説明

使用済み紙おむつ処理装置

【課題】 使用済み紙おむつから燃料を得る際の熱量転化効率を向上すると共に、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させ、且つ設備を小型化すると共にトータル的にCO2の削減に寄与し、外部に臭気が漏れ出ることがない使用済み紙おむつ処理装置を提供する。
【解決手段】 使用済み紙おむつを粉砕処理及び発酵処理する処理槽21を有する処理部20と、該処理部20の前記処理槽21に排気部42を介して連通して前記処理槽21内の臭気ガスを脱臭する脱臭部50とが一体的に設けられており、前記処理槽21と前記脱臭部50とが、当該脱臭部50内で加熱された気体を前記処理槽21内に供給する供給部45を介して連通されていると共に、前記供給部45には、外気を取り入れ可能で且つ外気と前記脱臭部50で加熱された気体の何れか一方を切り替えて前記処理槽21に送風する切り替え手段60を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み紙おむつを粉砕処理及び発酵処理することで燃料となる処理物を得ることができる使用済み紙おむつ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や老人ホーム、家庭などでは幼児用又は成人用として使い捨て可能な紙おむつが広く利用されている。このような紙おむつの使用済みのもの(使用済み紙おむつ)は焼却処分されているのが現状であるが、使用済み紙おむつは、し尿などの水分を含んでいることから燃焼温度を高くしなければ燃焼しきれず、処理コストの増大が問題となっている。また、使用済み紙おむつの埋め立て処分も検討されているが、し尿やパルプ類は土中の微生物によって分解されるものの、防水フィルムや不織布などは分解されずに残存するという問題がある。
【0003】
このため、使用済み紙おむつを処理することで燃料等として利用するための種々の方法が採用されている。使用済み紙おむつ処理装置としては、例えば、使用済み紙おむつを粉砕処理及び発酵処理する処理槽(処理部)と、処理槽内の気体の脱臭を行う脱臭部とを具備するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−007111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、処理槽と脱臭部とを離して設け、両者をパイプを介して接続した場合、パイプの熱風を搬送する経路が長くなってしまうため、処理槽と脱臭部との間で搬送される熱風の熱損失及び圧力損失が大きくなってしまう。これにより、処理槽(処理槽に至る経路)や脱臭部に設けられた加熱手段により再加熱や吸引手段(ブロア等)による吸引のためのエネルギー損失が多くなってしまうという問題がある。
【0006】
また、処理槽と脱臭部とを離して設けた場合、処理部及び脱臭部内の熱がそれぞれ個別に放熱されてしまい、熱損失及び圧力損失が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
なお、経路や装置自体を断熱材で覆ったとしても、経路や装置自体からの放熱を完全に防止することはできないため、上記問題を解決することはできない。
【0008】
さらに、処理槽と脱臭部とを離して設け、両者をパイプを介して接続させた場合、パイプスペースやパイプの取り回しが煩雑であり、使用済み紙おむつ処理装置の設置作業に時間がかかり、設置コストが増大してしまうという問題がある。
【0009】
また、処理槽と脱臭部とを離して設けた場合、広い設置面積が必要で、且つ搬送するのが困難であることから、処理部と脱臭部とを個別搬送して、設置する際に両者の接続が必要になるため、設置作業に時間がかかり設置コストが増大してしまうという問題がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、使用済み紙おむつから燃料を得る際の熱量転化効率を向上すると共に、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させ、且つ設備を小型化すると共にトータル的にCO2の削減に寄与し、外部に臭気が漏れ出ることがない使用済み紙おむつ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の態様は、使用済み紙おむつを粉砕処理及び発酵処理する処理槽を有する処理部と、該処理部の前記処理槽に排気部を介して連通して前記処理槽内の臭気ガスを脱臭する脱臭部とが一体的に設けられており、前記処理槽と前記脱臭部とが、当該脱臭部内で加熱された気体を前記処理槽内に供給する供給部を介して連通されていると共に、前記供給路には、外気を取り入れ可能で且つ外気と前記脱臭部で加熱された気体の何れか一方を切り替えて前記処理槽に送風する切り替え手段が設けられていることを特徴とする使用済み紙おむつ処理装置にある。
【0012】
かかる態様では、処理部と脱臭部とを一体的に設けることで、処理槽から脱臭部まで移動する臭気ガスの経路である排気部の距離を短くすると共に、排気部の断面積を大きくして、熱損失及び圧力損失を減少させることができる。また、脱臭部から処理槽まで移動する加熱された酸素含有ガスの経路である吸気部の距離を短くすると共に、供給部の断面積を大きくして、熱損失及び圧力損失を減少させることができる。したがって、臭気ガスや酸素含有ガスの再加熱に必要なエネルギーを減少させてCO2排出量を低減することができる。また、処理部と脱臭部とを一体的に設けることで、パイプスペースやパイプの取り回しが不要になり、設置面積を減少させることができる。また、処理部と脱臭部とを一体的に設けることで、搬送コストも減少できる。さらに、1つの切り替え手段によって処理槽に加熱された酸素含有ガス又は外気を選択的に供給することができるため、構造を簡略化して構成部品を減少させてコストを低減させることができる。
【0013】
ここで、前記排気部及び前記供給部が、前記処理槽の上面と前記処理部の上面とに亘って設けられた空間を有するものであることが好ましい。
【0014】
これによれば、排気部及び供給部の経路を最も短くして、断面積を大きくすることができるため、熱損失及び圧力損失をさらに減少させることができる。
【0015】
また、前記切り替え手段は、前記処理槽に連通し、且つ前記供給部に温風開口部を介して連通すると共に外部に冷風開口部を介して連通する空気溜りと、前記温風開口部を開口すると共に前記冷風開口部を閉口して前記処理槽内に前記処理部で加熱された気体を送風する加熱状態と前記温風開口部を閉口すると共に前記冷風開口部を開口して前記処理槽内に外気を送風する冷却状態とを切り替える切り替え弁と、該切り替え弁を前記加熱状態及び前記冷却状態に駆動する駆動手段とを具備することが好ましい。
【0016】
これによれば、1つの切り替え弁によって、加熱状態と冷却状態とを切り替えることができるため、切り替え弁の制御を容易に行うことができると共に、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0017】
また、前記温風開口部と前記冷風開口部とが、それぞれ互いに開口面が交差する方向に配置されていると共に、前記切り替え弁が前記温風開口部を開閉する温風開閉弁と前記冷風開口部を開閉する冷風開閉弁とが連結部を介して連結されて構成されていることが好ましい。
【0018】
これによれば、温風開閉弁と冷風開閉弁とによって、温風開口部と冷風開口部とを開閉する加熱状態及び冷却状態に切り替えることができる。
【0019】
また、前記切り替え手段は、前記冷風開口部に連通する外気取入れ部を具備すると共に、当該切り替え手段と前記供給部とは、前記外気取入れ部以外が断熱材により覆われていることが好ましい。
【0020】
これによれば、脱臭部から供給された加熱された気体の熱損失を減少させることができると共に、外気取入れ部から取り入れられた気体が、脱臭部からの加熱された気体によって加熱されることなく、処理槽内を外気によって効率良く冷却することができる。
【0021】
また、前記脱臭部は、前記処理槽内の雰囲気ガスを脱臭する脱臭装置と、前記雰囲気ガスを脱臭処理して得られた処理ガスを熱交換するための第1熱交換器と、該第1熱交換器から排出された処理ガスを熱交換する第2熱交換器とで構成されていることが好ましい。
【0022】
これによれば、使用済み紙おむつの発酵処理に伴って発生する臭気ガスを脱臭して無臭化できると共に、脱臭処理後の処理ガスの熱を発酵処理や脱臭処理の熱源としてリサイクルすることによって、発酵処理と脱臭処理に必要な熱コストを低減することができる。
【0023】
また、前記第2熱交換器で熱交換された熱が、前記処理槽内の加熱に用いられていることが好ましい。
【0024】
これによれば、脱臭処理後の処理ガスの熱を脱臭処理の熱源としてリサイクルすることによって、脱臭処理に必要な熱コストを低減することができる。
【0025】
また、前記処理槽内で処理した前記処理物を当該処理槽内から排出する排出手段をさらに具備することが好ましい。
【0026】
これによれば、運搬手段によって処理槽内の処理物を容易に取り出すことができる。
【0027】
また、前記処理部及び前記脱臭部が、断熱材で覆われていることが好ましい。
【0028】
これによれば、処理部の排熱や脱臭部の排熱が外部に放熱されるのを防止して、熱損失をさらに減少させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、処理部と脱臭部とを一体化することで処理槽と脱臭部とを短縮し、両者の間で交換される加熱された気体の熱損失及び圧力損失を低減させてエネルギー損失を低減させることができる。したがって、CO2排出量を低減させることができる。また、処理部と脱臭部とを一体化することで、設置面積を減少させることができると共に装置の搬送を容易にして、設置作業の時間を短縮することができ、設置コストを低減することができる。したがって、使用済み紙おむつから燃料を得る際の熱量転化効率を向上すると共に、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させ、且つ設備を小型化すると共にトータル的にCO2の削減に寄与し、外部に臭気が漏れ出ることがない使用済み紙おむつ処理装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、使用済み紙おむつ処理装置の斜視図であり、図2は、使用済み紙おむつ処理装置の上面図であり、図3は、処理部の概略断面図であり、図4は、処理部の要部を示す図である。
【0032】
図示するように、使用済み紙おむつ処理装置10は、使用済み紙おむつが投入されて使用済み紙おむつが破壊及び発酵処理される処理槽21を有する処理部20と、処理槽21内の排気ガスを脱臭する脱臭部50とを具備する。
【0033】
処理部20は、図3に示すように、処理槽21と、処理槽21内に設けられて使用済み紙おむつを破砕すると共に発酵菌と共に攪拌する破砕手段22とを具備する。
【0034】
処理槽21は、箱形状を有し、内面の底面は後述する羽根32の回転方向に沿って半円筒形状に形成されている。すなわち、処理槽21は、内部にかまぼこ状の空間を有する。この処理槽21には、図1に示すように、長手方向の一端側で鉛直方向上側に使用済み紙おむつが投入される開口部24が設けられている。開口部24は、使用済み紙おむつが複数収容されて密封されたポリエチレン等の廃棄袋が投入可能な開口面積で形成されている。なお、本実施形態では、例えば、開口部24は、70Lの廃棄袋が投入可能な開口面積で形成されている。
【0035】
また、処理槽21の鉛直方向上側の面には、開口部24の開口を塞ぐ蓋部材25が設けられている。この蓋部材25は、一辺が処理槽21に軸支されることで、一辺側を軸として回転することによって開口部24を開閉自在としている。このような開口部24から廃棄袋が投入されると共に、開口部24から必要に応じて発酵処理に必要な発酵菌が適宜投入される。ここで「発酵処理」とは、し尿、パルプ等を微生物によって分解する処理を言う。し尿等を分解する具体的な発酵菌は特に限定されず、公知の発酵菌を用いればよい。発酵処理に使用される発酵菌は、好気性微生物又は嫌気性微生物の何れを用いてもよいが、管理容易性や発酵過程で発生する臭気レベルの低さから好気性微生物を用いることが望ましい。
【0036】
また、図4(c)に示すように、処理槽21には、側面の長手方向中央部に矩形状に開口する排出孔26が設けられており、この排出孔26は、排出扉27によって開閉自在となっている。この排出孔26は、処理槽21内で発酵処理、裁断・破砕及び乾燥されて製造された処理物を外部に排出する排出手段の一部として機能する。詳細には、排出扉27によって排出孔26を開口した状態で、詳しくは後述する破砕手段22によって処理物を排出孔26側に集めることで、処理物が排出孔26から自動的に排出される。すなわち、本実施形態では、詳しくは後述する破砕手段22と排出孔26とが排出手段として機能する。
【0037】
また、処理槽21に排出孔26を設けることによって、処理槽21の内部の点検及びメンテナンスを行うことができる。
【0038】
また、処理槽21内には、図3に示すように、使用済み紙おむつを破砕する破砕手段22が設けられている。破砕手段22は、処理槽21の長手方向に亘って設けられた回転軸30と、回転軸30の一端部側に設けられて回転軸30を回転させる駆動モータ等の駆動手段31と、回転軸30の軸方向に所定の間隔で設けられた複数の羽根32とで構成されている。
【0039】
羽根32は、回転軸30に基端部が固定された一対の固定部材33と、一対の固定部材33の間の先端側に保持された板状の回転刃34とを具備する。回転刃34は、一辺が処理槽21の内面に相対向して一方面が回転方向となるように設けられている。また、回転刃34の処理槽21の内面に相対向する一辺には、凹部34aが設けられている。
【0040】
一方、処理槽21の底面には、図4(a)及び(b)に示すように、回転刃34の凹部34aに相対向する領域に固定刃35が設けられている。この固定刃35は、処理槽21の半円筒形状の底面に回転刃34の回転方向に亘って所定の長さで設けられて断面が矩形状の破砕用固定刃35aと、破砕用固定刃35aよりも短く且つ回転刃34の凹部34a内に突出して先端に刃が回転方向に亘って設けられた裁断用固定刃35bとで構成されている。破砕用固定刃35aは、裁断用固定刃35bの両側面を保持して、裁断用固定刃35bが折れたり処理槽21から外れたりするのを防止すると共に、回転刃34によって軸方向に移動しようとする使用済み紙おむつの移動を抑えて、回転刃34と破砕用固定刃35aとの間及び回転刃34と処理槽21の底面との間で使用済み紙おむつを破砕するためのものである。また、裁断用固定刃35bは、回転刃34の凹部34aとの間で使用済み紙おむつを裁断するようになっている。すなわち、本実施形態では、回転刃34と固定刃35との間で使用済み紙おむつを破砕及び裁断して所望の大きさに細分化した破砕物を製造している。
【0041】
このような羽根32は、回転軸30の周りに螺旋状となるように所定間隔で複数設けられることで、回転方向によって中央部にある排出孔26に使用済み紙おむつを寄せ集めることができると共に、左右両側に拡散させることができる。
【0042】
なお、排出孔26近傍の羽根32が同時に排出孔26に処理物を集めると、処理物が圧迫されて排出する際に排出孔26が詰まってしまう虞があるため、排出孔26近傍の羽根32は、回転軸30を中心として対称となるように設けられている。
【0043】
ここで、回転刃34が排出孔26を掬う方向に回転するのを正転、逆に回転刃34が排出孔26の上側から回転するのを逆転とすると、回転刃34の正転時に排出孔26に紙おむつを寄せ集め、回転刃34の逆転時に紙おむつを左右両側に拡散させるように、回転刃34は設けられている。
【0044】
すなわち、各羽根32の回転刃34は、回転軸30の軸方向に対して傾斜して設けられている。この回転刃34の傾斜方向は、正転させた際に破砕及び裁断する使用済み紙おむつに対して排出孔26とは反対側の端部が先に当接し、その後、排出孔26側の端部が当接する方向である。すなわち、各羽根32の回転刃34は、同一方向に傾斜しているのではなく、排出孔26近傍の回転刃34は、排出孔26を中心として対称となるように傾斜して設けられている。このように、回転刃34を回転軸30の軸方向に対して傾斜して設けることで、回転刃34が使用済み紙おむつに傾斜して当接し、使用済み紙おむつ破砕及び裁断しながら正転により排出孔26側に寄せ集めることができると共に、逆転により処理槽21の両側に拡散させることができる。このような回転刃34の傾斜角度は、回転軸30の軸方向に対して10〜30度とするのが好ましく、本実施形態では、約20度となるようにしている。
【0045】
なお、排出孔26近傍の羽根32のそれぞれの回転刃34は、図3に示すように、互いに軸方向にオーバーラップするように、排出孔26に対向する領域に延設された掻き出し部36を有する。このように、排出孔26近傍の羽根32に掻き出し部36を設けることによって、排出孔26から排出させる処理物が残り少なくなったとしても、回転刃34を正転させることで掻き出し部36によって排出孔26に処理物を掻き集めることができ、処理物の全てを確実に排出孔26から排出させることができる。
【0046】
このような破砕手段22は、上述のように使用済み紙おむつを攪拌しながら破砕及び裁断すると共に、正転により排出孔26に寄せ集めたり、逆転により処理槽21の両側に拡散させるようになっている。そして、処理槽21内には、開口部24から使用済み紙おむつ(廃棄袋)と共に発酵菌が投入されるため、破砕手段22は、紙おむつを破砕及び裁断しながら発酵菌と共に攪拌し、発酵処理を行わせることができる。
【0047】
また、このような本実施形態の羽根32は、角部の全てがR状に面取りされている。このように、羽根32の角部を全て面取りすることで、回転刃34と処理槽21の内面との間で使用済み紙おむつを破砕した際に使用済み紙おむつが羽根32に引っかかるのを防止して、網状のからみつきの発生を防止することができる。なお、使用済み紙おむつが破砕されることなく絡み付くと、羽根32や回転軸30に網状に成長し、破砕、発酵、乾燥、排出と言った全ての攪拌効果を著しく阻害してしまう。本実施形態では、羽根32の角部の全てをR状に面取りすることで、攪拌効果を阻害するのを防止している。
【0048】
また、処理槽21内は、水分を含む使用済み紙おむつが投入されると共に、発酵菌を用いた発酵処理が行われるため、処理槽21及び処理槽21内に設けられた回転刃34を有する羽根32、固定刃35等は、耐食性に優れた材料を用いるのが好ましく、例えば、オーステナイト系ステンレスを用いることができる。但し、処理槽21内は処理物を排出する前に破砕物の加熱乾燥が定期的に行われるため、処理槽21及び処理槽21内に設けられた回転刃34を有する羽根32、固定刃35等に腐食が発生し難いので、耐腐食性は劣るが裁断能力に優れたマルテンサイト系ステンレスを用いてもよい。勿論、使用済み紙おむつの裁断を行う裁断用固定刃35bのみをマルテンサイト系ステンレスで形成し、他の部材をオーステナイト系ステンレスで形成するようにしてもよい。
【0049】
また、図1及び図2に示すように、処理部20には、処理槽21内の雰囲気ガスを吸引排気して脱臭する脱臭部50が接続されている。
【0050】
詳しくは、処理槽21の上部には、排気口41設けられており、図5に示すように、排気口41に相対向する領域には、内部にフィルター43を有する中空の排気部42が設けられている。そして、排気部42の排気口41とは反対側の端部に、脱臭部50を介して処理槽21の内部の雰囲気ガスを吸引排気する排気手段40が接続されている。
【0051】
排気手段40は、処理槽21の内部が陰圧となるように処理槽21の内部の雰囲気ガスを吸引排気するものであり、例えば、吸引・排気ファンや真空ポンプなどが挙げられる。
【0052】
そして、排気手段40が処理槽21の内部の雰囲気ガスを吸引排気すると、雰囲気ガスに含まれる微細な塵等がフィルター43によって集塵される。なお、フィルター43は、処理槽21から吸引排気した雰囲気ガスに含まれる微細な塵埃等を集塵することができれば、特に限定されず、例えば、網目状の繊維や不織布などを用いることができる。
【0053】
また、フィルター43は、雰囲気ガスに含まれる粉塵を集塵する集塵面43aが、鉛直方向下向きとなるように設けられている。そして、排気手段40による処理槽21内の雰囲気ガスの吸引排気を所定時間毎に一定時間停止することによって、集塵面43aに集塵された粉塵の塊2をその自重により処理槽21内に落下させてフィルター43の排気詰まりを防止している。なお、処理槽21内に落下させた粉塵の塊2は、排出孔26から処理物と共に排出される。また、このような排気詰まりを防止する排気詰まり防止工程は、例えば、排気手段40を6時間毎に1分間停止させることで行うことができる。
【0054】
このような排気手段40によって、処理槽21内の雰囲気ガスは常に吸引排気されているため、処理槽21内は陰圧に維持される。このため、開口部24から使用済み紙おむつ(廃棄袋)を投入するために、開口部24を開放しても、処理槽21内の臭気が開口部24から外部に漏れるのを防止することができる。
【0055】
なお、排気手段40の排気風量は、処理槽21内の使用済み紙おむつが乾燥されて、処理槽21内の雰囲気ガスが飽和蒸気となっても、排気部に結露が生じるのを防ぐように余裕を持たせる必要がある。本実施形態では、処理部20の処理能力が300kg/日であるため、排気手段40の排気風量は、7Nm3/min以上が好ましく、処理槽21内の排気による雰囲気ガスの流れを考慮すると、9Nm3/min前後が好適である。また、排気手段40の排気風量が大きすぎると、詳しくは後述する脱臭部50による加熱エネルギーが必要になり、コストが増大してしまうため、排気手段40の排気風量は、9Nm3/min前後が好適である。
【0056】
また、処理槽21と排気手段40との間の排気部42には、排気手段40が吸引した処理槽21内の雰囲気ガスを脱臭する脱臭部50が設けられている。
【0057】
ここで、脱臭部50について詳細に説明する。なお、図6は、本発明の実施形態1に係る使用済み紙おむつ処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
図6に示すように、脱臭部50は、処理部20の処理槽21に近接して設けられている。本実施形態では、脱臭部50と処理部20とを一体的に形成して両者を近接させている。
【0059】
このような脱臭部50は、脱臭装置本体内に、脱臭触媒層52と、処理槽21内の雰囲気ガスを加熱して脱臭触媒層52に送る電熱ヒータ等の触媒加熱手段53と、第1熱交換器54と、第2熱交換器55とで構成されている。
【0060】
処理槽21内の雰囲気ガス(臭気ガス)は、排気手段40によって排気部42を介して吸引排気され、第1熱交換器54に導入される。このとき、上述のようにフィルター43によって微細な粉塵が除去された臭気ガスが第1熱交換器54に導入される。なお、第1熱交換器54及び第2熱交換器55は、多管式熱交換器やプレート式熱交換器など各種公知の熱交換器を用いることができる。第1熱交換器54及び第2熱交換器55としては、熱伝導性の高いプレート式熱交換器を用いるのが好ましい。
【0061】
そして、第1熱交換器54に導入された臭気ガスは、脱臭触媒層52で脱臭処理された処理ガスと熱交換される。熱交換によって臭気ガスの温度は上昇し、一方、処理ガスの温度は低下する。なお、臭気ガスの温度は特に限定されず、触媒の処理性能に応じて適宜決定すればよい。例えば、臭気成分であるアンモニアを後述する触媒で効率的に参加分解して無臭化するには、臭気ガスを200℃以上にすることが好ましく、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは270℃以上とすることが望ましい。一方、臭気ガスの温度を高くし過ぎると触媒で処理した際にNOxが発生することがあるため、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下とすることが望ましい。
【0062】
また、脱臭触媒層52に供給する臭気ガスの供給量は特に限定されず、触媒の処理能力に応じて適宜決定すればよい。処理効率の観点から例えば空気速度を好ましくは15000〜40000hr-1、より好ましくは20000〜30000hr-1となるように臭気ガスの供給量と触媒能力とを排気手段40が調整するようにするのが望ましい。
【0063】
脱臭触媒層52には、臭気ガスに含まれる臭気成分を酸化分解・除去する性能を有する触媒が設けられている。用いる触媒としては、アルミニウム、カルシウム、チタン、ケイ素、ジルコニウムおよびセリウムよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物を担体とし、該坦体に、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガンおよび銅よりなる群から選択される1種以上の金属元素を坦持させたものが挙げられる。その中でも、カルシウムアルミネート(CaO・Al23)、シリカまたは二酸化チタンを坦体として、白金、パラジウム等の白金属元素を坦持させたものが、アンモニア、硫化水素等の臭気成分に対して優れた分解・脱臭能力を有し、かつ比較的コストが低いので好ましく用いられる。勿論、これらの触媒は単独、或いは2種以上を併用してもよい。
【0064】
また、触媒の形状は特に限定されず、球状、ペレット状、ハニカム状、破砕片状、円柱状、粉末状などが例示されるが、これらの中でも強度、脱臭効率、交換容易性などの観点からハニカム状触媒が好ましい。また触媒のサイズ、細孔径、比表面積等も特に限定されず、公知の方法で製造された触媒を用いることができる。
【0065】
上記脱臭触媒層52によって臭気成分は酸化分解・除去され、無臭化された処理ガスが得られる。この処理ガスは高温であるため、第1熱交換器54へ導入して臭気ガスと熱交換する。第1熱交換器54での熱交換によって処理ガスの温度は低下しているものの、依然高温であるため、第1熱交換器54から排出された処理ガスをさらに第2熱交換器55に導入し、上記処理槽21に供給する酸素含有ガスと熱交換する。
【0066】
第2熱交換器55に導入する酸素含有ガスは、少なくとも発酵処理に必要な程度の酸素が含まれている気体であって、通常、外気(空気)を用いればよい。このように第2熱交換器55で昇温された酸素含有ガスは、処理槽21上に設けられた切り替え手段60に供給される。なお、詳しくは後述するが、切り替え手段60内には、温度調整用の加熱手段46が設けられている。加熱手段46は、第2熱交換器55で昇温された酸素含有ガスが所望の温度であれば、そのまま処理槽21内に供給し、酸素含有ガスが所望の温度以下の場合は、所望の温度まで加熱手段46で加熱してから処理槽21内に供給するようになっている。
【0067】
このように、本実施形態では、第2熱交換器55で酸素含有ガスを加熱するため、加熱手段46だけで加熱する場合に比べて加熱コストを低減することができる。また、脱臭部50は、第1及び第2熱交換器54、55によって2度に亘って処理ガスの温度を十分に低減することができるので、処理ガスの除熱処理等を施さなくても大気に放出することができ、設備面及び環境熱負荷の点で好ましい構成となっている。なお、第2熱交換器55で外気と熱交換して除熱された処理ガスは、大気に放出しているが、処理ガスは必要に応じて任意の処理工程(例えば処理ガスに含まれる特性成分を除去する処理等)に導入して所望の処理を施した後に大気に放出するようにしてもよい。
【0068】
また、脱臭部50は、第1熱交換器54で昇温された臭気ガスを触媒加熱手段53に導入し、脱臭処理に適した温度に昇温しているため、加熱コストを低減することができる。特に臭気ガスを熱交換器に通さない場合と比べて触媒加熱手段53での加熱コストを低減することができる。
【0069】
そして、脱臭部50を処理部20と近接して設けることで、処理槽21の雰囲気ガス(臭気ガス)を脱臭部50に導入した際に、排気部42による臭気ガスの熱損失及び圧力損失が増大することなく、第1熱交換器54による加熱及び触媒加熱手段による加熱する加熱エネルギーが低減される。すなわち、脱臭部50と処理部20とが離れて設けられて、両者が長い排気部を介して接続されている場合、排気部によって臭気ガスの熱損失及び圧力損失が生じてしまい、触媒加熱手段53による加熱エネルギーが必要になってしまう。これに対して、脱臭部50を処理部20と近接して設けることで、排気部42の経路を短くして、排気部42による臭気ガスの熱損失及び圧力損失を減少させて、触媒加熱手段53による加熱エネルギーを低減させることができるため、エネルギー効率を向上させてCO2排出量を低減させることができる。
【0070】
また、脱臭部の第2熱交換器で昇温された酸素含有ガスは、処理部20の処理槽21の上部に設けられた供給部45を介して処理槽21の上面に設けられた切り替え手段60に供給され、切り替え手段60を介して処理槽21内に供給される。
【0071】
ここで、本実施形態の供給部45及び切り替え手段60について詳細に説明する。なお、図7は、切り替え手段の断面図である。
【0072】
切り替え手段60は、処理槽21内に脱臭部50から供給された加熱された高い温度の気体(温風)と、例えば外気などの低い温度の気体(冷風)とを選択的に切り替えて送風するものである。具体的には、切り替え手段60は、図7に示すように、所定の空間を有する空気溜り61と、空気溜り61内の気体を処理槽21内の鉛直方向上側に向かって噴射する噴射パイプ63と、空気溜り61に連通すると共に空気溜り61に冷風として外気を取り入れる外気取入れ部64とを具備する。
【0073】
空気溜り61は、処理槽21の上部に処理槽21の長手方向に亘って所定の長さで所定の容量で設けられている。
【0074】
また、供給部45は、脱臭部50から処理槽21に向かって徐々に幅が漸大する形状を有し、内部には、脱臭部50からの加熱された酸素含有ガスの温度調整を行う加熱手段46が設けられている。なお、加熱手段46は、上述のように、脱臭部50の第2熱交換器55で昇温された酸素含有ガスが所望の温度であれば、そのまま空気溜り61(処理槽21)内に供給し、酸素含有ガスが所望の温度以下の場合は、所望の温度まで加熱手段46で加熱してから空気溜り61(処理槽21)内に供給するようになっている。そして、このような加熱手段46による酸素含有ガスの加熱は、空気溜り61内に設けられた熱電対等の温度センサ68によって空気溜り61内の気体温度を検出し、検出結果に基づいて適宜行われる。なお、本実施形態では、温度センサ68は、詳しくは後述する冷風開閉弁72に空気溜り61内に突出するように設けられている。
【0075】
そして、脱臭部50からの加熱された酸素含有ガスは、供給部45に設けられた加熱手段46によって温度調整されて、供給部45と空気溜り61とを連通する温風開口部66を介して空気溜り61に供給される。
【0076】
なお、温風開口部66は、噴射パイプ63の並設方向(図7中の幅方向)に2つ設けられている。このように温風開口部66を2つ設けることで、詳しくは後述する切り替え弁70によって温風開口部66を開閉させる際に、切り替え弁70の移動量を少なくすることができると共に、温風開口部66の開口面積を増やして、温風開口部66を通過する温風の圧力損失の低下を防止している。また、温風開口部66を2つ以上、複数個設けることで、脱臭部50からの酸素含有ガスを複数の噴射パイプ63に亘って均一に供給することができる。
【0077】
噴射パイプ63は、一端が空気溜り61に連通すると共に、他端が処理槽21の上部に連通して設けられている。また、噴射パイプ63は、処理槽21の長手方向に亘って所定の間隔で複数個設けられている。このように噴射パイプ63を処理槽21の長手方向に亘って所定の間隔で複数個設けることにより、空気溜り61内の気体(温風又は冷風)を処理槽21の内部の全域に亘って均一に噴射することができるため、処理槽21内の全体を所定の温度にすることができる。
【0078】
外気取入れ部64は、空気溜り61の供給部45と交差する方向、本実施形態では、噴射パイプ63の並設方向の一端部側に設けられている。また、外気取入れ部64は、冷風開口部67を介して空気溜り61と連通されている。すなわち、本実施形態では、温風開口部66と冷風開口部67とは、互いに開口面が交差する方向に配置されていることになる。
【0079】
また、このような切り替え手段60には、温風開口部66及び冷風開口部67を開閉する切り替え弁70と、切り替え弁を駆動する駆動手段80とが設けられている。
【0080】
具体的には、切り替え弁70は、温風開口部66に相対向する領域に設けられて温風開口部66を開閉する温風開閉弁71と、冷風開口部67に相対向する領域に設けられて冷風開口部67を開閉する冷風開閉弁72とを具備し、温風開閉弁71と冷風開閉弁72とは柱状の連結部73を介して一体的に設けられている。
【0081】
温風開閉弁71は、板形状を有し、温風開口部66と同じ開口面積で且つ同一間隔で設けられた2つの開口部71aが設けられている。また、温風開閉弁71は、詳しくは後述するが、温風開口部66の開口面の面方向に移動した際に、開口部71aが設けられていない領域で、2つの温風開口部66を覆う大きさで設けられている。
【0082】
冷風開閉弁72は、冷風開口部67の開口面積よりも大きな面積を有する板形状を有する。なお、本実施形態では、特に図示していないが、冷風開閉弁72の冷風開口部67が開口する開口面に当接する領域に、ゴム等の弾性部材を設けるようにしてもよい。
【0083】
駆動手段80は、冷風開閉弁72の連結部73とは反対側の面に固定された駆動軸81と、駆動軸81を軸方向に往復移動させるリニアモータ等からなる駆動部82とを具備する。
【0084】
なお、本実施形態では、駆動軸81と冷風開閉弁72とはボールジョイント83を介して固定されている。これにより、冷風開閉弁72は、冷風開口部67の開口面に対して傾斜可能に設けられており、冷風開閉弁72は、冷風開口部67の開口面に対して傾斜して取り付けられたとしても、冷風開閉弁72を冷風開口部67の開口面に当接させた際に、冷風開閉弁72を冷風開口部67の開口面に密着させることができる。
【0085】
したがって、切り替え手段60の組み立てを高精度で行う必要がなく、切り替え手段60を容易に且つ短時間で組み立てることができる。
【0086】
また、処理槽21内は、排気手段によって陰圧になっているので、冷風開閉弁72は、冷風開口部67の開口面に密着される。したがって、冷風開閉弁72と冷風開口部67との間から外気が取り入れられることがない。
【0087】
このような切り替え手段60では、駆動手段80によって冷風開閉弁72を駆動すると、冷風開閉弁72は冷風開口部67から離れる方向に移動し、冷風開口部67を開口する。このとき、冷風開閉弁72の移動に伴って連結部73を介して固定された温風開閉弁71も移動する。そして、温風開閉弁71が温風開口部66の開口面の面内方向に移動すると、温風開口部66と温風開閉弁71の開口部71aとが連通されて温風開口部66が閉口される。
【0088】
これにより、脱臭部50からの加熱された酸素含有ガスは、供給部45に設けられた加熱手段46によって温度調整されて、温風開口部66を介して空気溜り61に供給され、空気溜り61から噴射パイプ63を介して処理槽21内に均一に供給される(加熱状態)。なお、このとき、冷風開口部67は閉口されているため、外気(冷気)が空気溜り61内に供給されることがない。
【0089】
一方、冷風開口部67が開口し、温風開口部66が閉口した状態から、駆動手段80によって冷風開閉弁72を駆動すると、冷風開閉弁72は、冷風開口部67側に向かって移動し、冷風開口部67を閉口する。このとき、冷風開閉弁72の移動に伴って連結部73を介して固定された温風開閉弁71も移動する。そして、温風開閉弁71が温風開口部66の開口面の面内方向に移動すると、温風開口部66が温風開閉弁71によって塞がれて温風開口部66が閉口される。
【0090】
これにより、外気取入れ部64から取り入れられた外気(冷気)は、冷風開口部67を介して空気溜り61に供給され、空気溜り61から噴射パイプ63を介して処理槽21内に均一に供給される(冷却状態)。なお、このとき、温風開口部66は閉口されているため、脱臭部50からの加熱された酸素含有ガスが空気溜り61内に供給されることがない。
【0091】
以上説明したように、駆動手段80によって切り替え弁70を駆動することによって、温風開口部66を開口すると共に冷風開口部67を閉口して、処理槽21内に温風を送風する加熱状態と、温風開口部66を閉口すると共に冷風開口部67を開口して、処理槽21内に冷風(外気)を送風する冷却状態とを切り替えることができる。すなわち、例えば、脱臭部50と処理槽21とを連結する連通路に、連結部の開閉を行う切り替え弁と、処理槽21に外気を取り入れる取入れ口に、取入れ口の開閉を行う切り替え弁とを設け、これらの2つの切り替え弁を連動させて加熱状態・冷却状態を切り替えるのに比べて、本実施形態では、1つの切り替え弁70で、加熱状態及び送風状態を切り替えることができるため、使用済み紙おむつ処理装置10の構成部材の点数を減少させることができると共に、切り替え弁70の制御を容易に行うことができ、コストを低減することができる。
【0092】
また、本実施形態では、処理部20の処理槽21と脱臭部50とを一体的に設けることで、近接させているため、脱臭部50から供給される加熱された酸素含有ガスが処理槽21内に搬送される搬送路である供給部45を短くすることができる。また、パイプ等の管路に比べて、供給部45の断面積を大きくすることもできるため、脱臭部50によって加熱された酸素含有ガスの供給部45による温度損失及び圧力損失を減少させることができる。したがって、脱臭部50に設けられた加熱手段46によって酸素含有ガスを再加熱するエネルギーを低減させてエネルギー損失を低減し、CO2排出量の削減を行うことができる。
【0093】
なお、本実施形態の切り替え手段60は、処理部20が、発酵処理、裁断・破砕及び乾燥を行う間は、脱臭部50からの加熱された気体を処理槽21内に供給し、乾燥処理が終了して処理物を処理槽21から取り出す前に、低い温度の気体(外気)を処理槽21内に供給して、処理槽21内の温度を冷却している。これにより、処理槽21から処理物を安全に取り出すことができる。
【0094】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、脱臭部50に接続される排気部42を処理槽21の上面に連通するように取り付けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、処理槽21の側面に連通するように取り付けるようにしてもよい。ただし、上述した実施形態1のように、排気部42を処理槽21の上面に連通するように設けることで、処理槽21内の被処理物をフィルター43によって、集塵し、集塵した粉塵を処理槽21内に落下させることができるため、フィルター43の目詰まりを確実に防止できる。
【0095】
また、例えば、上述した実施形態1では、使用済み紙おむつを処理する使用済み紙おむつ処理装置10を例示したが、本発明の使用済み紙おむつ処理装置10で処理する廃棄物は使用済み紙おむつに限定されるものではなく、例えば、使用済みの生理用品などでもよい。もちろん、上述した使用済み紙おむつ処理装置10では、紙おむつと同様の廃棄物を同時に処理することができる。
【0096】
また、上述した実施形態1では、開口部24から発酵材料を投入するようにしたが、特にこれに限定されず、発酵菌のみを投入する投入用開口部を設けてもよい。また、上述した実施形態1では、発酵菌等の発酵材料を処理槽21内に手動で投入するようにしたが、これに限定されず、例えば、所定量の発酵材料を自動的に投入するようにしてもよい。この発酵材料の自動投入は、例えば、開口部24の開閉に連動させて投入するようにしてもよく、一定時間毎に所定量の発酵材料を自動的に投入させるようにしてもよい。
【0097】
さらに、上述した実施形態1では、脱臭部50として脱臭触媒を用いたが、特にこれに限定されず、例えば、脱臭部として、臭気ガスを薬液(臭気成分に対する分解効果を有する)と気液接触する方法(気液接触装置)、臭気ガスの臭気成分を活性炭等の吸着材に吸着する方法(吸着装置)、臭気ガスの臭気成分をオゾン、紫外線等で分解する方法(オゾン発生装置、紫外線照射装置)などを用いるようにしてもよい。
【0098】
なお、上述した実施形態1では、特に言及していないが、例えば、切り替え手段60をガラス繊維等の断熱材で覆うようにしてもよい。これにより、さらに、供給部45の熱損失を防止できる。このとき、断熱材は、切り替え手段60の外気取入れ部64以外を覆うようにすれば、脱臭部50からの熱や脱臭部50から供給された温風によって外気取入れ部64が加熱されて、外気が加熱されるのを防止できる。
【0099】
また、一体的に形成された処理部20及び脱臭部50全体を断熱材で覆うことで、脱臭部50内の熱損失を低減させることができると共に、脱臭装置本体51の排熱を処理部20に伝えることができ、さらにエネルギー損失を低減させてCO2排出量を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の使用済み紙おむつ処理装置は、使用済み紙おむつを排出する各種事業所、使用済み紙おむつを回収して処理する廃棄物処理業などの分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態1に係る使用済み紙おむつ処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る使用済み紙おむつ処理装置の上面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る処理部の概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る処理部の要部を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る処理部の要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る使用済み紙おむつ処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る切り替え手段の断面図である。
【符号の説明】
【0102】
10 使用済み紙おむつ処理装置
20 処理部
21 処理槽
22 破砕手段
40 排気手段
50 脱臭部
60 切り替え手段
70 切り替え弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み紙おむつを粉砕処理及び発酵処理する処理槽を有する処理部と、該処理部の前記処理槽に排気部を介して連通して前記処理槽内の臭気ガスを脱臭する脱臭部とが一体的に設けられており、
前記処理槽と前記脱臭部とが、当該脱臭部内で加熱された気体を前記処理槽内に供給する供給部を介して連通されていると共に、前記供給路には、外気を取り入れ可能で且つ外気と前記脱臭部で加熱された気体の何れか一方を切り替えて前記処理槽に送風する切り替え手段が設けられていることを特徴とする使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項2】
前記排気部及び前記供給部が、前記処理槽の上面と前記処理部の上面とに亘って設けられた空間を有するものであることを特徴とする請求項1記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項3】
前記切り替え手段は、前記処理槽に連通し、且つ前記供給部に温風開口部を介して連通すると共に外部に冷風開口部を介して連通する空気溜りと、前記温風開口部を開口すると共に前記冷風開口部を閉口して前記処理槽内に前記処理部で加熱された気体を送風する加熱状態と前記温風開口部を閉口すると共に前記冷風開口部を開口して前記処理槽内に外気を送風する冷却状態とを切り替える切り替え弁と、該切り替え弁を前記加熱状態及び前記冷却状態に駆動する駆動手段とを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項4】
前記温風開口部と前記冷風開口部とが、それぞれ互いに開口面が交差する方向に配置されていると共に、前記切り替え弁が前記温風開口部を開閉する温風開閉弁と前記冷風開口部を開閉する冷風開閉弁とが連結部を介して連結されて構成されていることを特徴とする請求項3記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項5】
前記切り替え手段は、前記冷風開口部に連通する外気取入れ部を具備すると共に、当該切り替え手段と前記供給部とは、前記外気取入れ部以外が断熱材により覆われていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項6】
前記脱臭部は、前記処理槽内の雰囲気ガスを脱臭する脱臭装置と、前記雰囲気ガスを脱臭処理して得られた処理ガスを熱交換するための第1熱交換器と、該第1熱交換器から排出された処理ガスを熱交換する第2熱交換器とで構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項7】
前記第2熱交換器で熱交換された熱が、前記処理槽内の加熱に用いられていることを特徴とする請求項6記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項8】
前記処理槽内で処理した前記処理物を当該処理槽内から排出する排出手段をさらに具備することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の使用済み紙おむつ処理装置。
【請求項9】
前記処理部及び前記脱臭部が、断熱材で覆われていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の使用済み紙おむつ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−6257(P2009−6257A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169664(P2007−169664)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(504246409)株式会社スーパー・フェイズ (6)
【Fターム(参考)】