説明

作物選別機

【課題】
選別装置での選別に適さない規格外の作物を、選別装置に移動する前に取り除き、選別精度が高く作業能率の良い作物選別装置を提供する。
【解決手段】
搬送装置88で搬送する作物の等級を等級検知装置89で検知し、等級検知装置89が設定した等級に当する作物を検知すると等級送出装置91で作物を回収部92に送り出して選別する等級選別部Dを設け、等級選別装置Dに作物を搬送しながら等級選別部Dの選別作業に適さない作物を選別する選別搬送部Bを設け、選別搬送部Bは、左右の搬送無端帯37,37を互いの搬送面が向き合う傾斜姿勢で配置してV字型に構成する選別搬送装置38と、選別搬送装置38で選別された等級外の作物を回収する回収体42で構成し、左右の選別搬送無端帯37,37の間には等級外の作物が落下する落下部L1を形成して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄された人参等の作物を重量や形状で選別する等級選別装置に搬送しながら、等級外の作物を選別する作物選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作物選別装置としては、洗浄機で作物に付着した泥土を洗浄し、整列搬送機で姿勢を整えた作物を一本ずつ等級選別機に移動させて等級別に選別する技術が存在する。(特許文献1,2)
【特許文献1】特開2005−087092号公報
【特許文献2】特許第4285274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された洗浄選別装置は、洗浄機で洗浄された作物が全て整列搬送機を経由して等級選別機に送られるため、通常の商品として取り扱われない規格外の作物も等級選別機で選別される。
例えば、最小規格(2Sまたは3S)よりも小さい作物(3Sまたは4S)や折れたり割れたりした作物の破片が等級選別機に送られ、複数の作物がまとまって移動すると、重量や形状が各選別装置の設定値と同じとなり、選別装置が規格外の作物を異なる等級の回収位置に移動させてしまい、選別者が手作業で規格外品を取り除かねばならないという問題がある。
そして、規格外の作物を等級選別機の選別装置で選別せず、搬送終端部に設置する回収容器で受けているが、小さな作物と作物の破片が混在するため、小さな作物と破片をわける必要がある場合、人手で分別作業を行う必要があるので、作業者の労力が増大する問題がある。
本発明は、これらの問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、搬送装置(88)で搬送する作物の等級を等級検知装置(89)で検知し、該等級検知装置(89)が設定した等級に該当する作物を検知すると等級送出装置(91)で作物を回収部(92)に送り出して選別する等級選別部(D)を設け、該等級選別装置(D)に作物を搬送しながら等級選別部(D)の選別作業に適さない作物を選別する選別搬送部(B)を設けたことを特徴とする作物選別機とした。
請求項2記載の発明は、前記選別搬送部(B)は、左右の搬送無端帯(37,37)を互いの搬送面が向き合う傾斜姿勢で配置してV字型に構成する選別搬送装置(38)と、該選別搬送装置(38)で選別された等級外の作物を回収する回収体(42)で構成し、前記左右の選別搬送無端帯(37,37)の間には等級外の作物が落下する落下部(L1)を形成したことを特徴とする請求項1記載の作物選別機とした。
請求項3記載の発明は、前記落下部(L1)の間隔は、搬送終端部に向かうほど広くなる構成としたことを特徴とする請求項2記載の作物選別機とした。
請求項4記載の発明は、前記回収体(42)を仕切る仕切部材(42d)を設け、該仕切部材(42d)を落下部(L1)から落ちる作物の大きさが大きくなる位置に配置したことを特徴とする請求項2または3記載の作物選別機とした。
請求項5記載の発明は、前記選別搬送部(B)の搬送始端側に作物を洗浄しながら搬送する洗浄部(A)を設け、選別搬送部(B)の搬送終端側に作物を整列させて等級選別部(D)に送る整列搬送部(C)を設け、前記選別搬送部(B)の搬送始端側を洗浄部(A)の搬送終端下部に配置し、選別搬送部(B)の搬送終端側を整列搬送部(C)の搬送始端上部に配置して、選別搬送部(B)を搬送終端側ほど上方に位置する後上り傾斜姿勢としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の作物選別機とした。
請求項6記載の発明は、前記選別搬送部(B)の搬送終端側に駆動装置(31)を設け、該駆動装置(31)と選別搬送装置(38)の搬送終端部との間に、作物が整列搬送部(C)に移動する排出空間部(L2)を形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の作物選別機とした。
請求項7記載の発明は、前記選別搬送装置(38)の上部に左右の調節部材(51,51)を左右方向に移動自在に設け、該左右の調節部材(51,51)と前記左右の選別搬送無端帯(37,37)の側部を連結する連結部材(49a,49b,49c)を設け、前記左右の調節部材(51,51)の左右間に伸縮部材(52)を設け、該伸縮部材(52)を伸縮操作する操作部材(53)を設けて、前記落下部(L1)の幅を調節する間隔調節機構(48)を構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作物選別機とした。
請求項8記載の発明は、前記選別搬送装置(38)の搬送終端側の上部に後側固定枠(95r)を設け、該後側固定枠(95r)の下部に調節駆動装置(96)を設け、該調節駆動装置(96)と後側固定枠(95r)の間に伸縮調節部材(97)を設け、該伸縮調節部材(97)に左右の選別搬送無端帯(37,37)の搬送終端部と連結した支持連結部材(99,99)を設けて、前記落下部(L1)の搬送終端側の左右間隔を調節する終端側間隔調節機構(481)を構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作物選別機とした。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明は、等級選別部(D)が選別作業を行う妨げとなる極端に小さい作物や、割れた作物の破片を、等級選別部(D)に移動する前に選別搬送部(B)で取り除くことができるので、等級選別部(D)の等級検知装置(89)が誤選別を起こすことが防止され、選別精度が向上する。
また、等級選別部(D)で誤選別された作物を、適切に選別された作物の中から手作業で選別する作業を省略できるので、作業者の労力が軽減される。
さらに、等級外の作物をまとめて回収することができるので、等級外の作物の処分が容易になり、作業者の労力が軽減される。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右の選別搬送無端帯(37,37)を搬送面が互いに向き合う傾斜姿勢で配置して、選別搬送装置(38)をV字型に構成したことにより、選別搬送装置(38)の上側ほど左右の搬送無端帯(37,37)の左右間隔が広くなるので、等級外の作物以外の作物は、径の大小にかかわらず左右の選別搬送無端帯(37,37)の上端部から下端部までのどこかに接触させて搬送することができるので、大きな作物が選別搬送装置(38)から機外に転げ落ちて、落下の衝撃で傷付くことを防止でき、作物の商品価値が向上する。
また、左右の選別搬送無端帯(37,37)の下端部の間に落下部(L1)を形成したことにより、選別搬送装置(38)の搬送中に等級外の作物を取り除くことができるので、等級選別部(D)の等級検知装置(89)に等級外の作物が混入して誤検知を発生させることが防止され、選別精度が向上する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、選別搬送装置(38)の落下部(L1)を、搬送終端側ほど広く形成したことにより、等級外の作物は、等級外の作物の大きさよりも落下部(L1)の幅が大きくなる箇所で回収体(42)に落下する構成となるため、選別搬送装置(38)の搬送終端部に移動するまでに等級外の作物を取り除くことができ、選別精度が向上する。
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明の効果に加えて、回収体(42)を仕切る仕切部材(42d)を設け、仕切部材(42d)を落下部(L1)から落ちる作物の大きさが大きくなる位置に配置したことにより、作物の破片と小さい作物を分けて回収することができるので、作物の破片と小さい作物の選別作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
また、小さい作物をサイズ別にわけることができるので、小さい作物の選別作業が不要となり、あるいは選別作業に要する時間が短くなり、作業者の労力がさらに軽減される。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、選別搬送部(B)の搬送始端側を洗浄部(A)の搬送終端下部に配置すると共に、選別搬送部(B)の搬送始端側を整列搬送部(C)の上方に配置して、選別搬送部(B)を搬送終端側ほど上方に位置する後上り傾斜姿勢としたことにより、洗浄部(A)から作物を確実に引き継ぐことができると共に、整列搬送部(C)に選別搬送した作物を確実に引き継がせることができるので、引き継ぎの際に搬送経路上から作物が脱落することが防止され、作業能率が向上すると共に、作業の自動化及び無人化が図られる。
また、選別搬送部(B)の下方に広い空間部が確保されるため、回収体(42)の上下長さを長くすることができるので、回収体(42)の容量が大きくなり、貯留された等級外の作物や作物の破片を回収する頻度が減少し、作業能率が向上する。
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、選別駆動装置(31)を選別搬送部(B)の搬送終端側に設けたことにより、選別駆動装置(31)と選別搬送装置(38)の間隔が長くなるため、作物に付着していた洗浄水が選別駆動装置(31)に飛散することが防止され、選別駆動装置(31)が故障しにくくなる。
また、選別搬送装置(38)の搬送終端部から作物が勢いよく飛び出すことがあっても、排出空間部(L2)が前後方向に長いため、作物が選別駆動装置(31)まで飛んでぶつかることを防止できるので、作物の商品価値が維持される。
そして、選別駆動装置(31)が機体の左右方向に突出していないことにより、作業者は左右方向から選別搬送部(B)に近付いて掃除や整備など、メンテナンス作業を行う際に選別駆動装置(31)が作業者の邪魔にならないので、メンテナンス性が向上する。
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、操作部材(53)を操作すると伸縮部材(52)が伸縮し、左右の選別搬送無端帯(37,37)の左右間隔を変えて落下部(L1)の左右幅を変更する間隔調節装置(48)を設けたことにより、作物の品種や生育状態に合わせて落下部(L1)の幅を調節することができるので、作業条件の変化に柔軟に対応することができ、作業能率や選別精度が向上する。
請求項8記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、調節駆動装置(96)を操作すると左右の伸縮調節部材(97)が伸縮して左右の選別搬送無端帯(37,37)の搬送終端側の左右間隔を調節する終端側の間隔調節機構(481)を設けたことにより、落下部(L1)の搬送終端側の左右幅を調節することができるので、等級外とする作物の条件の変更に合わせて落下部(L1)の左右幅を調節して、より確実に等級外の作物を回収部(42)に落下移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】作物選別機の平面図
【図2】作物選別機の側面図
【図3】作物選別機の背面図
【図4】洗浄装置の側面図
【図5】洗浄装置の要部正面図
【図6】選別搬送部の要部正面図
【図7】選別搬送コンベアの平面図
【図8】リターンコンベアを設けた作物選別機の側面図
【図9】リターンコンベアを設けた作物選別機の平面図
【図10】幅調節装置付きの作物選別機の側面図
【図11】幅調節装置付きの作物選別機の平面図
【図12】等級選別部の側面図
【図13】等級選別部の平面図
【図14】別実施例の回収ホッパの平面図
【図15】別実施例の回収ホッパの平面図
【図16】別実施例の幅調節装置の側面図
【図17】別実施例の幅調節装置の平面図
【図18】別実施例の汲上搬送装置の側面図
【図19】(a)別実施例の搬送ローラの要部側面図(b)別実施例の搬送ローラの要部正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図13に示すように、実施例の一つとして示す人参の選別機は、人参を洗浄する洗浄部Aと、洗浄部Aから洗浄された人参を受けて搬送しながら等級外の人参を取り除く選別搬送部Bと、選別搬送部Bの搬送終端部まで搬送された人参を受けて一本ずつ整列させる整列部Cと、整列部Cから人参を受けて等級毎に選別する等級選別部Dから構成される。
なお、本件選別機は、2列分の構成としているが、左右対象で用いられる部材のうち左右どちらか一方を排除して1列分の構成としてもよく、また部材を追加して3列以上の構成としてもよい。
まず、人参に付着した泥土を洗浄する、洗浄部Aについて説明する。
図1〜図6で示すように、人参を投入する、平面視で長方形または正方形の投入フレーム1を設け、該投入フレーム1の内側で且つ人参の移動方向上手側に下方傾斜する傾斜板2aを設け、該傾斜板2aの左右両側に左右方向の中央に向かって下方傾斜する左右傾斜板2b,2bを設ける。また、該傾斜板2a及び左右傾斜板2b,2bの下端部に、人参を後方に向かって搬送する第1搬送部3aと、該第1搬送部3aの搬送終端部から人参を後方且つ斜め上方に汲上搬送する第2搬送部3bを形成した第1汲上搬送コンベア3を配置する。
該第1汲上搬送コンベア3は、搬送始端側に左右の従動スプロケット4,4を回転自在に設け、搬送終端側に左右の駆動スプロケット5,5を回転自在に設ける。そして、該従動スプロケット4,4と駆動スプロケット5,5に左右の汲上搬送チェーン7,7を無端状に巻回し、該汲上搬送チェーン7,7の左右間に亘って複数の搬送プレート8…を設けて構成する。
そして、前記第1汲上搬送コンベア3の左右両側に左右のコンベアフレーム9,9を設け、該コンベアフレーム9,9の搬送終端側の下方と前記投入フレーム1の後部を回動軸10を介して連結する。第1汲上搬送コンベア3は、該回動軸10を回動支点として、搬送始端側を上方に持ち上げることができる。
さらに、前記コンベアフレーム9,9の搬送下手側の上部に第1駆動モータ11を設け、該駆動モータ11の出力軸に出力スプロケット12を設け、該出力スプロケット12と左右一側の駆動スプロケット5と共に回転する入力スプロケット13に伝動チェーン14を無端状に巻回することにより、投入タンク15が構成される。
なお、投入タンク15に投入される人参が落下の衝撃で傷付くことを防止するために、投入タンク15内には水を大量に貯留させる。これにより、人参の商品価値の低下を防止できるとともに、人参に付着した泥土を洗浄前にふやけさせることができるので、後述する洗浄装置26で人参に付着した泥を確実に落とすことができる。従って、上記第1汲上搬送コンベア3の構成部材は、全て耐水性のある素材、あるいは耐水加工を施した部材で構成する。
そして、前記投入タンク15の搬送方向下手側に、平面視で長方形または正方形の箱型の洗浄フレーム16を設け、該洗浄フレーム16の搬送方向上手側で且つ前記第1汲上搬送コンベア3の第2搬送部3bの下方に第2駆動モータ17を設ける。また、該第2駆動モータ17の近傍で且つ上方に複数の洗浄伝動スプロケット18…を正面視でU字形状に配置し、該洗浄伝動スプロケット18…に洗浄伝動チェーン19を無端状に巻き掛けて、洗浄伝動機構20を構成する。該洗浄伝動機構20は、1または左右方向に2つ以上配置する。
また、前記洗浄伝動スプロケット18…にそれぞれ洗浄回転軸21…を軸着し、該洗浄回転軸21…に人参に接触して付着した泥土や夾雑物を擦り落とす洗浄ローラ22…を軸着して、洗浄経路23,23を構成する。
本実施例において、前記洗浄駆動装置20は、2本1組の洗浄ローラ22,22を3組備え、1組の洗浄ローラ22,22は互いに向き合う方向に回転する構成としている。
なお、収穫されたばかりの人参は白色の薄皮で覆われているが、洗浄ローラ22はこの薄皮の除去を泥土や夾雑物の除去と共に行なう部材でもある。この薄皮は、従来より出荷前に取り除かれるものであり、洗浄作業の段階で除去しても品質に問題は無い。
該洗浄ローラ22は、円柱形状の樹脂ローラの周囲に合成樹脂または天然素材で構成する無数の毛体(ブラシ毛)を植え付け、あるいはスポンジ等を外周面に貼り付けて構成する。このとき、毛体を搬送方向に向かって傾斜させて植え付ける、あるいはスポンジ等の表面に搬送方向に向かって凹凸を形成すると、人参を洗浄しながら搬送方向下手側に移動させることができるので、洗浄装置26内での人参の停滞が防止される。
そして、前記洗浄フレーム16の左右両側で且つ洗浄伝動機構20,20よりも上方に、洗浄ローラ22…に向かって洗浄水を散水する散水管24,24を設け、該散水管24,24には複数の散水孔を形成する。
上記散水管24,24への洗浄水の供給は、洗浄経路23,23よりも下側の洗浄フレーム16内に貯留した水をフィルター付きのポンプ(図示せず)で汲み上げ、このポンプと散水管24,24とをホース(図示せず)で連結して、泥土や薄皮等の夾雑物を取り除いた水を散水管24,24から散水する循環方式、あるいは大量の水を貯留したタンク(図示せず)と散水管24,24をホースで繋いだり、河川や湖沼等の水源にポンプを沈めて採水し、この水を散水管24,24に供給する給水方式で行なうとよい。
また、散水管24,24に形成する散水孔は、洗浄始端側ほど間隔を狭めて形成する、あるいは搬送始端側ほど大径に形成すると、泥土の付着が激しい洗浄始端側に洗浄水を集中させることができ、泥土の除去が確実に行なわれる。
そして、前記洗浄経路23,23の洗浄終端部の洗浄フレーム16に、洗浄の終わった人参を取り出す左右のドア25,25を上下または左右方向に開閉自在に取り付けることにより、洗浄装置26が構成される。該左右のドア25,25には、作業者が手で持って開閉するための、取っ手25a,25aを取り付ける。
なお、ドア25,25をスプリング(図示せず)等で洗浄フレーム16に向けて張圧し、洗浄フレーム16の内側から外側に向かって一定以上の押す力がかかるとドア25,25が押す力に合わせて自動的に開く構成とすると、洗浄経路23,23の終端側まで人参が洗浄搬送され、一定量以上人参が洗浄経路23,23の終端側に溜まると人参がドア25,25を押し開けて洗浄装置26から出て行くので、作業者がドア25,25を開閉する必要が無く、洗浄選別作業の無人化が図られる。
さらに、洗浄経路23,23に人参が滞留し、洗浄作業が終わっているにもかかわらず洗浄ローラ22…に接触し続け、人参の薄皮以外の皮が擦り落とされてしまうことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
該洗浄装置26と投入タンク15から、洗浄部Aが構成される。
上記構成により、作業者は人参を投入タンク15に投入し、第1汲上搬送コンベア3及び洗浄装置26を作動させれば人参の洗浄終了まで作業が不要となるので、人参の洗浄選別作業の自動化及び省力化が図られる。
また、洗浄装置26の第2駆動モータ17を第1汲上搬送コンベア3のうち、後上り傾斜姿勢の第2搬送部3bの下方に配置したことにより、投入タンク15と洗浄装置26の距離を短くすることができるので、洗浄部A及び洗浄選別装置全体のコンパクト化を図ることができる。
さらに、投入タンク15と洗浄装置26の距離が非常に短いことにより、引継の際に人参が落下することが無く、落ちた人参を作業者が拾い直す必要がなくなり作業の無人化が図られるとともに、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、商品価値が維持される。
次に、洗浄部Aで洗浄された人参を引き継いで搬送しながら、極小サイズ(3S〜4S)の人参や衝撃で割れた人参の破片など、等級外の人参を選別する選別搬送部Bについて説明する。
図1〜図3、図8〜図11で示すように、平面視で直方体形状であり、外周部以外を空間部とした選別フレーム27を設け、該選別フレーム27の搬送方向前端部に、前記左右のドア25,25が開放状態の際に進入すると共に、洗浄装置26から排出される人参が通過する左右の連絡通路28,28を、選別フレーム27を切り欠いて形成する。
該選別フレーム27の左右両端上部には、後述する左右の選別搬送コンベア38,38の傾斜角度と略同じ角度に傾斜させた傾斜部と、地面と略水平姿勢の水平部を組み合わせた側板27aを配置し、人参が機外に飛び出すことを防止する。
該左右の連絡通路28,28には、ドア25,25が連絡通路28,28の下部に向かって下がり過ぎることを防止する、左右の下降規制部28a,28aをそれぞれ形成する。そして、前記選別フレーム27の空間部の左右方向(短辺方向)中央部に、前後方向(長辺方向)に亘って空間部を左右に分断する仕切フレーム29を設ける。
該仕切フレーム29の上部は、正面視または背面視で山型(三角形)に形成すると、仕切フレーム29上に人参が落下しても山型の傾斜部に沿って左右の選別搬送コンベア38,38のどちらか一側に移動するので、人参が仕切フレーム29上に滞留することが防止され、作業者が拾い上げて選別搬送コンベア38,38に戻す労力が軽減される。
また、前記選別フレーム27の搬送方向後端側に駆動源となる選別駆動モータ31を設けた選別部伝動ケース32を設け、前記選別フレーム27の後端部よりも300〜400mmほど搬送方向前側位置の左右内側上部に、該選別部伝動ケース32から駆動力を受けて回転する外側の選別駆動プーリ33o,33oを軸着した外側の駆動軸34o,34oを、機体内側ほど下方に位置する傾斜姿勢で且つ回転自在に取り付ける。
なお、整列フレーム27の前後及び左右の端部にそれぞれ支持脚(図示省略)を設けて、該支持脚を接地させて支持する構成としても良い。
さらに、前記仕切フレーム29の左右外側上部で且つ、前記選別フレーム27の後端部よりも300〜500mmほど搬送方向前側位置の左右内側上部に、該選別部伝動ケース32から駆動力を受けて回転する内側の選別駆動プーリ33i,33iを軸着した内側の駆動軸34i,34iを、機体外側ほど下方に位置する傾斜姿勢で且つ回転自在に取り付ける。
そして、前記選別フレーム27の搬送方向前端側の左右内側上部に、機体内側ほど下方に位置する傾斜姿勢で且つ回転自在に外側の従動軸36o,36oを取り付け、該外側の従動軸36o,36oに外側の選別従動プーリ35o,35oを軸着する。前記外側の従動軸36o,36oの傾斜角度は、前記外側の駆動軸34o,34oと同じ角度に設定する。
また、前記仕切フレーム27の搬送方向前端側の左右外側上部に、機体外側ほど上方に位置する傾斜姿勢で且つ回転自在に内側の従動軸36i,36iを取り付け、該内側の従動軸36i,36oに内側の選別従動プーリ35i,35iを軸着する。前記内側の従動軸36i,36iの傾斜角度は、前記内側の駆動軸34i,34iと同じ角度に設定する。
なお、内外側の選別駆動プーリ33i,33o及び選別従動プーリ35i,35oは、搬送方向に対して左右方向に同じ長さで構成するものである。また、内外側の駆動軸34i,34o、34i,34o及び内外側の従動軸36i,36o、36i,36oは、ユニバーサルジョイントなど、途中で屈曲させても駆動力を十分に伝動可能な部品に置き換えて構成してもよい。
そして、前記内外側の選別駆動プーリ33i,33i、33o,33oと内外側の選別従動プーリ35i,35i、35o,35oに亘って内外側の選別搬送ベルト37,37、37,37を無端状に巻回して、左右の選別搬送コンベア38,38を構成することにより、選別搬送部Bが構成される。該内外側の選別搬送ベルト37,37は、上端部だけでなく下端部も左右方向に離間させて配置し、左右の選別搬送コンベア38,38で搬送される等級外の人参、例えば3S,4S等の極小サイズや割れた人参の破片が下方に落下できる構成とする。
この左右幅は、選別搬送コンベア38,38の搬送始端部では5〜10mm程度とし、搬送終端部に向かうほど広くなり、搬送終端部では20〜30mm程度とする。但し、自然環境の影響に左右される人参等の農作物は、その生育状態によって適切な間隔が異なるので、上記の間隔設定は一例とするものである。
上記の左右間隔を設けて落下部L1を構成することにより、3S乃至4Sサイズの極小人参や割れた人参の破片は落下部L1から下方に排出されるが、2S乃至3Sサイズの人参は、尻尾部が落下部L1に入り込んでも尻尾部よりも上側が内外側の選別搬送ベルト37,37に接触して持ち上げ搬送される。
なお、内外側の選別搬送ベルト37,37の左右間隔を調節可能に構成すると、人参の品種や生育状態に合わせて落下部L1の間隔を変更して、後工程の等級選別部Dで選別対象となる2S乃至3Sサイズの人参が落下部L1から落下することを防止できると共に、選別対象とならない等級外の人参が落下部L1から落下せず、等級選別部Dに送られることを防止でき、選別精度が向上する。
そして、前記内外側の選別搬送ベルト37,37、37,37のうち、人参を搬送する搬送作用面の裏側に、人参の重量により内外側の選別搬送ベルト37,37、37,37が大きく撓むことを防止するベルト受プレート46をそれぞれ設ける。該ベルト受プレート46は、複数の受板46a…同士を機体外側方向に5mmほど可動可能に連結し、搬送される人参の径の大小に追従できる構成とする。
該左右の選別搬送コンベア38,38の搬送終端部と選別フレーム27の後端部との間には、選別部フレーム27の後端部から前記内外側の駆動軸34i,34i、34o,34oまでの距離、約300〜500mmの排出空間部L2を形成する。上記の排出空間部L2の前後長さは、3L乃至4Lサイズの人参の肩部(茎葉が生えている部分)から尻尾部までの最長クラスの長さと略同じであり、3Lや4Lといった極大サイズの人参でも問題なく排出空間部L2を通過可能に構成している。
なお、左右の選別搬送コンベア38,38の表面に、細かな凹凸(図示省略)を無数に形成し、搬送する人参の滑りを防止する構成としてもよい。
該選別搬送部Bは、前記選別フレーム27の前端上部を洗浄フレーム16の搬送終端部側に接触させると共に、選別フレーム27の後端下部を後述する整列部Cの整列フレーム56の搬送始端側に接触させて、搬送始端側から後側に向かう上方傾斜姿勢(後上り傾斜姿勢)で配置し、洗浄部Aから引き継いだ人参を、斜め上方に向かって搬送する配置とする。このとき、選別搬送部Bの選別搬送コンベア38,38の搬送始端部は、左右の洗浄経路23,23よりも下方に位置すると共に、選別搬送コンベア38,38の搬送終端部は、後述する左右の整列搬送コンベア38,38よりも上方に位置する。
そして、前記選別フレーム27の下方に、選別フレーム27の左右幅よりも左右方向の長さを有する前後の壁板39,39と、且つ左右の選別搬送コンベア38,38の搬送始端部から搬送終端部までの前後長さと略同程度の前後方向の長さを有する左右の壁板40,40を平面視で四角形状に連結する。そして、該前後の壁板39,39と左右の壁板40,40の下部に、等級外の人参であっても通過不可能な空間部を複数形成した網状の底板41を設けて、前記選別搬送コンベア38,38から落下する等級外の人参を回収する回収ホッパ42を構成する。該回収ホッパ42の下部で且つ、回収ホッパ42の前後中央部よりも搬送始端側に、回収ホッパ42を下方から支持すると共に回動支点になる、回動支持脚43,43を左右一対設け、回収ホッパ42の終端側を上下回動自在に構成する。
なお、前側の壁板39の下端部を、回動軸(図示省略)を介して左右の壁板40,40に取り付け、上端部は固定しない、あるいはボルト等の固定部材(図示省略)等で固定状態と非固定状態を切替可能に構成すると、回収ホッパ42に回収された等級外の人参を取り出す際、前側の壁板39を搬送始端側に回動させて作業をすることができるので、作業者は回収ホッパ42内に入ったり、前後の側板39,39及び左右の側板40,40から身を乗り出して等級外の人参を回収する必要が無く、無理な姿勢で作業をすることが防止され、作業者の労力が軽減される。
また、底板41を網状ではなく空間部の無い板体で構成し、前側の側板39の搬送始端側の下端側に排水口44aを形成し、該排水口44aに排水ホース44を差し込んで、回収ホッパ42の搬送終端側を上方に回動させると、回収ホッパ42に溜まった水を排水ホース44から排出することができるので、回収ホッパ42の掃除が容易になる。これに加えて、底板41に空間部が無いことにより、網部に入り込んだ等級外の非常に小さな人参を、回収作業の際に一つ一つ作業者が引き抜いて回収する必要がなくなるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
さらに、回収ホッパ42の搬送終端側に、ジャッキやシリンダなどの昇降部材45を設けると、回収ホッパ42に多くの人参が積載されて重量が増加していても、回収ホッパ42の搬送終端側を機械的に上下回動させることができるので、作業者の労力が軽減される。
また、前記左右の選別搬送コンベア38,38の落下部L1の搬送始端側に、人参の重量を検出するロードセル等の重量検知装置47をそれぞれ設け、該重量検知装置47が2Lサイズ以上の重量(一例として、300g以上)を検出すると、制御装置100が選別駆動モータ31の回転数を所定時間(1〜5秒)増大させて、選別搬送コンベア38,38の搬送速度を速くする構成とする。
上記重量検知装置47,47は、複数の人参が同時に選別搬送コンベア38,38の搬送始端側に載った場合、人参のサイズにかかわらず重量検出を行なうため、2L以上の人参が複数の人参の中に無くても2L以上の人参が乗っていると制御装置100は判断する。しかし、人参が上記の如き載り方をしていても、等級外の人参は落下部L1から落下すると共に、選別搬送コンベア38,38の搬送速度が上がることによって人参の積み重なりを搬送しながら崩すことができるので、後工程の整列部Cに人参が積み重なったまま送られることが防止され、人参が一本ずつ並べられて等級選別部Dでの選別精度が向上する。
上記構成により、選別搬送コンベア38,38を構成する内外側の選別搬送ベルト37,37を左右間隔を空けて配置し、落下部L1を形成したことにより、極小サイズの人参や人参の破片等、等級外の人参を落下部L1から回収ホッパ41に落下させることができるので、等級選別部Dの小サイズ(2S、3S)の等級重量検知装置89が誤検知しにくくなり、選別精度が向上する。
これに加えて、洗浄部Aで洗浄された際に付着した洗浄水も落下部L1から回収ホッパ42に落下させることができるので、洗浄水を受ける部材を別途用意する必要が無く、部品点数の減少が図られる。
また、極小サイズの人参の等級重量検知装置89が不要となるので、等級選別部Dの部品点数が削減され、資源の消費を抑えることができる。
そして、左右の選別搬送コンベア38,38を機体内側から外側に向かうほど上方に向かう上り傾斜姿勢としたことにより、左右の選別搬送コンベア38,38は正面視または背面視でV字型に配置されるので、径の小さい人参はV字部の下側で、径が大きい人参はV字部の上側で左右から保持されるため、人参を確実に選別搬送コンベア38,38に載置して搬送することができるので、搬送中の人参が選別搬送コンベア38,38に詰まって搬送作業を停止させてしまうことが防止され、作業能率が向上する。
さらに、選別フレーム27を、搬送始端側から搬送終端側に向かって上方傾斜する後上り傾斜姿勢で洗浄部Aと整列部Cの間に配置したことにより、選別搬送部Bの下方に広い空間を確保することができるので、回収ホッパ42や整列部Cが配置しやすくなる。
また、選別フレーム27の後端部と選別搬送コンベア38,38の搬送終端部の間に排出空間部L2を構成したことにより、選別搬送コンベア38,38の搬送終端部と選別駆動モータ31を離間させることができるので、選別搬送コンベア38,38に付着した洗浄水が選別駆動モータ31に飛散することが防止され、選別駆動モータ31が壊れにくくなり、耐久性が向上する。
そして、選別駆動モータ31を選別搬送コンベア38,38の搬送終端側に設けたことにより、内外側の選別搬送ベルト37,37を搬送終端側に引っ張る構成としたため、重量の重い人参や複数本の人参がまとめて搬送される場合でも選別搬送コンベア38,38の搬送速度が低下したり、一時的に停止したりすることを防止できるので、人参の搬送が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
さらに、選別搬送部Bの下方に、選別フレーム27の左右幅よりも幅広な回収ホッパ42を設けたことにより、落下部L1から落下した人参を確実に回収ホッパ42で受けることができるので、機外に等級外の人参が散乱することが防止され、回収作業に要する時間と労力が軽減される。
また、回収ホッパ42の下部を網状の底板41で構成したことにより、人参に付着していた洗浄水が回収ホッパ42の内部に溜まることを防止できるので、回収ホッパ42から等級外の人参を回収する際に水が混入することが防止され、廃棄処分する際に水の除去作業が不要となる。
そして、回収ホッパ42の下部に回動支持脚43,43を設け、回収ホッパ42の終端側を上下回動自在に構成したことにより、回収ホッパ42に溜まった人参を回収する際、回収ホッパ42の搬送終端側を上方回動させて人参を搬送始端側に移動させることができるので、人参が取り出しやすくなり、作業能率が向上する。
さらに、重量検知装置47が所定値以上の重量を検出すると、制御装置100が選別駆動モータ31の回転数を所定時間増大させて選別搬送コンベア38,38の搬送速度を速くする構成としたことにより、洗浄部Aから整列搬送部Bに引き継がれる人参の停滞を防止できるので、作業能率が向上する。
また、内外側の選別搬送ベルト37,37のうち、人参を搬送する搬送作用面の裏側にベルト受プレート46をそれぞれ設けたことにより、一本の重い人参、または複数の積み重なった人参が選別搬送コンベア38,38に投入されても、内外側の選別搬送ベルト37,37が撓んで搬送速度が低下したり、落下部L1の左右間隔が広がって搬送中の人参が回収ホッパ42に落下したりすることを防止できるので、作業能率が向上すると共に、回収ホッパ42に落下した人参を再度選別作業する時間と労力が軽減される。
そして、複数の受板46a…を機体外側方向に可動可能に連結してベルト受プレート46を構成したことにより、ベルト受プレート46は搬送される人参の径の大小に追従するため、4Lまたはそれ以上のサイズの人参が投入されてもベルト受けプレート46が機体外側に退避して大きな人参を選別搬送コンベア38,38に載置することができるので、規格外の人参が混じっていても選別搬送作業が停滞することが防止される。
また、連絡通路28に左右の下降規制部28a,28aを形成したことにより、洗浄部Aのドア25が下降し過ぎて連絡通路28を塞ぎ、人参の移動が止まることを防止できるので、人参は洗浄部Aから選別搬送部Bに安定して移動するため、作業能率が向上する。
前記選別搬送コンベア38,38は、上述のとおり左右中央部に落下部L1を形成しており、搬送終端側ほどその左右幅が広くなる構成としている。この左右幅を、人参の品種や生育状態に合わせて変更する左右幅調節機構48を設けると、作業条件の適応性が向上する。
図10,図11で示すとおり、前記選別搬送コンベア38の左右両側で、且つ搬送始端側、搬送方向の前後略中央部及び搬送終端部に、上方に向かう第1,第2,第3支持プレート49a,49b,49cをそれぞれ設ける。該第1,第2,第3支持プレート49a,49b,49cは、後上り傾斜姿勢で配置した選別搬送コンベア38に対応させて、第1支持プレート49aが最も上下方向に長く、第3支持プレート49cが最も上下に短くなる構成とし、第1,第2,第3支持プレート49a,49b,49cの上端部は同じ高さに位置させる。
そして、左右の前記第1支持プレート49a,49a及び左右の第3支持プレート49c,49cを左右方向のスライドレール50f,50rでそれぞれ連結し、該前後のスライドレール50f,50rに、スライドレール50f,50r上を左右方向に摺動する調節プレート51,51の前端部と後端部を引っ掛けて設ける。
該調節プレート51,51の前端部と後端部には、前記スライドレール50f,50rの前後幅に跨るレール溝が形成されており、調節プレート51,51はスライドレール50f,50rから離れることなく左右方向に摺動する。なお、調節プレート51は、一つの選別搬送コンベア38の機体外側端部と機体内側端部に一枚ずつ、前記第1,第2,第3支持プレート49a,49b,49cの上端部に亘って配置する。
また、前記左右の第2支持プレート49b,49bと、左右の調節プレート51,51を共に長さ調節自在なターンバックル52で連結し、該ターンバックル52の左右方向の中央部に、ターンバックル52の長さを調節する調節装置53を設けることにより、選別搬送コンベア38の落下部L1の左右幅を左右幅調節機構48が構成される。
なお、ターンバックル52の調節装置53は、作業者が手で回すハンドル53aとするか、後述する操作パネル101で設定したい長さを入力すると制御装置100から信号を受けて回転し、ターンバックル52を設定した長さに変更する幅調節モータ53bとする。
上記構成により、作業者は調節装置53を手動または電子的に操作すると、落下部L1の幅を人参の品種や生育具合に合わせて変更することができるので、等級外の人参が等級選別部Dに搬送されることが防止され、選別精度が向上すると共に、作業能率が向上する。
また、等級選別を行う必要がある人参が落下部L1から回収ホッパ42に落下することが防止されるので、人参の再選別作業に要する時間と労力が軽減されると共に、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
上記構成とする場合、前側のスライドアーム50fの下部で且つ、選別搬送コンベア38の上方位置にCCDカメラ55を設け、該CCDカメラ55が検出する黄色や赤色、オレンジ色の画素から搬送する人参の長さを判別して、所定長さ以上であれば選別搬送モータ31の回転数を上げて選別搬送コンベア38の搬送速度を一時的(1〜10秒)に速くする構成としてもよい。
上記構成により、長い一本の人参や、複数の人参が前後方向に並んで選別搬送コンベア38に載っても、選別駆動モータ31の回転数を上げることによって人参を確実に搬送終端部に移動させることができるので、人参が抵抗となって搬送速度が低下したり、搬送自体が一時的に停止することが防止されるので、作業能率が向上する。
また、選別搬送コンベア38の搬送速度を一時的に速くすることにより、人参の重なりを崩し、人参同士の間隔を広げることができるので、整列部Cに人参がまとまったまま投入されることが防止され、一本ずつ整列が行なわれて整列制度が向上する。
さらに、前記CCDカメラ55検出する、左右方向の赤色、黄色、オレンジ色の画素数から一本または重なり合った複数の人参の左右幅を判定し、所定幅を超えている、あるいは所定幅未満であると判定すると、前記幅調節モータ53bを作動させて内外側の選別搬送ベルト37,37の左右間隔を変更する構成としてもよい。
上記構成とすることにより、4Lまたはそれ以上の規格外の人参が投入され、ベルト受プレート46が退避して内外側の選別搬送ベルト37,37の左右間隔が若干変化しただけでは選別搬送コンベア38からはみ出しかねない場合、幅調節モータ53bが作動して規格外の人参を受けられる幅に自動的に変更されるので、規格外に大きな人参を機外に落下させることが無く、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止される。
逆に、2Sや3Sサイズが投入された場合、幅調節モータ53bが作動して内外側の選別搬送ベルト37,37の左右間隔を小玉の人参は落下せず、等級外の極小サイズや破片などだけが落下する幅に自動的に変更することにより、小玉の人参を回収ホッパ42から回収して再選別する作業が不要となり、作業能率が向上する。
次に、選別搬送部Bから人参を引き継ぎ、一本ずつ並べて等級選別部Dに送る整列部Cについて説明する。
図1〜図3、図8図〜図11で示すとおり、前記整列フレーム27よりも下方に整列フレーム56を設け、該整列フレーム56の下側で且つ搬送始端部に、前記回収ホッパ42の搬送終端側の端部を載置する。そして、該整列フレーム56の左右両側上部に整列側壁57,57を設け、該整列側壁57,57の前側端部に、前記整列フレーム27を選別搬送コンベア38,38の搬送終端側、即ち排出空間部L2の搬送始端部で受ける整列受板58を設ける。
また、該整列受板58の後部から整列搬送部Cの搬送方向の前後中央部に亘り、且つ整列受板58の左右中央部に、正面視または背面視で中央部から左右両側に向かってそれぞれ下方傾斜する、山型の振分板59を配置する。該振分板59は、前記選別搬送コンベア38,38から排出される人参が整列搬送部Cの左右中央部寄りに落下した際、後述する左右の第1整列コンベア60,60の左右どちらか一方に移動させる部材である。
そして、該山型の振分板59と左右の整列側壁57,57の間に、前記選別搬送コンベア38,38から人参を受けて搬送終端側に搬送する、左右の第1整列コンベア60,60を振分板59の前後方向と略同じ長さに亘って設ける。さらに、該左右の第1整列コンベア60,60の後部に、第1整列搬送コンベア60,60の左右幅よりも左右幅を狭く構成した第2整列コンベア61,61をそれぞれ設け、該第2整列コンベア61,61の搬送速度を第1整列コンベア60,60の搬送速度よりも速く設定する。また、第2整列コンベア61,61は、第1整列コンベア60,60よりも僅かに下方に配置する。
なお、該第1整列コンベア60,60は、三本の細い搬送ベルトを左右方向に並べて構成し、第2整列コンベア61,61は、二本の細い搬送ベルトを左右方向に並べて構成している。
そして、前記第2整列コンベア61,61の左右間で且つ、前記振分板59の後端部から整列フレーム56の後端部に亘って直方体形状の連結フレーム62を設け、該連結フレーム62の左右両側及び前記左右の整列側壁57,57に、第2整列コンベア61,61で搬送中の人参のうち、複数重なって載っているうちの一本以外、及び一本であっても前後方向に真っ直ぐ載っていない人参が落下する落下穴63をそれぞれ形成し、該落下穴63の搬送終端側に、適切に第2整列コンベア61に載っていない人参の落下を促す落下促進板64を、搬送始端側ほど機体外側方向に向かう姿勢でそれぞれ配置することにより、整列搬送コンベア65,65が構成される。
さらに、前記第2整列コンベア61,61及び各落下穴63の下方に、左右方向に亘って落下した人参を左右どちらか一側に流下案内する落下物シュータ66を下り傾斜姿勢で配置し、該落下物シュータ66の終端部の下方に、人参を受けて搬送始端側に流下案内するリターンシュータ67を搬送始端側から搬送終端側に向かって傾斜する上り傾斜姿勢で配置する。該リターンシュータ67は、前記整列フレーム56の側方に配置する。
また、前記リターンシュータ67の搬送始端側を切り欠き、この切り欠きの内部に左右のリターンフレーム68,68の基部を設け、該左右のリターンフレーム68,68の端部を洗浄部Aの洗浄フレーム16の前後方向中央部よりも搬送終端側で且つ洗浄フレーム16の上部に設ける。該左右のリターンフレーム68,68は、搬送始端側から搬送終端側に向かうほど下方に位置するくだり傾斜姿勢とする。
そして、前記リターンフレーム68,68の基部側の外側にコンベア駆動モータ69を設け、該コンベア駆動モータ69の出力軸を左右のリターンフレーム68,68の基部側の左右間に配置する駆動ローラ70に軸着する。
さらに、図10,図11で示すように、前記リターンフレーム68,68の端部側の左右間に従動ローラ71を回転自在に配置し、該駆動ローラ70と従動ローラ71に亘ってリターンベルト72を無端状に巻回する。該リターンベルト72の巻回域内で且つ駆動ローラ70と従動ローラ71の前後間には、リターンベルト72を下方から押し上げて弛みを防止する複数のテンションローラ73…を配置して、リターンコンベア74を配置する。該リターンコンベア74の搬送姿勢は搬送方向下手側(全体で言うところの搬送始端側)ほど上方に向かう傾斜搬送であるので、積載した人参が転げ落ちることを防止する突起などを形成してもよい。
そして、該リターンコンベア74の搬送終端部の下方に、洗浄部Aの洗浄フレーム16内に人参を送る横送りシュータ75を配置する。該横送りシュータ75の搬送終端側には、人参が飛び出すことを防止するストッパプレート76を、左右方向に回動自在に設けて、使用状態と非使用状態に切り替えられる構成とする。
なお、前記横送りシュータ75は、左右のリターンフレーム67,67に沿って前後方向に移動可能に構成し、選別搬送コンベア38,38の側方まで移動させ、ストッパプレート76をリターンベルト72上に回動させると、選別搬送コンベア38,38に人参を戻すことができる構成となる。このとき、横送りシュータ75の終端部を仕切フレーム28の上方とすると、左右の選別搬送コンベア38,38のどちらにも人参を移動させることができ、左右一方の選別搬送コンベア38に人参が多く入ることが防止される。
そして、前記整列フレーム56に選別搬送部B,整列搬送部C,等級選別部Dの動作の入切や作業条件の切替操作を行う操作パネル101を設けて、整列搬送部Cが構成される。該操作パネル101は、選別駆動モータ31等の回転数を表示すると共に、作業者が画面上を指で操作して数値を任意に変更操作可能なタッチパネル形式で構成する。
上記構成によれば、左右の整列搬送コンベア65,65の搬送始端側の左右間に山型の振分板59を設けたことによって、選別搬送コンベア38,38から排出空間部L2を通過して落下する人参が整列フレーム56の左右中央部寄りに落下しても、振分板59の傾斜部に当たると左右どちらかの整列搬送コンベア65,65に移動するので、整列フレーム56上に人参が滞留することが防止され、作業者が人参を移動させる必要が無く、作業能率が向上すると共に、作業の無人化が図られる。
なお、振分板59の表面を塩化ビニル等の軟質材やゴム等の弾性体で覆うと、落下の衝撃が大幅に軽減されて人参が傷付きにくくなるので、人参の商品価値が維持される。
そして、連結フレーム62の左右両側及び左右の整列側壁57,57にそれぞれ落下穴63を形成し、この落下穴63の搬送終端側に適切でない搬送姿勢の人参の落下穴63への移動を促進する落下促進板64を設けたことにより、複数本積み重なった人参や、前後方向に真っ直ぐ向いていない人参を落下穴63に落とし、左右の整列搬送コンベア65,65の搬送終端部から等級選別部Dには一本ずつ人参を移動させることができるので、等級選別部Dでの人参の誤検知が減少し、選別精度が向上する。
また、落下促進板64を、搬送始端側ほど左右間隔が広く、搬送終端側で最も接近する構成としたことにより、整列搬送コンベア65,65に前後方向にほぼ真っ直ぐ載った人参以外は左右の落下促進板64の端部に接触する構成となるため、いっそう確実に等級選別部Dに移動する人参を一本ずつとすることができ、選別精度がいっそう向上する。
さらに、落下穴63から落ちてきた人参を搬送始端側に送り返すリターンシュータ67を設け、このリターンシュータ67の搬送終端側から洗浄部Aの洗浄フレーム16の搬送終端寄りの位置に亘って、人参を駆動搬送して洗浄部Aに戻すリターンコンベア74を設けたことにより、整列搬送部Cから戻された人参を自動的に選別搬送経路に戻すことができるので、作業の無人化が図られる。
そして、該リターンコンベア74のリターンフレーム68に沿って、リターンコンベア74から人参を排出する横送りシュータ75を設け、側方の洗浄フレーム16内や選別搬送コンベア38に人参を戻す構成としたことにより、選別搬送作業を行う人参の量に合わせて人参を送り戻す位置を決めることができるので、作業能率が向上する。本件においては、人参の量が多いときは洗浄フレーム16内に戻し、少ないときは選別搬送コンベア38に戻す構成とする。
なお、リターンコンベア74から横送りシュータ75への人参の移動は、リターンコンベア74の搬送終端部であれば排出落下とし、リターンコンベア74の搬送経路上であれば、ストッパプレート76をリターンベルト72上に回動させて壁とし、横送りシュータ75に人参の移動を促す構成とする。
次に、整列搬送部Cから人参を一本ずつ受けて、等級毎に人参を選別して回収する等級選別部Dを説明する。
図13,図14で示すように、整列搬送部Cの後方に内側が空間部である等級選別フレーム77を配置し、該等級選別フレーム77の内側前部に従動スプロケットを回転自在に設け、内側後部に駆動スプロケットを回転自在に設け、該駆動スプロケットと従動スプロケットに無端状に伝動チェーンを巻回する。また、該駆動スプロケットと同軸に入力スプロケットを軸着し、該入力スプロケットよりも下方に出力スプロケット82を装着した第2選別駆動モータ83を設け、該入力スプロケットと出力スプロケットに亘って出力チェーンを無端状に巻回する。
そして、前記駆動スプロケットと同軸に駆動ローラ85を軸着し、従動ローラ86を搬送始端側に回転自在に設け、該駆動ローラ85と従動ローラ86に亘って等級選別ベルト87を無端状に巻回して、等級選別搬送コンベア88を構成する。該等級選別搬送コンベア88は、左右一対配置する。
そして、前記等級選別ベルト87の搬送始端部と搬送終端部との間に、人参の重量を検出する等級重量検知装置89…を複数個等間隔を開けて配置し、前記等級選別フレーム77の左右両外側の上部で且つ該等級重量検知装置89…よりも搬送終端寄りに、等級重量検知装置89…が設定重量以上の人参の通過を検出すると、跳出板90が作動して人参を左右の等級選別搬送コンベア88,88の左右間に送る等級排出装置91…を複数配置する。
なお、前記等級重量検知装置89が検出する最低重量は、重り(図示省略)等の数や重さを変更して、作業者が任意に変えうるものである。また、等級重量検知装置89は、等級選別搬送コンベア88,88の搬送始端側ほど重い(大きい)人参に反応し、搬送終端側ほど軽い(小さい)人参に反応する構成とすると、重量の上限値だけを設定すればよいので、等級重量選別装置89の構成が簡潔になり、部品点数や製造コストの削減が図られる。但し、電子天秤等で、等級排出装置91が反応する重量の上限値と下限値を設定して、搬送始端側ほど軽い(小さい)人参に反応し、搬送終端側に向かうほど重い(大きい)人参に反応する構成としてもよく、また、S,M,L等、基本的に本数の多いものを搬送終端側で選別し、2S,3S、2L,3L等、基本的に本数の少ないものを搬送する構成としてもよい。特に後者の場合、頻出するサイズの人参に反応する等級排出装置91までの移動距離が長いので、人参同士の間隔が空きやすく、誤選別が生じにくい。
さらに、前記左右の等級選別搬送コンベア88,88の左右間の空間部に、等級排出装置91…で跳ね出された人参を等級毎に落下案内する、等級落下口92…を前後方向に複数並べて配置し、該等級落下口92…の下方には、落下してきた人参を等級選別部Dの左右一側または他側のどちらか一側に流下案内する等級案内シュータ93…をそれぞれ配置する。該等級案内シュータ93…は左右どちらか一側の等級選別搬送装置88の下方を通過し、等級案内シュータ93…の案内終端部は前記等級搬送フレーム76の左右端部よりも外側に突出する構成とし、等級案内シュータ93…の案内終端部の下方には、等級毎に人参を回収する回収コンテナ94…をそれぞれ配置する。
また、前記左右の等級選別搬送コンベア88,88の搬送終端部の下方には、等級排出装置91で跳ね出さず、等級選別搬送コンベア88,88の搬送終端部から排出される人参を受ける回収コンテナ94をそれぞれ配置する。
上記構成によれば、左右の等級選別搬送装置88,88の左右間に各等級ごとに人参を落下案内する等級落下口92…を設けたことにより、左右に設ける等級排出装置91,91のどちらから人参が跳ね出されても下方に落下案内することができるので、等級案内シュータ93を一つの等級に付き二つ以上設けたり、左右両外側に跳ね出された人参を一旦合流させてから一つの等級案内シュータ93に移動させる通路を形成したりする必要が無く、人参の排出経路が簡潔に構成される。
そして、左右の等級選別搬送コンベア88,88の搬送終端部の下方にも回収コンテナ94,94をそれぞれ配置することにより、一つの等級を等級排出装置91及び等級重量検知装置89を設けることなく選別することができるので、等級排出装置91及び等級重量検知装置89の数が減り、コストダウンが図られる。
以下、本件人参の選別搬送装置の別実施例を説明する。
図14で示すように、回収ホッパ42の内部に、左右方向に亘って複数の仕切板42d…を設ける構成とする。この実施例では、仕切板42dを二枚用意し、選別搬送コンベア38,38の搬送方向の前後中央部の下方に一枚、選別搬送コンベア38,38の搬送方向の前後中央部と搬送終端部との間に一枚設けて、搬送始端側では出荷に堪えず作業者が個人的に圃場用の堆肥や家畜の飼料とする人参の破片を受け、二枚の仕切板42d,42dの前後間では加工用として出荷する、または個人的に消費する3S,4S等の極小サイズの人参を受け、搬送終端側では小玉の人参として出荷する2S,3Sの人参を受ける構成としている。
上記構成により、選別搬送部Bの落下部L1から落下して取り除かれる人参を、自動的にサイズ別に分けることができるので、作業者は回収時に商品として出荷が可能な人参を選り分ける必要が無く、作業能率が向上する。
また、商品として出荷が可能な2Sまたは3Sサイズの人参を選別搬送コンベア38,38で選別することにより、等級選別部Dの等級排出装置91や等級重量検知装置89を一サイズ分減らすことができるので、人参の選別作業にかかる時間の軽減や、コストダウンが図られる。
あるいは、図15で示すように、回収ホッパ42内に回収コンテナ94を複数投入する構成としてもよい。選別搬送コンベア38,38の落下部L1から落下する人参は、サイズ毎に落下する位置がほぼ決まっているので、後から作業者が選別に要する時間が短くなると共に、回収した時点で人参がほぼサイズ別に回収コンテナ94…に投入されているので、回収ホッパ42で回収した人参をサイズ毎に小分けする労力及び時間が軽減される。
図16,図17で示すように、前記回収ホッパ42の左右一側から、選別搬送コンベア38,38の搬送始端部の上方を跨いで左右他側に設ける正面視または背面視で門型の前固定フレーム95fを設け、前記整列フレーム56の左右一側から選別搬送コンベア38,38の搬送終端部の上方を跨いで左右他側に設ける正面視または背面視で門型の後固定フレーム95rを設ける。そして、該後固定フレーム95rの左右方向中央部の下部に左右両軸式の間隔調節モータ96を設け、該間隔調節モータ96の左右の出力軸にそれぞれターンバックル97,97の基部側を長さ調節自在に取り付ける。また、前記前固定フレーム95fの上端部左右両側にそれぞれ調節連結フレーム98,98の前端部を回動自在に装着し、該調節連結フレーム98,98の後端部に前記左右のターンバックル97,97の端部側を取り付ける。
さらに、前記ターンバックル97に、内外側の選別駆動プーリ34i,34oと連結する支持連結プレート99,99を設けて、後端間隔調節装置481を構成する。
該後端間隔調節装置481は、ターンバックル97が左右方向に長くなると互いに離間して内外側の選別駆動プーリ34i,34oを離間させると共に、ターンバックル97が左右方向に短くなると互いに近接して内外側の選別駆動プーリ33i,33oを近接させる構成とした。そして、前記間隔調節モータ96をタッチ式の操作パネル101で操作可能にする。
これにより、間隔調節モータ96を回転させてターンバックル97,97を左右方向に長くすると、選別搬送コンベア38,38の落下部L1の左右間隔を搬送終端側に向かうほど広くすることができるので、確実に等級外の人参が回収ホッパ42に落下するため、等級選別部Dでの誤選別が減少し、選別精度が向上する。
また、選別搬送コンベア38,38の落下部L1に等級外の人参であるか選別対象の人参であるかが曖昧な大きさの人参が搬送された際、落下部L1の間に挟まって他の人参の搬送を妨げることがあっても、落下部L1の左右間隔を広げればこの人参を回収ホッパ42に落下させることができるので、作業能率が向上する。
なお、本構成とした場合、整列フレーム56と後固定フレーム95rで操作パネル101を支持する構成とすると、操作パネル101を高い位置に配置することができるので、作業者の身長に合わせた配置構成とすることができ、作業能率が向上する。
次に、図18,図19で示すとおり、人参を貯留する回収ホッパ42の底部に搬送終端側に向けてフラットコンベア102を設け、該フラットコンベア102の終端部から人参を斜め後上方に搬送する汲上コンベア103を、回収ホッパ42の後部を切り欠いて配置する。
該フラットコンベア102と汲上コンベア103は、側面視逆「へ」の字型の汲上搬送フレーム110の内部に、フラットコンベア102の搬送始端部に設ける左右の従動スプロケット104,104と、汲上搬送コンベア103の下端部に設ける左右のテンションスプロケット105,105と、上端部に設ける左右の駆動スプロケット106,106に亘って伝動チェーン107をそれぞれ無端状に巻回し、該左右の伝動チェーン107,107の左右間に複数の搬送ローラ108…を等間隔に配置して、汲上搬送コンベア111を構成する。さらに、該汲上搬送コンベア111の搬送終端部下方には、整列搬送部Cに移動する人参を案内するシュータ112を設ける。
なお、汲上搬送コンベア111の駆動力は、伝動ケース113を介して整列搬送部Cに設けた汲上搬送モータ114から得る。
該搬送ローラ108は、左右一対のディスク109,109の間に、ディスク109の半径とほぼ同じ直径のフェンスローラ110a,110bを上下に二本、回転自在に取り付けて構成し、搬送中の人参を後方から受ける壁となると共に、フラットコンベア102から汲上コンベア103に人参が移動して斜め後ろ上方に搬送される際に、搬送ローラ108を構成する上側のローラ110aに人参が乗り上げると、上側のフェンスローラ110aが回転して人参を前方または後方の搬送ローラ108,108の間に移動させ、人参の一部が搬送ローラ108に乗り上げた状態での搬送を防止するものである。
上記構成により、搬送ローラ108…の前後間の空間部に人参を収容して搬送することができるので、汲上コンベア103の傾斜を人参が上り切れずに停滞することを防止できるので、人参の搬送がスムーズになり、作業能率が向上する。
また、搬送ローラ108を、上下のフェンスローラ110a,110bを左右のディスク109,109間に回転自在に設けて構成したことにより、回収ホッパ42に大量に貯留された人参がフラットコンベア102から汲上コンベア103に移動する際、搬送ローラ108の上面に人参が乗り上げたまま後上部に向かって搬送され、搬送途中で下方に落下することを防止できるので、同じ人参が搬送経路を何度も往復することが防止され、作業能率が向上すると共に、落下した人参が後続の人参とぶつかって傷付くことを防止されるため、人参の商品価値が向上する。
さらに、人参が搬送ローラ108に乗り上げるとフェンスローラ110aまたはフェンスローラ110bが回転し、人参の乗り上げ方に合わせて搬送方向前側の搬送ローラ108,108の前後間隔部、または搬送方向後側の搬送ローラ108,108の前後間隔部に人参を移動させることができるので、人参の搬送が安定する。
そして、フェンスローラ110a,110bは、搬送ローラ108,108の前後間隔部に入った人参の壁となるので、選別搬送コンベア111の搬送経路に別の壁となる部材を設ける必要がなく、部品点数の削減が図られる。
【符号の説明】
【0008】
37 選別搬送ベルト(選別搬送無端帯)
38 選別搬送コンベア(選別搬送装置)
42 回収ホッパ(回収体)
42d 仕切板(仕切部材)
48 間隔調節機構
49a 第1支持プレート(支持部材)
49b 第2支持プレート(支持部材)
49c 第3支持プレート(支持部材)
51 調節プレート(調節部材)
52 ターンバックル (伸縮部材)
53 調節装置(操作部材)
88 等級選別コンベア(搬送装置)
89 等級重量検知装置(等級検知装置)
91 等級排出装置
92 等級落下口(回収部)
95r 後固定フレーム(後側固定枠)
96 間隔調節駆動モータ(調節駆動装置)
97 ターンバックル(伸縮調節部材)
99 支持連結プレート(支持連結部材)
481 後端間隔調節装置(終端側間隔調節機構)
A 洗浄部
B 選別搬送部
C 整列搬送部
D 等級搬送部
L1 落下部
L2 排出空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置(88)で搬送する作物の等級を等級検知装置(89)で検知し、該等級検知装置(89)が設定した等級に該当する作物を検知すると等級送出装置(91)で作物を回収部(92)に送り出して選別する等級選別部(D)を設け、該等級選別装置(D)に作物を搬送しながら等級選別部(D)の選別作業に適さない作物を選別する選別搬送部(B)を設けたことを特徴とする作物選別機。
【請求項2】
前記選別搬送部(B)は、左右の搬送無端帯(37,37)を互いの搬送面が向き合う傾斜姿勢で配置してV字型に構成する選別搬送装置(38)と、該選別搬送装置(38)で選別された等級外の作物を回収する回収体(42)で構成し、前記左右の選別搬送無端帯(37,37)の間には等級外の作物が落下する落下部(L1)を形成したことを特徴とする請求項1記載の作物選別機。
【請求項3】
前記落下部(L1)の間隔は、搬送終端部に向かうほど広くなる構成としたことを特徴とする請求項2記載の作物選別機。
【請求項4】
前記回収体(42)を仕切る仕切部材(42d)を設け、該仕切部材(42d)を落下部(L1)から落ちる作物の大きさが大きくなる位置に配置したことを特徴とする請求項2または3記載の作物選別機。
【請求項5】
前記選別搬送部(B)の搬送始端側に作物を洗浄しながら搬送する洗浄部(A)を設け、選別搬送部(B)の搬送終端側に作物を整列させて等級選別部(D)に送る整列搬送部(C)を設け、前記選別搬送部(B)の搬送始端側を洗浄部(A)の搬送終端下部に配置し、選別搬送部(B)の搬送終端側を整列搬送部(C)の搬送始端上部に配置して、選別搬送部(B)を搬送終端側ほど上方に位置する後上り傾斜姿勢としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の作物選別機。
【請求項6】
前記選別搬送部(B)の搬送終端側に駆動装置(31)を設け、該駆動装置(31)と選別搬送装置(38)の搬送終端部との間に、作物が整列搬送部(C)に移動する排出空間部(L2)を形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の作物選別機。
【請求項7】
前記選別搬送装置(38)の上部に左右の調節部材(51,51)を左右方向に移動自在に設け、該左右の調節部材(51,51)と前記左右の選別搬送無端帯(37,37)の側部を連結する連結部材(49a,49b,49c)を設け、前記左右の調節部材(51,51)の左右間に伸縮部材(52)を設け、該伸縮部材(52)を伸縮操作する操作部材(53)を設けて、前記落下部(L1)の幅を調節する間隔調節機構(48)を構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作物選別機。
【請求項8】
前記選別搬送装置(38)の搬送終端側の上部に後側固定枠(95r)を設け、該後側固定枠(95r)の下部に調節駆動装置(96)を設け、該調節駆動装置(96)と後側固定枠(95r)の間に伸縮調節部材(97)を設け、該伸縮調節部材(97)に左右の選別搬送無端帯(37,37)の搬送終端部と連結した支持連結部材(99,99)を設けて、前記落下部(L1)の搬送終端側の左右間隔を調節する終端側間隔調節機構(481)を構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作物選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−157823(P2012−157823A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19193(P2011−19193)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【出願人】(000204239)株式会社 太陽 (21)
【Fターム(参考)】