説明

便座装置及び消臭液投入装置

【課題】水道水を噴霧することなく且つ高価格にならずに排便時の悪臭発生を抑制できる便座装置及び消臭液投入装置を提供する。
【解決手段】便座支持本体部5に、消臭液が充填される容器10が収容される容器収容部53と、便器1のボウル部に向けて設けられる消臭液投入ノズル52と、収容された上記容器10の液出口部が装着される受け部54と、上記受け部54で受け取った消臭液を上記消臭液投入ノズル52に導いてこの消臭液投入ノズル52から上記消臭液を上記ボウル部に滴下又は噴出させる消臭液送りパイプ55と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排便時の悪臭発生を抑制できる便座装置及び既存の便座装置に後付けできる消臭液投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、排便時の悪臭発生を抑制するために、人の着座を検出したときに水道管からの水を、便器のボウル内の水たまりに向けて噴霧する装置を提案している。また、下記特許文献2は、洗浄水を泡状にして便器のボウル内に導くことを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−17986号公報
【特許文献2】特開2007−314973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の装置では、水道管からの水を便器のボウル内の水たまりに向けて噴霧するため、このように噴霧される水(霧)が人の肌に触れる可能性がある。また、上記特許文献2の装置では、洗浄水を泡状にするためのエアポンプなどから成る微細泡粒発生装置を備えることになり、便座装置の価格が割高になる。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑み、水道水を噴霧することなく且つ高価格にならずに排便時の悪臭発生を抑制できる便座装置及び消臭液投入装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の消臭液投入装置は、上記の課題を解決するために、便器に設けられる便座装置であって、消臭液が充填される容器が収容される容器収容部と、この容器収容部に収容された上記容器内の上記消臭液を上記便器のボウル部に滴下又は噴出する消臭液投入手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、消臭液を便器のボウル部に滴下又は噴出するものとなり、水道管からの水を便器のボウル内の水たまりに向けて噴霧するものではないから、この噴霧された水(霧)が人の肌や衣類に触れるといったことは無くなる。また、洗浄水を泡状にするための微細泡粒発生装置を備える必要もないので低価格化が図れる。
【0008】
上記の便座装置において、上記消臭液投入手段は上記消臭液の滴下又は噴出のための電動動作部を備えてもよい。これによれば、人の操作によらずに消臭液を投入することが可能となる。
【0009】
上記電動動作部を備える便座装置において、人が便座部に着座したことを検出する着座センサを備え、この着座センサにて着座を検出したときに上記電動動作部を動作させて上記消臭液を滴下又は噴出させることとしてもよい。
【0010】
また、上記電動動作部を備える便座装置において、人が便器に近づいたことを検出する人検知センサを備え、この人検知センサにて人を検出したときに上記電動動作部を動作させて上記消臭液を滴下又は噴出させることとしてもよい。
【0011】
また、上記の便座装置において、人が便器に近づいたことを検出する人検知センサと、この人検知センサにて人の接近を検出したときに自動的に蓋を開く駆動部と、を備え、上記消臭液投入手段は上記駆動部による駆動力を利用して上記消臭液を滴下又は噴出させてもよい。
【0012】
また、上記の便座装置において、上記消臭液投入手段は、回動軸を有する蓋を人が開くときの上記回動軸の駆動力を使用して上記消臭液を滴下又は噴出させることとしてもよい。
【0013】
また、上記の便座装置において、上記消臭液投入手段は、上記容器収容部に形成された外部操作開口と、上記便器のボウル部に向けて設けられるノズル部と、収容された上記容器内の消臭液出口部が装着される受け部と、上記受け部で受け取った消臭液を上記ノズル部に導いてこのノズル部から上記消臭液を上記ボウル部に滴下又は噴出する消臭液送り部と、から成るものでもよい。かかる構成であれば、上記容器収容部に収容された容器を外部から手動押圧することで上記消臭液を上記便器のボウル部に滴下又は噴出させることができる。
【0014】
また、この発明の消臭液投入装置は、便座装置に後付けされる消臭液投入装置であって、消臭液が充填される容器が収容される容器収容部と、上記便器のボウル部に向けて設けられるノズル部と、収容された上記容器内の消臭液出口部が装着される受け部と、上記受け部で受け取った消臭液を上記ノズル部に導いてこのノズル部から上記消臭液を上記ボウル部に滴下又は噴出する消臭液送り部と、を備え、上記の容器収容部にはここに収容された容器を外部に露呈させる外部操作開口が形成されており、この外部操作開口を介して人が上記容器を操作できることを特徴とする。
【0015】
かかる構成も、消臭液をボウル部に滴下又は噴出するものとなり、水道管からの水を便器のボウル内の水たまりに向けて噴霧するものではないから、この噴霧された水(霧)が人の肌に触れるといったことが無くなる。また、洗浄水を泡状にするための微細泡粒発生装置を備える必要もないので低価格化が図れる。
【0016】
これらの構成において、上記の消臭液は水面に膜を形成して臭いを閉じ込める膜形成消臭液であるのがよい。このような消臭液は1滴から数滴(1〜10滴程度)が便器ボウル部の水たまりに滴下されれば十分であるので、上記のような便座装置や消臭液投入装置において用いると好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明であれば、排便時の悪臭発生を抑制することにおいて、噴霧された水(霧)が人の肌に触れるといったことが無く、また、洗浄水を泡状にするための微細泡粒発生装置を備える必要もないので低価格化が図れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の便座装置が装着された便器を示した斜視図である。
【図2】図1に示した便座装置の内部構造を示した説明図である。
【図3】図2の便座装置の制御系を示したブロック図である。
【図4】他の実施形態の便座装置の内部構造を示した説明図である。
【図5】図4の便座装置の制御系を示したブロック図である。
【図6】他の実施形態の便座装置の内部構造を示した説明図である。
【図7】図6の便座装置の制御系を示したブロック図である。
【図8】他の実施形態の便座装置の内部構造を示した説明図である。
【図9】図8の便座装置の制御系を示したブロック図である。
【図10】他の実施形態の便座装置(消臭液投入装置)の外部の構造を示した説明図である。
【図11】図10の便座装置(消臭液投入装置)の横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、この発明の実施形態に係る便座装置及び消臭液投入装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る便座装置及び消臭液投入装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0020】
図1に示すように、便器1の上部に便座装置2が装着されている。便座装置2は、便座3と蓋4と便座支持本体部5とを備えてなる。便座3及び蓋4は便座支持本体部5に設けられた軸によって回動自在に設けられている。便座3及び蓋4は同心に設けられた軸で支持されていてもよいし、別々の位置に設けられた軸によって支持されていてもよい。更に、便座支持本体部5には、一般的な機能である、洗浄機構、温風機構などが設けられ、また、各機構を制御するコントローラ(図3等参照)が設けられる。更に、便座支持本体部5は、人検知センサ60と、人の接近を検知したときに上記蓋4を自動的に開け、人が検知されなくなったときに蓋4を自動的に閉じる蓋開閉装置58(図9参照)を備えている。また、便座装置2は、人が便座3に着座したときに例えばその重みでスイッチ動作する着座センサ61を備えている。
【0021】
また、上記便座支持本体部5の下面側には、上記洗浄機構における洗浄ノズル51が便器1のボウル部1aに臨むように設けられている。そして、上記洗浄ノズル51の近傍位置には消臭液投入ノズル52が設けられている。
【0022】
図2に示すように、上記の便座支持本体部5には、消臭液が充填される容器10が収容される容器収容部53と、上記便器1のボウル部1aに向けて設けられる上記の消臭液投入ノズル52と、下向きに収容された上記容器10の液出口部が装着される受け部54と、上記受け部54で受け取った消臭液を上記消臭液投入ノズル52に導いてこの消臭液投入ノズル52から上記消臭液を上記ボウル部1aに滴下又は噴出する(滴下又は噴出を含む表現として吐出を用いることがある)消臭液送りパイプ55と、が備えられている。ここでは、上記消臭液送りパイプ55の切断先端箇所が上記の消臭液投入ノズル52を成す。
【0023】
便座支持本体部5における上記受け部54には、上記消臭液を上記消臭液投入ノズル52から滴下又は噴出させる電動動作部70が設けられている。この電動動作部70は圧電素子を用いた液滴投入装置であり、この装置内の図示しない圧力室に上記受け部54を介して上記容器10から消臭液を導き、上記圧力室に設けた圧電素子に通電することで圧力室内の容積を縮小変化させ、この圧力室内の消臭液を上記消臭液送りパイプ55に送り込む。このような液滴投入装置はインク液の投入などにも用いられているものである。上記容器収容部53には蓋部56が設けられており、この蓋部56を開けて上記容器10を容器収容部53に装填することができる。上記の容器10は例えばスクイーズ容器であり、消臭液が出ていった分の空気の入り込みがなくてもよいようになっている。もちろん、上記の容器10として例えば硬質のプラスチック容器を用い、消臭液が出ていった分の空気が容器10内に入り込むようにしてもよい。例えば、上記プラスチック容器の底部(容器収容部53内では上部となる)に空気導入用の微小な貫通孔及びこの貫通孔を塞ぐ栓を設けておき、この容器10を容器収容部53にセットするときに上記栓を取り外すようにしてもよい。
【0024】
図3に示すように、コントローラ63は上記着座センサ61からの信号を入力し、上記電動動作部70の圧電素子70aに対する電圧の印加と非印加を制御する。具体的には、このコントローラ63は、上記着座センサ61から人検知を示す信号を入力すると、上記電動動作部70の圧電素子70aに電圧を印加し、上記圧力室の容積を縮小変化させる。また、コントローラ63には手動スイッチ64が接続されており、この
手動スイッチ64に対する操作を検知したときも、コントローラ63は上記電動動作部70の圧電素子70aに電圧を印加し、上記電動動作部70の圧力室の容積を縮小変化させる。上記の容器10の交換初期時には、ユーザは上記手動スイッチ64を操作し、容器10内の消臭液が上記消臭液投入ノズル52に至るようにする。また、このような交換初期以外でも、消臭液の滴下量が少ないと感じるユーザは追加の消臭液滴下のために上記手動スイッチ64を操作することができる。
【0025】
1回の消臭液使用量は、1〜10滴程度を想定している。1滴は約0.03ml〜0.05mlであるとする。上記圧電素子70aの1回の振動による吐出量が例えば0.004mlであるのなら、消臭液を1滴分使用するときには、上記圧電素子70aを10回振動させればよい。
【0026】
上記消臭液は、1〜10滴程度の滴下で便臭や尿臭の消臭効果を発揮できる消臭液であればよいのであるが、特に、この実施形態では、水面に膜を形成して臭いを閉じ込める膜形成消臭液を用いている。この膜形成消臭液としては、例えば、界面活性剤を成分とするもの、プロピレングリコール等のアルコール類を成分とするもの、植物抽出油を成分とするものなどを用いることができる。なお、臭いを完全に閉じ込めることを意味するわけではなく、膜が全くない場合に比べて便器ボウル部の水たまりから便臭が出てくるのを抑制できるものであればよい。また、このような膜形成消臭液を用いる場合、膜形成消臭液がボウル部の面に付着してしまうよりも、ボウル部の水たまりに投下されるように液投入位置が設定されているのが望ましい。以下の実施形態においても同様である。
【0027】
なお、上記の例では、上記着座センサ61で人の着座を検出したときに消臭液を投入するようにしたが、人検知センサ60によって人の接近を検出したときに消臭液を投入するようにしてもよい。
【0028】
また、電動動作部70(圧電素子を用いた液滴投入装置)を便器ボウル側に近づけて配置することで、消臭液送りパイプ55及び消臭液投入ノズル52を設けない構成とすることもできる。この構成の場合、電動動作部70自体の液吐出部がノズルとなって消臭液が吐出される。便座支持本体部5の下面に開口を形成しておいて、この開口から上記の吐出された消臭液を便器ボウル部に投入するようにすればよい。容器収容部53及び受け部54の位置を変えない場合、受け部54から電動動作部70に至る液送りパイプを設ければよい。
【0029】
次に、他の実施形態を図4及び図5に基づいて説明していく。容器10内の消臭液は受け部54から消臭液送りパイプ55に供給されるようにしてある。上記の消臭液送りパイプ55には上記消臭液を消臭液投入ノズル52から滴下又は噴出させる電動動作部71が設けられている。この電動動作部71は、電磁ソレノイド71aを用いてピストン部71bを駆動する液滴投入装置である。具体的には、ピストン部71bを電磁ソレノイド71aにて下方に押し込んで上記消臭液送りパイプ55内を加圧すると、この加圧によって上記消臭液送りパイプ55内の消臭液が上記消臭液投入ノズル52から吐出される。一方、ピストン部71bを電磁ソレノイド71aにて上方に上げると、容器10内の消臭液が消臭液送りパイプ55内に導入される。逆流防止弁71cは、上記加圧の際に消臭液が容器10の方に押しやられるのを防止し、また、非加圧の際に上記消臭液投入ノズル52から空気が入り込むのを防止する。
【0030】
図5に示すように、コントローラ63は着座センサ61からの信号を入力し、上記電動動作部71の電磁ソレノイド71aに対する電圧の印加と非印加を制御する。具体的には、このコントローラ63は、上記着座センサ61から人検知を示す信号を入力すると、上記電動動作部71の電磁ソレノイド71aに電圧を印加し、ピストン部71bを下方に移動させて上記消臭液送りパイプ55内の容積を縮小変化させ、その後に電圧を非印加とし、ピストン部71bを上方に移動させる。すなわち、ピストン部71bを1往復動作させることで消臭液が便器ボウル部に投入される。なお、コントローラ63には手動スイッチ64が接続されており、この手動スイッチ64に対する操作を検知したときも、コントローラ63は上記電動動作部70の電磁ソレノイド71aへの電圧の印加と非印加を行い、ピストン部71bを1往復動作させる。上記の容器10の交換初期時には、ユーザは上記手動スイッチ64を操作し、容器10内の消臭液が上記消臭液投入ノズル52に至るようにする。また、このような交換初期以外でも、消臭液の滴下量が少ないと感じるユーザは追加の消臭液滴下のために上記手動スイッチ64を操作することができる。
【0031】
先にも述べたが、1回の消臭液使用量は、1〜10滴程度を想定している。1滴は約0.03ml〜0.05mlであるとする。上記消臭液投入ノズル52の開口径によっても1滴の量は変化する。上記ピストン部71bの1往復による吐出量が例えば0.12mlであるのなら、消臭液を3滴分使用するときには、上記ピストン部71bの1往復させればよいことになる。なお、上記ピストン部71bの移動速度が速い場合には、1〜10滴程度の消臭液は滴下せずに一続きの液すじとなって噴出することになる。また、このような一続きの液すじではなくて、通常の液滴よりも微細な粒となって噴出することもある。電磁ソレノイド71aとピストン部71bとの間にバネを介在させることでピストン部71bの動作速度を遅くすることも可能である。
【0032】
次に、他の実施形態を図6及び図7に基づいて説明していく。容器収容部53は斜めに形成されており、この容器収容部53に下向きに収容される容器10の液出口部が便器ボウル部上に位置するようにしている。容器収容部53の底部には容器10の液出口部を下方に露出させる開口が形成されている。この実施形態で用いる容器10は、変形可能且つ復元可能な容器としている。また、便座支持本体部5の下面であって、上記収容された容器10の液出口部に対応する位置に消臭液投入開口57が形成されている。上記容器収容部53の壁の一部は切りかかれて上記容器10の側部が露呈されるようになっており、この露呈箇所の近傍に消臭液の滴下又は噴出のための電動動作部72が設けられている。この電動動作部72は、上記露呈箇所から上記容器10の押圧と非押圧とが行えるように設けられた偏心カム72aをモーター72bで駆動する。上記偏心カム72aの押圧による容器10の容積縮小によって容器10内の消臭液が上記液出口部から出て上記消臭液投入開口57から便器ボウル部の水たまりに投入されることになる。一方、上記偏心カム72aによる押圧が無くなると上記容器10は元の形状に復元し、この復元力によって容器10の上記液出口部から空気が容器10内に入り込むことになる。また、上記電動動作部72には上記偏心カム72aの回転を検出する回転検出器72cが設けられている。この回転検出器72cは、例えば、上記偏心カム72aに設けられた磁力発生部72dと、この磁力発生部72dを検出するホール素子部72eとから成り、上記偏心カム72aの1回転を検出できるようになっている。もちろん、このような磁気ではなく、光等を用いて上記偏心カム72aの1回転を検出することもできる。
【0033】
図7に示すように、コントローラ63は着座センサ61からの信号を入力し、上記電動動作部72のモーター72bの駆動と非駆動を制御する。具体的には、このコントローラ63は、上記着座センサ61から着座を示す信号を入力すると、上記電動動作部72のモーター72bを駆動し、上記偏心カム72aを1回転させる。回転する上記偏心カム72aは、上記の変形可能且つ復元可能な容器10の側部を押圧し、その後にこの側部から離間することになる。なお、コントローラ63には手動スイッチ64が接続されており、この手動スイッチ64に対する操作を検知したときも、コントローラ63は上記電動動作部72の上記偏心カム72aを1回転させる。
【0034】
先にも述べたが、1回の消臭液使用量は、1〜10滴程度を想定している。1滴は約0.03ml〜0.05mlであるとする。上記偏心カム72aが1回転することによる吐出量が例えば0.12mlであるのなら、消臭液を3滴分使用するときには、上記偏心カム72aを1回転させればよいことになる。なお、上記偏心カム72aの回転速度が速い場合には、消臭液は滴下せずに一続きの液すじとなって噴出することになる。また、このような一続きの液すじではなくて、通常の液滴よりも微細な粒となって噴出することもある。なお、上記のモーター72b及び上記偏心カム72aに代えて、電磁ソレノイドを用いて上記容器10を押すこととしてもよい。また、上記電磁ソレノイドと上記容器10との間にバネを介在させることで上記容器10に対する押圧速度を遅くすることも可能である。
【0035】
次に、他の実施形態を図8及び図9に基づいて説明していく。容器収容部53は斜めに形成されており、ここに下向きに収容される容器10の液出口部が便器ボウル部上に位置するようにしている。容器収容部53の底部には容器10の液出口部を下方に露呈させる開口が形成されている。この実施形態で用いる容器10は、変形可能且つ復元可能な容器としている。また、便座支持本体部5の下面であって、上記収容された容器10の液出口部に対応する位置に消臭液投入開口57が形成されている。上記容器収容部53の壁の一部は切りかかれて上記容器10の側部が露呈されるようになっており、この露呈箇所の近傍位置に消臭液の滴下又は噴出のための電動動作部73が設けられている。
【0036】
この電動動作部73は、上記露呈箇所から上記容器10に対する押圧と非押圧とが行えるように円弧部を有した扇形部材73aを、蓋4の回動動作に伴って回動する回動軸4aによって回動する。上記蓋4が閉じられた状態では、上記の扇形部材73aの円弧部は上記容器10から離間した位置にある。一方、上記蓋4が開けられた状態では、上記の扇形部材73aの円弧部は上記露呈箇所から上記容器10の側部を押圧するように位置する。この押圧による容器10の容積縮小によって容器10内の消臭液が容器10から出て上記消臭液投入開口57から便器ボウル部の水たまりに投入されることになる。一方、上記の扇形部材73aによって容器10が押圧されないときには容器10はその形状を復元し、この復元力によって容器10の上記液出口部から空気が容器10内に入り込むことになる。
【0037】
図9に示すように、コントローラ63は人検知センサ60からの信号を入力し、蓋開閉装置58の動作を制御する。具体的には、コントローラ63は、人検知センサ60から人検知の信号を入力すると、蓋開閉装置58のモーターを駆動して蓋4を開け、人検知センサ60から人の非検知を示す信号を入力すると、蓋開閉装置58のモーターを駆動して蓋4を閉じる。このように蓋開閉装置58が動作することによって上記回動軸4aが回動し、この回動によって扇形部材73aが回動する。
【0038】
先にも述べたが、1回の消臭液使用量は、1〜10滴程度を想定している。1滴は約0.03ml〜0.05mlであるとする。そして、ここでは、上記蓋4の開動作で扇形部材73aが回動することによる消臭液の吐出量を例えば0.12mlとしている。
【0039】
上記の例では、蓋開閉装置58によって電動で蓋4が開閉される場合を説明したが、手動で蓋4が開閉される場合でも、この蓋4の開動作で扇形部材73aを回動させる構成とすれば、この手動の蓋開閉でも容器10から消臭液を吐出させることができる。
【0040】
次に、他の実施形態を図10及び図11に基づいて説明していく。便座支持本体部5の外側の側面に外付け容器収容部53Aが取り付けられている。また、この実施形態で用いる容器10は、変形可能且つ復元可能な容器としている。上記外付け容器収容部53Aには、収容された上記容器10の液出口部が装着される受け部54が形成されており、この受け部54には、上記受け部54で受け取った消臭液を消臭液投入ノズル52に導いてこの消臭液投入ノズル52から上記消臭液を便器ボウル部に滴下又は噴出する消臭液送りパイプ55が取り付けられている。上記の消臭液送りパイプ55は便座支持本体部5の脇を通り、便器1の上面と便座3の下面との間を通り、その先端(消臭液投入ノズル52)が上記の便器ボウル部に向けられるようにセットされる。また、外付け容器収容部53Aには接着シート59が設けられており、この接着シート59によって外付け容器収容部53Aが便座支持本体部5の外側の側面に取り付けられる。
【0041】
そして、外付け容器収容部53Aにはここに収容された変形可能且つ復元可能な容器10を外部に露呈させる外部操作開口部53Aaが形成されており、この外部操作開口部53Aaを介して人が上記容器10を押圧操作し、容器10内の消臭液を便器ボウル部に滴下させることができる。
【0042】
上記の外付け容器収容部53Aと、受け部54と、消臭液送りパイプ55と、消臭液投入ノズル52(消臭液送りパイプ55の端面開口が消臭液投入ノズル52を兼ねる場合もある)とからなるセットを、消臭液投入装置として便器とは別売りすることも可能である。この場合、上記の接着シート59には剥離紙を装着しておく。
【0043】
なお、容器10を直接手に持って消臭液を便器のボウル部の水たまりに滴下する場合には、手を滑らせて容器10を便器に落としてしまうおそれがあるが、容器10を容器収容部にセットして用いる構成であれば、このような落下の心配は無くなる。
【符号の説明】
【0044】
1 便器
2 便座装置
3 便座
4 蓋
5 便座支持本体部
52 消臭液投入ノズル
53 容器収容部
53A 外付け容器収容部
53Aa 外部操作開口部
54 受け部
55 消臭液送りパイプ
57 消臭液投入開口
60 人検知センサ
61 着座センサ
63 コントローラ
64 手動スイッチ
70,71,72,73 電動動作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に設けられる便座装置であって、消臭液が充填される容器が収容される容器収容部と、この容器収容部に収容された上記容器内の上記消臭液を上記便器のボウル部に滴下又は噴出する消臭液投入手段と、を備えたことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
請求項1に記載の便座装置において、上記消臭液投入手段は上記消臭液の滴下又は噴出のための電動動作部を備えたことを特徴とする便座装置。
【請求項3】
請求項2に記載の便座装置において、人が便座部に着座したことを検出する着座センサを備え、この着座センサにて着座を検出したときに上記電動動作部を動作させて上記消臭液を滴下又は噴出させることを特徴とする便座装置。
【請求項4】
請求項2に記載の便座装置において、人が便器に近づいたことを検出する人検知センサを備え、この人検知センサにて人を検出したときに上記電動動作部を動作させて上記消臭液を滴下又は噴出させることを特徴とする便座装置。
【請求項5】
請求項1に記載の便座装置において、人が便器に近づいたことを検出する人検知センサと、この人検知センサにて人の接近を検出したときに自動的に蓋を開く駆動部と、を備え、上記消臭液投入手段は上記駆動部による駆動力を利用して上記消臭液を滴下又は噴出させることを特徴とする便座装置。
【請求項6】
請求項1に記載の便座装置において、上記消臭液投入手段は、回動軸を有する蓋を人が開くときの上記回動軸の駆動力を使用して上記消臭液を滴下又は噴出させることを特徴とする便座装置。
【請求項7】
請求項1に記載の便座装置において、上記消臭液投入手段は、上記容器収容部に形成された外部操作開口と、上記便器のボウル部に向けて設けられるノズル部と、収容された上記容器内の消臭液出口部が装着される受け部と、上記受け部で受け取った消臭液を上記ノズル部に導いてこのノズル部から上記消臭液を上記ボウル部に滴下又は噴出する消臭液送り部と、から成ることを特徴とする便座装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の便座装置において、上記の消臭液は水面に膜を形成して臭いを閉じ込める膜形成消臭液であることを特徴とする便座装置。
【請求項9】
便座装置に後付けされる消臭液投入装置であって、消臭液が充填される容器が収容される容器収容部と、上記便器のボウル部に向けて設けられるノズル部と、収容された上記容器内の消臭液出口部が装着される受け部と、上記受け部で受け取った消臭液を上記ノズル部に導いてこのノズル部から上記消臭液を上記ボウル部に滴下又は噴出する消臭液送り部と、を備え、上記の容器収容部にはここに収容された容器を外部に露呈させる外部操作開口が形成されており、この外部操作開口を介して人が上記容器を操作できることを特徴とする消臭液投入装置。
【請求項10】
請求項9に記載の消臭液投入装置において、上記の消臭液は水面に膜を形成して臭いを閉じ込める膜形成消臭液であることを特徴とする消臭液投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−26098(P2012−26098A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163270(P2010−163270)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(506169953)大和エネルギー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】