説明

侵食可能なフォーム基材及び活性剤の制御放出システムを有する洗浄用具

洗浄用具(1)は、メラミンフォーム基材(2)のような、侵食可能なフォーム基材(2)と、活性剤を含む制御放出システムとを含む。この制御放出システムは、ポリマーマトリックス、マイクロカプセル、粒子状の多孔質担体、錯化剤、半透過性フィルム及びそれらの組合せから成る群から選択される成分を含み、活性剤は界面活性剤、漂白剤、ライムスケール還元剤、殺生物剤、溶媒、及びそれらの混合物から成る群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用具に関する。より具体的には、本発明はメラミンフォーム基材のような、侵食可能なフォーム基材を含有する洗浄用具に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書ではメラミンフォームと称するメラミンホルムアルデヒド樹脂フォーム、及び硬表面洗浄におけるフェノールフォームのような、侵食可能なフォームの使用は周知である。実際に、硬表面から汚れ及び/又は染みを除去するために、切断された/成型されたメラミンフォームの洗浄用具が、普及している。メラミンフォームは、ミスタークリーンマジックイレイサー(Mr. Clean Magic Eraser)(商標)の商品名で現在幾つかの国で市販されている。
【0003】
メラミンフォームは、硬表面を洗浄する際に、水道水などの適切な溶媒で湿潤され、かつ汚れた表面と接触させて拭き取るのに使用された場合、優れた汚れ及び/又は染み除去性能を示す。「拭き取る」、「拭き取られた」、「拭き取っている」とは、洗浄すべき表面の上に手の力を加えるように拭き取る、拭う、擦ることなどを意味する。メラミンフォームは、硬表面から汚れ及び/又は染みを除去するのに概してかなり効果的であるが、消費者は、擦る力を余分に加えてもある特定の種類の厄介な染みをメラミンフォームで除去するのは依然として難しいと感じる可能性がある。例えば、食物からの日常的な接着樹脂様又は半固形変性オイル染み、紅茶、コーヒー、果汁、草、及びカロチノイド染みのような着色染み、油性マジック及びインク、カビ及び白カビ、真菌等は、普通のメラミンフォームで除去するのは難しいことが多い。
【0004】
ある特定のタイプの厄介な染み上での、メラミンフォームのようなスポンジの洗浄性能を向上させるために、スポンジを洗剤組成物と共に使用してよい。スポンジ及び洗剤は、キットで別々に提供されることができ、あるいはスポンジは洗剤で含浸されてもよい。しかしながら、消費者は洗剤組成物を適用してから擦るのは依然として不便であると感じる可能性がある。活性剤を含浸したスポンジは、余りにも急速に活性剤を放出する傾向があり、最初の何回かの使用後に活性剤のかなりの損失を招く。したがって、活性剤が使い切られると洗浄特性の低下が観察される。また、活性剤が1回目又は2回目の使用において極めて急速に放出する場合、高い濃度の活性剤により余分のすすぎを必要とし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、厄介な染みを洗浄でき、活性剤の制御放出を提供し、使用に便利である、改善された洗浄用具に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、侵食可能なフォーム基材、並びに界面活性剤、漂白剤、ライムスケール還元剤、殺生物剤、溶媒、及びそれらの混合物から成る群から選択される活性剤を含む制御放出システムを含む洗浄用具を包含する。
【0007】
本発明は、本明細書の洗浄用具を用いた硬表面の洗浄方法を更に包含する。
【0008】
驚いたことに、制御放出システムを活性剤及び侵食可能なフォーム基材と組み合わせることによって、硬表面の厄介な染みに対する洗浄用具の洗浄性能が大幅に改善されることが今や分かっている。同時に、洗浄用具中の活性剤の寿命が延長され、改善された洗浄性能が長期間にわたってもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特に指示がない限り、本明細書のすべての百分率、比率及び割合は「重量基準」とし、本明細書のすべての温度は摂氏温度(℃)とする。
【0010】
本明細書で使用する時、「平均粒径」とは、顕微鏡測定のような、従来の解析技術によって測定される、所与の粒子物質の容量による平均粒径を意味する。
【0011】
洗浄用具
本明細書の洗浄用具は、洗浄、即ち、硬表面から汚点及び/又は染みを除去するのに適した任意の好適な形状及び/又はサイズ及び/又は容量の製造物品である。本明細書の洗浄用具は、侵食可能なフォーム基材及び中に活性剤を有する制御放出システムを含む。本明細書の「侵食可能なフォーム」とは、小さい粒子に砕け、摩擦によって剥がれるフォームを意味する。本明細書の有用な侵食可能なフォームには、メラミンフォーム、フェノールフォームなどが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書の一実施形態では、侵食可能なフォームは、約5〜約1000kg/m3、又は約6〜約500kg/m3、又は約7〜約300kg/m3の範囲にある密度、及びDIN66131に従って測定して、約0.1〜約50m2/g、好ましくは約0.5〜約20m2/gの範囲にあるBET表面積を有する連続気泡フォームである。本明細書で使用する時、「連続気泡フォーム」とは、DIN ISO 4590に従って測定して、すべての薄層の少なくとも50%、又は約60%〜約100%、又は約65%〜約99.9%が開いているフォームを意味する。前記気泡は、例えばチャネルのような形状にすることができ、断面の顕微鏡写真の評価により決定して、約1μm〜約1mm、又は約50μm〜約500μmの範囲の平均孔直径(数平均)を有することができる。
【0012】
本明細書の別の実施形態では、洗浄用具に含有される活性剤の約5重量%〜20重量%、又は約10重量%〜15重量%が、洗浄用具に自由形態で存在して、制御放出システム中の活性剤がまだ十分に放出されない可能性がある最初の何回かの使用において活性剤が使用可能であることを確実にする。制御放出システムと対照的に使用されるように、「自由形態の活性剤」とは、活性剤が、洗浄用具からの放出が意図的に制御又は持続されない純粋な形態で洗浄用具に供給されることを意味する。
【0013】
本明細書の洗浄用具に適した形状は、立方体形状、直方形状、角錐形状、円筒形状、円錐形状、斜四角柱形状、直平行6面体形状、四面体形状、球体形状、球状形状、及び楕円体形状から成る群から選択されてよい。本明細書中の「斜四角柱形状」とは、6つの壁面を有し、平行で等しい形状及び大きさの3対の壁面が存在し、1対の壁面が平行四辺形の形状であり、残りの2対の壁面が長方形状である、嵩高い物体を意味する。
【0014】
洗浄用具は、その意図された用途に適切ないかなる厚さ及び容量を有してもよい。侵食可能なフォーム基材は、約30mm未満、又は約2mm〜約15mm、又は約5mm〜約10mmの厚さを有してもよく、約50mm3〜約600cm3、又は約80cm3〜約300cm3、又は約150cm3〜約275cm3の総容量を有する。洗浄用具が、1つ以上の追加の基材を含む場合、それぞれの追加の基材はその意図した用途に適切な任意の厚さ及び容量を有し得る。本明細書の一実施形態では、各追加の基材は約30mm未満、又は約2mm〜約15mm、又は約5mm〜約10mmの厚さを有する。「厚さ」とは、基材の他の辺に比べて最も短い伸長を有する辺の、mm単位の長さ(基材の高さ)を意味する。洗浄用具が、不規則な形状に基づいている、且つ/又は基材の厚さの伸長が様々である場合、少なくとも1度、基材の厚さが本明細書における厚さを超えて伸びれば十分である。
【0015】
侵食可能なフォーム基材は、市販のメラミンフォーム基材、例えば、BASFからのバソテクト(Basotect)(商標)であってよい。メラミンフォームの調製は、当該技術において既知であり、例えば、PCT国際特許WO2006/017298に記載されている。メラミンフォームは、典型的には約20μm〜約500μm、又は約50μm〜約200μmの孔径を有する。ビーズ又は粉末の制御放出システムは、乾式噴霧によりメラミンフォーム基材内に充填されることができる。このような場合には、本明細書のメラミンフォームは、制御放出システムのメラミンフォーム基材内への浸透を容易にするように、ビーズ又は粉末の孔径に比べてより大きな孔径を有してもよい。本明細書の別の実施形態によれば、侵食可能なフォーム基材はフェノールフォーム基材である。
【0016】
本明細書の洗浄用具は、第2の侵食可能なフォーム基材又は侵食可能なフォーム基材とは異なる材料の基材などの、1つ以上の追加の基材を含んでもよい。このような追加の基材(単数又は複数)は、第1の侵食可能なフォーム基材又は別の追加の基材(単数又は複数)に直接取り付けられてもよい。図1は、メラミンフォーム基材(2)と、接着結合手段(4)によりメラミンフォーム基材(2)に取り付けられた第2の基材(3)とを有する洗浄用具(1)を示す。追加の基材は、例えば、吸収性基材、拭き取り基材、支持基材、擦り基材又は握り基材としての役目を果たすなど、第1の侵食可能なフォーム基材とは異なる機能を果たしてもよい。追加の基材が、握り基材として設計される場合、制御放出システムは、第1の侵食可能なフォーム基材内に充填され、使用中に第1の侵食可能なフォーム基材から追い出される。握り基材だけを握ることによって、手が活性剤に接触するのを最小限にすることができる。好ましくは、握り基材を握り、第1の侵食可能なフォーム基材で洗浄すべき表面に接触するように使用者を導くために、異なる色、マーキング、言葉等のようなしるしが含まれる。
【0017】
追加の基材(単数又は複数)が、侵食可能なフォーム基材ではない場合、この追加の基材は、セルロースフォームスポンジ、自然に発生するスポンジ若しくは不織布、又は更にポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリウレタン−エーテル、ポリウレタン−エステル、ポリエチレン−ビニルアセテート、ポリエチレン−メタクリレート、等のような、ウレタン、プロピレン、エチレン、ビニルアセテート、エステル、アクリレート、エーテル及びそれらの混合物から成る群から選択されるモノマーを含むポリマーのフォームから製造できる。第2の基材は、液体を吸収できるが、目で見えるほどは膨潤しない、フォーメックスL.P.(Foamex L.P.)からのセルレックス(Cellulex)(商標)のような、親水性のエステルポリウレタンフォームであってよい。米国特許第6,756,416号を参照のこと。
【0018】
追加の基材は、メラミンフォームよりも疎水性であってよく、握り基材として使用されることができる。代表的な疎水性基材は、ウレタン、プロピレン、エチレン、ブタジエン、スチレン、ビニルアセテート、シリコン、エステル、アクリレート、エーテル、酢酸セルロース、スチレン、シリコン、天然ラテックス、ゴム、塩化ビニル、フルオロエチレン及びそれらの混合物から成る群から選択されるモノマーを有するポリマーの独立気泡フォームが挙げられ、ゾートフォーム社(Zotefoams plc)(クロイドン(Croydon)、英国)から入手可能なプラスタゾート(Plastazote)(商標)、エバゾート(Evazote)(商標)、スパゾート(Supazote)(商標)、プロパゾート(Propazote)(商標)、及びかなりの割合の疎水性ポリマー/材料で製造されるFR、FM、CN又はSDフォームグレードとして入手可能である。
【0019】
図2は、斜四角柱形状を有するサンドイッチ型の形状で3層の基材を有する洗浄用具(10)を示し、2つの外側基材(11)及び(12)の少なくとも1つはメラミンフォーム基材である。中間基材(13)は、液体不透過性基材であり、制御放出システムは、基材(11)及び(12)の一方に含有される。例えば、活性剤を含有するこの制御放出システムは、基材(12)内のみに充填されてもよく、また中間基材(13)は液体不透過性基材である。この場合、活性剤は基材(12)のみから放出され、基材(11)は、握り基材として使用されることができる。前述の疎水性フォーム基材又は高バリア疎水性不織布若しくはプラスチックフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、テフロン(Teflon)(商標)等、液体不透過性基材として有用な材料が知られている。
【0020】
本発明書の洗浄用具が、1つ以上の基材又は半透過性フィルムを含む場合、侵食可能なフォーム基材、半透過性フィルム及び追加の基材(単数又は複数)は、基材とフィルムとを接合するのに適した任意の結合手段によって取り付けられてよい。この結合手段は、所望に応じて恒久的(基材に実質的な損傷を与えずに2つの基材を分離できない)又は一時的(基材に実質的な損傷を与えずに2つの基材を分離し得る)のどちらでもよい。好適な恒久的結合手段としては、恒久的な接着剤、フォームフレーム積層、基材及び/又はフィルムを共に縫合又はニードルパンチすること、並びにそれらの組合せが挙げられる。基材又はフィルムはまた、恒久的な接着剤によって共に接合されることができる。有用な接着剤としては、ビニルアセテート系のもの又は他のビニルエステル類、例えばエチレン及び/又はアクリルモノマー類のホモポリマー類及びコポリマー類(ビニルアクリル類)などのビニルエマルション;アクリルエマルション類のホモポリマー類又はコポリマー類;ポリマー自体(例えば、ヒドロキシル、エポキシ又はイソシアネート基と反応するカルボキシル基)を架橋できる反応性コモノマー(例えば、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシ、アミド、イソシアネートなどの官能性を含有するモノマー)を含むことにより、又は外部の架橋剤(例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂、イソシアネート類、ポリオール類、エポキシド類、アミン類及び金属塩類、特に亜鉛)との反応により作り出されるものを含む架橋接着剤が挙げられる。本発明書の接着剤はまた、水素添加ロジンエステル粘着付与剤のビニルアセテート/エチレンコポリマーラテックスへの添加のように、接着力を改善するために限られた量の粘着付与樹脂を含むことができる。また、米国特許第5,969,025号に記載の接着剤組成物を参照のこと。接着剤は、例えば、不連続な結合を生じさせるためにスプレーコーティング、連続的な結合を生じさせるためにコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング又はリックコーティングによって適用することができる。
【0021】
好適な一時的な結合手段としては、低剥離力接着剤、恒久的な粘着を有する「PSA」(感圧接着剤)のような再配置可能な接着剤などの、弱い接着剤(ナショナルスターチ(National Starch)から入手可能なディスポメルト(Dispomelt)(商標)など、一部はソフトゲル又はヒドロゲル接着剤とも呼ばれる);フックアンドループ締結装置(例えばベルクロ(Velco)(商標);水性、水溶性コーティング又は接着剤;安定性及びインターロック嵌合をもたらすインターロック基材形状、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0022】
図1を参照すると、制御放出システムは、接着結合手段(4)に活性剤を有する。別の実施形態では、接着結合手段(4)は液体不透過性であり、活性剤を有する制御放出システムはメラミンフォーム基材(2)内に含まれる。この場合、活性剤は基材(2)のみから放出され、したがって、第2の基材(3)は、握り基材として使用することができる。有用な液体不透過性接着剤材料としては、サヴァレ(Savare)(ミラノ(Milano)、イタリア)からのPM17及びLAホットメルト、フラー(Fuller)(ミネソタ州、米国)からのプロペル(Propel)(商標)、ソーラーキュア(Solar Cure)(商標)、オプチメルト(Optimelt)(商標)、クラリティ(Clarity)(商標)、フルバック(Fullback)(商標)ホットメルト(hotmelts)、フラー(Fuller)からのフラプレン(Fulaprene)、ボンドシール(Bondseal)溶媒接着剤、及びフラー(Fuller)からのラコール(Rakoll)(商標)、エアスパース(AirSperse)(商標)、リキロック(LiquiLoc)(商標)、ケースメート(Casemate)(商標)、水性接着剤、などが挙げられる。
【0023】
制御放出システム
本明細書の制御放出システムは活性剤を含有し、侵食可能なフォーム基材と連通している。この制御放出システムは、侵食可能なフォーム基材内部に含浸されるか若しくは分散され、基材を取り付ける結合手段上に適用され、及び/又は侵食可能なフォーム基材に取り付けられる半透過性フィルムと第2のフィルムとの中間に適用されることができる。本明細書で有用な代表的な制御放出システムは、ポリマーマトリックス、マイクロカプセル、粒子状の多孔質担体、錯化剤、及び/又は半透過性フィルムを有するものを含む。本発明書の制御放出システムは、液体、ゲル、ペースト、ビーズ、粉末又はフィルムなどにすることができ、浸漬、噴霧、浴びせること(dousing)、コーティングなどの、従来の任意の手段によって洗浄用具に適用することができる。制御放出システムがビーズ又は粉末である場合、ビーズ又は粉末が基材内部によりよく浸透できるように基材を振動させつつ、このビーズ又は粉末は基材上に堆積又は乾燥噴霧されてもよい。好ましくは、このビーズ又は粉末の平均粒径は、メラミンフォーム基材の平均孔直径未満、即ち、制御放出システムの平均粒径は、約1μm〜約400μm、又は約10μm〜約100μm、又は約1μm〜約30μmである。制御放出システムが半透過性フィルムを含む場合、それは接着剤によって基材に取り付けられることができる。
【0024】
制御放出システムは、可塑剤、粘着付与剤、固形有機若しくはミネラル充填剤、及び/又は防腐剤を更に含んでもよい。これらの材料は、基材又はフィルムを共に結合すること、基材内部での制御放出システムの不動化を容易にすること、活性剤の放出を更に制御することなどのような、幾つかの更なる利点を提供し得る。
【0025】
好適な可塑剤としては、アセチルトリブチルシトレート及びトリエチルシトレートなどのクエン酸エステル類、低分子量ポリエステル類、ポリエーテル類、液体ロジンエステル類(例えば、フォラリン(Foralyn)(商標)5020F)、芳香族スルホンアミド類、フタル酸類、ベンゾエート類、スクロースエステル類、ジアセチン、多官能アルコール誘導体類、アジピン酸塩、酒石酸塩、セバシン酸塩、リン酸、脂肪酸類及び二塩基酸類のエステル類、脂肪族アルコール類及びジオール類、エポキシ化植物油類、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
粘着付与剤は、接着特性を改善するためにホットメルト接着剤中で使用され、それらは一般に多環式構造を有する有機化合物である。粘着付与剤は、約200℃において安定し、室温において非晶質ガラス状の熱可塑性物質であり、約50℃より高い、又は約80℃〜約125℃のTg及び約8.30E−22g(500ダルトン(Daltons))〜約3.32E−21g(2000ダルトン(Daltons))の分子量を有する。粘着付与剤は、約1200の平均分子量を有する、ハーキュレス(Hercules)からクリスタレックス(Kristalex)(商標)として市販されているα−メチルスチレンコポリマーのような、室温において固体であるロジン又はその誘導体であってよい。存在する場合、粘着付与剤は、制御放出システムの約2重量%〜約60重量%、又は約5重量%〜約40重量%に相当する。
【0027】
好適な固体有機又はミネラル充填剤は、Mg、Mn、Ba、Ca、W、Zr、Ti、Si、Moの酸化物類、塩化物類、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、特にTiO2、SiO2及びAl23であることができる。更なる好適な物質は、非水溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウムである。
【0028】
洗浄用具内の制御放出システムの量は、制御放出システムを吸収するための侵食可能なフォーム及び任意の追加の基材(単数又は複数)の容量、制御放出システムの粘度、などを含む様々な要因により大幅に異なり得る。本明細書の一実施形態では、洗浄用具は、100重量部の侵食可能なフォーム基材あたり約0.1〜500重量部、又は約0.5〜100重量部、又は約1〜50重量部の制御放出システムを含有する。
【0029】
ポリマーマトリックス
本発明書の一実施形態では、制御放出システムは、ポリマーマトリックスと活性剤とを含む。この活性剤は、ポリマーマトリックスに吸収されるか若しくは溶解される、又はポリマーマトリックスに化学的に連結される。ポリマーマトリックスと活性剤との重量比は、約19:1〜約1:19、又は約3:2〜2:3である。ポリマーマトリックスと活性剤とを含む制御放出システムは、任意の既知の熱可塑性ポリマー組成物の製造方法により調製されてよく、またポリマーを溶融し、可塑剤及び/又は、もし存在するなら、粘着付与剤と、活性剤とを均質にブレンドして均質な物質を形成する工程を通常含み、この物質は、次いで冷却されて制御放出システムを生じさせる。好ましいポリマーマトリックスは、低い溶解温度及び粘度を有し、したがって、ホットメルトとして使用するのに好適である。制御放出システムはまた、ポリマー溶液を使用して調製されてもよい。典型的な工程としては、ポリマー、粘着付与剤及び/又は、もし存在するなら、可塑剤と、活性剤とを有効な溶媒中で溶解すること、溶液又はゲルを調製するために、もし必要であれば、加熱すること、並びに蒸発により溶媒を除去することが挙げられる。あるいは、制御放出システムは、水性エマルション又は分散液の形態で調製されてよい。
【0030】
活性剤は、マイグレーション、使用前の水分活性化、分解、例えば活性剤とポリマーマトリックスとを連結する弱い化学的結合の加水分解、及び/又は摩擦によるポリマーマトリックスの物理的浸食を介して、制御放出システムから放出されることができる。本発明書のポリマーマトリックスとして有用なポリマー類としては、熱可塑性親水性ポリマー類、水溶性ポリマー類、水膨潤性ポリマー類、機械的摩擦により侵食可能なポリマー類、少なくとも1種の一級及び/又は二級アミン基を含むポリマー類、カチオン性モノマー類を含むナノ粒子ポリマー類が挙げられる。本明細書の「水溶性ポリマー類」とは、その水中(pHは7、25℃)での溶解度が1.5g/Lを超える、好ましくは2g/Lを超えるポリマー類をいう。本明細書の「水膨潤性ポリマー類」とは、ISO8361に従って測定して、20℃において少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%の水分吸収力を有するポリマー類をいう。
【0031】
本明細書で有用なポリマー類は、オレフィン、アクリル酸、アクリレート、エーテル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ウレタン、シロキサン、糖、エチレンイミン、アミド、エステル、及び/又はビニルアセテートから成る群から選択されるモノマーを有するものであることができ、また例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、500〜1,000,000g/mol、又は1,500〜500,000g/mol、又は2,000〜200,000g/mol、又は20,000g/molまでの範囲の分子量(Mn)を有してもよい。
【0032】
好適な熱可塑性親水性ポリマー類は、PCT国際特許WO 99/64077、同99/64505及び欧州特許第1193289号に開示されている。特に好ましい熱可塑性親水性ポリマー類は、熱可塑性エチレン−ビニルアセテートコポリマー(例えば、デュポン(Dupont)からのエルバックス(Elvax)(商標)250、28重量%のビニルアセテート及び72重量%のエチレンを有するランダムエチレンビニルアセテートコポリマー樹脂)、熱可塑性ポリエーテルアミドブロックコポリマー類(例えばアトフィナ(Atofina)からのペバックス(Pebax)(商標)MH1657、ポリエチレンオキシドブロックコ−ポリ−ε−カプロラクタムポリマーであり、各ブロックは約1500g/molのMwを有する。ASTM D3418による融点:204℃)、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー類(例えば、デュポン(Dupont)からのハイトレル(Hytrel)(商標)8171、親水性ブチレン類/ポリエチレングリコールフタレートブロックコポリエステル)、熱可塑性ポリウレタン類、典型的には不反応性ポリウレタン類(例えば、ノベオン(Noveon)からのエスタン(Estane)(商標)5170、ポリエチレングリコールブロックポリウレタン)及びそれらの混合物である。
【0033】
好適な水溶性又は水膨潤性ポリマー類は、室温において固体であるポリエチレングリコール類(ポリエチレンオキシド)(例えば、約9000g/molのMwを有するプルリオール(Pluriol)(商標)E9000及び約400g/molのMwを有するプルリオール(Pluriol)(商標)E400)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、寒天、デキストラン、ガティガム、アカシア、グアー、デンプンなどの多糖類、ポリヌクレオチド、ポリペプチド(ポリグルタミン)、ポリアクリレート、架橋ポリアクリレート、物理的に架橋されたポリエチレンオキシド、例えば住友からのアクアコーク(Aquacalk)(商標)、ポリアルキレングリコール−ビニルアセテートグラフトコポリマー類、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレート類とのコポリマー類、例えば(メタ)アクリル酸のC1〜10アルキルエステル類、及び(メタ)アクリル酸とエチレン不飽和ジカルボン酸とのコポリマー類、例えばフマル酸、イタコン酸、及び特にマレイン酸であることができる。
【0034】
好適な侵食性ポリマー類は、ワックス類であることができる。ワックス類の例は、天然ワックス類、例えばパラフィンワックス、微晶性ワックス、バイオワックス、例えばラノリン、キャンデリラ、カルナウバ、ミネラルワックス、例えばモンテインワックス、並びに500〜20,000g/molの範囲の平均分子量(Mn)を有するポリエチレンワックス、及び500〜20,000g/molの範囲の平均分子量(Mn)を有するポリプロピレンワックスのような合成ワックスである。
【0035】
カチオン性モノマー類を含む好適なナノ粒子ポリマー類は、約0.1重量%〜約50重量%、又は約1重量%〜約10重量%のカチオン性モノマー類を含有することができ、約100nm〜約50μmの粒径を有する。本明細書で有用なカチオン性モノマー類は、カチオン性ユニットを含む。カチオン性ユニットは、ポリマー粒子の構造に組み込まれるときに、約2〜約8のpH範囲内にカチオン電荷を維持することができる部分を意味すると理解されている。カチオン性ユニットは、約2〜約8の範囲内のすべてのpH値においてプロトン化されている必要はない。好適なカチオン性モノマー類としては、ジメチルアミノアルキルアクリレート類、特にジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピロリドン類、ビニルイミダゾイル類、ジアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類、ビニルピリジン類、アルキルアクリルアミド類、ジアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、及びアミノアルキルアシルアミド類が挙げられる。
【0036】
少なくとも1種の一級及び/又は二級アミン基を含む好適なポリマー類は、直鎖ホモ−、コポリマー、並びに所望により分枝状、グラフト化及び/又は架橋されたポリマーであることができる。好ましくは、これらのポリマー類は、10超のアミノ基を含み、約150〜約2.10E6、又は約600〜約40,000の範囲に及ぶ数平均分子量(Mn)を有する。このようなポリマー類の例としては、BASFからルパゾール(Lupasol)(商標)として市販されているポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリビニルアミン−ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルアミン−ビニルホルムアミドコポリマー、ポリアミノ酸(10:1のモル比のL−リジン/ラウリン酸、5:5:1のモル比のL−リジン/アミノカプロン酸/アジピン酸、5:3:1のモル比のL−リジン/アミノカプロン酸/エチルヘキサン酸)、ポリリシン−コカプロラクタン、ポリリシン臭化水素酸塩、架橋ポリリシン、アミノ置換ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0037】
本明細書の一実施形態では、ポリマーマトリックスは、3,000〜100,000g/molの平均分子量(Mn)を有するポリアルキレングリコール−ビニルアセテートグラフトコポリマーである。ポリアルキレングリコール−ビニルアセテートグラフトコポリマーの例は、以下から選択される塩基ポリマー(A)から製造できる。
【0038】
(A1)1つ又は2つのC1〜25アルキル基で末端保護されてよいポリエチレングリコール類、又は末端保護されていないポリエチレングリコール類であって、1,500〜20,000g/mol、又は2,500〜15,000g/molの範囲の平均分子量Mnを有する、
(A2)1つ又は2つのC1〜25アルキル基で末端保護されるか、又は末端保護されていない、少なくとも50重量%のエチレンオキシド含有量を有する、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのコポリマー類であって、1,500〜20,000g/mol、又は2,500〜15,000g/molの範囲の平均分子量Mnを有する、
(A3)ポリエチレングリコール類(A1)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシド及び/若しくはブチレンオキシドのコポリマー類(A2)を、C2〜12ジカルボン酸又はC2〜12ジカルボン酸(メ)エチルエステル類又はC6〜18ジイソシアネートで変換することによって得ることができる鎖伸長生成物。特に好ましくは、鎖伸長生成物(A3)は、2,500〜25,000g/molの範囲の平均分子量Mnを有する。
【0039】
塩基ポリマー類(A1)〜(A3)のいずれかをグラフト化するには、ビニルアセテート又はビニルプロピオネートのような、ビニルエステル類が好ましい。本明細書の一実施形態では、ビニルエステル類は、グラフト化のための唯一のモノマーである。本明細書の別の実施形態では、1〜50mol%のビニルエステルが(メタ)アクリル酸によって置換される。
【0040】
マイクロカプセル
本明細書の一実施形態では、制御放出システムは、活性剤を封入するマイクロカプセルを含む。このマイクロカプセルは、その中に活性剤を収容する任意の破裂可能なカプセル、又はその中に封入される活性剤が制御可能に浸透可能であるカプセルであることができる。マイクロカプセルの破裂強度は、破裂せずに処理及び噴霧に耐えることができるが摩擦又は水分の外力によって破壊できる範囲内にすべきである。
【0041】
マイクロカプセルのシェルは、当該技術分野において既知の多種多様な材料から製造することができる。好適なマイクロカプセルシェル材料及び/又はマイクロカプセルの製造方法は、例えば、米国特許第2,800,458号、同第3,159,585号、同第3,516,846号、同第3,516,941号、同第3,533,958号、同第3,697,437号、同第3,778,383号、同第3,888,689号、同第3,965,033号、同第3,996,156号、同第4,010,036号、同第4,016,098号、同第4,087,376号、同第4,089,802号、同第4,100,103号、同第4,251,386号、同第4,269,729号、同第4,303,548号、同第4,460,722号、同第4,610,927号、及び同第5,591,146号、英国特許第1,156,725号、同第1,483,542号、同第2,006,709号、同第2,041,319号、同第2,048,206号及び同第2,062,570号、並びにベニタ(Benita)、サイモン(Simon)(編集)、マイクロカプセル化:方法及び工業的用途(マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc.)1996年)に開示されている。
【0042】
本明細書のマイクロカプセルは、約0.1μm〜約1,000μm、又は1μm〜約500μm、又は約10μm〜約100μmの平均サイズを有する。活性剤は、マイクロカプセルの約1重量%〜約99重量%、又は約10重量%〜約95重量%、又は約30重量%〜約90重量%の濃度においてマイクロカプセル中に収容される。
【0043】
粒子状の多孔質担体
本明細書の一実施形態では、制御放出システムは、粒子状の多孔質担体を含有し、この活性剤は担体の孔内に放出可能に充填される。この粒子状の多孔質担体は、活性剤を吸収し、次いで長期間にわたり又は外圧、水分などの結果としてのいずれかでそれを放出する。粒子状の多孔質担体は、典型的にはシリカ、ケイ酸塩、粘土、金属酸化物、ゼオライト、方ソーダ石、キチンマイクロビーズ、カルボキシアルキルセルロース、デンプン、砂糖、多孔質炭素、及び/又はそれらの誘導体から選択される。好ましくは、粒子状の多孔質担体は、約0.1μm〜約10μmの一次粒径を有するゼオライトAである。
【0044】
活性剤を粒子状の多孔質担体内に充填する典型的な方法は、活性剤又は活性剤の溶液を粒子状の多孔質担体上に噴霧する工程と、それに引き続いて活性剤が充填された粒子状の多孔質担体を得るために固体混合物又は懸濁液を攪拌する工程とを含む。あるいは、粒子状の多孔質担体を基材上に堆積させ、次いで活性剤又は活性剤の溶液を基材上に噴霧してよい。粒子状の多孔質担体と活性剤との重量比は、約100:1〜1:1、又は約100:20〜100:60である。
【0045】
錯化剤
本明細書の一実施形態では、制御放出システムは、活性剤を結合する錯化剤を含む。有用な錯化剤は、シクロデキストリンであることができる。
【0046】
α−、β−、及びγ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、及びマルトシル−β−シクロデキストリンなどの、天然又は化学的に改質したシクロデキストリンの両方が、本明細書で使用されることができる。重合シクロデキストリンが使用されてもよく、また活性剤との錯体を形成してもよい。水中におけるシクロデキストリン/活性剤錯体の好適な溶解度は、25℃の水100gあたり約0.1g〜約100g、又は約0.5g〜20g、又は約1g〜5gの錯体である。本明細書の一実施形態では、シクロデキストリンは、25℃の水100gあたり約1.8g〜約2gの水溶解度を有するβ−シクロデキストリンである。活性剤を粒子状の多孔質担体内に充填するための上述と同一の方法が、シクロデキストリンを活性剤と結合させる方法に使用できる。本明細書の一実施形態では、シクロデキストリンと活性剤とのモル比は、約20:1〜約1:1モル当量、又は約10:3〜約10:8モル当量である。
【0047】
半透過性フィルム
制御放出システムは、侵食可能なフォーム基材に取り付ける第1の半透過性フィルム、第2の基材に取り付ける半透過性フィルム又は液体不浸透性フィルムの第2のフィルム、及び第1の半透過性フィルムと第2のフィルムとの中間に適用される活性剤を含有してよい。活性剤は、その純粋な形態で、又は本明細書の制御放出システムのいずれかの形態で使用されることができる。図3及び図4は、メラミンフォーム基材(21)と、第2の基材(22)と、共に積層され、メラミンフォーム基材(21)及び第2の基材(22)に別々に取り付けられる2層の半透過性フィルム(23)とを有する洗浄用具(20)を示す。活性剤(24)は、この2つの半透過性フィルム(23)の中間に適用される。
【0048】
本明細書の好適な半透過性フィルムとしては、ポリエチレン及びポリプロピレンをベースとしたポリオレフィンフィルム、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル−エーテルコポリマー、ポリアミド−エーテル、テフロン(Teflon)(商標)フィルムなどのような、開放孔を有する可撓性液体不浸透性フィルムが挙げられる。これらのフィルムは、典型的には1〜250g/m2、又は2〜60g/m2の坪量を有する。半透過性フィルムは、クロペイ(Clopay)、RKW、三井、タコリン(Tacolin)、スリーエム(3M)、デュポン(Dupont)、インターナショナルプラスチック(International plastic)などから市販されている。孔径及び孔密度(フィルムの1平方メートル当たり孔の数)は、孔を通る活性剤の放出速度論に合わせるよう調節されることができる。典型的には、孔径は約100μm〜約10mm、又は約0.5mm〜約2mmであり、孔密度は約100孔/m2〜約500,000孔/m2、又は約3000孔/m2〜約30,000孔/m2である。微小多孔性フィルムは、例えばモコン(Mocon)製のPERMATRAN−W(商標)モデル398(例えば、ASTM規格E−398)によって測定されたそれらの透湿度(WVTR)によって通常規定される。好適な微小多孔性フィルムは、約100〜約25,000g/m2/日、又は約2000〜約6,000g/m2/日のWVTRを有する。他の好適な半透過性フィルムは、疎水性材料で作られる高い割合の繊維を含有する高液体バリア不織布である。典型的な高液体バリア不織布は、1〜500g/m2、又は10〜150g/m2、又は40〜80g/m2の坪量を有する。好ましい高液体バリア不織布は、100%のポリプロピレン繊維で作製され、スパンボンド(S)、メルトブロウン(M)、及びそれらの組合せ、例えばSMS、SMMSなどによって形成される。高液体バリア不織布は、BBA、PGI、フロイデンベルグ(Freudenberg)、アルストム(Alsthom)、ヤコブホルム(Jacob holm)などから市販されている。
【0049】
活性剤
本明細書の洗浄用具は、界面活性剤、漂白剤、ライムスケール還元剤、殺生物剤、溶媒、及びそれらの混合物から選択される活性剤を含有する。
【0050】
界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は双極性イオン界面活性剤であることができる。好適な非イオン性界面活性剤は、RO(EO)e(PO)pHの式を有するアルコキシル化脂肪族アルコールを含み、式中、Rは2〜24個の炭素原子の炭化水素鎖であり、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドであり、エトキシル化及びプロポキシル化の平均程度をそれぞれ表すe及びpは、独立して0〜24であるか、又はRは6〜22個の炭素原子を有する直線アルキル鎖であり、eは5〜12であり、pは0である。本明細書の好適なカチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。本明細書の好ましいカチオン性界面活性剤は、トリメチル第四級アンモニウム化合物である。本明細書の好適な両性界面活性剤としては、式R123NO、R123NR4SO4、又はR123NR4CO2を有するアミンオキシド類、硫酸ベタイン若しくは硫酸アンモニウム、又はアンモニウムカルボキシレートが挙げられ、式中、3個の飽和炭素を好ましくは含有するR4以外は、R1、R2、及びR3の各々は、独立して1〜30個、又は8〜18個の炭素原子の、飽和され置換された又は非置換の、直鎖又は分枝鎖アルキル基である。本明細書の好ましいアミンオキシド類は、例えば天然ブレンドのC8〜C10アミンオキシド類及びC12〜C16アミンオキシド類、例えばセチルジメチルアミンオキシドである。本明細書の好ましいベタインは、コカミドプロピルベタイン及びラウラミドプロピルベタインである。好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩及びアルキルカルボン酸塩が挙げられる。本明細書の他の好適なアニオン性界面活性剤としては、式ROSO3Mの水溶性塩類又は酸類が挙げられ、式中、Rは好ましくはC10〜C24ヒドロカルビル、又はC12〜C18アルキル若しくはヒドロキシアルキルであり、MはH又はカチオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、又はアンモニウム若しくは置換されたアンモニウムである。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、石鹸塩類(soap salts)、C9〜C20直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、C8〜C22一級又は二級アルキルスルホン酸塩、スルホン酸化ポリカルボン酸類、C8〜C24アルキルポリグリコールエーテル硫酸塩(10モルまでのエチレンオキシドを含有する);アルキルエステルスルホン酸塩、アルキル多糖類の硫酸塩、アルキルポリエトキシカルボン酸塩、例えば式RO(CH)2CH20)kCH2COO-+のものが挙げられ、式中、RはC8〜C22アルキルであり、kは0〜10の整数であり、Mは可溶性塩生成カチオンである。樹脂酸類及び水素添加樹脂酸類もまた適している。更なる例は、「界面活性剤及び洗剤(Surface Active Agents and Detergents)」(I及びII巻、シュワルツ(Schwartz)、ペリー(Perry)及びバーチ(Berch))に示されている。このような界面活性剤の変種も、概して米国特許第3,929,678号に開示されている。
【0051】
本明細書の漂白剤は、過酸化水素源、予め形成されたペルオキシカルボン酸、次亜ハロゲン酸塩漂白剤源及びそれらの混合物から選択される。本明細書の過酸化水素源としては、過硫酸塩、ジ過硫酸塩、過硫酸、過炭酸塩、過ホウ酸塩、金属過酸化物、過リン酸塩、過ケイ酸塩、尿素過酸化水素化物及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書の予め形成されたペルオキシカルボン酸類としては、1つ、2つ又はそれ以上のペルオキシ基を含有するものが挙げられ、脂肪族又は芳香族であることができる。有機過カルボン酸が脂肪族である場合、非置換酸は線形論理式HO−O−C(O)−(CH2n−Yを適切に有し、式中、YはH、CH3、CH2Cl、COOH、又はC(O)OOHであり、nは1〜20の整数である。分枝状類縁体も許容できる。有機過カルボン酸が芳香族である場合、非置換酸は式HO−O−C(O)−C64−Yを適切に有し、式中、Yは水素、アルキル、アルキルハロゲン(alkyhalogen)、ハロゲン、−COOH、又は−C(O)OOHである。本明細書の酸素漂白剤として有用なモノペルオキシカルボン酸類は、ペルオキシ安息香酸及び環置換ペルオキシ安息香酸類、例えば、ペルオキシ−α−ナフトエ酸のような、アルキルペルカルボン酸類及びアリールペルカルボン酸類;ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、及びN,N−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(PAP)のような、脂肪族、置換脂肪族及びアリールアルキルモノペルオキシ酸類;並びに6−オクチルアミノ−6−オクソ−ペルオキシヘキサン酸よって更に例示される。過酸類は、酸形態で、又は漂白剤に対して安定なカチオンを有する任意の好適な塩で使用することができる。本明細書で好適な次亜ハロゲン酸塩漂白剤としては、正ハロゲン化物イオン及び/又は次亜ハロゲン酸塩イオンを形成するもの、並びにクロロイソシアヌレート類のような、ハロゲン化物の有機系源である漂白剤が挙げられる。本明細書で好適な次亜ハロゲン酸塩漂白剤としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、塩素化リン酸三ナトリウム十二水和物、ジクロロイソシアヌル酸カリウム及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロシアヌル酸カリウム及びトリクロロシアヌル酸ナトリウム、N−クロロイミド、N−クロロアミド、N−クロロアミン、並びにクロロヒダントインが挙げられる。
【0052】
本明細書のライムスケール還元剤としては、酸類及びキレート化剤が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で有用な代表的な酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸、ギ酸、及びそれらの混合物が挙げられる。有機及び無機酸の混合物が好ましい。本明細書で有用なキレート化剤としては、カルボン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、多官能置換芳香族化合物、ポリアミン類、生分解性化合物、アルカリ金属、アンモニウム若しくは置換アンモニウム塩、又はこれらのキレート化剤の錯体、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なキレート化剤及び使用濃度の更なる例は、米国特許第3,812,044号、同第4,704,233号、同第5,292,446号、同第5,445,747号、同第5,531,915号、同第5,545,352号、同第5,576,282号、同第5,641,739号、同第5,703,031号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,710,115号、同第5,712,242号、同第5,721,205号、同第5,728,671号、同第5,747,440号、同第5,780,419号、同第5,879,409号、同第5,929,010号、同第5,929,018号、同第5,958,866号、同第5,965,514号、同第5,972,038号、同第6,172,021号、及び同第6,503,876号に記載されている。
【0053】
殺生物剤とは、米国特許第6,613,728号に記載されるもののような、表面上に存在する微生物を殺すか又は除去することによって低減させるか又は更には排除する能力をも有する任意の既知の成分を意味する。本明細書で有用な殺生物剤としては、四級界面活性化合物、グアニジン、アルコール、グリセロール、フェノール化合物、重金属塩、無機及び有機酸、ハロゲン、ハロゲン含有化合物、染料、精油、酸化化合物、吸着剤、殺真菌剤、殺藻剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。代表的な四級界面活性化合物としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、塩化ジクロロベンズアルコニウム(sichlorobenzalkonium chloride)、塩化メチルベンゼトニウム、セチルジメチルエチルアンモニウムブロミドが挙げられる。代表的なグアニジンとしては、塩酸クロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジン、塩酸ドデシルグアニジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニジン、及び6−アセトキシ−2,4−ジメチルメタジオキサンが挙げられる。代表的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。代表的なフェノール化合物としては、クレゾール、レゾルシノール及び関連化合物、フェノール;置換フェノール類−−クレゾール類、メタ−クレシルアセテート、クレオソート、グアヤコール(quaiacol)、レゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ピロガロール、チモール、チモールヨウ化物、ピクリン酸、塩素化フェノール類−−ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、タール類が挙げられる。代表的なハロゲン及びハロゲン含有化合物としては、ヨウ素及びヨードホルムが挙げられる。代表的な酸化剤としては、ペルオキシド、ペルポレート(perporate)ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸亜鉛、塩素酸カリウムが挙げられる。代表的な重金属塩としては、塩化第二水銀、その他のイオン化可能な第二水銀塩、有機水銀剤、硝酸銀、乳酸銀、ピクリン酸銀、プロテイン銀、ハロゲン化銀、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸銅、及び有機スズ誘導体が挙げられる。代表的な染料としては、アゾ染料、アクリデン染料、フルオレセイン染料、フェノールフタレイン染料、及びトリフェニルメタン染料が挙げられる。代表的な無機及び有機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、ソルビン酸、酢酸、ホウ酸、ギ酸、マレイン酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、グリコール酸、及びそれらの混合物が挙げられる。代表的な精油は、タイム油、丁子油、桂皮油、ゼラニウム油、ユーカリ油、ペパーミント油、シトロネラ油、アジョワン油、ミント油、又はそれらの混合物である。本明細書で有用な他の殺生物剤としては、フラン誘導体、ニトロフラントイン、硫黄、二酸化硫黄、イクタモール、クリサロビン、アントラリン、βナフトール、バルサム類、揮発性油類、クロロフィルが挙げられる。
【0054】
本明細書で有用な殺生物剤はまた、カビ及び白カビに抗して作用する殺真菌剤類及び殺藻剤類を含む。硬表面からの藻類及び真菌類の除去は困難である。更に、真菌類及び藻類は完全に除去又は抑制しなかった場合には、直ぐに再び現れる。好適な殺真菌剤及び殺藻剤としては、例えば硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、ヨウ化物亜鉛、硝酸亜鉛、臭素酸亜鉛及び塩素酸亜鉛などの金属塩、ハロゲン化銅(cooper halide)、硫酸銅、有機スズ誘導体、非水溶性又は部分的に水溶性の殺真菌剤及び殺藻剤、例えばジヨードメチルパラ−トリルスルホン、N−(トリクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニルN’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール/メチレンビス(チオシアネート)、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートなどが挙げられ、すべて、アルドリッチケミカル(ALDRICH chemical)から入手可能である。上記の殺生物剤は、所望により、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、トリメチル酢酸、n−へキサン酸、乳酸、メトキシ酢酸、シアノ酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、酒石酸(partaric)などのような、濃縮された酸類と混合される。
【0055】
活性剤は、脂でよごれた染みに対して優れた溶解能力を有する溶媒であることができる。本明細書で有用な溶媒としては、少なくとも部分的に水混和性であるもの、例えばアルコール類、エーテル、例えばジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール又はプロピレングリコールのモノアルキルエーテル類の低級エステル類、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン及びテトラヒドロフランが挙げられる。幾つかの溶媒の混合物も使用することができる。
【0056】
包装手段
本明細書の洗浄用具が、洗浄用具の包装で既知の包装手段と製品内で組み合わされてもよい。本明細書の特に適した包装手段は、紙袋、プラスチック袋、紙パック、紙パックの箱、フローラップ、プラスチックラップ、及びペーパラップなど、並びにそれらの組合せであることができる。
【0057】
硬表面の洗浄方法
別の実施形態では、本発明は、本明細書の洗浄用具を用いた硬表面の洗浄方法を包含する。更に別の実施形態では、本発明は、本明細書の洗浄用具を前記硬表面と接触させることによる硬表面の洗浄方法を包含する。「洗浄」とは、汚点及び/又は染みを硬表面から取り除くことを意味する。
【0058】
本明細書の適した硬表面は、タイル、壁、床、衛生器具(流し台、シャワー、シャワーカーテン、洗面器、トイレなど)、家庭用電化製品(冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、自動乾燥機、オーブン、電子レンジ、食器洗い機などが挙げられるが、これらに限定されない)である。
【0059】
本明細書の硬表面の洗浄方法は、前記洗浄用具を前記硬表面と接触させる前に、前記洗浄用具を適切な溶媒、好ましくは水道水で湿潤させる工程を更に含んでもよい。
【0060】
本発明は、以下の実施例により更に説明される。以下のすべての実施例では、侵食可能なフォーム基材は、DIN ISO 4590により99.6%の連続気泡率、EN ISO 845に従って測定して10.0kg/m3の密度、断面の顕微鏡写真の評価により決定して210μmの平均孔直径、及びDIN66131により測定して6.4m2/gのBET表面積を有する連続気泡フォームである。この連続気泡フォームは、バソテック(Basotec)(商標)メラミンフォームとしてBASFから市販されている。すべてのメラミンフォーム基材及び、もし存在するなら、任意の追加の基材(単数又は複数)は、約125mmの長さ及び約65mmの幅を有する立方体形状を有する。
【0061】
(実施例1〜8)
低融点ホットメルトポリマーマトリックスと活性剤とを含む制御放出システムは、高せん断ホットメルトブレンダー(イタリア、トリノのマリス(Maris)からのTM20二軸押し出し機)内で以下の表1に示す組成物を混合することで調製される。表中のすべての百分率は、制御放出システムの総重量に基づいた重量による。約1.5gの制御放出システムが、スロットコーティングノズル(ドイツのノードソン(Nordson)からのEP−11又は米国のアキュメータ(Acumeter)からのLH−3ラボラトリーコーター(laboratory coater)/ラミネーター(laminator))により、約23mmの厚さ及び約1.85gの重さを有するメラミンフォーム基材の表面上で一連の別個のレーンに約70℃で押し出される。溶融した制御放出システムをメラミンフォーム基材上に適用した後、約6mmの厚さを有する連続気泡ポリウレタンフォーム(レクチセル(Recticel)によるスウィーテイン(Sweetane)(商標)シリーズ)の第2の基材が、液体不透過性ポリアミドホットメルト接着剤(フラー(Fuller)からのフルバック(Fullback)(商標))によって、制御放出システムでコーティングされた表面に沿ってメラミンフォーム基材に接着される。2つの基材の接着後に、制御放出システムのメラミンフォーム基材及びポリウレタンフォーム基材への浸透を容易にするために、その基材(substates)は数回押圧されるか又はより高い温度に加熱される。メラミンフォーム基材と連続気泡ポリウレタン発泡基材との境界面に位置する制御放出システムを有する洗浄用具が得られる。
【0062】
【表1】

1. デュポン(DuPont)社製エチレン−ビニルアセテートコポリマー
2. アトフィナケミカルズ(Atofina Chemicals)社製ポリエーテル−ブロックアミドポリマー
3. デュポン(DuPont)社製ポリエーテル−ポリエステルブロックコポリマー
4. ノベオン(Noveon)社製熱可塑性弾性ポリウレタン
5. BASF社製ポリエチレングリコール
6. イーストマンケミカル(Eastman Chemical)社製ロジンエステル粘着付与剤
7. ハーキュレス(Hercules)社製α−メチルスチレンコポリマー炭化水素樹脂粘着付与剤
8. BASF社製で7のエトキシル化度のC10アルキルポリエチレン(polyethelene)グリコールエーテル
9. BASF社製で8のエトキシル化度のC10アルキルポリエチレン(polyethelene)グリコールエーテル
10. BASF社製で10のエトキシル化度のC10アルキルポリエチレン(polyethelene)グリコールエーテル
11. BASF社製非イオン性直鎖一級オキシエチル化アルコール
【0063】
(実施例9〜16)
ポリマーマトリックスと活性剤とを含む液体制御放出システムは、表2に示す組成物を混合することにより調製される。表2中のすべての百分率は、制御放出システムに基づいた重量による。約1gの液体制御放出システムが、ノース(Nordso)社製のA7Aスプレーガン又はADハンドガンを用いて、それぞれが厚さ約10mmを有する2つのメラミンフォーム基材の表面上に噴霧される。このメラミンフォーム基材は、制御放出システムを適用する前はそれぞれ約0.8gの重量を有する。メラミンフォーム基材の制御放出システムがコーティングされた表面を、約10mmの厚さを有する独立気泡ポリプロピレンフォーム(ゾートフォーム(Zotefoam、英国)の第3の基材にサンドイッチ型の形状で接着させる。この第3の基材は、ポリアミドホットメルト(フラー(Fuller)から液体不透過性フルバック(Fullback)(商標)ホットメルト接着剤として市販されている)によって、2つのメラミンフォーム基材の中間に接着される。この3層ラミネート(薄層)は、次いで制御放出システムをメラミンフォーム基材内に浸透させるように手で圧縮される。こうして得られる洗浄用具は、次いで水とエタノールを蒸発させるために空気乾燥される。
【0064】
【表2】

1. ビニルアセテートとグラフト化された70重量%のポリエチレングリコール、20重量%のエタノール及び10重量%の水を含有する粘稠な溶液混合物
2. 60重量%のポリビニルアルコール(そのうち88%が加水分解される)、10重量%のエタノール及び30重量%の水を含有するハーローケミカル社(Harlow Chemical Company Ltd)から入手可能な粘稠な溶液混合物
3. ステパン(Stepan)から入手可能なナッコノール(Nacconol)(商標)
【0065】
(実施例17〜19)
約150ミクロンの平均粒径を有するβ−シクロデキストリン粒子、水及び活性剤を含む制御放出システムは、懸濁液を生じさせるために表3に示す組成物を4時間混合及び攪拌することによって調製される。この懸濁液は、次いで制御放出システムが充填される前に約14mmの厚さ及び約1.1gの重さを有するメラミンフォーム基材の表面上に噴霧される。このメラミンフォーム基材は、次いでフラー(Fuller)社製のフルバック(Fullback)(商標)接着剤を用いて、等しい厚さの第2のメラミンフォーム基材に取り付けられる。洗浄用具はこうして得られる。
【0066】
【表3】

1. ワッカー(Wacker)社製カバマックス(Cavamax)W7
2. シェル(Shell)社製で約8のエトキシル化度のC9〜11アルキルポリエチレングリコール界面活性剤であるネオドール(Neodol)91−8
【0067】
(実施例20)
約150ミクロンの粒径を有する0.15gのゼオライトA及び0.15gのメソ細孔性シリカZSM−5の粒子状の多孔質担体混合物が、制御放出システムが充填される前に約14mmの厚さ及び約1.1gの重さを有するメラミンフォーム基材の2つの最大表面の片方へ堆積される。約3のエトキシル化の0.067gの非イオン性C12〜13一級アルコールエトキシレート界面活性剤(シェル(Shell)社製のネオドール(Neodol)(商標)23−3)、0.033gのココアミドプロピルベタイン界面活性剤(ステパン(Stepan)社製のアムフォゾール(Amphosol)(商標))及び1gの水を含む活性剤の混合物が、次いでメラミンフォーム基材の表面上に堆積されたゼオライト/シリカ粒子上に噴霧される。ほぼ等しい厚さの第2のメラミンフォーム基材が、次いでフルバック(Fullback)(商標)接着剤により、第1のメラミンフォーム基材の活性剤充填表面に接着される。粒子状の多孔質担体及び活性剤の制御放出システムが2つのメラミンフォーム基材の境界面全域に位置する洗浄用具が、このように得られる。
【0068】
(実施例21〜22)
実施例20と同一の工程が繰り返されるが、活性剤の混合物が、1gの水中に溶解した0.1gのN,N−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(実施例21)及び1gの水中に溶解した0.1gの塩化セチルピリジニウム(実施例22)であることを除く。
【0069】
(実施例23)
制御放出システムが、懸濁液を生じさせるように5mLの水の中で0.3gのポリエチレンイミン(BASF社製のルパゾール(Lupasol)(商標))と0.15gのナッコノール(Nacconol)(商標)とを混合することにより調製される。この懸濁液は、次いで制御放出システムが充填される前に約14mmの厚さ及び約1.1gの重さを有するメラミンフォーム基材の2つの最大表面の片方に堆積される。ほぼ等しい厚さ及び重さの第2のメラミンフォーム基材が、次いで第1のメラミンフォームの制御放出システムが充填された表面に接着される。洗浄用具はこのようにして得られる。
【0070】
(実施例24)
以上の実施例で説明された活性剤は、タコリン(Tacolin)又はクロペイ(Clopay)社製の30g/m2の坪量を有するポリエチレンフィルム上に約25g/m2の量で噴霧される。活性剤が充填されたポリエチレンフィルムが、次いでもう一つの未使用のポリエチレンフィルムに超音波不連続結合パターンで積層され、その後直径1mmのニードルで1500孔/m2の孔密度においてニードルパンチ処理が行われる(ニードルパンチ処理が超音波積層前に実施されてよい)。穿孔され積層されたポリエチレンフィルムは次いで、それぞれが制御放出システムが充填される前に14mmの厚さ及び約1.1gの重さを有する2つのメラミンフォーム基材間に積層される。洗浄用具がこのようにして得られる。
【0071】
(実施例25)
実施例24と同一の工程が採られるが、ポリエチレンフィルムがポリプロピレン不織布(テノテクスト(Tenotext)社製の100%PPメルテン(Melten)65g/m2SMS)により置き換えられる点を除く。
【0072】
(実施例26)
実施例24と同一の工程が採られるが、ポリエチレンフィルムの片方がニードルパンチ処理を受けない、またポリエチレンフィルムラミネート(薄層)が、次いで制御放出システムを適用する前に約23mmの厚さ及び約1.85gの重さを有するメラミンフォーム基材と約6mmの厚さを有する連続気泡ポリウレタンフォーム基材(レクチセル(Recticel)(商標)によるスウィーテイン(Sweetane)(商標)シリーズ)との間に積層され、穿孔されないフィルムがポリウレタンフォーム基材に取り付けられる点を除く。
【0073】
(実施例27)
実施例26と同一の工程が採られるが、ニードルパンチされたポリエチレンフィルムが微小多孔性ポリエチレンフィルム(RKW社製のMD延伸されたHBBS40g/m2)により置き換えられる点を除く。
【0074】
「発明を実施するための最良の形態」において引用されたすべての文献は、その関連部分において参照することにより本明細書に組み込まれ、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であるとの承認として解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0075】
本明細書の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者にとって明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】侵食可能なフォーム基材及び第2の基材を有する本明細書の洗浄用具の実施形態の斜視図。
【図2】斜四角柱形状の3層の基材を有する本明細書の洗浄用具の実施形態の斜視図。
【図3】第2の基材及び2層の半透過性フィルムを有する本明細書の洗浄用具の実施形態の透視図。
【図4】図3に示す洗浄用具の分解図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)侵食可能なフォーム基材と、
(b)界面活性剤、漂白剤、ライムスケール還元剤、殺生物剤、溶媒、及びそれらの混合物から成る群から選択される活性剤を含む制御放出システムとを含む、洗浄用具。
【請求項2】
前記制御放出システムが、ポリマーマトリックス、マイクロカプセル、粒子状の多孔質担体、錯化剤、半透過性フィルム及びそれらの組合せから成る群から選択される成分を含む、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項3】
前記侵食可能なフォーム基材がメラミンフォーム基材である、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項4】
前記制御放出システムが、約1ミクロン〜約400ミクロンの粒径を有するビーズ又は粉末の形態である、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項5】
前記制御放出システムがポリマーマトリックスを含み、前記活性剤が前記ポリマーマトリックスに吸収されるか若しくは溶解される、又は前記ポリマーマトリックスに化学的に連結される、請求項2に記載の洗浄用具。
【請求項6】
前記ポリマーマトリックスが、オレフィン、アクリル酸、アクリレート、エーテル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ウレタン、シロキサン、糖、エチレンイミン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるモノマーを含む、請求項5に記載の洗浄用具。
【請求項7】
前記制御放出システムが、前記活性剤を封入するシェルを含むマイクロカプセルを含む、請求項2に記載の洗浄用具。
【請求項8】
前記制御放出システムが粒子状の多孔質担体を含み、前記活性剤が、前記粒子状の多孔質担体の細孔の中に放出可能に充填される、請求項2に記載の洗浄用具。
【請求項9】
前記粒子状の多孔質担体が、ゼオライト、シリカ、多孔質炭素、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項8に記載の洗浄用具。
【請求項10】
前記制御放出システムが、前記活性剤を結合する錯化剤を含む、請求項2に記載の洗浄用具。
【請求項11】
前記錯化剤がシクロデキストリンである、請求項10に記載の洗浄用具。
【請求項12】
前記制御放出システムが、第1の半透過性フィルムと半透過性フィルム又は液体不透過性フィルムの第2のフィルムとを含み、前記活性剤が第1の半透過性フィルムと第2のフィルムとの中間に適用される、請求項2に記載の洗浄用具。
【請求項13】
接着結合手段により前記侵食可能なフォーム基材に取り付けられた第2の基材を含む、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項14】
前記第2の基材が、ウレタン、プロピレン、エチレン、ビニルアセテート、エステル及びそれらの混合物から成る群から選択されるモノマーを含むポリマーの独立気泡フォーム基材である、請求項13に記載の洗浄用具。
【請求項15】
活性剤を含む前記制御放出システムが、前記接着結合手段に含有される、請求項13に記載の洗浄用具。
【請求項16】
前記洗浄用具が、サンドイッチ型の形状で3層の基材を含み、ここで前記侵食可能なフォーム基材が、接着により中間層に取り付けられた外層の少なくとも1つとして配置される、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項17】
前記中間層が、液体不透過性層である、請求項16に記載の洗浄用具。
【請求項18】
前記洗浄用具に含有される約5重量%〜約20重量%の活性剤が、前記洗浄用具に自由形態で存在している、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項19】
請求項1の洗浄用具を硬表面に接触させることによる、前記硬表面の洗浄方法。
【請求項20】
前記方法が、前記洗浄用具を前記硬表面に接触させる前に、前記洗浄用具を適切な溶媒で湿潤させる工程を更に含む、請求項19に記載の硬表面の洗浄方法。
【請求項21】
前記適切な溶媒が水である、請求項20に記載の硬表面の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−522078(P2009−522078A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549968(P2008−549968)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050101
【国際公開番号】WO2007/080553
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】