使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法及びシーリング方法
【課題】 一度開封し使用して缶体内に残存している一液型硬化性組成物を簡単な操作及び器具の利用で大気中の水分や酸素から遮断して再度使用することができるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物を使用(有効利用)するシーリング方法を提供する。
【解決手段】 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、この排出口に栓を設置して密封し、一定期間維持する、使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法である。また、この保存一液型硬化性組成物を目地に充填するシーリング方法である。
【解決手段】 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、この排出口に栓を設置して密封し、一定期間維持する、使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法である。また、この保存一液型硬化性組成物を目地に充填するシーリング方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封使用後に残存している一液型硬化性組成物を再利用できるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物をシーリング工事などに使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の外壁目地や土木構造物の目地などには、防水、意匠等の目的で多くのシーリング材が使用されている。これらのシーリング材は、モルタル板、コンクリート板、ALC板、金属材等の外壁などを構成する部材間の接合部から構造体内部への雨水の侵入を防ぎ、また地震、日射による温度差、風圧などによって生じる外壁材の歪を緩和して外壁材の破壊を防ぎ、更には外壁の美観を損ねないことなどが求められている。またさらには外壁部材間の接合部だけではなく、たとえば戸建住宅ではベランダ部や屋根、玄関部などに形成される部材間の取り合い目地に、また排気口などの外壁を貫通して取り付ける器具の外壁材とのシール材などに、また防水が重要な目的ではない所謂ダメ工事などに使用されている。
【0003】
これらのシーリング材には、シリコーン系、ポリウレタン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系など多数の種類があり、また一液湿気硬化型、一液酸素硬化型、二液混合型などがあり、紙管製、プラスチック製、金属製、プラスチックフィルムなどのカートリッジタイプやペール缶タイプなどの形で供給されている。これらのカートリッジタイプやペール缶タイプなどの形で供給されるシーリング材は、実際に使用される施工現場すなわち戸建住宅から大きなビル建築物などにおいては、使用量の少ないところは数本から多いところは数十本、または数缶から数十缶にものぼる。さらにシーリング工事の施工期間も短くは数日から延べ日数が数十日にわたる場合がある。そのような場合には、シーリング材の残量も多くなっている。二液混合型のシーリング材の場合には、二液混合直後から硬化反応が開始するため、たとえ使用残があっても翌日には粘度が上昇したり硬化したりして使用ができない。これに対し、一液型のシーリング材は水分や酸素を遮断すれば硬化反応を停止しておくことができ、翌日以降に残存シーリング材を再度使用することが可能である。特にカートリッジ容器の場合は、使い残りがあっても、ノズルを硬く締め且つ透水、透湿性のない又は酸素透過性のないアルミ箔等でノズルを覆うようにシールし止めておけば、翌日以降数日間の使用に耐える。実際に一液型のカートリッジタイプのシーリング材ではこのようにして使用されることがみられる。
【0004】
しかし、シーリング材の使用量の多い大きな建築構造物や土木構造物では、価格のメリットがある点でカートリッジタイプよりペール缶タイプを使用することが多く、その使用残の取り扱いが問題となることが多い(特許文献1、2及び3参照)。
特にペール缶タイプの場合、開封時に内蓋としてシーリング材表面に密着していたアルミ箔等を残存シーリング材上に再度密着させて、水分や酸素から遮断すれば硬化反応を停止しておくことができるが、カートリッジタイプと比べると水分や酸素からの遮断が不十分となり、残存シーリング材表面がゴム化していたり、増粘していたりして翌日以降の再使用が困難となって廃棄処分されることが多い。これは材料の無駄であり、資源を有効に利用するためにも、ペール缶に残存しているシーリング材の有効利用が求められている。
【特許文献1】特開2003−335381号公報
【特許文献2】特開2003−160182号公報
【特許文献3】特開平10−314656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一度開封し使用して缶体内に残存している一液型硬化性組成物を簡単な操作及び器具の利用で大気中の水分や酸素から遮断して再度使用することができるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物を使用(有効利用)するシーリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、使用後残存している一液型硬化性組成物を品質がほぼ維持でき且つシーリング工事などに容易に再使用できるような排出口を備えた別の容器に移し替えることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、次の(1)〜(12)である。
【0007】
(1) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封し、一定期間維持すること、を特徴とする使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法。
【0008】
(2) 前記栓が、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、前記(1)の保存方法。
【0009】
(3) 前記栓が、前記容器の排出口からの外気を遮断する着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、前記(1)の保存方法。
【0010】
(4) 前記排出口が、吸入型コーキングガンの吐出口に接続可能な排出口である、前記(1)〜(3)のいずれかの保存方法。
【0011】
(5) 前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填した、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のカートリッジである、前記(1)〜(4)のいずれかの保存方法。
【0012】
(6) 前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のラミネートフィルムパックである、前記(1)〜(4)のいずれかの保存方法。
【0013】
(7) 前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のチューブ状容器である、前記(1)〜(4)のいずれかの保存方法。
【0014】
(8) 前記一液型硬化性組成物が、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材である、前記(1)〜(7)のいずれかの保存方法。
【0015】
(9) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を有するノズル付き栓に取替えて、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【0016】
(10) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓に取替え、更に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【0017】
(11) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【0018】
(12) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、前記容器の排出口から外気を遮断するように着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、先端に吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズル付き栓から該硬化防止膜を取り除くと共に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によりはじめて、一度開封し使用して缶体内に残存している一液型硬化性組成物を簡単な操作及び器具の利用で大気中の水分や酸素から遮断して再度使用することができるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物を使用(有効利用)するシーリング方法を提供することが可能となった。更には、(詰め替え用の)容器に移し替えておけば、吸入型コーキングガンの洗浄回数を減らすことができ省力化が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例における、缶体内に残存している一液型硬化性組成物を防水・シーリング用吸入型コーキングガンにより吸い込む手順を示す図面である。図2は、詰め替え用の容器の一例であるカートリッジの平面図である。図3は、詰め替え用の容器の一例であるラミネートフィルムパックの平面図である。図4は、詰め替え用の容器の一例であるチューブ状容器の平面図である。
図5は、本発明の一実施例における、防水・シーリング用吸入型コーキングガンの吐出口と詰め替え用の容器の排出口との接続の手順を示す図面である。図6は、防水・シーリング用吸入型コーキングガンと詰め替え用の容器との接続状態を示す図面である。
【0021】
本発明において、缶体1内に使用後残存している一液型硬化性組成物2は、まず、実質的に外気にさらされることがないようにして、排出口3を備えた(詰め替え用の)容器4に移し替える。このようにすることによって、缶体1内に残存している一液型硬化性組成物2を容易に且つ有効に保存しておくことができ、廃棄しなくてもよくなる。
【0022】
本発明における一液型硬化性組成物2は、缶体1に詰めて販売されたものがシーリング工事などのため一旦開封して使用された後に使用可能な状態で残存しているものである。この一液型硬化性組成物2としては、一液型硬化性組成物であればどのようなものでもよいが、一液型湿気硬化性ポリウレタン系組成物又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系組成物が好ましく、特に一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材が好ましい。
【0023】
缶体1としては、例えば、4L、6L、12Lの塗装鋼板やステンレスなどの金属製丸缶等の所謂ペール缶や18Lの石油缶等の角缶、更には金属製以外のポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製の前記ペール缶や角缶が挙げられる。
【0024】
すなわち、本発明における移し替えは、具体的には例えば、まず、ペール缶を使ったシーリング工事で用いられている市販の防水・シーリング用吸入型コーキングガン5の先端のフロントキャップ6を取り外して、缶体1内に残存している一液型硬化性組成物2中に空気を巻き込まないように吸い込み口を差し込む。
次に、吸い込み口が一液型硬化性組成物2から出ないように(空気を吸い込まないように)して、吸入型コーキングガン5のピストンロッド9を引いて、シリンダー8内に一液型硬化性組成物2を吸い込む。
【0025】
次に、吸入型コーキングガン5を残存一液型硬化性組成物2から抜き取り、吸い込み口周囲に付着している一液型硬化性組成物2を清掃し、取り外しておいた吸入型コーキングガン5のフロントキャップ6を直ちに取り付け、さらに排出口3を備えた(詰め替え用の)容器4の排出口3に吸入型コーキングガン5の吐出口7を接続する。接続は、吸入型コーキングガン5の吐出口7内側のネジ溝(雌ネジ)に、排出口3を備えた容器4の排出口3外側のネジ溝(雄ネジ)を噛み合わせるようにして、吸入型コーキングガン5又は容器4を回転させて取り付ける(図5及び6参照)。径が合わないため吸入型コーキングガン5の吐出口7と排出口3を備えた容器4が接続できないときは、吸入型コーキングガン5の付属品である連結器具を使用する。吸入型コーキングガン5と容器4を接続後、吸入型コーキングガン5のレバー10を引き、吸入型コーキングガン5のシリンダー8内の一液型硬化性組成物2を排出口3から容器4内へ、容器4に空間が残らないように注入する。このようにすることによって、吸入型コーキングガン5に吸入した残存一液型硬化性組成物2を、実質的に外気にさらすことなく容器4へと移し替えることができる。
排出口3を備えた容器4としては、例えば、カートリッジ、ラミネートフィルム、チューブ状容器を好適に挙げることができる(図2〜4参照)。具体的には、カートリッジは、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性の材質からなり、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填したものが好ましい。更には実質的に大気中の水分に対して非透過性の材質からなり、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填したものが好ましい。ラミネートフィルムパックやチューブ状容器も、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性の材質からなり、排出口を備えたものが好ましい。更には実質的に大気中の水分に対して非透過性の材質からなり、排出口を備えたものが好ましい。
【0026】
図7は、本発明の一実施例における、詰め替えの完了した容器を栓により密封する手順を示す図面である。図8は、密封ノズル付き栓の斜視図である。図9は、硬化防止膜を備えた密封ノズル付き栓の側断面図である。
【0027】
本発明においては、次いで、注入終了後、吸入型コーキングガン5と容器4との接続を解除し、残存一液型硬化性組成物2が注入された容器4の排出口3に、大気中の水分や酸素から遮断するため栓11を取り付け(図7参照)、シーリング工事に使用するまで好適には直射日光があたらない冷暗所に維持(保管)する。
【0028】
或いは、移し替えられた容器4の排出口3に、栓11の代わりに、密封ノズル13付き栓12を設置して密封し、一定期間内容物である残存一液型硬化性組成物2を維持(保管)する。この密封ノズル13付き栓12は、密封ノズル13を適当な部位(任意の切り欠き部19の部位)で切り取ることにより、先端に一液型硬化性組成物2の吐出口14を形成できるものである。
密封ノズル13は通常わずかに水分や酸素などを透過するため、容器4の排出口3から密封ノズル13を透過してくる外気を遮断して一液型硬化性組成物2の硬化を完全に防止するには、硬化防止膜20を備えた密封ノズル13付き栓12を使用するのが特に好ましい。硬化防止膜20は大気中の水分及び/又は酸素に対して非透過性であればどのようなものでもよいが、プラスチックフィルムとアルミ箔を積層したラミネート製や合成樹脂製などが好適に使用可能である。硬化防止膜20は、密封ノズル13付き栓12の内部に着脱自在に配置されていてもよいし、熱融着や超音波融着等または接着剤などで固定されていてもよい。
【0029】
図10は、本発明の一実施例における、詰め替えの完了したカートリッジを栓により密封し、次いで栓を密封ノズル付き栓に取替える手順を示す図面である。
図11は、本発明の一実施例における、詰め替えたカートリッジを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
図12は、本発明の一実施例における、詰め替えたラミネートフィルムパックを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
【0030】
次に、本発明のシーリング方法における目地への充填の手順について説明する。
栓11で密封した一液型硬化性組成物2を保管した(詰め替え用の)容器4を使用する場合には、まず、詰め替えて保管してある容器4の栓11を取り外して、密封ノズル13付き栓12を取り付ける。吐出量を調整するため、目地幅にあわせて、取り付けた密封ノズル13付き栓12の切り欠き部19をカッターナイフ等で切り取って吐出口14を形成する。
なお、吐出口14の形成は、密封ノズル13付き栓12を(詰め替え用の)容器4に取り付ける前であってもよい。
【0031】
密封ノズル13付き栓12で密封した一液型硬化性組成物2を保管した(詰め替え用の)容器4を使用する場合には、前記と同様に、吐出量を調整するため目地幅にあわせて、取り付けた密封ノズル13付き栓12の密封ノズル13の切り欠き部19を切り取って吐出口14を形成する。
密封ノズル13付き栓12が内部に硬化防止膜20を内側に備えている場合には、密封ノズル13から硬化防止膜20を取り除くと共に、前記と同様にして密封ノズル13の切り欠き部19を切り取って吐出口14を形成する。
【0032】
保管しておいた容器4がカートリッジのときは、密封ノズル13付き栓12をしたカートリッジを市販の防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガン15にセットし、密封ノズル13付き栓12の切り欠き部19を切り取って吐出口14を形成したのち、ガン15のレバーを引くことで一液型硬化性組成物2を吐出させて目地に充填する(図11参照)。なお、吐出口14の形成は、密封ノズル13付き栓12をカートリッジに取り付ける前であってもよい。
保管しておいた容器4がラミネートフィルムパック又はチューブ状容器のときは、手で握って押し出すか又は排出口3の反対側末端から巻くようにして、一液型硬化性組成物2を吐出させて目地に充填する。
防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガン15を使用して(詰め替え用の)容器4としてラミネートフィルムパック4′を目地に充填する場合には、まずラミネートフィルムパック4′を筒状の本体ホルダー16内へ挿入し、ラミネートフィルムパック4′の底部側本体ホルダー16にH型プランジャー17(極東ケミックス(株))を装填し、続いて排出口3側本体ホルダー16内にツールキャップ18(極東ケミックス(株))を装填して押さえとし、ラミネートフィルムパック4′をカートリッジ型コーキングガン15に装填して目地への充填に使用する(図12参照)。
(詰め替え用の)容器4内の残存一液型硬化性組成物2を注入する際に容器4がカートリッジである場合は、プランジャー17が容器4の筒状本体内先端部まで挿入して装填されているため容器4内に空隙ができることはないが、(詰め替え用の)容器4がラミネートフィルムパック4′又はチューブ状容器の場合は、容器内の空気を抜いて密閉されているものを使用する。容器内に空気があると、注入した一液型硬化性組成物が反応して硬化物を生成することがあるため好ましくない。
【0033】
図13は、本発明の一実施例のシーリング方法における目地への充填状況を示す図面である。
本発明のシーリング方法は、本発明の方法によって保存した残存一液型硬化性組成物を用いて、各種の土木、建築物などの目地に充填し、新品の一液型硬化性組成物を用いた場合とほとんど変わらないシーリング性能を発現するものである。
本発明のシーリング方法は、通常一般に行なわれている各種の土木、建築物などの目地に対するシーリング工事方法と全く同じであるが、使用するシーリング材が本発明の方法によって保存した残存一液型硬化性組成物である点だけが異なっている。
【0034】
図13は、排気口などの壁貫通孔に配管した後の、管50と外壁51間の目地をシーリングする工事方法を示す断面図である。排気口などの壁貫通孔などが発生するのは、外壁のシーリング工事が終了した後工程の設備工事であることが多く、このような工事には本発明のシーリング方法が特に有用である。
本発明のシーリング工事は、具体的には例えば次の手順で行なう。
1.貫通孔、管50に付着している塵、屑を取り除き清掃する。
2.管50と外壁51の間にバックアップ材52を装填する。
3.目地の両サイド(管50側および外壁51側)にマスキングテープを貼る(図示せず)。
4.目地の管50側および外壁51側にプライマーを塗布する(図示せず)。
5.(詰め替え用の)容器4に移し替えて保存しておいた残存一液型硬化性組成物(シーリング材)2を、目地に充填する。
6.ヘラ押さえする。
7.速やかにマスキングテープを除去する。
工事が完了すると、使用した残存一液型硬化性組成物(シーリング材)は比較的短時間で反応硬化し、通常の外壁の目地のシーリング工事と同様に管と外壁間の隙間がシールされる。
【0035】
本発明のシーリング方法は、目地部にシーリング材を施工する通常のシーリング工事のほか、僅かなシーリング材や上塗り塗料などの補修工事、防水性を主要な目的としない箇所のシーリング工事などのいわゆるダメ工事に適用することができる。ダメ工事は、工事の完成間際において、僅かな未完成部分の工事や不具合箇所や施主・建築士などからの指摘箇所の手直し工事を言うが、シーリング材を使用する箇所について言えば防水性を特に重要視しない二次防水箇所等の工事を含む。
【実施例】
【0036】
実施例1
排出口を備えた(詰め替え用の)紙管製(プラスチックフィルムと紙のラミネート製)カートリッジの内側には防湿膜が予め設けられているので、まずこれを破り、金属製プランジャーを紙管製カートリッジ内の先端部まで挿入装填し、排出口を備えた(詰め替え用)容器として準備した。
次に、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った6L金属製ペール缶を開封し、シーリング材表面に密着している内蓋のアルミ箔を取り除いた。防水・シーリング用吸入型コーキングガンのフロントキャップをはずしてシーリング材中に挿入し、ピストンロッドを引くことでシーリング材をコーキングガンのシリンダー内に吸入した。シリンダー内に充分吸入後、コーキングガンをシーリング材から抜き取り、コーキングガンのシリンダー先端部に付着したシーリング材を取り除き、取り外しておいたフロントキャップを装着し、直ちにコーキングガンの吐出口を前記用意の金属製プランジャー装填紙管製カートリッジの排出口に接続し、コーキングガンのレバーをひき、コーキングガンに吸入したシーリング材を紙管製カートリッジへ注入して詰め替えた。紙管製カートリッジの排出口に栓をした。
このポリウレタン系シーリング材が注入された紙管製カートリッジを使用して、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0037】
実施例2
実施例1において、排出口を備えた紙管製(プラスチックフィルムと紙のラミネート製)カートリッジの代わりにプランジャーがカートリッジ先端部まで既に挿入装填された防湿膜のない排出口を備えた高密度ポリエチレン(HDPE)製カートリッジを用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0038】
実施例3
実施例2において、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った6L金属製ペール缶の代わりに、一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材(SRシール、サンライズMSI(株)製)の入った6L金属製ペール缶を用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0039】
実施例4
実施例1において、紙管製カートリッジの代わりにラミネートフィルムを巻き、排出口を備えたプランジャーがカートリッジ先端部まで既に挿入装填された防湿膜のない高密度ポリエチレン(HDPE)製カートリッジを用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0040】
実施例5
実施例1において、排出口を備えた紙管製(プラスチックフィルムと紙のラミネート製)カートリッジの代わりに排出口を備えたラミネートフィルムパックを用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0041】
比較例1
実施例1の詰め替えに用いた6L金属製ペール缶中の残存一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材を使用して、残存シーリング材上に内蓋のアルミ箔を再度密着させて金属製のペール缶の蓋をした。次に、後述の初期又は促進5日、10日後のペール缶中の保存シーリング材の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0042】
比較例2
実施例3の詰め替えに用いた6L金属製ペール缶中の残存一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材を使用して、残存シーリング材上に内蓋のアルミ箔を再度密着させ金属製のペール缶の蓋をした。次に、後述の初期又は促進5日、10日後のペール缶中の保存シーリング材の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0043】
〔性能試験〕
ペール缶内に残存しているシーリング材を詰め替えた容器とシーリング材が残存しているペール缶を、50℃、80%相対湿度の恒温恒湿槽中で5日間又は10日間加熱処理し、外観と針入度を測定して、保存シーリング材の性能(保存安定性)を評価した。
(1)外観
目視観察して、ブツ、増粘、ゴム状硬化物が観られる場合を×、そうでない場合を○と評価した。
(2)針入度
JIS K2208−1980 石油アスファルト乳剤の針入度試験に準拠し、落下部の総重量12.5g(針2.5g、針保持具とおもりの合計10.0g)、測定時間1秒とした以外は同様にして、23℃、50%相対湿度で12時間以上静置したのち、同温湿度条件で針入度を測定して、180以上を○、180未満を×と評価した。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例6
実施例2において50℃、80%相対湿度の恒温恒湿槽中で10日間、高密度ポリエチレン(HDPE)製カートリッジ中に保存された一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)を、壁貫通孔に配管したあとの管と外壁(ALC)間の目地に充填し図13に示した試験体を作成し、23℃、50%相対湿度で28日間養生した。
なお、管と外壁(ALC)は清掃し、目地を構成する管側と外壁(ALC)側にマスキングテープを貼り、サイディングシーラント用プライマー(オート化学工業(株)製)を塗布した後、シーリングに供した。また、シーリング材を目地に充填したのち、ヘラ押さえして、マスキングテープを取り除いた。
【0046】
〔シーリング性能試験〕
(1)仕上り外観
養生後の目地の仕上外観を目視で判定し、ブツ、増粘、ゴム状硬化物が観られる場合を×、そうでない場合を○とした。
(2)接着性
目地の一部に、管とシーリング材の界面及び外壁とシーリング材の界面に切込みを入れ、切り込み部のシーリング材を手で摘み引っ張り、シーリング材が容易に剥離するか否かを調べた。容易に剥離する場合を×、そうでない場合を○とした。
これらの結果をまとめて表2に示す。
【0047】
比較例3
一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った新品の6L金属製ペール缶を開けて直ちに、実施例6と同様にして、管と外壁(ALC)間の目地に充填し、養生した。
また、実施例6と同様にしてシーリング性能試験を実施した。
これらの結果をまとめて表2に示す。
【0048】
比較例4
一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った新品の6L金属製ペール缶を開封し、内容物の約2/3を取り除き、次にシーリング材表面に密着してあったアルミ箔を再度密着させてさらに金属製の蓋をし、50℃、80%相対湿度の恒温恒湿槽中で10日間熱処理した。加熱処理後、実施例6と同様にしてシーリング材を管と外壁間の目地に充填し養生した。
また実施例6と同様にしてシーリング性能試験を実施した。
これらの結果をまとめて表2に示す。
【0049】
【表2】
表2から、実施例6と比較例3にはシーリング性能に差異がなく、本発明によって、一度開封、使用した残存シーリング材を用いて新品のものと同様に有用なシーリング工事を行えることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例における、缶体内に残存している一液型硬化性組成物を防水・シーリング用吸入型コーキングガンにより吸い込む手順を示す図面である。
【図2】詰め替え用の容器の一例であるカートリッジの平面図である。
【図3】詰め替え用の容器の一例であるラミネートフィルムパックの平面図である。
【図4】詰め替え用の容器の一例であるチューブ状容器の平面図である。
【図5】本発明の一実施例における、防水・シーリング用吸入型コーキングガンの吐出口と詰め替え用の容器の排出口との接続の手順を示す図面である。
【図6】防水・シーリング用吸入型コーキングガンと詰め替え用の容器との接続状態を示す図面である。
【図7】本発明の一実施例における、詰め替えの完了した容器を栓により密封する手順を示す図面である。
【図8】密封ノズル付き栓の斜視図である
【図9】硬化防止膜を備えた密封ノズル付き栓の側断面図である。
【図10】本発明の一実施例における、詰め替えの完了したカートリッジを栓により密封し、次いで栓を密封ノズル付き栓に取替える手順を示す図面である。
【図11】本発明の一実施例における、詰め替えたカートリッジを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
【図12】本発明の一実施例における、詰め替えたラミネートフィルムパックを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
【図13】本発明の一実施例のシーリング方法における目地への充填状況を示す図面である。
【符号の説明】
【0051】
1 缶体
2 一液型硬化性組成物
3 排出口
4 排出口を備えた容器
4′ 排出口を備えたラミネートフィルムパック
5 吸入型コーキングガン
6 吸入型コーキングガンのフロントキャップ
7 吸入型コーキングガンの吐出口
8 吸入型コーキングガンのシリンダー
9 吸入型コーキングガンのピストンロッド
10 吸入型コーキングガンのレバー
11 (詰め替え用の)容器の栓
12 密封ノズル付き栓
13 密封ノズル
14 ノズルの吐出口
15 防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガン
16 本体ホルダー
17 H型プランジャー
18 H型ツールキャップ
19 密封ノズルの切り欠き部
20 硬化防止膜
50 管
51 外壁
52 バックアップ材
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封使用後に残存している一液型硬化性組成物を再利用できるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物をシーリング工事などに使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の外壁目地や土木構造物の目地などには、防水、意匠等の目的で多くのシーリング材が使用されている。これらのシーリング材は、モルタル板、コンクリート板、ALC板、金属材等の外壁などを構成する部材間の接合部から構造体内部への雨水の侵入を防ぎ、また地震、日射による温度差、風圧などによって生じる外壁材の歪を緩和して外壁材の破壊を防ぎ、更には外壁の美観を損ねないことなどが求められている。またさらには外壁部材間の接合部だけではなく、たとえば戸建住宅ではベランダ部や屋根、玄関部などに形成される部材間の取り合い目地に、また排気口などの外壁を貫通して取り付ける器具の外壁材とのシール材などに、また防水が重要な目的ではない所謂ダメ工事などに使用されている。
【0003】
これらのシーリング材には、シリコーン系、ポリウレタン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系など多数の種類があり、また一液湿気硬化型、一液酸素硬化型、二液混合型などがあり、紙管製、プラスチック製、金属製、プラスチックフィルムなどのカートリッジタイプやペール缶タイプなどの形で供給されている。これらのカートリッジタイプやペール缶タイプなどの形で供給されるシーリング材は、実際に使用される施工現場すなわち戸建住宅から大きなビル建築物などにおいては、使用量の少ないところは数本から多いところは数十本、または数缶から数十缶にものぼる。さらにシーリング工事の施工期間も短くは数日から延べ日数が数十日にわたる場合がある。そのような場合には、シーリング材の残量も多くなっている。二液混合型のシーリング材の場合には、二液混合直後から硬化反応が開始するため、たとえ使用残があっても翌日には粘度が上昇したり硬化したりして使用ができない。これに対し、一液型のシーリング材は水分や酸素を遮断すれば硬化反応を停止しておくことができ、翌日以降に残存シーリング材を再度使用することが可能である。特にカートリッジ容器の場合は、使い残りがあっても、ノズルを硬く締め且つ透水、透湿性のない又は酸素透過性のないアルミ箔等でノズルを覆うようにシールし止めておけば、翌日以降数日間の使用に耐える。実際に一液型のカートリッジタイプのシーリング材ではこのようにして使用されることがみられる。
【0004】
しかし、シーリング材の使用量の多い大きな建築構造物や土木構造物では、価格のメリットがある点でカートリッジタイプよりペール缶タイプを使用することが多く、その使用残の取り扱いが問題となることが多い(特許文献1、2及び3参照)。
特にペール缶タイプの場合、開封時に内蓋としてシーリング材表面に密着していたアルミ箔等を残存シーリング材上に再度密着させて、水分や酸素から遮断すれば硬化反応を停止しておくことができるが、カートリッジタイプと比べると水分や酸素からの遮断が不十分となり、残存シーリング材表面がゴム化していたり、増粘していたりして翌日以降の再使用が困難となって廃棄処分されることが多い。これは材料の無駄であり、資源を有効に利用するためにも、ペール缶に残存しているシーリング材の有効利用が求められている。
【特許文献1】特開2003−335381号公報
【特許文献2】特開2003−160182号公報
【特許文献3】特開平10−314656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一度開封し使用して缶体内に残存している一液型硬化性組成物を簡単な操作及び器具の利用で大気中の水分や酸素から遮断して再度使用することができるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物を使用(有効利用)するシーリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、使用後残存している一液型硬化性組成物を品質がほぼ維持でき且つシーリング工事などに容易に再使用できるような排出口を備えた別の容器に移し替えることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、次の(1)〜(12)である。
【0007】
(1) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封し、一定期間維持すること、を特徴とする使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法。
【0008】
(2) 前記栓が、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、前記(1)の保存方法。
【0009】
(3) 前記栓が、前記容器の排出口からの外気を遮断する着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、前記(1)の保存方法。
【0010】
(4) 前記排出口が、吸入型コーキングガンの吐出口に接続可能な排出口である、前記(1)〜(3)のいずれかの保存方法。
【0011】
(5) 前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填した、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のカートリッジである、前記(1)〜(4)のいずれかの保存方法。
【0012】
(6) 前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のラミネートフィルムパックである、前記(1)〜(4)のいずれかの保存方法。
【0013】
(7) 前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のチューブ状容器である、前記(1)〜(4)のいずれかの保存方法。
【0014】
(8) 前記一液型硬化性組成物が、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材である、前記(1)〜(7)のいずれかの保存方法。
【0015】
(9) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を有するノズル付き栓に取替えて、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【0016】
(10) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓に取替え、更に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【0017】
(11) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【0018】
(12) 缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、前記容器の排出口から外気を遮断するように着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、先端に吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズル付き栓から該硬化防止膜を取り除くと共に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によりはじめて、一度開封し使用して缶体内に残存している一液型硬化性組成物を簡単な操作及び器具の利用で大気中の水分や酸素から遮断して再度使用することができるように保存する方法、及び保存した一液型硬化性組成物を使用(有効利用)するシーリング方法を提供することが可能となった。更には、(詰め替え用の)容器に移し替えておけば、吸入型コーキングガンの洗浄回数を減らすことができ省力化が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例における、缶体内に残存している一液型硬化性組成物を防水・シーリング用吸入型コーキングガンにより吸い込む手順を示す図面である。図2は、詰め替え用の容器の一例であるカートリッジの平面図である。図3は、詰め替え用の容器の一例であるラミネートフィルムパックの平面図である。図4は、詰め替え用の容器の一例であるチューブ状容器の平面図である。
図5は、本発明の一実施例における、防水・シーリング用吸入型コーキングガンの吐出口と詰め替え用の容器の排出口との接続の手順を示す図面である。図6は、防水・シーリング用吸入型コーキングガンと詰め替え用の容器との接続状態を示す図面である。
【0021】
本発明において、缶体1内に使用後残存している一液型硬化性組成物2は、まず、実質的に外気にさらされることがないようにして、排出口3を備えた(詰め替え用の)容器4に移し替える。このようにすることによって、缶体1内に残存している一液型硬化性組成物2を容易に且つ有効に保存しておくことができ、廃棄しなくてもよくなる。
【0022】
本発明における一液型硬化性組成物2は、缶体1に詰めて販売されたものがシーリング工事などのため一旦開封して使用された後に使用可能な状態で残存しているものである。この一液型硬化性組成物2としては、一液型硬化性組成物であればどのようなものでもよいが、一液型湿気硬化性ポリウレタン系組成物又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系組成物が好ましく、特に一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材が好ましい。
【0023】
缶体1としては、例えば、4L、6L、12Lの塗装鋼板やステンレスなどの金属製丸缶等の所謂ペール缶や18Lの石油缶等の角缶、更には金属製以外のポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製の前記ペール缶や角缶が挙げられる。
【0024】
すなわち、本発明における移し替えは、具体的には例えば、まず、ペール缶を使ったシーリング工事で用いられている市販の防水・シーリング用吸入型コーキングガン5の先端のフロントキャップ6を取り外して、缶体1内に残存している一液型硬化性組成物2中に空気を巻き込まないように吸い込み口を差し込む。
次に、吸い込み口が一液型硬化性組成物2から出ないように(空気を吸い込まないように)して、吸入型コーキングガン5のピストンロッド9を引いて、シリンダー8内に一液型硬化性組成物2を吸い込む。
【0025】
次に、吸入型コーキングガン5を残存一液型硬化性組成物2から抜き取り、吸い込み口周囲に付着している一液型硬化性組成物2を清掃し、取り外しておいた吸入型コーキングガン5のフロントキャップ6を直ちに取り付け、さらに排出口3を備えた(詰め替え用の)容器4の排出口3に吸入型コーキングガン5の吐出口7を接続する。接続は、吸入型コーキングガン5の吐出口7内側のネジ溝(雌ネジ)に、排出口3を備えた容器4の排出口3外側のネジ溝(雄ネジ)を噛み合わせるようにして、吸入型コーキングガン5又は容器4を回転させて取り付ける(図5及び6参照)。径が合わないため吸入型コーキングガン5の吐出口7と排出口3を備えた容器4が接続できないときは、吸入型コーキングガン5の付属品である連結器具を使用する。吸入型コーキングガン5と容器4を接続後、吸入型コーキングガン5のレバー10を引き、吸入型コーキングガン5のシリンダー8内の一液型硬化性組成物2を排出口3から容器4内へ、容器4に空間が残らないように注入する。このようにすることによって、吸入型コーキングガン5に吸入した残存一液型硬化性組成物2を、実質的に外気にさらすことなく容器4へと移し替えることができる。
排出口3を備えた容器4としては、例えば、カートリッジ、ラミネートフィルム、チューブ状容器を好適に挙げることができる(図2〜4参照)。具体的には、カートリッジは、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性の材質からなり、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填したものが好ましい。更には実質的に大気中の水分に対して非透過性の材質からなり、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填したものが好ましい。ラミネートフィルムパックやチューブ状容器も、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性の材質からなり、排出口を備えたものが好ましい。更には実質的に大気中の水分に対して非透過性の材質からなり、排出口を備えたものが好ましい。
【0026】
図7は、本発明の一実施例における、詰め替えの完了した容器を栓により密封する手順を示す図面である。図8は、密封ノズル付き栓の斜視図である。図9は、硬化防止膜を備えた密封ノズル付き栓の側断面図である。
【0027】
本発明においては、次いで、注入終了後、吸入型コーキングガン5と容器4との接続を解除し、残存一液型硬化性組成物2が注入された容器4の排出口3に、大気中の水分や酸素から遮断するため栓11を取り付け(図7参照)、シーリング工事に使用するまで好適には直射日光があたらない冷暗所に維持(保管)する。
【0028】
或いは、移し替えられた容器4の排出口3に、栓11の代わりに、密封ノズル13付き栓12を設置して密封し、一定期間内容物である残存一液型硬化性組成物2を維持(保管)する。この密封ノズル13付き栓12は、密封ノズル13を適当な部位(任意の切り欠き部19の部位)で切り取ることにより、先端に一液型硬化性組成物2の吐出口14を形成できるものである。
密封ノズル13は通常わずかに水分や酸素などを透過するため、容器4の排出口3から密封ノズル13を透過してくる外気を遮断して一液型硬化性組成物2の硬化を完全に防止するには、硬化防止膜20を備えた密封ノズル13付き栓12を使用するのが特に好ましい。硬化防止膜20は大気中の水分及び/又は酸素に対して非透過性であればどのようなものでもよいが、プラスチックフィルムとアルミ箔を積層したラミネート製や合成樹脂製などが好適に使用可能である。硬化防止膜20は、密封ノズル13付き栓12の内部に着脱自在に配置されていてもよいし、熱融着や超音波融着等または接着剤などで固定されていてもよい。
【0029】
図10は、本発明の一実施例における、詰め替えの完了したカートリッジを栓により密封し、次いで栓を密封ノズル付き栓に取替える手順を示す図面である。
図11は、本発明の一実施例における、詰め替えたカートリッジを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
図12は、本発明の一実施例における、詰め替えたラミネートフィルムパックを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
【0030】
次に、本発明のシーリング方法における目地への充填の手順について説明する。
栓11で密封した一液型硬化性組成物2を保管した(詰め替え用の)容器4を使用する場合には、まず、詰め替えて保管してある容器4の栓11を取り外して、密封ノズル13付き栓12を取り付ける。吐出量を調整するため、目地幅にあわせて、取り付けた密封ノズル13付き栓12の切り欠き部19をカッターナイフ等で切り取って吐出口14を形成する。
なお、吐出口14の形成は、密封ノズル13付き栓12を(詰め替え用の)容器4に取り付ける前であってもよい。
【0031】
密封ノズル13付き栓12で密封した一液型硬化性組成物2を保管した(詰め替え用の)容器4を使用する場合には、前記と同様に、吐出量を調整するため目地幅にあわせて、取り付けた密封ノズル13付き栓12の密封ノズル13の切り欠き部19を切り取って吐出口14を形成する。
密封ノズル13付き栓12が内部に硬化防止膜20を内側に備えている場合には、密封ノズル13から硬化防止膜20を取り除くと共に、前記と同様にして密封ノズル13の切り欠き部19を切り取って吐出口14を形成する。
【0032】
保管しておいた容器4がカートリッジのときは、密封ノズル13付き栓12をしたカートリッジを市販の防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガン15にセットし、密封ノズル13付き栓12の切り欠き部19を切り取って吐出口14を形成したのち、ガン15のレバーを引くことで一液型硬化性組成物2を吐出させて目地に充填する(図11参照)。なお、吐出口14の形成は、密封ノズル13付き栓12をカートリッジに取り付ける前であってもよい。
保管しておいた容器4がラミネートフィルムパック又はチューブ状容器のときは、手で握って押し出すか又は排出口3の反対側末端から巻くようにして、一液型硬化性組成物2を吐出させて目地に充填する。
防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガン15を使用して(詰め替え用の)容器4としてラミネートフィルムパック4′を目地に充填する場合には、まずラミネートフィルムパック4′を筒状の本体ホルダー16内へ挿入し、ラミネートフィルムパック4′の底部側本体ホルダー16にH型プランジャー17(極東ケミックス(株))を装填し、続いて排出口3側本体ホルダー16内にツールキャップ18(極東ケミックス(株))を装填して押さえとし、ラミネートフィルムパック4′をカートリッジ型コーキングガン15に装填して目地への充填に使用する(図12参照)。
(詰め替え用の)容器4内の残存一液型硬化性組成物2を注入する際に容器4がカートリッジである場合は、プランジャー17が容器4の筒状本体内先端部まで挿入して装填されているため容器4内に空隙ができることはないが、(詰め替え用の)容器4がラミネートフィルムパック4′又はチューブ状容器の場合は、容器内の空気を抜いて密閉されているものを使用する。容器内に空気があると、注入した一液型硬化性組成物が反応して硬化物を生成することがあるため好ましくない。
【0033】
図13は、本発明の一実施例のシーリング方法における目地への充填状況を示す図面である。
本発明のシーリング方法は、本発明の方法によって保存した残存一液型硬化性組成物を用いて、各種の土木、建築物などの目地に充填し、新品の一液型硬化性組成物を用いた場合とほとんど変わらないシーリング性能を発現するものである。
本発明のシーリング方法は、通常一般に行なわれている各種の土木、建築物などの目地に対するシーリング工事方法と全く同じであるが、使用するシーリング材が本発明の方法によって保存した残存一液型硬化性組成物である点だけが異なっている。
【0034】
図13は、排気口などの壁貫通孔に配管した後の、管50と外壁51間の目地をシーリングする工事方法を示す断面図である。排気口などの壁貫通孔などが発生するのは、外壁のシーリング工事が終了した後工程の設備工事であることが多く、このような工事には本発明のシーリング方法が特に有用である。
本発明のシーリング工事は、具体的には例えば次の手順で行なう。
1.貫通孔、管50に付着している塵、屑を取り除き清掃する。
2.管50と外壁51の間にバックアップ材52を装填する。
3.目地の両サイド(管50側および外壁51側)にマスキングテープを貼る(図示せず)。
4.目地の管50側および外壁51側にプライマーを塗布する(図示せず)。
5.(詰め替え用の)容器4に移し替えて保存しておいた残存一液型硬化性組成物(シーリング材)2を、目地に充填する。
6.ヘラ押さえする。
7.速やかにマスキングテープを除去する。
工事が完了すると、使用した残存一液型硬化性組成物(シーリング材)は比較的短時間で反応硬化し、通常の外壁の目地のシーリング工事と同様に管と外壁間の隙間がシールされる。
【0035】
本発明のシーリング方法は、目地部にシーリング材を施工する通常のシーリング工事のほか、僅かなシーリング材や上塗り塗料などの補修工事、防水性を主要な目的としない箇所のシーリング工事などのいわゆるダメ工事に適用することができる。ダメ工事は、工事の完成間際において、僅かな未完成部分の工事や不具合箇所や施主・建築士などからの指摘箇所の手直し工事を言うが、シーリング材を使用する箇所について言えば防水性を特に重要視しない二次防水箇所等の工事を含む。
【実施例】
【0036】
実施例1
排出口を備えた(詰め替え用の)紙管製(プラスチックフィルムと紙のラミネート製)カートリッジの内側には防湿膜が予め設けられているので、まずこれを破り、金属製プランジャーを紙管製カートリッジ内の先端部まで挿入装填し、排出口を備えた(詰め替え用)容器として準備した。
次に、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った6L金属製ペール缶を開封し、シーリング材表面に密着している内蓋のアルミ箔を取り除いた。防水・シーリング用吸入型コーキングガンのフロントキャップをはずしてシーリング材中に挿入し、ピストンロッドを引くことでシーリング材をコーキングガンのシリンダー内に吸入した。シリンダー内に充分吸入後、コーキングガンをシーリング材から抜き取り、コーキングガンのシリンダー先端部に付着したシーリング材を取り除き、取り外しておいたフロントキャップを装着し、直ちにコーキングガンの吐出口を前記用意の金属製プランジャー装填紙管製カートリッジの排出口に接続し、コーキングガンのレバーをひき、コーキングガンに吸入したシーリング材を紙管製カートリッジへ注入して詰め替えた。紙管製カートリッジの排出口に栓をした。
このポリウレタン系シーリング材が注入された紙管製カートリッジを使用して、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0037】
実施例2
実施例1において、排出口を備えた紙管製(プラスチックフィルムと紙のラミネート製)カートリッジの代わりにプランジャーがカートリッジ先端部まで既に挿入装填された防湿膜のない排出口を備えた高密度ポリエチレン(HDPE)製カートリッジを用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0038】
実施例3
実施例2において、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った6L金属製ペール缶の代わりに、一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材(SRシール、サンライズMSI(株)製)の入った6L金属製ペール缶を用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0039】
実施例4
実施例1において、紙管製カートリッジの代わりにラミネートフィルムを巻き、排出口を備えたプランジャーがカートリッジ先端部まで既に挿入装填された防湿膜のない高密度ポリエチレン(HDPE)製カートリッジを用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0040】
実施例5
実施例1において、排出口を備えた紙管製(プラスチックフィルムと紙のラミネート製)カートリッジの代わりに排出口を備えたラミネートフィルムパックを用いた以外は同様にして、後述の初期又は促進5日、10日後の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0041】
比較例1
実施例1の詰め替えに用いた6L金属製ペール缶中の残存一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材を使用して、残存シーリング材上に内蓋のアルミ箔を再度密着させて金属製のペール缶の蓋をした。次に、後述の初期又は促進5日、10日後のペール缶中の保存シーリング材の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0042】
比較例2
実施例3の詰め替えに用いた6L金属製ペール缶中の残存一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材を使用して、残存シーリング材上に内蓋のアルミ箔を再度密着させ金属製のペール缶の蓋をした。次に、後述の初期又は促進5日、10日後のペール缶中の保存シーリング材の外観及び針入度を測定し評価した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0043】
〔性能試験〕
ペール缶内に残存しているシーリング材を詰め替えた容器とシーリング材が残存しているペール缶を、50℃、80%相対湿度の恒温恒湿槽中で5日間又は10日間加熱処理し、外観と針入度を測定して、保存シーリング材の性能(保存安定性)を評価した。
(1)外観
目視観察して、ブツ、増粘、ゴム状硬化物が観られる場合を×、そうでない場合を○と評価した。
(2)針入度
JIS K2208−1980 石油アスファルト乳剤の針入度試験に準拠し、落下部の総重量12.5g(針2.5g、針保持具とおもりの合計10.0g)、測定時間1秒とした以外は同様にして、23℃、50%相対湿度で12時間以上静置したのち、同温湿度条件で針入度を測定して、180以上を○、180未満を×と評価した。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例6
実施例2において50℃、80%相対湿度の恒温恒湿槽中で10日間、高密度ポリエチレン(HDPE)製カートリッジ中に保存された一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)を、壁貫通孔に配管したあとの管と外壁(ALC)間の目地に充填し図13に示した試験体を作成し、23℃、50%相対湿度で28日間養生した。
なお、管と外壁(ALC)は清掃し、目地を構成する管側と外壁(ALC)側にマスキングテープを貼り、サイディングシーラント用プライマー(オート化学工業(株)製)を塗布した後、シーリングに供した。また、シーリング材を目地に充填したのち、ヘラ押さえして、マスキングテープを取り除いた。
【0046】
〔シーリング性能試験〕
(1)仕上り外観
養生後の目地の仕上外観を目視で判定し、ブツ、増粘、ゴム状硬化物が観られる場合を×、そうでない場合を○とした。
(2)接着性
目地の一部に、管とシーリング材の界面及び外壁とシーリング材の界面に切込みを入れ、切り込み部のシーリング材を手で摘み引っ張り、シーリング材が容易に剥離するか否かを調べた。容易に剥離する場合を×、そうでない場合を○とした。
これらの結果をまとめて表2に示す。
【0047】
比較例3
一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った新品の6L金属製ペール缶を開けて直ちに、実施例6と同様にして、管と外壁(ALC)間の目地に充填し、養生した。
また、実施例6と同様にしてシーリング性能試験を実施した。
これらの結果をまとめて表2に示す。
【0048】
比較例4
一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材(オートンサイディングシーラント、オート化学工業(株)製)の入った新品の6L金属製ペール缶を開封し、内容物の約2/3を取り除き、次にシーリング材表面に密着してあったアルミ箔を再度密着させてさらに金属製の蓋をし、50℃、80%相対湿度の恒温恒湿槽中で10日間熱処理した。加熱処理後、実施例6と同様にしてシーリング材を管と外壁間の目地に充填し養生した。
また実施例6と同様にしてシーリング性能試験を実施した。
これらの結果をまとめて表2に示す。
【0049】
【表2】
表2から、実施例6と比較例3にはシーリング性能に差異がなく、本発明によって、一度開封、使用した残存シーリング材を用いて新品のものと同様に有用なシーリング工事を行えることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例における、缶体内に残存している一液型硬化性組成物を防水・シーリング用吸入型コーキングガンにより吸い込む手順を示す図面である。
【図2】詰め替え用の容器の一例であるカートリッジの平面図である。
【図3】詰め替え用の容器の一例であるラミネートフィルムパックの平面図である。
【図4】詰め替え用の容器の一例であるチューブ状容器の平面図である。
【図5】本発明の一実施例における、防水・シーリング用吸入型コーキングガンの吐出口と詰め替え用の容器の排出口との接続の手順を示す図面である。
【図6】防水・シーリング用吸入型コーキングガンと詰め替え用の容器との接続状態を示す図面である。
【図7】本発明の一実施例における、詰め替えの完了した容器を栓により密封する手順を示す図面である。
【図8】密封ノズル付き栓の斜視図である
【図9】硬化防止膜を備えた密封ノズル付き栓の側断面図である。
【図10】本発明の一実施例における、詰め替えの完了したカートリッジを栓により密封し、次いで栓を密封ノズル付き栓に取替える手順を示す図面である。
【図11】本発明の一実施例における、詰め替えたカートリッジを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
【図12】本発明の一実施例における、詰め替えたラミネートフィルムパックを防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガンに装着する手順を示す図面である。
【図13】本発明の一実施例のシーリング方法における目地への充填状況を示す図面である。
【符号の説明】
【0051】
1 缶体
2 一液型硬化性組成物
3 排出口
4 排出口を備えた容器
4′ 排出口を備えたラミネートフィルムパック
5 吸入型コーキングガン
6 吸入型コーキングガンのフロントキャップ
7 吸入型コーキングガンの吐出口
8 吸入型コーキングガンのシリンダー
9 吸入型コーキングガンのピストンロッド
10 吸入型コーキングガンのレバー
11 (詰め替え用の)容器の栓
12 密封ノズル付き栓
13 密封ノズル
14 ノズルの吐出口
15 防水・シーリング用カートリッジ型コーキングガン
16 本体ホルダー
17 H型プランジャー
18 H型ツールキャップ
19 密封ノズルの切り欠き部
20 硬化防止膜
50 管
51 外壁
52 バックアップ材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封し、一定期間維持すること、を特徴とする使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法。
【請求項2】
前記栓が、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、請求項1に記載の保存方法。
【請求項3】
前記栓が、前記容器の排出口からの外気を遮断する着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、請求項1に記載の保存方法。
【請求項4】
前記排出口が、吸入型コーキングガンの吐出口に接続可能な排出口である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項5】
前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填した、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のカートリッジである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項6】
前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のラミネートフィルムパックである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項7】
前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のチューブ状容器である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項8】
前記一液型硬化性組成物が、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項9】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を有するノズル付き栓に取替えて、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項10】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓に取替え、更に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項11】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項12】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、前記容器の排出口から外気を遮断するように着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、先端に吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズル付き栓から該硬化防止膜を取り除くと共に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項1】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封し、一定期間維持すること、を特徴とする使用後残存一液型硬化性組成物の保存方法。
【請求項2】
前記栓が、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、請求項1に記載の保存方法。
【請求項3】
前記栓が、前記容器の排出口からの外気を遮断する着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓である、請求項1に記載の保存方法。
【請求項4】
前記排出口が、吸入型コーキングガンの吐出口に接続可能な排出口である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項5】
前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つプランジャーを内部に装填した、実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のカートリッジである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項6】
前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のラミネートフィルムパックである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項7】
前記の排出口を備えた容器が、排出口を備え且つ実質的に大気中の水分及び/又は酸素に対し非透過性のチューブ状容器である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項8】
前記一液型硬化性組成物が、一液型湿気硬化性ポリウレタン系シーリング材又は一液型湿気硬化性変成シリコーン系シーリング材である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の保存方法。
【請求項9】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を有するノズル付き栓に取替えて、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項10】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に栓を設置して密封保存し、次いで該栓を吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓に取替え、更に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項11】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【請求項12】
缶体内に使用後残存している一液型硬化性組成物を、実質的に外気にさらすことなく、排出口を備えた容器に移し替えたのち、該排出口に、前記容器の排出口から外気を遮断するように着脱自在の一液型硬化性組成物の硬化防止膜を内側に備え、且つ、先端に吐出口を形成可能な密封ノズル付き栓を設置して密封保存し、次いで該密封ノズル付き栓から該硬化防止膜を取り除くと共に該密封ノズルに吐出口を形成して、該吐出口から保存一液型硬化性組成物を目地に充填する工程を少なくとも含むこと、を特徴とするシーリング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−225511(P2006−225511A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40884(P2005−40884)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】
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