説明

作業車両

【課題】無段変速装置に掛かる負荷が大きくなりエンジン回転数が低下したときに静圧式無段変速装置に無理が掛からず、走行安全性のある作業車両を提供すること。
【解決手段】作業負荷によりエンジン回転数検知センサ44で検知されるエンジン回転数が、作業負荷の大きさにより許容されるエンジン回転数の所定の回転数まで低下した場合にトラニオン軸26の開度を少なくするようにトラニオン軸駆動モータ32を作動制御する制御装置31を備えた作業車両であり、圃場などでの作業中の負荷の大きさに応じてエンジン回転数を低下させる度合いを変更することができ作業を安定定期に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットルレバー操作とHSTペダル操作での前後進への変速を可能とした電子制御式の静圧式無段変速装置(HST)を有する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御式の静圧式無段変速装置(HST)を有するトラクタにおいて、HSTに掛かる負荷が大きくなっても変速レバーの各操作位置に対する機体の走行速度が低下しないように、HSTのトラニオン軸の回転角度(又は斜板の傾斜角度)を各変速位置において高速側に変更操作する構成を備えた装置の発明が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−113046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の発明は、HSTに掛かる負荷が大きくなると機体の走行速度が低下しないように、HSTをより高速側に変更操作する発明であり、高速走行になれば、なるほどHSTの作動油のリークが多くなり、車両の走行安定性が損なわれるおそれがある。
そこで、本発明の課題は、無段変速装置に掛かる負荷が大きくなりエンジン回転数が低下したときに静圧式無段変速装置に無理が掛からず、走行安全性のある作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、車輪(13,14)とエンジン(11)を備えた車体(10)と、エンジン(11)の出力を調整するスロットルレバー(2)と、エンジン(11)からの動力をトラニオン軸(26)の開度を調節して出力を変速する油圧式無段変速装置(21)と、該油圧式無段変速装置(21)の前進方向と後進方向の出力を踏み込み量に応じて操作するHSTペダル(1)と、油圧式無段変速装置(21)のトラニオン軸(26)の開度を決めるトラニオン軸駆動モータ(32)と、エンジン回転数検知センサ(44)と、油圧式無段変速装置(21)の出力を略一定に維持するオートクルーズレバー(42)と、車輪(13,14)の回転を制動するブレーキペダル(43)を設けた作業車両において、作業負荷の大きさにより許容されるエンジン回転数のダウン量を設定するエンジン回転数量設定手段(36)と、作業負荷によりエンジン回転数検知センサ(44)で検知されるエンジン回転数が前記エンジン回転数量設定手段(36)で設定された所定回転数まで低下した場合にトラニオン軸(26)の開度を所定開度まで少なくするようにトラニオン軸駆動モータ(32)を作動制御する制御装置(31)を設けたことを特徴とする作業車両である。
【0006】
請求項2記載の発明は、制御装置(31)が、作業負荷によりエンジン回転数が前記設定された所定回転数まで低下してトラニオン軸(26)の開度を小さくした場合に、エンジン回転数が前記所定回転数の半分まで回復すると、作業負荷に応じてトラニオン軸(26)の開度を復帰させるようにトラニオン軸駆動モータ(32)を作動制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の作業車両である。
【0007】
請求項3記載の発明は、油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数を検知するHST出力軸回転数センサ(37)と、HSTペダル(1)の踏み込み量を検知するHSTペダルセンサ(30)とを備え、前記制御装置(31)は、該HSTペダルセンサ(30)で検知されるHSTペダル(1)の踏込量に対応した油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数が得られるようにトラニオン軸(26)の開度をトラニオン軸駆動モータ(32)で作動制御し、油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数が予め決められた目標の回転数となる前に、前記油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数が低下した場合には、前記目標の回転数となるまでトラニオン軸(26)の開度を元に戻すようにトラニオン軸駆動モータ(32)を作動制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、極端なエンジン回転低下により作業ができなくなったり、エンジンストールを防止でき、圃場などでの作業中の負荷の大きさに応じてエンジン回転数を低下させる度合いを変更することができ作業を安定定期に行うことができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、圃場などでの作業中の負荷の大きさに応じてエンジン回転数を低下させる度合いを変更したとき、エンジン回転数の回復度合いに応じてエンジン回転数を早めに元に戻すことができ、作業を安定的に行うことができる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、圃場などでの作業中にHSTペダル1の踏み込み量に応じてHST出力を変更する制御を行う時に、HST出力回転数が目標値になる前に、HST出力回転数が低下したら、トラニオン軸26の開度(回転角度)をHST出力回転数が上がるように一度戻すことで、重負荷走行時の走行安定性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施の形態の速度制御装置を備えたトラクタの側面図である。
【図2】図1のトラクタのミッションケース部の側面図である。
【図3】図1のトラクタのHSTの油圧回路図である。
【図4】図1のトラクタのHST操作機構の機能を説明する簡略斜視図である。
【図5】図1のトラクタのコントローラへの入力信号と、出力信号を示す制御ブロック図である。
【図6】図1のトラクタの負荷変化がある時のエンジン回転数とトラニオン軸開度の関係を示す図である。
【図7】図1のトラクタの負荷変化がある時のエンジン回転数とトラニオン軸開度の関係を示す図である。
【図8】図1のトラクタの最大車速とペダル踏み込み位置の関係を示す図である。
【図9】図1のトラクタのトラニオン軸の開度とHST出力軸の回転数とHSTペダル踏み込み量(ペダルポテンショメータ値)の関係を示す図である。
【図10】図1のトラクタのブレーキ圧の増減を棒グラフで表示するメータパネル画面を示す図である。
【図11】図1のトラクタのリヤカバーセンサのカバーするストローク範囲を示す図(図11(a),図11(b))と、手動操作部の一部の斜視図(図11(c))である。
【図12】図1のトラクタのレバーガイド内部を収納スペースにした場合の斜視図である。
【図13】図1のトラクタのシート下をグローブボックスにした場合の斜視図(図13(a))と引き出しにした場合の斜視図(図13(b)である。
【図14】図1のトラクタのハンドルに増減パドルを設けた場合のハンドル正面図である。
【図15】図1のトラクタの操作パネル部に大型液晶モニタを設けた場合のパネル部の正面図である。
【図16】図1のトラクタの操作パネルにPTO回転数調整ダイヤルを設けた場合の操作パネルの一部の正面図(図16(a))と該ダイヤルの設定値によるロータリなどの回転数の変化を示す図(図16(b))である。
【図17】図1のトラクタの電動PTOの回転数の変化を説明する図(図17(a))と前記変化に関わるトラクタの旋回を示す図(図17(b))である。
【図18】図1のトラクタのコントローラの機能を説明する図である。
【図19】図1のトラクタのオートクルーズの解除時の減速速度と通常の前後進ペダルの操作時の減速速度とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
図1は本発明に係る実施の形態の速度制御装置を備えたトラクタの側面図である。図1に示すように、トラクタ車体10は、前部にエンジン11を搭載し、ステアリングハンドル12によって操向可能な前輪13及び後輪14等を有し、エンジン11から伝動して駆動走行する四輪駆動走行の乗用形態としている。エンジン11の出力の調整はエンジン11のスロットル弁(図示しない)の開度を調節するスロットルレバー2で行われ、該スロットルレバー2はステアリングハンドル12の支持部に設けられている(スロットルレバー2は、図1ではハンドルの左側にあるが、トラクタのほとんどはハンドルの右側にある)。
【0013】
フロア15の後部に運転席16が設けられ、運転席16のサイドにはオートクルーズレバー42が設けられている。運転席16近傍のフロア15上には左右の後輪14,14をそれぞれ個別にブレーキを掛けることができる一対のブレーキペダル43,43を設けている。また、車体10の後端にはロータリ耕耘装置等の各種作業機(図示せず)を装着して昇降するリフトアーム17が設けられて、車体10の前部にはフロントローダ18等の作業機を装着している。
【0014】
図2はミッションケース20の側面図である。車体10はエンジン11の後側にクラッチハウジング19及びミッションケース20を剛体的に連結し、クラッチハウジング19内の後部には油圧式無段変速装置(HST)21が装着されている。このHST21は入力軸22をクラッチ軸23から連動し、出力軸24を後部の副変速装置25へ連動して、このHST21のトラニオン軸26の操作によって、中立位置から前進位置と後進位置に切り替える前後進切替と、前進及び後進の増減速とを行わせることができる。また、例えばHSTペダル1の前側への踏み込みでペダルセンサ30が作動して、コントローラ31の指令に基づきトラニオン軸駆動モータ32がトラニオン軸26を、車両を前進させる方向に回転させて出力軸24から副変速装置25に動力伝達がなされる。HSTペダル1の後側への踏み込みにより車両を後進させる方向の回転を出力軸24と出力軸24から副変速装置25に与える。
【0015】
図3はHST21の油圧回路図である。図3に示すように、このHST21はHST油圧回路27に前記入力軸22で駆動されるHST可変油圧ポンプ28と、出力軸24を駆動するHST定量油圧モータ29を有し、前述のようにHSTペダル1の踏み込みでトラニオン軸駆動モータ32がトラニオン軸26を回動させることによってHST可変油圧ポンプ28の斜板角を変えて、HST油圧回路27内の油圧力を変更してHST定量油圧モータ29を中立停止状態から正回転の増減速及び逆回転の増減速の回転に駆動することができる。
【0016】
図4はHST操作機構の機能を説明する簡略斜視図である。前記フロア15(図1)にはHSTペダル1が前に踏み込み自在に設けられて(この図4では前後進レバー(図示せず)を別途設けていて、HSTペダル1は一方にしか踏み込めない例を示し、図2、図3に示す例ではHSTペダル1が前後に動く例である。)、このHSTペダル1の踏み込み量をポテンショメータ(ペダルセンサ)30が検出し、その検出信号をコントローラ31へ出力する。コントローラ31はその検出結果をトラニオン軸駆動モータ32に出力することによって、前記トラニオン軸26及び斜板を作動する。このように、HSTペダル1の踏込量によってHST定量油圧モータ29の駆動回転数を増減することができる。
なお、図4には、図1に示すオートクルーズレバー42の代わりにオートクルーズスイッチ42aを図示している。このオートクルーズスイッチ42aは電気的なものなので、走行中にスイッチ操作すると、操作した時点のトラニオン軸位置が保持(速度保持)される。
【0017】
図5はコントローラ31への入力信号と、出力信号を示す制御ブロック図である。コントローラ31には上述したように、HSTペダル1の操作量を検知するHSTペダルセンサ30からの信号、エンジンの回転数を調整するスロットルレバーセンサ33、前後進切替レバー(図示せず)(前後進切替レバーがあるトラクタでは、HSTペダル1は前踏み込み式のみであるが、HST搭載型トラクタが前後進する場合は前後進切替レバーが不要で、HSTペダル1のみで前後進を切り替えるものがあり、この場合、(i)シーソー式(前踏み込みと後ろ踏み込み)の一個のペダルで行うものと、(ii)前進ペダルと後進ペダルの2個のペダルで行うものがある。)からの信号の他に、後輪駆動軸の回転数を検知する車速センサ38からの検出信号、後述するモード切替スイッチ40からの信号、トラニオン軸回動角度センサ35、エンジン回転数設定ダイヤル36、速度上限ダイヤルスイッチ41、エンジン回転数センサ44、オートクルーズレバー42の操作角度を検知するオートクルーズスイッチ42aからの信号なども入力されている。さらに、コントローラ31からはトラニオン軸駆動モータ32、モニターランプ39へ制御信号などが出力される。
【0018】
図5に示す電子制御式HSTの制御ブロック図にあるように、本実施例ではスロットルレバーセンサ33、エンジン回転数センサ44、エンジン回転数設定ダイヤル36、トラニオン軸回動角度センサ35(斜板傾斜角度センサでも良い)、車速センサ38、ブレーキペダルセンサ43a、ブレーキスイッチ43b、HST出力軸回転数センサ37、作業装置昇降用シリンダボタン46、リヤカバーセンサ45などがコントローラ31に入力され、コントローラ31はトラニオン軸駆動モータ32を作動させてトラニオン軸26の開度(又は斜板傾斜角度)を変えてHSTの出力を制御する。
【0019】
本発明では、スロットルレバー2で設定されているエンジン回転数が作業負荷によりダウンしたとき、前記ダウン量が設定された所定値(T)になった時には、図6のグラフに示すようにHSTトラニオン軸26の開度(回動角度)を少なくするように制御し、エンジン回転数に応じたダウン量を任意に設定できるエンジン回転数設定ダイヤル36を設けた。
【0020】
また、前記エンジン回転数に応じたダウン量でHSTトラニオン軸26の開度を少なくしたときには、図7に示すようにエンジン回転数の定常置(To)に対して、前記ダウン量(T)の半分((To−T)/2+T)回復したときにはHSTトラニオン軸26の開度を半分だけ回復させる構成にしてもよい。
このようにして負荷変動があってもHST21の出力を安定化させて作業車両(トラクタ)の作業の継続性を確保することができる。
【0021】
また、スロットルレバー2の設定値より20%以上エンジン回転数がダウンしたときにHSTトラニオン軸26の開度を作業用の出力が20%下げるように制御すると作業車両の作業の安定化が図れる。
【0022】
また、図8に示すようにHSTペダル1を最大踏み込んだときのHSTペダルセンサ30の値より一定値(C)減らした値を最大のペダル踏み込み位置とし、当該HSTペダル1の最大踏み込み位置付近に対応した車速を最大車速とすると、路面の凹凸による機体のバウンド等でHSTペダル1の踏み込みが戻ったとしても、車速が変動しにくく安定した走行ができる。
【0023】
HST21の出力軸24の回転数を検出するセンサ37とHSTペダル1の踏み込み量を検出するHSTペダルセンサ30の各検出値により、HSTペダル1の踏み込み量に合った回転数でHST21の出力軸24が回転するように、HSTトラニオン軸26の開度を制御し、HST出力軸24の回転数が目標の回転数になるようにHSTトラニオン軸26の開度を大きくするが、HST出力軸24の回転数が目標の回転数に上昇する前に、作業負荷などで当該HST出力軸24の回転数が下がった場合にはHSTトラニオン軸26の開度を前記HST出力軸24の回転数が所定値に上昇するまで減速側に一度元に戻す(HSTトラニオン軸26の開度を小さくする)構成とすることで重負荷時での走行安定化性が確保できる。 これを図9に示す。
【0024】
左右ブレーキ43,43をそれぞれ独立したブレーキスイッチ43a,43bとし、オートクルーズスイッチ42aの「入」でオートクルーズ走行を行っているときに、右又は左のブレーキ43a又は43bが単独で踏まれていると、反対側のブレーキ43b又は43aを踏んでも一定時間はオートクルーズが解除されずに、その後解除される構成とする。こうしてブレーキ43の誤操作時にもオートクルーズの安全性が維持できる。
また、オートクルーズを解除したときには、HST21のトラニオン軸26をニュートラルに戻すことで、安全性を確保することができる。
【0025】
今までのトラクタでは、左右独立して一対のブレーキペダル43,43を使う場合があったが、この場合は旋回時に旋回半径を小さくするために旋回内側のブレーキペダル43を踏む。しかし、この操作が面倒なのでハンドル12の切れ角が所定角度以上(作業中等の他の条件も有り、数値化できない)になると旋回内側のブレーキを自動的に作動させる構成が使用されるようになっている。
【0026】
本実施例でも、ブレーキペダル43を踏む代わりに電子制御によりブレーキ用のソレノイドバルブを作動させるブレーキスイッチ43bを設けておき、さらにオートクルーズを「入」にしているときに、ブレーキスイッチ43bが一定時間連続で「入」であるとオートクルーズを解除する構成とすると、煩わしいブレーキペダル操作が省略できる。
なお、ブレーキスイッチ43bは図12で示すパネル部、図14で示すハンドル部又は図15で示すインパネ近傍等に設ける。
【0027】
オートクルーズスイッチ42aを押して一定時間固定中に、左右ブレーキの作動用のブレーキスイッチ43bを「入」としていた時に、直ちにオートクルーズを解除する構成とすることもでき、この場合も安全性が確保できる。
また、操作方法にかかわらず(ブレーキペダル43の踏み込み、又はブレーキスイッチ43bの「入」操作等)、左右両方のブレーキを作動させる操作があるとオートクルーズを解除する構成とすることでも安全性が確保できる。
【0028】
旋回時にステアリングハンドル12を所定角度以上回すと、自動的に旋回内側の後輪14が制動される構成において、前記ブレーキ力の設定を図示しない耕耘機などの作業装置の水平位置を調整できる油圧シリンダを設けている場合に、その油圧シリンダの昇降用の油圧制御が可能な上げボタンと下げボタン(共に図示せず)で、前記ブレーキ力の設定値を変更できるようにした構成としてもよい。これを図示すると図10のメータパネルに示すように目視しながら作業装置の水平位置調整用上げボタンでブレーキ力を上昇させ、下げボタンでブレーキ圧を下降することができる。
こうすることで、後輪14のブレーキ圧の調整と作業装置の水平位置の調整を一つの圧力調整ボタンで行うことができる。
【0029】
図11に示すロータリ耕耘装置51をトラクタ車体10に装着して、そのリヤカバー52の傾斜角度で耕深制御をしながら耕耘作業を行うトラクタ車体10において、リヤカバー52の可動範囲の特定範囲だけを細かく使えるようにする制御モードを設ける。特に、耕深が浅い部分を細かく制御できる「浅おこしモード」を設ける。地域によって、主に浅い耕深で耕うん作業をする場合があり、こういう場合に、きめ細かい耕深制御ができる。
【0030】
通常、リヤカバーセンサ45は、図11(a)に示すようにリヤカバー52の全可動範囲をカバーできるように設定されているが、センサリンクを付けかえて図11(b)に示すようにリヤカバー52の下の方の範囲内(耕深浅い)でセンサ45がフルストロークするように設定する。図11(c)の操作部の一部の斜視図を示すように、浅おこしモードスイッチ54を「入」とするときには、耕深ダイヤル55も浅い範囲内での設定となる。すなわち、このモードでは、浅い範囲内で自動耕深となる。なお、その制御方法等は通常の耕深制御と同じであるので、説明は省略する。
【0031】
図12に示すように、トラクタの油圧コントロールレバーガイド53内を収納スペースとした。トラクタ操縦室には収納スペースがほとんど無く、前記収納スペースはオペレータがポケット内の物をしばらく収納するのに便利である。
【0032】
図13(a)に示すようにトラクタのシート16の下部にグローブボックス56又は図13(b)に示すように抽斗57を設けることでも、トラクタ操縦室内を有効に利用可能となる。
【0033】
図14に示すようにハンドル12から手を離さずに操作できる増減速パドル59をハンドルポストに設けた構成にすることができる。従来は副変速レバーに増減速スイッチを設けていたが、この欠点としては、増減速スイッチを操作するときにハンドル12が片手操作となる。これに対して図14に示す構成では、両手でハンドル12をしっかり持った状態で増減速パドル59を操作して増減速可能となる。
【0034】
現行の操作パネルには燃料量、水温、走行速度などを示す、いわゆるマルチアイを備えているが、さらに作業状況等の情報量が多くて、しかも分かりやくオペレータに伝えることができるように図15に示す大型液晶モニタ60a,60bを考案した。
この操作パネルには、回転針式の速度計61の左右に液晶モニタ60a,60bを配置して、左の液晶モニタ60aに燃料量(E−F)、水温(C−H)、次のオイル交換予定日などの整備情報を文字表示し、右の液晶モニタ60bには現在の走行モードと走行速度の他に現在の変速段数を数字で表示できるようにし、しかも変速段数が変化する毎に変速段数を示す数字を切り替えて表示できるようにしたので、すばやくかつわかりやすく、現在の変速段数の確認ができる。
さらにトラクタの整備情報等をカードに記録し、図15に示す操作パネルには前記カードリーダの挿入口62を設けており、カード情報を左右いずれかの液晶パネルに表示可能にした。また、また左右の方向指示器63a,63bを設けた。
【0035】
また、図16(a)に操作パネルの一部を示すように、トラクタに装着する耕耘装置(ロータリ)などに動力を伝動するためのPTOを電動モータで駆動するシステムを採用し、PTO設定回転数の周囲だけは調整を細かくできるようにする。すなわち、ダイヤル64でPTO回転数を可変するシステムで使用するレンジの周辺だけ変化量を少なくする。
【0036】
PTO回転数をダイヤル64で設定可能にすると、PTO回転数を可変することは容易であるが、一方でロータリなどの作業装置が性能を最も発揮できる適正回転数は決まっている。前記適正なPTO回転数はダイヤル64の周りに目盛りを付けておき、目盛り通りの回転数で、例えばロータリを回転しても、圃場の作業跡を観察して多少調整したい場合がある。そこで図16(b)のグラフに示すように、それぞれの作業における適正回転数の位置(ロータリ:460rpm、3Pロータリ:560rpm、スノーブロア:660rpm)に基本合マーク(図16(a)の520rpmと610rpmのところのマーク)を設け、それぞれの適正回転数の前後に調整した場合には回転数の変化量を少なくする配分とした。
上記構成で圃場の状態などオペレータが希望するPTO回転数に調整しやすくなる。
【0037】
従来からロータリの回転数が上昇した時にPTOを停止する機構(これをアップカットということがある)を備えているが、これは泥はねを防いだり、無駄に燃料を消費するのを防ぎ、かつベアリングなどの消耗を軽減させるなどのメリットがあるためである。しかし、PTOを完全に停止させた後、再び起動するときにショック音がする等チェーンなど逆に負荷が加わり耐久性を下げてしまう。
【0038】
そこで、上記電動PTOシステムにおいて、たとえば、ロータリの回転数が上昇した場合にPTOを停止させるのではなく、「極低速」、例えば毎分100回転程度の低速回転に移行させる構成または「低速逆転」とする構成を採用する。
前記「極低速」とすると、騒音低減、PTOの耐久性のアップを図ることができ、また前記「低速逆転」とすると、わらの巻き付きを回避し、泥落としが可能となる。
【0039】
また電動PTOシステムにおいて、図17(a)に示すようにロータリの回転数が上がった場合にPTOの回転を停止させるアップカット機構を実行し、PTOが停止して後、回転を再開するタイミングをハンドル12が、トラクタ車体10が直進状態になった時点としてPTO回転を始める。
【0040】
そして、ロータリが上がった時点で、フィンガップ(図示していないが、作業機昇降レバーのことであり、ワンショットレバーで、操作後手を離しますと元の中立位置に戻る。上側にワンショット操作すると、レバーから手を離してレバーが中立位置に戻ってもロータリは上昇し続け、下側にワンショット操作すると、レバーから手を離してレバーが中立位置に戻ってもロータリは下降し続ける。)を上げてPTOの回転を停止させ、泥はね防止回転部の摩耗防止を図る。その後、図17(b)に示すように、旋回から直進になったらPTOモータを起動してゆっくり加速する。もし、この間にフィンガップの下げ信号が入ったらPTOモータを即時に定格回転まで上昇させる。こうして、フィンガップの下げの信号が入ってから急加速するのではなく直進になった時点で、制御装置31に「まもなくオペレータはロータリを下げるだろう」と予知させてロータリをゆっくり加速していくことで、瞬間にモータに大きな負荷が加わるのを防げる。
【0041】
また、ロータリが上昇した場合にPTOを停止させているとき(アップカット中)にフィンガップによる下げ信号が入った時点でPTOモータを起動して定格の80%程度で回転させ、この状態を維持しておき、次いでロータリが接地した瞬間にPTOモータを定格100%に回転数を上げる構成にしてもよい。
これは、PTOに急に負荷が掛かると大きな電流が流れてそれだけPTOモータに負担が掛かるので、それを防いでPTOモータの寿命延長、バッテリ容量の軽減、ダッシング防止が図れる。
【0042】
図18は、コントローラ31の具体的機能を示す機能ブロック図である。図18に示すように、コントローラ31には通常の走行速度制御を行う通常制御部311とオートクルーズ走行の速度制御を行うオートクルーズ制御部312と最大車速変更部313とメモリ310が設けられている。なお、コントローラ31は、本発明の制御部の一例である。
通常制御部311へは、ペダルセンサ30からの外部信号とモード切替スイッチ40からの外部信号が入力されている。ペダルセンサ30からの信号は、オペレータのペダル1への踏み込み量を表す。モード切替スイッチ40からの信号は、走行モードを切り替えさせる指示を表す。すなわち、メモリ310は、通常の走行制御用データを格納した通常モードテーブル310Aと、作業時の走行制御用データを格納した作業モードテーブル310Bを有している。
【0043】
図18においては、この各テーブル310A、310Bの走行制御用データは、縦軸が車速を、横軸がHSTペダル1の踏み込み量を示す2次元座標の一次直線で表示され、横軸のペダル踏み込み量に応じて、縦軸の車速が決まることを意味している。実際のメモリ310では、この走行制御用データは、このような一次直線(y=ax+b)を用いず、具体的な表形式データで記憶されていてもよい。また直線である必要も無い。横軸のDは最大踏み込み量を示し、縦軸のMAX1、MAX2は最大の車速を示す。
モード切替スイッチ40は利用する走行制御用データとして、このような通常の走行制御用データと作業時の走行制御用データを切り替えさせることができる。そして、通常制御部311の出力はトラニオン軸駆動モータ32へ入力されている。
【0044】
次に、オートクルーズ制御部312へは、モード切替スイッチ40からの外部信号と、オートクルーズレバー42の操作角度を検知するオートクルーズスイッチ42aからの外部信号が入力されている。前記スイッチ42aはオートクルーズ走行を指示するスイッチである。このオートクルーズスイッチ42aからの指示に従って、オートクルーズ制御部312は、後述するようにその指示があった際に、HSTペダル1を最大踏み込んだ場合の最大車速に維持速度を設定して一定速度走行を実現させる制御部である。
【0045】
さらに、最大車速変更部313へは速度上限ダイヤルスイッチ41からの外部信号が入力されている。この最大車速変更部313は速度上限ダイヤルスイッチ41からの指示に従って、作業モードテーブル310Bにおける、最大踏み込み量Dに対する最大車速MAX2の大きさを変更させる制御部である。すなわち、速度上限ダイヤルスイッチ41はダイヤル式であり、任意の大きさに最大車速MAX2を変更可能となっている。この一次直線のデータの場合はその傾きを任意に変更することになる。
【0046】
次に、本実施の形態における、走行速度制御の動作を説明する。
[i]通常走行モードの場合
オペレータはモード切替スイッチ40により、通常走行モードを選択した場合は、通常制御部311はそれを受けて、通常モードテーブル310Aの方を参照する。そして、ペダルセンサ30からのHSTペダル1の踏み込み量信号を入力して、その大きさに対応する車速を演算し、その車速信号をトラニオン軸駆動モータ32へ出力する。トラニオン軸駆動モータ32はその車速信号に従って、HST21のトラニオン軸26の回動角度を適宜変更する。それによって、HST21は変速を行い、トラクタ車体10は踏み込み量に応じた速度で走行する。
オペレータは車体の速度を変更したい場合は、HSTペダル1の踏み込み量を変更すればよい。なお、HSTペダル1を最大限度踏み込んだ場合(D量)の車速は、MAX1となるようになっている。
【0047】
[ii]作業走行モードの場合
今、オペレータはモード切替スイッチ40によって、作業走行モードを選択したとする。その場合は、通常制御部311はそれを受けて作業モードテーブル310Bの方を参照する。この作業モードテーブル310Bの場合、その一次直線の傾きは、作業モードにふさわしく、通常の走行モードより緩やかに設定されている(実線参照)。
従って、ペダルセンサ30からのHSTペダル1の踏み込み量信号を入力して、その大きさに対応する車速を演算するが、その値は、上述した通常走行モードに比べて、当然にその車速値は小さくなる。そして、その車速信号をトラニオン軸駆動モータ32へ出力する。トラニオン軸駆動モータ32はその車速信号に従って、HST21のトラニオン軸26の回動角度を適宜変更する。それによって、HST21は変速を行い、トラクタ車体10はHSTペダル1の踏み込み量に応じた速度で走行する。
【0048】
これによって低速作業において、HSTペダル1の踏み込み量に対応する車速の変更が、通常の走行モードの場合に比べて、微調整が容易になる。すなわち、同じHSTペダル1の踏み込み量の変化分でも、通常の走行モードに比べて、車速の変化分は小さいので、車速の微調整が容易になる。なお、この作業モードの場合、HSTペダル1を最大限度踏み込んだ場合(D量)の車速は、MAX2となるようになっている。
【0049】
次に、オペレータが作業モードの走行制御の態様を変更したい場合は、速度上限ダイヤルスイッチ41を操作する。この速度上限ダイヤルスイッチ41を操作することによって、その操作信号は最大車速変更部313へ入力され、この最大車速変更部313はその操作信号に従って作業モードテーブル310Bの一次直線の傾きの大きさを変更する。このように、一次直線の傾きを任意に変更することができるので、簡単にダイヤルを調節することによって、望ましい傾きに変更することができる(破線参照)。
その変更された傾きの一次直線のデータを参照して、通常制御部311は走行制御を実行することになる。
【0050】
[iii]オートクルーズ走行モードの場合
次に、オペレータがオートクルーズ走行を行う場合は、オートクルーズレバー42を操作すると、その操オートクルーズスイッチ42aがオンする。そのオン信号はオートクルーズ制御部312へ入力される。オートクルーズ制御部312は、そのオートクルーズのオン信号を受けて、通常制御部311の通常の走行制御を停止させる。
さらに、そのオートクルーズのオン信号が出された際の走行モードが、通常走行モードか作業走行モードかをモード切替スイッチ40からの信号により判断する。さらにその結果に従って、その際の走行モードが通常走行モードの場合は、通常モードテーブル310Aにおける車速MAX1を、オートクルーズ走行の一定走行の維持速度として決定する。
【0051】
また、その際の走行モードが作業走行モードの場合は、作業モードテーブル310Bにおける車速MAX2をオートクルーズ走行の一定走行の維持速度として決定する。従って、作業走行モードの場合、速度上限ダイヤルスイッチ41のダイヤル調整で調整された最大車速MAX2が維持速度として決定される。
そのため、作業走行モードの場合において、走行制御の適切なダイヤル調整に対応したオートクルーズ走行の適切な維持速度が実現される。また逆に言えば、オートクルーズ走行の維持速度が適切になるように、作業走行モードの一次直線の傾きを予め決めておくことになる。なお、このことは、通常走行モードにおけるオートクルーズ走行の維持速度についても同じことが言える。
このようにして、維持速度が決定されると、オートクルーズ制御部312はその決定された速度信号をトラニオン軸駆動モータ32へ出力する。トラニオン軸駆動モータ32はその車速信号に従って、HST21のトラニオン軸26の回動角度を変更する。それによって、HST21は変速を行い、以後、トラクタ車体10は決定された速度を維持して走行する。
【0052】
以上説明したように、オートクルーズ走行を行う場合には、その指示が出た際の走行モード次第で、それにふさわしい維持速度が自動的に決定され、オートクルーズ走行が実現される。従って、オートクルーズ走行専用の維持速度選択スイッチなど余分なスイッチ類は省くことができる。また、上述のように適切な維持速度が実現できる。
なお、図18はコントローラ31の機能図であって、このような機能を実現するために、コンピュータを用いてソフトウェア的に実現することも、専用のハード回路を用いて実現してもかまわない。
また、本実施例のコントローラ(制御装置)31には以下に述べるブレーキペダル43の操作が行われたとき(ブレーキペダルセンサ43aで検知)にオートクルーズ制御の解除を行う場合のトラクタ車体10の速度減速率制御部314又はHSTペダル1の操作が行われたときにオートクルーズ制御の解除を行う場合のトラクタ車体10の速度変化率制御部315を備えている。
【0053】
ブレーキペダル43の踏み込みを検知するブレーキペダルセンサ43aが設けられている。該ブレーキペダル43の踏み込みがあると、ブレーキペダルセンサ43aからの入力信号に基きコントローラ31は、上記オートクルーズ制御部312において、オートクルーズが実行されている場合はこれを解除する。このとき、トラクタ車体10の速度減速率制御部314はオートクルーズの解除時の速度減速率を図19の実線に示すように、破線で示す前後進ペダル1の作動解除又は減速方向への操作によるトラクタの速度減速率よりも大きく設定しているので、通常の前後進ペダル1の操作時の減速速度より速く車速を下げて停止することができる。
ブレーキペダル43の踏み込みがある場合は、トラクタを停止させたい何らかの事態が発生したと考えられるので、オートクルーズからの速度減速率を、前後進ペダル1の作動解除又は減速方向への操作による作業車両の速度減速率より速めて車速を落として、走行安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 HSTペダル 2 スロットルレバー
10 トラクタ車体 11 エンジン
12 ステアリングハンドル
13 前輪 14 後輪
15 フロア 16 運転席
17 リフトアーム 18 フロントローダ
19 クラッチハウジング 20 ミッションケース
21 油圧式無段変速装置(HST)
22 入力軸 23 クラッチ軸
24 出力軸 25 副変速装置
26 トラニオン軸 27 HST油圧回路
28 HST可変油圧ポンプ 29 HST定量油圧モータ
30 HSTペダルセンサ(ポテンショメータ)
31 コントローラ 32 トラニオン軸駆動モータ
33 スロットルレバーセンサ
35 トラニオン軸回動角度センサ
36 エンジン回転数設定ダイヤル
37 HST出力軸回転数センサ
38 車速センサ 39 モニターランプ
40 モード切替スイッチ 41 速度上限ダイヤルスイッチ
42 オートクルーズレバー
42a オートクルーズスイッチ
43 ブレーキペダル 43a ブレーキペダルセンサ
43b ブレーキペダルスイッチ
44 エンジン回転数センサ 45 リヤカバーセンサ
46 作業装置昇降用シリンダボタン
51 ロータリ耕耘装置 52 リヤカバー
53 油圧コントロールレバーガイド
54 浅おこしモードスイッチ 55 耕深ダイヤル
56 グローブボックス 57 抽斗
59 増減速パドル 60a,60b 大型液晶モニタ
61 速度計 62 カードリーダ挿入口
63a,63b 方向指示器 64 PTO回転数設定ダイヤル
310 メモリ
310A 通常モードテーブル
310B 作業モードテーブル
311 通常制御部 312 オートクルーズ制御部
313 最大車速変更部 314 速度減速率制御部
315 速度変化率制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(13,14)とエンジン(11)を備えた車体(10)と、エンジン(11)の出力を調整するスロットルレバー(2)と、エンジン(11)からの動力をトラニオン軸(26)の開度を調節して出力を変速する油圧式無段変速装置(21)と、該油圧式無段変速装置(21)の前進方向と後進方向の出力を踏み込み量に応じて操作するHSTペダル(1)と、油圧式無段変速装置(21)のトラニオン軸(26)の開度を決めるトラニオン軸駆動モータ(32)と、エンジン回転数検知センサ(44)と、油圧式無段変速装置(21)の出力を略一定に維持するオートクルーズレバー(42)と、車輪(13,14)の回転を制動するブレーキペダル(43)を設けた作業車両において、
作業負荷の大きさにより許容されるエンジン回転数のダウン量を設定するエンジン回転数量設定手段(36)と、
スロットルレバー(2)でエンジン回転数を設定し、作業負荷によりエンジン回転数検知センサ(44)で検知されるエンジン回転数が前記エンジン回転数量設定手段(36)で設定された所定回転数まで低下した場合にトラニオン軸(26)の開度を所定開度まで少なくするようにトラニオン軸駆動モータ(32)を作動制御する制御装置(31)
を設けたことを特徴とする作業車両。
トラニオン軸駆動モータ(32)は別の文言に変更お願いします。油圧式無段変速装置(21)の構成部品にポンプとモータがあり混同してしまいます。よく読めばわかりますが、トラニオン軸駆動モータは油圧式無段変速装置の構成部品の名称として使用されることが多いです。
【請求項2】
制御装置(31)は、作業負荷によりエンジン回転数が前記設定された所定回転数まで低下してトラニオン軸(26)の開度を小さくした場合に、エンジン回転数が前記所定回転数の略半分まで回復すると、作業負荷に応じてトラニオン軸(26)の開度を復帰させるようにトラニオン軸駆動モータ(32)を作動制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
油圧式無段変速装置(21)の出力軸の回転数を検知するHST出力軸回転数センサ(37)と、
HSTペダル(1)の踏み込み量を検知するHSTペダルセンサ(30)とを備え、
前記制御装置(31)は、該HSTペダルセンサ(30)で検知されるHSTペダル(1)の踏込量に対応した油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数が得られるようにトラニオン軸(26)の開度をトラニオン軸駆動モータ(32)で作動制御し、
油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数が予め決められた目標の回転数となる前に、前記油圧式無段変速装置(21)の出力軸(24)の回転数が低下した場合には、HSTペダル(1)の踏み込み操作を続けていても前記目標の回転数となるまでトラニオン軸(26)の開度を減速側に所定量戻すようにトラニオン軸駆動モータ(32)を作動制御する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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