説明

作業車両

【課題】 運転室と荷箱との間にあるスペースに配置した収納箱の保持部を走行時の揺れにより破損することを抑制することができる作業車両を提供することを目的とする。
【解決手段】 車体フレーム1bの上方であって、運転室1aと、運転室1aの車両後方に配置されている荷箱2と、運転室1aと荷箱2との間に配置されている収納箱56とを配置した作業車両であって、前記収納箱56は下部を第二箱前取付部75(下部保持部)を介して前記車体フレームに保持し、上部を上部保持部90を介して荷箱に保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱と運転室との間に収納箱を固定する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車両は、車体フレーム上の前部に運転室(運転台)を配置し、その後方に荷箱を配置し、運転室と荷箱との間にあるスペースに収納箱を備えている。このとき、運転席と荷箱との間のスペースの車両前後方向の寸法を小さくすることで、荷箱の容積を可能な限り大きくするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記車両は、側面視では縦方向に細長い長方形のスペースとなってしまい、当該スペースに合わせて作られた収納箱9も縦に細長い形状になってしまう。このとき、収納箱9はその下部を保持部を介して車体フレームに対して固定することから、走行時(特に急発進・急停車)には収納箱9が車両前後方向に揺れて保持部が破損するという問題があった。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、運転室と荷箱との間にあるスペースに配置した収納箱の保持部を走行時の揺れにより破損することを抑制することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の作業車両は、運転室の下方から後方へ延びている車体フレームと、前記車体フレームの上方であって前記運転室の車両後方に配置されている荷箱と、前記運転室と前記荷箱との間に配置されている収納箱と、を備えた作業車両であって、前記収納箱は下部を下部保持部を介して前記車体フレームに保持し、上部を上部保持部を介して荷箱に保持したことを特徴としている。
このような構成の作業車両によれば、収納箱の上下をそれぞれ車体フレームと荷箱とが保持するので収納箱の保持部(下部保持部)が走行時の揺れにより破損してしまうことを抑制することができる。
【0006】
また、前記荷箱は車両の左右または後方のうち少なくとも一方に向かって傾動可能に配置され、前記上部保持部は、荷箱又は収納箱のいずれか一方に設けられた係合部と、他方に設けられ荷箱が着床姿勢のときに前記係合部と係合する被係合部とを有することが好ましい。この場合、上部保持部は荷箱が着床姿勢にあるときには収容箱の上部の揺れを抑えるように係合し、荷箱の傾動時には解除するようになっているため、収容箱を車体フレーム上に残した状態で荷箱を傾動することができる。従って、収容箱を傾動した場合に収納箱を荷箱と共に持ち上げなければならない場合に比べ、荷箱の傾動に要する作動力を少なくすることができる。
【0007】
前記係合部と被係合部はピンと孔とにより構成されていることが好ましい。この場合、荷箱が着床姿勢にあるときにはピンと孔とが係合することにより、収容箱上部の前後左右のいずれの方向に対する移動を抑制することができる。
【0008】
また、前記上部保持部は前記下部保持部の上方に配置していることが好ましく、この場合、下部保持部と上部保持部とが車幅方向のずれがないため、車体フレームと荷箱とにより挟み込んで強固に保持することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の作業車両によれば、運転室と荷箱との間にあるスペースに配置した収納箱の保持部を走行時の揺れにより破損することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側面図である。
【図2】塵芥収集車の荷箱を傾動させた状態を示す側面図である。
【図3】塵芥収集車の背面図である。
【図4】塵芥収集車の平面図である。
【図5】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図6】ユニット化した駆動装置を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図7】ダンプシリンダの取付部を模式的に示す側面図である。
【図8】収納箱の固縛構造を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の作業車両である塵芥収集車1を左舷側から見た側面図である。図において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
【0013】
塵芥収容箱2の底部には主桁2cが固定されており、主桁2cは車体フレーム1bの後端部に設けたヒンジP1により軸支されており、ダンプシリンダ19(荷箱傾動装置)の伸長により塵芥収容箱2は後方にダンプ(傾動)できるようになっている(図2参照)。塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点P2を中心に回動可能であり、スイングシリンダ20(図3参照)の伸縮により塵芥収容箱2に対して開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図1に示す位置では塵芥収容箱2の開口部2aを閉鎖し、図2に示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2の開口部2aを開放する。塵芥投入箱3を上方に回動した状態で、塵芥収容箱2を後方にダンプさせることで、塵芥収容箱2内の塵芥を排出することができる。尚、塵芥投入箱3は、通常はテールゲートロック(図示せず)により塵芥収容箱2に一体的に固縛されており、そのテールゲートロックは、塵芥収容箱2をダンプして収容した塵芥を排出する時や点検整備時に固縛解除されて、塵芥投入箱3の回動を可能とする。
【0014】
次に、塵芥投入箱3内には、回転板4と押込板5とプッシュシリンダ6と油圧モータMoとからなる積込装置Tを備えている。回転板4は、各両端部が塵芥投入箱3の左右の側壁3cにそれぞれ軸受を介して回転自在に貫通支持された下部支持軸PLと一体で且つその軸線回りに回転可能に設けてある。押込板5は、両端部が塵芥投入箱3の左右の側壁3cにそれぞれ軸受を介して回転自在に貫通支持された上部支持軸PU と一体で且つその軸線回りに前後揺動可能に設けてある。回転板4を時計回りに回転させることにより塵芥投入箱3内に投入された塵芥を該塵芥投入箱3内底部より前方上部に掻き上げることができ、押込板5を揺動することにより回転板4が掻き上げた塵芥を前側(塵芥収容箱2内)に押し込むことができる。前記上,下部支持軸PU ,PL は塵芥投入箱3内を横切って互いに平行に延びている。
【0015】
そして塵芥投入箱3の一方の側壁3cには、下部支持軸PLの外端に連動連結されて該支持軸PL (従って回転板4)を正逆回転駆動し得る油圧モータMoが設けられる。更に塵芥投入箱3内には、該塵芥投入箱3と押込板5の基端部との間に介装されて押込板5を前後に揺動駆動し得るプッシュシリンダ6が収容される。
【0016】
回転板4及び押込板5は、塵芥投入箱3内への投入塵芥を塵芥収容箱2内に強制的に押し込むための所定の塵芥積込みサイクルを互いに協働して実行し得るようになっており、このサイクルは、所定の開始操作入力があると回転板4及び押込板5が各々初期位置(図1の実線で示した位置)にある状態から開始し、それら回転板4及び押込板5が各々初期位置に戻って停止した時に終了する。
【0017】
回転板4及び押込板5が初期位置で停止しているとき、プッシュシリンダ6は伸長状態、油圧モータMoは停止状態にあり、対応する各電磁弁は中立位置にある。ソレノイド24sが励磁されるとプッシュシリンダ6が収縮することにより押込板5が反時計回りに揺動(戻り工程)し、プッシュシリンダ用電磁弁のソレノイド24eが励磁されるとプッシュシリンダ6が伸長することにより押込板5が時計回りに揺動し(押込工程)する。一方、油圧モータ用電磁弁のソレノイド25eが励磁されると回転板4が時計回りに回転し(正転工程)、ソレノイド25sが励磁されると回転板4が反時計回りに回転(逆転行程)する。上記回転板4の正転工程、押込板5の戻り工程(回転板4の正転工程は継続)、押込板5の押込工程を順次動作(サイクル動作)することにより塵芥投入箱3内の塵芥を塵芥収容箱2に積込むことができる。
【0018】
塵芥収容箱2が着床位置(図1の姿勢)にあるとき、ダンプシリンダ19は最も収縮した状態にあり、ダンプシリンダ用電磁弁は中立位置にある。ダンプシリンダ用電磁弁のソレノイド26eが励磁されると、ダンプシリンダ19は伸長動作し、塵芥収容箱2をダンプさせる。また、ソレノイド26sが励磁されると、ダンプシリンダ19は収縮動作し、ダンプさせた塵芥収容箱2を着床位置に降下させる(ダンプ下げ)。励磁オフでダンプシリンダ用電磁弁が中立位置にあるときは、ダンプシリンダ19の両ポートは封止された状態となる。
【0019】
塵芥投入箱3が閉鎖(図1の姿勢)されているとき、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁弁は中立位置にある。スイングシリンダ用電磁弁のソレノイド27eが励磁されるとテールゲートロックがロック解除方向に動作し、スイングシリンダ20が伸長動作して塵芥投入箱3が上方回動する。ソレノイド27eが消磁され、かつ、ソレノイド27sが励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油がスイングシリンダ用電磁弁を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮動作して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が下方回動端に達した後、テールゲートロック用電磁弁のソレノイド28が励磁されると、テールゲートロックがロック動作し、塵芥投入箱3がロックされる。その後、ソレノイド28は消磁されテールゲートロックのロック状態が維持される。
【0020】
各電磁弁が収められたバルブブロック33は、塵芥収容箱2の前面2bの上部であって、車幅方向の略中央部に固定されている。また、バルブブロック33には、各シリンダ6,19,20及び油圧モータMoに作動油を給排するための複数の油圧配管が接続されている。
【0021】
一方、図3において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0022】
図5は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は電動モータ45により駆動され、この電動モータ45は、専用のバッテリ46を動力源として制御部47の出力により駆動される。なお、油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。なお、1回の充電により、6回の収集作業(1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回および収容箱のダンプ動作を1回行う作業)を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えており、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0023】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0024】
制御部47は、収納部である制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55およびメインスイッチ34を介して通電される。また、制御ボックス56内には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、キースイッチ55をオフ操作することにより、コントロールスイッチ57をオフ状態に切り換え、バッテリ46およびAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。なお、コントロールスイッチ57は、キースイッチ55以外に、別途専用の操作スイッチにより切り換えるようにしてもよい。
【0025】
また、制御ボックス56内には、制御部47をメンテナンス作業するためのメンテナンス部48が収納されている。なお、上記制御部47、メンテナンス部48、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56およびコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52および制御装置Cとにより、本発明の駆動装置58が構成されている。なお、駆動装置58の構成部材として、上記以外にバルブブロック33を含めることも可能である。
【0026】
バルブブロック33内の各ソレノイド24e〜27e,24s〜27sおよび切換弁28は、制御部47によって励磁・消磁される。なお、各ソレノイド等のブロックの名称は、機能で表示している。制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜37,42〜44、圧力センサ32、後述する温度計59および回転数センサ60から入力信号が与えられる。また、各種ランプ38〜39が制御部47の出力により点灯する。
【0027】
電動モータ45には、この電動モータ45の温度を検出する温度計59および電動モータ45の回転数を検出する回転数センサ60が取り付けられている。温度計59および回転数センサ60の検出信号は制御部47に与えられ、電動モータ45が温度上昇により破損しないように、制御部47により当該電動モータ45の出力が制御されている。
【0028】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、主桁2cの前部及び後部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、後支持部64とを備えている。
【0029】
主桁2cは、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各主桁2cの上面は、塵芥収容箱2の底板2dに溶接により固定されている。各主桁2cの車両前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2dの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各主桁2cの車幅方向の配置間隔は、各車体フレーム1bの車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、主桁2cの下面前部には、下方に開口する凹部2c1が形成されている(図2参照)。そして、凹部2c1に対応する主桁2cの内面には補強部2c2が固定されている(図4参照)。
【0030】
主桁2cの下面に形成された上記凹部2c1と、前支持部63の後面と、後支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。また、前支持部63の前面および塵芥収容箱2の前壁2bと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sf(キャブバックスペース)が形成されている。
【0031】
箱下空間Sdおよび箱前空間Sfには、前記駆動装置58の全構成部材が一体的にユニット化された状態で配置されている。以下、駆動装置58の各構成部材の配置およびその取付構造について説明する。図6は、駆動装置58を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図4は、塵芥収集車1の平面図である。図7は、ダンプシリンダ19の取付部を、図8は制御ボックス56(収納箱)の固縛構造をそれぞれ模式的に示す側面図である。
【0032】
図6において、駆動装置58の各構成部材は、すべて共用の取付部材71に取り付けられて一体化されている。取付部材71は、箱下空間Sdに配置された駆動装置58の一部が取り付けられている箱下取付部72と、箱前空間Sfに配置された駆動装置58の他部が取り付けられている箱前取付部73とを備えている。
【0033】
箱下取付部72は、前後方向に延びる角パイプからなる左右一対の基部フレーム72aと、左右の基部フレーム72aの各内側面に両端が固定された前後一対の角パイプからなるクロスメンバ72b(横桁)とを有している。各クロスメンバ72bの上方には、上記バッテリ46が載置されている。
【0034】
バッテリ46は長方形状に形成されており、その長手方向が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている(図4参照)。バッテリ46の前面および後面には、それぞれ前方および後方に突出する複数の突出部46aが一体形成されており、これらの突出部46aの上面に、コ字形に形成された固定枠46bの支持部46b1がそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。各固定枠46bの取付部46b2は、前後のクロスメンバ72bにそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。固定枠46bの鉛直部は、取付部46b2がバッテリ46の下面よりも突出する程度の長さで形成されており、バッテリ46を取付部材71に固定する際には、クロスメンバ72bの上方に隙間Suを介して配置するようになっている。この隙間Suの上下方向の隙間寸法は、後述するUボルト77aがバッテリ46の下面と接触しない程度の寸法に形成されている(図7参照)。
【0035】
なお、図6に示すように、上記ボルトによる突出部46a、固定枠46bおよびクロスメンバ72bの各固定位置は、バッテリ46の前面側および後面側のいずれも同様であるため、後面側のみ二点鎖線の矢印で示している。
【0036】
図6において、箱前取付部73にはブラケット73aが溶接により固定されており、該ブラケット73aの上面には、上記充電器50が載置されている。充電器50の後面には、後方へ突出する突出部50cが一体形成されており、この突出部50cがボルト(図示せず)によりブラケット73aに固定されている。
充電器50に接続されるコネクタ52は、その接続口を外側方に向けて取り付けられているおり、外部電源からの電源ケーブル51を車両の右舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。
【0037】
箱前取付部73は、箱前空間Sfの右舷側に配置される第一箱前取付部74と、箱前空間Sfの左舷側に配置される第二箱前取付部75(下部保持部)とをさらに有している。
第一箱前取付部74は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム74aと、基部フレーム74aの上面に立設された支持フレーム74bと、支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されたL字型(図6参照)の載置フレーム74cと、を有している。
【0038】
基部フレーム74aは、箱下取付部72の右側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている(図6参照)。これにより、第一箱前取付部74は、箱下取付部72に一体的に設けられている。載置フレーム74cは、基部フレーム74aに対して右側方にオフセットした状態で配置されており、その水平面には上記オイルタンク21が載置された状態でベルト(図示せず)により固定されている。
【0039】
オイルタンク21の内側上部には、オイルフィルタ30aが接続されている(図4参照)。また、オイルタンク21の内側下部には、一端が油圧ポンプ22に接続された油圧配管の他端が接続されている。さらに、オイルタンク21の上面および外側面には、ステップ96が配置されており、その上下両端部は支持フレーム74bおよび載置フレーム74cに固定されている。これにより、作業者がステップ96を昇って箱前空間Sfへ移動することにより、塵芥収容箱2の前壁2bに設けられた点検窓(図示せず)から塵芥収容箱2内の点検を容易に行うことができる(図4参照)。
【0040】
第二箱前取付部75は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム75aと、基部フレーム75aの上面に固定された前後一対のアングル材からなる支持フレーム75bと、各支持フレーム75bの上方に配置されたアングル材からなる載置フレーム75cとを有している。
基部フレーム75aは、箱下取付部72の左側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている。これにより、第二箱前取付部75は、箱下取付部72に一体的に設けられている。
【0041】
支持フレーム75bと載置フレーム75cとの間には、弾性体である防振ゴム75dが配置されている。この防振ゴム75dは、図示しないボルトにより支持フレーム75bの水平面上に固定されている。また、支持フレーム75bおよび載置フレーム75cは、その長手方向が基部フレーム75aに対して左側方にオフセットした状態で配置されている。
【0042】
左右の載置フレーム75cの上面には、上記パワーユニット49および上記制御ボックス56が取り付けられている。具体的には、図6に示すように、各載置フレーム75cの長手方向の中央部に、上記電動モータ45がボルト(図示せず)により固定されており、電動モータ45の一端部(図6の左側)に上記油圧ポンプ22がボルト(図示せず)により固定されている。また、各載置フレーム75cの左右両端部には、制御ボックス56の四本の脚部56aが、電動モータ45の前後左右を囲むように配置され、各防振ゴム75dの上端に固定されたボルトおよびナット(図示せず)により、各脚部56aが載置フレーム75cに固定されている。
【0043】
各脚部56aの上下方向の長さは、電動モータ45の高さよりも長く形成されており、電動モータ45および制御ボックス56を、相互に干渉することなく載置フレーム75c上に固定することができる。
【0044】
図6において、取付部材71には、上記支持部材61の前支持部63および後支持部64が、駆動装置58の各構成部材とともに一体的にユニット化された状態で取り付けられている。
前支持部63は、箱下取付部72の基部フレーム72aの前端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のアングル材からなる支持フレーム63aと、各支持フレーム63aの上端に左右両端部が固定された平板状の載置フレーム63bとを有している。
【0045】
後支持部64は、箱下取付部72の基部フレーム72aの後端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のチャンネル材からなる支持フレーム64aと、各支持フレーム64aの上端に固定された左右一対の平板状の載置フレーム64bとを有している。各支持フレーム64aの後部にはヒンジP1が設けられている(図1参照)。
【0046】
取付部材71は、固縛手段76により左右の車体フレーム1bに固定されている。固縛手段76は、取付部材71を各車体フレーム1bの上面に固定している複数の第一固縛部77と、複数の第二固縛部78とから構成されている。
第一固縛部77は、Uボルト77aとナット77bとにより、各箱前取付部74,75の基部フレーム74a,75aをそれぞれ車体フレーム1bに固定している。第二固縛部78は、ボルト78aとナット78bとにより、前支持部63又は後支持部64の外側面および車体フレーム1bの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット78c、78d同士を締結することにより、前支持部63(取付部材71)及び後支持部64を車体フレーム1bにそれぞれ固定している。
【0047】
図1において、前支持部63および後支持部64の各載置フレーム63b,64b上には、樹脂製のパッド(図示せず)が固定され、塵芥収容箱2が着床姿勢にあるときには、該樹脂製のパッド上面に主桁2cが載置される。
【0048】
図6及び図7に示すように、後側のクロスメンバ72bの下面の略中央部には、シリンダブラケット80が固定されている。シリンダブラケット80の下部には孔が設けられており、ヒンジピン80aによりダンプシリンダ19の基部19aが回動可能に軸支されている。なお、ダンプシリンダ19の先部19bは主桁2cに軸支されている。
【0049】
図8に示すように、制御ボックス56の上部は上部保持部90により塵芥収容箱2(荷箱)の上部に保持されている。上部保持部90は、制御ボックスに固定された被係合部91と塵芥収容箱2の前面上部に固定された係合部92とを有している。被係合部91は制御ボックス56の上面に防振ゴム91bを介して固定したプレート91aからなる。プレート91aの中央には孔91cが設けられている。係合部92は塵芥収容箱2に固定したブラケット92aと該ブラケット92aに固定したピン92bとからなる。塵芥収容箱2が着床位置(図8では一点鎖線で示した姿勢)にある際には、係合部92のピン92bが被係合部91の孔91cに挿入され、係合部92のブラケット92aの下面が被係合部91のプレート91aの上面と接触する。なお、係合部91及び被係合部92は車体フレーム1bの上方に位置するようにそれぞれ固定されている(図1,8参照)。
【0050】
次に、塵芥収集車1を製造する際に、支持部材61、駆動装置58および塵芥収容箱2を、車体フレーム1b上に搭載する作業について説明する。
まず、図6に示すように、取付部材71上に、駆動装置58、支持部材61の前支持部63および後支持部64を予め取り付けて一体的にユニット化する。また、支持部材61の主桁2cは、塵芥収容箱2の底板2dに溶接により固定する。
【0051】
次に、車体フレーム1b前部の上面に、上記ユニット化された取付部材71を載置し、図1に示すように、固縛手段76の第一固縛部77および第二固縛部78により、取付部材71の前後を車体フレーム1b上に固定する。
続いて、塵芥収容箱2を車体フレーム1bの上方に搭載する。具体的には、図1に示すように、塵芥収容箱2の底部に固定された主桁2cを、車体フレーム1b側の前支持部63、後支持部64の各上面に載置する。この状態でヒンジP1により後支持部64と主桁2cとを締結する。これにより、上記搭載作業が完了する。
【0052】
以上のように構成された塵芥収集車1によれば、下部が第二箱前取付部75(下部保持部)により車体フレーム1bに保持された制御ボックス56(収納箱)は、上部が上部保持部90により塵芥収容箱2(荷箱)に保持されているため、走行時の振動により制御ボックス56の上部が揺れることを抑制することができる。これにより、走行振動に基づく制御ボックス56の揺れにより下部保持部が破損してしまうことを抑制することができる。そして、上部保持部90のブラケット92aは塵芥収容箱3(荷箱)が着床位置にあるときに、被係合部91のプレート91aの上面を押さえつけているため、制御ボックス56の上下から挟んで保持することができ、その揺れを効果的に抑制することができる。制御ボックス56は、第二箱前取付部75(下部保持部)の上方からブラケット92a(上部保持部)が押さえるため、制御ボックス56を斜めに押さえつけることが無く、上下から挟んで保持する際に制御ボックス56を変形することを防止することができる。なお、本明細書内において制御ボックス56(収納箱)を保持するとは、走行時に制御ボックス56の動きを規制することを示し、溶接などにより一体化して固定することで動きを規制する、ボルト・ナットやピンを嵌通することにより着脱可能に固定して動きを規制する、摩擦力を利用して動きを規制する概念を含んでいる。
【0053】
また、制御ボックス56は、下部を防振ゴム75dを介して保持され、上部を防振ゴム91bを介して保持されているため、車両走行中の車体フレーム1bの振動が直接制御ボックス56に伝わってしまうことにより、制御ボックス56内に収納されている機器が破損してしまうことを防止することができる。そして、防振ゴム75d,91bはダンプ下げ動作における衝撃を吸収することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
上記実施例では上部支持部90の被係合部91を制御ボックス56(収納箱)に、係合部92を塵芥収容箱2(荷箱)にそれぞれ取り付けするようにしたが、逆に取り付けてもよい。また、被係合部91に孔91cを、係合部92にピン92bを設け、孔91cにピン92bを挿入することにより車両前後及び左右方向の移動を規制し、被係合部91のプレート91bに係合部92のブラケット92aを当接させることにより車両前後方向の移動はもとより、車両上下方向の移動を規制するようにしたが、穴をあけたブラケットを収納箱と荷箱とに固定し、両ブラケットの穴にピンを通すことにより、収納箱の移動を規制するようにしてもよい。このとき、いずれか一方のブラケット及びピンと他方のブラケットとが、係合部と被係合部とをそれぞれ構成する。
荷箱傾動装置としてダンプシリンダ19をクロスメンバ72bと主桁2cとにそれぞれ軸支し、塵芥収容箱2をダンプするようにしたが、リンク機構を用いて塵芥収容箱2をダンプするようにしてもよい。このとき上記リンク機構の一端をクロスメンバ72bに軸支するようにすればよい。また、塵芥収容箱2内の塵芥は塵芥収容箱2をダンプすることにより排出するが、塵芥収容箱2を車体フレーム1bに対して固定し、塵芥収容箱2内に車両前後方向に移動可能な排出板を挿入し、該排出板を後方に移動することにより塵芥を排出する、いわゆる強制排出式であってもよい。
【0056】
なお、上記実施例では、積込装置Tの動作を制御するための制御ボックス56を箱前空間Sfに配置し、その上下を保持するようにしたが、バッテリ46といった駆動装置58のその他の構成部品であってもよい。また、箱前空間Sfに駆動装置58の一部を配置しその他の構成部品を箱下空間Sdに配置しているが、箱下空間Sdに駆動装置58の全部を配置し、箱前空間Sfに配置する機器として、スペアタイヤや小物入れ等その他のものであってもよい。また、下部保持部及び上部保持部は複数の防振ゴム(75d,91b)を介して荷箱及び車体フレームに保持するように構成しているが、いずれか一方又は全部をなくして直接保持するようにしてもよい。
【0057】
また、前支持部63、後支持部64は、一体の部材として構成されているが、別部材として形成し車体フレーム1b上に離間して配置することで窪み部66を形成し、該凹部に駆動装置58の一部又は全部を配置することも可能である。
また、窪み部66は、主桁2c、前支持部63とによって形成されているが、嵩高に形成した主桁2cのみによって形成されることも可能である。この場合、主桁2cの一部を切り欠いて窪み部66を形成し、この窪み部66と車体フレーム1bとによって箱下空間Sdを形成すればよい。
【0058】
箱下空間Sdは、主桁2cの下面よりも下方に形成されているが、主桁2cの車幅方向外側または内側であって、前記下面よりも上方、かつ塵芥収容箱2の底板2dよりも下方の空間を、箱下空間Sdとしてもよい。
【0059】
また、箱下空間Sdに配置される駆動装置58は、塵芥収容箱2を支持部材61上に搭載する前に、箱下取付部72に取り付けられているが、塵芥収容箱2の搭載後に取り付けられるようにしてもよい。
また、箱下空間Sdおよび箱前空間Sfに配置される駆動装置58を、それぞれ箱下取付部72および箱前取付部73を介して車体フレーム1bに取り付けているが、両空間Sd,Sfのうち、いずれか一方または両方の空間に配置される駆動装置58を車体フレーム1bの上面に直接取り付けるようにしてもよい。
【0060】
また、バルブブロック33は、塵芥収容箱2側に固定されているが、車体フレーム1b側に固定されていてもよい。この場合、バルブブロック33と各シリンダ6,19,20及び油圧モータMoとの接続を、油圧配管40に代えて可撓性の油圧ホースにすれば、塵芥収容箱2を傾動させる際に上記接続状態を維持することができる。
【0061】
また、駆動装置58は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ及び油圧モータを動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。駆動装置58はバッテリ46により駆動するが、車両のエンジンから動力を取り出して各シリンダ及び油圧モータを駆動するようにしてもよい。
また、積込装置Tは、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であったが、押込板8のみのサイクル運動で塵芥を積み込むプレス式であってもよい。この場合押込板とこれを動作させるシリンダとが、積込装置Tの一部を構成する。
【符号の説明】
【0062】
1 塵芥収集車
1a 運転室
1b 車体フレーム
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
19 ダンプシリンダ(荷箱傾動装置)
46 バッテリ(駆動装置)
46b 支持枠
72b クロスメンバ(横桁)
80 シリンダブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室の下方から後方へ延びている車体フレームと、
前記車体フレームの上方であって前記運転室の車両後方に配置されている荷箱と、
前記運転室と前記荷箱との間に配置されている収納箱と、を備えた作業車両であって、
前記収納箱は下部を下部保持部を介して前記車体フレームに保持し、上部を上部保持部を介して荷箱に保持したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記荷箱は車両の左右または後方のうち少なくとも一方に向かって傾動可能に配置され、
前記上部保持部は、荷箱又は収納箱のいずれか一方に設けられた係合部と、他方に設けられ荷箱が着床姿勢のときに前記係合部と係合する被係合部とを有することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記係合部と被係合部はピンと孔とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両
【請求項4】
前記上部保持部は前記下部保持部の上方に配置していることを特徴とする請求項1〜3に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−225095(P2011−225095A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96696(P2010−96696)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】