説明

供給システム

供給システムは、バルブステムが開状態に保持されるように容器に取り付けるのに適したインレット端部を含む電磁弁を含む。フローアダプタは、円筒状の壁と、この円筒状の壁内に搭載されたポストを含み、これらの間に環状の通路を規定する。フローアダプタのインレット端部は電磁弁のアウトレット端部に密封して取り付けられ、フローアダプタは散布機挿入部を環状の通路の内部に受けるように適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には揮発性物質を容器から放出するための供給システム、より詳細には揮発性物質をエアロゾル容器から放出するための内部に可変形状の散布機挿入部を受けるように適合化された可変形状のフローアダプタを含む標準の電磁弁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル容器は多様な可能な揮発性物質、例えば、空気清浄剤、脱臭剤、殺虫剤、殺菌剤、充血除去剤、香水その他を保存および供給するために一般に使用される。揮発性物質は圧縮下で保存され、エアロゾル容器上の放出バルブが揮発性物質の放出を制御する。放出バルブは、揮発性物質がここを通って流れるバルブステムを作動することで作動される。放出バルブの作動は、自動システム、例えば制御回路および電源に取り付けられたソレノイドによって達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多数の揮発性物質が存在し、これらは異なる流体特性、例えば、揮発度、粘性、表面張力を有し、あるいは流体揮発性物質の他の特性も異なるかもしれない。従って、各々の可能性のある揮発性物質は、最適な供給のためには、異なる供給システムの形状から恩恵を受ける。しかしながら、各タイプの揮発性物質の最適な供給のためにカスタマイズされた電磁弁を含む供給システムは、非常に高価である。現在、一つの解決手段が提供されており、これは多様な安価に生産可能な可変形状の散布機挿入部を受けるように適合された交換可能な一つあるいは複数の安価に生産可能な可変形状のアダプタを含む標準化された電磁弁を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によると、供給システムは、容器に、そのバルブステムが開状態に保持されるように取り付けるように適合したインレット端部を含む電磁弁を含む。フローアダプタは、円筒状の壁と、この円筒状の壁内に搭載され、これらの間に環状の通路を規定するポストとを含む。フローアダプタのインレット端部は電磁弁のアウトレット端部に密封して取り付けられ、フローアダプタは散布機挿入部を環状の通路内に受けるように適合される。
【0005】
本発明の一実施形態によると、供給システムは、容器に、バルブステムが開状態に保持されるように取付けられるように適合したインレット端部を含む電磁弁を含む。フローアダプタは、円筒状の壁と、この円筒状の壁内に搭載され、これらの間に環状の通路を規定するポストとを含む。散布機挿入部は端壁とそこから延長する円筒状のスカートを含み、この端壁を貫通して開口が配置される。フローアダプタのインレット端部は電磁弁のアウトレット端部に取り外し可能かつ密封して取り付けされ、フローアダプタは散布機挿入部の円筒状のスカートを環状の通路内に取り付けるように受ける。
【0006】
本発明のさらにもう一つの実施形態によると、供給システムは、容器に、バルブステムが開状態に保持されるように取付けられるように適合したインレット端部を含む電磁弁を含む。フローアダプタは、円筒状の壁と、この円筒状の壁内に搭載され、これらの間に環状の通路を形成するポストとを含む。散布機挿入部は端壁とそこから延長する円筒状のスカートを含み、この端壁はそれを貫通して配置された開口とその内側表面内に配置された溝とを含む。フローアダプタのインレット端部は電磁弁のアウトレット端部に密封して取り付けられ、フローアダプタは散布機挿入部の円筒状のスカートを、環状の通路内に取り付けるように受ける。溝は、散布機挿入部がフローアダプタに取り付けられたときに、環状の通路と開口との間に流体連通を提供する。
【発明の効果】
【0007】
エアロゾルディスペンサは、一般に、エアロゾル容器内に蓄えられている多様な揮発性の物質、例えば、空気清浄剤、脱臭剤、殺虫剤、殺菌剤、充血除去剤、香水その他を供給するために用いられる。エアロゾル容器のための自動バルブ作動システムは、その中身を人の介在なしに、例えば、所定の時間スケジュールに従って放出することを可能にする。多様な揮発性物質は、各々、特定のバルブ形状で最適に供給することができる。一つあるいは複数の可変形状のフローアダプタを含む標準の電磁弁が提供され、各アダプタはその標準の電磁弁の端に取り付けられるように適合化されている。各アダプタは、その中に可変形状の散布機挿入部を挿入できるように適合化された環状の通路を規定するポスト及び樽構造を含む。可変形状の散布機挿入部は、多様な流体および用途に対して安価に製造することができ、標準の電磁弁、および各々の多様な流体を最適に供給するのに適した可変形状のフローアダプタと共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一つのタイプのエアロゾル容器の等角投影図である。
【図2】図1のエアロゾル容器の一つのタイプのエアロゾルバルブの断面図である。
【図3】一実施形態の供給システムの側面図である。
【図4】図3の供給システムの平面図である。
【図5】概ね図4の線5−5に沿って切断された図3の供給システムを、非作動状態のエアロゾル容器の上端と組み合わせた断面図である。
【図6】作動状態で示す図5の供給システムの断面図である。
【図7】図5に示したものと類似のもう一つの実施形態による供給システムの概ね図4の線5−5に沿って切断した断面を、エアロゾル容器の異なる上端と組み合わせた断面図である。
【図8】一実施形態の散布機挿入部の底面図である。
【図9】図8の散布機挿入部の、概ね図8の線9−9に沿って切断した断面図である。
【図10】図5に示した供給システムと、これに取り付けた図8の散布機挿入部の、概ね図4の線5−5に沿って切断した、明確にする目的で断面の背後の部分除去した拡大した断面図である。
【図11A】異なる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図11B】異なる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図11C】異なる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図11D】異なる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図11E】異なる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図11F】異なる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図12】もう一つの実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13A】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13B】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13C】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13D】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13E】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13F】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【図13G】さらなる実施形態による散布機挿入部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
関連出願の相互参照
適用せず
【0010】
連邦政府による委託研究もしくは開発に関する参照
適用せず
【0011】
順序リスト
適用なし
【0012】
本発明の他の特徴および長所が以下の詳細な説明を読むことで明らかになる。ここで同様の構造は同様の参照符号を有する。
【0013】
図1および図2は、当分野において周知の一つのタイプのエアロゾル容器20を示す。エアロゾル容器20は主部22と、この上端26に開口24を備える。搭載キャップ28が、主部22の上端26を密封するために容器20の開口24にかしめられる。搭載キャップは、形状は概ね円形で、クリンピングの領域に隣接して搭載キャップ28の底部32から上方に延長する外壁30を含む。台座34も底部32の中央部分から上方に延長する。バルブアセンブリ35は、バルブステム36と、バルブの主部37と、バルブスプリング38を含む。バルブステム36は台座34を貫通して延長し、ここで遠位端39は台座34から離れた上方に延び、近位端40はバルブの主部37内に配置される。バルブの主部37は搭載キャップ28の内側44内に固定される。ディップチューブ46がバルブの主部37に取り付けられてもよい。ディップチューブ46は容器20の主部22の内部へと下方に向かって延長する。ボタンもしくは他のアクチュエータ(図示せず)がバルブステム36の遠位端39上に組み立てられる。ユーザは、バルブアセンブリ35を開くために、このボタンもしくは他のアクチュエータを押し下げる。バルブアセンブリ35が開かれると、容器の内側と大気との間の圧力差によって、容器20の中身がバルブステム36の穴50と、ボタンもしくは他のアクチュエータの出口穴(図示せず)を通って外に押し出される。本開示は本出願人の発明をエアロゾル容器20と類似するエアロゾル容器と関連付けて説明するが、本発明は当業者において知られているあらゆるタイプのエアロゾル容器と実施してもよい。
【0014】
図3から5は電磁弁102とフローアダプタ104を含む一実施形態の供給システム100を示す。電磁弁102はソレノイドコイル106を含み、これはボビン108のまわりに巻き付けられる。ソレノイドコイル106は、好ましくは、ワイヤーから作られ、これは銅線もしくは当業者において周知の任意の他のワイヤーであり得る。ボビン108は、好ましくは、非磁性の熱可塑性物質、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、もしくは任意の他の熱可塑性物質から作られる。絶縁テープ110がソレノイドコイル106の周囲に提供されるが、これは任意のタイプの非電導性テープであってもよい。
【0015】
金属電機子112がボビン108内にはめ込まれ、ボビン108の縦軸114に沿って自由に動く。金属電機子112は、金属、例えば、SUS416ステンレス鋼、もしくは当業者においてソレノイド電機子として利用するために周知の任意の他の金属から作られる。金属電機子112は、このインレット端部118内にインレットリセス116を、このアウトレット端部122内にアウトレットリセス120を含む。金属電機子112とボビン108との間のギャップもしくはスペース(図示ぜず)は、流体が金属電機子112のまわりをそのインレット端部118からアウトレット端部122へと流れることを許容する。密封バルブシート124がインレットリセス116内に搭載され、スプリング126がアウトレットリセス120内に搭載される。スプリング126は、金属、例えば、SUS304ステンレス鋼などのスプリング鋼から作られる。
【0016】
インレットポート128がボビン108のインレット端部130内に提供され、隆起した環状の面132によって取り巻かれる。フェースプレート134がボビン108のアウトレット端部136に取り付けられる。O−リング138がフェースプレート134とボビン108のアウトレット端部136の間に配置され、これらの間の流体密封が提供される。O−リング138(および密封シート124)は、好ましくは、当業者において周知の密封材、例えば、ニトリルゴムを含む。アウトレットポート140がフェースプレート134内のアウトレットリセス120の反対側に提供される。
【0017】
図5を参照すると、供給システム100が非作動状態で示されている。ソレノイドコイル106に電圧を加えられていないときは、スプリング126が密封バルブシート124を隆起した環状の面132に対して押しつけ、これらの間に密封を形成する。ソレノイドコイル106に電圧を加えられると(図6参照)、電機子112が磁気的にアウトレットポート140に向かって押され、スプリング126が圧縮され、インレットポート128のところで密封バルブシート124と隆起した環状の面132との間の密封が開かれる。フレーム142は内側に向かって延長する環状の端壁144と概ね円筒状のスカート146を含む。フレーム142はボビン108の周囲に取り付けられ、フェースプレート134をボビン108のアウトレット端部136に対して密封して保持するための構造的な強度を提供する。フレーム142およびフェースプレート134は、好ましくは、ソレノイドコイル106により生成される磁束をフレーム内に集中させることができる金属から作られ、例えば、SPCC冷間還元炭素鋼板が利用できる。フローアダプタ104が電磁弁102のアウトレット端部148に取り外し可能に取り付けられる。O−リング150がフローアダプタ104と電磁弁102のアウトレット端部148との間に配置され、これらの間の流体密封を提供する。
【0018】
フローアダプタ104は端壁152を含み、ここから円筒状の壁154がぶら下がる。ポスト156が円筒状の壁154内に、例えば中間壁158を介して搭載される。環状の通路160がポスト156と円筒状の壁154との間に形成される。供給穴159は中間壁158のインレット側と環状の通路160との間に流体連通を提供する。ポスト156のアウトレット端162は円筒状の壁154のアウトレット端部164を越えて延長する。環状の通路160は内側表面166と外側表面168を含み、環状の壁154は外側表面170を含む。フローアダプタ104は電磁弁102に当業者に周知の取付け方法で取り外し可能に取り付けられる。本実施形態においては、フローアダプタはフレーム142内にスナップフィットされる。具体的には、リブ172が端壁152の周を取り囲み、溝174がフレーム142の内側表面176を取り囲む。フローアダプタ104が軸方向に下方にフレーム142に向かって押されると、リブ172が溝172内に固定され、O−リング150が圧縮され、フローアダプタ104と電磁弁102のアウトレット端部148との間に密封が提供される。
【0019】
電磁弁104はさらにボビン108の外側表面180のまわりにそのインレット端部130に近接して配置された外周溝178を含む。密封ワッシャ182がボビンのインレット端部130内に圧入される。密封ワッシャ182は密封材、例えば、ニトリルゴムから作られ、インレットポート128と位置を合わせた開口184を含む。
【0020】
ここに説明されているように、フローアダプタ104の利用は、標準の電磁弁102を任意の様々な異なる流体と共に用いることを意図する。供給システム100は、様々なフローアダプタから選択された特定のタイプのフローアダプタ104を取り付けることで、特定の流体もしくは特定の用途に対してカスタマイズすることができる。例えば、環状の通路160の大きさは、特定の用途に用いるため、拡大あるは縮小することができる。フローアダプタ104は、電磁弁102と比較して、設計および製造が比較的安価であり、例えば、熱可塑性の材料を射出成形することで大量生産してもよい。安価に製造でき、かつカスタマイズ可能なフローアダプタを、専用の撒布機挿入部および標準の電磁弁とつないで用いることで、様々な製品を低い生産コストでの効果的な供給に柔軟性を与える。
【0021】
ボビン108のインレット端130は、バルブステムが開状態(図6参照)に保持されるように、容器20(図1および2を参照)に類似する容器に取り付けられるように適合されている。図5および6を例示的に参照すると、一実施形態の容器186は、容器186の端190から突き出るバルブステム188を含む。スカート192が端190から離れて突き出し、バルブステム188を取り巻く。スカート192の遠位端196で内側に突き出るリップ194は、密封ワッシャ182がバルブステム188の周囲に密封的に取り付けられたとき、溝178内にパチッとはまるような寸法と配置にしてもよい。このような取り付け方は、同時に密封ワッシャ182の面198をバルブステム188の遠位端200に対して押しつけ、バルブステム188を容器186に向かって押し付け、これを開状態にする。こうして、リップ194が、供給システム100を容器186に取り付け、バルブステム188が開状態に維持するために、溝178内にパチッとはまる。
【0022】
図7に示されているもう一つの実施形態の供給システム300は、図3から6に関して上で説明した供給システム100と類似するが、以下の点が異なる。図7を参照すると、供給システム300は電磁弁302と、取り外し可能に取り付け可能なフローアダプタ304を含む。電磁弁302は縦方向に密封ワッシャ182を越えて突き出る円筒状のスカート306を含む。円筒状のスカート306の遠位端308は内側に向かってぶら下がる環状のリップ310を含む。一実施形態の容器386はその端390から突き出るバルブステム188を含む。スカート392が端390から離れて突き出し、バルブステム188を取り巻く。供給システム300が容器386に向かって押しつけられると、スカート392の遠位端396のところの外方向に突き出る環状のリップ394と内側に向かってぶら下がる環状のリップ310とは、供給システム300に容器386を取り付けるために、お互いを通してパチッとはまるような大きさと配置にする。このような取り付けは、さらに密封ワッシャ182の面198がバルブステム188の遠位端200に対して押しつけられ、バルブステム188が容器186に向かって押され、開状態にされる。こうして、外方向に突き出る環状のリップ394と内側に向かってぶら下がる環状のリップ310とが互いに通過してパチッとはまり、供給システム300を容器386に取り付け、バルブステム188を開状態に保持する。
【0023】
図8と9を参照すると、一実施形態の散布機挿入部400が示され、これは端壁402とここから延長する円筒状のスカート404を含む。端壁402の内側面表408内にはリセス406が提供される。開口410が端壁402内を貫通して延長する。端壁402の内側表面408はさらに溝412を含み、これはリセス406から円筒状のスカート404の内側表面414へと達する。
【0024】
図10を参照すると、散布機挿入部はフローアダプタ、例えばフローアダプタ104に、円筒状のスカート404を環状の通路160内に圧入することで取り外し可能に取り付けてもよい。円筒状のスカート404の外側表面416は、環状の通路160の外側表面168に対する摩擦接触で保持される。また、散布機挿入部400は内側表面414から離れて延長する一つもしくは複数のステップ415を含む。ステップ415は、散布機挿入部400をフローアダプタ104内に正確に収め、中央に保つのを補助するために、面166でポスト156と接線方向に係合する面417を提供する。面417は図8、11A、11E、および13A〜13Gに示されるような真っ直ぐな面であってもよく、あるいは図11B〜11D、11Fおよび12に示されるような湾曲した面であっても良い。
【0025】
散布機挿入部400がフローアダプタ104に挿入されると、リセス406を取り巻く内側面408の中央部分とポスト156のアウトレット端部162との接触は、内側表面408の中央部分とリセス406を環状の通路160との流体連通から、溝412を除いて、遮断する。電磁弁102を通過する流体はインレットポート128からアウトレットポート140へと、電機子112とボビン108の壁との間のスペースを介して通過する。流体はアウトレットポート140から出て環状の通路160を通過し、溝412へと向かう。流体は、開口410を通って散布機挿入部400から出る前に、溝412を通過し、リセス406にでる。
【0026】
図8および9に関して上で説明した散布機挿入部400は、リセス406は概ね円形であり、リセス406の周に対して概ね接線方向にリセス406を入れる溝412示す。しかしながら、散布機挿入部分400は、リセス406および溝412についての様々な可能な形状のたった一つの例示に過ぎない。散布機挿入部の他の実施形態(例えば、図12参照)は、開口410に供給する1つの(もしくは複数の)溝602〜610を含み、これに加えてリセスを含むことはない。また、一つもしくは複数の溝602〜610は、真っ直ぐもしくは平行ではない側壁を含み、溝の断面積をそのインレット端部とアウトレット端部との間で変化させることも、あるいは第一の側壁から溝内へと延びる突起を含み、このまわりでは乱流が生じるように流れが分離してもよい。
【0027】
図11A〜11Fを参照すると、各々が中央のリセスを有する複数の散布機挿入部が示されている。溝は概ね円形のリセス406に、リセス406の周囲に対して任意の角度で、リセス406の周囲に対して概ね接線方向から概ね直角方向を含む間の角度で入ってもよい。例えば、図11Aの散布機挿入部450に示されるように、溝418はリセス406に、その周囲に対して概ね直角に入る。散布機挿入部の他の実施形態においては、円筒状のスカート404の内側表面414からリセス406へと向かう2つあるいはそれ以上の溝が存在してもよい。例えば、図11Bに示されるように、撒布機挿入部460の実施形態においては、2つの溝420、422が、その周に対して概ね接線方向で各々リセス406に入る。図11Cのもう一つの例に示すように、一実施形態の散布機挿入部470は、その周囲に対して概ね接線方向にリセス406を入れる第一の溝424と、その周囲に対して概ね直角にリセス406を入れる第二の溝426を含む。
【0028】
リセス406の形状、入る角度、およびリセス406に入る溝の数を調整することは、特定の流体あるいは散布の用途に対して要求される渦および/あるいは混合パターンを選択することが可能になる。図11Dは、各溝が概ね円形のリセス406をその周囲に対して接線方向に入れる3つの溝428、430、および432を含むもう一つの実施形態の散布機挿入部480を示す。溝428、430および432は各々リセス406に反時計回りに入りのように示されているが、しかしながら、溝428、430および432の一つもしくは複数は、残りの一つもしくは複数の溝とは反対にリセス406に時計回り(図示せず)に入り、リセス406内での混合を促進させてもよい。
【0029】
リセス406は、上では概ね円形の形状を有するものとして示されたが、しかしながら、開口410を通って出る流体の散布に渦、乱流、混合もしくは他の効果を促すのに望ましい任意の形状を利用してもよい。例えば、リセス406は多角形、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等であっても良く、ここでこのリセスは辺の数をさらに増加させて行くと最終的には概ね円形の形状に接近する。図11Eは、概ね矩形(正方形は矩形であると理解される)のリセス496を含む一実施形態の散布機挿入部490を示す。4つの溝434、436、438、および440は各々リセス496にその周囲に対して直角に入る。図11Fに示されるように、さらにもう一つの実施形態による散布機挿入部分500は4つの溝442、444、446、および448が、各々概ね矩形のリセス496をその周囲に対して接線方向に入れる。
【0030】
図12に示される、さらなる実施形態の散布機600は、5つの溝602、604、606、608、および610を含み、中央のリセス409、496は含まない。本実施形態においては、溝602、604、606、608、610の出口端部は開口410を供給し、これら溝の一つから出る流体は、開口410を通って出る前に、任意の他の溝から出る流体と直接相互作用してもよい。散布機挿入部分600のような散布機挿入部は、特定の用途によって所望のまたは要求される6つもしくはそれ以上の溝を有するように製造することもできる。事実、ある散布機挿入部内に設けられる溝の実際の数は、製造上の問題および挿入部の大きさによってのみ制限される。
【0031】
ここで図13A〜13Gを参照すると、散布機挿入部の複数の実施形態が示され、各々が真っ直ぐもしくは平行ではない側壁によって規定される一つもしくは複数の溝を有する。例えば、図13Aに示されるように、散布機挿入部620は4つの溝622を含み、各々は、その出口端626の近傍において溝622内へと曲がる側壁の部分624を有する。散布機挿入部620はリセス406、496を有さない。図13Bを参照すると、もう一つの実施形態の散布機挿入部630は、図13Aに関して説明された散布機挿入部620と類似するが、散布機挿入部630は4つの溝632を含み、各々がその出口端部636の近傍に、そこへと延びる概ね矩形の突起634を含む点が異なる。本実施形態は概ね矩形のリセス496を有する。図13Cを参照すると、もう一つの実施形態の散布機挿入部460は、図13Bに関して説明された散布機挿入部630と類似するが、散布機挿入部460が4つの溝642を含み、各々が鋭い内側の角646を有し、その出口端部648の近傍に溝642内へと延びる概ね矩形の突起644を含む点が異なる。さらにもう一つの実施形態の散布機挿入部650は、図13Dに示されるように、一つのリセス496と4つの溝652を含み、各溝はその出口端部656の近傍に溝652内へと曲がる側壁の部分654を含む。
【0032】
図13Eを参照すると、もう一つの実施形態の散布機挿入部660は、図13に関して説明された散布機挿入部640と類似するが、散布機挿入部660は4つの溝662を含み、各々はその出口端部666の近傍で、その中へと延びる概ね半円形の突起664を含む点が異なる。図13Fは、図13Eに関して説明された散布機挿入部660と類似するさらにもう一つの実施形態の散布機挿入部670を示し、散布機挿入部670が概ね円形のリセス406を有する点で異なる。図13Gに示されているように、もう一つの実施形態の散布機680は、4つの溝682を含み、各々は第一の側壁685から溝682内へと延びる突起684を含む。各溝682はさらに突起684より下流に配置され、断面積を減少させるように溝682内へと湾曲する第二の反対側の側壁687の部分686を含む。
【0033】
上で説明されたような散布機挿入部分、例えば、400、450、460、470、480、490、500、600、620、630、640、650、660、670および680のいずれも、熱可塑性物質、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、あるいは当業者に周知の他の熱可塑性物質を射出成形することで安価に製造してもよい。取り外し可能に取り付けることができる散布機挿入部と、標準の電磁弁102、302につないだ取り外し可能に取り付けることができるフローアダプタ104、304とを共に含む供給システムは、このような供給システムを多様な異なる流体および散布の用途で用いるための大きな柔軟性を与え、生産コストを低減した、より大きな経済的利益をもたらす。
【0034】
ここに説明された実施形態のいずれもが、異なる実施形態との関連で開示された構造あるいは方法のいずれかを含むように変更することができる。さらに、本発明はここに具体的に説明されたタイプの容器、あるいは、ここで具体的に説明された容器を供給手段に、フローアダプタを電磁弁に、あるいは散布機挿入部をフローアダプタに取り付ける方法に限定されるものではない。更に、ここに説明された任意の実施形態における容器への接続方法は、チルト作動式バルブステムを有するあらゆるタイプの流体容器と共に機能するように変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
エアロゾルディスペンサは、一般に、エアロゾル容器内に蓄えられている多様な揮発性の物質、例えば、空気清浄剤、脱臭剤、殺虫剤、殺菌剤、充血除去剤、香水その他を供給するために用いられる。エアロゾル容器のための自動バルブ作動システムは、その中身を人の介在なしに、例えば、所定の時間スケジュールに従って放出することを可能にする。多様な揮発性物質は、各々、特定のバルブ形状で最適に供給することができる。一つあるいは複数の可変形状のフローアダプタを含む標準の電磁弁が提供され、各アダプタはその標準の電磁弁の端に取り付けられるように適合化されている。各アダプタは、その中に可変形状の散布機挿入部を挿入できるように適合化された環状の通路を規定するポスト及び樽構造を含む。可変形状の散布機挿入部は、多様な流体および用途に対して安価に製造することができ、標準の電磁弁、および各々の多様な流体を最適に供給するのに適した可変形状のフローアダプタと共に使用することができる。
【0036】
当業者においては上述の説明から本発明に対する様々な変更が明らかであろう。従って、ここでの説明はもっぱら解説のためであり、当業者が本発明を製造および使用することができるようにするため、および本発明を実施するための最良の形態を教示する目的で提示されたことを理解されるべきである。添付のクレーム内に入る全ての変更に対する排他的権利が保持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブステムが開状態に保持されるように容器に取り付けるのに適したインレット端部を含む電磁弁と、
円筒状の壁と、前記円筒状の壁の内部に搭載されたポストを含み、その間に環状の通路を規定するフローアダプタと、を含み、
前記フローアダプタのインレット端部は前記電磁弁のアウトレット端部に密封して取り付けられ、前記フローアダプタは前記環状の通路に内部に散布機挿入部を受けるように適合される供給システム。
【請求項2】
前記フローアダプタは前記電磁弁の前記アウトレット端部に取り外し可能に取り付けられる請求項1の供給システム。
【請求項3】
前記フローアダプタの前記インレット端部と前記電磁弁の前記アウトレット端部との間にO−リングが配置される請求項1の供給システム。
【請求項4】
前記電磁弁の前記アウトレット端部は前記電磁弁のボビンに取り付けられた環状のフェースプレートを含み、前記環状のフェースプレートと前記ボビンとの間に第二のO−リングが配置される請求項3の供給システム。
【請求項5】
前記電磁弁は通常は閉じている請求項1の供給システム。
【請求項6】
前記電磁弁は、インレット端部とアウトレット端部にインレットリセスとアウトレットリセスをそれぞれ有する電機子を含み、前記アウトレットリセスはスプリングを収容し、前記インレットリセスにはバルブシートが配置される請求項5の供給システム。
【請求項7】
前記ボビンのインレット端部を通して配置されるインレットポートは前記容器のバルブステムと前記バルブシートとの間に流体連通を提供し、前記インレットポートは隆起した環状の面によって取り囲まれ、前記バルブシートは前記電磁弁が閉じられたとき前記環状の面に対して密封を形成する請求項6の供給システム。
【請求項8】
前記電磁弁が開かれると、流体連通が、前記インレットポートから前記電磁弁のアウトレット端部を貫通して配置されたアウトレットポートへと、前記電機子と前記ボビンの壁との間の空間を介して提供される請求項7の供給システム。
【請求項9】
バルブステムが開状態に保持されるように容器に取り付けるのに適したインレット端部を含む電磁弁と、
円筒状の壁と、前記円筒状の壁内に搭載されたポストを含み、その間に環状の通路を規定するフローアダプタと、
端壁とそこから延長する円筒状のスカートを含む散布機挿入部とを含み、
前記端壁を貫通して開口が配置され、前記フローアダプタのインレット端部は前記電磁弁のアウトレット端部に取り外し可能かつ密封して取り付けられ、前記フローアダプタは前記散布機挿入部の前記円筒状のスカートを前記環状の通路の内部に取り付けるために受ける供給システム。
【請求項10】
前記散布機挿入部の前記スカートの外側表面は、前記環状の通路の外側表面に取り外し可能に取り付けられる請求項9の供給システム。
【請求項11】
前記端壁を貫通して配置される開口は前記端壁の内側表面のリセス内に配置され、前記端壁の内側表面に溝がさらに配置され、前記散布機挿入部が前記フローアダプタに取り付けられたときに、前記溝は前記環状の通路と前記リセスとの間に流体連通を提供する請求項10の供給システム。
【請求項12】
溝前記は前記リセスの周に対して概ね接線方向に前記リセスを入れる請求項11の供給システム。
【請求項13】
バルブステムが開状態に保持されるように容器に取付けるのに適したインレット端部を含む電磁弁と、
円筒状の壁と、前記円筒状の壁内に搭載されたポストを含み、その間に環状の通路を規定するフローアダプタと、
端壁とそこから延長する円筒状のスカートを含む散布機挿入部とを含み、
前記端壁はそれを貫通して配置された開口とその内側表面に配置された溝とを含み、前記フローアダプタのインレット端部は前記電磁弁のアウトレット端部に密封して取り付けられ、前記フローアダプタは前記環状の通路の内部に取り付けるために前記散布機挿入部の前記円筒状のスカートを受け、前記散布機挿入部が前記フローアダプタに取り付けられたときに、前記溝は前記環状の通路と前記開口との間に流体連通を提供する供給システム。
【請求項14】
前記フローアダプタは前記電磁弁の前記アウトレット端部に取り外し可能に取り付けられる請求項13の供給システム。
【請求項15】
前記散布機挿入部の前記スカートの外側表面は、前記環状の通路の外側表面に取り外し可能に取り付けられる請求項13の供給システム。
【請求項16】
前記端壁は、その内側表面に配置され、前記開口と流体連通する2つあるいはそれ以上の溝を含む請求項13の供給システム。
【請求項17】
前記2つあるいはそれ以上の溝の少なくとも1つは、そのインレット端部とアウトレット端部との間で変動する断面積を有する請求項16の供給システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの溝は第一の側壁から前記溝へと延びる突起を含む請求項17の供給システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの溝は、更に、前記突起の下流に配置され、前記断面積が減るように前記溝へと湾曲する第二の側壁の部分を含む請求項18の供給システム。
【請求項20】
前記端壁の内側表面にリセスが配置され、前記リセスは前記開口を取り巻き、前記2つあるいはそれ以上の溝のアウトレット端部と流体連通する請求項16の供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【公表番号】特表2012−513347(P2012−513347A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542144(P2011−542144)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/006673
【国際公開番号】WO2010/074749
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】