説明

作業車両

【課題】本発明は、車幅を広げることなく格納することが可能であって、張り出した状態において作業者が安定した姿勢で昇降可能なラダーを備える作業車両を提供することを目的とする。
【解決手段】作業車両1は、車両本体2に連結されており、車両本体2の側面部11よりも外側に張り出した張出位置と、当該側面部11よりも内側に格納された格納位置と、に移動可能なラダー20を備える。そして、ラダー20は、板状に形成された第1ステップ部21と、第1ステップ部21に連結される連結支持部22と、連結支持部22に設けられた第2ステップ部23,24と、を有している。張出位置において、第1ステップ部21は側面部11から外側に延出し、第2ステップ部23,24は第1ステップ部21よりも地面に近い位置に、第1ステップ部21の延出方向先端部よりも側面部11から離れるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が昇降するためのラダーを備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が昇降するためのラダーを備えるクレーンとして、特許文献1に記載のものが知られている。
このクレーンにおいては、クレーン本体の側面に設置された梯子の縦部材に、クレーン本体に対して摺動できるようにした案内ロッドが一体に連結されている。これにより、梯子を引き出し位置および押し込み位置に移動させることができる。
この構成によると、クレーン本体の輸送時に、梯子を取りはずすことなく、クレーン本体の輸送幅を狭くすることができ、かつ、梯子を置き忘れることがなくなる。
【0003】
【特許文献1】特開平5−16731
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成によれば、地面に対して略垂直に梯子が設置されるため、昇降の際、体勢が後方に傾かないように手で梯子等を握る必要がある。そのため、作業具等を手に持って昇降することは困難であるとともに、梯子に登った状態で作業する作業者の安定性が悪くなってしまう。
また、梯子をクレーン本体の側面に向かって押し込むことができるものの、梯子を固定するブラケットや梯子の縦部材がクレーン本体の側面から突出するため、車幅が広くなってしまうため問題となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、車幅を広げることなく格納することが可能であって、張り出した状態において作業者が安定した姿勢で昇降可能なラダーを備える作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明は、作業者が昇降するためのラダーを備える作業車両に関する。そして、本発明に係る作業車両は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の作業車両は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る作業車両における第1の特徴は、車両本体に連結されており、車両本体の側面部よりも外側に張り出した張出位置と、当該側面部よりも内側に格納された格納位置と、に移動可能なラダーを備える作業車両であって、前記ラダーは、板状に形成された第1ステップ部と、当該第1ステップ部に連結される連結支持部と、当該連結支持部に設けられた第2ステップ部と、を有し、前記張出位置において、前記第1ステップ部は前記側面部から外側に延出し、前記第2ステップ部は前記第1ステップ部よりも地面に近い位置に、少なくとも一部が前記第1ステップ部の延出方向先端部よりも前記側面部から離れるように配置されることである。
【0008】
この構成によると、格納位置にラダーを移動させることで、車幅を広げることなく格納することができる。
また、ラダーに板状の第1ステップ部が設けられているため、作業者は当該第1ステップ部の上で安定した状態で作業することが可能である。
また、第2ステップ部の少なくとも一部が、第1ステップ部の位置よりも車両の側面部から離れて配置されるため、作業者が第2ステップ部を踏み台として第1ステップ部に昇り易く、また、第1ステップ部から地面に降り易い。
【0009】
また、本発明に係る作業車両における第2の特徴は、前記車両本体に固定されて前記ラダーの移動を案内するガイド部材を備え、前記ガイド部材は、前記側面部から内側に延出するとともに下方に屈曲または湾曲するように形成され、前記ラダーは、前記ガイド部材に沿って移動自在、且つ、当該ガイド部材に対して回動自在に連結されていることである。
【0010】
この構成によると、ラダーを、ガイド部材に沿って移動させることで、他の機器との干渉を容易に防いで、車両の側面部よりも内側に格納することができ、また、外側に張り出して使用することができる。
また、ガイド部材が屈曲または湾曲するように形成され、ラダーをガイド部材に対して摺動させながら、回動させることができるため、張出および格納の際にラダーと他の機器との干渉を更に容易に防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る作業車両における第3の特徴は、前記格納位置にある前記ラダーを検知可能な検知手段と、当該検知手段の検知結果を作業者に報知する報知手段と、を備えることである。
【0012】
この構成によると、作業者は、報知手段によりラダーが格納位置にあるか否かを確認することができる。これにより、ラダーが張出位置にある状態で作業車両を走行させることを防止できる。
【0013】
また、本発明に係る作業車両における第4の特徴は、前記連結支持部が前記第1ステップ部に対して固定されていることである。
【0014】
この構成によると、連結支持部に設けられた第2ステップ部の第1ステップ部に対する位置が固定され、簡易な構成で、より安定したラダーとなる。
【0015】
また、本発明に係る作業車両における第5の特徴は、前記連結支持部が前記第1ステップ部に対して回動自在に連結されていることである。
【0016】
この構成によると、張出位置と格納位置との間のラダーの移動が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係るホイール式クレーンの左側側面図である。
図2は、図1におけるクレーン側面の拡大斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るホイール式クレーン1(作業車両)は、タイヤ走行式の下部走行体2(車両本体)を備えており、この下部走行体2には、ラダー20が連結されている。また、下部走行体2の上に、旋回ベアリング3を介して旋回される旋回フレーム4が搭載されている。
旋回フレーム4には、ブーム5の起伏支点となるブームフットピン5aが貫通するブーム支持穴が形成されている。そして、ブームフットピン5aが当該ブーム支持穴とブーム5の基端部とに挿通されることにより、ブーム5が回動自在に支持される。
ブーム5は、箱型の多段伸縮ブームとして構成され、ブーム起伏シリンダ6により、前下がり状態から所定の起伏角度まで起伏できるように構成されている。
【0019】
旋回フレーム4におけるブーム5の右側に運転室7が搭載されている。また、この運転室7の後方位置にはポンプ装置を備えたエンジン(図示せず)が搭載されている。また、旋回フレーム4におけるブーム5の左側には、前側から順に、油圧バルブと圧縮機等の機器類8、燃料タンク9、作動油タンク10が搭載されている。尚、図1において旋回フレーム4の一部を切り欠いて示す。
【0020】
図2に示すように、下部走行体2の側面を形成する側面フレーム11(側面部)は、フレーム部材11a〜11e等により格子状に形成されており、下部走行体2の内側と外側とを連通する開口部11hを有する。また、側面フレーム11には、後述するラダー20の補助部材25端部を挿入可能な挿入穴12a,12bが設けられている。挿入穴12aは、フレーム部材11dの上側を向く面に固定された箱型部材における車両外側を向く開口である。また、挿入穴12bは、フレーム部材11dの車両外側を向く面に形成されている。尚、挿入穴12aと挿入穴12bとは、車両の前後に並んで、略同じ高さに形成されている。
【0021】
次に、下部走行体2の側面フレーム11に連結されたラダー20について説明する。
図3は、図1におけるラダー20の形状を説明するための図である。
図4は、図3に示すラダー20を矢印A方向から見た図である。
図5は、図3に示すラダー20を矢印B方向から見た図である。
【0022】
図2〜図5に示すように、ラダー20は、板状ステップ21(第1ステップ部)と、当該板状ステップ21に固定された一対の支柱22(連結支持部)と、一対の支柱22の間に設けられた第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24(第2ステップ部)と、一対の支柱22にそれぞれ回動自在に設けられた補助部材25と、を備えている。
【0023】
図5に示すように、板状ステップ21は、略正方形状の踏み面を有するステップであり、厚さ方向に貫通する複数の孔21aが形成され、滑り止めとなる。
また、図3に示すように、板状ステップ21の側面には、軸26を介してローラ27が回動自在に取り付けられている。この軸26及びローラ27は、板状ステップ21の側面視(図3参照)において、支柱22が連結された端部とは逆側の端部近傍に設けられている。また、詳細は後述するが、板状ステップ21は、当該ローラ27等を介して側面フレーム11に固定されたガイド部材30に連結しており、軸26は、車両の前後方向に延びるように板状ステップ21に固定されている。
【0024】
一対の支柱22は、板状ステップ21の隣接する一対の角部にそれぞれ基端部を固定された断面矩形状の棒状部材である。尚、板状ステップ21と支柱22とは略三角形状の補強板材22aにより端部側面を固定されている。図3に示すように、側面視において、支柱22は、板状ステップ21と鈍角をなすように、即ち、図3に示す角度θが90°よりも大きくなるように当該板状ステップ21に固定される。また、支柱22の先端部(前記基端部とは逆側の端部)近傍には、ラダー20を格納した状態で固定するためのフック28が固定されている。図5に示すように、フック28は板状部材を略J字状に屈曲した形状である。
【0025】
第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24は、一対の支柱22の間を連結するように設けられた断面矩形状の棒状部材である。図4に示すように、第1棒状ステップ23は、支柱22の長手方向における略中央部に固定されている。また、第2棒状ステップ24は、支柱22の先端部近傍に固定されている。
【0026】
図3に示すように、補助部材25は、一端側を支柱22に対して連結ピン29により回動自在に連結された棒状部材である。当該補助部材25は、長手方向垂直断面が支柱22とは逆側に開口するコの字状に形成されている。尚、図3において、二点鎖線で補助部材25が連結ピン29を中心に回動した状態を示している。
【0027】
図6は、図3に示す補助部材25の先端部(連結ピン29とは逆側の端部)近傍を拡大して示す図である。図6に示すように、支柱22に対向する面には、略円形状の取付穴25aが形成されている。また、取付穴25aには縁の一部を切り欠いて係合溝25bが形成されている。
【0028】
図6に示すように、支柱22と略平行になるように補助部材25を回動させ、支柱22の側面から突出するピン50のヘッド部50a(先端側の拡径した部分)を取付穴25aに挿入し、係合溝25bにピン50の軸部50b(ヘッド部よりも縮径した基端側の軸部)を係合させることで、当該補助部材25を支柱22に沿わせて格納することができる。尚、補助部材25は、ピン50の軸方向において、支柱22との間で所定の隙間を許容するように、連結ピン29で回動自在に支柱22と連結されている。そのため、取付穴25aが形成された先端部を支柱22から浮かして、支柱22に設けられたピン50を当該取付穴25aに挿入することが可能である。
【0029】
次に、ラダー20とガイド部材30との連結機構、及び下部走行体2のフレーム内部の構成について説明する。
図7は、図1におけるX−X断面の模式図である。
図8は、図7におけるY−Y断面の模式図である。
図9は、図7におけるローラ27近傍の拡大模式図である。
【0030】
図7及び図8に示すように、ガイド部材30は、長手方向の中間部で屈曲した断面コの字状の長尺状部材である。このガイド部材30は、側面フレーム11のフレーム部材11bに一端を固定され、他端を車両幅方向中央部に配置されるシャーシ12に固定されている。ここで、ガイド部材30は、下部走行体2に配置された、車輪のサービスブレーキ用のエアータンク40の上方を通過するように設置されている。このガイド部材30は、側面フレーム11から車両幅方向の中央に向かって略水平に延び、途中で下方に約30度屈曲してシャーシ12まで延びる。
このガイド部材30は、一対のローラ27を挟んで対称的に一対設けられている。そして、図8に示すように、ローラ27がガイド部材30の下面部材31に沿ってガイド部材30の長手方向に移動できるように構成されている。これにより、板状ステップ21をガイド部材30に沿って移動させることができる。尚、板状ステップ21の車両前後方向(ローラ27の回転軸方向)への移動は、ガイド部材30の側面部材32により拘束され、また、高さ方向上側への移動はガイド部材30の上面部材33により拘束される。
【0031】
図9に示すように、ガイド部材30の下面部材31は、側面フレーム11側の端部において、下方に屈曲している。そのため、板状ステップ21が最も外側に引き出された状態においては、ローラ27は、下面部材31の略水平に延びる部分よりも低い位置に落ち込んだ状態で保持され、車両内側に向かう方向への水平移動が拘束される。
尚、板状ステップ21は、ローラ27側の端部に、下方に突出する係合部21cを有している。また、側面フレーム11には、上方に突出するように突起部材13が固定されている。そのため、車両外側に向かう方向への板状ステップ21の移動は、板状ステップ21の係合部21cが側面フレーム11に固定された突起部材13に当接することにより拘束される。
【0032】
図7に示すように、下部走行体2のフレーム内部には、格納されたラダー20を固定するための留め具41及び格納されたラダー20を検知可能な非接触センサ42(検知手段)が設置されている。
留め具41は、ガイド部材30の上方におけるフレーム部材11aの近傍部に固定されている。この留め具41は、ピン41aをばねを介して上方に引上げた状態で固定可能に構成される。
また、非接触センサ42は、例えば、光電センサ等により構成される。当該非接触センサ42は、シャーシ12にブラケットを介して固定され、下方の所定の距離の範囲内における物体の有無を検知可能である。当該非接触センサ42による検知結果は、例えば、運転室7内に設けられたモニター(報知手段)に表示されるように構成される。
【0033】
次に、ラダー20の張出,格納動作について説明する。
図10は、ラダー20を格納位置に移動させる途中の状態を示す図である。
図11は、ラダー20が格納位置にある状態を示す図である。
図12は、図11においてラダー20の端部近傍を矢印F方向から見た図である。
【0034】
(張出位置)
作業者がラダー20を使用する際には、ラダー20を張出位置(図7参照)に移動させ、一対の補助部材25の先端部(回動支持される端部とは逆側の端部)を、それぞれ、側面フレーム11に設けられた挿入穴12a,12b(図2参照)に挿入する。これにより、ラダー20が側面フレーム11に対して固定され、作業者が昇降することが可能になる。
【0035】
(格納動作)
ラダー20を、張出位置(図7参照)から格納位置(図11参照)に移動して固定する動作について説明する。
(1)補助部材25の先端部を挿入穴12a,12bから抜く。この動作は、図7において、ローラ27を中心にラダー20を矢印C4方向に回動させて行うことができる。
(2)補助部材25を支柱22に沿わせて格納する。当該補助部材25の格納方法は上述した通りである。
(3)図9において矢印Dで示すように、ローラ27がガイド部材30の下面部材31における水平部分に載るように、ラダー20を持ち上げて車体内側に押し込む。
(4)図10及び図11に示すように、ラダー20を、ローラ27を中心に回動させながら、車体内側に押し込む。
(5)ローラ27がガイド部材30の端部に到達するまで、ラダー20を押し込むとともに、支柱22に設けられたフック28が、留め具41のピン41aに係合可能な所定の格納位置に配置されるように、ラダー20の角度を調整する。
尚、ローラ27がガイド部材30のシャーシ12側の端部に到達した状態で、支柱22の端部上面を側面フレーム11の開口部11hの上縁部(フレーム部材11aの下面部)に当接させることにより、フック28が所定の格納位置に配置されるように構成されている。
(6)図12に示すように、留め具41のピン41aをフック28に引っ掛け、当該ピン41aをばねを介して上方に移動させ、当該ピン41aの位置を固定することにより、ラダー20の位置が固定される。
以上の動作により、ラダー20を張出位置から格納位置に移動して固定することができる。
【0036】
(格納位置)
図11に示すように、格納位置においてラダー20は、側面フレーム11の外側表面よりも車両内側に配置される。
また、非接触センサ42により検知可能な位置にラダー20が配置される。本実施形態においては、非接触センサ42の鉛直下方に、非接触センサ42に略水平な面を対向させるように支柱22における板状ステップ21側の端部近傍部が配置されるように構成される。
【0037】
このように、ラダー20が格納位置にある場合は、非接触センサ42によりラダー20が検知され、ラダー20が格納されている旨が運転室7のモニターに表示される。
一方、ラダー20が張出位置にある場合は、非接触センサ42によりラダー20が検知されず、この場合、ラダー20が格納されていない旨が運転室7のモニターに表示される。これにより、作業者は、ラダー20が格納位置にあるか張出位置にあるかをモニターで確認することができる。
【0038】
尚、非接触センサ42によりラダー20が検知された場合及び検知されない場合の双方の場合に、検知結果をモニターに表示する場合に限らず、いずれか一方の場合のみ検知結果をモニターに表示させるように構成してもよい。
【0039】
(張出動作)
上述の格納動作を逆の手順で行うことで、ラダー20を格納位置から張出位置に移動して、固定することが可能である。即ち、留め具41による固定を外し、ラダー20を回動させながら車体外側に引き抜き、補助部材25の先端を挿入穴12a,12bに挿入することで、ラダー20を張出位置に移動して固定することができる。
【0040】
以上説明したように、本発明に係るホイール式クレーン1は、下部走行体2の側面フレーム11に連結されており、側面フレーム11の外側表面よりも外側に張り出した張出位置(図7参照)と、当該側面フレーム11の外側表面よりも内側に格納された格納位置(図11参照)と、に移動可能なラダー20を備える。
そして、ラダー20は、板状に形成された板状ステップ21と、当該板状ステップ21に連結される一対の支柱22と、当該支柱22に設けられた第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24と、を有している。
張出位置においては、板状ステップ21は側面フレーム11から外側に略水平に延出し、第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24は板状ステップ21よりも地面に近い位置に、板状ステップ21の延出方向先端部の位置(図7において矢印C1で示す位置)よりも側面フレーム11から離れた位置(図7において矢印C2,C3で示す位置)に配置される。
【0041】
この構成によると、格納位置にラダー20を移動させることで、車幅を広げることなく格納することができる。これにより、ラダー20を格納すれば、当該ラダー20により車幅が広くなることはない。
また、ラダー20に板状ステップ21が設けられているため、作業者は当該板状ステップ21の上で安定した状態で作業することが可能である。例えば、工具等を両手に持った状態でも安定して作業を行うことができる。
また、第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24が、板状ステップ21の位置よりも車両の側面フレーム11から離れて配置されるため、作業者が第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24を踏み台として板状ステップ21に昇り易く、また、板状ステップ21から地面に降りやすい。例えば、工具等を両手に持った状態でも容易に昇降できる。
尚、板状ステップ21よりも地面側にステップが2つ設けられた構成に限らず、1つ、または、3つ以上設けてもよい。また、板状ステップ21よりも地面側に設けられるステップを棒状のステップとする場合に限らず、板状のステップとしてもよい。
【0042】
また、本実施形態に係るホイール式クレーン1は、旋回フレーム4上に燃料タンク9、作動油タンク10が配置されており、ラダー20を張り出して使用することで、作業者は安定した姿勢で、燃料タンク9に燃料を補給し、また、作動油タンク10に作動油を補給することができる。
【0043】
また、ホイール式クレーン1は、側面フレーム11及びシャーシ12に両端を固定されてラダー20の移動を案内するガイド部材30を備える。
そして、ガイド部材30は、側面フレーム11から内側に延出するとともに下方に屈曲するように形成される。また、ラダー20は、ガイド部材30に沿って移動自在、且つ、ガイド部材30に対して回動自在に連結されている。
【0044】
この構成によると、ラダーを、ガイド部材に沿って移動させることで、他の機器との干渉を容易に防いで、車両の側面部よりも内側に格納することができ、また、外側に張り出して使用することができる。
また、ガイド部材が屈曲または湾曲するように形成され、ラダーをガイド部材に対して摺動させながら、回動させることができるため、張出および格納の際にラダーが通過するスペースを小さくすることができる。これにより、ラダー20と側面フレーム11との干渉を更に容易に防ぐことができる。
【0045】
また、ホイール式クレーン1は、格納位置にあるラダー20を検知可能な非接触センサ42と、非接触センサ42の検知結果を作業者に報知するモニターと、を備える。
【0046】
この構成によると、作業者は、ラダー20が格納位置にあるか否かをモニターを見て確認することができる。これにより、ラダー20が張出位置にある状態で作業者がホイール式クレーン1を走行させることを防止できる。
【0047】
また、ホイール式クレーン1においては、一対の支柱22が板状ステップ21に対して固定されている。
【0048】
この構成によると、支柱22に設けられた第1棒状ステップ23及び第2棒状ステップ24の板状ステップ21に対する位置が固定されるため、ラダー20が安定する。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、以下のように変形して実施することもできる。
【0050】
(1)図13に示すように、ラダーは、板状ステップ61と支柱62とが連結ピン63により、回動自在に連結された構成とすることもできる。尚、図13において、図3に示すラダー20と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。この場合、板状ステップ61と支柱62とがなす角度を調整することができるため、容易に、ラダーが側面フレーム等に干渉しないように移動させることができる。これにより、張出位置と格納位置との間のラダーの移動を円滑に行うことができる。尚、ラダーが張出した状態において、板状ステップ61と支柱62とがなす角度を固定可能な補強部材を別途備える構成とすることもできる。
【0051】
(2)ガイド部材は、側面フレーム11から内側に延出するとともに下方に向かって滑らかに湾曲する形状のものであってもよい。この場合、ラダーの移動を更に円滑に行うことができる。
【0052】
(3)ラダーが格納されていない場合は、車両の走行ができなくなるように構成してもよい。例えば、作業車両の走行を不能とするインターロック装置を設け、非接触センサ42等の検知手段によって、ラダーが検知されるとロックが解除されるように構成することができる。この場合、ラダーが格納されていない状態で、車両の走行が行われることを確実に防ぐことができる。
【0053】
(4)検知手段として非接触センサ42を用いる場合に限らない。例えば、ラダーを格納位置に移動させたときにラダーが当接するように配置されたリミットスイッチを用いる構成であってもよい。
【0054】
(5)報知手段としてモニターを備え、当該モニターにラダーの状態を表示させる構成に限定されない。例えば、報知手段としてランプやスピーカ等を備え、ランプの点灯や、スピーカからの音声等により、作業者にラダーの状態を報知するように構成してもよい。
【0055】
(6)本発明は、ホイール式クレーン1に限らず、油圧ショベル等の作業車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るホイール式クレーンの左側側面図である。
【図2】図1におけるクレーン側面の拡大斜視図である。
【図3】図1におけるラダーの形状を説明するための図である。
【図4】図3に示すラダーを矢印A方向から見た図である。
【図5】図3に示すラダーを矢印B方向から見た図である。
【図6】図3に示す補助部材の端部近傍を拡大して示す図である。
【図7】図1におけるX−X断面の模式図である。
【図8】図7におけるY−Y断面の模式図である。
【図9】図7におけるローラ近傍の拡大模式図である。
【図10】ラダーを格納位置に移動させる途中の状態を示す図である。
【図11】ラダーが格納位置にある状態を示す図である。
【図12】図11においてラダーの端部近傍を矢印F方向から見た図である。
【図13】変形例に係るラダーを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ホイール式クレーン
2 下部走行体(車両本体)
11 側面フレーム(側面部)
20 ラダー
21 板状ステップ(第1ステップ部)
22 支柱(連結支持部)
23 第1棒状ステップ(第2ステップ部)
24 第2棒状ステップ(第2ステップ部)
30 ガイド部材
42 非接触センサ(検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体に連結されており、車両本体の側面部よりも外側に張り出した張出位置と、当該側面部よりも内側に格納された格納位置と、に移動可能なラダーを備える作業車両であって、
前記ラダーは、板状に形成された第1ステップ部と、当該第1ステップ部に連結される連結支持部と、当該連結支持部に設けられた第2ステップ部と、を有し、
前記張出位置において、
前記第1ステップ部は前記側面部から外側に延出し、前記第2ステップ部は前記第1ステップ部よりも地面に近い位置に、少なくとも一部が前記第1ステップ部の延出方向先端部よりも前記側面部から離れるように配置される作業車両。
【請求項2】
前記車両本体に固定されて前記ラダーの移動を案内するガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記側面部から内側に延出するとともに下方に屈曲または湾曲するように形成され、
前記ラダーは、前記ガイド部材に沿って移動自在、且つ、当該ガイド部材に対して回動自在に連結されている請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記格納位置にある前記ラダーを検知可能な検知手段と、当該検知手段の検知結果を作業者に報知する報知手段と、を備える請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記連結支持部が前記第1ステップ部に対して固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記連結支持部が前記第1ステップ部に対して回動自在に連結されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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