説明

使用時洗浄溶液

洗浄溶液キットが、第1の区画(12)内に配置された液体(13)を含み、該液体は、開放可能な第1の仕切によって第2の区画(14)内に配置された洗浄固体(15)から隔離されている。開放可能な第1の仕切(16)が開かれると、液体と洗浄固体とは互いに露出し洗浄溶液が作られる。洗浄キットは、洗浄溶液キットの第1と第2の区画と、雑巾(34)とを含む。雑巾は第3の区画(32)内に配置され、開放可能な第2の仕切および第1の仕切によって、洗浄固体および液体から隔離されている。ある領域を清掃するために雑巾が必要となったとき、開放可能な第1の仕切(16)を開いて洗浄溶液を作った後に、第2の仕切(36)を開いて、洗浄溶液で雑巾(34)をぬらす。こうして、雑巾は、前記領域の表面を清掃する準備が整う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄溶液を準備するための装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、例えば実験室の清掃のような特定用途に対する政府の基準に準拠のような所定の基準を満たす十分な強さの或いは有効性を有した洗浄溶液を準備することに関する。
【背景技術】
【0002】
ある領域を清掃するために有効な方法を提供する多くの試みがなされてきた。清浄な領域を得る最も簡単で一般的に行われている方法の1つは、領域の表面を洗浄溶液および雑巾で拭くことである。洗浄剤は、消毒薬、殺菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、防かび剤などを含むことを意図し、かつ、活性成分を包含し、そして洗浄剤、界面活性剤、分解防止剤のような添加剤を包含しないことを意図している。
【0003】
1つの方法は、ある領域を清掃するために、調製された液体漂白剤および/または他の調製された洗浄溶液を用いることである。液体漂白剤その他の洗浄溶液を表面に塗って該表面を雑巾で擦り、或いは、液体漂白剤または洗浄溶液を雑巾につけて、該雑巾で表面を擦る。
【0004】
特定の準備領域または準備室の清浄度は、製薬業者や医療機器製造業者、患者のケア施設、動物研究施設のような様々な組織で一層大きな問題となっている。製薬試験研究所では、清掃は特に重要な問題である。特に、動物施設に居住、従事する動物、研究者および動物介護の専門家の健康および安寧にとって、清浄な動物施設は決定的に重要な意味をもつ。清浄な施設は、また、汚染の可能性を避けることによって、研究の正確さを確保するのに役立つ。
【0005】
種々の産業におけるクリーンルームは重要であるので、政府その他の組織は、洗浄溶液で用いる洗浄剤の濃度のガイドラインを作っている。例えば、漂白剤を使用する場合、一般目的の消毒用のために1000ppmの有効塩素漂を含んでいなければならず、そしてそれが漂白剤処方中の洗浄剤である。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,062,381号明細書
【特許文献2】米国特許第6,001,187号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液体洗浄溶液は、然しながら、多くの問題を抱えている。殆どの液体洗浄溶液、特に液体漂白剤は、洗浄剤が水分子、金属、熱および環境条件と反応するので、長い時間が経過すると洗浄能力が低下する。例えば、液体漂白剤中の塩素の30〜50%は、加水分解その他の反応によって、長い時間が経過すると劣化してしまう。その結果、清掃作業中に液体漂白剤を使用する場合、活性塩素が消毒に必要な最低値よりも低くなる可能性がある。
【0008】
更に、液体洗浄溶液を使用する際、使用する溶液が少なすぎて、殺菌されていない環境が生じ、そして、他の場合には、使用する溶液が多すぎて、溶液の無駄を生じることがしばしばある。また、液体洗浄溶液がこぼれて危険な状況となることがある。
【0009】
これらの問題を低減するために、雑巾を予め適切な量の洗浄溶液で濡らして使うことが行われてきた。然しながら、この雑巾の問題は、時間が経つと洗浄溶液の強度または有効性が失われることに加えて、溶液が雑巾用に一般的に使用される布帛と反応する点である。この反応によって、短時間の内に、雑巾材料が劣化したり、洗浄剤が劣化する。
【0010】
米国特許第6,062,381号および同第6,001,187号にあるように、パーレイ等(Paley and others)は、雑巾劣化の問題を解決した。これらの特許には、適量の洗浄溶液を格納した小型容器が開示されている。小型容器は、雑巾を包囲する、より大きな容器内に配置されている。清掃目的で雑巾が必要になると、小型容器が壊され、液体が雑巾の上に解放される。洗浄溶液と雑巾とは隔離されているので、雑巾の劣化が、仮にあっても、低減される。然しながら、時間が経過すれば、洗浄溶液は、その有効性が失われる。
【0011】
その結果、洗浄溶液を使用するとき、すなわち使用時に、領域を十分に清掃可能な有効性を有した洗浄溶液を提供するための装置および方法が必要とされている。
【0012】
本発明は、領域を十分に清掃可能な所定の基準にしたがった有効性を使用時において有した洗浄溶液を提供する装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
洗浄溶液キットからなる本発明の第1の形態では、洗浄固体が第2の区画に配置され、かつ、開放可能な第1の仕切によって、第1の区画に配置された液体から隔離される。第1と第2の区画は直線的に配置されている。
【0014】
開放可能な第1の仕切は接合部であって、該接合部が開かれると、液体と洗浄固体とが混合可能となり洗浄溶液が作られる。好ましくは、開放可能な第1の仕切は、概ね、ある領域を清掃するために洗浄溶液を使用するときに開かれる。洗浄溶液は、活性洗浄剤を含み、また、洗浄溶液は作られた後に短時間のうちに使用されるので、加水分解その他の反応で洗浄剤が劣化する問題が低減される。
【0015】
洗浄キットからなる本発明の第2の形態では、第1の洗浄溶液キットの形態と関連させて、内部に雑巾を配置した第3の区画が用いられる。特に、雑巾は、開放可能な第2と第1の仕切によって、洗浄固体および液体から隔離される。開放可能な第1の仕切が開かれ洗浄溶液が作られた後に、開放可能な第2の仕切が開かれ、この新たに作られた洗浄溶液によって雑巾がぬらされる。こうして、雑巾が、ある領域を清掃するために使用されよう。
【0016】
洗浄溶液キットからなる本発明の第3の形態では、第2の区画は第1の形態内に配置され、第2の区画はチューブを具備し、開放可能な第1の仕切は、チューブ内に配置された壊すことのできるバイアルと、チューブの端部に配置された液体を通さないプラグを具備する。洗浄固体は、バイアル内に配置されている。
【0017】
チューブが圧縮されるとバイアルが壊れ、チューブ内の圧力増加によって、プラグがチューブの端部から脱離する。或いは、バイアルを多孔性のスリーブ内に配置して、ガラス破片を包囲することができる。次いで、液体がチューブおよびバイアル内に流入し、洗浄固体と混合して洗浄溶液が作られる。
【0018】
洗浄キットからなる本発明の第4の形態は、内部に雑巾が配置された第3の区画であって、第3の形態である洗浄溶液キットと共に使用される第3の区画を含んでいる。特に、第3の区画内の雑巾は、開放可能な第2と第1の仕切によって、洗浄固体および液体から隔離され、第2の仕切は接合部とすることができる。プラスチックチューブを押圧して、洗浄溶液が作られた後に、開放可能な第2の仕切の接合部が開かれ、この新たに作られた洗浄溶液によって雑巾がぬらされる。こうして、雑巾が、ある領域を清掃するために使用されよう。
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、特許請求の範囲と関連して、以下に記載する詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は種々の形態で実施することが可能であるが、以下、添付図面を参照して現時点で好ましい実施形態を説明する。この開示は、本発明の一例であって、本発明を図示する特定の実施形態に限定する趣旨ではない。
【0021】
更に、本明細書のこのセクションの項目名、つまり「発明の詳細な説明」は、米国特許庁の要求であって、ここに開示する主題を限定することを意味または包含しない。
【0022】
本発明の洗浄溶液キットの実施形態は、例えば、政府機関や工業規格設定機関によって規定された所定の洗浄剤ガイドラインまたは基準に合致する十分な強さや有効性を洗浄溶液に与えるための方法および装置に関連する。1つの実施形態では、液体が第1の区画に配置され、第2の区画に配置されている洗浄固体から隔離される。洗浄固体と液体は、開放可能な仕切によって隔てられ、そして該仕切は、洗浄溶液が必要となったとき、すなわち使用時に開かれる。必要となったときに、仕切が開かれ、液体と洗浄固体とが互いに露出し洗浄溶液が作られる。
【0023】
新たに作られた洗浄溶液は洗浄剤を含み、使用時に洗浄溶液が作られるので、公知の液体洗浄溶液の有効性を損なう加水分解および/またはその他の反応によって、洗浄剤が水に溶解する前に実質的に劣化することがない。その結果、洗浄溶液キットは、長期間に亘って貯蔵することができ、かつ、政府のガイドラインに準拠した十分な強さまたは有効性を備えた洗浄溶液を提供可能である。十分な強度または有効性は、調合物に十分に高い濃度の「洗浄剤」が存在し、溶液が政府またはの基準またはガイドライン若しくは工業規格またはガイドラインに準拠していることを意味することは理解されよう。
【0024】
本発明の洗浄キットは、また、第3の区画内に配置された雑巾を含んでいる。第3の区画は、開放可能な第1と第2の仕切によって、洗浄固体および液体から隔離されている。ある領域を清掃するために雑巾が必要な場合、第1の仕切を開いて洗浄溶液を作った後に、第2の仕切を開いて、雑巾を洗浄液で濡らす。こうして、雑巾は、前記領域の表面を清掃する準備が整う。
【0025】
図1、1Aに示す洗浄溶液キット10の第1の実施形態は、開放可能な第1の仕切16によって区分された第1と第2の区画12、14を含んでいる。第1の区画12に液体13が配置され、洗浄固体15から隔離されている。洗浄固体は、第2の区画14内に配置されている。1つの実施形態では、区画12、14は、ボトムパネル18とトップパネル20とから形成され、該ボトムパネルおよびトップパネルは、プラスチック製の内層22および外層24から成る。ボトムパネル18およびトップパネル20の内層22が、周縁部25および第1の仕切16において、互いに接合され、第1と第2の区画12、14が形成される。
【0026】
開放可能な第1の仕切16の接合部26の強度を管理して、該接合部を開くために必要な圧力をどの程度にするかを管理することは重要である。こうして、内層22は、好ましくは、開放可能な第1の仕切16の強度の調節性を高める、つまり、該第1の仕切を開くために必要な圧力の調節性を高める材料から成る。1つの特定の実施形態では、内層22は、接合部26の強度の十分な調節性を与える2ミル(2/1000inch)の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0027】
典型的に、接合強度を調節できる材料は、空気および液体に関して透過性を有している。内層22を透過する空気および液体によって生じる望ましくない反応を防止するために、第1の実施形態による洗浄溶液キット10では不透過性の外層24が使用されている。外層24は、好ましくは、区画12、14の望ましくない引裂きを防止可能な強度を有し、かつ、周囲から区画内への意図しない或いは望ましくない空気および液体の透過を防止する。内層22および外層24は、例えば、共有押出によって互いに接合され、そして、内層および外層の間の空気、液体その他の汚染物質を最小限とする、或いは、好ましくは排除するようにする。
【0028】
第1の区画12内に配置された液体13を第2の区画14内に配置された洗浄固体15から分離する開放可能な第1の仕切16は、意図せずに開いてしまわないように十分に強く、かつ、洗浄溶液が必要となったときには、様々な強さの個人によって開放可能な仕切16が開かれるように、容易に開放可能となっているべきである。
【0029】
第1の実施形態では、以下に詳細に説明するように、開放可能な第1の仕切16の接合部26は、第1の仕切の所望位置および形状で熱を与えることによって形成される。特にトップパネル20およびボトムパネル18は、該トップパネル20およびボトムパネル18の内層22が互いに接合されるように、パネルに熱を与えて互いに接合される。第1の実施形態では、第1の仕切16は直線状になっているが、第1の仕切の接合強度は、圧力、温度、接合幅、および、トップパネル20およびボトムパネル18へ熱を与える時間によって調節することができよう。
【0030】
第1の仕切16を形成するため、および、周縁部を接合するために、接着剤その他の材料および方法を用いることができよう。然しながら、仕切を形成し周縁部を接合するために接着剤を使用すると、接着剤は、第1と第2の区画12、14内の前記液体および/または洗浄固体内に浸潤し、これを汚染する。その結果、熱接合が好ましい。当業者は、然しながら、第1の仕切を形成するために図示または説明されていない他のタイプの接合を思いつくであろう。
【0031】
第1の実施形態では、第1と第2の区画12、14は、図1、1A、2、2Aに示すように、直線的に配置されている。第1と第2の区画12、14は、直線的に配置されているので、第1の区画12を矢印28の方向へ第2の区画14へ向けて巻くことができ、このように巻くことによって、第1の仕切16を開くために十分な圧力が発生する。
【0032】
第1の実施形態は、また、第1の区画が第2の区画の上側(または下側)に配置された鉛直形態のような、不図示の他の形態を含むことができよう。鉛直形態では、開放可能な仕切は、第1と第2の区画の間とすることができる。例えば、第1の区画が第2の区画の上側に配置されている場合には、仕切は第1の区画の下側に配置されよう。開放可能な仕切のタイプ、配置、強度は、区画の形状や、第1の仕切を開く個人に基づいて用いられる最大接合強度のような種々の要因に基づいて調節されよう。
【0033】
本発明の第2の実施形態は、図3に示す洗浄キット30を具備している。第2の実施形態の洗浄キット30は、第1の洗浄溶液キット10と同様の2つの区画12、14と、更なる第3の区画32を含んでいる。第3の区画32は、第1と第2の区画12、14を形成するのと同じトップパネル20とボトムパネル18とから成る。更に、第3の区画32は、開放可能な第2の仕切36および開放可能な第1の仕切16によって、第1と第2の区画12、14の洗浄固体15および液体13から隔離された雑巾34を含んでいる。
【0034】
開放可能な第2の仕切36は、好ましくは、第1の仕切16が開かれ洗浄固体15と液体13が混合して洗浄溶液が作られる所定時間が経過した後に開かれる。洗浄溶液が作られると、第2の仕切36が開かれ、洗浄溶液が第3の区画32内に流入し、雑巾34をぬらす。
【0035】
図3、4に示すように、第1と第2と第3の区画12、14、32は、互いに直線的に配置されている。第2の実施形態では、第1と第2の区画12、14は、その中に新たに作られた洗浄溶液を含み、かつ、図4において矢印41で示すように、第3の区画32へ向けて巻くことによって、第2の仕切36の接合部42が開く。
【0036】
図5A〜図5Cには、第2の実施形態の洗浄キット30を形成するための1つの実施形態が示されている。トップパネル20およびボトムパネル18の周縁部38(図3、4)が、第1の区画12の第1の端部40を除いて熱接合される。第2の実施形態を用いる場合、周縁部38での接合部を第1と第2の仕切16、36の接合部26、42よりも弱く或いは強くすることができる。新たに作られた洗浄溶液で雑巾34をぬらした後に、接合された周縁部38を開いて該雑巾が取出されよう。
【0037】
図4、5Aに示すように、雑巾34はボトムパネル18とトップパネル20との間に配置される。次いで、熱接合によって開放可能な第2の仕切36が形成され、接合されている周縁部38の一部と共に第3の区画32が画成され、その中に雑巾が図5Bに示すように収納される。
【0038】
好ましい実施形態では、開放可能な第2の仕切36の接合部42は、第1の仕切16の接合部26よりも強くなっており、第1の仕切を開くために、第1の区画12を第2の区画14へ向けて巻いたときに、第2の仕切が意図せず開いてしまわないようになっている。上述したように、仕切16、32の強度は、例えば、(熱接合式の仕切を用いる場合には)圧力、温度および熱を付与する時間を調節するなどの種々の方法で調節されよう。
【0039】
図4、5Bに示すように、洗浄固体15は、第2の仕切36に隣接している。好ましくは、第2の実施形態では、洗浄固体15はタブレット形態となっている。他の実施形態では、洗浄固体15は粉体であってもよいが、第2の実施形態では、洗浄固体はタブレット形態として、望ましくない予混合を防止する。特に、区画を形成する際、粉体を用いていると、粉体は第1の区画12または第1の仕切16として指定された領域内に移動して、使用前に洗浄固体が液体13と混合し、或いは、第1の仕切内に閉じこめられた場合には、洗浄固体が損耗してしまうこととなる。
【0040】
図4、5Cに示すように開放可能な第1の仕切16は熱接合によって形成され、そして、上述したように、好ましい実施形態では。開放可能な第2の仕切36の熱接合部42よりも脆弱な接合部26を含んでいる。第2の区画14は、接合された周縁部38の一部の中で第1と第2の仕切16、36の間に形成される。
【0041】
図3、4に示すように、接合された周縁部38の一部と、開放可能な第1の仕切16とによって画成された領域に液体13が導入される。次いで、接合された周縁部38の一部と第1の仕切とによって第1の区画12が形成され、該第1の区画内に液体13が配置されるように、第1の区画12の第1の端部40が熱接合される。上述したように、第1の端部40の接合強度は、接合された周縁部38或いは第1と第2の仕切16、36の接合強度よりも弱く或いは強くすることができる。こうして洗浄キット30が完成し、十分な有効性を有した洗浄溶液によって雑巾34を濡らすことが望ましいときに、第1と第2の仕切16、36が開かれよう。
【0042】
第1の実施形態の洗浄溶液キット10は、該洗浄溶液キットが第3の区画を含んでいない、従って、第1の実施形態の洗浄溶液キットを製造する場合には、続けて第3の区画を製造するために必要な工程を含んでいない点を除いて、同様の方法で製造することができる点に注意されたい。
【0043】
当業者には、図3〜図5に示した3つの区画を直線的に配置した形態に加えて、本発明の他の形態も可能であることは理解されよう。こうした形態は、例えば、区画を鉛直方向に並べた構成や、区画の1つを他の区画内に配置し或いは全ての区画を一層大きな区画内に配置した形態を含んでいる。成分が接合部内に捕捉されることを防止するために、まず、3つの側縁部を強力に接合し、そして区画を脆弱に接合することによって、区画を交互に形成することができる。次いで、区画に適当な物品を充填し、開いている4番目の縁部を強力に接合する。更に、当業者には、上述した強力な接合方法に加えて、接合された周縁部、開放可能な第1と第2の仕切または接合された第1の端部を形成するための方法や材料を思いつくであろう。
【0044】
本発明の第3の実施形態は、図6の洗浄溶液キット43を具備している。第3の実施形態による洗浄溶液キット43は、第1の区画12′内に配置された第2の区画14′を含んでいる。洗浄固体15は第2の区画14内に配置され、開放可能な第1の仕切16′によって、第1の区画12′内に配置された液体13から隔離されている。
【0045】
1つの実施形態では、第1の区画は、周縁部44で互いに接合されたトップパネル20′およびボトムパネル18′から成る。好ましくは、トップパネル20′およびボトムパネル18′は、液体13の漏洩を防止し、かつ、意図しないパネルの引裂きを防止する材料から成る。1つの特定の実施形態では、トップパネル20′およびボトムパネル18′は、48ゲージの高バリア性ポリエステルから成り、かつ、互いに熱接合される。他の実施形態では、トップパネルおよびボトムパネルは、異なる材料で形成したり、複数の層を備えていたり、例えば接着剤を用いたような異なる方法で接合することができることは当業者には理解されよう。
【0046】
第3の実施形態による洗浄溶液キット43は、押潰すことのできるプラスチックチューブ46を有した第2の区画14′を含んでいる。開放可能な第1の仕切16′は、プラスチックチューブ46内に配置された壊れることのできるガラス製バイアル48と、プラスチックチューブの端部に配置された液体を通さないプラグ50とを含んでいるこうして、ユーザが洗浄溶液を望むとき、プラスチックチューブ46が押潰され、これによって、ガラス製バイアル48が押潰され壊される。チューブ46を押潰すことによって、チューブ内の圧力が高まり、液体を通さないプラグがチューブの端部から脱離する。こうして、液体13がチューブ46およびバイアル48内に流入し、その中に格納されている洗浄固体15と混合する。
【0047】
当業者は、第1と第2の区画および開放可能な第1の仕切の他の形態、例えば、その周縁部の一部に形成された脆弱な連結部を含んだ小袋や、壊すことのできるガラス製バイアル(プラスチックチューブと液体を通さないプラグを備えない)などを用いることができることを思いつくであろう。
【0048】
第2の区画14′内の洗浄固体15は固形であって、タブレット形態または粉体とすることができる。好ましくは、1つの実施形態では、洗浄固体15は、液体13との混合を促進し、従って洗浄溶液の生成を促進するために粉体である。
【0049】
本発明の第4の実施形態は、図7に示す洗浄キット52を具備している。第4の実施形態による洗浄キット52は、第3の実施形態43の形態の2つの区画と、付加的な第3の区画32′とを含んでいる。1つの実施形態では、第1と第3の区画12′、32′はトップパネル20とボトムパネル18から形成され、該トップパネルとボトムパネルは、好ましくは、内層22と外層24とを具備している。外層24は空気および液体を通さず、内層22が接合強度を調節する。特定の実施形態では、第1の実施形態による洗浄溶液キット10で用いた層と同様に、外層24は48ゲージの高バリア性ポリエステルを含み、内層22は2ミルの低密度ポリエチレンを含む。第3の区画32′は、また、第2の仕切36′および第1の仕切16′によって、第1と第2の区画12′、14′の洗浄固体15および液体13から隔離された雑巾34を含んでいる。
【0050】
開放可能な第2の仕切36′は、好ましくは、第1の仕切16′が開かれ洗浄固体15と液体13が混合して洗浄溶液が作られる所定時間が経過した後に開かれる。洗浄溶液が作られると、第2の仕切36′が開かれ、洗浄溶液が第3の区画32′内に流入し、雑巾34をぬらす。
【0051】
第1と第3の区画12′、32′は、図7に示すように、互いに直線的に配置されている。第4の実施形態では、第1と第2の区画12′、14′は、その中に新たに作られた洗浄溶液を含み、かつ、第3の区画32′へ向けて巻くことによって、第2の仕切36′が開く。洗浄溶液は、第3の区画32′内へ流入し、雑巾34をぬらす。
【0052】
第1と第3の区画の異なる形態が存在し得る他の実施形態を思いつくであろう。例えば、第3の区画は第1の区画の上に配置したり、第1と第3の区画の双方を一層大きな容器内に配置することができよう。
【0053】
1つの実施形態では、第4の実施形態による洗浄キット52を製造する際、第1の端部56除いて、トップパネル20およびボトムパネル18の周縁部54が互いに接合される。接合された周縁部54によって画成される領域に雑巾34が配置され、ボトムパネル18およびトップパネル20が互いに熱接合され、開放可能な第2の仕切36′の接合部42′が形成される。雑巾34が、接合された周縁部54および第2の仕切36′内の領域である第3の区画32′内に収納される。
【0054】
第2の区画14′は、第1の区画12′内に配置され、液体13が第1の区画12′内に注がれる。次いで、第1の区画12′の第1の端部56が接合され、第1の端部、開放可能な第2の仕切36′および接合された周縁部54の一部によって画成される第1の区画が形成される。当業者は、接合された周縁部、第2の仕切を形成するために、接着剤、熱接合のような様々方法および材料を思いつくであろう。
【0055】
当業者は、本発明の洗浄溶液キットおよび洗浄キットを用いて、異なる複数のタイプの洗浄溶液を作ることを思いつくであろう。本発明のの洗浄溶液キットおよび洗浄キットを用いて洗浄溶液を作ることによって、洗浄溶液は、予め準備された液体洗浄溶液を貯蔵している場合とは異なり、実際に使用する際に一層高い効力を発揮する。特に、洗浄溶液は、種々の理由から時間が経てば劣化する液体漂白剤中の塩素のような活性洗浄剤を含む。劣化は、例えば、洗浄剤と水分子との間の加水分解によって生じる。
【0056】
洗浄剤の劣化を低減するために、本発明の洗浄溶液キットおよび洗浄キットによれば、洗浄固体は、使用時に液体と組合わされて洗浄溶液が作られる。作られた洗浄溶液は活性洗浄剤を含み、該活性洗浄剤は著しく劣化を受けにくい。と言うのは、洗浄溶液は、概ね使用時に作られ、実質的に劣化が生じうる前に所望の表面を清掃するために使用されるからである。好ましい実施形態では、新たに作られた洗浄溶液は、作られた後に24時間以内に使用される。他の実施形態では、望まれる洗浄剤の有効性によっては、新たに作られた洗浄溶液は、好ましい実施形態の24時間よりも短い或いは長い時間内に使用されよう。
【0057】
洗浄固体15が他の成分を含んでいる実施形態もある。例えば、タブレット形態を使用する場合、洗浄固体15は、タブレットを壊すために、水と反応して二酸化炭素を生成する発泡剤を含むことができよう。洗浄固体15は、また、作った後の洗浄溶液のpHを維持するための中和剤を含んでいてもよい。洗浄固体15は、また、米国連邦政府のような種々の組織が濃度ガイドラインを設けている活性洗浄剤を含んだ実施形態もあろう。
【0058】
1つの実施形態では、洗浄固体15がジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(NaDCC)から成り、液体13は水から成る。NaDCCと水は組合わさって、液体漂白剤から成る洗浄溶液を生成する。
【0059】
洗浄固体15は、タブレット形態または粉体で用いることができ、好ましい実施形態は、NaDCC、1,3,5-トラジン2,4,,5-トリオン1,3ジクロロナトリウム塩(Chemical Abstract Service, CAS, No. 2893-78-9) に加えて、タブレット形態または粉体の洗浄固体は、アジピン酸(CAS No. 000124-04-9)や、炭酸ナトリウム(CAS No. 000497-19-8)のような他の成分を含んでいる。NaDCCタブレットは、アイルランド国、ウェックスフォード、ホワイトミルインダストリアルエステート(Whitemill Industrial Estate, Wexford, Ireland) 所在のメデンテック社(Medentech Ltd)から市販されている。NaDCCタブレットは、また、ウィスコンシン州53916ビーバーダム(Beaver Dam, WI 53916)所在のアクティボンプロダクツ社(Activon Products)から市販されている。液体13は、好ましくは水であり、そして、許容純度に応じて、水道水、脱イオン水、蒸留水とすることができる。
【0060】
好ましくは、洗浄キットの実施形態30、52では、雑巾34は、ポリエステルの編物を含んでいる。他の実施形態では、雑巾は、ポリプロピレンその他の適切な同等の材料とすることができる。
【0061】
洗浄溶液キット10、43を用いて洗浄溶液を作りその後に雑巾34を濡らする場合、また、雑巾を包含した洗浄キット30、52を用いる場合には、洗浄固体15および液体13について、次の量、濃度が、雑巾を十分に濡らし、そして、少なくとも1000ppmの塩素洗浄溶液含むことが分った。
(a)0.4グラムのNaDCC(250mgの活性塩素を含んでいる)を有した1グラムのメデンテックタブレット、200mlの脱イオン水、10枚の雑巾
(b)0.5グラムのNaDCC(330mgの活性塩素を含んでいる)を有した1グラムのメデンテックタブレット、300mlの脱イオン水、15枚の雑巾
(c)0.694グラムのNaDCC(450mgの活性塩素を含んでいる)を有した1.4グラムのアクティボン社製エフェーサン(Effersan)タブレット、400mlの脱イオン水、20枚の雑巾
実際の雑巾の数および液体は、雑巾の吸着容量および望ましい濡れ具合によって決定されるべきである。
【0062】
他の実施形態では、洗浄固体15は次亜塩素酸カルシウムや、クロラミンT(ナトリウム n−クロロパラトルエンスルホンアミド)から成り、液体は水から成る。これらの2つが組合わさって、次亜塩素酸塩またはクロラミンベースの漂白剤から成る洗浄溶液が作られる。
【0063】
当業者は、本発明の洗浄溶液キット10、43および洗浄キット30、52を使用し、種々の洗浄固体15および液体13を用いて他の多くのタイプの洗浄溶液を作ることを思いつくであろう。例えば、塩素、臭素、ヨウ素を主成分とするハロゲン系洗浄溶液を用いることができよう。ヨウ素を主成分とする溶液の場合、非イオン系エトキシ化ノニルフェノールやポリビニルピロリドンのような洗剤や界面活性剤をヨウ素と混合し、洗浄固体15として、ヨウ素担体(界面活性剤、洗剤、他の錯化剤のミセルに溶解または合成したヨウ素)を生成することができよう。洗浄固体15は、次いで、水のような液体13と混合され洗浄溶液が作られる。
【0064】
更に、洗浄固体は、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化水素、過酢酸のような塩素を含まない酸素系漂白剤であってもよい。他のタイプの洗浄溶液は、フェノール系化合物、四級アンモニウム化合物、アルコール類、グルタルアルデヒドやホルムアルデヒド類のようなアルデヒド類を含んでいる。当業者は、種々のタイプの洗浄固体15を種々の液体13と混合することを思いつくであろう。典型的には、所望の洗浄溶液を作るために水が使用されよう。洗浄溶液の特定の要求に応じて洗浄固体15が選択されよう。洗浄固体15および液体13のタイプおよび量は、当業者は容易に見つけることができよう。洗浄固体15は、液体13と混合したときに、長時間が経過すると不安定になったり劣化する液体洗浄剤を排除することを意味していない。
【0065】
本明細書で参照した全ての特許は、その旨の記載が特になくとも、本願と一体をなすものとする。
【0066】
本開示において「a」「an」との記載は、単数および複数を含むものとする。反対に、複数形で参照した項目は、適切場合には単数を含むものとする。
【0067】
本発明の精神および新規な概念の範囲から逸脱することなく、本発明の修正、変更が可能であることは明らかである。図示した特定の実施形態は限定する趣旨ではないし、またそのように解釈されるべきではない。開示は、本発明の範囲内に入る全ての修正を包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】洗浄溶液キットからなる本発明の第1の実施形態の斜視図であり、第1と第2の区画の一部を破断して示す図である。
【図1A】図1の矢視線1A−1Aに沿う断面図である。
【図2】洗浄溶液キットからなる本発明の第1の実施形態の斜視図であり、第1の実施形態の第1の区画をどのようにして巻くかを示した図である。
【図2A】図2の矢視線2A−2Aに沿う断面図である。
【図3】洗浄キットから成る本発明の第2の実施形態の断面図である。
【図4】図3に示した実施形態の斜視図であり、説明および理解を容易にするために第1と第2と第3の区画の一部を破断し、そして、第1の実施形態の第1の区画をどのようにして巻くかを示した図である。
【図5A】第1の工程を実施した後の未完成の本発明の第2の実施形態の断面図である。
【図5B】第2の工程を実施した後の未完成の本発明の第2の実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄溶液を提供するキットにおいて、
第1の区画と、
前記第1の区画内に配置された液体と、
第2の区画と、
前記第2の区画内に配置された洗浄固体と、
第3の区画であって、該第3の区画内に雑巾が配置されている第3の区画と、
第1の区画内の液体を前記洗浄固体から隔離する開放可能な第1の仕切と、
前記雑巾を前記液体および洗浄固体から隔離する開放可能な第2の仕切とを具備し、
前記第1の区画内の前記洗浄固体が、前記第2の区画内の液体と混合されて洗浄溶液が作られ、洗浄溶液が作られた後に、開放可能な第2の仕切が開かれて、前記雑巾が前記洗浄溶液によって濡らされるようにしたキット。
【請求項2】
前記第2の区画が前記第1の区画内に配置されている請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記第2の区画が、更に、チューブを具備しており、
前記開放可能な第1の仕切が、更に、前記チューブ内に配置された壊れることのできるバイアルと、前記チューブの端部に配置された抵抗プラグとを具備し、
前記洗浄固体が前記バイアル内に配置されている請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記開放可能な第1の仕切が接合部である請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記洗浄固体がタブレットである請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記開放可能な第2の仕切が第2の接合部である請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記第2の区画がチューブであり、前記開放可能な第1の仕切が、前記チューブ内に配置された壊れることのできるバイアルと、前記チューブの端部に配置された抵抗プラグでであって、前記洗浄固体が前記バイアル内に配置されている請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記第2の区画が、前記第1の区画内に配置された小袋であって、前記開放可能な第1の仕切が、前記小袋の周囲に配置された脆弱な接合部であって、前記洗浄固体が前記小袋内に配置されている請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記第1の区画が、前記第2の区画の上に配置されている請求項1に記載のキット。
【請求項10】
前記第1の区画が前記第2の区画に隣接させて直線的に配置されている請求項1に記載のキット。
【請求項11】
前記洗浄固体は、(a)ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、(b)次亜塩素酸カルシウム、(c)クロラミンTおよび(d)ヨウ素担体の1つである請求項1に記載のキット。
【請求項12】
前記洗浄固体は、NaDCC(1,3,5-トラジン2,4,,5-トリオン1,3ジクロロナトリウム塩)、アジピン酸、炭酸ナトリウムの1または複数である。
【請求項13】
戦記洗浄溶液は、液体漂白剤、ハロゲン系洗浄溶液、ハロゲンを含まない酸素系漂白剤、フェノール系化合物、四級アンモニウム化合物、アルコール、アルデヒドの1または複数である。
【請求項14】
前記第1の区画は、更にトップパネルとボトムパネルとを含む請求項1に記載のキット。
【請求項15】
前記トップパネルおよびボトムパネルの各々は、内層および外層を有している請求項16に記載のキット。
【請求項16】
第1の区画であって、開放可能な第1の仕切によって第2の区画内に配置された洗浄固体から隔離された液体が内部に配置されている第1の区画と、第3の区画であって、前記第1と第2の区画から隔離された雑巾が内部に配置されている第3の区画とを有し、前記雑巾が開放可能な第2の仕切によって隔離されるようにしたキットを用いて、ある領域を清掃する方法において、
前記開放可能な第1の仕切を開き、
前記洗浄固体を前記液体と混合して洗浄溶液を作り、
前記開放可能な第2の仕切を開いて前記雑巾を露出させ、
前記洗浄溶液によって濡らした雑巾により前記領域を拭くことを含む清掃方法。

【図5B】第3の工程を実施した後の未完成の本発明の第2の実施形態の断面図である。
【図6】洗浄溶液キットからなる本発明の第3の実施形態の斜視図であり、第1の区画の一部を破断して示す図である。
【図7】洗浄キットからなる本発明の第4の実施形態の斜視図であり、第1と第3のの区画の一部を破断して示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 洗浄溶液キット
12 第1の区画
14 第2の区画
15 洗浄固体
16 第1の仕切
18 ボトムパネル
20 トップパネル
22 内層
24 外層
26 接合部
32 第3の区画
34 雑巾
36 第2の仕切
42 接合部
【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−523233(P2008−523233A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546635(P2007−546635)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/031293
【国際公開番号】WO2006/065297
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】