値が設定されている場合が多い)に合わせ易くすること等を狙いとするものである。
また、正規化を具体的に行う手法としては、アップスイッチ38が押された際に、その時の設定回転数の下二桁が50未満であれば設定回転数の下二桁を「50」に置き換える。下二桁が50を超えていれば設定回転数に(100−下二桁)を加算したものに置き換えるようにすれば良い。
【0028】
以上のように設定回転数が増減調節されると、回転増減調節が入の時には、さらに前述した呼出制御が実行されているか否かによって、これが実行されている場合にはこれらの設定回転数(メモリーA/B回転数)より下回らないようにチェックされ、また、エンジン回転数の回転上限設定がなされている場合には、設定回転数が上限回転数を超えないように設定される。
そして、回転増減調節が入になってアップダウン制御が実行されている場合に、これを解除してアップダウン制御を切りにする場合には、オペレータがアクセルレバー17を操作してアクセルセンサ34の値を現在の設定回転数と同じにすればよく、この場合、設定回転数はアクセルセンサ34の値に設定され、回転増減調節は切りとなる。
【0029】
従って、アップダウン制御は、ブレーキ制御に基づく回転変更規制、又はデセル制御が実行されていない状態において、呼出制御、又は次に説明するアクセル制御によってエンジンの設定回転数が所定の値に設定されている時に、アップ・ダウンスイッチ26を押すことにより設定回転数をワンタッチ操作で増減させて微調整することができるので、エンジン回転数の設定をより簡単に、また迅速に行うことができる。
また、アップダウン制御が実行されている状態からこれを解除する場合には、オペレータがアクセルレバー17を操作してアクセルセンサ34の値を現在の設定回転数と同じにすればよく、この場合、設定回転数はこれ以後はアクセルセンサ34の値に設定されるから、アップダウン制御を解除した途端にエンジンの回転数が急激に変化することはない。
さらに、呼出制御が実行されている場合には、これらの設定回転数(メモリーA/B回転数)より下回らないようにチェックされるため、ダウンスイッチ39の何気ない操作によって不測にエンジン回転数が低下してエンジンストップを招来するといった事態が未然に防止される。
【0030】
最後にアクセル制御について図14のフローチャートに基づいて説明する。
アクセル制御は、前述したブレーキ制御に基づく回転変更規制が行われていない状態において、デセル制御が実行されていないこと(デセルリセット状態)、呼出制御が実行されていないこと(メモリーA,B共に切り状態)、アップダウン制御が実行されていないこと(回転増減調節切り状態)を条件として実行され、エンジンの設定回転数はアクセルレバー17に基づくアクセルセンサ34の値が代入される。
ただし、この場合にもエンジン回転数の回転上限設定がなされている場合には、設定回転数が上限回転数を超えないように設定される。
従って、アクセル制御は他のエンジン回転数の制御に対して最下位の優先順位となっており、オペレータがアクセルレバー17を操作すれば、そのアクセルセンサ34の値がそのままエンジンの回転数に設定される、慣行的に用いられるエンジンの回転数制御内容となっている。
【0031】
なお、図15は先に説明したエンジン回転数の回転上限設定を行うフローチャートであって、エンジン回転数の回転上限設定は、液晶パネル23において回転上限設定画面が呼び出された際に実行される。また、ここでは上限設定の入り切りと、上限回転数の設定が行われ、上限回転数は液晶パネル23に表示される回転数をスイッチ操作によってアップ・ダウンさせた後、決定スイッチ25を押すことによって確定させることができる。
そして、上限設定が入りに設定されると、エンジンの設定回転数は上限回転数を超えた値にすることが牽制され、予めこの上限回転数を低めに設定しておくことによって燃料消費を抑えた省エネルギーの作業を行うことができる。
【0032】
次に、以上説明したエンジンの回転数制御装置を備えたトラクタ1の使用方法について説明する。
通常、オペレータはエンジンを始動した後に液晶パネル23に設定画面を表示させて、オートデセルを入りとし、また、上限設定を入りにして走行を開始する。しかし、これらを切りにして走行を開始しても特に支障があるわけではない。
そして、走行を開始すべく走行変速レバー18を前進側に操作すると機体は前進走行し、この場合の車速は、走行変速レバー18の操作位置、並びにエンジンの回転数に比例して車速が決定されるから、オペレータは車速を上げるべくエンジン回転数を上げようと考えるならば、アクセルレバー17を操作して、前述したアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を行って走行することになる。
【0033】
そして、実際の作業(例えば、ロータリ耕耘装置を用いた耕耘作業)を行う場合には、PTOスイッチ27を入りにして作業機を駆動させると共に、ポジションコントロールレバー19によって作業機を下降させて作業走行を行う。この場合、作業能率、及び作業負荷に基づいてオペレータは適切なエンジン回転数を設定することになるが、アクセル制御に基づいてエンジン回転数を設定する場合は、前述した通りアクセルレバー17を操作して適切なエンジン回転数に設定すればよい。
また、作業中にエンジン負荷が一時的に増大してエンジンが苦しそうであれば、オペレータはアクセルレバー17を操作してエンジン回転数を引き続きアクセル制御に基づいて増大させてもよい。しかし、この場合にアップスイッチ38を押すことによってエンジンの回転数制御はアップダウン制御に切り替わり、エンジン回転数は現在設定されているエンジン回転数に対して所定量、例えば50RPMずつ回転数を上げることができるので、一時的な負荷に対してはこの方が操作を簡略化することができ、また回転数を下げる場合にもダウンスイッチ39を押せばよいので、このアップダウン制御に基づくエンジンの回転数制御が役立つ場面が多い。
【0034】
さらに、アップダウン制御を解除してアクセル制御に戻る場合には、オペレータはアクセルレバー17を現在の設定回転数に合わせる操作を行うと、アップダウン制御は解除されて以後、アクセル制御が実行されるので、オペレータは違和感なく、またエンジンの回転数が急激に変化することなくスムーズにアクセル制御に戻ることができる。
また、オペレータが予め呼出設定を行っていて、メモリーA回転数、或いはメモリーB回転数を設定している場合には、前述した作業開始時に例えば回転メモリーAスイッチ40を押すことにより、メモリーA回転数が呼び出されてエンジンの回転数がメモリーA回転数に設定される。
その場合、メモリーA回転数は作業時の適切な回転数としてオペレータが予め設定したものであるから、適切な作業時のエンジン回転数が即座に得られることになって、オペレータの操作上の負担を軽減することができる。また、メモリーB回転数を機体の旋回時に適切な回転数として設定していた場合には、一行程が終了して枕地旋回するときに回転メモリーBスイッチ41を押せばよい。
【0035】
なお、呼出制御を解除するには再び回転メモリーAスイッチ40、又は回転メモリーBスイッチ41を押せばアップダウン制御、又はアクセル制御に戻り、また、呼出制御が実行された後にアップスイッチ38又はダウンスイッチ39を押せば、呼出制御において設定されたエンジン回転数を基準として以後、アップダウン制御が実行される。
そして、作業走行を中断して、例えば立ち話等を行う場合があるが、この場合にオートデセルが入りにしてあれば、設定した待ち時間(T0、T1、又はT2)を経過するとデセル制御が実行されてエンジンの回転数はローアイドルに設定され、無駄な燃料消費を抑えることができる。
なお、この場合、再び作業走行を開始すべく走行変速レバー18を前進側に操作してもデセル制御は即座に解除されないので、走行を再開した途端にエンジン回転数が中断以前の回転数に戻って機体が急発進することが未然に防止される。
【0036】
従って、オペレータはアクセルレバー17をローアイドルに一旦戻してから、再び高回転側に操作することによって、デセル制御を解除することができ、また、デセル制御の解除に伴ってメモリーA,Bが切り、また回転増減調節が切りに設定されるため、中断前に呼出制御、又はアップダウン制御が実行されていた場合であってもエンジンの回転制御はアクセル制御に切り替わり、それによりアクセルレバー17によって任意のエンジン回転数に設定した状態から作業走行を開始することができる。
さらに、機体を停止する場合に通常は、走行変速レバー18を中立位置に戻すことによって機体は停止する。しかし、瞬時に機体を停止させたい場合には緊急停止ブレーキペダル16を踏むことによつて機体を停止させることができる。また、緊急停止ブレーキペダル16から足を離せば走行を再開することができる。
【0037】
ところでこの走行を再開する場合に、緊急停止ブレーキペダル16を踏む前の走行速度で発進することになると機体は急発進することになると共に、油圧式無段変速装置に衝撃的な負荷を与えることになって好ましくない。
しかし、エンジンの回転数制御装置は緊急停止ブレーキペダル16が一度踏まれるとブレーキ制御が実行され、エンジンの回転数はローアイドルに戻される。従って、走行を再開してもエンジンの回転数はローアイドルのままであるから機体が急発進することはなく安全に走行を再開することができる。
また、ブレーキ制御が一度実行されるとメモリーA,Bが切り、また回転増減調節が切りに設定されるため、ブレーキ制御から脱して通常のエンジンの回転制御に戻るべく、オペレータがアクセルレバー17をローアイドルに一旦戻したとしても、呼出制御、アップダウン制御は自動的に解除されて、エンジンの回転数制御はアクセル制御から開始される。
それ故、ブレーキ制御が解除されてもエンジンの回転数はアクセルレバー17によって設定されるローアイドル状態から必ず行われることになって、これは油圧式無段変速装置の耐久性の向上、並びに走行の安全性に繋がる。
【0038】
なお、以上説明した実施形態において、アクセル制御に用いるアクセルセンサ34は、アクセルレバー17によって操作するものとしているが、これに替えて足踏み操作形態のアクセルペダルによって操作するものとしても良い。
また、ローアイドルのエンジン回転数は、最低のアイドリング回転数とすること、或いはそれより若干高めの回転数とすることも必要に応じて決定される事項であり、或いは他の制御項目の設定と同様に、オペレータが任意に設定することができるようにしてもよいことは勿論のことである。
【符号の説明】
【0039】
17 アクセルレバー
26 アップ・ダウンスイッチ
28 回転メモリースイッチ
29 メインコントロールユニット
31 エンジンコントロールユニット
34 アクセルセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、及び呼出制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする作業車両のエンジン回転数制御装置。
【請求項2】
エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップスイッチ又はダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする作業車両のエンジン回転数制御装置。
【請求項3】
エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップスイッチ又はダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、エンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御、並びにエンジン回転数をブレーキペダルを踏んだ時にローアイドルに戻すブレーキ制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする作業車両のエンジン回転数制御装置。
【請求項1】
エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、及び呼出制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする作業車両のエンジン回転数制御装置。
【請求項2】
エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップスイッチ又はダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、並びにエンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記デセル制御が実行されてエンジン回転数が低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする作業車両のエンジン回転数制御装置。
【請求項3】
エンジン回転数をアクセルセンサによって設定するアクセル制御、エンジン回転数をアップスイッチ又はダウンスイッチによって増減するアップダウン制御、エンジン回転数を予め記憶した回転数に設定する呼出制御、エンジン回転数を所定の条件を満たした場合に低回転数に戻すデセル制御、並びにエンジン回転数をブレーキペダルを踏んだ時にローアイドルに戻すブレーキ制御を備える作業車両のエンジン回転数制御装置において、前記制御装置は、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、アップダウン制御、そしてアクセル制御の順に優先順位を設定してエンジン回転数を設定する一方、上記ブレーキ制御、又はデセル制御が実行されてエンジン回転数がローアイドル、又は低回転数に戻されている際にアクセルセンサがローアイドルに戻されると、ブレーキ制御、デセル制御、呼出制御、及びアップダウン制御を解除してアクセル制御に基づくエンジンの回転数制御を実行することを特徴とする作業車両のエンジン回転数制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−190774(P2011−190774A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59489(P2010−59489)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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